JP2017523973A - フィリゲニンイブプロフェンエステル、その調製方法及びその応用 - Google Patents

フィリゲニンイブプロフェンエステル、その調製方法及びその応用 Download PDF

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Abstract

本発明は、一般式(I)で示される医薬品フィリゲニンイブプロフェンエステル、その調製方法及びに抗ウイルス、解熱、消炎、鎮痛等おける応用を提供する。【化3】

Description

本発明は、薬化学分野に属し、特に、本発明はフィリゲニンイブプロフェンエステル(phillygenin ibuprofen ester)の調製方法、及びその化合物の抗ウイルス剤、解熱剤、消炎剤及び鎮痛剤の薬理学的効果に関する。
フィリゲニン(phillygenin)、別名フィリゲノール(phillygenol)は、フィリリン(phillyrin)のアグリコン部分である。これは、モクセイ科(Oleaceae)、レンギョウ属(Forsythia)に属する植物である連翹(Forsythia suspensa (Thunb.) Vahl)の主な有効性成分であり、その構造は式(II)に示される。近代の薬理学研究は、フィリゲニンが抗ウイルス、抗酸化、血中脂質の低下、フリーラジカルの除去、抗菌、抗腫瘍、消炎等の効果を有することを、示す。
フィリゲニン分子は、不安定で容易に酸化され、その分子構造は酸性環境下で変化し易い。ラットの腸内細菌を模したフィリリン代謝の研究を通じて、フィリゲニン分子が、腸内フローラにより新たな代謝物に極端に容易に代謝されることが分かっている。
イブプロフェンは、非ステロイド系の消炎及び鎮痛に有効な医薬であり、その構造は式(III)に示されるが、長期投与は消化不良、胃潰瘍及び肝臓毒性等の副作用を生じる可能性がある。1989年に、イタリアのアンゲリニ社(Angelini company)は、イブプロフェンとグアヤコール(guaiacol)から合成したイブプロフェングアヤコールエステルを開発して市販した。イブプロフェングアヤコールエステルは、ヒトの消化管では分解されないが、血液に入ったあとでイブプロフェンとグアヤコールに分解され、イブプロフェンの解熱、鎮痛及び消炎効果を生体内で発揮でき、その一方で、消化管における炎症及び肝臓毒性は減少する。2004年に、瀋陽薬科大学(Shenyang Pharmaceutical University)の趙秀麗(Xiuli Zhao)は、イブプロフェンとオイゲノール(eugenol)とをエステル化反応し、オイゲノールイブプロフェンエステルの医薬品、これは生体内で抗ウイルス、解熱、鎮痛及び消炎効果を有する、を得た。さらに、オイゲノールイブプロフェンエステルの医薬品は、オイゲノールの安定性を向上する(中国特許出願公開第1597656A号)。
これまで、フィリゲニン由来のエステル化合物の合成及びその薬理学的活性に関する報告及び記録は未だ発見されていない、そこで、我々は、フィリゲニンとイブプロフェンのエステル化反応を介して、フィリゲニンイブプロフェンエステルを得るとともに、より安定的で、抗ウイルス、解熱、消炎及び鎮痛等の様々な薬理学的効果を有する新化合物が得られることを期待する。
本発の目的は、上記従来技術に存在する問題点を考慮した上で、新規の抗ウイルス化合物であるフィリゲニンイブプロフェンエステル、その調製方法及びその応用を提供し、本発明によって得られたフィリゲニンイブプロフェンエステルは、抗ウイルス効果、解熱効果、鎮痛効果、消炎効果を有し、抗ウイルス、解熱、鎮痛の治療ための医薬又は健康管理用品の調製に使用できる。このフィリゲニンイブプロフェンエステルの調製方法は、単純で、操作し易く、工業的規模の生産にも適している。
本発明の目的を達成するため、本発明の一つの態様は、一般式(I)で示されるフィリゲニンイブプロフェンエステル化合物を提供する。
別の態様で、本発明は、下記の工程をこの順序で含むフィリゲニンイブプロフェンエステル化合物の調製方法を提供する、
A)イブプロフェンがアシル化剤とアシル化反応され、イブプロフェンアシルクロライドを調製する、
及びB)フィリゲニンとイブプロフェンアシルロライドとの間で、触媒の作用でエステル化反応が行われ、産物を得る。
ここで、工程A)におけるアシル化剤は、塩化チオニル(thionyl chloride)、三塩化リン(phosphorus trichloride)、五塩化リン(phosphorus pentachloride)、オキシ塩化リン(phosphorus oxychloride)又はオキシ五塩化リン(phosphorus oxypentachloride)から選択される。
具体的には、アシル化反応の反応温度は、10-30℃である。
具体的には、イブプロフェンとアシル化剤とのモル比は、1:10-1:12、好ましくは1:10である。
具体的には、反応時間は、12時間から24時間であり、好ましくは15時間から24時間である。
具体的には、まず、イブプロフェンは有機溶媒に溶解されたのち、アシル化剤と混合され、その後、アシル化反応が行われる。
ここで、使用される有機溶媒の量は、イブプロフェン1mol当たり3Lから4Lの有機溶媒、好ましくは4Lの有機溶媒に溶解される、である。
具体的には、有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、アセトン、ジクロロメタン及びトリクロロメタンから選択され、好ましくはジクロロメタン及びアセトン、より好ましくはジクロロメタンである。
具体的には、この調製方法は、イブプロフェンアシルクロライドを得るため、アシル化反応ののちに、真空状態において有機溶媒を除去する混合液の濃縮処理をさらに含んでいる。
具体的には、蒸発処理が、有機溶媒を除去するため、減圧下で行われる。
ここで、工程B)における触媒は、有機塩基又は無機塩基から選択される。
具体的には、フィリゲニンと触媒との比は、1:1から1.2:1であり、好ましくは1:1である。
ここで、無機塩基は、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムから選択される。有機塩基は、ピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド又は金属アルコキシドから選択される。
具体的には、金属アルコキシドは、ナトリウムメタノラート(sodium methanolate)又はカリウムtert-ブトキシド(potassium tert-butoxide)から選択される。
ここで、工程B)におけるフィリゲニンと工程A)におけるイブプロフェンとのモル比は、0.8:1から1.2:1であり、好ましくは1:1である。
具体的には、エステル化反応の反応温度は、30℃から70℃であり、好ましくは40℃から60℃である。エステル化反応の反応時間は、12時間から24時間であり、好ましくは15時間から20時間である。
ここで、工程B)におけるエステル化反応は、フィリゲニン及びイブプロフェンアシルクロライドが有機溶媒に加えられたのち、加温状態で行われる。
具体的には、有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、アセトン、ジクロロメタン、及びトリクロロメタンから選択され、好ましくはジクロロメタン又はアセトンである。
具体的には、まず、フィリゲニンは有機溶媒に溶解される。続いて、触媒が加えられ、混合物は均一に撹拌され、その後、工程A)において調製されたイブプロフェンアシルクロライドが均一に混合された混合物に加えられ、エステル化反応が撹拌及び加温された状態で行われる。
具体的には、有機溶媒は、トルエン、ベンゼン、アセトン、ジクロロメタン及びトリクロロメタンから選択され、好ましくはジクロロメタン又はアセトンである。
具体的には、使用される有機溶媒の量は、フィリゲニン1molに対して、15Lから25Lの有機溶媒、好ましくは20Lの有機溶媒に溶解される、である。
具体的には、本発明の調製方法は、さらに、エステル化反応後の生成物を分離及び精製処理する工程C)を含んでいる。C−1)エステル化反応後の混合物は冷却されて温度が低下する。C−2)続いて、混合物は濾過され、濾液が濃縮処理されて溶媒が除去される。C−3)その後、有機溶媒が除去された後の固体物が再結晶処理され、フィリゲニンイブプロフェンエステルを得る。
ここで、工程C−1)におけるエステル化後の反応混合物は、20℃から30℃に冷却される。工程C−2)における濃縮処理は、冷却された混合物を真空中で蒸発させ、有機溶媒を除去する。工程C−3)の再結晶処理における溶媒は、石油エーテル又はヘキサンである。
上記の方法で調製された本発明の化合物は、フィリゲニンイブプロフェンエステルであり、これは室温で白色固体である。フィリゲニンイブプロフェンエステルの構造は、以下のように分析され確認された。
高分解能質量スペクトル:583.26663;C34H40O7Na+1;
赤外線吸収スペクトル:特徴的な吸収ピーク(cm-1)2953.73(-CH3);2867.21(-CH2-);29835.45(Ar-OCH3);1760.11(C=O);1606.25,1591.38,1514.46(Ar-CH);及び1270.57,1042.86(Ar-O-C).
1H-NMR:(CDCl3,600MHz)δppm:6.856-6.961(m,6H),7.135-7.145(m,2H),7.322-7.335(d,2H,J=7.8Hz),4.860-4.853(d,1H,J=4.2Hz),4.494-4.484(d,1H,J=6Hz),4.145-4.129(d,1H,J=9.6Hz),3.988-3.976(d,1H,J=7.2Hz),3.900-3.843(s,8H),3.720-3.713(s,3H),3.346-3.323(s,2H),2.891-2.881(d,1H,J=6Hz),2.481-2.470(d,2H,J=6.6Hz),1.882-1.860(s,1H),1.620-1.609(d,3H,J=6.6Hz),0.920-0.910(s,6H).
13C-NMR:(CDCl3,125MHz)δppm:172.901(C-28),151.374(C-12),148.880(C-18),148.056(C-13),140.635(C-35),140.203(C-17),139.486(C-10),137.436(C-9),130.971(C-31),129.328(C-33),127.445(C-36),127.445(C-37),122.578(C-34),118.045(C-20),117.767(C-16),111.097(C-15),110.035(C-14),110.015(C-19),109.020(C-11),87.345(C-6),82.043(C-4),71.107(C-1),69.830(C-8),55.958(C-OMe),55.933(C-OMe),55.851(C-OMe),54.694(C-2),50.101(C-3),45.107(C-38),45.040(C-30),30.252(C-39),22.448(C-40,41),18.803(C-32).
また、別の態様では、本発明はフィリゲニンイブプロフェンエステルの抗ウイルス分野への応用を提供する。
さらに、別の態様では、本発明はフィリゲニンイブプロフェンエステルの抗ウイルス薬物又は健康管理用品の調製への応用を提供する。
本発明は、解熱、鎮痛及び消炎のための薬物又は健康管理用品の調製へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの応用も提供する。
ここで、本発明は、フィリゲニンイブプロフェンエステルを含み、抗ウイルス、解熱、鎮痛及び消炎効果を有する、医薬又はヘルスケア組成物を提供する。
具体的には、医薬組成物は、本発明のフィリゲニンイブプロフェンエステル及び薬理学的に許容される添加剤を含む。
ここで、薬理学的に許容される添加剤は、非毒性の固体状、半固体状又は液状の充填剤、希釈剤、担体、pH調節剤、イオン強度調節剤、徐放又は制御放出剤、封入物質又は他の医薬添加剤が挙げられる。使用される担体は、投与方法に適合するものであればよく、当技術分野で公知の添加剤によって、注射液、注射液用凍結乾燥粉末、スプレー、経口液剤、経口懸濁剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、徐放性又は遅延放出性の形態等に調製できる。好ましくは、本発明の第一の形態であるフィリゲニンイブプロフェンエステルは、注射又は消化管を経由して投与される、従って、本発明の医薬組成物は、好ましくは注射剤又は消化管を経由して投与される剤形、すなわち、注射剤又は消化管を経由して投与される剤形のための添加剤がより好まれる。ここで、「消化管を経由して投与」とは、経口投与、胃内投与及び注腸投与等を含む、患者の消化管を経由する薬剤の投与形態が挙げられ、好ましくは経口投与、例えば、経口液剤、経口懸濁剤、錠剤、カプセル剤、腸溶剤、丸剤、粉剤、顆粒剤、徐放性又は遅延放出性製剤等を調製するために、当技術分野で公知の添加剤が使用できる。一方、注射製剤は主に注射及び粉体注射である。
本発明の新規化合物であるフィリゲニンイブプロフェンエステルは、抗ウイルス、解熱、鎮痛及び消炎効果を有し、抗ウイルス、解熱、鎮痛及び消炎薬物又は健康管理用品の調製に使用できる。フィリゲニンイブプロフェンエステルはエステル化反応によって調製されるので、この調製方法は、反応条件が穏やか、高収率、エネルギー消費が少なく、環境に優しく、操作プロセス条件が制御し易く、品質を向上しやすく、工業的に大規模で生産するのに適しているという利点を有する。
上記エステル化反応において、フィリゲニンは適切な有機溶媒に溶解され、イブプロフェンアシルクロライドが反応系に加えられ、エステル化反応が10時間から24 時間行われる。反応終了後、反応液は中性になるまで水で洗浄され、最後に水分を除くために乾燥剤が加えられ、有機溶媒が減圧下で蒸発されて白色固体が得られ、残った固体が再結晶されて、フィリゲニンイブプロフェンエステルが得られる。
図1は、本発明のフィリゲニンイブプロフェンエステルの1H-NMRスペクトルである。 図2は、本発明のフィリゲニンイブプロフェンエステルの13C-NMRスペクトルである。 図3は、本発明のフィリゲニンイブプロフェンエステルの赤外線吸収スペクトルである。 図4は、インフルエンザウイルス性肺炎に感染させられたモデルマウスの肺組織の病理切片である。
ここで、Aは通常マウスの肺組織である。Bはインフルエンザウイルス性肺炎に感染したマウスの肺組織である。Cは、高用量群のフィリゲニンイブプロフェンエステルで処理したのち、インフルエンザウイルス性肺炎に感染したマウスの肺組織である。Dは、中用量群のフィリゲニンイブプロフェンエステルで処理したのち、インフルエンザウイルス性肺炎に感染したマウスの肺組織である。Eは、低用量群のフィリゲニンイブプロフェンエステルで処理したのち、インフルエンザウイルス性肺炎に感染したマウスの肺組織である。Fは、タミフル(Tamiflu)で処理したのち、インフルエンザウイルス性肺炎に感染したマウスの肺組織である。
本発明は、以下の実施例によりさらに説明される。ただし、以下の実施例は単に本発明の例示のためのものであり、これらは本発明の範囲への如何なる限定としても解釈されない。加えて、実施例における試薬及び原料は商業的に入手でき、より詳細には、有機合成ガイド、薬物監督行政上のガイドライン、及び機器及び試薬について対応する製造業者の指示等を参照できる。
<実施例1>
1.アシル化反応
イブプロフェン(2.06g,0.01mol)が三つ口フラスコに入れられ、ジクロロメタン40mLに溶解された。アシル化剤の塩化チオニル(11.9g,0.1mol)が三つ口フラスコに加えられたのち、反応が室温(20℃)で15時間行われ、ジクロロメタンが減圧下(すなわち、真空状態)で蒸発させられ、イブプロフェンアシルクロライドが得られた。ここで、イブプロフェンとアシル化剤とのモル比は1:10であった。
2.エステル化
フィリゲニン(3.72g,0.01mol)が、200mlのアセトンを含む三つ口フラスコに収納されて、混合物は均一に混合された。続いて、触媒の炭酸カリウム(1.5g,0.01mol)が加えられ、混合物は均一に撹拌された。その後、工程1)で調製されたイブプロフェンアシルクロライド(2.24g,0.01mol)が三つ口フラスコに滴下された。混合物が撹拌されながら60℃まで温められ、エステル化反応が温度を60℃に維持しながら15時間行われた。
3.分離及び精製処理
エステル化反応後の混合物は室温(20℃-25℃)まで冷却され、混合物は濾過され、固体残渣が除かれ、濾液は減圧下で蒸発されてアセトン溶媒が回収され、固体残渣が得られた。
溶媒除去のあとに得られた固体はジクロロメタンに溶解され、得られた液体は中性になるまで水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥され、ジクロロメタン溶媒は真空状態(すなわち、減圧下)で蒸発され、白色固体が得られた。
得られた白色固体は石油エーテルにより再結晶処理されて、フィリゲニンイブプロフェンエステルが得られた(5.49g、収率98%)。
フィリゲニンイブプロフェンエステルは白色固体であり、その融点は110℃であり、溶解性はメタノール、クロロホルム及びジクロロメタン等に溶解する。
高分解能質量スペクトル:583.26663C34H40O7Na+1;分子量:561.
赤外線吸収スペクトル:特徴的な吸収ピーク(cm-1)2953.73(-CH3);2867.21(-CH2-);29835.45(Ar-OCH3);1760.11(C=O);1606.25,1591.38,1514.46(Ar-CH);1270.57,1042.86(Ar-O-C).この結果は図3に示される。
1H-NMR:(CDCl3,600MHz)δppm:6.856-6.961(m,6H),7.135-7.145(m,2H),7.322-7.335(d,2H,J=7.8Hz),4.860-4.853(d,1H,J=4.2Hz),4.494-4.484(d,1H,J=6Hz),4.145-4.129(d,1H,J=9.6Hz),3.988-3.976(d,1H,J=7.2Hz),3.900-3.843(s,8H),3.720-3.713(s,3H),3.346-3.323(s,2H),2.891-2.881(d,1H,J=6Hz),2.481-2.470(d,2H,J=6.6Hz),1.882-1.860(s,1H),1.620-1.609(d,3H,J=6.6Hz),0.920-0.910(s,6H).この結果は図1に示される。
13C-NMR:(CDCl3,125MHz)δppm:172.901(C-28),151.374(C-12),148.880(C-18),148.056(C-13),140.635(C-35),140.203(C-17),139.486(C-10),137.436(C-9),130.971(C-31),129.328(C-33),127.445(C-36),127.445(C-37),122.578(C-34),118.045(C-20),117.767(C-16),111.097(C-15),110.035(C-14),110.015(C-19),109.020(C-11),87.345(C-6),82.043(C-4),71.107(C-1),69.830(C-8),55.958(C-OMe),55.933(C-OMe),55.851(C-OMe),54.694(C-2),50.101(C-3),45.107(C-38),45.040(C-30),30.252(C-39),22.448(C-40,41),18.803(C-32).この結果は図2に示される。
<実施例2>
1.アシル化反応
イブプロフェン(2.06g,0.01mol)が三つ口フラスコに入れられ、ジクロロメタン40mLに溶解された。アシル化剤のオキシ塩化リン(15.3g,0.1mol)が三つ口フラスコに加えられたのち、反応が室温(30℃)で15時間行われ、ジクロロメタンが減圧下(すなわち、真空状態)で蒸発させられ、イブプロフェンアシルクロライドが得られた。ここで、イブプロフェンとアシル化剤とのモル比は1:10であった。
2.エステル化反応
フィリゲニン(3.72g,0.01mol)が、200mlのジクロロメタン溶媒を含む三つ口フラスコに収納され、混合物は均一に混合された。続いて、触媒のトリエチルアミン(1.5ml,0.01mol)が加えられ、混合物は均一に撹拌された。その後、工程1)で調製されたイブプロフェンアシルクロライド(2.24g,0.01mol)が三つ口フラスコに滴下された。混合物が撹拌されながら40℃まで温められ、エステル化反応が温度を40℃に維持しながら20時間行われた。
3.分離及び精製処理
エステル化反応後の混合物は室温(20℃-25℃)まで冷却され、混合物は濾過され、固体残渣が除かれ、濾液は減圧下で蒸発されてジクロロメタン溶媒が回収され、固体残渣が得られた。
溶媒除去のあとに得られた固体はジクロロメタンに溶解され、得られた液体は中性になるまで水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥され、ジクロロメタン溶媒は真空状態(すなわち、減圧下)で蒸発され、白色固体が得られた。
得られた白色固体は石油エーテルにより再結晶処理されて、フィリゲニンイブプロフェンエステルが得られた(5.44g、収率97%)。
再結晶によって得られた白色固体の物理化学的特徴、スペクトルデータ及びマススペクトルデータは、実施例1で調製されたフィリゲニンイブプロフェンエステルのものと一致した。
<実施例3>
1.アシル化反応
イブプロフェン(2.06g,0.01mol)が三つ口フラスコに入れられ、ジクロロメタン40mLに溶解された。アシル化剤のオキシ五塩化リン(20.8g,0.1mol)が三つ口フラスコに加えられたのち、反応が室温(10℃)で15時間行われ、ジクロロメタンが減圧下(すなわち、真空状態)で蒸発させられ、イブプロフェンアシルクロライドが得られた。ここで、イブプロフェンとアシル化剤とのモル比は1:10であった。
2.エステル化反応
フィリゲニン(3.72g,0.01mol)が200mlのトリクロロメタン溶媒を含む三つ口フラスコに収納され、混合物は均一に混合された。続いて、触媒のナトリウムメトキシド(1.5ml,0.01mol)が加えられ、混合物は均一に撹拌された。その後、工程1)で調製されたイブプロフェンアシルクロライド(2.24g,0.01mol)が三つ口フラスコに滴下された。混合物が撹拌されながら50℃まで温められ、エステル化反応が温度を50℃に維持しながら17時間行われた。
3.分離及び精製処理
エステル化反応後の混合物が室温(20℃-30℃)まで冷却され、混合物が濾過され、固体残渣が除かれ、濾液が減圧下で蒸発されてトリクロロメタン溶媒を回収され、固体残渣が得られた。
溶媒除去のあとに得られた固体はジクロロメタンに溶解され、得られた液体は中性になるまで水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥され、溶媒のジクロロメタンは真空状態(すなわち、減圧下)で蒸発され、白色固体が得られた。
得られた白色固体は石油エーテルにより再結晶処理されて、フィリゲニンイブプロフェンエステルが得られた(5.49g、収率98%)。
再結晶によって得られた白色固体の物理化学的特徴、スペクトルデータ及びマススペクトルデータは、実施例1で調製されたフィリゲニンイブプロフェンエステルのものと一致した。
試験例1 フィリゲニンイブプロフェンエステルの抗ウイルス活性試験
1 試験管内抗ウイルス試験
1.1 試験材料
(1)薬物
1)フィリゲニンイブプロフェンエステル(実施例1で調製された。)は、白色固体であり、Dalian Fusheng Natural Medicinal Development Co.,Ltd.により製造され、2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により測定された純度は99.1%であった。
2)リバビリン注射剤は、無色透明の液体であり、Henan Runhong Pharmaceutical Co.,Ltd.により製造され、製品ロット番号は1206261であり、中国医薬品許可番号はH19993553であり、その濃度は100mg/mlであり、本実験では陽性対照薬として使用される。
3)リン酸オセルタミビルは、中国薬品生物製品検定所(National Institute for the Control of Pharmaceutical and Biological Products)から入手でき、バッチ番号は101096-200901であり、100mg/注入量であり、本実験では陽性対照薬として使用される。
4)フィリゲニンは、白色粉末であり、Dalian Fusheng Natural Medicinal Development Co.,Ltd.によって製造され、2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により測定された純度は99.1%であった。
5)イブプロフェンは、中国薬品生物製品検定所から購入され、バッチ番号は0179-9702である。
上記の薬物は、すべて精製水に溶解され、濾過され、殺菌され、分注され、使用するまで4℃で保管された。これらの全ては、この試験で試験される薬物であった。
(2)細胞株
ベロ細胞(アフリカミドリザル腎細胞)の細胞株は、吉林大学(Jilin University)の基礎医学院(College of Basic Medical Sciences)に保管されていた。
(3)ウイルス株
1)インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス及び呼吸器合胞体ウイルス(RSV)は、何れも中国予防医学科学院(Chinese Academy of Preventive Medicine)のウイルス研究所(Virology Institute)から購入した。
2)コクサッキーウイルスB3型(CVB3)株は、中国科学院(Chinese Academy of Sciences)、武漢ウイルス研究所(Wuhan Institute of Virology)から購入した。
3)コクサッキーウイルスA16型(CoxA16)株及びエンテロウイルスEV71株は、日本の国立仙台病院から購入した。
4)アデノウイルス(AdV)は、ノーマン・ベチューン医科大学の第一病院(The First Hospital of Norman Bethune Health Science Center)の小児科研究部から購入した。
5)単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)は、厚生省の薬品生物製品検定所(The Institute for the Control of Pharmaceutical and Biological Products, Ministry of Health)から購入した。
(4)主な機器及び試薬
生物学的安全キャビネット:BHC−1300IIA/B3,AIRTECH
炭酸ガスインキュベーター:MCO−18AIC,三洋電機
倒立顕微鏡:CKX41,オリンパス
電子分析てんびん:AR1140/C,DHAUS
培地:DMEM,HyClone
ウシ胎仔血清:HyClone
トリプシン:Gibco
MTT:Sigma
DMSO: Tianjin Beilian Fine Chemicals Development Co., Ltd.
1.2 試験方法
(1)細胞の調製
ベロ細胞を1〜2日間継代培養して製膜し、培養細胞は、明瞭な境界線、強い立体感及び視度が示されたのち、膵酵素により消化された。膵酵素による消化は、細胞表面に針状のウェルが生じたあとに停止され、細胞は数ミリリットルの培養液に分散され、計数され、培養液(10%のウシ胎仔血清を含有するDMEM)で約5×107 cells/Lまで希釈され、96ウェル培養プレートに播種されたのち、単層になるまで培養された。
(2)薬物毒性の測定
細胞毒性試験:薬物は、細胞毒性を測定するために表1−1に示す濃度に従って希釈された。
維持液(2%のウシ胎仔血清を含有するDMEM)で異なる濃度に希釈された前記薬物が、各ウェルに0.2mlずつ、各濃度に対してそれぞれ6つの重複ウェルができるように、ベロ単層細胞に滴下された。加えて、正常対照(薬物の添加なし)の6つのウェル及びブランク対照(培地のみ)の6つのウェルを設けられた。細胞は、37℃、5%炭酸ガスインキュベーター内で培養され、CPEが、毎日、倒立顕微鏡で観察され記録された。72時間後、20μL(5mg・mL-1)のMTT溶液が各ウェルに加えられて4時間培養され、各ウェル内の培養液は吸引・廃棄され、100μLのDMSOが各ウェルに添加され、5分間振盪され、492nmでのOD値が測定され、細胞生存率が算出された。SPSS18.0統計ソフトウェアにおいて、細胞生存率がプロビット回帰分析に供され、ベロ細胞に対する薬物の最大非毒性濃度(TC0)及び50%細胞毒性濃度(TC50)が算出された。
(3)種々のウイルスのTCID50の測定
各ウイルスは、10倍段階で順次希釈され、10-1、10-2、10-3、10-4及び10-5の異なる希釈度を有するようになった。単層ベロ細胞を含む96ウェル培養プレートの6つの重複ウェルは、正常細胞対照群とともに、100μLの順次希釈液で培養された。培養プレートは、5%炭酸ガス中、37℃で2時間培養されたのち、ウイルス液が廃棄され、100μLの細胞維持液が各ウェルに加えられ、5%炭酸ガス中、37℃で培養された。細胞変性効果は、3日目から顕微鏡で観察され、結果は7日目から8日目に測定され記録された。ウイルス力価は、ウェルの50%に陽性病変が起こるところを終点とする最高希釈度に基づいて、Karber法により算出された。
(4)ウイルス誘発性細胞障害への薬物の影響
単層細胞で覆われた培養プレートの培養液が吸引・除去され、100TCID50となる量の攻撃ウイルスが細胞に接種され、5%炭酸ガスインキュベーター内に37℃で2時間に置かれ、特定の濃度(およそ最大非毒性濃度)の種々の薬物液が加えられた。濃度ごとに6つの重複ウェル、200μL/ウェルで実験された。リバビリン注射剤及びリン酸オセルタミビルが陽性薬物対照群、正常対照群(ウイルス及び薬物が加えられていない。)及びウイルス対照群(ウイルスは加えられているが、薬物は加えられていない。)が、薬物のウイルス誘発CPEに与える影響を調べるために、用意された。72時間後、492nm波長下でのOD値が、MTT比色法を使用して測定され、薬物の抗ウイルス有効率(ER%)が算出された。SPSS18.0統計ソフトウェアの分散分析(ANOVA)法が、薬物群間で抗ウイルス有効性に有意差があるか、否かを調べるために使用された。
1.3 実験結果
(1)種々のウイルスのTCID50
(2)薬物毒性の測定
1)薬物の細胞毒性の測定
ベロ細胞に対する薬物の最大非毒性濃度(TC0)、50%細胞毒性濃度(TC50)及び薬物の抗ウイルス実験に使用される濃度を表1−2に示された。
2)ウイルス誘発性細胞障害における薬物保護効果の結果
種々のウイルスに抵抗する薬物の有効率及びANOVA法の一元配置分散分析の結果の詳細は、表1−3を参照。
表1−3に示すように、インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、単純ヘルペスウイルスI型(HSV-I)、及びエンテロウイルスEV71に対するフィリゲニンイブプロフェンエステルの阻害率及び有効率は、何れもすべて90%を超えており、ウイルス対照群と比較すると差は大きく、統計学的に有意である。幾つかのウイルスに対するフィリゲニンイブプロフェンエステルの抗ウイルス効果は、フィリゲニン、リバビリン及びリン酸オセルタミビルよりも優れていた。
2.生体内の抗ウイルス試験
2.1 実験材料
(1)実験動物
医薬用動物No.10-5219である昆明マウスは、吉林大学のノーマン・ベチューン健康科学センター(Norman Bethune Health Science Center)の実験動物センターにより提供された。
(2)検出機器及び試薬
機器名 モデル 製造業者
定量PCR装置 7300 ABI
PCR装置 ES-60J Shenyang Longteng Electronic
Weighing Instrument Co.,Ltd.
電子分析てんびん FA1004 Shenyang Longteng Co.,Ltd.
炭酸ガスインキュベーター HG303-5 Nanjing Experimental Instrument Factory
スーパークリーンベンチ SW-CJ-IF Suzhou Antai Air Tech Co.,Ltd.
倒立顕微鏡 CKX41 オリンパス
-80℃超低温フリーザー TECON-5082 オーストラリア
水浴振盪器 HZS-H Harbin Donglian Co.,Ltd.
マイクロプレートリーダー TECAN A-5082 オーストラリア
分光光度計 7550モデル 日本
2.2 実験方法
(1)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスによるマウスの半数致死量の測定
インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルス(細胞可溶化物)を10倍段階で減少するように希釈して、10-1、10-2、10-3、10-4、及び10-5の濃度を有するウイルス液にした。120匹の昆明マウスを得て、そのうち60匹はインフルエンザウイルス群のために用意し、また残りの60匹はパラインフルエンザウイルス群のために用意し、各群をランダムに6つの群に分けた。マウスはエーテルで軽く麻酔をかけ、異なる希釈度を有するウイルス液を0.03mL/マウスとなるように経鼻的に感染させた。一方で、ブランク対照を用意し、ウイルス液を生理食塩水で置き換えた。死亡及び生存が観察指標として使用され、観察は感染後の14日間毎日行われた。感染してから24時間以内に死亡したマウスは非特異的死亡であるため数には入れず、Karber法を使用して、ウイルス液のLD50を算出した。
(2)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスの感染により引き起こされる肺炎への抵抗力についてのフィリゲニンイブプロフェンエステルの研究
1)試験動物及び群分け
2つの試験を行うため、840匹の4週齢昆明マウスが選ばれた。420匹のマウスが選ばれ、インフルエンザウイルスに感染したマウスに対するフィリゲニンイブプロフェンエステルの肺指数及び肺指数阻害率を測定する試験のために21群にランダムに分けられた(各群20匹)。試験は3回繰り返され、それぞれ70匹のマウスが使用された。残りの420匹が選ばれ、フィリゲニンイブプロフェンエステル塩の肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価を測定する試験のために21群にランダムに分けられた(各群20匹)。実験は3回繰り返され、それぞれ70匹のマウスが使用された。
2)感染方法
脱脂綿を200-300mLビーカーに入れ、その中に適切な量のジエチルエーテル(単に綿を湿らせるため)が加えられ、脱脂綿が入ったビーカーは上下逆さまにされ、その中で麻酔をかけるときマウスは極度に興奮しているので、明らかに弱ったときにマウスの背を下にして横たわらせ、15LD50のインフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスを0.03ml/鼻孔でマウスに鼻から吸わせて感染させるが、正常対照群では、ウイルス懸濁液は生理食塩液によって置き換えられた。
3)投与方法及び投与量
各マウスは、フィリリン、リバビリン及びリン酸オセルタミビルを感染1日前に経胃的に投与された。フィリゲニンイブプロフェンエステルの高濃度投与量、中濃度投与量及び低濃度投与量は、それぞれ13.0mg/kg、8.0mg/kg及び4.0mg/kgであり、リバビリンの投与量は58.5mg/kgであった。連続した5日間、1日1回投与した。ウイルス対照群のマウスには同量の生理食塩液が投与された。
4)観察指標
(i)肺指数の測定
薬物がマウスに投与されてから5日後、まず、マウスは8時間水分を抑えられ、次に、マウスは秤量されたのち、眼球摘出による出血により殺される。マウスの胸腔を開いて肺全体が取り出され、肺は生理食塩液で2度洗浄され、濾紙を使用して肺の表面の水分が除去され、電子てんびんを使用して秤量された。肺指数及び肺指数阻害率は以下の式に従って算出される。
(ii)肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価の測定
各群のマウスの肺は、それぞれ処理後5日目に取り出され、ホモジナイザーにより低温でホモジネートされた。ホモジネートは生理食塩液によって10%の肺組織懸濁液に希釈された。遠心分離されて上清が得られ、上清は2倍希釈され、0.2ml/ウェルで滴定プレートに滴下された。0.2mlの1%ニワトリ赤血球懸濁液が各ウェルに加えられよく混ぜられた。滴定プレートは室温環境に30分間置かれ、赤血球凝集価が観察され記録された。赤血球が(++)まで凝集した時点で終点となり、その赤血球凝集価は懸濁液の希釈倍数により表された。
(iii)肺組織形態の観察
処理後5日目に、各群のマウスの肺は取り出され、それら内臓の全体的な病理学的変化が肉眼で観察され記録される。肺は生理食塩液により洗浄され、肺に付いた水分は濾紙を使用して吸収され、肺の一部は10%ホルムアルデヒドで固定され、パラフィンに包埋され、スライスされ、HE染色され、顕微鏡下で観察及び写真撮影された。
2.3 実験結果及び分析
(1)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスによるマウスの半数致死量の測定結果
実験群の昆明マウスはそれぞれ、30μLの異なる濃度のインフルエンザウイルス液及びパラインフルエンザウイルス液を経鼻的に感染させられた。感染から3日目に、最初の3つの群のマウス(ウイルス濃度に基づき10-1群、10-2群、及び10-3群)はすべて、異なる程度の病徴、すなわち、立毛、震え、食欲減退等を示した。5日目にマウスはよろけた。6日目に最高ウイルス濃度(10-1群)のマウスは死に始め、感染してから7日目に残りの群でも次々と死んだ。14日間の観察が完了すると、各群のマウスの死亡数が数えられ、その結果は下記の表1−4及び表1−5に示された。計算により、インフルエンザウイルスのLD50は希釈度10-2.9であり、パラインフルエンザウイルスのLD50は希釈度10-2.5であった。
ウイルスのLD50はKarber法により算出された。インフルエンザウイルスのLogLD50は、次の通りであった。
ウイルスのLD50はKarber法により算出された。パラインフルエンザウイルスのLogLD50は、次の通りであった。
(2)インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスの感染により引き起こされる肺炎への抵抗力についてのフィリゲニンイブプロフェンエステルの結果
(i)肺指数の測定
インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスをマウスに感染したのち、平均肺指数は、感染モデル群と比較して、フィリゲニンイブプロフェンエステルが3.25-13.0mg/kg/dの濃度範囲で明らかな保護効果を有すること、及びすべての肺指数が明らかに低下したこと、インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスに対するフィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群の治療効果がフィリゲニン群よりも優れていた(P<0.05)こと、が示された。その結果は、表1−6及び1−7に見られる。
(ii)肺懸濁液のウイルス赤血球凝集価の決定
インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスをマウスに感染したのち、感染モデル群の肺組織のウイルス赤血球凝集価(InX)は、それぞれ32.40及び33.11であった、異なる濃度のフィリゲニンイブプロフェンエステル5日間処理したのち、肺組織の両ウイルスに対する赤血球凝集価はある程度低下した、さらに、感染モデル群と比較すると、その違いは著しく高かった(P<0.01)。ここで、フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量及び中用量群のインフルエンザ及びパラインフルエンザウイルスに対する赤血球凝集価は、感染モデル群と比べて何れも極めて低かった、そして、阻害率は、両方とも、フィリゲニン群よりも高く、著しく異なっていた(P<0.05,p<0.01)。その結果は、表1−8及び1−9に見られる。
(iii)肺組織の検出結果
顕微鏡によって、ウイルス性肺炎モデル群において、インフルエンザ及びパラインフルエンザウイルスによって誘発された疾病モデルマウスの気管支、細気管支及び肺胞壁のような肺間質組織が、鬱血(congestion)、浮腫(edema)及びリンパ球浸潤(lymphocytic infiltration)、単核細胞(mononuclear cell infiltration)、肺胞壁の拡張(alveolar wall widening)、及び肺胞の炎症反応(inflammatory reaction of pulmonary alveoli)に罹病させられた、と見られた。フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量及び中用量群において、マウスの間質性肺病変は著しく軽減され、及び肺形態学的構造は一部正常であった。病理学的写真の詳細は、図に見られる。
インフルエンザウイルス肺炎モデルの肺組織の顕微鏡実験における病理学的薄片は、図4に示される。図4Aは通常マウスの肺組織を示す。図4Bはインフルエンザウイルス肺炎マウスの肺組織を示す。図4Cは、高用量フィリゲニンイブプロフェンエステル処理後のインフルエンザウイルス肺炎モデルマウスの肺組織を示す。図4Dは、中用量フィリゲニンイブプロフェンエステル処理後のインフルエンザウイルス肺炎マウスモデルの肺組織を示す。図4Eは、低用量フィリゲニンイブプロフェンエステル処理後のインフルエンザウイルス肺炎マウスモデルの肺組織を示す。図4Fは、タミフル処理後のインフルエンザウイルス肺炎マウスモデルの肺組織を示す。
2.4結論
生体内の抗ウイルス試験は、フィリゲニンイブプロフェンエステルは3.25-13mg/kg/dの用量範囲で、インフルエンザウイルス及びパラインフルエンザウイルスに対して比較的顕著な阻害効果を示し、それとともに、これらを原因とするマウスのウイルス性肺炎は、 3.25mg/kg/dから13mg/kg/dの量的範囲において、これらの肺指数及び赤血球凝集価を顕著に減少でき、肺組織病変を顕著に向上することもでき、モデル対照群と比較して顕著な違いがあり、フィリゲニンイブプロフェンエステルの中用量及び高用量群の治療効果は、フィリゲニン群よりも明らかに優れ(*P<0.05又は**P<0.01)、リバビリン群及びリン酸オセルタミビル群よりも優れている傾向を示した。
試験例2 フィリゲニンイブプロフェンエステルの解熱、鎮痛及び消炎影響実験
1.1試験材料
(1)試験動物
Wistarラットは、体重120-250g、雄及び雌の組み合わせであり、承認番号はMedicinal Animal No. 10-5219である。日本白色ウサギは、雄、体重1.5-2.0kg、承認番号はMedicinal Animal No.10-5115であった。これらは、全てChangchun Gaoxin Medical Animal Experimental Centerにより供給され、動物飼料は、吉林大学の実験動物部によって供給された。
(2)試験薬物
フィリゲニンイブプロフェンエステルは、白色固体(実施例1で調製された。) であり、Dalian Fusheng Natural Medicinal Development Co.,Ltd.により製造され、2つの高速液体クロマトグラフィー検出器、すなわち、紫外線検出器及び蒸発光散乱検出器(ELSD)で面積正規化法により測定された純度は99.1%であった。この試験に使用する際には、0.5% カルボキシメチルセルロースナトリウムで目的濃度に調製された。
1.2主な機器及び試薬
YLS-7A ラット足指膨張測定装置:Equipment Station, Shandong Academy of Medical Services
722 可視分光光度計:Shanghai Spectrum Instruments Co., Ltd. 製造
ポータブルデジタル温度計:モデルWSC-411P、Third Factory of Pudong, Shanghai
ピロカルピン: Tianjin People's Pharmaceutical Factory、ロット番号20130112
ヒスタミン: Shanghai Institute of Biochemistry、ロット番号20130115
5-ヒドロキシトリプタミン: Shanghai Institute of Biochemistry、ロット番号20130623
エバンスブルー: Shanghai Chemical Reagent Procurement and Supply Station、ロット番号20130217
マレイン酸クロルフェニラミン錠: Changchun Economic Development Zone Pharmaceutical Co., Ltd.、ロット番号20130801
カラギーナン: Jilin Drug Research Institute、ロット番号20130502
パラセタモール錠: Liaoyuan Baikang Pharmaceutical Co., Ltd.、ロット番号20130512
アスピリン錠剤: Baicheng Wanda Pharmaceutical Co., Ltd.、ロット番号20130305
ビール酵母: Beijing AOBOX Biotechnology Co., Ltd.、ロット番号2013020
腸チフス及びパラチフスワクチン: Changchun Institute of Biological Products、ロット番号20130216
1.3 統計処理
統計分析は、2つのサンプルの比較に、順位和検定(rank sum test)、カイ2乗(χ2)検定及びt検定を利用した。
2.1 ラット足肉球汗分泌へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの影響試験(着色法)
(1)材料及び方法
この試験は、汗腺がラットの肉球に分布しており、汗と関連してヨウ素と澱粉が紫色の呈色反応するメカニズムに基づいて、汗分泌の変化を観察することを目的に設計された。
この実験では、350匹のWistarラットが、雌雄同数、体重120-150gとなるように選ばれた。これらのラットは、体重及び性別に応じてランダムに35群に分けられ、すなわち、5群は対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリゲニンイブプロフェンエステル(2.5、5及び10mg/kg)群は各5群、イブプロフェン(300mg/kg)群は5群、フィリゲニン(10mg/kg)群は5群、及び陽性薬物であるピロカルピン(pilocarpine,35mg/kg)群は5群、各群は10匹のラットを含む、に分けられた。ラットは、両後肢が露出した状態で、自作のラット固定袋に入れられた。右足肉球の不潔物が、無水エタノールを浸した綿棒で、優しく綺麗に洗浄された。皮下注射がピロカルピン溶液に使用されたことを除けば、他の群には胃内投与が使用された。投与1時間後(ピロカルピン群の投与から30分後)、全ての群れのラットの右足に元からある汗及びもがいたことにより生じた汗が、まず、乾燥した綿棒で拭われ、Hetian-Gao Yuan's A 試薬液(ヨウ素 2gが無水エタノール100mlに溶解された。) が塗られ、その後、完全に乾燥したのち、Hetian-Gao Yuan's B 試薬液(可溶な澱粉50g及びヒマシ油100mlが均一に混ぜられた。) の薄い層が塗られた。B液で塗ってから、それぞれ1,5,10,15及び20分後に、拡大鏡が、暗紫色の点(すなわち、汗点)の色と数を注意深く観察するため、使用された。試験が完了すると、群同士の違いを比較するために、2つのサンプルを比較する順位和検定による統計処理が行われた。
(2)結果
対照群と比較して、明らかな促進効果が、フィリゲニンイブプロフェンエステル10mg/kg群のラットの足肉球の汗分泌において、B液が塗られてから5、10、15及び20分後に観察され(*P<0.05)、それはラット足肉球の汗分泌を促進する特有の効果を備え、その効果は陽性薬物であるピロカルピンと同等であった。ここで、フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群、中用量群、低用量群は、ラットの足肉球の汗分泌の促進において、投与の5から20分、10から20分、及び20分でそれぞれ顕著な効果を示した。フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群及び中用量群は、汗分泌の促進において、フィリゲニンよりも優れた治療効果を投与の5から20分及び10から15分に有し(#P<0.05)、さらに、高用量群は、汗分泌の促進において、イブプロフェンよりも優れた治療効果を投与の20分に有した。表2−1、2−2、2−3、2−4、2−5を参照。
2.2 ラット足肉球汗分泌へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの影響試験(組織形態観察法)
(1)材料と方法
この実験は、ラットの汗腺が存在すると、汗分泌の増大に加えて、汗腺上皮細胞の形態も変わる、というメカニズムに基づいた。汗腺上皮細胞の空細胞数の増加と拡張が、顕微鏡下で見られる。このような拡大された空胞は、電子顕微鏡下で、汗腺上皮細胞のミトコンドリアの膨張、破裂、融合及び分泌小胞の拡大が示され、ラット脚部汗腺上皮細胞の形態学的観察を通じて、汗腺の分泌活性を知られる。
この実験で、70匹のWistarラットが、雌雄同数、体重120-160gとなるように選ばれた。これらのラットは、体重及び性別に応じてランダムに7群に分けられ、すなわち、ブランク対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリゲニンイブプロフェンエステル(2.5、5及び10 mg/kg)群、イブプロフェン(300mg/kg)群、フィリゲニン(10mg/kg)群及び陽性薬物であるピロカルピン(35mg/kg)群、各群10匹を含む、に分けられた。皮下注射がピロカルピン溶液に使用されたことを除けば、他の群には胃内投与が使用された。投与1時間後(ピロカルピンの投与から30分後)、右後肢が足首の関節で瞬時に切断され、右後肢の肉球が直ぐに解体され、10% ホルムアルデヒド溶液に漬けられ、固定のため、従来からある脱水、包埋、薄切、HE染色方法が使用された。各群のラットのつま先部分における汗腺上皮細胞の変化は、光学顕微鏡下で観察され、空胞発生率(すなわち、空隙率、空胞発生の百分率=空胞である汗腺の数/観察された汗腺の数×100%)が主に観察され、群間の違いがカイ2乗(χ2)検定によって統計的に比較された。
(2)結果
対照群と比較して、ラットのつま先部分における汗分泌について、フィリゲニンイブプロフェンエステル(5、10mg/kg)群によって、明らかな誘発効果が確認された(p<0.01又はp<0.001)、表2−6を参照。
2.3 ビール酵母によって誘発されたラット熱(rat fever)へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの影響
(1)材料と方法
雄性Wistarラットが、体重180-200gとなるように選ばれた。この実験の前に、WSC-411P ポータブルデジタル温度計が、平常の直腸温を2回測定するために使用され(適当な間隔を開けて)、2つの測定値の平均値がラットの平熱として扱われた。その後、体温が36.5℃から38℃の間の70匹のラットが選ばれ、体重によってランダムに7群に分けられ、すなわち、モデル(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリゲニンイブプロフェンエステル(2.5、5、及び10mg/kg)群、陽性薬物であるパラセタモール(paracetamol、100mg/kg)群、イブプロフェン(すなわち、プロドラッグ対照群、300mg/kg)群、フィリゲニン(100mg/kg)群、各群10匹を含む、に分けられた。各群のラットは、10% 新鮮ビール酵母懸濁液(10ml/kg)を背部皮下注射され、発熱を誘発された。10% 新鮮ビール酵母懸濁液の投与から6.0時間後、フィリゲニンイブプロフェンエステル及びパラセタモールが胃内投与され、モデル群は同体積の0.5% カルボキシメチルセルロースが胃内に投与された。直腸温は、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に測定された。体温の変化が観察され、群間の差異が、解熱百分率(antipyretic percentage)を介する群内のt検定処理によって、比較された。
(2)結果
10% 新鮮ビール酵母懸濁液を各群のラットに皮下注射してから6時間後、体温は約1.5℃上昇し、これは熱を誘発する前とは顕著な違いがあり(p<0.001)、ビール酵母誘発ラット熱モデルは首尾よく確立できたことを示す。モデル群と比較して、フィリゲニンイブプロフェンエステルの中用量群及び高用量群(5,10mg/kg)は、ビール酵母懸濁液によって誘発されたラット熱において、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に、顕著な冷却効果を有していた(p<0.05,又はp<0.01,P<0.001)。フィリゲニン群及びイブプロフェン群と比較して、フィリゲニンイブプロフェンエステル高用量群(10mg/kg)は、ビール酵母懸濁液によって誘発されたラット熱において、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に、顕著な冷却効果を有しており、前記顕著な冷却効果はフィリゲニン(p<0.01又はP<0.001)及びイブプロフェン(p<0.05又はp<0.01)よりも明らかに優れていた。フィリゲニンイブプロフェンエステルの中用量群(5mg/kg)は、ビール酵母懸濁液によって誘発されたラット熱において、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に、顕著な冷却効果を有しており、前記冷却効果はフィリゲニン(p<0.05又はp<0.01)より明らかに優れていた。フィリゲニンイブプロフェンエステルの中用量群(5mg/kg)は、ビール酵母懸濁液によって誘発されたラット熱において、投与の1時間、2時間、3時間及び4時間後に、顕著な冷却効果を有しており、前記冷却効果はイブプロフェン群(p<0.05)よりも明らかに優れていた。上記実験の結果は、フィリゲニンイブプロフェンエステル化合物の冷却効果及び解熱治療効果がその前駆体化合物であるフィリゲニン及びイブプロフェンよりも顕著に優れていることを、示した。上記試験の結果は表2−7で見ることができる。
2.4 腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの影響
(1)材料と方法
雄性日本大耳白ウサギ(Japanese male big-ear white rabbits)は、体重が1.5-2.0kgであった。実験の前に、WSC-411P ポータブルデジタル温度計が、平常の直腸温を2回測定するために使用され(適当な間隔を開けて)、平均値がウサギの平熱として扱われた。その後、体温38-39.6℃の日本大耳白ウサギ48匹が選ばれ、体重によりランダムに8群に分けられ、すなわち、ブランク対照(生理食塩水)群、モデル対照(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、イブプロフェン(300mg/kg)群、フィリゲニン(10mg/kg)群、フィリゲニンイブプロフェンエステル(1.25,2.5及び5mg/kg)群及び陽性薬物であるパラセタモール(50mg/kg)群に分けられた。ウサギは固定器に固定された。ブランク対照群は、耳の縁から1ml/kgとなるように生理食塩水を静脈注射された。モデル対照群及び薬物群は、耳の縁から0.8ml/kgとなるように腸チフス及びパラチフスワクチンを静脈注射された。ウサギの体温上昇が1℃よりも大きければ(約1-1.5時間が必要であり、この実験では1時間に限定された。)、ブランク対照群及びモデル群は1ml/kgとなるように0.5%カルボキシメチルセルロースを胃内投与され、薬物群はフィリゲニンイブプロフェンエステル及びパラセタモールを胃内投与された。投与の30,60,90,120,180及び240分後に直腸温が測定されて体温の変化が観察され、群間の差異が、解熱百分率を介する群内のt検定処理によって、比較された。
(2)結果
腸チフス及びパラチフスワクチンをウサギの耳の縁から静脈注射してから1時間後、体温上昇は約1℃であり、これは腸チフス及びパラチフスワクチンが野兎病モデルの作成に使用できることを示した。ブランク対照群と比較して、モデル群の体温は、300分の観察期間の間、継続的に上昇した(p<0.05-p<0.001)。モデル群と比較して、フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群及び中用量群(5,10mg/kg)は投与後30-240分、低用量群(5mg/kg)は投与後60-240分、腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病に対して、顕著な解熱効果を有していた(p<0.05-p<0.001)。フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群及び中用量群(5,10mg/kg)は投与後30-240分、低用量群(5mg/kg)は投与後60-240分、腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病に対して、その前駆体化合物であるフィリゲニン群よりも明らかに優れていた(p<0.05-p<0.001)。フィリゲニンイブプロフェンエステルの高用量群及び中用量群(10mg/kg)は投与後60-240分、腸チフス及びパラチフスワクチンによって誘発された野兎病に対して、イブプロフェン群よりも明らかに優れていた(p<0.05又はp<0.01)。上記試験結果は、表2−8で見られる。
2.5 フィリゲニンイブプロフェンエステルの鎮痛試験
(1)材料と方法
72匹の昆明マウスは、ランダムに6群、各群12匹となるように分けられた。i)ブランク正常対照(すなわち、生理食塩水群、10mg/kg)群、ii)陽性薬物であるアスピリン(200mg/kg)群、iii)イブプロフェン(300mg/kg)群、iv)フィリゲニンイブプロフェンエステル高用量(300mg/kg)群、v)フィリゲニンイブプロフェンエステル中用量(150mg/kg)群、vi)フィリゲニンイブプロフェンエステル低用量(75mg/kg)群。各群の薬物が胃内投与されてから1時間後、マウスは0.7%酢酸溶液(10ml/kg)を腹腔内投与された。投与から15分以内にマウスの苦悶した回数が記録された。苦悶した回数が、鎮痛効果を評価するための評価指標として扱われた。
(2)結果
酢酸により誘発されたマウスの痛みに対するフィリゲニンイブプロフェンエステルの鎮痛効果は、表5に見られる。フィリゲニンイブプロフェンエステルの低用量、中用量及び高用量群とブランク対照群(生理食塩水)とを比較すると、顕著な差異が観察され(P<0.01)、用量が異なる全てのフィリゲニンイブプロフェンエステル群が鎮痛効果を有することを示した。ここで、フィリゲニンイブプロフェンエステル高用量群の鎮痛治療効果は、突出しており、陽性薬物であるアスピリン及びプロドラッグであるイブプロフェンよりも優れていた。詳しくは、表2−9を参照。
2.6 カラギーナンによって誘発されたラットの爪先の膨張へのフィリゲニンイブプロフェンエステルの影響
(1)材料と方法
体重120-150gの70匹の雄性Wistarラットが選ばれて、体重によってランダムに7群に分けられ、すなわち、ブランク対照群(0.5% カルボキシメチルセルロース)群、フィリゲニンイブプロフェンエステル(2.5,5及び10mg/kg)群、プロドラッグであるイブプロフェン(300mg/kg)群及びフィリゲニン(10mg/kg)群、並びに陽性薬物であるアスピリン(200mg/kg)群、各群10匹を含む、に分けられた。実験群は、舌下静脈注射(sublingual intravenous injection)によって投与された。実験の前に、毛細管拡大測定方法(capillary magnification measurement method)が、各群のラットの右後肢の正常な体積を測定するために使用された。間違いを避けるため、測定位置は固定され、投与の前後で同一の人物によって操作された。2つの測定値の平均体積が、投与前のラット右後肢の正常な体積として扱われた。投与後、1% カラギーナン 0.1mlが、ラット右後肢の甲に直ちに皮下注射され、炎症が誘発された。炎症の誘発から15,30,60,120,180,240,300及び360分後の右後肢の甲の体積が、測定された。群間の差異が、誘発されたラットの炎症前後の甲の体積の百分率(膨張率)の差異を介する群内のt検定処理によって、比較された。
結果
ブランク対照群と比較して、フィリゲニンイブプロフェンエステル高用量群は、カラギーナンによって誘発されたラット甲の膨張において、投与後30分から360分の間に顕著な抑制効果(p<0.05-p<0.001)を有し、これはプロドラッグであるフィリゲニン(p<0.05-p<0.001)より明らかに優れ、投与後30分後の治療効果がプロドラッグであるイブプロフェンよりも明らかに優れていた(p<0.05)。フィリゲニンイブプロフェンエステル中用量群は、カラギーナンによって誘発されたラット甲の膨張において、投与後30分から240分の間に顕著な抑制効果(p<0.05-p<0.01)を有し、投与後30分から120分の間の治療効果がプロドラッグであるフィリゲニンよりも明らかに優れ、投与後240分後の治療効果がプロドラッグであるイブプロフェンよりも明らかに優れていた。本実験結果は、フィリゲニンイブプロフェンエステルが比較的明白な消炎効果を有し、その治療効果がプロドラッグであるフィリゲニン及びイブプロフェンよりも優れていること、を示した。表2−10を参照。

Claims (10)

  1. 一般式(I)で示されるフィリゲニンイブプロフェンエステル化合物。
  2. 請求項1に記載のフィリゲニンイブプロフェンエステル化合物の調製方法であって、下記の工程をこの順序で含む調製方法、
    A)イブプロフェンがアシル化剤とアシル化反応され、イブプロフェンアシルクロライドを得る、及び
    B)フィリゲニンとイブプロフェンアシルロライドとの間で、触媒の作用でエステル化反応が行われ、産物を得る。
  3. 請求項2に記載の調製方法であって、工程A)におけるアシル化剤が、塩化チオニル、三塩化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン又はオキシ五塩化リンから選択されることを特徴とする調製方法。
  4. 請求項2又は3の何れかに記載の調製方法であって、工程B)における触媒が、有機塩基又は無機塩基から選択されることを特徴とする調製方法。
  5. 請求項4に記載の調製方法であって、無機塩基が炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム又は炭酸水素カリウムから選択され、有機塩基がピリジン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド又は金属アルコキシドから選択されることを特徴とする調製方法。
  6. 請求項2又は3の何れかに記載の調製方法であって、工程B)におけるフィリゲニンと工程A)におけるイブプロフェンとのモル比が、0.8-1.2:1であることを特徴とする調製方法。
  7. 請求項2又は3の何れかに記載の調製方法であって、フィリゲニン及びイブプロフェンアシルクロライドが有機溶媒に加えられたのち、工程B)におけるエステル化反応が撹拌を伴って行われることを特徴とする調製方法。
  8. 請求項2又は3の何れかに記載の調製方法であって、さらに工程C)を含み、ここでは、エステル化反応後の生成物が分離及び精製処理されて、反応溶媒がエステル化反応後の生成物から除去され、固体が再結晶処理されることを特徴とする調製方法。
  9. 請求項1に記載のフィリゲニンイブプロフェンエステルの抗ウイルスへの応用。
  10. 請求項1に記載のフィリゲニンイブプロフェンエステルのウイルス性疾患治療のための医薬品又は健康管理用品の調製への応用。
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