JP2017132974A - 熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料 - Google Patents

熱伝導性フィラー及び熱伝導性材料 Download PDF

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睦美 加藤
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航太朗 岩谷
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Katsuya Watanabe
克哉 渡辺
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Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
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Abstract

【解決課題】安価でかつ複合材料の強度低下を抑制し得る炭素材の熱伝導性フィラーおよび係る熱伝導性フィラーを含む熱伝導性材料を提供すること。
【解決手段】石油コークスを700〜2400℃で焼成して得られる石油コークスの焼成物であり、平均粒子径が1〜100μmであり、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が3.36〜3.50Åであり、炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%であることを特徴とする熱伝導性フィラーと、ゴムまたは樹脂と、上記熱伝導性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し上記熱伝導性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする熱伝導性材料である。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱伝導性のフィラー及びそれを用いる熱伝導性材料に関する。
LED照明や自動車のインバータ等では、それらから発生する熱を外部に効率的に放熱させることが必要であり、近年、そのような熱を外部に放熱させるための材料に注目が集まっている。
このような熱を外部の放熱させる材料には、熱伝導性が高い材料、すなわち、熱伝導性材料が用いられる。そして、熱伝導性材料は、通常、樹脂、ゴム等に、熱伝導性が高いフィラーを、高充填量で配合させたものである。
熱伝導性材料に配合される熱伝導性フィラーとしては、アルミナ、窒化アルミニウム、炭化珪素、窒化ホウ素等のセラミック材(例えば、特許文献1、特許文献2)や、炭素繊維等の黒鉛材(例えば、特許文献3)が知られている。
特開2011−184507号公報 特開2014−214222号公報 特開2007−291576号公報
熱伝導性材料の熱伝導性フィラーとして、セラミック材を用いると、セラミック材の比重が大きいため、プラスチックが持つ特性である軽量性を損なうという問題がある。そのような観点からは、熱伝導性フィラーとしては、炭素繊維等の炭素材が好ましい。
ところが、特許文献3の炭素繊維は、ピッチを黒鉛化して得られたものであり、このような黒鉛化された炭素材は、黒鉛化にコストがかかるため、価格が高くなってしまうという問題があった。また、黒鉛は炭素繊維に比べて安価な炭素材であるが、ゴムや樹脂に多量充填した際に材料が脆くなってしまうという問題があった。
従って、本発明は、安価でかつ複合材料の強度低下を抑制し得る炭素材の熱伝導性フィラーおよび係る熱伝導性フィラーを含む熱伝導性材料を提供することにある。
上記課題は、以下の本発明により解決される。
すなわち、本発明(1)は、石油コークスの700〜2400℃焼成物であり、平均粒子径が1〜100μm、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が3.36〜3.50Å、炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%であることを特徴とする熱伝導性フィラーを提供するものである。
また、本発明(2)は、ゴムまたは樹脂と上記(1)記載の熱伝導性フィラーとを含有し、前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し上記(1)の熱伝導性フィラーを50〜450質量部含有することを特徴とする熱伝導性材料を提供するものである。
本発明によれば、安価でかつ複合材料の強度低下を抑制し得る炭素材の熱伝導性フィラーおよび係る熱伝導性フィラーを含む熱伝導性材料を提供することができる。
実施例1で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例2で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例5で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例6で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例9で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例10で得られた熱伝導性フィラーの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)である。 実施例1で得られた熱伝導性フィラーのX線回折チャートである。 実施例2で得られた熱伝導性フィラーのX線回折チャートである。
本発明の熱伝導性フィラー(以下、本発明の熱伝導性フィラー(A)とも記載する。)は、石油コークスの700〜2400℃焼成物であり、平均粒子径が1〜100μm、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が3.36〜3.50Å、炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%であることを特徴とするものである。
本発明の熱伝導性フィラー(A)は、石油コークスの焼成物からなるものであり、本出願書類において、石油コークスの焼成物とは、石油コークスを700〜2400℃で焼成し、次いで粉砕するか、または石油コークスを粉砕し、次いで700〜2400℃で焼成して得られる石油コークスの粉砕及び焼成物を意味する。
石油コークスの焼成物は、本発明の効果を発揮し得るものである限り、上記粉砕処理または焼成処理を複数回施してなるものであってもよい。
焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、石油精製プロセスにおいて生成する熱分解原料油が、熱分解装置で熱分解処理されることにより生成し、熱分解処理において生成する軽質分が採取された後に残るコークスである。
熱分解処理される熱分解原料油としては、原油を常圧蒸留した後の常圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留した後の減圧蒸留残渣油や、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油や、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)との混合油が挙げられる。
熱分解原料油に係る常圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、原油を常圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油に係る減圧蒸留残渣油は、特に制限はなく、常圧蒸留残渣油を減圧蒸留して、蒸発留分を分離した後の残渣分である。熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油であってもよく、熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合油である場合、常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油の混合割合は、特に制限されず、適宜調節される。
常圧蒸留残渣油の蒸留原料となる原油としては、特に制限されず、原油種としては、例えば、アラビアンヘビー、アラビアンミディアム、アラビアンライト、アラビアンエクストラライト、クウェート、バスラ、オマーン、マーバン、ムバラスブレンド、ザクム、アッパーザクム、カタールランド、カタールマリン、ウムシャイフ、シリー、カフジ、エスポ等が挙げられ、いずれか1種であっても、2種以上の組み合わせであってもよい。
また、熱分解原料油は、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油、すなわち、常圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油、または常圧蒸留残渣油と減圧蒸留残渣油と他の炭化水素油(1)との混合油であってもよい。熱分解原料油が、常圧蒸留残渣油及び減圧蒸留残渣油のうちの1種以上と他の炭化水素油(1)の混合油である場合、他の炭化水素油(1)は、本発明の効果を示す範囲の炭化水素油であればよく、例えば、流動接触分解処理のスラリーオイル、エチレンクラッカー残渣油等が挙げられる。
熱分解処理の条件であるが、熱分解温度は、好ましくは490〜510℃、より好ましくは495〜505℃であり、また、熱分解処理の際の圧力(ゲージ圧)は、好ましくは0.01〜0.6MPaG、より好ましくは0.05〜0.4MPaGである。また、熱分解処理の雰囲気は、スチームである。また、熱分解処理中に過度の発泡が認められる場合は、消泡剤を投入する事もある。消泡剤としては、一般的にシリコン系の消泡剤などを用いることができる。
熱分解原料油の熱分解により生成する石油コークスは、熱分解処理後、ウォータージェット等を用いて砕かれて、熱分解装置から取り出される。そして、熱分解装置から取り出される石油コークスは、一般にショットコークスと呼ばれる形状が粒状のものや、一般にスポンジコークスと呼ばれる形状が多孔質の大きな塊状のものであり、本発明の熱伝導性フィラー(A)を製造するための焼成及び粉砕の原料としては、ショットコークスであっても、スポンジコークスであっても、それらの混合物であってもよい。また、熱分解装置から取り出された石油コークスは、必要に応じて、20〜500℃で乾燥される。
このようにして、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスが得られる。焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、硫黄を含有しており、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、好ましくは0〜12質量%、より好ましくは0.1〜10質量%、さらに好ましくは1〜10質量%、一層好ましくは1〜9質量%、より一層好ましくは2〜8質量%である。硫黄含有量が上記範囲にあることにより、焼成時にコークス内の結晶構造の発達が促進され、熱伝導性フィラーとして、ゴムや樹脂等へ配合した際の熱伝導性を容易に向上させることができる。
熱分解原料油の熱分解処理により得られるコークスは、通常、水分を1〜12質量%程度含有しているため、含水した状態の石油コークスの質量を、硫黄含有量の算出の基準とすると、石油コークスの含水状態により、石油コークス中の硫黄含有量の計算値が変動してしまう。そこで、石油コークス中の硫黄含有量の算出に当たっては、含水状態の石油コークスを200℃±10℃で4時間乾燥(JIS M 8811に準拠)させ、得られる乾燥状態の石油コークスの質量を測定し、その乾燥状態の石油コークスの質量を基準に、石油コークス中の硫黄含有量を算出する。つまり、石油コークスの乾燥状態での硫黄含有量とは、乾燥状態の石油コークスの質量に対する石油コークス中の硫黄の質量である。
焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭素原子含有量が好ましくは70〜90質量%の物質からなり、水素原子を好ましくは1〜10質量%有している。つまり、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭化水素基を有している。焼成及び粉砕の原料となる石油コークスが炭化水素基を有していることは、赤外線吸収スペクトル分析(IR)により確認され、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスのIRチャートには、2800〜3000cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の伸縮振動に由来するピークが見られ、1600cm−1付近に、フェニル基C=Cに由来するピークが見られ、また、1300〜1500cm−1付近に、C−H、−CH−、CH−の変角振動に由来するピークが見られ、また、800〜900cm−1付近に、フェニル基C−Hに由来するピークが見られる。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの窒素含有量は、好ましくは0.1〜2.0質量%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの芳香族性炭素割合は、好ましくは75〜98%、より好ましくは85〜95%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの固定炭素分は、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは75〜90質量%である。また、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスの炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.2〜0.8である。なお、本発明において、炭素原子含有量、水素原子含有量及び窒素原子含有量は、JIS M 8813に準拠して測定された値である。
そして、本発明の熱伝導性フィラー(A)は、熱分解装置から取り出された石油コークスを焼成し、次いで、粉砕して得られる。または、本発明の熱伝導性フィラー(A)は、熱分解装置から取り出された石油コークスを、粉砕し、次いで、焼成して得られる。
焼成における焼成温度は、700〜2400℃、好ましくは800〜2200℃、より好ましくは900〜2000℃である。焼成温度が上記範囲未満だと、熱伝導性が低くなり、また、上記範囲を超えると、焼成コストが大幅に上昇してしまう。焼成における焼成時間は、適宜選択されるが、好ましくは0.5〜10時間、より好ましくは1〜8時間である。焼成における焼成雰囲気は、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガス雰囲気が好適である。また、焼成では、酸素源を遮断して石油コークスの焼成を行ってもよいし、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行ってもよい。
上記のように、焼成及び粉砕の原料となる石油コークスは、炭化水素基を有しているので、微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行うことにより、石油コークス中の炭化水素基を酸化し、石油コークスに含酸素官能基を導入することができる。含酸素官能基としては、特に制限されず、例えば、カルボキシル基、ヒドロシキル基、カルボニル基等が挙げられる。石油コークスに含酸素官能基が導入されていることは、X線光電子分光分析(XPS)により確認される。微量の酸素源の存在下で石油コークスの焼成を行う場合、焼成を行う方法としては、例えば、不活性ガス中に微量の酸素または水を含有させ、この酸素または水を微量に含有させた不活性ガスを焼成雰囲気に供給しながら、石油コークスの焼成を行う方法が挙げられる。このとき、不活性ガス中の酸素または水の含有量及びトータル供給量は、適宜選択される。
粉砕処理を行うための粉砕手段としては、特に制限されず、また、乾式であっても湿式であってもよい。粉砕手段としては、ジョークラッシャ、ジョイレトリクラッシャ、コーンクラッシャ、ハンマクラッシャ、自生粉砕機、ボールミル、ローラミル、高速回転ミル、ジェットミル等の粉砕装置が挙げられる。また、粉砕処理条件は、目的とする微粉砕物の平均粒子径、その他の粒度特性、粉砕手段、粉砕回数等により、適宜選択される。粉砕処理された粉砕処理物は、必要に応じて分級される。
本発明の熱伝導性フィラー(A)の平均粒子径(D50)は、1〜100μm、好ましくは2〜50μm、より好ましくは3〜20μmである。平均粒子径(D50)が上記範囲にあることにより、分散性が高まりフィラーとしての使用が可能となり、また、ゴムまたは樹脂との界面抵抗による熱伝導率の低下を押さえることが可能となる。
本発明の熱伝導性フィラー(A)において、下記式(1):
スパン=(D90−D10)/D50 (1)
で表されるスパンは、好ましくは0.3〜7.0、特に好ましくは0.3〜6.0である。スパンが上記範囲にあることにより、フィラーとして、マトリックス材(例えば、ゴムや樹脂)への配合条件の設計が容易になる。
本発明の熱伝導性フィラー(A)において、D90は200μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、100μm以下がさらに好ましい。また、本発明の熱伝導性フィラー(A)において、D10は0.01μm以上が好ましく、0.03μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。
なお、本発明において、D10、D50(平均粒子径)、D90は、各々、JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置で測定される体積頻度粒度分布測定により求められる積算粒度10%、積算粒度50%、積算粒度90%の粒径である。
石油コークスは、2700℃以上で焼成すると黒鉛化するが、700〜2400℃、好ましくは800〜2200℃、より好ましくは900〜2000℃での焼成では、ほとんど黒鉛化しない。
そして、本発明の熱伝導性フィラー(A)は、石油コークスを700〜2400℃、好ましくは800〜2200℃、より好ましくは900〜2000℃で焼成して得られる焼成物なので、本発明の熱伝導性フィラー(A)はほとんど黒鉛化していない。
本発明の熱伝導性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、3.36〜3.50Å、好ましくは3.36〜3.47Åである。炭素材は黒鉛化が進むほど、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002が小さくなる。ここで、黒鉛のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は3.354Å程度であり、また、焼成前の石油コークスのX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、通常、3.36〜3.50Åである。そして、本発明の熱伝導性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、3.36〜3.50Å、好ましくは3.36〜3.47Åであるので、本発明の熱伝導性フィラー(A)は黒鉛化していない炭素材である。つまり、本発明の熱伝導性フィラー(A)のX線回折法による(002)面の平均面間隔(d)002は、3.36〜3.50Å、好ましくは3.36〜3.47Åであるとは、本発明の熱伝導性フィラー(A)が黒鉛化していない炭素材であるということを表す。
また、黒鉛化したものは、結晶化が進んでいるので、X線回折法による回折チャートにおいて、2θ=20〜30°付近には、(002)面に由来するシャープなピークが現れる。一方、本発明の熱伝導性フィラーは、結晶化が進んでいないので、2θ=20〜30°に見られる(002)面に由来する回折ピークは、ブロードである。
また、本発明の熱伝導性フィラー(A)は、黒鉛化が進んでいないため、本発明の熱伝導性フィラーの炭素原子含有量は、88.0〜99.9質量%、好ましくは90〜99.9質量%である。なお、熱伝導性フィラーの炭素原子含有量は、JIS M 8813に準拠して測定される値である。
本発明の熱伝導性フィラー(A)の熱伝導率は、1〜100W/(m・K)が好ましく、10〜100W/(m・K)がより好ましい。
本発明の熱伝導性フィラー(A)の嵩密度は、好ましくは0.1〜1.0g/cm、より好ましくは0.2〜0.8g/cmである。
本発明の熱伝導性フィラー(A)の硫黄含有量は、乾燥状態での硫黄含有量で、好ましくは0.01〜12質量%、より好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜8質量%である。
本発明の熱伝導性フィラー(A)は、水素原子を好ましくは0.01〜4質量%有している。また、本発明の熱伝導性フィラー(A)の窒素含有量は、好ましくは0.01〜1質量%である。また、本発明の熱伝導性フィラー(A)の炭素分の原子換算のモル数に対する水素分の原子換算のモル数の比(H/Cモル比)は、好ましくは0.01〜0.3、より好ましくは0.01〜0.1である。
本発明の熱伝導性フィラー(A)は、石油コークスを原料に用い、且つ、700〜2400℃、好ましくは800〜2200℃、より好ましくは900〜2000℃で焼成して得られるものなので、コストが低い。そのため、熱伝導性フィラーとして、本発明の熱伝導性フィラー(A)を用いることにより、熱伝導性材料のコストを低くすることができる。
本発明の熱伝導性材料は、ゴムまたは樹脂と本発明の熱伝導性フィラー(A)とを含有し、
上記ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の熱伝導性フィラー(A)を50〜450質量部含有することを特徴とする。
つまり、本発明の熱伝導性材料は、マトリックス材として、ゴムまたは樹脂と、熱伝導性のフィラーとして、マトリックス材中に分散及び充填されている本発明の熱伝導性フィラー(A)と、を含有する。
本発明の熱伝導性材料に係るゴムとしては、例えば、天然ゴム、合成ゴムが挙げられる。ゴムは、これらのうちの1種単独であってもよいし、2種類以上が混合されている混合物であってもよい。合成ゴムとしては、例えば、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、スチレン/ブタジエン共重合体、クロロプレン(CR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、アクリルゴム(ACM)、シリコーンゴム(VMQ)、ウレタンゴム(AU)、イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、エチレン/プロピレン共重合体(EPM)、エピクロルヒドリンゴム(CO)、及びフッ素ゴム(FKM)などが挙げられる。なお、合成ゴムは、これらに限定されるものではなく、これら以外のものであってもよい。
本発明の熱伝導性材料に係るゴムにおいては、加硫されることが好ましい。加硫は、例えば、80〜200℃で行われるのが好ましく、130〜180℃で行われるのがより好ましい。また、加硫は大気圧条件下でも行われるが、例えば、1〜20MPa(10〜200bar)の加圧下で行われるのが好ましい。
本発明の熱伝導性材料に係る樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選ばれる1種以上が挙げられ、特に制限されない。2種以上の混合樹脂の場合は、任意に選択される樹脂を物理的または化学的に所定の組成比でブレンドされたポリマーアロイやポリマーブレンドなどであってもよい。また、樹脂は、変性物であってもよく、2種以上のモノマーが所定の比で重合した共重合体であってもよい。上記共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体及びグラフト共重合体から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の熱伝導性材料において、熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリアリーレンスルフィド樹脂、ポリオキシメチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、ブチラール樹脂、ポリウレタン系樹脂、アルキッド樹脂、セルロース類、含フッ素重合体、含硫黄重合体およびスチレン系樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
本発明の熱伝導性材料において、ポリオレフィン系樹脂としては、α−オレフィン系の単独重合体、α−オレフィンを主成分とする異種単量体との共重合体、α−オレフィンと共役ジエンまたは非共役ジエン等の多不飽和化合物、アクリル酸、メタクリル酸、酢酸ビニル等との共重合体等から選ばれる1種以上が挙げられる。ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、塩素化ポリエチレン、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド46(PA46)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)などが挙げられ、好ましくはPA12、PA6、PA66である。
ポリイミド樹脂としては、例えば、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ビスマレイミド、ポリエーテルイミド(PEI)などが挙げられ、好ましくはPI、PEIである。
ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロ・ヘキサン・ジメチレン・テレフタレート(PCT)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンナフタレート(PBN)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリマー(LCP)、ポリカーボネート(PC)などが挙げられ、好ましくはPBT、PET、PAR、PEN、LCP、PCである。
ポリエーテル樹脂としては、例えば、ポリアセタール(POM)、ポリエーテルニトリル(PENT)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリケトン(PK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、変性PPEなどが挙げられ、好ましくは、POM、PENT、PEEK、PEK、変性PPEである。
含フッ素重合体としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン(PTFE)、ポリ四フッ化エチレンエチレン(テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体、ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化アルキルビニルエーテル(PFA)などが挙げられ、好ましくはPTFE、PFAである。
含硫黄重合体としては、例えば、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリサルホン(PSF)などが好ましく挙げられる。
なお、共重合体としては、前記共重合体の他、例えば、アクリレート・スチレン・アクリロニトリル(AAS)、アクリロニトリルスチレン(AS)、スチレンマレイミドなどが挙げられる。
本発明の熱伝導性材料において、熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、イソシアヌレート樹脂及びフェノール樹脂等から選ばれる1種以上が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェノールノボラックなどのフェノール系グリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールなどのアルコール系グリシジルエーテルなどの主剤と、硬化剤との組み合せなどが挙げられる。なお、硬化剤としては、例えば、脂肪族ポリアミン、変性脂肪族ポリアミン、ポリアミドアミン、ポリアミド、脂環式ポリアミン、変性脂環式ポリアミン、変性芳香族ポリアミン、3級アミンなどのアミン化合物などが挙げられる。これらの硬化剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、主剤と硬化剤の反応を促進させる反応促進剤を用いることもできる。反応促進剤としては、例えば、フェノール、p−t−ブチルフェノール、ジ−t−ブチルフェノール、クレゾール、トリフェニルフォスファイト、サリチル酸、トリエタノールアミンなどが挙げられる。これらの反応促進剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の熱伝導性材料は、ゴムまたは樹脂100質量部に対し、本発明の熱伝導性フィラー(A)を50〜450質量部、好ましくは100〜430質量部、より好ましくは150〜400質量部含有する。本発明の熱伝導性フィラー(A)の含有量が上記範囲にあることより、熱伝導性材料の熱伝導率が高くなる。
なお、本発明の熱伝導性材料が、マトリックス材が熱硬化性樹脂であり、硬化剤または反応促進剤等を含有する場合には、硬化剤及び反応促進剤も熱硬化性樹脂の含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。また、本発明の熱伝導性材料が、マトリックス材がゴムであり、加硫剤を含有する場合には、加硫剤もゴムの含有量に含めて、その含有量を算出するものとする。
本発明の熱伝導性材料は、必要に応じて、本発明の熱伝導性フィラー以外の熱伝導性フィラーを含有することができる。また、本発明の熱伝導性材料は、熱伝導性フィラー以外に、必要に応じて、さらにガラスファイバー、ウィスカー、金属酸化物、紫外線安定剤、酸化防止剤、離型剤、滑剤、撥水剤、増粘剤、低収縮剤、親水性付与剤等を含有することができる。
本発明の熱伝導性材料の熱伝導率は、好ましくは0.3〜5W/(m・K)、より好ましくは0.4〜5W/(m・K)である。
本発明の熱伝導性材料は、LED照明、自動車のインバータ、パーソナルコンピューター、デジタルカメラあるいは各種携帯端末の部品や筺体、バッテリー充電用機器部品、バッテリーカバー等の放熱部位を構成する材料などに好適に用いられる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
<石油コークス>
(ショットコークスA、B、C、D、スポンジコークスA、カルサインコークスA)
熱分解原料油として減圧残渣油とスラリーオイルを用い、500℃、0.1MPaGの条件にて熱分解処理し、熱分解処理後、ウォータージェットにて粉砕し、目視にて、ショットコークスA、B、C、DおよびスポンジコークスA、を分取して、石油コークスを得た。ショットコークスA、B、C、D及びスポンジコークスAの性状を表1に示す。
(カルサインコークスA)
中国企業の保有する重質油熱分解装置へ通油した重質油より産生した、熱分解残渣である石油コークスを1350℃にて焼成(=カルサイン)し、粒子径が1〜2mm以下となるように粗砕砕を施されたカルサインコークスを入手し、それをカルサインコークスAとした。カルサインコークスAの性状を表1に示す。
なお、下記水分量、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、揮発分、固定炭素分については、以下の方法で測定した値を意味する。
(水分量)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(CHN分、H/C)
JIS M 8813に準拠して測定した。
(硫黄含有量)
JIS M 8819に準拠して、硫黄含有量を測定した。
(灰分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(揮発分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(固定炭素分)
JIS M 8812に準拠して測定した。
(実施例1〜実施例10)
表2に示すように、実施例1〜実施例3においてはショットコークスAを原料とし、実施例4においてはショットコークスBを原料とし、実施例5〜実施例7においてはショットコークスCを原料とし、実施例8においてはショットコークスDを原料とし、実施例9〜実施例10においてはカルサインコークスAを原料として、各々、以下に示す(1)粗粉砕処理、(2)焼成処理および(3)微粉砕処理を順次施すことにより、熱伝導性フィラーを作製した。
なお、以下に記載するように、実施例7においては、(1)粗粉砕処理および(2)焼成処理後に(3)微粉砕処理を行うことなく篩分け処理を行って熱伝導性フィラーを作製し、また、実施例9および実施例10においては、カルサインコークスAが石油コークスに対し予め焼成処理および粗粉砕処理を施したものであることから、(1)粗粉砕処理および(2)焼成処理を施すことなく(3)微粉砕処理のみを施して熱伝導性フィラーを作製した。
(1)粗粉砕処理工程
表2に示すように、実施例1〜実施例8において、ショットコークスA、ショットコークスB、ショットコークスCおよびショットコークスDを、カッターミル((株)セイシン工業製VM−22型)に供給し、以下の条件下で粗粉砕処理した後、目開き2mmの篩を通過させることにより、粗粉砕物として、各々、粒子径が2mm以下である、ショットコークスA粗粉砕物、ショットコークスB粗粉砕物、ショットコークスC粗粉砕物およびショットコークスD粗粉砕物を得た。そのときの粉砕条件及び結果を表2に示す。
なお、実施例9および実施例10においては、カルサインコークスAに対し粗粉砕処理は施さなかった。
(2)焼成処理工程
表2に示すように、実施例1〜実施例3においては、ショットコークスA粗粉砕物を、アルゴンガス雰囲気下、900℃で2時間焼成することにより、ショットコークスA粗粉砕焼成物を得た。
また、表2に示すように、実施例4においては、ショットコークスB粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1200℃で2時間焼成することにより、ショットコークスB粗粉砕焼成物を得た。
さらに、表2に示すように、実施例5〜実施例7においては、ショットコークスC粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、1400℃で2時間焼成することにより、ショットコークスC粗粉砕焼成物を得た。
さらに、表2に示すように、実施例8においては、ショットコークスD粗粉砕物を、窒素ガス雰囲気下、2000℃で2時間焼成することにより、ショットコークスD粗粉砕焼成物を得た。
なお、実施例9および実施例10においては、カルサインコークスAに対し焼成処理は施さなかった。
(3)微粉砕処理工程
表2に示すように、実施例1〜実施例3においては、ショットコークスA粗粉砕焼成物を、ジェットミルA((株)セイシン企業製ジェットミルSTJ−200)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーA〜フィラーCを得た。
表2に示すように、実施例4においては、ショットコークスB粗粉砕焼成物を、ジェットミルB(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ−2500)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーDを得た。
また、表2に示すように、実施例5においては、ショットコークスC粗粉砕焼成物を、ジェットミルC(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ−1500)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーEを得た。
さらに、表2に示すように、実施例6においては、ショットコークスC粗粉砕焼成物を、機械式粉砕機A(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−10)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーFを得た。
実施例7においては、微粉砕処理を施すことなく、ショットコークスC粗粉砕焼成物を、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩い、篩下分をフィラーGとした。
さらに、表2に示すように、実施例8においては、ショットコークスD粗粉砕焼成物を、機械式粉砕機B(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−15)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーHを得た。
表2に示すように、実施例9においては、カルサインコークスAを、ジェットミルC(日清エンジニアリング(株)製ジェットミルSJ−1500)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーIを得た。
また、表2に示すように、実施例10においては、カルサインコークスAを、機械式粉砕機C(日清エンジニアリング(株)製スーパーローターSR−25)を用い、同表に記載の条件下で微粉砕処理を施すことにより、目的とするフィラーJを得た。
(SEM分析)
実施例1および実施例2で得られた熱伝導性フィラー(フィラーAおよびフィラーB)について、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製、SU3500)を用い、加速電圧5kVで二次電子像の撮影を行った。実施例1で得られたフィラ−Aの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図1に示すとともに、実施例2で得られたフィラーBの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図2に、実施例5で得られたフィラーEの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図3に、実施例6で得られたフィラーFの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図4に、実施例9で得られたフィラーIの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図5に、実施例10で得られたフィラーJの走査型電子顕微鏡(SEM)写真(1000倍)を図6に示す。
また、得られたフィラーA〜フィラーJの物性および組成を表3に示す。
なお、表3において、各フィラーのCHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、水分量、揮発分、固定炭素分については、上述した方法と同様の方法で測定した値を意味する。 また、表3において、各フィラーの粒度特性、X線回折分析結果は、以下の方法で測定した値を意味する。
(粒度特性)
JIS Z 8825に準拠したレーザー回折散乱式粒度分布測定装置(MICROTRAC FRA、NIKKISO社製)を用いて、レーザー回折散乱法により、体積頻度粒度分布測定を行った。得られた体積頻度粒度分布測定結果より、積算粒度10%の粒径D10、積算粒度50%の粒径D50(平均粒子径)、積算粒度90%の粒径D90を求めた。
(X線回折分析)
粉末X線回折装置(Rigaku社製、Ultima IV)を用い、線源:Cu Kα、管電圧:40kV、管電流:40mA、走査速度10.000deg/min.で分析した。
実施例1で得られたフィラーAのX線回折チャートを図7に示すとともに、実施例2で得られたフィラーBのX線回折チャートを図8に示す。
(比較例1)
上記スポンジコークスAを、25℃で24時間乾燥し、カッターミル(セイシン工業製VM−22型)で粉砕し、149メッシュの篩(目開き100μm)で篩って、篩下を比較フィラー1として得た。すなわち、比較例1においては、石油コークスを焼成処理することなく粉砕処理することのみによってフィラーを作製した。比較フィラー1の物性および組成を表4に示す。
(比較例2)
比較例2として、市販の黒鉛粉末1(鱗片状黒鉛、平均粒子径:10μm)の物性および組成値を、表4に示す。
なお、表4において、各フィラーのX線回折分析方法、CHN分、H/C、硫黄含有量、灰分、水分、揮発分、固定炭素分は上述した方法と同様の方法で測定した値を意味する。
(実施例11)
表5に示すように、ゴム原料1(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP27)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、熱伝導性フィラーとして実施例1で作製したフィラーAを100質量部の割合で混合し、(株)トーシン製ラボニーダミルTDR100−500X3を用いて混練を行い、混練物を得た。
次いで、プレス成形機(テクノサプライ(株)製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの熱伝導性材料を得た。
次いで、得られた熱伝導性材料の熱伝導率を京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定した。結果を表5に示す。
(実施例12〜実施例21)
表5および表6に示すように、ゴム原料として上述したゴム原料1またはゴム原料2(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP123)を使用し、熱伝導性フィラーとして、上述したフィラーA、フィラーBおよびフィラーCから選ばれる一種以上を使用して、表5および表6に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例11と同様にして各熱伝導性材料を得た。
得られた各熱伝導性材料の熱伝導率を実施例11と同様に測定した。結果を表5および表6に示す。
(比較例3〜比較例4)
表6に示すように、フィラーAに代えて比較フィラー1を用い、ゴム原料として上述したゴム原料1またはゴム原料2を使用して、表6に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例11と同様にして比較用熱伝導性材料を得た。
得られた比較用熱伝導性材料の熱伝導率を実施例11と同様に測定した。結果を表6に示す。
(比較例5)
フィラーAを混合しなかった(フィラーを使用しなかった)以外は、実施例11と同様にして比較用熱伝導性材料を得た。
得られた比較用熱伝導性材料の熱伝導率を実施例11と同様に測定した。結果を表6に示す。
(実施例22〜実施例30)
表7に示すように、ゴム原料として上述したゴム原料2(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP123)を使用し、熱伝導性フィラーとして、上述したフィラーD、フィラーEおよびフィラーFから選ばれるいずれか一種を使用して、表7に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例11と同様にして各熱伝導性材料を得た。
得られた各熱伝導性材料の熱伝導率を実施例11と同様に測定した。結果を表7に示す。
(実施例31)
表8に示すように、ゴム原料2(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP123)を100質量部、硫黄(ナカライテクス社製)を1.5質量部、テトラメチルチウラムジスルフィド:TMTD(東京化成工業(株)製)を1.0質量部、2-メルカプトベンゾチアゾール:MBT(ナカライテスク(株)製)を0.5質量部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)製)を5.0質量部、ステアリン酸(ナカライテスク(株)製)を1.0質量部、熱伝導性フィラーとして上述したフィラーGを100質量部の割合で混合し、次いで、プレス成形機(テクノサプライ社製、卓上ホットプレス)を用いて、上記で得た混練物を160℃で加熱プレスして、シート厚み0.5mmの熱伝導性材料を得た。
次いで、得られた熱伝導性材料の熱伝導率を京都電子工業製QTM−500を用いて測定した。結果を表8に示す。
(実施例32〜実施例39)
表8に示すように、ゴム原料として上述したゴム原料2(エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、JSR(株)製、EP123)を使用し、熱伝導性フィラーとして、上述したフィラーG、フィラーHまたはフィラーIを使用して、表8に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例31と同様にして各熱伝導性材料を得た。
得られた各熱伝導性材料の熱伝導率を実施例31と同様に測定した。結果を表8に示す。
(実施例40〜実施例43)
表9に示すように、樹脂原料として、樹脂原料1(高密度ポリエチレン(HDPE)、(株)プライムポリマー製 ハイゼックス6300M(一般配水管、上下水道用)))を用い、樹脂原料100質量部に対し、熱伝導性フィラーとして上述したフィラーFまたはフィラーJを使用し、表9に示す配合になるように各々混合し、(株)トーシン製ラボニーダーミルTDR100−500X3を用いて230℃で混錬を行い、混錬物を得た。
次いで、プレス成形機(テスター産業(株)製、真空プレス成型機SA−401−A)を用いて、上記で得た混練物を210〜230℃で減圧下で溶融プレスして、10cm×5cm、シート厚み0.7mmの熱伝導性材料を得た。得られた熱伝導性材料の熱伝導率を京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定した。結果を表9に示す。
また、プレス成形機(テスター産業(株)製、真空プレス成型機SA−401−A)を用いて、上記で得た混練物を210〜230℃で加熱減圧下で溶融プレスして、7.5cm×7.5cm、シート厚み2mmのシートを作成し、試験片(64mm×13mm、厚み2mm)を切り出し、JIS K 7171に準拠して曲げ強度を測定した。試験結果を表9に示す。
(実施例44〜実施例48)
表10に示すように、樹脂原料2(ポリアミド6(ユニチカ(株)製 ナイロンA1015(低粘度非強度グレード))を使用し、熱伝導性フィラーとして、上述したフィラーF、フィラーHまたはフィラーJを使用して、表10に示す配合になるように各々混合し、(株)トーシン製ラボニーダーミルTDR100−500X3を用いて250℃で混錬を行い、混錬物を得た。
次いで、プレス成形機(テスター産業(株)製、真空プレス成型機SA−401−A)を用いて、上記で得た混練物を220〜250℃で減圧下で溶融プレスして、10cm×5cm、シート厚み0.7mmの熱伝導性材料を得た。得られた熱伝導性材料の熱伝導率を京都電子工業(株)製QTM−500を用いて測定した。結果を表10に示す。
また、プレス成形機(テスター産業(株)製、真空プレス成型機SA−401−A)を用いて、上記で得た混練物を220〜250℃で加熱減圧下で溶融プレスして、7.5cm×7.5cm、シート厚み2mmのシートを作成し、試験片(64mm×13mm、厚み2mm)を切り出し、JIS K 7171に準拠して曲げ強度を測定した。試験結果を表10に示す。
(比較例6〜比較例7)
表10に示すように、フィラーFに代えて比較例2の黒鉛粉末1を用い、樹脂原料として上述した樹脂原料2を使用して、表10に示す配合割合になるように各成分を混合した以外は、実施例44と同様にして比較用熱伝導性材料を得た。
得られた比較用熱伝導性材料の熱伝導率および曲げ強さを実施例44と同様に測定した。結果を表10に示す。
表3および表5〜表10より、実施例11〜実施例49で得られた本発明に係る熱伝導性材料は、石油コークスの700〜2400℃焼成物であって、平均粒子径D50が1〜100μmであり、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が3.36〜3.50Åであり、炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%である熱伝導性フィラーを、ゴムまたは樹脂100質量部に対し50〜450質量部含むことにより、熱伝導性を好適に向上させ得ることが分かる。
一方、表4および表6より、比較例3〜比較例5で得られた熱伝導性材料は、熱伝導性フィラーとして、炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%の範囲外にある比較フィラーを用いているか、フィラー材を含まないものであることから、十分な熱伝導性を発揮し得ないものであることが分かる。
また、表9および表10より、実施例40〜実施例49で得られた本発明に係る熱伝導性材料は、熱伝導性フィラーの充填量が増加しても曲げ強さの低下が抑制されていることが分かる。
一方、表10より、比較例6、比較例7で得られた熱伝導性材料は、熱伝導性フィラーとして、市販の黒鉛粉末1を用いているが、曲げ強さが著しく低下していることが分かる。
本発明によれば、安価でかつ複合材料の強度低下を抑制し得る炭素材の熱伝導性フィラーおよび係る熱伝導性フィラーを含む熱伝導性材料を提供することができる。

Claims (2)

  1. 石油コークスの700〜2400℃焼成物であり、
    平均粒子径が1〜100μm、
    X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)が3.36〜3.50Å、
    炭素原子含有量が88.0〜99.9質量%である
    ことを特徴とする熱伝導性フィラー。
  2. ゴムまたは樹脂と、請求項1記載の熱伝導性フィラーとを含有し、
    前記ゴムまたは樹脂100質量部に対し、請求項1記載の熱伝導性フィラーを50〜450質量部含有する
    ことを特徴とする熱伝導性材料。
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