JP2017511148A - ヘルパータンパク質を過剰発現するように改変された組換え宿主細胞 - Google Patents

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Abstract

本発明は、組換えバイオテクノロジーの分野、特に、タンパク質発現の分野に属する。本発明は、一般に、宿主細胞から目的タンパク質(protein of interest)(POI)を発現する方法に関する。本発明は、特に、目的タンパク質を発現及び/又は分泌するように宿主細胞の能力を改善すること並びに当該宿主細胞のタンパク質発現のための使用に関する。本発明はまた、細胞培養技術、より具体的には、医療目的又は食品製品のための所望の分子を産生するために細胞を培養することに関する。

Description

発明の分野
本発明は、組換えバイオテクノロジーの分野、特に、タンパク質発現の分野に属する。本発明は、一般に、宿主細胞から目的タンパク質(protein of interest)(POI)を発現する方法に関する。本発明は、特に、目的タンパク質を発現及び/又は分泌するように宿主細胞の能力を改善すること並びに当該宿主細胞のタンパク質発現のための使用に関する。本発明はまた、細胞培養技術、より具体的には、医療目的又は食品製品のための所望の分子を産生するために細胞を培養することに関する。
発明の背景
成功した目的タンパク質(POI)の産生は、原核生物宿主と真核生物宿主の両方で成し遂げられている。最も顕著な例は、大腸菌(Escherichia coli)のような細菌、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)若しくはハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)のような酵母、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)若しくはトリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)のような糸状菌(filamentous fungi)、又はCHO細胞のような哺乳動物細胞である。一部のタンパク質の収量は高い割合で容易に達成されるが、多くの他のタンパク質は比較的低いレベルで産生されるだけである。
組換えタンパク質の分泌を改善するために、1つの戦略は、タンパク質のフォールディング及びプロセッシングが関与する宿主の分泌経路をターゲットにすることである。
WO 93/25676において、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)をコードするcDNA及び異種ジスルフィド(disulphide)結合タンパク質をコードするcDNAの共発現が異種タンパク質の収量を増加させる手段として最初に示唆された。WO 93/25676は、アンチスタシン及びダニ抗凝固タンパク質の組換え発現がPDIとの共発現によって増加され得ることを報告した。
WO 94/08012は、Hsp70シャペロンタンパク質、すなわちKAR2/BiP、又はPDIシャペロンタンパク質の発現を増加させることによって、酵母において過剰発現されたタンパク質の分泌を増加させるための方法を提供した。
WO 05/0617818及びWO 06/067511は、2μmベースの発現プラスミドを使用することによって、酵母において所望の異種タンパク質を産生するための方法を提供した。1以上のシャペロンタンパク質に関する遺伝子及び異種タンパク質に関する遺伝子が同じプラスミド上で共発現される場合に、異種タンパク質の収量が実質的に増加することが実証された。
WO 2008/128701 A2は、以下のタンパク質:BMH2、BFR2、COG6、COY1、CUP5、IMH1、KIN2、SEC31、SSA4及びSSE1の1つを用いることによる、真核生物細胞からのPOIの分泌を増加させるための発現系を記載した。
タンパク質産生を増加させるための別のアプローチは、非折り畳みタンパク応答(unfolded protein response)(UPR)を活性化する転写因子であるHAC1の過剰発現に基づいている。転写解析は、330を超える遺伝子がHAC1によって制御され、それらのほとんどが分泌又は分泌顆粒の生物発生に関与することを明らかにした。WO 01/72783は、上昇した非折り畳みタンパク応答(UPR)を誘導することによる、真核生物細胞から分泌される異種タンパク質の量を増加させるための方法を記載しており、ここで、UPRは、HAC1、PTC2及びIRE1からなる群より選択されるタンパク質の共発現によってモジュレートされる。
Wentz等は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)酵母表面提示遺伝子ライブラリーを用いて、適切な選択圧を適用することによって改善した分泌株を同定した。酵母cDNAのCCW12、SED1、CWP2、RPP0は、scTCRの提示を温度依存的に増大させることが見出された。ERO1は、20℃で誘導された場合にタンパク質分泌を増大させた(Wentz et al., Appl. Environ. Microbiol. (2007) 73(4):1189-1198)。
Liu等(Biotechnol. Prog. (2006), 22:1090-1095)は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)におけるKar2の共過剰発現が、rhG−CSF発現を5.6倍増加させることを示した。KAR2をSec63、PDI1及びYDJ1と組み合わせると、結果として、2.8、6.5及び5.94倍の増加をもたらした。Blatt等によって実施された実験では、KAR2(BiP)の共過剰発現は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)におけるA33scFv発現を2倍増加させた。KAR2をPDI1と組み合わせると、正のKAR2効果をほとんど消失させた(Blatt et al., Appl. Microbiol. Biotechnol., 2007, 74:381-389)。
Guerfall等は、ピキア・パストリス(P. pastoris)における内因性HAC1を過剰発現する効果を調査した。さらに、HAC1は、構成的かつ誘導的に過剰発現された。全ての場合に、誘導されたUPRの結果として増加されたKAR2発現が同定された。完全長HAC1の構成的過剰発現は、ほとんど又は全く効果を有さないが、一方で、HAC1の誘導型の過剰発現は、4つのケースのうち1つでタンパク質分泌の増加を導き、4つのケースのうち3つで減少を導いた(Guerfall et al., Microbial Cell Factories, (2010), 9:49)。
Sleep等は、LHS1の共過剰発現がrHAの濃度を増加させることを示した。LHS1をSIL1、JEM1及びSCJ1と組み合わせたが、力価はJem1のみと共過剰発現させた場合よりも低かった。SIL1、LHS1及びJEM1の同時の共過剰発現は、培養培地に依存して、GM−CSF発現を1.45倍、そして、rHA発現をおよそ1.1及び2倍増加させた(Sleep et al. Applied and Environmental Microbiology, (2008) 74(24):7759-7766)。
US 2009221030 A1は、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)における、種々のヘルパータンパク質(とりわけ、BiP1)の単独での及び他のヘルパータンパク質(とりわけ、LHS1)との組み合わせでの共発現を記載した。BiP1単独で最も高い発現値が得られ、そして、BiP1とLHS1の組み合わせは、8%低い分泌タンパク質力価を導いた。
US 8,440,456は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)のゲノム配列を提供し、かつ、シグナルペプチド、シャペロン及びプロモーターをコードする核酸配列を開示した。それは、当該核酸配列を含む発現ベクター及び14のシャペロンの過剰発現が可能な遺伝的に改変された酵母を開示した。ROT1、SHR3及びSIL1が試験のために具体的に選択されたが、SIL1については発現が観察されず、そして、ROT1又はSHR3の過剰発現は、異種タンパク質の分泌のいかなる顕著な増大も導かなかった。
宿主細胞における高レベルのタンパク質収量は、フォールディング、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、細胞内の輸送、又は細胞からの放出のような、1以上の異なる工程で制限され得る。関与するメカニズムの多くは、まだ完全に理解されておらず、そして、宿主生物のゲノム全体のDNA配列が入手可能であっても、これを現在の最先端の知識に基づいて予測することはできない。
目的タンパク質を産生及び/又は分泌するように宿主細胞の能力を改善するための方法について継続的なニーズがある。本発明の1つの目的は、単純かつ効率的であり、工業的方法での使用に適する、宿主細胞における組換えタンパク質の収量を増加させるための新規方法を提供することである。別の目的は、この目的を達成するための宿主細胞を提供することである。別の目的は、新規ヘルパータンパク質及びそのような宿主細胞を提供する上で使用され得る当該ヘルパータンパク質をコードする配列を同定することである。
本明細書において使用されるとおり、単数形「a」、「an」及び「the」は、反対に文脈が明確に他のことを示していない限り、複数の指示対象を含むことに留意すべきである。したがって、例えば、「ある宿主細胞(a host cell)」又は「ある方法(a method)」への言及は、それぞれ、そのような宿主細胞又は方法の1以上を含み、そして、「当該方法(the method)」への言及は、当業者に公知の修飾又は置換され得る等価な工程及び方法を含む。同様に、例えば、「方法(methods)」又は「宿主細胞(host cells)」への言及は、それぞれ、「ある宿主細胞(a host cell)」又は「ある方法(a method)」を含む。
特に指示のない限り、一連の要素に先行する用語「少なくとも」は、その一連のそれぞれ全ての要素を指すものと理解されるべきである。当業者は、本明細書に記載される本発明の特定の態様に対する多数の等価物を、わずかなルーチン実験を使用して認識するか又は確認できるであろう。そのような等価物は、本発明に包含されるものと意図される。
用語「及び/又は」は、本明細書において使用される場合はいつも、「及び」、「又は」及び「前記用語によって連結された要素の全て又は任意の他の組み合わせ」の意味を含む。例えば、A、B及び/又はCは、A、B、C、A+B、A+C、B+C及びA+B+Cを意味する。
用語「約」又は「およそ」は、本明細書において使用されるとおり、所与の値又は範囲の20%以内、好ましくは10%以内、より好ましくは5%以内を意味する。それはまた、具体的な数を含み、例えば、約20は、20を含む。
用語「〜未満(より少ない)」、「〜超(を超える)」又は「〜より多い」は、具体的な数を含む。例えば、20未満は、≦20を意味し、そして、20を超えるは、≧20を意味する。
本明細書及び特許請求の範囲又は項目全体を通して、文脈が別に必要としない限り、語「〜を含む(comprise)」並びに「comprises」及び「comprising」などの変形型は、規定の整数(又は工程)又は整数(又は工程)の群の包含を意図するものと理解されよう。それは、任意の他の整数(又は工程)又は整数(又は工程)の群を排除するわけではない。本明細書において使用される場合、用語「〜を含む(comprising)」は、「〜を含有する(containing)」、「〜から構成される(composed of)」、「〜を含む(including)」、「〜を有する(having)」又は「〜を担持する(carrying)」で置換され得る。本明細書において使用される場合、「〜からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲/項目において明示されていないあらゆる整数又は工程を排除する。本明細書において使用される場合、「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲/項目の基本的かつ新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない整数又は工程を排除しない。本明細書における各場合において、用語「〜を含む(comprising)」、「〜から本質的になる(consisting essentially of)」及び「〜からなる(consisting of)」のいずれかは、他の2つの用語のいずれかで置き換えられ得る。
さらに、本発明の代表的な実施態様を記載する上で、本明細書は、本発明の方法及び/又はプロセスを特定の工程シーケンスとして提示し得る。しかしながら、本方法又はプロセスが本明細書に記載される特定の工程の順序に依拠しない限りは、本方法又はプロセスは記載される特定の工程シーケンスに限定されるべきではない。当業者が理解するように、他の工程シーケンスも可能であり得る。このため、本明細書に記載される特定の工程の順序は、特許請求の範囲を制限するものとして解釈されるべきではない。加えて、本発明の方法及び/又はプロセスを対象とする特許請求の範囲は、書かれた順序でのそれらの工程のパフォーマンスに限定されるべきではなく、そして、当業者は、当該シーケンスが変更され得ること、そして、これが依然として本発明の精神及び範囲の範囲内に留まることを容易に理解することができる。
本発明が、本明細書に記載される特定の方法論、プロトコール、材料、試薬及び物質などに限定されないと理解されるべきである。本明細書において使用される専門用語は、特定の実施態様を記載することだけを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図するものではなく、本発明の範囲は、特許請求の範囲/項目によってのみ定義される。
本明細書のテキスト全体を通して引用されている全ての刊行物及び特許(全ての特許、特許出願、科学刊行物、製造会社の仕様書、説明書などを含む)は、前出又は後出を問わず、参照によってその全体が本明細書に組み入れられる。本明細書において、本発明が先行発明によって係る開示に先行する資格を有しないことを承認するものと解釈されるべきではない。参照によって組み入れられる材料が本明細書と矛盾する又は一致しない範囲では、本明細書は、あらゆるそのような材料に取って代わるであろう。
概要
本発明は、その発現、好ましくは過剰発現が、目的タンパク質(POI)の収量の増加を導く、ポリヌクレオチド配列(「本発明のポリヌクレオチド」)の驚くべき知見に一部基づくものである。この開示は、1以上のヘルパータンパク質をコードする新たに同定されたポリヌクレオチド配列の1以上を過剰発現することが可能であるように宿主細胞を改変することによって、POIの収量を改善するために有用な方法及び材料を提供する。
用語「収量」は、例えば、改変された細胞から収集された、本明細書に記載されるとおりのPOI又はモデルタンパク質、特にSDZ−Fab(配列番号:25及び26)及びHyHEL−Fab(配列番号:29及び30)それぞれの量を指し、そして、増加した収量は、宿主細胞によるPOIの産生又は分泌の増加した量に起因し得る。収量は、POI(mg)/宿主細胞のバイオマス(g)(乾燥細胞重量又は湿潤細胞重量として測定される)によって表示され得る。用語「力価」は、本明細書において使用される場合、同様に、POI(mg)/培養液上清(L)として表示される、産生されたPOI又はモデルタンパク質の量を指す。収量の増加は、改変された宿主細胞から得られた収量を、改変する前の宿主細胞から、すなわち、改変されていない宿主細胞から得られた収量と比較した場合に決定され得る。
好ましくは、「収量」は、本明細書において使用される場合、本明細書に記載されるとおりのモデルタンパク質の文脈において、実施例5cに記載されるとおりに決定される。したがって、「収量」は、本明細書において使用される場合、本明細書に記載されるとおりのモデルタンパク質の文脈において、「Fab収量」又は「Fab力価」とも称される。Fab力価は、mg/Lとして、そして、Fab収量は、mg/バイオマス(g)(乾燥細胞重量又は湿潤細胞重量として測定される)として与えられる。
簡潔に述べると、モデルタンパク質HyHEL−Fab及びSDZ−Fabをそれぞれ発現する、ピキア・パストリス(P. pastoris)株CBS7435mut pPM2d_pAOX HyHEL及び/又はCBS7435mut pPM2d_pAOX SDZ(それらの生成については実施例1を参照のこと)を、本明細書に記載されるとおりのヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドを用いて改変する。共過剰発現のために、ヘルパータンパク質をコードする遺伝子を、実施例4に記載されるとおり、ピキア・パストリス(P. pastoris)GAPプロモーターの制御下でクローニングし、Fab産生株へと形質転換する。過小発現のために、KOターゲット又はその機能的相同体をコードする遺伝子を、Fab産生株のゲノムからノックアウトする(実施例6を参照のこと)。改変した細胞を、10g/Lグリセロール及び50μg/mLゼオシンを含有するYP培地中、25℃で一晩成長させる(実施例5aを参照のこと)。そのような培養物のアリコート(2.0の最終OD600に相当する)を、20g/Lグルコース及びグルコースフィードタブレットを含有する合成培地M2(実施例5aに記載される)に移し、25℃で25時間インキュベートする。培養物を洗浄し、これを合成培地M2中に再懸濁し、そして、アリコート(4.0の最終OD600に相当する)を、5g/Lメタノールを補充した合成培地M2に移す。メタノール(5g/L)を、12時間毎にさらに3回加える。48時間後、細胞を遠心分離によって収集する。バイオマスを、細胞懸濁液1mLから生じる細胞ペレットの重量を測定することによって決定する。上清を、ELISAによるSDZ−Fab又はHyHEL−Fabそれぞれの定量化に使用する(実施例5cに記載される)。具体的には、抗ヒトIgG抗体(例えば、ab7497, Abcam)をコーティング抗体として使用し、そして、例えば、ヤギ抗ヒト抗ヒトIgG(Fab特異的)抗体(例えば、Sigma A8542、アルカリホスファターゼコンジュゲート)を検出抗体として使用する。市販のヒトFab/κIgG断片を100ng/mLの出発濃度で標準として使用し、上清サンプルを適宜希釈する。収量の増加は、ポリペプチドを過剰発現するように細胞を改変した前後のPOI収量の比較に基づいて決定され得る。実施例に示されるとおりのモデルタンパク質SDZ−Fab及び/又はHyHEL−Fabが関与する標準試験を使用して、収量差を決定し得る。
第一の態様において、本発明は、新たに発見されたヘルパータンパク質の1以上及びPOI収量を増加させるためのその又はそれらの使用に関する。本発明は、限定されないが、ヘルパータンパク質HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、又はHP10又はその機能的相同体に基づく。機能的相同体の意味は、本出願の後の部分で定義される。ヘルパータンパク質HP1〜HP9のアミノ酸配列は、それぞれ、配列番号:1〜9及び162でそれぞれ列挙される。本明細書において使用されるとおり、そのようなタンパク質は、本発明において、複数形又は単数形で互換的に称されるが、これは、他に明示的に指定されない限り、単数形であると理解されるべきである。
本発明は、加えて、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチド(本明細書下記で、「本発明のポリヌクレオチド(polynucleotides of the present invention)」又は「本発明のポリヌクレオチド(a polynucleotide of the present invention)」と称される)、及びPOI収量を増加させるためのそれらの個々の又は組み合わせ使用に関する。ポリヌクレオチドは、宿主細胞中に導入され得るか、又は、細胞中に既に存在している場合は、これらが過剰発現されるように操作され得る。本発明のポリヌクレオチドは、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162のいずれか1つ又はその機能的相同体をコードする。ポリヌクレオチド配列の例は、配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は163に記載されるとおりである。
本発明は、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、又は配列番号:163を含む、から本質的になる、又はからなる単離ポリヌクレオチド配列を提供し、そして、場合により、前記ポリヌクレオチド配列に対して異種であり得るプロモーターに作動可能に連結され得る。さらに、本発明は、配列番号:1〜9若しくは162のいずれか1つ又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:1又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:2又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:3又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:4又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:5又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:6又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:7又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:8又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:9又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:162又はその機能的相同体を含むポリペプチド配列をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は163からなる群より選択されるポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する単離ポリヌクレオチド配列を提供する。より好ましくは、単離ポリヌクレオチド配列は、配列番号:13、配列番号:14、配列番号:15、配列番号:16、配列番号:17、配列番号:18、配列番号:19、配列番号:20、配列番号:21、又は配列番号:163と100%の配列同一性を有する。
本発明は、宿主細胞中へのその染色体における又はプラスミド、ミニ−プラスミド、YAC、BAC、コスミド、若しくは任意の他のベクターなどにおける組み込みのための、本発明に係るポリヌクレオチド配列の使用を提供する。本発明に係るポリヌクレオチド配列は、例えば、形質転換又はトランスフェクションを介して、宿主細胞中に導入され得る。加えて、本発明は、宿主細胞中での目的タンパク質の製造における、そのようなポリヌクレオチド配列の使用を提供する。
さらに、本発明は、配列番号:1〜9若しくは162のいずれか1つ又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:1又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:2又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:3又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:4又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:5又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:6又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:7又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:8又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:9又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。好ましくは、本発明は、配列番号:162又はその機能的相同体のポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。さらなる態様において、本発明は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、又は100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を伴う単離ポリペプチドを提供する。
第二の態様において、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:1に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:2に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:3又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:3に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:4又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:4に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:5又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:5に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:6又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:6に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:7又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:7に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:8又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:8に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:9又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:9に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する、宿主細胞を提供する。
好ましい実施態様において、ヘルパータンパク質は、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab(重鎖について配列番号:25及び軽鎖について配列番号:26;図2)又はHyHEL−Fab(重鎖について配列番号:29及び軽鎖について配列番号:30;図2)の収量を、前記ヘルパータンパク質を過剰発現するように改変される前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%増加させ得る。改変する前の宿主細胞は、本発明のヘルパータンパク質を過剰発現せず、そして、改変した後は、好適な培養条件下でヘルパータンパク質を過剰発現することができる。驚くべきことに、実施例に記載される例示的な組換え細胞が全て、モデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの収量を少なくとも20%増加(1.2倍率変化)させることができたことが見出された。場合によって、収量は、実施例7に示すとおり140%増加した。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:1に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:2に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200以上の%増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:3又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:3に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:4又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:4に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:5又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:5に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:6又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:6に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:7又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:7に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:8又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:8に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:9又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:9に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%以上増加させ得る、宿主細胞を提供する。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:162に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、宿主細胞におけるモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの産生を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190又は少なくとも200%増加させ得る、宿主細胞を提供する。
第三の態様において、本発明は、目的タンパク質を製造するための、改変された宿主細胞の使用を提供する。当該宿主細胞は、1以上のPOIをコードするポリヌクレオチドを導入するために有利に使用され得、その後、好適な条件下で培養され、POIを発現し得る。
第四の態様において、本発明は、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法であって、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、方法を提供する。
好ましくは、本方法は、配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:1に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:2に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:3又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:3に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:4又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:4に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:5又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:5に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:6又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:6に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:7又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:7に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:8又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:8に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:9又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:9に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
好ましくは、本方法は、配列番号:162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体は、配列番号:162に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。
第五の態様において、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
タンパク質の収量を増加させるための方法の文脈において、「改変工程」及び「組換え工程」の順序は、「組換え工程」が「改変工程」に先立つように、代替的に逆転され得る。とりわけ、本明細書に記載されるとおり、目的タンパク質の収量は、ヘルパータンパク質が過剰発現された及び/又はKOタンパク質が過小発現された場合に増加する。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:2に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:3又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:3に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:4又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:4に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:5又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:5に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:6又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:6に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:7又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:7に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:8又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:8に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:9又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:9に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する:
−宿主細胞を、配列番号:162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドによってコードされるヘルパータンパク質を過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質(1つ又は複数)を過剰発現するための好適な条件下で培養すること。
第六の態様において、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:2に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:3又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:3に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:4又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:4に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:5又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:5に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:6又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:6に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:7又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:7に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:8又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:8に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:9又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:9に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
好ましくは、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:
−配列番号:162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、HP10、KO1、KO2及びKO3のアミノ酸配列及びポリヌクレオチド配列を示す。 モデルタンパク質SDZ−Fab及びHyHEL−Fabそれぞれの重鎖及び軽鎖のアミノ酸配列及びポリヌクレオチド配列を示す。
発明の項目(Items of the Invention)
1)目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、宿主細胞。
2)前記ヘルパータンパク質又は前記のその機能的相同体が、好ましくは過剰発現された場合、モデルタンパク質SDZ−Fab(配列番号:25及び26)及び/又はHyHEL−Fab(配列番号:29及び30)の収量を、改変する前の宿主細胞と比較して、好ましくは少なくとも20%増加させる、項目1の宿主細胞。
3)過剰発現が、前記宿主細胞において、前記のヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成される、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
4)前記ポリヌクレオチドが、前記宿主細胞のゲノム中に組み込まれる、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
5)組み込みが、異所的にかつ/又は天然遺伝子座中である、項目4の宿主細胞。
6)ポリヌクレオチドの少なくとも1つが、宿主細胞ゲノムのAOX1、GAP、ENO1、TEF、HIS4、TYR1、HIS3、LEU2、URA3、LYS2、ADE2、TRP1、GAL1、又はADH1遺伝子座中に組み込まれる、項目5の宿主細胞。
7)ポリヌクレオチドが、ベクター又はプラスミド中に含有される、項目1、2又は3の宿主細胞。
8)ベクターが、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベクター、pGPD−2、pAO815、pGAPZ、pGAPZα、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、pPIC9K、pPICZ、pPICZα、pPIC3K、pHWO10、pPUZZLE、又は2μmプラスミドである、項目7の宿主細胞。
9)過剰発現が、前記ポリヌクレオチドの発現を駆動する組換えプロモーターを使用することによって達成される、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
10)プロモーターが、

である、項目9の宿主細胞。
11)ポリヌクレオチドの過剰発現が、プロモーター活性を増大させるエンハンサーを使用することによって達成される、項目9の宿主細胞。
12)エンハンサーが、酵母の上流活性化配列UAS/GALである、項目11の宿主細胞。
13)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)及びコマガタエラ(Komagataella)、及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
14)配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、162又はその機能的相同体から選択されるヘルパータンパク質の2、3、4、5、6、7、8以上が過剰発現される、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
15)配列番号:10、11又は12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するように改変されている、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
16)目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
17)目的タンパク質が、酵素、治療用タンパク質、食品添加物又は飼料添加物、好ましくは解毒酵素である、項目16の宿主細胞。
18)治療用タンパク質が、抗体、又は抗体断片を含む、項目17の宿主細胞。
19)過剰発現が、ヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結された制御配列を修飾することによって達成される、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞。
20)以下のように改変される、先行する請求項のいずれか1つの宿主細胞:
(i)配列番号:4又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現する、
(ii)配列番号:162又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現する、
(iii)配列番号:1又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現し、かつ配列番号:10又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するようにさらに改変される、又は
(iv)配列番号:4又はその機能的相同体及び配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現し、かつ配列番号:10又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するようにさらに改変される。
21)目的タンパク質を製造するための、先行する項目のいずれか1つにおける宿主細胞の使用。
22)宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法であって、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、方法。
23)以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法:
−宿主細胞を、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する)、
−前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、
−前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又はその機能的相同体及び目的タンパク質を過剰発現するための好適な条件下で培養すること、並びに場合により
−細胞培養物から目的タンパク質を単離すること。
24)以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法:
−配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
−宿主細胞を、ヘルパータンパク質又はその機能的相同体を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること、並びに場合により
−細胞培養物から目的タンパク質を単離すること。
25)宿主細胞が、配列番号:10、11及び/又は12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを過小発現するように改変されている、項目22〜24のいずれか1つにおける方法。
26)過小発現が、以下によって達成される、項目25における方法:
a)配列番号:10、11及び/又は12のプロモーター又は他の遺伝子制御配列を修飾すること、及び/又は
b)配列番号:10、11及び/又は12のコーディング配列を修飾し、前記配列番号によってコードされるタンパク質のインビボ半減期/安定性を減少させること。
27)過剰発現が、前記宿主細胞において、前記のヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成される、項目22〜25のいずれか1つにおける方法。
28)前記ポリヌクレオチドが、前記宿主細胞のゲノム中に組み込まれる、項目22〜26のいずれか1つにおける方法。
29)組み込みが、異所的に又は天然遺伝子座中である、項目28の方法。
30)ポリヌクレオチドが、宿主細胞ゲノムのAOX1、GAP、ENO1、TEF、HIS4、TYR1、HIS3、LEU2、URA3、LYS2、ADE2、TRP1、GAL1、又はADH1遺伝子座中に組み込まれる、項目28の方法。
31)ポリヌクレオチドが、ベクター又はプラスミド中に含有される、項目22〜27のいずれか1つにおける方法。
32)ベクターが、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベクター、pGPD−2、pAO815、pGAPZ、pGAPZα、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、pPIC9K、pPICZ、pPICZα、pPIC3K、pHWO10、又は2μmプラスミドである、項目31の方法。
33)過剰発現が、前記ポリヌクレオチドの発現を駆動する組換えプロモーターを使用することによって達成される、項目22〜32のいずれか1つにおける方法。
34)プロモーターが、

である、項目33の方法。
35)ポリヌクレオチドの過剰発現が、プロモーター活性を増大させるエンハンサーを使用することによって達成される、項目33における方法。
36)エンハンサーが、酵母の上流活性化配列UAS/GALである、項目35の方法。
37)宿主細胞が、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)及びコマガタエラ(Komagataella)、及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である、項目22〜36のいずれか1つにおける方法。
38)配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、162又はその機能的相同体から選択されるヘルパータンパク質の2、3、4、5、6、7、8以上が過剰発現される、項目22〜37のいずれか1つにおける方法。
39)目的タンパク質が、酵素、治療用タンパク質、食品添加物又は飼料添加物、好ましくは解毒酵素である、項目22〜38のいずれか1つにおける方法。
40)治療用タンパク質が、抗体、又は抗体断片を含む、項目39の方法。
41)前記ヘルパータンパク質が、好ましくは過剰発現された場合、モデルタンパク質SDZ−Fab及び/又はHyHEL−Fabの収量を、改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも20%増加させる、項目22〜40のいずれか1つにおける方法。
42)配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド配列(ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する)。
43)配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は163のいずれか1つのヌクレオチド配列と100%の配列同一性を有する、項目42の単離ポリヌクレオチド配列。
44)宿主細胞中への組み込みのための、項目42又は43に係る単離ポリヌクレオチド配列の使用。
45)配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して少なくとも30%の同一性を有するポリペプチド配列を含む、単離ポリペプチド。
46)目的タンパク質を製造するための、項目45に係る単離ポリペプチドの使用。
47)目的タンパク質を製造するための、項目42又は43に係るポリヌクレオチドの使用。
48)宿主細胞を製造するための、項目42又は43に係るポリヌクレオチドの使用。
49)目的タンパク質の少なくとも10%、20%、30%、40%、又は50%と項目42又は43に係るポリヌクレオチドとを含む組成物であって、前記ポリヌクレオチドが、異種プロモーターと作動可能に連結される、組成物。
発明の詳細な説明
本発明は、目的タンパク質の分泌を増加させることが見出された、ヘルパータンパク質HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9及びHP10の発現の驚くべき知見に一部基づくものである。実施例中の各ヘルパータンパク質のアミノ酸配列及びそれらの対応する名称を以下の表1に列挙する:
特に、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における分泌ヘルパー因子についてのスクリーニングの中から、55の候補遺伝子を同定し、これらを、最有力候補遺伝子を選択するためにウエットラボ発現実験によって検証した。最有力候補遺伝子は、本明細書に記載されるとおりの2つのモデルタンパク質SDZ−Fab#9及び/又はHyHEL−Fab#8の収量を、最有力候補遺伝子を過剰発現しないピキア・パストリス(P. pastoris)株(すなわち、本明細書に記載されるとおりの改変する前の宿主細胞)と比較して、20%以上の程度まで増大させる候補である。この目的のために、55の遺伝子の中で、9つの最有力候補を同定した。4つの最有力候補、すなわち、PP7435_Chr3−0607、PP7435_Chr3−0933、PP7435_Chr2−0220(SBH1)、PP7435_Chr3−0639(CPR6)は、モデルタンパク質SDZ−Fab及びHyHEL Fabの両方の20%を超える分泌及び/又は発現の増大を示し、そして、5つのさらなる候補(PP7435_Chr4−0108(MXR2)、PP7435_Chr1−1232、PP7435_Chr1−1225(MDR1)、PP7435_Chr1−0667、PP7435_Chr4−0448)は、2つのモデルタンパク質SDZ−Fab及びHyHEL Fab(それぞれ、過剰発現された場合)の1つについて>20〜30%の分泌収量の増大を示した。
しかしながら、3つのさらなる候補、すなわち、KO1(FLO8)、KO2(HCH1)、KO3(SCJ1)が同定されたが、その発現は、分泌及び/又は発現を増大させるために、例えばノックアウトによって、減少されるか又は好ましくは無効化されなければならず、それによって、デルタKO1は、両方のモデルタンパク質の収量を増大させ、そして、デルタKO3及びデルタKO2は、HyHEL−Fabの収量を増大させた。
スクリーニングの原理は、ピキア・パストリス(P. pastoris)産生株とピキア・パストリス(P. pastoris)非産生株の転写プロファイルの直接比較であり、これにより55の遺伝子の同定に至った。これらの遺伝子は、種々の代謝経路に属しており、異なる機能を有し、又は未知の機能すら有し得る。したがって、そのように得られたヘルパー因子の性質に関して、その遺伝子又はそれによってコードされたタンパク質から明らかな指針はない。したがって、潜在的な分泌ヘルパー因子が実条件下で実際にヘルパー因子であるか否かを検証するために、試験を実施しなければならなかった。しかしながら、産生株中のその増大された転写産物の出現によって同定されたという理由だけで、潜在的なヘルパー因子が実際にヘルパー因子であるかは一見明らかではない。事実、潜在的なヘルパー因子がタンパク質分泌に正の効果を有さない又は負の効果さえ有し得る可能性がある。このことは、本発明者等によって、分泌を増大させると十分に期待できる、55の遺伝子の中から同定されたシャペロンをコードする2つの遺伝子(SCJ1、HCH1)が正反対のものであったことから実際に観察された。したがって、各遺伝子についての試験が必要とされるが、そのおよそ60の遺伝子の1つによってコードされるどのタンパク質が実際に分泌ヘルパー因子であるかに関する指針は存在しない。
このことから、「真の」分泌ヘルパー因子の発見は、単純な問題ではなく、本発明者等によって行われたとおりのスクリーニングにおいて同定された単なる遺伝子/タンパク質配列又はタンパク質の機能から入手可能な又は明らかな指針はない、発明に関する選択事項である。
また、本明細書に記載されるとおり過剰発現されなければならない最有力候補遺伝子に関して通常でないことは−これらが、典型的な分泌ヘルパー因子ではないこと、すなわち、タンパク質分泌で役割を担うと思われない機能を有するタンパク質をコードする又は未知の機能すら有する遺伝子であることである。
ノックアウトされなければならない遺伝子に関して−シャペロン(KO2、KO3)から、過剰発現が有益であると期待しただろうが、実際には、それは正の効果を有する欠失である。パン酵母における凝集で役割を担うKO1について、その欠失がタンパク質分泌を増大させることは期待しなかったであろう。パン酵母における凝集は、二倍体パン酵母がフィラメント状に成長する場合、又は、一倍体細胞が浸潤性に増殖し、次いでこれらの細胞が集合する場合の現象である。しかしながら、当業者はほとんど、凝集遺伝子をノックアウトすることがタンパク質分泌を増大させると想定しなかったであろう。
「ヘルパータンパク質」は、本発明において使用されるとおり、目的タンパク質の収量を増大させるタンパク質を意味する。この用語は、広範に理解されるべきであり、シャペロン又はシャペロン様タンパク質に限定されるべきではない。本開示から明らかなように、本発明のヘルパータンパク質は、それらの機能が様々である。本発明のヘルパータンパク質は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、若しくは9のいずれか1つ又はその機能的相同体のアミノ酸配列を含む。それはまた、配列番号:162のアミノ酸配列も含み得る。本発明のヘルパータンパク質は、配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20若しくは21、又は配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8若しくは9の機能的相同体をそれぞれコードする配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20若しくは21のバリアントのいずれか1つのヌクレオチド配列によってコードされ得る。それはまた、配列番号:163、又は配列番号:162の機能的相同体をコードする配列番号:163のバリアントのヌクレオチド配列によってもコードされ得る。本発明の目的のために、用語「ヘルパータンパク質」はまた、HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9及びHP10それぞれの機能的相同体を包含することも意味する。例えば、ヘルパータンパク質HP1は、配列番号:4又は配列番号:4をコードする機能的相同体をコードするアミノ酸配列を含む。本発明は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードする単離ポリヌクレオチド配列であって、機能的相同体が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、単離ポリヌクレオチド配列を提供する。
本明細書において使用されるとおり、ポリペプチドの「相同体」又は「機能的相同体」は、ポリペプチドがそれらの一次、二次又は三次構造中の対応する位置に同じ残基又は保存された残基を有することを意味するものとする。その用語はまた、相同なポリペプチドをコードする2以上のヌクレオチド配列まで拡張される。特に、本ヘルパータンパク質に相同なポリペプチドは、完全長の天然配列又はその任意の断片に関して、少なくとも約30%のアミノ酸配列同一性を有する。好ましくは、相同なポリペプチドは、天然化合物、又は完全長化合物の任意の他の具体的に定義された断片に対して、少なくとも約35%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約40%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約45%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約50%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約55%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約60%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約65%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約70%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約75%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約85%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約90%、例えば91、92、93、94、95、96、97、98又は99%のアミノ酸配列同一性、より好ましくは少なくとも約95%のアミノ酸配列同一性を有するだろう。ヘルパータンパク質としての機能がそのような相同体で証明された場合、その相同体は、「機能的相同体」と呼ばれる。機能的相同体は、それが由来するヘルパータンパク質と同じ又は実質的に同じ機能を実施し、すなわち、それは、本明細書に記載されるとおりのモデルタンパク質SDZ−Fab及び/又はHyHEL−Fabの収量を増加させる。その機能は、当技術分野において公知のアッセイによって、又は、好ましくは実施例7又は実施例5cに記載されるとおりの、特定すると「Fab力価」又は「Fab収量」の文脈で本明細書に上述したとおりのモデルタンパク質を使用したアッセイで試験され得る。本発明によって提供されるポリヌクレオチド配列は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162、又は配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162の機能的相同体をコードする。
一般に、相同体は、部位特異的突然変異誘発、合成遺伝子構築法、半合成遺伝子構築法、ランダム突然変異誘発、シャッフリングなどの、当技術分野において公知の任意の突然変異誘発手順を使用して調製され得る。部位特異的突然変異誘発は、親をコードするポリヌクレオチド中の1以上の既定の部位に1以上の(例えば、数種の)突然変異が導入される技術である。部位特異的突然変異誘発は、所望の突然変異を含有するオリゴヌクレオチドプライマーの使用を伴うPCRによってインビトロで成し遂げられ得る。部位特異的突然変異誘発はまた、親をコードするポリヌクレオチドを含むプラスミド中のある部位での制限酵素による開裂、その後のポリヌクレオチド中の突然変異を含有するオリゴヌクレオチドのライゲーションを伴う、カセット突然変異誘発によってインビトロで実施され得る。通常、プラスミド及びオリゴヌクレオチドを消化する制限酵素は同じであり、それによってプラスミドのスティッキー末端とインサートを互いにライゲートすることが可能である。例えば、Scherer and Davis, 1979, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76: 4949-4955; 及び Barton et ai, 1990, Nucleic Acids Res. 18: 7349-4966 を参照のこと。部位特異的突然変異誘発はまた、当技術分野において公知の方法によってインビボで成し遂げられ得る。例えば、米国特許出願公報第2004/0171154号;Storici et ai, 2001, Nature Biotechnol. 19: 773-776; Kren et ai, 1998, Nat. Med. 4: 285-290; 及び Calissano and Macino, 1996, Fungal Genet. Newslett. 43: 15-16 を参照のこと。合成遺伝子構築法は、目的のポリペプチドをコードする設計されたポリヌクレオチド分子のインビトロ合成を伴う。遺伝子合成は、Tian等によって記載されている多重マイクロチップベース技術(2004, Nature 432: 1050-1054)並びに光プログラム可能なマイクロ流体チップ上でオリゴヌクレオチドが合成及び構築される類似の技術などの、多数の技術を利用して実施され得る。単一又は多重のアミノ酸置換、欠失、及び/又は挿入は、突然変異誘発、組換え、及び/又はシャッフリングの公知の方法を使用し、続いて、Reidhaar-Olson and Sauer, 1988, Science 241:53-57; Bowie and Sauer, 1989, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86: 2152-2156; WO 95/17413; 又は WO 95/22625 に開示されている手順などの妥当なスクリーニング手順によって実施及び試験され得る。使用され得る他の方法は、エラープローンPCR、ファージディスプレイ(例えば、Lowman et al, 1991, Biochemistry 30: 10832-10837; 米国特許第5,223,409号; WO 92/06204)及び領域特異的(region-directed)突然変異誘発(Derbyshire et al., 1986, Gene 46: 145; Ner et al., 1988, DNA 7:127)を含む。突然変異誘発/シャッフリング法は、ハイスループット自動スクリーニング法と組み合わされて、宿主細胞によって発現されたクローン化された突然変異ポリペプチドの活性を検出することができる(Ness et a/., 1999, Nature Biotechnology 17: 893-896)。活性ポリペプチドをコードする突然変異DNA分子は、当技術分野において公知の標準的な方法を使用して、宿主細胞から回収され、迅速に配列決定され得る。これらの方法は、ポリペプチド中の個々のアミノ酸残基の重要性の迅速な決定を可能にする。半合成遺伝子構築法は、合成遺伝子構築法、及び/又は部位特異的突然変異誘発、及び/又はランダム突然変異誘発、及び/又はシャッフリングの態様を組み合わせることによって成し遂げられる。半合成構築法は、PCR技術と組み合わされる、合成されたポリヌクレオチド断片を利用するプロセスに代表される。したがって、遺伝子の規定の領域は、デノボで合成され得、一方で、他の領域は部位特異的突然変異誘発プライマーを使用して増幅され得、一方で、さらに他の領域は、エラープローンPCR又は非エラープローンPCR増幅に供され得る。次いで、ポリヌクレオチドサブ配列がシャッフリングされ得る。代替的に、相同体は、近縁又は遠縁の微生物のcDNAライブラリーをスクリーニングすることなどによって、天然源から得られ得る。
配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162の相同体の機能は、相同体配列が挿入されている発現カセットを提供し、試験タンパク質(実施例のセクションで使用されるモデルタンパク質の1つ又は特定のPOIなど)をコードする配列を担持する宿主細胞を形質転換し、そして、同一条件下でモデルタンパク質又はPOIの収量の差を決定することによって試験され得る。
機能的相同体はまた、ヘルパータンパク質の生物学的に活性な断片でもあり得る。一般に、タンパク質の生物学的に活性な断片は、完全長タンパク質の生物学的効果に類似する又は匹敵する生物学的効果を発揮する断片を意味するものとする。そのような断片又はバリアントは、例えば、アミノ及び/又はカルボキシ末端の欠失によって並びに内部欠失によって産生され得る。
本発明は、第一の態様において、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162、又は配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162の機能的相同体をコードする単離ポリヌクレオチド配列を提供する。単離ポリヌクレオチド配列は、配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は163のいずれか1つを含み得る。好ましくは、単離ポリヌクレオチド配列は、配列番号:13、14、15、16、17、18、19、20、21、又は163のいずれか1つのヌクレオチド配列からなる。
さらなる態様において、本発明は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162からなる群より選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有するポリペプチド配列を含む単離ポリペプチドを提供する。
用語「単離(された)」は、自然界に存在しない形態又は環境にある物質を意味する。単離された物質の非限定例は、(1)任意の天然に存在しない物質、(2)自然界において関連する天然に存在する構成要素の1以上若しくは全てから少なくとも部分的に除去された任意の物質(限定されないが、任意の酵素、バリアント、核酸、タンパク質、ペプチド又は補因子を含む);(3)自然界に見出される物質に対して人工的に修飾された任意の物質;又は(4)天然に関連する他の成分に対して物質の量を増加することによって修飾された任意の物質(例えば、宿主細胞における組換え産生;物質をコードする遺伝子の複数のコピー;及び物質をコードする遺伝子と天然に関連するプロモーターより強いプロモーターの使用)を含む。
本発明は、宿主細胞中への組み込みのための、上に挙げた単離ポリヌクレオチドのいずれか1つの使用を提供する。代替的に、ポリヌクレオチドが宿主細胞中に既に存在している場合、宿主細胞は、後に記載するように、これらが過剰発現されるように操作され得る。別の態様において、本発明は、宿主細胞からのPOI収量を増加させるための前記ポリヌクレオチドの使用に関し、ここで、POIをコードするヌクレオチド配列は、前記ポリヌクレオチドと共発現される。
「配列同一性」又は「%の同一性」は、標準化アルゴリズムを使用してアラインされた少なくとも2つのポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の残基の一致の百分率を指す。そのようなアルゴリズムは、2つの配列間のアライメントを最適化するために、比較される配列中にギャップを標準化された再現可能な様式で挿入し、それによって2つの配列のより有意義な比較を達成し得る。本発明の目的のために、2つのアミノ酸配列又はヌクレオチド間の配列同一性は、NCBI BLAST プログラムバージョン 2.2.29(Jan-06-2014)(Altschul et al., Nucleic Acidss Res. (1997) 25:3389-3402)を使用して決定される。2つのアミノ酸配列の配列同一性は、以下のパラメーターでblastpセットを用いて決定され得る:Matrix : BLOSUM62, Word Size : 3 ; Expect value : 10 ; Gap cost : Existence = 11, Extension = 1 ; Filter = low complexity activated ; Filter String : L ; Compositional adjustments : Conditional compositional score matrix adjustment。本発明の目的のために、2つのヌクレオチド配列間の配列同一性は、以下の例示的なパラメーターでblastnセットを用いて、NCBI BLAST プログラムバージョン 2.2.29(Jan-06-2014)を使用して決定される:Word Size: 11; Expect value: 10; Gap costs: Existence = 5, Extension = 2; Filter = low complexity activated; Match/Mismatch Scores: 2,-3; Filter String: L; m。
第二の態様において、本発明は、本発明のヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供する。ヘルパータンパク質は、それぞれHP1〜HP9(配列番号:1〜9)及びHP10(配列番号:162)のいずれか1つ又はその機能的相同体を含む。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されている宿主細胞を提供する。
用語「ポリヌクレオチドを発現すること」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写され、mRNAがポリペプチドへと翻訳される場合を意味する。用語「過剰発現する」は、一般に、参照基準によって示された発現レベルよりも大きい又はそれに等しい任意の量を指す。本発明における、用語「過剰発現する」、「過剰発現すること」、「過剰発現された」及び「過剰発現」は、宿主細胞の遺伝的変化の前の又は既定の条件で遺伝的に変化されていない同等な宿主における同じ遺伝子産物又はポリペプチドの発現よりも大きいレベルでの遺伝子産物又はポリペプチドの発現を指す。宿主細胞が所与の遺伝子産物を含まない場合、発現のために宿主細胞に遺伝子産物を導入することが可能であり;この場合、任意の検出可能な発現は、用語「過剰発現」に包含される。
本明細書において使用されるとおり、「改変された」宿主細胞は、遺伝子改変を使用して、すなわちヒトの介入によって操作された宿主細胞である。宿主細胞が所与のタンパク質を「発現するように改変されている」場合、宿主細胞は、宿主細胞がヘルパータンパク又はその機能的相同体を発現する、好ましくは過剰発現する能力を有するように操作され、それによって、所与のタンパク質、例えばPOI又はモデルタンパク質の発現は、操作前の同じ条件下の宿主細胞と比較して増加する。
「改変(する)前」は、本発明の宿主細胞の文脈において使用される場合、そのような宿主細胞がヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドで改変されていないことを意味する。したがって、前記用語はまた、宿主細胞が、ヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドを過剰発現しないこと又はヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されていないことも意味する。
用語「組換えること」は、本明細書において使用されるとおり、本発明の宿主細胞が目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを備える、すなわち、本発明の宿主細胞が目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含有するように改変されることを意味する。これは、例えば、形質転換又はトランスフェクション、又は宿主細胞中へのポリヌクレオチドの導入のための当技術分野において公知の任意の他の好適な技術によって達成され得る。
過剰発現
過剰発現は、後に詳述するような当業者に公知の任意の方法で達成され得る。一般に、それは、遺伝子の転写/翻訳を増加させることによって、例えば、遺伝子のコピー数を増加させること又は遺伝子の発現と関連する制御配列若しくは部位を変化若しくは修飾することによって達成され得る。例えば、過剰発現は、制御配列(例えば、プロモーター)に作動可能に連結されたヘルパータンパク質又は機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1以上のコピーを導入することによって達成され得る。例えば、遺伝子は、高い発現レベルに達するために、強い構成的プロモーター及び/又は強いユビキタスプロモーターに作動可能に連結され得る。そのようなプロモーターは、内因性プロモーター又は組換えプロモーターであることができる。代替的に、発現が構成的になるように制御配列を除去することが可能である。所与の遺伝子の天然プロモーターを、当該遺伝子の発現を増加する又は遺伝子の構成的発現を導く異種プロモーターで置換することが可能である。例えば、ヘルパータンパク質は、改変する前の宿主細胞と比較して、宿主細胞によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、200%超、又は300%超過剰発現され、同じ条件下で培養され得る。誘導性プロモーターを追加的に使用して、宿主細胞の培養の過程で発現を増加させることが可能である。さらに、過剰発現はまた、例えば、特定の遺伝子の染色体位置を修飾すること、リボソーム結合部位又は転写ターミネーターなどの特定の遺伝子に隣接する核酸配列を変化させること、遺伝子の転写及び/又は遺伝子産物の翻訳に関与するタンパク質(例えば、調節タンパク質、サプレッサー、エンハンサー、転写活性化因子など)を修飾すること、又は当技術分野においてルーチンな特定の遺伝子の発現をデレギュレートする任意の他の従来手段(限定されないが、例えば抑制タンパク質の発現を遮断するためのアンチセンス核酸分子の使用、又は過剰発現されるべき所望の遺伝子の発現を通常抑制する転写因子の遺伝子を欠失若しくは突然変異させることを含む)によって達成され得る。また、mRNAの寿命を延長させることも発現のレベルを改善し得る。例えば、特定のターミネーター領域を使用して、mRNAの半減期を伸ばし得る(Yamanishi et al., Biosci. Biotechnol. Biochem. (2011) 75:2234 及び US 2013/0244243)。複数の遺伝子のコピーが含まれる場合、遺伝子は、可変のコピー数のプラスミド中に位置するか又は染色体中に組み込まれて増幅されるかのいずれかであり得る。宿主細胞がヘルパータンパク質をコードする遺伝子産物を含まない場合、発現のために宿主細胞中に遺伝子産物を導入することが可能である。この場合、「過剰発現」は、当業者に公知の任意の方法を使用して遺伝子産物を発現することを意味する。
当業者は、Martin等(Bio/Technology 5, 137-146 (1987))、Guerrero等(Gene 138, 35-41 (1994))、Tsuchiya 及び Morinaga(Bio/Technology 6, 428-430 (1988))、Eikmanns等(Gene 102, 93-98 (1991))、EP 0 472 869、US 4,601,893、Schwarzer 及び Puhler(Bio/Technology 9, 84-87 (1991))、Reinscheid等(Applied and Environmental Microbiology 60, 126-132 (1994))、LaBarre等(Journal of Bacteriology 175, 1001- 1007 (1993))、WO 96/15246、Malumbres等(Gene 134, 15- 24 (1993))、JP-A-10-229891、Jensen 及び Hammer(Biotechnology and Bioengineering 58, 191-195 (1998)) 並びにMakrides(Microbiological Reviews 60, 512-538 (1996))において、とりわけ遺伝学及び分子生物学の周知の教本において関連性のある説明書を見出すであろう。
ヘルパータンパク質
本発明のヘルパータンパク質は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)CBS7435株から当初単離された。メチロトローフ酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)(Komagataella phaffii)CBS7435は、一般的に使用されるピキア・パストリス(P. pastoris)組換えタンパク質産生宿主の親株である。その完全なゲノム配列は、Kuberl等(J Biotechnol. (2011) 154(4):312-20)に記載されている。本明細書において同定されるヘルパータンパク質をコードするこれらの遺伝子は、タンパク質収量に与える有益効果にこれまで関連付けられていなかった。
ヘルパータンパク質が、他の微生物におけるそれらの存在から、広範な宿主細胞にわたって過剰発現され得ることが予想される。したがって、種又は属にネイティブな配列を使用する代わりに、ヘルパータンパク質配列は、他の原核生物又は真核生物から採取され得るか又はそれに由来し得る。ヘルパータンパク質をコードする外来DNA配列は、種々の供給源から、例えば、植物、昆虫、真菌又は哺乳動物種から、好ましくはサッカロミセス綱(class of Saccharomycetes)から、好ましくはサッカロミセス目(order of Saccharomycetales)から、好ましくはサッカロミセス科(family of Saccharomycetaceae)から、好ましくはコマガタエラ(genus of Komagataella)属から得られ得る。
HP1−HP10
特に、本発明は、ヘルパータンパク質HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、又はHP10又はその組み合わせ、あるいはHP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、又はHP10又はその組み合わせの機能的相同体を過剰発現することが可能である、遺伝的に修飾された宿主細胞を指す。そのような組み合わせを反映するように改変されている宿主細胞が、好ましい実施態様において想定される。これらの宿主細胞が、本明細書に記載される方法及び使用に好ましく適用される。組み合わせは、2以上、例えば2、3、4、5、6、7、8以上のヘルパータンパク質又は機能的相同体が、HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、HP10から選択されることを含む。
同様に、組み合わせは、HP1、HP2、HP3、HP4、HP5、HP6、HP7、HP8、HP9、HP10又はその機能的相同体から選択される1以上のヘルパータンパク質とKO1、KO2、KO3から選択されるKOタンパク質の組み合わせを含む。そのような組み合わせを反映するように改変されている宿主細胞が、好ましい実施態様において想定される。これらの宿主細胞が、本明細書に記載される方法及び使用に好ましく適用される。「反映された(reflected)」は、ヘルパータンパク質が過剰発現され、一方でKOタンパク質が過小発現されることを、当業者が本発明の教示に従って知っていることを意味する。
しかしながら、ヘルパータンパク質HP3(配列番号:2)又は機能的相同体とHP1(配列番号:4)又は機能的相同体、又はヘルパータンパク質HP10(配列番号:162)又は機能的相同体とHP3(配列番号:2)又は機能的相同体の特定の組み合わせは、本発明の方法及び使用に好ましく適用される本発明の宿主細胞の好ましい実施態様である。
また、ヘルパータンパク質HP2(配列番号:1)又は機能的相同体とHP3(配列番号:2)又は機能的相同体とKOタンパク質KO1(配列番号:10)、又はヘルパータンパク質HP2(配列番号:1)又は機能的相同体とHP1(配列番号:4)又は機能的相同体とKOタンパク質KO1(配列番号:10)の特定の組み合わせは、本発明の方法及び使用に好ましく適用される本発明の宿主細胞の好ましい実施態様である。
好ましくは、本発明は、目的タンパク質を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:1に対して少なくとも40%の配列同一性、配列番号:2に対して45%の配列同一性、配列番号:3に対して50%の配列同一性、配列番号:4に対して45%の配列同一性、配列番号:5に対して50%の配列同一性、配列番号:6に対して45%の配列同一性、配列番号:7に対して40%の配列同一性、配列番号:8に対して40%の配列同一性、配列番号:9に対して40%の配列同一性、又は配列番号:162に対して45%の配列同一性を有するアミノ酸を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されている宿主細胞を提供する。そのような宿主細胞が本明細書に記載される方法及び使用に適用される。
目的タンパク質
用語「目的タンパク質」(POI)は、本明細書において使用されるとおり、宿主細胞において組換え技術によって産生されたタンパク質を指す。より具体的には、タンパク質は、宿主細胞において天然に存在しないポリペプチド、すなわち、異種タンパク質であり得るか、又は宿主細胞にネイティブな、すなわち、宿主細胞に相同なタンパク質であり得るかのいずれかであるが、例えば、POIをコードする核酸配列を含有する自己複製ベクターを用いた形質転換によって、又は宿主細胞のゲノム中へのPOIをコードする核酸配列の1以上のコピーの組換え技術による組み込みで、又はPOIをコードする遺伝子の発現を制御する1以上の制御配列の、例えば、プロモーター配列の組換え修飾によって産生される。一般に、本明細書において称される目的タンパク質は、当業者に周知の組換え発現の方法によって産生され得る。
宿主細胞
本明細書において使用されるとおり、「宿主細胞」は、タンパク質発現及び場合によりタンパク質分泌が可能である細胞を指す。そのような宿主細胞が本発明の方法に適用される。その目的のために、ポリペプチドを発現する宿主細胞について、ポリペプチドをコードするヌクレオチド配列が細胞中に存在するか又は導入される。本発明によって提供される宿主細胞は、原核生物又は真核生物であることができる。当業者によって理解されるとおり、原核生物細胞は膜結合核を欠いているが、真核生物細胞は膜結合核を有する。真核生物細胞の例は、脊椎動物細胞、哺乳動物細胞、ヒト細胞、動物細胞、無脊椎動物細胞、植物細胞、線虫細胞、昆虫細胞、幹細胞、真菌細胞又は酵母細胞を含むが、それらに限定されない。
酵母細胞の例は、サッカロミセス(Saccharomyces)属(例えば、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロマイセス・クルイベリ(Saccharomyces kluyveri)、サッカロミセス・ウバルム(Saccharomyces uvarum))、コマガタエラ(Komagataella)属(コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)、コマガタエラ・シュードパストリス(Komagataella pseudopastoris)又はコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii))、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属(例えば、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、クルイベロマイセス・マルシアヌス(Kluyveromyces marxianus))、カンジダ(Candida)属(例えば、カンジダ・ユチリス (Candida utilis)、カンジダ・カカオイ(Candida cacaoi))、ゲオトリクム(Geotrichum)属(例えば、ゲオトリカム・ファーメンタンス(Geotrichum fermentans))、並びにハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)及びヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)を含むが、それらに限定されない。
Pichia属が特に興味深い。Pichiaは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、ピキア・クルイベリ(Pichia kluyveri)、及びピキア・アングスタ(Pichia angusta)種を含む、多数の種を含む。最も好ましいのは、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)種である。
前者のピキア・パストリス(Pichia pastoris)種は、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)及びコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)に分類及び改名されている。このため、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)は、コマガタエラ・パストリス(Komagataella pastoris)及びコマガタエラ・ファフィ(Komagataella phaffii)の両方の同義語である。
本発明において有用なピキア・パストリス(Pichia pastoris)株についての例は、X33及びそのサブタイプGS115、KM71、KM71H;CBS7435(mut+)及びそのサブタイプCBS7435 mut、CBS7435 mutΔArg、CBS7435 mutΔHis、CBS7435 mutΔArg、ΔHis、CBS7435 mut PDI、CBS 704(=NRRL Y−1603=DSMZ 70382)、CBS 2612(=NRRL Y−7556)、CBS 9173−9189及びDSMZ 70877並びにその突然変異体である。
大腸菌(E. coli)の例は、大腸菌(Escherichia coli)K12株に由来するもの、具体的には、HMS174、HMS174(DE3)、NM533、XL1−Blue、C600、DH1、HB101、JM109、並びにB株に由来するもの、具体的にはBL−21、BL21(DE3)などを含む。
さらに好ましい実施態様によれば、宿主細胞は、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)及びコマガタエラ(Komagataella)、及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である。それはまた、ウスチラゴ・メイディス(Ustilago maydis)由来の宿主細胞でもあり得る。
好ましくは、宿主細胞によって発現されるヘルパータンパク質は、同じ細胞に由来するか、又は同じ種、属若しくはファミリーの細胞から組換えられる。本明細書において使用されるとおり、「組換え」は、ヒトの介入による遺伝物質の変化を指す。典型的には、組換えは、クローニング及び組換えを含む分子生物学(組換えDNA技術)法による、ウイルス、細胞、プラスミド又はベクター中のDNA又はRNAの操作を指す。組換え細胞、ポリペプチド、又は核酸は、典型的には、天然に存在する対応物(「野生型」)とどのように異なるかを参照して記載され得る。「組換え細胞」又は「組換え宿主細胞」は、前記細胞にネイティブではない核酸配列を含むように遺伝的に変化された細胞又は宿主細胞を指す。
用語「製造する(manufacture)」又は「製造すること(manufacturing)」は、現在使用されているとおり、目的タンパク質が発現されるプロセスを指す。「目的タンパク質を製造するための宿主細胞」は、目的タンパク質をコードする核酸配列が導入され得る宿主細胞を指す。本発明の範囲内の組換え宿主細胞は、目的タンパク質をコードする核酸配列を必ずしも含有する必要はない。宿主細胞中へ所望のヌクレオチド配列を挿入するために、例えばキットで宿主細胞が提供され得ることが当業者に理解される。
本明細書において使用される用語「ヌクレオチド配列」又は「核酸配列」は、DNA又はRNAのいずれかを指す。「核酸配列」又は「ポリヌクレオチド配列」又は単に「ポリヌクレオチド」は、5’から3’末端へと読まれるデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチド塩基の一本鎖又は二本鎖ポリマーを指す。それは、自己複製プラスミド、DNA又はRNAの感染性ポリマー、及び非機能性DNA又はRNAの両方を含む。
用語「アミノ酸」は、天然に存在する及び合成のアミノ酸、並びに天然に存在するアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、並びに後に修飾されるそのようなアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタマート、及びO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造、すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基に結合しているα炭素を有する化合物、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然に存在するアミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが天然に存在するアミノ酸と同様に機能する、化学化合物を指す。
用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、互換的に使用される。用語「ポリペプチド」は、2以上のアミノ酸、典型的には少なくとも3、好ましくは少なくとも20、より好ましくは少なくとも30、例えば少なくとも50のアミノ酸を含有する、タンパク質又はペプチドを指す。したがって、ポリペプチドは、アミノ酸配列を含み、このため、アミノ酸配列を含むポリペプチドは、本明細書において「ポリペプチド配列を含むポリペプチド」と称されることがある。したがって、本明細書において、用語「ポリペプチド配列」は、用語「アミノ酸配列」と互換的に使用される。述べたように、過剰発現は、選択されたヘルパータンパク質の1又は2以上の余分なコピーの挿入によって達成され得る。好ましい実施態様によれば、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドは、1細胞当たり単一コピーで又は複数のコピーで存在し得る。そのコピーは、互いに隣接していても離れていてもよい。別の好ましい実施態様によれば、本発明の方法は、宿主細胞のゲノム中への組み込みに適する1以上のプラスミド上に1細胞当たり単一コピーで又は複数のコピーで提供されたヘルパータンパク質をコードする組換えヌクレオチド配列を用いる。そのコピーは、互いに隣接していても離れていてもよい。過剰発現は、1つの実施態様において、1宿主細胞当たり、ポリヌクレオチドの1つ又は複数のコピー、例えば前記ポリヌクレオチドの2、3、4、5、6以上のコピーを発現させることによって達成され得る。ポリヌクレオチドは、好ましくは、宿主細胞におけるポリペプチドの発現を提供する転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結される。用語「転写制御配列」は、本明細書において使用されるとおり、遺伝子核酸配列に関連しかつ遺伝子の転写を制御する、ヌクレオチド配列を指す。用語「翻訳制御配列」は、本明細書において使用されるとおり、遺伝子核酸配列に関連しかつ遺伝子の翻訳を制御する、ヌクレオチド配列を指す。転写及び/又は翻訳制御配列は、プラスミド若しくはベクター中に位置するか又は宿主細胞の染色体中に組み込まれるかのいずれかであり得る。転写及び/又は翻訳制御配列は、それを制御する遺伝子の同じ核酸分子中に位置する。好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP1又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP2又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP3又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP4又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP5又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP6又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP7又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP8又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP9又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
好ましくは、過剰発現は、1宿主細胞当たり、HP10又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドの1、2、3、4以上のコピーを有することによって達成され得る。
ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチド及び/又はPOIをコードするポリヌクレオチドは、好ましくは宿主細胞のゲノム中に組み込まれる。用語「ゲノム」は、一般に、DNA(又は特定のウイルス種についてはRNA)中にコードされている、生物の遺伝情報全体を指す。それは、染色体中に、プラスミド若しくはベクター上に、又は両方に存在し得る。好ましくは、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドは、前記細胞の染色体中に組み込まれる。
ヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドは、その天然遺伝子座中に組み込まれ得る。「天然遺伝子座」は、特定の染色体上の位置を意味し、そこで、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドは、例えば表1に示されるとおりのHP1〜10の天然遺伝子座に位置する。しかしながら、別の実施態様において、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドは、それらの天然遺伝子座ではなく宿主細胞のゲノム中に存在するが、異所的に組み込まれる。用語「異所的な組み込み」は、微生物のゲノム中へのその通常の染色体遺伝子座以外の部位での核酸の挿入、すなわち、所定の又はランダムな組み込みを意味する。代替的に、ヘルパータンパク質又はその機能的相同体をコードするポリヌクレオチドは、その天然遺伝子座中にかつ異所的に組み込まれ得る。
酵母細胞について、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチド及び/又はPOIをコードするポリヌクレオチドは、AOX1、GAP、ENO1、TEF、HIS4(Zamir et al., Proc. NatL Acad. Sci. USA (1981) 78(6):3496-3500)、HO(Voth et al. Nucleic Acids Res. 2001 June 15; 29(12): e59)、TYR1(Mirisola et al., Yeast 2007; 24: 761-766)、His3、Leu2、Ura3(Taxis et al., BioTechniques (2006) 40:73-78)、Lys2、ADE2、TRP1、GAL1、ADH1などの所望の遺伝子座中に挿入され得るか又は5SリボソームRNA遺伝子と統合され得る。
他の実施態様において、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチド及び/又はPOIをコードするポリヌクレオチドは、プラスミド又はベクター中に組み込まれ得る。用語「プラスミド」及び「ベクター」は、自己複製ヌクレオチド配列並びにゲノム組み込みヌクレオチド配列を含む。当業者は、使用される宿主細胞に応じて好適なプラスミド又はベクターを採用することができる。
好ましくは、プラスミドは、真核生物発現ベクター、好ましくは酵母発現ベクターである。
プラスミドは、クローニングされた組換えヌクレオチド配列の、すなわち組換え遺伝子の転写、及び好適な宿主生物におけるそれらのmRNAの翻訳のために使用され得る。プラスミドはまた、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001)によって記載されているような当技術分野において公知の方法によって、ターゲットポリヌクレオチドを宿主細胞ゲノム中に組み込むために使用され得る。「プラスミド」は、通常、宿主細胞中の自己複製起点、選択マーカー、多数の制限酵素開裂部位、好適なプロモーター配列及び転写ターミネーターを含み、その成分は、一緒に作動可能に連結される。目的のポリペプチドコーディング配列は、宿主細胞におけるポリペプチドの発現を提供する転写及び翻訳制御配列に作動可能に連結される。
核酸は、同じ核酸分子上の別の核酸配列と機能的関係にある場合に「作動可能に連結される」。例えば、プロモーターは、そのコーディング配列の発現に影響を与え得ることが可能である場合に、組換え遺伝子のコーディング配列と作動可能に連結される。
ほとんどのプラスミドは、1細菌細胞当たり1コピーのみで存在する。しかしながら、いくつかのプラスミドは、より多くのコピー数で存在する。例えば、プラスミドColE1は、典型的には、E. coli中の1染色体当たり10〜20のプラスミドコピーで存在する。本発明のヌクレオチド配列がプラスミド中に含有される場合、プラスミドは、1宿主細胞当たり20〜30、30〜100以上のコピー数を有し得る。高いコピー数のプラスミドを用いて、細胞によってヘルパータンパク質を過剰発現させることが可能である。
大多数の好適なプラスミド又はベクターが当業者に公知であり、多くが市販されている。好適なベクターの例は、Sambrook et al, eds., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2nd Ed.), Vols. 1-3, Cold Spring Harbor Laboratory (1989) 及び Ausubel et al, eds., Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc., New York (1997) に提供されている。
本発明のベクター又はプラスミドは、酵母の人工染色体を包含し、これは、異種DNA配列(例えば、3000kbほどの大きさのDNA配列)を含有するように遺伝的に修飾され得る、テロメア、セントロメア、及び複製の起点(複製起点)配列を含有する、DNA構築物を指す。
本発明のベクター又はプラスミドはまた、細菌の人工染色体(BAC)を包含し、これは、異種DNA配列(例えば、300kbほどの大きさのDNA配列)を含有するように遺伝的に修飾され得る、複製配列の起点(Ori)を含有しかつ1以上のヘリカーゼ(例えば、parA、parB、及びparC)を含有し得る、DNA構築物を指す。
宿主として酵母を使用したプラスミドの例は、YIp型ベクター、YEp型ベクター、YRp型ベクター、YCp型ベクター、pGPD−2、pAO815、pGAPZ、pGAPZα、pHIL−D2、pHIL−S1、pPIC3.5K、pPIC9K、pPICZ、pPICZα、pPIC3K、pHWO10、pPUZZLE及び2μmプラスミドを含む。そのようなベクターは、公知であり、例えば、Cregg et al., Mol Biotechnol. (2000) 16(1):23-52 に記載されている。
それらの宿主として大腸菌(Escherichia coli)を使用したプラスミドの例は、pBR322、pUC18、pUC19、pUC118、pVC119、pSP64、pSP65、pTZ−18R/−18U、pTZ−19R/−19U、pGEM−3、pGEM−4、pGEM−3Z、pGEM−4Z、pGEM−5Zf(−)、及びpBluescript KSTM(Stratagene)を含む。大腸菌(Escherichia coli)における発現に適するプラスミドの例は、pAS、pKK223(Pharmacia)、pMC1403、pMC931、及びpKC30を含む。
プロモーター
組換え細胞における内因性ポリペプチドの過剰発現は、宿主細胞におけるポリヌクレオチド配列の発現を提供する転写及び翻訳制御配列(例えば、プロモーター、エンハンサー、ポリアデニル化シグナル、転写ターミネーター、内部リボソーム進入部位(IRES)などを含む)を修飾することによって達成され得る。そのような配列は、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用する(Maniatis et al., Science, 236: 1237-1245 (1987))。例示的な配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology, Vol. 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) に記載されている。
例えば、組換え細胞における内因性ヘルパータンパク質の過剰発現は、プロモーターを修飾することによって、例えば、高い発現レベルに達するために、ヘルパータンパク質に作動可能に連結された内因性プロモーターを別のより強いプロモーターに置き換えることによって達成され得る。そのようなプロモーターは、誘導的又は構成的であり得る。内因性プロモーターの修飾は、当技術分野において公知の方法を使用した突然変異又は相同組換えによって実施され得る。
ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドの過剰発現は、当技術分野において公知の他の方法によって、例えば、Marx et al., 2008 (Marx, H., Mattanovich, D. and Sauer, M. Microb Cell Fact 7 (2008): 23) 及び Pan et al., 2011 (Pan et al., FEMS Yeast Res. (2011) May; (3):292-8) によって記載されているとおりそれらの内因性調節領域を遺伝的に修飾することによって達成され得、そのような方法は、例えば、ヘルパータンパク質の発現を増加させる組換えプロモーターの組み込みを含む。形質転換は、Cregg et al. (1985) Mol. Cell. Biol. 5:3376-3385 に記載されている。「組換え」プロモーターは、その発現が当該プロモーターによって駆動される配列に関して称される。本明細書において使用されるとおり、組換えプロモーターは、プロモーターが所与の配列に関して天然のプロモーターではない場合、すなわち、プロモーターが天然に存在するプロモーター(「天然のプロモーター」)とは異なる場合を意味する。そのようなプロモーターはまた、本明細書において異種プロモーターと称されることもある。
用語「プロモーター」は、本明細書において使用されるとおり、特定の遺伝子の転写を容易にする領域を指す。プロモーターは、典型的には、ヌクレオチド配列から発現された組換え産物の量を、プロモーターが存在しない場合に発現された組換え産物の量と比較して増加させる。ある種の生物由来のプロモーターを利用して、別の生物起源の配列からの組換え産物発現を増大させることができる。プロモーターは、当技術分野において公知の方法を使用した相同組換えによって、宿主細胞の染色体中に組み込まれ得る(例えば、Datsenko et al, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 97(12): 6640-6645 (2000))。加えて、1つのプロモーター要素は、タンデムに結合された複数の配列について発現された生成物の量を増加させることができる。このことから、1つのプロモーター要素は、1以上の組換え産物の発現を増大させることができる。
プロモーター活性は、その転写効率によって評価され得る。これは、プロモーターからのmRNA転写の量の測定(例えば、ノーザンブロッティング、定量的PCRによる)によって直接的に、又はプロモーターから発現された遺伝子産物の量の測定によって間接的に決定され得る。
プロモーターは、「誘導性プロモーター」又は「構成的プロモーター」であることもできる。「誘導性プロモーター」は、特定の因子の存在又は非存在によって誘導され得るプロモーターを指し、そして、「構成的プロモーター」は、その関連する遺伝子の連続的な転写を可能にする未制御のプロモーターを指す。
好ましい実施態様において、ヘルパータンパク質及びPOIをコードするヌクレオチド配列の両方は、誘導性プロモーターによって駆動される。別の好ましい実施態様において、ヘルパータンパク質及びPOIをコードするヌクレオチド配列の両方は、構成的プロモーターによって駆動される。さらに別の好ましい実施態様において、ヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列は構成的プロモーターによって駆動され、そして、POIは誘導性プロモーターによって駆動される。さらに別の好ましい実施態様において、ヘルパータンパク質をコードするヌクレオチド配列は誘導性プロモーターによって駆動され、そして、POIは構成的プロモーターによって駆動される。例として、HPは構成的GAPプロモーターによって駆動され得、そして、POIは誘導性AOX1プロモーターによって駆動され得る。1つの実施態様において、ヘルパータンパク質及びPOIをコードするヌクレオチド配列は、プロモーター活性及び/又は発現挙動の点で同じプロモーター又は類似のプロモーターによって駆動される。
多くの誘導性プロモーターが当技術分野において公知である。多くは、Gatz, Curr. Op. Biotech., 7: 168 (1996) による概説に記載されている(Gatz, Ann. Rev. Plant. Physiol. Plant Mol. Biol., 48:89 (1997) もまた参照のこと)。例は、テトラサイクリン抑制系、Lac抑制系、銅誘導性系、サリチル酸誘導性系(PR1 a系など)、グルココルチコイド誘導性(Aoyama et al., 1997)、アルコール誘導性系、例えば、AOXプロモーター、及びエクジソーム(ecdysome)誘導性系を含む。また、ベンゼンスルホンアミド誘導性(米国特許第5,364,780号)及びアルコール−誘導性(WO 97/06269及びWO 97/06268)誘導性系、並びにグルタチオンS−トランスフェラーゼプロモーターも含まれる。
酵母宿主細胞との使用に適するプロモーター配列は、Mattanovich et al., Methods Mol. Biol. (2012) 824:329-58 に記載されており、そして、これは、トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH又はGAP)及びそのバリアント、ラクターゼ(LAC)及びガラクトシダーゼ(GAL)のような解糖酵素、ピキア・パストリス(P. pastoris)グルコース−6−リン酸イソメラーゼプロモーター(PPGI)、3−ホスホグリセリン酸キナーゼプロモーター(PPGK)、グリセロールアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼプロモーター(PGAP)、翻訳伸長因子プロモーター(PTEF)、及びピキア・パストリス(P. pastoris)エノラーゼ1(PENO1)、トリオースリン酸イソメラーゼ(PTPI)、リボソームサブユニットタンパク質(PRPS2、PRPS7、PRPS31、PRPL1)のプロモーター、アルコールオキシダーゼプロモーター(PAOX)又は修飾された特徴を有するそのバリアント、ホルムアルデヒドデヒドロゲナーゼプロモーター(PFLD)、イソクエン酸リアーゼプロモーター(PICL)、α−ケトイソカプロン酸デカルボキシラーゼプロモーター(PTHI)、ヒートショックタンパク質ファミリーメンバー(PSSA1、PHSP90、PKAR2)、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ(PGND1)、ホスホグリセリン酸ムターゼ(PGPM1)、トランスケトラーゼ(PTKL1)、ホスファチジルイノシトールシンターゼ(PPIS1)、フェロ−O2−オキシドレダクターゼ(PFET3)、高親和性鉄パーミアーゼ(PFTR1)、抑制性アルカリホスファターゼ(PPHO8)、N−ミリストイルトランスフェラーゼ(PNMT1)、フェロモン応答転写因子(PMCM1)、ユビキチン(PUBI4)、一本鎖DNAエンドヌクレアーゼ(PRAD2)のプロモーター、ミトコンドリア内膜の主要ADP/ATPキャリアのプロモーター(PPET9)(WO2008/128701)並びにギ酸デヒドロゲナーゼ(FMD)プロモーターを含む。GAPプロモーター、AOXプロモーター、又はGAP若しくはAOXプロモーターに由来するプロモーターが特に好ましい。AOXプロモーターは、メタノールによって誘導され得、そして、例えばグルコースによって抑制される。
好適なプロモーターのさらなる例は、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)エノラーゼ(ENO−1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)ガラクトキナーゼ(GAL1)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)アルコールデヒドロゲナーゼ/グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ADH1、ADH2/GAP)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)トリオースリン酸イソメラーゼ(TPI)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)メタロチオネイン(CUP1)、及びサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)3−ホスホグリセリン酸キナーゼ(PGK)、並びにマルターゼ遺伝子プロモーター(MAL)を含む。
酵母宿主細胞のための他の有用なプロモーターは、Romanos et al, 1992, Yeast 8:423-488 によって記載されている。
E. coliとの使用に適するプロモーター配列は、T7プロモーター、T5プロモーター、トリプトファン(trp)プロモーター、ラクトース(lac)プロモーター、トリプトファン/ラクトース(tac)プロモーター、リポタンパク質(lpp)プロモーター、及びプラスミド中のλファージPLプロモーターを含む。
ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドの発現を駆動するプロモーターは、好ましくは、ヘルパー遺伝子のプロモーターに対して内因性ではない。好ましくは、組換えプロモーターは、ヘルパータンパク質遺伝子の内因性プロモーターの代わりに使用される。
エンハンサー
好ましい実施態様において、過剰発現は、ヘルパータンパク質の発現を駆動するプロモーター活性を増大させるエンハンサーを使用することによって達成される。転写エンハンサーは、比較的配向及び位置に依存せず、転写ユニットの5’及び3’、イントロン内、並びにそのコーディング配列内に見出されている。エンハンサーは、コーディング配列の5’又は3’位置で発現ベクターにスプライシングされ得るが、好ましくはプロモーターから5’部位に位置する。ほとんどの酵母遺伝子は、一般にキャップ部位の数百塩基対内にある唯一1つのUASを含有し、そして、ほとんどの酵母エンハンサー(UAS)は、プロモーターの3’に位置している場合機能することができないが、より高等な真核生物中のエンハンサーは、プロモーターの5’及び3’の両方で機能することができる。
多くのエンハンサー配列が、現在、哺乳動物遺伝子(グロビン、RSV、SV40、EMC、エラスターゼ、アルブミン、a−フェトタンパク質及びインスリン)から公知である。また、SV40後期エンハンサー、サイトメガロウイルス初期プロモーターエンハンサー、複製起点の後期側上のポリオーマエンハンサー、及びアデノウイルスエンハンサーなどの、真核生物細胞ウイルス由来のエンハンサーを使用し得る。サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)由来のUAS/Gal系などの、上流活性化配列(UAS)とも呼ばれる酵母エンハンサーが、酵母プロモーターと共に有利に使用され得る(欧州特許第0317254号及びRudoni et al., The International Journal of Biochemistry and Cell Biology, (2000), 32(2):215-224 に記載されている)。
好ましい実施態様において、本発明によって開示されるヘルパータンパク質の2、3、4、5、6、7、8、9以上のタイプが過剰発現される。例えば、宿主細胞は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体から選択されるヘルパータンパク質の2、3、4、5、6、7、8、9以上を過剰発現するように改変され得、ここで、その機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有する。
目的タンパク質
宿主細胞がヘルパータンパク質及び目的タンパク質の共発現のための好適な条件下で培養され得る場合、宿主細胞は、目的タンパク質を発現し、そして、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するだろうと予想され、ここで、機能的相同体は、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162のいずれか1つに示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する。
用語「目的タンパク質」(POI)は、本明細書において使用されるとおり、宿主細胞において組換え技術によって産生されるタンパク質を指す。より具体的には、タンパク質は、宿主細胞において天然に存在しないポリペプチド、すなわち、異種タンパク質であり得るか、又は宿主細胞にネイティブな、すなわち、宿主細胞に相同なタンパク質であり得るかのいずれかであるが、例えば、POIをコードする核酸配列を含有する自己複製ベクターを用いた形質転換によって、又は宿主細胞のゲノム中へのPOIをコードする核酸配列の1以上のコピーの組換え技術による組み込みで、又はPOIをコードする遺伝子の発現を制御する1以上の制御配列の、例えば、プロモーター配列の組換え修飾によって産生される。一般に、本明細書において称される目的タンパク質は、当業者に周知の組換え発現の方法によって産生され得る。
目的タンパク質(POI)に関して制限はない。POIは、通常、真核生物又は原核生物のポリペプチド、そのバリアント又は誘導体である。POIは、任意の真核生物又は原核生物のタンパク質であることができる。POIの例は、Schmidt, Appl. Microbiol. Biotechnol. (2004), 65: 363-372 又は Kirk et al., Curr. Opin. Biotechnol. (2002), 13: 345-351に記載されている。Schmidtの表1及び2並びにKirk等の表1に挙げたタンパク質はいずれも、本明細書において使用されるとおりの用語「POI」に包含される。タンパク質は、天然に分泌されるタンパク質又は細胞内タンパク質(すなわち、天然に分泌されないタンパク質)であることができる。本発明はまた、タンパク質の生物学的に活性な断片を含む。別の実施態様において、POIは、アミノ酸鎖であり得るか、又は二量体、三量体、ヘテロ二量体、多量体若しくはオリゴマーなどの複合体で存在し得る。
目的タンパク質は、例えば食品製品、飼料産生物、又は化粧品における、栄養剤、規定食、消化剤、サプリメントとして使用されるタンパク質であり得る。食品製品は、例えば、ブイヨン、デザート、シリアルバー、菓子類、スポーツドリンク、ダイエット製品又は他の栄養製品であり得る。好ましくは、目的タンパク質は、食品添加物である。
別の実施態様において、目的タンパク質は、動物飼料において使用され得る。POIは、マイコトキシン分解酵素などの解毒酵素であり得る。解毒酵素は、毒性を低下させるように毒素を破壊する酵素を意味する。マイコトキシンは、作物に容易に定着する真菌によって産生される有毒の二次代謝産物であり、しばしば作物に損害を与える能力によって特徴付けられ、人及び動物に健康上の問題を引き起こす。マイコトキシン分解酵素は、アフラトキシンデトキシザイム(aflatoxin detoxizyme)、ゼアラレノンエステラーゼ、ゼアラレノンラクトナーゼ、ゼアラレノンヒドロラーゼ、フモニシンカルボキシルエステラーゼ、フモニシンアミノトランスフェラーゼ、アミノポリオールアミンオキシダーゼ、デオキシニバレノールエポキシドヒドロラーゼを含む。POIはまた、オクラトキシン誘導体又は麦角アルカロイドを分解する酵素でもあり得る。オクラトキシンは、アスペルギルス (Aspergillus)又はペニシリウム(Penicillium)科の数種の真菌によって二次代謝産物として産生されるマイコトキシンの一群であり、イソクマリンの誘導体からなる弱有機酸である。A、B及びCで表示される3種の一般に認識されているオクラトキシンがある。オクラトキシンAは、オクラトキシンファミリーの最も豊富に存在するメンバーであり、このことから最も一般的に検出されるが、加えて最も毒性が強い。オクラトキシンA(ochratoxin A)は、穀物中及び他の高デンプン食物中に存在する腎毒性、催奇形性、肝毒性、及び発癌性のマイコトキシンである。麦角アルカロイドは、アミド結合を含有する化合物であり、例えば、エルゴコルニン、エルゴコルニニン、エルゴクリスチン、エルゴクリスチニン、エルゴクリプチン、エルゴクリプチニン、エルゴメトリン、エルゴシン、エルゴタミン及びエルゴタミニンを含む。これらの化合物は、ヒト及び家畜を含む生きている生物に毒性である。そのような酵素の例は、オクラトキシンアミダーゼ、エルゴタミンヒドロラーゼ、エルゴタミンアミラーゼを含む。動物飼料中のマイコトキシン分解酵素は、飼料のマイコトキシン汚染を制御するのに有用である。
POIのさらなる例は、ラクトフェリン、リゾチーム、ラクトフェリシン、ラクトヘドリン、κ−カゼイン、ハプトコリン、ラクトパーオキシダーゼ、乳タンパク質、急性期タンパク質(例えば、感染に応答して産生動物において通常産生されるタンパク質)、及び低分子抗菌タンパク質(リゾチーム及びラクトフェリンなど)などの抗菌タンパク質を含む。他の例は、殺菌タンパク質、抗ウイルスタンパク質、急性期タンパク質(感染に応答して産生動物において誘導される)、プロバイオティクスタンパク質、静菌タンパク質、及びカチオン性抗菌タンパク質を含む。
「飼料」は、任意の天然若しくは人工の餌、食事など、又はヒト以外の動物による食べる、摂取する、消化することを意図した若しくはそれに適したそのような食事の成分を意味する。「飼料添加物」は、一般に、飼料中に加えられる物質を指す。それは、典型的には、ビタミン類、ミネラル類、酵素並びに好適な担体及び/又は賦形剤などの1以上の化合物を含む。本発明については、食品添加物は、酵素又は他のタンパク質であり得る。飼料添加物として使用され得る酵素の例は、フィターゼ、キシラナーゼ及びβ−グルカナーゼを含む。「食品」は、任意の天然若しくは人工の餌、食事など、又はヒトによる食べる、摂取する、消化することを意図した若しくはそれに適したそのような食事の成分を意味する。
「食品添加物」は、一般に、食品中に加えられる物質を指す。それは、典型的には、ビタミン類、ミネラル類、酵素並びに好適な担体及び/又は賦形剤などの1以上の化合物を含む。本発明については、食品添加物は、酵素又はタンパク質であり得る。食品添加物として使用され得る酵素の例は、プロテアーゼ、リパーゼ、ラクターゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチナーゼ、トランスグルタミナーゼ、アミラーゼ 、β−グルカナーゼ、アセト乳酸デカルボキシラーゼ及びラッカーゼを含む。
いくつかの実施態様において、食品添加物は、例えば以下を含む、抗菌タンパク質である:(i)抗菌乳タンパク質(ヒト又は非ヒトのいずれか)ラクトフェリン、リゾチーム、ラクトフェリシン、ラクトヘドリン、κ−カゼイン、ハプトコリン、ラクトパーオキシダーゼ、α−1−アンチトリプシン、及び免疫グロブリン、例えばIgA、(ii)急性期タンパク質、例えばC−反応性タンパク質(CRP);ラクトフェリン;リゾチーム;血清アミロイドA(SAA);フェリチン;ハプトグロビン(Hp);補体2〜9、特に補体3;血清ムコイド;セルロプラスミン(Cp);15−ケト−13,14−ジヒドロ−プロスタグランジンF2α(PGFM);フィブリノーゲン(Fb);α(1)−酸糖タンパク質(AGP);α(1)−アンチトリプシン;マンノース結合タンパク質;リポ多糖結合タンパク質;α−2マクログロブリン及び種々のディフェンシン、(iii)セクロピン、マガイニン、ディフェンシン、タキプレシン、パラシンI、ブフォリンI、PMAP−23、モロネシジン、アノプリン、ガンビシン、及びSAMP−29などの抗菌ペプチド、並びに(iv)CAP37、グラニュリシン、分泌型白血球プロテアーゼ阻害剤、CAP18、ユビキシジン、ウシ抗菌タンパク質−1、Ace−AMP1、タキプレシン、ビッグディフェンシン、Ac−AMP2、Ah−AMP1、及びCAP18を含む他の抗菌タンパク質。
酵素:
POIは、酵素であり得る。好ましい酵素は、例えば洗剤、デンプン、燃料、織物、パルプ及び紙、油、パーソナルケア製品の製造における、又は、例えば焼き付け、有機合成などのための産業用途に使用され得るものである。そのような酵素の例は、染み抜き及び洗浄用のプロテアーゼ、アミラーゼ 、リパーゼ、マンナナーゼ及びセルロース;デンプンの液状化及び糖化用のプルラナーゼアミラーゼ及びアミログルコシダーゼ;グルコースからフルクトースへの変換用のグルコースイソメラーゼ;シクロデキストリン生産用のシクロデキストリン−グリコシルトランスフェラーゼ;燃料及びデンプン中の粘度(xiscosity)低下用のキシラナーゼ;パン生地安定性及び焼き付けの条件付け用のアミラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、グルコース、オキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、トランスグルタミナーゼ;デニム仕上加工及び綿軟化用の織物製造におけるセルラーゼ;繊維の糊抜き用のアミラーゼ;精練用のペクチン酸リアーゼ;漂白終了用のカタラーゼ;漂白用のラッカーゼ;過剰な染料除去用のペルオキシダーゼ;パルプ及び紙生産におけるリパーゼ、プロテアーゼ、アミラーゼ、キシラナーゼ、セルロース;エステル交換反応用のリパーゼ並びに脂肪及び油の脂肪加工における脱ガム(de-gumming)用のホスホリパーゼ;有機合成におけるキラルアルコール及びアミドの分割用のリパーゼ;半合成ペニシリンの合成用のアシラーゼ、エナンチオピュアなカルボン酸の合成用のニトリラーゼ;革生産用のプロテアーゼ及びリパーゼ;パーソナルケア製品製造用のアミログルコシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、及びペルオキシダーゼを含む(Kirk et al., Current Opinion in Biotechnology (2002) 13:345-351 を参照のこと)。
治療用タンパク質
POIは、治療用タンパク質であり得る。POIは、本明細書においてより詳述されるとおりの、抗体又は抗体断片、成長因子、ホルモン、酵素、ワクチンなどのような生物医薬物質として好適なタンパク質であり得るが、これらの限定されない。
POIは、天然に分泌されるタンパク質又は細胞内タンパク質(すなわち、天然に分泌されないタンパク質)であり得る。本発明はまた、天然に分泌される又は天然に分泌されないタンパク質の機能的相同体、機能的に等価なバリアント、誘導体及び生物学的に活性な断片の組換え産生を提供する。機能的相同体は、好ましくは、配列が同一であるか又は対応し、かつ配列の機能的特徴を有する。
POIは、ネイティブなタンパク質と構造的に類似し得、そして、ネイティブなタンパク質のC末端及びN末端のいずれか若しくは両方又は側鎖への1以上のアミノ酸の付加、ネイティブなアミノ酸配列の1つの部位又は多数の異なる部位における1以上のアミノ酸の置換、ネイティブなタンパク質の一方若しくは両方の末端又はアミノ酸配列の1つ若しくはいくつかの部位における1以上のアミノ酸の欠失、あるいは、ネイティブなアミノ酸配列の1以上の部位における1以上のアミノ酸の挿入によって、ネイティブなタンパク質から誘導され得る。そのような修飾は、上に挙げたタンパク質の数種について周知されている。
好ましくは、目的タンパク質は、哺乳動物のポリペプチドであるか又はさらにより好ましくはヒトポリペプチドである。とりわけ好ましい治療用タンパク質は、哺乳動物に投与され得る、任意のポリペプチド、タンパク質、タンパク質バリアント、融合タンパク質及び/又はその断片を指す。本発明に係る治療用タンパク質が細胞と異種であると予想されるが、その必要はない。本発明の細胞によって産生され得るタンパク質の例は、非限定的に、酵素、調節タンパク質、受容体、ペプチドホルモン、成長因子、サイトカイン、スキャフォールド結合タンパク質(例えば、アンチカリン)、構造タンパク質、リンホカイン、接着分子、受容体、膜又は輸送タンパク質、並びにアゴニスト若しくはアンタゴニストとして働く及び/又は治療的若しくは診断的用途を有し得る任意の他のポリペプチドである。さらに、目的タンパク質は、ワクチン接種、ワクチン、抗原結合タンパク質、免疫刺激タンパク質のために使用されるような抗原であり得る。それはまた、当技術分野において公知の任意の好適な抗原結合抗体断片を含むことができる、抗体の抗原結合断片でもあり得る。例えば、抗体断片は、限定されないが、Fv(VL及びVHを含む分子)、一本鎖Fv(scFV)(ペプチドリンカーによって結合されたVL及びVHを含む分子)、Fab、Fab’、F(ab’)、単一ドメイン抗体(sdAb)(単一の可変ドメイン及び3つのCDRを含む分子)、及びそれらの多価提示物を含み得る。抗体又はその断片は、マウス、ヒト、ヒト化若しくはキメラ抗体又はその断片であり得る。治療用タンパク質の例は、抗体、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、組換え抗体、抗体断片(Fab’、F(ab’)2、Fv、scFv、ジ−scFv、バイscFv、タンデムscFv、二重特異性タンデムscFv、sdAb、ナノボディ、V、及びVなど)、又はヒト抗体、ヒト化抗体、キメラ抗体、IgA抗体、IgD抗体、IgE抗体、IgG抗体、IgM抗体、イントラボディ(intrabody)、ミニボディ又はモノボディを含む。
そのような治療用タンパク質は、インスリン、インスリン様成長因子、hGH、tPA、サイトカイン、例えばインターロイキン(IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18など)、インターフェロン(IFN)α、IFNβ、IFNγ、IFNω又はIFNτ、腫瘍壊死因子(TNF)TNFα及びTNFβ、TRAIL;G−CSF、GM−CSF、M−CSF、MCP−1及びVEGFを含むが、それらに限定されない。
好ましい実施態様において、タンパク質は、抗体である。用語「抗体」は、エピトープに適合しこれを認識する、特定の形状を有する任意のポリペプチド鎖含有分子構造を含むことを意図し、そこで1以上の非共有結合相互作用がその分子構造とエピトープ間の複合体を安定化させる。原型的な抗体分子は、免疫グロブリンであり、全ての供給源(例えば、ヒト、齧歯動物、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ブタ、イヌ、他の哺乳動物、ニワトリ、他のトリ類など)に由来する、免疫グロブリンの全てのタイプ(IgG、IgM、IgA、IgE、IgDなど)が「抗体」であると考慮される。多数の抗体コーディング配列が記載されており;そして、他のものは、当技術分野において周知の方法によって作製され得る。
例えば、抗体又は抗原結合断片は、当技術分野において公知の方法によって産生され得る。一般に、抗体産生細胞は、所望の抗原又は免疫原へ感作される。抗体産生細胞から単離されたメッセンジャーRNAは、PCR増幅を使用してcDNAを作製するためのテンプレートとして使用される。増幅された免疫グロブリンcDNAの適切な切片の発現ベクター中への挿入によって、初期抗原特異性を保持する、1つの重鎖遺伝子及び1つの軽鎖遺伝子を各々含有するベクターのライブラリーが産生される。コンビナトリアルライブラリーは、重鎖遺伝子ライブラリーと軽鎖遺伝子ライブラリーとを組み合わせることによって構築される。これは、結果として、重鎖及び軽鎖(抗体分子のFab断片又は抗原結合断片と類似する)を共発現するクローンのライブラリーを生じる。これらの遺伝子を担持するベクターは、宿主細胞中に共トランスフェクトされる。抗体遺伝子合成がトランスフェクトされた宿主中で誘導される場合、重鎖及び軽鎖タンパク質は自己集合して、抗原又は免疫原を用いたスクリーニングによって検出され得る活性な抗体を生成する。
目的の抗体コーディング配列は、天然配列によってコードされるもの、並びに、遺伝暗号の縮重のために、開示された核酸と配列が同一ではない核酸及びそのバリアントを含む。バリアントポリペプチドは、アミノ酸(aa)置換、付加又は欠失を含むことができる。アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換、あるいは、グリコシル化部位を変化させるか又は機能にとって必須ではない1以上のシステイン残基の置換若しくは欠失によるミスフォールディングを最小限に抑えるためなどの、非必須アミノ酸を除去する置換であることができる。バリアントは、タンパク質の特定の領域(例えば、機能性ドメイン、触媒性アミノ酸残基など)の生物活性を保持するか又は増大するように設計され得る。バリアントはまた、本明細書に開示されるポリペプチドの断片、特に、生物学的に活性な断片及び/又は機能性ドメインに対応する断片を含む。クローニングされた遺伝子のインビトロ突然変異誘発のための技術は公知である。また、タンパク質分解に対する抵抗性を改善する又は溶解性を最適化する又は治療薬剤としてより適したものにするように、通常の分子生物学的技術を使用して修飾されたポリペプチドも、主題発明に含まれる。
キメラ抗体は、ある種の抗体産生細胞から得られた可変軽鎖及び重鎖領域(VK及びVH)と別の種からの定常軽鎖及び重鎖領域とを組み合わせることよる組換え手段によって作製され得る。典型的には、キメラ抗体は、ヒトドメインが優勢である抗体を産生するために、齧歯動物又はウサギの可変領域及びヒトの定常領域を利用する。そのようなキメラ抗体の産生は、当技術分野において周知であり、標準的な手段によって達成され得る(例えば、米国特許第5,624,659号に記載されているとおり)。
ヒト化抗体は、さらに多くのヒト様免疫グロブリンドメインを含有するように、かつ動物由来抗体の相補性決定領域だけを組み込むように改変される。これは、モノクローナル抗体の可変領域の超可変ループの配列を注意深く検査し、そして、それらをヒト抗体鎖の構造に適合することによって成し遂げられる。表面的には複雑であるが、そのプロセスは実際のところ単純である。例えば、米国特許第6,187,287号を参照のこと。
免疫グロブリン全体(又はそれらの組換え対応物)に加えて、エピトープ結合部位を含む免疫グロブリン断片(例えば、Fab’、F(ab’)2、又は他の断片)が合成され得る。「断片」又は最小免疫グロブリンは、組換え免疫グロブリン技術を利用して設計され得る。例えば、本発明における使用のための「Fv」免疫グロブリンは、可変軽鎖領域及び可変重鎖領域を合成することによって産生され得る。抗体の組み合わせ、例えば2つの別個のFv特異性を含む二特異性抗体もまた興味深い。
本発明の方法及び組成物において、免疫グロブリンが、例えば、化学リンカー、検出可能な部分(例えば、蛍光色素、酵素、基質、化学発光部分など)を加えるために、翻訳後修飾され得るか、又は特異的結合部分(例えば、ストレプトアビジン、アビジン、又はビオチンなど)が利用され得る。
治療用タンパク質のさらなる例は、血液凝固因子(VII、VIII、IX)、フザリウム(Fusarium)由来のアルカリプロテアーゼ、カルシトニン、CD4受容体ダルベポエチン、DNase(嚢胞性線維症)、エリスロポエチン、ユートロピン(ヒト成長ホルモン誘導体)、卵胞刺激ホルモン(フォリトロピン)、ゼラチン、グルカゴン、グルコセレブロシダーゼ(ゴーシェ病)、アスペルギルス・ニガー(A. niger)由来のグルコアミラーゼ、アスペルギルス・ニガー(A. niger)由来のグルコースオキシダーゼ、ゴナドトロピン、成長因子(GCSF、GMCSF)、成長ホルモン(ソマトトロピン)、B型肝炎ワクチン、ヒルジン、ヒト抗体断片、ヒトアポリポタンパク質AI、ヒトカルシトニン前駆体、ヒトコラゲナーゼIV、ヒト上皮成長因子、ヒトインスリン様成長因子、ヒトインターロイキン6、ヒトラミニン、ヒトプロアポリポタンパク質AI、ヒト血清アルブミンインスリン、インスリン及び突然変異タンパク質、インスリン、インターフェロンα及び突然変異タンパク質、インターフェロンβ、インターフェロンγ(突然変異タンパク質)、インターロイキン2、黄体形成ホルモン、モノクローナル抗体5T4、マウスコラーゲン、OP−1(骨原性、神経保護因子)、オプレルベキン(インターロイキン11−アゴニスト)、有機ホスホヒドロラーゼ、PDGF−アゴニスト、フィターゼ、血小板由来成長因子(PDGF)、組換えプラスミノゲン活性化因子G、スタフィロキナーゼ、幹細胞因子、破傷風毒素断片C、組織プラスミノゲン活性化因子、並びに腫瘍壊死因子を含む(Schmidt, Appl Microbiol Biotechnol (2004) 65:363-372 を参照のこと)。
リーダー配列
目的タンパク質は、宿主細胞からPOIの分泌を引き起こすリーダー配列と連結され得る。発現ベクター中のそのような分泌リーダー配列の存在は、組換え発現及び分泌を意図するPOIが、天然に分泌されずこのため天然の分泌リーダー配列を欠いているか又はそのヌクレオチド配列がその天然の分泌リーダー配列なしにクローニングされている、タンパク質である場合に必要とされる。一般に、宿主細胞からPOIの分泌を引き起こすのに効果的な任意の分泌リーダー配列が本発明において使用され得る。分泌リーダー配列は、酵母源、例えば酵母α−因子、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)のMFa、又は酵母ホスファターゼに、哺乳動物若しくは植物源などに由来し得る。適切な分泌リーダー配列の選択は、当業者に明らかである。代替的に、分泌リーダー配列は、発現ベクターにおけるヌクレオチド配列のクローニングの前に、又は天然分泌リーダー配列を含むPOIをコードするヌクレオチド配列が発現ベクター中にクローニングされる前に、当業者に公知の慣用のクローニング技術によって、組換え発現を意図するPOIをコードするヌクレオチド配列に融合され得る。これらの場合、発現ベクター中の分泌リーダー配列の存在は必要ではない。
POIをコードする組換えヌクレオチド配列、並びにヘルパータンパク質をコードするものはまた、1以上の自己複製プラスミド上に1細胞当たり単一コピーで又は複数のコピーで提供され得る。
代替的に、POIをコードする組換えヌクレオチド配列及びヘルパータンパク質をコードする組換えヌクレオチド配列は、同じプラスミド上に1細胞当たり単一コピー又は複数のコピーで存在する。
KOタンパク質の過小発現
本発明者等はまた、数種のタンパク質(本明細書においてノックアウト(KO)タンパク質と称され、KO1、KO2、KO3及びその機能的相同体を含む)を同定し、その発現は、宿主細胞からのPOIの収量に負の影響を有することが観察された。KOタンパク質は、配列番号10、11若しくは12又はその機能的相同体のアミノ酸配列を有するタンパク質を指し、ここで、機能的相同体は、配列番号:10、11又は12に示されるアミノ酸配列に対して、少なくとも30%、少なくとも30%、例えば、少なくとも31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99又は100%の配列同一性を有する。さらに、突然変異又は欠失などのKOタンパク質をコードする遺伝子の修飾が、POIの収量を増加させることができることが発見された。この開示は、本発明者等によって同定された遺伝子を過小発現するように宿主細胞を改変することによって、POIの収量をさらに改善するために有用な方法及び材料を提供する。KO1、KO2、KO3遺伝子又は機能的相同体が宿主細胞中に存在する場合、これらは修飾され、POI収量を改善し得る。KOタンパク質の存在は、本明細書に提供される配列を考慮して当技術分野において公知の任意の方法で同定され得る。
当該タンパク質は、表2に列挙される:
好ましくは、宿主細胞は、配列番号:10、11若しくは12又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するKOタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するように改変され得、ここで、機能的相同体は、配列番号:10、11又は12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する。例えば、宿主細胞は、配列番号:10に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するように改変され得る。例えば、宿主細胞は、配列番号:11に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するように改変され得る。例えば、宿主細胞は、配列番号:12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するように改変され得る。
好ましくは、KO1、KO2、及び/又はKO3が過小発現される場合、宿主細胞中のモデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの収量は、KOタンパク質を過小発現するように改変する前の宿主細胞と比較して、少なくとも1%、例えば、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290又は少なくとも300%増加され得る。
用語「過小発現する」は、一般に、KOタンパク質を過小発現するように改変する前の宿主細胞である参照基準によって示された発現レベルより少ない任意の量を指す。本発明における、用語「過小発現する」、「過小発現すること」、「過小発現された」及び「過小発現」は、宿主細胞の遺伝的変化の前の又は遺伝的に変化されていない同等な宿主における、同じ遺伝子産物又はポリペプチドの発現より小さいレベルでの遺伝子産物又はポリペプチドの発現を指す。また、遺伝子産物又はポリペプチドの発現がないことも、用語「過小発現」に包含される。
過小発現は、KO1、KO2及びKO3の1以上又はその機能的相同体の機能的発現を抑制する任意の方法によって実行され得る。これは、結果として、その機能を発揮することができない。過小発現の手段は、遺伝子サイレンシング(例えば、RNAi遺伝子アンチセンス)、ノックアウトすること、発現レベルを変化させること、発現パターンを変化させること、遺伝子配列を突然変異誘発すること、配列を破壊すること、挿入、付加、突然変異、発現制御配列を修飾することなどを含み得る。
好ましくは、過小発現は、宿主細胞においてKOタンパク質をコードするポリヌクレオチドをノックアウトすることによって達成される。遺伝子は、コーディング配列の全体又は一部を欠失させることによってノックアウトされ得る。遺伝子ノックアウト体を作製する方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Kuhn and Wurst (Eds.) Gene Knockout Protocols (Methods in Molecular Biology) Humana Press (March 27, 2009) を参照のこと。遺伝子はまた、遺伝子配列の一部又は全てを除去することによってノックアウトされ得る。代替的に、遺伝子は、耐性遺伝子などのヌクレオチド配列の挿入によってノックアウト又は不活性化され得る。代替的に、遺伝子は、そのプロモーターを不活性化することによってノックアウト又は不活性化され得る。
ある実施態様において、過小発現は、宿主細胞において遺伝子をコードするポリヌクレオチドを破壊することによって達成される。
「破壊」は、破壊する前の元々の配列と比較して、1以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基の付加、欠失、又は置換を生じたヌクレオチド又はアミノ酸配列の変化である。
「挿入」又は「付加」は、破壊する前の元々の配列と比較して、1以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基が付加された核酸又はアミノ酸配列の変化である。
「欠失」は、1以上のヌクレオチド又はアミノ酸残基がそれぞれ除去されている(すなわち、存在しない)、ヌクレオチド又はアミノ酸配列のいずれかの変化として定義される。欠失は、配列全体の欠失、コーディング配列の一部の欠失、又は単一のヌクレオチド若しくはアミノ酸残基の欠失を包含する。
「置換」は、一般に、ヌクレオチド又はアミノ酸残基の、他のヌクレオチド又はアミノ酸残基での置き換えを指す。「置換」は、部位特異的突然変異、ランダム突然変異の生成、及びギャップド・デュプレックス(gapped-duplex)アプローチによって実行され得る(例えば、米国特許第4,760,025号; Moring et al., Biotech. (1984) 2:646 ; 及び Kramer et al., Nucleic Acids Res., (1984) 12:9441) を参照のこと)。
好ましくは、破壊は、結果として、フレームシフト突然変異、早期停止コドン(early stop codon)、重要な残基の点突然変異、意味のない又はそうでなければ非機能的なタンパク質産物の翻訳を生じる。
別の実施態様において、過小発現は、前記ポリペプチドと作動可能に連結されたプロモーターを破壊することによって達成される。プロモーターは、下流遺伝子の転写を指示する。プロモーターは、所与の遺伝子を発現するために、エンハンサー、リボソーム結合部位、転写開始配列及び停止配列、翻訳開始配列及び停止配列、並びにエンハンサー配列又は活性化配列などの他の発現制御配列と一緒に必要である。このため、ポリペプチドの発現を妨害するために発現制御配列のいずれかを破壊することも可能である。
別の実施態様において、過小発現は、転写後遺伝子サイレンシング(PTGS)によって達成される。当技術分野において一般的に使用される技術であるPTGSは、破壊を必要とする遺伝子に対して高頻度にアンチセンスな異種RNA配列の発現を介して、遺伝子の発現レベルを減少させる(Lechtreck et al., J. Cell Sci (2002). 115:1511-1522; Smith et al., Nature (2000). 407:319-320; Furhmann et al., J. Cell Sci (2001). 114:3857-3863; Rohr et al., Plant J (2004). 40(4):611-21)。
「過小発現」は、遺伝子発現を低下させる当技術分野において任意の公知の技術で達成され得る。例えば、ポリペプチドと作動可能に連結されたプロモーターは、より低いプロモーター活性を有する別のプロモーターと置き換えられ得る。プロモーター活性は、その転写効率によって評価され得る。これは、プロモーターからのmRNA転写の量の測定(例えば、ノーザンブロッティング、定量的PCRによる)によって直接的に、又はプロモーターから発現された遺伝子産物の量の測定によって間接的に決定され得る。過小発現は、別の実施態様において、KOタンパク質が機能的になるために適切に折り畳まれることがないように、発現されたKOタンパク質のフォールディングに干渉することによって達成され得る。例えば、突然変異を導入して、KOタンパク質のジスルフィド結合形成を排除するか又はαヘリックス及びβシートの形成を破壊することができる。
さらなる態様において、本発明は、目的タンパク質を製造するための、改変された宿主細胞の使用を提供する。当該宿主細胞は、1以上のPOIをコードするポリペプチドを導入するために有利に使用され得、その後、好適な条件下で培養されて、POIが発現され得る。そのような使用の詳細は、本発明の方法に関する後続の項に記載される。
ヘルパータンパク質及びPOIをコードするポリヌクレオチドは、1つのベクター中に関連する遺伝子を各々ライゲーションすることによって、宿主細胞中で組換えられ得る。遺伝子を担持する単一のベクター、又は、一方がヘルパータンパク質遺伝子を担持し他方がPOI遺伝子を担持する2つの別々のベクターを構築することが可能である。これらの遺伝子は、そのようなベクター(1つ又は複数)を使用して宿主細胞を形質転換することによって、宿主細胞ゲノム中に組み込まれ得る。いくつかの実施態様において、POIをコードする遺伝子は、ゲノム中に組み込まれ、そして、ヘルパータンパク質をコードする遺伝子は、プラスミド又はベクター中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、ヘルパータンパク質をコードする遺伝子は、ゲノム中に組み込まれ、そして、POIをコードする遺伝子は、プラスミド又はベクター中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、POI及びヘルパータンパク質をコードする遺伝子はゲノム中に組み込まれる。いくつかの実施態様において、POI及びヘルパータンパク質をコードする遺伝子は、プラスミド又はベクター中に組み込まれる。POIをコードする複数の遺伝子が使用される場合、POIをコードするいくつかの遺伝子はゲノム中に組み込まれ、一方、他のものは同じ又は異なるプラスミド又はベクター中に組み込まれる。ヘルパータンパク質をコードする複数の遺伝子が使用される場合、ヘルパータンパク質をコードする遺伝子のいくつかはゲノム中に組み込まれ、一方、他のものは同じ又は異なるプラスミド又はベクター中に組み込まれる。さらなる教示は、本出願の以下の項に見出され得る。
一般に、目的タンパク質は、組換え宿主細胞を使用して、宿主細胞を適切な培地中で培養し、培養物から発現されたPOIを単離し、そして、特に細胞からPOIを分離するための、発現された生成物に適切な方法によってそれを精製することによって産生され得る。
さらなる態様において、本発明は、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法であって、本発明のポリヌクレオチドを過剰発現することを含む方法に関する。ポリヌクレオチドは、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162のいずれか1つに示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するヘルパータンパク質をコードする。
本明細書において使用されるとおり、用語「宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる」は、目的タンパク質の収量が、同じ培養条件下で同じPOIを発現する同じ細胞と比較した場合に増加することを意味するが、ヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドが過剰発現されることを伴わない。
当業者に理解されるとおり、本発明のヘルパータンパク質の過剰発現は、POIの生成物収量を増加させることが示された。このため、増加したとするレベルでPOIを発現した所与の宿主細胞について、ヘルパータンパク質が宿主細胞中に存在しない場合は、宿主細胞中のヘルパータンパク質のいずれか1つ又は数種を発現すること、又はヘルパータンパク質をコードする遺伝子が宿主細胞中に既に存在している場合は、細胞中のヘルパータンパク質の発現のレベルをさらに増加させることによって本発明を適用することが可能である。
別のさらなる態様において、本発明は、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法を提供する。本方法は、(i)ヘルパータンパク質を発現又は過剰発現するように宿主細胞を改変すること、(ii)前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、及び(iii)前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養することを含む。(i)及び(ii)に示した工程が、その示した順序で実施される必要がないことに留意すべきである。最初に、(ii)に示した工程を実施し、次に、(i)に示した工程を実施することが可能である。工程(i)では、宿主細胞が、配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162のいずれか1つに示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変され得る。
ポリヌクレオチド配列(例えば、ヘルパータンパク質及び/又はPOIをコードする)、プロモーター、エンハンサー、リーダーなどを操作するために使用される手順は、当業者に周知であり、例えば、J. Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (3rd edition), Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York (2001) に記載されている。
ヘルパータンパク質又はPOIをコードするポリヌクレオチドなどの外来又はターゲットポリヌクレオチドは、種々の手段によって、例えば、相同組換えによって又は組み込み部位で配列を特異的にターゲッティングするハイブリッドリコンビナーゼを使用することによって染色体中に挿入され得る。上述した外来又はターゲットポリヌクレオチドは、典型的には、ベクター(「挿入ベクター」)中に存在する。これらのベクターは、典型的には環状であり、そして、相同組換えに使用される前に線形化される。代替として、外来又はターゲットポリヌクレオチドは、融合PCRによって結合されたDNA断片であるか又は合成的に構築されたDNA断片であり得、その後宿主細胞中で組換えられる。相同なアームに加えて、ベクターはまた、選択又はスクリーニングに適するマーカー、複製起点、及び他の要素を含有し得る。ランダムな又はターゲッティングしない組み込みを生じる異種組換えを使用することも可能である。異種組換えは、DNA分子と顕著に異なる配列との間の組換えを指す。組換えの方法は、当技術分野において公知であり、例えば、Boer et al., Appl Microbiol Biotechnol (2007) 77:513-523 に記載されている。また、酵母細胞の遺伝子操作については、Principles of Gene Manipulation and Genomics by Primrose and Twyman (7thedition, Blackwell Publishing 2006) を参照することもできる。
ヘルパータンパク質及び/又はPOIをコードするポリヌクレオチドはまた、発現ベクター上に存在し得る。そのようなベクターは当技術分野において公知であり、既に上述している。発現ベクターにおいて、プロモーターは、異種タンパク質をコードする遺伝子の上流に位置し、遺伝子の発現を調節する。マルチクローニングベクターは、そのマルチクローニングサイトのためにとりわけ有用である。発現のために、プロモーターは、一般に、マルチクローニングサイトの上流に位置する。ヘルパータンパク質及び/又はPOIをコードするポリヌクレオチドの組み込みのためのベクターは、最初にヘルパータンパク質及び/又はPOIをコードするDNA配列全体を含有するDNA構築物を調製し、その後、この構築物を好適な発現ベクター中に挿入するか、又はリーダー配列、ターゲットDNA配列などの個々の要素に関する遺伝情報を含有するDNA断片を連続的に挿入し、続いてライゲーションするかのいずれかによって構築され得る。断片の制限及びライゲーションの代替として、付着部位(att)及び組換え酵素に基づいた組換え法が使用され、DNA配列がベクター中に挿入され得る。そのような方法は、例えば、Landy (1989) Ann. Rev. Biochem. 58:913-949 に記載されており、当業者に公知である。
本発明に係る宿主細胞は、ターゲットポリヌクレオチド配列を含むベクター又はプラスミドを細胞中に導入することによって得られ得る。真核生物細胞をトランスフェクト若しくは形質転換する又は原核生物細胞を形質転換するための技術は、当技術分野において周知である。これらは、脂質小胞媒介取り込み、ヒートショック媒介取り込み、リン酸カルシウム媒介トランスフェクション(リン酸カルシウム/DNA共沈降)、ウイルス感染(特定すると、例えば、改変アデノウイルスなどの改変ウイルスを使用した)、マイクロインジェクション及びエレクトロポレーションを含むことができる。原核生物の形質転換のために、技術は、ヒートショック媒介取り込み、インタクトな細胞との細菌原形質体融合、マイクロインジェクション及びエレクトロポレーションを含むことができる。植物の形質転換のための技術は、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(A. tumefaciens)によるなどのアグロバクテリウム(Agrobacterium)媒介移入、急速に推進されたタングステン又は金マイクロプロジェクト(microprojectile)、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション及びポリエチレングリコール(polyethylyne glycol)媒介取り込みを含む。DNAは、一本鎖又は二本鎖、線状又は環状、弛緩又はスーパーコイルDNAであることができる。哺乳動物細胞をトランスフェクトするための種々の技術については、例えば、Keown et al. (1990) Processes in Enzymology 185:527-537 を参照のこと。
さらなる態様において、本発明は、以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法を提供する:(i)配列番号:1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有するアミノ酸を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);及び(ii)宿主細胞を、ヘルパータンパク質を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること。
本明細書に開示される方法は、前記組換え宿主細胞を、POI及びヘルパータンパク質の発現を可能にする条件下で培養することをさらに含み得ることが理解される。組換えにより産生されたPOIは、次いで、発現系及び発現されるタンパク質の性質、例えば、タンパク質がシグナルペプチドに融合しているか否か及びタンパク質が可溶性であるか若しくは膜に結合しているか否かに応じて、細胞又は細胞培養培地から単離され得る。当業者に理解されるとおり、培養条件は、宿主細胞の種類、特に用いられる発現ベクターを含む要因に従って変わるだろう。シグナルペプチドは、一般に、正に荷電したN末端と、それに続く疎水性コアと、それに続くシグナルペプチダーゼとして公知の酵素のための認識部位を含有する。この酵素は、移行の間にタンパク質からシグナルペプチドを開裂する。タンパク質は、小胞体からゴルジ装置へと輸送され、次いで、タンパク質の性質に応じて分泌経路中の多数の経路の1つを進む。タンパク質は、例えば、培養培地中に分泌され得るか又は細胞表面上に保持され得る。細胞外ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞質ドメインを含む特定の受容体は、細胞膜上に保持され得るタンパク質の例であり、唯一細胞外ドメインだけが細胞外に位置している。特定の分泌されるタンパク質のリーダー配列は、シグナルペプチドに対してC末端に位置するペプチドを含み、シグナルペプチドの開裂の後に成熟目的タンパク質からプロセッシングされる。そのようなリーダーは、しばしばプレプロペプチドと称され、その中で、プレ領域はシグナル配列であり、そして、プロ領域はリーダーの残部を指定する。
1つの例は、シグナルペプチド(C末端シグナルペプチダーゼ認識部位AlaLeuAlaを含む)と、それに続くKEX2プロテアーゼプロセッシング部位を構成する塩基性アミノ酸対LysArgを含有するプロ領域と、その直後にプロ領域のC末端にペプチドGluAlaGluAlaを含有する、酵母α−因子リーダーである。このリーダーのプロセッシングは、シグナルペプチダーゼによるシグナルペプチドの除去、続く、KEX2プロテアーゼによるLys残基とArg残基間の開裂を伴う。GluAlaGluAla残基は、その後、STE13遺伝子の生成物であるペプチダーゼによって除去される(Julius et al., Cell (1983) 32:839)。酵母α−因子リーダーは、米国特許4,546,082号に記載されている。酵母細胞によって天然に分泌されるタンパク質に由来するシグナルペプチドが、酵母における異種タンパク質の産生のための組換え発現系に用いられている。また、酵母発現系における哺乳動物シグナルペプチドの使用も報告されているが、哺乳動物シグナルペプチドのある種のものは、酵母における異種タンパク質の分泌の促進に効果的ではなかった。
語句「所望のポリペプチドが発現されるように好適な条件下で培養すること」は、微生物を、所望の化合物の産生を得る又は所望のポリペプチドを得るために適切な又は十分な条件(例えば、温度、圧力、pH、期間など)下で維持及び/又は成長させることを指す。
ヘルパータンパク質遺伝子及び/又はPOI遺伝子での形質転換によって得られる本発明に係る宿主細胞は、好ましくは、異種タンパク質を発現する負担なしに多数の細胞を効率的に成長させる条件で最初に培養され得る。POI発現のために細胞が調製されると、好適な培養条件が選択及び最適化されてPOIが産生される。
例として、ヘルパー遺伝子及びPOIのための異なるプロモーター及び/又はコピー及び/又は組み込み部位を使用して、POIの発現に関する誘導の時点及び強度に対してヘルパー遺伝子の発現が制御され得る。例えば、POI発現の誘導の前に、ヘルパータンパク質が最初に発現され得る。これは、ヘルパータンパク質がPOI翻訳の開始時に既に存在するという利点を有する。代替的に、ヘルパータンパク質及びPOIは、同時に誘導され得る。
誘導性刺激が適用されるとすぐに活性化され、その制御下で遺伝子の転写を指示する、誘導性プロモーターが使用され得る。誘導性刺激のある成長条件下では、細胞は、通常、標準的な条件下よりもゆっくりと成長するが、培養物が前段階で高細胞数まで既に成長しているため、培養系は全体として多量の異種タンパク質を産生する。誘導性刺激は、好ましくは、適切な薬剤(例えば、AOX−プロモーターについてはメタノール)の添加又は適切な栄養素(例えば、MET3−プロモーターについてはメチオニン)の枯渇である。また、エタノール、メチルアミン、カドミウム又は銅、並びに熱又は浸透圧増加剤の添加も発現を誘導することができる。
本発明に係る宿主を、バイオリアクター中、最適化された成長条件下で培養して、少なくとも1g/L、好ましくは少なくとも10g/L細胞乾燥重量、より好ましくは少なくとも50g/L細胞乾燥重量の細胞密度を得ることが好ましい。実験室スケールだけでなく、パイロット又は産業スケールでもそのような収量の生体分子産生を達成するのに有利である。
本発明によれば、ヘルパータンパク質の共発現のために、バイオマスが低く維持される場合であってもPOIを高収量で得ることが可能である。したがって、POI(mg)/乾燥バイオマス(g)で測定される高い比収量(specific yield)は、1〜200、例えば50〜200、例えば100〜200の範囲であり得、実験室、パイロット及び産業スケールで実現可能である。本発明に係る産生宿主の比収量は、ヘルパータンパク質の過剰発現なしの生成物の発現と比較して、好ましくは少なくとも1.1倍、より好ましくは少なくとも1.2倍、少なくとも1.3又は少なくとも1.4倍の増加を提供し、いくつかの場合においては、2倍を超える増加が示され得る。
本発明に係る宿主細胞は、標準試験、例えばELISA、活性アッセイ、HPLC、表面プラズモン共鳴(Biacore)、ウエスタンブロット、キャピラリー電気泳動(Caliper)又はSDS-Pageによって、その発現/分泌能又は収量に関して試験され得る。
好ましくは、細胞は、好適な炭素源を含有する最少培地中で培養され、それによって単離プロセスが顕著にさらに単純化される。例として、最少培地は、利用可能な炭素源(例えば、グルコース、グリセロール、エタノール又はメタノール)、多量元素を含有する塩(カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、塩化物、硫酸塩、リン酸塩)及び微量元素を含有する塩(銅、ヨウ化物、マンガン、モリブデン酸塩、コバルト、亜鉛、及び鉄塩、及びホウ酸)を含有する。
酵母細胞の場合、細胞は、上述した発現ベクターの1以上で形質転換され、交配して二倍体株を形成し、そして、プロモーターを誘導する、形質転換体を選択する又は所望の配列をコードする遺伝子を増幅させるために適宜改変された慣用の栄養素培地中で培養され得る。酵母の成長に適する多数の最少培地が当技術分野において公知である。これらの培地のいずれかには、必要に応じて、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、及びリン酸塩など)、バッファー(HEPES、クエン酸及びリン酸バッファーなど)、ヌクレオシド(アデノシン及びチミジンなど)、抗生物質、微量元素、ビタミン類、及びグルコース又は等価なエネルギー源が補充され得る。当業者に公知であろう任意の他の必要なサプリメントも適切な濃度で含まれ得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞と共に以前に使用されたものであり、当業者に公知である。他の種類の宿主細胞のための細胞培養条件もまた公知であり、当業者によって容易に決定され得る。種々の微生物のための培養培地の記載は、例えば、教本“Manual of Methods for General Bacteriology” of the American Society for Bacteriology (Washington D.C, USA, 1981) に含有される。
細胞は、液体培地中で培養(例えば、維持及び/又は成長)され得、好ましくは、静置培養、試験管培養、振盪培養(例えば、回転振盪培養、振盪フラスコ培養など)、給気撹拌培養、又は発酵などの慣用の培養方法によって、連続的又は断続的のいずれかで培養される。いくつかの実施態様において、細胞は、振盪フラスコ又はディープウェルプレート中で培養される。さらに他の実施態様において、細胞は、バイオリアクター中で(例えば、バイオリアクター培養プロセスで)培養される。培養プロセスは、バッチ、フェッドバッチ及び連続培養方法を含むが、それらに限定されない。用語「バッチプロセス」及び「バッチ培養」は、培地、栄養素、サプリメント添加物などの組成が培養の開始時に設定されて培養の間変化を受けない閉鎖系を指すが、pH及び酸素濃度などのそのような因子を制御して、過剰な培地酸性化及び/又は細胞死を防止する試みもされ得る。用語「フェッドバッチプロセス」及び「フェッドバッチ培養」は、バッチ培養を指すが、培養が進行するにつれて1以上の基質又はサプリメントが加えられる(例えば、徐々に又は連続的に加えられる)ことは除く。用語「連続プロセス」及び「連続培養」は、既定の培養培地がバイオリアクターに連続的に加えられ、等量の使用済み又は「調整済み」培地が同時に除去される(例えば、所望の生成物の回収のために)系を指す。種々のそのようなプロセスが開発されており、当技術分野において周知である。
いくつかの実施態様において、細胞は、約12〜24時間培養され、他の実施態様において、細胞は、約24〜36時間、約36〜48時間、約48〜72時間、約72〜96時間、約96〜120時間、約120〜144時間、又は144時間よりも長い期間培養される。さらに他の実施態様において、培養は、POIの望ましい産生収量に達するのに十分な時間継続される。
上に挙げた方法は、発現されたPOIを単離する工程をさらに含み得る。POIが細胞から分泌される場合、それは、最先端技術を使用して、培養培地から単離及び精製され得る。細胞からのPOIの分泌が一般に好ましく、それは、生成物が、複雑なタンパク質の混合物から(細胞が破壊されて細胞内タンパク質を放出することになる)ではなく、培養液上清から回収されるためである。精製の間にタンパク質分解を阻害するのにフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)などのプロテアーゼ阻害剤が有用であり得、そして、外来の汚染菌の成長を防止するために抗生物質が含まれ得る。組成物は、当技術分野において公知の方法を使用して、濃縮、濾過、透析などされ得る。代替的に、培養された宿主細胞はまた、音波によって又は機械的に、酵素的に若しくは化学的に破裂され、所望のPOIを含有する細胞抽出物が得られ得、そこからPOIが単離及び精製され得る。
POIを得るための単離及び精製方法として、溶解度の差を利用する方法(塩析及び溶媒沈降など)、分子量の差を利用する方法(限外濾過及びゲル電気泳動など)、電荷の差を利用する方法(イオン交換クロマトグラフィーなど)、特異的親和性を利用する方法(アフィニティークロマトグラフィーなど)、疎水性の差を利用する方法(逆相高速液体クロマトグラフィーなど)、並びに等電点の差を利用する方法(等電点電気泳動など)に基づく方法が使用され得る。また発現されてPOI調製を汚染するであろう任意のヘルパータンパク質を除去するために、特定の精製工程が好ましく用いられる。
単離及び精製されたPOIは、ウエスタンブロッティング又はその活性についての特定のアッセイなどの慣用の方法によって同定され得る。精製されたPOIの構造は、アミノ酸解析、アミノ末端解析、一次構造解析などによって定義され得る。POIが大量にかつ高純度で得られ得ることが好ましく、したがって医薬組成物中の活性成分として又は飼料若しくは食品添加物として使用されるための必要要件に適合する。
本発明は、記載される特定の方法論、プロトコール、細胞株、動物種又は属、構築物、及び試薬に限定されず、それ自体は当然ながら変化し得ることが理解されるべきである。また、本明細書において使用される専門用語は、特定の実施態様を記載することだけを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろうことが理解されるべきである。
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと類似の又は等価な任意の方法、デバイス及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるが、好ましい方法、デバイス及び材料をここに記載する。
本明細書に挙げた全ての刊行物は、その刊行物中に記載されている、例えば細胞株、構築物、及び方法論を記載及び開示することを目的としており、これは、ここに記載した発明と併せて使用され得る。上記及び本明細書全体を通して議論された刊行物は、本出願の出願日の前の開示のために単に提供される。本明細書において、本発明者等が先行発明によって係る開示に先行する資格を有しないことを承認するものと解釈されるべきではない。
以下の実施例は、主題発明の作製及び使用方法の完全な開示及び記載を当業者に提供するために提示されるものであり、本発明とみなされる及び特許請求の範囲に定義される範囲を限定することを意図するものではない。使用される数(例えば、量、温度、濃度など)に関して正確さを確保するように努めてきたが、いくつかの実験誤差及び偏差は許容されるべきである。特に指示のない限り、部(parts)は、重量部であり、分子量は平均分子量であり、温度はセルシウス度であり;そして、圧力は大気圧又は近大気圧である。
実施例
以下の実施例は、新たに同定されたヘルパータンパク質が、過剰発現後、組換えタンパク質の力価(1体積当たりの生成物、mg/L単位)及び収量(1バイオマス当たりの生成物、mg/バイオマス(g)単位、乾燥細胞重量又は湿潤細胞重量として測定される)をそれぞれ増加させることを実証するであろう。例として、酵母ピキア・パストリス(Pichia pastoris)における組換え抗体Fab断片及び組換え酵素の収量が増加する。振盪培養(振盪フラスコ又はディープウェルプレートで実行した)及び実験室スケールのフェッドバッチ培養において正の効果が示された。
実施例1 ピキア・パストリス(P. pastoris)産生株の生成
a)抗体Fab断片HyHELを分泌するピキア・パストリス(P. pastoris)株の構築
ピキア・パストリス(P. pastoris)CBS7435(CBS、Kuberl et al. 2011によってゲノム配列決定された)mutバリアントを宿主株として使用した。pPM2d_pGAP及びpPM2d_pAOX発現ベクターは、pUC19細菌複製起点及びゼオシン抗生物質耐性カセットからなる、WO2008/128701A2に記載されるpPuzzle_ZeoRベクター骨格の誘導体である。異種遺伝子の発現は、ピキア・パストリス(P. pastoris)グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(GAP)プロモーター又はアルコールオキシダーゼ(AOX)プロモーターのそれぞれ及びサッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)CYC1転写ターミネーターによって媒介される。抗体Fab断片HyHELの軽鎖(LC)及び重鎖(HC)(図2)を、表3中のHyHEL−HC及びHyHEL−LCのためのプライマーを使用して、ベクターDNAテンプレート(目的の遺伝子とN末端にサッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)α接合因子シグナルリーダー配列を担持する)から増幅させ、SbfI及びSfiIで消化したpPM2d_pGAP及びpPM2d_pAOXの両方のベクター中に各々ライゲーションした。LC断片を、pPM2d_pGAP及びpPM2d_pAOXのバリアント中にライゲーションし、そこで後続の線形化を可能にするためにプロモーター領域中の1つの制限酵素部位を別のものに交換し(pPM2d_pGAP中のAvrIIの代わりにNdeI、pPM2d_pAOX中のBpu1102Iの代わりにBsu36I)、HC断片を、非修飾バージョンのベクター中にライゲーションした。LC及びHCの配列検証後、コンパティブルな制限酵素MreI及びAgeIを使用することによって、両方の鎖のための発現カセットを1つのベクター上で組み合わせた。
プラスミドを、ピキア・パストリス(P. pastoris)へのエレクトロポレーション(Gasser et al. 2013. Future Microbiol. 8(2):191-208 に記載されている標準的な形質転換プロトコールを使用した)の前に、NdeI制限酵素(pPM2d_pGAPについて)又はBsu36I制限酵素(pPM2d_pAOXについて)をそれぞれ使用して線形化した。陽性の形質転換体の選択を、50μg/mLのゼオシンを含有するYPDプレート(1リットル当たり:酵母抽出物10g、ペプトン20g、グルコース20g、寒天(agar-agar)20g)上で実施した。コロニーPCRを使用して、形質転換されたプラスミドの存在を確認した。このため、ゲノムDNAを、ピキア・パストリス(P. pastoris)コロニーをそれぞれ5分間クッキング及び凍結することによって得て、適切なプライマーを用いたPCRに直接適用した。
b)抗体Fab断片SDZを分泌するピキア・パストリス(P. pastoris)株の構築
抗体Fab断片SDZの軽鎖(LC)及び重鎖(HC)(図2)を、表3中のSDZ−HC及びSDZ−LCのためのプライマーを使用してベクターDNAテンプレート(目的の遺伝子とN末端にα接合因子シグナルリーダー配列を担持する)から増幅させ、SbfI及びSfiIで各々消化した、pPM2d_pAOX又はBsu36I制限部位を有するpPM2d_pAOXのバリアントそれぞれへ各々ライゲーションした。LC及びHCの配列検証後、コンパティブルな制限酵素MreI及びAgeIを使用することによって、両方の鎖のための発現カセットを1つのベクター上で組み合わせた。
プラスミドを、ピキア・パストリス(P. pastoris)へのエレクトロポレーション(Gasser et al. 2013. Future Microbiol. 8(2):191-208 に記載されている標準的な形質転換プロトコールを使用した)の前にBsu36I制限酵素を使用して線形化した。陽性の形質転換体の選択を、50μg/mLのゼオシンを含有するYPDプレート(1リットル当たり:酵母抽出物10g、ペプトン20g、グルコース20g、寒天20g)上で実施した。コロニーPCRを使用して、形質転換されたプラスミドの存在を確認した。このため、ゲノムDNAを、ピキア・パストリス(P. pastoris)コロニーをそれぞれ5分間クッキング及び凍結することによって得て、適切なプライマーを用いたPCRに直接適用した。
表3は、HyHEL LC及びHC並びにSDZ LC及びHCのPCR増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーを示す(α−接合因子_フォワードは、全てのFab鎖の増幅のためのフォワードプライマーである)。
実施例2 ケモスタット培養
1.0Lの最大可動体積の1.4LのDASGIPリアクター(Eppendorf, Germany)で培養を実施した。
以下の培地を使用した:
PTM微量塩ストック溶液(1リットル当たり)は、以下を含有する:6.0g CuSO・5HO、0.08g NaI、3.36g MnSO・HO、0.2g NaMoO・2HO、0.02g HBO、0.82g CoCl、20.0g ZnCl、65.0g FeSO・7HO、及び5.0mL HSO(95%〜98%)。
グリセロールバッチ培地(1リットル当たり)は、以下を含有する:2g クエン酸一水和物(C・HO)、39.2g グリセロール、20.8g NHPO、0.5g MgSO・7HO、1.6g KCl、0.022g CaCl・2HO、0.8mg ビオチン及び4.6mL PTM1微量塩ストック溶液。HClを加えてpH5に設定した。
グルコースケモスタット培地(1リットル当たり)は、以下を含有する:2.5g クエン酸一水和物(C・HO)、55.0gグルコース一水和物、21.8gNHPO、1.0gMgSO・7HO、2.5gKCl、0.04g CaCl・2HO、4.0mgビオチン及び2.43mLPTM1微量塩ストック溶液。HClを加えてpH5に設定した。
メタノール/グリセロールケモスタット培地(1リットル当たり)は、以下を含有する:2.5g クエン酸一水和物(C・HO)、8.5g メタノール、50.0g グリセロール、21.8g NHPO、1.0g MgSO・7HO、2.5g KCl、0.04g CaCl・2HO、4.0mg ビオチン及び2.43mL PTM1微量塩ストック溶液。HClを加えてpH5に設定した。
溶存酸素を、スターラー速度(400〜1200rpm)及び給気率(12〜72の標準リットル/時間(sL/h))の大気でDO=20%に制御し、温度を25℃に制御し、そしてpH設定点5をNHOH(25%)の添加で制御した。必要に応じて消泡剤(5%Glanapon 2000)の添加によって発泡を制御した。
培養を開始するために、0.4Lのバッチ培地を無菌濾過し、無菌作業ベンチ下で発酵槽に移し、そして、開始光学密度(OD600)1で植菌した(50μg/mLゼオシンを含有するYPG中、180rpm、28℃で一晩前培養したピキア・パストリス(P. pastoris)を)。およそ24時間のバッチフェーズは、およそ20g/Lの乾燥バイオマス濃度に達し、それに続いて、培養物の同時一定除去を行いながら、ケモスタット培地を40mL/h(μ=D=0.1/時間について)で一定供給して、全体積を一定に維持した。7滞留時間(70時間)後におよそ25g/Lの乾燥バイオマス濃度に達したところで、マイクロアレイ実験用のサンプルを採取し、培養を終了した。このケモスタット培養を産生株(グルコースケモスタット培地を使用したCBS7435 pGAP HyHEL−Fab、そして、メタノール/グリセロールケモスタット培地を使用したCBS7435mut pAOX HyHEL−Fab)及び非産生野生型対照株(それぞれ、CBS7435 pGAP対照及びCBS7435mut pAOX対照)毎に3回実施して、信頼性の高いマイクロアレイ解析に必要な生物学的レプリケートを得た。
およそ70時間後、ケモスタットの定常状態でサンプルを採取した。光学密度又は酵母乾燥質量の決定としてのルーチンサンプリング、定性的顕微鏡検査及び細胞生存解析を各培養の間に並行して行った。マイクロアレイ解析のために、サンプルを採取し、以下のように処理した:最適なクエンチングのために、細胞培養液9mLを氷冷5%フェノール(Sigma)溶液(無水エタノール中)4.5mLと直ちに混合し、分割した。各2mLを予冷捕集チューブ(GE healthcare, NJ)中で遠心分離し(13,200rpmで1分間)、上清を完全に除去し、細胞ペレットを含有するチューブをRNA単離まで−80℃で保存した。
実施例3 マイクロアレイ&トランスクリプトーム実験のためのデータ評価
a)マイクロアレイハイブリダイゼーションのためのRNA単離及びサンプル調製
TRI試薬を使用し、供給業者の指示(Ambion, US)に従って、ケモスタットサンプル細胞からRNAを単離した。細胞ペレットをTRI試薬に再懸濁し、FastPrep 24(M.P. Biomedicals, CA)を使用し5ms-1で40秒間、ガラスビーズでホモジナイズした。クロロホルムの添加後、サンプルを遠心分離し、イソプロパノールを加えることによって水相からトータルRNAを沈殿させた。ペレットを70%エタノールで洗浄し、乾燥させ、RNAseフリー水に再懸濁した。Nanodrop 1000分光光度計(NanoDrop products, DE)を使用してOD260を測定することによってRNA濃度を決定した。DNA free Kit(Ambion, CA)を使用してサンプルからの残留DNAを除去した。RNA10μgに等しいサンプル体積をRNAseフリー水中50μLに希釈し、次いでDNAseバッファーI及びrDNAseIを加えて、37℃で30分間インキュベートした。DNAse Inactivation Reagentの添加後、サンプルを遠心分離し、上清を新たなチューブに移した。上述したように再度RNA濃度を決定した。加えて、RNAナノチップ(Agilent)を使用してRNA完全性を解析した。増幅及び標識からサンプルのハイブリダイゼーションまでのマイクロアレイワークフローをモニタリングするために、Spike In Kit(Agilent, Product Nr.: 5188-5279)を陽性対照として使用した。それは、増幅、標識及び自己のRNAサンプルと一緒にコハイブリダイズする、アデノウイルスからの10の異なるポリアデニル化複写産物を含有する。Quick Amp Labelling Kit(Agilent, Prod. Nr.5190-0444)を使用して、サンプルをCy3及びCy5で標識した。このため、精製したサンプルRNA500ngをRNAseフリー水8.3μL中に希釈し、Spike A又はB 2μL、及びT7プロモータープライマー1.2μLを加えた。混合物を65℃で10分間変性させ、氷上で5分間維持した。次いで、cDNAマスターミックス(1サンプル当たり:4μL 5×ファーストストランドバッファー、2μL 0.1M DTT、1μL 10mM dNTPミックス、1μL MMLV−RT、0.5μL RNAse out)8.5μLを加え、40℃で2時間インキュベートし、次いで、65℃で15分間を行い、氷上に5分間置いた。転写マスターミックス(1サンプル当たり:15.3μL ヌクレアーゼフリー水、20μL 転写バッファー、6μL 0.1M DTT、6.4μL 50%PEG、0.5μL RNAse阻害剤、0.6μL 無機ホスファターゼ、0.8μL T7 RNAポリメラーゼ、2.4μL シアニン3又はシアニン5)を調製し、各チューブに加えて、40℃で2時間インキュベートした。得られた標識cRNAを精製するために、RNeasy Mini Kit(Qiagen, Cat.No. 74104)を使用した。サンプルを−80℃で保存した。cRNA濃度及び標識効率の定量化をNanodrop分光光度計で行った。
b)マイクロアレイ解析
Gene Expression Hybridisation Kit(Agilent, Cat. No. 5188-5242)を標識サンプルcRNAのハイブリダイゼーションに使用した。ハイブリダイゼーションサンプルの調製のために、cRNA(Cy3及びCy5)各300ng及び10倍ブロッキング剤6μLをヌクレアーゼフリー水で希釈して、24μLの最終体積にした。25倍フラグメンションバッファー1μLの添加後、混合物を60℃で30分間インキュベートした。次いで、GExハイブリダイゼーションバッファーHI−RPM25μLを加えて、反応を停止した。13,200rpmで1分間の遠心分離後、サンプルを氷上で冷却し、直ちにハイブリダイゼーションに使用した。社内で設計したピキア・パストリス(P. pastoris)特異的オリゴヌクレオチドアレイ(AMAD-ID: 034821, 8x15K custom arrays, Agilent)を使用した。Microarray Hybridisation Chamber User Guide(Agilent G2534A)に従ってマイクロアレイハイブリダイゼーションを行った。最初に、ガスケットスライドのカバーを取り、チャンバー基部上に載せ、Agilentラベルを上に向ける。サンプル(1アレイ当たり40μL)を8つの正方形の各々の中央にロードした。次いで、マイクロアレイスライドを注意深くガスケットスライド上に載せ(Agilentラベルを下に向ける)、チャンバーカバーを載せクランプで固定した。全てのサンプルを、色素入れ替え法で参照プールサンプルに対してハイブリダイズさせた。プールRNAサンプルは、種々の培養物からのRNAを等量組み合わせることによって生成された。ハイブリダイゼーションを、ハイブリダイゼーションオーブン中、65℃で17時間行った。スキャンの前に、マイクロアレイチップを洗浄した。このため、チャンバーを取り外し、洗浄バッファー1中に浸水させながらサンドイッチスライドを互いに引き剥がした。マイクロアレイを洗浄バッファー1と共に別のディッシュに直接移し、1分間洗浄し、洗浄バッファー2(少なくとも30℃の温度)に移し、さらに1分間洗浄した。スライドの端をティッシュで触れることによってマイクロアレイスライドを乾燥させた後、それをスライドホルダーに入れた(Agilentラベルを上に向ける)。スライドホルダーをカルーセルに入れ、スキャンを開始した。
c)マイクロアレイデータのデータ取得及び統計学的評価
G2565AA Microarray scanner(Agilent)を用いて50nmの解像度で画像をスキャンし、Agilent Feature Extraction 9.5ソフトウェアにインポートした。Agilent Feature Extraction 9.5 をスポット強度の定量化に使用した。次いで、未加工の平均スポット強度データを、さらなる正規化及びデータ解析のためにオープンソースソフトウェアRにインポートした。
差次的発現値を計算する前に、強度データを正規化(バックグラウンド補正なし、スライド内正規化法Loess及びスライド間正規化法Aquantileを使用した)に供した。線形モデル適合(limma R package)を使用して、差次的発現値に関連したp値を計算し、その後これらをBenjamini及びYekutieliの方法(limma R packageのBY法)を使用した多重検定用に調整した。HyHEL−Fab産生株についてそれらの各々の対照と比較したLog2倍率変化を計算した。
HyHEL−Fab産生CBS7435のケモスタットトリプリケートとその非産生宿主対照との間で発現レベル(倍率変化>1.5)に有意(調整されたp値<0.05)差のあるエントリーについて、マイクロアレイデータを拾い読みした。
表4は、HyHEL−Fab産生ピキア・パストリス(P. pastoris)のマイクロアレイ解析からのアップレギュレートされた遺伝子を示す。
実施例4 同定された遺伝子を過剰発現する株の生成
Fab分泌に与える正の効果の調査のために、同定された遺伝子を、2つの異なるFab産生株:CBS7435 pPM2d_pAOX HyHEL(マイクロアレイデータのソースであった)(実施例3を参照のこと)及びCBS7435 pPM2d_pAOX SDZ(生成は、実施例1を参照のこと)で過剰発現させた。
a)同定された潜在的な分泌ヘルパー遺伝子の増幅及びpPM2aK21発現ベクターへのクローニング
実施例3で同定された遺伝子を、PCR(Phusion Polymerase, New England Biolabs)によって、表5に示されるプライマーを使用して開始コドンから停止コドンまで増幅させた。2つの制限酵素SbfI及びSfiIを用いて、その配列をpPM2aK21発現ベクターのMCSにクローニングした。pPMKaK21は、pPM2dの誘導体であり(実施例1aに記載される)、これは、AOXターミネーター配列(天然AOXターミネーター遺伝子座への組み込みのための)、E. coli(pUC19)の複製起点、E. coli及び酵母における選択のための抗生物質耐性カセット(カナマイシン及びG418に対する耐性を付与するkanMX)、目的の遺伝子(GOI)のための発現カセット(GAPプロモーター、マルチプルクローニングサイト(MCS)及びサッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)CYC1転写ターミネーターからなる)からなる。遺伝子配列をサンガー配列決定によって検証した。
b)ピキア・パストリス(P. pastoris)Fab産生株における同定された遺伝子の共過剰発現
実施例3で同定され実施例4aでクローニングされた遺伝子の共過剰発現のための宿主株として、ピキア・パストリス(P. pastoris)Fab過剰産生株CBS7435mut pAOX HyHEL−Fab及びCBS7435mut pAOX SDZ−Fabを使用した。Fab産生株への形質転換の前に、実施例3で同定された分泌ヘルパー遺伝子を含有するpPM2aK21ベクターを、AOXターミネーター配列において制限酵素AscIを用いて線形化する。陽性の形質転換体を、G418を含有するYPD寒天プレート上で選択した。
実施例5 Fab発現のためのスクリーニング
小スケールスクリーニングでは、各分泌ヘルパー遺伝子の8〜12の形質転換体を、改変されていない親宿主と比較して試験し、そして、細胞成長、Fab力価及びFab収量に及ぼす影響に基づいてランク付けした。全ての試験したクローンの中で、PP7435_Chr3−0933、PP7435_Chr2−0220、PP7435_Chr3−0639、PP7435_Chr1−1232、PP7435_Chr1−1225、PP7435_Chr3−0607、PP7435_Chr4−0448、PP7435_Chr4−0108、PP7435_Chr1−0667が、最良の結果(Fab力価又は収量が少なくとも1.2倍増加)を示すことが見出された。
実施例7では、制御された産生プロセスにおける株改良の検証のために、次に、これらのクローンの全て(PP7435_Chr1−0667は除く)をバイオリアクター中で培養した。
a)ピキア・パストリス(Pichia pastoris)Fab産生株の小スケール培養
10g/Lグリセロール及び50μg/mLゼオシンを含有するYP培地(10g/L酵母抽出物、20g/Lペプトン)2mLに、単一コロニーのピキア・パストリス(P. pastoris)株を植菌し、25℃で一晩成長させた。これらの培養物のアリコート(2.0の最終OD600に相当する)を、20g/Lグルコース及びグルコースフィードタブレット(Kuhner, Switzerland; CAT# SMFB63319)を補充した合成スクリーニング培地M2(培地組成は以下に与える)2mLに移して、24ディープウェルプレート中170rpmにて、25℃で25時間インキュベートした。培養物を遠心分離によって1回洗浄し、次いで、ペレットを合成スクリーニング培地M2に再懸濁して、アリコート(4.0の最終OD600に相当する)を新たな24ディープウェルプレート中の合成スクリーニング培地M2 2mLに移した。メタノール(5g/L)を12時間毎に48時間かけて繰り返し加えた後、室温での2500×gで10分間の遠心分離によって細胞を収集し、解析用に調製した。細胞懸濁液1mLの細胞重量を測定することによってバイオマスを決定し、一方で、上清中の組換え分泌タンパク質の決定は以下の実施例5b〜6cに記載する。
合成スクリーニング培地M2は、1リットル当たり以下を含有した:22.0g クエン酸一水和物、3.15g (NHPO、0.49g MgSO*7HO、0.80g KCl、0.0268g CaCl*2HO、1.47mL PTM1微量金属、4mg ビオチン;pHは、KOH(固体)で5に設定した。
b)SDS−PAGE&ウエスタンブロット解析
タンパク質ゲル解析のために、12%Bis-Tris又は4〜12%Bis-Trisゲル及びMOPSランニングバッファーを使用した、NuPAGE(登録商標)Novex(登録商標)Bis-Tris系(全てInvitrogenから)を使用した。電気泳動後、タンパク質を、銀染色によって可視化するか又はウエスタンブロット解析のためにニトロセルロース膜に転写した。このため、XCell II(商標)Blot Module for wet (tank) transfer(Invitrogen)を使用し、製造業者の指示に従って、タンパク質をニトロセルロース膜上にエレクトロブロットした。ブロッキング後、ウエスタンブロットを以下の抗体でプローブ化した:Fab軽鎖について:抗ヒトκ軽鎖(結合及び遊離)−アルカリホスファターゼ(AP)コンジュゲート抗体、Sigma A3813(1:5,000);Fab重鎖について:マウス抗ヒトIgG抗体(Ab7497, Abcam)(1:1,000に希釈)及び二次抗体としてヤギで産生された抗マウスIgG(Fc特異的)−アルカリホスファターゼ抗体(A1418, Sigma)(1:5,000に希釈)。
APコンジュゲート体についてはNBT/BCIP系に基づく比色AP検出キット(BioRad)で、又はHRPコンジュゲート体については化学発光 Super Signal West Chemiluminescent Substrate(Thermo Scientific)で検出を実施した。
c)ELISAによるFabの定量化
コーティング抗体として抗ヒトIgG抗体(ab7497, Abcam)、そして、検出抗体としてヤギ抗ヒトIgG(Fab特異的)−アルカリホスファターゼコンジュゲート抗体(Sigma A8542)を使用して、ELISAによるインタクトなFabの定量化を行った。ヒトFab/κIgG断片(Bethyl P80-115)を標準として100ng/mLの出発濃度で使用し、上清サンプルを適宜希釈する。pNPP(Sigma S0942)で検出を行った。コーティング−、希釈−及び洗浄バッファーは、PBSベースであり(2mM KHPO、10mM NaHPO・2HO、2.7mM g KCl、8mM NaCl、pH7.4)、適宜、BSA(1%(w/v))及び/又はTween20(0.1%(v/v))で完成させた。
実施例6 選択された同定遺伝子を過小発現する株の生成
実施例3で同定された遺伝子のいくつかは、HyHEL−Fab産生ピキア・パストリス(P. pastoris)宿主株で過剰発現された場合、より少ないFabの分泌をもたらした(実施例4及び5において)。これらの遺伝子の2つは、シャペロン、すなわち細胞質シャペロンPP7435_Chr3−1062(KO2)及びER(小胞体)内シャペロンPP7435_Chr1−0176(KO3)をコードしていた。この知見は、シャペロンが一般に発現/分泌増大効果を有すると見なされることから非常に驚くべきことである。本発明者等が驚くべきことに、PP7435_Chr1−0176の過剰発現は、有害であって、親の改変されていないHyHEL−Fab又はSDZ−Fab産生株の80%未満までFab力価及び収量を減少させた。また、PP7435_Chr3−1062の過剰発現は、親の改変されていない株の80%未満までHyHEL Fab力価及び収量を減少させた。したがって、これらの遺伝子(PP7435_Chr1−0176/SCJ1、PP7435_Chr3−1062/HCH1)は、両方の宿主株において破壊されていた。トランスクリプトーム実験(実施例3)において多くの凝集関連遺伝子が強くダウンレギュレート(倍率変化<0.66)されることが分かった後、凝集転写因子PP7435_Chr4−0252/FLO8をノックアウトターゲットとして追加的に選択した。
ピキア・パストリス(P. pastoris)Fab過剰産生株CBS7435mut pAOX HyHEL−Fab及びCBS7435mut pAOX SDZ−Fabを宿主株として使用した。Heiss et al. (2013) [ApplMicrobiol Biotechnol. 97(3):1241-9.] に記載されているとおりにスプリットマーカーカセットアプローチを使用して、破壊された遺伝子座を有する形質転換体を生成した。G418上で成長可能であった形質転換体のゲノムDNA及び破壊カセットの外側のプライマーを使用して、PCRによって陽性ノックアウト株の検証を行った(表6)。
表6は、ノックアウトカセットの構築に使用された全てのプライマーを列挙する(1ノックアウトターゲット当たり2つの重複スプリットマーカーカセット):プライマー対のA_フォワード/A_バックワード、B_フォワード/B_バックワード、C_フォワード/C_バックワード、D_フォワード/D_バックワードを使用して、PCR(Phusion Polymerase, New England Biolabs)によって、断片A、B、C及びDを増幅させた。断片Aは、ゲノムピキア・パストリス(P. pastoris)DNAから、それぞれのATG(ターゲット遺伝子の)の5プライム方向で1700bpから開始し、ATGの5プライム方向で200bpまで増幅される。断片Dは、ゲノムピキア・パストリス(P. pastoris)DNAから、それぞれのATG(ターゲット遺伝子の)の3プライム方向で200bpから開始し、ATGの3プライム方向で1700bpまで増幅される。断片Bは、KanMX選択マーカーカセットの最初の3分の2からなり、pPM2aK21ベクターDNAテンプレートから増幅される。断片Bは、KanMX選択マーカーカセットの最後の3分の2からなり、pPM2aK21ベクターDNAテンプレートから増幅される。断片A及びBは、プライマーA_フォワード及びB_バックワードを使用したオーバーラップPCRによって一緒にアニーリングされる(AB)。断片C及びDは、プライマーC_フォワード及びD_バックワードを使用したオーバーラップPCRによって一緒にアニーリングされる(CD)。ノックアウト株を生成するために、Fab産生宿主株を、断片AB及びCD(両方が同様に重複する)の合計0.5μgのDNAで形質転換した。500μg/mL G418を含有するYPD寒天プレート上で細胞を選択した。プライマー対のチェック_フォワード(プライマー配列A_フォワードに近い5プライム領域で結合)及びチェック_バックワード(プライマー配列D_バックワードに近い3プライム領域で結合)を使用したPCRによって、陽性ノックアウトクローンを検証した。400bp領域(ATGの周辺)をKanMXカセットで置き換えたために、陽性ノックアウト株のPCR産物のバンドは、野生型配列のものよりも大きい。
実施例7.フェッドバッチ培養
小スケール培養で最良のパフォーマンス(モデルタンパク質の収量を少なくとも1.2倍率変化で増加した)を有する実施例5及び6からのヘルパー因子改変株を、フェッドバッチバイオリアクター培養で、産生宿主株の改善の検証について解析した。2つのプロトコールを使用した。
a)フェッドバッチプロトコールA
フェッドバッチを、1.0Lの最大可動体積の1.4LのDASGIPリアクター(Eppendorf, Germany)で実行した。培養温度を25℃に制御し、pHを25%水酸化アンモニウムの添加によって5.0に制御し、そして、溶存酸素濃度を、スターラー速度を400〜1200rpmの間、及び大気流を24〜72sL/hの間に制御することによって20%超の飽和度に維持した。
フェッドバッチ培養のための植菌材料を、20g/Lグリセロール及び50μg/mLゼオシンを含有するYP培地100mLを含有する振盪フラスコ中で培養し、28℃及び180rpmでおよそ24時間インキュベートした。その培養物を使用して、バイオリアクター中0.4Lの出発体積を1.0の出発光学密度(600nm)まで植菌した。およそ24時間後バッチを終了し、最初(10mL)の塩シュート(salt shot)を与えた。
次いで、グリセロールフェッドバッチ溶液を5mL/hの一定速度で5時間供給した。次いで、メタノールパルス(methanol pulse)(2g)及び塩シュート(10mL)を培養物に与えた。培養物中の溶存酸素濃度の増加によってメタノールパルス消費が示された後、メタノールフェッドバッチ溶液の一定供給を1.0g/hの供給速度で開始した。メタノール供給培地約43gに相当する新たに形成されたバイオマス10g毎に塩シュート10mLを与える。メタノール供給を短時間止めたときの培養物中の溶存酸素の突然の増加のためにメタノール蓄積が妨げられる可能性がある場合には、バイオマス濃度の増加と共に、メタノール供給速度を適切に増加させた。最終メタノール供給速度は2.5g/hであった。
バイオマスの決定及びFabの定量化のためにサンプルを頻繁に採取した(実施例6に記載されるとおり)。およそ100時間後、細胞密度が100g/L(細胞乾燥重量)超に達したときに培養物を収集した。
培地は、以下のとおりであった:
バッチ培地(1リットル当たり)は、以下を含有した:2.0g クエン酸、12.4g (NHHPO、0.022g CaCl・2HO、0.9g KCl、0.5g MgSO・7HO、40g グリセロール、4.6mL PTM1微量塩ストック溶液。25%HClでpHを5.0に設定する。
グリセロールフェッドバッチ溶液(1リットル当たり)は、以下を含有した:623g グリセロール、12mL PTM1微量塩ストック溶液及び40mg ビオチン。PTM1の組成は、実施例1に与えられる。
純粋メタノールのメタノールフェッドバッチ溶液(1リットル当たり)は、以下を含有した:12mL PTM1微量塩ストック溶液及び40mg ビオチン。
塩シュート溶液(1リットル当たり)は、以下を含有した:20.8g MgSO・7HO、41.6 KCl、1.04g CaCl・2HO。
b)フェッドバッチプロトコールB
それぞれの株を、YPhyG 50mLで満たした広口のバッフル付きの蓋付き300mL振盪フラスコに植菌し、110rpmにて28℃で一晩振盪した(前培養1)。前培養2(1000mL広口のバッフル付きの蓋付き振盪フラスコ中のYPhyG 100mL)に、OD600(600nmで測定される光学密度)が夕方におよそ20(YPhyG培地に対して測定された)に達するように、前培養1を植菌した(倍加時間:およそ2時間)。前培養2のインキュベーションを同様に110rpmにて28℃で実施した。
フェッドバッチを、1.0Lの可動体積のバイオリアクター(Minifors, Infors, Switzerland)で実行した。全てのバイオリアクター(およそpH5.5のBSM培地400mLで満たした)に、2.0のOD600まで前培養2を個々に植菌した。一般に、ピキア・パストリス(P. pastoris)をグリセロール上で成長させてバイオマスを生成し、その後、培養物をグリセロール供給、続くメタノール供給に供した。
初期バッチフェーズでは、温度を28℃に設定した。産生フェーズを開始する前の1時間にわたって、温度は25℃まで低下し、残りのプロセスを通してこのレベルで維持し、その間にpHは5.0まで低下し、このレベルで維持した。酸素飽和度を、プロセス全体を通して30%に設定した(カスケード制御:スターラー、流量、酸素補給)。撹拌を700〜1200rpmで適用し、1.0〜2.0L/分の流量範囲(大気)を選択した。25%アンモニウムを使用して、pH5.0の制御を達成した。必要に応じて、消泡剤Glanapon 2000の添加によって発泡を制御した。
バッチフェーズの間、およそ110〜120g/Lの湿潤細胞重量(WCW)までバイオマスが生成された(μ〜0.30/時間)。古典的なバッチフェーズ(バイオマス生成)は、約14時間続くだろう。6g/(L*h)の一定グリセロール供給を11時間後に開始し、5時間続けた。最初のサンプリング点を16時間で選択した(以下、誘導時間の「0時間」と命名される)。
合計290gのメタノールをおよそ95時間にわたって供給した(方程式1+0.04*t(g/L)によって定義される、線形に増加する供給速度で)。
サンプルを、種々の時点で、以下の手順により採取した:サンプリングした培養液(シリンジで)の最初の3mLを廃棄した。新たに採取したサンプル(3〜5mL)の1mLを1.5mL遠心チューブに移し、13,200rpm(16,100g)で5分間スピンした。上清を分離バイアルに念入りに移した。
培養液1mLを、風袋計量したエッペンドルフバイアル中、13,200rpm(16,100g)で5分間遠心分離し、得られた上清を正確に除去した。バイアルを計量し(精度0.1mg)、空のバイアルの風袋重量を減算し、湿潤細胞重量を得た。
培地は、以下のとおりであった:
YPhyG前培養培地(1リットル当たり)は、以下を含有した:20g フィトン−ペプトン(Phytone-Peptone)、10g Bacto-Yeast Extract、20g グリセロール。
バッチ培地:改変基礎塩培地(Modified Basal salt medium)(BSM)(1リットル当たり)は、以下を含有した:13.5mL HPO(85%)、0.5g CaCl・2HO、7.5g MgSO・7HO、9g KSO、2g KOH、40g グリセロール、0.25g NaCl、4.35mL PTM1、8.7mg ビオチン、0.1mL Glanapon 2000(消泡剤)。
供給−溶液グリセロール(1kg当たり)は、以下を含有した:600g グリセロール、12mL PTM1。
供給−溶液メタノールは、以下を含有した:純粋メタノール。
c)結果
表7は、改変されていないFab産生対照株と比較して、過剰発現がフェッドバッチ産生プロセスでのピキア・パストリス(P. pastoris)におけるFab分泌を増加させることが示された遺伝子を列挙する。Fab産物の力価をELISAによって定量化した(実施例5c)。バイオマスを湿潤細胞重量又は乾燥細胞重量として決定した。産物の力価及び収量の変化は、それぞれの対照株に対する倍率変化値として表される。倍率変化値は、直接比較のために並行して成長及びサンプリングされたAOX HyHEL及びAOX SDZ親宿主に対する、フェッドバッチ産生プロセスでの力価及び産物収量の改善を示す。
示されるとおり、列挙した遺伝子は全て、過剰発現されたとき、モデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−Fabの収量(mg/バイオマス)の少なくとも20%(倍率変化>1.2)の増加に成功した。
表8は、改変されていないFab産生対照株と比較して、欠失がフェッドバッチ産生プロセスでのピキア・パストリス(P. pastoris)におけるFab分泌を増加させることが示された遺伝子を列挙する。Fab産物をELISAによって定量化した(実施例5c)。産物の力価及び収量の変化は、それぞれの対照株に対する倍率変化値として表される。
示されるとおり、列挙した遺伝子は全て、過小発現されたとき、モデルタンパク質SDZ−Fab又はHyHEL−FabのFab力価(mg/L)又はFab収量(mg/バイオマス)に関して産生を少なくとも28%(倍率変化>1.28)増加させることができた。
実施例8:HP及びHPとKOタンパク質の組み合わせ
過剰発現ターゲットの組み合わせのために、構成的pGAPプロモーター(実施例4a及びbに記載されるとおり生成された)の制御下でHP3(‘3’)又はHP10(‘34’)のいずれかを過剰発現するCBS7435mutS pAOX SDZ−Fab株を使用した。過小発現ターゲットとの過剰発現の組み合わせのために、破壊されたKO1遺伝子座(実施例6に記載される)を有するCBS7435mutS pAOX SDZ−Fab株を使用した。全てのそれらの株において、モデルタンパク質SDZ−Fabをコードするプラスミドは、選択マーカーとしてゼオシンベースであったが、HPの共過剰発現のためのプラスミド又はKO遺伝子座の破壊に使用されるカセットは、同一方向loxP認識部位によってフランキングされたKanMX耐性カセットを担持した。
さらなるHP又はKOカセットでの形質転換の前に、マーカー遺伝子発現カセット(KanMX−loxP部位によってフランキングされた)をCreリコンビナーゼによってリサイクルした。このため、バックグラウンド株をエピソーマルpTAC_Cre_HphMX4プラスミド(サッカロミセス・セレビシエ(S. cerevisiae)TPIプロモーターの制御下でCreリコンビナーゼを発現し、かつ、ハイグロマイシン(Hyg)による選択圧が培養培地中に存在する限りピキア・パストリス(P. pastoris)において一過性に維持される)で形質転換した。形質転換体を、YPD/Zeo/Hyg寒天プレート上、28℃で2日間成長させ、成長用選択寒天プレート上、28℃でさらに2日間レプリカプレーティングした。2〜3回のプレーティングラウンド後にG418及びHyg上で成長する能力を喪失したクローンのみを、24ディープウェルプレート(DWP)スクリーニングのために選択した(実施例5aに記載される)。Fab力価及び収量を実施例5cに記載されるとおり決定した。次いで、Fab収量及び/又は力価の点で最良の株を、HPタンパク質を過剰発現する別のプラスミドで形質転換した(実施例4a及びbに記載される)。2つの組み合わされたHP又はKOを有する形質転換体を、選択寒天プレート(Zeo及びG418を含有する)上で選択し、実施例5に記載されるとおりFab分泌についてスクリーニングした。さらなる組み合わせの工程のために、上述した手順を繰り返し、したがって3つの組み合わせなどを有する株を生成した。全てのスクリーニング実験において、親(=先行)株を標準として使用した。
結果は、以下のとおりである−表9:
「起源株」は、それぞれHPなしの又はノックアウトなしのピキア・パストリス(P. pastoris)株pAOX−SDZ−Fab#9を意味する。
「親株」は、それぞれ、次のHP又はKOでの形質転換のための宿主株として役立つSDZ−Fab発現ピキア・パストリス(P. pastoris)株(例えば、HP3及びHP1の組み合わせのためのHP3のみを過剰発現する株、KO1 HP2とHP3又はHP1の組み合わせのためのHP2を過剰発現するKO1のノックアウトを有する株)を意味する。組み合わせの各々が、起源株及び親株の両方と比較して、モデルタンパク質SDZ−FabのFab力価の増加を導くことが見出され得る。親株と比較したFab力価の増加は、HP又はHPとKOタンパク質の組み合わせが、モデルタンパク質SDZ−Fabによって例示されるPOIの収量をさらに改善できることを示す。

Claims (15)

  1. 目的タンパク質(protein of interest)を製造するための組換え宿主細胞であって、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変されており、機能的相同体が、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、宿主細胞。
  2. 前記ヘルパータンパク質又は前記のその機能的相同体が、改変する前の宿主細胞と比較して、モデルタンパク質SDZ−Fab(配列番号:25及び26)及び/又はHyHEL−Fab(配列番号:29及び30)の収量を増加させる、請求項1に記載の宿主細胞。
  3. 前記ポリヌクレオチドが、前記宿主細胞のゲノム中に組み込まれるか又はベクター若しくはプラスミド中に含有される、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  4. ポリヌクレオチドの過剰発現が、(i)前記ポリヌクレオチドの発現を駆動する組換えプロモーターを使用することによって、又は(ii)前記ポリヌクレオチドに作動可能に連結された制御配列を修飾することによって達成される、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  5. ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ハンゼヌラ・ポリモルファ(Hansenula polymorpha)、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、クルイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)、ピキア・メタノリカ(Pichia methanolica)、カンジダ・ボイジニイ(Candida boidinii)及びコマガタエラ(Komagataella)、及びシゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)である、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  6. 配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体から選択されるヘルパータンパク質の2、3、4、5、6、7、8以上が過剰発現される、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  7. 配列番号:10、11及び/又は12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを過小発現するように改変されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  8. 目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチド配列を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞。
  9. 目的タンパク質が、酵素、治療用タンパク質、食品添加物若しくは飼料添加物、又は抗体若しくは抗体断片である、請求項8に記載の宿主細胞。
  10. 以下のように改変される、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞:
    (i)配列番号:4又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現する、
    (ii)配列番号:162又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現する、
    (iii)配列番号:1又はその機能的相同体及び配列番号:2又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現し、かつ配列番号:10又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するようにさらに改変される、又は
    (iv)配列番号:4又はその機能的相同体及び配列番号:1又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現し、かつ配列番号:10又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸を有するタンパク質をコードするポリヌクレオチドを過小発現するようにさらに改変される。
  11. 目的タンパク質を製造するための、先行する請求項のいずれか一項に記載の宿主細胞の使用。
  12. 宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法であって、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現させることを含み、機能的相同体が、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する、方法。
  13. 以下を含む、宿主細胞における目的タンパク質の収量を増加させる方法:
    −宿主細胞を、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有する)
    −前記宿主細胞において、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを組換えること、
    −前記宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体及び目的タンパク質を過剰発現するための好適な条件下で培養すること、並びに場合により
    −細胞培養物から目的タンパク質を単離すること。
  14. 以下を含む、宿主細胞において目的タンパク質を製造する方法:
    −配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、若しくは162又はその機能的相同体に示されるとおりのアミノ酸配列を有するヘルパータンパク質をコードするポリヌクレオチドを過剰発現するように改変された宿主細胞を提供すること(ここで、機能的相同体は、配列番号:4、1、2、3、5、6、7、8、9、又は162に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも30%の配列同一性を有し、ここで、前記宿主細胞は、目的タンパク質をコードする異種ポリヌクレオチドを含む);
    −宿主細胞を、ヘルパータンパク質又は機能的相同体を過剰発現するための及び目的タンパク質を発現するための好適な条件下で培養すること、並びに場合により
    −細胞培養物から目的タンパク質を単離すること。
  15. 宿主細胞が、配列番号:10、11及び/又は12に示されるとおりのアミノ酸配列に対して少なくとも50%の配列同一性を有するアミノ酸を有するタンパク質をコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドを過小発現するように改変されている、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
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