JP2017500012A - 煮沸ケトル内で麦芽汁を処理する方法 - Google Patents
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Abstract
Description
(a)麦芽汁の滅菌、
(b)酵素活性の停止、
(c)α酸のイソα酸への異性化、
(d)タンパク質およびポリフェノールの凝固、
(e)S−メチルメチオニン(SMM)の硫化ジメチル(DMS)への分解、
(f)望まれない風味化合物の除去。
(a)・ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口、およびケトルから麦芽汁を流出させるのに適する出口が付いている、ケトル、
・ケトル内に含有される麦芽汁を沸騰温度またはそれに近い温度にするのに、ならびに前記温度を制御するのに、適する加熱手段、
・前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システム
を提供するステップと;
(b)麦芽汁濾過ステップから前記煮沸ケトルに、入口を通じて、その沸騰温度未満の温度である麦芽汁を供給するステップと;
(c)麦芽汁を通して不活性ガスを散布しながら、15〜90分間、より好ましくは30〜60分間、好ましくは20〜75分間に含まれて、最初に麦芽汁中に存在する水の最大で4重量%を蒸発させる所用時間未満である持続時間ttreatにわたり、前記麦芽汁を麦芽汁の沸騰温度Tb未満の処理温度Taに加熱して、それを保つステップと;
(d)処理された麦芽汁を出口を通じて澱分離ステップに移すステップと
を含んでなる、ケトル内における麦芽汁処理工程に関する。
(a)少なくとも150sの気泡安定性(NIBEM);
(b)1.0EBC未満である、新鮮なビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ;および/または
(c)1.5EBC未満である、60℃で3日間老化させたビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ
の特性の1つまたは複数を有する。
(a)麦芽汁は、滅菌されなくてはならず、
(b)酵素活性は、停止されなくてはならず、
(c)α酸の量は、低減されて、イソα酸で置き換えられるべきであり、
(d)S−メチルメチオニン(SMM)のかなりの量が、硫化ジメチル(DMS)に変換されていなくてはならず、
(e)ヘイズ活性タンパク質およびポリフェノールは、分離のために凝固されていなくてはならず、
(f)望まれない香味化合物、特にDMSは、除去されるべきである。
(a)それは強力にエネルギー消費性であり、
(b)水蒸発は、最も経済的な煮沸システムにおける4重量%から、より伝統的な煮沸技術における6〜10重量%以上の範囲に及ぶ
という2つの大きな不都合を有する。
麦芽汁濾過ステップから排出された5.4hlの麦芽が、それぞれ2.7hlの2つのバッチに分割された。1つのバッチは伝統的な煮沸ステップに供給されて、および参考(=参考例1)として使用され、もう1つは本発明による疑似煮沸工程によって処理された(=実施例1)。2つのバッチは、同一の内部ボイラーケトル(1)で処理されたが、参考バッチである参考例1では、ガススパージャ(3)は作動させなかった。
ケトル内の麦芽汁レベルが内部ボイラーに達すると、熱交換が起こり、麦芽汁は100℃に加熱されて、その点から麦芽汁は、高度の乱流で激しく沸騰し始めて、処理時間treat(参考例1)=60分間にわたり、このような沸騰状態に保たれた。処理時間全体を通じて、濃い水蒸気が観察された。
スプレーヘッドが、麦芽汁のレベル下になった瞬間から,0.1m3/h/hlの流量の窒素による散布工程が開始された。加熱中における麦芽汁の十分な均質化を確実にするために、強制対流はこの段階で絶対必要である。したがって開始時には、最大窒素流量が適用される。
本発明によって処理されたバッチ(=実施例1)は、2.8重量%の蒸発率を記録した一方で、参考として使用されたバッチ(=参考例1)は、10.8重量%の蒸発率を記録した。実施例1の疑似煮沸工程を従来の麦芽汁参考例1の煮沸工程と比較する場合、製造工程全体を通じて、その他の全てのビール製造パラメータを一定に保つことが必須である。この理由から、このようにして処理された麦芽汁を渦流浴醸造桶(500)に供給する際に、異なる蒸発率に起因する2つの麦芽汁の密度の差を代償するために、一定量の熱水(76℃)が参考例1の麦芽汁に添加された。冷却後、曝気された麦芽汁に、同等量の酵母スラリーを投入して、発酵(700)中に、温度プロファイルを同等に保った。濾過(900)後、最終的なビールを瓶詰(1000)し、その一部は、分析前に、加速(熱的または酸化的のどちらか)老化させた。
実施例1および参考例1で処理された麦芽汁から製造されたビールの一般品質パラメータは、表1に列挙される。蒸発の差は、壮大であり:参考例1では10.8重量%、実施例1では2.8重量%であり、その間の差は8%である。気泡安定性またはヘイズ安定性の有意な変化は、観察され得なかった。実施例1のビールのヘイズ安定性は、参考よりもわずかにより良好でさえあった。実施例1の色は、参考例のものよりも実質的にさらに良好であり、実施例1のTBA増大は、参考例のものよりも28%低かった。
・気泡安定性は、記載されるNIBEM法に従って確認された。NIBEM Instituteは、気泡安定性測定のための標準規格を設定している。NIBEM気泡安定性試験機は、30mmの距離の泡崩壊時間を測定して、秒で表される。
・ヘイズは、粒子によって引き起こされる散乱光を測定する濁度計を使用して測定され、MEBAK(Mitteleuropaeische Brautechnische Analysekommission)からの最新の標準規格が組み込まれた:
・90°測定角
・赤色光650±30nm
・ホルマジン較正基準
・タンパク質などの1μmより小型の粒子は、主に散乱光を引き起こして90°で測定された。珪藻土および酵母などの1μmより大型の粒子は、主に前方散乱光を引き起こして25°で測定された。サンプル(キュベットまたはボトル)は、水で充填された測定チャンバーに入れられた。自動測定が進行し、サンプルは位置調整されて回転され、100回の測定が実施されて平均値が計算される。
・Grigsby,J.H.and Palamand,S.R.“Studies on the Staling of beer:the use of 2−thiobarbituric acid in the measurement of beer oxidation”,ASBC J.(1975)34(2),49−55に記載されるようにしてチオバルビツル酸価法(TBA)が実施された。5mlのTBA溶液(100mlの酢酸(90%)中の288mgのチオバルビツル酸)が、(二連で)密封パイレックス管内の10mlの麦芽汁に添加された。混合物は、70℃の水浴内に70分間保たれた。次にサンプルは、氷上で冷却された。前述の熱処理は、TBAとヒドロキシメチルフルフラール(HMF)の間の複合体形成を可能にし、メイラード反応から生じる麦芽汁中のHMFの存在は、当業者に良く知られている。HMF−TBA複合体は448nmの波長における強力な吸収によって特徴付けられるので、それらの存在は、分光光度法によって容易に同定および定量化され得る。サンプルは、必要ならば、分光光度計の線形範囲の値を得るために希釈された。ブランク測定として、TBAはあるが熱処理なしの同一麦芽汁の吸収を同一波長で測定した。次にTBA価は、以下のように計算され得る:TBA=10×(D×A448(sample)−A448(blank))、式中、Dは希釈係数であり;A448(sample)およびA448(blank)は、それぞれ熱処理された麦芽汁+TBA溶液サンプル、およびブランク(麦芽汁+TBA溶液非熱処理)を448nmで測定した吸収である。
製造されたビールの香味安定性に関する洞察を得るために、実施例1および参考例1のビールについて、新鮮なビールの瓶を3日間60℃で保存して、フルフラールおよびフェニルアセトアルデヒドの量を測定した(表1の最後の列を参照されたい)。フルフラールは、通常、熱誘導香味障害の指標化合物と見なされ、ストレッカーアルデヒドの1つであるフェニルアセトアルデヒドもまた、香味安定性に関与することが疑われる。どちらの化合物も、新鮮および老化参考ビール中により高い量で見出された。これらの化合物は、TBA価によって定量化される総熱負荷に関連しているので、これは予想外ではなかった。著しいことに、リナロールおよびその他のホップ香味化合物(表には列挙されない)の濃度は、参考例1のビールよりも実施例1のビール中で最高80%より高い(表1の最後の列を参照されたい)。これらのテルペノイド化合物は、全体的なビール香味にプラス方向に寄与することが知られている。窒素泡は、このようなテルペノイドを除去する上で蒸気泡より、(幸運にも)効率に劣ることが想定され得る。
実施例1のパイロットプラントで実施された煮沸実験が、実施設の醸造所装置内で反復された。本発明による60分間のttreat時間にわたる麦芽汁の疑似煮沸後、蒸発率は1.5重量%であった(=実施例2)。自然対流式内部ボイラーケトルを使用する(=参考例2)、参考例1で使用されたタイプの従来の煮沸工程は、8重量%の蒸発率をもたらした。強制対流式内部ボイラーケトル(すなわち、麦芽汁がポンプによってボイラー加熱管を通じて駆動される)(=参考例3)によって同一実験を実施して、5重量%の蒸発率を得た。表2は、実施例2、および参考例2および3の3つの(疑似)煮沸工程のエネルギー消費を比較する。本発明の疑似煮沸工程は、自然対流(参考例2)がある従来の煮沸工程によって消費されるエネルギーの19%のみ、そして強制対流(参考例3)煮沸工程によって消費されるエネルギーの約3分の1を消費することを認め得る。図7は、実施例2(黒色棒)および参考例2および3(白色棒)の絶対的および相対的エネルギー消費量をグラフで比較する。
・大規模な蒸発、ひいてはエネルギーを必要とせずに、揮発物の排気が促進される。
・窒素泡の連続的上向き流(ガスリフト)のために、強制対流が確実になる。したがって対流は、加熱強度から完全に独立している。
・沸騰温度は必要ない。熱間保持で十分である。
・タンパク質凝固は、蒸気泡の存在なしに生じる。小さな窒素泡は大きな境界面を提供し、それは変性タンパク質が凝析できるようにする。最終的なビールの結果は、優れたヘイズおよび気泡安定性を示す(表1を参照されたい)。
Claims (11)
- (a)・ケトル内に麦芽汁を供給するのに適する入口(1u)、および前記ケトルから前記麦芽汁を流出させるのに適する出口(1d)が付いている、ケトル(1)
・前記ケトル内に含有される前記麦芽汁を沸騰温度またはそれに近い温度にするのに、ならびに前記温度を制御するのに、適する加熱手段(2)、
・前記麦芽汁中に不活性ガスを散布するのに適する気体散布システム(3)
を提供するステップと、
(b)麦芽汁濾過ステップから前記煮沸ケトルに、前記入口を通じて、その沸騰温度Tb未満の温度である麦芽汁を供給するステップと;
(c)前記麦芽汁を通して不活性ガスを散布しながら、15〜90分間に含まれ、最初に前記麦芽汁中に存在する水の最大で4重量%を蒸発させる所用時間未満である持続時間ttreatにわたり、前記麦芽汁を前記麦芽汁の沸騰温度Tb未満である処理温度Taに加熱して、それを保つステップと;
(d)前記処理された麦芽汁を前記出口を通じて澱分離ステップに移すステップと
を含んでなることを特徴とする、麦芽汁をケトル内で処理するための方法。 - 請求項1に記載の方法において、前記麦芽汁が、前記煮沸ケトル内におけるその滞留持続期間全体にわたり、その沸騰温度Tbに達しないことを特徴とする、方法。
- 請求項1または2に記載の方法において、前記処理温度Taが、90℃を超え、好ましくは97℃を超え、より好ましくは(Tb−2℃)〜Tbであり、ここで、Tbが前記麦芽汁の沸騰温度であることを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガスが、前記ケトル最下部に位置して上向きのガススパージャ(3)によって、前記麦芽汁中に散布され、前記スパージャが、好ましくは多数の開口部が付いている円板、円柱または環を含んでなることを特徴とする、方法。
- 請求項4に記載の方法において、前記ケトルが、加熱されるまたは高温に保たれる前記麦芽汁がそれを通じて流れる、垂直方向の加熱管(2a)を含んでなる内部ボイラー型であり、前記加熱管が前記ガススパージャ上に位置することを特徴とする、方法。
- 請求項4に記載の方法において、前記ケトルが、加熱されるまたは高温に保たれる前記麦芽汁がそれを通じて流れる、加熱管(2a)を含んでなる外部ボイラー型であり、前記加熱管が前記ケトル外部に位置して、管材料およびポンプ(8)を通じて、それと流体連結することを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガス散布流量が、前記麦芽汁の前記煮沸ケトル内への導入に際して初期値を有し、それが最大値であり、好ましくは0.05〜50m3/h/hl麦芽汁、より好ましくは0.1〜10m3/h/hlに含まれ、前記麦芽汁がその処理温度Taに達すると、好ましくは前記不活性ガス散布流量の前記初期値の25〜75%、より好ましくは37〜45%に含まれる値に、漸次低下されることを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至7の何れか1項に記載の方法において、前記処理時間ttreatが、20〜75分間、好ましくは30〜60分間に含まれることを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法において、前記不活性ガスが窒素または二酸化炭素であることを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法において、このようにして処理された前記麦芽汁が、渦流浴に、次に、さらなる処理容器に移されて、ビールまたは麦芽ベース飲料が製造されることを特徴とする、方法。
- 請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法において、前記ビールまたは麦芽ベース飲料が、
(a)少なくとも150sの気泡安定性(NIBEM);
(b)1.0EBC未満である、新鮮なビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ;および/または
(c)1.5EBC未満である、60℃で3日間老化させたビールまたは麦芽ベース飲料上で測定されたヘイズ
の特性の1つまたは複数を有することを特徴とする、方法。
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