以下、図面を参照して本発明の欠陥検査システム、フィルム製造装置及び欠陥検査方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1に示すように、第1実施形態のフィルム製造装置1aは、第1実施形態の欠陥検査システム100aを備える。欠陥検査システム100aは、搬送装置3、光源4、画像生成装置5、解析装置6、遮光体7及び平行光レンズ8を備えている。
本実施形態のフィルム製造装置1aにより製造されるフィルム2aは、例えば、偏光特性を有する偏光フィルム(光学フィルム)及び偏光特性を有さない位相差フィルム(光学フィルム)等である。また、本実施形態のフィルム製造装置1aにより製造されるフィルム2aは、偏光フィルムに貼り合わされるセパレートフィルムや保護フィルム等である。偏光フィルムの偏光子の材料としては、PVA(Polyvinyl Alcohol)等が挙げられ、セパレートフィルムや保護フィルムの材料としては、PET(Polyethylene Terephthalate)等が挙げられる。フィルム2aは、搬送装置3の搬送方向Xに延在し、搬送方向Xに直交する幅方向Yに予め設定された幅を有する。
フィルム2aに生じる欠陥としては、異物、打痕、気泡(成形時に生じる物等)、異物気泡(異物の混入により生じる物等)、傷、クニック(折り目痕等により生じる物等)、及びスジ(厚さの違いにより生じる物等)が挙げられる。欠陥検査システム100aは、これらの欠陥を検出する。
図1及び図2に示すように、フィルム製造装置1a及び欠陥検査システム100aの搬送部である搬送装置3は、フィルム2aにおいて、光源4により光を照射され、画像生成装置5により画像を撮像される位置が変化するように、光源4、遮光体7及び画像生成装置5に対してフィルム2aを搬送方向Xに相対的に搬送する。搬送装置3は、例えば、フィルム2aを搬送方向Xに搬送する送出ローラと受取ローラを備え、ロータリーエンコーダなどにより搬送距離を計測する。本実施形態では搬送速度は、搬送方向に2〜100m/分程度に設定される。搬送装置3における搬送速度は、解析装置6等によって設定及び制御される。
光源4は、フィルム2aに光を照射する。光源4は、幅方向Yに平行な線状な光を照射するように配置されている。光源4としては、メタルハライドランプ、ハロゲン伝送ライト、蛍光灯など、フィルム2aの組成および性質に影響を与えない光を照射するものであれば、特に限定されない。
画像生成装置5は、光源4からフィルム2aに照射されてフィルム2aを透過した光による2次元画像を離散時間ごとに撮像する。また、画像生成装置5は、2次元画像を撮像するだけではなく、撮像したフィルム2aの2次元画像の画像データを処理し、解析装置6に出力する。画像生成装置5は、例えば、画像処理プログラムが記述されたプロセッサを備えるカメラ(インテリジェントカメラ、スマートカメラ等と呼ばれる)等を適用することができる。画像生成装置5の詳細については後述する。
解析装置6は、画像生成装置5により処理された画像データを解析する解析部である。解析装置6は、画像生成装置5により処理された画像データにより、フィルム2aの欠陥の位置を特定し、位置を特定されたフィルム2aの欠陥の種別を識別する。解析装置6は、2次元画像データの画像処理を行うものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、画像処理ソフトウェアがインストールされたPC(パーソナルコンピュータ)、画像処理回路が記述されたFPGA(Field Programmable Gate Array)を搭載する画像キャプチャボード等を適用することができる。解析装置6の詳細については後述する。
解析装置6に接続された表示装置30は、例えば、PC(パーソナルコンピュータ)等からなり、解析装置6により解析された欠陥の位置及び種別をLC(Liquid Crystal)表示パネル、プラズマ表示パネル、EL(ElectroLuminescence)表示パネル等に表示する。表示装置30は、搬送装置3における搬送速度や、画像生成装置5における画像データの処理の条件や、解析装置6における欠陥の種別を識別するためのパラメータ等を設定及び制御する。なお、画像生成装置5が処理された画像を表示する表示装置を有していてもよく、解析装置6が解析された欠陥の位置及び種別を表示する表示装置を有していてもよい。
欠陥検査システム100aは、光源4とフィルム2aとの間に位置し、光源4からフィルム2aに照射される光の一部を遮光する遮光体7(ナイフエッジ)を配置してもよい。遮光体7は、画像生成装置5から視て、搬送方向Xにおける画像生成装置5の撮像領域の一部が暗視野となるように配置されている。遮光体7は、フィルム2aからの散乱光が画像生成装置5に直接入射せず、フィルム2aの欠陥によって散乱した散乱光が画像生成装置5によって受光されるように配置されている。
遮光体7を光源4とフィルム2aとの間、特に光源4と遮光体7との間に配置する場合、欠陥検査システム100aは、光源4からフィルム2a及び遮光体7に照射される光の進行方向を平行にする平行光レンズ8を配置してもよい。平行光レンズ8は、例えば、テレセントリック光学系により構成することができる。
以下、本実施形態の画像生成装置5について、さらに詳述する。図3に示すように、画像生成装置5は、撮像部51、画像処理部52及び画像出力部53を備えている。撮像部51は、光源4からフィルム2aに照射されてフィルム2aを透過した光による2次元画像を離散時間ごとに撮像する。撮像部51は、光学部材50aと光電変換素子50bとを有している。光学部材50aは、光学レンズ、シャッター等から構成され、フィルム2aを透過した光を光電変換素子50bの表面に結像させる。光電変換素子50bは、2次元画像を撮像するCCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(ComplementaryMetal-Oxide Semiconductor)等の撮像素子で構成されるエリアセンサである。
画像処理部52は、撮像部51により撮像された2次元画像の画像データを処理する。画像処理部52は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、DSP(DigitalSignal Processor)など論理構成を書き換え可能な集積回路素子を用いることで、実行する画像処理の内容を適宜変更することができる。例えば、表示装置30が画像処理部52に対してアクセス可能に構成し、表示装置30に各種画像処理に対応した書き換えプログラムを記憶させておく。解析装置6そのものを変更した場合や、解析装置6で行う解析処理の内容を変更した場合は、その変更に応じて表示装置30を通じて、画像処理部52の集積回路の論理構成を書き換えることができる。
画像出力部53は、解析装置6と接続するためのインターフェイスであり、画像処理部52で処理された2次元画像の画像データである後述のライン分割画像データ及び欠陥強調処理画像データを解析装置6へと出力する。
撮像部51の光電変換素子50b、画像処理部52の集積回路素子及び画像出力部53のインターフェイスは、例えば、プリント配線基板などの実装基板54に一体となるように実装されている。光電変換素子50b、画像処理部52及び画像出力部53は、実装基板54に設けられた信号配線を介して2次元画像の処理前の画像データや処理後の画像データの入出力を行う。1枚の実装基板54に、光電変換素子50b、画像処理部52及び画像出力部53が一体となるように実装されている。また、複数枚の実装基板54に、光電変換素子50b、画像処理部52及び画像出力部53がそれぞれ実装され、当該複数枚の実装基板54のそれぞれが筐体等の内部で一体化され、実装基板54のそれぞれに設けられたコネクタ同士がケーブルで接続されていてもよい。実装基板54は、公知のものを用いることができ、誘電体層がFR−4(Flame Retardant Type 4)やポリイミドからなる樹脂基板、誘電体層がアルミナなどのセラミックスからなるセラミックス基板を用いることができる。
画像生成装置5の画像処理部52について、さらに詳述する。図4に示すように、画像処理部52は、演算部10及び記憶部20を有している。演算部10は、データ抽出部11、データ格納部12、変化量算出部13、同一箇所判定抽出部14、積算部15及び画像生成部16を含む。また、記憶部20は、第1記憶部21、第2記憶部22、第3記憶部23及び第4記憶部24を含んでいる。
データ抽出部11は、第1抽出部111〜第k抽出部11kを含んでいる(以下、kは2以上の自然数)。第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、撮像部51により離散時間ごとに撮像され、記憶部20の第1記憶部21に記憶されている2次元画像のそれぞれを搬送方向Xに並列する1番目〜k番目のラインに分割し、撮像部51により離散時間ごとに撮像された2次元画像のそれぞれにおける同じ位置の1番目〜k番目のラインをそれぞれ抽出する。
データ格納部12は、第1格納部121〜第k格納部12kを含んでいる。第1格納部121〜第k格納部12kのそれぞれは、データ抽出部11の第1抽出部111〜第k抽出部11kにより抽出された離散時間ごとの2次元画像のそれぞれにおける同じ位置の1番目〜k番目のラインを時系列順に並列させてライン分割画像をそれぞれ生成し、記憶部20の第2記憶部22の第1領域221〜第k領域22kのそれぞれに当該ライン分割画像の画像データを記憶させる。データ抽出部11及びデータ格納部12は、ライン分割処理部として機能する。
変化量算出部13は、第1算出部131〜第k算出部13kを含んでいる。第1算出部131〜第k算出部13kのそれぞれは、第2記憶部22の第1領域221〜第k領域22kのそれぞれに記憶された第1番目〜第k番目のラインに係るライン分割画像を抽出し、第1番目〜第k番目のラインに係るライン分割画像における輝度変化を強調した強調処理画像をそれぞれ生成し、記憶部20の第3記憶部23に当該強調処理画像の画像データを記憶させる。
同一箇所判定抽出部14は、記憶部20の第3記憶部23に記憶された第1番目〜第k番目のラインに係るライン分割画像の強調処理画像について、フィルム2aの同一箇所を示す部位を抽出する。積算部15は、同一箇所判定抽出部14により抽出されたフィルム2aの同一箇所を示す強調処理画像同士の画素値を積算し、記憶部20の第4記憶部24に記憶させる。画像生成部16は、記憶部20の第4記憶部24に記憶された強調処理画像同士の画素値から、フィルム2aの同一箇所を示す強調処理画像であって、欠陥がさらに強調された欠陥強調処理画像を生成し、画像出力部53に出力する。変化量算出部13、同一箇所判定抽出部14、積算部15及び画像生成部16は、強調処理部として機能する。
画像出力部53は、記憶部20の第2記憶部22の第1領域221〜第k領域22kから、第1番目〜第k番目のラインに係るライン分割画像の画像データを抽出し、解析装置6に出力する。また、画像出力部53は、画像生成部16から入力された欠陥強調処理画像の画像データを解析装置6に出力する。
以下、本実施形態の解析装置6について、さらに詳述する。図5に示すように、解析装置6は、解析画像入力部61、欠陥位置特定部62、欠陥種別識別部63、データベース64及び制御部65を備えている。解析画像入力部61は、画像生成装置5の画像出力部53から出力されたライン分割画像の画像データ及び欠陥強調処理画像の画像データが入力される。
欠陥位置特定部62は、画像生成装置5の画像生成部16により処理された欠陥強調処理画像の画像データにより、フィルムにおける欠陥の位置を特定する。欠陥位置特定部62は、特定された欠陥の位置に関する欠陥位置情報を欠陥種別識別部63及び制御部65に出力する。
欠陥種別識別部63は、画像生成装置5のデータ格納部12により処理されたライン分割画像の画像データにより、欠陥位置特定部62により位置を特定された欠陥の種別を識別する。欠陥種別識別部63は、欠陥の種別の識別の際に、欠陥の種別の識別のための学習データが記憶されたデータベース64を参照し、欠陥の種別の識別後に欠陥の種別の結果を新たな学習データとしてデータベース64に記憶させる。欠陥種別識別部63は、識別された欠陥の種別に関する欠陥種別情報を制御部65に出力する。
制御部65は、解析装置6の各部を統括的に制御する。制御部65は、入力された欠陥位置情報及び欠陥種別情報に基づいて、フィルム2aの全領域に対応する欠陥の位置及び種別を示す欠陥マップを作成する。制御部65は、当該欠陥マップを表示装置30に表示させる。また、制御部65は、入力された欠陥位置情報及び欠陥種別情報に基づいて、搬送装置3によるフィルム2aの搬送速度等を制御することができる。
以下、本実施形態のフィルム製造装置1a及び欠陥検査システム100aの動作について説明する。上述した欠陥検査システム100aを用いて、光源4からフィルム2aに光を照射する工程が行われる。遮光体7により、光源4からフィルム2aに照射される光の一部を遮光する工程が行われる。画像生成装置5の撮像部51により、光源4からフィルム2aに照射されてフィルム2aを透過した光による2次元画像を離散時間ごとに撮像する工程が行われる。搬送装置3により、光源4、遮光体7及び撮像部51に対してフィルム2aを搬送方向Xに相対的に搬送する工程が行われる。
以下の説明では、説明を簡単にするために、撮像部51がフィルム2aの2次元画像を撮像する離散時間ごとの間隔(1フレーム間隔)において、搬送装置3によりフィルム2aが搬送方向Xに搬送される距離は、後述する1本のラインの搬送方向Xに沿った幅と同一であるものとする。実際のフィルム製造装置1a及び欠陥検査システム100aにおいては、要求される欠陥検査の精度とフィルム2aを製造する速度とに応じて、撮像部51の1フレーム間隔及び搬送装置3の搬送速度を任意に設定することができる。
画像生成装置5の画像処理部52により、撮像部51により撮像された2次元画像の画像データを処理する工程が行われる。以下、画像処理部52により行われる処理について詳述する。撮像部51により離散時間ごとに撮像された2次元画像である撮像画像のそれぞれは、画像処理部52の記憶部20の第1記憶部21に順次記憶される。図7(A)に示すように、時刻t1における撮像画像F(t1)は、光源4からの光が遮光体7により遮光されるため、搬送方向Xの下流側に至るにつれて撮像画像F(t1)内の明度が低くなる。また、撮像画像F(t1)には、フィルム2a上の欠陥Dが写っている。なお、以下の説明において、図7(A)〜図7(J)に示される欠陥Dは、説明の便宜のために簡略化した模式図であり、現実の欠陥は欠陥の種別に応じた形状を有する。
図6に示すように、画像処理部52の演算部10のデータ抽出部11の第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、1〜k番目のラインをそれぞれ抽出する(S11)。図7(B)に示すように、第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、撮像画像F(t1)を搬送方向Xに等間隔で並列する複数の1番目のラインL1(t1)〜j番目のラインLj(t1)〜k番目のラインLk(t1)に分割する。上述したように、ラインL1(t1)〜ラインLk(t1)の搬送方向Xの幅は、時刻t1,時刻t2,…,時刻tn(nは任意の自然数)のそれぞれの1フレーム間隔において、フィルム2aが搬送方向Xに搬送される距離と同一である。
第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、ラインL1(t1)〜ラインLk(t1)をそれぞれ抽出する。第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、抽出したラインL1(t1)〜ラインLk(t1)の画像データを演算部10のデータ格納部12の第1格納部121〜第k格納部12kのそれぞれに記憶させる。第1抽出部111〜第k抽出部11kのそれぞれは、時刻t2,時刻t3…,時刻tnにおいて、撮像画像F(t2),撮像画像F(t3)〜撮像画像F(tn)に対して同様の処理を行う。
図6に示すように、第1格納部121〜第k格納部12kのそれぞれは、撮像部51により離散時間ごとに撮像された撮像画像F(t1)〜撮像画像F(tn)のそれぞれにおける同じ位置のラインL1(t1),ラインL1(t2),…,ラインL1(tn)等、ラインLj(t1),ラインLj(t2),…,ラインLj(tn)等及びラインLk(t1),ラインLk(t2),…,ラインLk(tn)等を時系列順に並列させたライン分割画像の画像データに処理し、記憶部20の第2記憶部22の第1領域221〜第k領域22kにそれぞれに記憶させる(S12)。
1番目のライン分割画像を例に挙げて説明する。図7(C)に示すように、第1格納部121は、離散時間ごとに撮像された撮像画像F(t1),撮像画像F(t2),撮像画像F(t3),…のそれぞれにおける1番目のラインL1(t1),ラインL1(t2),ラインL1(t3),…を時系列順(搬送方向X)に並列させる。図7(D)に示すように、第1格納部121は、撮像画像F(t1)〜撮像画像F(tk)のそれぞれにおける1番目のラインL1(t1)〜ラインL1(tk)を時系列順に並列させて、1番目のライン分割画像DL1(t1)を生成する。ライン分割画像DL1(t1)のt1は、ライン分割画像DL1(t1)における搬送方向Xの最も上流側のラインが、時刻t1において撮像された撮像画像F(t1)の1番目のラインに係るものであることを意味する。第1格納部121は、ライン分割画像DL1(t2),ライン分割画像DL1(t3),…を同様にして生成し、第1領域221に記憶させる。第1格納部121〜第k格納部12kにおいて、同様の処理が行われる。
図6に示すように、変化量算出部13の第1算出部131〜第k算出部13kのそれぞれは、第1格納部121〜第k格納部12kのそれぞれにより処理され、第1領域221〜第k領域22kにそれぞれに記憶されたライン分割画像DL1(t1)等を抽出し、ライン分割画像DL1(t1)等をライン分割画像DL1(t1)等における輝度変化を強調した強調処理画像の画像データに処理し、記憶部20の第3記憶部23に記憶させる(S13)。
また、1番目のライン分割画像DL1(t1)を例に挙げて説明する。図7(E)に示すように、第1算出部131は、ライン分割画像DL1(t1)における輝度変化を強調した強調処理画像EL1(t1)を生成する。第1算出部131は、例えば、ライン分割画像DL1(t1)における画素のそれぞれの間の輝度変化の勾配を算出する微分演算を行う。第1算出部131は、算出された微分値がライン分割画像DL1(t1)における画素のそれぞれを変換する。これにより、第1算出部131は、ライン分割画像DL1(t1)における輝度変化を強調した強調処理画像EL1(t1)を生成することができる。第1算出部131は、強調処理画像EL1(t2),強調処理画像EL1(t3),…を同様にして生成し、第3記憶部23に記憶させる。第1算出部131〜第k算出部13kにおいて、同様の処理が行われる。なお、以下の説明において、図7(E),図7(G)〜(I)に示される強調処理がなされた欠陥Dは、説明の便宜のために簡略化された模式図として、強調処理がなされていない図7(D)等の欠陥Dを白黒反転させた物として示す。
図6に示すように、演算部10の同一箇所判定抽出部14は、第3記憶部23に記憶された強調処理画像EL1(t1)等におけるフィルム2aの同一箇所を示す強調処理画像EL2(t2),強調処理画像EL3(t3),…強調処理画像ELj(tj)等を抽出し、演算部10の積算部15は、抽出された強調処理画像EL1(t1),…,強調処理画像ELj(tj)等の画素値を積算する(S14)。
図7(F)に示すようなj番目のライン分割画像DLj(t1)を例に挙げて説明する。ライン分割画像DLj(t1)は、時刻t1におけるj番目のラインLj(t1),時刻t2におけるj番目のラインLj(t2),…,時刻tkにおけるj番目のラインLj(tk)を時系列順に並列させたものである。
図7(G)に示すように、ライン分割画像DLj(t1)における輝度変化を強調した強調処理画像ELj(t1)が生成される。強調処理画像ELj(t1)は、搬送方向Xの最も上流側のラインが時刻t1において撮像された撮像画像F(t1)のj番目のラインに係るものである。したがって、j番目のラインの強調処理画像において、1番目のラインの強調処理画像EL1(t1)と同一箇所を示す強調処理画像は、図7(H)に示すように、時刻tjにおける強調処理画像ELj(tj)である。同様にして、同一箇所判定抽出部14は、同一箇所を示す強調処理画像EL1(t1),強調処理画像EL2(t2),強調処理画像EL3(t3),…,強調処理画像ELk(tk)等を抽出する。
積算部15は、同一箇所を示す強調処理画像EL1(t1),強調処理画像EL2(t2),強調処理画像EL3(t3),…,強調処理画像ELk(tk)等の画素値を積算し、第4記憶部24に記憶させる。演算部10の画像生成部16は、第4記憶部24に記憶させた画素値から、図7(I)に示すような欠陥強調処理画像E(t1)を生成する。
図6に示すように、画像生成部16は、欠陥強調処理画像E(t1)等の画像データを画像出力部53に出力し、画像出力部53は、欠陥強調処理画像E(t1)等の画像データを解析装置6に出力する(S15)。また、画像生成部16は、フィルム2aの同一箇所を示すライン分割画像DL1(t1),ライン分割画像DL2(t2),…,ライン分割画像DLk(tk)等の画像データを第2記憶部から抽出して画像出力部53に出力し、画像出力部53は、ライン分割画像DL1(t1),ライン分割画像DL2(t2),…,ライン分割画像DLk(tk)等の画像データを解析装置6に出力する(S16)。
図7(F)に示すように、例えば、ライン分割画像DLj(t1)は、搬送方向Xの最も上流側のラインが時刻t1において撮像された撮像画像F(t1)のj番目のラインに係るものである。したがって、ライン分割画像DL1(t1)と同一箇所を示す画像は、図7(J)に示すように、時刻tjにおけるライン分割画像DLj(tj)である。同様にして、画像出力部53は、同一箇所を示すライン分割画像DL1(t1),ライン分割画像DL2(t2),…,ライン分割画像DLj(tj)等の画像データを解析装置6に出力する。
解析装置6により、画像生成装置5の画像処理部52により処理された画像データを解析する工程が行われる。以下、解析装置6により行われる処理について詳述する。画像生成装置5の画像出力部53から解析装置6の解析画像入力部61に、欠陥強調処理画像E(t1)等の画像データと、ライン分割画像DL1(t1),…,ライン分割画像DLk(tk)等の画像データとが入力される。
図8に示すように、解析装置6の欠陥位置特定部62は、画像生成装置5の変化量算出部13、同一箇所判定抽出部14、積算部15及び画像生成部16により処理された欠陥強調処理画像E(t1)等の画像データにより、フィルム2aにおける欠陥Dの位置を特定する工程を実行する(S21)。欠陥Dの位置は、例えば、搬送方向X及び幅方向Yを座標軸とする2次元の直交座標系で表すことができる。欠陥位置特定部62は、特定された欠陥位置情報を欠陥種別識別部63及び制御部65に出力する。
解析装置6の欠陥種別識別部63は、画像生成装置5のデータ抽出部11及びデータ格納部12により処理されたライン分割画像DL1(t1),…,ライン分割画像DLj(tJ)等の画像データにより、欠陥位置特定部62により位置を特定された欠陥Dの特徴量を抽出する(S22)。欠陥種別識別部63は、ライン分割画像DL1(t1),…,ライン分割画像DLk(tk)等の欠陥Dの位置において、例えば、輝度合計、輝度平均、輝度中央値、輝度分散、輝度勾配方向、輝度勾配の大きさ、欠陥Dの面積、欠陥Dの周囲長、欠陥Dの円形度、欠陥Dのフェレ径及び欠陥Dの縦横比を欠陥Dの特徴量として抽出する。
欠陥種別識別部63は、画像生成装置5のデータ抽出部11及びデータ格納部12により処理されたライン分割画像DL1(t1),…,ライン分割画像DLk(tk)等の画像データにより、欠陥位置特定部62により位置を特定された欠陥Dの種別を識別する工程を実行する(S23)。欠陥種別識別部63は、ライン分割画像DL1(t1),…,ライン分割画像DLk(tk)等の欠陥Dの位置において、輝度合計等を特徴量とするニューラルネットワーク等の機械学習により、欠陥Dの異物、打痕、気泡、異物気泡、傷、クニック及びスジ等の種別を識別する。
解析装置6のデータベース64には、輝度合計等を特徴量とする学習データが記憶されている。欠陥種別識別部63は、例えば、図9に示すような輝度合計、輝度平均、輝度中央値等を特徴量θα,特徴量θβ及び特徴量θγとする特徴空間Sに、欠陥Dの特徴量θα,θβ,θγをプロットする。図9の例では、複数の気泡b及び異物fの欠陥Dの特徴量θα,θβ,θγがプロットされている。欠陥種別識別部63は、データベース64を参照しつつ、例えば、特徴空間Sに、特徴量θβの特徴量閾値θβthによる識別面Pを設定する。これにより、欠陥種別識別部63は、気泡bと異物fとを識別することができる。同様にして、欠陥種別識別部63は、欠陥Dの異物、打痕、気泡、異物気泡、傷、クニック及びスジ等の種別を識別する。
図8に示すように、欠陥種別識別部63は、欠陥Dの種別の識別により新たに得られた学習データをデータベース64に記憶させる(S24)。また、欠陥種別識別部63は、識別された欠陥種別情報を制御部65に出力する。なお、欠陥種別識別部63は、欠陥Dの種別を識別するための機械学習として、AdaBoostに代表されるブースティングや主成分分析等の次元削減法を適用してもよい。制御部65は、入力された欠陥位置情報及び欠陥種別情報に基づいて、欠陥マップを作成及び表示し、搬送装置3によるフィルム2aの搬送速度等を制御する。
本実施形態によれば、欠陥検査システム100aの解析装置6の欠陥位置特定部62によって、欠陥検査システム100aの画像処理部52の変化量算出部13、同一箇所判定抽出部14、積算部15及び画像生成部16により処理された欠陥強調処理画像E(t1)の画像データにより、フィルム2aにおける欠陥Dの位置が特定され、解析装置6の欠陥種別識別部63によって、画像処理部52のデータ抽出部11及びデータ格納部12により処理されたライン分割画像DL1(t1)の画像データにより、欠陥位置特定部62により位置を特定された欠陥Dの種別が識別される。ライン分割画像DL1(t1)の画像データは輝度変化が強調されていないため、欠陥Dの種別を識別することが容易である。したがって、フィルム2aの欠陥の位置を容易に特定でき、かつ欠陥Dの種別をより容易に識別できる。
また、本実施形態によれば、欠陥種別識別部63により、ライン分割画像DL1(t1)の欠陥Dの位置において、輝度合計等を特徴量とする機械学習により欠陥Dの種別が識別される。輝度変化が強調されていないライン分割画像DL1(t1)は、特徴量の検出や検出された特徴量による機械学習が容易である。したがって、欠陥Dの種別をより高精度で識別することができる。
また、本実施形態によれば、遮光体7により光源4からフィルム2aに照射される光の一部が遮光され、欠陥Dの検出感度が高く、微小な欠陥Dを検出することができる暗視野法によりフィルム2aの欠陥が検査される。欠陥位置特定部62は、変化量算出部13、同一箇所判定抽出部14、積算部15及び画像生成部16により処理された欠陥強調処理画像E(t1)の画像データによりフィルム2aにおける欠陥Dの位置を特定するため、暗視野法において欠陥Dの検出感度をより高めることができる。一方、欠陥種別識別部63は、輝度変化が強調されていないライン分割画像DL1(t1)の画像データにより欠陥Dの種別を識別するため、欠陥Dの種別をより容易に識別できる。
また、本実施形態によれば、撮像部51は、光電変換素子50bと、フィルム2aを透過した光を光電変換素子50bの表面に結像させる光学部材50aとを有し、光電変換素子50b及び画像処理部52は、実装基板54に一体に実装されている。つまり、光学部材50aと光電変換素子50bとを有するカメラ等の撮像部51に、2次元画像をライン分割画像DL1(t1)及び欠陥強調処理画像E(t1)の画像データに処理する画像処理部52が一体化されている。したがって、カメラの後段の装置において、2次元画像をライン分割画像DL1(t1)及び欠陥強調処理画像E(t1)の画像データに処理する必要が無く、カメラの後段の装置の演算負荷が軽減される。
以下、本発明の第2実施形態について説明する。図10に示すように、本実施形態のフィルム製造装置1bは、上記第1実施形態のフィルム製造装置1aの搬送装置3、画像生成装置5及び解析装置6を備えている。しかし、本実施形態の欠陥検査システム100bでは、光源4及び遮光体7と画像生成装置5とがフィルム2aの同じ面側に配置され、画像生成装置5は、光源4からフィルム2aに照射されてフィルム2aを反射した光による2次元画像を離散時間ごとに撮像する点が、上記第1実施形態と異なっている。このような反射式のフィルム製造装置1b及び欠陥検査システム100bであっても、上記第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
以下、本発明の第3実施形態について説明する。図11に示すように、本実施形態のフィルム製造装置1cは、上記第1実施形態の欠陥検査システム100aと同様の欠陥検査システム100cに加えて、フィルム2aを画像生成装置5に搬送する搬送装置3と、フィルム2bを画像生成装置5に搬送する搬送装置3とをそれぞれ備えている。また、フィルム製造装置1bは、フィルム2aとフィルム2bとは搬送装置3によって貼り合わせ、積層されたフィルム2cを製造する。画像生成装置5は、上記第1実施形態と同様に、積層されたフィルム2cの欠陥の検査を行う。フィルム2cは、例えば、電池用セパレータフィルム等に適用することができる。また、フィルム2cは、偏光特性を有する偏光フィルム(光学フィルム)や偏光特性を有さない位相差フィルム(光学フィルム)等を、セパレートフィルムや保護フィルム等の他のフィルムと貼り合わせたフィルム等とすることができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されることなく様々な形態で実施される。