JP2017220585A - 電波吸収体及び電波吸収体の製造方法ならびに電波吸収塗料の塗装方法 - Google Patents

電波吸収体及び電波吸収体の製造方法ならびに電波吸収塗料の塗装方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反射減衰量が10dB以上と充分な電波吸収性能を維持しつつ、塗布しなければならない電波吸収塗料を減らし、コストを削減することができる電波吸収体及び電波吸収体の製造方法ならびに電波吸収塗料の塗装方法を提供する。【解決手段】下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布した後、得られた下塗り塗膜層表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば、船舶や航空機などにおける各種構造物に電波が反射することにより発生するレーダーの偽像を防止したり、ETCの誤作動を防止したりするために用いられる電波吸収体及び電波吸収体の製造方法ならびに電波吸収塗料の塗装方法に関する。
従来、船舶や航空機などには、位置把握や障害物検知などを目的として電波を用いたレーダーシステムが搭載されている。
レーダーシステムでは、所定の波長の電波を発射し、その反射波を捉えることによって、電波の発射方向に存在する物体を把握、もしくは、物体までの距離を測定することができる。
しかしながら、レーダーシステムから発射された所定の電波が、船舶や航空機自身が有する構造物に反射して、レーダーシステムが意図しない方向に存在する物体を捉えてしまったり、この構造物自体を捉えてしまったりするなどして、偽像が発生することがあった。
このため、所定の電波を反射する可能性のある船舶や航空機自身の構造物には、電波吸収体を設けたり、電波吸収塗料を塗布するなど、電波が反射しないような処置がとられている。
また、ETCの誤動作を防止するためや、テレビ電波の電波障害を解消するためなどに、表示器、料金所ゲート、料金所ブース、高層ビルの壁や鉄塔の表面などに電波吸収体を設けたり、電波吸収塗料を塗布することも行われている。
電波吸収塗料としては、例えば、特許文献1に記載されているように、エポキシ樹脂と、軟磁性金属と、硬化剤と、シランカップリング剤と、アルミノシリケートを含むものが知られている。
このような電波吸収塗料を、構造物に塗布し、構造物表面に電波吸収塗料の塗膜を形成することによって、構造物に照射された電波をこの電波吸収塗料の塗膜が吸収して熱に変換することで、電波の反射を低減することができる。
特開2007−207985号公報
しかしながら、電波吸収塗料を塗布する場合、充分な電波吸収性能を得るためには、多量の電波吸収塗料を塗布する必要があった。前述したように、電波吸収塗料には、軟磁性金属が含有されているため、多量に電波吸収塗料を塗布すると、コストの増加に繋がっていた。
本発明では、このような現状に鑑み、反射減衰量が10dB以上と充分な電波吸収性能を維持しつつ、塗布しなければならない電波吸収塗料を減らし、コストを削減することができる電波吸収体及び電波吸収体の製造方法ならびに電波吸収塗料の塗装方法を提供することを目的とする。
本発明は、前述したような従来技術における課題を解決するために発明されたものであって、本発明の電波吸収体は、基材と、
前記基材に塗布された、600μm〜4200μmの乾燥膜厚を有する、下塗り塗料から形成される下塗り塗膜層と、
前記下塗り塗膜層の上に積層された、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料から形成される電波吸収塗膜層と、
を含むことを特徴とする。
なお、前記下塗り塗膜層には、メッシュ材を介在することもできる。
また、前記電波吸収塗膜層にも、メッシュ材を介在することができる。
なお、前記メッシュ材は、線径が0.1mm〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成される。
なお本明細書において、メッシュサイズとは、メッシュ材の目の細かさを表す単位であり、1インチ(25.4mm)あたりの目の数を表す。
また、前記電波吸収塗料は、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料は、無機系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料が、中空バルーンを含んでいてもよい。
また、前記電波吸収塗膜層の乾燥膜厚が、600μm〜1500μmであることが好ましい。
また、本発明の電波吸収体の製造方法は、基材表面に、下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布した後、得られた下塗り塗膜層表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布することを特徴とする。
なお、前記下塗り塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることができる。
また、前記電波吸収塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることもできる。
なお、前記メッシュ材は、線径が0.1mm〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成される。
また、前記電波吸収塗料は、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料が、無機質系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料が、中空バルーンを含んでいてもよい。
また、前記電波吸収塗料の塗膜厚が、600μm〜1500μmであることが好ましい。
また、本発明の電波吸収塗料の塗装方法は、下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布した後、得られた下塗り塗膜層表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布することを特徴とする。
なお、前記下塗り塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることもできる。
また、前記電波吸収塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることができる。
なお、前記メッシュ材は、線径が0.1mm〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成される。
また、前記電波吸収塗料が、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料が、無機質系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことが好ましい。
また、前記下塗り塗料が、中空バルーンを含んでいてもよい。
また、前記電波吸収塗料の乾燥膜厚が、600μm〜1500μmであることが好ましい。
本発明によれば、構造物などの基材に対して、下塗り塗料を塗布した後、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布しているため、従来に比べて、電波吸収塗料の塗布量を大幅に減らすことができ、コストを削減することができる。
図1は、本実施例の電波吸収体の構成を説明するための模式図である。 図2は、本実施例の電波吸収体10の製造方法及び電波吸収塗料の塗装方法を説明するための模式図である。 図3−1は、電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料X)の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。 図3−2は、下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)の乾燥膜厚を一定とし、電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料X)の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。 図3−3は、本実施例の電波吸収体10と、比較例として下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)と電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料X)の積層順序を逆にした電波吸収体の周波数−反射量特性を示すグラフである。 図4は、電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料Y)の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。 図5は、電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料Z)の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。 図6は、本実施例の電波吸収体10と、比較例として下塗り塗膜層14(下塗り塗料A)と電波吸収塗膜層16(電波吸収塗料Y)の積層順序を逆にした電波吸収体の周波数−反射量特性を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいてより詳細に説明する。
図1は、本実施例の電波吸収体の構成を説明するための模式図である。
図1に示すように、本実施例の電波吸収体10は、基材12に、600μm〜4200μmの乾燥膜厚を有する、下塗り塗料から形成される下塗り塗膜層14と、下塗り塗膜層の上に積層された、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料から形成される電波吸収塗膜層16とを有している。
<基材12>
基材12は、例えば船舶レーダーなどの電波(受)発信源からの電波を反射することにより偽像を発生させる各種構造物であって電波吸収体をその基材表面に設け電波障害を低減・除去すべき対象である。
電波吸収体を設ける対象構造物としては、例えば、船舶設備(マスト、クレーンなど)、土木建造物、建築物、港湾設備、橋梁、電力設備、通信設備、機械設備等が挙げられる。
電波吸収体を設ける対象が鉄鋼建造物などの鋼材である場合は、下塗り塗装膜を鉄鋼構造物の表面に形成する前に、予め下地処理を行っておくことが好ましい。
この下地処理は、通常、鋼材基材表面の素地調整をした後に防錆塗装をすることにより行うことが好ましい。素地調整は、基材が炭素鋼材の場合には、ミルスケール、さびなどをブラスト、ディスクサンダー、パワーブラシなどにより除去した後、必要に応じて有機溶剤をしみ込ませた布で基材表面に付着している油などの汚れを除去することにより行われることが望ましい。また、基材がアルミニウム、ステンレス鋼、銅合金などの材料の場合には、パワーブラシ、サンドペーパーなどにより基材表面に軽度の面荒らしを行なった後、必要に応じて有機溶剤をしみ込ませた布で汚れを拭き取って基材表面を清浄にすることが望ましい。このように素地調整が行われた金属基材表面は、発錆しやすいので、通常、できるだけ早く一時的防錆を目的とした防錆塗装を行う。防錆塗装には、無機ジンクリッチプライマーなどの一次防錆プライマー(ショッププライマー)が用いられる。このように鋼材表面を下地処理した後に下塗り塗膜層を形成する。
<下塗り塗膜層14>
下塗り塗膜層14は、電波を透過する層であれば特に限定されないが、電波吸収体10の電波吸収性能や、電波を吸収する周波数帯等の観点からは、下塗り塗料としてはエポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系およびアクリル樹脂系の塗料のいずれかであることが好ましい。また、例えば、防食塗料、防汚塗料、耐熱塗料、遮熱塗料など、基材12を保護するための塗料を用いることができる。
前記下塗り塗膜層は、顔料(中空顔料を除く。以下同じ。)および中空材から選択される少なくとも1種の充填材と、樹脂とを含む樹脂層であることが、各下塗り塗膜層の厚みの調整のしやすさ、電波吸収体の電波吸収性能、電波を吸収する周波数帯等の観点から好ましい。
なお、本明細書において、中空を有する顔料(中空顔料)は、顔料ではなく中空材に分類される。
充填材が上記顔料である場合、顔料としては、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、硫酸バリウム、タルク、マイカ、カリ長石、ソーダ長石、クレー、珪藻土、微粉シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが挙げられる。難燃性の観点からは、これら顔料の中でも、炭酸カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムが好ましい。
顔料のJIS Z 8819法に従って測定した平均粒径は、電波吸収体の電波吸収性能の観点から、1〜100μmであることが好ましい。
これら顔料は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
下塗り塗膜層が顔料を含む場合、下塗り塗膜層100重量部中10〜50重量部となる量で含まれることが防食の観点から好ましい。また、下塗り塗膜層中の樹脂成分100重量部に対して、10〜100重量部となる量で含まれることが防食の観点から好ましい。
中空材としては、セラミックバルーン(例えば、パーライト。市販品としては、ON2150,ON4150,ON150(いずれもKD Ceratech社製)など)、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーン、フライアッシュなどが挙げられる。電波吸収性能の観点からは、これら中空材の中でも、セラミックバルーン、ガラスバルーン、シラスバルーン、樹脂バルーンが好ましい。中空材を用いることにより、下塗り塗膜層の密度が低減され、電波吸収体の軽量化が可能となる。
中空材は、JIS Z 8819に従って測定したメジアン径(D50)が3〜100μmであることが、電波吸収体の電波減衰量が10dB以上の吸収ピークが現れる周波数帯の調整の観点から好ましい。
これら中空材は1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
下塗り塗膜層が中空材を含む場合、下塗り塗膜層100重量部中5〜30重量部となる量で含まれることが電波吸収性能の観点から好ましい。また、下塗り塗膜層中の樹脂成分100重量部に対して、5〜40重量部となる量で含まれることが電波吸収性能の観点から好ましい。
本発明では、充填材は、顔料、中空材などの合計として、下塗り塗膜層中の樹脂成分合計量100重量部に対して、30〜60重量部となる量で含まれることが電波吸収性能の観点から好ましい。
本発明において、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚は600μm〜4200μmであるが、このような乾燥膜厚とすることによって、3GHz〜5GHz帯での電波吸収に特に優れる塗膜とすることができる。
<電波吸収塗膜層16>
電波吸収塗膜層16を形成する電波吸収塗料としては、電波吸収性を有する塗料であれば、特に限定されるものではないが、軟磁性金属を含有する電波吸収塗料であることが好ましい。
電波吸収塗料としては、下塗り塗料と同様に、エポキシ樹脂系、ポリウレタン樹脂系、ポリエステル樹脂系およびアクリル樹脂系の塗料のいずれかであることが好ましい。二液型では、主剤成分は、樹脂、軟磁性金属のほかシランカップリング剤、消泡剤、溶剤等を混合、撹拌して調整される。また、硬化剤成分は硬化剤のほか、硬化促進剤、溶剤等を混合、撹拌して調整される。主剤成分、硬化剤成分を混合し、塗装後硬化乾燥させることにより電波吸収塗膜層16を形成する。
軟磁性金属としては、特に限定されるものではないが、鉄元素を含むものが好ましく、例えば、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金などが挙げられる。これらは、1種または2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、Feを主成分とするアモルファス合金とは、Fe基のアモルファス合金を結晶化させることにより、ランダム配向した強磁性相のナノ結晶粒をアモルファス相に分散させた材料である。このようなものとしては、Finemet(製品名、日立金属株式会社)などが挙げられる。
また、軟磁性金属は、通常、扁平状、粒子状などの粉末形状のものが用いられ、各形状の混合物であってもよい。
軟磁性金属の平均粒子径は、10〜70μm、好ましくは、20〜50μmであることが望ましい。平均粒子径がこの範囲であることにより、作業性に優れるとともに、3GHz〜5GHz帯での電波吸収に特に優れる塗膜を形成することができる。
なお、本明細書において、「平均粒子径」とは、メジアン径を指す。
また、軟磁性金属は、電波吸収塗膜層16において、30〜80重量%、好ましくは、40〜70重量%の量で含まれていることが望ましい。電波吸収塗膜層16にこのような量の軟磁性金属が含有されることにより、3GHz〜5GHz帯での電波吸収に特に優れる塗膜を形成することができる。
また、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚は、600μm〜1500μmであることが望ましい。電波吸収塗膜層をこのような乾燥膜厚とすることにより、3GHz〜5GHz帯での電波吸収に特に優れる塗膜を形成することができる。
また、本実施例の下塗り塗膜層14及び電波吸収塗膜層16には、それぞれメッシュ材18,20が介在されている。このようにメッシュ材18,20を塗膜に介在させることによって、塗膜を補強することができるとともに、塗膜の乾燥膜厚の調整が容易となる。
メッシュ材18,20としては、特に限定されるものではないが、例えば、ガラス製、カーボン製、アラミド樹脂、ナイロン樹脂、ビニロン樹脂などの合成樹脂製のメッシュ材を用いることができる。なお、メッシュ材18,20は、線径が0.1〜1.0mmの単繊維または複合繊維(1種ないし複数種の単繊維を複数本撚ってなる繊維)を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成されるのが好ましい。
上記電波吸収塗膜層16の上には、次いで中塗り塗膜層および上塗り塗膜層から選択される少なくとも1層が設けられる。中塗り塗膜層は、電波吸収塗膜層の隠ぺいと、上塗り塗膜層との密着性向上を目的として電波吸収塗膜層の表面に形成される。
<中塗り塗膜層>
中塗り塗膜層は、エポキシ樹脂系、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系、および無機質系の耐候性中塗り塗料から形成される。本発明においては、電波吸収塗膜層と上塗り塗膜層との密着性の面から、エポキシ樹脂系中塗り塗料、ポリウレタン樹脂系中塗り塗料が望ましい。
中塗り塗料は、上述の樹脂をベースとし、必要により硬化剤、顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。この中塗り塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。
エポキシ樹脂系中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「エピコン」シリーズなど;フッ素樹脂系耐候性中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「フローレックス」シリーズなど;ポリウレタン樹脂系中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ユニマリン」シリーズなど;
アクリルシリコーン樹脂系中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「シリカラック」シリーズなど;無機質系中塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ケイソル」シリーズなどを挙げることができる。
中塗り塗膜層の乾燥膜厚は、特に限定されないが、20μm〜100μmであることが、電波吸収塗膜層との密着性に優れ、電波吸収塗膜層表面を隠ぺいでき、耐候性に優れ、しかも電波吸収塗膜層表面への塗料の塗布状況を容易に把握することができる点から望ましい。
<上塗り塗膜層>
上塗り塗膜層は、通常、中塗り塗膜層表面に設けられるが、電波吸収塗膜層の表面に(中塗り塗膜層を介することなく、)直接設けてもよい。
この上塗り塗膜層としては、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリル樹脂系、および無機質系の耐候性上塗り塗料などから形成される。本発明においては、防食性の面から、フッ素樹脂系、ポリウレタン樹脂系、アクリル樹脂系の内のアクリルシリコーン系、無機質系の耐候性上塗り塗料が好ましく、フッ素樹脂系、アクリルシリコーン樹脂系の耐候性上塗り塗料がより好ましく、フッ素樹脂系の耐候性上塗り塗料が特に好ましい。
耐候性上塗り塗料は、上述の樹脂をベースとし、必要により硬化剤、顔料成分、熱可塑性樹脂が含有されていてもよく、さらに通常の塗料組成物中に含有されるような各種可塑剤、体質顔料、着色顔料、防錆顔料、溶剤、硬化促進剤、タレ止め剤、沈降防止剤などが配合されていてもよい。この耐候性上塗り塗料は、溶剤系、水系、無溶剤系の何れであってもよく、硬化方法は、UV硬化、熱硬化、常温硬化の何れでもよい。
耐候性上塗り塗料は、中塗り塗料に応じて適宜選択され、また抗菌剤、防腐剤、防黴剤、耐候安定剤、シリカ等の艶消し材、骨材等が含有されていてもよい。
フッ素樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「フローレックス」シリーズなど;ポリウレタン樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ユニマリン」シリーズなど;アクリルシリコーン樹脂系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「シリカラック」シリーズなど;無機質系耐候性上塗り塗料としては、中国塗料(株)製「ケイソル」シリーズなどを挙げることができる。
上塗り塗膜層の乾燥膜厚は、特に限定されないが、20〜100μmであることが、電波吸収塗膜層との密着性に優れ、耐候性に優れる重防食被膜を得ることができる。
上記の下塗り塗膜層、電波吸収塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層の内の少なくとも1層には、顔料として難燃材が含まれているのが好ましい。
難燃材としては、上述のような、炭酸カルシウム(市販品としては、例えばタンカルスーパーSS、丸尾カルシウム社製)、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの導電性を有さない材料などが挙げられ、難燃性の観点から、炭酸カルシウムがより好ましい
電波吸収体が難燃剤を含むことで、難燃性(耐火性)を獲得することができ、従来の可燃性塗料では不向きであった、船舶、航空機、構造物へ好適に用いることができる。
上記難燃剤は、電波吸収体の樹脂成分100重量部に対して、5〜15重量部となる量で含まれることが、電波吸収体の難燃性の観点から好ましい。
通常、上記難燃材を含むと、誘電率に変化が生じて電波吸収性能に影響が出るが、本発明に係る電波吸収体では、上記難燃材を含んでいても、導電性を有さないので、電波吸収特性は維持され、しかも塗膜物性にも影響を与えない。
以下、このような電波吸収体の製造方法及び電波吸収塗料の塗装方法について説明する。
図2は、本実施例の電波吸収体10の製造方法及び電波吸収塗料の塗装方法を説明するための模式図である。
まず、図2(a)に示すように、基材12表面に、下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布する。このとき、基材12の表面にメッシュ材18を接着させた状態で、下塗り塗料を塗布することで、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚の調整が容易になるとともに、下塗り塗膜層14を補強することができる。
なお、下塗り塗膜層14としては、1枚のメッシュ材18を用いた単層の下塗り塗膜層14であってもよいし、複数のメッシュ材18を用いた複数層の下塗り塗膜層によって下塗り塗膜層14を形成してもよい。下塗り塗膜層14を複数層の下塗り塗膜層によって形成することによって、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚の調整が容易となる。
次いで、図2(b)に示すように、得られた下塗り塗膜層14表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布する。このとき、下塗り塗膜層14の表面にメッシュ材20を接着させた状態で、電波吸収塗料を塗布することで、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚の調整が容易になるとともに、電波吸収塗膜層16を補強することができる。
なお、電波吸収塗膜層16としては、1枚のメッシュ材20を用いた単層の電波吸収塗膜層16であってもよいし、複数のメッシュ材20を用いた複数層の電波吸収塗膜層によって電波吸収塗膜層16を形成してもよい。電波吸収塗膜層16を複数層の電波吸収塗膜層によって形成することによって、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚の調整が容易となる。
本発明に係る電波吸収体は、船舶、航空機、自動車、鉄塔、橋梁、高層建造物などの基材に好適に用いることができる。
例えば、船舶のマストに施工する場合、船舶のマストの電波吸収体の施工が求められる部位(マストの少なくとも一部)を上記下塗り塗膜層で被覆し、この下塗り塗膜層の表面に電波吸収塗膜層を形成することで下塗り塗膜層の表面を被覆し、次いで、上記中塗り塗膜層及び/又は上記上塗り塗膜層をこの順で塗設して、電波吸収体で被覆された船舶用マストを得ることができる。
この場合、被設置物であるマスト等の基材が現場施工により、電波吸収塗膜層を含む複数層の塗膜で覆われているので、マット形状などの完成した電波吸収体をマスト等の基材の表面にボルトや止め具等を用いて直接施工する場合に比して、美観を損なわないよう、適宜調整できる利点がある。
電波吸収体を製造する方法は、本発明の目的を損なわない限り特に制限されないが、例えば、上記下塗り塗料を基材に塗布、乾燥して下塗り塗膜層を形成し、次いで、下塗り塗膜層表面に上記電波吸収塗料を塗布・乾燥して電波吸収塗膜層を形成し、次いで、その電波吸収塗膜層表面に上記中塗り塗料を塗布、乾燥して中塗り塗膜層を形成し、次いで、上記上塗り塗料を塗布、乾燥して上塗り塗膜層を形成して、電波吸収体を製造する方法が挙げられる。
下塗り塗料、電波吸収塗料、中塗り塗料および上塗り塗料の塗装方法は、従来法に従えばよく、例えば、ハケ、スプレー、フローコーター、ロールコーター等の塗装機などにより塗布する方法が挙げられる。各塗料は、塗布した後、従来公知の方法によりUV硬化、熱硬化、常温硬化等により硬化させることで、下塗り塗膜層、電波吸収塗膜層、中塗り塗膜層および上塗り塗膜層を形成することができる。下塗り塗料、電波吸収塗料を塗布する際にはメッシュ材を介在させることができる。
以下、下塗り塗膜層14及び電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を変化させた場合の電波吸収性能について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
<下塗り塗料の製造>
下記の通り主剤成分および硬化剤成分を調整し、得られた主剤成分と硬化剤成分とを混合することによりエポキシ樹脂塗料(下塗り塗料A)が得られる。
(主剤成分)
5Lの金属容器に、下記表1に示した原材料を表1(ここで、表1−1および表1−2を総括的に表1という。以下同じ。)に示した配合量で配合し、ハイスピードディスパーを用いて上記配合物を2時間分散処理した。得られた分散液を40メッシュのろ過網を用いたろ過に供して、主剤成分(ろ液)を調製した。
(硬化剤成分)
5Lの金属容器に、下記表1に示した原材料を表1に示した配合量で配合し、ハイスピードディスパーで2時間分散処理した。得られた分散液を40メッシュのろ過網を用いたろ過に供し、硬化剤成分(ろ液)を調製した。
Figure 2017220585
Figure 2017220585
<電波吸収塗料の製造>
下記の通り、主剤成分および硬化剤成分を調整し、得られた主剤成分と硬化剤成分とを混合することによりエポキシ樹脂塗料(塗料X、塗料Y、塗料Z)が得られる。
(主剤成分)
5Lの金属容器に、下記表2に示した原材料を表2(ここで、表2−1および表2−2を総括的に表2という。以下同じ。)に示した配合量で配合し、ハイスピードディスパーを用いて上記配合物を2時間分散処理した。得られた分散液を40メッシュのろ過網を用いたろ過に供して、主剤成分(ろ液)を調製した。
(硬化剤成分)
5Lの金属容器に、下記表2に示した原材料を表2に示した配合量で配合し、ハイスピードディスパーで2時間分散処理した。得られた分散液を40メッシュのろ過網を用いたろ過に供し、硬化剤成分(ろ液)を調製した。
Figure 2017220585
Figure 2017220585
<電波吸収体の製造>
下塗り塗料Aを主剤成分100重量部に対して、硬化剤成分33.3重量部となるように混合して調製し、アルミ板(基材)上に、ヘラを用いて下塗り塗料Aを塗布、乾燥することにより、乾燥塗膜厚さ600μmの塗膜を形成し、これを1〜複数回繰り返すことにより所望の膜厚の下塗り塗膜層14を得た。ここで、各層の塗膜中には、線径が0.2mmのガラス複合繊維を、メッシュサイズが16メッシュとなるように織ることにより形成されたガラスメッシュを介在させた。
次いで、電波吸収塗料X、Y、Zをそれぞれ主剤成分100に対し硬化剤成分10となるように混合して調整し、下塗り塗膜層上に、ヘラを用いて電波吸収塗料X、Y、Zをそれぞれ塗布、乾燥することにより、乾燥塗膜厚さ200μmの塗膜を形成し、これを1〜複数回繰り返すことにより所望の膜厚の電波吸収塗膜層16を有する電波吸収体10を得た。ここで、各層の塗膜中には、線径が0.2mmのガラス複合繊維を、メッシュサイズが16メッシュとなるように織ることにより形成されたガラスメッシュを介在させた。
上記電波吸収塗膜層16の上には、次いで中塗り塗膜層および上塗り塗膜層から選択される少なくとも1層を設けることができるが、電波吸収体10の電波吸収性能には影響がないため省略した。
<電波吸収体の電波吸収性能測定>
次いで、得られた電波吸収体10について、斜入射電波吸収特性測定システムに従い、ネットワークアナライザー(アジレント社製:HP8722D)を用いて反射減衰量を測定した。ここで、電波吸収体10に対する電波の入射角は、10°とした。
結果を表3−1、表3−2、表4、表5および図3−1、図3−2、図3−3、図4、図5、図6に示す。
図3−1は、電波吸収塗料Xを塗布、乾燥した電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗料Aを塗布、乾燥した下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、それぞれのサンプルの下塗り塗膜層14、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚及び層数は表3−1のとおりである。
Figure 2017220585
図3−1に示すように、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を厚くするほど、電波吸収体10が吸収する電波の中心周波数は低くなる。このように、軟磁性金属を含まない下塗り塗膜層14の膜厚を変化させるだけで、吸収対象となる電波の周波数帯を変化させることができる。
また、図3−1に示すように、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を600μm〜4200μmの範囲とすることで、吸収対象となる電波の中心周波数帯(3GHz〜5GHz)における反射減衰量が10dB以上となり、充分な電波吸収特性を維持することができる。
図3−2は、下塗り塗料Aを塗布、乾燥した下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を一定とし、電波吸収塗料Xを塗布、乾燥した電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、それぞれのサンプルの下塗り塗膜層14、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚及び層数は表3−2のとおりである。
Figure 2017220585
図3−2に示すように、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を厚くするほど、電波吸収体10が吸収する電波の中心周波数は高くなる。
また、図3−2に示すように、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を600μm〜1500μmの範囲とすることで、吸収対象となる電波の中心周波数帯(3GHz〜5GHz)における反射減衰量が10dB以上となり、充分な電波吸収特性を維持することができる。なお、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を600μm未満とすると、電波吸収体10が吸収する電波の中心周波数は5GHzより大きくなる。
また、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を1500μmより大きくすると、電波吸収塗膜層16を形成するのに必要な電波吸収塗料が多量となり、コストが増大するため、コスト削減の観点から望ましくない。
図3−3は、本実施例の電波吸収体10と、参考例として下塗り塗膜層14と電波吸収塗膜層16の積層順序を逆にした電波吸収体の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、電波吸収体10は、基材12表面に、1層あたり600μmの下塗り塗膜層(下塗り塗料A)を3層設け、この下塗り塗膜層14の表面に、1層あたり200μmの電波吸収塗膜層(電波吸収塗料X)を5層設けている(S9)。
一方で、参考例の電波吸収体は、基体表面に、1層あたり200μmの電波吸収塗膜層(電波吸収塗料X)を5層設け、この電波吸収塗膜層の表面に、電波吸収性を有しない1層あたり600μmの塗膜層(下塗り塗料A)を3層設けている(S10)。
図3−3に示すように、基材、下塗り塗膜層(電波吸収性を有しない塗膜)、電波吸収塗膜層の順に積層した場合には、充分な電波吸収特性を有しているのに対して、基材、電波吸収塗膜層、電波吸収性を有しない塗膜層の順に積層した場合には、電波吸収性を有しない塗膜層と電波吸収塗膜層の合計の厚さが同じであったとしても、充分な電波吸収性能を得られない。
図4は、電波吸収塗料Yを塗布、乾燥した電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗料Aを塗布、乾燥した下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、それぞれのサンプルの下塗り塗膜層14、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚及び層数は表4のとおりである。
Figure 2017220585
図5は、電波吸収塗料Zを塗布、乾燥した電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚を一定とし、下塗り塗料Aを塗布、乾燥した下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を変化させた場合の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、それぞれのサンプルの下塗り塗膜層14、電波吸収塗膜層16の乾燥膜厚及び層数は表5のとおりである。
Figure 2017220585
電波吸収塗膜層16を構成する電波吸収塗料の種類を変えても、図4,5に示すように、下塗り塗膜層14の乾燥膜厚を厚くするほど、電波吸収体10が吸収する電波の中心周波数は低くなる。このように、軟磁性金属を含まない下塗り塗膜層14の膜厚を変化させるだけで、吸収対象となる電波の周波数帯を変化させることができる。
また、電波吸収塗膜層16を構成する電波吸収塗料の種類によらず、図4,5に示すように、同程度の厚さがあれば、同程度の反射減衰量を得られ、吸収対象となる電波の中心周波数帯(3GHz〜5GHz)における反射減衰量が10dB以上となり、充分な電波吸収特性を維持することができる。
図6は、本実施例の電波吸収体10と、参考例として下塗り塗膜層14と電波吸収塗膜層16の積層順序を逆にした電波吸収体の周波数−反射量特性を示すグラフである。
なお、電波吸収体10は、基材12表面に、1層あたり600μmの下塗り塗膜層(下塗り塗料A)を3層設け、この下塗り塗膜層14の表面に、1層あたり200μmの電波吸収塗膜層(電波吸収塗料Y)を5層設けている(S18)。
一方で、参考例の電波吸収体は、基体表面に、1層あたり200μmの電波吸収塗膜層(電波吸収塗料Y)を5層設け、この電波吸収塗膜層の表面に、電波吸収性を有しない1層あたり600μmの塗膜層(下塗り塗料A)を3層設けている(S19)。
電波吸収塗膜層16を構成する電波吸収塗料の種類を変えても同様に、図6に示すように、基材、下塗り塗膜層(電波吸収性を有しない塗膜)、電波吸収塗膜層の順に積層した場合には、充分な電波吸収特性を有しているのに対して、基材、電波吸収塗膜層、電波吸収性を有しない塗膜層の順に積層した場合には、電波吸収性を有しない塗膜層と電波吸収塗膜層の合計の厚さが同じであったとしても、充分な電波吸収性能を得られない。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、下塗り塗膜層や電波吸収塗膜層の乾燥膜厚や層数などは、吸収対象の電波の周波数に応じて、上述する範囲において適宜変更することができるなど、本発明の目的を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
10 電波吸収体
12 基材
14 下塗り塗膜層
16 電波吸収塗膜層
18 メッシュ材
20 メッシュ材

Claims (24)

  1. 基材と、
    前記基材に塗布された、600μm〜4200μmの乾燥膜厚を有する、下塗り塗料から形成される下塗り塗膜層と、
    前記下塗り塗膜層の上に積層された、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料から形成される電波吸収塗膜層と、
    を含むことを特徴とする電波吸収体。
  2. 前記下塗り塗膜層には、メッシュ材が介在されていることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 前記電波吸収塗膜層には、メッシュ材が介在されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電波吸収体。
  4. 前記メッシュ材が、線径0.1〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成されてなることを特徴とする請求項2または3に記載の電波吸収体。
  5. 前記電波吸収塗料が、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電波吸収体。
  6. 前記下塗り塗料が、無機系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電波吸収体。
  7. 前記下塗り塗料が、中空バルーンを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の電波吸収体。
  8. 前記電波吸収塗膜層の乾燥膜厚が、600μm〜1500μmであることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の電波吸収体。
  9. 基材表面に、下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布した後、得られた下塗り塗膜層表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布することを特徴とする電波吸収体の製造方法。
  10. 前記下塗り塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることを特徴とする請求項9に記載の電波吸収体の製造方法。
  11. 前記電波吸収塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることを特徴とする請求項9または10に記載の電波吸収体の製造方法。
  12. 前記メッシュ材の格子が、線径0.1〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成されてなることを特徴とする請求項10または11に記載の電波吸収体の製造方法。
  13. 前記電波吸収塗料が、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項9から12のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  14. 前記下塗り塗料が、無機質系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項9から13のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  15. 前記下塗り塗料が、中空バルーンを含むことを特徴とする請求項9から14のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  16. 前記電波吸収塗料の塗膜厚が、600μm〜1500μmであることを特徴とする請求項9から15のいずれかに記載の電波吸収体の製造方法。
  17. 下塗り塗料を600μm〜4200μmの乾燥膜厚となるように塗布した後、得られた下塗り塗膜表面に、軟磁性金属を含有した電波吸収塗料を塗布することを特徴とする電波吸収塗料の塗装方法。
  18. 前記下塗り塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることを特徴とする請求項17に記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  19. 前記電波吸収塗料を塗布する際に、メッシュ材を介在させることを特徴とする請求項17または18に記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  20. 前記メッシュ材が、線径0.1〜1.0mmの単繊維または複合繊維を、メッシュサイズが1.7〜16メッシュとなるように織ることにより形成されてなることを特徴とする請求項18または19に記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  21. 前記電波吸収塗料が、前記軟磁性金属として、少なくとも、Fe系、Fe−P系、Fe−Cr系合金、Fe−Si系合金、Fe−Ni系合金、Fe−Al系合金、Fe−Co系合金、Fe−Al−Si系合金、Fe−Cr−Si系合金、Fe−Cr−Al系合金、Fe−Si−Ni系合金、Fe−Si−Cr−Ni系合金、Feを主成分とするアモルファス合金のうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項17から20のいずれかに記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  22. 前記下塗り塗料が、無機質系顔料として、少なくともシリカ、炭酸カルシウムのうちのいずれかを含むことを特徴とする請求項17から21のいずれかに記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  23. 前記下塗り塗料が、中空バルーンを含むことを特徴とする請求項17から22のいずれかに記載の電波吸収塗料の塗装方法。
  24. 前記電波吸収塗料の乾燥膜厚が、600μm〜1500μmであることを特徴とする請求項17から23のいずれかに記載の電波吸収塗料の塗装方法。
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