JP2017500012A - 煮沸ケトル内で麦芽汁を処理する方法 - Google Patents

煮沸ケトル内で麦芽汁を処理する方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、(a)・ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口(1u)、およびケトルから麦芽汁を流出させるのに適する出口(1d)が付いている、ケトル(1)・ケトル内に含有される麦芽汁を沸騰温度またはそれに近い温度にするのに、ならびに前記温度を制御するのに、適する加熱手段(2)、・前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システムを提供するステップと、(b)麦芽汁濾過ステップから前記煮沸ケトルに、入口を通じて、その沸騰温度未満の温度である麦芽汁を供給するステップと;(c)麦芽汁を通して不活性ガスを散布しながら、15〜90分間に含まれ、最初に麦芽汁中に存在する水の最大で4重量%を蒸発させる所要時間未満である、持続時間ttreatにわたり、前記麦芽汁を麦芽汁の沸騰温度Tb未満である処理温度Taに加熱して、それを保つステップと;(d)処理された麦芽汁を出口を通じて澱分離ステップに移すステップとを含んでなる、ケトル内における麦芽汁処理工程に関与する。【選択図】図3

Description

本発明は、ビール醸造過程における、従来の麦芽汁煮沸技術の改良に関する。具体的には、それは、エネルギー消費量の観点から、今までに達成されたものよりも実質的にさらに経済的な工程に関する。
図1に示されるように、ビールまたは麦芽ベース飲料の醸造は、粉砕機(200)に麦芽(100)を供給して、それを次に水と混合して、中程度に高い温度でマッシュ(300)し、デンプンの発酵性糖類への酵素変換を停止させるステップを含んでなる。麦芽汁濾過ステップ(400)では、マッシュを透明な液体麦芽汁と残留穀粒に分離する。このようにして分離された麦芽汁は、次に、従来法でその沸騰温度を超えて加熱されることから、伝統的に「煮沸」ステップと称されるステップでケトル(1)に供給されて、麦芽汁が滅菌され、酵素活性が停止されて、望まれない成分が変換および/または除去される。煮沸ステップ後、煮沸ステップ中に形成された澱は、通常は、例えばDE102008033287号明細書で開示されるような、渦流浴醸造桶(500)内で、麦芽汁から分離される。次に、麦芽汁を冷却し(600)、発酵させ(700)、成熟させて(800)、濾過し(900)、例えば、瓶、樽、缶などにパッケージする(1000)。
グローバル化する世界において、醸造所は、高まり続けるエネルギー価格や輸出のための複雑な輸送などの多数の難題に直面する。増大する輸出は、コロイド、微生物、および香味の安定性を改善するための技術的変更の探求を醸造所に強いる。香味安定性は、今日、なおも完全に理解されていない。しかし、麦芽汁煮沸工程(図1、#1を参照されたい)は、ビールの香味安定性に大きな影響を及ぼすことが知られている。
麦芽汁煮沸は、醸造所において最もエネルギーを消費する工程段階の1つである。それは、いくつかの機能を果たす:
(a)麦芽汁の滅菌、
(b)酵素活性の停止、
(c)α酸のイソα酸への異性化、
(d)タンパク質およびポリフェノールの凝固、
(e)S−メチルメチオニン(SMM)の硫化ジメチル(DMS)への分解、
(f)望まれない風味化合物の除去。
麦芽汁滅菌および酵素活性停止は、90℃を超える温度に達した時点で容易に達成される。ホップ酸の異性化速度は温度依存性であり、10℃毎にほぼ倍加する。酵素およびヘイズ活性タンパク質の変性と、後続のポリフェノールによる凝固および沈殿は、麦芽汁煮沸工程中に完了されなくてはならない。凝固工程は、液体と気体の境界面が拡大すると、劇的に促進される。麦芽汁が沸騰温度に達すると、蒸気泡が追加的な境界面を提供する。
S−メチルメチオニン(SMM)から非常に揮発性の硫化ジメチル(DMS)への分解は、DMS排気に先だつ必要なステップである。最もエネルギーを要する目的は、望まれない香味化合物、特にDMSの除去であるが、その他の香味化合物もまた除去される。各揮発性物質は、成分および麦芽汁の蒸気−液体−平衡(VLE)によって測定され、麦芽汁は、物理的に純水とほぼ同一であると見なされる。これは、測定された蒸発量が、望まれない化合物のレベルを閾値以下に低下させるために必要であることを意味する。したがって常に、最小の蒸発が要求され、最新のシステムは、煮沸工程中に4〜6重量%の最低限の蒸発で機能する。
いくつかの麦芽汁煮沸技術が、当技術分野で公知である。例えば、1970年代以降、通常、適用される煮沸法は、内部ボイラーの手段による自然対流式煮沸である。内部ボイラーは、中空加熱管の束によって形成される円柱形であり、麦芽汁はこれらの管を自由に通過し得る。動作原理は、「熱サイホン」タイプであり、それによって麦芽汁が加熱管に入って沸騰温度に達し、蒸気泡が形成して立ち昇る。これらの蒸気泡(超低密度)は、内部ボイラーを通る上向き駆動力であり、それによって自然対流が確実になる。代案としては、ボイラーは、ケトル外部に位置し得て、麦芽汁は、ポンプの手段を通じて供給され、ケトルに戻し入れられる。
過去10年間に、多数の新しく革新的な煮沸システムが導入されている。それらは、全て、蒸発低下による、そしてチオバルビツル酸(TBA)数値法によって麦芽汁上で測定される熱負荷低下による、エネルギー削減に重点を置く。最新の麦芽汁煮沸システムの例は、以下に基づく:動的麦芽汁煮沸;薄膜蒸発;増大した加熱表面がある外部熱サイホンボイラー;連続麦芽汁煮沸;真空煮沸、強制対流式内部ボイラー;フラッシュ蒸発による穏やかな煮沸;および不活性ガス散布による麦芽汁煮沸。具体的には、不活性ガス散布による麦芽汁煮沸は、麦芽汁を約30分間の持続期間にわたり煮沸することからなり、その時点で、なおも煮沸しながら煮沸麦芽汁中に不活性ガスが散布され、それはDMSの除去速度を大幅に高める。散布は、欧州特許第875560号明細書で開示されるような、麦芽汁ケトルの最下部に位置する環状構造によって提供される。容易になったDMS除去のおかげで、煮沸時間が短縮され得て、蒸発率は約4重量%に低下させ得る。
最新の麦芽汁煮沸技術によってさえも、麦芽汁煮沸は、醸造工程全体の最大のエネルギー消費ステップのままである。したがって当技術分野において、麦芽汁濾過機から排出される麦芽汁のより経済的な処理工程に対する、明らかな必要性が残されている。本発明は、このような工程を提案する。この利点およびその他の利点は、以下のセクションで報告される。
本発明は、添付の独立クレームで定義される。好ましい実施形態は、従属クレームで定義される。具体的には、本発明は、
(a)・ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口、およびケトルから麦芽汁を流出させるのに適する出口が付いている、ケトル、
・ケトル内に含有される麦芽汁を沸騰温度またはそれに近い温度にするのに、ならびに前記温度を制御するのに、適する加熱手段、
・前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システム
を提供するステップと;
(b)麦芽汁濾過ステップから前記煮沸ケトルに、入口を通じて、その沸騰温度未満の温度である麦芽汁を供給するステップと;
(c)麦芽汁を通して不活性ガスを散布しながら、15〜90分間、より好ましくは30〜60分間、好ましくは20〜75分間に含まれて、最初に麦芽汁中に存在する水の最大で4重量%を蒸発させる所用時間未満である持続時間ttreatにわたり、前記麦芽汁を麦芽汁の沸騰温度T未満の処理温度Tに加熱して、それを保つステップと;
(d)処理された麦芽汁を出口を通じて澱分離ステップに移すステップと
を含んでなる、ケトル内における麦芽汁処理工程に関する。
処理温度Tは、好ましくは90℃を超え、好ましくは97℃を超え、より好ましくは(T−2℃)〜Tであり、Tは麦芽汁の沸騰温度である。処理時間ttreat後でさえも、前記煮沸ケトル内のその滞留持続期間全体にわたり、麦芽汁がそれらの沸騰温度Tに達しないことが好ましい。
本発明の工程は、気体散布システムが追加された、従来法の麦芽汁煮沸のために使用される先行技術ケトル内で実施し得る。具体的には、ケトルは、加熱されるまたは高温に保たれる麦芽汁がそれを通じて流れる、垂直方向の加熱管を含んでなる、内部ボイラー型であり得る。前記加熱管が、ガススパージャの真上に位置すれば、有利である。代案としては、ケトルは、加熱されるまたは高温に保たれる麦芽汁が、それを通じて流れる加熱管を含んでなる外部ボイラー型であり得て、前記加熱管はケトル外部に位置して、管材料およびポンプを通じて、それと流体連結している。
不活性ガスは、ケトル最下部に位置して放射状方向で上向きまたは横向きのガススパージャによって、麦芽汁中に散布され得て、前記スパージャは、好ましくは多数の開口部が付いている円板、円柱または環を構成する。開口部は、焼結ステンレス鋼などの焼結された材料のオリフィスまたは開放孔であり得る。加熱段階において麦芽汁の温度を均質化するために、不活性ガス流量は、煮沸ケトルへの麦芽汁装入時に初期値を有することが好ましく、それは最大値であり、好ましくは0.05〜50m/h/hl麦芽汁、より好ましくは0.1〜10m/h/hlに含まれる。処理温度Tに達したら、ガス流量は、好ましくは不活性ガス散布流量の初期値の25〜75%、より好ましくは37〜45%に含まれる値に、漸次低下させてもよい。不活性ガスは、好ましくは窒素または二酸化炭素である。
工程終了時に、このようにして処理された麦芽汁は、次に例えば渦流浴醸造桶内などの澱分離ステップに、次にさらなる処理容器に移されて、ビールまたは麦芽ベース飲料が製造され得る。このようにして製造されたビールまたは麦芽ベース飲料は、好ましくは、
(a)少なくとも150sの気泡安定性(NIBEM);
(b)1.0EBC未満である、新鮮なビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ;および/または
(c)1.5EBC未満である、60℃で3日間老化させたビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ
の特性の1つまたは複数を有する。
本発明の本質のより完全な理解のために、添付の図面と併せて、以下の詳細な説明に言及する。
図1は、醸造工程の様々な段階を示す。 図2は、本発明の工程全体にわたる、麦芽汁の温度プロファイルおよび気体散布流量の略図である。 図3は、本発明に適する内部ボイラーケトルの第1の実施形態を示す。図3(a)は空であり、図3(b)は麦芽汁で充填されてその中に気体が散布されている。 図4は、本発明に適する外部ボイラーケトルの第2の実施形態を示す。図4(a)は空であり、図4(b)は麦芽汁で充填され、その中に気体が散布されている。 図5は、本発明に適する外部ボイラーケトルの第3の実施形態を示す。図5(a)は空であり、図5(b)は麦芽汁で充填されてその中に気体が散布されている。 図6は、ttreat中における、麦芽汁中のDMS含有量の進展を示す。 図7は、本発明による疑似煮沸工程のエネルギー消費量が、それぞれ自然および強制対流により実施される煮沸工程の1つと比較される。
図1に示されるように、本発明は、麦芽汁濾過(400)に続いて、ほとんどの場合渦流浴醸造桶内で実施される澱分離(500)に先行する、麦芽汁処理ステップに対処する。本発明にいかなる変更も加えることなく、麦芽汁濾過醸造桶とケトル(1)の間に、緩衝または予熱タンクを挿入し得ることが明らかである。本発明の対象である麦芽汁処理ステップは、麦芽汁が伝統的にその沸騰温度を超えて加熱され、滅菌されて、酵素活性が停止されて、望まれない成分が変換および/または除去されるために、伝統的に「煮沸」ステップと称される。しかし、検討中の工程では、先行技術工程とは逆に、処理時間ttreat中のいかなる時点においても麦芽汁がその沸騰温度にならないために、「疑似煮沸」ステップという用語がそれに代えて使用される。
本発明の疑似煮沸工程は、有利には、同時のエネルギー消費量の実質的削減と共に、今までに当技術分野で開示されおよび利用されている煮沸工程を置き換えることが意図される。特に、煮沸および疑似煮沸ステップの双方の後において、
(a)麦芽汁は、滅菌されなくてはならず、
(b)酵素活性は、停止されなくてはならず、
(c)α酸の量は、低減されて、イソα酸で置き換えられるべきであり、
(d)S−メチルメチオニン(SMM)のかなりの量が、硫化ジメチル(DMS)に変換されていなくてはならず、
(e)ヘイズ活性タンパク質およびポリフェノールは、分離のために凝固されていなくてはならず、
(f)望まれない香味化合物、特にDMSは、除去されるべきである。
上の目的(a)〜(d)は、ほとんどが時間−温度依存性であり、90℃を超える温度で達成され得て、速度は温度と共に増大する。他方では、タンパク質およびポリフェノールの凝固と、望まれない揮発性香味成分除去は、液体と気体の界面面積が増大すると、実質的に加速される。この理由から、液体−気体界面面積、ひいてはヘイズ活性タンパク質およびポリフェノールの凝固速度、および望まれない揮発性構成要素の除去速度を実質的に増大させる蒸気泡を生じるために、麦芽汁を煮沸させることが必要である。液体−気体界面面積を増大させるこの麦芽汁煮沸法は、機能するが、
(a)それは強力にエネルギー消費性であり、
(b)水蒸発は、最も経済的な煮沸システムにおける4重量%から、より伝統的な煮沸技術における6〜10重量%以上の範囲に及ぶ
という2つの大きな不都合を有する。
水を沸騰させることは、非常に多大なエネルギーを消費する。麦芽汁の物理的加熱特性は、水と非常に類似する。水(および麦芽汁)の気化潜熱は、2260kJ/kgと非常に大きい。これは、温度差dTで、麦芽汁の沸騰温度T未満の温度に、1リットルの麦芽汁を加熱するのに必要な加熱がQ=cp dT kJ/kg(式中、cpは麦芽汁の比熱(約4.19kJ/kg℃)である)であれば、ひとたび麦芽汁の温度が沸騰温度Tに達したら、前記1リットルの液体の水を蒸気に変換するために、システムによって2260kJ/kgが要求されるということになる。麦芽汁(および水)の煮沸温度は、圧力依存性であるために、Tの実際の値は、天候および醸造所の所在地の関数として変動することに留意されたい。大気圧では、T=100℃であるが、メキシコシティまたはラサに位置する醸造所では、液体麦芽汁は、決してこのような温度に達しないことが明らかである。
DMSなどの望まれない揮発性香味化合物の除去は、麦芽汁の各揮発性物質の蒸気−液体平衡(VLE)に依存する。これは、測定された蒸発量が、望まれない化合物のレベルを閾値以下に低下させるために必要であることを意味する。したがって最小の蒸発が常に要求され、最新のシステムは、4〜6%の最低限の蒸発で機能し、これはなおもかなりの量である。
本発明による工程を実施するために、ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口(1u)、およびケトルから麦芽汁を流出させるのに適する出口(1d)が付いている、ケトル(1)が必要である。ケトル内で麦芽汁を加熱するのに適する加熱手段(2)が、提供されなくてはならない。加熱手段は、通常、並行ジャケット付き中空管束の形態であり、その中で、ジャケット内を循環する加熱流体によって加熱される中空管の管腔を通じて、麦芽汁が循環される。加熱手段(2)はケトル内部に位置し得て、したがって図3(a)に例示される内部ボイラーケトルが形成される。それらの超低密度のために、これらの蒸気泡は、内部ボイラーを通る上向きの駆動力であり、それによって自然対流を確実にする。先行技術のいくつかのシステムでは、ポンプが内部ボイラーの下に位置して、ケトルの様々な点で収集された麦芽汁を加熱管に通過させる。下で考察されるように、散布気泡は既に強制対流を生成するので、このような強制対流システムも適用可能であるが、本発明には必須でない。代案としては、加熱手段(2)はケトル外部に位置して、管によってそれと流体連結し得て、したがって図面4(a)および5(a)で例示される外部ボイラーケトルが形成される。ポンプ(8)が、通常は使用されて、麦芽汁をボイラーに通過させる。麦芽汁煮沸ステップを実施するために伝統的に使用される先行技術のほとんどのケトルが、前述の要件を満たす。
本発明に必要な装置は、前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システム(3)を要する。欧州特許第875560号明細書で開示されるように、当技術分野で既知ではあるが、気体散布システムが付いている煮沸ケトルは少ない。気体散布システムは、非常に単純であり得て;多数の開口部が付いている、円板、円柱または環を含んでもよい。開口部は、シャワーヘッドのようなチャネルを通じ得て、またはそれらは焼結材(例えば焼結ステンレス鋼)などの開放孔構造の孔であってもよい。使用される不活性ガスが窒素であれば、窒素変換器は設置が非常に簡単で安価であり、それに代えてCOが使用されるのであれば、このような気体は全ての醸造所で大量に利用可能であることが明らかである。したがって本発明の利点は、既存装置の改変が皆無であり、またはほとんど必要ないことである。図3(b)および4(b)に示されるように、ガススパージャ(3)は、気泡が麦芽汁表面に上昇して、上昇中に揮発物およびヘイズ活性タンパク質を固定してもよいように、好ましくはケトル最下部に位置する。図5(a)および(b)に例示される代案の実施形態では、麦芽汁の流れ方向に対して、外部ボイラー上流端に位置する気体散布システムがある、外部ボイラーケトルが提供される(図5の場合はボイラーの最下部)。気泡を中空加熱管(2a)に通過させ、麦芽汁と共にケトル内に注入する。内部ボイラー型のケトルでは、スパージャが加熱管(2a)の下に位置することが好ましく、好ましくはボイラー(2)の最大直径より小さい最大寸法(円盤、円柱、または環の場合は直径)を有する。このような立体配置では、気泡は、内部ボイラーの中空管(2a)を通じて上昇し、ボイラーの中空管の管腔を通じて麦芽汁を駆動する強制対流を生成する。これは一方では、このような強制対流を生成するのに浸漬型ポンプが必要ないことから、他方では、自然対流を生成するには不十分な蒸気泡が存在し、局所的に麦芽汁を過熱するリスクがある場合、加熱段階における中空加熱管を通じた麦芽汁流動速度が、T未満の温度の自然対流システムと比較して、より高くより均一であることから、非常に有利である。
内部ボイラー(2)が付いているケトルが使用される場合、上昇する気泡と麦芽汁の流れを振り向けて、それらを麦芽汁の液気界面上に再分配するために、整流装置(5)およびデフレクタールーフ(6)が好ましくは内部ボイラーの上に提供され、このようにして形成される気泡の厚さを低下させ、気泡に乗った揮発物の空気中でのより良い除去を可能にする(図3(b)を参照されたい)。
麦芽汁は、麦芽汁濾過ステップ(400)からケトルに供給される。場合によっては、麦芽汁をケトルに入れる前に、最初に緩衝または予熱醸造桶に通過させる。麦芽汁の温度は、通常、90℃未満であり、65〜85℃に含まれることが多い。ケトル(1)に麦芽汁を充填した後、不活性ガスを麦芽汁中に散布して、同時に、図2に例示されるように、麦芽汁の沸騰温度Tより低い処理温度Tに麦芽汁を加熱する。麦芽汁が、処理温度Tに達したら、それを依然として前記不活性ガス流の下で、15〜90分間、好ましくは20〜75分間、より好ましくは30〜60分間に含まれる一定時間ttreatにわたり、前記温度Tに保つ。上述したように、不活性ガスは、好ましくは窒素または二酸化炭素であるが、窒素がより好ましい。
図2に例示されるように、不活性ガス流量は、麦芽汁の温度Tへの加熱時間中に最大であり、麦芽汁が温度Tに保たれると低下される。初期不活性ガス流量は、0.05〜50m/h/hl麦芽汁、より好ましくは0.1〜10m/h/hlに含まれ得る。ひとたび麦芽汁がその処理温度Tに達したら、ガス流量は、不活性ガス散布流量の初期値(QN2(0))の約35〜50%、より好ましくは37〜45%に低下させ得る。
本発明による処理温度Tは、麦芽汁の沸騰温度T未満である。具体的には、それは、好ましくは90℃を超え、より好ましくは97℃を超える。上で考察されるように、疑似煮沸工程中に起こる必要がある反応のいくつかの速度は、滅菌、酵素活性停止、SMMのDMSへの変換などのように、温度依存性である。したがって処理時間ttreatが商業的に妥当なままで、エネルギー消費量が今日のレベルを下回るトレードオフ温度の値が、見出されるべきである。処理温度Tのこのトレードオフ値は、好ましくは(T−2℃)〜麦芽汁沸騰温度Tに含まれる。処理時間後に、麦芽汁を沸騰温度Tに加熱することは排除されないが、大多数の例ではそれは必要なく、麦芽汁を沸騰させるのに必要な過剰なエネルギーは、たとえ短時間であっても、処理された麦芽汁のいくつかの特定の要件によって正当化されるべきである。
図3(b)および4(b)に示されるように、不活性ガススパージャは、ケトル最下部に位置して、気泡の柱を生じる。麦芽汁中に存在する揮発性構成要素は、このようにして麦芽汁が沸騰する必要なしに、気体と液体相の間で平衡状態にある。上で考察されるように、気泡の柱は、図3(b)で示されるように、内部ボイラーの中空管の管腔を通じて浸透して、温度とは独立して強制対流を作り出し、それは十分な蒸気泡の生成のために高度に温度依存性である自然対流とは、相反する。他方、不活性ガス気泡は、浮上すると、蒸気泡のように作用して、揮発物の除去およびヘイズ活性タンパク質の凝固に関して、蒸気泡と同じ効果をもたらすが、麦芽汁を沸騰させたり大量に蒸発させたりしない。ガス流はまた、図3(b)および4(b)の黒色矢印によって例示されるように、中心上行流および側方下行流がある、ガスリフト系を作り出すことにより麦芽汁を均質化するので、有利である。
本発明の疑似煮沸工程後、麦芽汁は、透明な麦芽汁から澱を分離するために、渦流浴醸造桶など供給され得て、そこから従来の醸造工程と全く同様に、発酵(700)、成熟(800)、濾過(900)、およびこのようにして製造されたビールのパッケージング(1000)に進められる。
実施例1
麦芽汁濾過ステップから排出された5.4hlの麦芽が、それぞれ2.7hlの2つのバッチに分割された。1つのバッチは伝統的な煮沸ステップに供給されて、および参考(=参考例1)として使用され、もう1つは本発明による疑似煮沸工程によって処理された(=実施例1)。2つのバッチは、同一の内部ボイラーケトル(1)で処理されたが、参考バッチである参考例1では、ガススパージャ(3)は作動させなかった。
参考例1の煮沸工程
ケトル内の麦芽汁レベルが内部ボイラーに達すると、熱交換が起こり、麦芽汁は100℃に加熱されて、その点から麦芽汁は、高度の乱流で激しく沸騰し始めて、処理時間treat(参考例1)=60分間にわたり、このような沸騰状態に保たれた。処理時間全体を通じて、濃い水蒸気が観察された。
実施例1の疑似煮沸工程
スプレーヘッドが、麦芽汁のレベル下になった瞬間から,0.1m/h/hlの流量の窒素による散布工程が開始された。加熱中における麦芽汁の十分な均質化を確実にするために、強制対流はこの段階で絶対必要である。したがって開始時には、最大窒素流量が適用される。
処理温度T=98.5℃に向けて加熱が進行すると、98℃で初期値の40%の流量が得られるまで、窒素流量は規則的に低下させ得る。窒素流の規模は、98.5℃における麦芽汁の沸騰様状態に調節しなくてはならない。この「動的システム」中では、麦芽汁は既に沸騰しているようであるが、熱力学の観点からは、これは全く当てはまらない。窒素と麦芽汁蒸気との混合物は、非常に激しい循環を確実にする。ホップ添加は、加熱相の任意の段階で実施し得る。実施例1および参考例1では、ホップは、ケトルが麦芽汁で充填されるとすぐに添加された。
麦芽汁温度は約98.5℃に保たれ、それによって処理時間ttreat(実施例1)=60分間にわたり、疑似煮沸様状態が保たれた。工程全体にわたり、麦芽汁は、参考例1のように、高度な乱流と共に非常に強力に沸騰しているかのように見えたが、対照的に、上昇する蒸気は非常に薄く、非常に限定的な蒸発がもたらされた。このようにして望まれない揮発物は、多大な蒸発率なしに排気される。
上昇する窒素泡はまた、とりわけビール中のヘイズ形成の原因である、変性タンパク質指向性の境界面も提供し、ひいてはそれらの凝固を促進する。したがって窒素泡が蒸気泡を置き換えるので、凝固は、沸騰温度に達することなく起こり得る。
同時に、気泡柱は、煮沸ケトル内に強制対流を提供する。したがって自然対流式内部ボイラーケトル内の熱サイホン原理活性化のために必要とされるような蒸気泡生成のための、強力な加熱は必要ない。ボイラー(2)を形成する中空管(2a)のジャケット内に、蒸気などの十分な加熱流体を提供し、必要とされる温度Ta=98.5℃を保つだけで十分である。
ビール製造
本発明によって処理されたバッチ(=実施例1)は、2.8重量%の蒸発率を記録した一方で、参考として使用されたバッチ(=参考例1)は、10.8重量%の蒸発率を記録した。実施例1の疑似煮沸工程を従来の麦芽汁参考例1の煮沸工程と比較する場合、製造工程全体を通じて、その他の全てのビール製造パラメータを一定に保つことが必須である。この理由から、このようにして処理された麦芽汁を渦流浴醸造桶(500)に供給する際に、異なる蒸発率に起因する2つの麦芽汁の密度の差を代償するために、一定量の熱水(76℃)が参考例1の麦芽汁に添加された。冷却後、曝気された麦芽汁に、同等量の酵母スラリーを投入して、発酵(700)中に、温度プロファイルを同等に保った。濾過(900)後、最終的なビールを瓶詰(1000)し、その一部は、分析前に、加速(熱的または酸化的のどちらか)老化させた。
結果
実施例1および参考例1で処理された麦芽汁から製造されたビールの一般品質パラメータは、表1に列挙される。蒸発の差は、壮大であり:参考例1では10.8重量%、実施例1では2.8重量%であり、その間の差は8%である。気泡安定性またはヘイズ安定性の有意な変化は、観察され得なかった。実施例1のビールのヘイズ安定性は、参考よりもわずかにより良好でさえあった。実施例1の色は、参考例のものよりも実質的にさらに良好であり、実施例1のTBA増大は、参考例のものよりも28%低かった。
・気泡安定性は、記載されるNIBEM法に従って確認された。NIBEM Instituteは、気泡安定性測定のための標準規格を設定している。NIBEM気泡安定性試験機は、30mmの距離の泡崩壊時間を測定して、秒で表される。
・ヘイズは、粒子によって引き起こされる散乱光を測定する濁度計を使用して測定され、MEBAK(Mitteleuropaeische Brautechnische Analysekommission)からの最新の標準規格が組み込まれた:
・90°測定角
・赤色光650±30nm
・ホルマジン較正基準
・タンパク質などの1μmより小型の粒子は、主に散乱光を引き起こして90°で測定された。珪藻土および酵母などの1μmより大型の粒子は、主に前方散乱光を引き起こして25°で測定された。サンプル(キュベットまたはボトル)は、水で充填された測定チャンバーに入れられた。自動測定が進行し、サンプルは位置調整されて回転され、100回の測定が実施されて平均値が計算される。
・Grigsby,J.H.and Palamand,S.R.“Studies on the Staling of beer:the use of 2−thiobarbituric acid in the measurement of beer oxidation”,ASBC J.(1975)34(2),49−55に記載されるようにしてチオバルビツル酸価法(TBA)が実施された。5mlのTBA溶液(100mlの酢酸(90%)中の288mgのチオバルビツル酸)が、(二連で)密封パイレックス管内の10mlの麦芽汁に添加された。混合物は、70℃の水浴内に70分間保たれた。次にサンプルは、氷上で冷却された。前述の熱処理は、TBAとヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の間の複合体形成を可能にし、メイラード反応から生じる麦芽汁中のHMFの存在は、当業者に良く知られている。HMF−TBA複合体は448nmの波長における強力な吸収によって特徴付けられるので、それらの存在は、分光光度法によって容易に同定および定量化され得る。サンプルは、必要ならば、分光光度計の線形範囲の値を得るために希釈された。ブランク測定として、TBAはあるが熱処理なしの同一麦芽汁の吸収を同一波長で測定した。次にTBA価は、以下のように計算され得る:TBA=10×(D×A448(sample)−A448(blank))、式中、Dは希釈係数であり;A448(sample)およびA448(blank)は、それぞれ熱処理された麦芽汁+TBA溶液サンプル、およびブランク(麦芽汁+TBA溶液非熱処理)を448nmで測定した吸収である。
Figure 2017500012
麦芽汁煮沸装置の蒸発効率は、主に、麦芽汁蒸発量の関数として、(疑似)煮沸中のDMS除去によって評価される。サンプルは、処理時間ttreat=60分間の開始時(t=0分間)、中央点(t=30分間)、および終了時(t=60分間)に採取された。異なる時間で測定されたDMSの量は、図6にプロットされる。t=0分間の時点では、本発明によって処理された麦芽汁(=実施例1、黒丸))は、38ppbのDMSを含有した一方で、同時に、従来の煮沸工程に従ってその沸騰温度に達したばかりの麦芽汁(参考例1、白丸)は、59ppbのDMSを含有した。これは、2つのバッチの麦芽汁がケトル(1)に入れられた時点で、65ppbのDMSの全く同じ含有量を有した一方で、それらのそれぞれの処理温度Tへの麦芽汁の加熱段階において、窒素泡散布によって麦芽汁中ではDMSが既に活発に除去されている(図2を参照されたい)一方で、参考例1の散布気体不在下では、DMS含有量は、加熱段階で顕著に低下しなかったことで説明される。60分間の処理時間ttreat後、2つの麦芽汁バッチ中に残るDMS量は同等であり、実施例1では6ppbのDMS、参考例では7ppbのDMSであった。蒸発効率Rは、同一時間内に蒸発した水の量に対する、(疑似)煮沸段階で除去されたDMSの量の比率、R=ΔDMS/%蒸発によって特徴付けられ得て、参考例の4.8ppb DMS/%蒸気と対比して、実施例1では11.4ppb DMS/%蒸気がもたらされ、すなわち、実施例1は参考例よりも2.4倍高い蒸発効率をもたらす。
ビール品質
製造されたビールの香味安定性に関する洞察を得るために、実施例1および参考例1のビールについて、新鮮なビールの瓶を3日間60℃で保存して、フルフラールおよびフェニルアセトアルデヒドの量を測定した(表1の最後の列を参照されたい)。フルフラールは、通常、熱誘導香味障害の指標化合物と見なされ、ストレッカーアルデヒドの1つであるフェニルアセトアルデヒドもまた、香味安定性に関与することが疑われる。どちらの化合物も、新鮮および老化参考ビール中により高い量で見出された。これらの化合物は、TBA価によって定量化される総熱負荷に関連しているので、これは予想外ではなかった。著しいことに、リナロールおよびその他のホップ香味化合物(表には列挙されない)の濃度は、参考例1のビールよりも実施例1のビール中で最高80%より高い(表1の最後の列を参照されたい)。これらのテルペノイド化合物は、全体的なビール香味にプラス方向に寄与することが知られている。窒素泡は、このようなテルペノイドを除去する上で蒸気泡より、(幸運にも)効率に劣ることが想定され得る。
ビールはまた、訓練された利き酒パネルによっても評価された。実施例1の新鮮ビールは、6.6を得点した参考ビールと比較して、7.1の高い総合スコアを有した。これは、確かに、少なくともある程度は、実施例1のビール中における、有益なホップ揮発物のより高い保持または苦味低下のためである。老化後、実施例1のビールは、参考例1の参考ビールよりも得点がわずかに高く、それぞれ3.9および3.5であった。パネルは、総合的老化強度、メイラード成分、およびアルデヒドが、参考ビール(=参考例1)でわずかにより高い一方で、本発明のビール(=実施例1)では古いホップ香が、より明らかであると結論付けた。著しく、硫黄のような乾草様老化香味は、参考ビール(参考例1)中で、実質的により優勢であった。明らかに、硫黄のような風味またはそれらの前駆化合物は、本発明(=実施例1)の窒素散布による疑似煮沸工程によって、参考例1の従来の煮沸工程よりもさらに完全に飛ばされた。
実施例2
実施例1のパイロットプラントで実施された煮沸実験が、実施設の醸造所装置内で反復された。本発明による60分間のttreat時間にわたる麦芽汁の疑似煮沸後、蒸発率は1.5重量%であった(=実施例2)。自然対流式内部ボイラーケトルを使用する(=参考例2)、参考例1で使用されたタイプの従来の煮沸工程は、8重量%の蒸発率をもたらした。強制対流式内部ボイラーケトル(すなわち、麦芽汁がポンプによってボイラー加熱管を通じて駆動される)(=参考例3)によって同一実験を実施して、5重量%の蒸発率を得た。表2は、実施例2、および参考例2および3の3つの(疑似)煮沸工程のエネルギー消費を比較する。本発明の疑似煮沸工程は、自然対流(参考例2)がある従来の煮沸工程によって消費されるエネルギーの19%のみ、そして強制対流(参考例3)煮沸工程によって消費されるエネルギーの約3分の1を消費することを認め得る。図7は、実施例2(黒色棒)および参考例2および3(白色棒)の絶対的および相対的エネルギー消費量をグラフで比較する。
Figure 2017500012
本発明の疑似煮沸工程は、従来の麦芽汁煮沸の有利な代案であり、80%を上回るエネルギー節約で、同等の品質のビールをもたらす。本発明によって製造される麦芽汁およびビールの全ての観察された品質パラメータは、それらの対応する参考ビールと同等またはそれよりも優れていた一方で、疑似煮沸工程の蒸発率は、参考の蒸発率のわずか20〜30%であった。本発明の工程の潜在的エネルギー節約は非常に大きく(最高4kWh/hL)、エネルギーは日々、より高価になっているので、これは利点である。
本発明の疑似煮沸工程は、麦芽汁煮沸システムの利点を、強制対流、熱間保持またはストリッピングと組み合わせて、麦芽汁煮沸の要件を満たす優れた手段を提供する。
・大規模な蒸発、ひいてはエネルギーを必要とせずに、揮発物の排気が促進される。
・窒素泡の連続的上向き流(ガスリフト)のために、強制対流が確実になる。したがって対流は、加熱強度から完全に独立している。
・沸騰温度は必要ない。熱間保持で十分である。
・タンパク質凝固は、蒸気泡の存在なしに生じる。小さな窒素泡は大きな境界面を提供し、それは変性タンパク質が凝析できるようにする。最終的なビールの結果は、優れたヘイズおよび気泡安定性を示す(表1を参照されたい)。

Claims (11)

  1. (a)・ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口(1u)、および前記ケトルから前記麦芽汁を流出させるのに適する出口(1d)が付いている、ケトル(1)
    ・前記ケトル内に含有される前記麦芽汁を沸騰温度またはそれに近い温度にするのに、ならびに前記温度を制御するのに、適する加熱手段(2)、
    ・前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システム(3)
    を提供するステップと、
    (b)麦芽汁濾過ステップから前記煮沸ケトルに、前記入口を通じて、その沸騰温度T未満の温度である麦芽汁を供給するステップと;
    (c)前記麦芽汁を通して不活性ガスを散布しながら、15〜90分間に含まれ、最初に前記麦芽汁中に存在する水の最大で4重量%を蒸発させる所用時間未満である持続時間ttreatにわたり、前記麦芽汁を前記麦芽汁の沸騰温度T未満である処理温度Tに加熱して、それを保つステップと;
    (d)前記処理された麦芽汁を前記出口を通じて澱分離ステップに移すステップと
    を含んでなることを特徴とする、麦芽汁をケトル内で処理するための方法。
  2. 請求項1に記載の方法において、前記麦芽汁が、前記煮沸ケトル内におけるその滞留持続期間全体にわたり、その沸騰温度Tに達しないことを特徴とする、方法。
  3. 請求項1または2に記載の方法において、前記処理温度Tが、90℃を超え、好ましくは97℃を超え、より好ましくは(T−2℃)〜Tであり、ここで、Tが前記麦芽汁の沸騰温度であることを特徴とする、方法。
  4. 請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガスが、前記ケトル最下部に位置して上向きのガススパージャ(3)によって、前記麦芽汁中に散布され、前記スパージャが、好ましくは多数の開口部が付いている円板、円柱または環を含んでなることを特徴とする、方法。
  5. 請求項4に記載の方法において、前記ケトルが、加熱されるまたは高温に保たれる前記麦芽汁がそれを通じて流れる、垂直方向の加熱管(2a)を含んでなる内部ボイラー型であり、前記加熱管が前記ガススパージャ上に位置することを特徴とする、方法。
  6. 請求項4に記載の方法において、前記ケトルが、加熱されるまたは高温に保たれる前記麦芽汁がそれを通じて流れる、加熱管(2a)を含んでなる外部ボイラー型であり、前記加熱管が前記ケトル外部に位置して、管材料およびポンプ(8)を通じて、それと流体連結することを特徴とする、方法。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガス散布流量が、前記麦芽汁の前記煮沸ケトル内への導入に際して初期値を有し、それが最大値であり、好ましくは0.05〜50m/h/hl麦芽汁、より好ましくは0.1〜10m/h/hlに含まれ、前記麦芽汁がその処理温度Tに達すると、好ましくは前記不活性ガス散布流量の前記初期値の25〜75%、より好ましくは37〜45%に含まれる値に、漸次低下されることを特徴とする、方法。
  8. 請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記処理時間ttreatが、20〜75分間、好ましくは30〜60分間に含まれることを特徴とする、方法。
  9. 請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガスが窒素または二酸化炭素であることを特徴とする、方法。
  10. 請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、このようにして処理された前記麦芽汁が、渦流浴に、次に、さらなる処理容器に移されて、ビールまたは麦芽ベース飲料が製造されることを特徴とする、方法。
  11. 請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法において、前記ビールまたは麦芽ベース飲料が、
    (a)少なくとも150sの気泡安定性(NIBEM);
    (b)1.0EBC未満である、新鮮なビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ;および/または
    (c)1.5EBC未満である、60℃で3日間老化させたビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ
    の特性の1つまたは複数を有することを特徴とする、方法。
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