JP2017514273A - リチウムイオン電池アノードのための方法及び材料 - Google Patents

リチウムイオン電池アノードのための方法及び材料 Download PDF

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Abstract

シリカから金属熱還元によって作製されたケイ素−シリカハイブリッド材料及びそのような組成物を作製する方法が提供される。組成物は新規な特性を有し、リチウム電池においてアノード材料として用いると、クーロン効率、脱リチウム容量及びサイクル寿命におけるかなりの向上が得られる。

Description

関連出願の説明
本出願は2014年6月25日に出願された米国仮特許出願第62/016897号、及び2014年4月9日に出願された米国仮特許出願第61/977451号の米国特許法第119条の下の優先権の恩典を主張する。本明細書は上記仮特許出願の明細書の内容に依存し、それぞれの出願明細書の内容はそれぞれの全体が本明細書に参照として含められる、
実施形態は全般に、金属熱還元によって形成された材料、組成物及び微細構造、並びにこれらの作製方法に関する。さらに詳しくは、実施形態は、金属熱反応過程によって形成されたケイ素ベースの材料、組成物及び微細構造、これらを組み込んでいるデバイス並びにこれらの作製方法に関する。
リチウムイオン電池は、放電中にリチウムイオンが負電極から正電極に移動する、再充電可能なエネルギー貯蔵装置の重要な部類を代表する。1972年に初めて提案されて以来、リチウムイオン電池は携帯型民生エレクトロニクスに広く用いられるようになっており、電気自動車にも波及してきている。リチウムイオン電池は、他のほとんどの蓄電池と比較して軽量であること及びリチウムイオン電池は、開放電圧が高く、自己放電率が低く、毒性が低められていて、電池記憶効果が無いという事実を含む、いくつかの理由のため普及している。
負荷の下にあるリチウム電池において、アノード上に蓄えられていたリチウムイオンはアノードから電解質媒体を通ってカソードに移動して、電流を生じさせる。充電過程中は、金属リチウムが移動してアノード上に戻る。現在、アノード材料として黒鉛が多く用いられている。必ずしも最適なアノード材料ではないが、黒鉛の高い入手性及び低コストが現在黒鉛を魅力的な解決策にしている。炭素がアノードとして用いられる場合、Liイオンセルにおける反応は、
として与えられる。それぞれの電極における反応は、
カソードにおいて:
アノードにおいて:
として与えられる。
アノード材料として黒鉛に代わる材料の一つはケイ素である。Li-Siアノード系は全ての元素の中で最も高い対重量比容量を有し得る一つである。さらに、炭素ベースアノード系と異なり、ケイ素には溶媒共インターカレーション破壊の問題が無い。ケイ素は、Li-Si系の化学構造−1個のケイ素原子は4.4個のリチウムイオンと結合できるが、6個の炭素原子が1個のリチウムイオンを保持するに必要である−により、これらの有益な特性を示す。アノード材料としてのケイ素を黒鉛炭素と比較すると、理論容量が一桁異なる。0〜4.4のxの範囲に対し、純ケイ素の理論対重量比容量は、黒鉛炭素に対する372mAh/gの理論容量より遙かに大きい、4200mAh/gである。全反応は:
と書かれる。
上述した特性によりケイ素は理想的なアノード材料になるように見えるが、ケイ素の強められたリチウムイオン相互作用の一帰結は大きな体積膨張増(>400%)である。この体積膨張の結果、ケイ素アノード構造には高レベルの応力がかかり、機械的破壊に至る。この破壊は、従来のケイ素アノードは商品化に必要な多数回の充電/放電サイクルを耐え抜くことができないことを意味する。したがって、実用可能なアノード材料としてケイ素を使用するための、未だに満たされていない、決定的な必要条件は、多数回の体積膨張に対してケイ素を構造的に安定化するための方法を見いだすことである。
本明細書に説明される実施形態は、金属熱反応過程を単一の元素及び複数の元素を含むいずれの組成も有する粉末及びスートとともに用いる、アノード材料として理想的に適する新規な生成物の形成及びそのような生成物を形成する方法に向けられる。
第1の態様は、
a.約5重量%〜約50重量%のMSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、及び
b.20重量%より多く約94重量%までの結晶ケイ素、
を含み、
結晶ケイ素:MSiO2+xの比が約1:1〜約100:1である、
ハイブリッド材料であり、ハイブリッド材料は約10m/g〜約250m/gの表面積及び約50Å〜約250Åの平均細孔径を有する粒子の形態にある。いくつかの実施形態において、粒子は約75%〜約98%の開放細孔率を有する。いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料は0.07g/mLより大きいタップ密度を有する。いくつかの実施形態において、粒子の最長軸に沿う直径は45μmより小さい。いくつかの実施形態において、粒子の最長軸に沿う直径は約1μm〜約10μmである。いくつかの実施形態において、第1の分布及び第2の分布を含む二モード分布で存在し、第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、第2の分布は最長軸に沿う約10μm〜約500μmの直径を有する粒子を含み、第2の分布は総粒子数の20%より少ない粒子を含む。
第1の態様に関して、ハイブリッド材料は、0重量%より多く約65重量%までのMgOまたは0重量%より多く約10重量%までのMgOをさらに含むことができる。いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料はさらに、0重量%より多く約20重量%までの、炭素、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム銅、リチウムまたは亜鉛の内の少なくとも1つを含むことができる。
第2の態様は、上述した材料を含む、アノードを含む。いくつかの実施形態において、いくつかの実施形態において、アノードは0.1C放電率での100サイクル後に初期値の約50%以上の比容量を有する。いくつかの実施形態において、アノードは0.1C放電率での100サイクル後に400mAh/g以上の対重量比容量を有する。別の実施形態において、アノードは初期値の50%以上の第1サイクルクーロン効率を有する。また別の実施形態において、アノードはさらに0重量%より多く約70重量%までの炭素を含む。
第3の態様は上述したハイブリッド材料を作製する方法を含み、方法は、
a.シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、及び
b.ハイブリッド材料を得るため、反応副生成物を除去する工程、
を含む。反応はさらに以下の工程、
a.シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
b.得られたハイブリッド材料を粒径最適化プロセスにかける工程、
c.ハイブリッド材料を洗浄する工程、または
d.ハイブリッド材料を乾燥する工程、
の内の1つ以上を含むことができる。
いくつかの実施形態において、方法は、
a.シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
b.シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、
c.ハイブリッド材料を得るため、第1の溶脱プロセスによって反応副生成物を除去する工程、
d.得られたハイブリッド材料を必要に応じて粒径最適化プロセスにかける工程、
e.反応副生成物を除去するため、ハイブリッド材料を必要に応じて第2の溶脱プロセスにかける工程、及び
f.ハイブリッド材料を乾燥する工程、
を含む。
上述したいくつかの方法において、方法は、金属熱反応プロセスを受けることができる元素金属の存在の下に、シリカ含有前駆体を400℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含む、金属熱反応過程にシリカ含有前駆体をかける工程を含む。いくつかの場合、シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程は、400℃より高い温度に2時間より長時間加熱し、続いて600℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含む。また別の実施形態において、シリカ含有前駆体は、シリカ含有スート、シリカ含有粉末またはシリカ含有ファイバを含み、そのようなシリカ含有スートまたはシリカ含有粉末は、約10nmから約1μmの、最長軸に沿う平均粒径を有することができる。
いくつかの実施形態において、方法は、
a.シリカ含有前駆体と金属熱反応を受けることができる元素金属を、混合物を形成するため、約1:1のから2:1未満の比で配合する工程、及び
b.上述したハイブリッド材料を形成するため、混合物を約650℃より高く1000℃より低い温度に加熱する工程、加熱する工程は約0.5℃/分〜約50℃/分のランピングレートで行われる、
を含む。いくつかの実施形態はさらに、シリカ−ケイ素ハイブリッド材料を1.0M以上の濃度を有する有機酸で酸エッチングすることによって反応副生成物を除去する工程を含む。また別の実施形態はシリカ含有前駆体と金属熱反応を受けることができる元素金属を均質な混合物をなして配合する工程を含む。
図1Aは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1Aはマグネシウム熱還元後のハイブリッド材料粒子である。 図1Bは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1Bは高倍率における同じ粒子である。 図1Cは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1Cは粒子のケイ素に富む外周の結晶性を示す。 図1Dは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1DはSiの量及び所在を強調表示している。 図1Eは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1EはOの量及び所在を強調表示している。 図1Fは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1FはMgの量及び所在を強調表示している。 図1Gは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1Gはハイブリッド材料内のFeの存在を示している。 図1Hは粉末Vycor(登録商標)でつくられた実施形態のハイブリッド材料の透過電子顕微鏡/エネルギー分散分光(TEM/EDS)分析を写真で説明する。図1HはSiとOの重なりを示す合成写真である。 図2Aは、本明細書に説明されるプロセスによって形成された、様々な実施形態のハイブリッド材料の1つを示す。 図2Bは、本明細書に説明されるプロセスによって形成された、様々な実施形態のハイブリッド材料の別の1つを示す。 図2Cは、本明細書に説明されるプロセスによって形成された、様々な実施形態のハイブリッド材料のまた別の1つを示す。 図2Dは本明細書に説明されるプロセスによって形成された、様々な実施形態のハイブリッド材料のまた別の1つを示す。 図3は本明細書の実施形態の多くのハイブリッド材料試料についての第1サイクル対重量比容量を黒鉛の現在の性能と比較して示す。データは、ハイブリッド材料について黒鉛材料に優る600%までの向上を示し、第1サイクルクーロン効率が80〜90%であることを示す。以下のプロトコル−充電:C/20、0.01〜2VにおけるCC;放電:C/20VのCC−を用いて電池試験を行った。 図4は0.2C放電率での100サイクルにわたる、実施形態の多孔質ケイ素アノード電池のリチウム化及び脱リチウムの容量(mAh/g)を、クーロン効率とともに、サイクルの関数として与える。図はクーロン効率が初めの5サイクル内で98%をこえるまで向上することを示す。 図5Aは細孔径の違いを、多孔質ケイ素構造の形成における温度ランピングレートの関数として、写真で示す。図5Aは40℃/分のランピングレートを用いて作製した多孔質ケイ素を示す。 図5Bは細孔径の違いを、多孔質ケイ素構造の形成における温度ランピングレートの関数として、写真で示す。図5Bは20℃/分のランピングレートにおける構造を示す。 図5Cは細孔径の違いを、多孔質ケイ素構造の形成における温度ランピングレートの関数として、写真で示す。図5Cは2℃/分のランピングレートにおける構造を示す。 図5Dは細孔径の違いを、多孔質ケイ素構造の形成における温度ランピングレートの関数として、写真で示す。図5Dは、ケイ素の多孔質構造を詳細に示す、20℃/分のランピングレートにおける構造の高解像度顕微鏡写真である。 図6Aは洗浄工程前後の多孔質ケイ素ハイブリッド材料の顕微鏡写真を与える。図6Aは洗浄工程前の多孔質ケイ素構造が、リチウムイオンのシリコン構造内にインターカレートできる能力を妨げ得る、薄いフォルステライト被膜を有することを示す。 図6Bは洗浄工程前後の多孔質ケイ素ハイブリッド材料の顕微鏡写真を与える。図6Bは洗浄工程前の多孔質ケイ素構造が、リチウムイオンのシリコン構造内にインターカレートできる能力を妨げ得る、薄いフォルステライト被膜を有することを示す。 図6Cは洗浄工程前後の多孔質ケイ素ハイブリッド材料の顕微鏡写真を与える。図6Cは、洗浄工程後、多孔質ケイ素上の被膜が除去され、細孔が露出されていることを示す。 図6Dは洗浄工程前後の多孔質ケイ素ハイブリッド材料の顕微鏡写真を与える。図6Dは、洗浄工程後、多孔質ケイ素上の被膜が除去され、細孔が露出されていることを示す。 図7は本明細書に説明される実施形態のハイブリッド材料を作製する方法を示すプロセス図である。プロセスは、混合工程、焼成工程、溶脱工程(任意)、粒径低減工程(任意)、溶脱工程(任意)、洗浄工程及び得られた生成物の乾燥工程の7つの工程を表す。 図8Aは多孔質ケイ素がTiO含有スートから作製されている別の実施形態の顕微鏡写真である。顕微鏡写真から分かるように、得られた細孔は純多孔質ケイ素の細孔より小さく、全体構造は、TiSiのような、Ti含有生成物の存在とすることができる、異なるテクスチャを有するように見える。図8Aは×3000の顕微鏡写真である。 図8Bは多孔質ケイ素がTiO含有スートから作製されている別の実施形態の顕微鏡写真である。顕微鏡写真から分かるように、得られた細孔は純多孔質ケイ素の細孔より小さく、全体構造は、TiSiのような、Ti含有生成物の存在とすることができる、異なるテクスチャを有するように見える。図8Bは×10000の顕微鏡写真である。 図8Cは多孔質ケイ素がTiO含有スートから作製されている別の実施形態の顕微鏡写真である。顕微鏡写真から分かるように、得られた細孔は純多孔質ケイ素の細孔より小さく、全体構造は、TiSiのような、Ti含有生成物の存在とすることができる、異なるテクスチャを有するように見える。図8Cは×10000の顕微鏡写真である。 図9は、シリカスートのマグネシウム熱還元から得られた代表的なハイブリッド材料の、29Siマジック角回転核磁気共鳴(MAS-NMR)スペクトルを含む。 図10は、1.8:1のMg対SiOモル比を用いて作製したハイブリッド材料についての、構造が秩序成分及び無秩序成分への結晶ケイ素共鳴の1つの考え得るデコンボリューション(破線)を含む、29Si MAS-NMRスペクトルを示す。
以下の説明は、実現を可能にする教示として与えられ、以下の詳細な説明、図面、実施例及び特許請求の範囲並びに以前及び以降の説明を参照することによって一層容易に理解することができる。この目的のため、当業者であれば、本明細書に説明される様々な態様には多くの変更がなされ得るが、それでも有益な結果が得られることを認め、理解するであろう。本開示の望ましい利点のいくつかが特徴のいくつかを選択することで、他の特徴は用いずに、得られることも明らかであろう。したがって、当業者であれば、多くの改変及び適合が可能であり、いくつかの状況では望ましくさえあり得るし、本開示の一部であることを認めるであろう。したがって、以下の説明は、実施形態の限定ではなく、実施形態の例証として与えられる。さらに、本開示が、別途に指定されない限り、開示される特定の組成物、物品、デバイス及び方法に限定されず、したがって、もちろん、変わり得ることは当然である。本開示に用いられる用語が特定の態様を説明する目的のためでしかなく、限定は目的とされていないことも当然である。
開示される方法及び組成物に用いることができる、これらとともに用いることができる、これらの準備に用いることができる、またはこれらの実施形態である、材料、化合物、組成物及びコンポーネントが開示される。上記及びその他の材料が本明細書に開示され、これらの材料の組合せ、サブセット、相互作用、群、等が開示される場合は、これらの化合物のそれぞれの様々な個別の及び総括の組合せ及び置換について具体的な参照が明示的に開示されていなくとも、それぞれは具体的に考えられ、本明細書に説明されていると理解される。すなわち、一組の置換要素A、B及びCが開示され、一組の置換要素D、E及びFも開示されていて、一例の組合せ実施形態A-Dが開示されていれば、それぞれが個別に及び総括的に考えられている。すなわち、この例においては組合せA-E、A-F、B-D、B-E、B-F、C-D、C-E及びC-Fが、A、B及びC;D、E及びF、並びに組合せ例A-Dの開示から具体的に考えられ、開示されていると見なされるべきである。同様に、これらのいずれのサブセットまたは組合せも具体的に考えられ、開示されている。したがって、例えば、A-E、B-F及びC-Eの部分群が、A、B及びC;D、E及びF、並びに組合せ例A-Dの開示から具体的に考えられ、開示されていると見なされるべきである。この概念は、組成物のいずれの成分も、また開示される組成物を作製及び使用する方法のいずれの工程も含むがこれらには限定されない、本開示の全ての態様に適用される。したがって、実施され得る様々な付加工程があれば、これらの付加工程のそれぞれは、開示される方法のいずれか特定の実施形態または実施形態の組合せで実施することができ、そのような組合せのそれぞれが具体的に考えられ、開示されていると見なされるべきであると理解される。
本明細書及び以下の特許請求の範囲においては多くの用語/術語への言及がなされるであろうが、それらの用語/術語は以下の意味をもつと定義される。
単数形及び複数形の「含む」並びに同様の用語は包含を意味するが、包括的であって排他的ではないことには限定されない。
用語「約」は別途に言明されない限りその範囲内の全ての名辞にかかる。例えば、約1,2または3は約1,約2または約3と等価であり、さらに、約1〜3,約1〜2及び約2〜3を含む。組成物、コンポーネント、成分、添加物及び同様の現示に対下開示される特定の値及び好ましい値並びにそれらの範囲は例示のために過ぎず、その他の定められた値または定められた範囲内の他の値を排除しない。本開示の組成物及び方法はいかなる値またはその値のいかなる組合せも有し、また特定の値、さらに特定の値、及び本明細書に説明される好ましい値を有する、組成物及び方法を含む。
不定冠詞「a」または「an」及び対応する定冠詞「the」は、本明細書に用いられるように、別途に指定されない限り少なくとも1つまたは1つ以上を意味する。
「結晶」または「微結晶」は、本明細書に用いられるように、その構成原子、構成分子または構成イオンが3つの空間次元の全てにおいて広がる規則的な反復パターンで配列されている固体材料を指す。本明細書に用いられるように、結晶または微結晶は、多結晶材料、擬結晶材料及び、欠陥、不純物、秩序、無秩序、及び/または双晶を含む、結晶性材料も含む。
「非晶質」は、本明細書に用いられるように、結晶または結晶性材料の秩序性を欠いている固体材料を指す。いくつかの実施形態において、非晶質材料はガラス質またはガラスタイプの材料を含むことができる。
「細孔度」は、本明細書に用いられるように、結晶構造内の空孔空間の尺度である。細孔度は、いずれも材料の表面積、細孔径及び細孔径分布を決定するための標準方法である、バレット(Barrett)−ジョイナー(Joyner)−ハレンダ(Halenda)(BJH)法またはブルナウアー(Brunauer)−エメット(Emmett)−テラー(Teller)(BET)法のような、標準測定法を用いて測定することができる。
「ドーピング」は、本明細書に用いられるように、結晶組成物または非晶質組成物への、これらの組成物内に通常は見られない、(ドーパントと称される)元素または化合物の導入を指す。ドーパントは組成物の電気的または光学的な特性を変えることが多い。ドーパントの例には、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム、銅、ホウ素、ヒ素、リン、アンチモン、アルミニウム、ガリウム、カドミウム、ゲルマニウム、テルルまたはセレンがあるが、これらには限定されない。
「化学的改質」は、本明細書に用いられるように、化学反応による結晶の組成または構造の改変を指す。そのような反応には、酸−塩基反応、燃焼反応、合成反応、光化学反応、分解反応、イオン交換反応または置換反応があるが、これらには限定されない。
「物理的改質」は、本明細書に用いられるように、破砕、研削、切断、圧力、加熱、冷却またはアブレーションのような、ただしこれらには限定されない、物理的過程による結晶の組成または構造の改変を指す。
「金属熱反応」は、本明細書に用いられるように、少なくとも1つの固体酸化物化合物が化学反応によって基元素または基元素を含む別の化合物に少なくともある程度変換される、置換反応を指す。いくつかの実施形態において、反応は、例えば気/固反応として、マグネシウムまたはカルシウムを含む気体により、気相で行われる。しかし、いくつかの場合、金属熱還元過程は、反応物質の1つ以上、例えば、マグネシウム、カルシウム及び/またはシリカ組成が液相にある条件下で行われる。いくつかの実施形態において、反応は電子的媒介反応によって行われる。
「粉末」は、本明細書に用いられるように、少なくとも一つの次元に沿う平均直径が約10nm〜約500μmの、微細分散固体粒子を指す。一般に、粉末には、いくらか球形の粒子を含む傾向があるが、粒子は、結晶化度、結晶構造、形成方法、等の関数として、針状体、立方体、等のような、他の構造を有することができる。
「スート」は、本明細書に用いられるように、シリカ前駆体の火炎内燃焼によってつくられたシリカ含有粒子を指す。スートは、
1)シリカを含む、及び
2)特定のプロセスで形成され、粒径及び形状の良好な一様性、大表面積、及び制御可能な組成配合のような、特有のまたは独特の特性を有する、
粉末のサブセットである。スートは一般にガウス型粒径分布を有することができる。
ハイブリッド材料
本開示は電気化学的過程のためのコンポーネントの製造に利用することができる材料の範囲に及ぶ。上述したように、電気貯蔵装置の向上が絶え間なく必要とされている。どの電池システムも、サイクル寿命、容量、クーロン効率(C.E.)及びコストの4つの肝要な態様(4C)に分解することができる。4Cに望まれる性能指数は、100サイクル後に≧80%の効率を有し、100サイクル後に500mAh/gより大きい容量を有し、第1サイクル後に≧85%のC.E.を有し、コストが現行デバイスと同等の、電池である。先進電池技術にはこれらの指標のそれぞれが重要であるが、商業化レベルでは、コストが市場参入に対して最もクリティカルな要素であることが多い。上で含めなかった別の要件はプロセスの拡張性である。商業規模では実行不可能であるか、またはコストを劇的に高めなくては顧客の要求を満たすことはできない、ダイナミックソリューションは、他の問題の多くを解決するとしても、不合格であろう。例えば、現行のアノード材料の黒鉛は、極めて豊富にあり、容易に処理でき、コストは〜$20〜40/kgである。黒鉛を置き換えたいいかなる改善も、コストにおいて同様でなければならないであろう。
ケイ素は、現行の黒鉛アノードよりかなり優れた、ケイ素を含むアノードをおそらぅ作製できるであろう独特の特性を有する。しかし、上述したように、ケイ素は、アノードとして用いられて、反復サイクルにかけられると、材料劣化を受ける。したがって、ケイ素の優れた脱リチウム特性は有するが、蓄電池に必要な長期安定性も有する、別の構造を見いだすこと要求され続けている。
多孔質ケイ素を含む構造であって、安価であり、商業規模で作製することができ、所望のサイクル寿命にわたって安定であり、黒鉛の600%までもの高いサイクル効率を示す構造をもたらす、構造が本明細書に開示される。
本実施形態は高度に多孔質の構造を製造するための、安価で、効率がよく、強力な手法を開示する。リチウム電池アノードにおける使用が特に注目されるが、本明細書に説明されるプロセスでつくられるハイブリッド材料は、分子センシング、触媒、モレキュラーシーブ、光エレクトロニクス、コンピューティング、エネルギー貯蔵、電池、電界電子伝送(FET)及びn-MOSFETまたはp-MOSFET、ドラッグデリバリー、抗菌薬適正使用、細胞培養、細胞アッセイ、イオンチャネルアッセイ、有機ハイブリッドポリマー複合材、無機ハイブリッドポリマー複合材、健康管理、医療、セメント、透明導電体、超伝導体、超磁石、圧電、熱電、マイクロ波合成、抗菌、抗がん、石油生産及び精製、量子絡み合い、メタマテリアル、エネルギー、エレクトロニクス、マイクロエレクトロニクス、ナノエレクトロニクス、スピントロニクス、キラル合成、ガスセンシング、ガス分離、水純化、電気分解、電気化学反応及び合成、磁化率、環境ガス浄化、炭素隔離、触媒コンバータ、光ファイバ装置、レンズ、イオン交換、RFID、LED、OLED、耐熱材料、導体、コンピュータ、量子コンピュータ、集積回路、量子カスケードレーザ、押出セラミックデバイス、ミサイルカバー、分子分離、照明、爆発物、航空宇宙用途、ヒートシンク、熱電センサ、熱電対、pH計、高温屈折体、化学レーザ、質量分光用標的として、UV−可視光学素子、蛍光色素キャビティ、核反応、トランスフォーマ、ソレノイド、非線形光学素子、電気モーター、太陽電池、金属除去、界面活性剤、吸着、接着、フォノンセンシング、レーザバイオセンサ、光導波路、光触媒、エレクトロルミネセンス、表面励起ラマン分光法、等のような、広範な用途にも用いられ得る。
第1の態様はケイ素−シリカハイブリッド材料を含む。ハイブリッド材料は、酸化ケイ素、MSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、の領域、及びケイ素の領域を有し、金属熱還元過程によって形成することができる。
本明細書に開示されるハイブリッド材料はシリカ含有前駆体から作製することができる。ハイブリッド材料を形成するためのシリカ含有前駆体として用いられ得る材料は一般にいかなるシリカベース組成物も含む。シリカ含有前駆体は純シリカを含むことができ、あるいは、ドーパントまたは不純物をさらに含むシリカ含有組成物を含むことができる。特に有用なシリカ含有前駆体はシリカ粉末及びシリカスートである。一般に、シリカ含有前駆体の粒子または粉末の大きさはナノスケールまたはマイクロスケールのオーダーであると有利である。
シリカスート粒子は、最長軸に沿って測定したときに、約10nm〜約1μmの平均粒径を有することができ、例えば、回転楕円体またはフラクタルのような、所望のいずれの形状も有することができる。シリカスートはさらにドーパントまたは不純物を含むことができる。シリカスートに含めることができるドーパントまたは不純物の例には、Al、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Ni、P、Sn、Ti、Zn、Zr、Li及びCがあるが、これらには限定されない。いくつかの実施形態において有益であり得るドーパントには、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウムまたは銅、及びこれらの組合せがある。そのような実施形態において、これらの材料は0重量%より多く約10重量%まで存在し得るが、一般には総量で3重量%より少ない量で存在する。
一般に、シリカスートはシリカ前駆体の火炎内燃焼でつくられる。前駆体はシリカ粒子を分解して、四フッ化ケイ素、四塩化ケイ素または有機ケイ素前駆体を合成することで作製することができる。粒子は次いでシリカスートを作製するために火炎加水分解される。火炎内燃焼プロセスは核形成及び成長(溶融粒子の合体)及び大きさを制御する。スート作製において、スート粒子は集塊化を防止するために急冷されて、「バグハウス」内に集められる。
シリカスートから形成されたハイブリッド材料が図1及び図2に示される。図1A〜1Dに示されるように、得られたハイブリッド材料の全体にわたって酸化ケイ素及びケイ素が存在する。ケイ素はシリカから、ある程度は、図1Cに見られるような秩序構造によって、またNMRシフト差(図9及び図10)からも、見分けることができる。図2A〜2Dは、組成のMg対シリカ比の異なるスートのマグネシウム熱還元によって作製された実施形態のハイブリッド材料の走査型電子顕微鏡(SEM)解析を写真で表す。図2AはMg対シリカのモル比が1.5:1のスートから作製された多孔質ケイ素を示す。図2B〜2DはMg対シリカ比がそれぞれ、1.8:1、2.0:1及び2.6:1のスートから作製された還元ケイ素を示す。全ての多孔質ケイ素は1気圧(1.013×10Pa)より高い分圧で合成した。合成温度は800℃であり、2時間保持した。これらの図は異なる、組成、温度、圧力のような、プロセスパラメータの利用による異なる微細構造の展開を示す。
図9を再び参照すれば、図は、シリカスートのマグネシウム熱還元で得られた代表的なハイブリッド材料の29Siマジック角回転核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。これらのデータは結晶ケイ素(ほぼ−80ppm)からの幅が狭いピークを、また、−90ppmと−115ppmの間の比較的幅が広いピークを生じさせる、残留ケイ酸塩(SiO及びケイ酸マグネシウムの両者)も、明瞭に示す。これらの様々な化学環境に対するピーク面積は十分定量可能であり、これらのハイブリッド材料のケイ素対シリカ比についての値を与える。ケイ素に対するシフト範囲内において、これらのデータは、残留無秩序性及び/または粒子表面サイトを反映するピークの広がり及び非対称性により、結晶ケイ素における秩序化の程度の変動も示す。これらの特徴はこれらの材料における秩序化ケイ素と無秩序ケイ素に対する近似比を得るためにデコンボリューションをかけることができる。さらに、図10はMg対SiOのモル比が1.8:1のスートを用いて作製したハイブリッド材料に対する、結晶ケイ素共鳴の秩序成分及び無秩序成分への1つの考え得るデコンボリューション(破線)を含む、29Si MAS NMRスペクトルを示す。
ハイブリッド材料の有益な態様の1つはその高い細孔度レベルである。いかなる特定の理論にもこだわらずに、ハイブリッド材料の高い細孔度レベルは酸化ケイ素領域とケイ素領域の構造的相互作用と相まってハイブリッド材料における高められた構造一体性を与えると考えられる。しかし、いくつかの実施形態において、どのように細孔が得られるかがアノード用途におけるハイブリッド材料の総合効率に肝要であることが分かった。いくつかの実施形態において、最善の材料を得るため−本質的に、大きな開放細孔を得るため−には、細孔径を最大化し、表面積を制限することが望ましい。いくつかの実施形態において、細孔径が大きくなるほど、例えばアノードの最初のクーロン効率に影響することで、電極性能が益々向上する。ハイブリッド材料は、約50Å〜約250Åのバレット−ジョイナー−ハレンダ(BJH)細孔径を有することができる。いくつかの実施形態において、BJH細孔径は、約50Å〜約200Å、約50Å〜約150Å、約50Å〜約100Å、約100Å〜約250Å、約100Å〜約200Å、約100Å〜約150Å、約150Å〜約250Å、約150Å〜約200Åまたは約200Å〜約250Åである。
ハイブリッド材料の別の有益な態様はその表面積である。上述したように、いくつかの実施形態において、表面積は、細孔径と相まってまたは相乗的に、改善されたハイブリッド材料を提供するためにはたらく。意外なことに、ハイブリッド材料の表面積を最大化しようとするよりもむしろ中くらいの表面積がこれらのハイブリッド材料を組み込んでいるアノードの性能を向上させることが分かった。表面積が大きくなるほど、リチウムイオンを捕らえて、益々大きな固体電解質界面(SEI)層を形成することになり得ると考えられる。いくつかの実施形態において、SEI形成を軽減するため、ハイブリッド材料の表面積は約10m/g〜約250m/gの範囲にある。実施形態は、表面積が、約10m/g〜約250m/g、10m/g〜約200m/g、10m/g〜約150m/g、10m/g〜約100m/g、10m/g〜約75m/g、10m/g〜約50m/g、10m/g〜約25m/g、25m/g〜約250m/g、25m/g〜約200m/g、25m/g〜約150m/g、25m/g〜約100m/g、25m/g〜約75m/g、25m/g〜約50m/g、50m/g〜約250m/g、50m/g〜約200m/g、50m/g〜約150m/g、50m/g〜約100m/gまたは50m/g〜約75m/gのハイブリッド材料を含む。
細孔径及び表面積に加えて、いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料の%開放細孔率が材料性能において重要な役割を果たすことができる。いくつかの実施形態において、形成されたハイブリッド材料は約10%〜約98%の%開放細孔率を有する。別の実施形態において、形成されたハイブリッド材料は約75%〜約98%または約90%〜約98%の%開放細孔率を有する。
ハイブリッド材料のタップ密度は、ASTM B527-14標準を用いて測定されるように、圧密プロセス後の材料のバルク密度を指す。いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料のタップ密度は、コーティング中の粒子の最善充填の達成に、またハンドリングにも、極めて重要な役割を果たす。いくつかの実施形態において、タップ密度は0.07g/mLより高く、特に0.24g/mLより高いかまたは0.4g/mLより高い。いくつかの実施形態において、タップ密度は、約0.07g/mL〜約1.0g/mL、約0.24g/mL〜約1.0g/mLまたは約0.4g/mL〜約1.0g/mLである。
いくつかの態様において、ハイブリッド材料の加工性は、アノードとして用いられるため、銅電流コレクタ上に一様な被膜を形成するために重要である。粒径が大きすぎると、処理中にストリーク及び不均質性がアノード被膜に生じがちである。したがって、いくつかの実施形態において、アノード上に一様な被膜を有するため、ハイブリッド材料はその最長軸に沿う45μmより小さい粒径を有することが望ましい。いくつかの実施形態において、ナノスケールのスート及び粉末から形成されたハイブリッド材料の最長軸に沿う直径は一般に約1μm〜約10μmである。いくつかの実施形態において、粒子は概ね、直径が約1μm〜約10μmの、球形である。いくつかの実施形態においては、充填目的であれば、粒径は小粒子と大粒子の二モード分布であることが有利である。粒子が二モード分布で存在する、そのような実施形態においては、分布が第1の分布及び第2の分布を有し、第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、第2の分布は最長軸に沿う約10nm〜約500nmの直径を有する粒子を含む。そのような実施形態において、第1の分布:第2の分布の比は約30:1〜約1:1、特に20:1〜5:1であり、あるいは総粒子数の20%より少ない粒子が第2の分布に含まれる。
ハイブリッド材料はケイ素とMSiO2+xの組合せを含み、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である。いくつかの実施形態において、ケイ素は結晶である。ハイブリッド材料内の結晶ケイ素の量は約20重量%〜約94重量%である。いくつかの実施形態において、結晶ケイ素の量は、約20重量%〜約94重量%、約20重量%〜約90重量%、約20重量%〜約80重量%、約20重量%〜約70重量%、約20重量%〜約60重量%、約20重量%〜約50重量%、約50重量%〜約94重量%、約50重量%〜約90重量%、約50重量%〜約80重量%、約50重量%〜約70重量%、約50重量%〜約60重量%、約60重量%〜約94重量%、約60重量%〜約90重量%、約60重量%〜約80重量%、約60重量%〜約70重量%、約70重量%〜約94重量%、約70重量%〜約90重量%、約70重量%〜約80重量%、約80重量%〜約94重量%、約80重量%〜約90重量%または約90重量%〜約94重量%である。
上述したように、MSiO2+xに対し、Mは金属であり、xは0または正の整数である。いくつかの実施形態において、Mは金属熱反応に用いられる元素金属を含み、例えば、Mg、Ca、Al、Ti、等を含むことができる。いくつかの実施形態において、MSiO2+xの量は約5重量%〜約50重量%である。いくつかの実施形態において、MSiO2+xの量は、約5重量%〜約50重量%、約5重量%〜約40重量%、約5重量%〜約30重量%、約5重量%〜約20重量%、約5重量%〜約10重量%、約10重量%〜約50重量%、約10重量%〜約40重量%、約10重量%〜約30重量%、約10重量%〜約20重量%、約20重量%〜約50重量%、約20重量%〜約40重量%、約20重量%〜約30重量%、約30重量%〜約50重量%、約30重量%〜約40重量%または約40重量%〜約50重量%である。
いくつかの実施形態において、ケイ素対MSiO2+xの比は、リチウム電池のアノードとして用いられる場合のように多数回の体積膨張を受けるときの材料の安定性に対してクリティカルである。これらの実施形態において、ケイ素:MSiO2+xの比は約1:1〜約100:1である。いくつかの実施形態において、ケイ素:MSiO2+xの比が約10:1〜約100:1であれば有利である。いくつかの実施形態において、ケイ素:MSiO2+xの比は、約1:1〜約100:1、約1:1〜約90:1、約1:1〜約80:1、約1:1〜約50:1、約1:1〜約25:1、約1:1〜約10:1、約1:1〜約8:1、約1:1〜約5:1、約1:1〜約3:1、約10:1〜約100:1、約10:1〜約90:1、約10:1〜約80:1、約10:1〜約50:1または約10:1〜約25:1である。
ハイブリッド材料は材料の特性に、効果がないか、限られた効果を有するか、あるいは積極的または相乗的な効果を有し得る、追加の化合物をさらに含むことができる。これらには、ドーパント、不純物及び、ハイブリッド材料形成からの副反応生成物がある。例えば、いくつかの実施形態は、主として反応過程が基で、0重量%より多く約65重量%までのMgO、CaOまたはAl、あるいは0重量%より多く約10重量%までのMgO、CaOまたはAlを含む。これらの材料は、例えば生成物を有機酸で洗うことによって、ハイブリッド材料から除去することができるが、残存量が取り残され、ハイブリッド材料の性能に影響を与えないことがあり得る。ハイブリッド材料のいくつかの実施形態に存在し、有益であり得る、ドーパント及び/または不純物には、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウムまたは銅、及びこれらの組合せがある。そのような実施形態において、これらの材料は総量で0重量%より多く約10重量%まで存在し得るが、一般には総量で3重量%より少ない量で存在し、非晶質または結晶質であり得る。
ハイブリッド材料は電気化学的デバイス、特にリチウム電池デバイスのためのアノードに組み入れることができる。リチウム電池アノードにおけるハイブリッド材料の使用が特に注目される。ハイブリッド材料をリチウム電池アノードに用いると、他の材料では見られない有益な特性を得ることが可能である。例えば、ハイブリッド材料を含むアノードは、0.1放電率で100サイクル後に黒鉛の約20%以上の比容量を有する。いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料を含むアノードの比容量は、0.2放電率で100サイクル後に黒鉛の、約30%以上、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上または約80%以上である。
いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料を含むアノードは対重量比容量における向上を示す。ハイブリッド材料を含むアノードの対重量比容量は、0.1C放電率で100サイクル後に、約400mAh/g以上、約500mAh/g以上または約600mAh/g以上であり得る。さらに、そのようなアノードは第1サイクル後に、50%、60%、70%、80%、90%または95%より高いクーロン効率も示すこともできる。
本明細書に説明されるハイブリッド材料は技術上既知の他のアノード材料と組み合わせることができる。例えば、ハイブリッド材料は炭素と併用することができ、アノード材料として用いられると相乗効果を有することができる。いくつかの実施形態において、ハイブリッド材料はアノードにおいて炭素と併用され、この場合、アノードは0重量%より多く約95重量%までの炭素を含む。
リチウム電池用途に用いられるその他のコンポーネントは、当業者には周知であり、必要に応じて及び適用可能であれば、アノードデザインに加えられ得る。例えば、ハイブリッド材料とともに用いられ得るリチウム化合物は、金属リチウム、リチウム酸化物、リチウムの合金及び二元合金、等を含む。
プロセス
本明細書に説明されるハイブリッド材料は、前駆体材料から酸素を取り除くため、マグネシウムのような、金属元素を利用する多くの金属熱反応型過程によって形成することができる。これらの過程には、例えば、1)気相合成及び2)溶融相合成または自己燃焼合成(SPHS)がある。気相合成中、前駆体は反応チャンバ内で分離され、金属蒸気がシリカ粒子を還元して初期のシリカ構造を概ね維持している最終Si生成物を生じさせることを可能にし得る。
対照的に、SPHS過程は、前駆体が均質に混ぜ合わされ、閉鎖系内で反応することができる、溶融相過程である。いくつかの実施形態において、閉鎖系は−例えば1気圧(1.013×10Pa)をこえる、1.5気圧(1.520×10Pa)、2気圧(2.026×10Pa)、3気圧(3.039×10Pa)のような、またはさらに高い−高分圧下での反応を可能にする。溶融相合成の場合、初めの前駆体にかかわらず、つくられる最終構造は多孔質である。細孔は、少なくともいくつかの実施形態において、溶融Siマトリクス内のペリクレース(MgO)、ケイ化マグネシウム(MgSi)及びフォルステライト(MgSiO)のような生成物の析出によって形成される。ハイブリッド材料の洗浄及び溶脱の後、これらの反応生成物は溶解して、多孔質構造を残す。
本明細書の実施形態のプロセスのどちらかによるハイブリッド材料を形成するための全体プロセスが図7に示される。第1の混合または配合する工程は、上述したように、反応チャンバ内でシリカ含有前駆体材料を反応性の元素金属と配合する工程を含み、槽は溶融相合成または気相合成のいずれも可能にする。反応性の元素金属に関しては、どの元素が前駆体内に存在する酸化物を還元するに十分なエネルギーを有するかを決定するため、エリンガムダイアグラムを用いることが可能である。マグネシウムは、例えば、炭素ガスよりも適度に低い温度で(後で別の手段によりエッチングすることができる、CaOを除く)普通の酸化物のほとんどを還元できることが事実である。したがって、通常は、多成分酸化物でつくられた粉末またはスートはマグネシウムガスを用いて金属熱還元により抜き取られ得る。しかし、本開示の範囲を逸脱することなく適する様々な還元材料が用いられ得ると考えられる。限定ではなく、例として、還元性金属元素には、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、ルビジウム、またはこれらの組合せを含めることができると考えられる。金属材料がマグネシウムを含む、単純化された、ある程度理想的な場合、シリカガラス基板との対応する化学量論的反応は:
の通りである。
同様の還元性金属には類似の反応が特徴的であろう。そのような反応は、金属、他の結晶、ガラス、セラミック、ガラス−セラミック、ファイバ、光ファイバ、フュージョンドローガラス、化学強化ガラスまたは、リドローされ、ポリマーと積層された、ガラスを含む、いずれの非反応性または限定反応性の表面上でも行われ得る。
化学量論はシリカに対するマグネシウムの比がモル比で2:1であるべきであると規定するが、本明細書に説明されるハイブリッド材料を作成するためのプロセスにおいては、他の化学量論的比が有利であり得ることが分かった。下表(表1)はMg:SiOモル比が、表面積、細孔度、細孔径をどれだけ有利に変えるかを、シリコン結晶寸法及び細孔の開放率とともに示す。
還元過程及び/または代替反応過程を強めるため、前駆体に、スパークプラズマ、マイクロ波またはRFへの曝露を受けさせることができる。金属元素は、例えば、金属ガス形成を誘起するため、マイクロ波、プラズマまたはレーザによる昇華、電流、誘導加熱、またはプラズマアークにかけられる金属源を含む、従来のまたはこれから開発されるいずれかの金属源から得ることができる。金属元素が金属源から得られる場合、さらに還元を強めるように、金属元素をシリカ含有前駆体基板と反応させている間に金属源の組成を変えることができると考えられる。
基板の表面を電子で照射することで、金属または半金属の基板にさらに欠陥が形成され得る。得られる欠陥により、金属熱還元ガス材による、一層容易で大規模な酸素の抜き取りが可能になり、したがって、上述した金属熱還元過程に先立ってガラス基板を電子ビーム照射にかけることで酸素抜き取りを強化するために欠陥を用いることができる。考えられる照射量は、ほぼ125kVの加速電圧で、ほぼ10kGy〜ほぼ75kGyの照射量を含むが、これには限定されない。照射量及び加速電圧を高めるほど益々有利であると考えられ、そのように思われる。
図7の工程1をまだ考察すれば、反応は不活性雰囲気の下で行われなければならない。不活性雰囲気の例には窒素及びアルゴンがある。また、いくつかの実施形態において、雰囲気は(例えば、アルゴン98%、2%Hの)水素分圧を有することで、還元に有利であるように構成することができる。さらに、上述したように、溶融相及び気相のいずれの場合にも、閉じられて、周囲より高い圧力を維持することができる反応チャンバを提供することが有利であり得る。
図7を再び参照すれば、第2の焼成する工程は、反応チャンバ、前駆体材料または不活性雰囲気あるいはこれらの組合せを、反応をおこし得るに十分な温度に加熱する工程を含む。酸素抜き取りを容易にするための、反応温度Tは約400℃と約900℃の間であろう。限定ではなく、例として、スートに対し、適する反応温度Tはほぼ660℃であり、この温度にほぼ2時間維持され得る。いくつかの実施形態において、反応温度は、約400℃、425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃、675℃、700℃、725℃、750℃、775℃、800℃、825℃、850℃、875℃または900℃である。いくつかの実施形態において、反応温度は、400℃、425℃、450℃、475℃、500℃、525℃、550℃、575℃、600℃、625℃、650℃、675℃、700℃、725℃、750℃、775℃、800℃、825℃、850℃、875℃または900℃より高い。低圧反応チャンバに対しては反応温度が下げられると考えられる。
反応温度に加えて、前駆体材料を加熱するために用いられるランピングレートも生じる反応において役割を果たす。実際、意外にも、前駆体成分を反応温度まで加熱するためのランピングレートが得られる構造に劇的な効果を有し得ることが分かった。得られるハイブリッド材料の多孔質構造の細孔はランピングレートを上げるほど大きくなることが一般的に成り立つ。図5A〜5Cに見られるように、ランピングレートを40℃/分から2℃/分に下げていくと、得られるハイブリッド材料の細孔径が劇的に小さくなる。この結果はプロセスパラメータの簡単な修正により特定のデバイスまたはシステムに細孔構造を「同調」させることができる能力を提供する。ランピングレートは1℃/分から50℃/分より高く、例えば、1、2、5、10、20、30、40、50、75または100℃/分に、設定することができる。
いくつかの反応において、MgSiのような副生成物が生じ、上述した還元工程に続いて副生成物除去工程を入れることができる。図7を参照すれば、第3及び第5の溶脱する工程は、不要な副生成物を除去するための化学薬品の適用を含み、必要に応じて、焼成工程後、粒状化または粒径低減に、あるいはいずれにも、関する付加工程後に、行うことができる。一般に、反応副生成物は、水、アルコールまたは極性有機溶媒内の強有機酸の適用によって除去されるであろう。しかし、いくつかの場合には、ハイブリッド材料に付着した副生成物を除去するために、超音波をかけるかまたはかき回し力を印加する必要があり得る。いくつかの場合、副生成物を分離除去するかまたは実生成物を粒径分類するため、得られた材料を遠心分離することが有益である。あるいは、副生成物の発生及び副生成物除去工程の必要を避けるため、副生成物が生じるには不十分な量で金属ガスが供給されるように、還元の化学量論を調整することができる。しかし、多くの場合、結晶性前駆体の組成は付加反応生成物の生成が不可避であるような組成であろうし、その場合、これらの付加反応生成物は本明細書に説明されるエッチング及び熱副生成物除去工程によって除去することができる。
図7を参照すれば、得られたハイブリッド材料は、性能を高めるかまたはエンドユーザの受入基準を満たすため、粒径を最適化する第4の工程にかけることができる。粒径を最適化するためのプロセスは技術上周知であり、例えば、研削、破砕、粉砕、摩砕、粒化、凝集及び混和がある。この工程に続いて、上述したように、必要に応じて、不要な副生成物またはその他の成分のいずれも除去するために、ハイブリッド材料を溶脱工程にかけることができる。最後に、ハイブリッド材料は、不純物またはさらに未反応の前駆体または、MgOのような、副生成物のいずれも除去するため、例えば、脱イオン水内での1回以上の洗浄により、及び/または超音波印加及び遠心分離により、及び/または別のまたは追加の溶剤(例えばエタノール)により、浄化されるかまたは洗浄され(図7の工程6)、次いで、いかなる残留する水または溶剤も除去するため、(例えば乾燥オーブンによる)乾燥工程(図7の工程7)にかけられる。最終生成物は、追加の、必要に応じるドーパントが存在する、ケイ素−シリカハイブリッド材料になり得る。
本開示の様々な実施形態は特定の除去プロセスに限定されないが、反応後酸エッチング工程を実行することで、金属または半金属の基板の表面から金属−酸素複合体を除去できることに注意されたい。限定ではなく、例として、反応後酸エッチングは、水及びアルコール内の1M HCl溶液(モル比で(濃)HCl:HO:EtOH(〜100%)=0.66:4.72:8.88)内で少なくとも2時間行うことができる。代わりのアルコールをエッチング工程に用いることもできる。ガラスの細孔度に依存して、いくらかのMgOがさらにガラス内部に捕らえられていることがあり、多数回の酸性混合物の洗い流しをともなう、さらに長時間の追加エッチングが必要になり得る。
実施例1−実験室規模の反応
以下の手順により〜20〜300グラムのハイブリッド材料を得ることができる。シリカスート(純白色粉末)を純マグネシウム金属粉末(黒色粉末)と約1:1.8のモル比で配合する。比を変えると細孔径が異なり、その結果、最終特性が異なる。マグネシウム源は、20〜230メッシュ、純度98%の、試薬級マグネシウム顆粒(Sigma-Aldrich社:254126-500G)である。あるいは、削りマグネシウム(純度99.8%:Alfa Aesar社)を用いることができる。微細グレードマグネシウム粉末(Sigma-Aldrich社:254126-500G、試薬級、純度98%)は、昇華及び還元反応の最も均質な分布をもたらし、これは一層小さいマグネシウム粒子によってシリカ粒子が一層均質に分散された結果であると考えられる。しかし、削りマグネシウムの昇華は均質ではないようであり、したがって、昇華ガスのスート粉末内への進入はそれほど一様ではない。
粉末混合物は黒鉛るつぼまたは化学的に不活性な(無酸化物)るつぼに移され、るつぼは続いてカバーをかけられて密閉される。るつぼは純アルゴン雰囲気の下にあるオーブン内に入れられる。雰囲気状態はある分率の窒素のような他の不活性ガスと混合することができ、あるいは99〜97%のアルゴン中1〜3%の水素のようなフォーミングガスを含むように構成することができる。あるいは、雰囲気は真空とすることもできる。
ガラス試料の熱処理は、以下の反応:
をおこさせるため、オーブン内で660℃〜950℃の間の温度(例えば、本実施例で用いられる800℃)においてなされる。例えば、オーブンは室温から標準のランピングレート(例えば、2℃/分)を用いて800℃に設定される。800℃の温度に約2〜4時間おくことで反応が可能になる。
最終粉末は、いくらかのかすかな黛青色の微粒子を含む、えび茶色の粉末である。次いでこの粉末を化学的に抽出する。粒径は〜5μmに減じられている。以下の節では、酸化マグネシウム、フォレステライト及びケイ化マグネシウム構造の除去のためのウエットエッチング法が説明されるが、発明者等はドライエッチング法も同等に有効であると思われることを注記する。例えば、米国特許第4132586号明細書は、酸化マグネシウムの選択除去のためのウエットエッチング剤及びドライエッチング剤のいずれも説明し、特に、シュウ酸アンモニウムを含む溶液を1M塩酸の代わりに用い得ることを説明している。上記明細書はその全体が本明細書に参照として含められる。
第3の工程は還元されたハイブリッド材料を、「抽出バッファ」を入れているビーカーに移す工程を含む。抽出バッファは、MgO及びその他の副生成物を溶解させ、粉末のハイブリッド材料をもたらす。図6Aは前洗浄したハイブリッド生成物粒子の顕微鏡写真である。粒子は、表面上に層をなし、おそらくは得られた生成物の有効性に強い影響を与える、フォレステライトの被膜を有する。図6Bは、粒子の内部を遮蔽している被膜を示す、さらに高倍率の顕微鏡写真である。抽出バッファは、水、アルコール、極性有機溶剤内またはこれらの組み合わせ内の、1M塩酸のような、強有機酸でつくることができる。詳しくは、溶剤系はアルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール)と水、例えばメタノール66%と水33%の組合せとすることができる。ハイブリッド材料は、フォレステライト及びその他の副生成物を除去するため、超音波に90分間かけ、次いで遠心分離することができる。図6C及び6Dは1M HClのエタノール溶液内での超音波印加後の粒子を示す。エッチングプロセスは、どの材料を抽出するかを制御するため、調節することもできる。金属熱還元の前、酸素含有格子の大部分はケイ素ではなく、発明者等は発明者等のエッチングプロセスがMgOだけでなくこれらの材料のほとんども有効に除去することを見いだした。しかし、基礎溶剤溶液を変えると酸エッチングによる抽出可能物が減少または増加し得るであろう。そのような調節は伝導度及び細孔度の変化も生じさせ得るであろう。最後に、抽出液を除去し、粉末を、例えば溶剤を何度も(例えば5回)変えながら、洗うことができる。複数回の抽出後、85℃に設定した真空オーブン内で数時間粉末を乾燥して完了する。
あるいは、ハイブリッド生成物を純化するためにドライエッチングプロセスを用いることができる。ドライエッチングは、材料をイオン(通常は、窒素、アルゴン、ヘリウム及びその他のガスが加えられることがある、フルオロカーボン(CF)、酸素、塩素(CCl/Ar、Cl/Ar)または三塩化ホウ素のような、反応性ガスのプラズマ)の衝撃にさらし、さらされた表面からイオンが材料の一部を取り除くことによる材料の選択的除去を指す。プラズマは誘導結合され得る。ドライ化学エッチングプロセスは一般に方向性または異方性のエッチングである。ドライエッチングのハードウエア構造は基本的に、真空チャンバ、特殊ガス給配システム、RF波形発生器及び排気システムを含む。(米国特許第4132586号明細書による)下表:
は、酸化マグネシウム、シリカ及びアルミナについてのドライエッチング除去レートを示す(上記明細書はその全体が本明細書に参照として含められる)。この表から分かるように、シリカとアルミナはいずれも全ての場合においてMgOよりかなり速くエッチングされる。しかし、熱金属還元過程でつくられた材料は、多孔質ケイ素に対して近接する(多孔質ケイ素形成の副生成物としての)酸化マグネシウムの外層を生じるであろう。13.56MHz及び1.6W/cmのパワーに設定したRFにおいてMgO−多孔質ケイ素をアルゴンだけのプラズマに短時間さらすことで、MgO外層を除去するには十分であると思われる。
実施例2−多孔質ケイ素含有材料の微細構造
図1A〜1Hはシリカスートからケイ素への転換でつくられた多孔質ケイ素のTEM/EDS解析画像である。これらのハイブリッド粉末はリチウムイオン電池及びその他のリチウムイオンエネルギー貯蔵システムの電極の作製に用いられる。これらの画像はリチウムイオン電池研究に用いられるハイブリッド材料に見られる微細構造を代表している(図1A〜1C)。図1Cにおいて、粒子のケイ素領域の拡大画像は、その領域がケイ素シートからなっていることを明らかにしている。解析は多孔質ケイ素粒子上の若干の残留マグネシウムの存在を示し(図1F)、またFeの存在も示す(図1G)が、発明者等はこの汚染物がリチウム電池の機能を損なうに十分な高いレベルにはないことを特記する。酸素のケイ素との複合オーバーレイが図1Hに示される。画像は複数の、開いていて利用可能である、ケイ素ポケットを実証している。処理中にケイ素のいくらかの外周酸素添加がおきるが、やはり、汚染MgOと同様、リチウムイオン電池の機能を妨げるに十分ではない。
実施例3−多孔質ケイ素含有材料を用いるリチウムイオン電池の試験
ハイブリッド材料をアノードに用いてボタン型リチウムイオン電池を作製する。懸濁インク及び結合剤を用いて多孔質ケイ素試料のスラリーを作製し、次いでスラリーを銅ホイル上にテープキャストする。スラリー形成手法の最適化は行っていない。ハイブリッド材料膜付ホイルを乾燥し、ディスク形アノードをパンチで作製する。アノードを次いでスペーサとともにコイン型電池アセンブリ内に配置し、アセンブリを密閉する。電解質(DC−19)は体積で3:7のフルオロエチレンカーボネート(FEC):エチルメチルカーボネート(EMC)と1.0M LiPFの混合物であるか、あるいは、〜35%のジメチルカーボネート、〜35%のジエチルカーボネート、〜16%のヘキサフルオロリン酸リチウム及び<40%の他の有機化合物を含む。ケイ素構造を安定化することでケイ素アノードの性能を強化するため、0.5%〜6%までの少量の、ビニレンカーボネート(VC)のような、有機物質をさらに加えることができる。
図3は本明細書の実施形態の様々なハイブリッド材料を用いたリチウムイオン電池の第1サイクル対重量比容量及びクーロン効率を示す。グラフの左側に比較対照として黒鉛が示されている。それぞれの試料についての左側のバーはリチウム化容量の尺度であり、右側のバーは様々な試料に対する脱リチウム容量を表す。脱リチウム値に対するリチウム化値の比をとると、使用の第1サイクルに対する性能指数が得られる。この値が図3に点として示される。この性能指数はアノード材料の安定性をリチウムイオンとの初めの相互作用の関数として表す。上の破線は85%効率レベル−民生エレクトロニクス市場より厳しい自動車用途に対する望ましい業界標準−を示すために与えられている。図から分かるように、全てのハイブリッド材料について、リチウム化対脱リチウム比は所望の85%に近いかまたは85%をこえている。
図4は100サイクルに対する容量保持力を示す。詳しくは、グラフは第1サイクル中に穏便な容量損失があることを示すが、容量には初めの100サイクル内で横ばいになる傾向がある。容量損失によってハイブリッド材料がアノード用途での使用から除外されることはない。それどころか、この損失を含んでいてさえ、実施形態のハイブリッド材料の容量保持力は現在用いられている黒鉛よりもかなり優れている。損失は第1サイクル中の固体−電解質中間相(SEI)の全体的な形成にともなうことがあり得る。さらに、損失が多数のサイクルにかけて平らになるという事実は、長期安定性が必要な電池用途に望ましい。最後に、ハイブリッド材料ではクーロン効率が99%に非常に急速に近づく。
実施例4−多孔質ケイ素含有微細構造及び合金組成
実施例4A
リチウム電池用途においてアノード材料としてケイ素を利用する上での最大の課題は体積膨張に対するその安定性である。リチウムイオンが多孔質ケイ素上の位置を占めると、リチウムイオンは本質的にケイ素構造を膨張させる。充電及び放電中の膨張または拡大と収縮のサイクルを多数回受けると、構造は損傷してしまう。しかし、実施形態のハイブリッド材料は100サイクル以上にわたり構造性能を維持する。ハイブリッド材料の何回もの特性評価は、プロセス中に形成されたケイ素がマグネシウムによる酸素抜き取りで内向きにエッチングされることを示す。このエッチング過程は完全ではなく、粒子のいくらかの部分、特にコアが不完全な反応によるかなりのSiO領域を有するようである。また、塩酸のような、シリカにしか作用しないエッチャントにさらされると、粒子が完全に溶解して、初めの出発材料より遙かに小さいケイ素フレークの懸濁液になる。このシリカの内部コアは、リチウムイオンとの相互作用時の多数回のケイ素の体積膨張を可能にする安定化足場として作用するから、機能性アノード電池の作製にとって幸運である。
実施例4B
別の実施形態において、前駆体材料へのドーピングによって内部コアシリカをさらに改質し得ることが可能である。例えば、スート形成プロセスは多成分ガスを受け入れることができるから、追加のドーピング物質を用いるようにスートを調整することができるであろう。あるいは、ケイ素の膨張及び収縮に対する感受性を低くするために、追加の材料によって前駆体粒子を安定化するか、または追加の材料を含めることができるであろう(例えば、米国特許第8071238号明細書を参照されたい。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる)。例えば、図8A〜8Cは、6.3重量%のTiOを含むシリカ組成で形成したハイブリッド材料の、×3000(図8A)、×10000(図8B)及び×10000(図8C)の顕微鏡写真である。得られた生成物にはフォレステライトがほとんどまたは全く存在しないように見え、細孔径は純シリカ前駆体を用いたときに見られるより小さかった。さらに、顕微鏡写真に見られるように、ハイブリッド材料の構造が異なっている。これはケイ素のTiSi生成物との合金化またはハイブリッド材料上のTiSi粒子の形成の結果であり得る。材料の組合せは、材料が相乗態様で作用するから、ケイ素だけの場合より安定な構造を与え得ることが可能である。
実施例5−流動床反応炉(将来有望)
バッチ規模の量の多孔質ケイ素を生成するための可能な方法の1つは流動床反応炉を用いる方法である。ガス抜き取りは昇華性マグネシウム床にガスを流し込むことで達成され、マグネシウムガスは、未反応のシリカスートまたはシリカ粉末が反応炉内の粒子流を提供するために用いられる反応チャンバ内に上向き方向流で運ばれる。反応した粒子は方向性ガス流によって炉を出る。供給材料として石英の代わりに気体の四塩化ケイ素が還元チャンバ内に送り込まれる、多結晶ケイ素工業で用いられるのと同様な方法が思い描かれる。従来のケイ素に対する還元反応炉は:
で与えられる(例えば米国特許第6541377号明細書を参照されたい。この明細書はその全体が本明細書に参照として含められる)。
実施例6−多孔質ケイ素反応炉(将来有望)
大量のケイ素が鉄鋼工業で用いられ、「冶金級」ケイ素(純度99%、MG-Si)と称される。いくつかの場合、鉄鋼工業による大量ケイ素生産は、石英砂の形態にあるシリカを用い、還元剤として炭素を用いる、〜2000℃の温度の大型反応炉にこれを送り込みながら還元する工程を含む。還元反応は:
である。しかし、ケイ素は1414℃で融解するから、発明者等のプロセスは〜1000℃より高い温度での加熱プロセスでは行うことができない。一般に、実施形態のプロセスは〜700℃の温度で実施され、大量のシリカとマグネシウムの組合せ粉末が混合されるであろう。反応槽は密閉されてフラッシングされ、次いで、アルゴン及び/または窒素、あるいはアルゴン、窒素及び水素(3%)のリサイクル可能な不活性ガス混合気で満たされる。反応槽は蒸気蓄積を管理するための圧力制御を有し、加熱素子が反応槽全体にわたって、または外壁に、配置され、さらに、誘導加熱素子と併用され得る。あるいは、反応槽の底にマグネシウム粉末をおいて、反応サイクル中にマグネシウムガス抜き取りが行われることを可能にする、機械式撹拌器を有する浅い緩充填シリカ床内へのマグネシウムガス上昇を可能にすることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
ハイブリッド材料において、
a.約5重量%〜約50重量%のMSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、及び
b.20重量%より多く約94重量%までの結晶ケイ素、
を含み、
結晶ケイ素:MSiO2+xの比が約1:1〜約100:1であり、
前記ハイブリッド材料が、
約10m/g〜約250m/gの表面積、及び
約50Å〜約250Åの平均細孔径、
を有する粒子の形態にある、
ハイブリッド材料。
実施形態2
前記粒子が約75〜約98%の%開放細孔率を有する、実施形態1に記載のハイブリッド材料。
実施形態3
前記ハイブリッド材料が0.07g/mLより高いタップ密度を有する、実施形態1または2に記載のハイブリッド材料。
実施形態4
前記粒子の最長軸に沿う直径が45μmより小さい、実施形態1から3のいずれかに記載のハイブリッド材料。
実施形態5
前記粒子の最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmである、実施形態4に記載のハイブリッド材料。
実施形態6
前記粒子が第1の分布及び第2の分布を含む二モード分布で存在し、前記第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、前記第2の分布は最長軸に沿う約10nm〜約500nmの直径を有する粒子を含み、前記第2の分布は総粒子数の20%より少ない粒子を含む、実施形態5に記載のハイブリッド材料。
実施形態7
5重量%より多く約25重量%までのMSiO2+xをさらに含む、実施形態1から6のいずれかに記載のハイブリッド材料。
実施形態8
0重量%より多く約65重量%までのMgOをさらに含む、実施形態1から7のいずれかに記載のハイブリッド材料。
実施形態9
前記材料が0重量%より多く約10重量%までのMgOを含む、実施形態8に記載のハイブリッド材料。
実施形態10
前記材料が0重量%より多く約20重量%までの、炭素、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム銅、リチウムまたは亜鉛の内の少なくとも1つをさらに含む、実施形態1から9のいずれかに記載のハイブリッド材料。
実施形態11
ハイブリッド材料において、
a.約5重量%〜約50重量%のMSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、及び
b.20重量%より多く約94重量%までの結晶ケイ素、
を含み、
結晶ケイ素:MSiO2+xの比が約1:1〜約100:1であり、
前記ハイブリッド材料が必要に応じて0.07g/mLより高いタップ密度を有し、
必要に応じて、
a.0重量%より多く約65重量%までのMgO、及び
b.0重量%より多く約70重量%までの、炭素、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム銅、リチウムまたは亜鉛の内の少なくとも1つ、
の内の1つ以上をさらに含み、
前記ハイブリッド材料が粒子の形態にあり、前記粒子が、
a.約10m/g〜約250m/gの表面積、
b.約50Å〜約250Åの平均細孔径、
c.約75〜98%の%開放細孔率、
d.前記粒子の最長軸に沿う直径が45μmより小さい、及び
e.前記粒子が第1の分布及び第2の分布を含む二モード分布で存在し、前記第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、前記第2の分布は最長軸に沿う約10nm〜約500nmの直径を有する粒子を含み、前記第2の分布は総粒子数の20%より少ない粒子を含む、
の内の1つ以上を有する、
ハイブリッド材料。
実施形態12
実施形態1から11のいずれかに記載の材料を含むアノードにおいて、前記アノードが0.1C放電率での100サイクル後に初期値の約50%以上の比容量を有する、アノード。
実施形態13
実施形態1から11のいずれかに記載の材料を含むアノードにおいて、前記アノードが0.1C放電率での100サイクル後に400mAh/g以上の対重量比容量を有する、アノード。
実施形態14
前記アノードが初期値の50%以上の第1サイクルクーロン効率を有する、実施形態13に記載のアノード。
実施形態15
前記アノードが0重量%より多く約70重量%までの炭素をさらに含む、実施形態12から14のいずれかに記載のアノード。
実施形態16
実施形態1から11のいずれかに記載のハイブリッド材料を作製する方法において、前記方法が、
a.シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、及び
b.前記ハイブリッド材料を得るため、反応副生成物を除去する工程、
を含む方法。
実施形態17
以下の工程、
a.前記シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
b.前記得られたハイブリッド材料を粒径最適化プロセスにかける工程、
c.前記ハイブリッド材料を洗浄する工程、または
d.前記ハイブリッド材料を乾燥する工程、
の内の1つ以上をさらに含む、実施形態16に記載の方法。
実施形態18
前記方法が、
a.前記シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
b.前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、
c.前記ハイブリッド材料を得るため、第1の溶脱プロセスによって反応副生成物を除去する工程、
d.必要に応じて、前記得られたハイブリッド材料を粒径最適化プロセスにかける工程、
e.必要に応じて、反応副生成物を除去するため、前記ハイブリッド材料を第2の溶脱プロセスにかける工程、及び
f.前記ハイブリッド材料を乾燥する工程、
を含む、実施形態16または17に記載の方法。
実施形態19
前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程が、金属熱反応を受けることができる元素金属の存在の下に、前記シリカ含有前駆体を400℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含む、実施形態16から18のいずれかに記載の方法。
実施形態20
前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程が、400℃より高い温度に2時間より長時間加熱し、続いて600℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含む、実施形態19に記載の方法。
実施形態21
前記シリカ含有前駆体が、シリカ含有スート、シリカ含有粉末またはシリカ含有ファイバを含む、実施形態16から20のいずれかに記載の方法。
実施形態22
前記シリカ含有前駆体が、約10nm〜約1μmの、最長軸に沿う平均粒径を有する、シリカ含有スートまたはシリカ含有粉末を含む、実施形態21に記載の方法。
実施形態23
実施形態1〜15のいずれかに記載の材料を作製する方法において、前記方法が、
a.シリカ含有前駆体と、金属熱反応を受けることができる、元素金属を、混合物を形成するため、約1:1から2:1未満までの比で配合する工程、及び
b.前記混合物を約650℃より高く1000℃より低い温度に加熱する工程、
を含み、
前記加熱する工程が約0.5℃/分〜約50℃/分のランピングレートで行われる、
方法。
実施形態24
約1.0M以上の濃度を有する有機酸を用いて前記シリカ−ケイ素ハイブリッド材料を酸エッチングすることにより反応副生成物を除去する工程をさらに含む、実施形態23に記載の方法。
実施形態25
前記シリカ含有前駆体と金属熱反応を受けることができる前記元素金属が均質な混合物をなして配合される、実施形態16から24のいずれかに記載の方法。

Claims (25)

  1. ハイブリッド材料において、
    a.約5重量%〜約50重量%のMSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、及び
    b.20重量%より多く約94重量%までの結晶ケイ素、
    を含み、
    結晶ケイ素:MSiO2+xの比が約1:1〜約100:1であり、
    前記ハイブリッド材料が、
    約10m/g〜約250m/gの表面積、及び
    約50Å〜約250Åの平均細孔径、
    を有する粒子の形態にある、
    ことを特徴とするハイブリッド材料。
  2. 前記粒子が約75〜約98%の%開放細孔率を有することを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド材料。
  3. 前記ハイブリッド材料が0.07g/mLより高いタップ密度を有することを特徴とする請求項1または2に記載のハイブリッド材料。
  4. 前記粒子の最長軸に沿う直径が45μmより小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
  5. 前記粒子の最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmであることを特徴とする請求項4に記載のハイブリッド材料。
  6. 前記粒子が第1の分布及び第2の分布を含む二モード分布で存在し、前記第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、前記第2の分布は最長軸に沿う約10nm〜約500nmの直径を有する粒子を含み、前記第2の分布は総粒子数の20%より少ない粒子を含むことを特徴とする請求項5に記載のハイブリッド材料。
  7. 5重量%より多く約25重量%までのMSiO2+xをさらに含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
  8. 0重量%より多く約65重量%までのMgOをさらに含むことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
  9. 前記材料が0重量%より多く約10重量%までのMgOを含むことを特徴とする請求項8に記載のハイブリッド材料。
  10. 前記材料が0重量%より多く約20重量%までの、炭素、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム銅、リチウムまたは亜鉛の内の少なくとも1つをさらに含むことを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載のハイブリッド材料。
  11. ハイブリッド材料において、
    a.約5重量%〜約50重量%のMSiO2+x、ここで、Mは金属であり、xは0または正の整数である、及び
    b.20重量%より多く約94重量%までの結晶ケイ素、
    を含み、
    結晶ケイ素:MSiO2+xの比が約1:1〜約100:1であり、
    前記ハイブリッド材料が必要に応じて0.07g/mLより高いタップ密度を有し、
    必要に応じて、
    a.0重量%より多く約65重量%までのMgO、及び
    b.0重量%より多く約70重量%までの、炭素、マンガン、モリブデン、ニオブ、タングステン、タンタル、鉄、銅、チタン、バナジウム、クロム、ニッケル、コバルト、ジルコニウム、スズ、銀、インジウム銅、リチウムまたは亜鉛の内の少なくとも1つ、
    の内の1つ以上をさらに含み、
    前記ハイブリッド材料が粒子の形態にあり、前記粒子が、
    a.約10m/g〜約250m/gの表面積、
    b.約50Å〜約250Åの平均細孔径、
    c.約75〜98%の%開放細孔率、
    d.前記粒子は最長軸に沿う直径が45μmより小さい、及び
    e.前記粒子が第1の分布及び第2の分布を含む二モード分布で存在し、前記第1の分布は最長軸に沿う直径が約1μm〜約10μmの粒子を含み、前記第2の分布は最長軸に沿う約10nm〜約500nmの直径を有する粒子を含み、前記第2の分布は総粒子数の20%より少ない粒子を含む、
    の内の1つ以上を有する、
    ことを特徴とするハイブリッド材料。
  12. アノードであって、請求項1から11のいずれか1項に記載の材料を含むアノードにおいて、前記アノードが0.1C放電率での100サイクル後に初期値の約50%以上の比容量を有することを特徴とするアノード。
  13. アノードであって、請求項1から11のいずれか1項に記載の材料を含むアノードにおいて、前記アノードが0.1C放電率での100サイクル後に400mAh/g以上の対重量比容量を有することを特徴とするアノード。
  14. 前記アノードが初期値の50%以上の第1サイクルクーロン効率を有することを特徴とする請求項13に記載のアノード。
  15. 前記アノードが0重量%より多く約70重量%までの炭素をさらに含むことを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載のアノード。
  16. 方法であって、請求項1から11のいずれか1項に記載のハイブリッド材料を作製する方法において、前記方法が、
    a.シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、及び
    b.前記ハイブリッド材料を得るため、反応副生成物を除去する工程、
    を含むことを特徴とする方法。
  17. 以下の工程、
    a.前記シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
    b.前記得られたハイブリッド材料を粒径最適化プロセスにかける工程、
    c.前記ハイブリッド材料を洗浄する工程、または
    d.前記ハイブリッド材料を乾燥する工程、
    の内の1つ以上をさらに含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
  18. 前記方法が、
    a.前記シリカ含有前駆体を、金属熱反応を受けることができる、元素金属と混合する工程、
    b.前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程、
    c.前記ハイブリッド材料を得るため、第1の溶脱プロセスによって反応副生成物を除去する工程、
    d.必要に応じて、前記得られたハイブリッド材料を粒径最適化プロセスにかける工程、
    e.必要に応じて、反応副生成物を除去するため、前記ハイブリッド材料を第2の溶脱プロセスにかける工程、及び
    f.前記ハイブリッド材料を乾燥する工程、
    を含むことを特徴とする請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程が、金属熱反応を受けることができる元素金属の存在の下に、前記シリカ含有前駆体を400℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含むことを特徴とする請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 前記シリカ含有前駆体を金属熱反応プロセスにかける工程が、400℃より高い温度に2時間より長時間加熱し、続いて600℃より高い温度に2時間より長時間加熱する工程を含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
  21. 前記シリカ含有前駆体が、シリカ含有スート、シリカ含有粉末またはシリカ含有ファイバを含むことを特徴とする請求項16から20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 前記シリカ含有前駆体が、約10nm〜約1μmの、最長軸に沿う平均粒径を有する、シリカ含有スートまたはシリカ含有粉末を含むことを特徴とする請求項21に記載の方法。
  23. 方法であって、請求項1〜15のいずれかに記載の材料を作製する方法において、前記方法が、
    a.シリカ含有前駆体と、金属熱反応を受けることができる、元素金属を、混合物を形成するため、約1:1から2:1未満までの比で配合する工程、及び
    b.前記混合物を約650℃より高く1000℃より低い温度に加熱する工程、
    を含み、
    前記加熱する工程が約0.5℃/分〜約50℃/分のランピングレートで行われる、
    ことを特徴とする方法。
  24. 約1.0M以上の濃度を有する有機酸を用いて前記シリカ−ケイ素ハイブリッド材料を酸エッチングすることにより反応副生成物を除去する工程をさらに含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。
  25. 前記シリカ含有前駆体と金属熱反応を受けることができる前記元素金属が均質な混合物をなして配合されることを特徴とする請求項16から24のいずれか1項に記載の方法。
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