JP2017502307A - 唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ及びその使用 - Google Patents
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Abstract
Description
(1)肝炎、肝線維化/肝硬変と肝臓癌の発生及び進展の過程において、患者の血清/肝組織における糖タンパク質糖鎖が変化することから、血清と組織における糖タンパク質糖鎖の変化は肝臓癌の発生及び進展に関わることが分かる。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含む。唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含む。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質及び糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
1.1 試薬と材料
グリシン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、Tween−20とプロテアーゼ阻害剤はいずれも米国のSigma−Aldrich社から購入される。ウシ血清アルブミン(BSA)はドイツのMerck社から購入される。Cy3蛍光はいずれも米国のAmerhsma社から購入される。T−PER(動物組織からのタンパク質抽出試薬)は米国のPIERCE社から購入される。他の化学試薬はいずれも分析用純度であり、使用前にさらに精製されなかった。全ての実験用水はMilli−Q50純水システム(米国のMillipore社)により処理された超純水である。Sephadex G−25脱塩カラムは米国のGE Healthcare社から購入される。チップハイブリダイゼーションキットは米国のBio−Rad Laboratories社から購入される。PVDF膜は米国のMillipore社から購入される。他の一般的なガラス製品はいずれも中国製である。37種類のレクチン(具体的な名称は表1を参照)はそれぞれVector Laboratories社、米国のSigma−Aldrich社とドイツのCalbiochem社から購入される。
電気送風乾燥ボックス:Taisite社(天津);オートクレーブ:TOMY社(日本);高速冷却遠心機5804R:Eppendorf社(ドイツ);微量核酸・タンパク質測定装置:Implen社(ドイツ);バイオチップスキャナー4000B:Axon社(米国);チップ用マイクロアレイヤー:博奥晶芯製のSmartArrayer48マイクロアレイヤー;チップハイブリダイゼーションボックスHL−2000:UVP社(米国)。
志願者は他の疾患がなく、一週間以内にいずれかの薬を服用していない。確診されたB型肝炎患者は36名であり、B型肝炎後肝硬変患者は27名であり、B型肝炎による肝臓癌患者は27名である。肝疾患患者の平均年齢は57〜65歳であるため、20名の健康志願者の平均年齢は62歳となる。唾液における糖タンパク質糖鎖が血液型の影響を受けないことを確保するために、各グループにはA型、B型、AB型とO型の血液型の割合は個々一致している。食事後の2時間以内に、およそ九時から十時までの間に、生理食塩水で3回口をすすいだ後に、自然に分泌した全唾液を迅速に採取する。少なくとも1mlの唾液を採取したらすぐ氷に置い、タンパク質分解を防ぐためにプロテアーゼ阻害剤を入れる(1mlの唾液あたり1μlを入れる)。
採取された全唾液を12000rpm、4℃で10分間遠心処理した後に、上澄みを掬って不溶の沈殿物を除去する。0.22μmのポアサイズを有する濾過膜によって上澄みにおける細菌と他の微生物をろ過する。個体差を減らして個々のサンプルを正規化させるために、グループによって、サンプルごとにそれぞれ100μl採取して混合し、BCA法でタンパク質定量を行う。混合されたサンプルはCy3蛍光色素で標識された後に、Sephadex G−25脱塩カラムによりフリー蛍光が除去される。標識されたタンパク質はレクチンチップの培養用に備える。個々のサンプルは唾液チップのスポット作製用である。
レクチンチップの調製、Cy3蛍光標識の試料タンパク質とレクチンチップの培養工程、及びレクチンチップのデータの取得と正規化解析は上記の中国特許出願第201110021447.3号における開示と同様である。
図3を参照し、唾液チップは個々の唾液サンプルのスポット作製によるもので、サンプルが健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者に基づいて4つのグループに分けられ、それぞれが7名、6名、7名と7名である。Cy3標識のレクチンは、これらの唾液サンプルにおけるレクチンにより特異的に識別された糖鎖構造の発現レベルを検出するために用いられる。唾液タンパク質はスポッティングバッファー(0.5mg/mL BSAが1×PBSに溶解し、pH7.4)で最終濃度がlmg/mLになるように溶解し、チップ用マイクロアレイヤーによりエポキシ修飾されたスライドガラスにスポット作製される。唾液チップのレイアウト図を図3におけるA部分に示す。各サンプルエリアに3回繰り返し、各フィルムベースには3つの繰り返しエリアがある。スポット作成されたフィルムベースは湿度50%において培養され、1晩を経ってから37℃で3時間真空乾燥して固定され、固定されたチップが予備に4℃で密閉且つ遮光保存されることができる。チップはまず常温で、ブロッキングバッファーに1時間密閉され、1×PBSTと1×PBSでそれぞれ2回(毎回5min)洗浄された後に、遠心乾燥される。次いで、配合されたCy3標識レクチンを含む培養バッファーを加え、チップハイブリダイゼーションボックスにて4rpmで3時間ゆっくり回転され、1×PBSTと1×PBSでそれぞれ2回(毎回10min)洗浄された後に、遠心乾燥される。チップスキャナーによって光電子増倍管を70%、レーザー強度を100%に設定し、波長532nmにおいてチップ画像をスキャンする。画像をGenepix3.0ソフトウェアで解析することでオリジナルデータが取得される。オリジナルデータには、バックグラウンド値の標準偏差の2倍未満の値を除去し、各チップにおける各サンプルの9個の繰り返し点の有効値から平均値(As)を求め、各グループの平均値をグループにおける各サンプルの平均値(AS)の平均値(AG)±標準偏差(SDG)で示す。任意の2つのグループや複数のグループの間に、顕著な差を探すようにSPSS statistics 19ソフトウェアでt検定や一元配置分散分析(one−way ANOVA)が行われ、図3におけるB部分とC部分を参照されたい。
2.1 B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液における糖タンパク質糖鎖プロファイルの変化
レクチンチップを利用し、健康志願者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液をそれぞれ検出し、専門のソフトウェアによりチップのデータを取得し正規化処理をした後、まず3つの肝疾患患者グループの結果と健康者グループの結果を比較し、即ち健康者グループ(H)に比べて、B型肝炎患者グループ(HB)、肝硬変患者グループ(HC)と肝臓癌患者グループ(HCC)において、各レクチンに応じる正規化後の蛍光強度(NFI)はそれぞれFold−change値を取得した。本願発明者らは、Fold−change>2とFold−change<0.5が健康者に対して肝疾患患者の唾液に高発現する糖鎖と低発現する糖鎖であることと考える。
B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液のレクチンチップの結果を比較することにより、PNAにより識別されたT抗原、MPLにより識別されたGalβ1−3GalNAc、NPAにより識別された高マンノースとManα1−6Manの肝硬変患者の唾液における発現レベルはB型肝炎患者より明らかに高いが、DSAとWGAにより識別された多価シアル酸、(GlcNAc)nと(GlcNAcβ1−4)nの肝硬変患者の唾液における発現レベルはB型肝炎患者より明らかに低いことが見出された。PHA−Eにより識別されたバイセクト型GlcNAcと2分岐型N−糖鎖、LELにより識別された(GlcNAc)n、WGAにより識別された多価シアル酸、(GlcNAc)nと(GlcNAcβ1−4)nの肝臓癌患者の唾液における発現レベルは肝硬変患者より明らかに高いが、WFAにより識別された末端GalNAcα/β1−3/6Gal、PNAにより識別されたT抗原、NPAにより識別された高マンノースとManα1−6Man、PSAにより識別されたFucα−N−acetylchitobiose−Manの肝臓癌患者の唾液における発現レベルは肝硬変患者より明らかに低い。
レクチンチップの結果をさらに検証するために、レクチンプローブと健康者、B型肝炎患者、肝硬変患者と肝臓癌患者の唾液サンプルにおける識別される糖鎖との結合を検証する。レクチンLTLを例にして、Cy3蛍光標識のLTLとスポット作製された唾液チップを培養し、チップスキャナーによるスキャン(図3Bを参照)とGenepix3.0ソフトウェアによる解析を経って、上記1.6に記載された方法に基づいてオリジナルデータを徹底的に解析する。結果によると、LTLと7つの肝臓癌の唾液サンプルにおける識別される糖鎖との結合強度は、それがほかのサンプルとの結合より明らかに低いことが示され(図3Cを参照)、スチューデントのt検定によりP値が0.05未満であることが見出された。ほかのレクチンプローブの検証方法はこの方法を参照し、その結果、いずれもレクチンチップの結果と一致していることが示された。これによって、これらのレクチンはプローブとして唾液における糖タンパク質糖鎖に対する検出により肝疾患を識別できることが判明された。
テスト用レクチンプローブ群を含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含む。唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含む。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
上記レクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする上記レクチンチップの使用。
Claims (10)
- テスト用レクチンプローブ群を含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせを少なくとも含むことを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
- 上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにWFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
- 上記テスト用レクチンプローブ群が、さらにPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせを含むことを特徴とする請求項1に記載の唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
- テスト用レクチンプローブ群と対照プローブを含むレクチンチップであって、上記テスト用レクチンプローブ群がI、II及びIII群を含み、上記I、II及びIII群がそれぞれJacalin、GSL−II、PTL−I、SJA、GSL−I、LCA、Con−A、PTL−II、DSA、VVA、GNA、PHA−E+L、MAL−II、AAL、PSA、WGA及びUEA−Iレクチンプローブの組み合わせ、WFA、LTL、LEL、EEL及びPWMレクチンプローブの組み合わせとPHA−E、PNA、MPL、DBA、NPA、BS−I及びSNAレクチンプローブの組み合わせであることを特徴とする唾液の糖タンパク質糖鎖に基づいて肝疾患を識別するレクチンチップ。
- 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項1に記載のレクチンチップの使用。
- 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項2に記載のレクチンチップの使用。
- 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項3に記載のレクチンチップの使用。
- 唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するために用いられることを特徴とする請求項4に記載のレクチンチップの使用。
- 請求項2に記載のレクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
- 請求項4に記載のレクチンチップを利用し、作製され、唾液における糖タンパク質糖鎖の変化を検出するキット。
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