JP2017502307A - 唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ及びその使用 - Google Patents

唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ及びその使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップを提供する。その中、レクチンチップがJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含む。また、上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット、及び上記レクチンチップを利用して、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出する用途を提供する。【選択図】 図1

Description

本発明は、疾患を識別するレクチンチップに関し、具体的には、唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップに関する。
国際がん研究機関(IARC)の最新情報によると、肝臓癌は世界で最もよく見られる5つの悪性腫瘍の1つであり、2008年に世界の肝臓癌患者は74.9万に達し、肝臓癌により死亡した患者数が69.5万であり、そのうち、中国の肝臓癌患者は40.2万に達し、肝臓癌により死亡した患者数が37.2万であることが分かる(http://globocan.iarc.fr/)。中国衛生部の「中国衛生統計年鑑2012」によると、201l年に悪性腫瘍は中国の主な疾患死亡率の首位を占め、その中、肝臓癌が悪性腫瘍死亡率の第二位を占めることが開示された(http://www.moh.gov.cn)。肝臓癌の死亡率が高い原因の1つは現在の肝臓癌が通常末期で確診されるので、最適治療期間を逃がし、また臨床診断後に患者の平均生存期間が12ヶ月未満である。α−フェトプロテイン(Alpha−fetoprotein、AFP)は現在の肝臓癌診断の特異的なマーカーであるが、AFP測定には偽陽性と偽陰性の問題が存在する。約20%の末期肝臓癌患者は病沒までに、AFP測定が陰性のままである。病理組織学検査はなお現在の診断の最高基準であるが、組織学検査の固有の欠陥、例えば侵襲性検査、動的検出ができないこと、及びサンプリングの違いが存在することなどに鑑み、従って非侵襲性検査を求め、肝臓癌の早期診断を行うことは肝臓癌の予防の鍵である。
社会の進歩、科学技術の発展に伴い、人々の医学検査に対する要求も益々高くなり、創傷なし、簡単且つ迅速な疾患検査・診断方法が求められる。血清標本に比べ、唾液の採取は安全且つ便利で、創傷がなく、病気の血行性伝播の恐れもない。また、近年、唾液は臨床サンプルとして様々な疾患、例えばAIDS、自己免疫疾患、アルコール性肝硬変、嚢胞性線維症、糖尿病、心血管疾患、虫歯などの薬物濃度モニタリング、病状監視及び治療効果の評価に広く用いられている。文献と本願発明者らの従来の研究によると、唾液には十分なN−結合糖タンパク質とO−結合糖タンパク質が含まれ、唾液のタンパク質のグリコシル化の変化と疾患の発生及び進展とは高い関連性を持っている。変化した唾液の糖タンパク質糖鎖から疾患に関するバイオマーカーを見出すことができ、唾液検査に基づく新しい技術と新しい方法も今後非侵襲性臨床診断の発展の1つの方向になりつつある。核酸と同様に、糖質は重要な生物情報分子であるとともに、遺伝子情報の継続である。分子生物学および細胞生物学の発展に伴い、糖質の他の多くの生物学的機能が認識されつつあり、糖質は多糖または遊離オリゴ糖の形で生命過程に直接に関与できるだけではなく、糖複合体、例えば糖タンパク質、プロテオグリカン及び糖脂質などとして多くの重要な生命活動に関与できる。その他、糖複合体は多くの疾患、例えば癌症、細菌感染及びウイルス感染などの疾患に密接に関連している。
中国の90%以上の肝臓癌は肝細胞癌(Hepatocellular carcinoma,HCC)であり、75%〜80%のHCC発症が肝臓の慢性ウイルス性感染に関わり、世界中、肝線維化を伴うHCC患者が80%〜90%である。今までの研究によると、肝疾患の炎症、線維化、癌化の過程において、患者の肝組織と血清に糖タンパク質糖鎖の構造と機能の変化が発生されたことが判明された。糖鎖はその構造が複雑で且つ機能が多様であるため、膨大な情報量を含み、一旦翻訳後修飾の過程で糖鎖の修飾乱れが発生すると、深刻な結果をもたらすことになる。例えば、病理的な状態において、糖代謝酵素類の活力の変化や欠陥により、糖タンパク質における糖鎖の発現レベルに異常を生じさせることができ、それにより細胞機能が異常になり、さらに悪性化進展をもたらす。
国内外の研究状況及び解析:
(1)肝炎、肝線維化/肝硬変と肝臓癌の発生及び進展の過程において、患者の血清/肝組織における糖タンパク質糖鎖が変化することから、血清と組織における糖タンパク質糖鎖の変化は肝臓癌の発生及び進展に関わることが分かる。
中国は慢性肝炎、特にB型肝炎の高発症地域であり、約1.2億人が長期的にB型肝炎ウイルスを持って、慢性肝炎患者数が約3000万である。約30万の慢性肝炎患者は最終に肝硬変患者と肝臓癌患者になる。研究によると、80%〜90%の肝臓癌患者は「 慢性肝炎−肝硬変−肝臓癌 」という過程を経ることが見出された。既にある研究は、肝炎から肝線維化/肝硬変になる過程中に、患者の血清における糖タンパク質糖鎖に変化が発生されることが開示された[5]。例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)感染後に、肝線維化患者の血清におけるGal化2分岐型N−糖鎖レベルが明らかに健康志願者より高いとともに、血清における2分岐型及び3分岐型N−糖鎖レベルが肝線維化の程度の悪化に伴って低下する。他の研究によると、肝線維化の進展に伴い、血清におけるバイセクト型コアα(1,6)Fuc化2分岐型N−糖鎖レベルが高くなるが、3分岐型N−糖鎖レベルが低くなり、これによって、血清における特定のN−糖鎖のレベルの変化は線維化の進展を監視するために用いられることが判明された。KamなどはMALDI−T0F質量分析法で、慢性HBV感染と程度の異なる肝線維化患者の血清におけるN−結合糖鎖プロファイルの変化を定量的に解析したところ、17個の糖鎖のマススペクトルピークが肝線維化/肝硬変検出の潜在的なバイオマーカーになることができ、また、1341.5、1829.7、1933.3と2130.3m/zという4つの糖鎖のマススペクトルピークが肝線維化と肝硬変を識別・診断することができ、且つ正確率が85%に達することが見出された。QuなどはDNAシーケンサーの蛍光体支援糖質電気泳動法(DSA−FACE)を利用し、慢性HBV患者の血清におけるN−糖鎖プロファイルの変化を評価したところ、糖鎖プロファイルにおけるピーク1、2、8及び10がある程度に肝線維化の異なる段階を区別することができることが見出された。研究によると、血清におけるヒアルロン酸(HA)の濃度変化と肝線維化の異なる段階との間に相関性を持つことも見出された。
肝線維化/肝硬変と肝臓癌の発生及び進展の過程において、患者の血清と肝組織における糖タンパク質糖鎖に変化が発生され、例えば、LiuなどはDSA−FACEを利用して肝線維化、肝硬変及び肝臓癌患者の血清における9種類の糖鎖構造を検出したところ、肝臓癌患者の血清におけるα−1,3Fuc化3分岐型糖鎖構造の存在量が最も高く、肝硬変患者の血清におけるバイセクト型α−1,6コアFuc化2分岐型糖鎖構造の存在量が比較的に高いことが見出され、これによって、血清におけるこの2種類の糖鎖の存在量の変化は腫瘍の進展の段階に密接に関連していることが判明された。N−アセチルグルコサミン転移酵素III(GnT−III)、N−アセチルグルコサミン転移酵素V(GnT−V)とα1,6−フコシル転移酵素(α1−6FT)は肝臓癌患者の血清及び癌化組織において高発現され、肝臓癌に関する3つの重要な異常発現酵素であり、且つ肝臓癌患者の体内の糖タンパク質糖鎖の構造の変化を引き起こさせることができる。研究によると、Siaα−2,6糖鎖構造は肝臓癌組織において高発現されるが、肝硬変組織には明らかな変化がないことも見出され、これは肝硬変と肝臓癌を区別する根拠の1つになることができる。
現在、肝臓癌の診断マーカーの研究において、いくつかの新しい技術が肝臓癌患者の血清における糖タンパク質糖鎖の構造の研究に用いられ、肝臓癌の発生及び進展の過程において、患者の血清における特有の糖タンパク質糖鎖がいくつか見出された。例えば、イオンモビリティー質量分析(ion mobility mass spectrometry,IM−MS)技術を利用して健康者、肝硬変患者と肝臓癌患者の血清における糖タンパク質糖鎖の構造を解析したところ、肝硬変と肝臓癌に異なる糖鎖が存在することが見出された。Liuなどはレクチンチップ(16種類のレクチンを含む)技術を利用してHCC患者と肝硬変患者の血清における糖タンパク質糖鎖の構造の相違を解析したところ、HCC患者の血清にはFuc化糖タンパク質の存在量が比較的に高いことが見出された。MALDI−TOF−MSを利用し、ランダムに選んだ77名の健康志願者、52名の慢性肝疾患の患者及び73名の肝臓癌患者の血清における糖タンパク質上の83個のN−糖鎖を定量的に比較したところ、肝臓癌患者の血清における糖タンパク質上の57個のN−糖鎖の存在量が明らかに変化されたことが見出され、その中の6種類の糖鎖はそれぞれ肝臓癌の診断に用いられ、検出感度が36%〜91%である。3種類のN−糖鎖の併用は慢性肝疾患の患者から肝臓癌患者を診断することができ、感度が90%であり、特異性が89%である。肝臓癌(腫瘍の直径が3cm未満)の早期診断マーカーの研究において、中国の科学者により血清におけるグリピカン−3(Glypican−3、GPC3)が早期肝臓癌を検出するための分子マーカーになれることが見出された。GPC3は肝臓癌の早期発見に寄与するだけではなく、肝臓癌の特異性を十分に有し、例えばAFPの補充として、HCCの確診率の向上に寄与する。
上記の研究によると、肝炎、肝線維化/肝硬変と肝臓癌の発生及び進展の過程において、患者の血清/肝組織における糖タンパク質糖鎖が変化することから、血清/組織における糖タンパク質糖鎖の変化は肝臓癌の発生及び進展に関わることが判明され、血清により肝炎、肝硬変と肝臓癌を区別して検出することができる。しかし、血液検査の固有の欠陥、例えば侵襲性及び病気の血行性伝播の恐れがあることに鑑み、さらに研究して肝炎、肝硬変と肝臓癌を非侵襲的に識別・診断する新しい技術と新しい方法を求めることが必要である。
(2)唾液は疾患を非侵襲的に診断する理想的なメディアであるが、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化と肝臓癌の発生及び進展との関連性について、まだ研究の余地がある。
人間の唾液は耳下腺、顎下腺、舌下腺および他のいくつかの小さな腺により分泌され、核酸、タンパク質、脂質、ミネラルおよび他の小分子物質を含む。唾液は口腔内環境の安定を維持し、口腔壁を潤滑し、咀嚼、話し及び食べ物を飲み込むことに寄与する役割を果たす。また、唾液には細菌やウイルスを抑制・消滅する物質も存在する。局所の口腔病変か体の全体的な状態かによる唾液の含有量と組成の変化は、いずれも唾液機能不全を引き起こす可能性がある。研究によると、唾液には唾液を構成する基本的なタンパク質(異なる性別と年齢層にはほとんど無差別に発現されるタンパク質や糖タンパク質)が少し含まれる以外、人間の健康と生理的状態を反応できるタンパク質も少し含まれ、これらのタンパク質はよく年齢層、性別、病理と生理的状態が異なる人々に差次的に発現されることが見出された。唾液における差次的に発現されるこれらのタンパク質を解析することは、人間の健康状態の評価と疾患に関するバイオマーカーの研究の基礎である。血液における一部のタンパク質成分は同様に唾液に存在し、唾液が血液における一部のタンパク質レベルの変化を反応できる。従って、唾液に対する検出により疾患を診断することができる。
腫瘍は内分泌器官と同様に、ホルモン、リンホカインとサイトカインを分泌することができ、血液により遠隔器官に送られ、全身に影響を与える。一旦これらの因子が唾液腺に到達したり、唾液分泌に伴って口腔に入ったり唾液における遺伝子転写プロファイルに変化を発生させると、若干のタンパク質の存在量や種類の変化が引き起こされるので、唾液における腫瘍バイオマーカーになる。今までの研究によると、人間の唾液には1939種類のタンパク質があり、人間の血漿には3020種類のタンパク質があり、且つ唾液プロテオームと血漿プロテオームが一致するのは27%であることが見出された。これは、血液循環における多くのバイオマーカーは唾液に同定され得ることを示し、唾液が疾患の診断に用いられることをさらに説明している。血漿プロテオミクスにより見出された心血管疾患に関する177個の潜在的なバイオマーカーのタンパク質の中に、40%のタンパク質は唾液プロテオームにも存在し、また、見出された1058個の潜在的な癌関連バイオマーカーのタンパク質の中に、34%のタンパク質は唾液プロテオームにも存在する。唾液プロテオームと血漿プロテオームを比較した結果によると、いくつかのタンパク質は唾液プロテオームにのみ存在し、血漿プロテオームには存在しないことが示され、両方におけるタンパク質の種類が完全に一致するものではないことが判明された。唾液ヒトプロテオーム、血漿ヒトプロテオームと全ヒトプロテオームのGO(geneontology)アノテーションを比較することによって、唾液プロテオームと血漿プロテオームには細胞外マトリックス成分が多いが、細胞内液成分が少ないことが見出され、これにより、唾液プロテオームと血漿プロテオームはプロテオームを分泌する特徴があることを示唆している;生物学的プロセスと分子機能に関わる解析の結果によると、唾液プロテオームと血漿プロテオームは類似の生物学的機能を持つことが示唆されている。従って、唾液から腫瘍マーカーを選別することは科学性と実行可能性を有するとともに、非侵襲的に検出する利点を有する。
レクチンの親和精製、化学修飾法による糖タンパク質の捕捉及びタンデム質量分析技術の発展に伴い、最近の5年間に、唾液糖タンパク質プロテオームの研究が急速に発展され、腫瘍に関する唾液糖タンパク質の選別と同定が促進された。2006年には、Ramachandranなどはヒドラジド化学法を利用して唾液から45個のN−糖タンパク質を同定し、2年後に当該研究チームは、さらに唾液、耳下腺、顎下腺と舌下腺のN−糖タンパク質をそれぞれ同定することによって、同定されたN−糖タンパク質の数を77個に高めた。最新の研究によると、ヘキサペプチドライブラリーに基づくダイナミックレンジ圧縮技術、ヒドラジド化学及びタンデム質量分析法を利用して、唾液から合計193個のN−糖タンパク質が同定されたことが示された。現在、唾液から年齢と性別に関する代表的な糖タンパク質を探すことも新しい研究焦点になっている。例えば、唾液における免疫グロブリンA、糖タンパク質340とムコタンパク質5Bなどの存在量は年齢の増加とともに増加するが、ムコタンパク質7の存在量は年齢の増加とともに減少する。そのうち、ムコタンパク質5Bにおける糖鎖プロファイルは血液型の相違により少し違う。
レクチンチップ技術:サンプルにおける糖タンパク質糖鎖の構造と接続方式の変化を高スループットで検出することができる。
レクチンは、異なる糖鎖構造を特異的に識別できるとともに、多価の形で糖鎖と高親和性結合を形成することができる特性によって、グライコミクスの研究に広く用いられている。レクチンチップは、チップに固定されたレクチンプローブによりサンプルにおける糖タンパク質糖鎖と特異的に結合することで、サンプルにおける糖タンパク質糖鎖の構造と接続方式の変化を高スループットで検出できるので、糖タンパク質糖鎖の構造変化を研究する最も有効な解析ツールの1つであり、疾患を診断・監視する新しい方法の開発に寄与する。
中国特許出願第201110021447.3号には、本願発明者らは事前にチップ用マイクロアレイヤーを用いてエポキシ誘導化されたスライドガラスにレクチンをスポット作製し、固定化処理を経って、被覆率の高いレクチンチップを調製した。レクチンチップ技術により臨床サンプルにおける糖タンパク質糖鎖とレクチンに対して特異的な結合の研究を行い、様々なサンプルにおける糖タンパク質糖鎖プロファイル及びそれを識別するレクチンを解析した。また、遺伝子チップによるデータ解析方法を参考し、糖タンパク質糖鎖の発現プロファイルに対してデータの統計と解析を行い、臨床サンプルと正常対照グループにおける糖タンパク質糖鎖の異なる構造を確定した。まず、本願発明者らは標準的な糖タンパク質RNase BとFetuinを用い、糖タンパク質糖鎖の検出におけるレクチンチップの実行可能性と信頼性を検証したとともに、レクチンチップによりChang’s liver正常肝細胞の総タンパク質における糖タンパク質に対して初期解析を行ったところ、糖タンパク質には多価SiaやGlcNAc、末端α−1,3man、GalNAcとGalβl−4GlcNAc糖鎖構造があることが見出された。そして、被覆率の高いレクチンチップを利用して転写成長因子が活性化された肝星状細胞(LX−2)における糖タンパク質糖鎖プロファイルの変化を研究したところ、活性化状態の細胞の細胞膜には、AAL、PHA−E(インゲンマメレクチン−E)とECAにより識別されたFuc、N−GlcNAc及びGal糖鎖構造の発現は明らかに強くなることが見出された。チップ技術を利用し、CC1により誘導されたマウスの肝線維化モデルにおける糖の遺伝子発現と肝細胞表面の糖鎖プロファイルとの間の関連性を研究したところ、線維化した肝臓には10個の糖基転移酵素遺伝子の転写レベルに変化が発生されたことが見出された。肝線維化が発生される過程において、O−Glycanの合成ルート「Tn antigen→T antigen(core−1)→sialyl−T antigen」はアクティブになることが初めて開示された。グライコミクスの点から、肝線維化が形成される過程においてタンパク質のグリコシル化に変化を発生させる分子機構が開示された。
上述のように、本発明は「B型肝炎−B型肝炎後肝硬変−肝臓癌」という進展の3つの段階から、確立されたグライコミクス技術と方法で、B型肝炎、B型肝炎後肝硬変及び肝臓癌患者の唾液における共有の糖タンパク質糖鎖と特有の糖タンパク質糖鎖を探し、肝炎、肝硬変と肝臓癌を非侵襲的に識別することに新しい方法を提供する。
本発明の目的は、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を非侵襲的に且つ迅速に識別でき、肝炎、肝硬変と肝臓癌を非侵襲的に識別することに新しい方法を提供する、唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ及びその使用を提供することにある。
本発明の技術的な解決方案は以下の通りである。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含む。唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含む。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
本発明の有益な効果は、唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を高スループットで、非侵襲的に且つ迅速に識別でき、肝炎、肝硬変と肝臓癌を非侵襲的に識別することに新しい方法を提供する。
レクチンチップにおけるレクチンプローブのレイアウト図である; 健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液における糖タンパク質糖鎖の蛍光検出結果である。 唾液チップの検証結果である。Aは唾液チップのレイアウト図であり、N1−N7は健康者の唾液であり、HB1−HB6はB型肝炎患者の唾液であり、HC1−HC7は肝硬変患者の唾液であり、HCC1−HCC7は肝臓癌患者の唾液である。BはレクチンLTLと唾液チップとの結合による蛍光検出の結果図である。CはLTLと健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者及び肝臓癌患者の唾液との結合強度の比較である。
1.実験部分
1.1 試薬と材料
グリシン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tween−20とプロテアーゼ阻害剤はいずれも米国のSigma−Aldrich社から購入される。ウシ血清アルブミン(BSA)はドイツのMerck社から購入される。Cy3蛍光はいずれも米国のAmerhsma社から購入される。T−PER(動物組織からのタンパク質抽出試薬)は米国のPIERCE社から購入される。他の化学試薬はいずれも分析用純度であり、使用前にさらに精製されなかった。全ての実験用水はMilli−Q50純水システム(米国のMillipore社)により処理された超純水である。Sephadex G−25脱塩カラムは米国のGE Healthcare社から購入される。チップハイブリダイゼーションキットは米国のBio−Rad Laboratories社から購入される。PVDF膜は米国のMillipore社から購入される。他の一般的なガラス製品はいずれも中国製である。37種類のレクチン(具体的な名称は表1を参照)はそれぞれVector Laboratories社、米国のSigma−Aldrich社とドイツのCalbiochem社から購入される。
1.2 実験機器
電気送風乾燥ボックス:Taisite社(天津);オートクレーブ:TOMY社(日本);高速冷却遠心機5804R:Eppendorf社(ドイツ);微量核酸・タンパク質測定装置:Implen社(ドイツ);バイオチップスキャナー4000B:Axon社(米国);チップ用マイクロアレイヤー:博奥晶芯製のSmartArrayer48マイクロアレイヤー;チップハイブリダイゼーションボックスHL−2000:UVP社(米国)。
1.3 研究対象と全唾液の採取
志願者は他の疾患がなく、一週間以内にいずれかの薬を服用していない。確診されたB型肝炎患者は36名であり、B型肝炎後肝硬変患者は27名であり、B型肝炎による肝臓癌患者は27名である。肝疾患患者の平均年齢は57〜65歳であるため、20名の健康志願者の平均年齢は62歳となる。唾液における糖タンパク質糖鎖が血液型の影響を受けないことを確保するために、各グループにはA型、B型、AB型とO型の血液型の割合は個々一致している。食事後の2時間以内に、およそ九時から十時までの間に、生理食塩水で3回口をすすいだ後に、自然に分泌した全唾液を迅速に採取する。少なくとも1mlの唾液を採取したらすぐ氷に置い、タンパク質分解を防ぐためにプロテアーゼ阻害剤を入れる(1mlの唾液あたり1μlを入れる)。
1.4 唾液タンパク質の処理と蛍光標識
採取された全唾液を12000rpm、4℃で10分間遠心処理した後に、上澄みを掬って不溶の沈殿物を除去する。0.22μmのポアサイズを有する濾過膜によって上澄みにおける細菌と他の微生物をろ過する。個体差を減らして個々のサンプルを正規化させるために、グループによって、サンプルごとにそれぞれ100μl採取して混合し、BCA法でタンパク質定量を行う。混合されたサンプルはCy3蛍光色素で標識された後に、Sephadex G−25脱塩カラムによりフリー蛍光が除去される。標識されたタンパク質はレクチンチップの培養用に備える。個々のサンプルは唾液チップのスポット作製用である。
1.5 レクチンチップとデータ解析
レクチンチップの調製、Cy3蛍光標識の試料タンパク質とレクチンチップの培養工程、及びレクチンチップのデータの取得と正規化解析は上記の中国特許出願第201110021447.3号における開示と同様である。
1.6 唾液チップの調製とデータ解析
図3を参照し、唾液チップは個々の唾液サンプルのスポット作製によるもので、サンプルが健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者に基づいて4つのグループに分けられ、それぞれが7名、6名、7名と7名である。Cy3標識のレクチンは、これらの唾液サンプルにおけるレクチンにより特異的に識別された糖鎖構造の発現レベルを検出するために用いられる。唾液タンパク質はスポッティングバッファー(0.5mg/mL BSAが1×PBSに溶解し、pH7.4)で最終濃度がlmg/mLになるように溶解し、チップ用マイクロアレイヤーによりエポキシ修飾されたスライドガラスにスポット作製される。唾液チップのレイアウト図を図3におけるA部分に示す。各サンプルエリアに3回繰り返し、各フィルムベースには3つの繰り返しエリアがある。スポット作成されたフィルムベースは湿度50%において培養され、1晩を経ってから37℃で3時間真空乾燥して固定され、固定されたチップが予備に4℃で密閉且つ遮光保存されることができる。チップはまず常温で、ブロッキングバッファーに1時間密閉され、1×PBSTと1×PBSでそれぞれ2回(毎回5min)洗浄された後に、遠心乾燥される。次いで、配合されたCy3標識レクチンを含む培養バッファーを加え、チップハイブリダイゼーションボックスにて4rpmで3時間ゆっくり回転され、1×PBSTと1×PBSでそれぞれ2回(毎回10min)洗浄された後に、遠心乾燥される。チップスキャナーによって光電子増倍管を70%、レーザー強度を100%に設定し、波長532nmにおいてチップ画像をスキャンする。画像をGenepix3.0ソフトウェアで解析することでオリジナルデータが取得される。オリジナルデータには、バックグラウンド値の標準偏差の2倍未満の値を除去し、各チップにおける各サンプルの9個の繰り返し点の有効値から平均値(As)を求め、各グループの平均値をグループにおける各サンプルの平均値(A)の平均値(A)±標準偏差(SD)で示す。任意の2つのグループや複数のグループの間に、顕著な差を探すようにSPSS statistics 19ソフトウェアでt検定や一元配置分散分析(one−way ANOVA)が行われ、図3におけるB部分とC部分を参照されたい。
2.結果部分
2.1 B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液における糖タンパク質糖鎖プロファイルの変化
レクチンチップを利用し、健康志願者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液をそれぞれ検出し、専門のソフトウェアによりチップのデータを取得し正規化処理をした後、まず3つの肝疾患患者グループの結果と健康者グループの結果を比較し、即ち健康者グループ(H)に比べて、B型肝炎患者グループ(HB)、肝硬変患者グループ(HC)と肝臓癌患者グループ(HCC)において、各レクチンに応じる正規化後の蛍光強度(NFI)はそれぞれFold−change値を取得した。本願発明者らは、Fold−change>2とFold−change<0.5が健康者に対して肝疾患患者の唾液に高発現する糖鎖と低発現する糖鎖であることと考える。
結果によると、HB患者、HC患者とHCC患者の唾液における糖鎖の差次的発現はそれぞれ23種類、20種類と24種類のレクチンにより識別されたことが見出された(表3と図2)。そのうち、JacalinとVVAにより識別されたT/Tn抗原、シアリルT/Tn抗原;PTL−I、PTL−II、SJAとGSL−Iなどより識別されたαGalNAcとαGal(特に末端)糖鎖構造;LCA、Con−AとGNAにより識別された高マンノース、α−D−Man、Manα1−3Man構造;及びGSL−IIとDSAより識別されたβ−D−GlcNA、(GlcNAcβ1−4)などは3種類の肝疾患患者の唾液に高発現される。また、AAL、PSAとUEA−1により識別されたコアフコース、Fucα−N−acetylchitobiose−ManとFucα1−2Galβ1−4Glc(NAc)などの構造;MAL−IIにより識別されたSiaα2−3Galβ1−4Glc(NAc)/Glc;WGAにより識別された多価シアル酸と(GlcNAc)構造などは3種類の肝疾患患者の唾液に低発現される。
そのほか、SNAにより識別されたSia2−6Gal/GalNAcはB型肝炎にのみ高発現される;PHA−Eにより識別されたバイセクト型GlcNAcと2分岐型N−糖鎖、MPLにより識別されたGalβ1−3GalNAcはB型肝炎にのみ低発現される。EELにより識別されたGalα1−3(Fucα1−2)Gal、PWMにより識別された分岐型(LacNAc)は肝臓癌にのみ高発現される;WFAにより識別された末端GalNAcα/β1−3/6Gal、LTLにより識別されたFucα1−3(Galβ1−4)GlcNAcは肝臓癌にのみ低発現される。
2.2 B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液における糖タンパク質糖鎖プロファイルの間の比較
B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液のレクチンチップの結果を比較することにより、PNAにより識別されたT抗原、MPLにより識別されたGalβ1−3GalNAc、NPAにより識別された高マンノースとManα1−6Manの肝硬変患者の唾液における発現レベルはB型肝炎患者より明らかに高いが、DSAとWGAにより識別された多価シアル酸、(GlcNAc)と(GlcNAcβ1−4)の肝硬変患者の唾液における発現レベルはB型肝炎患者より明らかに低いことが見出された。PHA−Eにより識別されたバイセクト型GlcNAcと2分岐型N−糖鎖、LELにより識別された(GlcNAc)、WGAにより識別された多価シアル酸、(GlcNAc)と(GlcNAcβ1−4)の肝臓癌患者の唾液における発現レベルは肝硬変患者より明らかに高いが、WFAにより識別された末端GalNAcα/β1−3/6Gal、PNAにより識別されたT抗原、NPAにより識別された高マンノースとManα1−6Man、PSAにより識別されたFucα−N−acetylchitobiose−Manの肝臓癌患者の唾液における発現レベルは肝硬変患者より明らかに低い。
本発明のレクチンプローブの選別の結果を表4に示す。
2.3 レクチンチップの結果の検証
レクチンチップの結果をさらに検証するために、レクチンプローブと健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液サンプルにおける識別される糖鎖との結合を検証する。レクチンLTLを例にして、Cy3蛍光標識のLTLとスポット作製された唾液チップを培養し、チップスキャナーによるスキャン(図3Bを参照)とGenepix3.0ソフトウェアによる解析を経って、上記1.6に記載された方法に基づいてオリジナルデータを徹底的に解析する。結果によると、LTLと7つの肝臓癌の唾液サンプルにおける識別される糖鎖との結合強度は、それがほかのサンプルとの結合より明らかに低いことが示され(図3Cを参照)、スチューデントのt検定によりP値が0.05未満であることが見出された。ほかのレクチンプローブの検証方法はこの方法を参照し、その結果、いずれもレクチンチップの結果と一致していることが示された。これによって、これらのレクチンはプローブとして唾液における糖タンパク質糖鎖に対する検出により肝疾患を識別できることが判明された。
中国は慢性肝炎、特にB型肝炎の高発症地域であり、約1.2億人が長期的にB型肝炎ウイルスを持って、慢性肝炎患者数が約3000万である。約30万の慢性肝炎患者は最終に肝硬変患者と肝臓癌患者になる。研究によると、80%〜90%の肝臓癌患者は「 慢性肝炎−肝硬変−肝臓癌 」という過程を経ることが見出された。既にある研究は、肝炎から肝線維化/肝硬変になる過程中に、患者の血清における糖タンパク質糖鎖に変化が発生されることが開示された。例えば、B型肝炎ウイルス(HBV)感染後に、肝線維化患者の血清におけるGal化2分岐型N−糖鎖レベルが明らかに健康志願者より高いとともに、血清における2分岐型及び3分岐型N−糖鎖レベルが肝線維化の程度の悪化に伴って低下する。他の研究によると、肝線維化の進展に伴い、血清におけるバイセクト型コアα(1,6)Fuc化2分岐型N−糖鎖レベルが高くなるが、3分岐型N−糖鎖レベルが低くなり、これによって、血清における特定のN−糖鎖のレベルの変化は線維化の進展を監視するために用いられることが判明された。KamなどはMALDI−T0F質量分析法で、慢性HBV感染と程度の異なる肝線維化患者の血清におけるN−結合糖鎖プロファイルの変化を定量的に解析したところ、17個の糖鎖のマススペクトルピークが肝線維化/肝硬変検出の潜在的なバイオマーカーになることができ、また、1341.5、1829.7、1933.3と2130.3m/zという4つの糖鎖のマススペクトルピークが肝線維化と肝硬変を識別・診断することができ、且つ正確率が85%に達することが見出された。QuなどはDNAシーケンサーの蛍光体支援糖質電気泳動法(DSA−FACE)を利用し、慢性HBV患者の血清におけるN−糖鎖プロファイルの変化を評価したところ、糖鎖プロファイルにおけるピーク1、2、8及び10がある程度に肝線維化の異なる段階を区別することができることが見出された。研究によると、血清におけるヒアルロン酸(HA)の濃度変化と肝線維化の異なる段階との間に相関性を持つことも見出された。
本発明の技術的な解決方案は以下の通りである。
テスト用レクチンプローブ群を含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含む。唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含む。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
本発明の有益な効果は、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を高スループットで、非侵襲的に且つ迅速に識別でき、肝炎、肝硬変と肝臓癌を非侵襲的に識別することに新しい方法を提供する。
レクチンチップにおけるレクチンプローブのレイアウト図である 健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液における糖タンパク質糖鎖の蛍光検出結果である。 唾液チップの検証結果である。Aは唾液チップのレイアウト図であり、N7は健康者の唾液であり、HBHB6はB型肝炎患者の唾液であり、HCHC7は肝硬変患者の唾液であり、HCCHCC7は肝臓癌患者の唾液である。BはレクチンLTLと唾液チップとの結合による蛍光検出の結果図である。CはLTLと健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者及び肝臓癌患者の唾液との結合強度の比較である。

Claims (10)

  1. テスト用レクチンプローブ群を含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
  2. 上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
  3. 上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
  4. テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
  5. 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のレクチンチップの使用。
  6. 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項2に記載のレクチンチップの使用。
  7. 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項3に記載のレクチンチップの使用。
  8. 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項4に記載のレクチンチップの使用。
  9. 請求項2に記載のレクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
  10. 請求項4に記載のレクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
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