JP2017222981A - 建物 - Google Patents

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Abstract

【課題】建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易い建物を提供することを目的とする。【解決手段】複数の階1a〜1dを備えた建物1Aにおいて、例えば、同一階となる2階1bの床領域には、一般床領域6と、一般床領域6よりも床衝撃吸収性能が高い遮音床領域5とが設けられている。この建物1Aによれば、同一階において一般床領域6と遮音床領域5とを備えた床領域が設けられているので、床領域の全体を遮音床領域とする形態に比べ、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易くなる。その結果、構造の簡素化や施工性の向上につながり、コスト面でも有利となる。【選択図】図2

Description

本発明は、床領域を備える建物に関する。
建物の床の遮音性を向上させるため、床領域に遮音機能が付与された建物に関する技術(特許文献1、特許文献2参照)が知られている。この種の建物、特に集合住宅などでは、上下階での騒音問題を防ぐために床領域全体に高い遮音性を持たせることが通常であった。
特開2012−162938号公報 特開2015−63861号公報
しかしながら、用途に応じた様々な空間を形成し得る建物において、床領域全体の遮音性を区別なく向上させる従来の技術思想では、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図ることが難しかった。
本発明は、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易い建物を提供することを目的とする。
本発明は、複数の階を備えた建物において、最下の階よりも上階で、同一階となる少なくとも一の階の床領域には、一般床領域と、一般床領域よりも床衝撃吸収性能が高い遮音床領域とが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、同一階において一般床領域と遮音床領域とを備えた床領域が設けられているので、床領域の全体を遮音床領域とする形態に比べ、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易くなる。その結果、構造の簡素化や施工性の向上につながり、コスト面でも有利となる。
また、一般床領域は、複数の床パネルが並設された第1スラブ層と、第1スラブ層に積層された第1下地層と、第1スラブ層を支持する第1梁部と、を備え、遮音床領域は、複数の床パネルが並設され、且つ第1スラブ層よりも床衝撃吸収性能が高い第2スラブ層と、第2スラブ層に積層された第2下地層と、第2スラブ層を支持する第2梁部と、を備え、第1梁部の上端部の高さと第2梁部の上端部の高さとは揃っており、第1スラブ層の床パネルの厚さと第2スラブ層の床パネルの厚さとは同一であると好ましい。本構成によれば、第1スラブ層の床パネルの上面と第2スラブ層の床パネルの上面とが揃うので、第1下地層及び第2下地層の施工性が向上する。
また、複数の階は、床領域が設けられた上階と、この床領域の下側である下階とを備え、少なくとも、遮音床領域は、平面視で、上階の居室と下階の居室との重複領域に設けられていると好適である。居室は住人等の居住者が継続的に使用する空間であり、上階での騒音は非居室よりも居室の方が発生し易い。また、居住者が居室で過ごす時間は、非居室で過ごす時間よりも長くなるのが通常である。したがって、上階の床領域の遮音性は、下階の非居室に対してよりも、居室に対しての方が大きな効果を期待できる。本態様では、少なくとも、遮音床領域は、上階の居室と下階の居室との重複領域に設けられているので、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化に有利である。
また、遮音床領域は、重複領域のみに設けられていると好適である。遮音床領域は、一般床領域に比べて床衝撃吸収性能が高いので、通常であれば、一般床領域よりも手間やコストがかかることが多い。重複領域のみに遮音床領域を設けることで、施工性の向上に有利になる。
また、上階の居室には、遮音床領域が設けられていると好適である。上階での騒音は非居室よりも居室の方が発生し易いので、上階の居室に遮音床領域を設けることにより、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化に有利である。
また、床領域において、平面視で、下階の居室に重なる上階の床領域には遮音床領域が設けられていると、下階の居住者にとっての快適性を向上できるので好適である。
また、一般床領域は、複数の床パネルが並設された第1スラブ層を備え、遮音床領域は、複数の床パネルが並設された第2スラブ層を備え、第2スラブ層は、矩形状で長手方向の寸法の異なる複数の床パネルと、床パネルに設置された減衰手段と、を備え、複数の床パネルのうち、長手方向の寸法が長い床パネルには、長手方向の寸法が短い床パネルに設置された減衰手段に比べて、床衝撃吸収性能の高い減衰手段が設置されていると好適である。一般的に、矩形状の床パネルは、短辺部で支持されることが多く、その結果、長手方向の寸法が長い床パネルの方が短い床パネルに比べて振動し易くなる。従って、長手方向の寸法が長い床パネルに床衝撃吸収性能の高い減衰手段を設置することで、遮音性向上の好適化に有利である。
また、上記の減衰手段としてダイナミックダンパーを採用することにより、所望の床衝撃吸収性能を得易くなり、好適である。
また、上記の建物において、第2スラブ層には空隙部が形成されており、上記の減衰手段を空隙部内に配置することもできる。減衰手段を空隙部内に配置することにより、第2スラブ層の上面を平坦に保つことができ、第2下地層の施工性がよい。
本発明に係る建物によれば、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易くなる。
本発明の第1実施形態に係る建物の代表階を模式的に示す平断面図である。 本実施形態に係る代表階の床領域を示し、(a)は一般床領域と遮音床領域とを区別して示す平面図であり、(b)は遮音床領域の各床パネルに設置されたダイナミックダンパーを示す平面図である。 本実施形態に係る建物の階を模式的に示す図である。 図2(b)の一部分を拡大して示す図である。 図4のV−V線に沿った断面図である。 ダイナミックダンパーを示し、(a)は側面図、(b)は斜視図である。 第1の変形例に係る遮音床領域の断面図である。 第2の変形例に係る遮音床領域の断面図である。 本発明の第2実施形態に係る建物の階を模式的に示す図である。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。便宜上、実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。
本実施形態に係る建物1A(図1、図2、及び図3参照)は、複数の階、具体的には1階1a、2階1b、3階1c、4階1dを備える集合住宅であり、共用部分2を除き、構造上、複数の独立した住戸3,4に区画されている。各住戸3,4には、例えば、出入り口となる玄関ドア3a,4aが設けられている。
建物1Aは、コンクリート製の基礎梁と、水平方向に所定距離離間して基礎梁に立設された複数の柱11と、柱11間に設けられた大梁13,14(図5参照)とを備える。基礎梁は、例えば布基礎であり、水平方向に延在して柱11の下端(柱脚)間にわたって設けられている。柱11は例えば角形鋼管からなり、大梁13,14は例えばH形鋼からなる。なお、本体架構は柱勝ち又は梁勝ちのいずれであってもよい。基本的に、基礎梁と大梁13,14とは、上下方向において対向するようにして、互いに平行に延在する。すなわち、基礎梁と大梁13,14とは、同じ水平方向に延在している。
また、建物1Aは、大梁13,14間に渡された小梁を備えている。小梁の両端は、柱11では無く、基本的に大梁13,14に連結され、大梁13,14によって支持されている。小梁の設置場所や本数等は、建物1Aの間取り、後述する床パネルの寸法、その他の必要性に応じて任意に決定できる。
本実施形態に係る建物1Aは、各階の住戸3,4の配置や各住戸3,4の間取りが基本的に同様である。したがって、図1、及び図2を参照し、その代表階として2階1bを例に説明する。なお、各階の住戸3,4の配置や住戸3,4の数、各住戸3,4の間取りや床領域、更に共用部分2の内容や設備等は、階1a〜1dごとに異なっていてもよい。
2階1bには、二つの住戸3,4が境界壁12を挟んで設けられており、更に、両方の住戸3,4に隣接する共用部分2が設けられている。共用部分2には、上下階を連絡する階段部21と、各住戸3,4の玄関ドア3a,4aに通じる共用廊下22が設けられている。
説明の便宜のため、以下の説明では、図1の左側である一方の住戸を第1住戸3と呼び、右側である他方の住戸を第2住戸4と呼ぶ。平面視で第1住戸3は、略T字を寝かせたような形状であり、第2住戸4は、略L字を左右逆にした逆L字状の形状である。
第1住戸3は、居間兼食堂30aと台所30bとが仕切りなく隣接しているLDK30を備えている。また、第1住戸3は、LDK30に隣接する第1洋室31と、第1洋室31の反対側においてLDK30に隣接する第2洋室32とを備えている。LDK30及び第1洋室31にはトイレ33が隣接し、トイレ33には玄関廊下34が隣接している。第2洋室32には、押し入れなどの収納室35が隣接し、収納室35を挟んで第2洋室32の反対側には、洗面室36及び浴室37が設けられている。更に、第1住戸3には、居間兼食堂30aから出入り可能なベランダ38が設けられている。
第2住戸4は、居間兼食堂40aと台所40bとが仕切りなく隣接しているLDK40を備えている。LDK40には玄関廊下44とトイレ43とが隣接し、玄関廊下44及びトイレ43に隣接して第1洋室41が設けられている。また、LDK40には、洗面室46及び浴室47が隣接しており、更に洗面室46及び浴室47に並んで第2洋室42が設けられている。第2洋室42には押し入れなどの収納室45が設けられている。更に、第2住戸4には、居間兼食堂40aから出入り可能なベランダ48が設けられている。
第1住戸3及び第2住戸4は、居室15Aと非居室15Bとを備えている(図2(a)参照)。本実施形態に係る居室15Aは、住人等の居住者が長時間に亘って滞在し、または寛ぐことを想定した空間であり、2.5m×2.0m以上の床面積(例えば、3畳以上)を有し、水回り設備が設けられていない空間である。水回り設備とは台所30b,40bの流し台30c,40c、洗面室36,46の洗面台36a,46a、浴室37,47の浴槽37a,47a、トイレ33,43の便器33a,43a等である。第1住戸3の居間兼食堂30a、第1洋室31、及び第2洋室32、第2住戸4の居間兼食堂40a、第1洋室41、及び第2洋室42は居室15Aに相当する。居室15A以外は、非居室15Bであり、第1住戸3のトイレ33、玄関廊下34、台所30b、洗面室36、及び浴室37、第2住戸4のトイレ43、玄関廊下44、台所40b、洗面室46、及び浴室47は非居室15Bである。また、共用部分2も基本的に非居室15Bである。
図2に示されるように、居室15Aの床領域は遮音床領域5(図2(a)の二点鎖線参照)とされており、非居室15Bの床領域は一般床領域6とされている。遮音床領域5には、一般床領域6に比べて床衝撃吸収性能が高くなるように構成されている。本実施形態では床パネルに減衰手段が設けられているが、遮音床領域5は、減衰手段が設けられた態様に限定されない。例えば、遮音床領域5の床パネルを、一般床領域6の床パネルに比べて床衝撃吸収性能が高くなるような材質としたり、また、一般床領域6の床パネルよりも強度を強くしたり、厚みを厚くするなどしてもよい。
図4、及び図5に示されるように、一般床領域6は、複数の床パネル61が並設された第1スラブ層60と、第1スラブ層60に積層された第1下地層62と、第1下地層62上に設置された床仕上げ材63と、第1スラブ層60を支持する大梁(以下、「第1梁部」という)13と、を備える。また、遮音床領域5は、複数の床パネル51A,51Bが並設された第2スラブ層50と、第2スラブ層50に積層された第2下地層52と、第2下地層52上に設置された床仕上げ材53と、第2スラブ層50を支持する大梁(以下、「第2梁部」という)14と、を備える。なお、本実施形態では、第1スラブ層60のみを支持する大梁のみならず、第1スラブ層60と第2スラブ層50との両方を支持する大梁も第1梁部13として説明している。
第1梁部13の上端部13aの高さと第2梁部14の上端部14aの高さとは揃っており、第1スラブ層60の床パネル61の厚さと第2スラブ層50の床パネル51A,51Bの厚さとは同一である。その結果、第1スラブ層60の床パネル61の上面61aと第2スラブ層50の床パネル51A,51Bの上面51aとが揃うので、第1スラブ層60及び第2スラブ層50上における第1下地層62や第2下地層52、更に床仕上げ材63,53などの仕上げ処理において、施工性が向上する。
一般床領域6において、第1スラブ層60となる床パネル61は、例えば、矩形状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルであるが、プレキャストコンクリートその他の矩形状の床パネル61であってもよい。床パネル61は基本的に一対の短辺部で第1梁部13に支持されている。第1下地層62は、例えば、床パネル61上に敷設された複数の根太62a、根太62a間に設置された不織布62b、不織布62b上に敷き詰められた遮音マット62c、及び根太62a上に設置された石膏ボード62d、石膏ボード62d上に設置された遮音マット62e、及び遮音マット62e上に設置された下地合板62fを備えている。第1下地層62の上には、床仕上げ材63が設置されている。
遮音床領域5において、第2スラブ層50となる床パネル51A,51Bは、例えば、矩形状の軽量気泡コンクリート(ALC)パネルであるが、プレキャストコンクリートその他の矩形状の床パネル51A,51Bであってもよい。床パネル51A,51Bは基本的に一対の短辺部で第2梁部14に支持されている。第2下地層52は、例えば、床パネル51A,51B上に敷設された複数の根太52a、根太52a間に設置された不織布52b、不織布52b上に敷き詰められた遮音マット52c、及び根太52a上に設置された石膏ボード52d、石膏ボード52d上に設置された遮音マット52e、及び遮音マット52e上に設置された下地合板52fを備えている。第2下地層52の上には、床仕上げ材53が設置されている。
遮音床領域5の第2スラブ層50には、減衰手段であるダイナミックダンパー7(図6参照)が設置されている。ダイナミックダンパー7は、一端が床パネル51A,51Bの裏面に固定された長尺状の板バネ部(弾性部)71と、板バネ部71の他端に固定された高減衰ゴム部(干渉部)72と、おもり部73とを備えている。高減衰ゴム部72は、板バネ部71の床パネル51A,51B側に固定されており、おもり部73は、高減衰ゴム部72とは反対側に固定されている。床に加わった衝撃により、床パネル51A,51Bが振動すると、その振動に対しておもり部73は逆位相で動く。その結果、高減衰ゴム部72が床パネル51A,51Bにあたり、床パネル51A,51Bの振動を抑制する。
遮音床領域5には、寸法の異なる二種類の床パネル51A,51Bが使用されている。一方の床パネルは、長手方向の寸法が短い床パネル51Bであり、他方の床パネルは、長手方向の寸法が長い床パネル51Aである。長い側の床パネル51Bには計4個のダイナミックダンパー7が設置されており、短い側の床パネル51Aには計3個のダイナミックダンパー7が設置されている。基本的に、ダイナミックダンパー7の数が多いほど、床衝撃吸収性能は高い。つまり、長い側の床パネル51Bには、短い側の床パネル51Aに比べて床衝撃吸収性能の高い減衰手段が設置されていることになる。本実施形態において、長い側、及び短い側の各床パネル51A,51Bは、それぞれ一対の短辺部で支持されており、長い側の床パネル51Bの方が短い側の床パネル51Aに比べて振動し易い状態にある。つまり、長い側の床パネル51Bに床衝撃吸収性能の高い減衰手段を設置することで、遮音性向上の好適化に有利である。
次に、図7、または図8を参照し、変形例に係る遮音床領域5について説明する。図7は、第1の変形例に係る遮音床領域5の断面図であり、図8は、第2の変形例に係る遮音床領域5の断面図である。なお、第1の変形例において、上記の基本となる実施形態と共通する部材や要素には、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
第1の変形例に係る第2スラブ層50には、床パネル51A,51B内に面内方向に沿って延在する複数の空隙部51cが形成されており、空隙部51c内に粒子、紛体、流体などからなる減衰手段7Aが配置されている。空隙部51c内に配置される減衰手段7Aは、粒子、紛体、流体などを袋詰めした態様であってもよく、更に、上述のダイナミックダンパー7であっても良い。減衰手段7Aを空隙部51c内に配置することにより、第2スラブ層50(床パネル51A,51B)上面を平坦に保つことができ、第2下地層52の施工性がよい。
第2の変形例に係る第2スラブ層50には、床パネル51A,51Bの上面51aに複数の溝部51bが形成されている。溝部51bは、第2下地層52で塞がれて空隙部となり、空隙部内に粒子、紛体、流体などからなる減衰手段7Aが配置されている。空隙部内に配置される減衰手段7Aは、粒子、紛体、流体などを袋詰めした態様であってもよく、更に、上述のダイナミックダンパー7であっても良い。減衰手段を空隙部内に配置することにより、第2スラブ層50(床パネル51A,51B)上面を平坦に保つことができ、第2下地層52の施工性がよい。
次に、図3を参照し、建物1Aの上下の階の居室15A及び非居室15Bと床領域との関係について説明する。図3は、本実施形態に係る建物1Aの縦断面図であり、各階1a〜1dを模式的に示している。各階1a〜1dの居室15Aと非居室15Bとの配置は同じであり、居室15A同士、及び非居室15B同士は、平面視で重なり合っている。
複数の階1a〜1dは、床領域が設けられた上階と、この床領域の下側である下階とを備えている。例えば、1階1aを下階と考えた場合、2階1bが上階となり、2階1bを下階と考えた場合、3階1cが上階となり、3階1cを下階と考えた場合、4階1dが上階となる。本実施形態では、各階1a〜1dの居室15Aと非居室15Bとの配置は同じであり、居室15A同士、及び非居室15B同士は上下に重なっている。したがって、以下の説明では、1階を下階、2階を上階と考えた場合を例に説明する。
2階1bの居室15Aと1階1aの居室15Aとは平面視で重なっており、少なくとも、2階1bの居室15Aと1階1aの居室15Aとの重複領域には、遮音床領域5が設けられている。居室15Aは住人等の居住者が継続的に使用する空間であり、2階1bでの騒音は非居室15Bよりも居室15Aの方が発生し易い。また、居住者が居室15Aで過ごす時間は、非居室15Bで過ごす時間よりも長くなるのが通常である。したがって、2階1bの床領域の遮音性は、1階1aの非居室15Bに対してよりも、居室15Aに対しての方が大きな効果を期待できる。本実施形態では、少なくとも、2階1bの居室15Aと1階1aの居室15Aとの重複領域に遮音床領域5が設けられているので、建物1Aの内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化に有利である。
次に、図9を参照して第2の実施形態に係る建物1Bについて説明する。図9は、第2の実施形態に係る建物1Bの断面図であり、各階1a〜1dを模式的に示している。各階1a〜1dの居室15Aと非居室15Bとの配置は、1階1aと3階1cとが同じであり、2階1bと4階1dとが同じである。1階1aの居室15Aと2階1bの居室15Aとは、平面視で一部分が重なり、同様に、2階の居室15Aと3階の居室15Aとは、平面視で一部分が重なり、3階の居室15Aと4階の居室15Aとは、平面視で一部分が重なる。
まず、1階1aを下階、2階1bを上階と考えた場合を例に説明する。遮音床領域5は、2階1bの居室15Aと1階1aの居室15Aとの重複領域のみに設けられている。遮音床領域5は、一般床領域6に比べて床衝撃吸収性能が高いので、通常であれば、一般床領域6よりも手間やコストがかかることが多い。重複領域のみに遮音床領域5を設けることで、施工性の向上に有利になる。なお、必要により、重複領域のみではなく、非居室15Bの床領域の一部分に遮音床領域5を設けることも可能である。
次に、2階1bを下階、3階1cを上階と考えた場合を例に説明する。3階1cの居室15Aの床領域には、遮音床領域5が設けられている。騒音は非居室15Bよりも居室15Aの方が発生し易いので、3階の居室15Aに遮音床領域5を設けることにより、建物1Aの内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化に有利である。
次に、3階1cを下階、4階1dを上階と考えた場合を例に説明する。平面視で、3階1cの居室15Aに重なる4階1dの床領域には遮音床領域5が設けられている。つまり、3階1cの居住者にとっての快適性を向上できるので好適である。
上記の各実施形態に係る建物1A,1Bによれば、同一階において一般床領域6と遮音床領域5とを備えた床領域が設けられているので、床領域の全体を遮音床領域とする形態に比べ、建物内部の空間用途に応じた遮音性向上の好適化を図り易くなる。その結果、構造の簡素化や施工性の向上につながり、コスト面でも有利となる。
以上、各実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態のみに限定解釈されない。例えば、居室は、建築基準法で定められた空間に限定されず、例えば書斎、子供部屋、客室などの、居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室を広く含み、より具体的には、2.5m×2.0m以上の床面積を有し、水回り設備が設けられていない空間として規定できる。また、非居室15Bは、居室以外の空間をいい、上記の例に限定されず、例えば、住戸内の階段や納戸(サービスルーム)等を含む。
また、上記の各実施形態では、最下の階が地上1階である場合を例に説明したが、地下の階が最下の階であってもよい。
1A、1B…建物、1a…1階、1b…2階、1c…3階、1d…4階、5…遮音床領域、6…一般床領域、13…大梁(第1梁部)、13a…上端部、14…大梁(第2梁部)、14a…上端部、60…第1スラブ層、61…床パネル、62…第1下地層、50…第2スラブ層、51A、51B…床パネル、52…第2下地層、7…ダイナミックダンパー(減衰手段)、7A…減衰手段、51c…空隙部、51b…溝部(空隙部)。

Claims (9)

  1. 複数の階を備えた建物において、
    最下の前記階よりも上階で、同一階となる少なくとも一の前記階の床領域には、一般床領域と、前記一般床領域よりも床衝撃吸収性能が高い遮音床領域とが設けられていることを特徴とする建物。
  2. 前記一般床領域は、複数の床パネルが並設された第1スラブ層と、前記第1スラブ層に積層された第1下地層と、前記第1スラブ層を支持する第1梁部と、を備え、
    前記遮音床領域は、複数の床パネルが並設され、且つ前記第1スラブ層よりも床衝撃吸収性能が高い第2スラブ層と、前記第2スラブ層に積層された第2下地層と、前記第2スラブ層を支持する第2梁部と、を備え、
    前記第1梁部の上端部の高さと前記第2梁部の上端部の高さとは揃っており、
    前記第1スラブ層の前記床パネルの厚さと前記第2スラブ層の前記床パネルの厚さとは同一である、請求項1記載の建物。
  3. 前記複数の階は、前記床領域が設けられた上階と、前記床領域の下側である下階とを備え、
    少なくとも、前記遮音床領域は、平面視で、前記上階の居室と前記下階の居室との重複領域に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の建物。
  4. 前記遮音床領域は、前記重複領域のみに設けられていることを特徴とする請求項3記載の建物。
  5. 前記上階の前記居室には、前記遮音床領域が設けられていることを特徴とする請求項3又は4記載の建物。
  6. 前記複数の階は、前記上階の下側である下階を備え、
    平面視で、前記下階の前記居室に重なる上階の前記床領域には前記遮音床領域が設けられていることを特徴とする請求項3〜5のいずれか一項記載の建物。
  7. 前記一般床領域は、複数の床パネルが並設された第1スラブ層を備え、
    前記遮音床領域は、複数の床パネルが並設された第2スラブ層を備え、
    前記第2スラブ層は、矩形状で長手方向の寸法の異なる複数の床パネルと、前記床パネルに設置された減衰手段と、を備え、
    前記複数の床パネルのうち、長手方向の寸法が長い前記床パネルには、長手方向の寸法が短い前記床パネルに設置された前記減衰手段に比べて、床衝撃吸収性能の高い前記減衰手段が設置されている、請求項1〜6のいずれか一項記載の建物。
  8. 前記減衰手段は、ダイナミックダンパーである、請求項7記載の建物。
  9. 前記第2スラブ層には、空隙部が形成されており、
    前記減衰手段は、前記空隙部内に配置されている、請求項7または8記載の建物。
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