JP2017219176A - 農機具の車軸用密封装置及びシール部材 - Google Patents

農機具の車軸用密封装置及びシール部材 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間に亘って密封性を維持することができる農機具の車軸用密封装置を提供する。【解決手段】農機具の車軸用密封装置10であって、ハウジング12側に固定されるシール部材15と、第1円筒部51a及び環状板部51cを有し、車軸11側に固定されるスリーブ16とを備え、シール部材15は、第1円筒部51aに接触した環状の主リップ32と、環状板部51cに接触した環状のサイドリップ35とを有する。サイドリップ35は、環状板部51c側が拡径した円錐環形状の円錐筒部35bと、円錐筒部35bから弾性的に湾曲された状態で径方向外方に延び、環状板部51cに接触したリップ部37を有する円環形状の円環部35cとを含む。リップ部37は、円環部35cにおける環状板部51cとの対向面35dの少なくとも外周縁38を含み、対向面35dのうちリップ部37より径方向内側の部分は、環状板部51cとの間に隙間を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、農機具の車軸に用いられる密封装置及びシール部材に関する。
トラクター等の農機具は、その足廻りにおいて、車軸と、車軸が挿入されたハウジング(ファイナルケース)の軸孔との間の環状空間に密封装置が装着されている。密封装置を装着することにより、ハウジング内の潤滑油の漏洩を防止するとともに、ハウジングの外部側から泥水等の異物がハウジング内に侵入することを防止している。
このような密封装置として、例えば、特許文献1には、車軸の外周面に嵌合固定された断面略L字形のスリーブと、ハウジングの内周面に嵌合固定され、それぞれ上記スリーブと摺接する主リップ(オイルシールリップ)、補助リップ(第1、第2ダストシールリップ)、及びサイドリップ(第3ダストシールリップ)を備えるシール部材とからなる密封装置が提案されている(特許文献1、図1参照)。
特開2005−273864号公報
特許文献1に示されたような従来の密封装置では、サイドリップが短期間で摩耗し、その結果、早期に密封性が損なわれてしまうことがあった。これは、従来の密封装置は、サイドリップの締め代が小さいため、僅かに摩耗しただけで密封性が低下してしまうからである。
そこで、サイドリップがある程度摩耗しても密封性が維持されるように、サイドリップの締め代を大きくすることが考えられる。しかしながら、サイドリップの締め代を大きくすると、サイドリップは、先端部がスリーブに接触せず、先端部より基端部側の途中部分でスリーブと接触する、所謂、腹当たり状態でスリーブに接触するようになる。その結果、サイドリップとスリーブとの隙間に泥水等が入り込みやすくなり、泥水等が入り込んだ状態でサイドリップがスリーブと摺接すると、サイドリップの摩耗が促進されてしまうおそれがある。従って、サイドリップの締め代を大きくしただけでは、長期間に亘って密封性を維持することは困難である。
本発明は、締め代を大きくしてもサイドリップの摩耗が進行しにくく、長期間に亘って密封性を維持することができる密封装置を提供することを目的とする。
本発明の農機具の車軸用密封装置(以下、単に密封装置ともいう)は、ハウジングに設けられた車軸を挿入するための軸孔の一端部の内周面と、上記車軸の外周面との間の環状空間を封止するために用いられ、
上記軸孔の一端部の内周面に固定されるシール部材と、
上記車軸の外周面に嵌合される円筒部と上記車軸に設けられたフランジ部に接触させる円環形状の環状板部とを有するスリーブとを備え、
上記シール部材は、上記円筒部に接触した環状の主リップと、上記環状板部に接触した環状のサイドリップとを有する、農機具の車軸用密封装置であって、
上記サイドリップは、上記環状板部側が拡径した円錐環形状の円錐筒部と、上記環状板部に接触したリップ部を有し、上記円錐筒部から弾性的に湾曲された状態で径方向外方に延びる円環形状の円環部とを含み、
上記リップ部は、上記円環部における上記環状板部と対向する側の面の少なくとも外周縁を含み、
上記円環部における上記環状板部と対向する側の面のうち上記リップ部より径方向内側の部分は、上記環状板部との間に隙間を有する、ことを特徴とする。
上記密封装置によれば、上記スリーブの環状板部と接触したリップ部は、上記サイドリップを構成する上記円環部における上記環状板部との対向面の外周縁を含むため、つまり上記外周縁が上記スリーブの環状板部に常に接触しているため、サイドリップの締め代が大きくてもサイドリップとスリーブとの間に泥水等が入り込みにくく、そのため、上記サイドリップの摩耗が促進されにくい。
また、上記サイドリップの締め代が当該サイドリップの経時的な摩耗により減少しても、上記サイドリップは上記円錐筒部と上記円環部とを含むため、上記円錐筒部に対する上記円環部の角度が変化することによって締め代の変化を吸収することができる。その結果、上記外周縁のスリーブに対する接触面圧を長期間にわたって維持することができる。
そのため、上記密封装置は、泥水等に曝される環境下において長期間に亘って密封性を維持することができ、農機具の車軸用密封装置として好適に用いることができる。
上記密封装置において、上記サイドリップの上記スリーブに対する締め代は、2〜5mmであることが好ましい。
上記密封装置は、このような大きい締め代を有する場合であっても長期間に渡って密封性を維持することができる。
本発明のシール部材は、本発明の密封装置を構成するシール部材であって、
主リップとサイドリップとを備え、
上記サイドリップは、自由状態において、環状の基端部と、この基端部から上記環状板部側に延びるとともに環状板部側が拡径した円錐環形状の中間部と、上記中間部から上記環状板部側に延びるとともに、上記中間部とは車軸の軸線に対する傾斜角が異なる円錐環形状の先端部とを有し、
上記中間部の一部と上記先端部とが、上記密封装置を構成するシール部材におけるサイドリップの上記円環部を構成することを特徴とする。
自由状態においてこのような構成を有するサイドリップを備えるシール部材は、本発明の密封装置を構成するシール部材として特に適している。
本発明によれば、長期間に亘って密封性を維持することができる農機具の車軸用密封装置、及び、上記密封装置を構成するシール部材を提供することができる。
第1実施形態の密封装置が装着された状態を示す断面説明図である。 (a)は、図1に示した密封装置を拡大した断面説明図であり、(b)は、(a)の要部拡大図である。 図2に示した密封装置を構成するシール部材の自由状態を示す断面説明図である。 (a)は、他の密封装置を構成するシール部材の自由状態を示す断面説明図であり、(b)は、(a)に示したシール部材を備えた密封装置を示す断面説明図である。 性能評価で使用した密封装置を示す断面説明図である。
(第1実施形態)
以下、本発明の密封装置及びシール部材の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の密封装置が装着された状態を示す断面説明図である。図2(a)は、図1に示した密封装置を拡大した断面説明図であり、(b)は、(a)の要部拡大図である。図3は、図2に示した密封装置を構成するシール部材の自由状態を示す断面説明図である。図4(a)は、他の密封装置を構成するシール部材の自由状態を示す断面説明図であり、(b)は、(a)に示したシール部材を備えた密封装置を示す断面説明図である。
なお、本明細書では、農機具の車軸に沿った方向において車輪側を軸方向外側又は軸方向外方といい、車軸に沿った反対側を軸方向内側又は軸方向内方という。
本実施形態に係る密封装置10は、図1に示すように、トラクターの前輪の足廻りにおいて、前輪(図示せず)を取付けるためのフランジ部11aが軸方向外側(図1中、左側)の端部に一体的に設けられた車軸11と、車軸11を軸受13を介して回転自在に軸支し、車軸11に駆動力を伝達するためのべベルギア14が収納されたファイナルケース(ハウジング)12との間に用いられる密封装置である。
密封装置10は、車軸11とファイナルケース(ハウジング)12に設けられた車軸11が挿入された軸孔12aとの間に形成される環状空間に装着されて、ファイナルケース12の内部空間A内に密封された潤滑油等の密封流体がファイナルケース12の外部側Bへ漏洩するのを防止するとともに、外部側Bから泥水等が内部空間A内に侵入することを防止する。
密封装置10は、図2(a)、図3に示すように、シール部材15と、スリーブ16とを備えている。なお、図3には、変形前の自由状態のシール部材を示している。
スリーブ16は、図2(a)に示すように、シール部材15の各リップが接触した金属環51と、金属環51の内周側及び軸方向外側に設けられた環状の弾性部52とからなる。
金属環51は、車軸11の外周面に弾性部52を介して固定される円筒部(第1円筒部)51aと、第1円筒部51aの軸方向外側(図2(a)中、左側)の端部から軸方向外方でかつ径方向外方へ斜めに伸びるスカート状の連結部51bと、連結部51bの軸方向外側端部から径方向外方に延びる円環状の環状板部51cとで構成されている。
弾性部52は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)など)等の弾性素材からなる環状部材である。弾性部52は、例えば、加硫による接着、焼き付けなどにより金属環51に固定されている。
弾性部52は、金属環51の車軸11(フランジ部11aを含む)側全体に設けられているが、弾性部52は、例えば、第1円筒部51aの内周面側のみに設けられていてもよい。
スリーブ16は、第1円筒部51aが弾性部52を介して車軸11の外周面に嵌合され、環状板部51cがフランジ部11aの軸方向内側の側面に弾性部52を介して接触するように車軸11に固定される。
このように、金属環51が弾性部52を介して車軸11と接触するようにスリーブ16を取り付けることにより、車軸11(フランジ部11aを含む)とスリーブ16との間を通って密封空間Aに泥水等が侵入することを防止することができる。
シール部材15は、断面略クランク状の環状の芯金21と、芯金21に固定された封止部22と、環状のバネリング23とで構成されている。
芯金21は、金属(例えば、SPCC等)製の環状部材であり、円筒状の筒部21aと、円筒状の筒部21aの軸方向外側端部から径方向外方へ屈曲した円環状の第1の芯金円環部21bと、円筒状の筒部21aの軸方向内側端部から径方向内方へ屈曲した円環状の第2の芯金円環部21cとで構成されている。
封止部22は、合成ゴム(例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、アクリルゴム(ACM)など)等の弾性素材からなり、加硫による接着、焼き付けなどにより芯金21に固定されている。
封止部22は、環状に形成されており、芯金21の内周側に設けられた本体部31と、本体部31からそれぞれスリーブ16側に延びる主リップ32、第1補助リップ33、第2補助リップ34及びサイドリップ35と、芯金21の外周側に設けられた外周部36とを有する。
シール部材15は、ファイナルケース12の軸孔12aの内周面に芯金21の筒部21aが封止部22の外周部36を介して固定され、第1の芯金円環部21bの軸方向内側面がファイナルケース12の側面に接するように取り付けられる。
主リップ32は、本体部31の内周側から、車軸11側で、かつ密封空間A側へ延びている。主リップ32の外周面には周溝32aが形成されている。この周溝32aには、ガータスプリングと呼ばれるバネリング23が装着されている。バネリング23は、主リップ32を径方向内方へ締め付けている。
主リップ32は、金属環51の第1円筒部51aの外周面に締め代をもって接触して密封空間A内の密封流体が外部側Bへ漏れるのを防止している。主リップ32は、自由状態において、その径方向内側の断面形状が径方向内方に向けて細くなる(軸方向幅寸法が小さくなる)略V字形を有している。主リップ32の内周面は、軸方向外側の第1傾斜面32bと、密封空間A側の第2傾斜面32cとを有する。
第1傾斜面32bは、軸方向外側ほど内径が大きくなるように傾斜し、第2傾斜面32cは、密封空間A側ほど内径が大きくなるように傾斜している。第1傾斜面32bと第2傾斜面32cとの境界部であって主リップ32の最小径部(頂部)をリップ先端部32dという。主リップ32の第1傾斜面32bは、金属環51の第1円筒部51aの外周面に接触してシール面として機能する。
第1補助リップ33は、主リップ32より軸方向外方において、本体部31の内周側から車軸11側で、かつ軸方向外方側へ延びている。第1補助リップ33は、先端部が金属環51の第1円筒部51aの外周面に締め代をもって接触している。第1補助リップ33は、主に泥水等の密封空間A内への侵入を防止している。
第2補助リップ34は、第1補助リップ33より軸方向外方において、本体部31の内周側から車軸11側で、かつ軸方向外方側へ延びている。第2補助リップ34は、先端部が金属環51の第1円筒部51aの外周面に締め代をもって接触している。第2補助リップ34は、主に泥水等の密封空間A内への侵入を防止している。
サイドリップ35は、図2、3に示すように、本体部31の軸方向外側の側面31aから金属環51の環状板部51c側へ延びており、環状板部51cの軸方向内側面51dに接触している。
サイドリップ35は、本体部31の側面31aから延びる円筒部(第2円筒部)35aと、第2円筒部35aの軸方向外側端部から環状板部51cに向かって拡径しながら延びる円錐環形状の円錐筒部35bと、円錐筒部35bの軸方向外側端部から弾性的に湾曲された状態で略径方向外方に延び、環状板部51cに接触したリップ部37を有する円環形状の円環部35cとを有する。円環部35cは弾性的に湾曲した状態で環状板部51cに接触している。
リップ部37は、図2(b)に示すように、円環部35cにおける環状板部51cとの対向面35dのうち、環状板部51cと接触している部分であり、対向面35dの外周縁38を含んでいる。つまり、サイドリップ35は、外周縁38が環状板部51cと常に接触している。
外周縁38が環状板部51cと接触していると、サイドリップ35と金属環51との間に泥水等が入り込みにくくなる。そのため、泥水等を噛み込んだ状態でのサイドリップ35と金属環51との摺動が発生しにくく、その結果として、サイドリップ35は摩耗しにくくなる。
このとき、リップ部37では、外周縁38がスリーブ16に対する接触面圧のピークとなっていることが好ましい。これにより、サイドリップ35と金属環51との間には泥水等がより侵入しにくくなる。更には、サイドリップ35が経時的に摩耗しても外周縁38の環状板部51cに対する接触面圧を長期間にわたって維持するのに適している。
なお、リップ部37における環状板部51cとの接触面圧のピーク位置は、例えば、FEM解析等によって決定することができる。
対向面35dのうちリップ部37より径方向内側の部分は、環状板部51cとの間に隙間Sを有する。隙間Sを有する状態で対向面35dが金属環51と接触すると、リップ部37の接触面積が過度に大きくなることを防止することができる。
また、隙間Sを有し、かつ環状板部51cと接触したサイドリップ35が円環部35cと円錐筒部35bとを有することにより、密封装置10は長期間に亘って密封性を維持することができる。
サイドリップ35は、泥水等に曝される環境で使用されるため、スリーブ16と摺動することによって徐々に摩耗してしまうことを避けることができない。ここで、サイドリップ35が上述した形状であると、サイドリップ35が経時的に摩耗して、締め代の寸法が変化してもその変化を円環部35cの円錐筒部35bに対する角度が変化することによって吸収し、円環部35cの外周縁38が環状板部51cと接触した状態を維持することができる。そのため、サイドリップ35とスリーブ16との間に泥水等が入り込みにくい状態を維持することができ、サイドリップ35は長期間に亘って摩耗しにくくなる。
サイドリップ35の円環部35cにおいて、隙間Sの部分の対向面35dと環状板部51cとのなす角度θsは、例えば5〜45°の範囲で設定することができる。
サイドリップ35は、スリーブ16と接触する前の自由状態において、例えば、図3に示した形状を有している。自由状態のサイドリップ35は、本体部31側から順に、円筒形状の基端部41、円錐環形状の中間部42、及び、中間部42とは車軸11の軸線に対する傾斜角が異なる円錐環形状の先端部43を有している。また、基端部41と中間部42との間、及び、中間部42と先端部43との間は、それぞれ屈曲している。
このような自由状態を有するサイドリップ35は、図2(a)に示すように、弾性的に湾曲された状態でスリーブ16と接触し、中間部42の一部と先端部43とが円環部35cを構成し、中間部42の残りの部分が円錐筒部35bを構成し、基端部41が第2円筒部35aを構成する。
自由状態のサイドリップ35において、本体部31の側面31aから先端縁43aまでの軸方向Cの長さ(以下、サイドリップの全体長さともいう)L1は、例えば、約9.1mmとされている。
中間部42は、基端部41の軸方向外側端部から軸方向外方でかつ径方向外方へ向けて斜めに延びている。中間部42の車軸11の軸線に対する傾斜角度θ1は、例えば、約37°とされている。角度θ1は、例えば30〜45°の範囲で設定することができる。
中間部42の軸方向Cにおける長さ(幅)L2は、例えば、約3.5mmとされており、この場合、サイドリップ35の全体長さL1の約38%となる。長さL2は、例えば全体長さL1に対して30〜45%の範囲で設定することができる。
先端部43は、中間部42の軸方向外側端部から軸方向外方かつ径方向外方へ向けて斜めに延びている。先端部43の車軸11の軸線に対する傾斜角度θ2は、例えば、約17°とされており、角度θ2は角度θ1よりも小さい値とされている。角度θ2は、例えば10〜30°の範囲で設定することができる。
先端部43の軸方向Cにおける長さ(幅)L3は、例えば、約2.7mmとされており、この場合、サイドリップ35の全体長さL1の約30%となる。長さL3は、例えば全体長さL1に対して30〜45%の範囲で設定することができる。
先端部43は、中間部42の軸方向外側端部から斜めに延びつつ、角度θ2が角度θ1より小さい値とされている。このような先端部43は、サイドリップ35の締め代を大きくしても、サイドリップ35とスリーブ16との接触状態が、所謂、腹当たり状態となることを回避し、リップ部37が外周縁38を含むよう環状板部51cと接触するのに適している。
一方、図4(a)に示したように、基端部61、中間部62及び先端部63を有するサイドリップ65において、中間部62と先端部63との間を屈曲させずにサイドリップ65の締め代を大きくした場合には、図4(b)に示したように、サイドリップ65とスリーブ16との接触状態が、サイドリップ65の先端側の外周縁63aがスリーブ16との間に隙間を有する状態となる。このような状態で車輪が回転すると、泥水等がサイドリップ65とスリーブ16と間に入り込んだ状態でサイドリップ65がスリーブ16と摺動し、この場合、短期間でサイドリップ65が摩耗してしまう。
なお、図4(a)、(b)に示した密封装置60は、サイドリップ65以外の形状は図2、3に示した密封装置10と同様である。そのため、サイドリップ65以外の部材には密封装置10と同様の符号を付与している。
密封装置10では、リップ部37が外周縁38を含むことがサイドリップ35を摩耗しにくくする点で重要である。更に、スリーブ16と接触したサイドリップ35のスリーブ16に対する接触面圧のピークが、外周縁38にあることもサイドリップ35の摩耗を抑制する点で有用である。
サイドリップ35は、締め代を有してスリーブ16と接触している。密封装置10では、上記締め代は比較的大きく設定することができ、環状板部51cの軸方向内側面51dから自由状態におけるサイドリップ35の先端縁43aまでの軸方向寸法L4(図3参照)として、例えば、2〜5mmにすることができる。上記締め代L4は、より好ましくは2.8〜4.4mmである。
サイドリップ35のスリーブ16に対する締め代L4を大きくした場合、自由状態のサイドリップ35において、基端部41及び中間部42の軸方向Cにおける合計の長さL5は、本体部31の側面31aから環状板部51cの内部側側面51dまでの軸方向Cにおける距離L6より長いことが好ましい。この場合、先端部43の先端縁43aをスリーブ16に対する接触面圧のピークとするのにより適している。
[密封装置の性能評価]
本実施形態の密封装置10及び図5に示した密封装置110について、オイル漏れが発生するまでの時間を基準に密封性を評価した。
密封装置10は、
材質:封止部22及び弾性部52がNBR、芯金21及び金属環51がSPCC、
寸法:主リップ32の内径L7が47.5mm、第1補助リップ33の内径L8が49.5mm、第2補助リップ34の内径L9が48.3mm、サイドリップ35の全体長さL1が9.1mm、
の構成を有するシール部材15を、スリーブ16に嵌合させて組み立てた密封装置である。密封装置10において、主リップ32の締め代は1.9〜2.7mm、サイドリップ35の締め代L4は2.98〜4.24mmである。
密封装置110は、図5に示すような、環状の芯金121と芯金121に固定されている封止部122と環状のバネリング123とからなり、スリーブ116にそれぞれ摺接する主リップ132、第1補助リップ133、第2補助リップ134及びサイドリップ135を有するシール部材115と、金属環151と弾性部152とからなるスリーブ116とを備えた密封装置であり、
材質:封止部122及び弾性部152がNBR、芯金121及び金属環151がSPCC、
寸法:主リップ132の内径L10が49.1mm、第2補助リップ134の内径L11が49.9mm、サイドリップ135の高さL12が5.3mm、
の構成を有するシール部材115を、スリーブ116に嵌合させて組み立てた密封装置である。密封装置110において、主リップ132の締め代は1.94mm、サイドリップ135の締め代は0.8mmである。
評価方法及び結果
擬似的な車軸及びハウジングを備え、上記ハウジング内にオイルを封入した試験機に上記密封装置を装着し、下記の条件で試験機を運転し、オイル漏れが発生するまでの時間を測定した。
(1)封止部に泥水を付着させ、その後、泥水を乾燥させる。
(2)泥水が乾燥した状態で試験機を回転数5〜15min−1で1時間運転する。
(3)上記(2)の運転終了後、数分間運転を停止し、オイル漏れの有無を目視観察する。
(4)上記(1)〜(3)の運転パターンで、オイル漏れが観察されるまで、運転時間60〜74時間/1週間のペースで試験機を運転した。
その結果、密封装置110は、約1000時間の運転でオイル漏れが観察された。一方、本実施形態の密封装置10は、1500時間の運転でもオイル漏れが観察されず、その時点で試験を終了した。
この試験結果により、本発明の実施形態の密封装置10は、長期間に亘ってオイル漏れを防止することができることが明らかとなった。
(他の実施形態)
本発明の実施形態は、上記実施形態に限られるものではなく、この発明の範囲内において、構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等について適宜変更することができる。
例えば、第1実施形態では、自由状態のサイドリップにおいて、基端部が環状板部51c側にほぼ水平方向に延びていたが、上記基端部は、環状板部51c側でかつ径方向外側へ向けて斜めに延びていてもよい。
また、本発明の密封装置は、トラクター以外の農機具にも用いることができ、コンバイン、耕うん機、田植機等の農機具にも用いることができる。
10:密封装置、11:車軸、11a:フランジ部、12:ファイナルケース(ハウジング)、12a:軸孔、13:軸受、14:ベベルギア、15:シール部材、16:スリーブ、21:芯金、22:封止部、23:バネリング、31,71:本体部、32:主リップ、33:第1補助リップ、34:第2補助リップ、35:サイドリップ、35a:第2円筒部、35b:円錐筒部、35c:円環部、37:リップ部、38:外周縁、41:基端部、42:中間部、43:先端部、43a:先端縁、51:金属環、51a:第1円筒部、51c:環状板部、52:弾性部、A:密封空間、B:外部側、S:隙間

Claims (3)

  1. ハウジングに設けられた車軸を挿入するための軸孔の一端部の内周面と、前記車軸の外周面との間の環状空間を封止するために用いられ、
    前記軸孔の一端部の内周面に固定されるシール部材と、
    前記車軸の外周面に嵌合される円筒部と前記車軸に設けられたフランジ部に接触させる円環形状の環状板部とを有するスリーブとを備え、
    前記シール部材は、前記円筒部に接触した環状の主リップと、前記環状板部に接触した環状のサイドリップとを有する、農機具の車軸用密封装置であって、
    前記サイドリップは、前記環状板部側が拡径した円錐環形状の円錐筒部と、前記環状板部に接触したリップ部を有し、前記円錐筒部から弾性的に湾曲された状態で径方向外方に延びる円環形状の円環部とを含み、
    前記リップ部は、前記円環部における前記環状板部と対向する側の面の少なくとも外周縁を含み、
    前記円環部における前記環状板部と対向する側の面のうち前記リップ部より径方向内側の部分は、前記環状板部との間に隙間を有する、ことを特徴とする農機具の車軸用密封装置。
  2. 前記サイドリップの前記スリーブに対する締め代は、2〜5mmである請求項1に記載の農機具の車軸用密封装置。
  3. 請求項1又は2に記載の農機具の車軸用密封装置を構成するシール部材であって、
    主リップとサイドリップとを備え、
    前記サイドリップは、自由状態において、環状の基端部と、この基端部から前記環状板部側に延びるとともに環状板部側が拡径した円錐環形状の中間部と、前記中間部から前記環状板部側に延びるとともに、前記中間部とは車軸の軸線に対する傾斜角が異なる円錐環形状の先端部とを有し、
    前記中間部の一部と前記先端部とが、前記車軸用密封装置を構成するシール部材におけるサイドリップの前記円環部を構成することを特徴とするシール部材。

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