JP2017538028A - 皮の加工方法 - Google Patents

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Abstract

皮を加工する方法(500)であって、−これを凍結乾燥する前に皮を凍結(530)することと、−皮を凍結乾燥(540)することと、−凍結乾燥された皮に含浸材を塗布(550)することと、を含む、方法。【選択図】図5

Description

本発明は一般に、動物の皮の加工に関する。本発明はさらに、皮の加工方法に関する。
本発明は、皮革産業でとりわけ使用される。
数千年の間、人々は、様々な目的で動物の皮を使用するためにこれを処理してきた。動物の皮をその使用のために処理する最も一般的なプロセスは、皮を皮革へとなめすことである。皮のなめし中に、皮内のタンパク質は、分解されない状態になる。なめし中によく、没食子酸またはカテキン類の加水分解性ポリマーが、なめし物質として使用される。なめし後、プレス、給脂、漂白および乾燥などの多様な二次的処理工程が実行される。
従来型のなめしは、使用可能な皮を提供する立証されたプロセスである。しかしながら、それは時間のかかるプロセスであり、かつ廃水に著しい汚染を生じさせるという欠点を有する。加えて、本プロセスを完全に行うためには大型の設置物が必要である。
英国特許第572367号は、なめした皮およびなめしてない皮への凍結乾燥の使用について記載している。第1に、本文献は、残留水分を除去するために、なめした皮に凍結乾燥を使用することについて記載している。第2に、なめしてない皮への凍結乾燥の使用が、皮を乾燥させるための前処理として本文献に記載されている。これは、従来型のプロセスと比較して、時間の短縮を確保する。本工程後、皮は通常通りなめされる。
米国特許第2438150号は、なめしてない皮への凍結乾燥の効果について記載している。凍結乾燥は、本文献では、従来型のなめしの前および後の両方で使用されている。また、繊維組織への凍結乾燥の効果が議論されている。
国際特許第2011/067780号は、現場での凍結乾燥の使用について記載している。新鮮な動物の皮は、一時的に凍結乾燥機に持ち込まれ、局在的に凍結乾燥される。そうすると、結果として生じた皮は、最終的な皮なめし工場への輸送により適している。より長期間の皮の保存も保証される。
上の文献に記載された方法は、皮を依然として従来型のなめし工程を使用して加工しなければならないという欠点を有する。凍結乾燥は、なめしのための前処理としてすでに発見されているが、従来型のなめし工程は、それでもなお、非局在化された時間のかかる、かつ汚染を生じる方法に従わなければならない。
本発明の実施形態の目的は、皮を加工し、かつ局在的で、時間的に有利であり、かつ環境に優しい方法で使用可能な皮を得ることを可能にする方法を提供することである。上の目的は、本発明による工程によって達成される。
第1の態様では、本発明は、皮、具体的には哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類または魚類などの動物の皮を加工する方法を提供する。本発明による方法は、
−これを凍結乾燥する前に皮を凍結することと、
−皮を凍結乾燥することと、
−凍結乾燥された皮に含浸材を塗布することと、を含む。
第1の態様の実施形態では、本発明は、動物の皮を、長期間に渡って腐敗の兆候を示さず、かつさらなる用途に使用可能であるように加工する方法を提案する。「長期間」とは、皮が数年間腐敗しないことを意味する。「他の用途に使用可能である」という用語は、このように処理された皮が、様々な用途に、例えば靴、衣類品といった対象物、インテリア用途などにさらに使用可能であることを意味する。
本プロセスは、肉および脂肪の無い動物の皮が、まず凍結され、次に凍結乾燥機に持ち込まれ、または凍結乾燥機で凍結され、その後、凍結乾燥が開始される。十分な時間の間、皮は、水分が昇華を介して動物の皮から略完全に除去されるように凍結乾燥される。次に、皮が絶乾される。そうすると、結果として生じた材料が、それが水分を再吸収し得る前に、含浸材と接触状態になる。この含浸材が、凍結乾燥によって得られた間隙を充填する。
迅速かつ効率的な方法で動物の皮を加工するのに特に適していることが、本発明による方法に従う利点である。これは、局在化された方法で行われ得、全ての工程が1つの物理的場所で実行される。さらに、これは環境に優しい方法であり、わずかな廃水しか生成されない。したがって、本プロセスは、多様な場所での使用に適している。動物を屠殺し、または魚を解体する現場では、小型の設置物が、使用可能な皮を時間的に非常に効率よく輸送し得る。この点で本プロセスは、それが多くの異なる場所で使用可能であり、かつ多くの非局在化された工程を1つの現場で実行し得るという点で、従来型のプロセスを超えた利点を有する。
皮を凍結乾燥することによって、乾燥した繊維組織が得られる。皮革を柔軟にするために元の繊維組織が損傷される従来型のなめしとは対照的に、本発明による方法では、凍結乾燥が皮から水分を除去するが、繊維組織は依然として残っている。次に、この繊維組織内の間隙が含浸材で充填または被覆される。
皮の繊維組織は、プロセスパラメータの適した選択によって影響を受け得る。凍結乾燥が、繊維組織への限定的な損傷のみを確保する。凍結乾燥は、これが当てはまらず、繊維組織が損傷を受ける、従来型のなめしと比較して、繊維の完全性を保持することを可能にする。
本発明による凍結乾燥および含浸が、従来型のなめし工程の除去を可能にする。皮の凍結乾燥が従来型のなめし工程に置き換わることは、本発明の実施形態に特有の特徴である。つまり、本発明によれば、安定した腐敗しない製品を得るために、従来型のなめし工程ならびに凍結乾燥を行う必要がない。これについての利点は、2つの要素からなり、第1に、凍結乾燥がなめしよりはるかに時間のかからないこと、および第2に、凍結乾燥の汚染性がはるかに低いことである。
凍結乾燥前の皮の事前の凍結の工程が、凍結乾燥された皮内に存在し得る細孔の大きさを決める。皮が前の工程で凍結されずに直接凍結乾燥された場合、凍結乾燥された皮内に細孔網が生成されない。凍結乾燥前に凍結することによって、細孔または間隙が皮内に生成される。これらは、材料の肥大化、例えば元の厚さの二倍ほどに肥大化することを確保する。急速な凍結および低い温度が、ゆっくりとした凍結および高い温度よりも、小さい細孔を提供する。これは、任意の事前の凍結工程に対するプロセスパラメータを選択することによって、様々な寸法を有する細孔が皮内に生成され得、それが透明性、引っ張り強度、せん断強度および柔軟性などの最終的に処理済みの表皮の物理的特性に影響を与える。形成された細孔の寸法が、どの含浸媒体を使用し得るかも決定する。細孔の形成は、特に伸縮性および柔軟性の増加に起因して、皮の加工性に有益である。事前に凍結されなかった皮は、伸縮性が低く、かつ柔軟性が低い。加えて、凍結乾燥前に凍結された皮は、しわになりにくい。
本発明の実施形態では、皮を、例えばまず、液体窒素に浸漬することによって凍結乾燥し得る。これについての利点は、本工程が容易に実行でき、冷却が低い温度で非常に急速に行われ、それが小さい細孔につながることである。代替的に、処理される皮を、まず冷却室に持ち込む場合がある。形成された細孔の大きさは、皮の種類、冷却室の温度、および皮を冷却する速度に依存するだろう。
本発明の実施形態による方法では、凍結乾燥が、−20℃〜−180℃、例えば−20℃〜−80℃の温度で行われ得る。好ましくは、皮は、凍結乾燥の開始時の皮の温度より少なくとも10℃冷たい温度、例えば急速冷凍された皮の温度よりも少なくとも10℃冷たい温度まで凍結乾燥される。
凍結乾燥は、低圧力で行われる場合があり、低圧力は好ましくは15ミリバール未満である。圧力を下げれば下げるほど、凍結乾燥工程中の温度は低くなるだろう。
したがって、凍結乾燥は、皮内の水分の残留率を凍結乾燥前の皮の総重量の8%未満の状態にするのに十分な時間間隔の間に実行される。
凍結乾燥の持続時間を、低圧力を下げることによって、かつ/または温度を下げることによって低減し得る。
含浸材を、任意の適した方法で凍結乾燥された皮に塗布し得る。実施例は、圧力下で塗布可能な、浴槽内での含浸材の塗布(550)、および/または噴霧による皮への含浸材の塗布(550)、および/または擦り込みによる皮への含浸材の塗布(550)、および/または皮への泡塗布を介した含浸材の塗布(550)である。一部の含浸材は、温度工程を介してより容易に皮に塗布可能であり、例えば油およびワックスは、予熱された皮に塗布可能であり、それによってそれらは、より流動的で粘性があり、その結果皮により容易に引き込み可能であり、それらは再設定され、またはより粘性が低くなる。
含浸材の塗布後に、含浸された皮をプレスし得る。第1に、これは含浸材を皮にプレスし、第2に、任意の残りの含浸材を除去する。
本発明の実施形態によれば、含浸材は、凍結乾燥の遅くとも2時間以内、好ましくは遅くとも30分以内、好ましくは直後に塗布される。凍結乾燥の後に含浸工程がすぐに続くほど、凍結乾燥された皮が水分を再吸収する量が少なくなる。特に有益な実施形態では、凍結乾燥および含浸が同じ装置内で行われ、その結果これらの工程が互いにすぐに続くことができる。これは、含浸工程を、圧力下で塗布可能な、同じ部屋で実行し得るという二次的な利点を有する。それは、任意の予備的な凍結工程を同じ部屋で実行する場合によりいっそう有益である。そうすると、凍結が行われる冷却室と凍結乾燥が行われる部屋との間の輸送が必要でなく、かつ急速冷凍された皮は、結果として、凍結乾燥の開始時の最も低い温度を有する。本発明は、凍結乾燥の工程および含浸の工程を好ましくは同じ部屋内で実行し得る装置も提供する。
本発明の実施形態では、含浸材が、下記の成分、すなわち、アクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン材料、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、合成樹脂、デンプン誘導体、油、天然樹脂、および天然ワックスのうちの1つ以上を含み得る。適した含浸材の選択は、特に提案された使用法によって決定される。例えば追加のシリコーンを加えることによって、より良好な結合を得ることができ、かつ端材はより疎水性が高い。着色剤、芳香剤および/またはアクリレート分散剤などの機能剤を、含浸材に加え得る。
本発明の実施形態では、皮を、凍結乾燥前および/または冷却前に型締めし得る。これは、凍結乾燥に起因した収縮の抑制を助ける。
本発明の実施形態による方法は、多様な種類の皮に、例えば200〜1000ミクロンの厚さを有する皮に使用し得る。
本発明の実施形態では、皮を、冷却および/または型締めする前に、浸漬し得る。これは、例えば皮の脱スケール後にも当てはまり得る。浸漬中に、皮の繊維が開く(すなわち繊維間の空間が膨張する)。適した浸漬材料を使用することによって、より厚い皮を得る。皮は、例えば浸漬前の皮の厚さよりも3、4または5倍厚い厚さまで膨張し得る。様々な加工工程を実行した後、これが、より柔らかく、よりふわふわした皮(例えばスエード)を提供する。すなわち、凍結乾燥時に、皮の厚さが保持されることが、本発明の実施形態の利点である。可能な浸漬材料の例は、脂肪アルコールエトキシレートおよび脂肪アルコールエーテル硫酸塩VAEである。
第2の態様では、本発明は、第1の態様の実施形態による方法の使用によって得られた加工済み皮を提供する。
本発明の特定の好ましい態様が、添付の独立および従属請求項に要約される。従属請求項の特徴は、独立請求項の特徴と、特許請求の範囲で示され、かつ単に明示的に提示されるだけでない、さらなる従属請求項の特徴とが組み合わされ得る。
本発明および先行技術に関して達成された利点を要約するために、本発明の一定の目的および利点を上に記載する。しかしながら、これらの目的または利点の全てが本発明の各特定の実施形態によって得られることは必ずしも必要でないことが理解されるべきである。したがって例えば、専門家は、本発明が、本明細書で概説または示唆され得る他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本明細書で概説された利点の集合のうちの1つの利点を達成または最適化する方法で組み込まれ、または具現化され得ることを発見し得る。
本発明の上および他の態様は、下に記載された実施形態を参照して明確になり、かつ説明されるだろう。
本発明を、これより、添付の図を参照した実施例としてさらに記載する。
本発明の実施形態による凍結乾燥されたサケの皮の断面である。サケの皮を、まず−20℃まで冷却し、次に実施例1に記載されたように−40℃のより低い温度で凍結乾燥する。含浸媒体によるその後の含浸は実行されなかった。写真は、魚の真皮(1)および表皮(2)を明確に示している。真皮および表皮の孔(3)を有する海綿状構造が見える。 図1に示した凍結乾燥されたサケの皮の断面である。サケの皮を続いて、実施例1による含浸媒体に含浸させた。写真は、魚の真皮(1)および表皮(2)をわずかにより不明確に示している。海綿状構造の孔が完全に充填されたことも分かる。 本発明の実施形態により凍結され、次に凍結乾燥された、サケの皮の断面である。このサケの皮を続いて、実施例2による含浸媒体に含浸させた。写真は、魚の真皮(1)および表皮(2)を明確に示している。海綿状構造(3)の孔が無く、かつ図1よりも開いていることも分かる。 サケの皮の断面である。サケの皮を型締めし、かつ−40℃で直接凍結乾燥する。−20℃までの事前の冷却は行われなかった。写真上では、魚の真皮(1)および表皮(2)が存在することが明らかである。真皮および表皮の孔(3)を有する海綿状構造は存在しないことも明らかである。 本発明の実施形態による皮の処理方法の多様で可能な工程を示す。 本発明の実施形態による凍結乾燥されたサケの皮の断面である。このサケの皮を、まず−20℃まで冷却し、次に実施例1に記載のように−40℃のより低い温度で凍結乾燥する。含浸媒体によるその後の含浸はまた実行されなかった。写真は、魚の真皮(1)および表皮(2)を明確に示している。さらに、真皮および表皮の孔(3)を有する海綿状構造が見える。
図は、単なる図表であり、限定するものではない。図内の一部の寸法を、図示の目的のために誇張し、縮尺通りに示さない場合がある。寸法および関連する寸法は、本発明の実際の実施形態に必ずしも対応するものではない。
特許請求の範囲における参照番号は、保護の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
異なる図における同じ参照番号は、同じまたはそれに相当する要素のことを指す。
本発明は、特定の実施形態に関して、かつ一定の図を参照して記載され得るが、本発明はこれらに限定されるものではなく、単に特許請求の範囲によってのみ限定される。
本明細書および特許請求の範囲における、第1の、第2の、および同様の用語は、それに相当する要素を区別するために使用されるものであり、かついずれの時間または空間における、または優先した、もしくは任意の他の方法での、順序を記載するものでは必ずしもない。一定の環境下でこのように使用された用語は、置き換え可能であり、かつ本明細書に記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載または示されたものとは異なる順序での実行に適していることが理解されるべきである。
加えて、本明細書および特許請求の範囲における、上の、底の、上の、下の、および同様の記載は、記載の目的のために使用され、かつ必ずしも関連する位置を記載するものではない。一定の環境下で本明細書において使用される用語は、相互に置き換え可能であり、かつ本明細書で記載された本発明の実施形態は、本明細書に記載または示されたもの以外の配向での実行にも適していることが理解されなければならない。
特許請求の範囲で使用される「含む(comprises)」という用語は、その後に記載された手段に限定するものとして解釈されるものではなく、この用語は、他の要素または工程を除外するものではないことに注意しなければならない。したがって、それは、参照された、かかる特徴、値、工程または構成要素の存在を特定するものとして解釈されるべきではあるが、1つ以上の他の特徴、値、工程または構成要素、またはそれらの集団の存在または追加を除外するものではない。したがって、「手段AおよびBを含む装置」という表現の範囲は、単に構成要素AおよびBからなる装置に限定されるべきではない。それは、本発明に関して、AおよびBが本装置の単なる関連する構成要素であるという意味である。
「一実施形態」または「実施形態」に対する本明細書の全体に渡る参照は、本実施形態に関連して記載された、特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一実施形態に含有されることを意味する。したがって、本明細書の全体に渡る多様な点での「実施形態では」または「一実施形態では」という用語の使用は、必ずしも常に同じ実施形態のことを指す必要はないが、そうであってもよい。また、1つ以上の実施形態では、本開示に基づく平均的な専門家であれば明らかなように、特定の特徴、構造または特性を、任意の適した方法で互いに組み合わせることができる。
同様に、本発明の例示的な実施形態の記載では、本発明の異なる特徴が、本開示の効率化および本発明の多様な態様のうちの1つ以上の理解を助ける目的で、単一の実施形態、図またはそれらの記載において分類されるときがあることを理解しなければならない。本開示の方法は、本発明が各請求項で明示的に述べられた以上の特徴を必要とする意図を反映させるものとして解釈されるべきではない。また、下記の請求項が示す場合、本発明の態様は、任意の単一の、前に開示された実施形態のうちの全てよりも少ない特徴にある。したがって、発明を実施するための形態に続く特許請求の範囲は、これにより、本発明の個々の実施形態としての各独立請求項を含めて、この発明を実施するための形態に明示的に含まれる。
また、専門家であれば理解し得るように、本明細書に記載された一部の実施形態は、他の実施形態に含有された、一部であるが他でもない特徴を含むが、異なる実施形態の特徴の組み合わせが、本発明の範囲内にあるものとして考慮され、かつ異なる実施形態を形成する。例えば、下記の特許請求の範囲では、記載された実施形態のいずれも、任意の組み合わせで使用し得る。
本明細書で提供された記載では、多数の特定の詳細が強調される。本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしに形成され得ることも理解されるべきである。他の事例では、記載を明確にするために、よく知られた方法、構造および技術は、詳細には示されない。
定義
本発明の文脈における動物の皮は、動物の真皮および表皮(可能な毛を含む)である。肉および/または脂肪の残留物は存在しない。動物の皮は、哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類または魚類に由来し得る。
本発明の文脈における動物の皮のなめしは、動物の皮内のタンパク質が加水分解性ポリマーの塗布によって分解されない状態になる、従来型のプロセスのことを意味する。
乾燥される物質内に存在する流体が、低い温度で氷結晶に変換され、次に非常に乾いた空気中で昇華する。本発明の実施形態では、氷結晶は、皮の事前の凍結によってすでに形成されている。下記の工程では、凍結乾燥中に、形成された氷結晶が昇華される。本発明の文脈における凍結乾燥は、動物の皮を、皮が絶乾されるまで凍結乾燥機内で凍結乾燥させるプロセスのことを意味する。本発明の文脈における絶乾は、動物の皮が総重量の0〜8%の水分の残留率を有するのみであることを意味する。
本発明の文脈における含浸は、別の物質、本発明の文脈では含浸材による、材料、本発明の文脈では凍結乾燥された皮の浸透を意味する。含浸材は、例えば、本発明がこれに限定されるものではないが、例えばアクリレート、ポリウレタンまたはシリコーンなどの樹脂であり得る。硬化特性を有する粘性の低い流体が、含浸材として考えられ得る。典型的に、本発明の文脈では、この含浸を、凍結乾燥した皮を含浸材の分散剤、乳剤または溶液に浸漬させることによって行い得る。
発明の説明
第1の態様では、本発明は、長期間腐敗の兆候を示さず、かつさらなる用途に使用可能な方法で動物の皮を加工する方法を提供する。これらの特徴を達成するために、従来型のなめしなどの他の工程は必要とされない。
動物の皮は、例えば哺乳動物、鳥類、爬虫類、両生類または魚類に由来し得る。本発明の方法によれば、好ましくは毛の無い皮が使用される。好ましくは、皮がより薄いため、魚類、爬虫類または鳥類に由来する皮が使用される。より薄い皮は、より短い凍結乾燥時間を必要とする。
加工済みの動物の皮を得るために、まず第1に、動物の皮を凍結530する。目的は、できる限り迅速に凍結530の工程を行うことであり、その結果皮に含まれる水分から形成された氷結晶は限りなく小さい。動物の皮の凍結530の速度は、皮の厚さ、動物の皮の質量、および冷凍機の容量に依存する。
この事前の冷却工程の後に、凍結された皮を凍結乾燥540し、前に形成された結晶を昇華させる。このような凍結および凍結乾燥は、真皮および表皮の網内に形成された孔が限りなく小さく、損傷を低減することを確保する。このように、動物の皮が、できる限り柔軟に保たれる。
上に記載された方法で凍結乾燥540の実行を成功させるために、下記の工程を実行することができる。動物の皮を、好ましくは凍結乾燥機に持ち込む。その瞬間の皮は、−1〜−50℃の温度を有する。好ましくは、それらを凍結乾燥機に持ち込んだ瞬間、皮は−15〜−30℃の温度を有する。凍結乾燥機では、動物の皮を、開始温度よりも少なくとも10℃冷たく、好ましくは少なくとも20℃冷たい温度でさらに加工する。このように、凍結乾燥機内の試料を、−20〜−180℃、例えば−20〜−70℃などの温度、好ましくは−30〜−50℃の温度までさらに冷却する。できる限り多くの水分を動物の皮から抽出し、かつ動物の皮を絶乾させることを確保するために、低圧力、例えば真空を、凍結乾燥機内で適用する。この低圧力は、完全な経過時間全体に渡って15ミリバール未満である。このように、水分を、経過時間中に動物の皮から抽出する。
動物の皮の凍結乾燥540の速度は、皮の厚さ、動物の皮の質量、および凍結乾燥機の容量に依存する。本発明の有利な実施形態では、好ましくは、200〜1000ミクロンの厚さを有する皮を使用する。凍結乾燥は、好ましくは、0(含まれない)〜22時間、例えば1分〜8時間の期間行われる場合があり、かつ好ましくは4時間以内に完了される。単一の皮では、凍結乾燥は、例えば14時間行われ得る。二重の皮では、すなわち互いに対してその内側を有する2つの皮が配置された場合(例えば外側にうろこを持った魚では)、これは例えば22時間行われ得る。
動物の皮の凍結乾燥540は、皮を絶乾させるまで行われる。これは、凍結乾燥された皮内の残留水分の含有量が0〜8重量%であることを意味する。好ましくは、残留水分の含有量が、0〜2重量%である。
凍結乾燥を停止し得る時間は、凍結乾燥機内の、例えばその受容器内の水分を測定し、かつこの水分が設定値まで落ちたときに本プロセスを停止させることによって自動的に決定され得る。代替的に、ユーザは、例えば動物の皮の種類、皮の重量および/または凍結乾燥による他の経験に基づいて、凍結乾燥の持続時間に対する時間を予め設定し得る。
凍結乾燥540中に、収縮が動物の皮内に起こり得る。多様な技術でこれを抑制し得る。動物の皮を凍結乾燥機に持ち込む前に、それは、例えば液体窒素に浸漬させることによって冷却530される。適用可能である場合、動物の皮を、凍結乾燥中に型締め520する。好ましくは、後者の技術は必要でない。
凍結乾燥中、凍結乾燥機内の動物の皮は、好ましくは、互いに物理的に接触しない。これは、皮を互いから分離して吊るすことによって、または動物の皮を置くことが可能な場所を提供することによって達成され得る。しかしながら、皮を一対で凍結乾燥機に導入した場合、好ましくは、その内側(魚に対して、うろこのない側面)は、互いに面している。
サケの皮の凍結および次の凍結乾燥の結果を図1に示す。図示されたサケの皮を、まず−20℃まで冷却し、次に実施例1の下に記載したように−40℃の低い温度で凍結乾燥する。含浸媒体によるその後の含浸は実行されなかった。写真は、魚の真皮(1)および表皮(2)を明確に示している。さらに、真皮および表皮の孔(3)を有する海綿状構造が見え、孔は、事前の凍結および凍結乾燥によって形成される。
本発明の実施形態によれば、動物の皮を、凍結乾燥540後の短時間以内に、例えば2時間以内に含浸させる。含浸550は、凍結乾燥された動物の皮を含浸材に浸漬させることによって行われ得、凍結乾燥された皮が含浸材を吸収する。この吸収は、凍結乾燥によって動物の皮内に生成された多様な間隙を充填させることによって、一部の動物の皮の事例では、動物の皮の含浸材との相互作用によって生じ得る。より良好な含浸550を達成するために、圧力、例えば1バール〜10バール、例えば3バール〜6バールの圧力を適用し得、含浸媒体を皮にプレスさせる。皮が含浸材で飽和状態になった後、これを、好ましくはさらに含浸させない。皮が飽和状態になった後に含浸を行った場合、加工済みの皮は強度を失う場合がある。動物の皮を含浸浴槽内に浸漬させた後、動物の皮を、例えば残りの含浸材を除去するために2つのローラ間を通過させることによってプレス560し得る。浸漬とプレスとの組み合わせは、フーラード圧延とも称される。このプレス工程560中、残りの含浸材が除去されるだけでなく、含浸材の一部を動物の皮にプレスさせる。皮を、脂肪性の物質により油添し得、その後、脂肪が吸収され、かつ皮へのプレスにも適用可能である。
含浸550の他の適した技術、例えば含浸材の噴霧、動物の皮への層としての含浸材の擦り込み、または動物の皮への泡塗布もしくはプラズマ技術を介した含浸材の塗布を、本発明により適用し得る。これらの方法の各々で、適した手段(適した含浸材および技術)をとり、その結果凍結乾燥540によって形成された間隙を含浸材によって十分に充填させることが重要である。
本発明の実施形態によれば、上に述べられた含浸プロセスの組み合わせを使用して含浸材を凍結乾燥された皮に持ち込む場合がある。
本発明の実施形態による適した含浸材は、特に、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン材料、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、合成樹脂、デンプン誘導体、油、天然樹脂、天然ワックスである。また、着色剤および芳香剤など機能剤を、これらの含浸材に加え得る。
具体的には例えば、アクリレート分散剤を使用し得る。これは、それが凍結乾燥された動物の皮によって容易に吸収されるという利点を有する。そうすると、このように処理された皮は、さらなる加工のための十分な強度特性、高い紫外線耐性、および高い耐水性も示す。
本発明の実施形態によれば、凍結乾燥540後の短時間以内に、動物の皮を含浸させる。凍結乾燥された動物の皮540が、水分を有する、または水分を有しない環境下に過度に長く残されると、常に周囲の水分を再吸収し、かつ時間が経った後により高い水分含有量を有する。結果として、内側の全ての間隙を被覆または充填させるように動物の皮550を含浸させることがいっそう困難になる。本発明の好ましい形態では、凍結乾燥された動物の皮を、それらが絶乾されたとき、気象条件に応じて、好ましくは凍結乾燥後遅くとも2時間以内に、含浸550させる。好ましくは、皮を、凍結乾燥後30分以内に含浸させる。
含浸550は、第1に、動物の皮内の間隙が充填されるため、動物の皮が一定の硬さを有することを確保する。また、凍結乾燥された動物の皮540の弾性および柔軟性が含浸550によって有意に改善され得、それが動物の皮の有用な対象物へのさらなる加工を容易にする。しかしなにより、本方法が、非常に短い経過事案を有し、局在的に行われ得、かつ生態学的に廃棄物を生じないことが、本発明による凍結乾燥された動物の皮の含浸の重要な利点である。従来型のなめし工程を実行する必要がない。本方法を用いて、なめした皮と少なくとも同じ特性を有する製品が得られる。しかしながら、加工済みの皮は、より操作しやすく、亀裂により強く、より耐性がある。
本発明によれば、上の工程を受けた後、動物の皮は、柔軟で、強く、亀裂に耐性があり、かつ腐敗しない。これは、動物の皮が完全に加工可能であり、かつこれに限定されるものではないが、例えば道具、インテリア用途、衣類および自動車産業などのさらなる用途に使用可能であることを意味する。
得られた皮を後にまた、例えば得られた皮を再湿潤させることによって形成し得ることは、利点である。得られた皮を、所望の下地に型締めまたはプレスし得ることは、利点である。例えば、自転車のサドルの周りに、または靴の靴型の周りに、得られた皮を型締めすることが可能である。皮を型締めすることによって、所望の形態を得ることができる。この皮の柔軟性は、本発明の方法により加工されたために得られるものであり、それによってより厚く、柔軟になり、かつより伸縮性を有する。型締めされた皮を、アクリレートまたはシリコーンを用いて下地に固定することができる。
本発明の実施形態による処理済みの動物の皮は、材料を損傷させる衝撃力などのひどい汚染を生じる環境因子と接触しないという条件で、例えば腐敗および色抜けのいずれの発生もなく、数年に渡って使用時の機能を満たすことができる。
本発明を、これより、それに限定することなく、下記の実施例を参照してさらに説明する。
第1の実施例は、魚の皮、より具体的にはサケの皮の加工に関する。加工済みのサケの皮を得る方法を、加工後の材料の特定の特性と共に下に記載する。
本発明によりサケの皮を加工するために、まずサケを解体する。魚の皮のうち、これは真皮および表皮のみを残す。これは、うろこを含むが、脂肪および肉は無い、サケの皮である。本事例でのサケの皮は、19グラムの重量および350〜500ミクロンの厚さを有した。このサケの皮を、Edward Modulyo Pirani 10の凍結乾燥機に導入した。事前の冷却によって、サケの皮は、凍結乾燥機への導入時に−20℃の温度を有した。サケの皮を、−40℃の温度で凍結乾燥540した。これは、4時間の間に行われ、全体の時間に適用された低圧力は、10ミリバールだった。本プロセスの最後に、サケを、1%の残留水分の含有量を有して絶乾させた。凍結乾燥後のサケの皮は、9グラムの重量だった。
凍結乾燥540の直後に、このように処理されたサケの皮を、完全な浴槽処理を介して含浸させた。サケの皮を、本特定の実施例では、60部のAcrilem374、20部のキシレン、および20部の水からなる、アクリレート分散剤を用いて完全な浴槽に導入した。
サケの皮を、1時間完全な浴槽に導入した。したがって、凍結乾燥によって残された間隙が充填され、かつ表面は処理済みの態様を想定した。処理済みのサケの皮の最終的な重量は12グラムだった。このように処理され、得られたサケの皮は、さらなる用途に使用可能である。かかる処理済みのサケの皮の断面を図2に示す。図1の最初に凍結乾燥されたサケの皮540に関して、海綿状構造がアクリレートで完全に充填される。
こうして得られたサケの皮を、多様な方法で試験した。ASTM D5035に対する最大引っ張り強度を決定した。魚の長さの方向で、512Nの平均最大力を測定した。次に、結果として生じたサケの皮のせん断強度を測定した。これを、EN388−6.3を使用して決定した。最大平均せん断強度の山は、24.6Nだった。次に、マーチンデール法のASTM D4996−1に従って、摩耗を測定した。全ての試料に結果として生じたサケの皮は、100,000周期に耐えた。サケの皮に適用された最後の強度試験は、耐貫通性であった。皮を、EN863に対して試験した。平均耐貫通性は48Nであった。
次に、結果として生じたサケの皮の吸収容量を決定した。これを、DIN53923に対して行った。試料は48.5%の吸水を示し、これはアクリレートによる充填にも関わらず、比較的高いものである。
第2の実施例は、魚の皮、より具体的にはサケの皮の加工に関する。加工済みのサケの皮を得る方法を、加工後の材料の特定の特性と共に、下にさらに記載する。
本発明によるサケの皮を加工するために、まずサケを解体する。魚の皮のうち、これは真皮および表皮のみを残す。これは、脂肪および肉の無い、うろこを含むサケの皮である。サケの皮は、50グラムの重量(サケの皮片の大きさによって決定される)および350〜500ミクロンの厚さを有した。このサケの皮を、凍結し、かつEdward Modulyo Pirani 10の凍結乾燥機に導入した。凍結乾燥機への導入時に、サケの皮は−30℃の温度を有した。サケの皮を、−50℃の温度で凍結乾燥540した。これは、3時間の間に行われ、全体の経過時間中に適用された低圧力は、9ミリバールだった。本プロセスの最後に、サケの皮を、1%の残留水分の含有量を有して絶乾させた。凍結乾燥540後、サケの皮は、半分よりわずかに低い、19グラムの重量だった。
凍結乾燥540の直後に、このように処理済みのサケの皮を、完全な浴槽処理によって含浸させた。サケの皮を、パラフィンオイル、ワセリン、蜜蝋、およびヤシ蝋に基づく市販の皮革加工製品と共に完全な浴槽に導入した。
サケの皮を、1時間完全な浴槽に導入した。凍結乾燥によって残された間隙を充填させ、表面が処理済みの態様を想定した。処理済みのサケの皮の最終重量は、19グラムだった。このように得られた処理済みのサケの皮は、さらなる用途に使用可能である。処理済みのサケの皮を通した断面を図3に示す。図1の最初の凍結乾燥されたサケの皮に関して、海綿状構造が保持される。これは、密閉被覆を形成しない、ワックス掛けのためである。得られた魚の皮は、実施例1における皮より、はるかに柔軟であり、かつ柔らかい触り心地である。
比較例
本比較例で記載されたサケの皮Aは、凍結乾燥前に冷却されない比較例に対して作製されたサケの皮である。このために、まずサケを解体する。これは魚の皮の真皮および表皮のみを残した。これは、脂肪および肉の無い、うろこを含むサケの皮である。本事例では、サケの皮は、30グラムの重量(皮の大きさによって決定された重量)および350〜500ミクロンの厚さを有した。サケの皮を、Edward Modulyo Pirani 10の凍結乾燥機に導入した。凍結乾燥機への導入時に、サケの皮は、20℃の温度を有した。このサケの皮は、事前に冷却されなかった。サケの皮を、−40℃の温度で凍結乾燥した。これは4時間行われ、完全な経過時間中に適用された低圧力は、10ミリバールだった。本プロセスの最後に、サケの皮を、1%の残留水分の含有量を有して絶乾させた。凍結乾燥後、サケの皮は、まだ15グラムの重量であり、これは元の重量の半分だった。サケの皮Aの断面を図4に示す。
比較例では、サケの皮Bを、サケの皮Bを凍結乾燥機に置く前に、このサケの皮をまず本発明の実施形態により−20℃の温度まで冷却させたことを除いて、上に記載されるものと同じ手順で作製した。サケの皮Bの断面を図6に見ることができる。
サケの皮AとBとの間には驚くべき差があった。サケの皮Aは、サケの皮Bよりはるかに硬く、粗かった。サケの皮Bは、いっそう多くの所望の柔軟性を有していた。
結果として生じた含浸されないサケの皮を、互いに関してさらに試験した。最大引っ張り強度を、ASTM D5035を介して決定した。魚の長さの方向では、2つの方法に関してかなりの差があった。サケの皮Aの長さの方向では、平均最大力が604Nである。サケの皮Bでは、平均最大力が348Nだった。これは、サケの皮Aが本発明によるサケの皮Bよりもわずかに硬かった(変形がより困難である)ことを示している。次に、2つのサケの皮のせん断強度を、EN388−6.3を用いて決定した。サケの皮Aの平均最大せん断強度は20Nであり、サケの皮Bのそれは28Nであった。つまり、サケの皮Aは、サケの皮Bよりも粗く、より容易に亀裂するだろう。両試験は、サケの皮Aがサケの皮Bよりも硬く、より脆弱であり、その結果取り扱いおよび加工がより困難だったことを示している。皮を凍結乾燥前に凍結する、本発明の実施形態による方法を使用することによって、皮は、さらなる加工により適したものになった。含浸媒体を皮に加えることによって、皮の一定の物理的特性が、所望の方法(しかしこれは、比較例の試験に含まれなかった)においてさらに影響を受ける可能性がある。
サケの皮の柔軟性を、ISO7854を介して試験した。100,000回転をCrumpleflex上で走行させ、態様の喪失を測定した。サケの皮Bのみが、亀裂またはしわが生じることなく、わずかに態様の喪失を有したことは、試験後に明らかだった。対照的に、サケの皮Aは、より大きい態様の喪失を有し、永久的なしわが明確に見られ、亀裂が生じた。したがって、2つの方法を介して得られたサケの皮間には明確な差がある。
図5は、本発明の実施形態による皮の処理方法の多様で可能な工程を示す。必要な工程は、皮の凍結乾燥(540)および含浸材の凍結乾燥された皮への塗布(550)である。これらの工程を、皮を型締め(520)する工程および皮を冷却(530)する工程によって進め得る。含浸材の塗布(550)の後、皮をプレス(560)する工程が続く場合がある。本工程では、含浸材を皮にプレスし、含浸材の残りの量を除去する。
本発明によれば、凍結乾燥が従来型のなめし工程に対する代替として使用され、かつ従来型のなめし工程に加えた追加の工程として使用されないことは、上の記載から明らかである。凍結乾燥および従来型のなめし工程の両方ともが本発明以前にすでに知られているが、発明者が発見した限りにおいて、良好な特性(保存性、強度)を有する加工済みの動物の皮を得るためには凍結乾燥工程のみが必要であり、かつ従来型のなめし工程が次に必要でないことを見出した者はこれまでいなかった。
上の記載は、本発明の一定の実施形態の詳細を提供する。しかしながら、上の詳細が本明細書にどのように登場しようとも、本発明を多様な方法で使用し得ることは明らかであろう。本発明の一定の特徴および態様についての記載における一定の専門用語の使用が、本明細書中の専門用語を、本専門用語が関連する本発明の特性または態様についての特定の特徴に限定されるものとして再定義することを示唆するものとみなしてはならないことに注意しなければならない。

Claims (16)

  1. 皮を加工する方法(500)であって、
    −これを凍結乾燥する前に前記皮を凍結(530)することと、
    −前記皮を凍結乾燥(540)することと、
    −前記凍結乾燥された皮に含浸材を塗布(550)することと、を含む、方法(500)。
  2. 前記凍結乾燥(540)が、−20℃〜−180℃の温度で行われる、請求項1に記載の方法(500)。
  3. 前記皮が、液体窒素に浸漬されることによって冷却(530)される、請求項1または2に記載の方法(500)。
  4. 前記皮が、凍結乾燥の開始時の前記皮の前記温度より少なくとも10℃冷たい温度で凍結乾燥(540)される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法(500)。
  5. 前記凍結乾燥(540)が、低圧力で行われ、前記低圧力が、好ましくは15ミリバール未満である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法(500)。
  6. 前記凍結乾燥(540)が、前記皮の水分の残留率が凍結乾燥前の前記皮の総重量の8%未満になるまで行われる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法(500)。
  7. 前記含浸材が、圧力下で塗布可能である、浴槽内で塗布(500)され、かつ/または前記含浸材が、前記皮への噴霧によって塗布(550)され、かつ/または前記含浸材が前記皮への擦り込みによって塗布(550)され、かつ/または前記含浸材が、前記皮への泡塗布を介して塗布(550)される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法(500)。
  8. 前記含浸材の塗布後、前記含浸された皮がプレス(560)される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法(500)。
  9. 前記凍結乾燥(540)の持続時間が、前記低圧力を下げることによって、または前記冷却を加速させることによって低減される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法(500)。
  10. 前記含浸材が、凍結乾燥(550)の遅くとも2時間以内、好ましくは遅くとも30分以内、好ましくは直後に塗布される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法(500)。
  11. 前記皮が、凍結乾燥前に型締めされる、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法(500)。
  12. 前記含浸材が、下記の成分、すなわち、アクリレート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン材料、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、合成樹脂、デンプン誘導体、油、天然樹脂、天然ワックスのうちの1つ以上を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法(500)。
  13. 着色剤、芳香剤および/またはアクリレート分散剤などの機能剤が、前記含浸材に加えられる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法(500)。
  14. 200〜1000ミクロンの厚さを有する皮に適用される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法(500)。
  15. 前記皮が、凍結(530)される前に浸漬(510)される、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法(500)。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法を使用して加工された皮。
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