JP2017223936A - 騒音低減装置、騒音低減方法 - Google Patents

騒音低減装置、騒音低減方法 Download PDF

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Abstract

【課題】空気調節装置の騒音を低減しつつ、起動操作または運転条件の変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせる。【解決手段】空気調節装置の本体内あるいはダクト内を伝播する騒音を入力信号として取得すると共に、騒音の伝播方向の下流側で、騒音を相殺によって低減するためのキャンセル音を出力する。このキャンセル音の出力信号は、入力信号をフィルタ部でフィルタリングすることで生成する。また、騒音の伝播方向の更に下流側で、騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得し、その誤差信号が小さくなるように、フィルタ部でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を適応部で修正する。そして、空気調節装置の起動操作または運転条件の変更操作がユーザによって行われると、フィルタ部および適応部の少なくとも一方を制御して、騒音を低減する能力を最大性能よりも低下させた状態とした後、最大性能に復帰させる。【選択図】図6

Description

本発明は、空気を送る運転条件を変更可能な空気調節装置に適用されて、空気調節装置の騒音を低減する騒音低減装置および騒音低減方法に関する。
近年、車両の多くが空気調節装置(いわゆるエアコン)を搭載しており、車室内に空気を送ることによって、暖房、冷房、除湿などが可能である。また、空気調節装置は、ユーザによる操作に応じて、複数の吹き出し口の中から空気を吹き出す位置を変えたり、外気の導入と遮断とを切り換えたり、風量を変えたりといった運転条件の変更が可能となっている。
こうした空気調節装置では、送風ファンを主な発生源とする騒音が空気調節装置の本体内あるいはダクト内を伝播して吹き出し口から放出されることにより、ユーザにとって耳障りなことがある。
騒音を低減する技術としては、マイクロホンで騒音を取得し、取得した騒音と等振幅で逆位相の関係であるキャンセル音をスピーカから出力することによって、騒音を打ち消すことが知られている。
また、騒音をキャンセル音によって低減している状況を視覚化し、ユーザに対して表示する技術が提案されている(特許文献1)。
特開平11−265185号公報
しかし、空気調節装置の騒音がキャンセル音で低減されると、ユーザが運転条件を変更または空気調節装置を起動するために操作しても、その操作が受容されたか否かがユーザにとって分かり難いという問題があった。これは、空気調節装置に騒音低減技術を適用した場合ならではの問題であり、例えば、騒音低減技術を適用していない空気調節装置では、運転条件の変更に伴って騒音の音質や音量が変わることから、変更操作の受容をユーザが容易に感じ取れるのに対して、騒音がキャンセル音で低減されている空気調節装置では、運転条件が変更されても、音質や音量がほとんど変わらないためである。また、特許文献1の技術では、視覚化された表示の変化に基づいて変更操作の受容を確認できるものの、表示を目視し続けていなければ変化に気付くことができない。
この発明は、従来技術が有する上述した課題に鑑みてなされたものであり、空気調節装置の騒音を低減しつつ、運転条件の変更操作または起動操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることが可能な技術の提供を目的とする。
上述した課題を解決するために本発明の騒音低減装置および騒音低減方法は、空気調節装置の本体内あるいはダクト内を伝播する騒音を入力信号として取得すると共に、騒音の伝播方向の下流側で、騒音を相殺によって低減するためのキャンセル音を出力する。このキャンセル音の出力信号は、入力信号をフィルタ部でフィルタリングすることで生成する。また、騒音の伝播方向の更に下流側で、騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得し、その誤差信号が小さくなるように、フィルタ部でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を適応部で修正する。そして、空気調節装置の起動操作または運転条件の変更操作がユーザによって行われると、フィルタ部および適応部の少なくとも一方を制御して、騒音を低減する能力を最大性能よりも低下させた状態とした後、最大性能に復帰させる。
このように、空気調節装置の起動操作または運転条件の変更操作が行われると、騒音を低減する性能(以下、騒音低減性能)を、敢えて最大性能よりも低下させた状態とすることにより、空気調節装置から起動に伴う騒音がユーザに聞こえたり、空気調節装置からの騒音の音量および音質の少なくとも一方が変化してユーザに騒音が聞こえるようになったりするので、音の変化によって起動操作または変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることができる。
また、起動操作または変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、騒音低減性能を最大性能に復帰させることにより、一旦は空気調節装置からユーザに聞こえた騒音が低減されるので、騒音低減装置が作動していることをユーザにアピールすることができる。
本実施例の騒音低減装置100を適用した車載用の空気調節装置10の大まかな構成を示す説明図である。 本実施例の操作パネル20の構成を示す説明図である。 本実施例の騒音低減装置100の構成を示すブロック図である。 本実施例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理を示すフローチャートである。 本実施例の性能制御処理を示すフローチャートである。 空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、本実施例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子を示すタイムチャートである。 運転条件の変更操作が騒音を増大させる操作である場合と、騒音を減少させる操作である場合とを比較して示すタイムチャートである。 空気調節装置10の起動操作が行われた際に、本実施例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子を示すタイムチャートである。 第1変形例の騒音低減装置100の構成を示すブロック図である。 第1変形例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理を示すフローチャートである。 第1変形例の音増大制御処理を示すフローチャートである。 空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、第1変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子を示すタイムチャートである。 空気調節装置10の起動操作が行われた際に、第1変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子を示すタイムチャートである。 第2変形例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理を示すフローチャートである。 第2変形例の音増大制御処理を示すフローチャートである。 空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、第2変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子を示すタイムチャートである。
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
A.装置構成 :
図1には、本実施例の騒音低減装置100を適用した車載用の空気調節装置10の大まかな構成が示されている。図示されるように空気調節装置10は、車両1のダッシュボード2内に搭載されており、ダクト11を通じて吹き出し口12から空気を送り出すことによって、車室内の暖房や、冷房や、除湿などが可能となっている。
尚、本実施例の空気調節装置10では、ダクト11を介して吹き出し口12を設けているが、ダクト11を介すことなく空気調節装置10の本体に直結して吹き出し口12を設けてもよい。
空気調節装置10は、図示は省略するが、送風ファンや、冷却用のエバポレータや、加熱用のヒータコアや、冷気と暖気との混合割合を切り換えるエアミックスドアなどを備えている。
また、図示されるように、吹き出し口12は、ドライバの上半身に向けて空気を送る前方吹き出し口12aと、フロントガラス3に向けて空気を送る上方吹き出し口12bと、ドライバの足元に向けて空気を送る下方吹き出し口12cとが設けられている。これらの吹き出し口12a〜12cの中から、空気調節装置10のユーザ(すなわち、ドライバや同乗者)による操作に応じて、空気を吹き出す位置を切り換えることが可能となっている。
車両1のダッシュボード2には、ユーザが空気調節装置10を操作するための操作パネル20が設けられている。
図2には、本実施例の操作パネル20の構成が示されている。例示した操作パネル20は、起動・停止ボタン21と、モードボタン22と、内外気ボタン23と、風量ボタン24とを備えている。
起動・停止ボタン21は、空気調節装置10を起動させたり、停止させたりするためにユーザが操作するボタンである。
モードボタン22は、前述した吹き出し口12a〜12cの中から空気を吹き出す位置を変更するためにユーザが操作するボタンである。モードボタン22を操作する毎に吹き出し口12a〜12cが切り換わるようになっており、上半身に向けた送風や、フロントガラス3に向けた送風や、足元に向けた送風をユーザが選択することが可能である。
内外気ボタン23は、外気を遮断して内気を循環させる場合と、外気を導入する場合とを切り換えるためにユーザが操作するボタンである。
風量ボタン24は、吹き出し口12から吹き出す風量(すなわち、送風ファンの回転数)を変更するためにユーザが操作するボタンであり、風量を上げるボタンと、風量を下げるボタンとに分けて設けられている。
空気調節装置10のユーザは、こうした操作パネル20を操作することにより、空気調節装置10の起動/停止だけでなく、空気を吹き出す位置を変えたり、外気の遮断/導入を切り換えたり、風量を変えたりといった空気調節装置10の運転条件の変更が可能となっている。
このような空気調節装置10では、送風ファンを主な発生源とする騒音が空気調節装置10の本体内やダクト11内を伝播して吹き出し口12から放出されることにより、ユーザにとって耳障りなことがある。そこで、空気調節装置10の騒音を低減するために、騒音低減装置100が設置されている。
図3には、本実施例の騒音低減装置100の構成がブロック図で示されている。尚、図3では、ダクト11を対象に騒音低減装置100を設置する例を示したが、ダクト11に限られず、例えば、空気調節装置10の本体部分を対象に騒音低減装置100を設置することも可能であるため、ダクト11の無いタイプの空気調節装置10にも騒音低減装置100を適用することが可能である。
図示されるように、騒音低減装置100は、騒音マイク101と、スピーカ102と、誤差マイク103と、フィルタ部104と、適応部105と、性能制御部106とを備えている。
尚、このうちの3つの「部」104〜106は、騒音低減装置100を機能に着目して概念的に分類したものであり、それぞれが必ずしも物理的に独立して存在している必要はない。これらの「部」104〜106は、各種の機器や、電子部品、集積回路、コンピューター、コンピュータープログラム、あるいはそれらの組合せなどによって構成することができる。
騒音マイク101は、ダクト11内に設置されており、送風ファンを主な発生源としてダクト11内を伝播する騒音を、電気信号に変換して入力信号として取得する。尚、本実施例の騒音マイク101は、本発明における「騒音取得部」に相当している。
スピーカ102は、ダクト11の騒音マイク101よりも騒音の伝播方向の下流側(すなわち、図中の右側)に設置されており、ダクト11内を伝播する騒音を相殺によって低減するキャンセル音を出力することが可能である。尚、本実施例のスピーカ102は、本発明における「出力部」に相当している。
誤差マイク103は、スピーカ102よりも騒音の伝播方向の更に下流側のダクト11内に設置されており、騒音とキャンセル音との合成音(すなわち、キャンセル音によって消音しきれなかった騒音)を、電気信号に変換して誤差信号として取得する。尚、本実施例の誤差マイク103は、本発明における「誤差取得部」に相当している。
空気調節装置10の本体を対象に騒音低減装置100を設置する場合には、本体内の騒音の伝播方向に騒音マイク101、スピーカ102、誤差マイク103の順で並べてこれらを設置しておけばよい。
フィルタ部104は、騒音マイク101と接続されており、騒音マイク101からの入力信号をフィルタリングすることによって、入力信号とは逆位相の関係であるキャンセル音の出力信号を生成する。本実施例のフィルタ部104には、一般的なFIR(すなわち、Finite Impulse Response)フィルタを用いているが、入力信号に対して所定の信号処理を行って出力信号を生成可能であれば、これに限られない。
また、フィルタ部104は、スピーカ102と接続されており、スピーカ102は、フィルタ部104からの出力信号を変換してキャンセル音として出力する。
適応部105は、騒音マイク101からの入力信号と、誤差マイク103からの誤差信号とに基づいて、フィルタ部104でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を修正する。本実施例の適応部105では、適応アルゴリズムとして周知のLMS(すなわち、Least−Mean−Square)法を採用しており、誤差信号が小さくなるようにフィルタ係数を修正しながら最適係数に近付けていく(すなわち、フィルタ係数を学習する)。
尚、適応アルゴリズムは、LMS法に限られず、学習同定法や射影法などの他の修正手順を採用してもよい。
性能制御部106は、フィルタ部104および適応部105と接続されており、騒音低減装置100によって騒音を低減する性能(以下、騒音低減性能)を制御する。
本実施例の性能制御部106は、操作パネル20と接続されており、ユーザによって空気調節装置10の起動操作または運転条件の変更操作が行われると、フィルタ部104および適応部105の少なくとも一方を制御して、騒音低減能力を一時的に最大性能よりも低下させた状態とした後、最大性能に復帰させる。
また、性能制御部106は、スピーカ102と接続されており、騒音低減性能を低下させる際や、騒音低減性能を復帰させた際に報知信号をスピーカ102に送信することによって、所定の報知音をスピーカ102から出力させる。
B.騒音低減処理 :
図4には、本実施例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理のフローチャートが示されている。
この騒音低減処理(S100)は、ユーザが操作パネル20の起動・停止ボタン21を操作して空気調節装置10を起動させると開始される。騒音低減処理(S100)を開始すると、まず、空気調節装置10で発生する騒音を、騒音マイク101で電気信号に変換して入力信号として取得する(S101)。
続いて、取得した入力信号をFIRフィルタでフィルタリングして、入力信号に対して逆位相の関係である出力信号を生成する(S102)。尚、騒音低減処理(S100)を開始した直後のS102の処理では、フィルタリングに用いるフィルタ係数として所定の初期値(例えば、「0」、あるいは以前の騒音低減処理で得られた最適係数など)が与えられる。
そして、生成した出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力する(S103)。
こうしてキャンセル音を出力すると、次に、騒音とキャンセル音との合成音を、誤差マイク103で電気信号に変換して誤差信号として取得する(S104)。
この合成音は、キャンセル音によって消音しきれなかった騒音であり、取得した誤差信号と入力信号とを用いて、誤差信号が小さくなるように適応アルゴリズムによってフィルタ係数を修正する(S105)。
フィルタ係数を修正したら、空気調節装置10の起動から所定の遅延期間(例えば、2秒間)が経過したか否かを判断する(S106)。遅延期間が未だ経過していない場合は(S106:no)、S105で修正したフィルタ係数を所定の減少率(例えば、0.5倍)で減ずる(S107)。その後、S101の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、S107の処理の後に行われるS102の処理では、適応アルゴリズムによって修正されたフィルタ係数ではなく、所定の減少率で減じて変化させたフィルタ係数を用いてフィルタリングする。そのため、遅延期間中は、騒音低減装置100による騒音低減性能が最大性能よりも低下した状態となる。
こうして処理を繰り返すうちに、遅延期間が経過した場合は(S106:yes)、続いて、騒音低減装置100の騒音低減性能が最大性能に到達したか否かを判断する(S108)。このS108の処理では、誤差信号として取得した合成音の騒音レベルが所定の許容レベルまで低減されたこと基づいて、騒音低減性能が最大性能に到達したと判断する。尚、S108の判断基準は、これに限られず、フィルタ係数の修正が十分に完了して修正量が所定量以下になったことに基づいて、騒音低減性能が最大性能に到達したと判断してもよい。
騒音低減性能が未だ最大性能に到達していない場合は(S108:no)、続いて、操作パネル20で空気調節装置10の運転条件を変更する操作(すなわち、空気を吹き出す位置を変えるモードボタン22の操作や、外気の遮断と導入とを切り換える内外気ボタン23の操作や、風量を変える風量ボタン24の操作など)がユーザによって行われたか否かを判断する(S109)。
運転条件の変更操作が行われていない場合は(S109:no)、次に、ユーザが操作パネル20の起動・停止ボタン21を操作することにより、空気調節装置10が停止したか否か判断する(S110)。
そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S110:no)、S101の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、空気調節装置10の起動から遅延期間が経過した後に行われるS102の処理では、適応アルゴリズムによって修正されたフィルタ係数をそのまま用いてフィルタリングするので、フィルタ係数が修正される毎に騒音低減性能が高まっていく。
こうして処理を繰り返すうちに、騒音低減性能が最大性能に到達した場合は(S108:yes)、報知信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102から所定の報知音(例えば、「pi−po(下り調子)」)を出力する(S111)。
また、騒音低減性能が既に最大性能に到達している場合は(S108:no)、S111の処理を省略して(すなわち、報知音を出力することなく)、運転条件の変更操作が行われたか否かを判断する(S109)。
そして、運転条件の変更操作が行われた場合は(S109:yes)、性能制御処理を開始する(S112)。
図5には、性能制御処理のフローチャートが示されている。図示されるように、性能制御処理(S112)では、まず、報知信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102から所定の報知音(例えば、「po−pi(上り調子)」)を出力する(S113)。
続いて、運転条件の変更操作が空気調節装置10の騒音を減少させる操作であるか否かを判断する(S114)。例えば、風量(すなわち、送風ファンの回転数)を下げる操作などで騒音が減少する場合は(S114:yes)、運転条件の変更操作に伴って騒音低減性能を制御するパターン(以下、制御パターン)として、「減少操作パターン」を設定する(S115)。
これに対して、風量を上げる操作などで騒音が増大する場合や、空気を吹き出す位置を変えたり、外気の遮断と導入とを切り換えたりする操作などで騒音の主に音質が変化して音量に大きな変化がない場合は(S114:no)、制御パターンとして「増大操作パターン」を設定する(S116)
こうして制御パターンを設定すると、フィルタ係数の修正を停止し(S117)、その修正を停止した時点のフィルタ係数から一定の割合で減ずる(S118)。本実施例では、運転条件の変更操作が行われてから所定の漸減期間に亘って、フィルタ係数を所定の減少率(例えば、0.5倍)まで時間方向に一定の割合で減ずる(すなわち、変化させる)ようになっている。
この漸減期間は、制御パターン毎に定められており、減少操作パターンの漸減期間(例えば、0.5秒間)は、増大操作パターンの漸減期間(例えば、1.0秒間)に比べて短いため、S118の処理でフィルタ係数を減ずる割合は、増大操作パターンよりも減少操作パターンの方が大きくなっている。
フィルタ係数を減じたら、空気調節装置10で発生する騒音を、騒音マイク101で電気信号に変換して入力信号として取得し(S119)、取得した入力信号をフィルタリングして出力信号を生成する(S120)。
そして、生成した出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力すると(S121)、運転条件の変更操作が行われてから漸減期間が経過したか否かを判断する(S122)。
前述したように漸減期間は制御パターン毎に異なり、設定された制御パターンに応じた漸減期間が未だ経過していない場合は(S122:no)、S118の処理に戻り、再びフィルタ係数から制御パターンに応じた一定の割合で減じた後、続く上述した一連の処理を繰り返す。
尚、漸減期間中は、S118の処理が行われる毎に一定の割合で減じたフィルタ係数(すなわち、最適係数から離れたフィルタ係数)を用いて、S120の処理で入力信号をフィルタリングするので、騒音低減性能が徐々に低下していく。
こうして処理を繰り返すうちに、制御パターンに応じた漸減期間が経過した場合は(S122:yes)、S117の処理で修正を停止した時点のフィルタ係数に対して所定の減少率(例えば、0.5倍)で減じたフィルタ係数に固定する(S123)。
そして、フィルタ係数を固定したら、漸減期間が経過した後に所定の低性能期間が経過したか否かを判断する(S124)。
この低性能期間は、制御パターン毎に定められており、減少操作パターンの低性能期間(例えば、1.0秒間)は、増大操作パターンの低性能期間(例えば、2.0秒間)に比べて短くなっている。
設定された制御パターンに応じた低性能期間が未だ経過していない場合は(S124:no)、S119の処理に戻って、続く上述した一連の処理を繰り返す。
尚、低性能期間中は、S123の処理で固定したフィルタ係数を用いて、S120の処理で入力信号をフィルタリングするので、騒音低減性能は低下した状態で一定になる。
その後、制御パターンに応じた低性能期間が経過した場合は(S124:yes)、フィルタ係数の修正を再開して(S125)、図5の性能制御処理を終了すると、図4の騒音低減処理に復帰する。
騒音低減処理では、性能制御処理(S112)から復帰すると、空気調節装置10が停止したか否かを判断する(S110)。そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S110:no)、S101の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、性能制御処理から復帰した直後に行われるS102の処理では、フィルタリングに用いるフィルタ係数の初期値として、S123の処理で固定したフィルタ係数が与えられる。
そして、S105の処理でフィルタ係数が修正させる毎に騒音低減性能が回復していき、騒音低減性能が最大性能に到達した場合は(S108)、報知信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102から所定の報知音(例えば、「pi−po(下り調子)」)を出力する(S111)。
その後、処理を繰り返すうちに、空気調節装置10が停止した場合は(S110:yes)、図4の騒音低減処理を終了する。
図6には、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、本実施例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子がタイムチャートで示されている。
まず、図6(a)には、空気調節装置10で発生する騒音を騒音低減装置100で低減する前の元の騒音レベル(以下、元騒音レベル)が示されている。図示した例では、運転条件の変更操作として風量を上げる操作が行われた場合が示されており、主な騒音源である送風ファンの回転数が増加するのに伴って、元騒音レベルも上昇する。従って、この場合は、制御パターンが増大操作パターンに設定される。
尚、ここでは風量を上げる操作を例に説明するが、運転条件の変更操作は、これに限られず、風量を下げる操作や、空気を吹き出す位置を変更する操作や、外気の遮断と導入とを切り換える操作であってもよい。
図6(b)には、騒音低減性能を本実施例のように制御することなく、常に最大性能を維持する場合に、空気調節装置10の騒音を騒音低減装置100で低減した後のユーザが実際に聴取する騒音レベル(以下、聴取騒音レベル)が、比較として示されている。
騒音低減装置100が最大性能を維持して作動していると、運転条件の変更に伴い騒音の音量や音質が変化しても、直ぐに騒音に対応した逆位相の関係のキャンセル音が出力されて騒音が低減されるので、聴取騒音レベルにはほとんど変化がない。
そのため、運転条件の変更操作を行ったユーザにとっては、その操作が受容されたか否かが分かり難い。これは、騒音低減装置100を設置していない空気調節装置10では、運転条件の変更に伴って騒音の音量や音質が変化するので、音の変化によってユーザが変更操作の受容を容易に感じ取れるのに対して、騒音を低減する騒音低減装置100を設置した空気調節装置10ならではの問題である。
これに対して、図6(c)には、本実施例の騒音低減処理に従って騒音低減性能を制御する場合の騒音低減性能の発現レベル(以下、性能発現レベル)が示されており、図6(d)には、騒音低減性能を制御する場合の聴取騒音レベルが示されている。
まず、図6(c)に示されるように本実施例では、運転条件の変更操作が行われると、フィルタ係数の修正(すなわち、学習)を停止し、所定の漸減期間(例えば、1秒間)に亘ってフィルタ係数を時間方向に一定の割合で所定の減少率(例えば、0.5倍)まで減じる(すなわち、変化させる)ことにより、漸減期間中は性能発現レベルが線形に低下する。その後、減じたフィルタ係数を所定の低性能期間(例えば、2秒間)に亘って固定しておくことにより、低性能期間中は、性能発現レベルが最大性能よりも低下した状態で一定となる。
そして、低性能期間が経過すると、フィルタ係数の学習を再開するので、フィルタ係数が最適係数に近付くことで性能発現レベルが回復していき最大性能に復帰する。
このように騒音低減性能を制御することにより、図6(d)に示されるように、運転条件の変更操作が行われると、聴取騒音レベルが漸減期間に亘って徐々に上昇し、元騒音レベルに比べると小さいものの、ユーザが気付くレベルまで上昇する。その後、低性能期間に亘って、ユーザが気付くレベルのまま聴取騒音レベルが維持され、低性能期間が経過してフィルタ係数の学習が再開されると、聴取騒音レベルが低下していき、ユーザが気にならないレベルまで低下する。
尚、本実施例のフィルタ係数の減少率は、低性能期間の聴取騒音レベルが、ユーザが気付くレベルとなるように設定されている。
以上に説明したように本実施例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われると、騒音低減性能を敢えて一時的に低下させることにより、空気調節装置10からの騒音の音量および音質の少なくとも一方が変化してユーザに騒音が聞こえるようになるので、その変化によって、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることができる。
また、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、騒音低減性能を最大性能に復帰させることにより、一旦は空気調節装置10からユーザに聞こえるようになった騒音が低減されるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
また、本実施例の騒音低減装置100では、運転条件の変更操作から漸減期間に亘ってフィルタ係数を時間方向に一定の割合で減じる(すなわち、変化させる)ことで、騒音低減性能を線形に低下させるようになっている。このようにすれば、空気調節装置10からユーザに聞こえる騒音が徐々に大きくなるので、騒音がいきなり大きくなる場合に比べて、ユーザに違和感や嫌悪感を与えることなく、変更操作が受容されたことを上品に伝えることができる。
さらに、本実施例の騒音低減装置100では、騒音低減性能を最大性能から低下させる際や、騒音低減性能を最大性能に復帰させた際に、スピーカ102から所定の報知音を出力するようになっている。これにより、運転条件の変更プロセスの開始や終了をユーザに明確に知らせることができる。
尚、報知音の出力は、騒音低減性能を最大性能から低下させる際、および騒音低減性能を最大性能に復帰させた際の何れか一方だけでもよい。
また、本実施例の騒音低減装置100では、フィルタ係数の学習を停止すること、およびフィルタ係数を最適係数から意図的に変化させることの両方で騒音低減性能を低下させているが、何れか一方だけで騒音低減性能を低下させることも可能である。
例えば、空気調節装置10の運転条件として、空気を吹き出す位置を変えたり、外気の遮断と導入とを切り換えたりした場合には、音響的な伝達特性が変化するので、フィルタ係数の学習を停止するだけで、フィルタ係数を意図的に変化させなくても、フィルタ係数が最適係数から離れることによって、騒音低減性能が低下する。
これに対して、空気調節装置10の運転条件として、風量(すなわち、送風ファンの回転数)を変えた場合には、音響的な伝達特性は変化しないので、フィルタ係数の学習を停止しても、フィルタ係数が最適係数から大きく離れることはない。そこで、フィルタ係数を意図的に変化させれば、変化量に応じて騒音低減性能を低下させることができる。この場合は、フィルタ係数の学習を維持したままとしてもよい。
尚、本実施例のようにフィルタ係数の学習を停止すると共に、フィルタ係数を最適係数から意図的に変化させることとすれば、運転条件の変更に伴って音響的な伝達特性が変化する場合と変化しない場合との両方に対処することができるので、騒音低減性能を確実に低下させることが可能となる。
また、図7には、運転条件の変更操作が騒音を増大させる操作である場合と、騒音を減少させる操作である場合とが比較して示されている。上段の図7(a)には、風量を上げる操作が行われたのに伴い、騒音低減性能を「増大操作パターン」で制御する場合の聴取騒音レベルが示されており、下段の図7(b)には、風量を下げる操作が行われたのに伴い、騒音低減性能を「減少操作パターン」で制御する場合の聴取騒音レベルが示されている。
図示されるように減少操作パターンでは、増大操作パターンと同様に、運転条件の変更に伴って騒音低減性能を低下させることで聴取騒音レベルが上昇し、ユーザに騒音が聞こえるようになるものの、増大操作パターンに比べて、漸減期間および低性能期間を短くしていることから、ユーザに騒音が聞こえてから騒音低減性能の復帰によって騒音が聞こえなくなるまでの期間が短くなっている。
一般に、ユーザは風量を下げると騒音が小さくなることをイメージすることから、風量を下げる操作に伴って騒音が大きくなる期間が長いとユーザに違和感を与えてしまうことがある。そこで、本実施例の騒音低減装置100では、風量を下げるなどの騒音を減少させる操作が行われた際に、騒音低減性能の低下によって一時的に騒音を大きくしてユーザに変更操作の受容を感じとらせつつも、風量を上げるなどの騒音を増大させる操作よりも速やかに騒音低減性能を復帰させて騒音を小さくすることにより、ユーザの違和感を抑制することができる。
尚、本実施例の騒音低減装置100では、図7(b)の減少操作パターンにおいても、図7(a)の増大操作パターンと同様に、漸減期間および低性能期間を設けて騒音低減性能を細かく制御している(すなわち、聴取騒音レベルを徐々に大きくして一定のレベルを維持する)が、減少操作パターンでは騒音低減性能を低下させてから復帰させるまでの期間が短いので、騒音低減性能を細かく制御することなく、急激に低下させるのに続いて直ちに復帰させることとしてもよい。
図8には、空気調節装置10の起動操作が行われた際に、本実施例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子がタイムチャートで示されている。
まず、図8(a)には、元騒音レベルが示されている。図示されるように、起動操作が行われて空気調節装置10が起動すると、主な騒音源である送風ファンが回転することによって、元騒音レベルが急激に上昇する。
図8(b)には、騒音低減性能を本実施例のように制御することなく、空気調節装置10の起動直後から最大性能となるように設定した場合の聴取騒音レベルが比較として示されている。
空気調節装置10の起動直後はフィルタ係数の学習が十分ではないため、聴取騒音レベルが上昇するものの、直ぐに学習を重ねてフィルタ係数が最適係数に近付くことにより、聴取騒音レベルが低下していき、ユーザが気にならないレベルまで低下する。
そのため、空気調節装置10の起動操作を行ったユーザにとっては、その起動操作が受容されたか否か(すなわち、空気調節装置10が起動したか否か)が分かり難い。
これに対して、図8(c)には、本実施例の騒音低減処理に従って騒音低減性能を制御する場合の性能発現レベルが示されており、図8(d)には、騒音低減性能を制御する場合の聴取騒音レベルが示されている。
まず、図8(c)に示されるように本実施例では、空気調節装置10の起動操作が行われると、所定の遅延期間(例えば、2秒間)に亘って、学習したフィルタ係数を所定の減少率(例えば、0.5倍)で減じて意図的に変化させることにより、遅延期間中は、性能発現レベルが最大性能よりも低下した状態となる。
そして、遅延期間が経過した後は、学習したフィルタ係数を意図的に変化させることはないので、フィルタ係数の学習を重ねる毎に性能発現レベルが高まっていき最大性能に達する。
このように騒音低減性能を制御することにより、図8(d)に示されるように、空気調節装置10の起動操作から遅延期間に亘って、聴取騒音レベルが、元騒音レベルに比べると小さいものの、ユーザが気付くレベルに維持される。その後、遅延期間が経過すると、フィルタ係数の学習が進むに連れて聴取騒音レベルが低下していき、ユーザが気にならないレベルまで低下する。
以上に説明したように本実施例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の起動操作が行われると、直ちに騒音低減性能を最大性能に近付けるのではなく、遅延期間に亘って騒音低減性能を敢えて低下させた状態にすることにより、空気調節装置10から起動に伴う騒音がユーザに聞こえるので、起動操作が受容されたこと(すなわち、空気調節装置10が起動したこと)をユーザに感じ取らせることができる。
また、起動操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、騒音低減性能を最大性能に高めることにより、一旦は空気調節装置10からユーザに聞こえた騒音が低減されるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
また、本実施例の騒音低減装置100では、遅延期間の経過後に騒音低減性能が最大性能に達した際に、スピーカ102から所定の報知音を出力するようになっている。これにより、空気調節装置10の起動プロセスの終了をユーザに明確に知らせることができる。
尚、図4に示した騒音低減処理の開始直後にスピーカ102から所定の報知音を出力するようにしてもよく、こうすれば、空気調節装置10の起動プロセスの開始をユーザに明確に知らせることができる。
また、本実施例の騒音低減装置100では、遅延期間に亘って、学習したフィルタ係数を意図的に変化させることによって、騒音低減性能を最大性能よりも低下させた状態としたが、これに限られず、フィルタ係数の学習を途中で停止することによって、騒音低減性能を最大性能よりも低下させた状態としてもよい。
C.変形例 :
上述した本実施例には、次のような変形例も存在する。以下では、上述の実施例とは異なる点を中心に変形例について説明する。尚、変形例の説明では、上述の実施例と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。
C−1.第1変形例 :
図9には、第1変形例の騒音低減装置100の構成がブロック図で示されている。第1変形例の騒音低減装置100は、前述した実施例の騒音低減装置100(図3参照)における性能制御部106を備えておらず、代わりに音増大制御部107や、記憶部108を備えている。
音増大制御部107は、操作パネル20およびスピーカ102と接続されており、ユーザによって空気調節装置10の起動操作または運転条件の変更操作が行われると、空気調節装置10の騒音の代わりとなる代替音をスピーカ102から出力させることで、ユーザに届く音を一時的に増大させる。
記憶部108は、音増大制御部107と接続されており、空気調節装置10の騒音に似せて事前に作成された擬似騒音のデータを代替音データとして記憶している。尚、記憶部108には、擬似騒音のデータの代わりに、予め騒音マイク101で取得した騒音の入力信号を代替音データとして記憶しておいてもよい。
音増大制御部107は、記憶部108から代替音データを読み出して、スピーカ102に代替音信号を送信することにより、代替音をスピーカ102から出力させる。
尚、代替音の出力は、キャンセル音と同じスピーカ102からに限られず、空気調節装置10の本体やダクト11などの騒音が伝播する経路上の何処かに、代替音を出力する専用スピーカを別途設けておいてもよい。
また、第1変形例の音増大制御部107は、適応部105と接続されており、代替音の出力期間中は、適応部105によるフィルタ係数の修正を停止させることが可能となっている。
図10には、第1変形例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理のフローチャートが示されている。第1変形例の騒音低減処理(S200)では、まず、騒音マイク101で空気調節装置10の騒音を入力信号として取得し(S201)、入力信号をフィルタリングすることで、入力信号とは逆位相の関係である出力信号を生成する(S202)。尚、騒音低減処理(S200)を開始した直後のS202の処理では、フィルタリングに用いるフィルタ係数の初期値として、例えば、前回の騒音低減処理の終了時に記憶した最適係数などが与えられる。
そして、出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力すると(S203)、空気調節装置10の起動から所定の遅延期間(例えば、2.0秒間)が経過したか否かを判断する(S204)。
遅延期間が未だ経過していない場合は(S204:no)、代替音信号をスピーカ102に送信することで、スピーカ102から代替音を出力し(S205)、代替音を出力したまま、S201の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
このように遅延期間中は、S203の処理で騒音を相殺するためのキャンセル音を出力しておきながら、S205の処理で騒音を代替する代替音を出力している。
こうして処理を繰り返すうちに、遅延期間が経過した場合は(S204:yes)、代替音を出力せずに(すなわち、代替音の出力を停止して)、誤差マイク103で騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得し(S206)、その誤差信号と入力信号とに基づいてフィルタ係数を修正する(S207)。
このように第1変形例における遅延期間中は、フィルタ係数を修正せず、遅延期間が経過してからフィルタ係数の修正を開始するようになっている。
フィルタ係数を修正したら、続いて、操作パネル20で空気調節装置10の運転条件を変更する操作が行われたか否かを判断する(S208)。
運転条件の変更操作が行われていない場合は(S208:no)、次に、操作パネル20の起動・停止ボタン21の操作によって空気調節装置10が停止したか否かを判断する(S209)。
そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S209:no)、S201の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返し、S207の処理でフィルタ係数を修正することで騒音低減性能を高めることができる。
こうして処理を繰り返すうちに、運転条件の変更操作が行われた場合は(S209:yes)、音増大制御処理を開始する(S210)。
図11には、第1変形例の音増大制御処理のフローチャートが示されている。図示されるように第1変形例の音増大制御処理(S210)では、まず、運転条件の変更操作が空気調節装置10の騒音を減少させる操作であるか否かを判断する(S211)。
風量を下げる操作などで騒音が減少する場合は(S211:yes)、運転条件の変更操作に伴う騒音低減性能の制御パターンとして、「減少操作パターン」を設定する(S212)。
一方、風量を上げる操作などで騒音が増大する場合や、空気の吹き出し位置を変えたり、外気の遮断と導入とを切り換えたりする操作などで騒音の主に音質が変化して音量に大きな変化がない場合は(S211:no)、制御パターンとして「増大操作パターン」を設定する(S213)。
続いて、フィルタ係数の修正を停止した後(S214)、騒音マイク101で空気調節装置10の騒音を入力信号として取得し(S215)、入力信号をフィルタリングすることで出力信号を生成する(S216)。
そして、出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力すると(S217)、運転条件の変更操作が行われてから所定の音増大期間が経過したか否を判断する(S218)。
この音増大期間は、制御パターン毎に定められており、減少操作パターンの音増大期間(例えば、1.5秒間)は、増大操作パターンの音増大期間(例えば、3.0秒間)に比べて短くなっている。
設定された制御パターンに応じた音増大期間が未だ経過していない場合は(S218:no)、代替音信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102から代替音を出力し(S219)、代替音を出力したまま、S215の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
このように音増大期間中は、S217の処理で騒音を相殺するためのキャンセル音を出力しておきながら、S219の処理で騒音を代替する代替音を出力している。
こうして処理を繰り返すうちに、制御パターンに応じた音増大期間が経過した場合は(S218:yes)、代替音を出力せずに(すなわち、代替音の出力を停止して)、フィルタ係数の修正を再開した後(S220)、図11の音増大制御処理を終了すると、図10の騒音低減処理に復帰する。
図10の騒音低減処理では、音増大制御処理(S210)から復帰すると、空気調節装置10が停止したか否かを判断する(S209)。そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S209:no)、S201の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、音増大制御処理から復帰した直後に行われるS202の処理では、フィルタリングに用いるフィルタ係数の初期値として、S214の処理で修正を停止した時点のフィルタ係数が与えられる。そして、S207の処理でフィルタ係数を修正することで騒音低減性能を高めることができる。
その後、処理を繰り返すうちに、空気調節装置10が停止した場合は(S209:yes)、図10の騒音低減処理を終了する。
図12には、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、第1変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子がタイムチャートで示されている。
まず、図12(a)には、空気調節装置10の騒音を騒音低減装置100で低減する前の元騒音レベルが示されている。図示した例は、運転条件の変更操作として風量を上げる操作が行われた場合であり、送風ファンの回転数の増加に伴って元騒音レベルが上昇する。従って、制御パターンは増大操作パターンに設定される。
図12(b)には、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減した後の騒音レベル(以下、誤差音レベル)が示されている。
第1変形例では、運転条件の変更操作が行われると、フィルタ係数の修正(すなわち、学習)を停止するものの、風量を変える操作の場合には音響的な伝達特性が変化せず、フィルタ係数が最適係数から大きく離れることはないので、変更操作の前後で誤差音レベルの変動は僅かである。
その後、フィルタ係数は所定の音増大期間(例えば、3.0秒間)に亘って修正されず一定であるため、音増大期間中は、誤差音レベルにほとんど変化がない。そして、音増大期間が経過すると、フィルタ係数の学習を再開するが、もともと学習を停止した時点でフィルタ係数が最適係数から大きく離れていないため、学習再開の前後における誤差音レベルの変動も僅かである。
このように空気調節装置10の騒音がキャンセル音による相殺で低減されて誤差音レベルの変化に乏しいと、運転条件の変更操作を行ったユーザにとっては、その操作が受容されたか否かが分かり難い。
尚、空気を吹き出す位置を変えたり、外気の遮断と導入とを切り換えたりする操作の場合には、音響的な伝達特性が変化してフィルタ係数が最適係数から離れることにより、変更操作の前後および学習再開の前後における誤差音レベルの変動は図12(b)の例に比べて大きくなる。
第1変形例では、こうして空気調節装置10の騒音を低減する一方で、前述したように騒音の代わりとなる代替音を出力可能になっており、図12(c)には、スピーカ102から出力する代替音の出力レベル(以下、代替音レベル)が示されている。また、図12(d)には、図12(b)の誤差音レベルと図12(c)の代替音レベルとを合成したユーザに実際に届く音レベル(以下、聴取音レベル)が示されている。
図12(c)に示されるように第1変形例では、運転条件の変更操作が行われると、代替音の出力を開始し、所定の音増大期間(例えば、3.0秒間)に亘って代替音レベルを所定レベルに維持する。この所定レベルは、ユーザが気付くレベルに設定されている。そして、音増大期間が経過すると、代替音の出力を停止する。
尚、図12(c)の例では、代替音の出力開始時に代替音レベルを急激に上昇させて、出力停止時に代替音レベルを急激に低下させているが、代替音の出力制御は、これに限られず、代替音レベルを徐々に上昇させて、所定レベルで維持した後、代替音レベルを徐々に低下させるように制御してもよい。
こうして代替音の出力を制御することにより、図12(d)に示されるように、運転条件の変更操作が行われると、聴取音レベルが、ユーザが気付くレベルまで上昇し、音増大期間に亘って、そのまま聴取音レベルが維持された後、ユーザが気にならないレベルまで聴取音レベルが低下する。
尚、代替音の出力を開始する際や、代替音の出力を停止した際に、前述した実施例と同様に、所定の報知音を出力してもよい。
以上に説明したように第1変形例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われると、前述した実施例のようにフィルタ係数を最適係数から意図的に変化させるのではなく、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減しておきながら、空気調節装置10の騒音を代替する代替音を出力することにより、ユーザに届く音が増大されて聞こえるようになるので、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることができる。
また、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、代替音の出力を停止することにより、ユーザに届く音が低減されて聞こえなくなるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
また、第1変形例の騒音低減装置100では、運転条件の変更操作から音増大期間(すなわち、代替音が出力される期間)に亘ってフィルタ係数の学習を停止するので、音増大期間中はフィルタ係数が修正されず一定になっている。これにより、音増大期間中に空気調節装置10の騒音の伝播経路上に代替音を出力することとしても、その代替音の影響でフィルタ係数が大幅に変化して騒音低減性能(すなわち、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減する性能)が低下することはなく、また、代替音に対してフィルタ係数を学習して代替音がキャンセル音による相殺で低減されてしまうこともない。
図13には、空気調節装置10の起動操作が行われた際に、第1変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子がタイムチャートで示されている。
まず、図13(a)には、元騒音レベルが示されており、起動操作が行われて空気調節装置10が起動すると、送風ファンの回転に伴って元騒音レベルが急激に上昇する。
図13(b)には、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減した後の誤差音レベルが示されている。
第1変形例では、空気調節装置10の起動直後に用いるフィルタ係数の初期値として、前回の空気調節装置10の停止時に記憶した最適係数が与えられ、運転条件が変更されなければ、フィルタ係数が最適係数から大きく離れることはないので、空気調節装置10が起動しても誤差音レベルが大きく上昇することはない。
また、空気調節装置10の起動から所定の遅延期間(例えば、2.0秒間)に亘ってフィルタ係数の学習を停止しており、フィルタ係数が一定であるため、遅延期間中は誤差音レベルにほとんど変化がない。そして、遅延期間が経過すると、フィルタ係数の学習を開始するが、もともとフィルタ係数が最適係数から大きく離れていなければ、学習開始の前後で誤差音レベルの変動は僅かである。
そのため、運転条件の変更操作を行ったユーザにとっては、その操作が受容されたか否かが分かり難い。
第1変形例では、空気調節装置10の起動操作が行われた際にも、運転条件の変更操作が行われた際と同様に、空気調節装置10の騒音の代わりとなる代替音を出力可能になっており、図13(c)には、代替音レベルが示されている。また、図13(d)には、図13(b)の誤差音レベルと図13(c)の代替音レベルとを合成した聴取音レベルが示されている。
図13(c)に示されるように第1変形例では、空気調節装置10の起動操作が行われると、代替音の出力を開始し、所定の遅延期間に亘って代替音レベルを所定レベルに維持する。そして、遅延期間が経過すると、代替音の出力を停止する。
こうして代替音の出力を制御することにより、図13(d)に示されるように、空気調節装置10の起動操作が行われると、聴取音レベルが、ユーザが気付くレベルまで上昇し、遅延期間に亘ってそのまま聴取音レベルが維持された後、ユーザが気にならないレベルまで聴取音レベルが低下する。
以上に説明したように第1変形例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の起動操作が行われると、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減しながら、空気調節装置10の騒音を代替する代替音を出力することにより、ユーザに届く音が増大されて聞こえるようになるので、起動操作が受容されたこと(すなわち、空気調節装置10が起動したこと)をユーザに感じ取らせることができる。
また、起動操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、代替音の出力を停止することにより、ユーザに届く音が低減されて聞こえなくなるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
また、第1変形例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の起動操作から遅延期間(すなわち、代替音が出力される期間)に亘ってフィルタ係数の学習を停止しているので、遅延期間中はフィルタ係数が修正されず一定になっている。これにより、遅延期間中に空気調節装置10の騒音の伝播経路上に代替音を出力することとしても、その代替音の影響でフィルタ係数が大幅に変化して騒音低減性能が低下することはなく、また、代替音に対してフィルタ係数を学習して代替音がキャンセル音による相殺で低減されてしまうこともない。
C−2.第2変形例 :
上述した第1変形例では、代替音の出力期間中はフィルタ係数の修正を停止していた。しかし、代替音の出力期間中もフィルタ係数を修正することとしてもよい。
第2変形例の騒音低減装置100の構成は、上述した第1変形例(図9参照)と基本的には同様であり、音増大制御部107や記憶部108を備えている。
音増大制御部107は、操作パネル20で空気調節装置10の起動操作または運転条件の変更操作が行われると、記憶部108から代替音データを読み出して、スピーカ102に代替音信号を送信することにより、代替音をスピーカ102から出力させる。
尚、代替音の出力は、キャンセル音と同じスピーカ102からに限られず、例えば、騒音マイク101と誤差マイク103との間の騒音が伝播する経路上に、代替音を出力する専用スピーカを別途設けておいてもよい。
ただし、第2変形例の音増大制御部107と適応部105とは接続されておらず、代替音の出力期間中も、適応部105がフィルタ係数を修正するようになっている。
図14には、第2変形例の騒音低減装置100で実行される騒音低減処理のフローチャートが示されている。第2変形例の騒音低減処理(S300)では、まず、騒音マイク101で空気調節装置10の騒音を入力信号として取得し(S301)、入力信号をフィルタリングすることで出力信号を生成する(S302)。そして、出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力する(S303)。
尚、騒音低減処理(S300)を開始した直後のS302の処理では、フィルタリングに用いるフィルタ係数の初期値として、例えば、前回の騒音低減処理の終了時に記憶した最適係数などが与えられる。
続いて、誤差マイク103で騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得し(S304)、その誤差信号と入力信号とに基づいてフィルタ係数を修正すると(S305)、空気調節装置10の起動から所定の遅延期間(例えば、2.0秒間)が経過したか否かを判断する(S306)。
遅延期間が未だ経過していない場合は(S306:no)、代替音信号をスピーカ102に送信することで、キャンセル音と同じくスピーカ102から代替音を出力し(S307)、代替音を出力したまま、S301の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、空気調節装置10の起動から遅延期間が経過するまでに行われるS304の処理では、代替音を含む合成音を誤差信号として取得することになり、続くS305の処理では、その誤差信号に基づいて、遅延期間中(すなわち、代替音の出力期間中)もフィルタ係数を修正する。
こうして処理を繰り返すうちに、遅延期間が経過した場合は(S306:yes)、代替音を出力せずに(すなわち、代替音の出力を停止して)、次に、操作パネル20で空気調節装置10の運転条件を変更する操作が行われたか否かを判断する(S308)。
運転条件の変更操作が行われていない場合は(S308:no)、続いて、操作パネル20の起動・停止ボタン21の操作によって空気調節装置10が停止したか否かを判断する(S309)。
そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S309:no)、S301の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、空気調節装置10の起動から遅延期間が経過した後に行われるS304の処理では、代替音を含まない騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得する。
こうして処理を繰り返すうちに、運転条件の変更操作が行われた場合は(S308:yes)、音増大制御処理を開始する(S310)。
図15には、第2変形例の音増大制御処理のフローチャートが示されている。図示されるように第2変形例の音増大制御処理(S310)では、まず、運転条件の変更操作が空気調節装置10の騒音を減少させる操作であるか否かを判断し(S311)。風量を下げる操作などで騒音が減少する場合は(S311:yes)、制御パターンとして「減少操作パターン」を設定する(S312)。
一方、風量を上げる操作などで騒音が増大する場合や、空気の吹き出し位置を変えたり、外気の遮断と導入とを切り換えたりする操作などで騒音の主に音質が変化して音量に大きな変化がない場合は(S311:no)、制御パターンとして「増大操作パターン」を設定する(S313)。
こうして制御パターンを設定したら、騒音マイク101で空気調節装置10の騒音を入力信号として取得し(S314)、入力信号をフィルタリングすることで出力信号を生成する(S315)。
そして、出力信号をスピーカ102に送信することによって、スピーカ102からキャンセル音を出力する(S316)。
続いて、誤差マイク103で騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得し(S317)、その誤差信号と入力信号とに基づいてフィルタ係数を修正すると(S318)、運転条件の変更操作が行われてから所定の音増大期間が経過したか否を判断する(S319)。
この音増大期間は、制御パターン毎に定められており、減少操作パターンの音増大期間(例えば、1.5秒間)は、増大操作パターンの音増大期間(例えば、3.0秒間)に比べて短くなっている。
設定された制御パターンに応じた音増大期間が未だ経過していない場合は(S319:no)、代替音信号をスピーカ102に送信することによって、キャンセル音と同じくスピーカ102から代替音を出力し(S320)、代替音を出力したまま、S314の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、S320の処理の後に行われるS317の処理では、代替音を含む合成音を誤差信号として取得することになり、続くS318の処理では、その誤差信号に基づいて、音増大期間中(すなわち、代替音の出力期間中)もフィルタ係数を修正する。
こうして処理を繰り返すうちに、制御パターンに応じた音増大期間が経過した場合は(S319:yes)、代替音を出力せずに(すなわち、代替音の出力を停止して)、図15の音増大制御処理を終了すると、図14の騒音低減処理に復帰する。
図14の騒音低減処理では、音増大制御処理(S310)から復帰すると、空気調節装置10が停止したか否かを判断する(S309)。そして、空気調節装置10が停止していない場合は(S309:no)、S301の処理に戻って、上述した一連の処理を繰り返す。
尚、音増大制御処理から復帰した後に行われるS304の処理では、代替音を含まない騒音とキャンセル音との合成音を誤差信号として取得する。
その後、処理を繰り返すうちに、空気調節装置10が停止した場合は(S309:yes)、図14の騒音低減処理を終了する。
図16には、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われた際に、第2変形例の騒音低減処理に従って騒音を低減する様子がタイムチャートで示されている。
まず、図16(a)には、空気調節装置10の騒音を騒音低減装置100で低減する前の元騒音レベルが示されている。図示した例は、運転条件の変更操作として風量を上げる操作が行われた場合であり、送風ファンの回転数の増加に伴って元騒音レベルが上昇する。従って、制御パターンは増大操作パターンに設定される。
図16(b)には、空気調節装置10の騒音をキャンセル音による相殺で低減した後の誤差音レベルが示されている。また、図16(c)には、スピーカ102から出力する代替音レベルが示されている。
第2変形例では、運転条件の変更操作が行われても、フィルタ係数の修正(すなわち、学習)を停止することなく継続している。そのため、仮にスピーカ102から代替音が出力されなければ、運転条件の変更に伴い騒音が変化しても、直ぐにフィルタ係数を修正して最適係数を得ることにより、図16(b)中に一点鎖線で示されるように誤差音レベルはほとんど変化することがない。
ただし、図16(c)に示されるように第2変形例では、運転条件の変更操作が行われると、キャンセル音と同じスピーカ102から代替音の出力を開始し、所定の音増大期間(例えば、3.0秒間)に亘って代替音レベルを所定レベルに維持した後、代替音の出力を停止するようになっている。
適応アルゴリズムによるフィルタ係数の学習は、騒音マイク101で取得される騒音と、スピーカ102から出力されるキャンセル音による相殺で騒音を低減した後に誤差マイク103で取得される合成音(すなわち、騒音とキャンセル音との誤差)とに基づいて、フィルタ係数を最適係数に近付けていくようになっている。
このとき、スピーカ102から代替音が出力されると、誤差マイク103で騒音とキャンセル音との本来の誤差以外に代替音を外乱として取得してしまい(図9参照)、この外乱の影響によってフィルタ係数を最適係数に近付けることができない。そして、このように最適係数から外れた不十分なフィルタ係数を用いてキャンセル音が出力されることにより、騒音を低減する性能が低下する。
そのため、図16(b)に示されるように、代替音が出力される音増大期間中は、代替音が出力されない場合に比べて、誤差音レベルが上昇する傾向にある。そして、音増大期間が経過して代替音の出力が停止されると、外乱の影響がなくなりフィルタ係数が最適係数に近付くことにより、誤差音レベルが低下する。
図16(d)には、図16(b)の誤差音レベルと図16(c)の代替音レベルとを合成した聴取音レベルが示されている。
図示されるように音増大期間中の聴取音レベルは、代替音の出力によって所定レベルまで上昇するだけでなく、外乱の影響によって上昇した誤差音レベルの分が上乗せされることから、代替音レベルよりも更に上昇する。その後、音増大期間が経過すると、代替音の出力が停止してフィルタ係数の学習が進むことにより、ユーザが気にならないレベルまで聴取音レベルが低下する。
以上に説明したように第2変形例の騒音低減装置100では、空気調節装置10の運転条件の変更操作が行われると、空気調節装置10の騒音を代替する代替音を出力することにより、ユーザに届く音が増大される。しかも、フィルタ係数の学習を継続していることで、フィルタ係数を意図的に変化させなくても、代替音が外乱となってフィルタ係数が最適係数から外れることからキャンセル音による騒音低減性能が低下し、空気調節装置10からの音が大きくなってユーザに聞こえるようになるので、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることができる。
また、変更操作が受容されたことをユーザに感じ取らせた後は、代替音の出力を停止することにより、ユーザに届く音が低減されると共に、外乱がなくなってフィルタ係数が最適係数に近付くことから騒音低減性能が回復し、空気調節装置10からの音が小さくなってユーザに聞こえなくなるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
また、タイムチャートの図示は省略するが、空気調節装置10の起動操作が行われた際にも、運転条件の変更操作が行われた際と同様に、フィルタ係数の学習を継続したまま代替音を出力するようになっており、ユーザに届く音が増大されると共に、代替音が外乱となって騒音低減性能が低下し、空気調節装置10からの音がユーザに聞こえるようになるので、起動操作が受容されたことをユーザに感じ取らせることができる。
そして、代替音の出力を停止することにより、ユーザに届く音が低減されると共に、外乱がなくなって騒音低減性能が回復し、空気調節装置10からの音がユーザに聞こえなくなるので、騒音低減装置100が作動していることをユーザにアピールすることができる。
尚、第2変形例では、代替音をキャンセル音と同じスピーカ102から出力することとしたが、騒音マイク101と誤差マイク103との間の騒音が伝播する経路上に、代替音を出力する専用スピーカを別途設けた場合にも、代替音を誤差マイク103で外乱として取得することになるので、外乱の影響で最適係数から外れた不十分なフィルタ係数を用いてキャンセル音が出力されることにより、騒音を低減する性能が低下する。
これに対して、騒音マイク101よりも騒音の伝播方向の上流側に設けた専用スピーカから代替音を出力する場合には、騒音マイク101で取得される騒音および代替音の両方に対してフィルタ係数を学習し、学習が進むことにより、騒音および代替音が共にキャンセル音による相殺で低減されることになる。
また、誤差マイク103よりも騒音の伝播方向の下流側に設けた専用スピーカから代替音を出力する場合には、騒音マイク101で代替音を外乱として取得することはなく、騒音低減性能を最大性能に維持しつつ、前述した第1変形例と同様に、代替音の出力によってユーザに届く音を増大させることができる。
以上、実施例および変形例について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。
例えば、前述した実施例では、フィルタ係数を意図的に変化させるために所定の減少率で減じていたが、フィルタ係数を最適係数から離すことができればよく、所定の増加率で増加させてもよい。
また、前述した実施例および変形例では、送風ファンを主な発生源とする騒音を騒音低減装置100で低減する例を説明したが、騒音は、空気調節装置10の運転に伴って発生するものであれば特に限定されず、送風ファンの動力(例えば、モータや原動機など)に由来する騒音や、空気調節装置10の本体内あるいはダクト11内で風の流れが乱れることに起因する騒音などの低減にも、騒音低減装置100を好適に適用することが可能である。
また、前述した実施例および変形例では、騒音低減装置100を車載用の空気調節装置10に適用した例について説明した。しかし、騒音低減装置100の適用は、空気を送る運転条件を変更可能な空気調節装置であれば、車載用に限られず、例えば、スポットクーラーなどにも騒音低減装置100を好適に適用することが可能である。
1…車両、 2…ダッシュボード、 3…フロントガラス、
10…空気調節装置、 11…ダクト、 12…吹き出し口、
12a…前方吹き出し口、 12b…上方吹き出し口、
12c…下方吹き出し口、 20…操作パネル、 21…起動・停止ボタン、
22…モードボタン、 23…内外気ボタン、 24…風量ボタン、
100…騒音低減装置、 101…騒音マイク、 102…スピーカ、
103…誤差マイク、 104…フィルタ部、 105…適応部、
106…性能制御部、 107…音増大制御部、 108…記憶部。

Claims (9)

  1. 空気を送る運転条件を変更可能な空気調節装置(10)に適用されて、該空気調節装置の騒音を低減する騒音低減装置(100)であって、
    前記空気調節装置の本体あるいはダクト(11)に設置されて、該本体内あるいは該ダクト内を伝播する前記騒音を入力信号として取得する騒音取得部(101)と、
    前記騒音取得部よりも前記騒音の伝播方向の下流側に設置されて、前記騒音を相殺によって低減するキャンセル音を出力可能な出力部(102)と、
    前記入力信号をフィルタリングすることによって、前記キャンセル音の出力信号を生成するフィルタ部(104)と、
    前記出力部よりも前記騒音の伝播方向の下流側に設置されて、前記騒音と前記キャンセル音との合成音を誤差信号として取得する誤差取得部(103)と、
    前記誤差信号が小さくなるように、前記フィルタ部でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を修正する適応部(105)と、
    前記空気調節装置の起動操作または前記運転条件の変更操作がユーザによって行われると、前記フィルタ部および前記適応部の少なくとも一方を制御して、前記騒音を低減する性能を最大性能よりも低下させた状態とした後に、前記最大性能に復帰させる性能制御部(106)と、
    を備える騒音低減装置。
  2. 請求項1に記載の騒音低減装置であって、
    前記性能制御部は、前記フィルタ部が用いる前記フィルタ係数を、前記適応部によって修正された前記フィルタ係数から変化させることで、前記騒音を低減する性能を前記最大性能よりも低下させる
    騒音低減装置。
  3. 請求項2に記載の騒音低減装置であって、
    前記性能制御部は、前記フィルタ部が用いる前記フィルタ係数を、時間方向に一定の割合で変化させることで、前記騒音を低減する性能を低下させる
    騒音低減装置。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れか一項に記載の騒音低減装置であって、
    前記性能制御部は、前記適応部による前記フィルタ係数の修正を停止させることで、前記騒音を低減する性能を前記最大性能よりも低下させる
    騒音低減装置。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れか一項に記載の騒音低減装置であって、
    前記性能制御部は、前記騒音を低減する性能を前記最大性能よりも低下させる際、および前記最大性能に復帰させた際の少なくとも一方で、所定の報知音を前記出力部から出力させる
    騒音低減装置。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れか一項に記載の騒音低減装置であって、
    前記性能制御部は、前記運転条件の変更操作が前記騒音を減少させる操作である場合には、前記騒音を増大させる操作である場合に比べて、前記騒音を低減する能力を前記最大性能よりも低下させてから該最大性能に復帰させるまでの期間を短くする
    騒音低減装置。
  7. 空気を送る運転条件を変更可能な空気調節装置に適用されて、該空気調節装置の騒音を低減する騒音低減方法であって、
    前記空気調節装置の本体内あるいはダクト内を伝播する前記騒音を入力信号として取得する騒音取得工程(S101,S116)と、
    前記騒音の取得位置よりも該騒音の伝播方向の下流側で、前記騒音を相殺によって低減するためのキャンセル音を出力する出力工程(S103,S118)と、
    前記入力信号をフィルタリングすることにより、前記キャンセル音の出力信号を生成するフィルタ工程(S102,S117)と、
    前記キャンセル音の出力位置よりも前記騒音の伝播方向の下流側で、前記騒音と前記キャンセル音との合成音を誤差信号として取得する誤差取得工程(S104)と、
    前記誤差信号が小さくなるように、前記フィルタ工程でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を修正する適応工程(S105)と、
    前記空気調節装置の起動操作または前記運転条件の変更操作がユーザによって行われると、前記フィルタ工程および前記適応工程の少なくとも一方を制御して、前記騒音を低減する性能を最大性能よりも低下させた状態とした後、前記最大性能に復帰させる性能制御工程と(S107,S112)、
    を備える騒音低減方法。
  8. 空気を送る運転条件を変更可能な空気調節装置(10)に適用されて、該空気調節装置の騒音を低減する騒音低減装置(100)であって、
    前記空気調節装置の本体あるいはダクト(11)に設置されて、該本体内あるいは該ダクト内を伝播する前記騒音を入力信号として取得する騒音取得部(101)と、
    前記騒音取得部よりも前記騒音の伝播方向の下流側に設置されて、前記騒音を相殺によって低減するキャンセル音を出力可能な出力部(102)と、
    前記入力信号をフィルタリングすることによって、前記キャンセル音の出力信号を生成するフィルタ部(104)と、
    前記出力部よりも前記騒音の伝播方向の下流側に設置されて、前記騒音と前記キャンセル音との合成音を誤差信号として取得する誤差取得部(103)と、
    前記誤差信号が小さくなるように、前記フィルタ部でのフィルタリングに用いられるフィルタ係数を修正する適応部(105)と、
    前記空気調節装置の起動操作または前記運転条件の変更操作がユーザによって行われると、前記騒音の代わりとなる代替音を前記空気調節装置の前記本体あるいは前記ダクトへと出力する制御により、所定期間に亘って前記ユーザに届く音を増大させる音増大制御部と(107)、
    を備える騒音低減装置。
  9. 請求項8に記載の騒音低減装置であって、
    前記適応部は、前記代替音が出力される前記所定期間に亘って、前記フィルタ係数の修正を停止する
    騒音低減装置。
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