JP2017522168A - キレート剤を結晶化するプロセス - Google Patents

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Abstract

本発明は、キレート剤の飽和又は過飽和水溶液あるいは分散物に種を加える工程と、少なくとも1,000rpmで動作する機器を使用して実施される、分散物をミリングするその後の工程とを含む、キレート剤を結晶化するプロセス、ならびにこのようなプロセスにより得ることができる生成物に関する。

Description

本発明は、キレート剤を結晶化するプロセスに関する。
洗浄剤市場は現在、重要な変化を経験しつつある。生態学的な理由及び規制上の理由から、洗浄剤配合物における高濃度のホスフェートの使用は全面的に禁止されることになり、又は少なくとも大幅に削減されなければならない。洗浄剤製品の配合者は、もっと容易に生分解可能なキレート剤である最も有望な代用品でホスフェート化合物を置き換える代替品、例えばアスパラギン酸N,N二酢酸及びその塩(ASDA)、メチルグリシンN,N−二酢酸及びその塩(MGDA)ならびにグルタミン酸N,N−二酢酸及びその塩(GLDA)を見つけなければならない。このようなキレート剤は容易に利用できる傾向があり、5%〜60%の濃度で使用される。多くの洗浄剤配合物がコビルダーを含み、これは通常、ポリマー又はホスホネートならびにホスフェート、シリケート及びゼオライトである。これらのコビルダーは、配合物中に1%〜50%の濃度で存在する。
粉末又は錠剤の洗浄剤配合物においては、配合者は固体原料を必要とする。例えば、自動皿洗い(ADW)の用途において、原料は粉末、好ましくは顆粒でなければならず、配合物の打錠及び固体の取り扱いを向上させるよう成形されなければならない。粉末又は顆粒は通常、50〜3,000ミクロンの間に含まれるサイズを有する。しかし、多くのキレート剤の粉末又は顆粒は、非晶質状態で得られるとき吸湿性を示し、これは、ADW配合者にとって容認できない。吸湿性は材料を粘着性にし、したがって、貯蔵、取り扱い、及び製造の問題を起こす。粒子の流れ特性は多くの点で極めて重要である。粒子自体の製造中は、粒子が互いに対して滑らかに流れなければならない。さらに、そのときに粒子は、貯蔵容器及び輸送容器にうまく移されなければならない。最後に、粒子は再び貯蔵から移され、粉末又は錠剤の製造設備に送られなければならない。流れの問題は、いくつかの原因によって起こる。非晶質のキレート剤及びその塩の場合、不十分な流れは吸湿によって引き起こされ、塊になる湿った粘着性の製品を生じる。吸湿性を避ける1つの方法は、その結晶形態のキレート剤で作業することである。
米国特許出願公開第20120046491号には、グルタミン−N,N−二酢酸又はグリシン−N,N−二酢酸の1つ又はそれ以上の誘導体を含む、結晶化度が30%以上の粉末の調製が開示されており、プロセスは、水溶液を濃縮して結晶スラリーを得る工程を含み、ここで、ある濃度範囲は結晶スラリーの全重量に基づいて重量で20%〜60%(出発材料)であり、且つ結晶スラリーをペースト貯蔵庫(paste bunker)内で、次いで、薄膜接触乾燥機内で熟成させる工程を含み、ここで、ペースト貯蔵庫内(種:全重量の最大50%までの微粉末)及び薄膜接触乾燥機内での滞留時間は合計で15分以上であり、蒸発器内壁に対して、蒸発器の直径の1%以内の距離に配置された回転するインターナル(内壁上の液膜の高せん断速度)を備える蒸発器内で濃縮される。第1のプロセス工程の温度範囲は、50℃〜140℃の間、好ましくは80℃〜110℃の間であり、圧力範囲は、0.1〜4barの間、好ましくは0.8〜1.2barの間である。熟成は、少なくとも15分間、最長3時間行われ、薄膜処理は、0.5分〜20分の間で60℃から最高140℃で行われる。MGDA(メチルグリシン二酢酸)の一水和物又は二水和物の結晶変態を主に有する粉末が得られる。複雑なプロセスは、三ナトリウムMGDAのために特に設計されたように見受けられる。
米国特許出願公開第20120149936号には、種として1つの結晶化合物を導入することにより、吸湿性が十分低いグリシン−N,N−二酢酸誘導体の結晶性固体を調製するためのプロセスが開示されている;噴霧造粒が行われ、その後に結晶度を高めるための熱処理工程が続いてもよい。本文書にはグリシン−N,N−二酢酸誘導体のみが述べられている。
独国特許第4211713号には、キレート剤GLDA及びASDA(アスパラギン酸N,N−二酢酸)を調製するプロセスが開示されている。いくつかの方法によって材料を単離できたことが概して示唆されているが、そのうちの1つが結晶化であり、すべての例が、非晶形のASDAの析出を取り扱っている。
米国特許第5981798号明細書には、グリシンN−N−二酢酸誘導体の結晶性固体の調製が開示されている。実施例では、結晶化開始剤として種を用いて、MGDA(メチルグリシンN,N−二酢酸)の三ナトリウム塩の濃縮溶液が結晶化されている。この文書では、グリシンN,N二酢酸誘導体、例えばMGDAの三ナトリウム塩が、機械的応力下で結晶化されている。実施例では、混合、撹拌、混練又は押出の装置によると言われているこのような機械的応力は、低せん断条件、例えば20rpmの回転の適用を意味すると理解されるべきであることが示されている。
先行技術の不利な点は、MGDAについて開示されているプロセスが、複雑且つ遅いということのほかに、各GLDA誘導体及び塩には機能せず、あるいは、材料が自由に流れる必要がある応用又は錠剤型においては依然として改善を必要とする固体材料を生じることである。
したがって、当分野において、よりよい粒径分布及び結晶形、改善された自由流動性、強度及びモルホロジーを与える、その結晶形態のキレート剤を調製する工程が必要とされている。さらに、打錠が容易で、最終用途、例えばADW(自動皿洗い)において十分な溶解速度を有する固体のキレート剤が必要とされている。
米国特許出願公開第20120046491号 米国特許出願公開第20120149936号 独国特許第4211713号 米国特許第5981798号
ここで、本発明は、キレート剤の飽和又は過飽和水溶液あるいは分散物に種を加える第1工程と、分散物をミリングする第2工程とを含む、キレート剤を結晶化するプロセス、及びプロセスにより得ることができる生成物を提供する。
プロセスは、より速いだけでなく、多くの場合において、極端に小さい粒子が少ない、よりよい粒径分布も実現するという意味で、最先端のプロセスよりもはるかに効率的であることが分かった。本発明にしたがって調製される結晶は、モルホロジーが改善され、高い湿度でも、より自由に流れることが明らかになった。さらに、強度が高く、しかも良好な溶解速度を持つため、これらの結晶から錠剤を調製できることが明らかになった。
さらに、本発明のプロセスは、従来の結晶化プロセスとは対照的に母液廃棄物の流れが生じないため有利である。
好ましくは、本発明のプロセスにおいて、分散物をミリングする工程は、少なくとも1,000rpm、より好ましくは少なくとも10,000rpmで動作する機器を使用して行われる。
好ましい実施形態において、本発明のプロセスにおいて使用される種はキレート剤の種であり、より好ましくは、溶液又は分散物中にあり、そこから結晶化される同じキレート剤の種である。
プロセス内で結晶化される材料とは別の材料の種の使用は、不均一核生成として当分野において公知のプロセスであることに留意されたい。不均一核生成は均一核生成よりもはるかに速いことがあるが、不利な点は、あまり純粋でない生成物が得られることである。
1つの実施形態では、本発明のプロセスは、材料が少なくとも部分的に乾燥され、任意選択で、第3工程から得られる材料が粉砕又はミリングされ、(適切な寸法の分級物を集めるため)ふるいにかけられ、押出され、圧縮され、打錠され、又はその他の任意の方法で加工されて、所望の固形状に変換される追加の第3工程を含む。
材料の乾燥は、例えば、ミリングし、種を加えた分散物の液滴又は薄膜をオーブン内で乾燥することによって行うことができて、好ましくは、25〜100℃の間の温度で行われる。
好ましい実施形態において、キレート剤は、メチルグリシンN,N−二酢酸又はその塩(MGDA)、グルタミン酸N,N−二酢酸又はその塩(GLDA)、アスパラギン酸N,N二酢酸又はその塩(ASDA)であり、より好ましくは、キレート剤は、GLDA又はMGDAである。キレート剤がGLDAであるとき、さらにより好ましくは、キレート剤は、部分的又は完全に酸性化されたGLDA(ここで、対カチオンの一部又はすべてがプロトンである。)である。
本発明を以下の実施例により説明する。
使用した材料は以下の通り:
Dissolvine GL-47-S(L−GLDA四ナトリウム塩の47重量%水溶液)、例えばAkzo Nobel Functional Chemicals LLC(米国イリノイ州シカゴ)。
Trilon M Powder, Trilon M Granules, Trilon M Compactate, Trilon M Liquid(40重量%水溶液)、これらはすべてMGDA三ナトリウム製品(例えばBASF Corporation、米国)。
ASDA(L−アスパラギン酸N,N−二酢酸四ナトリウム塩)(例えばMitsubishi Rayon Co, Ltd.、日本)
水酸化ナトリウム、50%溶液、AR(登録商標)、例えばAvantor
XRD法及び分析に使用した機器:
本発明による結晶塩のディフラクトグラムは、Bruker-AXS D8反射回折計を使用し、Niフィルタを通したCu−Kα線を用いて記録した。発生装置の設定は40kV、40mAである。グラファイトモノクロメータを、発散及び散乱防止スリットV20(可変20mm)、検出器スリット0.6mmで使用した。測定範囲は2Θ=2.0〜70.0°、ステップサイズ0.02°、ステップあたりの6.5秒。
Bruker製Topasソフトウェアパッケージをディフラクトグラムのために使用した。
実施例1 GLDA−NaH3溶液及び種の調製
GLDA−Na4溶液Dissolvine GL-47-SのpHを下げるため、バイポーラ膜(BPM)プロセスを用いて酸性化を実施した。BPMプロセスにおいて、国際公開第2008/065109号パンフレットに記載されているように、バイポーラ膜電気透析スタックを使用した。このようなユニットは、バイポーラ膜及び陽イオン交換膜からなる。ナトリウム陽イオンが陽イオン交換膜を通じて除去される一方、電気化学反応を介して、生成物の流れに水素が加えられる。そのようにして、ナトリウム陽イオンが残存することなく、溶液は徐々に酸性化される。これは、「塩を含まない」酸性化が起きたことを意味する。
実験装置は、BPMユニット内で流体を再循環させる3つの容器からなるものであった。温度は、ジャケット付き反応器に加熱/冷却を施すことにより制御した。酸反応器は1Lの撹拌したガラス反応器であった。塩基及び電解質ループは、いずれも撹拌せずに1.5Lのガラス反応器を使用した。カソードで生成する水素ガスを、爆発限界をはるかに下回るまで希釈するために、ガススパージャー経由で電解質溶液に窒素を通した。
反応器にc.42重量%GLDA−Na4溶液を入れ、BPMスタックにおいて反応器の内容物の再循環を開始した。GLDA溶液が40℃まで加熱されたら、電流を加えた。スタックに加わる電圧(V)は25Vに制限され、電流(I)は最大15Aに手動で制御した。所望のpHに達したら、BPMに加えられる電流を最小にして、反応器及びBPMの両方の内容物を回収した。酸性化したGLDA溶液は、pHが約2.5の44重量%のGLDA溶液であることを確認した。
pH2.5、44.1重量%の生じたL−GLDA水溶液(これは、GLDA陰イオン1個あたり約1当量のナトリウム陽イオンを含む溶液に対応する。)に約100℃で174時間熱処理を施して、ラセミ化を行った。得られたD,L−GLDA−NaH3溶液を、水浴温度70℃で減圧(20mbar)したrotavapor内で、50.2重量%(50:50)のL,D−GLDA−NaH3水溶液になるまで濃縮した。
1,852gの量の上述の溶液を、アンカースターラーを備えた3Lのジャケット付きガラス反応器に入れた。完全に溶解させるために、水溶液を98℃まで加熱した。撹拌している間に、透明な溶液にGLDA−NaH3結晶の種を加え、15時間以内に30℃まで冷却した。
結晶スラリーを横型のRousselet製ドラム式遠心分離機内で遠心分離し、結晶生成物から母液を分離した。
分離後、濃度29.3%(Fe−TSV、鉄全封鎖量値(Iron Total Sequestering Value)によって確認した。)の1,198gの母液及び598.6gの湿ケーキが得られた。湿ケーキを少量の水で2回洗い、真空下、40℃で乾燥して、約450gの乾燥した結晶を得た。
実施例2:高せん断下のGLDA−NaH3の結晶化
約50%のGLDA(Fe−TSVによる分析=51.8%)を含む、上述の実施例1において調製したGLDA−NaH3水溶液を243.6グラム秤量してビーカーに入れた。上述の実施例1において調製したGLDA−NaH3種のサンプル10グラムを加えた(針状、50〜100μm×5〜10μmの寸法を有する)。次に、24,000rpmで1分間動作させたUltra Turraxを使用して種をミリングし、分散させた(S25n-25F混合エレメントを備えたUltra Turrax タイプT25)。
比較例3 低せん断下のGLDA−NaH3の結晶化
実施例2に記載の組成を有するサンプルを調製した。サンプルに50〜100μm×5〜10μmの寸法を有する針状の種(実施例2に記載のものと同一。)を加えた。次に、スパチュラを用いて溶液中の種の分散物を約1分間撹拌した。
比較例3及び実施例2から得られた分散物を、成分を混合して同時に開始するDSC解析プログラムに送った。このプログラムでは、サンプルが、加熱速度2.5℃/minで25℃から95℃まで加熱された。
Ultra Turraxを使用する実施例2による材料は、57℃で発熱ピークを示し、一方、Ultra Turrax処理なしの比較例3で得られた固体については、混合物が70℃で最大のピークを示し、これは、本発明によるプロセスを用いて調製される材料が、最先端のプロセスを用いて調製される材料よりも速く結晶化することを示す。
実施例4 GLDA−NaH3の結晶の結晶化及び特性
実施例2のように、約50%のGLDA(Fe−TSV=51.8%)を含むGLDA−NaH3水溶液を243.6グラム秤量してビーカーに入れた。10グラムのGLDA−NaH3結晶種をGLDA溶液に加えた。実施例2にしたがって高せん断を混合物に加えた。
生じる混合物をポリプロピレン基材上に厚膜(約2.5mm)として塗布し、オーブン内で80℃で乾燥させた。生じた生成物は、容易に砕かれ、ふるい付着物に関して何の問題もなく、Frewitt sieveを使用して、ふるい分けすることができた。材料の75%が仕様の設定内であった(0.5〜1.6mm)。
実施例2の生じた粉末(様々なふるい分級物:<0.5;0.5〜0.71;0.71〜1;1〜1.6mm)はすべて、粉末が最大10%の吸湿率を示したにも関わらず、40℃、相対湿度(RH)75%で70時間貯蔵した後でさえ自由流動挙動を示した。
周囲条件では、赤外線乾燥天秤を用いて120℃で測定した生成物の水分含量は、相対湿度に応じて約8〜12%であった。XRDによるサンプルの結晶度は49%であった。
実施例5 GLDA−NaH3の結晶化に対する温度の影響
実施例2に記載されている同じ手順を繰り返した。ただし、ここでは、生じる混合物を4つの部分に分割した;2つの部分は、約2.5mmの厚膜として塗布し、他の2つの部分は、約2〜2.5mmの別々の液滴として部分的に塗布し、いずれの場合も、一方は80℃で、他方は室温で乾燥させた。
続いて、実施例4に記載の通り、乾燥した膜を砕き、ふるいにかけた。ふるい分けした部分及び顆粒(乾燥した液滴)の両方を40℃、相対湿度75%で44時間保管した。すべてのサンプルが、最終的な水分含量は11〜13重量%の間であったにも関わらず、自由流動挙動を示した。
実施例6:GLDA−NaH3の結晶化に対する濃度及び種含有量の影響
実施例4に記載されているような同様の手順を用いて、GLDA濃度及び種含有量が異なるサンプルを調製した。
5グラムの各サンプルを調製直後、Denver IR-60実験用乾燥機を用いて120℃で乾燥し、一定重量になるまでの時間を記録した。後に、XRDを用いて結晶度を測定した。
下の表1に示す結果から、この結晶度の測定手法の統計的限界(約10%と推定)を考慮すると、すべてのサンプルの結晶度が同等であるため、これらの条件下では、水の蒸発の時間スケール内で結晶化が起こると結論付けられる。
実施例7 MGDA−Na3の結晶化
40%の固体(Trilon M Liquid、例えばBASF)を含むMGDA−Na3水溶液を48グラム秤量してビーカーに入れた。2グラムの結晶のMGDA−Na3(Trilon M Granules、例えばBASF;XRDによる結晶度43%)を種としてMGDA溶液に加えた。Ultraturraxを24,000rpmで1分間使用して高せん断を混合物に加えた(S25n-25F混合エレメントを備えたUltra Turrax タイプT25)。
生じる混合物をポリプロピレン基材上に厚膜(約2.5mm)として塗布し、オーブン内で80℃で乾燥させた。
XRDによる生成物の結晶度は41%であった。
生じた生成物は、容易に砕かれ、ふるい付着物に関して何の問題もなくふるい分けすることができた。0.71〜2mmのサイズの分級物におけるふるいの回収率は70%であった。
この分級物を、流動性試験及び吸湿試験の前に、真空下、50℃で一晩乾燥した。16℃、相対湿度60%で29時間貯蔵した後、サンプルは、16%の吸湿率を示しながらも、依然として自由に流動した。
40℃及び75% RHのさらに厳しい条件下でも、生成物は少なくとも6時間は自由に流動したままであったが、この特性は29時間後に失われた。
比較例8−MGDA−Na3市販品貯蔵及び水分試験
比較として、実施例7で種を加えるために使用したBASFのTrilon M顆粒に、実施例7のプロセスにより得られたサンプルと同じ貯蔵条件を施した。本発明の生成物の自由流動性能は少なくとも同等であると結論付けられた。
実施例9−MGDA−Na3の結晶化に対する濃度の影響
実施例7に記載のプロセスを繰り返した。唯一の違いは、使用したTrilon M溶液を50重量%まで濃縮したことである。
XRDによる生じた生成物の結晶度は45%であった。
吸湿及び自由流動挙動に関しては:実験誤差内において、材料の性能は、実施例7において得られた材料と同一であった。
実施例10−MGDA−Na3の結晶化に対する種の影響
実施例7に記載のプロセスを繰り返したが、ここでは、Trilon M粉末(例えばBASF;結晶度49%)を種として使用した。
XRDによる生じた生成物の結晶度は38%であった。
再び、0.71〜2のふるい分けした部分を、流動性試験及び吸湿試験の前に、真空下、50℃で一晩乾燥した。16℃、相対湿度60%で29時間貯蔵した後、サンプルは、11%の吸湿率を示しながらも、依然として自由に流動した。
40℃及び75% RHのさらに厳しい条件下で、生成物は、その自由流動性を1時間以内に失った。
同じ貯蔵特性がTrilon M粉末(例えばBASF)においても明らかになった。
実施例11 ASDA−Na4の結晶化
ASDA−Na4水溶液(36重量%)を48グラム秤量してビーカーに入れた。濃縮溶液の貯蔵中に生成した沈殿物を遠心分離することによって得られた、XRDによる結晶度が15%のASDA−Na4を含む材料2グラムを加えた。
Ultraturraxを24,000rpmで1分間使用して高せん断を混合物に加えた(S25n-25F混合エレメントを備えたUltra Turrax タイプT25)。
生じる混合物をポリプロピレン基材上に厚膜(約2.5mm)として塗布し、オーブン内で80℃で乾燥させた。
生じた生成物を粉末にし、XRDを使用して分析すると、22%の結晶度を示した。
この材料を、その後の実験において、種として加える材料として上述の同じ手順にしたがって使用した。
生じた生成物を粉末にし、XRDを使用して分析すると、ここで29%の結晶度を示した。
0.71〜2mmのふるい分けした部分を、流動性試験及び吸湿試験の前に、真空下、50℃で一晩乾燥した。16℃、相対湿度60%で3時間までサンプルは自由に流動したままであり、わずか12%の吸湿率を示した。
実施例12 キレート剤結晶のモルホロジー、結晶度及び溶解挙動に対するミリング工程の影響
実施例7に記載のプロセスを利用し、Trilon M Liquidを使用して50重量%まで濃縮した一連の生成物を調製した。
50rpmで回転させた8の字型のガラス製スターラーを穏やかに使用して撹拌するか、又はUltraturraxを24,000rpmで6分間使用して高せん断を加えて、2重量%又は20重量%いずれかのMGDA−Na3(Trilon M Granules、例えばBASF)結晶種を加えた(S25n-25F混合エレメントを備えたUltra Turrax タイプT25)。
これらの生成物の結晶度を生成物全体について測定し、表2に示した。さらに、加えた種に由来しない質量の結晶度も計算した(非種相(non-seed phase))。
これらのデータから、(同じ量の種を使用して)Ultraturraxを使用してミリングする本発明のプロセスを使用して得られる生成物は、撹拌により混合された生成物と比べて、大幅に高い結晶度を有することは明らかである。
Sympatecシステムを使用し、NEN-ISO 13322-2にしたがって、動画像分析により粒径特性を測定し、粒径特性から、He−比重瓶法を用いて測定した密度1.72g/mlを用いて比表面積も計算した。
調製した生成物間で有意差は見られなかった(表2参照)。
一定量のMGDA顆粒を添加して、水溶液の導電率をモニターすることにより、生成物のサンプルの室温における水に対する溶解速度を求めた。
この試験では、500mlビーカーに入れた300mlの脱塩水に3.0グラムの生成物を加え、その間、スターラー(ブレード:ビーカーの直径の2/3)を一定の回転速度(150rpm)で使用して溶液を撹拌した。
99%及び100%の溶解に必要な時間で表した結果を表2に示す。
驚いたことに、(同じ量の種を使用して)Ultraturraxを使用して調製した、すなわち、高せん断でミリングした生成物は、より高い結晶度を示すにも関わらず、著しく速い溶解速度を示すことが明らかである。
参考として、市販のMGDA固体、Trilon M Granules及びTrilon M Compactateの特性も示したが、本発明にしたがって調製した材料は、さらに大きく、且つ、より小さい比表面積を持ちながら、はるかに速く溶解することを示している。
真空中、50℃で3日間乾燥した後、生成物のサンプルは、16℃、相対湿度(RH)60%で20時間、又は75% RH、40℃で6時間保管し、この後、サンプルを秤量することにより吸湿率を測定した。
表2に示す結果から、(同じ量の種を使用して)Ultraturraxを使用してミリングする本発明のプロセスを使用して調製されたサンプルは、最も低い吸湿率を示したと結論付けられる。
これらの条件を施した後、すべての生成物は依然として自由に流動していたが、一方、Trilon M Granulesの参照サンプルは、本発明によるサンプルと比べて低い吸湿率の値を示したにも関わらず、40℃、75% RHで6時間貯蔵した後、ある程度の凝集を示した。
真空中、50℃で3日間乾燥した後、Herzog製錠剤プレス機、タイプHTP 40を使用して、圧力100kN(204MPa)を2秒加え、生成物のサンプル7.5グラムを直径25mmの錠剤にプレスし、11.1mmの厚さを与えた。この後、Hydrospexタイプの破壊強度試験機を使用して、錠剤の直径方向の破壊強度を測定した。
表2に示す結果から、(同じ量の種を使用して)Ultraturrax内でミリングする本発明のプロセスを使用して調製されたサンプルは、同じ量の同じ種を撹拌するプロセスにおいて得られた錠剤よりも極めて強い錠剤を与えたと結論付けられる。

Claims (10)

  1. キレート剤を結晶化するプロセスであって、前記キレート剤の飽和又は過飽和の水溶液あるいは分散物に種を加える工程と、前記分散物をミリングするその後の工程とを含み、前記分散物をミリングする前記工程は、少なくとも1,000rpmで動作する機器を使用して実施される、プロセス。
  2. 前記分散物をミリングする前記工程が、少なくとも10,000rpmで動作する機器を使用して実施される、請求項1に記載のプロセス。
  3. 前記種がキレート剤の種である、請求項1又は2に記載のプロセス。
  4. 前記種が、前記溶液又は分散物中にある前記キレート剤の種である、請求項3に記載のプロセス。
  5. 前記材料が少なくとも部分的に乾燥される追加の第3工程を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のプロセス。
  6. 前記第3工程から得られる前記材料が、ふるいにかけられ、押出され、圧縮され、打錠され、粉砕され、及び/又はミリングされる、請求項5に記載のプロセス。
  7. 前記キレート剤が、メチルグリシンN,N−二酢酸又はその塩(MGDA)、グルタミン酸N,N−二酢酸又はその塩(GLDA)、アスパラギン酸N,N−二酢酸又はその塩(ASDA)である、請求項1から6のいずれか一項に記載のプロセス。
  8. 前記キレート剤がGLDAである、請求項7に記載のプロセス。
  9. 前記キレート剤がMGDAである、請求項7に記載のプロセス。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載のプロセスにより得られる生成物。
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