以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による二次電池の製造装置について説明する。
図1A、1Bは、本実施形態の二次電池の製造装置によって製造される二次電池の一例を示す図である。
図1Aは、二次電池10の断面図である。この図において、図面左右方向をy軸方向、図面上下方向をz軸方向と称して説明する。この図に示すように、二次電池10は、銅箔(基板)などにより構成される負極集電体11の上に、負極12が立体的に設けられている。そして、負極12の上に、セパレータ13、及び、正極14が構成されている。さらに、正極14の上に、アルミニウム箔などにより構成される正極集電体15が形成されている。
図1Bは、二次電池の負極の斜視図である。この図においては、図面左奥右手前方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。そして、図面左手前右奥方向をx軸方向と称して説明する。この図には、負極集電体11及び負極12が示されている。
この図に示されるように、負極12は、負極集電体11の面内方向(xy面)と平行に設けられる平滑部12Aと、平滑部12Aに対して垂直方向(z方向)に設けられ、負極集電体11の面内方向(xy面)における一方向(x方向)に延在する鉛直部12Bとにより構成されている。鉛直部12Bは複数設けられ、それぞれが平行になるように、鉛直部12Bの延在方向(x方向)に対して垂直な他方向(y方向)に配列される。このように平滑部12Aの上に鉛直部12Bが設けられることにより、負極12が凹凸を備える立体的な構造となる。
なお、本実施形態においては、負極集電体11の上に負極12を形成した後に、セパレータ13を形成し、正極14及び正極集電体15を設ける例を用いて説明したが、これに限らない。正極集電体15の上に正極14及を形成した後に、セパレータ13を形成し、負極12及び負極集電体11を設けてもよい。このような場合には、図1Aの上下方向を逆転した順で二次電池10が形成される。
図2A〜2Cは、二次電池の製造過程を示す図である。図2Aから図2Cにはそれぞれ、二次電池の製造工程が示されている。
図2Aは、負極形成工程の概略図である。この図によれば、負極集電体11の上に、二次電池の負極の製造装置20のノズル23から負極材料が吐出される。負極材料は粘性を有するため、ノズルの吐出口の形状に応じて、平滑部12Aと鉛直部12Bとからなる負極12が立体的に構成される。
図2Bは、負極形成工程の後に行われるセパレータ形成工程の概略断面図である。この図においては、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
セパレータ形成工程においては、回転霧化装置30などを用いた回転霧化法などによって、負極12の上にセパレータ13が積層塗工(塗布)される。セパレータ13は、負極12の凹凸に沿って立体的に構成される。なお、積層塗工は、スプレー方式や、スピンコート方式、スリット方式などにより行われてもよい。
図2Cは、セパレータ形成工程の後に行われる正極形成工程の概略図である。この図においては、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
正極形成工程においては、立体的に構成されたセパレータ13の上に、正極生成装置40を用いて正極14が構成される。負極12及びセパレータ13の凹凸が正極材によって埋められるため、正極14の上面は平滑に構成される。そして、正極形成工程の後に、正極14の上に正極集電体15を設けることにより、二次電池10が構成される。
次に、図2Aに示した負極形成工程にて用いられる二次電池の製造装置の構成について、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、二次電池の製造装置20のシステム図である。また、図4は、二次電池の製造装置20の斜視図である。図4においては、図面左手前右奥方向がx軸方向、図面左奥右手前方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
図3に示されるように、二次電池の製造装置20は、貯蔵手段21、送液手段22、ノズル23、搬送手段24、及び、制御部25を備える。制御部25は、制御線を介して、送液手段22、及び、搬送手段24を制御する。そして、送液手段22は、送液ラインを介して、貯蔵手段21からノズル23に負極材料を送液する。
また、図4においては、図3に示された構成のうち、貯蔵手段21、ノズル23、及び、搬送手段24(24x、24y)が示されている。さらに、図4には、製造装置20を構成する駆動板26と、駆動板26の上に配置される負極集電体11が示されている。また、貯蔵手段21からノズル23まで負極材料を送る送液ライン27が設けられている。
貯蔵手段21は、スラリー状の負極材料を貯蔵するものであり、例えば、タンクやシリンジ容器などである。貯蔵手段21は、SUS製、もしくは、耐溶剤性のある樹脂、例えばPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などにより構成されている。
負極材料については、粘度があり、具体的には5,000〜1,000,000CP(centi poise)の粘性を持つことが好ましい。負極材料は、小粒径であることが望ましく、例えば、D50で20μm以下のものが用いられる。
また、負極材料として、活物質が80%、導電助剤が10%、バインダが10%の比率で混合されたものが用いられる。活物質としてグラファイトが用いられ、導電助剤としてアセチレンブラックが用いられ、バインダとしてPVDF(ポリフッ化ビニリデン)が用いられる。なお、NMP(N−メチルピロリドン)が溶剤として用いられ、その固形分比は30〜80重量%であることが望ましい。なお、正極材料であれば、活物質としてLCO(コバルト酸リチウム)が用いられる。
送液手段22は、例えば、加圧装置やポンプなどであり、貯蔵手段21に貯蔵される負極材料をノズル23へと送液する。なお、ポンプとしては、シリンジポンプ、モーノディスペンサー、及び、プランジャーポンプなどが用いられる。
ノズル23は、送液手段22により送られてきた負極材料を吐出する吐出口を備えている。なお、貯蔵手段21とノズル23との間を短くすることで、送液ライン27における圧力損失を小さくすることが望ましい。そのため、貯蔵手段21とノズル23とを直接接続してもよい。
また、図4に示されるように、搬送手段24は、ノズル23をx軸方向に搬送可能なx軸搬送手段24xと、y軸方向に搬送可能なy軸搬送手段24yとにより構成されている。これらの搬送手段24は、アクチュエータとして動作する電動サーボモータや、ボールねじとリニアモーションガイドの組み合わせなどにより構成される。搬送手段24x、24yは、駆動、停止、繰り返し、及び、速度を、高い精度で制御する必要がある。そのため、サーボモータについては、分解能が高く、応答性の高いものを用い、ボールねじについては、精度の高いものを用いるのが好ましい。
ノズル23が、吐出口から負極材料を吐出しながら、x軸搬送手段24xによってx軸方向に搬送されることで、x軸方向に延在する負極12が形成される。そして、負極12が所定の長さだけx軸方向に形成されると、y軸搬送手段24yによって、ノズル23が負極12のy軸方向の幅(ピッチ)だけ搬送される(ピッチ送り)。なお、x軸方向の塗工速度は、10〜200mm/min程度であることが望ましい。
なお、ノズル23が搬送される例を用いて説明したが、これに限らない。例えば、駆動板26が搬送され、塗工対象物である負極集電体11が移動してもよい。また、x軸方向の搬送とy軸方向の搬送とを複数繰り返す例を用いて説明したが、これに限らない。y軸方向に幅広であり多数の吐出口を備えるノズル23が、1回だけx軸方向に搬送され、y軸方向にピッチ送りが行われなくてもよい。
駆動板26の上には、塗工対象物である負極集電体11が配置されている。駆動板26は、SUS製などであり、耐腐食性を有することが好ましい。例えば、駆動板26は、SUS303やSUS316などにより構成される。また、駆動板26は、摂氏150度程度まで上昇可能な加温手段や、塗工対象物を吸着固定する吸着手段を備えてもよい。例えば、駆動板26にパンチング穴が形成されている場合や、駆動板26として空孔を備える焼結金属を用いる場合には、吸着手段は、例えば、真空ポンプであり、パンチング穴や空孔を駆動板26の裏面から吸引する。このような吸着手段によって、駆動板26の表面に配置された塗工対象物の保持及び搬送を確実に行うことができる。
図5A〜5Cは、ノズル23の具体的な構成を示す図である。図5Aは、ノズル23の斜視図であり、図5Bは、ノズル23の吐出面の平面図であり、図5Cは、ノズル23の分解図である。
図5Aにおいては、図面右下左上方向がx軸方向を示し、図面左下右上(手前)方向がy軸方向を示し、図面左下右上(奥)方向が、z軸を示している。図5Bにおいては、図面左右方向がy軸方向を示し、図面上下方向がx軸方向を示している。なお、ノズル23の取り付け角度によっては、x軸方向、及び、z軸方向は、図示された方向から傾いている場合がある。
図5A〜5Cに示されるように、ノズル23は、横開口ノズル231、縦開口ノズル232、及び、横開口ノズル231と縦開口ノズル232との間に設けられるシム233により構成される。
図5A、図5Bに示されるように、横開口ノズル231、及び、縦開口ノズル232は、共に斜面を備える六面体状に構成されており、それぞれが対向する面の大きさが略等しい。横開口ノズル231の対向面(上面)と縦開口ノズル232の対向面(下面)とが、シム233を介して対向して配置されることにより、ノズル23が構成される。このように、ノズル23は、横開口ノズル231と縦開口ノズル232とによって、シム233を挟むように構成される。なお、横開口ノズル231、縦開口ノズル232、及び、シム233は、ステンレスにより構成されるのが好ましい。
シム233に切り欠きが設けられることにより、ノズル23には、負極材料の吐出口である横開口233Aが形成されている。また、縦開口ノズル232には、吐出面に複数の縦開口232Aが幅方向(y軸方向)設けられている。縦開口232A、及び、横開口233Aは、ともに、略矩形状に形成されている。
なお、縦開口232Aは、例えば、エンドミル加工、ワイヤー放電加工、放電加工、及び、エッチング加工などにより形成される。なお、縦開口232Aの形状は、鉛直部12Bの形状に影響するため、加工面にバリや打痕キズがあることは好ましくない。
横開口ノズル231には、吐出面の反対側の面に横開口ノズル供給路231Bが設けられている。横開口ノズル231には、横開口ノズル供給路231Bを介して、負極材料が供給される。また、縦開口ノズル232には、吐出面の反対側の面に縦開口ノズル供給路232Bが設けられている。縦開口ノズル232には、縦開口ノズル供給路232Bを介して、負極材料が供給される。
図5Cに示されるように、シム233は、切り欠き部233Bが加工形成されて、U字状に構成されており、この切り欠き部233Bによって横開口233Aが形成される。また、横開口ノズル231においては、シム233を介して縦開口ノズル232と対向する面に、開口部231Cが設けられている。横開口ノズル供給路231Bから供給される負極材料は、開口部231Cを介して、ノズル23の横開口233Aから吐出される。このように、横開口233Aのy方向の開口幅は、シム233に設けられる切り欠き部233Bの幅によって定まる。また、横開口233Aのx方向の高さは、シム233の厚みによって定まる。
図6は、ノズル23の吐出面の一部の拡大図である。この図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がx軸方向を示している。
横開口233Aは、x軸方向の高さ(A)は、10〜1000μmである。縦開口232Aは、x軸方向の高さ(B)が50〜500μmであり、y軸方向の幅(C)が50〜500μmである。また、縦開口232Aは、50〜500μmの間隔(D)で、y軸方向に配列されている。横開口233Aと縦開口232Aとは、x軸方向に50μm以上離間(E)していることが好ましい。なお、上記(A)〜(D)の上限値は、平滑部12A、及び、鉛直部12Bの大きさに応じて定まり、下限値は、開口の加工精度によって定まる。
図7A、図7Bは、縦開口ノズル232の断面図の一例である。これらの図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
これらの図によれば、縦開口ノズル232の内部には、負極材料が充填される充填部232Cが設けられている。すなわち、縦開口ノズル232の内面は、縦開口ノズル供給路232Bと縦開口232Aとが充填部232Cを介して連通するような、マニホールド状に形成されている。そして、縦開口232Aのz方向の深さ(吐出厚み)d1は、吐出抵抗を下げるために薄いほうが好ましいが、吐出圧によって形状が塑性変形しない程度の厚みを有する必要がある。具体的に、吐出厚み(d1)は、例えば、50〜1000μmである。
図7Aに示すように、充填部232Cの断面が矩形状になってもよい。また、図7Bに示すように、充填部232Cは、縦開口ノズル供給路232Bから縦開口232Aまでが広がるようなテーパー状であり、断面が台形のコートハンガー状に設けられてもよい。このような形状にすることで、縦開口ノズル供給路232Bから縦開口232Aまでの負極材料の流動性を確保することができる。なお、横開口ノズル231の内部に形成される充填部についても、マニホールド状であるのが好ましい。
図8A、図8Bは、縦開口ノズル232の断面図の他の一例である。これらの図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
図8Aを参照すると、縦開口ノズル232は、縦開口232Aが設けられたプレート232Dと、充填部232Cが設けられるノズルベース232Eとにより構成される。そして、プレート232Dは、ねじ232Fを用いてノズルベース232Eに固定されている。
また、図8Bに示されるように、ノズルベース232Eに縦開口232Aを設け、縦開口ノズル供給路232Bが設けられたプレート232Dを、ねじ232Fを用いてノズルベース232Eに固定してもよい。
図9は、ノズル23の使用態様の一例を示す図である。この図において、図面左右方向がx軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。ノズル23は、図面水平方向のx軸方向に沿って図面左から右へと移動しながら、負極材料を吐出する。
横開口ノズル231から負極集電体11の上に負極材料が吐出されることにより、平滑部12Aが形成される。この際に、横開口ノズル231から負極集電体11までの間において、負極材料によるビード(液溜り)が形成されてしまう。なお、このようにビードが形成されてしまうような吐出方法は、スリットダイコーティングと称される。
そして、縦開口ノズル232から平滑部12Aの上に負極材料が吐出されることにより、鉛直部12Bが形成される。この際に、縦開口ノズル232から平滑部12Aまでの間において、負極部材によるビードが形成されない。なお、このようにビードが形成されないような吐出方法は、カーテンコーティング、又は、押出コーティングと称される。このようにして、負極12が形成される。
図10は、ノズル23の詳細な構成図である。横開口ノズル231の吐出面と、縦開口ノズル232の吐出面との関係が示されている。この図において、図面左右方向がx軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
横開口ノズル231の吐出方向は、塗工対象物である負極集電体11に対して角度θ1だけ傾くように配置される。横開口ノズル231の吐出面は、ノズル23の搬送方向側よりも、搬送方向の反対側の方が上方になるように傾けられる。このようにすることで、搬送される横開口ノズル231から負極材料を適切に吐出することができる。なお、角度θ1は、20°〜90°であることが望ましい。また、角度θ1を調整するために、ノズル23の取付け部などに角度を任意に変更できる首振り機構を設けてもよい。
縦開口ノズル232の吐出面は、横開口ノズル231の吐出面に対して角度θ2だけ傾くように配置される。なお、角度θ2は、0°〜70°であることが望ましい。
なお、縦開口ノズル232の吐出方向と、塗工対象物である負極集電体11とのなす角度θ3は、θ1とθ2との和であり、90度以下となることが好ましい。角度θ3が90°以下となることで、縦開口ノズル232の吐出面は、ノズル23の搬送方向側よりも、搬送方向の反対側の方が上方になるように傾けられる。このようになることで、負極材料を平滑部12Aの上に適切に吐出することができる。
なお、ノズル23(横開口ノズル231)の先端と、塗工対象面である負極集電体11との間の、z軸方向の距離d2は、20〜1000μmであることが望ましい。なお、この距離d2を調整するために、負極集電体11に向かう方向(z軸方向)に対して微細駆動可能な昇降機構を、ノズル23の取付け部に設けてもよい。例えば、昇降機構は、負極集電体11に向かうz軸方向に手動によって可動な機構であってもよい。また、昇降機構は、昇降方向(z軸方向)に動作するように、サーボモータを用いたシリンダ式、又は、スライダー式のサーボ機構であってもよい。なお、昇降機構は、数μm単位でz軸方向に駆動可能な精度を有することが望ましい。
図11A、図11Bは、送液手段の一例の概略構成図である。これら図においては、図面左右方向がx軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。また、貯蔵手段21は示されておらず、送液手段22のみが示されている。送液手段22には、貯蔵手段21から適宜、負極材料が充填される。
図11Aに示されるように、送液ライン27が分岐して、1つの送液手段22から、横開口ノズル231、及び、縦開口ノズル232に負極材料が供給されてもよい。また、図11Bに示されるように、横開口ノズル231、及び、縦開口ノズル232のそれぞれに対して、送液手段22、送液ライン27を別に設けてもよい。
ここで、本実施形態の図5に示したノズル23の吐出口の形状の作用効果について説明する。図12A〜12Cは、ノズル23の他の例を示す図である。
図12Aは、ノズル23の吐出面の他の例を示す図である。この図においては、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がx軸方向を示している。この図によれば、ノズル23の吐出口において、横開口233Aと縦開口232Aとが連通している。
図12Bは、図12Aのノズル23の使用態様の一例を示す図である。この図においては、図面左右方向がx軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。
横開口233Aから吐出される負極材料は、負極集電体11の上においてビードを形成する。そのため、横開口233Aにおいては、自身に起因するスリット抵抗に加え、ビードに起因する吐出抵抗が生じる。一方、縦開口232Aはx軸下方向にて横開口233Aと連通しているため、縦開口232Aにおける吐出抵抗が小さくなる。したがって、横開口233Aよりも縦開口232Aの方が吐出抵抗が小さいので、負極材料は、縦開口232Aから吐出されやすい。
図12Cには、図12Aの吐出面を備えるノズル23を用いて形成される負極12が示されている。この図においては、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示している。なお、この図には、図5Bのノズル23を用いて形成された負極12が点線にて示されている。図12Aのノズル23を用いた場合には、図5Bに示された本実施形態のノズル23を用いた場合と比較すると、平滑部12Aが形成されにくくなり、鉛直部12Bが幅広に形成されやすくなってしまう。
したがって、図12Aに示すように、横開口233Aと縦開口232Aとが連通したノズル23では、平滑部12Aが形成されにくくなる。そのため、図5Bに示すように、縦開口232Aと横開口233Aとを連通させないように形成するのが好ましい。
ここで、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料は、同じ種類の溶媒が用いられている。すなわち、平滑部12Aと鉛直部12Bとは、同じ種類の溶媒を用いた負極材料により構成される。以下では、図13A〜13C、及び、図14A〜13Cを用いて、平滑部12Aと鉛直部12Bとが、同じ溶媒を含む負極材料を用いて形成されることの利点について説明する。
図13A〜13Cは、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とから吐出される負極材料が同種の溶媒を含む場合の負極12の断面図である。図13Aは、吐出直後の負極12の断面図であり、図13Bは、形成される負極12の断面図であり、図13Cは、セパレータ形成工程後の負極12の断面図である。
図13Aに示されるように、縦開口ノズル232から吐出された鉛直部12Bは、横開口ノズル231から吐出された平滑部12Aの上に形成される。ここで、平滑部12Aと鉛直部12Bとは、ノズル23から吐出された状態では、溶媒成分が十分に含まれているので、ともに湿潤状態である。そのため、吐出後には、鉛直部12Bは下降して平滑部12Aに埋め込まれる。さらに時間が経過すると、図13Bに示されるように、アンカー効果によって、鉛直部12Bにおける平滑部12Aとの接触部分が、幅広に変形する。鉛直部12Bが幅広に変形することで、鉛直部12Bは平滑部12A上に安定して固定される。このように、親和性の高い溶解を用いることによって、平滑部12Aと鉛直部12Bとを結着させることができる。
さらに、平滑部12Aと鉛直部12Bとが溶解(混合)して、接触面が大きくなるので、負極12は、滑らかな山状に形成される。そのため、図13Cに示されるように、セパレータ形成工程において、鉛直部12Bの側面、及び、平滑部12Aへのセパレータ13の塗工が容易になる。
図14A〜14Cは、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とから吐出される負極材料が異なる種類の溶媒を含む場合の負極12の断面図である。図14Aは、吐出直後の負極12の断面図であり、図14Bは、形成される負極12の断面図であり、図14Cは、セパレータ形成工程後の負極12の断面図である。なお、これらの図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向を示すものとする。
まず、図14Aに示すように、縦開口ノズル232から吐出された鉛直部12Bは、横開口ノズル231から吐出された平滑部12Aの上に形成される。ここで、平滑部12Aと鉛直部12Bとは、溶媒の種類が異なるため、親和性が低い。したがって、図14Bに示すように、鉛直部12Bは平滑部12Aに埋め込まれにくく、アンカー効果も生じにくい。そのため、負極12は立体的に構成されるが、凸部は山状となりにくい。
このような構成では、図14Cに示すように、セパレータ形成工程において、鉛直部12Bの側面や、平滑部12Aにセパレータ13が十分に塗工されず、鉛直部12Bの頭頂部にのみセパレータ13が塗工されてしまう。このように、セパレータ形成工程においてセパレータ13を十分に塗工できないことがある。
第1実施形態の二次電池の製造装置20によれば、以下の効果を得ることができる。
第1実施形態の二次電池の製造装置20は、貯蔵手段(タンク)21と、吐出ステップが実行されることにより負極集電体(基板)11に負極材料を吐出するノズル23と、搬送ステップが実行されることによりノズル23をx軸方向に搬送させる搬送手段24とを備えている。そして、ノズル23には、吐出面において、幅方向(y軸方向)に延在する矩形状の横開口233Aと、幅方向に直行する縦方向(x軸方向)に延在し、y軸方向に配列された矩形状の縦開口232Aとが設けられている。
横開口吐出ステップにおいて横開口233Aから吐出される負極部材によって平滑部12Aが形成され、縦開口吐出ステップにおいて横開口233Aから吐出される負極部材によって平滑部12Aが形成される。負極材料が粘性を備えるため、負極12はノズル23の開口の形状に応じた形状となるので、負極12の表面積を大きくすることができる。したがって、二次電池10の電池容量の増大や、充電の高速化などにより、充電性能を向上させることができる。さらに、負極集電体11の全面に負極12が構成されることにより、リチウムなどの金属の析出が抑制されるので、二次電池10の耐久性が向上する。
第1実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図5Bに示したように、縦開口232Aと横開口233Aとは離間している。このようにすることで、負極材料を吐出する際の、縦開口232Aと横開口233Aとの吐出抵抗の差を小さくすることができる。したがって、縦開口232Aと横開口233Aとから適切に負極材料が吐出されるので、平滑部12Aと鉛直部12Bとを適切な形状で形成することができる。
第1実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図10に示したように、縦開口ノズル232の吐出面は、横開口ノズル231の吐出面に向かって所定の角度だけ傾いている。このようになることで、縦開口232Aから吐出される負極材料にて形成される鉛直部12Bは、横開口233Aから吐出される負極材料にて形成される平滑部12Aに対して、所定の角度だけ傾いて形成される。そのため、鉛直部12Bが平滑部12Aに埋め込まれやすくなるので、平滑部12Aと鉛直部12Bとの結着をより確実に行うことができる。
第1実施形態の二次電池の製造装置20によれば、横開口吐出ステップにおいて、横開口ノズル231から吐出される負極材料(第1電極材料)と、縦開口吐出ステップにおいて、縦開口ノズル232からの吐出される負極材料(第2電極材料)とでは、同じ溶媒が用いられている。このようになることで、図13A〜13Cに示したよう、吐出された後に、鉛直部12Bは下降して平滑部12Aに埋め込まれる。さらに時間が経過すると、アンカー効果によって、鉛直部12Bにおける平滑部12Aとの接触部分が、幅広に変形するので、平滑部12Aと鉛直部12Bとをより結着させることができる。
(第2実施形態)
第1実施形態では、縦開口232A及び横開口233Aが矩形状である場合について示したが、これに限らない。本実施形態においては、縦開口232A及び横開口233Aの他の形状の例について説明する。
図15Aは、ノズル23の吐出面の一例の平面図である。この図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がx軸方向を示すものとする。この図によれば、縦開口ノズル232におけるシム233と接する辺(x軸下側の辺)において、吐出方向(図面手前奥方向、z軸方向)に、複数の溝232Gが設けられている。溝232Gは、y軸方向への投影面において、隣接する縦開口232Aの間に向かって設けられている。なお、溝232Gのx軸方向の深さは、10μm以下であることが望ましい。
図15Bは、図15Aのノズル23を用いて形成された負極12の断面図である。この図によれば、横開口233Aの形状に起因して、平滑部12Aには、鉛直部12Bと咬合するような溝16が設けられる。鉛直部12Bは、溝16と咬み合うように平滑部12Aの上に設けられることにより、平滑部12Aと鉛直部12Bとの接触面が3面となるので、接合力を向上させることができる。
図16Aは、ノズル23の吐出面の他の一例の平面図である。この図において、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がx軸方向を示すものとする。この図によれば、縦開口232Aは、横開口233Aに向かって幅広となるようなテーパー状に形成されている。
図16Bは、図16Aのノズル23を用いて形成される電極の断面図である。この図によれば、縦開口232Aの形状に起因して、鉛直部12Bは横開口233Aに向かって幅広となるようなテーパー状に構成される。このようにすることで、鉛直部12Bと平滑部12Aとの接触面積が大きくなるので、鉛直部12Bと平滑部12Aとの接着力を向上させることができる。
第2実施形態の二次電池の製造装置20によれば、以下の効果を得ることができる。
第2実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図15Aに示すように、縦開口232Aは、横開口233Aと対向する辺において溝232Gが設けられている。溝232Gの凹部は、縦開口232Aとの間に向かって窪むように設けられている。このようになることで、図16Bに示すように、縦開口232Aから吐出される負極材料によって形成される鉛直部12Bは、横開口233Aから吐出される負極材料によって形成される平滑部12Aにおいて、溝232Gに応じて形成される平滑部12A上の溝16に嵌り込む。したがって、平滑部12Aと鉛直部12Bとは溝16を介して3面にて接触されるので、より強固に接着することができる。
第2実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図16Aに示すように、縦開口232Aは、横開口233Aに向かって幅が広くなるテーパー状に設けられる。このようになることで、図16Bに示すように、縦開口232Aから吐出される負極材料によって形成される鉛直部12Bは、平滑部12Aとの接触面が広くなるので、平滑部12Aと鉛直部12Bとをより強固に接着することができる。
(第3実施形態)
第1及び第2実施形態においては、鉛直部12Bは、x軸方向に延在し、y軸方向に離間するように構成されたがこれに限られない。鉛直部12Bは、x軸方向及びy軸方向の両方において離間するように構成されてもよい。
図17Aは、本実施形態のノズル23の一例の概略図である。図17Bは、図17Aに示されたノズル23を用いて生成される負極12の斜視図である。図17Aにおいては、図面左右方向にy軸が示されており、図面上下方向にz軸が示されている。図17Aにおいては、図面左手前右奥方向にx軸が示されており、図面左奥右手前方向にy軸が示されており、図面上下方向にz軸が示されている。
ノズル23は、縦開口ノズル232の縦開口232Aの前面に、さらにシャッター234を備えている。シャッター234は、ノズル23のx軸方向への搬送に伴って開閉する。そのため、図17Bに示すように、鉛直部12Bは、x軸方向にも離間して形成される。このようにすることで、負極12の表面積をさらに大きくできるので、二次電池10の容量を大きくすることができる。
図18Aは、本実施形態の他の一例における、送液手段の概略構成図である。この図によれば、横開口ノズル231と、縦開口ノズル232とは、それぞれ別系統で負極材料が供給される。このような場合には、横開口ノズル231には、送液ライン27Aを介して、ポンプ(送液手段)22Aから負極材料が送液される。また、縦開口ノズル232には、送液ライン27Bを介して、ポンプ(送液手段)22Bから負極材料が送液される。
ポンプ22Aは、連続供給方式であり、例えば、モーノポンプ、モーノディスペンサー、複動連式のプランジャーポンプ、ギアポンプなどである。ポンプ22Aが連続的に負極材料を吐出し続けることにより、平滑部12Aが形成される。
ポンプ22Bは、一定量送液ポンプであり、例えば、シリンジポンプやプランジャーポンプなどである。ポンプ22Bがシリンジの押出と停止とを繰り返すことにより、縦開口ノズル232は、負極材料の吐出と給液とを繰り返す。
このように、横開口ノズル231は、連続供給方式で送液し、縦開口ノズル232は、一定量ごとに送液することにより、図18Bに示すように、x軸方向に離間し、傾斜部を備える鉛直部12Bが形成される。そのため、x軸及びy軸方向に離間する鉛直部12Bが形成されるだけでなく、鉛直部12Bが傾斜を備えることにより、セパレータ形成工程において、鉛直部12Bの側面、及び、平滑部12Aへのセパレータ13の塗工が容易になる。
第3実施形態の二次電池の製造装置20によれば、以下の効果を得ることができる。
第3実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図17Aに示すように、縦開口232Aの前面にシャッター234が設けられている。シャッター234は、ノズル23のx軸方向への搬送に伴って、縦開口232Aの吐出口を開閉する。このようにすることで、図17Bに示すように、縦開口232Aのy軸方向の離間に起因して、y軸方向に離間する鉛直部12Bが形成されるだけでなく、シャッター234による縦開口232Aの開閉に起因して、鉛直部12Bは、x軸方向にも離間して形成される。したがって、負極12の表面積が大きくなるので、二次電池10の容量を大きくすることができる。
第3実施形態の二次電池の製造装置20によれば、図18Aに示すように、縦開口ノズル232には、バッチ式のポンプ22Bを用いて電極材料が供給され、図18Bに示すように、横開口ノズル231には、連続式のポンプ22Aを用いて電極材料が供給される。
ノズル23がx軸方向に搬送されている間、連続式のポンプ22Aは、負極材料の横開口ノズル231への送液を連続するので、x軸方向に延在する平滑部12Aが形成される。これに対して、バッチ式のポンプ22Bは、一定量の負極材料の縦開口ノズル232への送液と停止とを繰り返すので、鉛直部12Bはx軸方向に離間して形成される。また、縦開口ノズル232はy軸方向に離間して設けられているので、鉛直部12Bはy軸方向にも離間して形成される。
このようにすることで、平滑部12Aの上に、x軸方向、及び、y軸方向の双方に離間する鉛直部12Bが形成されることにより、負極12の表面積が増大するので、二次電池10の容量を大きくすることができる。
さらに、バッチ式のポンプ22Bにおいては、送液の開始及び停止の制御において制御遅延が発生する。そのため、鉛直部12Bは、滑らかな傾斜を備えることになる。したがって、セパレータ形成工程において、鉛直部12Bの側面、及び、平滑部12Aへのセパレータ13の塗工を容易にすることができる。
(第4実施形態)
第1実施形態においては、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、同じ種類の溶媒が用いられる場合について説明した、本実施形態においては、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、溶媒以外の成分が異なる例について説明する。
まず、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、粘度が異なる場合について説明する。
横開口ノズル231には、溶媒量が多く、例えば、5,000〜50,000CPと粘度が低い負極材料が供給される。一方、縦開口ノズル232には、溶媒量が少なく、例えば、100,000〜1,000,000CPと粘度が高い負極材料が供給される。
縦開口232Aから吐出される負極材料の粘度が高いため、鉛直部12Bは、鉛直形状の凹凸を維持しやすくなる。一方、横開口233Aから吐出される負極材料の粘度が低いため、平滑部12Aは、鉛直部12Bは平滑部12Aへと埋め込まれやすくなる。したがって、平滑部12Aと鉛直部12Bとの接着をより強固にすることができる。さらに、平滑部12Aは、厚さ(z軸方向の長さ)を薄く形成しやすくなり、負極12内の電子の移動の高速化及び活性化を図ることができる。
次に、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、活物質の粒子径が異なる場合について説明する。
図19には、横開口ノズル231に供給される負極材料の方が、縦開口ノズル232に供給される負極材料よりも、活物質の粒子径が大きい場合の負極12の断面図が示されている。この図においては、図面左右方向がy軸方向、図面上下方向がz軸方向に相当する。また、活物質12Cには右下がりのハッチングが付されており、導電助剤12Dには右上がりのハッチングが付されており、バインダ12Eには細かいドットのハッチングが付されている。
平滑部12Aを構成する負極材料は、活物質の粒子径が大きく、例えば径が20μm程度である。一方、鉛直部12Bを構成する負極材料は、活物質の粒子径が小さく、例えば径が0.1μm程度である。
ここで、負極12においては、電子の移動方向である図面上下方向(z軸方向)においては、鉛直部12Bは、平滑部12Aよりも電子の移動距離が長い。そのため、鉛直部12Bにおいて、活物質12Cの粒子径を小さくするとともに、導電助剤12Dを均一に分散させることにより、z軸方向の電子の移動を容易にすることができる。このようにすることで、粒子径の小さい活物質12Cの使用量を抑制しながら、移動距離の長い鉛直部12Bにおいて電子の移動が容易になるので、二次電池10の性能を向上させることができる。
次に、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、添加剤の有無が異なる場合について説明する。
図20には、平滑部12Aと鉛直部12Bとで、添加物の有無が異なる負極12の断面図が示されている。この図においては、添加物であるカーボンナノファイバー12Fには、粗いドットのハッチングが付されている。縦開口ノズル232に供給される負極材料に、カーボンナノファイバー12Fが添加されているので、鉛直部12Bはカーボンナノファイバー12Fを含むことになる。
カーボンナノファイバー12Fは電導率が高いので、鉛直部12Bにおけるz軸方向の電子の移動が容易になる。このように、移動距離の長い鉛直部12Bにおいて、電子の移動が容易になるため、カーボンナノファイバー12Fの使用量を抑制しながら、二次電池10の充電性能を効率よく向上させることができる。
次に、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、バインダの量が異なる場合について説明する。
一般に、バインダの比率の高い負極材料を用いることにより、負極12の立体的な構造を保持しやすくなる。しかしながら、バインダの多い負極材料を用いてしまうと、負極12において電子の移動が妨げられてしまい、二次電池10の性能が低下してしまう。
そこて、縦開口ノズル232にはバインダの比率の高い負極材料を供給し、横開口ノズル231にはバインダの比率の低い負極材料を供給する。このようにすることで、鉛直部12Bの立体的な形状が維持しやすくなるので、負極12の立体的構造を維持しやすくなる。さらに、縦開口ノズル232にのみバインダの比率の高い負極材料を供給することにより、負極12全体ではバインダの増加が抑制されるので、二次電池10の性能の低下を防ぐことができる。
次に、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに供給される負極材料において、空孔率が異なる場合について説明する。
ノズル23から負極材料を吐出して負極12を形成した後に、負極12をプレスして固定化することがある。しかしながら、負極12が立体的に構成される場合には、負極12の全面をプレスすることが難しい。そこで、縦開口ノズル232と横開口ノズル231とに空孔率が異なる負極材料を供給することにより、平滑部12Aと鉛直部12Bとで空孔率が異なるように構成して、負極12における空孔率の低い部分のみをプレスする。
図21Aは、横開口ノズル231には、縦開口ノズル232よりも空孔率が高い負極材料が供給される場合の負極12の断面図である。このような場合には、空孔率の低い負極材料を用いて形成される平滑部12Aのみをプレスすればよい。そこで、鉛直部12Bをまたぐように櫛状に形成されたプレス部材50を用いて、平滑部12Aのみをプレスする。
また、図21Bは、縦開口ノズル232には、横開口ノズル231よりも空孔率が高い負極材料が供給される場合の負極12の断面図である。このような場合には、空孔率の低い負極材料を用いて形成される鉛直部12Bのみをプレスすればよい。そこで、平面状のプレス部材50を用いて、鉛直部12Bの先端のみをプレスする。
このように、平滑部12Aと鉛直部12Bとで空孔率の異なる負極材料を用いることにより、平滑部12Aと鉛直部12Bとのいずれか一方のみをプレスすればよくなる。したがって、立体的な構造の負極12の全面をプレスする必要がなくなるので、負極12のプレスが容易になる。
第4実施形態の二次電池の製造装置20によれば、以下の効果を得ることができる。
第4実施形態の二次電池の製造方法によれば、横開口吐出ステップにおいて、横開口233Aから第1電極材料を吐出するとともに、縦開口吐出ステップにおいて、縦開口232Aから第2電極材料を吐出する。
ここで、第1電極材料は、第2電極材料よりも粘度が高い。このようにすることで、平滑部12Aは、横開口233Aから吐出される粘度が低い負極材料によって形成され、鉛直部12Bは、縦開口232Aから吐出される粘度が高い負極材料によって形成される。そのため、吐出されて形成された鉛直部12Bは、平滑部12Aに埋め込まれやすくなるので、平滑部12Aと鉛直部12Bとの接着を容易にすることができる。さらに、平滑部12Aは、厚さ(z軸方向の長さ)が薄くなるので、負極12内の電子は移動の高速化及び活性化されて、二次電池10の性能を向上させることができる。
ここで、第2電極材料は、第1電極材料よりも粒子径が小さい。このようにすることで、電子の移動方向(z軸方向)の距離が長い鉛直部12Bのみが、粒子径が小さい負極材料により構成されることになる。ここで、負極12は、粒子径が小さい負極材により構成されると、電子の移動が容易になり、電導性が向上する。そのため、第1電極材料及び第2電極材料の両者が粒子径が小さい負極材により構成される場合と比較すると、粒子径が小さい負極材の使用量を抑制しながら、比較的電子の移動距離の長い経路における導電性を向上させることにより、二次電池10の充電性能を向上させることができる。
第4実施形態の二次電池の製造方法によれば、第2電極材料は、カーボンナノファイバーを含有する。このようにすることで、電子の移動方向(z軸方向)の距離が長い鉛直部12Bにのみ、導電性の高いカーボンナノファイバーが含まれることになる。そのため、第1電極材料及び第2電極材料の両者にカーボンナノファイバーが含まれている場合と比較すると、カーボンナノファイバーの使用量を抑制しながら、比較的電子の移動距離の長い経路における導電性を向上させることができるので、二次電池10の充電性能を向上させることができる。
第4実施形態の二次電池の製造方法によれば、第2電極材料は、第1電極材料よりもバインダの比率が高い。ここで、バインダの多い負極材料を用いると、負極12の構造を保持しやすくなるが、導電性が低下してしまう。そこで、第2電極材料のバインダの比率を高くすることにより、第1電極材料及び第2電極材料の両者のバインダの比率を高くする場合と比較すると、鉛直部12Bの形状の保持しながら、導電性の低下に起因する二次電池10の性能の低下を防ぐことができる。
第4実施形態の二次電池の製造方法によれば、第1電極材料は、第2電極材料とは空孔率が異なる。第2電極材料が、第1電極材料よりも空孔率が高い場合には、図21Aに示されるように、第2電極材料により形成される平滑部12Aのみをプレスする。一方、第1電極材料が、第2電極材料よりも空孔率が多い場合には、図21Bに示されるように、第1電極材料により形成される鉛直部12Bのみをプレスする。このようにすることで、負極12を構成する平滑部12A及び鉛直部12Bの両者をプレスしなくても、負極12の一部をプレスすることにより負極12を固定化できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。また、上記実施形態は、適宜組み合わせ可能である。