JPWO2013176223A1 - 炎症性疾患治療用医薬組成物 - Google Patents
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Abstract
FK506、FTY720、シクロスポリンA等の免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有する医薬組成物は、心筋梗塞、心筋炎、血管炎症候群等の循環器系炎症性疾患の治療に有効であり、免疫抑制剤単独より低用量における作用が増強すると共に、副作用を低減することができる。
Description
本発明は、炎症性疾患治療用医薬組成物に関するものである。
循環器領域における炎症性疾患として、心筋炎、血管炎症候群、心筋梗塞などが挙げられる。心筋炎は心筋を主座とした炎症性疾患である。心筋炎の多くは細菌やウイルスなどの感染によって発症する。病原体として、ウイルス、細菌、リケッチア、クラミジア、スピロヘータ、マイコプラズマ、真菌、原虫、寄生虫などが知られている。これら感染症以外にも、薬物、放射線、熱などの物理刺激、あるいは代謝障害、免疫異常、妊娠なども原因となる。組織学的特徴から、心筋炎はリンパ球性心筋炎、巨細胞性心筋炎、好酸球性心筋炎、肉芽腫性心筋炎に分類される。病因的には、リンパ球性心筋炎はウイルス感染によるものが多く、巨細胞性心筋炎、好酸球性心筋炎、肉芽腫性心筋炎は心毒性物質・薬物アレルギー・自己免疫・全身性疾患などの合併症としてみなされることが多い。発病初期に心筋生検を行えば組織診断に基づいた治療計画を立てることができるが、発病初期には心筋生検が困難である症例や正確な組織診断が難しい症例もある。一方、発症様式により、心筋炎は急性心筋炎と慢性心筋炎に分けられる。急性心筋炎は症状発現日を発症日として特定できる。急性心筋炎の中で発病初期に心肺危機に陥るものを劇症型心筋炎(fulminant myocarditis)と呼ぶ。
多くの急性心筋炎患者ではかぜ様症状(悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、全身倦怠感)や食思不振、悪心、嘔吐、下痢などの消化器症状が先行する。その後、数時間から数日の経過で心症状が出現する。単なるかぜ症状や消化器症状のあと極めて短期間で心肺危機に陥る劇症型心筋炎の場合、致死的経過を取る場合が多い。しかしながら、未だ劇症型心筋炎に対する有効な治療法はなく、新たな治療法の開発が求められている。血管炎症候群では「血管」の「炎症」のために、多臓器の虚血や出血による症状とともに炎症所見を呈する。
巨細胞性心筋炎は、多数の多核巨細胞が出現する致死的心筋炎であり、劇症型心筋炎の臨床病型をとることが多い。巨細胞性心筋炎の治療法としては、非特許文献1に各種免疫抑制剤の有効性が示されている。また、非特許文献2には、実験的に免疫抑制剤FK506(タクロリムス)劇症型心筋炎に有効であること、非特許文献3には、実験的にFTY720(フィンゴリモド)が劇症型心筋炎に有効であることが報告されている。
血管炎症候群は大動脈を主座とした炎症性疾患である。血管炎症候群の多くは希少性で原因不明の難治性疾患であり、厚生労働省特定疾患として難治性血管炎調査研究班の研究対象疾患になっている。中でも患者数が比較的多く治療が困難な疾患は、治療研究対象疾患として治療費の一部が公費で負担され、認定された患者には医療受給者証が交付される。血管炎症候群に対する治療法としては、非特許文献4に各種免疫抑制剤の有効性が示されており、非特許文献5には血管炎症候群の1つである高安動脈炎でFK506の有効性を示した症例が報告されている。
心筋梗塞は、血栓などにより冠動脈が閉塞し、その支配下の心筋への血流が途絶することにより心筋壊死に至る疾患であり、感染症、喫煙、糖尿病、高血圧などに起因する血管の炎症が原因となることが知られている。また、閉塞した冠動脈を再開通させて血流を回復させると、活性酸素などのフリーラジカルや血管内皮細胞の傷害、好中球の活性化などによる炎症反応が起こり、その結果、心筋に対して新たなダメージを引き起こす結果となることが知られている。非特許文献6には、シクロスポリンAが急性心筋梗塞サイズを縮小することが報告されている。
急性および慢性心筋炎の診断・治療に関するガイドライン(2009年改訂版)日本循環器学会、日本胸部外科学会、日本小児循環器学会、日本心臓血管外科学会、日本心臓病学会、日本心不全学会
Kodama M, et al. Am Heart J 1993; 126(6) 1385-1392
Miyamoto T, et al. J Am Coll Cardiol. 2001; 37; 1713-8
〔ダイジェスト版〕血管炎症候群の診療ガイドライン、Circulation Journal Vol. 72, Suppl. IV, 2008, 1319-1346
Yokoe I, et al. Intern Med. 2007; 46: 1873-7
Piot C et al. N Engl J Med 2008; 359; 473-481
本発明は、炎症性疾患の治療に有効な医薬組成物を提供することを課題とする。
本発明は、上記課題を解決するために以下の各発明を包含する。
[1]免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有することを特徴とする循環器系炎症性疾患治療用医薬組成物。
[2]循環器系の炎症性疾患が、心筋炎、血管炎症候群、心筋梗塞または慢性心不全である前記[1]に記載の医薬組成物。
[3]免疫抑制剤が、ステロイド製剤、カルシニューリン阻害薬またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬である前記[1]または[2]に記載の医薬組成物。
[4]免疫抑制剤が、FK506、FTY720またはシクロスポリンAである前記[3]に記載の医薬組成物。
[5]静脈内投与用または皮下投与用である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]末梢静脈内投与用である前記[5]に記載の医薬組成物。
[7]心筋梗塞を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[8]心筋炎を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[9]心筋炎を発症しているヒトに対するFK506封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が0.2mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[10]水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、得られた溶解物を加熱する工程と、加熱後の溶解物を冷却する工程を含む製造方法により製造され、リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含むことを特徴とする水難溶性物質封入リポソーム。
[11]リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含む水難溶性物質封入リポソームの製造方法であって、水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、得られた溶解物を加熱する工程と、加熱後の溶解物を冷却する工程を含むことを特徴とする製造方法。
[1]免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有することを特徴とする循環器系炎症性疾患治療用医薬組成物。
[2]循環器系の炎症性疾患が、心筋炎、血管炎症候群、心筋梗塞または慢性心不全である前記[1]に記載の医薬組成物。
[3]免疫抑制剤が、ステロイド製剤、カルシニューリン阻害薬またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬である前記[1]または[2]に記載の医薬組成物。
[4]免疫抑制剤が、FK506、FTY720またはシクロスポリンAである前記[3]に記載の医薬組成物。
[5]静脈内投与用または皮下投与用である前記[1]〜[4]のいずれかに記載の医薬組成物。
[6]末梢静脈内投与用である前記[5]に記載の医薬組成物。
[7]心筋梗塞を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[8]心筋炎を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[9]心筋炎を発症しているヒトに対するFK506封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が0.2mg/kg体重以下である前記[4]に記載の医薬組成物。
[10]水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、得られた溶解物を加熱する工程と、加熱後の溶解物を冷却する工程を含む製造方法により製造され、リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含むことを特徴とする水難溶性物質封入リポソーム。
[11]リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含む水難溶性物質封入リポソームの製造方法であって、水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、得られた溶解物を加熱する工程と、加熱後の溶解物を冷却する工程を含むことを特徴とする製造方法。
本発明によれば、炎症性疾患の治療に有効な医薬組成物を提供することができる。本発明の医薬組成物は、免疫抑制剤単独と比較して低用量における作用が増強すると共に、副作用を低減できるという効果を奏する。また、本発明によれば、水難溶性物質を高濃度に含有するリポソームおよびその製造方法を提供することができる。
本発明は、免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有する炎症性疾患治療用医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物に用いられる免疫抑制剤は特に限定されず、公知の免疫抑制剤を好適に用いることができる。公知の免疫抑制剤としては、例えば、ステロイド製剤;アザチオプリン、ミコフェノール酸、レフルノミド、テリフルノミド、メトトレキサート等の代謝拮抗薬;FK506、シクロスポリンA、ピメクロリムス等のカルシニューリン阻害薬;FTY720などのスフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬;サリドマイド、レナリドマイド等のTNF−α阻害剤;アナキンラ等のIL−1受容体アンタゴニスト;ラパマイシン、デフォロリムス、エベロリムス、テムシロリムス、ゾタロリムス、ビオリムスA9等のmTOR阻害剤;プレドニゾン等のコルチコステロイド;抗胸腺細胞グロブリン、抗リンパ球グロブリン、抗サイトカイン抗体、抗CD抗体等の各種抗体などが挙げられる。
好ましくは、ステロイド製剤、カルシニューリン阻害薬、スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬であり、より好ましくは、カルシニューリン阻害薬、スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬である。カルシニューリン阻害薬としてはFK506およびシクロスポリンAが好ましく、スフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬としてはFTY720が好ましい。
本発明の医薬組成物に用いられるリポソームは、脂質二重膜により囲まれた閉鎖小胞であればよい。大きな一枚膜リポソーム(Large Unilamellar Vesicle:LUV)でもよく、小さな一枚膜リポソーム(Small Unilamellar Vesicle:SUV)でもよく、複数の膜からなるリポソーム(Multilamellar Vesicle:MLV)でもよい。リポソームは、公知の製造方法により製造することができる。具体的には、例えば、バンガム法、逆相蒸発法、超音波法、エクストルージョン法、フレンチプレス法、ホモジナイゼーション法、エタノール注入法、脱水−再水和法等が挙げられる。
リポソームを構成する脂質は特に限定されないが、例えば、大豆レシチン、水添大豆レシチン、卵黄レシチン、ホスファチジルコリン類、ホスファチジルセリン類、ホスファチジルエタノールアミン類、ホスファチジルイノシトール類、ホスファスフィンゴミエリン類、ホスファチジン酸類、長鎖アルキルリン酸塩類、ガングリオシド類、糖脂質類、ホスファチジルグリセロール類、ステロール類などが挙げられる。脂質は一種類を用いてもよく二種類以上を組み合わせて用いてもよい。ホスファチジルコリン類としては、ジミリストイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン等が挙げられる。ホスファチジルセリン類としては、ジパルミトイルホスファチジルセリン、ジパルミトイルホスファチジルセリンナトリウム、ウシ脳由来のホスファチジルセリンナトリウム等が挙げられる。ホスファチジルエタノールアミン類としては、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン等が挙げられる。ホスファチジルイノシトール類としては、小麦由来のホスファチジルイノシトールナトリウム等が挙げられる。ホスファスフィンゴミエリン類としては、ウシ脳由来のスフィンゴミレリン等が挙げられる。ホスファチジン酸類や長鎖アルキルリン酸塩類としては、ジミリストイルホスファチジン酸、ジパルミトイルホスファチジン酸、ジステアロイルホスファチジン酸、ジセチルリン酸等が挙げられる。ガングリオシド類は、ガングリオシドGM1、ガングリオシドGD1a、ガングリオシドGT1b等が挙げられる。糖脂質類としては、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド、ラクトシルセラミド、ホスファチド、グロボシド等が挙げられる。ホスファチジルグリセロール類としては、ジミリストイルホスファチジルグリセロール、ジパルミトイルホスファチジルグリセロール、ジステアロイルホスファチジルグリセロール等が挙げられる。ステロール類としてはコレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール等が挙げられる。二種類以上の脂質を組み合わせて用いる場合、リン脂質と、コレステロールとの組み合わせが好ましい。リン脂質としては、ホスファチジルコリン類が好ましい。リン脂質とコレステロールを用いてリポソームを製造する場合、リン脂質とコレステロールとのモル比は、1:0.1〜1.5の範囲内であることが好ましく、1:0.5〜1.25の範囲内であることがより好ましい。
免疫抑制剤封入リポソームは、公知のリポソームの製造方法において、脂質二重膜を構成させる脂質溶液に免疫抑制剤溶液を添加することで製造することができる。例えばFK506やシクロスポリンAのように難水溶性の免疫抑制剤の溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、tert−ブタノール、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノールまたはtert−ブタノールである。また、例えばFTY720のように易水溶性の免疫抑制剤の溶媒としては、水、メタノール、エタノール等が挙げられる。
脂質と免疫抑制剤のモル比は特に限定されないが、脂質:免疫抑制剤=1:0.0001〜0.5が好ましく、より好ましくは脂質:免疫抑制剤=1:0.005〜0.1であり、さらに好ましくは脂質:免疫抑制剤=1:0.001〜0.02である。
脂質と免疫抑制剤のモル比は特に限定されないが、脂質:免疫抑制剤=1:0.0001〜0.5が好ましく、より好ましくは脂質:免疫抑制剤=1:0.005〜0.1であり、さらに好ましくは脂質:免疫抑制剤=1:0.001〜0.02である。
公知のリポソームの製造方法では、例えばFK506やシクロスポリンAのような水難溶性の免疫抑制剤を高濃度(例えばリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上)で含有するリポソームを製造することは困難であった。シクロスポリンA封入リポソームの場合、リン脂質1.0mgあたり0.02mgを含有するリポソームを使用した報告があるが(文献:Liposomal formulations of cyclosporin A: influence of lipid type and dose on pharmacokinetics. Fahr A, Holz M, Fricker G. Pharm Res. 1995 Aug;12(8):1189-98.)、リン脂質1.0mgあたり0.05mg以上のシクロスポリンAを含有するリポソームを製造したことは過去に報告がない。本発明者らは、水難溶性物質を高濃度に含有するリポソームの製造をすべく鋭意研究を重ねた結果、水難溶性物質を高濃度に含有するリポソームの製造に成功した。リン脂質1.0mgあたりの目的物質含有量を高めることにより、少量のリポソームで必要量の目的物質を投与することが可能となる。リポソームの原料であるリン脂質は医薬品添加剤として使用されているものであるが、医薬品添加剤として非常に高価であること、既承認薬以上の量をヒトへ投与する際には多くの毒性および安全性のデータが必要であることから、多量のリポソームをヒトに投与することは問題が多い。本発明の水難溶性物質を高濃度に含有するリポソームを用いれば、製造コストの抑制および安全性の点で非常に有利である。
本発明は、リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含むことを特徴とする水難溶性物質封入リポソームを提供する。当該水難溶性物質封入リポソームは、水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、得られた混合物を加熱する工程と、加熱後の混合物を冷却する工程を含む製造方法により製造することができる。リポソーム内の水難溶性物質の濃度は、リン脂質1.0mgあたり0.05mg以上であれば特に限定されないが、好ましくはリン脂質1.0mgあたり0.06mg以上、より好ましくはリン脂質1.0mgあたり0.08mg以上、さらに好ましくはリン脂質1.0mgあたり0.1mg以上、さらに好ましくはリン脂質1.0mgあたり0.12mg以上である。
水難溶性物質は特に限定されないが、例えばシクロスポリンA、FK506、エプレレノン、FTY−720などが挙げられる。好ましくはシクロスポリンAである。
リン脂質は、上記に例示したリン脂質を好適に用いることができる。好ましいリン脂質としては、水添大豆レシチン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルセリンなどが挙げられる。
リン脂質は、上記に例示したリン脂質を好適に用いることができる。好ましいリン脂質としては、水添大豆レシチン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン、ジパルミトイルホスファチジルセリンなどが挙げられる。
水混和性有機溶媒は、アルコール類、エーテル類、エステル類、ケトン類、アセタール類などの水に混合可能な有機溶媒をいう。水混和性有機溶媒としては、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、2−ブトキシエタノールおよびt−ブタノールの1または2以上の有機溶媒を用いることが好ましい。
水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含む混合物には、ステロール類が含まれない。ストロール類のなかでもコレステロールを含まないことが重要である。従来のリポソームは、構成脂質としてリン脂質とコレステロールを組み合わせて用いることが好ましいとされているが、発明の高濃度水難溶性物質封入リポソームは、構成脂質にコレステロールを含まないことを特徴とする。理由は不明であるが、構成脂質としてコレステロールを併用しないことにより、水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含む混合物における水難溶性物質濃度をそのままリポソーム内に封入できることが見出された。
糖水溶液に含まれる糖は特に限定されないが、グルコース等の単糖類、マルトース、スクロース等の二糖類等を好適に用いることができる。糖は浸透圧調整剤としての役割を担う。糖の濃度は、糖水溶液を添加した混合物に対して、5〜70wt/vol%が好ましく、8〜50wt/vol%がより好ましい。
糖水溶液を添加した混合物の全容量に対する水混和性有機溶媒の濃度としては、5〜30体積%とするのが好ましく、より好ましくは5〜20体積%、さらに好ましくは12〜20体積%である。水混和性有機溶媒がt−ブタノールである場合、糖水溶液を添加した混合物の全容量に対して12〜18体積%であることが特に好ましい。水混和性有機溶媒が1−プロパノールである場合、糖水溶液を添加した混合物の全容量に対して5〜19体積%であることが特に好ましい。水混和性有機溶媒が2−プロパノールである場合、糖水溶液を添加した混合物の全容量に対して13〜26体積%であることが特に好ましい。水混和性有機溶媒が2−ブトキシエタノールである場合、糖水溶液を添加した混合物の全容量に対して6〜9体積%であることが特に好ましい。
水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製する工程では、水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒を混合し、加熱することが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、例えば、50〜80℃が好ましい。水難溶性物質の濃度は、リポソームに封入される水難溶性物質濃度として所望する濃度に設定すればよい。
水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含む混合物を加熱処理により溶解させた後、糖水溶液を添加して混合し、糖水溶液を含む混合物を調製する。この場合も混合後加熱することが好ましい。加熱温度は特に限定されないが、例えば、50〜80℃が好ましい。この混合物がリポソーム原液である。
必須ではないが、得られたリポソーム原液を冷却する前に、加熱温度より低い温度で一定時間保持することが好ましい。保持温度は、加熱温度より低く、リポソームが生成する温度であれば特に制限されるものではないが、40℃以上の温度から加熱温度より低い温度の範囲であることが好ましい。保持する時間については、リポソームの平均粒径が所定の粒径に達するのに要する時間であることが好ましい。なお、保持工程は、40℃以上の温度から加熱温度より低い温度の範囲内における2以上の温度で混合物を段階的に冷却し、それぞれの温度において一定時間保持する工程であってもよい。
加熱後の混合物、すなわちリポソーム原液を冷却する工程における冷却温度は、加熱温度より低い温度であれば特に限定されないが、0〜40℃未満の範囲内であることが好ましく、4〜35℃の範囲内であることがより好ましく、20〜30℃の範囲内であることが特に好ましい。冷却工程は、自然冷却により行っても、冷却機を用いて行ってもよい。また、冷却工程は一工程のみでもよく、二工程以上(例えば一次冷却と二次冷却)を行ってもよい。
リポソーム原液の調製後の工程は、例えば東レエンジニアリング社製リポソーム合成装置(Lipo-TB)を用いて行うことが好ましい。具体的には、リポソーム原液をチューブを用いてリポソーム合成装置に送液し、再加熱し、ろ過滅菌(例えば0.2μmフィルター滅菌)し、冷却工程を行うことが好ましい。ただし、これに限定されない。
冷却工程の後、得られたリポソーム溶液に含まれる水混和性有機溶媒を除去する工程を行うことが好ましい。水混和性有機溶媒を除去する方法としては、例えば透析、エバポレーション、乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。
冷却工程の後、得られたリポソーム溶液に含まれる水混和性有機溶媒を除去する工程を行うことが好ましい。水混和性有機溶媒を除去する方法としては、例えば透析、エバポレーション、乾燥、凍結乾燥などが挙げられる。
リポソームの血中での安定性を向上させるために、リポソームの膜表面をポリエチレングリコール(PEG)誘導体で修飾することが好ましい。PEG誘導体で修飾されたリポソームは、分子量500〜20000のPEGとリン脂質の共有結合体を用いることにより製造することができる。PEGとリン脂質の共有結合体としては、分子量2000〜5000のPEGとジステアロイルホスファチジルエタノールアミンの結合体(DSPE−PEG)を用いることが好ましい。
リポソームの大きさ(粒子径)は特に限定されないが、平均粒子径が約50〜1000nmであることが好ましく、平均粒子径が約50〜500nmであることがより好ましく、平均粒子径が約50〜300nmであることがさらに好ましく、平均粒子径が約75〜200nmであることがさらに好ましい。本明細書において「粒子径」は、動的光散乱法によって測定された粒子の直径を意味する。好ましい多分散指数(PDI)は、0.3以下である。粒子径を調整する方法は特に限定されない。例えば、エクストルーダーを使用し適切な孔径のメンブランフィルターに数回通過させる方法、超音波ホモジナイザーを使用する方法などが挙げられる。
本発明の医薬組成物は、免疫抑制剤封入リポソームを有効成分とし、薬学的に許容される担体、さらに添加剤を適宜配合して製剤化することができる。剤形は特に限定されず、経口剤および非経口剤のどちらでもよいが、非経口剤が好ましい。非経口剤としては、例えば、注射剤、点滴剤、輸液、坐剤、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、貼付剤、噴霧剤、スプレー剤等が挙げられる。なかでも注射剤または点滴剤が好ましく、静脈内投与用の注射剤または点滴剤がより好ましい。
注射剤としては、水性注射剤または油性注射剤のいずれでもよい。水性注射剤とする場合、公知の方法に従って、例えば、水性溶媒(注射用水、精製水等)に、薬学的に許容される添加剤を適宜添加した溶液に、免疫抑制剤封入リポソームを混合した後、フィルター等で濾過等して滅菌し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製することができる。薬学的に許容される添加剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、グリセリン、マンニトール、ソルビトール、ホウ酸、ホウ砂、ブドウ糖、プロピレングリコール等の等張化剤;リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、炭酸緩衝液、クエン酸緩衝液、トリス緩衝液、グルタミン酸緩衝液、イプシロンアミノカプロン酸緩衝液等の緩衝剤;パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル、クロロブタノール、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂等の保存剤;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール等の増粘剤;亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸、ジブチルヒドロキシトルエン等の安定化剤;塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸、酢酸等のpH調整剤等が挙げられる。また注射剤には、適当な溶解補助剤、例えば、エタノール等のアルコール;プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のポリアルコール;ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、リソレシチン、プルロニックポリオール等の非イオン界面活性剤等をさらに配合してもよい。また、例えば、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペットヘモシアニン等のタンパク質;アミノデキストラン等のポリサッカリド等を含有してもよい。油性注射剤とする場合、油性溶媒としては、例えば、ゴマ油または大豆油等が用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等を配合してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルまたはバイアル等に充填される。注射剤等の液状製剤は、凍結保存、凍結乾燥等により水分を除去して保存することもできる。凍結乾燥製剤は、用時に注射用蒸留水等を加え再溶解して使用される。
本発明の医薬組成物に含まれる免疫抑制剤の量は、剤形または投与経路によって異なるが、静脈投与用の注射剤の場合、0.001ng/mL〜100mg/mLの範囲から適宜選択することができる。
本発明の医薬組成物は炎症性疾患の治療に好適に用いることができる。なお、治療には改善も含まれる。炎症性疾患は炎症を伴う疾患であれば特に限定されない。炎症性疾患としては、例えば、血管性疾患、炎症性腸疾患、炎症性神経系疾患、炎症性肺疾患、炎症性眼疾患、慢性炎症性歯肉疾患、慢性炎症性関節疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、骨疾患、心疾患、腎不全、慢性脱髄疾患、内皮細胞疾患、アレルギー症候群、多発性硬化症、皮膚炎症、移植拒絶、自己免疫疾患、脳卒中、心筋梗塞、などが挙げられる。
好ましくは、血管性疾患、炎症性腸疾患、炎症性神経系疾患、慢性炎症性関節疾患、関節リウマチ、皮膚疾患、心疾患、慢性脱髄疾患、内皮細胞疾患、アレルギー症候群、多発性硬化症、皮膚炎症、移植拒絶、自己免疫疾患等の炎症性疾患であり、より好ましくは、血管性疾患、炎症性腸疾患、炎症性神経系疾患、心疾患、慢性脱髄疾患、アレルギー症候群、多発性硬化症、自己免疫疾患等の循環器系の炎症性疾患である。具体的には、心筋炎、血管炎症候群、心筋梗塞、慢性心不全などが挙げられる。好ましくは、心筋炎、血管炎症候群および心筋梗塞である。
本発明の医薬組成物の投与対象としては、炎症性疾患を発症している哺乳動物が好適である。哺乳動物としては、ヒト、サル、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ウサギ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、モルモット等が挙げられ、特に炎症性疾患を発症しているまたは発症していることが疑われるヒトが好ましい。本発明の医薬組成物の投与方法は、炎症部位に有効成分が到達できる方法であれば特に限定されないが、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、腹腔内投与等の非経口投与が好ましい。より好ましくは、静脈内投与または皮下投与である。静脈内投与の場合、末梢静脈内投与が好ましい。本発明者らは、劇症心筋炎モデルラットに本発明の医薬組成物を末梢静脈内投与して心機能が改善されることを確認している(実施例参照)。すなわち、本発明の医薬組成物は、投与において中心静脈カテーテルを必須としない点で安全性が高い。
本発明の医薬組成物として、FK506封入リポソーム(リポソーム化FK506)を、心筋炎を発症しているヒトに静脈内投与する場合、1回あたりの投与量は0.2mg/kg体重以下が好ましく、0.1mg/kg体重以下がより好ましく、0.05mg/kg体重以下がさらに好ましく、0.02mg/kg体重以下がさらに好ましく、0.01mg/kg体重以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず目的の効果が得られる投与量であればよい。例えば、0.0001mg/kg体重以上が好ましく、0.0005mg/kg体重以上がより好ましく、0.001mg/kg体重以上がさらに好ましい。投与間隔は、1日に2回〜3日に1回の範囲が好ましく、1日に1回〜2日に1回の範囲がより好ましい。
本発明の医薬組成物として、シクロスポリンA封入リポソーム(リポソーム化シクロスポリンA)を、心筋炎を発症しているヒトに静脈内投与する場合、1回あたりの投与量は2.0mg/kg体重以下が好ましく、1.5mg/kg体重以下がより好ましく、1.0/kg体重以下がさらに好ましく、0.75mg/kg体重以下がさらに好ましく、0.5mg/kg体重以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず目的の効果が得られる投与量であればよい。例えば、0.01mg/kg体重以上が好ましく、0.05mg/kg体重以上がより好ましく、0.1mg/kg体重以上がさらに好ましい。投与間隔は、1日に2回〜3日に1回の範囲が好ましく、1日に1回〜2日に1回の範囲がより好ましい。静脈内投与は、末梢静脈内投与が好ましい。
本発明の医薬組成物として、シクロスポリンA封入リポソーム(リポソーム化シクロスポリンA)を、心筋梗塞を発症しているヒトに静脈内投与する場合、1回あたりの投与量は2.0mg/kg体重以下が好ましく、1.5mg/kg体重以下がより好ましく、1.0/kg体重以下がさらに好ましく、0.75mg/kg体重以下がさらに好ましく、0.5mg/kg体重以下がさらに好ましい。下限は特に限定されず目的の効果が得られる投与量であればよい。例えば、0.01mg/kg体重以上が好ましく、0.05mg/kg体重以上がより好ましく、0.1mg/kg体重以上がさらに好ましい。投与は、再灌流治療直前または直後に単回静脈内投与が好ましく、再灌流治療直前がより好ましい。静脈内投与は、末梢静脈内投与が好ましい。なお、フリーのシクロスポリンAを、心筋梗塞を発症しているヒトに静脈内投与する場合、通常1回あたり2.5mg/kg体重が投与される(非特許文献6参照)。
治療対象が心筋炎の場合、感染性心筋炎および自己免疫性心筋炎のいずれでもよいが、自己免疫性心筋炎であることが好ましい。また、治療対象の心筋炎は、巨細胞性心筋炎であることが好ましい。また、治療対象の心筋炎は、劇症型心筋炎であることが好ましい。ただし、本発明の医薬組成物を投与する前に自己免疫性心筋炎であること、巨細胞性心筋炎であること、劇症型心筋炎であることが判明している必要はなく、心筋炎を発症しているまたは発症していることが疑われるケースであれば投与することが好ましい。ここで、巨細胞性心筋炎は、心筋生検組織像において多数の多核巨細胞が観察される心筋炎を意味する(非特許文献1参照)。劇症型心筋炎は、日本では体外循環補助を必要とする重症度の心筋炎を意味するが、欧米では静注強心薬による結構導体補助のみの症例も劇症型心筋炎に含まれる(非特許文献1参照)。また、治療対象が血管炎症候群の場合、血管炎症候群の多くは希少性で原因不明の難治性疾患であるが、共通の病態として自己免疫異常が関与しており、各種免疫抑制剤の有効性が示されている(非特許文献4参照)。
対象疾患が心筋梗塞の場合、以下の心筋梗塞患者に対して使用することが好ましい。
1) 初回発症の心筋梗塞患者
2) ST上昇型急性心筋梗塞で発症から12時間以内に経カテーテル的インターベンション治療による再灌流に成功した患者
3) 登録前の心臓超音波検査もしくは左室造影において、左室駆出率50%未満の患者
ただし、明らかな再灌流不良の症例または入院時にKillip分類がIIIまたはIV以上であり心原性ショックを合併した症例には使用しないことが好ましい。
心筋梗塞患者に本発明の医薬組成物を投与することにより、急性心筋梗塞の再灌流障害を低減することができる。より詳細には、急性心筋梗塞サイズの縮小、致死的不整脈の抑制、心筋スタニングの改善、心筋細胞死の抑制、微小循環閉塞の抑制などの効果を奏することができる。
1) 初回発症の心筋梗塞患者
2) ST上昇型急性心筋梗塞で発症から12時間以内に経カテーテル的インターベンション治療による再灌流に成功した患者
3) 登録前の心臓超音波検査もしくは左室造影において、左室駆出率50%未満の患者
ただし、明らかな再灌流不良の症例または入院時にKillip分類がIIIまたはIV以上であり心原性ショックを合併した症例には使用しないことが好ましい。
心筋梗塞患者に本発明の医薬組成物を投与することにより、急性心筋梗塞の再灌流障害を低減することができる。より詳細には、急性心筋梗塞サイズの縮小、致死的不整脈の抑制、心筋スタニングの改善、心筋細胞死の抑制、微小循環閉塞の抑制などの効果を奏することができる。
本発明の医薬組成物は、免疫抑制剤封入リポソームを有効成分とすることにより、フリーの免疫抑制剤では効果のない低用量でも心筋症等の炎症性疾患患者の心機能を回復させることができる点で有用である。すなわち、心筋炎部位や血管における炎症のため血管透過性亢進が生じ、ナノサイズのリポソームが特異的に心筋や血管に集積する。FK506やFTY720などの免疫抑制剤のリポソーム化により、病変部位への特異的な集積が期待でき、薬効の増大ならびに副作用の軽減が期待できる点で非常に有用である。また、本発明の医薬組成物は、末梢静脈からの投与で標的である心筋の炎症部位へ有効成分を送達でき、中心静脈カテーテルを必要としない点で有用である。また、末梢静脈から投与しても標的以外の部位へ送達され難い点でも有利である。すなわち、本発明の医薬組成物は、低用量における免疫抑制剤の作用を増強できると共に、低用量化、標的部位以外への送達抑制、中心静脈カテーテル不要等により副作用を低減できる点で非常に有用である。
本発明は、さらに以下の発明を包含する。
(a)哺乳動物に対して、免疫抑制剤封入リポソームの有効量を投与することを特徴とする循環器系炎症性疾患の治療方法。
(b)循環器系炎症性疾患治療薬を製造するための、免疫抑制剤封入リポソームの使用。
(c)循環器系炎症性疾患の治療に使用するための、免疫抑制剤封入リポソーム。
(a)哺乳動物に対して、免疫抑制剤封入リポソームの有効量を投与することを特徴とする循環器系炎症性疾患の治療方法。
(b)循環器系炎症性疾患治療薬を製造するための、免疫抑制剤封入リポソームの使用。
(c)循環器系炎症性疾患の治療に使用するための、免疫抑制剤封入リポソーム。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〔実施例1:FK506封入リポソームの調製〕
(1)脂質溶液およびFK506溶液の調製
ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine; DPPC、日本精化)をクロロホルムに溶解し、100mMのストック溶液を調製した。ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−メトキシPEG2000(distearoylphosphatidylethanolamine-mPEG2000; DSPE-mPEG2k、日本精化)をクロロホルム/メタノール=4/1混液に溶解し、10mMのストック溶液を調製した。FK506(アステラス製薬から供与)をメタノールに溶解し、1.0mg/mLのストック溶液を調製した。
(1)脂質溶液およびFK506溶液の調製
ジパルミトイルホスファチジルコリン(dipalmitoylphosphatidylcholine; DPPC、日本精化)をクロロホルムに溶解し、100mMのストック溶液を調製した。ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−メトキシPEG2000(distearoylphosphatidylethanolamine-mPEG2000; DSPE-mPEG2k、日本精化)をクロロホルム/メタノール=4/1混液に溶解し、10mMのストック溶液を調製した。FK506(アステラス製薬から供与)をメタノールに溶解し、1.0mg/mLのストック溶液を調製した。
(2)FK506封入リポソームの調製
FK506封入リポソームは、モル比がDPPC/DSPE−mPEG2K/FK506=100/5/2、総脂質濃度が10mMとなるように調製した。マイクロシリンジを用いて脂質溶液とFK506溶液をナス型フラスコに量り取り、ターシャリーブタノール(tert-butyl alcohol)を適量加えた。ロータリーエバポレーターを用いて残留クロロホルムを除去後、液体窒素を用いて凍結させた。凍結乾燥(EYEL-4 FDU-2200、東京理化機器)を一晩行い、溶媒を除去した。凍結乾燥粉末にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加え、50℃にて水和を行い、FK506封入リポソーム溶液を調製した。
FK506封入リポソームは、モル比がDPPC/DSPE−mPEG2K/FK506=100/5/2、総脂質濃度が10mMとなるように調製した。マイクロシリンジを用いて脂質溶液とFK506溶液をナス型フラスコに量り取り、ターシャリーブタノール(tert-butyl alcohol)を適量加えた。ロータリーエバポレーターを用いて残留クロロホルムを除去後、液体窒素を用いて凍結させた。凍結乾燥(EYEL-4 FDU-2200、東京理化機器)を一晩行い、溶媒を除去した。凍結乾燥粉末にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を加え、50℃にて水和を行い、FK506封入リポソーム溶液を調製した。
FK506封入リポソームの粒子径を調整するため、液体窒素を用いた凍結融解を3回繰り返した後、エクストルーダー(Lipex)を用いて孔径100nmのポリカーボネートメンブレンフィルター(ADVANTEC)を通過させた。このエクルトルージョン法による粒子径調整操作は、50℃条件下で5回以上繰り返し、最終的にFK506封入リポソームの粒子径を約100nmに調整した。
リポソームに保持されていないFK506を除くため、FK506封入リポソーム溶液を希釈した後、超遠心機(CS120EX, HITACHI)を用いて遠心操作(453,000 g, 15 min, 4℃)を行った。上清を除去し、沈殿したFK506封入リポソームをPBSを用いて再懸濁した。この精製後のFK506封入リポソームを以後の実験に用いた。
リポソームに保持されていないFK506を除くため、FK506封入リポソーム溶液を希釈した後、超遠心機(CS120EX, HITACHI)を用いて遠心操作(453,000 g, 15 min, 4℃)を行った。上清を除去し、沈殿したFK506封入リポソームをPBSを用いて再懸濁した。この精製後のFK506封入リポソームを以後の実験に用いた。
FK506封入リポソームの粒子径とζ電位は、ZetaSizer Nano−ZS(Malvern)を用いて測定した。リポソームに保持されたFK506量は、HPLCを用いて算出した。FK506封入リポソーム溶液60μLとテトラヒドロフラン(THF)140μLを混合し、HPLC用サンプルとした。HPLCの測定条件は以下の通りである。
[HPLC測定条件]
HPLC装置:
オートサンプラー L−2200(HITACHI)
UV検出器 L−2400(HITACHI)
ポンプ L−2130(HITACHI)
カラムオーブン L−2350(HITACHI)
カラム:TSK gel ODS−80TM(4.6×150 mm)
移動相:CH3CN/H2O=60/40
注入量:20μL
流速 :1.0mL/min
カラム温度:60℃
検出波長:214nm
測定時間:20min
[HPLC測定条件]
HPLC装置:
オートサンプラー L−2200(HITACHI)
UV検出器 L−2400(HITACHI)
ポンプ L−2130(HITACHI)
カラムオーブン L−2350(HITACHI)
カラム:TSK gel ODS−80TM(4.6×150 mm)
移動相:CH3CN/H2O=60/40
注入量:20μL
流速 :1.0mL/min
カラム温度:60℃
検出波長:214nm
測定時間:20min
〔実施例2:劇症型心筋炎モデルラットを用いたFK506封入リポソームによる心機能改善増強効果の検討〕
(1)実験方法
(1-1) 使用動物および実験プロトコール
7週齢雄Lewisラットの両足にブタ心臓ミオシン0.1mL(10mg/mL)と結核死菌(10mg/mL)を含むアジュバント0.1mLの混合物を皮下注射し、自己免疫性心筋炎を発症させ、心筋炎ラットを作製した。ブタ心臓ミオシンは、所定の方法に従って心室筋から抽出した。心筋炎の発症を観察するため、ミオシン注射21日後、蛍光色素ラベルされたナノ粒子(直径100nm)0.1mL(10mg/mL)を静脈内投与し、蛍光顕微鏡を用いて心臓における血管透過性を観察した。また、FK506の治療効果を見るため、ミオシン注射14日および17日後に、無治療群(コントロール)に生理食塩液を、治療群にFK506単独またはFK506封入リポソーム(それぞれFK506として0.01、0.02、0.05mg/rat)を尾静脈から注射投与した。そして、ミオシン注射21日後、ラット心機能の測定を行った。
さらに、野生型マウス(C57BL)を使用し、それらの大動脈弓部を外科的に狭窄させ、圧負荷による左心室肥大の誘導を行った(transverse aortic constriction;TAC)。TAC後4週間において、上記と同様に蛍光色素ラベルされたナノ粒子を静脈内投与し、Ivis Lumina II imagingを用いて心臓における血管透過性を観察した。
(1)実験方法
(1-1) 使用動物および実験プロトコール
7週齢雄Lewisラットの両足にブタ心臓ミオシン0.1mL(10mg/mL)と結核死菌(10mg/mL)を含むアジュバント0.1mLの混合物を皮下注射し、自己免疫性心筋炎を発症させ、心筋炎ラットを作製した。ブタ心臓ミオシンは、所定の方法に従って心室筋から抽出した。心筋炎の発症を観察するため、ミオシン注射21日後、蛍光色素ラベルされたナノ粒子(直径100nm)0.1mL(10mg/mL)を静脈内投与し、蛍光顕微鏡を用いて心臓における血管透過性を観察した。また、FK506の治療効果を見るため、ミオシン注射14日および17日後に、無治療群(コントロール)に生理食塩液を、治療群にFK506単独またはFK506封入リポソーム(それぞれFK506として0.01、0.02、0.05mg/rat)を尾静脈から注射投与した。そして、ミオシン注射21日後、ラット心機能の測定を行った。
さらに、野生型マウス(C57BL)を使用し、それらの大動脈弓部を外科的に狭窄させ、圧負荷による左心室肥大の誘導を行った(transverse aortic constriction;TAC)。TAC後4週間において、上記と同様に蛍光色素ラベルされたナノ粒子を静脈内投与し、Ivis Lumina II imagingを用いて心臓における血管透過性を観察した。
(1-2) 心臓血行動態測定
ミオシン注射21日後、血行動態パラメーターを測定するため、麻酔したラットの右頚動脈からカテーテルを挿入し、心不全の指標として、左室拡張末期圧(LVEDP)を測定した。
(1-3) 統計処理
数値は平均値と標準誤差で表し、統計学的検討には多群分散分析、Bonferroni法を用い、p値が0.05未満を有意であるとみなした。
ミオシン注射21日後、血行動態パラメーターを測定するため、麻酔したラットの右頚動脈からカテーテルを挿入し、心不全の指標として、左室拡張末期圧(LVEDP)を測定した。
(1-3) 統計処理
数値は平均値と標準誤差で表し、統計学的検討には多群分散分析、Bonferroni法を用い、p値が0.05未満を有意であるとみなした。
(2)実験結果
結果を図1、図2および図3に示した。図1から明らかなように、正常心臓と比較して、ミオシン注射したラット心臓では蛍光強度の著しい増強を認め、心筋炎心臓でナノ粒子が集積していることが示され、心筋炎心臓における血管透過性亢進が示された。図2から明らかなように、ミオシン注射したラットは注射21日後、正常ラットと比べて、心機能を表す血行動態指標である左室拡張末期圧が有意に増加した。また、Free−FK506の投与(0.01mg/rat)では左室拡張末期圧の改善が認められなかった。一方、lipo−FK506の低用量投与(0.01mg/rat)では左室拡張末期圧が有意に改善した。なお、示していないが、中用量(0.02mg/rat)および高用量(0.05mg/rat)では、Free−FK506の投与でも左室拡張末期圧の有意な改善が認められたが、改善の程度は中用量投与ではlipo−FK506の低用量投与より低く、高用量投与でもlipo−FK506の低用量投与と同程度であった。一方、lipo−FK506の中用量および高用量投与では、用量依存的に左室拡張末期圧の改善が増強された。図3から明らかなように、不全心臓において、血管透過性の亢進が認められた。
結果を図1、図2および図3に示した。図1から明らかなように、正常心臓と比較して、ミオシン注射したラット心臓では蛍光強度の著しい増強を認め、心筋炎心臓でナノ粒子が集積していることが示され、心筋炎心臓における血管透過性亢進が示された。図2から明らかなように、ミオシン注射したラットは注射21日後、正常ラットと比べて、心機能を表す血行動態指標である左室拡張末期圧が有意に増加した。また、Free−FK506の投与(0.01mg/rat)では左室拡張末期圧の改善が認められなかった。一方、lipo−FK506の低用量投与(0.01mg/rat)では左室拡張末期圧が有意に改善した。なお、示していないが、中用量(0.02mg/rat)および高用量(0.05mg/rat)では、Free−FK506の投与でも左室拡張末期圧の有意な改善が認められたが、改善の程度は中用量投与ではlipo−FK506の低用量投与より低く、高用量投与でもlipo−FK506の低用量投与と同程度であった。一方、lipo−FK506の中用量および高用量投与では、用量依存的に左室拡張末期圧の改善が増強された。図3から明らかなように、不全心臓において、血管透過性の亢進が認められた。
〔実施例3:シクロスポリンA封入リポソームの調製〕
(1)脂質溶液およびシクロスポリン溶液の調製
383.2mgの水素添加大豆リン脂質(hydrogenated soy phosphatidylcholine; HSPC、日本精化)、127.6mgのジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−メトキシPEG2000(distearoylphosphatidylethanolamine-mPEG2000; DSPE-mPEG2k、日本精化)、40.0mgのシクロスポリンAを10mLのイソプロパノールに懸濁後、80℃の熱を加えて溶解し、シクロスポリンA/脂質溶解液(1mg/mL)を調整した。
(1)脂質溶液およびシクロスポリン溶液の調製
383.2mgの水素添加大豆リン脂質(hydrogenated soy phosphatidylcholine; HSPC、日本精化)、127.6mgのジステアロイルホスファチジルエタノールアミン−メトキシPEG2000(distearoylphosphatidylethanolamine-mPEG2000; DSPE-mPEG2k、日本精化)、40.0mgのシクロスポリンAを10mLのイソプロパノールに懸濁後、80℃の熱を加えて溶解し、シクロスポリンA/脂質溶解液(1mg/mL)を調整した。
(2)シクロスポリンA封入リポソームの調製
シクロスポリンA封入リポソームは、モル比がHSPC/DSPE−mPEG2K/シクロスポリンA=14.7/1.4/1、総脂質濃度が13.3mMとなるように調製した。シクロスポリンA/脂質溶解液に20mLのマルトース混合液(10%マルトース: 250mL、0.5Mリン酸ナトリウムpH6.5: 5.0mL、50%グルコース: 7.0mLの混合液)を混合後、80℃の熱を加えて溶解し、リポソーム原液を調製した。ペリスタリックポンプ(KrosFlo KR2i、スペクトラム)を用いて、リポソーム原液をリポソーム合成装置(Lipo-TB:東レエンジニアリング)へ送液し、装置内の細流路で加熱(80℃)、フィルター濾過滅菌、一次冷却(20℃)、二次冷却(20℃)の反応工程を加え、リポソーム溶液を調整した。リポソーム溶液を中空糸膜モジュール(mPES 500kDa、スペクトラム)へ送液し、透析液(10%マルトース: 250mL、0.5Mリン酸ナトリウムpH6.5: 5.0mLの混合液)を用いた向流透析により、リポソーム溶液中のイソプロパノールを高速除去した。
シクロスポリンA封入リポソームは、モル比がHSPC/DSPE−mPEG2K/シクロスポリンA=14.7/1.4/1、総脂質濃度が13.3mMとなるように調製した。シクロスポリンA/脂質溶解液に20mLのマルトース混合液(10%マルトース: 250mL、0.5Mリン酸ナトリウムpH6.5: 5.0mL、50%グルコース: 7.0mLの混合液)を混合後、80℃の熱を加えて溶解し、リポソーム原液を調製した。ペリスタリックポンプ(KrosFlo KR2i、スペクトラム)を用いて、リポソーム原液をリポソーム合成装置(Lipo-TB:東レエンジニアリング)へ送液し、装置内の細流路で加熱(80℃)、フィルター濾過滅菌、一次冷却(20℃)、二次冷却(20℃)の反応工程を加え、リポソーム溶液を調整した。リポソーム溶液を中空糸膜モジュール(mPES 500kDa、スペクトラム)へ送液し、透析液(10%マルトース: 250mL、0.5Mリン酸ナトリウムpH6.5: 5.0mLの混合液)を用いた向流透析により、リポソーム溶液中のイソプロパノールを高速除去した。
シクロスポリンA封入リポソームの粒子径とζ電位は、ZetaSizer Nano−ZS(Malvern)を用いて測定した。リン脂質濃度は、市販の診断用キット「リン脂質C−テストワコー」(和光純薬)を用いてプロトコールに従い測定した。リポソームに保持されたシクロスポリンA量は、HPLCを用いて算出した。シクロスポリンA封入リポソーム溶液10μLとメタノール500μLを混合し、HPLC用サンプルとした。HPLCの測定条件は以下の通りである。
[HPLC測定条件]
HPLC装置:
オートサンプラー 3023(資生堂)
UV検出器 3117(資生堂)
ポンプ 3301(資生堂)
カラムオーブン 3004(資生堂)
カラム:Vydac C18(4.6×250 mm)
移動相:0.01M TFA/CH3CN 30:70
注入量:20μL
流速 :1.0mL/min
カラム温度:60℃
検出波長:215nm
測定時間:20min
[HPLC測定条件]
HPLC装置:
オートサンプラー 3023(資生堂)
UV検出器 3117(資生堂)
ポンプ 3301(資生堂)
カラムオーブン 3004(資生堂)
カラム:Vydac C18(4.6×250 mm)
移動相:0.01M TFA/CH3CN 30:70
注入量:20μL
流速 :1.0mL/min
カラム温度:60℃
検出波長:215nm
測定時間:20min
測定結果は以下のとおりである。
シクロスポリンA:1.37mg/mL
リン脂質:9.81mg/mL
リン脂質1mgあたりのシクロスポリンA量:0.14mg
粒子径(Z-Average):87nm
ゼータ電位:−55mV
シクロスポリンA:1.37mg/mL
リン脂質:9.81mg/mL
リン脂質1mgあたりのシクロスポリンA量:0.14mg
粒子径(Z-Average):87nm
ゼータ電位:−55mV
〔実施例4:劇症型心筋炎モデルラットを用いたシクロスポリンA封入リポソームによる心機能改善増強効果の検討〕
FK506封入リポソームに代えて実施例3で調製したシクロスポリンA封入リポソームを用いた以外は実施例2と同様の方法で実験を行った。以下に示す3投与群を設けた。
・生理食塩液投与群
・シクロスポリンA(0.1 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(0.1 mg/kg)投与群
FK506封入リポソームに代えて実施例3で調製したシクロスポリンA封入リポソームを用いた以外は実施例2と同様の方法で実験を行った。以下に示す3投与群を設けた。
・生理食塩液投与群
・シクロスポリンA(0.1 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(0.1 mg/kg)投与群
結果を図4に示した。図4から明らかなように、ミオシン注射したラットは注射21日後、正常ラットと比べて、心機能を表す血行動態指標である左室拡張末期圧が有意に増加した。また、シクロスポリンA(0.1 mg/kg)投与群では左室拡張末期圧の改善が認められなかった。一方、シクロスポリンA封入リポソーム(0.1 mg/kg)投与群では左室拡張末期圧が有意に改善した。
〔実施例5:急性心筋梗塞モデルラットを用いたシクロスポリンA封入リポソームによる心筋梗塞サイズ縮小効果の検討〕
(1)実験方法
(1-1) 使用動物および実験プロトコール
8〜9週齢雄性ラットをメデトミジン(ドミトール、日本全薬工業0.15 mg/kg)、ミタゾラム(ドルミカム、アステラス製薬(株)2mg/kg)およびブトルファノール(ベトルファール、明治製菓(株)2.5mg/kg)三種混合麻酔剤の腹腔内投与で麻酔後、背位に固定し、気道に気管チューブを経口的に挿入し、小動物用人工呼吸器(Model SIN-480-7、シナノ製作所)により人工呼吸(Tidal volume:1.5〜2.0 mL/stroke、呼吸回数:80strokes/min)を施し、胸部側壁を開胸して心臓を露出した。糸付縫合針(ELP、エルプ糸付縫合針:M10-50B2)を用いて左冠動脈前下行枝(LAD)を30分間閉塞した。この時、TRANSDUCER Control unit(Millar社、Model TCB-500)を用いて心電図(第II誘導)を測定し、閉塞の有無をST電位の変化および心筋色で確認した。閉塞30分後に血流を90分再灌流させることにより心筋虚血再灌流モデルを作製した。
(1)実験方法
(1-1) 使用動物および実験プロトコール
8〜9週齢雄性ラットをメデトミジン(ドミトール、日本全薬工業0.15 mg/kg)、ミタゾラム(ドルミカム、アステラス製薬(株)2mg/kg)およびブトルファノール(ベトルファール、明治製菓(株)2.5mg/kg)三種混合麻酔剤の腹腔内投与で麻酔後、背位に固定し、気道に気管チューブを経口的に挿入し、小動物用人工呼吸器(Model SIN-480-7、シナノ製作所)により人工呼吸(Tidal volume:1.5〜2.0 mL/stroke、呼吸回数:80strokes/min)を施し、胸部側壁を開胸して心臓を露出した。糸付縫合針(ELP、エルプ糸付縫合針:M10-50B2)を用いて左冠動脈前下行枝(LAD)を30分間閉塞した。この時、TRANSDUCER Control unit(Millar社、Model TCB-500)を用いて心電図(第II誘導)を測定し、閉塞の有無をST電位の変化および心筋色で確認した。閉塞30分後に血流を90分再灌流させることにより心筋虚血再灌流モデルを作製した。
以下に示す8投与群を設けた。
・生理食塩液投与群
・空リポソーム投与群
・シクロスポリンA(1.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA(2.5 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA(10.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして0.5 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして1.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして2.5 mg/kg)投与群
・生理食塩液投与群
・空リポソーム投与群
・シクロスポリンA(1.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA(2.5 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA(10.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして0.5 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして1.0 mg/kg)投与群
・シクロスポリンA封入リポソーム(シクロスポリンAとして2.5 mg/kg)投与群
予め大腿静脈内に挿入したカテーテル(INTRAMEDIC Polyethylene Tubing PE50、CLAY ADAMS)より、シリンジポンプ(NIHON KODEN syringe Pump、CV-3200)を用いて、生理食塩液、シクロスポリンA溶液またはシクロスポリンA封入リポソームを持続投与した。
(1-2) 循環動態測定
予め頚動脈に挿入したカテーテル(Millar社MIKRO-TIP CATHETER TRANSDUCERS, Model SPR-320, size2F)よりPower Lab(AD Instruments, Castle Hill, Australia)を用いて血圧[収縮期血圧(SBP)]および心拍数を測定した。梗塞前、梗塞中、再還流後の全ての時間測定を行い、記録した。また、梗塞直前、再灌流直前、再灌流30分後、60分後、90分後の10心拍数の平均値を算出した。
予め頚動脈に挿入したカテーテル(Millar社MIKRO-TIP CATHETER TRANSDUCERS, Model SPR-320, size2F)よりPower Lab(AD Instruments, Castle Hill, Australia)を用いて血圧[収縮期血圧(SBP)]および心拍数を測定した。梗塞前、梗塞中、再還流後の全ての時間測定を行い、記録した。また、梗塞直前、再灌流直前、再灌流30分後、60分後、90分後の10心拍数の平均値を算出した。
(1-3) 心筋梗塞サイズの測定
再灌流90分後にラット心臓の閉塞部位を再結紮し、大腿静脈より5%Evans Blue液(ナカライテスク(株)、生理食塩液にて溶解)を1mL注入することにより非虚血領域を着色させた。三種混合麻酔剤の過剰麻酔により安楽死させ、心臓を摘出し、直ちに生理食塩液(液温:37℃)に浸して洗浄した。冠動脈閉塞直下から心尖部にかけて短軸方向に均等に4切片の輪切りにし、心筋梗塞領域(MI area)の特定のため、1%TTC(2,3,5-triphenyltetrazolium hydrochloride、Sigma Chemical Co.)液[pH 7.4 リン酸緩衝液(和光純薬工業)に溶解]で染色(液温:37℃、時間:5分間)した。染色後、右心室を切り離し、実体顕微鏡(OLYNPUS SZX12)により標本の写真撮影を行った。写真を画像解析装置(汎用画像処理ソフトImage J 1.42q)を介して、1例あたり4切片(心尖部1横断面、他3切片上下2横断面ずつ、計7横断面)を計測し、左心室に占める虚血領域率(risk area/LV area[Risk/LV]:%)、心筋梗塞サイズ(MI area/risk area[MI/Risk]およびMI area/LV area[MI/LV]:%)を算出した。各横断面のLV area、risk areaおよびMI areaをそれぞれ測定し、その面積を加算し、トータルの面積を算出した。虚血領域率(risk
area/LV area[Risk/LV]:%)を total risk area/total LV areaで、心筋梗塞(MI)サイズ(MI area/risk area[MI/Risk]およびMI area/LV area[MI/LV]:%)をtotal MI area/total risk areaで算出した。
再灌流90分後にラット心臓の閉塞部位を再結紮し、大腿静脈より5%Evans Blue液(ナカライテスク(株)、生理食塩液にて溶解)を1mL注入することにより非虚血領域を着色させた。三種混合麻酔剤の過剰麻酔により安楽死させ、心臓を摘出し、直ちに生理食塩液(液温:37℃)に浸して洗浄した。冠動脈閉塞直下から心尖部にかけて短軸方向に均等に4切片の輪切りにし、心筋梗塞領域(MI area)の特定のため、1%TTC(2,3,5-triphenyltetrazolium hydrochloride、Sigma Chemical Co.)液[pH 7.4 リン酸緩衝液(和光純薬工業)に溶解]で染色(液温:37℃、時間:5分間)した。染色後、右心室を切り離し、実体顕微鏡(OLYNPUS SZX12)により標本の写真撮影を行った。写真を画像解析装置(汎用画像処理ソフトImage J 1.42q)を介して、1例あたり4切片(心尖部1横断面、他3切片上下2横断面ずつ、計7横断面)を計測し、左心室に占める虚血領域率(risk area/LV area[Risk/LV]:%)、心筋梗塞サイズ(MI area/risk area[MI/Risk]およびMI area/LV area[MI/LV]:%)を算出した。各横断面のLV area、risk areaおよびMI areaをそれぞれ測定し、その面積を加算し、トータルの面積を算出した。虚血領域率(risk
area/LV area[Risk/LV]:%)を total risk area/total LV areaで、心筋梗塞(MI)サイズ(MI area/risk area[MI/Risk]およびMI area/LV area[MI/LV]:%)をtotal MI area/total risk areaで算出した。
(1-4) 統計処理方法
試験で得られたデータ(血圧、心拍数、心筋梗塞サイズ)は、平均値±標準誤差(S.E.)で表記した。統計処理は二元配置分散分析およびBonferroni法に基づいて行った。
試験で得られたデータ(血圧、心拍数、心筋梗塞サイズ)は、平均値±標準誤差(S.E.)で表記した。統計処理は二元配置分散分析およびBonferroni法に基づいて行った。
(2)実験結果
結果を図5に示した。図5から明らかなように、シクロスポリンA封入リポソーム投与群(0.5、1.0、2.5 mg/kg)は、三群のいずれも有意に心筋梗塞サイズを縮小した。三群間には有意差は認められなかった。一方、シクロスポリンA投与群は、生理食塩液群と比較して心筋梗塞サイズの縮小傾向を示したが、有意差は認められなかった。
結果を図5に示した。図5から明らかなように、シクロスポリンA封入リポソーム投与群(0.5、1.0、2.5 mg/kg)は、三群のいずれも有意に心筋梗塞サイズを縮小した。三群間には有意差は認められなかった。一方、シクロスポリンA投与群は、生理食塩液群と比較して心筋梗塞サイズの縮小傾向を示したが、有意差は認められなかった。
なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考として援用される。
Claims (11)
- 免疫抑制剤封入リポソームを有効成分として含有する循環器系炎症性疾患治療用医薬組成物。
- 循環器系の炎症性疾患が、心筋炎、血管炎症候群、心筋梗塞または慢性心不全である請求項1に記載の医薬組成物。
- 免疫抑制剤が、ステロイド製剤、カルシニューリン阻害薬またはスフィンゴシン−1−リン酸受容体調節薬である請求項1または2に記載の医薬組成物。
- 免疫抑制剤が、FK506、FTY720またはシクロスポリンAである請求項3に記載の医薬組成物。
- 静脈内投与用または皮下投与用である請求項1〜4のいずれかに記載の医薬組成物。
- 末梢静脈内投与用である請求項5に記載の医薬組成物。
- 心筋梗塞を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である請求項4に記載の医薬組成物。
- 心筋炎を発症しているヒトに対するシクロスポリンA封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が2.0mg/kg体重以下である請求項4に記載の医薬組成物。
- 心筋炎を発症しているヒトに対するFK506封入リポソームの1回あたりの静脈内投与量が0.2mg/kg体重以下である請求項4に記載の医薬組成物。
- 水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、
前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、
得られた溶解物を加熱する工程と、
加熱後の溶解物を冷却する工程を含む製造方法により製造され、リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含むことを特徴とする水難溶性物質封入リポソーム。 - リポソーム内にリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上の水難溶性物質を含む水難溶性物質封入リポソームの製造方法であって、
水難溶性物質とリン脂質と水混和性有機溶媒とを含み、ステロール類を含まない混合物において、水難溶性物質の濃度がリン脂質1.0mgあたり0.05mg以上となるように混合物を調製後加熱し、溶解物を調製する工程と、
前記溶解物に糖水溶液を添加して混合および加熱し、溶解物を調製する工程と、
得られた溶解物を加熱する工程と、
加熱後の溶解物を冷却する工程を含むことを特徴とする製造方法。
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