JP2017227696A - 光ケーブル用のスロットロッド及び光ケーブル - Google Patents

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Abstract

【課題】曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性に優れる光ケーブル用のスロットロッド、並びにこのスロットロッドを備える光ケーブルを提供する。【解決手段】光ケーブル用のスロットロッドは、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを主成分として含有し、この主成分の含有量が95質量%以上である。光ケーブルは、テンションメンバ1と、このテンションメンバを直接又は他の層を介して被覆するスロットロッド2と、このスロットロッドの溝に配置される光ファイバー4と、スロットロッド及び光ファイバーを被覆する外被5とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、光ケーブル用のスロットロッド及び光ケーブルに関する。
従来から、外周面に複数の溝を備えた光ケーブル用のスロットロッドが知られている。このスロットロッドの各溝には、単心の光ファイバー心線や複数本の光ファイバー心線を被覆により束ねたテープ心線などが収納される。
一般的に、光ケーブル用のスロットロッドは、ポリエチレンなどの樹脂組成物を用いて異型押出成形により形成される。スロットロッドは、外周面に軸方向に向かって螺旋状又はSZ状に複数立設されるリブを有し、このリブのうち隣り合う2つのリブが側面となり溝を形成する。
このようなスロットロッドとして、表面平滑性や寸法安定性に優れる性状を示すポリエチレンを用いて形成したものが考案されている(特開平7−333476号公報参照)。
また、溝を形成するリブを細径化した場合でも、光ケーブルへの加力によりリブが倒れてしまうことやリブの先端が割れてしまうことを防止するために、内層にポリブチレンテレフタレートを含む硬質のプラスチック材料を使用し、外層にポリエチレンを使用した構造のスロットロッドも提案されている(特開2016−20989号公報参照)。
さらに、スロットロッドを細径化しても強度が保てるように、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエチレン等を組み合わせて使用するスロットロッドも提案されている(特開2016−20990号公報、国際公開第2014/119616号参照)。
特開平7−333476号公報 特開2016−20989号公報 特開2016−20990号公報 国際公開第2014/119616号
光ケーブルには、ケーブルの取り回しの際などに外部から曲げが加わることがある。また、データセンタなどに使用される光ケーブルには、大量のデータ送信を可能にすることが要求されるので、一定の径の光ケーブルに光ファイバーを出来るだけ多く詰め込んで密度を高める必要がある。このため、スロットロッドには、変形や細径化に対応した高い曲げ弾性が求められる。また、光ファイバーを保持するスロットロッドは、光ファイバー心線と接することから、光ファイバーに一般的にマイクロベンドと呼ばれる力学的な影響を与えないように表面平滑性が求められる。
しかしながら、ポリエチレンをスロットロッドの材料として使用した場合、ポリエチレンの曲げ弾性率は1600MPa程度に留まることから、リブを薄肉化してアスペクト比を高くした際には、スロットロッドの強度が不足する。
また、ポリブチレンテレフタレートを材料として使用した場合、ポリブチレンテレフタレートには加水分解性があるため、環境によっては耐衝撃性が不足する可能性がある。
また、ポリカーボネートを材料として使用した場合、リブを薄肉化すると欠けやすく、スロットロッドの構造によっては耐衝撃性が不足する可能性がある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性に優れる光ケーブル用のスロットロッド及びこのスロットロッドを用いた光ケーブルを提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光ケーブル用のスロットロッドは、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを主成分として含有し、この主成分の含有量が95質量%以上である。
本発明の別の一態様に係る光ケーブルは、テンションメンバと、このテンションメンバを直接又は他の層を介して被覆する上記スロットロッドと、このスロットロッドの溝に配置される光ファイバーと、上記スロットロッド及び光ファイバーを被覆する外被とを備える。
本発明のスロットロッドは、曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性に優れる。また本発明の光ケーブルは、スロットロッドが上述の特性を有する。
本発明の一実施形態の光ケーブルの断面図である。 図1とは異なる実施形態の光ケーブルの断面図である。
[本発明の実施形態の説明]
本発明の一態様に係る光ケーブル用のスロットロッドは、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを主成分として含有し、この主成分の含有量が95質量%以上である。
当該スロットロッドは、主成分として、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを95質量%以上含むことで、これらのポリマーの性状に起因して優れた曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性を有する。
本発明の別の一態様に係る光ケーブルは、テンションメンバと、このテンションメンバを直接又は他の層を介して被覆する上記スロットロッドと、このスロットロッドの溝に配置される光ファイバーと、上記スロットロッド及び光ファイバーを被覆する外被とを備える。
当該光ケーブルは、上記スロットロッドを備えるので、高密度化してリブを薄肉化した際にも変形性に優れると共に、スロットロッドの表面平滑性に起因して通信効率にも優れる。
上記テンションメンバの外周面に積層され、上記テンションメンバとスロットロッドとを接着する接着層をさらに備え、この接着層が無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有するとよい。このようにテンションメンバとスロットロッドを接着する接着層に無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有させることで、スロットロッドとテンションメンバとの接着性を向上することができる。
上記スロットロッドがテンションメンバの外周面に直接積層され、上記スロットロッドが無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有してもよい。このようにスロットロッドに無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有させることで、接着層を介さずに直接テンションメンバにスロットロッドを十分な強度で結合させることができる。
ここで、「主成分」とは、質量基準で最も多い成分(例えば50質量%以上)を意味する。
[本発明の実施形態の詳細]
以下、本発明の一態様に係る光ケーブル用のスロットロッド及び光ケーブルについて図面を参照しつつ詳説する。
<第1実施形態の光ケーブル>
図1に示す当該光ケーブル10は、テンションメンバ1と、このテンションメンバ1を他の層(接着層3)を介して被覆するスロットロッド2と、テンションメンバ1の外周面に積層され、テンションメンバ1とスロットロッド2とを接着する接着層3と、スロットロッド2の溝に配置される光ファイバー4と、スロットロッド2及び光ファイバー4を被覆する外被5とを備える。
(テンションメンバ)
当該光ケーブルは布設時の自重による引き伸びを防ぐためにテンションを負担するテンションメンバ1が中心に配される。スロットロッドとテンションメンバとが強固に接着していなければ、布設時に両者がずれてスロットロッドのみが伸びてしまい、光ファイバーにテンションがかかり、伝送ロスの悪化、断線などが生じうる。テンションメンバ1としては、例えば金属の単線又は撚り線や、有機又は無機繊維から形成した線状体などを用いることができる。
(スロットロッド)
本発明の一態様であるスロットロッド2は、円筒状のロッド本体の周面から1又は複数のリブが突出した形状を有する。個々のリブは、帯状であり、長手端面が螺旋状又はSZ状にロッド本体に接合されるようにロッド本体と一体形成される。また、ロッド本体の中心軸は、テンションメンバ1の中心軸と一致する。
当該スロットロッド2は、隣接するリブの表面により形成される溝を有し、この溝に光ファイバー4が配設される。隣接するリブにより形成される溝の形状は、例えばV字型、矩形型、U字型、扇形等とすることができる。
当該スロットロッド2は、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを主成分として含有する。
ポリシクロオレフィンは、例えば下記式(1)で表されるポリマーである。
Figure 2017227696
上記式(1)中、R及びRは、それぞれ独立して水素原子或いは有機基であるか、又はこれらの基が互いに合わせられこれらが結合する炭素原子と共に構成される環構造を表す。nは、1以上の整数である。
シクロオレフィン−エチレン共重合体は、例えば下記式(2)で表されるコポリマーである。
Figure 2017227696
上記式(2)中、x及びyは、1以上の整数である。R及びRは上記式(1)と同様である。
当該スロットロッド2の主成分として用いるポリシクロオレフィン又はシクロオレフィン−エチレン共重合体は、無水マレイン酸がグラフト重合等により共重合した無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体であってもよい。なお、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン及び無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体は、無水マレイン酸に加え、無水マレイン酸以外の有機化合物(例えばジシクロペンタジエン等)が共重合していてもよい。
当該スロットロッド2の主成分として用いるシクロオレフィン−エチレン共重合体におけるシクロオレフィンの含有量の下限としては、50質量%が好ましく、60質量%がより好ましい。シクロオレフィンの含有量が上記下限より小さいと、シクロオレフィンに起因する曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性の向上効果が得られないおそれがある。
当該スロットロッド2は、上記主成分の含有量が95質量%以上である。上記主成分の含有量の下限としては、98質量%が好ましく、主成分以外の成分を実質的に含まないことがさらに好ましい。主成分の含有量が上記下限より小さいと、ポリシクロオレフィン又はシクロオレフィン−エチレン共重合体に起因する曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性の向上効果が得られないおそれがある。
なお、当該スロットロッド2が含み得る主成分以外のその他の成分としては、ポリシクロオレフィン及びシクロオレフィン−エチレン共重合体以外の樹脂や、各種添加剤が挙げられる。
当該スロットロッド2の曲げ弾性率の下限としては、2000MPaが好ましく、2200MPaがより好ましい。当該スロットロッド2の曲げ弾性率が上記下限より小さいと、当該光ケーブル10の変形性が不十分となるおそれがある。また、当該スロットロッド2の曲げ弾性率の上限は特に限定されないが、例えば3000MPaである。なお、「曲げ弾性率」とは、JIS−K−7171(2016年)に準拠して測定される値である。
当該スロットロッド2の算術平均粗さRaの上限としては、1μmが好ましく、0.5μmがより好ましく、0.2μmがさらに好ましい。当該スロットロッド2の算術平均粗さRaが上記上限より大きいと、当該光ケーブル10の通信効率が低下するおそれがある。なお、「算術平均粗さRa」とは、JIS−B−0633(2001年)に準拠し、基準長さ4mm、カットオフ値0.8mmで測定される値である。
(接着層)
接着層3は、テンションメンバ1とスロットロッド2とを接着する接着剤を主成分とする。この接着剤としては、テンションメンバ1とスロットロッド2とに固着できるものであれば特に限定されず、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用いることができる。
当該光ケーブル10においては、接着層3が無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体(以下、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン及び無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体をまとめて「無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等」ともいう)を含有するとよい。接着層3が無水マレイン酸変性ポリエチレン又は無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等を含有することで、スロットロッド2と接着層3との結合及び接着層3とテンションメンバ1との結合を高めることができる。無水マレイン酸変性ポリエチレンは、ポリエチレンに無水マレイン酸がグラフト重合等により共重合したものであり、無水マレイン酸以外の有機化合物が共重合していてもよい。
なお、スロットロッド2の主成分と、接着層3に加える無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等との組み合わせは限定されない。つまり、スロットロッド2の主成分としてポリシクロオレフィンを用いる場合に接着層3に無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を加えてもよいし、スロットロッド2の主成分としてシクロオレフィン−エチレン共重合体を用いる場合に接着層3に無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィンを加えてもよい。また、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン及び無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を同時に加えてもよいし、無水マレイン酸変性ポリエチレンをさらに加えてもよい。
接着層3における無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等の含有量の下限としては5質量%が好ましく、10質量%がより好ましい。無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等の含有量が上記下限より小さいと、スロットロッド2と接着層3との接合強度向上効果が不十分となるおそれがある。なお、接着層3における無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等の含有量の上限は100質量%である。
接着層3に用いる無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等における無水マレイン酸の含有量の下限としては、0.5質量%が好ましく、1質量%がより好ましい。一方、無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等における無水マレイン酸の含有量の上限としては、10質量%が好ましく、5質量%がより好ましい。無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等における無水マレイン酸の含有量が上記下限より小さいと、スロットロッド2と接着層3との接合強度向上効果が不十分となるおそれがある。逆に、無水マレイン酸変性ポリエチレン及び無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等における無水マレイン酸の含有量が上記上限より大きいと、当該光ケーブル10の製造コストが過大となるおそれがある。
(光ファイバー)
光ファイバー4としては、公知の光ファイバーを用いることができ、例えば複数本の光ファイバー心線を被覆により束ねたテープ心線が好適に使用できるが、単心の光ファイバー心線を用いてもよい。なお、光ファイバー4としてテープ心線を用いる場合、当該光ケーブル10は、いわゆるテープスロット型光ケーブルとなる。
(外被)
外被5は、スロットロッド2及び光ファイバー4の外周を被覆する樹脂層である。外被5の主成分としては、特に限定されず、例えばポリエチレン等が使用される。なお、外被5は複数種の層を有する多層構造であってもよい。
<第1実施形態の光ケーブルの製造方法>
次に当該光ケーブル10の製造方法の一例について説明する。当該光ケーブル10は、例えばスロットロッド製造工程、集合工程、及び外被被覆工程を備える製造方法で得られる。
スロットロッド製造工程では、例えばスロットロッドを構成する樹脂組成物の異形押出によりスロットロッドを形成する。具体的には、まずテンションメンバの外周面に接着層を接着剤組成物の押出等により被覆し、このテンションメンバと加熱した樹脂組成物とをダイスを介して押出すことで、テンションメンバを被覆するスロットロッドを形成する。このとき押出中にダイスを回転させることで、複数のリブがスロットロッドの外周面に軸方向に向かって螺旋状又はSZ状に立設される。また、接着層とスロットロッドとを共押出により同時にテンションメンバに被覆してもよい。
なお、スロットロッドは、押出成形に限らず、射出成形や圧縮成形等でも製造することができる。
集合工程では、上記スロットロッド製造工程で成形されたスロットロッドの溝に光ファイバーを侵入させて押さえ巻きすることでこれらを集合させる。
外被被覆工程は、上記集合工程により得たスロットロッドと光ファイバーとの集合体の外周を外被で被覆する。この被覆方法としては、例えば押出成形等が用いられる。
(利点)
当該スロットロッドは、主成分として、ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを95質量%以上含むことで、これらのポリマーの性状に起因して優れた曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性を有する。そのため、当該光ケーブルは、高密度化した際にも変形性に優れると共に、スロットロッドの表面平滑性に起因して通信効率にも優れる。
<第2実施形態の光ケーブル>
図2に示す当該光ケーブル11は、テンションメンバ1と、このテンションメンバ1を直接被覆するスロットロッド2と、スロットロッド2の溝に配置される光ファイバー4と、スロットロッド2及び光ファイバー4を被覆する外被5とを備える。当該光ケーブル11は、接着層を備えない点以外は、図1の第1実施形態の光ケーブル10と同じであるため、同一の構成には同一符号を付して説明を省略する。
上述のように、当該光ケーブル11のスロットロッド2は、図1の光ケーブル10のスロットロッド2と同様とできるが、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体(「無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等」)を含有するとよい。このようにスロットロッド2が無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等を含有することで、スロットロッド2とテンションメンバ1との結合を高めることができる。
スロットロッド2は、主成分として、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等を含有するとよい。また、変性されていないポリシクロオレフィン及び/又はシクロオレフィン−エチレン共重合体と、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等とを両方含有してもよい。
スロットロッド2における無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等の含有量の下限としては、30質量%が好ましく、40質量%がより好ましい。無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等の含有量が上記下限より小さいと、スロットロッド2とテンションメンバ1との接合強度向上効果が不十分となるおそれがある。また、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等における無水マレイン酸の含有量は、図1の接着層3に用いる無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン等と同様とできる。
[他の実施形態]
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
当該光ケーブルは、例えばスロットロッドの内側に配設される内層等の上述以外の構成を備えてもよい。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
金属製のテンションメンバの外周面に、無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体からなる接着層と、シクロオレフィン−エチレン共重合体(三井化学社の「APL6509T」)100質量部を形成材料とするスロットロッドとを被覆した。上記無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体は、上記シクロオレフィン−エチレン共重合体100質量部に無水マレイン酸2質量部及びジシクロペンタジエン0.5質量部を加えて二軸押出機で200℃で混錬してペレタイズしたものである。
なお、スロットロッドは樹脂を180℃に加熱して押出成形し、リブの形状は、リブ高さ5mm、リブ根元厚1mmとした。
<実施例2>
接着層の形成材料を無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社の「アドマーNE060」)とした以外は実施例1と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例3>
スロットロッドの形成材料をポリシクロオレフィン(日本ゼオン社の「ゼオノア1020R」)100質量部とし、接着層の形成材料を無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィンとした以外は実施例1と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。上記無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィンは、上記ポリシクロオレフィン100質量部に無水マレイン酸2質量部及びジシクロペンタジエン0.5質量部を加えて二軸押出機で200℃で混錬してペレタイズしたものである。
<実施例4>
スロットロッドの形成材料を上記シクロオレフィン−エチレン共重合体50質量部と上記ポリシクロオレフィン50質量部との混合物とし、接着層の形成材料を上記無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィンとした以外は実施例1と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例5>
スロットロッドの形成材料を上記無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体100質量部とし、接着層を設けずに実施例1と同じ条件でスロットロッドをテンションメンバに直接被覆した。
<実施例6>
スロットロッドの形成材料を上記無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン100質量部とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例7>
スロットロッドの形成材料を上記シクロオレフィン−エチレン共重合体50質量部と上記無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体50質量部との混合物とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例8>
スロットロッドの形成材料を上記シクロオレフィン−エチレン共重合体50質量部と上記無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン50質量部との混合物とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例9>
スロットロッドの形成材料を上記ポリシクロオレフィン50質量部と上記無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン50質量部との混合物とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<実施例10>
スロットロッドの形成材料を上記シクロオレフィン−エチレン共重合体100質量部とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<比較例1>
スロットロッドの形成材料をポリエチレン(東ソー社の「ニポロンハード6200」)100質量部とした以外は実施例2と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<比較例2>
スロットロッドの形成材料をポリプロピレン(日本ポリプロ社の「ノバテックPP EA9FTD」)100質量部とした以外は実施例2と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<比較例3>
スロットロッドの形成材料をポリアミド6(東レ社の「アミランCM1017」)100質量部とした以外は実施例5と同様にして、スロットロッドをテンションメンバに被覆した。
<評価>
作製したテンションメンバとスロットロッドとを備える試験体について、以下の評価を行った。これらの結果を各実施例及び比較例の材質と合わせて表1に示す。なお、表1中、「COC」はシクロオレフィン−エチレン共重合体、「COP」はポリシクロオレフィン、「PE」はポリエチレン、「PP」はポリプロピレン、「PA6」はナイロン6を示し、「酸変性」は無水マレイン酸変性されたものを示す。
(曲げ弾性率)
曲げ弾性率は、JIS−K−7171(2016年)に準拠して引張試験機を用いて測定した。なお、比較例3では、絶乾時と3.5質量%吸水時との値をそれぞれ測定し、後者を表1の()内に示した。
(圧壊強度)
圧壊強度は、100mm□×10mm厚のステンレス板2枚でスロットロッドの上下を挟み、圧縮試験機で荷重をかけていき、リブに変形が生じる荷重として測定した。なお、比較例3では、絶乾時と3.5質量%吸水時との値をそれぞれ測定し、後者を表1の()内に示した。
(算術平均粗さ)
算術平均粗さは、ミツトヨ社の表面粗さ測定機を用い、JIS−B−0633(2001年)に準拠し、基準長さ4mm、カットオフ値0.8mmでスロットロッドの溝の表面の算術平均粗さRaを測定した。
(テンションメンバ引抜力)
テンションメンバ引抜力は、引張試験機を用い、引張速度50mm/分でテンションメンバをスロットロッドから引き抜く力として測定した。
(落錘試験)
スロットロッドの直上1mから、直径30mm、質量0.45kgのステンレス円柱形状の錘を落とし、リブに欠けや割れが生じない場合をA、生じる場合をBとした。
Figure 2017227696
表1に示すように、スロットロッドにCOC又はCOPを用いた実施例1〜10は、曲げ弾性率が2000MPa以上、圧壊強度が2200N以上である上に、耐衝撃性(落錘試験の結果)にも優れる。さらに、実施例1〜10は、算術平均粗さが1.2μm以下であり、平滑性にも優れる。一方で、PEを用いた比較例1は曲げ弾性率及び圧壊強度が不十分であり、PPを用いた比較例2は曲げ弾性率及び圧壊強度は高いものの、平滑性が悪い。さらに、PA6を用いた比較例3は、吸水により曲げ弾性率及び圧壊強度が著しく低下すると共に、落錘試験においてリブに欠けや割れが生じた。
また、接着層に酸変性PE、酸変性COC又は酸変性COPを用いた実施例1〜4は、引抜力が300N/25mm以上でテンションメンバとの接着性に優れた。一方で、スロットロッドに酸変性COC又は酸変性COPを用いた実施例5〜9でも、接着層なしでテンションメンバとの高い接着性を示した。
本発明の光ケーブル用のスロットロッド及びこのスロットロッドを用いた光ケーブルは、リブが高い曲げ弾性率、表面平滑性及び耐衝撃性を有することから、リブを薄肉化できる。このため、当該スロットロッド及び当該光ケーブルは、情報の伝送量が多いデータセンタ間やデータセンタのフロア間の配線などに好適に用いることができる。
1 テンションメンバ
2 スロットロッド
3 接着層
4 光ファイバー
5 外被
10、11 光ケーブル

Claims (4)

  1. ポリシクロオレフィン、シクロオレフィン−エチレン共重合体又はこれらの組み合わせを主成分として含有し、
    この主成分の含有量が95質量%以上である光ケーブル用のスロットロッド。
  2. テンションメンバと、
    このテンションメンバを直接又は他の層を介して被覆する請求項1に記載のスロットロッドと、
    このスロットロッドの溝に配置される光ファイバーと、
    上記スロットロッド及び光ファイバーを被覆する外被と
    を備える光ケーブル。
  3. 上記テンションメンバの外周面に積層され、上記テンションメンバとスロットロッドとを接着する接着層をさらに備え、
    この接着層が無水マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有する請求項2に記載の光ケーブル。
  4. 上記スロットロッドがテンションメンバの外周面に直接積層され、
    上記スロットロッドが無水マレイン酸変性ポリシクロオレフィン又は無水マレイン酸変性シクロオレフィン−エチレン共重合体を含有する請求項2に記載の光ケーブル。
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