JP2017071598A - 単層リポソーム組成物の調製方法 - Google Patents

単層リポソーム組成物の調製方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリエン抗生物質薬の単層リポソーム組成物を調製するための方法の提供。【解決手段】酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、前記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;前記有機溶媒を除去して、乾燥複合体を形成し、前記乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、前記ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;前記分散体をろ過滅菌にかけることを含み、前記ろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を前記単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含む方法。【選択図】なし

Description

本発明は、安定した単層リポソーム組成物を調製するための方法に関する。
アムホテリシンBおよびナイスタチン等のポリエン抗生物質は、カンジダ症およびアスペルギルス症等の、生命を脅かす全身性真菌感染症の治療に適用される。ポリエン抗生物質は、性質が両親媒性であり、水性媒体ならびにほとんどの有機溶媒に事実上不溶性であり、そのため、こうした薬物の安定剤形を製剤化するのは困難である。ごく少数の脂質に基づくアムホテリシンB製剤が、開発および市販されている。
1つのそのような製剤は、AmBisome(登録商標)であり、これは、Vestar Inc.U.S.A.社が開発した単層リポソーム製剤である。AmBisome(登録商標)は、USFDAによる認可を受けており、米国特許第5,965,156号明細書(本明細書では、以降、’156特許と呼ぶ)が、AmBisome(登録商標)に対して「Orange Book:Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence Evaluations」に掲載されている。’156特許には、ポリエン抗生物質を含む単層リポソーム組成物を形成する方法が記載されている。しかしながら、この特許には、薬物関連不純物の形成に関する記載も、脂質またはリン脂質の分解により形成される不純物に関する記載もいずれもなされていない。
本発明者らは、’156特許に開示されているような従来技術の方法によりアムホテリシンのリポソームを調製すると、リポソームは、より高く許容できないレベルの脂質不純物をもたらし、形成されたリポソームは、ゆがんだ形態を有する小胞を示し、つまりサイズおよび形状が不均一であることを見出した。脂質の分解物の形成は、既知の問題である。リポソームリン脂質の化学的加水分解により、脂質アセンブリの組織が変化する場合があり、リポソームをその望ましいラメラ構造からミセル系に変換させる場合があることが知られている。許容できないレベルのリン脂質加水分解産物の存在は、不安定なリポソーム調製物の指標であることが研究されている。(N.J.Zuidam et al./Biochimica et Biophysica Acta 1240(1995)101−110)。
安定したリポソーム組成物に至る間に、本発明者らは、上記方法に数々の改変を試み、リポソーム組成物が低レベルの脂質分解不純物を有するような、安定したリポソーム組成物を産生する方法に到達した。また、得られたリポソーム小胞は、均一で十分に明確な球状の形状およびサイズを有する。加えて、薬物に関連した不純物は、十分に許容できる範囲内にある。
米国特許第5,965,156号明細書
Orange Book:Approved Drug Products with Therapeutic Equivalence Evaluations N.J.Zuidam et al./Biochimica et Biophysica Acta 1240(1995)101−110
本発明は、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソーム組成物を調製するための方法であって、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含み、
ろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含む方法を提供する。
特に、本発明は、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソーム組成物を調製するための方法であって、酸性化有機溶媒中に、ポリエン抗生物質と、ホスファチジルグリセロール、もしくはホスファチジルコリン、またはそれらの混合物から選択されるリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含み、
ろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含み、
リゾホスファチジルグリセロールが、ホスファチジルグリセロールの0.1重量%から4.0重量%までの範囲の濃度でリポソーム組成物に存在し、リゾホスファチジルコリンが、ホスファチジルコリンの0.1重量%から3.0重量%までの範囲の濃度でリポソーム組成物に存在する方法を提供する。
1つの態様では、本発明は、本明細書に記載の方法により調製された、ポリエン抗生物質薬のリポソーム組成物を提供する。
あるいは、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の1重量%から8重量%までの範囲の量のアムホテリシンB、
3重量%から10重量%までの範囲の量のホスファチジルグリセロール、
10重量%から20重量%までの範囲の量のホスファチジルコリン、および
2重量%から8重量%までの範囲の量のコレステロールを含み、
製品の保管寿命中であればいつ試験しても、リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%である組成物を提供するものとして記載され得る。
特に、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の1重量%から8重量%までの範囲の量のアムホテリシンB、
3重量%から10重量%までの範囲の量のホスファチジルグリセロール、
10重量%から20重量%までの範囲の量のホスファチジルコリン、および
2重量%から8重量%までの範囲の量のコレステロールを含むリポソーム組成物であって、
前記リポソーム組成物が、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含む方法であって、該方法がろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含む方法により得られ、
リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%である組成物を提供するものとして記載され得る。
特に、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の約3.5重量%の量のアムホテリシンB、
約6.0重量%の量のホスファチジルグリセロール、
約15.0重量%の量のホスファチジルコリン、および
約3.5重量%の量のコレステロールを含むリポソーム組成物であって、
前記リポソーム組成物が、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含む方法であって、該方法がろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを更に含む方法により得られ、
リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの約1.8重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの約2.9重量%である組成物を提供するものとして記載され得る。
実施例1により調製したリポソームの画像を表す。その画像は、クライオ透過型電子顕微鏡により記録されている。その画像によると、ラメラリポソームが、明確な、構造化した、球状の形態であることが明らかである。 比較例1により調製したリポソームの画像を表す。その画像は、クライオ透過型電子顕微鏡により記録されている。その画像によると、小胞が、不均一なサイズおよび形状を有するゆがんだ形態であることが明らかである。 比較例2により調製したリポソームの画像を表す。その画像は、クライオ透過型電子顕微鏡により記録されている。その画像によると、小胞が、不均一なサイズおよび形状を有するゆがんだ形態であることが明らかである。
用語「リポソーム」は、本明細書で使用される場合、水性コアを封入するラメラ相脂質二分子膜で構成される人工的に調製された球状小胞を指す。
リゾレシチンとも呼ばれるリゾホスファチジルコリン(LPC、リゾPC、式I)は、ホスファチジルコリンに由来する化合物の一種である。リゾホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリンが部分的に加水分解され、脂肪酸基の1つが除去されることよりもたらされる。
Figure 2017071598
リゾホスファチジルグリセロール(LPG、リゾPG、式II)は、細胞膜に典型的なホスファチジルグリセロールに由来する化合物の一種である。リゾPGは、ホスファチジルグリセロールが部分的に加水分解され、脂肪酸基の1つが除去されることよりもたらされる。
Figure 2017071598
用語「安定した」は、本明細書で使用される場合、リポソームのラメラ構造が保持され、ミセル構造が形成されないように、脂質に関連した分解不純物が許容される範囲内にあることを意味する。いかなる理論により束縛されることは望まないが、本発明者らは、リポソームが非経口的に投与される場合、ミセル構造の形成が、薬物動態学的挙動の変更をもたらす場合があると考える。1つの好ましい態様では、リポソーム組成物は、リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%に留まり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%に留まる場合、安定であると言われている。
脂質不純物、つまりリゾホスファチジルコリンおよびリゾホスファチジルグリセロールは、高速液体クロマトグラフィーを使用して評価することができる。脂質不純物であるリゾホスファチジルコリンおよびリゾホスファチジルグリセロールは、それぞれの脂質の開始量の重量%として表される。例えば、リゾホスファチジルコリンは、ホスファチジルコリン(HSPC等)の重量%として報告される。また、リゾホスファチジルグリセロールは、ホスファチジルグリセロール(DSPG等)の重量%として表される。あるいは、脂質不純物は、1バイアル当たりのミリグラムとして、つまり、12.5mlのリポソーム懸濁液中(緩衝液中)に50mgのポリエン抗生物質を有するバイアルに存在する、ミリグラムで表した不純物の量として報告される場合もある。好ましい実施形態では、本発明の方法により調製されるリポソーム組成物は、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%のリゾホスファチジルコリン不純物、およびホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%のリゾホスファチジルグリセロール不純物を有する。
米国特許第5,965,156号明細書の開示は、参照により本明細書に組み込まれる。’156特許には、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソーム組成物を形成する方法が記載されていた。’156特許には、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とホスファチジルグリセロールとの可溶性複合体を形成することを含む、ポリエン抗生物質を可溶化するための方法が記載されている。’156特許には、ポリエン抗生物質を含有するリポソームを形成するための方法であって、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質およびホスファチジルグリセロールとの可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成すること、および乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和して、2.0μm未満の直径を有するリポソームを形成することを含む方法が記載されている。
本発明は、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソーム組成物を調製するための方法であって、酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含み、
ろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含む方法を提供する。
本発明の方法の第1のステップは、ポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成することを含む。そのために、リン脂質を有機溶媒に溶解し、その後、塩酸等の酸を使用して溶液のpHをpH1.0〜3.0の範囲に調整する。有機溶媒中における脂質の溶解は、約60〜70℃の温度に加温することにより達成してもよい。続いて、既に有機溶媒中に分散されている特定量のポリエン抗生物質薬を、約25℃〜45℃の温度で撹拌しながら、先に得た酸性脂質溶液に添加して、透明な溶液を得る。その後、上記可溶性複合体のpHを、4.5以下のpHで維持する。1つの実施形態では、このステップでのリン脂質は、ホスファチジルグリセロールである。しかしながら、任意の他のリン脂質を使用することが可能である。本方法が、約65:35から85:15までの範囲の容積比のクロロホルムおよびメタノールを含む有機溶媒の使用を含む1つの好ましい実施形態では、本発明者らは、薬物−脂質複合体を形成するステップは、45℃以下の温度で実施することができ、本方法は、薬物の分解が少なく、1:1の容積比のクロロホルムおよびメタノールの混合物が使用され、複合体形成時に薬物−脂質混合物を65℃の温度に加熱することを含むが、ろ過滅菌ステップの前に3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含まない従来技術と類似する方法に従った場合に得られたレベルと比較して、薬物に関連した不純物全体の増加が非常に低くかったことを見出した。
好ましい実施形態では、ポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成するステップは、ホスファチジルコリンのような他のリン脂質およびコレステロールまたはその誘導体等のステロイド脂質を複合体に添加する追加ステップと共に、まずホスファチジルグリセロール(リン脂質)とポリエン抗生物質薬との可溶性複合体を上述のように形成することを特に含む。こうした追加の脂質を、40℃〜70℃で加温することにより有機溶媒に溶解して透明な溶液にし、その後薬物−脂質複合体の透明溶液に添加する。こうした脂質の溶液が、ホスファチジルグリセロール−薬物複合体に添加されると、最終溶液のpHは、約3.0〜4.0に調整され、4.5以下のpHに維持される。酸化防止剤のような他の賦形剤、例えばアルファ−トコフェロールを、上記薬物−脂質複合体の溶液に添加することが可能である。
本発明の方法による次のステップは、薬物−脂質複合体溶液から有機溶媒を除去して、乾燥複合体を形成することを含む。薬物−脂質複合体溶液から有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成するステップは、噴霧乾燥器での噴霧乾燥、乾燥膜が残る丸底フラスコでの回転蒸発、および減圧下での乾燥等のような公知の技術により、好ましくは、産業上実現可能な噴霧乾燥により実施することができる。
その後、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和する。好ましくは、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和するステップは、乾燥複合体を、約20℃〜30℃の温度で撹拌しながら5.7〜6.1のpHの緩衝液で水和し、その後加温し、約0.5〜1.5時間、更に撹拌する。これにより、5.7〜6.1のpHを有する多重膜リポソームの分散体の形成がもたらされる。
更に、5.7〜6.1のpHを有する多重膜リポソームの分散体を、適切な技術によるサイズ低減にかけて、50ナノメートル〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する単層リポソームを得る。単層リポソームを得るためのサイズ低減ステップは、剪断力を加えることにより達成される。典型的には、超音波処理、またはホモジネート、または凍結解凍、押出し、脂質から界面活性剤溶液を透析除去すること、または他の公知方法等の、好適な技術を使用して、大型多重膜リポソームの分散体に剪断力を加えることができる。好ましい実施形態では、多重膜リポソーム小胞のサイズ低減方法は、10〜1000barrの圧力下でホモジネートすることにより実施することができる。これにより、単層リポソームを有する分散体の形成がもたらされる。単層リポソームの平均粒径は、約50ナノメートルから200ナノメートル(nm)までの範囲、好ましくは60nm〜120nmの範囲である。
本発明による方法は、サイズ低減ステップ後に得られる単層リポソームの分散物に、3〜6のpHを有する緩衝液を添加する追加ステップを含む。この追加ステップで使用することができる緩衝液は、コハク酸緩衝液(スクロースおよびコハク酸二ナトリウム六水和物の混合物)、リン酸緩衝液、TRISリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)、またはトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)から選択することができる。好ましくは、緩衝液は、塩酸で3.0〜6.0のpHに酸性化されたコハク酸緩衝液である。特に、このステップは安定したリポソームを特に産出することが見出された。つまり、脂質に関連した不純物が、許容範囲内であり、特にリゾホスファチジルグリセロールが、ホスファチジルグリセロールの4.0%未満、つまり0.1重量%〜4.0重量%であり、リゾホスファチジルコリンが、ホスファチジルコリンの3.0%未満、つまり0.1重量%〜3.0重量%であることが見出されている。このステップは、より良好な安定性および純度プロファイルを有するリポソーム組成物の形成に結び付く。特に、このような結論に至ったのは、サイズ低減ステップ後に得られる単層リポソームの分散体に3〜6のpHを有する緩衝液を添加する追加ステップを除いて同様の方法に従うと、得られたアムホテリシンのリポソームが不安定であったためである。これは、比較例1にて詳細に説明されている。得られたリポソーム組成物は、ホスファチジルグリセロールの8.33重量%のリゾホスファチジルグリセロール含有量、およびホスファチジルコリンの5.07重量%のリゾホスファチジルコリン含有量を有する。
本方法は、単層リポソームの分散体をろ過滅菌にかけるステップを更に含む。ろ過滅菌は、0.22ミクロンのフィルターを使用することにより実施することができる。これにより、単層リポソームの分散体を有する無菌リポソーム組成物の形成がもたらされる。
本発明の方法は、ろ過したリポソーム分散体を、バイアル等の好適な容器に充填し、好適な条件下で凍結乾燥機による凍結乾燥にかけて、物質の乾燥した固塊または小片の形態をした凍結乾燥リポソーム組成物を得る、更なる凍結乾燥ステップを含んでいてもよい。1つの態様では、本発明は、本明細書に記載の方法により調製される、ポリエン抗生物質薬の凍結乾燥リポソーム組成物を提供する。
1つの態様または実施形態では、本発明は、リポソーム組成物を調製するための方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
a)ホスファチジルグリセロールからなる群から選択される特定量のリン脂質を有機溶媒に溶解し、溶液のpHをpH1.0〜3.0の範囲に調整するステップ、
b)特定量のポリエン抗生物質薬を有機溶媒に添加して、分散体を得るステップ、
c)ステップb)の分散体をステップa)の溶液に添加して、透明な溶液を得るステップ、
d)少なくともステロイド脂質と、ホスファチジルコリンからなる群から選択されるリン脂質とを有機溶媒に溶解し、ステップc)の溶液に添加するステップ、
e)ステップd)で得られた溶液を乾燥して、乾燥複合体を得るステップ、
f)ステップe)の乾燥複合体を緩衝液で水和して、多重膜リポソームの分散体を得るステップ、
g)ステップf)の分散体をサイズ低減にかけて、50ナノメートル〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する単層リポソームの分散体を得るステップ、
h)3.0〜6.0のpHを有する緩衝液を、ステップg)の分散体に添加するステップ、
i)分散体をろ過滅菌にかけ、ろ過したリポソーム分散体を凍結乾燥にかけて、凍結乾燥リポソーム組成物を得てもよいステップ。
1つの好ましい実施形態では、本発明は、リポソーム組成物を調製するための方法であって、以下のステップを含む方法を提供する:
a)クロロホルムおよびメタノールを約65:35から85:15までの容積比で含む有機溶媒に、特定量のジステアロイルホスファチジルグリセロールを溶解し、溶液のpHを、pH1.0〜3.0の範囲に調整するステップ、
b)クロロホルムおよびメタノールを約65:35から85:15までの容積比で含む有機溶媒に、特定量のアムホテリシンB薬物を添加して、分散体を得るステップ、
c)ステップb)の分散体をステップa)の溶液に添加し、45℃未満の温度で混合して、透明な溶液を得るステップ、
d)クロロホルムおよびメタノールを約65:35から85:15までの容積比で含む有機溶媒に、少なくとも、コレステロールから選択されるステロイド性脂質および水素化ダイズホスファチジルコリンから選択されるリン脂質を溶解し、ステップc)の溶液に添加するステップ、
e)ステップd)で得られた溶液を乾燥して、乾燥複合体を得るステップ、
f)ステップe)の乾燥複合体を、5.7〜6.1のpHの緩衝液で水和して、多重膜リポソームの分散体を得るステップ、
g)ステップf)で得た分散体を、圧力下でホモジネートすること等によりサイズ低減にかけて、50ナノメートル〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する単層リポソームの分散体を得るステップ、
h)3.0〜6.0のpHを有する緩衝液を、ステップg)の分散体に添加するステップ、
i)分散体をろ過滅菌にかけるステップ、および
j)ろ過したリポソーム分散体を凍結乾燥にかけて、凍結乾燥リポソーム組成物を得るステップ。
別の実施形態では、本発明は、以下のステップを含む方法により得られるリポソーム組成物を提供する:
a)ホスファチジルグリセロールからなる群から選択される特定量のリン脂質を有機溶媒に溶解し、溶液のpHをpH1.0〜3.0の範囲に調整するステップ、
b)特定量のポリエン抗生物質薬を有機溶媒に添加して分散体を得るステップ、
c)ステップb)の分散体をステップa)の溶液に添加して、透明な溶液を得るステップ、
d)少なくともステロイド脂質と、ホスファチジルコリンからなる群から選択されるリン脂質とを、有機溶媒に溶解し、ステップc)の溶液に添加するステップ、
e)ステップd)で得られた溶液を乾燥して、乾燥複合体を得るステップ、
f)ステップe)の乾燥複合体を緩衝液で水和して、多重膜リポソームの分散体を得るステップ、
g)ステップf)の分散体をサイズ低減にかけて、50ナノメートル〜200ナノメートルの範囲の平均粒径を有する単層リポソームの分散体を得るステップ、
h)3.0〜6.0のpHを有する緩衝液を、ステップg)の分散体に添加するステップ、
i)分散体をろ過滅菌にかけ、ろ過したリポソーム分散体を凍結乾燥にかけて、凍結乾燥リポソーム組成物を得てもよいステップ。
本発明の方法により組み込むことができるポリエン抗生物質としては、これらに限定されないが、アムホテリシンB、ナイスタチン、ナタマイシン、ペリマイシン、リモシジン、またはカンジシン等が挙げられる。1つの実施形態によると、ポリエン抗生物質は、アムホテリシンBである。アムホテリシンBは、例えば、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、または9.0mg/ml、好ましくは、約1、2、3、4、5、6、7、または8mg/mlから等の、約0.1mg/ml〜10mg/mlの濃度でリポソーム組成物中に存在していてもよい。
好ましくは、本発明の方法により使用することができるリン脂質としては、これらに限定されないが、ジステアロイルホスファチジルグリセロール、ジラウリルホスファチジルグリセロール、およびジミリストイルホスファチジルグリセロール、またはそれらの塩からなる群から選択されるホスファチジルグリセロールが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム塩(DSPG−Na)が使用される。使用することができる更なるリン脂質としては、水素化卵ホスファチジルコリン、水素化ダイズホスファチジルコリン、ジステアロイルホスファチジルコリン、またはジパルミトイルホスファチジルコリン等のホスファチジルコリンが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、水素化ダイズホスファチジルコリンが使用される。使用することができるステロイド脂質としては、コレステロールもしくはその誘導体、またはエルゴステロール、スチグマステロール、もしくはアンドロステロン等の他のステロールが挙げられる。1つの好ましい実施形態では、コレステロールが使用される。
本発明の方法により使用することができる有機溶媒としては、これらに限定されないが、クロロホルム、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、エーテル、ジクロロメタン、ジメチルスルホキシド、およびジメチルホルムアミド等、およびそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、有機溶媒は、約15:85から85:15までの範囲の容積比で使用してもよいクロロホルムおよびメタノールの混合物を含む。好ましい実施形態では、有機溶媒は、約65:35から85:15までの範囲の容積比のクロロホルムおよびメタノールの混合物を含む。1つの好ましい実施形態では、有機溶媒は、75:25の容積比のクロロホルムおよびメタノールの混合物を含む。
本発明により使用することができる緩衝液は、コハク酸緩衝液(スクロースおよびコハク酸二ナトリウム六水和物の混合物)、リン酸緩衝液、TRISリン酸緩衝生理食塩水(pH7.4)、およびトリス緩衝生理食塩水(pH7.4)等から選択することができる。好ましくは、緩衝液は、コハク酸緩衝液である。緩衝液は、所望のpHを有する溶液を生成するために、塩酸のような酸で酸性化しても、または水酸化ナトリウムのようなアルカリでアルカリ化しても、いずれでもよい。
1つの態様では、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の1重量%から8重量%までの範囲の量のアムホテリシンB、
3重量%から10重量%までの範囲の量のホスファチジルグリセロール、
10重量%から20重量%までの範囲の量のホスファチジルコリン、および
2重量%から8重量%までの範囲の量のコレステロールを含み、
リポソーム組成物を、25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度のいずれかで保存した場合、製品の保管寿命中であればいつ試験しても、リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%である組成物を提供する。
1つの態様または実施形態では、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の1重量%から8重量%までの範囲の量のアムホテリシンB、
3重量%から10重量%までの範囲の量のホスファチジルグリセロール、
10重量%から20重量%までの範囲の量のホスファチジルコリン、および
2重量%から8重量%までの範囲の量のコレステロールを含み、
酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること、有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること、分散体をろ過滅菌にかけることを含み、ろ過滅菌ステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加ステップを含む方法により得られ、
リポソーム組成物を、25℃/60%相対湿度または40℃/75%相対湿度のいずれかで保存した場合、製品の保管寿命中であればいつ試験しても、リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの0.1〜3.0重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの0.1〜4.0重量%である組成物を提供する。
1つまたは複数の実施形態では、最終リポソーム組成物は、スクロースおよびコハク酸ナトリウムを含む緩衝液ならびにアルファ−トコフェロール等の酸化防止剤を更に含む最終リポソーム組成物の重量%で表される、例えば、1.5、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.6、7.0、7.5%、またはそれらの中間範囲等の、1重量%から8重量%までの範囲の量のアムホテリシンB;例えば、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.6、7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5%、またはそれらの中間範囲等の、3重量%から10重量%までの範囲の量のホスファチジルグリセロール、;例えば、10.5、11.0、11.5、12.0、12.5、13.0、13.5、14.0、14.5、15.0、15.5、16.0、16.6、17.0、17.5、18.0、18.5、19.0、19.5、またはそれらの中間範囲等の10重量%から20重量%までの範囲の量のホスファチジルコリン;例えば、2.5、3.0、3.5、4.0、4.5、5.0、5.5、6.0、6.6、7.0、7.5%、またはそれらの中間範囲等の2重量%から8重量%までの範囲の量のコレステロールを含む。
1つの好ましい実施形態では、本発明は、リポソーム組成物であって、
最終リポソーム組成物の約3.5重量%の量のアムホテリシンB、
約6.0重量%の量のホスファチジルグリセロール、
約15.0重量%の量のホスファチジルコリン、および
約3.5重量%の量のコレステロールを含み、
酸性化有機溶媒中にポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、上記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;有機溶媒を除去して乾燥複合体を形成し、乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;分散体をろ過滅菌にかけることを含み、ろ過滅菌ステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を単層リポソームの分散体に添加する追加ステップを更に含む方法により得られ、
リゾホスファチジルコリン不純物が、ホスファチジルコリンの約1.8重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物が、ホスファチジルグリセロールの約2.9重量%である組成物を提供する。
対照的に、従来技術のリポソーム組成物を試験すると、より高いレベルの脂質不純物がもたらされることが見出された。例えば、Ambisome(登録商標)を試験する場合、リポソーム組成物を室温(25℃/60%相対湿度)で維持し、製品の保管寿命中に試験すると、リゾホスファチジルコリン不純物は、ホスファチジルコリンの約3.38重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物は、ホスファチジルグリセロールの約4.40重量%であることが見出された。また、比較例2に示されているように従来技術の方法により調製したリポソーム組成物を試験した場合、リゾホスファチジルコリン不純物は、ホスファチジルコリンの約5.82重量%であり、リゾホスファチジルグリセロール不純物は、ホスファチジルグリセロールの約7.86重量%であることが見出された。
本発明の方法は、脂質、使用される薬物、およびこのように形成された小胞の構造の安定化を提供する。このように形成されたリポソーム小胞は、十分に明確な球形を有し、薬物封入%が高く、治療効力が最適であり、毒性が低い。1つまたは複数の好ましい実施形態では、およそ99.5%を超える高割合のアムホテリシンBが、リポソームに封入される。本方法では、商業的実現可能性を有する再現性の高い連続フロー生産が可能である。
本発明のリポソーム組成物に、ラット赤血球細胞(RBC)を使用したカリウム放出試験によるin vitro毒性研究を行い、従来技術の方法により調製したリポソームと比較した。K50値を決定した。K50値は、50%のカリウムがRBCから放出された時点での薬物の濃度μg/mlを指す。K50値の結果は、哺乳動物細胞に対するアムホテリシンBの相対的利用能、およびリポソーム組成物の内因毒性を示す。本発明のリポソーム組成物は、従来技術の方法で調製した従来技術のリポソーム組成物と比較して、哺乳動物細胞に対して非常に低減された内因毒性を示すことが観察された。
本発明のリポソーム組成物の長期安定性を、異なる保管条件で、つまり室温で(25℃/60%相対湿度)および加速安定性条件で(40℃の温度/75%相対湿度)研究した。本発明の方法により調製したリポソームは、室温で、少なくとも6か月間、好ましくは1年間等の長期間にわたって保管しても、物理的および化学的に安定を維持することが観察された。リポソームは、物理的に安定を維持し、リポソームの形態およびサイズは、保管しても変化しない。つまり、リポソームは、保管後に試験しても、十分に明確な球形を示し、平均粒径の変化は無視できる程度である。リポソームは、保管しても化学的に安定を維持し、薬物の含有量および総不純物の含有量は、保管しても著しくは上昇しない。
本明細書の状況では、「comprising(含む)」は、「including(含む)」と解釈されるべきである。技術的に適切な場合、本発明の実施形態は組み合わせることができる。実施形態は、本明細書では、ある特徴/要素を含むように記載されている。本開示は、上記の特徴/要素からなるかまたは本質的になる実施形態を分割することにも及ぶ。具体的におよび明示的に本明細書に記載されているどんな実施形態でも、単独でまたは1つもしくは複数の更なる実施形態と組み合わせて、排除の根拠を形成することができる。
以下において、本開示の実施形態を、より具体的に例を用いて説明するものとする。例は、本開示の範囲を限定するものとして理解されるべきではなく、本開示の特定の実施形態を例示するものとして使用されるに過ぎない。
[実施例1]
この例は、本発明の特定の実施形態を例示するものであり、薬物アムホテリシンBを含むリポソーム組成物を調製するための方法を提供する。
クロロホルムおよびメタノールを75:25の容積比で混合し、更なる処理ステップで使用される混合溶媒を形成した。特定量のジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム塩(84mg/バイアル)を、クロロホルムおよびメタノール(75:25)混合溶媒に溶解し、約60〜70℃の温度で加温した。この溶液に塩酸を添加して、1.0〜3.0の範囲の最終pHを達成した。特定量のアムホテリシンB(50mg/バイアル)を、別の容器のクロロホルム−メタノール(75:25)混合溶媒に分散した。このアムホテリシンB分散体を、25〜40℃で撹拌しながら酸性化ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム塩溶液に添加した。これにより、アムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム塩親油性複合体を含む半透明のオレンジ色溶液がもたらされた。特定量の水素化ダイズホスファチジルコリン(213mg/バイアル)およびコレステロール(52mg/バイアル)を、40〜70℃の温度で別の容器のクロロホルムおよびメタノール混合溶媒に溶解し、透明な溶液を得た。その後、水素化ダイズホスファチジルコリン溶液およびコレステロール溶液を、アムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム溶液に添加し、混合した。最終溶液のpHを、約3.0〜4.0に調整した。メタノールにあらかじめ溶解させたアルファトコフェロール(0.64mg/バイアル)を、撹拌しながら上記溶液に添加した。このようにして得られたアムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウムおよび他の脂質の溶液を噴霧乾燥して有機溶媒を除去し、自由流動性の粉末を得た。薬物脂質複合体の粉末を、薬物に関連した総不純物について分析した。このようにして形成した粉末を、制御された室温で撹拌しながら5.7〜6.1のpHの緩衝液で水和し、その後加温し、更に0.5〜1.5時間撹拌した。多重膜小胞を有する水和脂質分散体を、圧力下でホモジネートし、それにより、平均粒径が50〜150nmの範囲である単層小胞を有する脂質分散体の形成がもたらされた。サイズ低減の完了後、3.0〜6.0のpHに酸性化した「スクロース−コハク酸二ナトリウム六水和物」緩衝系を、撹拌しながら分散体に添加した。バルクを、一連の滅菌フィルターでろ過することにより滅菌した。その後、測定容積のろ過バルク分散体を、無菌的にバイアルに充填し、凍結乾燥した。
薬物封入パーセントを決定したところ、99.91%であることが見出された。
形態学的検査:リポソーム組成物の構造を、クライオ透過型電子顕微鏡で検査した。顕微鏡画像は図1に提供されている。画像は、リポソーム小胞が、構造化されており、球状であり、形状が均一であることを示している。
[比較例1]
単層リポソームの形成後に緩衝液を付加するステップを含まなかった、つまりサイズ低減またはホモジネートステップ後に緩衝液を添加しなかったこと以外は、実施例1に記載の方法と同様の方法に従って、アムホテリシンBリポソーム組成物を調製した。
形態学的検査:比較例1により調製したリポソーム組成物の構造を、クライオ透過型電子顕微鏡で検査した。顕微鏡画像は図2に提供されている。図2は、リポソーム小胞が、ゆがんだ不均一な小胞構造を有することを示している。
[比較例2]
この例は、従来技術の公知方法によるアムホテリシンBリポソームの調製を例示するものである。特に、米国特許第5,965,156号明細書に記載のものに類似したプロセスに従った。
クロロホルムおよびメタノールを50:50の容積比で混合し、更なる処理ステップで使用される混合溶媒を形成した。特定量のジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム塩(84mg/バイアル)を、クロロホルムおよびメタノール(50:50)混合溶媒に溶解し、約60〜70℃の温度で加温した。この溶液に塩酸を添加して、1.0〜3.0の範囲の最終pHを達成した。特定量のアムホテリシンB(50mg/バイアル)を、別の容器のクロロホルム−メタノール(50:50)混合溶媒に分散させた。
このアムホテリシンB分散体を、酸性化ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム溶液に、65℃で撹拌しながら添加した。これにより、アムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム親油性複合体を含む半透明のオレンジ色溶液が得られた。特定量の水素化ダイズホスファチジルコリン(213mg/バイアル)およびコレステロール(52mg/バイアル)を、60〜70℃の温度で別の容器のクロロホルムおよびメタノール混合溶媒に溶解し、透明な溶液を得た。その後、水素化ダイズホスファチジルコリン溶液およびコレステロール溶液を、アムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウム溶液に添加し、混合した。最終溶液のpHを、約3.0〜4.0に調整した。メタノールにあらかじめ溶解させたアルファトコフェロール(0.64mg/バイアル)を、撹拌しながら上記溶液に添加した。このようにして得られたアムホテリシンB−ジステアロイルホスファチジルグリセロールナトリウムおよび他の脂質の溶液を噴霧乾燥して、有機溶媒を除去し、自由流動性の粉末を得た。薬物脂質複合体の粉末を、薬物に関連した総不純物について分析した。このようにして形成した粉末を、撹拌しながら5.5のpHの緩衝液で水和し、加温し、更に40〜60分間撹拌した。多重膜小胞を有する水和脂質分散体をホモジネートし、それにより、単層小胞を有する脂質分散体の形成がもたらされた。バルクを、一連の滅菌フィルターでろ過することにより滅菌した。その後、測定容積のろ過バルク分散体を、無菌的にバイアルに充填し、凍結乾燥した。
形態学的検査:比較例2により調製したリポソーム組成物の構造を、クライオ透過型電子顕微鏡で検査した。顕微鏡画像(図3)は、リポソーム小胞が、ゆがんだ不均一な小胞構造を有することを示した。
[実施例2]
脂質の不純物の評価:実施例1、比較例1、および比較例2のリポソーム組成物を、リゾホスファチジルグリセロールおよびリゾホスファチジルコリン等の脂質不純物の評価にかけた。脂質不純物は、液体クロマトグラフ法、すなわちHPLCで決定した。HPLC法では、C18クロマトカラムを使用し、移動相は、酢酸緩衝液、メタノール、テトラヒドロフラン、およびトリエチルアミンの混合液であり、希釈剤は、メタノールおよびクロロホルムの混合液であり、検出器は、40℃の温度における屈折率であった。脂質不純物の含有量は、下記の表1に示されている。
Figure 2017071598

実施例1、Ambisome(登録商標)市販製品、比較例1、および比較例2の方法により得られたリポソーム組成物の物理的または化学的いずれかの特徴付けに関する上記結果の全てに基づき、実施例1のリポソーム組成物は、不均一なサイズおよび形状を有するゆがんだ形態を示す比較例1および2により調製されたリポソーム組成物(それぞれ図2&3を参照)と比べて、非常に完全で均一なラメラ構造(図1を参照)を有していたことが見出された。表1に記載した脂質分析結果により、実施例1により調製されたリポソーム組成物は、非常に低いレベルの脂質不純物を有し、この組成物が、調製後および長期間にわたる保管後でも安定していることが示唆された。その一方で、従来技術の方法により調製されたリポソーム組成物は、実際に不安定なリポソーム組成物をもたらし、リン脂質の加水分解不純物は、調製直後でそれ自体が高いレベルであり、したがってその更なる増加についての更なる検査は必要なかった。上記の結果は、本発明が、本発明の方法に従うと、安定したリポソーム組成物を提供することを確立した。

Claims (8)

  1. ポリエン抗生物質を含有する単層リポソーム組成物を調製するための方法であって、酸性化有機溶媒中に前記ポリエン抗生物質とリン脂質との可溶性複合体を形成し、前記可溶性複合体を4.5以下のpHで維持すること;前記有機溶媒を除去して、乾燥複合体を形成し、前記乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和し、水和混合物から、前記ポリエン抗生物質を含有する単層リポソームの分散体を形成すること;前記分散体をろ過滅菌にかけることを含み、
    前記ろ過滅菌のステップの前に、3〜6のpHを有する緩衝液を前記単層リポソームの分散体に添加する追加のステップを含む方法。
  2. 前記リポソーム組成物が、ホスファチジルグリセロールの0.1重量%から4.0重量%までの範囲の濃度のリゾホスファチジルグリセロール、およびホスファチジルコリンの0.1重量%から3.0重量%までの範囲の濃度のリゾホスファチジルコリンを含有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ポリエン抗生物質がアムホテリシンBである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記乾燥複合体を水性緩衝溶液で水和するステップが、約20℃〜30℃の温度で撹拌しながら前記乾燥複合体を5.7〜6.1のpHの緩衝液で水和し、その後、加温と更なる攪拌が行われることを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記追加のステップにおける緩衝液が、コハク酸ナトリウムおよびスクロースを含み、3.0〜6.0のpHに酸性化されている、請求項1に記載の方法。
  6. 請求項1に記載の方法により得られるリポソーム組成物。
  7. 前記方法が、滅菌された前記分散体を容器に充填し、凍結乾燥にかけて、凍結乾燥組成物を得ることを更に含む、請求項1に記載の方法。
  8. 請求項7に記載の方法により得られる凍結乾燥リポソーム組成物。
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