JP2017511802A - 免疫原リポソーム製剤 - Google Patents

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Abstract

リポソーム及びアミノアルカン酸スルホン緩衝剤を含むリポソーム組成物が記載され、特許請求される。【選択図】図1

Description

連邦政府による資金提供を受けた研究の記載
本発明の態様は、NIH契約番号HHSN272200900008Cに基づく合衆国政府の援助によって実施されたものであり、合衆国政府は、本発明において一定の権利を有し得る。
Toll様受容体4(TLR4)アゴニストは免疫原化合物である。TLR4アゴニストは、送達のためにリポソーム中に製剤化されてきた。モノホスホリルリピドAは公知のTLR4アゴニストである。3-O-脱アセチル化モノホスホリルリピドA(MPL)は、ワクチンにおいてリポソーム組成物中に製剤化される。一般的な改善されたリポソーム組成物について、特にヒト被験体に対する投与のためのTLR4アゴニストの改善されたリポソーム組成物について需要が存在する。高い組込み効率を有する強力なTLR4アゴニストのリポソーム組成物が望まれる。
本発明は、医薬組成物における使用のための改善されたリポソームに関する。
一実施形態では、本発明は、脂質、適切にはリン脂質、及びHEPES、HEPPS/EPPS、MOPS、MOBS及びPIPESなどのアミノアルカンスルホン酸緩衝剤を含むリポソーム組成物を提供する。
他の適切な実施形態では、本発明は、リン脂質などの脂質、及びアミノアルキルグルコサミニドホスフェート(AFP)、適切にはCRX-601を含むリポソーム組成物を提供する。
他の適切な実施形態では、本発明は、脂質、AGP及びアミノアルカンスルホン酸緩衝剤を含むリポソーム組成物であって、脂質が適切にはリン脂質であるリポソーム組成物を提供する。
他の適切な実施形態では、本発明は、リポソーム組成物の改善された生産方法であって:(任意にコレステロール及び/又はAGPなどの薬学的に活性な成分と共に)ジオレオイルホスファチジルコリン(一般に、「DOPC」)などの脂質を有機溶媒に溶解するステップ、溶媒を除去してリン脂質膜を得るステップ、膜をアミノアルカンスルホン緩衝剤に添加するステップ、膜を溶液内に分散させるステップ、及びポリカーボネートフィルターから連続的に溶液を押し出して単層リポソームを形成するステップを含む、方法を提供する。リポソーム組成物は、さらに無菌濾過し得る。
これらの新規なリポソーム組成物は、強力であり、潜在的に反応性であることが知られているAGPの顕著に高い組込み効率を有する。本明細書で記載される医薬用途のためのAGPリポソーム組成物の製剤化は、アゴニストの他の製剤化と比べて、組成物の改善された治療指数をもたらし得る。
一実施形態では、リポソーム組成物は、リポソームがコレステロールと共に形成された場合、またコレステロールなしで形成された場合にもTLR4アゴニストの高い組込みを示し、かかるリポソーム組成物の生産及び製剤化に利点をもたらす。
本発明のリポソームは、医薬組成物の生産及び使用の両方に有益である。
さらなる実施形態は、本明細書で提供される説明、図及び特許請求の範囲で開示される。
CRX-601 1N参照(0%組込み)に関してサンプルの傾き及び開始時間を比較することによって決定された組込み効率を示すLALデータ。 CRX-601 1N参照(0%組込み)に関してサンプルの傾き及び開始時間を比較することによって決定された組込み効率を示すLALデータ。 CRX-527 Hepes参照(0%組込み)に関してサンプルの傾き及び開始時間を比較することによって決定された組込み効率を示すLALデータ。
リポソーム
「リポソーム」という用語は、一般に、水性内容物を封入する単層膜又は多重膜の(詳細には、形成される脂質膜の数に応じて2、3、4、5、6、7、8、9、又は10層)脂質構造体である。リポソーム及びリポソーム製剤は、当技術分野で周知である。リポソームを形成できる脂質として、脂肪又は脂肪様特性を有する物質すべてが挙げられる。リポソーム中の脂質を構成し得る脂質は、グリセリド、グリセロリン脂質、グリセロホスフィノリピド、グリセロホスホノリピド、スルホリピド、スフィンゴリピド、リン脂質、イソプレノリド、ステロイド、ステアリン、ステロール、アルケオリピド、合成カチオン性脂質及び炭水化物含有脂質(carbohydrate containing lipid)を含む群から選択することができる。
本発明の特定の実施形態では、リポソームは、リン脂質を含む。適切なリン脂質として(限定されないが)ホスファチジルコリンの合成における中間体であるホスホコリン(PC);天然リン脂質誘導体:卵ホスホコリン、卵ホスホコリン、大豆ホスホコリン、水素化大豆ホスホコリン、天然リン脂質としてのスフィンゴミエリン;及び合成リン脂質誘導体:ホスホコリン(ジデカノイル-L-α-ホスファチジルコリン[DDPC]、ジラウロイルホスファチジルコリン[DLPC]、ジミリストイルホスファチジルコリン[DMPC]、ジパルミトイルホスファチジルコリン[DPPC]、ジステアロイルホスファチジルコリン[DSPC]、ジオレオイルホスファチジルコリン[DOPC]、1-パルミトイル、2-オレオイルホスファチジルコリン[POPC]、ジエライドイルホスファチジルコリン[DEPC])、ホスホグリセロール(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセリン[DMPG]、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセリン[DPPG]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセリン[DSPG]、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホグリセリン[POPG])、ホスファチジン酸(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスファチジン酸[DMPA]、ジパルミトイルホスファチジン酸[DPPA]、ジステアロイル-ホスファチジン酸[DSPA])、ホスホエタノールアミン(1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン[DMPE]、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン[DPPE]、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンDSPE、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン[DOPE])、ホスホセリン、ポリエチレングリコール[PEG]リン脂質(mPEG-リン脂質、ポリグリセリン−リン脂質、官能化リン脂質、末端活性化リン脂質)、1,2-ジオレオイル-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)が挙げられる。一実施形態では、リポソームは、1-パルミトイル-2-オレオイル-グリセロ-3-ホスホエタノールアミンを含む。一実施形態では、高度に精製されたホスファチジルコリンが使用され、それは、ホスファチジルコリン(卵)、水素化ホスファチジルコリン(卵)、ホスファチジルコリン(大豆)及び水素化ホスファチジルコリン(大豆)を含む群から選択することができる。さらなる実施形態では、リポソームは、ホスファチジルエタノールアミン[POPE]又はその誘導体を含み、又はスフィンゴミエリン(SPNG)を含み得る。
リポソーム径は、リン脂質組成及びそれを調製するために使用される方法に応じて30nm〜約5μmで変動することができる。本発明の特定の実施形態では、リポソーム径は、30nm〜500nmの範囲であり、さらなる実施形態では、50nm〜200nm、適切には、200nm未満である。動的レーザー光散乱法は、当業者に周知のリポソーム径を測定するのに使用される方法である。
特に、本発明のリポソームは、ジオレオイルホスファチジルコリン[DOPC]及びステロール、特にコレステロールを含み得る。
リポソーム組成物
「リポソーム組成物」は、リポソーム及びリポソーム内の含有物を含む調製された組成物であり、特に、リポソーム二重層を形成する脂質、リポソーム二重層内の脂質以外の化合物、リポソームの水性内容物内の及びそれに付随する化合物、及びリポソームの外層に結合した又は付随する化合物が挙げられる。したがって、本発明のリポソーム組成物は、適切には、限定されないが、リポソームの脂質に加えて、薬学的な活性成分、ワクチン抗原及びアジュバント、賦形剤、担体、並びに緩衝剤を含むことができる。好ましい実施形態では、そのような化合物は、リポソーム組成物の安定性又はAGP組込み効率に相補的であり及び/又は顕著に有害ではない。
「リポソーム製剤」とは、本明細書に記載されたように、貯蔵用及び/又は被験体への投与用の他の化合物と共に適切に製剤化されたリポソーム組成物を意味する。
したがって、本発明の「リポソーム製剤」は、本発明のリポソーム組成物を含み、さらに、限定されないが、本発明の範囲外のリポソーム組成物、並びに薬学的な活性成分、ワクチン抗原及びアジュバント、賦形剤、担体及び緩衝剤を含むことができる。好ましい実施形態では、そのような化合物は、本発明のリポソーム組成物の安定性又はAGP組込み効率に相補的であり及び/又は顕著に有害ではない。
アミノアルキルグルコサミニドホスフェート化合物
AGPは、Toll様受容体4(TLR4)調節剤である。Toll様受容体4は、バクテリアLPS(リポポリサッカリド)を認識し、活性化された場合自然免疫応答を開始する。AGPは、バクテリアLPSのリピドAタンパクのモノサッカリドミメティックであり、化合物の「アシル鎖」上のエーテル及びエステル結合によって開発された。こうした化合物を作製するための方法は、公知であり、例えば、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる国際公開第2006/016997号、米国特許第7,288,640号及び第6,113,918号、及び国際公開第01/90129号で開示されている。他のAGP及び関連の方法は、米国特許第7,129,219号、米国特許第6,525,028号及び米国特許第6,911,434号に開示されている。本発明の組成物中で用いられたアシル鎖上のエーテル結合を有するAGPは公知であり、その全体が参照によって本明細書に組み入れられる国際公開第2006/016997号に開示されている。特に重要であるのは、国際公開第2006/016997号中のパラグラフ[0019]〜[0021]の式(III)に記載され、説明されたアミノアルキルグルコサミニドホスフェート化合物である。
本発明で用いられたアミノアルキルグルコサミニドホスフェート化合物は、下記式1
Figure 2017511802
[式中、
mは0〜6であり、
nは0〜4であり、
XはO又はS、好ましくは、Oであり、
YはO又はNHであり、
ZはO又はHであり、
R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1〜20アシル及びC1〜20アルキルからなる群から選択され、
R4はH又はMeであり、
R5は独立に-H、-OH、-(C1〜C4)アルコキシ、-P03R8R9、-OPO3R8R9、-SO3R8、-OSO3R8、-NR8R9、-SR8、-CN、-NO2、-CHO、-CO2R8、及びCONR8R9からなる群から選択され、ここでR8及びR9はそれぞれ独立にH及び(C1〜C4)アルキルから選択され、
R6及びR7がそれぞれ独立にH又はPO3H2である]
に記載された構造を有する。
式1では、ノルマル脂肪族アシル残基(即ち、第2級アシルオキシ又はアルコキシ残基、例えば、R1O、R2O、及びR3O)が結合している3'立体中心の配置は、R又はS,好ましくは、R(Cahn-IngoLd-PreLog優先則による命名)である。R4及びR5が結合しているアグリコン立体中心の配置は、R又はSであってよい。すべての立体異性体、即ちエナンチオマーとジアステレオマーの両方及びその混合物は、本発明の範囲内に入ると考えられる。
ヘテロ原子Xとアグリコン窒素原子の間の炭素原子数は、変数「n」によって決定され、これは0〜4の整数、好ましくは、0〜2の整数であってよい。
ノルマル脂肪酸R1、R2及びR3の鎖長は、約6〜約16の炭素、好ましくは、約9〜約14の炭素であってよい。鎖長は、同じであっても異なっていてもよい。一部の好ましい実施形態には、R1、R2及びR3が6又は10又は12又は14である鎖長が含まれる。
式1は、L/D-セリル、-トレオニル、-システイニルエーテル及びエステル脂質AGP、即ちアゴニストとアンタゴニストの両方及びその同族体(n=1〜4)並びに多様なカルボン酸生物学的等価体(即ち、R5は塩形成可能な酸性基であり、ホスフェートは、グルコサミン単位の4-位上であっても6-位上であってもよく、好ましくは、4位である)を包含する。
式1のAGP化合物を用いる本発明の好ましい実施形態では、nは0であり、R5はCO2Hであり、R6はPO3H2であり、R7はHである。この好ましいAGP化合物は、下記式1a
Figure 2017511802
[式中、XはO又はSであり、YはO又はNHであり、ZはO又はHであり、R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1〜20アシル及びC1〜20アルキルからなる群から選択され、R4はH又はメチルである]
の構造として記載される。
式1aでは、ノルマル脂肪族アシル残基(即ち、第2級アシルオキシ又はアルコキシ残基、例えば、R1O、R2O、及びR3O)が結合している3'立体中心の配置は、R又はS,好ましくは、R(Cahn-IngoLd-PreLog優先則による命名)である。R4及びCO2Hが結合しているアグリコン立体中心の配置は、R又はSであってよい。すべての立体異性体、即ちエナンチオマーとジアステレオマーの両方及びその混合物は、本発明の範囲内に入ると考えられる。
式1aは、L/D-セリル、-トレオニル、-システイニルエーテル又はエステル脂質AGP、即ちアゴニストとアンタゴニストの両方を包含する。
式1と式1aの両方では、Zは、二重結合又はそれぞれ単結合によって結合している2つの水素原子によって結合されたOである。つまり、この化合物は、Z=Y=Oである場合エステル結合であり、Z=O及びY=NHである場合アミド結合であり、Z=H/H及びY=Oである場合エーテル結合である。
式1の特に好ましい化合物は、CRX-601及びCRX-527と呼ばれる。その構造は、以下のように記載される:
Figure 2017511802
Figure 2017511802
加えて、別の好ましい実施形態は、示される構造を有するCRX547を用いる。
Figure 2017511802
さらに他の実施形態は、CRX602又はCRX526などのAGPを含み、これは、より短い第2級アシル又はアルキル鎖を有するAGPに対しての増加した安定性をもたらす。
Figure 2017511802
Figure 2017511802
本発明で使用するのに適した他のAGPには、CRX524及びCRX529が含まれる。
緩衝剤
本発明の一実施形態では、リポソーム組成物は、両性イオン緩衝剤を使用して緩衝される。適切には、両性イオン緩衝剤は、アミノアルカンスルホン酸又は適切な塩である。アミノアルカンスルホン酸緩衝剤の例として、限定されないが、HEPES、HEPPS/EPPS、MOPS、MOBS及びPIPESが挙げられる。好ましくは、緩衝剤は、市販の注射製品で使用するなど、ヒトでの使用に適切な薬学的に許容される緩衝剤である。最も好ましくは、緩衝剤はHEPESである。リポソーム組成物は、適切には、AGPを含むことができる。
本発明の適切な実施形態では、リポソームは、約7のpHを有するHEPESを使用して緩衝される。
本発明の好ましい実施形態では、AGP CRX-601、CRX-527及びCRX-547は、約7のpHを有するHEPESを使用して緩衝されたリポソーム組成物中に含まれる。緩衝剤は、適切な量の生理食塩水又は他の賦形剤と一緒に使用して所望の等張性を実現することができる。一つの好ましい実施形態では、0.9%生理食塩水が使用される。
HEPES:CAS登録番号:7365-45-9 C8H18N2O4S
1-ピペラジンエタンスルホン酸,4-(2-ヒドロキシエチル)-
HEPESは、約6〜約8(例えば、6.15〜8.35)の生理的pH範囲、より具体的には、約6.8〜約8.2のより有用な範囲、本発明の場合、約7〜約8、又は7〜8、好ましくは、約7から8未満で緩衝されるように設計された両性イオン緩衝剤である。HEPESは、通常、白色結晶性粉末であり、以下の構造の分子式C8H18N2O4Sを有する:
Figure 2017511802
HEPESは、周知であり、市販されている(例えば、Goodら、Biochemistry1966を参照されたい)。
リポソームの調製
リポソームを作製するための標準的な方法として、限定されないが、Liposomes:A Practical Approach、V.P.TorchiLin,Volkmar Weissig Oxford University Press、2003で報告された方法が挙げられ、当技術分野で周知である。
本発明のリポソーム組成物を作製するための一つの適切な方法では、AGP(例えば、CRX-601(20mg)及びDOPC(具体的には、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、400mg))及び任意選択でステロール(例えば、コレステロール(100mg))が、丸底フラスコ中でクロロホルム又はテトラヒドロフランの有機相中に溶解される。有機溶媒は、ロータリー式エバポレーターでの蒸発によって及びさらに12時間の高圧真空によって除去される。こうして得られた混合リン脂質膜にpH7.2の10mM HEPES緩衝液又は10mM HEPES-生理食塩緩衝液などのアミノアルカンスルホン酸緩衝液10mLが添加される。フラスコ壁に沿ったすべての膜が溶液内に分散するまで(30分〜1.5時間)、混合物は、断続的にボルテックスしながら水浴(20〜30°C)上で超音波処理される。次いで、溶液は、lipidミニ押出器(Lipex TM押出機(Northern Lipids Inc.、Canada))を用いてポリカーボネートフィルターから連続的に押し出されて単層リポソームが形成される。次いで、リポソーム組成物は、0.22μmフィルターを使用して、無菌ろ過され、滅菌脱パイロジェン容器に入れられる。動的光散乱によって測定された得られた製剤の平均粒径は、80〜120nmであり、正味の負のζ電位を有していた。製剤は、CRX-601 2mg/mL、コレステロール10mg/mL、及び全リン脂質40mg/mLという最終の目標濃度を示す。
この作業で使用されるアミノアルキルグルコサミニド4-ホスフェート(AGP)CRX-601は、既に記載されたように(Bazin、2008 32447/id)合成することができ、クロマトグラフィーによって精製することができる(純度95%超まで)。出発材料中か又は最終製品中いずれかのCRX-601は、標準逆相HPLC分析方法によって定量することができる。
HEPES緩衝液(pH=7.0)中で製剤化されたCRX-601は、リポソーム水和緩衝液(ホスフェートをベースとする「LHB」、pH=6.1)に比較して、5倍速やかに所望の粒径低減が得られた。HEPES緩衝液中のCRX-601脂質膜の再水和には、LHBホスフェート緩衝液に比較して、リポソームを製剤化するのに4倍少ない全圧力及び時間しか必要でなかった。エネルギーと時間両方を節約し、リポソームの加工中にAGPに対してはるかに小さいストレスしか与えないため、これは顕著な改良である。
一実施形態では、リポソーム組成物の成分の適切な範囲は、約3〜4%w/vの範囲の脂質、1%w/vのステロール、0.1〜1%w/vの範囲のAGPなどの活性成分及び10mMのアミノアルカンスルホン酸緩衝液を含む。一実施形態では、ステロールは、適切には、0.5〜4%w/vの範囲で存在する。さらに、一実施形態では、脂質:ステロール:活性成分比は、約3〜4:1:0.1〜1である。
実施例1:CRX-601製剤脂質適合性試験
APIの最大安定性をもたらすCRX-601の最適なリポソーム製剤、及びアジュバントに関連し得る許容可能な発熱性及び/又は毒性を見出すための試験において、8つの脂質をCRX-601と共にスクリーニングした。
Lipex ExtruderTMを、製剤を調製するために用いた。pH7.0の10mM HEPESを水和緩衝液として選択した。リポソーム製剤を、pH=7.0のHEPES緩衝液中2mg/mLの目標濃度で調製した。これらの脂質製剤を、2〜8℃の6月間リアルタイム安定性、及び14日間40℃で加速安定性に供し、外観、粒径、及び凝集を考慮するためのゼータ電位、CRX-601のパーセント組込みの変化を考慮するための発色性リムルスアメボサイトライセート(LAL)のいずれかの変化と共に、経時的にRP-HPLCによってCRX-601の分解をモニターした。
表1は、調製した全てのリポソームのt=0(プロセスデータ)を示す。
Figure 2017511802
組込み効率を、LALデータから、CRX-601 1N参照(0%組込み)に関してサンプルの傾き及び開始時間を比較することによって決定した。以下に示すt=0のLALデータは、DOPC、DOPC Chol、DOPC DC-Chol、DOTAP、及びDOTAP CholにおいてCRX-601について、及びCRX-527 DOPCについて、良好な組込みを示した(図1及び3)。残りの製剤は、図2に示す様に乏しい組込みを示した。
実施例2:組込み効率試験
CRX-601のリポソームへの組込みに対する効果を決定するために、コレステロールと共に、又はコレステロールなしで、様々なリポソーム組成物に対してLALアッセイを実施した。得られたデータ(示さない)により、DOPC及びDOPCコレステロール組成物が驚くべき高レベルのCRX601組込みを有することを示すより早いLAL作用が確認された。しかしながら、これらのLALアッセイの結果は、組込みへのコレステロールの効果に関して結論を導くのに十分敏感でないか、又は一致するものではかった。
ウサギ発熱性試験は、リポソームへのCRX-601組込みの代理評価基準として及び生理環境におけるその安定性の評価基準として使用された。本試験を、そのSOP 16E-02に従って、Pacific Biolabs(Hercules, CA)で実施した。試験当り3羽のウサギからの個別温度上昇を以下の表に示す。
表2のデータは、コレステロールと共に、又はコレステロールなしで調製された最大4mgCRX-601/mlのDOPCリポソーム製剤が、1000ng/kgの投与量まで非発熱性であることを示す。この発熱性の欠如は、無CRX-601に対する400倍の改善に対応し(2.5ng/kgの最大非発熱作用投与量)、CRX-601のリポソーム二重層内への99%超の組込みを示す。
Figure 2017511802
表3のデータは、最大8mgCRX-601/mlのDOPCコレステロールリポソーム製剤が、500ng/kgの投与量まで非発熱性であることを示す。この発熱性の欠如は、無CRX-601に対する200倍の改善に対応し(2.5ng/kgの最大非発熱作用投与量)、CRX-601のリポソーム二重層内への99%超の組込みを示す。
Figure 2017511802
CRX-527は、CRX601のエステルアナログである。表4のデータは、最大2mgCRX-527/mlのDOPCコレステロールリポソーム製剤が、500ng/kgの投与量まで非発熱性であることを示す。この発熱性の欠如は、CRX-601のリポソーム二重層への非常に高い組込み(潜在的には99%超)を示す。興味深いことに、CRX-601とは異なり、DOPCリポソーム製剤中(すなわち、コレステロールの非存在下)のCRX-527は、500ng/kgで発熱性であることが示された。
Figure 2017511802
良好な組込み結果は、CRX-601を有するカチオン性DOTAP及びDOTAPコレステロールリポソームについても示される。
Figure 2017511802

Claims (27)

  1. リポソーム及びアミノアルカンスルホン酸緩衝剤を含むリポソーム組成物。
  2. アミノアルカンスルホン酸緩衝剤が、HEPES、HEPPS/EPPS、MOPS、MOBS及びPIPESを含む群から選択される、請求項1に記載のリポソーム組成物。
  3. アミノアルカンスルホン酸緩衝剤がHEPESである、請求項1又は2に記載のリポソーム組成物。
  4. リポソームを構成する脂質が、グリセリド、グリセロリン脂質、グリセロホスフィノリピド、グリセロホスホノリピド、スルホリピド、スフィンゴリピド、リン脂質、イソプレノリド、ステロイド、ステアリン、ステロール、アルケオリピド、合成カチオン性脂質及び炭水化物含有脂質からなる群から選択される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  5. リポソーム中の脂質がリン脂質である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  6. リポソーム中の脂質がジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  7. リポソーム中の脂質が1,2-ジオレオイル-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン(DOTAP)である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  8. ステロール及び特にコレステロールをさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  9. リポソームに組込まれたAGPを含むリポソーム組成物であって、前記リポソームがステロールの非存在下でジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)を含む、前記リポソーム組成物。
  10. AGPがCRX-601である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  11. AGPが10mg/mL超の量で存在する、請求項1〜10のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  12. AGPが10mg未満、9mg未満、8mg未満、7mg未満、6mg未満、5mg未満、4mg未満、3mg未満、2mg未満又は1mg未満の量、ただし0mg/mL超の量で存在する、請求項1〜11のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  13. AGPが0mg/mL超、ただし10mg以下の量で存在する、請求項1〜12のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  14. AGPが30μg/mL〜6mg/mLの量で存在する、請求項1〜13のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  15. リポソームが多重膜である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  16. リポソームが2、3、4、5、6、7、8、9、又は10層である、請求項1〜15のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  17. リポソームが単層である、請求項1〜16のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  18. リポソーム径が50nm〜500nm、さらなる実施形態で50nm〜200nmの範囲である、請求項1〜17のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  19. リポソーム径が約80nm〜120nmの範囲である、請求項1〜18のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  20. リポソーム構造が水性内容物を封入する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  21. リピドAのミメティック、TLR4リガンド又はAGPをさらに含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  22. 活性が、式I:
    Figure 2017511802
    [b.式中、
    c.mは0〜6であり、
    d.nは0〜4であり、
    e.XはO又はS、好ましくは、Oであり、
    f.YはO又はNHであり、
    g.ZはO又はHであり、
    h.R1、R2、R3はそれぞれ独立にC1〜20アシル及びC1〜20アルキルからなる群から選択され、
    i.R4はH又はMeであり、
    j.R5は独立に-H、-OH、-(C1〜C4)アルコキシ、-P03R8R9、-OP03R8R9、-S03R8、-OS03R8、-NR8R9、-SR8、-CN、-N02、-CHO、-C02R8、及びCONR8R9からなる群から選択され、ここで、R8及びR9はそれぞれ独立にH及び(C1〜C4)アルキルから選択され、
    k.R6及びR7はそれぞれ独立にH又はPO3H2である]
    に示された構造を有するアミノアルキルグルコサミニドホスフェートである、請求項1〜21のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  23. 活性な(リピドAミメティック)をさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載のリポソーム組成物。
  24. CRX527、601、602、547、529及び529からなる群から選択される(TLR4リガンド)(AGP)。
  25. リポソーム組成物の生産を改善する方法であって、
    リン脂質膜を調製するステップ、及び
    リン脂質ファイルをアミノアルカンスルホン緩衝剤に添加するステップを含む、前記方法。
  26. リポソーム組成物の生産方法であって、
    a.(任意にコレステロール及び/又はAGPなどの薬学的に活性な成分と共に)DOPCなどの脂質を有機溶媒に溶解するステップ、
    b.溶媒を除去してリン脂質膜を得るステップ、
    c.リン脂質膜をアミノアルカンスルホン緩衝剤に添加するステップ、
    d.膜を溶液内に分散させるステップ、及び
    e.ポリカーボネートフィルターから連続的に溶液を押し出して単層リポソームを形成するステップ
    を含む、方法。
  27. 押し出されたリポソームを無菌濾過するステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
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