2013年1月1日以来、従来の殺鼠剤の流通は、生命体に無害と予測された環境中濃度を超過したことから欧州連合ではもはや基本的に許可されていない。しかしながら、代替策が欠如しているため、資格を有する者による使用に対する一時的許可が継続されている。
したがって、野生齧歯動物に対抗する有効な手段が必要とされている。
概要
本開示は概して、野生齧歯動物に対抗するのに役立つという点で理解され得る。この目的を達成するために、本明細書において開示される活性剤の使用に基づく適用、方法および誘引剤を提供する。この場合、使用される活性剤は、活性剤の作用の開始が野生齧歯動物の習性に合わせて調節されるという点で、誘引剤での使用に適合するように選択される。さらに、使用される活性剤は、概してそれが既存の抵抗性と新たな抵抗性の発達とを防ぐように選択される。
第1の態様によれば、殺鼠剤としての、トロンビン阻害剤、トロンビン受容体の拮抗薬、第Xa因子阻害剤、PAI(プラスミノーゲン活性化抑制因子)阻害剤または栓球凝集阻害剤の使用が提供される。
いくつかの実施形態において、トロンビン阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R1は水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルフェニル、A1C(O)N(R4)R5、またはA1C(O)OR4である。A1はC1〜C5アルキレンである。R4およびR5はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、フェニル、2−ナフチルであるか、またはR1がA1C(O)N(R4)R5である場合にR4およびR5が、それらに結合している窒素原子と一緒にピロリジニルもしくはピペリジニルになっている。R2はOH、OC(O)R6、C(O)OR7またはC(O)OCH(R8)OC(O)R9である。R6はC1〜C17アルキル、フェニルまたは2−ナフチルであり、それらはいずれも場合によりC1〜C6アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよい。R7は、C1−〜C3−アルキル−フェニル、フェニルもしくは2−ナフチルであって、それらはいずれも場合によりC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ニトロもしくはハロゲンで置換されていてもよく、またはC1〜C12アルキルであって、それは場合によりC1−6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシもしくはハロゲンで置換されていてもよい。R3はHまたはC1〜C4アルキルである。
いくつかの実施形態において、トロンビン阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R24はC1〜C6アルキルまたはC3〜C7シクロアルキルである。Ar3は、場合によりフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子またはトリフルオロメチル基、C1〜C3アルキル基もしくはC1〜C3アルコキシ基で置換された、フェニレン基またはナフチレン基であるか、あるいは、炭素骨格において場合によりC1〜C3アルキル基で置換された、チエニレン基、チアゾリレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基またはピリダジニレン基である。Ar4は、場合によりフッ素原子で置換された、フェニル基または2−ピリジニル基である。R25は、(a)カルボキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、メチルスルホニルアミノカルボニル基もしくは1H−テトラゾール−5−イル基で置換されていてもよい、C1〜C3アルキル基であるか、または(b)ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、カルボキシ−C1−3−アルキルアミノ基、C1−〜C3−アルコキシカルボニル−C1−3−アルキルアミノ基、N−(C1−3−アルキル)−カルボキシ−C1−3−アルキルアミノ基もしくはN−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルコキシカルボニル−C1−3−アルキルアミノ基で置換された、C2−3アルキル基であり、上記基において、窒素原子に隣接して配置されているα炭素は置換されていなくてもよい。Eはシアノ基またはR26NH−C(=NH)基であり、式中、R26は、水素原子、ヒドロキシ基、C1〜C3アルキル基、または生体内で切断可能な残基(WO1998/37075参照)である。
いくつかの実施形態において、トロンビン阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Arは、とりわけ、フェニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、ナフチル、ナフトキノンまたはインダンであり得る。R8は、下記式の残基(US4,101,653参照)であり得る:
この式中、R9は、とりわけ、H、C1〜C10アルキル、C6〜C10アリール、C7〜C12アラルキルまたは5−インダニルである。R10はC1〜C5アルキルまたはアルコキシである。
いくつかの実施形態において、トロンビン阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R41は、水素であってもよく、またはR42と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R42は、ハロゲン、CF3、C1〜C6アルキル(akyl)であってもよく、またはR43と一緒にC3〜C8炭素環を形成していても、もしくはR41と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R43は、水素、ハロゲン、OH、C1〜C6アルキルであってもよく、またはR43と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R44は、複素環、−(CR45R46)NH2または−(CR45R46)2NHであり、式中、R45およびR46はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、−CH2F、−CHF2、CF3または−CH2OHである。QはC(炭素)またはSi(ケイ素)である。
いくつかの実施形態において、トロンビン阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R43、R44、R47およびR48ならびにmは、国際特許出願WO2014/028318に開示されているとおりであり、以下に定義されるとおりである。
トロンビン受容体拮抗薬の拮抗薬は、典型的には、トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬である。いくつかの実施形態において、トロンビン受容体拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Ar2はフェニル基またはモルホリノ基であり、当該フェニル基は、モルホリノ基、ピペラジニル基、ピペリジニル基またはピロリジニル基で置換されていてもよい。本明細書において、一般に、Ar2および/またはそれに含まれるフェニル基は、EP1813282に記載されているように置換されていてもよい。上記式中、X1はHまたはハロゲンであり得る。R11およびR12はそれぞれ独立に、H、メトキシまたはエトキシであり得る。
いくつかの実施形態において、トロンビン受容体拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Het1は、1〜9個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子N、OまたはSとを含む、5〜10原子の単環式または二環式の複素芳香族基である。B1は、(CH2)n1、シス−もしくはトランス−(CH2)n2CR14=CR15(CH2)n3、または(CH2)n2C≡C(CH2)n3であり、式中、n1は0〜5であり、n2およびn3はそれぞれ独立に、0〜2である。R14およびR15はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキルまたはハロゲンである。R20は、H、C1〜C6アルキル、C3−8シクロアルキル、−NHC(O)OR21、−NHC(O)R21、またはUS2003/216437において明記されている別の基である。ここで、R21は、H、C1〜C6アルキル、C1−〜C6−アルキル−OH、C1〜C6アルキル、アルコキシ、またはUS2003/216437において明記されているさらなる基などの基である。
いくつかの実施形態において、トロンビン受容体拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Het2は、1〜13個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子とを含む、5〜14原子の単環式またはニ環式の複素芳香族基である。B2は、(CH2)n1、−CH2−O−、−CH2−S−、−CH2NR13−、−C(O)NR13−、−NR13C(O)−、
、シス−もしくはトランス−(CH2)n2CR14=CR15(CH2)n2、または(CH2)n2C≡C(CH2)n3であり、式中、n1〜n3は上記に定義したとおりである。R13はH、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C7シクロアルキル、(C3〜C7シクロアルキル)−(C1〜C6アルキル)、(C1〜C6アルコキシ)−(C1〜C6アルキル)、ヒドロキシ−(C1〜C6アルキル)およびアミノ−(C1〜C6アルキル)である。R14およびR15はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキルまたはハロゲンである。この式中、R22およびR23はそれぞれ独立に、数ある中で、H、R16(C1〜C10アルキル)、R16(C2〜C10アルケニル)、R16(C2〜C10アルキニル)、R16(C1〜C10アルキル)、ヘテロシクロアルキル、R17アリール、(R17アリール)−(C1〜C8アルキル)、−OH、−OC(O)−R18、CO(O)R19、−C(O)−R18、−C(O)N−R18R19、−N−R18R19、またはWO01/96330において明記されているさらなる基である。ここで、R16およびR17はそれぞれ独立に、H、ハロゲン、−OH、またはWO01/96330において明記されている別の基であり、R18およびR19はそれぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、またはWO01/96330において明記されている別の基である。
いくつかの実施形態において、トロンビン受容体拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、B、R49、R50、R51およびR52は、欧州特許出願EP1867331において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R27、R28、R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、国際特許出願WO01/47919において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式のオキサゾリジノン化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、環Aは、0〜2個の基R33aで置換されたC3〜C10炭素環であるかまたは、0〜2個の基R33aで置換された、炭素原子と1〜4個のヘテロ原子とからなる5〜12員環の複素環であるかのいずれかである。5〜12員環の複素環の各ヘテロ原子はN、OまたはSである。縮合環PおよびMについては、Pは5、6もしくは7員環の炭素環であるかまたは、炭素原子と1〜3個のヘテロ原子とからなる5、6もしくは7員環の複素環である。5、6または7員環の複素環のヘテロ原子は、N、OまたはSである。環Pは、0〜3個の基R34aと0〜2個のカルボニル基とで置換されており、環に0〜3個の二重結合を含む。いくつかの実施形態において、Aはパラフェニレン残基である。
本明細書において、R33aは、例えば、H、−OH、F、Cl、Br、I、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、CF3、CF2CF3、−CN、ニトロ、アミノまたはアミドであり得る(US2003/191115またはWO03/026652も参照)。R34aは、例えば、H、−(CH2)r−R35、−(CH(CH3))r−R35、−(C(CH3)2)r−R35、アルコキシ、チオアルキルまたはアミノであり得、式中、R34aは、N−ハロ結合、N−S−結合またはN−CN−結合を形成しないものであり、rは、数字0、1、2、3、4、5および6のうちの1つである。R35は、とりわけ、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、CH(CH3)2、F、Cl、Br、I、−CN、−CHO、CF3、アミノ、アミド、カルボキシ、スルホキシまたはカルボニルであり得る。R36は、とりわけ、H、CH(CH2OH)2、CH(CH2OCH3)2、CH(CH2OCH2CH3)2、CH(CH2OCH2CH2CH3)2、CH(CH2OCH2CH2CH3)2、カルボニル、アミド、スルホキシまたはスルファミドであり得る(US2003/191115またはWO03/026652も参照)。
Mは、3〜10員環の炭素環であるかまたは、炭素原子と1〜3個のヘテロ原子とからなる4〜10員環の複素環である。4〜10員環の複素環のヘテロ原子はN、OまたはSである。環Mは、0〜3個の基R34と0〜2個のカルボニル基とで置換されており、環に0〜3個の二重結合を含む。環G1は、フェニル、ピリジル、ピリミジル、ピラジニルまたはピリダゾニルである。環G2は、0〜2個のC=C二重結合を含む4〜8員環の単環式または二環式の炭化水素環である。いくつかの実施形態において、環G2は2−オキソ−1−ピペリジニル残基である。いくつかの実施形態において、環G2は2−オキソ−1−ピペラジニル残基である。いくつかの実施形態において、環G2は2−オキソ−テトラヒドロ−1−(2H)−ピリミジニル残基である。いくつかの実施形態において、環G2は2−オキソ−1−ピペリジニル残基である。R37およびR137はそれぞれ独立に、とりわけ、H、−OH、F、Cl、Br、I、CN、C1〜C4アルキル、OCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3、O(CH3)2、OCF3またはアミノである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Q1は、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員環の炭化水素環、飽和もしくは不飽和の5〜7員環の複素環基、飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合炭化水素基、または飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合複素環基である。いくつかの実施形態において、Q1は、5−メチル−6,7−ジヒドロ−4H−[1,3]チアゾロ[5,4−c]ピリジン残基である。X2は酸素原子または硫黄原子である。B10はNまたはCH2であり得る。R38は、とりわけ、H、OH、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、CN、アミノ、アミノアルキル、アシル、アシルアミノアルキルを含むアシルアミノ、カルバモイル、アリールまたはアラルキル(EP2343290参照)であり得る。R39およびR40はそれぞれ独立に、H、OH、アルキル基またはアルコキシ基である。Q4は、アリール基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルケニル基、飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合炭化水素基、または飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合複素環基であり、置換されていてもよい。T1は、カルボニル基、スルホニル基、−C(=O)−C(=O)−、−C(=O)−C(=O)−NH−、−C(=O)−C(=O)−N(アルキル)−、−C(=O)−(C1〜C5アルキレン)−N(アルキル)、−C(=O)−(C1〜C5アルキレン)−NH−、−C(=O)−(C1〜C5アルキレン)−C(=O)−または−C(=O)−N=N−であり得る。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Q3は、とりわけ、下記基のうちの1つであり得る(WO01/64642およびWO01/64643参照):
R59はH、F、ClまたはBrである。R60、R61、R62およびR63はそれぞれ独立に、H、F、Cl、Br、Me、NO2、OH、OMe、NH2、NHAc、NHSO2Me、CH2OHおよびCH2NH2である。R64はF、Cl、Br、Me、OHまたはOMeである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、環Eは、ベンゼン環であるかまたは、N、SもしくはOであり得るヘテロ原子を1〜4個有する5もしくは6員環の複素環である。X3およびX4はそれぞれ独立に、−C(=O)−NH−、C(=O)−N(C1〜C6アルキル)、−NH−C(=O)−、−N(C1〜C6アルキル)−C(=O)−、−CH2−NH−、−CH2−N(C1〜C6アルキル)−、−NH−CH2−または−N−(C1〜C6アルキル)−CH2−である。R65は、ハロゲン、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシを含む基である。R66およびR67はそれぞれ独立に、H、ハロゲン、CN、NH−SO2−(C1〜C6アルキル)、−NH−CO−(C1〜C6アルキル)、−CO−(C1〜C6アルキル)、−CO−(C1〜C6アルコキシ)、−C(O)NH2、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシまたはS−(C1〜C6アルキル)である。R68は、H、SO3Hまたは糖残基である。環Gは、ピペリジン環であるかまたは次のもので置換されたベンゼン環である:
本明細書において、R69は、H、C1〜C6アルキル、−SO2−(C1〜C6アルキル)または、N、SもしくはOであり得るヘテロ原子を1〜4個有する5もしくは6員環の複素環である。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R70〜R75およびR52は、国際特許出願WO97/24118において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、X3、B3およびR76〜R78は、国際特許出願WO02/100830において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、B4およびR79〜R81は、国際特許出願WO2013/092756において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R86は水素またはフッ素である。
PAI阻害剤は、PAI−1阻害剤PAIであり得る。これは、いくつかの実施形態において、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、B5、X6、R87およびR88は、欧州特許出願EP2607348において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、PAI−1阻害剤は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、X7、Z1およびR98は、英国特許出願GB2372986において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
栓球凝集阻害剤は、ADP受容体P2Y12の拮抗薬、またはGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬であり得る。いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R94およびR96は、米国特許US4051141およびUS4591592において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Y1およびR97は、米国特許US4529596において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Y2、R102およびR103は、米国特許US5288726において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、X8、X9およびR104〜R107は、国際特許出願WO2008/054796において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R108およびR109は、国際特許出願WO2008/054795において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R110〜R112は、国際特許出願WO2000/34283において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、X10、Z2、A1、B6、B7、Q5およびR113〜R118は、国際特許出願WO2008/128647において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、E、A2、B8、B9およびR119〜R131は、国際特許出願WO2008/155022において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、ADP受容体P2Y12の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Y3、Z3、Z4およびR134は、国際特許出願WO2010/122504において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Y4、Y5、X11、X12、K*、AA1〜AA4およびn4〜n7は、国際特許出願WO90/15620において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Y6は
である。変数qは、整数2および3のうちの1つであり、q’は0〜4の整数である。R138は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルコキシ、C1〜C8アルコキシカルボニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキルおよびアリールである。R139は、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アルコキシカルボニルオキシアルキル、C3〜C6シクロアルキルまたはアリールである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Z5、R139およびR140は、国際特許出願WO95/14683において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩である:
この式中、Q6、m、m’、m’’、Z13、Z14、Z15、R142、R143、R144およびR145は、国際特許出願WO93/19046において明記されているとおりであり、下記に定義するとおりである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩である:
この式中、Q6は、ヘテロ原子としてN原子を1または2個有する6員環の飽和複素環である。変数m’’’は、2〜6の整数である。Z15は、CO−NHまたはNH−COであり得る。R146は、アリール、C1〜C10アルキルまたはC4〜C10アラルキルである。
いくつかの実施形態において、GPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、下記式の化合物または、ラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、Z6およびZ7のうちの一方はCHであり、他方はCH、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシまたはNである。Z8はNH、C1−〜C8−アルキル−NまたはC1−〜C8−アルコキシ−(C1〜C8アルキル)−Nである。Z9は、Hであるかまたは、場合によりOH、SH、CONH2、CONH−C1−8−アルキル、C1〜C8アルキルチオ、アリール、NH2、NH−(C1−8アルキル)、N(C1−8アルキル)(C1−8アルキル)もしくはO−(C1−8アルキル)で置換されたC1〜C8アルキルである。
Z10はO、CH2、NH、アシル−NまたはC1−8−アルキル−OC(O)Nである。Z11およびZ12は、H、C1〜C8アルキル、OH、C1〜C8アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキル、カルボキシ−C1−8−アルキル、P(O)(O−C1−8−アルキル)2、C(O)O−C1−8−アルキル、OC(O)−C1−8−アルキル、OC(O)O−C1−8−アルキルもしくはC(O)S−C1−8−アルキルであり、Z11およびZ12のうちの少なくとも一方がH(水素)であるか、あるいはZ11およびZ12がそれらが結合しているNと一緒に(5,5−ジメチルまたは5−オキソ)−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基になっている。Z16は、N原子を介してケト基に結合している1,4−ピペリジニレンであるか、または場合によりC1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシ、OCH2COOHもしくはOCH2COO−(C1−8アルキル)で置換された、1,4−フェニレンである。R141は、NH2、NH−(C1−8アルキル)、NH−(C1−8アルキル)COOH、NH−(C1−8アルキル)COO−C1−8アルキル)、C1〜C8アルキルオキシまたはC1〜C8アルケニルオキシである。
第2の態様によれば、殺鼠剤としての、第1の態様による2つ以上の活性剤の合剤の使用が提供される。第2の態様による使用の合剤は、第1の態様に従って使用される2つ以上の活性剤を含み得る。いくつかの実施形態において、合剤は、第1の態様に従って使用される2つ以上の活性剤から実質的になる。
いくつかの実施形態において、第2の態様の使用の合剤は、トロンビン阻害剤とトロンビン受容体拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とトロンビン受容体拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤と第Xa因子阻害剤とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤と第Xa因子阻害剤とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とPAI阻害剤とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とPAI阻害剤とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とP2Y12受容体の拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とP2Y12受容体の拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン阻害剤とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とから実質的になる。
いくつかの実施形態において、使用される合剤は、トロンビン受容体拮抗薬と第Xa因子阻害剤とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬と第Xa因子阻害剤とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とPAI阻害剤とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とPAI阻害剤とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とP2Y12受容体拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とP2Y12受容体拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とGPIIb/IIIa受容体拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、トロンビン受容体拮抗薬とGPIIb/IIIa受容体受容体拮抗薬とから実質的になる。
いくつかの実施形態において、使用の合剤は、第Xa因子阻害剤とPAI阻害剤とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、第Xa因子阻害剤とPAI阻害剤とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、第Xa因子阻害剤とP2Y12受容体拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、第Xa因子阻害剤とP2Y12受容体拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、第Xa因子阻害剤とGPIIb/IIIa受容体拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、第Xa因子阻害剤とGPIIb/IIIa受容体拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、PAI阻害剤とADP受容体P2Y12の拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、PAI阻害剤とADP受容体P2Y12の拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、PAI阻害剤とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、PAI阻害剤とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とから実質的になる。いくつかの実施形態において、合剤は、ADP受容体P2Y12の拮抗薬とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とを含む。いくつかの実施形態において、合剤は、ADP受容体P2Y12の拮抗薬とGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬とから実質的になる。
第3の態様によれば、殺鼠剤としての組成物の使用が提供される。組成物は、第1の態様による活性剤と齧歯動物が耐え得る担体とを含み得る。また、組成物は、第2の態様による合剤と齧歯動物が耐え得る担体とを含んでもよい。
第4の態様によれば、有害齧歯動物誘引剤が提供される。有害齧歯動物誘引剤は、有害齧歯動物に対抗するために使用される。この有害齧歯動物誘引剤は、有害齧歯動物の出現を制御するために使用することもできる。有害齧歯動物誘引剤は、本明細書に記載される活性剤を1つ以上含む。そのような有害齧歯動物誘引剤は、典型的には、トロンビン阻害剤、トロンビン受容体拮抗薬、第Xa因子阻害剤、PAI阻害剤、ADP受容体P2Y12の拮抗薬、および/またはGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬の分類からの1つ以上の化合物を含む。有害齧歯動物誘引剤は、本明細書に開示される化合物を1つ以上含み得る。有害齧歯動物誘引剤は、第2の態様による組成物を含んでもよい。
第5の態様によれば、本開示は、有害齧歯動物に対抗する方法に関する。当該方法は、有効量の本明細書に記載の活性剤を有害齧歯動物に給餌することを含む。いくつかの実施形態では、有効量の第2の態様による組成物を有害齧歯動物に給餌する。この方法は、第3の態様による有害齧歯動物誘引剤の適用を含み得る。この方法は、齧歯動物の出現を制御するための方法であってもよい。
上記に説明した概要は限定的なものではなく、本明細書に記載される組成物、適用および方法のその他の特徴および利点は、以下の詳細な説明および特許請求の範囲によって明らかにされるであろう。
詳細な説明
特に明示しない限り、または別の意味が文脈から明白でない限り、下記の用語および表現は、説明および特許請求の範囲を含めたこの文書において用いられる場合、下記に明記する意味を有する。
文脈に応じて、この文書において用いられる用語「脂肪族」は、総じて化学基と化学化合物との両方に関するものであり得る。当該用語は、特に明示しない限り、飽和または一価不飽和または多価不飽和であり得る、1つ以上のヘテロ原子を含み得る直鎖型または分岐型の炭化水素鎖の存在を意味する。ヘテロ原子は、炭素原子以外の原子、例えばN、O、S、SeまたはSiである。不飽和脂肪族基は、1つ以上の二重結合および/または三重結合、すなわちアルケン基および/またはアルキン基を含む。炭化水素鎖の枝は、直鎖、および非芳香族の環状要素を含み得る。特に明示しない限り、炭化水素鎖はいかなる所望の長さを有してもよく、いかなる所望の個数の枝を含んでもよい。代表的な実施形態において、炭化水素骨格は、最大で約20個の炭素原子、例えば1個〜約15個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態において、炭化水素骨格は、2個〜約10個の炭素原子を含む。アルキル基は、例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル(カプリル)、ノニル(ペラルゴニル)、デシル(カプリン)、ドデシル(ラウリル)、テトラデシル(ミリスチル)、ヘキサデシル(セチル)、これらの基のn−異性体、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチルまたは3,3−ジメチルブチルである。
用語「環式脂肪族」は、脂環式と等価であり、特に明示しない限り、非芳香族の環状化学構造、典型的には環式炭化水素残基に関する。そのような環構造は飽和であってもよい。そのような環構造は、1つ以上の二重結合を含んでもよい。この環状構造は、デカリンの場合のように縮合していてもよい多数の閉鎖環を含んでもよい。環式脂肪族基および環式脂肪族分子は、1つ以上の非芳香族環、鎖状要素または官能基で置換されていてもよい。環式脂肪族構造が芳香族で置換されている場合、この基またはこの分子は、芳香族脂環式と呼ばれるものでもある。特に明示しない限り、環における環式脂肪族炭化水素単位の骨格はいかなる個数の非芳香族の環状要素または鎖状要素を含んでもよい。いくつかの実施形態において、環式脂肪族炭化水素単位の骨格は、3、4、5、6または7個の骨格原子を環に含み得る。そのような単位の実例は、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルである。環式脂肪族炭化水素単位はさらに、骨格内および置換基内のいずれにも、例えば側鎖内や環状置換基内に、ヘテロ原子を含み得る。そのようなヘテロ原子は、例えば、N、O、S、SeまたはSiである。
この文書において用いられる用語「芳香族」は、完全分子および化学基または残基のいずれとしてのものでもある平面状の環式炭化水素単位に関する。芳香族炭化水素単位は、共役二重結合を特徴とする。芳香族単位は、単一の環または、複数の縮合もしくは共有結合で連結された環を含み得る。対応する単位の実例は、シクロペンタジエニル、フェニル、ナフタレニル、[10]アヌレニル−(1,3,5,7,9−シクロデカペンタエニル)、[12]アヌレニル、[8]アヌレニル、フェナレン(ペリナフテン)、1,9−ジヒドロピレンまたはクリセン(1,2−ベンゾフェナントレン)である。単一の芳香族環は、典型的には、5、6、7または8個の骨格原子を有する。芳香族単位は、官能基または脂肪族基などの置換基を含み得る。用語「芳香族」は、ベンジル単位などの「アリールアルキル」をも含む。芳香族炭化水素単位はさらに、骨格内のみならず側鎖などの置換基内にも、ヘテロ原子を含み得る。そのようなヘテロ原子は、例えば、N、O、SまたはSeである。複素芳香族炭化水素単位は、例えば、フラニル、チオフェニル、ナフチル、ナフトフラニル、アントラチオフェニル、ピリジニル、ピロリル、キノリニル、ナフトキノリニル、キノキサリニル、インドリル、ベンゾインドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、オキソニニル、オキセピニル、ベンゾオキセピニル、アゼピニル、チエピニル、セレンピニル、チオニニル、アゼシニル(アザシクロデカペンタエニル)、ジアゼシニル、アザシクロドデカ−1,3,5,7,9,11−ヘキサエン−5,9−ジイル、アゾジニル、ジアゾシニル、ベンゾアゾシニル、アゼシニル、アザウンデシニル、チア[11]アヌレニル、オキサシクロ−トリデカ−2,4,6,8,10,12−ヘキサエニルまたはトリアザアントラセニル単位である。
用語「アリール脂肪族」は、1つ以上の芳香族単位と1つ以上の脂肪族単位とを含む炭化水素単位であって、1つ以上の芳香族単位が1つ以上の脂肪族単位に結合している炭化水素単位を指す。いくつかの実施形態において、炭化水素骨格は、アリール脂肪族単位の芳香族環に5、6、7または8個の骨格原子を含む。アリール脂肪族単位の例としては、1−エチル−ナフタレン、1,1’−メチレン−ビス−ベンゼン、9−イソプロピルアントラセン、1,2,3−トリメチル−ベンゼン、4−フェニル−2−ブテン−1−オール、7−クロロ−3−(1−メチルエチル)−キノリン、3−ヘプチル−フラン、6−[2−(2,5−ジエチル−フェニル)エチル]−4−エチル−キナゾリンまたは7,8−ジブチル−5,6−ジエチル−イソキノリンが挙げられる。
この文書において用いられる用語「処置すること」および「処置」は、予防または防止の手段、および治療効果を発展させる手段の双方に関する。「処置すること」および「処置」は、例えば、被験体の生命体における病理状態を含む異常状態を防止、緩慢化、軽減もしくは少なくとも部分的に緩和する、または消失させることを指す。用語「異常状態」は、概して、生命体の通常の機能とは異なる対応する生命体の細胞、器官または組織の機能を指す。異常状態は、例えば、細胞増殖、細胞分化または細胞の生存における変化に関連し得る。処置を必要とする者としては、疾患および/もしくは障害によって既に影響を受けている被験体ならびに、疾患/障害の発生する傾向にある者または疾患/障害の発生が防止されるべき者が挙げられる。処置は一般に、疾患または病理状態の存在および/または進行に関連する症候の進行を軽減、安定化または防止する。用語「処置すること」は、典型的には、被験体の細胞または組織に化合物を投与する方法を指す。
この文書において用いられる用語「対抗すること」および「対抗する」は、不必要な生命体、この場合は有害齧歯動物を殺す作用を及ぼす手段に関する。「対抗すること」は、いくつかの実施形態において、用語「制御すること」に相当する意味を有する。「対抗すること」および「対抗する」は、例えば、有害齧歯動物の生命体における病理状態を含む異常状態を惹起し、亢進させ、その発生を可能にすることを含めて支持することを意味する。典型的には「対抗すること」は、有害齧歯動物の細胞または組織に化合物を供給する方法および/または使用を含む。用語「対抗すること」および「対抗する」はさらに、対応する化合物を有害齧歯動物の細胞または組織に供給できることを可能にする方法および/または使用の特徴を概して含む。本明細書において開示される方法および使用では、投与を可能にするような特徴は、典型的には、そのような方法および/または使用において用いられる活性剤の作用開始の時間枠に基づく。
この文書において用いられる用語「からなる」は、用語「からなる」に先行するものを含みかつそれに限定することを意味する。したがって、用語「からなる」は、列挙された要素が要求され、または必要であり、その他の要素が存在し得ない、ということを示す。用語「から実質的になる」は、その用語に先行して定義されるいかなる要素をも含むという点および、対応する要素についてこの文書で明記されている活性または作用を変化させない他の要素、すなわちその活性または作用に干渉せず寄与しない他の要素が例えば試料中または組成物中に存在し得るという点で、理解されるべきである。一例を挙げると、殺鼠剤として有効な組成物の場合、その用語は、当該組成物が1つ以上の活性剤から実質的になる場合にそれが担体剤/賦形剤を含んでいてもよい、ということを意味する。したがって、用語「から実質的になる」は、定義された要素が要求されるもの、または必要なものであり、しかしその他の要素は場合によって選択され、定義された要素の作用または有効性にそれらが関与するか否かに応じて存在または欠如し得る、ということを示す。
本明細書において用いられる場合、用語「約」は、当業者によって決定される一定値に対して許容可能な誤差範囲内にある値を指す。これは、各値の決定または測定の仕方、すなわち測定システムの限界に一部依存するであろう。「約」は、例えば、各領域での使用に応じて1以上の標準偏差内を指し示し得る。用語「約」は、量または値が、特定値または近似的に等しい他の何らかの値であり得る、ということを指し示すためにも用いられる。当該用語は、類似の値が、この文書において開示されるのと等価な結果または作用を促進する、ということを表現することを意図する。これに関連して「約」は、一定値の上および/または下10%までの範囲を指し得る。いくつかの実施形態において、「約」は、一定値の上および/または下5%まで、例えば一定値の上および/または下2%までの範囲を指す。いくつかの実施形態において、「約」は、一定値の上および/または下1%までの範囲を指す。いくつかの実施形態において、「約」は、一定値の上および/または下0.5%までの範囲を指す。1つの実施形態において、「約」は、一定値の上および/または下0.1%までの範囲を指す。
本明細書において用いられる場合、いくつかの要素間の接続詞用語「および/または」は、個々の選択肢と組み合わせの選択肢との両方を含むと理解されるべきである。例えば、2つの要素が「および/または」で連結されている場合、第1の選択肢は、2番目の要素を含まない1番目の要素の使用に関する。第2の選択肢は、1番目の要素を含まない2番目の要素の使用に関する。第3の選択肢は、1番目の構成要素と2番目の構成要素とを合わせた使用に関する。これらの選択肢はいずれも当該用語の意味の範囲内に入り、それゆえこの文書において用いられる用語「および/または」の条件を満たす、ということを理解すべきである。
用語「低分子量」は、化合物、例えば、低分子量トロンビン阻害剤との関連において、約5000Da以下の範囲内にある分子質量を指す。いくつかの実施形態において、低分子量化合物の質量は、約2000Da以下の範囲内にあり得る。
用語「プロドラッグ」は、齧歯動物などの動物の生命体内で、例えば酵素的、機械的および/または電磁的な手段によって所望の薬理作用または毒性作用を呈するその活性形態へと変換される化合物を指し示す。したがって、「プロドラッグ」は、それ自体が薬理学的/毒性学的には未だ不活性であるかまたは最終活性剤に比べてより少ない作用を呈する、活性剤の誘導体である。典型的には、プロドラッグは、安定性、特異性、毒性または生物学的利用能に関する挑戦に打ち勝つために用いられる。プロドラッグは、例えば、最終活性剤に比べて好都合な溶解度、組織適合性または放出性を有し得る。例えば、プロドラッグは、最終活性剤と比べて、生体内で溶媒和によって酵素的に除去される官能基に保護基を有するものであってもよい。別の例を挙げると、プロドラッグは、生体内で酸化および/もしくはリン酸化またはグリコシル化によって最終活性剤へと変換され得る。この場合、1つ以上の酵素および/または胃酸が関与し得る。代表的なプロドラッグは、例えば、親酸化合物をC1−6アルコールなどの適切なアルコールと反応させることによって得られるエステルなどのカルボン酸誘導体、親酸化合物をC1−6アミンなどの適切なアミンと反応させることによって得られるアミド、または塩基含有親化合物をカルボン酸化合物と反応させることによって得られるC1−6アシルアミンなどのアシル化塩基性基である。
本明細書において用いられる用語「投与」は、化合物などの物質、例えば医薬化合物、または抗原などの別の試薬を被験体内に/被験体に送達、供給、挿入または輸送することのいずれの類をも指す。投与形態としては、経口投与、局所(局部)接触、静脈内、腹腔内、筋肉内、鼻腔内および皮下への投与が挙げられる。本明細書に記載される適用および方法において、齧歯動物への投与は、典型的には、経口的に行われる。1つ以上の他の物質、例えば1つ以上の医薬活性剤「と組み合わせた」投与は、同時、つまり同時進行での、あらゆる順序での連続的な投与を含む。したがって、投与として誘引剤を適用する際には、その消費に関して集団内での時間および順序が齧歯動物に任されるという点で、齧歯動物の社会的行動を考慮する。
齧歯動物が耐え得る塩、または齧歯動物が耐え得る投与形態は、齧歯動物に即時の悪影響を生じない塩または投与形態である。したがって、そのような塩またはそのような投与形態は、齧歯動物、特にラットが誘引剤または異なる類の活性剤供給の潜在的悪影響を察することを可能にしない。いくつかの実施形態において、齧歯動物が耐え得る塩、または齧歯動物が耐え得る投与形態は、薬学的に耐え得る塩、または薬学的に耐え得る投与形態である。
対象物、例えば化合物の「有効量」は、用いられる用量計画にとって望ましい治療作用または毒性作用をもたらす、つまり特定の生理学的対象物に酵素阻害などの影響を与える、単回投薬として、または一連の投薬の一部としてのいずれかの量である。本事例において、意図される目的は齧歯動物の死であり得る。用量は、齧歯動物の種類や大きさおよび、供給または投与の種類、およびその他の因子を含めて、数々の因子に依存する。
この文書において用いられる場合、「1つ(a)」、「1つ(an)」または「その(the)」などの単数形は複数形を含む。例えば、「細胞」に対する参照には、個々の細胞および複数個の細胞の双方を含む。いくつかの事例では、各事例において単数形が複数形を含むことを示すために、用語「1つ以上の」を明示的に用いている。そのような明示的な表示は、単数形の一般的な意味を限定するものではない。特に明示しない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、これらの要素の各々を指すと理解されるべきである。例えば、用語「少なくとも1つ」は、2個、3個、4個またはそれより多い要素を含む。
本明細書において用いられる場合、用語「から少なくとも実質的になる」は、用語「から実質的になる」および「からなる」を含むと理解されるべきである。したがって、用語「から少なくとも実質的になる」は、いくつかの実施形態において列挙された要素が要求され、または必要であり、その他の要素が存在し得ない、ということを示す。それゆえ、用語「から少なくとも実質的になる」は、いくつかの実施形態において列挙された要素が要求されるもの、または必要なものであり、しかしその他の要素は場合によって選択され、定義された要素の作用または有効性にそれらが関与するか否かに応じて存在または欠如し得る、ということをも指し示す。さらに、本明細書に明記される範囲内の値で達成されるのと実質的に同様の結果を達成するために、当該範囲を上下にわずかに変動させたものを用いるべきである。また、特に明示しない限り、範囲の開示は、最小値と最大値との間にある個々の値の全てを含む連続した範囲として提供されるものである。
本明細書で開示される化合物、本明細書で開示される合剤、本明細書で開示される組成物、本明細書で開示される使用、および本明細書で開示される方法は、典型的には、血液凝固のプロセスに干渉する。ここで、概して、血液凝固が阻害される。この作用は原理的に既知であり、治療上、血餅の防止に用いられている。血餅の恐ろしい結末は、例えば、心臓発作、脳卒中または肺塞栓である。そのような治療上の作用には出血の危険性が伴う。しかし、ヒトにおいて望ましくない副作用であるこの薬物作用は、すぐには起こらないが致命的となる出血の形態を有しており、齧歯動物、特にラットに対抗する上では歓迎される効果である。
止血では、最初に血小板(栓球)が組織構造体に付着し、凝集し合い、止血塊を形成する。いかなる特定の理論にもとらわれず、本開示による使用および方法における作用は、この凝集、したがって止血塊の形成が軽減され、場合によっては除外される、という点で理解され得る。この理解によれば、血小板の付着は通常、本明細書において開示される使用および本明細書において開示される方法の注力点ではない。
止血では、活性化された血小板が付着し、粒形崩壊し、凝血促進性微粒子ならびにADPおよびトロンボキサンA2を分泌する。これらはその血小板受容体に結合し、さらなる血小板の活性化をもたらす。血小板の互いの凝集は、血小板上の受容体へのフィブリノゲンおよびCa2+の結合によって容易になる。次の段階、すなわちフィブリン形成段階では、形成されたフィブリンが止血塊を固まらせる。したがって、事実上の血液凝固は、不溶性フィブリン内での可溶性フィブリノゲンの変換である。血液凝固の活性化は、第Xa因子、第Va因子、リン脂質およびCa2+からプロトロンビナーゼ複合体をもたらす。血液凝固における重要な酵素は、プロテアーゼであるトロンビンである。トロンビンは、フィブリノペプチドAおよびBをフィブリノゲンから分離させることによってフィブリノゲンのフィブリンへの変換を触媒する。結果として生じるフィブリンモノマーは凝集してポリマーになる。
ラット、マウス、ハタネズミ、ウサギ、オポッサムおよびジリスなどの齧歯動物を毒殺するためには、これまでのところ、数ある中で、ワルファリン、クマテトラリル(cumatetralyl)(coumatetralylともいう)、ジファシノン、フロクマフェン(flocumafen)(flocoumafenともいう)、ブロジファクムおよびブロマジオロンが用いられている。ワルファリンは(RS)−4−ヒドロキシ−3−(3−オキソ−1−フェニル−ブチル)−クマリンであり、クマテトラリルは4−ヒドロキシ−3−(1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル)−クマリンである。ジフェナクムは3−(3−ビフェニル−4−イル−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル)−4−ヒドロキシクマリンであり、フロクマフェンは4−ヒドロキシ−3−[3−(4’−トリフルオロメチルベンジル−オキシフェニル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル]クマリンであり、ブロジファクムは3−(3−(4’−ブロモ−1,1’−ビフェニル−4−イル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフチル)−4−ヒドロキシクマリンであり、ブロマジオロンは3−[3−(4’−ブロモビフェニル−4−イル)−3−ヒドロキシ−1−フェニルプロピル]−4−ヒドロキシクマリンである。したがってそれはクマリンに関係している。クマリン、4−ヒドロキシ−クマリンまたは1,3−インダンジオンの誘導体は、酵素であるビタミンKキノンレダクターゼおよびビタミンKエポキシドレダクターゼを妨害することによるビタミンK拮抗薬である。
ビタミンKは、第II、第VII、第IXおよび第X凝固因子、ならびに凝固調節剤であるプロテインCおよびプロテインSを含む多数のタンパク質中のN末端グルタミン酸残基の翻訳後γカルボキシル化のための補因子として必要である。したがって、クマリン、例えばフェンプロクモン(Marcumar(登録商標)、Falithrom(登録商標))またはワルファリン(Couxnadin(登録商標))は、間接的に作用する抗凝血剤である。ビタミンK依存性凝固因子の様々な生物学的半減期によれば、最大のクマリン作用は、かなり遅延した後、ヒトにおいては24〜36時間後にようやく顕在化する。ヒト患者におけるワルファリンの使用の危険性は、その治療上の余裕が狭いことである。過剰用量の場合、胃腸管、脳、副腎または網膜での出血が起こる。最適投薬量は個別に決定することが好ましい。殺鼠剤として用いる場合には、そのような考慮は何の役割も果たさず、むしろ致死量(LD)の達成が探求される。
フェンプロクモンは、例えば血栓症の再発防止のため、または心房細動の場合に、血栓形成およびそれにより生じる塞栓を防止するためにヒトにおいて用いられる。ヒトに用いた場合における望まれない恐ろしい作用は、過剰投薬および同時の高血圧の場合に特に起こり得る重度の出血である。
その他の2つの既知の殺鼠剤は、ジフェナクム(2−(ジフェニルアセチル)−1H−インデン−1,3(2H)−ジオン)ピンドン(2−ピバロイル−1,3−インダンジオン)である。インダンジオン化合物としてそれらは、ビタミンK拮抗薬としてのクマリンと同様に作用する。
クマリンおよびインダンジオン化合物の有効性は、動物体内での物質の緩慢な蓄積と、結果として生じる抗凝血の増大とに基づくものであり、そのために動物は徐々に内出血して死ぬ。特に、ただ単に漸進的に開始されるに過ぎない毒性作用は、クマリンおよびインダンジオン化合物を有害齧歯動物用の毒薬として大いに成功させた。
クマリンまたはインダンジオン化合物が混合された誘引剤を取り込んだ場合にラットは最初のうちは生存したままであり、中毒の症候を示さない。それゆえ、誘引餌を定期的に食べるラットなどの野生齧歯動物は、誘引剤消費の直後または少し後に死ぬことはなく、最終的に内出血して死ぬまでもう数日間生きたままである。したがって、これも「毒味役ラット」に有効である。それゆえ、ラットの防御的な社会的行動は効果的に回避され、駆除剤(クマリン/インダンジオン)を含有する誘引餌はラット集団によって忌避されない。それどころかラット集団全体が、遅れながらも完全に全ラット集団を排除する入手容易な誘引剤を食べる。クマリンまたはインダンジオン化合物を含む、定期的に供給される誘引剤は、このように、ラットの大集団の安全な排除を確実にもたらした。
その一方で、クマリンおよびインダンジオン化合物の広範な使用ゆえに、全世界のラット系統のほぼ3分の1から半分においてクマリンおよびインダンジオン化合物に対する強い抵抗性を予期しておかねばならない。この抵抗性は、共存する代替的なチオール(SH)/ジスルフィド(S−S)依存性のビタミンK還元経路に基づく。チオール依存性還元経路が通常非常に不十分に形成されているヒトの場合とは異なり、現在、この代替的なビタミンK還元経路を活性化できる種々のラット系統が存在する。駆除剤としてクマリンを長期的に使用する間に、チオール依存性還元経路は淘汰上の著しい利益をラットに提供する。クマリン誘引剤が非常に効率的に使用された何十年にも亘って、とりわけクマリン抵抗性の系統は撹乱を受けずに増殖でき、その結果、今日においてこれらのクマリン抵抗性ラット系統の著しい淘汰が生じた。
本明細書に開示される使用および方法は、ビタミンK拮抗薬に加えて、抗血栓作用を呈するさらなる活性剤が殺鼠剤として議論されるに足る遅発性の作用を有する、という見解に基づく。
本明細書に開示される使用および方法は、いくつかの実施形態では、齧歯動物に対して選択的である。これらの実施形態において、基礎をなす化合物は、例えば鳥類に対して同じ致命的な抗血栓作用を示さない。
いくつかの実施形態において、本明細書において開示される使用および方法は、好ましくは、例えばクマネズミ(rattus rattus)、rattus andamanensis、ドブネズミ(rattus norvegicus)、アゼネズミ(rattus argentiventer)またはナンヨウネズミ(rattus exulans)が属するラット(クマネズミ属)の種に関する。これらの実施形態において、基礎をなす化合物は、例えばマウスやハムスターに同じ致命的な抗血栓作用を示さない。いくつかの実施形態において、本明細書において開示される使用および方法は、ラット(クマネズミ属)の種に対して選択的である。例えば、国際特許出願WO01/47919、WO03/026652またはWO01/64642およびWO01/64643による化合物など、本明細書に開示される第Xa因子の阻害剤の使用は、典型的にはクマネズミ属に対して選択的である。同様に、欧州特許出願EP2343290およびEP1336605による阻害剤の使用は、典型的には選択的にクマネズミ属に関する。国際特許出願WO97/24118、WO02/100830、WO2013/092756およびWO03/084929による化合物の使用もまた、典型的にはラットの種に対して選択的である。
一般的には使用がクマネズミ属に対して少なくとも概ね選択的となる化合物のさらなる例は、GPIIb/IIIa受容体拮抗薬である。したがって、国際特許出願WO95/14683およびWO93/19046による阻害剤の使用は、典型的には選択的にクマネズミ属に関する。また、米国特許US5721366および欧州特許EP0656348による化合物の使用も、典型的にはラットの種に対して選択的である。
典型的に、殺鼠剤として適する化合物は、経口投与に適する製剤で提供される。本明細書において、活性剤自体は、経口的に、例えば水溶液で摂取されるために十分な極性の特徴を有していてもよい。また、いくつかの実施形態において、対応する製剤は、活性剤の経口摂取を可能にする可溶化剤などの添加剤を含んでもよい。
いくつかの実施形態において、殺鼠剤として活性な化合物は、低分子量トロンビン阻害剤である。低分子量トロンビン阻害剤は、典型的には例えば基質類似体としてトロンビンの触媒中心を可逆的に妨害することによって、(フィブリンに結合した形態であっても)トロンビンを阻害する。これらは通常、ベンズアミジンおよびアルギニンに由来する基質類似型トリペプチド、その誘導体、またはペプチド模倣薬である。低分子量トロンビン阻害剤は、血栓塞栓障害の防止において治療上用いられているか、または用いられてきた。
ペプチド模倣薬の一実例は、国際特許出願WO1994/029336および/またはWO1997/23499による化合物である。これらは例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る。
この式中、R1はH、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルキルフェニル、A1C(O)N(R4)R5、またはA1C(O)OR4であり得る。ここで、A1はC1〜C5アルキレンを表し、R4およびR5はそれぞれ独立に、H(水素)、C1〜C6アルキル、フェニル、2−ナフチルであるか、またはR1がA1C(O)N(R4)R5である場合にR4およびR5が、それらに結合している窒素原子と一緒にピロリジニルもしくはピペリジニルになっている。いくつかの実施形態において、R1はエチル基である。いくつかの実施形態において、R1はメチル基である。いくつかの実施形態において、R1はプロピル基またはイソプロピル基である。
R2はH、OH、OC(O)R6、C(O)OR7またはC(O)OCH(R8)OC(O)R9であり、式中、R6はC1〜C17アルキル、フェニルまたは2−ナフチルであり得、それらはいずれも場合によりC1〜C6−アルキルまたはハロゲンで置換されていてもよく、R7は、(a)C1〜C3アルキルフェニル、フェニルもしくは2−ナフチルであってもよく、それらはいずれも場合によりC1〜C6アルキル、C1〜C6アルコキシ、ニトロもしくはハロゲンで置換されていてもよく、または(b)C1〜C2アルキルであってもよく、それは場合によりC1〜C6アルコキシ、C1〜C6アシルオキシもしくはハロゲンで置換されていてもよい。いくつかの実施形態において、R2はHである。R3はHまたはC1〜C4アルキルである。
上記化合物の一例は、高い親和性でトロンビンの活性中心に可逆的に結合するメラガトランである。メラガトランは、R1として水素原子を含む。プロドラッグ形態であるキシメラガトラン(エキサンタ、Exarta、Exantan(登録商標))は、R1としてエチル基を含む。それは、ヒトに経口投与することができ、吸収された後に速やかに活性型メラガトランに変換される。35日を超えて投与すると肝臓毒性の危険性が伴うため、当該活性剤はヒトにおける使用が認可されていない。
適切なペプチド模倣薬の別の実例は、国際特許出願WO1998/37075による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物、または齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグを含み得る:
R24はC1〜C6アルキルまたはC3〜C7シクロアルキルである。いくつかの実施形態において、R24はエチルである。いくつかの実施形態において、R24はメチルである。Ar3は、場合によりフッ素原子、塩素原子もしくは臭素原子またはトリフルオロメチル基、C1−3アルキル基もしくはC1−3アルコキシ基で置換された、フェニレン基またはナフチレン基であるか、あるいは、炭素骨格において場合によりC1−3アルキル基で置換された、チエニレン基、チアゾリレン基、ピリジニレン基、ピリミジニレン基、ピラジニレン基またはピリダジニレン基である。いくつかの実施形態において、Ar3はフェニレン基である。Ar4は、場合によりフッ素原子で置換されたフェニル基、または2−ピリジニル基である。R25は、(a)カルボキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、メチルスルホニルアミノカルボニル基もしくは1H−テトラゾール−5−イル基で置換されていてもよい、C1〜C3アルキル基であるか、または(b)ヒドロキシ基、ベンジルオキシ基、カルボキシ−C1−3−アルキルアミノ基、C1−3−アルコキシカルボニル−C1−3−アルキルアミノ基、N−(C1−3−アルキル)−カルボキシ−C1−3−アルキルアミノ基もしくはN−(C1−3−アルキル)−C1−3−アルコキシカルボニル−C1−3−アルキルアミノ基で置換された、C2−3アルキル基であり、上記基において、窒素原子に隣接して配置されているα炭素は、置換されていなくてもよい。
Eはシアノ基またはR26NH−C(=NH)基を表し、式中、R26は、水素原子、ヒドロキシ基、C1〜C3アルキル基、または生体内で切断可能な残基(WO1998/37075参照)である。
いくつかの実施形態において、WO1998/37075による化合物は、下記式で表され得るか、またはラットなどの齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
R149は、窒素原子に隣接して配置されているα炭素が置換されていなくてもよいことを条件として、カルボキシ基、C1〜C6アルコキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、メチルスルホニルアミノカルボニル基もしくは1H−テトラゾール−5−イル基で置換されていてもよい、C1〜C3アルキル基である。
WO1998/37075によるベンズアミジン基を有するベンゾイミダゾール誘導体は、競合的、可逆的および直接的なトロンビン阻害剤であるダビガトランである。生体内でダビガトランに変換されるプロドラッグであるダビガトランエテキシラート(プラダキサ(Pradaxa)(登録商標))は、国際特許出願WO03/074056に詳しく記載されている。ダビガトランは、待機的手術の膝置換または股関節置換の後での静脈における血餅形成を防止するため、および心房細動や脳卒中の危険性を有する患者における脳卒中を防止するために、EUで承認されている。ヒトにおけるその最も一般的な有害な薬物作用(副作用)は、胃腸管出血である。
ペプチド模倣薬の別の例は、米国特許US4101653による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Arは、とりわけ、フェニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、ナフチル、ナフトキノンまたはインダンであり得る。R8は、下記式の残基または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る(US4101653参照):
ここで、R9は、とりわけ、H、C1〜C10アルキル、C1〜C10アリール、C7〜C12アラルキルまたは5−インダニルであり得る。R10はC1〜C5アルキルまたはアルコキシであり得る。
そのような低分子量トロンビン阻害剤の別の例は、アルガトロバン(アルガトラ(Argatra)(登録商標))である。アルガトロバンは、アルギニン誘導体であるが、非経口投与されなければならない。しかしながらそれは、経口摂取もされるミセル系製剤で投与され得る。そのような製剤は、米国特許出願US5679690に記載されている。そのような化合物の脂質エマルションも、欧州特許出願EP0608828に記載されている。析出および凍結乾燥によって得られ、経口摂取に適するはずであるアルガトロバンの固形塩は、米国特許出願US2009/0221637において開示されているアルガトロンも出血の傾向を増大させ、そのためここでも出血が有害な薬物作用である。
低分子量トロンビン阻害剤の別の例は、国際特許出願WO2014/028318による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、mは0または1である。R43は、水素、ハロゲン、OH、C1〜C6アルキルであってもよく、またはR47と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R44は、複素環、−(CR45R46)2NHまたは−(CR45R46)NH2であり、式中、R45およびR46はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、−CH2F、−CHF2、CF3または−CH2OHである。R47は、H、ハロゲン、CF3、C1〜C6アルキルであってもよく、またはR43と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。
低分子量トロンビン阻害剤の別の例は、国際特許出願WO2014/058538による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R41は、水素であってもよく、またはR42と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R42は、ハロゲン、CF3、C1〜C6アルキルであってもよく、またはR43と一緒にC3〜C8炭素環を形成していても、もしくはR41と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R43は、水素、ハロゲン、OH、C1〜C6アルキルであってもよく、またはR42と一緒にC3〜C8炭素環を形成していてもよい。R44は、複素環、−(CR45R46)2NHまたは−(CR45R46)NHであり、式中、R45およびR46はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキル、−CH2F、−CHF2、CF3または−CH2OHである。
いくつかの実施形態において、殺鼠剤として活性な化合物は、トロンビン受容体拮抗薬である。トロンビン受容体拮抗薬は、血小板上に主に見受けられる、特にトロンビンによって活性化されるプロテアーゼ活性化受容体(PAR)を妨害する。このようにして、血小板に対する、したがって血液凝固に対するトロンビンの作用は阻害される。いくつかの実施形態において、トロンビン受容体拮抗薬は、トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬である。
例えば、トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬は、欧州特許出願EP1813282による2−イミノピロリジン化合物であり得る。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Ar2はとりわけ、フェニル基またはモルホリノ基であり得、当該フェニル基は、モルホリノ基、ピペラジニル基、ピペリジニル基またはピロリジニル基で置換されていてもよい。本明細書において、一般に、Ar2および/またはそれに含まれるフェニル基は、EP1813282に記載されているように置換されていてもよい。
上記式中、X1はHまたはハロゲンであり得る。R11およびR12はそれぞれ独立に、H、メトキシまたはエトキシであり得る。
EP1813282によるトロンビン受容体拮抗薬の一例は、E5555としても知られるアトパキサールである。アトパキサールは、1−(3−tert−ブチル−4−メトキシ−5−モルホリン−4−イル−フェニル)−2−(5,6−ジエトキシ−4−フルオロ−3−イミノ−1H−イソインドール−2−イル)エタノン−ヒドロブロミドのIUPAC名を有する臭化水素酸塩である。2つの第II相試験において、肝臓酵素の増加が認められた。1つの研究で認められた出血は、統計学的に有意でないと示された。
トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬は、さらに、オーストラリア原産のモクレンの樹皮に由来するヒンバシンアルカロイドの誘導体、例えば、米国特許出願US2003/216437または国際特許出願WO03/089428による化合物であってもよい。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Het1は、1〜9個の炭素原子と1、2、3または4個のヘテロ原子N、OまたはSとを含む、5〜10原子の単環式またはニ環式の複素芳香族基である。Het1は、ハロゲン、−OH、アリール、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C3〜C6)シクロアルキル、アミノおよびアミノアルキルの組から選択される1つまたは2つの置換基を有していてもよい。いくつかの実施形態において、Het1はフェニル基またはベンジル基で置換されている。いくつかの実施形態において、Het1はヘテロアリール基で置換されている。いくつかの実施形態において、Het1は、置換基を有さないアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。いくつかの実施形態において、Het1は、置換基としてCF3基またはCN基を有するアリール基またはヘテロアリール基で置換されている。対応するアリール基は、いくつかの実施形態において、フェニル基である。いくつかの実施形態において、Het1は、フッ素原子を置換基として有するアリール基またはヘテロアリール基によって置換されている。いくつかの実施形態において、Het1は、B1基に結合したピリジル基を含む。
B1は、(CH2)n1、シス−もしくはトランス−(CH2)n2CR14=CR15(CH2)n3、または(CH2)n2C≡C(CH2)n3であり、式中、n1は0〜5であり、n2およびn3はそれぞれ独立に、0〜2である。いくつかの実施形態において、n2およびn3はそれぞれ独立に、0または1である。R14およびR15はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキルまたはハロゲンである。いくつかの実施形態において、B1は、トランス−CH=CHまたはC≡Cである。
R20は、H、C1〜C6アルキル、C3〜C8シクロアルキル、−NHC(O)OR21、−NHC(O)R21、またはUS2003/216437において明記されている別の基である。ここで、R21は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C6−アルキル−OH、C1〜C6アルキル、アルコキシ、またはUS2003/216437において明記されているさらなる基などの基であり得る。
US2003/216437によるトロンビン受容体拮抗薬の一例は、SCH530348としても知られるボラパクサール(ゾンティビティ(Zontivity)(登録商標))である。これは、N−[(3R,3aS,4S,4aR,7R,8aR,9aR)−4−[(E)−2−[5−(3−フルオロフェニル)−2−ピリジル]ビニル]−3−メチル−1−オキソ−3a,4,4a,5,6,7,8,8a,9,9a−デカヒドロ−3H−ベンゾ[f]イソベンゾフラン−7−イル]カルバメートである。この化合物は、心臓発作、脳卒中および心血管性の死の危険性を低減する使用のために米国で承認されている。頭部内の出血の危険性が高いことから、脳卒中、一過性脳虚血発作(略してTIA)または頭部内の出血を以前に有していた患者にボラパクサールを使用してはならない。一般に、ヒトにおけるボラパクサールの使用の有害作用は、頭蓋内出血である。
トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬はまた、国際特許出願WO01/96330による化合物であってもよい。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Het2は、1〜13個の炭素原子と1〜4個のヘテロ原子とを含む、5〜14原子の単環式、ニ環式または三環式の複素芳香族基である。B2は、(CH2)n1−CH2−O−、−CH2−S−、−CH2NR13−、−C(O)NR13−、−NR13C(O)、
、シス−もしくはトランス−(CH2)n2CR14=CR15(CH2)n3、または(CH2)n2C≡C(CH2)n3であり、式中、n1〜n3は上記に定義したとおりである。R13はH、C1〜C6アルキル、フェニル、C3〜C7シクロアルキル、(C3−7シクロアルキル)−(C1−6アルキル)、(C1−6アルコキシ)−(C1−6アルキル)、ヒドロキシ−(C1−6アルキル)およびアミノ−(C1−6アルキル)である。R14およびR15はそれぞれ独立に、H、C1〜C6アルキルまたはハロゲンである。
この式中、R22およびR23はそれぞれ独立に、数ある中で、H、R16(C1〜C10アルキル)、R16(C2〜C10アルケニル)、R16(C2〜C10アルキニル)、R16(C1〜C10アルキル)、ヘテロシクロアルキル、R17アリール、(R17アリール)−(C1〜C8アルキル)、−OH、−OC(O)−R18、−CO(O)R19、−C(O)−R18、−C(O)N−R18R19、−N−R18R19、またはWO01/96330において明記されているさらなる基である。ここで、R16およびR17はそれぞれ独立に、H、ハロゲン、−OH、またはWO01/96330において明記されている別の基であり、R18およびR19はそれぞれ独立に、H、C1〜C10アルキル、またはWO01/96330において明記されている別の基である。
別の例を挙げると、トロンビン受容体PAR−1の拮抗薬は、欧州特許出願EP1867331による化合物であってもよい。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Bは、さらなる置換基を場合により含んでいてもよい単環式芳香族環である。R49は、−NHCOR53、−NHSO2R54、−NHCON(R55)(R56)、−NHCOOR57または−CONHR58のうちの1つの基である。ここで、R53〜R58はそれぞれ独立に、H、場合により置換されている炭化水素基、場合により置換されている複素環基、または場合により置換されているアルコキシ基である。同様に、R50、R51およびR52はそれぞれ、H、場合により置換されている炭化水素基、場合により置換されている複素環基、または場合により置換されているアルコキシ基である。
いくつかの実施形態において、殺鼠剤として活性な化合物は、第Xa因子の阻害剤である。いくつかの実施形態において、第Xa因子の阻害剤は、国際特許出願WO01/47919によるオキサゾリジノン化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式のオキサゾリドン、または齧歯動物が耐え得るその塩、水和物および/もしくはプロドラッグであり得る。
この式中、R27は、ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、アミノメチル、C1〜C8アルキル(それは場合によっては同様に、ハロゲンによる一置換体または多置換体であってもよい)、C3〜C7シクロアルキル、C1〜C8アルコキシ、イミダゾリニル、−C(=NH)NH2、カルバモイルまたは、モノ−およびジ−(C1〜C4)−アルキル−アミノカルボニルである。いくつかの実施形態において、R27は、チオフェン環の4位に配置されている。いくつかの実施形態において、R27は、チオフェン環の5位に配置されている。いくつかの実施形態において、R27は、塩素原子である。R29、R30、R31、R32、R33およびR34は、同一であるかまたは異なっており、水素またはC1〜C6アルキルを表す。いくつかの実施形態において、R31、R32およびR33は水素である。いくつかの実施形態において、R29およびR30は水素である。いくつかの実施形態において、R29、R30、R31、R32およびR33は水素である。R28は、次の基のうちの1つを表す:A’−、A’−M’、D’−M’−A’−、B’−M’−A’−、B’−、B’−M’−、B’−M’−B’−およびD’−M’−B’−。ここで、残基A’は(C6〜C14)アリールを示し、残基B’は、S、N、NO(N酸化物)およびOの組からの1、2または3個のヘテロ原子を含む5または6員環の芳香族複素環を示す。残基D’は、S、SO、SO2、N、NO(N酸化物)およびOの組からの1、2または3個のヘテロ原子を含む飽和または部分的に不飽和の単環式または二環式の4〜9員環の複素環を示し、残基M’は、NH−、−CH2−、−CH2CH2−、−O−、−NH−CH2−、−CH2−NH−、−OCH2−、−CH2O−、−CONH−、−NHCO−、−COO−、−OOC−、−S−、−SO2−または共有結合を示す。
いくつかの実施形態において、WO01/47919によるオキサゾリドンは、下記式を有するか、またはラットなどの選択された齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである。
環Dは、窒素原子を介してフェニレン環に結合した飽和の5または6員環の複素環である。環Dは、連結された窒素原子に直接隣接するカルボニル基を含み、S、NおよびOの組からのヘテロ原子を含んでもよい。R147は水素、フッ素、塩素、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、メチルまたはシアノである。R27、R29およびR30は、先に定義したとおりである。
WO01/47919による第Xa因子の直接阻害剤の一例は、リバーロキサバン(イグザレルト(Xarelto)(登録商標))である。リバーロキサバンは、経口的に作用する抗凝血剤である。本明細書において言及した他の化合物と同様に、ヒトに適用された場合のリバーロキサバンの有害な薬物作用は、臨床上の著しい急性出血である。
第Xa因子の阻害剤の別の例は、米国特許出願US2003/191115または国際特許出願WO03/026652によるオキサゾリジノン化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、環Aは、0〜2個の基R33aで置換されたC3〜C10炭素環であるかまたは、0〜2個の基R33aで置換された、炭素原子と1、2、3もしくは4個のヘテロ原子とからなる5〜12員環の複素環であるかのいずれかである。5〜12員環の複素環の各ヘテロ原子としては、N、OまたはSが挙げられる。いくつかの実施形態において、環Aはフェニレン環である。
縮合環PおよびMにおいて、Pは、5、6もしくは7員環の炭素環であるかまたは、炭素原子と1、2もしくは3個のヘテロ原子とからなる5、6もしくは7員環の複素環である。5、6または7員環の複素環のヘテロ原子は、N、OまたはSである。環Pは、0〜3個の基R34aと0〜2個のカルボニル基とで置換されており、環に0〜3個の二重結合を含む。
R33aは、例えば、H、OH、F、Cl、Br、I、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、CF3、CF2CF3、−CN、ニトロ、アミノまたはアミドであり得る(US2003/191115も参照)。R34aは、例えば、H、−(CH2)r−R35、−(CH(CH3))r−R35、−(C(CH3)2)r−R35、アルコキシ、チオアルキルまたはアミノであり得、式中、R34aは、N−ハロ結合、N−S−結合またはN−CN−結合を形成しないものであり、rは、数字0、1、2、3、4、5および6のうちの1つである。R35は、とりわけ、H、CH3、CH2CH3、CH2CH2CH3、CH(CH3)2、F、Cl、Br、I、−CN、−CHO、CF3、アミノ、アミド、カルボキシ、スルホキシまたはカルボニルであり得る。R36は、とりわけ、H、CH(CH2OH)2、CH(CH2OCH3)2、CH(CH2OCH2CH3)2、CH(CH2OCH2CH2CH3)2、CH(CH2OCH2CH2CH3)2、カルボニル、アミド、スルホキシまたはスルファミドであり得る(US2003/191115も参照)。
Mは、3〜10員環の炭素環であるかまたは、炭素原子と1、2もしくは3個のヘテロ原子とからなる4〜10員環の複素環である。4〜10員環の複素環のヘテロ原子はN、OまたはSである。環Mは、0〜3個の基R34と0〜2個のカルボニル基とで置換されており、環に0〜3個の二重結合を含む。
上記式中、R37は、とりわけ、H、−OH、F、Cl、Br、I、CN、C1〜C4アルキル、OCH3、OCH2CH3、OCH2CH2CH3、O(CH3)2、OCF3またはアミノであり得る。いくつかの実施形態において、置換基R37を含むフェニル残基は、
の構造を有する。いくつかの実施形態において、置換基R37を含むフェニル残基は、構造
のうちの1つを有する。いくつかの実施形態において、置換基R37を含むフェニル残基は、構造
を有する。いくつかの実施形態において、置換基R37を含むフェニル残基は、構造
のうちの1つを有する。
US2003/191115およびWO03/026652による第Xa因子の直接阻害剤の一例は、アピキサバン(エリキュース(Eliquis)(登録商標))であり、それも経口的に作用するそれは、待機的な整形外科手術後の静脈血栓塞栓症を予防するため、ならびに非弁膜症性心房細動を有する成人患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症を防止するためにEUにおいて承認されている。さらにそれは、肺塞栓症および深部静脈血栓症の治療および再発防止のためにEUにおいて承認されている。ここでも、ヒトにおける有害な薬物作用は、重度の出血の危険性である。
第Xa因子の阻害剤の別の例は、欧州特許出願EP2343290による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Q1は、飽和もしくは不飽和の5もしくは6員環の炭化水素環、飽和もしくは不飽和の5〜7員環の複素環基、飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合炭化水素基、または飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合複素環基である。いくつかの実施形態において、Q1は、5−メチル−6,7−ジヒドロ−4H−[1,3]チアゾロ[5,4−c]ピリジン残基である。X2は酸素原子または硫黄原子である。B10はNまたはCH2であり得る。R38は、とりわけ、H、OH、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、CN、アミノ、アミノアルキル、アシル、アシルアミノアルキルを含むアシルアミノ、カルバモイル、アリール、またはアラルキルであり得る(EP2343290参照)。R39およびR40はそれぞれ独立に、H、OH、アルキル基またはアルコキシ基である。Q4は、アリール基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールアルケニル基、飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合炭化水素基、または飽和もしくは不飽和の二環式もしくは三環式の縮合複素環基であり、置換されていてもよい。
いくつかの実施形態において、EP2343290による化合物は、下記式を有するか、または齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R148は塩素または臭素である。X2およびR38は、上記に示したとおりである。
いくつかの実施形態において、EP2343290による化合物は、下記式を有するか、または齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
ここでもまた、X2およびR38は、上記に示したとおりである。
上記構造式中、残基R38で置換されたシクロヘキサン環は、例えば、構造
を有し得る。いくつかの実施形態において、R38とシクロヘキサン環との組み合わせは、構造
または構造
を有し得る。いくつかの実施形態において、シクロヘキサン環を含むそのような基は、構造
または構造
を有し得る。残基R38で置換されたピペリジン環が存在しておりシクロヘキサン環が存在しない実施形態において、残基R38で置換されたピペリジン環は構造
または構造
を有し得る。
経口投与され得るEP2343290による第Xa因子の一例は、エドキサバン(リクシアナ(Lixiana)(登録商標)、Savaysa(登録商標))である。欧州特許出願EP2374456ではエドキサバンについてより詳しく説明されている。既知の有害な薬物作用(effexts)は、鼻血や非月経性の重篤な膣出血などの出血である。
国際特許出願WO01/64642およびWO01/64643による化合物もまた、第Xa因子の阻害剤の一例である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Z’およびZ’’はそれぞれ独立に、C1〜C3アルキルなどのC1〜C6アルキルである。R59はH、F、ClまたはBrである。R61およびR63は、例えばHである。R60およびR62はそれぞれ独立に、H、F、Cl、Br、OHまたはOMeである。R64はF、Cl、Br、Me、OHまたはOMeである。
経口投与され得るWO01/64642およびWO01/64643による第Xa因子阻害剤の一例は、ベトリキサバン(N−(5−クロロピリジン−2−イル)−2−([4−(N,N−ジメチルカルバムイミドイル)−ベンゾイル]アミノ)−5−メトキシベンズアミド)である。薬物としてのベトリキサバンについても、ヒトにおける有害反応として出血が認められた。
第Xa因子の阻害剤の別の例は、欧州特許出願EP1336605による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、環Eは、ベンゼン環であるか、またはN、SもしくはOであり得るヘテロ原子を1、2もしくは3個有し含む5もしくは6員環の複素環である。X3およびX4はそれぞれ独立に、−C(=O)−NH−、C(=O)−N(C1−6アルキル)、−NH−C(=O)−、−N(C1−6アルキル)−C(=O)−、−CH2−NH−、−CH2−N(C1−6アルキル)−、−NH−CH2−または−N−(C1−6アルキル)−CH2−である。R65は、ハロゲン、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシの基である。R66およびR67はそれぞれ独立に、H、ハロゲン、CN、NH−SO2−(C1−6アルキル)、−NH−CO−(C1−6アルキル)、−CO−(C1−6アルキル)、−CO−(C1−6アルコキシ)、−C(O)NH2、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシまたはS−(C1−6アルキル)である。R68は、H、SO3Hまたは糖残基である。R69は、H、C1〜C6アルキル、−SO2−(C1〜C6アルキル)または、N、SもしくはOであり得るヘテロ原子を1、2もしくは3個含む5もしくは6員環の複素環である。
ダレキサバン(N−(3−ヒドロキシ−2−{[4−(4−メチル−1,4−ジアゼパン−1−イル)−ベンゾイル]アミノ}フェニル)−4−メトキシベンズアミド)は、EP1336605による第Xa因子の阻害剤の一例であり、薬物としてのその開発は、有害作用としての出血のために進められなかった。
第Xa因子の阻害剤の一例はまた、国際特許出願WO97/24118による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R70およびR71はそれぞれ独立に、Hまたは=NR82である。ここで、R82は、R82aO2C−、R82aO−、HO−、アミノ、CN、R82aCO−、HCO−、C1〜C6アルキル、NO2、アラルキルまたはヘテロアラルキルのうちの1つの基であり、R82aはアルキル、アラルキルまたはヘテロアルキルである。R72は、CO2H、CO2(C1−6アルキル)、CHO、−CH2OH、−CH2SH、−C(O)(C1−6アルキル)、−CONH2、−CON(C1−6アルキル)2、−CH2O(C1−6アルキル)、−CH2O−アリール−CH2S(C1−6アルキル)またはCH2S−アリールである。R73は、H、アルキル、シクロアルキルまたは、CH2−ヘテロアリールを含むCH2−アリールである。R74は、HまたはC1〜C6アルキルである。R75は、アルキル、アルケニルまたは、ヘテロアリールを含むアリールであり、対応するアリール基自体は、ヘテロアリール基を含む別のアリール基に結合していてもよい。
オタミキサバン(メチル(2R,3R)−2−{3−[アミノ(イミノ)メチル]ベンジル}−3−{[4−(1−オキシドピリジン−4−イル)ベンゾイル]アミノ}ブタノエート)は、WO97/24118による第Xa因子の阻害剤の一例であり、薬物としてのその開発は進められなかった。
第Xa因子の阻害剤の別の例は、国際特許出願WO02/100830による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、X5は、とりわけ、(i)CF3、F、COOH、C1〜C6アルキル、−CONH2、CONH(C1−3アルキル)、CON(C1−3アルキル)2、C(O)−フェニル、5〜6員環のシクロアルキル残基、少なくとも1つのヘテロ原子O、NもしくはSを含む5〜6員環の複素環、または(ii)第2の環としてのフェニル、5〜6員環のシクロアルキル残基または、少なくとも1つのヘテロ原子O、NもしくはSを含む5〜6員環の芳香族複素環であって、上記式の複素環と縮合している第2の環、のうちの1つ以上の置換基を表す(WO02/100830も参照)。
B3は下記基のうちの1つである:
ここで、alkはC2〜C3アルキレンまたはC2〜C3アルケニレンであり、TはS、OまたはNであり、WはC1〜C3アルキルであり、ZはH、OHまたはハロゲンである。上記式中、R76は、とりわけ、H、C1〜C6アルキル、C3〜C6アルケニル、フェニルまたは5〜6員環の芳香族複素環基であり得る。R77およびR78はそれぞれ独立に、H、C1〜C3アルキルまたはCF3である。
第Xa因子の阻害剤の別の例は、国際特許出願WO2013/092756による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、B4は下記の両方の基のうちの1つである:
または
ここで、R83およびR84はそれぞれ独立に、C1〜C6アルキルもしくはC3〜C7シクロアルキルであるか、またはR83およびR84は、それらに結合しているN原子と一緒に、N、OもしくはSのヘテロ原子を1または2個含む3〜7員環のヘテロシクロアルキル基を形成している。R85はH,ハロゲン、CN、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシである。
上記式中、R79は、とりわけ、H、C1〜C6アルキル基またはC3〜C7シクロアルキル基である(WO2013/092756参照)。R80はHまたはC1〜C6アルキル基である。R81はOH、ハロゲン、CN、C1〜C6アルキル基またはC1〜C6アルコキシ基である。
さらに、第Xa因子の阻害剤の一例は、国際特許出願WO03/084929による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグである:
この式中、R86は水素またはフッ素である。
本明細書に開示される方法および/または本明細書に開示される使用では、さらに、線維素溶解作用があり、したがって線維素の切断を促進または惹起する化合物を用いてもよい。そのような化合物は、それゆえ、血餅の溶解を引き起こす。線維素溶解は、血液凝固とは別に独立したプロセスとして分類され、その開始はより遅く、それは血液凝固に対して調節的にふるまう。したがって、線溶亢進をもたらす化合物によって同様に出血がもたらされ得る。
本開示による方法および/または使用に適する活性剤は、プラスミノーゲン活性化抑制因子(PAI)の阻害剤、例えばプラスミノーゲン活性化抑制因子タイプ1(PAI−1)の阻害剤であってもよい。プラスミノーゲン活性化抑制因子1は、組織特異的プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)およびウロキナーゼを阻害する。両酵素すなわちt−PAおよびウロキナーゼは、不活性なプラスミノーゲンをプラスミンに変換し、次いでそれはフィブリンポリマーを分解する。したがってPAI−1は、プラスミン活性化を妨害することによって血栓を形成することにより、迅速な止血に寄与する。適切な阻害剤によって、PAI−1のこの作用を阻害することができる。
PAI−1の阻害剤の一実例は、欧州特許出願EP2607348による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R87およびR88はそれぞれ独立に、H,ハロゲン、C1〜C6アルキル基、C3〜C6シクロアルキル基、C3〜C8シクロアルケニル基、C2〜C6アルキニル基またはヘテロアリールである。X6はSまたは−CH=CH−である。B5は、COOH、生体内でCOOHに変換され得るアルコキシカルボニル、アリールオキシカルボニルおよびアラルキルオキシカルボニルの基である(EP2607348参照)。
Lは、単結合、C1〜C6アルキレン、C1−〜C6−アルキレン−O、C1−〜C6−アルキレン−NH、C1〜C6−アルキレン−NHCO、C2〜C6アルケニレン、C(O)、NHまたはC(O)NHである。Aは、次の基のうちの1つである:1もしくは2個のC1〜C6アルキル基もしくはCF3で置換されたベンジル、場合により置換(EP2607348参照)されている1−インドリル、2−インドリルもしくは3−インドリル、場合により置換されている2−チオフェニル、2−フラニル、または場合により置換されている1−シクロヘキセニル。
PAI−1の阻害剤の別の例は、英国特許出願GB2372986による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、nは1、2、3、4、5または6〜10の整数である。いくつかの実施形態において、nは1である。R98は、H、C1〜C6アルキルまたは(CH2)n’Arのうちの1つの残基であり、式中、n’は1、2、3、4または5〜10の整数である。X7はCHR90または−C(R91)=C(R92)−であり、式中、R90はH、C1〜C6アルキル、不飽和炭素環基または不飽和複素環基である。R91およびR92は、それらに結合している炭素原子と一緒に、場合により置換されているベンゼン環を形成している。Z1はテトラゾールまたはCOOR93であり、式中、R93は、HまたはC1〜C6アルキルのいずれかである。
本開示の枠組み内において適する活性剤は、血小板機能阻害剤、すなわち栓球凝集阻害剤であってもよい。栓球凝集阻害剤は、血小板上のアデノシン二リン酸受容体P2Y12の拮抗薬であり得る。そのような拮抗薬の結合によって、この受容体に対するADPの結合が妨害され、血小板凝集が阻害される。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の一例は、米国特許US4051141およびUS4591592によるチエノピリジン化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R94はH、ハロゲン、ヒドロキシまたはC1〜C6アルキルである。R95はH、ハロゲン、ヒドロキシ、ニトロ、C1〜C6アルキルまたはC1〜C6アルコキシである。R96はHまたはハロゲンである。
対応する化合物は、血小板上のADP受容体P2Y12の非競合的な不可逆的拮抗薬である。US4051141およびUS4591592による経口投与可能なチエノピリジン化合物の一例は、チクロピジン(チクリッド(Tiklyd)(登録商標))である。チクロピジンは、生体内で活性代謝物に変換されるプロドラッグである。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の別の例は、欧州特許EP0099802または米国特許US4529596による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Y1は、−OR98または−N(R99)R100の基である。R98はHまたはC1〜C4アルキルである。上記式中、R99およびR100およびR97はそれぞれ独立に、H、ハロゲンまたはC1〜C4アルキル基である。
クロピドグレル(Iscovera、プラビックス(Plavix)(登録商標))は、EP0099802およびUS4529596による経口投与可能な栓球凝集阻害剤である。米国特許US4847265には、クロピドグレルについての記載がある。クロピドグレルも、ADP受容体P2Y12の非競合的な不可逆的拮抗薬として作用する活性代謝物へと生体内でただ単に変換されるに過ぎないプロドラッグである。ヒトにおいて、チクロピジンまたはクロピドグレルの経口投与後の最大の凝集阻害は4〜6日後に達成される。有害な薬物作用としては、鼻血、胃出血もしくは腸出血、血腫、または血尿などの出血が挙げられる。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の別の例は、欧州特許EP0099802または米国特許US5288726による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R101は、とりわけ、H、ヒドロキシ、アミノ、C1−4−アルコキシ、Ar−C1−4−アルキルオキシ、C1〜C18アルカノイルオキシ、C3〜C6アルケノイルオキシまたはアリールカルボニルオキシである(US4529596参照)。R102は、C1〜C10アルカノイル、C3〜C6アルケノイル、(3〜7個の環原子を含む)C4〜C8シクロアルキルカルボニル、置換ベンゾイル、または5,6−ジヒドロ−1,4,2−ジオキサジン−3−イルである。Y2はN、OまたはSである。R103は、とりわけ、H、ハロゲン、ヒドロキシ、アミノ、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシ、C1〜C4アルキルチオまたはカルボキシ基である(US4529596参照)。
EP 0 099 802またはUS5288726による化合物の一実例は、プラスグレル((RS)−[5−[2−シクロプロピル−1−(2−フルオロフェニル)−2−オキソエチル]−6,7−ジヒドロ−4H−チエノ[3,2−c]ピリジン−2−イル]アセテート)である。欧州特許EP1298132および米国特許US6693115には、プラスグレルについての記載がある。チクロピジンおよびクロピドグレルと同様に、プラスグレルは、生体内でチオール含有活性代謝物に変換されるプロドラッグである。プラスグレルも、血小板上のADP受容体P2Y12の非競合的な不可逆的拮抗薬である。ここでも、ヒトにおける有害作用として出血が知られている。プラスグレルおよびクロピドグレルによる処置の間の出血危険群としては、とりわけ、75歳を上回る患者と体重60kg未満の患者とが識別されている。
さらに、国際特許出願WO2008/054796による化合物は、ADP受容体P2Y12の拮抗薬の一例である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R104は、H、ハロゲン、ヒドロキシ−C1−〜C8−アルキル、C1−〜C8−アルコキシ−C1−〜C8−アルキルまたはカルボキシ−C1−〜C8−アルキルである。R105は、C1〜C8アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキルチオ−C1−8−アルキル、C3−〜C8−シクロアルキル−C1−8−アルキル、フェニル−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロアリール−C1−8−アルキルまたはハロ−C1−8−アルキルである。R106およびR107は、それぞれ独立にHであるか、またはそれらに結合している炭素原子と一緒に5または6員環の複素環を形成している。X8およびX9はそれぞれ独立に、CH、CH2またはCH(OH)である。
は、対応する結合が、いくつかの実施形態では単結合であり得、いくつかの実施形態では二重結合であり得る、ということを示す。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の別の例は、国際特許出願WO2008/054795による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R108は、ヘテロシクリル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロアリールまたはヘテロアリール−C1−8−アルキルまたはハロ−C1−8−アルキルである。R109は、C1〜C8アルキル、C1−8−アルコキシ−C1−8−アルキルチオ−C1−8−アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C3−8−シクロアルキル−C1−8−アルキル、フェニル−C1−8−アルキル、ヘテロシクリル−C1−8−アルキル、ヘテロアリール−C1−8−アルキルまたはハロ−C1−8−アルキルである。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の別の例は、国際特許出願WO2000/34283による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R110は、OH、CH2OHまたはOCH2CH2OHである。R111は、例えば1つ以上のハロゲン原子で置換されていてもよい、C3〜C5アルキルである。R112は、1つ以上のフッ素原子で置換されていてもよいフェニルである。
WO2000/34283によるトリアゾロ(4,5−D)−ピリミジン化合物の一例は、チカグレロール(ブリリンタ(Brilinta)(登録商標)、Brilique(登録商標)、Possia(登録商標))である。この拮抗薬は、ADP受容体P2Y12の可逆的拮抗薬である。チカグレロールについても、ヒトに使用された場合の有害作用として重度および軽度の出血が知られている。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の一例は、国際特許出願WO2008/128647による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、R113は、とりわけ、HまたはC1〜C4アルキルであり得る。R114〜R118はそれぞれ独立に、とりわけ、H、C1〜C6アルキル、C1〜C3フルオロアルキル、ハロゲン、CNまたは、場合によって置換されているフェニルである(WO2008/128647も参照)。Z2は、アルキレニル基、アルケニル基またはアルキニル基であり得る。X10は、C3〜C8アルキレニル基、C1−3−シクロアルキレニル基またはC3〜C15ヘテロシクリル基であり得る。環A1は、追加のヘテロ原子N、SまたはOを0、1、2または3個含んでいてもよく単環式、二環式またはスピロ複素環式であってもよい3〜10員環の複素環残基である。Q5は、とりわけ、単環式または二環式の3〜15員環の複素環であり得る。B6およびB7は、とりわけ、それぞれ独立に、H、C1〜C4アルキル、C3〜C8シクロアルキル、C6〜C4アリール、3〜7員環の複素環、−C(O)OH、−CNH2、−C(O)NH−(C1−6アルキル)、−C(O)O−(C1−6アルキル)または−C(O)N(R)−Rであり得る(WO2008/128647も参照)。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の別の例は、国際特許出願WO2008/155022による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、A2は酸素またはN−OHであり得る。B9はNまたはCHであり得る。B8は、共有結合、−C(O)−またはメチレニルであり得る。Eは、共有結合、−O−C(O)−または−NH−C(O)−であり得る。R119は、H、C1〜C8アルキル、C0−4アルキレン−(C3−8シクロアルキル)、C0−4−アルキレン−(C6−14アリール)またはC0〜C4−アルキレン−ヘテロシクリルである。R120は、H、−NH−C(O)−または−O−C(O)−である。R121は、C1〜C8アルキル、CF3または(C1−8アルキレン)−C(O)−O−R132である。R122は、H、ハロゲン、C1〜C8アルキル、(C1−8アルキレン)−C(O)−O−R132、(C2−6アルケニレン)−C(O)−O−R132または(C3〜C8シクロアルキル)−C(O)−O−R132である。この場合、R132はH、C1−〜C8アルキルまたはC0−4アルキレン−(C3−8シクロアルキル)であり得る。R123〜R127はそれぞれ独立に、とりわけ、H、ハロゲン、CN、NO2、C1〜C8アルキル、C0−〜C4−アルキレン−O−R132、(C0−4アルキレン)−C(O)−O−R132、(C0−4アルキレン)−C(O)−R132、(C0−4アルキレン)−C(O)−N−R132R133または(C0−4アルキレン)−CN−R132R133であり得る(WO2008/155022参照)。ここでR133は、とりわけ、HまたはC1〜C8アルキルであり得る。R128〜R131はそれぞれ独立に、とりわけ、H、=O、−OHまたはC1〜C8アルキルであり得る。
ADP受容体P2Y12の拮抗薬の一例は、国際特許出願WO2010/122504による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Z3は、置換されている2−チアゾール環、または置換されている4−チアゾール環である。ここで、置換されている2−チアゾール環は、4位においてアリール基で置換されていてもよい。2−チアゾール環は5位において、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルケニル、フェニルまたはジ−C1−6−アルキルアミノで置換されていてもよい。対応する置換されている4−チアゾール環は、2位においてアリール基で置換されていてもよく、5位において、H、ハロゲン、COOH、C1〜C4アルキル、COO(C1−4アルキル)、C2〜C4アルケニル、フェニル、C1〜C4アルキルアミノ、ジ−C1−4−アルキルアミノ、ヘテロシクリルまたは2−メトキシメチル−シクロプロプ−1−イルで置換されていてもよい。
上記式中、Y3−Z4は、結合または水素を表し得る。また、Y3はC1〜C3アルカンジイルであってもよい。この場合、上記式中のZ4は、H、OH、フェニル、−COOH、−COO(C1−4−アルキル)、−P(O)(OH)2、−P(O)(O−[C1−4−アルキル])2、−P(O)(O−[C1−4アルコキシ]−C(O)O−CH2)2または−P(O)(NH[C1−4アルコキシ]−C(O)−[C1−4アルキル])2である(WO2010/122504参照)。R134はC1〜C6アルコキシである。
典型的に経口投与される栓球凝集阻害剤の別の例は、血小板上のGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬である。そのような化合物は、本開示による殺鼠剤としても適する。
これは例えば、カーペットバイパーのヘビ毒の誘導体、例えばチロフィバン(アグラスタット(Aggrastat)(登録商標))であり得る。この化合物は、国際特許出願WO99/38827に記載されている。しかし、それは非経口投与されなければならない。
いくつかの実施形態において、適するGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、国際特許出願WO90/15620による化合物である。それは例えば、エリスチコフィン、コチアリン、クロタトロキシン、セラスチン、デュリシン、ホリジン、ルベリン、ラケシン、バシリシン、ルトシン、モロシン、オレガニン、ビリジン、テルゲミニンまたはバルボウリンであり得る。それはまた、下記式のペプチド誘導体であり得る:
この式中、Y4およびY5はそれぞれ独立に、非干渉性の置換基であるか、または存在しない(WO90/15620参照)。K*は、式R135R136 2N(CH2)4CHNHCOの置換型または非置換型のリシル残基である。ここで、R135およびR136はそれぞれ独立に、HまたはC1〜C6アルキルのいずれかであり得る(WO90/15620参照)。X11およびX12はそれぞれ独立に、上記式で表されるX11とX12との間での環形成を可能にするあらゆる残基である。(AA1)は、小さい中性アミノ酸であり、n1は、数字0、1、2または3のうちの1つである。(AA2)は、大きい非極性アミノ酸であり、n2は、数字0、1、2または3のうちの1つである。(AA3)は、プロリン残基または改変型プロリン残基であり、n3は、0〜1の数である。(AA4)は、小さい中性アミノ酸、またはそのN−アルキル化形態であり、n4は、数字0、1、2または3のうちの1つである。
対応するGPIIb/IIIa受容体拮抗薬の一例は、アルギニン・グリシン・アスパラギン酸模倣薬、例えばペプチドであるエプチフィバチド(インテグリリン(Integrilin)(登録商標))などである。しかしながら、この活性剤は、市販形態では非経口投与されなければならない。
いくつかの実施形態において、適するGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、米国特許US5721366による化合物である。そのような化合物は、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Y6は、
であり得る。変数qは、整数2および3のうちの1つである。変数q’は、0、1、2、3または4の整数を表す。いくつかの実施形態では、q’=0である。R138は、H、C1〜C6アルキル、C1〜C8アルコキシ、C1−〜C8−アルコキシ−カルボニル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、シクロアルキルおよびアリールである。R139は、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、アルコキシカルボニルオキシアルキル、C3〜C6シクロアルキルまたはアリールである。いくつかの実施形態において、R139はC2アルキル、C3アルキルまたはC4アルキルである。US5721366によるGPIIb/IIIa受容体拮抗薬の一例は、オルボフィバン、すなわちN−{[(3S)−1−(4−カルバムイミドイル−フェニル)−2−オキソ−3−ピロリジニル]カルバモイル}−β−アラニン酸エチルである。
適した関連のGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、国際特許出願WO95/14683に開示されている。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Z5は、単結合の共有結合、C1〜C7アルキル、C2〜C7アルケニルまたはC2〜C7アルキニルであり得る。R139は、上記のとおりである。R140は、ヒドロキシ、C1〜C10アルコキシ、C3−〜C10−アルキルカルボニルオキシアルキルオキシ−またはC7〜C11アラルキルオキシであり得る。いくつかの実施形態において、R140はメチルまたはエチルである。WO95/14683によるGPIIb/IIIa受容体拮抗薬の一例は、ロキシフィバン(DMP754、MK0853、XJ754、Lumaxis(登録商標))、すなわちN3−[2−{3−(4−ホルムアミジノ−フェニル)−イソオキサゾリン−5−(R)−イル}アセチル]−N2−(n−ブチロキシカルボニル)−2,3−(S)−ジアミノプロピオン酸メチルである。
は、対応する結合がいくつかの実施形態では単結合であり、いくつかの実施形態では二重結合である、ということを示す。
いくつかの実施形態において、適するGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、欧州特許EP0656348による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩、水和物もしくはプロドラッグであり得る:
この式中、Z6およびZ7のうちの一方はCHであり、他方はCH、C1〜C8アルキル、C1〜C8アルコキシまたはNである。Z8はNH、C1−〜C8−アルキル−NまたはC1−8−アルコキシ−(C1−8−アルキル)−Nである。Z9は、Hであるかまたは、場合によりOH、SH、CONH2、CONH−C1−8−アルキル、C1−8−アルキルチオ、アリール、NH2、NH−(C1−8−アルキル)−、N(C1−8アルキル)(C1−8アルキル)もしくはO−(C1−8アルキル)で置換されたC1〜C8アルキルである。
Z10は、O、CH2、NH、アシル−NまたはC1−〜C8−アルキル−OC(O)Nであり得る。Z11およびZ12は、H、C1〜C8アルキル、OH、C1〜C8アルコキシ、C1−8−アルコキシ−C1−8アルキル、カルボキシ−C1−8アルキル、P(O)[O−(C1〜C8アルキル)]2、C(O)O−C1−8−アルキル、OC(O)−C1−8−アルキル、OC(O)O−C1−8−アルキルまたはC(O)S−C1−8−アルキルであり得、Z11およびZ12のうちの少なくとも一方がH(水素)であるか、あるいはZ11およびZ12がそれらに結合しているN原子と一緒に(5,5−ジメチルまたは5−オキソ)−4,5−ジヒドロ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル基になっている。R141は、NH2、NH(C1−8アルキル)、NH(C1−8アルキル)COOH、NH−(C1−8アルキル)−COO−C1−8アルキル、C1〜C8アルキルオキシまたはC1〜C8アルケニルオキシであり得る。いくつかの実施形態においてR141はC1アルキルオキシまたはC2アルキルオキシである。EP0656348によるGPIIb/IIIa受容体拮抗薬の一例は、シブラフィバン(Ro48−3657、Xubix(登録商標))である。シブラフィバンのヒトに対する最も一般的な毒性薬物作用には出血が含まれる。
いくつかの実施形態において、適するGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、国際特許出願WO93/19046による化合物である。そのような化合物は、例えば、下記式の化合物または、齧歯動物が耐え得るその塩であり得る:
この式中、Q6は、N、OまたはSであるヘテロ原子を1、2、3または4個有する4〜8員環の複素環である。変数mは、0、1、2、または4〜8の整数を表す。変数m’およびm’’はそれぞれ独立に、0〜2の整数である。Z13およびZ14はそれぞれ独立に、フェニル、O、SO2、
または、ヘテロ原子NおよびOを0もしくは1個含み得る5もしくは6員環であり得る。Z14は、場合によって存在する基であり、O、−NHCO−、−CONH−またはC1−5−アルキル−OC(O)Nであり得る。R142は、HまたはC1〜C8アルキルであり得る。R143およびR144はそれぞれ独立に、H、C1〜C4アルキルまたはC4〜C10アラルキルである。R145は、アリール、C1〜C10アルキルまたはC1〜C10シクロアルキルまたはC4〜C10アラルキルであり得る。国際特許出願WO93/19046によるさらなる適するGPIIb/IIIa受容体の拮抗薬は、例えば、下記式の化合物または齧歯動物が耐え得るその塩である:
この式中、Q6は、Nであるヘテロ原子を1または2個有する6員環の飽和複素環である。変数m’’’は、2、3、4、5または6の整数である。Z15は、O、
であり得る。R146は、アリール、C1〜C10アルキルまたはC4〜C10アラルキルであり得る。いくつかの実施形態においてR146は、C3アルキルまたはC4アルキルである。WO93/19046によるGPIIb/IIIa受容体拮抗薬の一例は、チロフィバン、すなわち((S)−2−(ブチルスルホンアミノ)−3−(4−[4−(ピペリジン−4−イル)−ブトキシ]フェニル)−プロパン酸、アグラスタット(Aggrastat)(登録商標))である。ヒトにおいて頻繁に生じる有害作用として軽度の出血が知られており、重度の出血もあり得る。
以前に殺鼠剤として使用されたクマリンおよびインダンジオン化合物の独特な有効性は、それらが遅発性の中毒作用を有して経口摂取されることに基づいている。換言すれば、急性毒性が認められない。それゆえ、齧歯動物については化合物の摂取とその作用の開始との時間的関係を認めることができない。さらに、本明細書に開示される使用および方法は概して、急性毒性の生じない用量で各活性剤が提供されるという事実に基づいている。本明細書に開示される使用および方法は、活性剤を齧歯動物に経口的に供給できる限り、基本的に野生齧歯動物の制御に適するものである。いかなる特定の理論にもとらわれず、野生齧歯動物を制御するための本明細書に開示される使用および方法は、使用される化合物が数日間などの長い半減期を有し、LD(致死量)100の各々の範囲における漸進的な蓄積が生じ得る、という点で特に有用である。さらに、各々のLD100は通常、ラット等の齧歯動物の餌の通常量で達成され得る。しかも、天井効果は知られていない、つまり、腸吸収メカニズムが、該当する枠組み内において消耗し得るものではないとみなすことができる。最後に、本明細書に開示される使用のために明記された活性剤は、非常に美味であり得る誘引剤と混合され得、または味を損なうことなく誘引餌上に塗布することが可能である。慢性毒性に関係があるか、または関係があり得るかは通常、本明細書に記載される殺鼠剤としての作用に無関係である。
さらに、いかなる特定の理論にもとらわれず、誘引剤の例えば一度の誤摂取はヒトに死をもたらさない、ということに留意すべきである。例えばラットとヒトとでは体重、したがって絶対的な致死量に大きな差があることに加えてさらに、誘引剤は致死的な結末を意図的に提供するのに適していない。というのも、典型的には齧歯動物誘引剤の寸法でのヒトへの致命的作用は実際上実現できないからである。致死量を達成するためには、対応する活性剤が、ヒトに適さない担体について繰り返し大量に摂取されなければならなかった。
さらに、本明細書に記載される1つ以上の活性剤を含む組成物が開示される。対応する組成物は、本明細書に記載される1つ以上の活性剤と担体とを含み得る。対応する組成物は、本明細書に開示される1つ以上の活性剤と担体とで実質的になり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される組成物は、国際特許出願WO2014/186885に記載されているような穀粉、穀類ふすま、ゲル化剤、糖、油、乳化剤および保水剤を含む組成物と組み合わせてもよい。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される活性剤は、例えばWO2014/186885に記載されているように穀粉、穀類ふすま、ゲル化剤、糖、油、乳化剤および保水剤を含む組成物と組み合わせてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に開示される活性剤を含む誘引剤が提供され得る。対応する誘引剤は、例えば、先に記載した組成物を含むものであり得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される活性剤は、包装された形態で提供され得る。そのような包装は、例えば、国際特許出願WO2003/061376に記載されるように、筐体、カバーおよびそれらの間の空隙を含み得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される野生齧歯動物誘引剤は、誘引餌箱、例えば市販されているものなどとの関連で使用される。対応する誘引剤は、対応する物質自体が対応する齧歯動物の数日以内の死を引き起こさない限り、齧歯動物の餌として適切ないかなる好適な物質も含み得る。一実例は、穀粒系の誘引剤である。
本明細書に開示される野生齧歯動物誘引剤は、例えば、種子および/または穀類を含み得る。野生齧歯動物誘引剤は、例えば、顆粒(ペレット)の形態や、包装された穀類もしくは包装された顆粒の形態で、または塊状誘引剤として提供され得る。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される活性剤は、例えば国際特許出願WO2014/064272に記載されているように、アクリル酸エステルおよびアクリロニトリルを主体とする高分子の形態での高分子結着剤を含む塊状誘引剤に含まれ得る。
先に述べた活性剤は、先に述べた別の活性剤と組み合わせて使用することもできる。例えば、米国特許4051141およびUS4591592によるチエノピリジン化合物または欧州特許EP0099802もしくは米国特許US4529596によるチエノピリジン化合物をトロンビン阻害剤と組み合わせて使用してもよい。別の例として、US4051141およびUS4591592によるチエノピリジン化合物またはEP0099802もしくはUS4529596によるチエノピリジン化合物をトロンビン受容体拮抗薬と組み合わせて使用してもよい。さらに、US4051141およびUS4591592によるチエノピリジン化合物またはEP0099802もしくはUS4529596によるチエノピリジン化合物を第Xa因子阻害剤と組み合わせて使用してもよい。また、US4051141およびUS4591592によるチエノピリジン化合物またはEP0099802もしくはUS4529596によるチエノピリジン化合物をGPIIb/IIIa受容体拮抗薬と組み合わせて使用してもよい。
別の例として、EP0099802または米国特許US5288726による化合物をトロンビン阻害剤と組み合わせて使用してもよい。別の例として、EP0099802またはUS5288726による化合物をトロンビン受容体拮抗薬と組み合わせて使用してもよい。また、EP0099802またはUS5288726による化合物を、第Xa因子阻害剤と組み合わせて使用してもよい。さらに、EP0099802またはUS5288726による化合物を、GPIIb/IIIa受容体拮抗薬と組み合わせて使用してもよい。
ラットとヒトの血液凝固系は非常に似通っている。ヒトにおいてさえ、例えばクマリンの過剰用量は生命を脅かす出血を引き起こし得る。したがって、抗凝血剤を非常に慎重に制御することは、その安全な治療上の使用のために必要条件である。さらに、従来の新規直接抗凝血剤(例えばダビガトラン)の止血妨害作用の元々待ち望まれていた分離は予想通りには起こらず、残念ながらヒトにおいて出血合併症が生じる、ということが見出された。これらの新規経口用抗凝血剤を使用していると、重度の致命的な出血率が継続的かつ用量依存的に高くなる。したがって、理論にとらわれることなく、本明細書に開示される使用、方法および誘引剤は、有害齧歯動物に対抗する上で有効であるということが示される。さらに、本明細書に開示される化合物については、抵抗性の発展を予想する必要がないように、齧歯動物生命体における代替的な活性化経路が知られていない。
本明細書において言及または引用される、科学論文、特許および特許出願の内容、ならびにその他のあらゆる文献および電子的に入手可能な情報の内容は、個々の刊行物が具体的かつ個別に参照によって組み込まれた場合と同じ程度に、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。異議申立の場合には本文書によって判断される。本出願人は、そのような論文、特許および特許出願、またはその他の物理的および/もしくは電子的な文書のいずれからのあらゆる題材および情報を含むいかなるものをも物理的に本文書に組み込む権利を保有する。
先に公開された文献についての本明細書における言及または考察は、そのような文献が従来技術に関連するかまたは当業者の一般知識を表すことの容認として必ずしも理解されるべきではない。
本明細書に例示的に記載される方法、適用、組成物、合剤および有害齧歯動物誘引剤は、本明細書に明確に開示されていない1つ以上の要素または1つ以上の限定を含まずして、適切な方法で実施および使用され得る。さらに、本明細書において用いられる用語および表現は、説明的な用語として使用されており、限定として理解されるべきでなく、そのような用語および表現を用いる場合には、示され説明された特徴またはその部分のいかなる均等物を排除することも意図されない。特許請求の範囲に記載される発明の範囲内で種々の改変が可能であることが理解されよう。したがって、本明細書に開示される方法、適用、組成物および合剤はそれらを適用するために当業者に十分詳しく説明および例示されているが、開示された実施形態の改変および変形に当業者が立ち戻り得ること、ならびにそのような改変および変形が本発明の範囲内に入るとみなされるべきであることは、理解されるべきである。
したがって、本明細書に十分詳しく記載されており特定の具体的実施形態を参照して例示されている方法、適用、組成物および合剤は、それらが当業者に実施可能なように、それに限定されるべきではなく、むしろ、記載されている実施形態の改変および変形が本発明の範囲内に含まれるものとしてみなされる、ということを理解すべきである。
本明細書において、本発明は広範かつ一般的に記載されている。一般的開示の下での、より狭い種および亜属の分類の各々もまた、当該方法、適用、組成物および合剤の一部を形成する。これは、排除された主題が本明細書において明示的に再現されるか否かに拘らず、主題を属から排除する条件または消極的限定を有する方法、適用、組成物および合剤についての一般的記載を包含する。
さらなる実施形態は以下の特許請求の範囲に示されている。さらに、本発明の特徴または態様がマーカッシュグループの形態で明記されている場合には、マーカッシュグループの個々のメンバーまたはメンバーの各個別のサブグループに関して本発明がこの点で記載されていることが当業者に認識されるであろう。
本開示に関して当業者にはすぐ理解されるように、本明細書に記載された代表的な実施形態と実質的に同じ結果につながる、現時点において存在するかまたは今後発展するであろうその他の物質組成、手段、使用またはステップを、本発明に従って用いてもよい。