JP2017524773A - 接着促進システムおよびそのインク組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、第1に、
a)インクのための、特に包装インクのための接着促進剤;
b)本発明の接着促進剤を含むインク組成物;
c)基体への、好ましくはポリマー基体へのインクの接着性を改善するための方法;および
d)改善されたインクの接着性を有するポリマー基体、
に関する。
インクおよびインクがプリントされる基体間の接着性を強化するために、パッキング(packing)インクのための市販のインク処方物中で接着促進化合物が使用されている。接着性の不良により、プリントプロセスにおける困難性がもたらされるか、または接着性不良は、プリントされたインクの除去をもたらす。ポリマーフィルム上での食品包装のプリントは広まっており、プリントされたインクが包装上に残留し、インク組成物の一部が包装にパックされた製品を汚染しないような用途において特に重要である。例えばポリプロピレン(PP)およびポリエステル(PE)などのポリマーフィルムは、インクの所望の接着性をフィルムに付与するために表面処理されることが必要である。単位 ダイン/cmで表される包装フィルムの表面エネルギーは、包装フィルムをプリントし、コーティングし、または積層する場合には、決定的なフィルム特性である。
使用される一般的な接着促進剤は、
i)チタンアセチルアセトネート;および
ii)チタンアルキルホスフェート、
である。
したがって、接着促進剤または接着促進システムまたは接着促進組成物の必要性が存在し、これは、包装産業で使用される接着促進剤およびプリントインクの上記で検討された問題および制限の1つまたは2つ以上を克服することができる。
フレキシブルな包装に使用されるフィルム基体の質が劣化し、
フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有し、および/または
フィルム基体は、PPフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約36ダイン/cm以下である領域を有し、PEフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約52ダイン/cm以下である領域を有し、これは、(既知の接着促進剤により)フィルム基体へのインク組成物の乏しい接着性を引き起こす原因であることが見出され、したがって、性能ギャップを創出する原因であることが見出された。
本発明は、ポリマー包装フィルムが、本明細書において記載される既知の接着促進剤が作用しない、a)最適表面エネルギーより低い(lower then optimal surface energy)エネルギーおよびb)一貫しない表面エネルギーを有する場合であっても、すなわち、PPフィルムで作製されている場合には、36ダイン/cm以下の表面エネルギーを有し、PEフィルムで作製されている場合には、52ダイン/cm以下の表面エネルギーを有する場合であっても、ポリマー包装フィルムに良好な接着性を付与することができる包装インクのための、接着促進システムまたは接着促進組成物とも称され得る接着促進剤を提供することを狙う。
したがって、本発明の目的は、包装産業で使用される接着促進剤およびプリントインクの上記で検討された問題および制限の1つまたは2つ以上を克服することができる、接着促進組成物を提供することである。
(i)一貫しない表面処理をされ;
(ii)最適表面エネルギー未満であり、および/または
(iii)既知の接着促進剤ではうまく作用しないと見出された、
ポリマー基体であっても、(a)プリントインクのための接着促進組成物であって、ポリマー基体へのプリントインクの接着性を促進するためのプリントインク組成物における使用に好適であると見出された接着促進組成物を提供することである。
(a)プリントインクのための接着促進組成物;および
(b)前記接着促進組成物を含むプリントインク組成物、
を提供することであり、
ここで、本発明の接着促進組成物は、包装産業で使用される接着促進剤およびプリントインクの上記で検討された問題および制限を克服し、特に、それは以下の場合である:
(i)フレキシブルな包装に使用されるフィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有し、
(iii)フィルム基体が、PPフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約36ダイン/cm以下である領域を有し、PEフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約52ダイン/cm以下である領域を有し、これは、(既知の接着促進剤により)フィルム基体へのインク組成物の乏しい接着性を引き起こす原因であることが見出され、したがって、性能ギャップを創出する原因であることが見出された、
場合である。
従来技術の上記した問題または制限の少なくとも1つを克服することを狙って、本発明者らは、(a)有機チタン酸塩接着促進剤を、(b)表面活性剤の1種または2種以上と組み合わせる場合には、得られる接着促進組成物が、驚くべきことにおよび予期しないことに:
(i)フィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有し、
(iii)フィルム基体が、PPフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約36ダイン/cm以下である領域を有し、PEフィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが約52ダイン/cm以下である領域を有する、
場合であっても、ポリマーフィルム上で良好なまたは改善されたまたは強化された接着性をもたらすことを見出した。
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含む接着促進組成物であって、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含む、
接着促進組成物に関し、
ここで、接着促進組成物は、驚くべきことにおよび予期しないことに:
(i)フィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、ポリマーフィルム上で好適に接着性を付与することが見出された。
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含む接着促進組成物であって、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、インク組成物は、驚くべきことにおよび予期しないことに:
(i)フィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、ポリマーフィルム上で好適に接着性を有することが見出された。
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含み、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、インク組成物は、驚くべきことにおよび予期しないことに:
(i)基体の質が劣化し、
(ii)基体が一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、基体上で好適に接着性を有することが見出された。
本発明の態様の1つに従い、表面活性剤は、本発明の接着促進組成物を含むインク組成物の表面エネルギー(表面張力)を低減することができる。
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含み、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、基体は、驚くべきことにおよび予期しないことに:
(i)基体(基体フィルム)の質が劣化し、
(ii)基体が、一貫しないまたは低い表面処理を有する、
場合であっても、インク組成物の接着性を有することが見出された。
未処理PPフィルムは、約30ダイン/cmの表面エネルギーを有するであろう。
表面処理されたポリエステル(PE)フィルムについて、表面エネルギーは、52ダイン/cmより大きい。
未処理PEフィルムは、約46〜48ダイン/cmの表面エネルギーを有するであろう。
1.チタンオルトエステルおよびベータジケトンの反応生成物を含む、有機チタンベータジケトネート;
2.チタンオルトエステルおよび少なくともモノアルキルホスフェートの反応生成物を含む、有機チタンアルキルホスフェート;
4.チタンオルトエステル、アルキルホスフェートおよび樹脂の反応生成組成物、
を含む群から選択される化合物であり、
ここで、チタンオルトエステル、スルホン酸またはスルホン酸の誘導体および樹脂を、ここで全体が引用される参考文献であるWO2007/119078に記載された1つから選択してもよい。
本発明の好ましい態様の1つに従い、表面活性剤は、3MからのNovec(登録商標)フッ素界面活性剤 FC4430およびFC4432、Air ProductsからのSurfynol(登録商標)420、440および465、Dynol(登録商標)604およびEnvirogem(登録商標)360界面活性剤を含む群から選択される。
インク接着性試験
試験された本発明および従来技術の接着促進剤は、Hitech Inks、Vapi、インド国により供給されたマゼンタ色インクベースに添加され、磁気撹拌子を使用して約5分間混合した。およそ約10ミクロンの平均厚さの二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)フィルムをコロナ放電処理して、約33ダイン/cmの平均表面エネルギーを付与した。2番のKバーを使用して、K−コータアプリケータ上でインクドローダウン(drawdown)がなされた。フィルムをヘアドライヤーを使用して約32〜35秒間乾燥し、次いでテープ接着性試験をセロハンテープを使用して行った。0時間(即時)、2時間、15時間および24時間後の接着テープの除去後、試験領域中に残留するインクのパーセンテージにより結果を決定した。比較された3種のインクを、同一の基体フィルムへ並べて塗布し、セロハンテープの1片をプリントサンプル全ての上に置いて試験条件が同一になることを保証する。ドローダウン中で左、中央および右位置を占める各インクでさらに2回インクを試験し、残留するインクの量を測定し、平均化し、フィルム上での保持%として表した。基体上に残留するインクの量を、試験前のインクのパーセンテージとして表す。
乾燥されて窒素ガスでパージされた1リットルフラスコ中で、377.1gのテトラ(イソプロピル)チタネート(Dorf Ketal Speciality Catalystsにより供給されたTyzor(登録商標)TPT)をチャージし、次いで撹拌して約40℃まで加熱した。112.2gの2−プロパノールを、続いて174.5gの変性エタノールを添加した。約5℃までの穏やかな発熱が観察された。撹拌された溶液を約50℃より低く保持した。86.2gのブチル酸ホスフェート(butyl acid phosphate)(Clariantから得たHordaphos MDB)を添加し、撹拌された混合物を、約20〜40℃で最低約3時間維持し、次いで室温まで冷却し、約8.69%のチタン含有量の透明溶液を得た。
乾燥されて窒素ガスでパージされた1リットルフラスコ中で、503gのテトラ(イソプロピル)チタネート(Dorf Ketal Speciality Catalystsにより供給されたTyzor(登録商標)TPT)をチャージし、次いで撹拌して約40℃まで加熱した。246gの2−プロパノールを、続いて103gの変性エタノールを添加した。穏やかな発熱が観察された。撹拌された溶液を約50℃より低く保持した。次いで、82gのブチル酸ホスフェート(Clariantから得たHordaphos MDB)を添加し、撹拌された混合物を、約20〜40℃で最低約3時間維持し、次いで室温まで冷却し、約8.8%のチタン含有量の透明溶液を得た。
接着促進剤であるTyzor(登録商標)IAMを用いて、インクを上記のとおり同一の試験インク処方物を使用して作製した。接着性を試験し、基体上のフィルムの保持%を表1に記録する。
接着促進剤であるTyzor(登録商標)IAMを使用して、インクを上記のとおり同一の試験インク処方物を使用して作製したが、今回は、DuPont社からの得られたCapstone(登録商標)FS−3100フッ素界面活性剤も添加した。Capstone(登録商標)FS−3100は、インク溶媒系中で良好な溶解性を有するので、表面活性剤としての代わりの溶質として振舞う。
乾燥されて窒素ガスでパージされた1リットルフラスコ中で、500gのテトラ(イソプロピル)チタネート(Dorf Ketal Speciality Catalystsにより供給されたTyzor(登録商標)TPT)をチャージし、次いで撹拌して約40℃まで加熱した。125gのドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)を、続いて変性エタノールを添加して、チタン含有量を8.5%くらいに調節した。穏やかな発熱が観察された。撹拌された溶液を約50℃より低く保持し、次いで室温まで冷却し、透明溶液を得た。
乾燥されて窒素ガスでパージされた1リットルフラスコ中で、503gのテトラ(イソプロピル)チタネート(Dorf Ketal Speciality Catalystsにより供給されたTyzor(登録商標)TPT)をチャージし、次いで撹拌して約40℃まで加熱した。175gのドデシルベンゼンスルホン酸(DDBSA)を、続いて変性エタノールを添加して、チタン含有量を8.5%くらいに調節した。穏やかな発熱が観察された。撹拌された溶液を約50℃より低く保持し、次いで室温まで冷却し、透明溶液を得た。
インクを上記のとおり同一の試験インク処方物を使用して作製したが、今回は、本発明の界面活性剤も添加し、得られた組成物は、インク溶媒系で表面活性を付与した。接着性を試験し、基体上のフィルムの保持%を表2Aおよび2Bに記録する。接着性は、驚くべきことにおよび予期しないことに、従来技術の接着促進剤を本発明の表面活性剤と組み合わせることにより実質的に改善され、本発明の接着促進組成物が得られる。
例1の接着促進剤は接着性を与えず、フィルムの保持はゼロであること;
接着促進剤であるTyzor(登録商標)IAM(例3について)も接着性を与えず、フィルムの保持はゼロであること;
Capstone(登録商標)FS−3100フッ素界面活性剤と組み合わせた接着促進剤であるTyzor(登録商標)IAM(例4について)でも、BOPP基体上で接着性を与えず、ここで、Capstone(登録商標)FS−3100は、インク溶媒系で良好な溶解性を有するので、表面活性剤としての代わりの溶質として振舞うこと;
例2の接着促進剤は接着性を示したが、63%のみのBOPP基体へフィルムの接着を示し、それもまた24時間後であること;および
本発明の表面活性剤を従来技術の接着促進剤と組み合わせた、本発明の組成物である例7であること、
を結論付け得、すなわち:
例1の接着促進剤;
例2の接着促進剤;
Tyzor(登録商標)IAM(Capstone(登録商標)FS−3100フッ素界面活性剤が添加された、例4ではなく例3について);
例5の接着促進剤;および
例6の接着促進剤、
により、驚くべきことにおよび予期しないことに従来技術の接着促進剤の接着性の実質的な改善がもたらされる。
本明細書および特許請求の範囲において使用される用語「約」は、本発明の分野において許容可能な実験誤差を含むことが意図され、本発明の範囲を広げることを意図しないことが留意され得る。
Claims (10)
- (a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含む接着促進組成物であって、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、接着促進組成物は:
(i)フィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、ポリマーフィルム上で接着性を付与する、
接着促進組成物。 - フィルム基体が、ポリプロピレン(PP)フィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが、約30〜約36ダイン/cm、または約33〜約36ダイン/cmを含む群から選択される範囲である領域を有する、請求項1に記載の組成物。
- フィルム基体が、ポリエステル(PE)フィルムで作製されている場合には、表面エネルギーが、約48〜約52ダイン/cm、または約50〜約52ダイン/cmを含む群から選択される範囲である領域を有する、請求項1に記載の組成物。
- 有機チタン酸塩接着促進剤が:
a.チタンオルトエステルおよびベータジケトンの反応生成物を含む、有機チタンベータジケトネート;
b.チタンオルトエステルおよび少なくともモノアルキルホスフェートの反応生成物を含む、有機チタンアルキルホスフェート;
c.チタンオルトエステルおよびスルホン酸またはスルホン酸の誘導体の反応生成物を含む、有機チタンアルキルスルホネート;
d.チタンオルトエステル、アルキルホスフェートおよび樹脂の反応生成組成物、
を含む群から選択される化合物である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。 - 溶媒が、インク組成物のためのアルキルアルコールおよびエステルを含む群から選択される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
- 溶媒が、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチルアセテートおよびn−プロピルアセテートを含む群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
- 接着促進組成物を含むインク組成物であって、前記接着促進組成物は:
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含み、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、インク組成物は:
(i)フィルム基体の質が劣化し、
(ii)フィルム基体が、フィルムにわたって一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、ポリマーフィルム上で接着性を有する、
インク組成物。 - 組成物が、任意に、少なくとも1種の顔料および少なくとも1種の染料を含む群から選択される追加の構成成分を含む、請求項7に記載のインク組成物。
- 基体へのインク組成物の接着性を改善するための方法であって、前記インク組成物は、接着促進組成物を含み、前記接着促進組成物は:
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含み、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、インク組成物は:
(i)基体の質が劣化し、
(ii)基体が一貫しない表面処理を有する、
場合であっても、基体上で接着性を有する、
方法。 - インク組成物の改善された接着性を有する基体であって、前記インク組成物は、接着促進組成物を含み、前記接着促進組成物は:
(a)有機チタン酸塩接着促進剤;および
(b)少なくとも1種の表面活性剤、
を含み、
(c)任意に少なくとも1種の溶媒を含み、
ここで、表面活性剤は、界面活性剤およびポリマー界面活性剤を含む群から選択される化合物を含み、
ここで、基体は:
(i)基体(基体フィルム)の質が劣化し、
(ii)基体が一貫しないまたは低い表面処理を有する、
場合であっても、インク組成物の接着性を有する、
基体。
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