一貫している限り、本明細書に詳述されている態様のいずれかを本明細書に詳述されている他の態様のいずれかと共に使用することができる。
本開示によれば、試料トレーおよび蓋部材を備える試料試験装置が提供される。試料トレーは平面を画定し、かつ平面に対して窪んだ複数のウェルを含む。蓋部材は、試料トレーの平面に対して密閉されるように構成された接着剤層、接着剤層の周りに配置された通気性フィルム層、および通気性フィルム層の周りに配置されたバッキング層を含む。
いくつかの態様では、試料トレーは浸透性かつ透過性の非毒性材料で形成されている。例えば、試料トレーはスチレンブタジエンコポリマーおよび汎用ポリスチレンの混合物で形成されていてもよい。
本出願の目的では、「通気性」および「浸透性」という用語は、気体および蒸気を本明細書に開示されている障壁に透過させる能力を意味する。
いくつかの態様では、接着剤層は浸透性かつ透過性であり、試料トレーの平面に対して加熱密封することができる材料で形成されている。例えば、接着剤層はエチレン酢酸ビニルまたは変性エチレン酢酸ビニルで形成されていてもよい。
いくつかの態様では、接着剤層は複数の穿孔を含む。各穿孔は、接着剤層がウェルのいずれの部分の上にも延在しないように、試料トレー内に画定されたウェルの1つに一致し、かつそれと位置合わせするように配置されている。
いくつかの態様では、通気性フィルム層は浸透性かつ好ましくは透過性の材料で形成されている。例えば、通気性フィルム層は熱可塑性コポリエステル系エラストマーで形成されていてもよい。
いくつかの態様では、バッキング層は浸透性かつ絶縁性であり、接着剤なしで通気性フィルム層に結合することができる紙を含む紙バッキング層である。例えば、バッキング層はクラフト紙、クレーコート紙またはオフセット紙で形成されていてもよい。
いくつかの態様では、バッキング層は、通気性フィルム層から除去可能、例えば剥離可能な剥離ライナーとして構成されている。
いくつかの態様では、剥離ライナーは紙層およびシリコーン層を含む。剥離ライナーはポリエステル層をさらに含んでいてもよい。
いくつかの態様では、剥離ライナーの除去を容易にするために、切り込みが試料トレーを貫通し、かつ蓋部材を部分的に貫通して延在している。さらに、切り込みの片側に試料トレーの一部に相互接続するための少なくとも1つの接続部材が設けられていてもよい。少なくとも1つの接続部材は、例えば剥離ライナーの剥離を開始してすぐに剥離ライナーの除去を可能にするために破壊可能であってもよい。
いくつかの態様では、複数のウェルは第1のセットのウェルおよび第2のセットのウェルを含む。いくつかの態様では、第3のセットのウェルが設けられている。各セットのウェルは異なる構成、例えば、形状、体積などを画定している。
いくつかの態様では、最初に蓋部材を試料トレーの第1の周側面、第2の周側面および下端の周りで試料トレーに対して密閉して小袋を画定する。試料トレーの開放した上端は、液体試料の小袋内への導入を可能にするように構成されている。蓋部材は、接着剤層を平面に対して加熱密閉し、それにより、その中に液体試料の一部を含むウェルのそれぞれを密閉することにより試料トレーの周りで密閉されるようにさらに構成されていてもよい。
いくつかの態様では、蓋部材を試料トレーの平面の外周の周り全体で試料トレーに対して密閉してその間に小袋を画定する。そのような態様では、試料トレーは、液体試料の小袋内への導入を可能にするように構成されたそこを通って延在するスリットを画定している。
いくつかの態様では、試料トレーは、試料トレーに構造的支持を与えるように構成された少なくとも1つの補強部材を備える。
いくつかの態様では、試料トレーは、試料トレーで蓋部材を密閉してすぐに隣接するウェルの少なくとも1つへの気泡の捕捉を容易にするために隣接するウェルを流体接続する少なくとも1つのブリッジを画定している。
本開示に従って提供される別の試料試験装置は、試料トレーおよび蓋部材を備える。試料トレーは平面を画定し、かつ平面に対して窪んだ複数のウェルを含む。蓋部材は、複数のウェルのそれぞれを密閉するために試料トレーの平面に対して密閉されるように構成されている。試料トレーと蓋部材との間に位置する挿入物は、ウェルの少なくとも1つの中に気泡を捕捉するように構成されている。
いくつかの態様では、挿入物は、液体試料と接触してすぐに溶解するように構成された溶解性フィルムを含む。溶解性フィルムは少なくとも1つのウェルを画定している。溶解性フィルムの少なくとも1つのウェルは、試料トレーの対応するウェル内に位置するように構成されている。より具体的には、溶解性フィルムの少なくとも1つのウェルは試料トレーの対応するウェルと比較して小さい深さを画定してその間に空洞部を画定してもよい。さらに、溶解性フィルムはポリビニルアルコールで形成されていてもよい。
いくつかの態様では、挿入物は複数の切り抜きを画定するプレートを含む。各切り抜きは、対応するウェルの周りに位置するように構成されており、対応するウェルの開口部と比較して少なくとも1つの寸法において小さい開口部を画定している。
本開示に従って提供される別の試料試験装置は、試料トレーおよび蓋部材を備える。試料トレーは平面を画定し、かつ平面に対して窪んだ複数のウェルを含む。蓋部材は、複数のウェルのそれぞれを密閉するために試料トレーの平面に対して密閉されるように構成されている。隣接するウェルを流体接続するために少なくとも1つのブリッジが設けられている。少なくとも1つのブリッジは、試料トレーで蓋部材を密閉してすぐに隣接するウェルの少なくとも1つへの気泡の捕捉を容易にするように構成されている。
本開示に従って提供される別の試料試験装置は、試料トレーおよび蓋部材を備える。試料トレーは平面を画定し、かつ平面に対して窪んだ複数のウェルを含む。蓋部材は、複数のウェルのそれぞれを密閉するために試料トレーの平面に対して密閉されるように構成されている。少なくとも1つの溶解性カプセルが設けられている。溶解性カプセルはそれぞれ、試料トレーのウェルの1つの中に配置され、溶解してウェルの中に気泡を与えるように構成されている。
本開示に従って提供される試料試験方法は、試料トレーおよび蓋部材を備える試料試験装置を用意する工程を含む。試料トレーは第1の構成を有する第1のセットのウェルおよび第2の構成を有する第2のセットのウェルを含む複数のウェルを画定している。さらなるセット、例えば第3の構成を有する第3のセットのウェルも想定される。蓋部材は、試料トレーの少なくとも第1の周側面、第2の周側面および下端の周りで試料トレーに対して密閉されており、その間に小袋を画定している。本方法は、第1のセットのウェルの各ウェルを液体試料の第1の部分で最大限に満たし、かつ液体試料の残りを第2のセットのウェルのウェルの中に均等に分配するように、所定の体積の液体試料を試料試験装置の小袋に導入する工程および複数のウェルのそれぞれを密閉するために蓋部材を試料トレーに対して密閉する工程をさらに含む。第2のセットのウェルの各ウェル内の液体試料体積は、第2のセットのウェル内の各ウェルの体積容量よりも小さくてもよい。
いくつかの態様では、蓋部材を試料トレーに対して密閉する工程を加熱密閉により行う。試料トレーを加熱密閉前に容器の中に配置してもよい。さらに、加熱密閉前にカバーフラップを用いて試料トレーを容器内に封入してもよい。
いくつかの態様では、本方法は、密閉された試料試験装置をインキュベートする工程をさらに含む。蓋部材が下を向いた状態、すなわち逆さの状態で、密閉された試料試験装置をインキュベートする工程を行ってもよい。
いくつかの態様では、本方法は、密閉された試料試験装置をインキュベートする工程の前に、蓋部材のバッキング層を剥離する工程をさらに含む。
いくつかの態様では、バッキング層を剥離する工程は、試料トレーの中央近くで剥離を開始するように中央の尖部でバッキング層を把持してバッキング層を剥離することを含む。あるいは、剥離する工程を試料トレーの上の角のいずれかから開始してもよい。
いくつかの態様では、本方法は、陽性のウェルの数を数えて陽性のウェルの数に基づいて結果を決定する工程をさらに含む。
いくつかの態様では、蓋部材を試料トレーの底部まで密閉し、試料トレーの上部で開封する。そのような態様では、所定の体積の液体試料を小袋に導入する工程は、開封した上部から所定の体積を導入することを含む。
いくつかの態様では、蓋部材を試料トレーの周縁の周りで密閉する。そのような態様では、所定の体積の液体試料を小袋に導入する工程は、試料トレー内に画定されたスリットから所定の体積を導入することを含む。
本開示に従って提供されるキットは、試料試験装置および容器を含む。試料試験装置は一般に、複数のウェルを画定する試料トレーおよび複数のウェルを覆うように配置される蓋部材を備える。試料試験装置は、上に詳述した態様のいずれかを含むようにさらに構成されていてもよい。容器は試験装置を受け入れるように構成されており、ベース部およびいくつかの態様ではカバーフラップを備える。ベース部はその中に試料試験装置を受け入れるための空洞を画定している。カバーフラップはベース部と解放可能に係合可能である。ベース部に係合されると、カバーフラップは試料試験装置の空洞への挿入およびそこからの取り出しを可能にする開放位置と、カバーフラップが試料試験装置を容器内に封入する閉鎖位置との間でベース部に対して摺動可能である。
いくつかの態様では、ベース部は、その外周縁部に隣接して画定された切り抜きを含む。切り抜きは、試料試験装置の空洞への挿入またはそこからの取り出しを容易にするように構成されている。
いくつかの態様では、空洞は複数の別々のチャンバーを含む。各チャンバーは、試料試験装置を空洞の中に挿入してすぐに試料試験装置の複数のウェルの1つを受け入れるように構成されている。
いくつかの態様では、容器のベース部は係合スロットを画定しており、カバーフラップはそこに結合された係合ピンを含む。係合ピンは、カバーフラップをベース部に解放可能に結合するために、係合スロットにスナップフィット係合するように構成されている。より具体的には、係合スロットは係合ピンの係合スロットからの取り出しを妨げるように構成された肩部を含んでいてもよく、あるいは係合スロットは首部および拡大部を含んでいてもよく、首部は係合ピンの拡大部からの取り出しを妨げる。
いくつかの態様では、容器のベース部は、その間に係合領域を画定するためにベース部から離間した少なくとも1つの指部を含む。そのような態様では、カバーフラップは、カバーフラップをベース部に解放可能に結合するために係合領域内に解放可能に配置されるように構成されたそこに結合された係合ピンを含む。
いくつかの態様では、容器のベース部は少なくとも1つの第1の内腔を画定しており、カバーフラップは少なくとも1つの第2の内腔を画定している。第1および第2の内腔は、カバーフラップをベース部に解放可能に結合するための係合ピンをそこに挿入できるようにするために互いに位置合わせするように構成されている。
本開示の各種態様について図面を参照しながら本明細書に説明する。図面の中で、同様の符号は同様または同一の要素を指す。
反応混合物を用いた、液体試料中の生物学的物質、例えば、細菌、真菌または他の生物、酵素などのタンパク質の集合体、補因子などの検出および/または定量化を容易にする装置および方法が本開示に従って提供され、かつ以下に詳述されている。定量化される特定の生物学的物質の検出を可能にするのに適した試験培地、例えば、化学的および/または微生物学的反応物を試験前に液体試料に導入する。当然ながら、利用される試験培地は検出される生物学的物質によって決まる。より具体的には、定量化が求められる生物学的物質の存在の検出を可能にし、好ましくは液体試料中に存在する可能性のある他の生物学的物質の存在を検出せず、かつ検出が求められる生物学的物質が液体試料中に存在する場合に感知可能な変化、例えば色の変化、蛍光などを提供する試験培地が選択される。本開示の装置および方法を用いて行うことができる例示的な試験は、大腸菌群ならびに大腸菌、レジオネラ菌、腸球菌および緑膿菌の検出を含む(例えば、米国メイン州ウェストブルックのIDEXX Laboratories社によって製造されているPseudalert(登録商標)試験キットを用いる)。他の好適な試験も想定される。
図1A〜図1Bを参照すると、一般にそれぞれ蓋部材110、210および試料トレー140、240を備える本開示に従って提供されるマルチウェル試料試験装置100、200が図示されている。それぞれの装置100、200の蓋部材110、210および試料トレー140、240は、同様の寸法のほぼ長方形の構成を画定しており、小袋のような構成を画定するように装置100、200の3つの縁部、例えば、側縁部102、104および202、204ならびに底縁部106、206のそれぞれに沿って互いに密閉係合されている。以下に詳述するように、装置100、200の開放した上縁部108、208により、試験される液体試料(試験培地を含む)の小袋内部への導入が可能になる。
図1Aを参照すると、装置100の蓋部材110は3つの材料層、すなわち接着剤層112、通気性フィルム層114およびバッキング層116で形成されている。バッキング層116は任意であり、好ましくは紙である。以下に詳述するように、加熱密閉してすぐに蓋部材110を試料トレー140に接着させるために、接着剤層112は試料トレー140に直接接するように構成されている。接着剤層112を形成する材料は、加熱密閉により試料トレー140に対して密閉し、かつインキュベート中に過剰な液体試料の損失を許すことなくある程度の浸透性を提供し、かつその透過性を与えるその能力に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、接着剤層112は、エチレン酢酸ビニルまたは変性エチレン酢酸ビニルの比較的薄いシートで形成されている。
蓋部材110の通気性フィルム層114は、接着剤層112と紙バッキング層116との間に配置されている。通気性フィルム層114を形成する材料は、その浸透性、加熱密閉の比較的高温に対する耐性、滅菌中の耐変色性、透過性、および試験培地、例えば指示薬による最適化に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、通気性フィルム層114は熱可塑性コポリエステル系エラストマーで形成されている。他の実施形態では、通気性フィルム層114は、エチレン酢酸ビニルまたは変性エチレン酢酸ビニル、熱可塑性コポリマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマーまたは芳香族ポリエーテル、スチレンブタジエンコポリマーまたはフッ化エチレンプロピレンで形成されていてもよい。
蓋部材110の紙バッキング層116は、通気性フィルム層114の上に配置されている。紙バッキング層116を形成する材料は、その浸透性、その間に接着剤を必要としない通気性フィルム層114との結合性、加熱密閉の比較的高温に対する耐性、印刷適性および絶縁性(すなわち、加熱密閉中の接着剤層112への適切な量の伝熱を可能にする能力)に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、紙バッキング層116はクラフト紙で形成されており、あるいは代わりとしてオフセット紙で形成されていてもよい(他の重量も想定されるが、好ましくは50ポンドの重量)。さらに、紙バッキング層116は好適なバックグラウンドを提供して試験培地の色の変化の検出を容易にするために白色であってもよい。あるいは、紙バッキング層116は、透過性の通気性フィルム層114を露出させるために蓋部材110の試料トレー140への加熱密閉後に除去可能、例えば剥離可能であってもよい。そのような構成では、白色のバックグラウンドを提供するのではなく、装置100を異なる色のバックグラウンドまたはライトボックスに隣接して配置して、試験培地の変化の検出を容易にしてもよい。除去可能な紙バッキング層116を設けることにより、通気性フィルム層114を露出させてインキュベート中の蓋部材110の浸透性も高め、乾燥剤として機能する紙バッキング層116によるインキュベート中の液体試料の損失を阻止する。紙バッキング層116は、装置100の開放および/または取り扱いを容易にするために装置100の開放した上縁部108に隣接してそこから延在するタブ117をさらに含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、紙バッキング層116は省略される。
蓋部材110の製造に関しては、通気性フィルム層114を押し出して紙バッキング層116上に直接流延し、接着剤層112を押し出して通気性フィルム層114上に直接流延する。あるいは、接着剤層112および通気性フィルム層114の共押出しの間に、接着剤層112および通気性フィルム層114をそれぞれ紙バッキング層116上に流延してもよい。また、層112、114、116を別個のフィルムとして形成して互いに積層してもよい。
図1Bを参照すると、装置200は蓋部材210の構成以外は装置100(図1A)と同様である。装置200は装置100(図1A)の特徴のいくつかまたは全てをさらに含んでいてもよい。簡潔のために、装置200と装置100(図1A)との違いのみを以下に詳述する。
装置200の蓋部材210は少なくとも3つの材料層、すなわち接着剤層212、通気性フィルム層214および紙バッキング層216で形成されている。通気性フィルム層214および紙バッキング層216は蓋部材110(図1A)に関して上に詳述したものと同様である。接着剤層212は、試料トレー240のウェル244の上に配置された部分を除去するために、例えば型抜き、レーザー切断または他の好適な製造プロセスにより接着剤層212が穿孔されているという点で、蓋部材110の接着剤層112(図1A)とは異なる。それにより、密閉中に接着剤層212は、試料トレー240内に画定されたウェル244のそれぞれの間および周りで試料トレー240に対してその表面242全体にわたって密閉されるが、試料トレー240内に画定されたどのウェル244も跨ぐように延在していない。この構成により、密閉完全性を損なうことなく浸透性の増加が得られる。
再度図1Aを参照し、かつ図2〜図3Bをさらに参照すると、装置100の試料トレー140はほぼ平坦な上面142を画定しており、ほぼ平坦な上面142に対して窪んだ様々な構成のウェル144、146、148の複数のセットを含む。より具体的には、試料トレー140は、装置100の密閉された底縁部106に向かって位置する複数の小さいウェル144、ウェル144のセットと148のセットとの間に位置する複数の中間のウェル146、および装置100の開放した上縁部108に向かって位置する複数の細長い大きいウェル148を含む。異なる構成のウェル144、146、148により液体試料を希釈する必要性がなくなり、定量化の範囲が増大する。ウェル144、146、148の各セットについて順番に、以下により詳細に説明する。但し、例えば先に参照により本明細書に組み込まれたNaquiらの’892、’895および’456特許に開示されているような同様および/または様々な構成のウェルの他の構成も想定される。
試料トレー140を形成する材料は、その浸透性、検出される生物学的物質に対する非毒性、滅菌中の耐変色性、透過性、蛍光の少なさまたはその不存在、および加熱密閉による接着剤層112に対する密閉性に基づいて選択される。いくつかの実施形態では、試料トレーはスチレンブタジエンコポリマーおよび汎用ポリスチレンの混合物で形成されている。この混合物は上に述べた診断基準を達成することが分かっている。特に、この混合物は、接着剤層112を形成するために使用される材料であるエチレン酢酸ビニルまたは変性エチレン酢酸ビニルに対して密閉するのに特に適していることが分かっている。さらにこの混合物は検出される多くの生物学的物質、例えばレジオネラ菌細菌に対して毒性がないという点で有利であることが分かっており、ポリ塩化ビニルは特定の生物学的物質、例えばレジオネラ菌細菌に対して毒性があり、かつそれら死滅させることが分かっている。
図2〜図3Bを参照すると、複数の小さいウェル144は装置100の密閉された底縁部106に向かって位置する3×10個の行列として配列されている。小さいウェル144はそれぞれ、ほぼ長方形の構成であるが、各小さいウェル144の側壁は、小さいウェル144の基部に近づく方向に互いに向かって僅かに内向きに角度をなしている。小さいウェル144の比較的浅い構成は、[ウェル144の上の蓋部材の表面積]:[ウェル144内に保持されている液体試料体積]の比を最大化させる。試料ウェル内のこの比を最大化させることは、細菌増殖を最適化し、かつ浸透性を最適化するのに役立つことが分かっている。好ましくは、この比は全てのウェルにおいて約0.33cm2/mLと等しいかそれよりも大きい。いくつかの実施形態では、小さいウェル144はそれぞれ0.20mLの体積を画定しており、約0.20mLの液体試料(100%の容量)を受け入れるように構成されており、約0.67の[蓋部材の表面積(単位:cm2)]:[試料体積(単位:mL)]の比を定める。
複数の中間のウェル146は小さいウェル144と大きい細長いウェル148との間に位置する5×6個の行列として配列されている。中間のウェル146はそれぞれ、丸いまたは平坦な基部を有する反転したピラミッド構成を画定している。この構成により、体積の増加を必要することなく中間のウェル146のそれぞれに大きい深さを与えることができる。この大きい深さによりウェル146内の液体試料を通るより長い「視野経路」が得られる。このより長い「視野経路」により、色をより良好に区別することができ、このようにしてウェル146において(試験培地による)液体試料の色の変化が存在するか否かの検出が容易になる。中間のウェル146の反転したピラミッド構成により、[ウェル146の上の蓋部材の表面積]:[ウェル146内に保持されている液体試料体積]の比も最大化される。いくつかの実施形態では、中間のウェル146はそれぞれ約1.01mLの体積を画定しており、約1.01mLの液体試料(100%の容量)を受け入れるように構成されており、約0.48の[蓋部材の表面積(単位:cm2)]:[試料体積(単位:mL)]の比を定める。
複数の細長い大きいウェル148、例えば、6個の細長い大きいウェル148は、横並びの関係で長手方向に延在するように配列されており、装置100の開放した上縁部108に向かって位置している。小さいウェル144および中間のウェル146がそれぞれ液体試料で100%の容量まで満たされた状態で、大きい細長いウェル148は液体試料の残りを受け入れる。細長い構成の大きいウェル148および大きいウェル148の比較的浅い深さにより、[ウェル148の上の蓋部材の表面積]:[ウェル148内に保持される液体試料体積]の比を損なうことなく大きいウェル148に比較的に大きい体積の液体試料を保持させることができる。いくつかの実施形態では、大きい細長いウェル148はそれぞれ、約18.86mLの体積を画定しており、約10.95mL(約58%の容量、残りの体積は空気で占められている)の液体試料を受け入れるように構成されており、約0.35の[蓋部材の表面積(単位:cm2)]:[各ウェル148内の試料体積(単位:mL)]の比を定める。以下に詳述するように、大きい細長いウェル148の約58%の容量は、100mLの試料を使用して小さいウェル144および中間のウェル146をそれぞれ最大限に満たすように最初に液体試料を利用し、次いで残りの液体試料を大きいウェル148に等しく分配させた結果である。但し、これも以下に詳述するように、他の実施形態では、気泡をウェル内に捕捉して液体試料によって占められる適当な割合の容量を達成するために、各種特徴が設けられていてもよい。
特定の目的に応じて、装置100のウェル144、146、148の他の好適な数、配置および/または構成も想定される。さらに、ウェル144、146、148のいくつかまたは全ての基部(または任意の他の好適な試料トレーのウェルのいくつかまたは全ての基部)における小さい厚さは、ウェル144、146、148の構造的安定性を損なうことなく浸透性を高めるために設けられていてもよい。
試料トレーのウェルのいくつかまたは全ての中への空気または気泡の捕捉は、検出される多くの細菌に関する細菌増殖の最適化に役立つことが分かっている。特に、各ウェル(またはウェルのいくつか)の中の液体試料体積の百分率は、約50%〜約65%の範囲(約50%〜約65%の容量)であってもよく、残りの約35%〜約50%の体積百分率は、空気および/または気泡によって占められている。この体積百分率または別の好適な体積百分率の範囲の気泡を達成するためにウェルに組み込むことができる特徴としては、ダイヤモンド、ティアドロップまたは砂時計の構成を画定するようにウェルを構成すること、および/またはウェルのいくつかまたは全ての中に窪み、鋭い角、突出部または他の幾何学的特徴を含めることが挙げられる。この目的のために装置100、200(図1B)または任意の他の好適な試料試験装置と共に使用するように構成された他のさらなる特徴または代わりの特徴について、図4〜図5Bに関して以下に詳述する。
図4Aを参照すると、上述のように、気泡を試料ウェル内に捕捉する工程は細菌増殖を最適化するのに役立つことが分かっている。従って、溶解性フィルム350が、試料トレー340と装置300の蓋部材(図示せず)との間に位置するように設けられていてもよい。装置300は装置100(図1A)または装置200(図1B)と同様であってもよく、それらの特徴のうちのいずれかを含んでいてもよいが、装置300が試料トレー340とその蓋部材(図示せず)との間に配置される溶解性フィルム350をさらに含むという点で少なくとも異なる。
溶解性フィルム350は、溶解性フィルム350内に画定されたウェル352が試料トレー340の対応するウェル344と比較した場合に小さい深さを画定していること以外は、試料トレー340と同様に寸法決めおよび構成されている。この構成により、溶解性フィルム350のウェル352の基部と試料トレー340の対応するウェル344の基部との間に空洞部355が画定される。溶解性フィルム350は、検出される生物学的物質または液体試料内に含まれる試験培地を妨げることなく、液体試料と接触してすぐに溶解するように構成されている。液体試料が各ウェル344に入り、かつ溶解性フィルム350が溶解すると、空洞部355内に配置された空気は各ウェル344内に気泡の形態で捕捉される。いくつかの実施形態では、溶解性フィルム350はポリビニルアルコールで形成された水溶性フィルムである。
図4Bを参照すると、試料トレー3400および蓋部材(図示せず)を備える試料試験装置3000の別の実施形態が示されている。試料試験装置3000は、装置100、200(それぞれ図1Aおよび図1B)または本明細書に詳述されている他の実施形態のいずれかと同様であってもよく、かつそれらの特徴のいずれかを含んでいてもよい。試料試験装置3000は、本明細書に詳述されている他の実施形態とは異なるか、あるいは、以下に詳述するように、試料ウェル3450内の空気(あるいは他の気体または気体混合物)の泡を捕捉して細菌増殖を容易にするために、ウェル3450の1つ以上の中に配置される溶解性カプセル3500をさらに含む。
溶解性カプセル3500はそれぞれ、試料トレー3400のウェル3450の1つの中に配置されるように構成されており、その中に置かれていても、例えば樹脂を用いてその内面、例えば基部3460または側壁3470のいずれかに接着されていてもよい。カプセル3500は、試料トレー3400の製造中にそれらのそれぞれのウェル3450の中に配置および/または接着してもよく、あるいは使用者側でその中に配置してもよい。各溶解性カプセル3500は溶解性材料で形成されている。いくつかの実施形態では、カプセル3500は、加熱密閉プロセス中に実質的にそのままであり、最終的に試料試験装置3000のインキュベート中に十分に溶解して、それにより密閉されたウェル3450内に空気(あるいは他の気体または気体混合物)の泡を生じさせることができるヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセル、ゼラチンカプセルまたは他の好適な水溶性カプセルなどの水溶性カプセルである。
各溶解性カプセル3500は、重なり領域3530および封入された内部チャンバー3540を画定するように、そのうちの一方が他方に部分的に挿入される2つのカプセル部3510、3520で形成されている。溶解性カプセル3500は、空気を内部チャンバー3540内に捕捉するために通常の環境でカプセル部3510、3520から組み立ててもよく、あるいは、所望の気体組成、例えば酸素富化空気を内部チャンバー3540内に捕捉するために、特別な環境、例えば酸素富化環境で組み立ててもよい。さらに、溶解性カプセル3500は、検出される生物学的物質または液体試料内に含まれる試験培地を妨げないように構成されている。
上述のように、溶解性カプセル3500は、例えば液体試料により溶解して密閉されたウェル3450内に空気(あるいは他の気体または気体混合物)の泡を生じさせるように構成されている。より具体的には、加熱密閉中にカプセル3500が液体試料に接触するとすぐであるが内部チャンバー3540を密閉条件下に維持するのに十分に遅い速さで溶解し始めるように、カプセル3500は構成されており、例えば、厚さおよび/またはカプセルを形成する材料は選択される。最終的に、インキュベート中に、空気および/または気体を内部チャンバー3540から密閉されたウェル3450の中に逃がすことができるようにカプセル3500を十分に溶解させて、その中に空気(あるいは他の気体または気体混合物)の泡を得る。
図5A〜図5Bを参照すると、装置400、500に関して図示されているように、試料トレーの隣接するウェルを相互接続する比較的浅いブリッジを設けることにより、気泡を捕捉してもよい。例えば、図5Aに示すように、試料トレー440は、あらゆる好適なパターンまたは構成で隣接するウェル444を互いに相互接続する直線状のブリッジ443を含んでいてもよい。あるいは、図5Bに示すように、試料トレー540は、隣接するウェル544をあらゆる好適なパターンまたは構成で互いに相互接続する湾曲した、すなわち「U」字形のブリッジ543を含んでいてもよい。ブリッジの他の構成も想定される。いずれの構成においても、ウェル444、544とそれぞれ比較した場合に小さい深さを画定するブリッジ443、543により、密閉中のウェル444、544内への気泡の捕捉が容易になる。あるいは、マスクを使用して2つの相互接続されたウェルの1つを完全に封入し、それにより封入されたウェル内に空気を捕捉し、相方のウェルを開放したままにして流体で満たすことができる。
図6A〜図6Bを参照すると、装置600に関して図示されているように、蓋部材610と試料トレー640との間に位置するマスクプレート660を用いてウェル内への液体試料の流れを制御することにより気泡を捕捉してもよい。マスクプレート660は試料トレー640のほぼ平坦な上面642と同様に寸法決めされており、試料トレー640内に形成されたウェル644のうちの1つにそれぞれ一致する複数の切り抜き662を含む。但し、切り抜き662はそれらの対応するウェル644とほぼ位置合わせされているが、切り抜き662は好ましくは、少なくとも1つの寸法、例えば長さおよび/または幅寸法において、対応するウェル644の開口部と比較して小さい開口部を画定している。この構成によりボトルネック効果を生み出し、液体試料が小さい寸法の切り抜き662を通って比較的より大きく寸法決めされたウェル644内に流れる際に各ウェル644内に気泡を捕捉することができる。
全体として図1Aおよび図2〜図3Bを参照すると、液体試料中の細菌濃度を定量化するための装置100の使用が詳述されている。上述のように、装置200、300、400、500、600(それぞれ図1A、図4、図5A、図5Bおよび図6A〜図6B)は装置100と同様であり、装置100の特徴のいずれかを備えていてもよく、その逆もまた同様である。従って、その使用は装置100の使用と同様であり、簡潔のために以下に詳述しない。
最初に、検出される生物学的物質に基づいて選択された好適な試験培地を液体試料に導入し、試験培地を含む100mLの液体試料を測定する。次いで測定した100mLの液体試料を装置100の小袋の中にその開放端108から導入、例えば注入する。液体試料の導入を容易にするために、装置100の側縁部102、104を互いに向かって圧潰して蓋部材110および/または試料トレー140を僅かに湾曲させて、蓋部材110と試料トレー140との間に画定された小袋開口部を拡大させてもよい。
液体試料が蓋部材110と試料トレー140との間の小袋の中に配置された状態で、開放端108が先行する装置100をヒートシーラ(例えば、米国メイン州ウェストブルックのIDEXX Laboratories社によって製造されているQuanti-Tray(登録商標)Sealer 2Xという名称で販売されているヒートシーラ)の中に送り込んでもよい。装置100がヒートシーラを通って移動すると、液体試料を0.20mLの全容量体積で小さいウェル144の中に均等に分配させ、次いで1.01mLの全容量体積で中間のウェル146の中に均等に分配させ、かつ残りの液体を大きいウェル148の中に均等に分配させる(大きいウェル148のそれぞれの中の約10.95mLの液体試料は、これらの大きいウェルを約58%の容量(または特定の目的に応じて約50%〜約65%の容量)まで満たす)ように、ヒートシーラは蓋部材110が試料トレー140に接触するように付勢する。密閉後にこれらの大きいウェル148の残りを満たす空気により、気泡の捕捉に関して上に詳述したとおり、これらのウェル148内での細菌増殖が容易になる。
蓋部材110および試料トレー140を互いに接触するように付勢して液体試料を分配するのと同時またはほぼ同時に、ヒートシーラにより装置100に加えられる熱により、試料トレー140の表面142の周囲全体で接着剤層112を試料トレー140に加熱密閉してウェル144、146、148のそれぞれを密閉状態で封入する。蓋部材110の紙バッキング層116の絶縁特性により試料トレー140による接着剤層112の加熱密閉が可能になるが、液体試料が著しく影響を受けるのを阻止する、すなわち液体試料の最小の温度上昇により加熱密閉を行う。
装置100を密閉したら、それを(行われる試験に応じて)所定の時間および所定の条件でインキュベートする。いくつかの実施形態では、装置100(または他の好適な装置)を逆さにしてインキュベートする。この構成により、各ウェル144、146、148内の液体試料を蓋部材110と直接接触させ、その上に位置させることができ、ウェル、例えば大きいウェル148内に捕捉されたあらゆる空気を液体試料とウェル148の基部との間に位置づける。この構成は、より良好な細菌増殖に寄与することが分かっている。但し、他のインキュベートの向きも想定される。
インキュベート期間後に、その結果を決定し、記録し、かつ分析する。蓋部材110の紙バッキング層116が除去可能ないくつかの実施形態では、インキュベート前に紙バッキング層116を除去して浸透性を高めてもよく、あるいはインキュベート後に除去して、結果の決定を容易にしてもよい。液体試料の試験される生物学的物質の量を決定するために、ウェルにおける色の変化または他の感知可能な変化によって示される「陽性の」ウェルの数を数え、日常的な統計分析を行う(またはそのような試験の予め計算した統計学的結果を含むルックアップテーブルを利用する)。
次に図7A〜図10Cを参照すると、本開示に従って提供されるマルチウェル試料試験装置の各種さらなる実施形態が図示および記載されている。各装置の特定の特徴を強調するために別個の実施形態として図示されているが、特に矛盾する場合を除いて、以下の実施形態の特徴のいずれかを互いに、かつ/または上記実施形態の特徴のいずれかと共に利用することが想定される。
図7Aおよび図7Bを参照すると、マルチウェル試料試験装置700は一般に、蓋部材710および試料トレー740を備える。蓋部材710および試料トレー740は、蓋部材710および試料トレー740の両方が外に向かって湾曲した同様の上部717、747をそれぞれ画定していることを除いて、同様の寸法のほぼ長方形の構成を画定している。外に向かって湾曲した上部717、747により、装置700の把持および操作、ならびに以下に詳述するように、試験される液体試料をそこに導入できるようにするための装置700の開放が容易になる。
蓋部材710および試料トレー740は、装置700の外周が完全に密閉されるように、装置700の4つ全ての外周縁部、例えば側縁部702、704、底縁部706および上縁部708に沿って互いに密閉係合されている。これは、3つの縁部のみが密閉されている上に詳述した装置100、200(それぞれ図1Aおよび図1B)とは対照的である。装置700の内部への液体試料の導入を可能にするために開放端を設けるのではなく、以下に詳述するように、装置700は、試料トレー740の外に向かって湾曲した上部747の平坦な上面742の中に画定され、かつそこを通って延在するスリット780を含む。蓋部材710は、それ以外は本明細書に詳述されている他の実施形態のいずれかと同様に構成されていてもよく、それらの特徴のいずれかおよび/またはそれらの特徴の組み合わせを備えていてもよい。
装置700の試料トレー740は、ほぼ平坦な上面742を画定しており、ほぼ平坦な上面742に対して窪んだ異なる構成のウェル744、748の2つのセットを含む。より具体的には、試料トレー740は、装置700の底縁部706に向かって位置する複数の小さいウェル744、例えば、9×10個の行列の小さいウェル744、および小さいウェル744と試料トレー740の外に向かって湾曲した上部747との間を長手方向に延在する複数の細長い大きいウェル748、例えば6個の細長い大きいウェル748を含む。小さいウェル744は、液体試料で100%の容量まで満たされるように構成されており、試料の残りは細長い大きいウェル748の中に(満たされないが)分配される。上に詳述したような同様の構成および/または様々な構成のウェルの他の構成も想定される。
図7Aおよび図7Bの参照を続けると、試料トレー740は上述のように、液体試料を装置700の内部小袋に導入するための、試料トレー740の外に向かって湾曲した上部747の中に画定され、かつそこを通って延在するスリット780を含む。スリット780は試料トレー740を貫通して延在しているが(装置700の内部小袋へのアクセスを提供するため)、スリット780が液体試料を装置700の内部小袋に導入するための唯一のアクセス点であるように、スリット780は蓋部材710の中に貫通または延在していない。スリット780はレーザー切断または任意の他の好適な方法で形成されていてもよい。
使用時に、液体試料、例えば試験培地を含む100mLの液体試料を、スリット780から装置700の内部小袋に注入する。液体試料を導入するために、外に向かって湾曲した上部747に隣接するその対向する側縁部702、704から装置700を内向きに圧潰して試料トレー740を(矢印「A」によって示されているように)撓曲または湾曲させて弓形の構成を画定する。この構成において、スリット780は拡大され、試料トレー740と蓋部材710との間に空間が確立されてスリット780によって画定される内部小袋開口部が拡大される。あるいは、装置700を把持している間に、試料トレー740の外に向かって湾曲した上部747を試料トレー740の残りの部分に対して操作、例えば湾曲させて、スリット780により画定される内部小袋開口部を同様に拡大させてもよい。
液体試料が装置700の内部小袋内に配置された状態で、液体試料を最初に全容量で小さいウェル744内に均等に分配させ、かつ液体試料の残りを大きいウェル748内に均等に分配させるように、蓋部材710を試料トレー740に接触するように付勢するヒートシーラ内に装置700を送り込んでもよい。但し、大きいウェル748は、大きいウェル748の残りの部分が空気によって占められた状態で部分的にのみ満たされる。蓋部材710および試料トレー740を互いに接触するように付勢して液体試料を分配させるのと同時またはほぼ同時に、ヒートシーラによって装置700に加えられる熱により蓋部材710を試料トレー740に加熱密閉して各ウェル744、748を密閉状態で封入する。インキュベート、結果の決定および分析は、上に詳述したとおりに行ってもよい。
図8を参照すると、マルチウェル試料試験装置800は装置700(図7Aおよび図7B)と同様であり、一般に蓋部材810および試料トレー840を備える。但し、装置700(図7Aおよび図7B)とは対照的に、装置800の試料トレー840は、小さいウェル844の片側に長手方向に延在する一対の補強リブ890を含む。行列の片側の小さいウェル844の最も外側の列を除去し、このようにして9×8個の行列の小さいウェル844を形成することにより、補強リブ890を収容するための場所が設けられていてもよい。但し、ウェルの列を除去するまたは除去しない他の好適な構成も想定される。補強リブ890は、例えば補強リブ890を形成するために大きい厚さを設けることにより試料トレー840と一体形成されていてもよい。あるいは、補強リブ890は例えばステンレス鋼、ポリマー材料などの任意の好適な材料で形成されていてもよく、試料トレー840内に埋め込まれていても、試料トレー840の内部または外部に面した表面に配置されていても、蓋部材810の内部または外部に面した表面に配置されていてもよく、あるいは任意の他の好適な方法で装置800に固定されていてもよい。補強リブ890は装置800に構造的支持を与え、装置800の捻じりおよび他のそのような操作を阻止する。補強リブ890は、装置800を密閉するためのヒートシーラへの挿入およびその使用中に装置800の適切な位置決めを維持するのに役立ち、このようにして有効な密閉を確保するのに役立つ。装置800の構成および使用は、それ以外は装置700(図7Aおよび図7B)のものと同様である。
図9を参照すると、マルチウェル試料試験装置900は装置700、800(それぞれ図7A〜図7Bおよび図8)と同様であり、一般に蓋部材910および試料トレー940を備える。装置900は、その補強において装置800(図8)とは異なる。より具体的には、装置800(図8を参照)のように補強リブ890を設けるのではなく、装置900は、試料トレー940の3つの周縁、例えば第1および第2の側縁部902、904のそれぞれおよび底縁部906の周りに延在する細長い、ほぼU字形の補強部材990を備える。補強部材990は、例えば補強部材990を形成するために大きな厚さを設けることにより、試料トレー940と一体形成されていてもよい。あるいは、補強部材990は、任意の好適な材料、例えば、ステンレス鋼、ポリマー材料などで作られたワイヤまたはケーブルとして形成されていてもよく、試料トレー940内に埋め込まれていても、試料トレー940の内部または外部に面した表面に配置されていても、蓋部材910の内部または外部に面した表面に配置されていてもよく、あるいは任意の他の好適な方法で装置900に固定されていてもよい。補強部材990は装置900に構造的支持を与え、かつ装置900の捻じりおよび他のそのような操作を阻止する。さらに、補強部材990はヒートシーラの密閉装置900への挿入およびその使用中に装置900の適切な位置決めを維持するのに役立ち、このようにして有効な密閉を確保するのに役立つ。装置900の構成および使用は、それ以外は装置700(図7Aおよび図7B)と同様である。
図10A〜図10Cを参照すると、マルチウェル試料試験装置1000は装置700(図7Aおよび図7B)と同様であり、一般に、本明細書に詳述されている他の実施形態のいずれかの特徴のいずれかおよび/またはそれらの組み合わせを備えていてもよい蓋部材1010および試料トレー1040を備える。装置1000の蓋部材1010および試料トレー1040は、蓋部材1010および試料トレー1040の両方が外に向かって湾曲した上部1017、1047をそれぞれ画定していることを除いて、同様の寸法のほぼ長方形の構成を画定している。
装置1000の蓋部材1010は、より具体的には、複数の層すなわち接着剤層1012、通気性フィルム層1014および剥離ライナー1018で形成されている。接着剤層1012および通気性フィルム層1014はそれぞれ、装置100(図1A)の蓋部材110に関して上に詳述したものと同様に構成されていてもよい。剥離ライナーの例示的な実施形態について、図11および図12を参照しながら以下により詳細に説明する。剥離ライナー1018は、剥離ライナー1018を蓋部材1010の残りの部分から剥離するかそれ以外の方法で除去することができる任意の好適な方法で蓋部材1010の残りの部分に固定されており、例えば、剥離ライナー1018は、流延、積層、接着などにより蓋部材1010の残りの部分に固定されていてもよい。
装置1000は試料トレー1040の外に向かって湾曲した上部1047を通り、かつ蓋部材1010の外に向かって湾曲した上部1017を部分的に貫通して延在する切り込み1011を画定している。より具体的には、切り込み1011は蓋部材1010の接着剤層1012および通気性フィルム層1014を通って延在しているが、剥離ライナー1018の中には延在していない。切り込み1011は試料トレー1040の近くでより幅が広くなる楔形の構成を画定しており、切り込み1011が試料トレー1040を通って蓋部材1010の接着剤層1012および通気性フィルム層1014の中にさらに延在するにつれて幅が次第に減少しているが、他の構成も想定される。切り込み1011はキスカットまたは他の好適なプロセスにより形成されていてもよい。
試料トレー1040の外に向かって湾曲した上部1047を通って延在する切り込み1011にも関わらず、試料トレー1040は、切り込み1011により分離された試料トレー1040の部分1042a、1042bの間に延在し、かつそれらを相互接続する1つ以上の接続部材1043を備える。接続部材1043は試料トレー1040の部分1042a、1042bと一体形成されており、試料トレー1040の部分1042a、1042bをほぼ平坦な構成に保持している。以下に詳述するように、接続部材1043は試料トレー1040の部分1042aおよび蓋部材1010の部分1013の除去を可能にために折損または破壊することができ、それにより剥離ライナー1018の装置1000からの除去を容易にする。さらに、切り込み1011(接続部材1043を含む)に隣接する試料トレー1040の部分は強固またはより強固な構成を画定して、接続部材1043の折損または破壊を容易にしてもよい。図10Aに示すように、それぞれが装置1000の各側に向かって配置された2つの接続部材1043が設けられているが、他の構成も想定される。
装置700(図7Aおよび図7B)に関して上に詳述したとおり、装置1000の蓋部材1010および試料トレー1040は、装置1000の4つ全ての外周縁部に沿って互いに密閉係合されている。但し、別個のスリットを設けるのではなく、接続部材1043の間に延在する切り込み1011の一部は、液体試料を装置1000の内部に導入することができる選択的に拡大可能なスリットとして機能する。
使用時に、液体試料を装置1000によって画定される内部小袋に導入するために、上に詳述したとおり、切り込み1011に隣接するその対向する側縁部から装置1000を内向きに圧潰して試料トレー1040を撓曲または湾曲させて、試料トレー1040と切り込み1011に隣接する蓋部材1010との間の空間を拡大させる。それにより、試料トレー1040と蓋部材1010との間に画定された内部小袋へのアクセス開口部を拡大させ、液体試料の装置1000の内部への導入を容易にする。
液体試料を装置1000に導入したら、ヒートシーラを用いて装置1000を密閉してもよい。加熱密閉中に、剥離ライナー1018は蓋部材1010の残りの部分および/または装置1000の他の部分に伝達される熱の量を制限するための絶縁体として機能し、それにより装置1000を熱損傷から保護し、かつ有効な密閉の形成を保証する。その後、剥離ライナー1018を除去し、装置100をインキュベートする。あるいは、加熱密閉前に剥離ライナー1018を除去してもよい。
剥離ライナー1018を除去するために、使用者は装置1000の本体を一方の手で把持し、試料トレー1040の外に向かって湾曲した上部1047、1017および蓋部材1010を他方の手で把持し、外に向かって湾曲した上部1047、1017を装置1000の本体部分に対して後ろに曲げる。切り込み1011は、外に向かって湾曲した上部1047、1017を装置1000の本体部分に対して曲げるためのヒンジ点として機能し、十分に曲げると、切り込み1011を跨ぐように延在する接続部材1043は折損または破壊され、それにより試料トレー1040の部分1042a、1042bは互いに分離される。また、接続部材1043の折損または破壊により、蓋部材1010の接着剤層1012および通気性フィルム層1014の部分1013は残りの部分、例えば蓋部材1010の本体から切り離される。但し、剥離ライナー1018は切り込み1011によって分断されていないため、剥離ライナー1018はそのままである。
試料トレー1040の部分1042aおよび蓋部材1010の部分1013がそれぞれ蓋部材の部分1042bおよび本体部分(剥離ライナー1018以外)から分離された状態で、部分1042a、1013を装置1000の対向端に向かってさらに引き下ろして剥離ライナー1018を残りの部分、例えば蓋部材1010の本体から剥離してもよい。剥離ライナー1018を(部分1042bおよび1013と共に)剥離および除去したら、インキュベート、結果の決定および分析を上に詳述したとおりに行ってもよい。
次に図11を参照すると、剥離ライナー1118が組み込まれ、かつ装置1000(図10A〜図10C)または任意の他の好適な装置と共に使用するように構成された蓋部材1110の一実施形態が図示されている。蓋部材1110は接着剤層1112、通気性フィルム層1114および剥離ライナー1118を含む。接着剤層1112および通気性フィルム層1114は上に詳細した実施形態のいずれかと同様に構成されていてもよく、共押出しまたは他の好適なプロセスにより接合されていてもよい。剥離ライナー1118は、比較的薄いシリコーン層1119aおよびシリコーン層1119aの上に配置された比較的厚いクレーコート紙層1119bを含む。シリコーン層1119aは、接着剤層1112および通気性フィルム層1114の周りでの剥離ライナー1118の当初の保持を可能にするが、剥離ライナー1118の剥離の際にそこからの除去も容易にする。通気性フィルム層1114を剥離ライナー1118のシリコーン層1119aの上に直接押し出し、接着剤層1112を通気性フィルム層1114の上に直接押し出す。あるいは、通気性フィルム層1114および接着剤層を剥離ライナー1118の上に直接共押し出ししてもよい。
図12は、剥離ライナー1218が組み込まれ、かつ装置1000(図10A〜図10C)または任意の他の好適な装置と共に使用するように構成された蓋部材1210の別の実施形態を示す。蓋部材1210は、接着剤層1212、通気性フィルム層1214および剥離ライナー1218を含む。接着剤層1212および通気性フィルム層1214は上に詳細した実施形態のいずれかと同様に構成されていてもよく、共押出しまたは他の好適なプロセスにより接合されていてもよい。剥離ライナー1218は、比較的薄いシリコーン層1219a、比較的厚いクレーコート紙層1219bおよびクレーコート紙層1219bよりも小さいがシリコーン層1219aよりも大きい厚さを有するポリエステル層1219cを含む。通気性フィルム層1214を剥離ライナー1218のシリコーン層1219aの上に直接押し出し、接着剤層1212を通気性フィルム層1214の上に直接押し出す。あるいは、通気性フィルム層1214および接着剤層1212を剥離ライナー1218の上に直接共押し出ししてもよい。さらに、シリコーン層1219a、クレーコート紙層1219bおよびポリエステル層1219cは、積層または他の好適なプロセスにより互いに結合されていてもよい。
全体として図13A〜図16Dを参照すると、上述のように、本明細書に詳述されている各種装置は液体試料の一部を装置の各ウェル内に密閉するためにヒートシーラと共に使用するように構成されている。装置の加熱密閉を容易にするために、装置を受け入れるように構成された容器を利用してもよい。容器は装置を所望の向きに維持し、装置の湾曲または捻じりを阻止し、ヒートシーラと共に装置をヒートシーラに通すように案内して、装置を損傷することなく有効な密閉の形成を保証する。そのような容器の様々な実施形態について以下に詳述する。これらの容器はそれぞれ、ベース部および解放可能に係合可能なカバーフラップを含む。
密閉される装置が比較的薄い構成を画定している実施形態は、より固着または位置ずれしやすく、かつ/またはより感熱性の高い蓋部材を含み、例えば、剥離ライナーが設けられていない実施形態では、加熱密閉中に装置の蓋部材を保護する保護部材としてカバーフラップが利用される。但し、そのような懸念が最小である他の実施形態では、例えば、剥離ライナーが設けられている場合または装置がより強固または堅牢な構成を画定している場合には、カバーフラップを使用せずに容器のベース部を利用してもよい。
図13A〜図13Cを参照すると、装置1301と共に使用するように構成された容器1300が図示されている。ヒートシーラの中に通した場合に任意の好適な装置、例えば上に詳述した装置のいずれかを容器1300と共に利用して装置1301の密閉を容易にすることができるものと想定されるため、装置1301は包括的に図示されている。容器1300は、ベース部1320と、ベース部1320と解放可能に係合可能であるカバーフラップ1340とを備える。ベース部1320は、装置1301をその中に受け入れるように構成されており、カバーフラップ1340は、装置1301の蓋部材1302の上に位置して装置1301を容器1300内に封入し、かつ加熱密閉中に装置1301の蓋部材1302を保護するように構成されている。
容器1300のベース部1320は、上面1322および上面1322内の窪んだ空洞1324を有するほぼ長方形の構成を画定している。空洞1324は装置1301と同様に寸法決めされており、装置1301をその中に受け入れるように構成されている。いくつかの構成では、空洞1324は、装置1301の外周縁部がベース部1320の上面1322に位置するリップとして機能し、かつ装置1301の残りの部分が空洞1324内に位置するように寸法決めされている。空洞1324は、その中に配置された仕切り、位置合わせ構造など(明示的に図示せず)をさらに含んでいてもよく、それらは、容器1300のベース部1320内への装置1301の適切な配置および位置合わせを保証するのを助けるために装置1301のウェルの間に位置するように構成されている。ベース部1320は、その端部に向かって配置され、かつベース部1320の端部の一部に沿って横方向に延在する係合スロット1326をさらに含む。係合スロット1326は、以下に詳述するように、カバーフラップ1340に摺動可能に係合するように構成された肩部1328を画定している。
カバーフラップ1340は、図13Bに示すように、ほぼ平坦な本体部分1342、係合ピン1344、および本体部分1342と係合ピン1344との間に延在し、かつ互いに係合するフランジ部1346を含む。本体部分1342および本体部分1342と一体化されているフランジ部1346は、シリコーン系材料または任意の他の好適な材料で形成されていてもよい。ベース部1320(図13A)は、カバーフラップ1340と同様または異なるシリコーン系材料または他の好適な材料で同様に形成されていてもよい。係合ピン1344はステンレス鋼またはヒートシーラにおいて使用するのに適した他の好適な材料で形成されていてもよい。さらに、フランジ部1346は、接着剤により係合ピン1344に固定されていてもよく、係合ピン1344の周りに巻き付けられていてもよく、あるいは任意の他の好適な方法でそこに固定されていてもよい。
図13Cを参照すると、カバーフラップ1340をベース部1320に係合させるために、係合スロット1326を拡大させ、かつ係合ピン1344を肩部1328を超えるまで通すことができる十分な付勢の下でカバーフラップ1340の係合ピン1344をベース部1320の係合スロット1326に挿入して、係合ピン1344を肩部1328に隣接する係合スロット1326の拡大直径部1329内に係合するようにスナップ留めする。この位置では、肩部1328は係合ピン1344をその中に摺動可能に保持し、装置1301(図13A)のベース部1320への挿入およびそこからの除去のための開放位置(図13A)から、カバーフラップ1340を装置1301(図13A)の蓋部材1302の上に配置して装置1301(図13A)を容器1300内に封入する閉鎖位置まで、カバーフラップ1340を摺動させることができる。
図14を参照すると、本開示に従って提供される容器1400の別の実施形態が図示されている。容器1400はベース部1420およびカバーフラップ1440を備え、ベース部1420およびカバーフラップ1440を互いに結合するための係合機構以外は容器1300(図13A〜図13C)と同様である。簡潔のために、そのような違いのみを以下に詳述する。
容器1400のベース部1420は、その端部から延在し、かつそれぞれがベース部1420の各端角部に向かって位置する一対の指部1422、1424を含む。指部1422、1424はベース部1420から離間しており、互いに向かって延在してそれぞれの指部1422、1424とベース部1420との間に係合領域1423、1425を画定している。
カバーフラップ1440は、ほぼ平坦な本体部分1442と、例えば中間フランジ部を介すか直接本体部分1442に結合された係合ピン1444とを含む。係合ピン1444の端部は、カバーフラップ1440をベース部1420に結合するために、そこに摺動可能にスナップフィット係合した状態でベース部1420の係合領域1423、1425に受け入れられるように構成されている。
図15は本開示に従って提供される容器1500の別の実施形態を示す。容器1500はベース部1520およびカバーフラップ1540を備え、ベース部1520およびカバーフラップ1540を互いに結合するための係合機構以外は容器1300(図13A〜図13C)と同様である。簡潔のために、そのような違いのみを以下に詳述する。
容器1500のベース部1520は、その端部に向かって画定された、ベース部1520を横切って横方向に延在するスロット1522を含む。スロット1522は、スロット1522の口に隣接して延在する比較的狭い首部1524と、スロット1522の底に沿って延在する円筒状の比較的より大きい直径係合部1526とを含む。
カバーフラップ1540は、ほぼ平坦な本体部分1542と、例えば中間フランジ部を介すか直接本体部分1542に結合された係合ピン1544とを含む。係合ピン1544は、ベース部1520内に画定されたスロット1522の円筒状の係合部1526の直径に近いが首部1524の幅よりも大きいほぼ円筒状の構成を画定している。
カバーフラップ1540をベース部1520に係合させるために、首部1524を拡大させ、かつそこを通すことができる十分な付勢の下で、カバーフラップ1540の係合ピン1544をベース部1520のスロット1522に挿入し、最終的に係合ピン1544をスロット1522の円筒状部分1526の中に位置させ、それによりカバーフラップ1540をベース部1520に摺動可能に係合させる。
図16A〜図16Dを参照すると、本開示に従って提供される容器1600の別の実施形態が図示されている。容器1600はベース部1620およびカバーフラップ1640を備え、ベース部1620およびカバーフラップ1640を互いに結合させるための係合機構以外は容器1300(図13A〜図13C)と同様である。簡潔のために、そのような違いのみを以下に詳述する。
容器1600のベース部1620は、各チャンバー1621aが装置1601のウェルの1つを受け入れるように、その中に受け入れられるように構成された装置1601の構成に相補的な構成を画定するように配列された複数の別々のチャンバー1621aを有する空洞を画定している。ベース部1620は、その第1の端部に装置1601の挿入およびそこからの除去を容易にするように構成された切り抜き1621bも画定している。図示されていないが、上に詳述した容器と共に使用するためにこれらの特徴のいずれかまたは両方が設けられていてもよい。
容器1600のベース部1620は、その第2の端部(切り抜き1621bと対向する端部)から延在する複数の離間した指部、例えば3つの離間した指部1622、1624、1626をさらに含む。図示のとおり、第1の指部1622はベース部1620の一端に向かって配置されており、第2の指部1624はベース部1620の他方の対向端に向かって配置されており、第3の指部1626は第1の指部1622と第2の指部1624との中間に配置されているが、より多いまたは少ない指部を含む他の構成も想定される。指部1622、1624、1626が互いに対して離間しているため、第1の区画1628および第2の区画1629は、指部1622、1626と指部1624、1626との間にそれぞれ画定されている。さらに、指部1622、1624、1626はそれぞれ、そこを通って横方向に延在する内腔1623、1625、1627を画定している。内腔1623、1625、1627は互いに同軸方向の関係で位置合わせされている。
カバーフラップ1640は、ほぼ平坦な本体部分1642と、本体部分1642の端部から延在する一対の離間したフランジ1646とを含む。各フランジ1646は、本体部分1642と一体形成されており、そこを通って延在する内腔1648を画定する管状端部1647を含む。内腔1648は互いにに対して同軸方向の関係で位置合わせされている。
カバーフラップ1640をベース部1620と係合させるために、カバーフラップ1640は、そのフランジ1646が第1の区画1628および第2の区画1629の中に配置され、かつ内腔1648が同軸方向の関係で内腔1623、1625、1627と位置合わせされるように位置決めされる。その後、内腔1623、内腔1648の一方、内腔1627、内腔1648の他方および内腔1625を通して、係合ピン1644を挿入して(但し、逆の挿入順も想定される)、ベース部1620およびカバーフラップ1640を互いに摺動可能に結合する。
上記から、そして各種図面を参照して、当業者であれば、本開示の範囲を逸脱することなく本開示に対して特定の修正が可能であることも分かるであろう。本開示のいくつかの実施形態を図面に示してきたが、本開示は当該技術分野が許容するのと同程度に範囲が広く、本明細書は同様に解釈されるものであるため、本開示はそれらに限定されない。例えば、蓋部材は、好ましくは紙であるバッキング層を含む例示的な実施形態に示されているが、バッキング層が設けられていない実施形態も想定され、バッキング層を織布および不織布などの他の材料で形成する実施形態も想定される。従って、上記説明は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではなく、単に特定の実施形態の例示として解釈されるべきである。当業者であれば、本明細書に添付されている特許請求の範囲の範囲および趣旨に含まれる他の修正形態を思いつくであろう。