JP2017217411A - 車両用シートパッド及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
さらに、芯パッドの裏面に表皮取付け用溝を設けることになるが、前記表層パッドの発泡成形で該溝に発泡原料が入り込むと、これも除去しなければならない問題もある。
ここで、本発明でいう「ビーズ発泡成形体」とは、いわゆるビーズ発泡法(特許第4855138号,特開2015-101620号,特開2013-22911号,特開2011-105879号等)によって得られた発泡成形体で、ペレットに発泡剤を含浸したビーズを予備発泡成形し、その後の型内発泡成形によって成形されている発泡成形体をいう。ビーズ発泡法は単にビーズ法もいう。
請求項2の発明たる車両用シートパッドは、請求項1で、前記外鍔部が前記芯パッドの側壁を周回して囲うフランジに形成され、さらに前記芯パッドは、第二取付具をインサート品にして、そのワイヤ突端部が芯パッド裏面から外方へ突出する状態で発泡成形されていることを特徴とする。請求項3の発明たる車両用シートパッドは、請求項1又は2で、ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体であることを特徴とする。請求項4の発明たる車両用シートパッドは、請求項1〜3で、芯パッドの表面側から裏面側へ貫通する透孔が設けられ、さらに該透孔内を埋める前記表層パッドの軟質ポリウレタン発泡成形部が設けられたことを特徴とする。請求項5の発明たる車両用シートパッドは、請求項4で、透孔が前記芯パッドに係る前記フランジの表面側から裏面側へ貫通するように設けられたことを特徴とする。
請求項6に記載の発明の要旨は、少なくとも乗員が当接する側の受け面部分を軟質ポリウレタン発泡成形体で形成した車両用シートパッドの製造方法において、ビーズ発泡成形体であって、その側壁に設けた外鍔部の肉厚面から、該第一取付具のワイヤ先端部が外方へ突出する状態で発泡成形されている第一取付具付き芯パッドを上型にセットする傍ら、前記外鍔部は裏面側が上型型面に当接するようにセットし、次いで、下型キャビティ面上に軟質ポリウレタン発泡成形体用原料を注入すると共に、前記外鍔部の表面側を下型型面に当接させて、下型型面と上型型面とによる該外鍔部の挟着を伴って型閉じし、その後、意匠面側に前記受け面部分を形成すると共に、下型型面と上型型面とで前記外鍔部を挟着シールし、前記ワイヤ先端部寄りの前記外鍔部の部位、さらに前記ワイヤ先端部をキャビティ外へ出したまま、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合一体化した表層パッドを発泡成形することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法にある。請求項7の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項6で、外鍔部が前記芯パッドの側壁を周回して囲うフランジに形成され、さらに第二取付具がインサート品になって、芯パッド裏面から該第二取付具に係るワイヤ突端部が外方へ突出する状態で、前記芯パッドが発泡成形された第一取付具及び第二取付具付き芯パッドを、上型にセットする傍ら、前記フランジは裏面側が全周に亘って上型型面に当接するようにセットし、次いで、下型キャビティ面上に軟質ポリウレタン発泡成形体用原料を注入すると共に、前記フランジの表面側が全周に亘って下型型面に当接するようにして、前記フランジが下型型面と上型型面との挟着を伴って型閉じすることを特徴とする。請求項8の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項6又は7で、ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体であるであることを特徴とする。請求項9の発明たる車両用シートパッドの製造方法は、請求項6〜8で、芯パッドの表面側から裏面側へ貫通する透孔が設けられ、前記型閉じ後、意匠面側に前記受け面部分を形成すると共に、該透孔内を埋める軟質ポリウレタン発泡成形部を形成して、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合一体化した表層パッドを発泡成形することを特徴とする。
各図は図面を判り易くするため発明要部のフランジ22、外鍔部221を強調図示し、また本発明と直接関係しない部分を省略する。図7の芯パッド2は断面表示のハッチングを省く。図1のV-V線矢視図に対応する図3〜図5、及び図9,図10には、二つの第二取付具3Bや表皮取付け用の溝28は現れないが、それらを含めた周囲の断面形状を明らかにするため便宜的に各断面図に取り入れている。
車両用シートパッドの製造方法は、少なくとも乗員が当接する側の受け面部分41を軟質ポリウレタン発泡成形体で構成し、該軟質ポリウレタン発泡成形体の表層パッド4の発泡成形で、その内面4b側を軽量の芯パッド2に接合一体化させる製法である(図5)。シートパッドPは、車両用座席シートの座部や背もたれに使用される。ここでは、図1に示す車両後部座席の座部用クッションパッドPに適用する。図1のクッションパッドPは紙面の右斜め上方が車両前方、左斜め下方が車両後方、左斜め上方が車両上方である。表層パッド4の発泡成形に先立ち、第一取付具3A付き芯パッド2,発泡成形型7が用意される。
ワイヤ加工品の第一取付具3Aは、ワイヤ先端部31が図示のごとくU字状に折曲形成される一方、根元にあたるワイヤ基部32が芯パッド2内に在る図示しないインサート部材のループ部に固着されている。第一取付具3Aは車体へクッションパッドに表皮が被着されたシートクッションを取付け固定するのに用いられる。
芯パッド2のビーズ発泡成形体は、見掛け密度が表層パッド4を形成する軟質ポリウレタン発泡成形体の見掛け密度よりも小さければ充足するが、非通気性の発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体であるのがより好ましい。例えばビーズ法発泡スチロールの発泡スチロールの成形体は、気泡が内部に密閉されたビーズ発泡成形体となっており、且つ体積の大部分が気体で軽量にして、その見掛け密度を軟質ポリウレタン発泡成形体の見掛け密度よりも小さくできる。ビーズ法発泡ポリプロピレンの発泡ポリプロピレンも発泡スチロールに酷似し、気泡が内部に密閉されたビーズ発泡成形体にして芯パッド2の材料として機能的に優れ、且つその見掛け密度を小さくできる。本実施形態の芯パッド2も発泡ポリプロピレンを用いる。発泡ポリプロピレンは、発泡スチロールよりも弾力があり、表層パッド4の発泡成形で、外鍔部221がガスケットとしてシール機能発揮でき、またクッション性が求められるシートパッドP用芯パッド2の構成材としてより好ましくなっている。
ここで、芯パッド2の「表面」側,「裏面」側は、車両に取付け姿態にある図1のクッションパッドPでいえば、文字通り紙面の「表面」側,「裏面」側となる。表層パッド4の「意匠面」側,「内面」側も、車両に取付け姿態にある図1のクッションパッドPでいえば、紙面の「表面」側,紙面の「裏面」側となり、同じ意である。文言を使い分けて部位を特定し易くしている。
芯パッド2は、図7の他態様図に示すごとく芯パッド2の表面2a側から裏面2b側へ貫通する透孔23が設けられると、表層パッド4と芯パッド2の接合一体化が強力になり、より好ましくなる(詳細後述)。ここでは、図7のように芯パッド2の外周縁沿いやフランジ22に、表面22a側から裏面22b側へ貫通する透孔23を設け、さらにその芯パッド2の裏面側部分の孔径を拡径して大きな孔径の窪み24を設けている。
尚、図3〜図7の発泡成形型7は、車両設置状態に在る図1のクッションパッドPと上下が逆の姿態で、該クッションパッドPたる第一取付具3A付き芯パッド2と一体の表層パッド4を造る型構造になっている。
まず、発泡成形型7を図3の型開状態とする。この型開状態下、第一取付具3A付き芯パッド2を上型9にセットする傍ら、フランジ22は裏面22b側が全周に亘って上型型面99に当接するようにセットする(図3)。
ここで、上型型面99に、図6のような芯パッド2に係るフランジ22の大きさに合わせた段差面99aが設けられると、上型9への第一取付具3A付き芯パッド2のセットを円滑に進めることができる。上型9への芯パッド2のセットで、凹所93に第二取付具3Bのワイヤ突端部36が収容される。
続いて、上型9を作動させ、フランジ22の表面22a側が全周に亘って下型型面89に当接するようにして、且つ下型型面89と上型型面99とでフランジ22を挟着状態に保って型閉じする(図4)。上型9と下型8との型閉じで、第一取付具3A付き芯パッド2がインサートセットされたクッションパッドP用キャビティCができる。尚、本実施形態は発泡原料gを注入後に型閉じしたが、型閉じした後、発泡原料gを注入することもできる。
尚、表層パッド4の発泡成形で発生する余剰ガス(型内に在った残留ガスも含む。)は、前記細長溝86を通って型外へ抜け出る(図7)。
符号4Aはメイン部、符号4Bはサイド部、符号4Dは斜面、符号4Eはバックレストとの合わせ部、符号49は吊溝で、符号491は縦溝、符号492は横溝を示す。
そして、該第一取付具3A付き芯パッド2を上型9にセットする傍ら、外鍔部221は裏面221b側が上型型面99に当接するようにセットする(図9)。次いで、下型キャビティ面81上に軟質ポリウレタン発泡成形体用原料gを注入すると共に、外鍔部221の表面221a側を下型型面89に当接させて、下型型面89と上型型面99とによる該外鍔部221の挟着を伴って型閉じする。このとき、外鍔部221の側壁面(芯パッド2の周回方向を指向する壁面)側は、下型型面89と上型型面99との型合わせによってキャビティCが封止される。
その後、意匠面4a側に受け面部分41を形成すると共に、下型型面89と上型型面99とで外鍔部221を挟着シールし、ワイヤ先端部31寄りの外鍔部221の部位、さらにワイヤ先端部31をキャビティC外へ出したまま、意匠面4a側と反対の内面4b側が芯パッド2の表面2aに接合一体化した表層パッド4を発泡成形するクッションパッドPの製法である(図10)。
他の構成は図1〜図7のシートパッドの製造方法の説明と同様で、その説明を省く。図1〜図7と同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1〜図7や図8〜図10の上記製造方法等で得られるシートパッドP(ここでは「クッションパッド」)は、少なくとも乗員が当接する側の受け面部分41を軟質ポリウレタン発泡成形体で形成して、芯パッド2と表層パッド4とを具備する。
ビーズ発泡成形体は、既述のごとく発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体であるとより好ましい。軟質ポリウレタン発泡成形体に比し低コストで、独立気泡として且つ体積の大部分が気体である発泡ポリプロピレンや発泡スチロールの成形体は、軽量にして気密性,保形性があり、適度の保形維持が必要な芯パッド2に好都合となる。
他の構成は(1)シートパッドの製造方法で述べた構成と同様で、その説明を省く。(1)で述べた符号と同一符号は同一又は相当部分を示す。
このように構成した車両用シートパッド及びその製造方法は、芯パッド2と表層パッド4とを備えて、芯パッド2が軟質ポリウレタン発泡成形体の見掛け密度よりも見掛け密度が小のビーズ発泡成形体で形成されるので、軽量化が進む。それでいて、軟質ポリウレタン発泡成形体で構成された表層パッド4の意匠面4a側に、着座乗員との受け面部分41が設けられているので、クッション性等の快適性は確保される。
勿論、軟質ポリウレタン発泡成形体の表層パッド4が、発泡成形されても、芯パッド2を構成する発泡ポリプロピレン,発泡スチロール等のビーズ発泡成形体とは接着性に乏しく、そのままでは両者の一体化が十分でない場合もある。斯かる場合は、前記透孔23を設けることで、表層パッド4の発泡成形で、芯パッド2の透孔23に充填される軟質ポリウレタン発泡成形部43にアンカー効果を発揮させ、表層パッド4とビーズ発泡成形体たる芯パッド2との一体化を強化できる。さらに、透孔23の裏面2b側の孔径を大きくした窪み24を設けると、該窪み24に充填される軟質ポリウレタン発泡成形部44がストッパになって、表層パッド4と芯パッド2との一体化を確実なものにできる。
外鍔部221は、芯パッド2のビーズ発泡成形体の一部として形成され、連続気泡タイプと異なり非通気性になっているので、発泡成形型7の型面89,99の挟着によって、発泡成形時に発泡原料gの型外への漏出を防ぐ。さらに外鍔部221は発泡成形体の一部で、適度の弾性を有しており、下型型面89と上型型面99とで外鍔部221を挟着シールする際、ガスケットを用いなくても該外鍔部221のみでシールできる。ビーズ発泡成形体からなる芯パッド2に外鍔部221を設けることが、表層パッド4の成形時に、外鍔部221の挟着だけで簡単にシールでき、ワイヤ先端部31への発泡原料gの付着防止に極めて理にかなった構成になっている。
バリ除去処理をしなくても、表層パッド4の発泡成形を終えたシートパッドPは、ワイヤ先端部31及び少なくともワイヤ先端部31寄りの外鍔部221の部位が露出状態となる。第一取付具3Aのバリ除去作業もなしでシートパッドPを製品化でき、低コスト化,作業性向上に貢献する。
加えて、芯パッド裏面2bには表皮取付け用の溝28が設けられるが、フランジ22が発泡原料gの芯パッド裏面2bへの回り込みを防いでいるので、該溝28への発泡原料gの浸入も有効阻止する。したがって、表層パッド4の成形後に、溝28に入り込んだ発泡原料gの硬化物を取除くといった作業をしなくて済む。
かくのごとく、本車両用シートパッド及びその製造方法は、上述した種々の優れた効果を発揮し極めて有益である。
21 側壁
22 フランジ
221 外鍔部
221e 肉厚面
3A 第一取付具
3B 第二取付具
31 ワイヤ先端部
4 表層パッド
41 受け面部分(着座乗員との受け面部分)
43 軟質ポリウレタン発泡成形部
7 発泡成形型
81 下型キャビティ面
89 下型の型面(下型型面)
91 上型キャビティ面
99 上型の型面(上型型面)
P シートパッド(クッションパッド)
g 発泡原料
C キャビティ
Claims (9)
- 少なくとも乗員が当接する側の受け面部分を軟質ポリウレタン発泡成形体で形成した車両用シートパッドにおいて、
第一取付具をインサート品とするビーズ発泡成形体にして、その側壁に設けた外鍔部の肉厚面から、該第一取付具のワイヤ先端部が外方へ突出する状態で発泡成形されている第一取付具付き芯パッドと、
該第一取付具付き芯パッドを埋設一体化している軟質ポリウレタン発泡成形体にして、その意匠面側に前記受け面部分を形成し、且つ前記ワイヤ先端部及び該ワイヤ先端部寄りの前記外鍔部の部位を露出状態にして、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合する表層パッドと、を具備することを特徴とする車両用シートパッド。 - 前記外鍔部が前記芯パッドの側壁を周回して囲うフランジに形成され、さらに前記芯パッドは、第二取付具をインサート品にして、そのワイヤ突端部が芯パッド裏面から外方へ突出する状態で発泡成形されている請求項1記載の車両用シートパッド。
- 前記ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体である請求項1又は2に記載の車両用シートパッド。
- 前記芯パッドの表面側から裏面側へ貫通する透孔が設けられ、さらに該透孔内を埋める前記表層パッドの軟質ポリウレタン発泡成形部が設けられた請求項1乃至3のいずれか1項に記載の車両用シートパッド。
- 前記透孔が前記芯パッドに係る前記フランジの表面側から裏面側へ貫通するように設けられた請求項4記載の車両用シートパッド。
- 少なくとも乗員が当接する側の受け面部分を軟質ポリウレタン発泡成形体で形成した車両用シートパッドの製造方法において、
ビーズ発泡成形体であって、その側壁に設けた外鍔部の肉厚面から、該第一取付具のワイヤ先端部が外方へ突出する状態で発泡成形されている第一取付具付き芯パッドを、上型にセットする傍ら、前記外鍔部は裏面側が上型型面に当接するようにセットし、
次いで、下型キャビティ面上に軟質ポリウレタン発泡成形体用原料を注入すると共に、前記外鍔部の表面側を下型型面に当接させて、下型型面と上型型面とによる該外鍔部の挟着を伴って型閉じし、
その後、意匠面側に前記受け面部分を形成すると共に、下型型面と上型型面とで前記外鍔部を挟着シールし、前記ワイヤ先端部寄りの前記外鍔部の部位、さらに前記ワイヤ先端部をキャビティ外へ出したまま、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合一体化した表層パッドを発泡成形することを特徴とする車両用シートパッドの製造方法。 - 前記外鍔部が前記芯パッドの側壁を周回して囲うフランジに形成され、さらに第二取付具がインサート品になって、芯パッド裏面から該第二取付具に係るワイヤ突端部が外方へ突出する状態で、前記芯パッドが発泡成形された第一取付具及び第二取付具付き芯パッドを、上型にセットする傍ら、前記フランジは裏面側が全周に亘って上型型面に当接するようにセットし、
次いで、下型キャビティ面上に軟質ポリウレタン発泡成形体用原料を注入すると共に、前記フランジの表面側が全周に亘って下型型面に当接するようにして、前記フランジが下型型面と上型型面との挟着を伴って型閉じする請求項6記載の車両用シートパッドの製造方法。 - 前記ビーズ発泡成形体が発泡ポリプロピレン、発泡スチロール、又はこれらの一方を少なくとも含む成形体である請求項6又は7に記載の車両用シートパッドの製造方法。
- 前記芯パッドの表面側から裏面側へ貫通する透孔が設けられ、前記型閉じ後、意匠面側に前記受け面部分を形成すると共に、該透孔内を埋める軟質ポリウレタン発泡成形部を形成して、前記意匠面側と反対の内面側が前記芯パッドの表面に接合一体化した表層パッドを発泡成形する請求項6乃至8のいずれか1項に記載の車両用シートパッドの製造方法。
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