(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
なお、図1及び図2では、発明の理解を容易にするために、図4〜図8に示す2つの戸側接点部15A,15B及び固定体側接点部17A,17Bを1つの戸側接点部15A及び固定体側接点部17Aに簡略化して示している。
図1及び図2に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である、軌道1は、車両2の左右の車輪4aを支持し案内してこの車両2を走行させる左右のレール1aなどを備えている。車両2は、軌道1に沿って走行する移動体である。車両2は、例えば、電車、気動車又は客車などの鉄道車両である。車両2は、車体3と台車4などを備えている。車体3は、乗客を積載し輸送する構造物である。台車4は、車体3を支持して軌道1上を走行する走行装置(走り装置)であり、レール1aと転がり接触する車輪4aなどを備えている。
図1に示す側出入口5は、乗客が乗降するときに使用する出入口である。側出入口5は、車体3の側構え(側構体)を構成する側面に形成されている。側出入口5は、例えば、特急形車両の場合には片側1個、近郊形車両の場合には片側3個、通勤形車両の場合には片側4個配置されている。側出入口5は、図1及び図2に示すように、かもい5aなどを備えている。かもい5aは、側出入口5の上部を構成する部分であり、車両2側に固定されている固定構造物(固定体)である。
図1及び図2に示す側引戸6R,6Lは、閉鎖位置P1と開放位置P2との間で往復移動可能な側戸である。側引戸6R,6Lは、互いに反対方向に開閉する2枚の両引戸であり側出入口5を開閉する。側引戸6R,6Lは、側出入口5を開放するときには車体3の戸袋内に収容される。側引戸6R,6Lは、側引戸6R,6Lの骨組に取り付けられて側引戸6R,6Lの表面を構成する戸板6aと、車内の採光及び乗客が外部を監視するためのガラス窓6bなどを備えている。
図1〜図3に示す戸先ゴム7R,7Lは、側引戸6R,6Lの先端部を構成するゴムである。戸先ゴム7R,7Lは、この戸先ゴム7R,7L間に介在物O1,O2が挟み込まれたときに発生する衝撃を緩和するとともに、側引戸6R,6Lが閉じたときにこの戸先ゴム7R,7L間に隙間が形成されないように密着させる機能を有する。戸先ゴム7R,7Lは、図3に示すように、水平面で切断したときの断面が略U字状の中空部材であり、図1及び図2に示すように側引戸6R,6Lの高さ方向に沿って連続して取り付けられている。戸先ゴム7R,7Lは、図3(B)に示すように、側引戸6R,6Lが閉じたときにこの戸先ゴム7Rの先端部と戸先ゴム7Lの先端部との間に隙間が形成されないように、僅かに弾性変形した状態で密着する。戸先ゴム7R,7Lは、例えば、母材である天然ゴムの表面を耐久性の高いクロロプレンゴムによって被覆して形成されている。
図1〜図3に示す戸挟み検知装置8R,8Lは、戸先ゴム7R,7Lへの介在物O2の挟み込みを検知する装置である。戸挟み検知装置8R,8Lは、図3(A)に示すように、側引戸6R,6Lを閉じたときに、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力を検知することによって、戸先ゴム7Rと戸先ゴム7Lとの間の介在物O2の挟み込みを検知する。戸挟み検知装置8R,8Lは、図1及び図2に示すように、戸先ゴム7R,7Lの長さ方向に沿ってこの戸先ゴム7R,7Lの内部に連続して取り付けられており、戸挟み検知装置8Rは戸先ゴム7R側に配置されており、戸挟み検知装置8Lは戸先ゴム7L側に配置されている。戸挟み検知装置8R,8Lは、図1及び図2に示すように、閉鎖位置P1と開放位置P2との間を往復移動する側引戸6R,6Lとかもい5aとの間で、図4に示すように戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触状態であるときに、側引戸6R,6L側からかもい5a側へ戸挟み検知信号を伝送する。戸挟み検知装置8R,8Lは、図3に示すように、圧電ゴム部8aと、電極部8b,8cと、端子8d,8eなどを備えている。
図3に示す圧電ゴム部8aは、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力に応じた電気信号を出力する部分である。圧電ゴム部8aは、機械的変位を圧電効果によって電気信号に変換する機械電気変換部である。圧電ゴム部8aは、例えば、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力によって発生する戸先ゴム7R,7Lの弾性変形(機械的変位)を圧電効果によって電気信号に変換する。圧電ゴム部8aは、ゴム中に圧電材料を分散させた弾性を有する圧電材であり、圧力の大きさに応じた電力を発生する圧電型圧力センサである。圧電ゴム部8aは、例えば、ニトリルゴムなどのゴム材とチタン酸ジルコン酸鉛(商品名PZT)などの圧電セラミック粉末とを混合する混合工程と、この混合工程後の混合物を加硫する加硫工程と、この加硫工程後の混合物の両端部に電圧を印加してこの混合物を分極させる分極工程とによって製造される。圧電ゴム部8aは、図1、図2、図6及び図7(B)に示すように、戸先ゴム7R,7Lに作用する圧力に応じた電気信号(戸挟み検知信号)を、信号線9R,9L,11R,11L及び信号伝送装置14R,14Lを通じて戸挟み判定装置10に伝送する。
図3に示す電極部8b,8cは、圧電ゴム部8aに電気的に接続された接点部分である。電極部8b,8cは、圧電ゴム部8aの両面にそれぞれ積層されており、圧電ゴム部8aの両面全域を被覆するように接合されている。電極部8b,8cは、例えば、互いに平行になるように各圧電ゴム部8aの両面に加硫接着して形成されたり、金属、金属酸化物又はカーボンなどの導電性材料を蒸着、シルクスクリーン印刷又はイオンスパッタリングなどの方法によって圧電ゴム部8aの両面に形成されたり、導電性材料を含有する樹脂又は導電性高分子などの導電性樹脂を圧電ゴム部8aの両面に多層化して形成されたりする。例えば、電極部8bはグランド側(マイナス側)の電極であり、電極部8cは非グランド側(プラス側)の電極である。
端子8d,8eは、信号線9R,9Lと電極部8b,8cとを電気的に接続する部分である。端子8d,8eは、例えば、電極部8b,8c側に取り付けられたコネクタ部と信号線9R,9L側に取り付けられたコネクタ部とを着脱自在に嵌合させることによって、信号線9R,9Lと電極部8b,8cとを電気的に接続する。例えば、端子8dはグランド側(マイナス側)の端子であり、端子8eは非グランド側(プラス側)の端子である。
図1〜図3に示す信号線9R,9Lは、戸挟み検知装置8R,8Lから信号伝送装置14R,14Lの戸側接点部15A,15Bに戸挟み検知信号を伝える電線である。信号線9R,9Lは、導電材の表面が絶縁材によって被覆されており、図1及び図2に示すように側引戸6R,6Lの上端部に沿って配線されている。信号線9R,9Lは、図3に示すように、一方の端部が戸挟み検知装置8R,8Lの端子8d,8eに接続されており、図4〜図7に示すように他方の端部が信号伝送装置14R,14Lの戸側接点部15A,15Bに接続されている。
図1及び図2に示す戸挟み判定装置10は、側引戸6R,6Lへの介在物O2の挟み込みの有無を判定する装置である。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知装置8R,8Lの検出結果に基づいて戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれたか否かを判定する。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を受信し、この戸挟み検知信号のレベルが所定値(しきい値)を超えたか否かを判定する。戸挟み判定装置10は、戸挟み検知信号のレベルが所定値を超えたときには、図3(A)に示すように戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると判定する。一方、戸挟み判定装置10は、戸挟み検知信号のレベルが所定値以下であるときには、図3(B)に示すように戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないと判定する。戸挟み判定装置10は、戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みの有無に応じた戸挟み判定信号を制御装置12に出力する。
図1、図2及び図4〜図7に示す信号線11R,11Lは、信号伝送装置14R,14Lの固定体側接点部17A,17Bから戸挟み判定装置10に戸挟み検知信号を伝える電線である。信号線11R,11Lは、図1及び図2に示す車体3の内側側面に沿って配線されている。信号線11R,11Lは、図1、図2、図4〜図7に示すように、一方の端部が信号伝送装置14R,14Lの固定体側接点部17A,17Bに接続されており、他方の端部が戸挟み判定装置10に接続されている。
図1及び図2に示す制御装置12は、車両2に関する種々の動作を制御する装置である。制御装置12は、例えば、車両2の各種機器を一括して管理する列車集中管理システムであり車両2に設置されている。制御装置12は、側引戸6R,6Lを開閉駆動する戸閉め機械を駆動制御する。制御装置12は、例えば、図3(A)に示すように戸挟み判定装置10が戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると判定し戸挟み判定信号を出力したときには、側引戸6R,6Lを再開するように戸閉め機械を駆動制御する。
図1及び図2に示す表示装置13は、車両2に関する種々の情報を表示する装置である。表示装置13は、例えば、戸挟み判定装置10の判定結果を画面上に表示する液晶ディスプレイ装置又はタッチパネル装置などのモニタ装置であり、車両2の乗務員室に設置されている。表示装置13は、車両2の各側引戸6R,6Lの動作状況をモニタ画面上に表示し、列車が単数又は複数の車両2によって編成されているときには、介在物O2の挟み込みの有無を車両2毎に乗務員が視覚によって認識可能なように画面上に表示する。表示装置13は、例えば、文字、図形、記号又はこれらの組み合わせによって車両2毎に側引戸6R,6Lの動作状況を画面上に表示する。表示装置13は、例えば、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていない側引戸6R,6Lをモニタ画面上に青色で表示し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれている側引戸6R,6Lをモニタ画面上に赤色で表示する。
図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lは、側引戸6R,6Lと車体3との間で戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させて戸挟み検知信号を伝送する装置である。信号伝送装置14R,14Lは、戸挟み検知装置8R,8Lが出力する戸挟み検知信号を可動体である側引戸6R,6L側から固定体である車体3側に伝送する。信号伝送装置14R,14Lは、図8(C)(D)に示すように、側引戸6R,6Lが所定区間L1を移動している間は、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させた状態で戸挟み検知装置8R,8Lから戸挟み判定装置10に戸挟み検知信号を伝送する接触型の伝送装置である。信号伝送装置14Rは、側引戸6R側の戸挟み検知装置8Rが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送し、信号伝送装置14Lは側引戸6L側の戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号を戸挟み判定装置10に伝送する。信号伝送装置14R,14Lは、図4〜図8に示す戸側接点部15A,15Bと、図4〜図6及び図8に示す戸側支持部16と、図4〜図8に示す固定体側接点部17A,17Bと、図4〜図6及び図8に示す固定体側支持部18と、接触状態維持部19と、図4〜図8に示す短絡構造20などを備えている。信号伝送装置14R,14Lは、いずれも同一構造であり、以下では図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lのうち信号伝送装置14L側を中心として説明し、信号伝送装置14R側については詳細な説明を省略する。
図4〜図8に示す戸側接点部15A,15Bは、側引戸6Lとともに往復移動する可動接点である。戸側接点部15A,15Bは、固定体側接点部17A,17Bに対して相対移動し、側引戸6Lの開閉動作に連動して固定体側接点部17A,17Bと接触及び離間する。戸側接点部15A,15Bは、図4〜図6に示すように、上下方向に所定の間隔をあけて互いに平行に戸側支持部16に取り付けられている。戸側接点部15Aは、図5に示すように、側引戸6Lが閉じるときには、戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bと接触を開始する前に固定体側接点部17Aと接触を開始する。戸側接点部15Aは、側引戸6Lが開くときには、戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bから離間を開始した後に固定体側接点部17Aから離間を開始する。例えば、戸側接点部15Aはグランド側(マイナス側)の接点部であり、戸側接点部15Bは非グランド側(プラス側)の接点部である。戸側接点部15A,15Bは、図4〜図8に示す接触部15a,15bと、導電部15cと、図4〜図6に示す固定部15dなどを備えている。
図4〜図7に示す接触部15aは、固定体側接点部17A側の接触部17aと接触する部分であり、接触部15bは固定体側接点部17B側の接触部17bと接触する部分である。接触部15a,15bは、外観が円板状の導電性部材からなる電気接点である。接触部15aは、側引戸6Lの開閉動作に応じて進退自在である。接触部15aは、図8(A)に示すように、側引戸6Lが開放位置P2に位置しているときには接触部15bよりも突出しており、図8(D)に示すように側引戸6Lが所定区間L1を往復移動している間は進退動作し、図8(D)に示すように側引戸6Lが閉鎖位置P1に位置しているときには接触部15bと同じ位置まで後退している。接触部15bは、図4〜図6及び図8に示すように、接触部15aとは異なり側引戸6Lの開閉動作にかかわらず戸側支持部16の所定の位置に固定されている。
図4〜図8に示す導電部15cは、電流経路を確保するための部分である。導電部15cは、外観が軸状の導電性部材であり、接触部15a,15bの裏面に一体に形成されている。導電部15cは、接触部15a,15bが形成されている側とは反対側の端部に雄ねじ部が形成されている。図4〜図6に示す固定部15dは、戸側接点部15Bを戸側支持部16に固定する部分である。固定部15dは、接触部15bとの間に戸側支持部16及び短絡接点部21bを挟み込むように導電部15cに固定されている。固定部15dは、例えば、導電部15cの雄ねじ部と噛み合うナットであり、導電部15cに着脱自在に装着されている。
図4〜図6に示す戸側支持部16は、戸側接点部15A,15Bを支持する部分である。戸側支持部16は、戸側接点部15Aを進退可能な状態で支持するとともに、戸側接点部15Bを固定された状態で支持する。戸側支持部16は、側引戸6Lと一体となって移動するように側引戸6Lの上端部に着脱自在に固定されている。戸側支持部16は、外観が略四角形状のブラケットとして機能する板材部材であり、戸側接点部15A,15B及び切替部21を電気的に絶縁する絶縁体である。戸側支持部16は、例えば、ナイロン樹脂のような絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。戸側支持部16は、収容部16aと、挿入部16bと、ガイド部16cなどを備えている。
図4〜図6に示す収容部16aは、付勢部21cを収容する部分である。収容部16aは、戸側支持部16の側面に形成された凹部であり、接触部15aの外径よりも穴径が小さく形成されている。収容部16aは、固定体側接点部17Aの接触部17aが戸側支持部16の側面と接触したときに付勢部21cが圧縮された状態でこの収容部16aに収容されるように所定の深さで形成されている。挿入部16bは、戸側接点部15Bを挿入する部分である。挿入部16bは、戸側接点部15Bの導電部15cが戸側支持部16に挿入された状態で固定されるように、この戸側支持部16を水平方向に貫通する貫通孔である。ガイド部16cは、戸側接点部15Aを進退自在にガイドする部分である。ガイド部16cは、戸側接点部15Aを側引戸6Lの移動方向に往復移動自在にガイドする。ガイド部16cは、戸側接点部15Aの導電部15cが戸側支持部16に対してスライド可能なようにこの戸側支持部16を水平方向に貫通する貫通孔であり、この戸側支持部16の収容部16aの底部に形成されている。
図4〜図8に示す固定体側接点部17A,17Bは、車体3側に固定される固定接点である。固定体側接点部17A,17Bは、戸側接点部15A,15Bとは異なり側引戸6Lとともに往復移動しないが、戸側接点部15A,15Bと接触及び離間することによって固定体側支持部18に対して往復移動する。固定体側接点部17A,17Bは、戸側接点部15A,15Bと接触可能なように、上下方向に所定の間隔をあけて互いに平行に固定体側支持部18に取り付けられている。例えば、固定体側接点部17Aはグランド側(マイナス側)の接点部であり、固定体側接点部17Bは非グランド側(プラス側)の接点部である。固定体側接点部17A,17Bは、図4〜図8に示す接触部17a,17bと、図4〜図6に示す導電部17cと、突出量規制部17dなどを備えている。
図4〜図8に示す接触部17a,17bは、戸側接点部15A,15B側の接触部15a,15bと接触する部分である。接触部17a,17bは、外観がピン状の導電性部材からなる電気接点である。接触部17a,17bは、側引戸6Lの開閉動作に応じて移動自在である。接触部17a,17bは、図8(A)に示すように、側引戸6Lが開放位置P2に位置しているときには突出しており、図8(C)に示すように側引戸6Lが所定区間L1を往復移動している間は進退動作し、図8(D)に示すように側引戸6Lが閉鎖位置P1に位置しているときには後退している。接触部17aは、側引戸6Lは開放位置P2から閉鎖位置P1に移動するときには、図5及び図8(B)に示すように、接触部17bが接触部15bと接触を開始するよりも前に接触部15aと接触を開始する。図4〜図6に示す導電部17cは、電流経路を確保するための部分である。導電部17cは、外観が軸状の導電性部材であり、接触部17a,17bと一体に形成されている。
図4〜図6に示す突出量規制部17dは、固定体側接点部17A,17Bの突出量を所定量に規制する部分である。突出量規制部17dは、固定体側接点部17A,17Bの導電部17cの外周部に形成されているフランジ部であり、ガイド部18aの孔径よりも外径が大きく形成されている。突出量規制部17dは、固定体側接点部17A,17Bが固定体側支持部18から抜け出すのを防止する抜け出し防止部(ストッパ部)としても機能する。突出量規制部17dは、固定体側支持部18に接触することによって、固定体側接点部17A,17Bを所定量だけ突出させる。突出量規制部17dは、例えば、固定体側接点部17A,17Bの外周面に形成された雄ねじ部と噛み合うナットであり、固定体側接点部17A,17Bに着脱自在に装着されている。突出量規制部17dは、取付位置を調整することによって接触部17aの突出量を調整し、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが非接触状態から接触状態になるタイミングを調整するタイミング調整部としても機能する。
図4〜図6及び図8に示す固定体側支持部18は、固定体側接点部17A,17Bを支持する部分である。固定体側支持部18は、固定体側接点部17A,17Bを進退可能な状態で支持する。固定体側支持部18は、左右方向に所定の間隔をあけて互いに平行に配置されており、固定体側接点部17A,17Bの先端部寄りと後端部寄りとをそれぞれ支持している。固定体側支持部18は、側出入口5のかもい5aに着脱自在に固定されている。固定体側支持部18は、外観が略四角形状のブラケットとして機能する板材部材であり、固定体側接点部17A,17B及び接触状態維持部19を電気的に絶縁するために、ナイロン樹脂のような絶縁性プラスチックなどの合成樹脂によって形成されている。固定体側支持部18は、図4〜図6に示すように、ガイド部18aなどを備えている。
図4〜図6に示すガイド部18aは、固定体側接点部17A,17Bを進退自在にガイドする部分である。ガイド部18aは、固定体側接点部17A,17Bを側引戸6Lの移動方向に往復移動自在にガイドする。ガイド部18aは、固定体側接点部17A,17Bの導電部17cが固定体側支持部18に支持された状態でスライド可能なように、この固定体側支持部18を水平方向に貫通する貫通孔である。
図4〜図6及び図8に示す接触状態維持部19は、側引戸6Lが所定区間L1内に位置している間は、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触状態に維持する部分である。ここで、図8(C)に示す所定区間L1は、閉鎖位置P1の手前の所定位置P3からこの閉鎖位置P1までの区間である。所定区間L1は、戸挟み検知装置8Lが戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みを検知する検知区間である。所定位置P3は、戸先ゴム7Lが閉じるときに戸挟み検知装置8Lが検知動作を開始する戸挟み検知開始位置であり、戸先ゴム7Lが開くときに戸挟み検知装置8Lが検知動作を終了する戸挟み検知終了位置である。所定位置P3は、例えば、閉鎖位置(側引戸6Lが閉じた状態で停止する停止位置)P1から開放位置P2に向かって所定距離だけ手前の位置に設定されている。接触状態維持部19は、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bに伝送するように、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触状態に維持する。接触状態維持部19は、図4〜図6及び図8に示すに示すように、付勢部19aなどを備えている。
図4〜図6及び図8に示す付勢部19aは、固定体側接点部17A,17Bを付勢する部分である。付勢部19aは、固定体側接点部17A,17Bに付勢力(ばね力)を作用させながらこの固定体側接点部17A,17Bを側引戸6Lの移動方向に進退自在に弾性支持する弾性支持部としても機能する。付勢部19aは、固定体側接点部17A,17Bから圧縮力が作用する圧縮コイルばねである。付勢部19aは、図6及び図8(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触を開始してから側引戸6Lが閉鎖位置P1で停止するまでの間は、固定体側接点部17A,17Bに付勢力を作用させながら圧縮される。付勢部19aは、側引戸6Lが閉じる方向に移動しているときには固定体側接点部17A,17Bから作用する押圧力によって徐々に圧縮し、図6及び図8(D)に示すように側引戸6Lが閉鎖位置P1で停止したときに最も圧縮される。一方、付勢部19aは、側引戸6Lが閉鎖位置P1から移動を開始してから戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが離間を開始するまでの間は、固定体側接点部17A,17Bに付勢力を作用させながら伸長する。付勢部19aは、側引戸6Lが開く方向に移動しているときには、固定体側接点部17A,17Bから作用する押圧力が低下して徐々に伸長し、図4、図5及び図8(A)(B)に示すように戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bから離間したときに最も伸長する。付勢部19aは、図8(B)(C)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触を開始したときに、切替部21側の付勢部21cが先に撓むように、付勢部21cよりもばね定数が大きく(硬く)設定されている。付勢部19aは、固定体側接点部17A,17Bの導電部17cの外周部に挿入されており、固定体側接点部17A,17Bの突出量規制部17dと固定体側支持部18との間に挟み込まれている。
図4〜図8に示す短絡構造20は、戸挟み検知装置8Lを電気的に短絡する構造である。短絡構造20は、側引戸6Lが所定区間L1の外にあるときに、図4、図7(A)及び図8(A)に示すように戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡することによって、戸挟み検知装置8Lに電荷が蓄積されるのを防止する。短絡構造20は、戸挟み検知装置8Lが検知動作をするときに戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号に、戸挟み検知装置8Lが検知動作をしないときに戸挟み検知装置8Lが蓄積する電荷による電気信号が混入するのを防止する。短絡構造20は、図4〜図8に示すように、切替部21などを備えている。
図4〜図8に示す切替部21は、戸挟み検知装置8Lが検知動作をしないときには、この戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切り替え、戸挟み検知装置8Lが検知動作をするときには、この戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に切り替える部分である。切替部21は、図4、図7(A)及び図8(A)に示すように、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切り替えることによって、図7(A)に示す電極部8b〜8c間に蓄積されている電荷を放電させる。切替部21は、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとの離間動作に連動して、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切り替える。切替部21は、図4、図7(A)及び図8(A)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触していないときには、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切り替える。一方、切替部21は、図5、図7(B)及び図8(B)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとの接触動作に連動して、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に切り替える。切替部21は、図5、図6、図7(B)及び図8(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触しているときには、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に切り替える。切替部21は、図4〜図8に示すスイッチ部21aと、短絡接点部21bと、図4〜図6及び図8に示す付勢部21cとを備えている。
図4〜図8に示すスイッチ部21aは、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を開閉する部分である。スイッチ部21aは、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態と絶縁状態とに切り替える開閉器として機能する。スイッチ部21aは、戸側接点部15Aに固定されており、戸側接点部15Aと一体となって往復移動する。スイッチ部21aは、短絡接点部21bと戸側接点部15Aとの間を通電状態にする導体であり、導電性の金属又は合成樹脂によって形成されている。スイッチ部21aは、例えば、導電部15cの雄ねじ部と噛み合うナットであり、導電部15cに着脱自在に装着されている。スイッチ部21aは、取付位置を調整することによって接触部15aの突出量を調整し、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが非接触状態から接触状態になるタイミングを調整するタイミング調整部として機能する。スイッチ部21aは、図4及び図8(A)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触していないときには、付勢部21cから作用する付勢力によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を閉じる。スイッチ部21aは、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触していないときには短絡接点部21bと接触しており、短絡接点部21bと戸側接点部15Aとの間を通電状態に切り替える。一方、スイッチ部21aは、図5、図6及び図8(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触しているときには、この固定体側接点部17Aから作用する押圧力によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を開く。スイッチ部21aは、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触しているときには短絡接点部21bから離間しており、短絡接点部21bと戸側接点部15Aとの間を絶縁状態に切り替える。
図4〜図8に示す短絡接点部21bは、スイッチ部21aが接触及び離間する接点である。短絡接点部21bは、スイッチ部21aの底面と面接触する平坦な板状部材であり、戸側接点部15Bに電気的に接続されている。短絡接点部21bは、戸側接点部15Aと戸側接点部15Bとの間を通電状態にする短絡ステーのような導体であり、導電性の金属又は合成樹脂によって薄板状に形成されている。短絡接点部21bは、戸側支持部16の側面に接着剤又はねじなどによって固定されている。
図4〜図6及び図8に示す付勢部21cは、スイッチ部21aを付勢する部分である。付勢部21cは、戸側接点部15Aに付勢力(ばね力)を作用させながらこの戸側接点部15Aを側引戸6Lの移動方向に進退自在に弾性支持する弾性支持部としても機能する。付勢部21cは、戸側接点部15Aから圧縮力が作用する圧縮コイルばねである。付勢部21cは、図6及び図8(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触を開始してから側引戸6Lが閉鎖位置P1で停止するまでの間は、戸側接点部15Aに付勢力を作用させながら圧縮される。付勢部21cは、側引戸6Lが閉じる方向に移動しているときには固定体側接点部17Aから作用する押圧力によって圧縮される。付勢部21cは、図6及び図8(C)(D)に示すように、側引戸6Lが所定位置P3に到達し閉鎖位置P1で停止するまでの間で最も圧縮される。一方、付勢部21cは、側引戸6Lが閉鎖位置P1から移動を開始してから戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが離間を開始するまでの間は、戸側接点部15Aに付勢力を作用させ続ける。付勢部21cは、所定位置P3よりも側引戸6Lが開く方向に移動しているときには、固定体側接点部17Aから作用する押圧力が低下して徐々に伸長し、図4及び図8(A)に示すように戸側接点部15Aが固定体側接点部17Aから離間したときに最も伸長する。付勢部21cは、戸側接点部15Aの導電部15cの外周部に挿入されており、戸側接点部15Aの接触部15aと戸側支持部16との間に挟み込まれている。
次に、この発明の第1実施形態に係る検知装置の短絡構造の作用を説明する。
以下では、図1及び図2に示す信号伝送装置14R,14Lのうち信号伝送装置14L側の動作を中心として説明し、信号伝送装置14R側の動作については詳細な説明を省略する。
図1及び図2に示す側引戸6Lを開閉するときには、車両2の乗務員が車掌スイッチを操作すると、戸閉め機械が空気シリンダ式の場合には空気圧によってピストンが駆動して側引戸6Lが開閉動作し、戸閉め機械が電気式の場合には電気モータがボールねじなどを駆動して側引戸6Lが開閉駆動する。図18(B)に示すように、側引戸106Lが閉じるときに比較的大きな介在物O1が戸先ゴム107R,107L間に挟み込まれると、側引戸106Lを開閉駆動する戸閉め機械に流れる電流値が変化するため、戸挟み検知装置が介在物O1の挟み込みを検知する。一方、図18(C)に示すように、側引戸106Lが閉じるときに比較的小さな介在物O2が戸先ゴム107R,107L間に挟み込まれたときには、側引戸106Lが所定の位置に達して停止してしまうので、介在物O2の挟み込みが検知されないことがある。しかし、図3(A)に示すように、戸挟み検知装置8R,8Lを接合した戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれると戸先ゴム7R,7Lの弾性変形に追従して戸挟み検知装置8R,8Lも弾性変形する。その結果、戸閉め機械に流れる電流値の変化が生じないような戸先ゴム7R,7L間への介在物O2の挟み込みを戸挟み検知装置8Lが検知して、戸挟み検知装置8Lが戸挟み検知信号を出力する。
図4〜図8及び図10〜図17に示す短絡構造20を信号伝送装置14Lが備えていない場合には、図1、図4及び図8(A)に示す側引戸6Lが開放位置P2で比較的長時間にわたり停止していると、戸挟み検知装置8Lを検知動作させていないにもかかわらず、戸挟み検知装置8Lに電荷が蓄積されることがある。例えば、車両2が折り返し運転のために側引戸6Lを開放した状態で長時間停車しているような場合には、戸挟み検知装置8Lに電荷が蓄積されることがある。このような場合に、側引戸6Lが開放位置P2から閉じて戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触すると、側引戸6Lが開放している間に戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷による電気信号が戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bを通じて戸挟み判定装置10に伝送される。このため、挟み込みのない状態であっても、側引戸6Lが開放している間に戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷による電気信号が戸挟み判定装置10にノイズとして混入する。その結果、戸挟み判定装置10の検知精度が低下してしまう可能性がある。
一方、図4〜図8に示す短絡構造20を信号伝送装置14Lが備えている場合には、図1、図4及び図8(A)に示すように側引戸6Lが開放位置P2で停止していると、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが離間している。この状態では、図4及び図8(A)に示すように、切替部21の付勢部21cの付勢力が戸側接点部15Aに作用しており、この戸側接点部15Aの接触部15aが戸側支持部16から突出し、スイッチ部21aが戸側支持部16側へ移動しているため、スイッチ部21aが短絡接点部21bと接触している。このため、図7(A)に示すように、戸挟み検知装置8L、信号線9L、戸側接点部15A,15B、短絡接点部21b及びスイッチ部21aから構成される電気回路がスイッチ部21aによって閉じられて閉回路に切り替わっている。その結果、図4、図7(A)及び図8(A)に示すように、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替えているため、戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
図8(A)に示す開放位置P2から図8(D)に示す閉鎖位置P1に向かって、側引戸6Lが閉じると戸先ゴム7R,7Lが互いに接近する。その結果、図8(A)に示すように、側引戸6Lと一体となって戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bに向かって接近する。図8(C)に示す所定位置P3に戸先ゴム7Lが到達する前に、図8(B)に示すように戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触する。このとき、固定体側接点部17Aの押圧力が戸側接点部15Aに作用し、切替部21の付勢部21cの付勢力に抗して、付勢部21cを圧縮させながら固定体側接点部17Aが戸側接点部15Aを押し込む。このため、図5及び図8(B)に示すように、戸側接点部15Aの接触部15aが戸側支持部16側へ移動し、スイッチ部21aが戸側支持部16から突出して、スイッチ部21aが短絡接点部21bと離間する。この状態では、図7(B)に示すように、戸挟み検知装置8L、信号線9L、戸側接点部15A,15B、短絡接点部21b及びスイッチ部21aから構成される電気回路がスイッチ部21aによって開かれて開回路になる。その結果、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が絶縁状態に切り替える。
図8(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達する手前の所定位置P3に到達すると、戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触した状態で、戸側接点部15Bの接触部15bが固定体側接点部17Bの接触部17bと接触する。その結果、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bを通じて戸挟み判定装置10に伝送可能になる。
図8(C)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近する。その結果、図6に示すように、付勢部19aの付勢力に抗して戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bをさらに押し込み、付勢部19aを圧縮させながら固定体側接点部17A,17Bがガイド部18aにガイドされながら移動する。図8(D)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、付勢部19a,21cの付勢力によって戸側接点部15A,15Bの接触部15a,15bと固定体側接点部17A,17Bの接触部17a,17bとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10に、戸側接点部15A,15B及び固定体側接点部17A,17Bを通じて継続して送信可能になる。
図2に示す戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が信号伝送装置14Lを通じて戸挟み判定装置10に入力すると、この戸挟み検知信号のレベルが所定値を超えたか否かを戸挟み判定装置10が判定する。図3(B)に示すように、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないときには、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号の信号レベルが所定値よりも低い。このため、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないと戸挟み判定装置10が判定する。その結果、戸挟み判定装置10の判定結果を表示装置13が画面上に表示するように制御装置12が表示装置13に指令し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていない側引戸6Lをモニタ画面上に表示装置13が表示(例えば青色のように表示)する。一方、図3(A)に示すように、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれると、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号の信号レベルが所定値よりも高くなる。このため、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると戸挟み判定装置10が判定し、この判定結果を戸挟み判定装置10が制御装置12に出力する。
図8(D)に示す閉鎖位置P1から図8(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、図6に示すように、付勢部19a,21cの付勢力によって戸側接点部15A,15Bの接触部15a,15bと固定体側接点部17A,17Bの接触部17a,17bとが密着した状態を維持しつつ、付勢部19aが徐々に伸長し固定体側接点部17A,17Bがガイド部18aにガイドされながら移動する。図8(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが所定位置P3に到達すると、図5に示すように固定体側接点部17A,17Bの突出量規制部17dが固定体側支持部18と接触し、ガイド部18aに沿って移動する固定体側接点部17A,17Bが停止する。
図8(C)に示す所定位置P3から図8(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lがさらに開くと、図8(B)に示すように、側引戸6Lと一体となって戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bから離間し、戸側接点部15Bの接触部15bと固定体側接点部17Bの接触部17bとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号の送信が不可能になる。
このとき、図5に示すように、切替部21の付勢部21cの付勢力が戸側接点部15Aに作用しているため、戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bから離間しても、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触状態を維持している。図8(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lがさらに開くと、戸側接点部15Aの接触部15aが戸側支持部16から突出し、スイッチ部21aが戸側支持部16側へ移動するため、スイッチ部21aが短絡接点部21bと接触する。このため、図7(A)に示すように、戸挟み検知装置8L、信号線9L、戸側接点部15A,15B、短絡接点部21b及びスイッチ部21aから構成される電気回路がスイッチ部21aによって閉じられて閉回路になる。その結果、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替えて、側引戸6Lが開放位置P2で停止している間に戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
図9に示すグラフは、図1に示す側引戸6Lを開放位置P2で開放時間15(s),30(s),60(s),180(s)だけ開放させた状態で、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させたときに発生する電圧の時間変化を示す波形である。図9に示す縦軸は、電圧であり、横軸は時間である。図9(A)に示すように、図4〜図8に示す短絡構造20を備えていない場合には、図1に示す側引戸6Lを開放位置P2で所定時間だけ開放した後に、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させると、開放時間が長いほど大きな電圧が発生することが確認された。一方、図9(B)に示すように、図4〜図8に示す短絡構造20を備えている場合には、図1に示す側引戸6Lを開放位置P2で所定時間だけ開放した後に、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させると、開放時間にかかわらず大きな電圧が発生しないことが確認された。
この発明の第1実施形態に係る検知装置の短絡構造は、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、戸挟み検知装置8Lを検知動作させないときには、この戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切替部21が切り替える。また、この第1実施形態では、戸挟み検知装置8Lを検知動作させるときには、この戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に切替部21が切り替える。このため、戸挟み検知装置8Lを検知動作させないときには、この戸挟み検知装置8Lに蓄積される電荷を確実に放電させることができる。その結果、戸挟み検知動作させないときにこの戸挟み検知装置8Lに蓄積される電荷による電気信号が、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号にノイズとして混入するのを防ぐことができ、戸挟み検知精度を向上させることができる。
(2) この第1実施形態では、機械的変位を圧電効果によって電気信号に変換する機械電気変換部を戸挟み検知装置8Lが備えている。このため、戸挟み検知装置8Lを検知動作させない間、機械電気変換部が圧電効果によって蓄積する電荷を放電させて、戸挟み検出精度を向上させることができる。例えば、戸挟み検知装置8Lに機械電気変換部として圧電ゴム部8aを利用する場合に、戸挟みを検知していないときにこの圧電ゴム部8aが蓄積する電荷を放電させることができる。
(3) この第1実施形態では、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触状態であるときに、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間が絶縁状態である。このため、戸挟み検知装置8Lから戸挟み検知信号を戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bに確実に送信することができる。
(4) この第1実施形態では、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触していないときには、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を切替部21が短絡状態に切り替える。このため、側引戸6Lが開放状態である間に戸挟み検知装置8Lに電荷が蓄積されるのを確実に防ぐことができる。
(5) この第1実施形態では、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をスイッチ部21aが開閉し、このスイッチ部21aを付勢部21cが付勢する。また、この第1実施形態では、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが接触していないときには、付勢部21cから作用する付勢力によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をスイッチ部21aが閉じる。さらに、この第1実施形態では、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触しているときには、この固定体側接点部17Aから作用する押圧力によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をスイッチ部21aが開く。このため、付勢部21cの付勢力をスイッチ部21aに作用させることによって、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に簡単に維持することができる。また、固定体側接点部17Aの押圧力をスイッチ部21aに作用させることによって、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に簡単に維持することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図8に示す部分と同一の部分については、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
切替部21は、図10及び図13(A)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとの離間動作に連動して、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態に切り替える。一方、切替部21は、図11、図12及び図13(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとの接触動作に連動して、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を絶縁状態に切り替える。切替部21は、図10〜図13に示すスイッチ部21dと、支持部21eと、押圧部21fなどを備えている。
図10〜図13に示すスイッチ部21dは、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を開閉する部分である。スイッチ部21dは、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態と絶縁状態とに切り替える開閉器として機能する。スイッチ部21dは、戸側支持部16に回転自在に支持されており、戸側支持部16と一体となって戸側接点部15A,15Bとともに往復移動する。スイッチ部21dは、戸側接点部15Aと戸側接点部15Bとの間を通電状態にする短絡バーのような導体である。スイッチ部21dは、外観形状が略U字状の棒状部材であり、導電性の金属又は合成樹脂によって形成されている。スイッチ部21dは、図10(B)〜図12(B)に示すように、支点Sを回転中心として戸側接点部15A,15Bと接触する方向(図中反時計回り)にこのスイッチ部21dの自重によるモーメントM1が作用するように、このスイッチ部21dの支点Sを通過する垂線からこのスイッチ部21dの重心Gが所定距離だけ離れて配置されている。
スイッチ部21dは、図10及び図13(A)に示すように、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが近接していないときには、このスイッチ部21dの自重によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を閉じて、戸側接点部15A,15Bとの間を通電状態に切り替える。スイッチ部21dは、図10(B)に示すように、押圧部21fと接触していないときには、このスイッチ部21dが戸側接点部15A,15Bと接触状態になるように、このスイッチ部21dの自重が付勢力として作用している。スイッチ部21dは、押圧部21fがこのスイッチ部21dから離間しているときには、このスイッチ部21dの自重によるモーメントM1を受けて、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を閉じる。一方、スイッチ部21dは、図11、図12及び図13(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが近接及び接触しているときには、押圧部21fから作用する押圧力によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を開き、戸側接点部15A,15Bとの間を非通電状態に切り替える。スイッチ部21dは、押圧部21fがこのスイッチ部21dに接触しているときには、このスイッチ部21dの自重によるモーメントM1とは逆方向にこの押圧部21fの押圧力によるモーメントM2が作用して、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を開く。
図10〜図13に示す支持部21eは、スイッチ部21dを回転自在に支持する部分である。支持部21eは、スイッチ部21dの上端部を回転自在に支持する軸受として機能する。支持部21eは、戸側接点部15A,15Bと電気的に絶縁された状態で戸側支持部16に固定されている。支持部21eは、スイッチ部21dの上端部を貫通してこのスイッチ部21dを回転自在にピン結合(ヒンジ結合)する軸状部材である。
図10〜図13に示す押圧部21fは、スイッチ部21dを押圧する部分である。押圧部21fは、スイッチ部21dの開閉動作を切り替えるレバーとして機能する。押圧部21fは、固定体側支持部18に固定されており、スイッチ部21dと接触及び離間する。押圧部21fは、スイッチ部21dと接触することによってスイッチ部21dに押圧力を作用させて、支点Sを回転中心として戸側接点部15A,15Bと離間する方向(図中時計回り)にこの押圧力によるモーメントM2をこのスイッチ部21dに作用させる。押圧部21fは、外観形状が略C字状の棒状部材であり、絶縁性の金属又は合成樹脂によって形成されている。押圧部21fは、図11及び図12に示すように、先端部が鋭角に形成されており、スイッチ部21dの下端部と接触するように固定体側支持部18の下端部に取り付けられている。
次に、この発明の第2実施形態に係る検知装置の短絡構造の作用を説明する。
図1に示すように、側引戸6Lが開放位置P2で停止していると、図10(A)及び図13(A)に示すように切替部21のスイッチ部21dと押圧部21fとが離間している。この状態では、図10(B)に示すように、スイッチ部21dの自重によるモーメントM1がスイッチ部21dに作用しており、スイッチ部21dが戸側接点部15A,15Bと接触している。このため、図10(A)及び図13(A)に示すように、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替えているため、側引戸6Lが所定区間L1の外にあるときに戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
図13(A)に示す開放位置P2から図13(D)に示す閉鎖位置P1に向かって、側引戸6Lが閉じると戸先ゴム7R,7Lが互いに接近する。その結果、図13(A)に示すように、側引戸6Lと一体となって戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bに向かって接近する。図13(C)に示す所定位置P3に戸先ゴム7Lが到達して、戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触する前に、図11及び図13(B)に示すように切替部21のスイッチ部21dが押圧部21fと接触する。このため、図11(B)に示すように、押圧部21fからスイッチ部21dに押圧力が作用し、スイッチ部21dの自重によるモーメントM1に抗して、押圧部21fの押圧力によるモーメントM2がスイッチ部21dに作用し、スイッチ部21dが戸側接点部15A,15Bと離間する。その結果、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が絶縁状態に切り替える。
図13(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達する手前の所定位置P3に到達すると、戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触するとともに、戸側接点部15Bの接触部15bが固定体側接点部17Bの接触部17bと接触する。その結果、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bを通じて戸挟み判定装置10に伝送可能になる。
図13(C)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近し、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達して側引戸6Lが停止し、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、付勢部19aの付勢力によって戸側接点部15A,15Bの接触部15a,15bと固定体側接点部17A,17Bの接触部17a,17bとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10に、戸側接点部15A,15B及び固定体側接点部17A,17Bを通じて継続して伝送可能になる。
図13(D)に示す閉鎖位置P1から図13(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。図13(C)に示す所定位置P3から図13(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lが開くと、図13(B)に示すように、戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bから離間し、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号の伝送が不可能になる。
図13(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lがさらに開くと、戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bから離間した後に、図10及び図13(A)に示すように切替部21のスイッチ部21dが押圧部21fと離間する。このため、図10(B)に示すように、押圧部21fからスイッチ部21dに押圧力が作用しなくなり、スイッチ部21dの自重によるモーメントM1が付勢力としてスイッチ部21dに作用し、スイッチ部21dが戸側接点部15A,15Bと接触する。その結果、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替える。このため、図10(A)及び図13(A)に示すように、側引戸6Lが所定区間L1の外にあるときに戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
この発明の第2実施形態に係る検知装置の短絡構造は、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をスイッチ部21dが開閉し、このスイッチ部21dを押圧部21fが押圧する。また、この第2実施形態では、スイッチ部21dと押圧部21fとが接触していないときには、スイッチ部21dの自重によって戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をこのスイッチ部21dが閉じる。さらに、この第2実施形態では、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが近接しているときには、押圧部21fから作用する押圧力によってこの戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間をスイッチ部21dが開く。このため、側引戸6Lの開閉動作に連動させて戸挟み検知装置8Lの端子8d〜8e間を短絡状態と絶縁状態とに簡単に切り替えることができる。また、第1実施形態のような短絡接点部21bや付勢部21cが不要になるため、短絡構造20の構造が簡単になって安価で製造することができる。
(第3実施形態)
図14〜図17に示す短絡構造20は、図4〜図6及び図8に示す接触状態維持部19と切替部21とを一体化させた構造である。短絡構造20は、固定体側接点部17A,17Bから接触状態維持部19を省略して、接触状態維持部19と同様の機能を有する切替部21を戸側接点部15A,15Bに付与した構造である。
図14〜図17に示す戸側接点部15A,15Bは、接触部15a,15bを備えており、この接触部15a,15bは外観がピン状の導電性部材からなる電気接点である。接触部15a,15bは、側引戸6Lの開閉動作に応じて進退自在である。例えば、戸側接点部15Aはグランド側(マイナス側)の接点部であり、戸側接点部15Bは非グランド側(プラス側)の接点部である。戸側支持部16は、戸側接点部15A,15Bを進退可能な状態で支持する。ガイド部16cは、戸側接点部15A,15Bを側引戸6Lの移動方向に往復移動自在にガイドする。ガイド部16cは、戸側接点部15A,15Bの導電部15cが戸側支持部16に対してスライド可能なようにこの戸側支持部16を水平方向に貫通する貫通孔である。
固定体側接点部17A,17Bは、固定体側支持部18に固定されており、図14〜図17に示す接触部17a,17bなどを備えている。例えば、固定体側接点部17Aはグランド側(マイナス側)の接点部であり、固定体側接点部17Bは非グランド側(プラス側)の接点部である。図14〜図17に示す接触部17a,17bは、外観が円板状の導電性部材からなる電気接点であり、接触部15a,15bとは異なり側引戸6Lの開閉動作にかかわらず固定体側支持部18の所定の位置に固定されている。固定体側支持部18は、図14〜図16に示す挿入部18bなどを備えている。挿入部18bは、固定体側接点部17A,17Bを挿入する部分である。挿入部18bは、固定体側接点部17A,17Bの導電部17cが固定体側支持部18に挿入された状態で固定されるように、この固定体側支持部18を水平方向に貫通する貫通孔である。
図14〜図17に示す切替部21は、スイッチ部21aと、短絡接点部21bと、付勢部21cと、突出量規制部21gと、付勢部21hなどを備えている。スイッチ部21aは、図4〜図6に示す突出量規制部17dと略同一構造であり、固定体側接点部17Aの突出量を所定量に規制する突出量規制部としても機能する。図14〜図17に示すスイッチ部21aは、例えば、導電部15cの雄ねじ部と噛み合うナットであり、取付位置を調整することによって戸側接点部15Aの突出量を調整し、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが非接触状態から接触状態になるタイミングを調整するタイミング調整部としても機能する。スイッチ部21aは、図14及び図17(A)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触していないときには、付勢部21cからの付勢力によって短絡接点部21bと接触しており、短絡接点部21bと戸側接点部15Aとの間を通電状態に切り替える。一方、スイッチ部21aは、図15、図16及び図17(B)〜(D)に示すように、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触しているときには、この固定体側接点部17Aからの押圧力を受けて短絡接点部21bから離間しており、短絡接点部21bと戸側接点部15Aとの間を非通電状態に切り替える。
図14〜図17に示す短絡接点部21bは、スイッチ部21a及び突出量規制部21gが接触及び離間する接点である。短絡接点部21bは、スイッチ部21aの底面及び突出量規制部21gの底面と面接触する平坦な板状部材であり、戸側接点部15A,15Bと所定の隙間をあけて戸側支持部16の側面に固定されている。
図14〜図17に示す付勢部21cは、戸側接点部15Aを付勢する部分である。付勢部21cは、図4〜図8に示す接触状態維持部19の付勢部19aと略同一構造であり、図17(B)〜(D)に示すように側引戸6Lが所定区間L4内に位置している間は、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとを接触状態に維持する接触状態維持部としても機能する。ここで、図17(B)に示す所定区間L4は、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触状態を維持している区間である。所定位置P4は、戸先ゴム7Lが閉じるときに戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触を開始する接触開始位置であり、戸先ゴム7Lが開くときに戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが離間を開始する離間開始位置である。所定位置P4は、例えば、閉鎖位置P1から開放位置P2に向かって所定距離だけ手前の位置に設定されている。付勢部21cは、図14〜図17に示すように、スイッチ部21aと戸側支持部16との間に挟み込まれている。
図14〜図17に示す突出量規制部21gは、図4〜図6に示す突出量規制部17dと略同一構造であり、戸側接点部15Bの突出量を所定量に規制する部分である。突出量規制部21gは、短絡接点部21bと戸側接点部15Bとの間を通電状態にする導体であり、導電性の金属又は合成樹脂によって形成されている。
図14〜図17に示す付勢部21hは、戸側接点部15Bを付勢する部分である。付勢部21hは、図4〜図8に示す接触状態維持部19の付勢部19aと略同一構造であり、図17(C)(D)に示すように側引戸6Lが所定区間L1内に位置している間は、戸側接点部15Bと固定体側接点部17Bとを接触状態に維持する接触状態維持部として機能する。付勢部21hは、図14〜図17に示すように、突出量規制部21gと戸側支持部16との間に挟み込まれている。
次に、この発明の第3実施形態に係る検知装置の短絡構造の作用を説明する。
図1、図14及び図17(A)に示すように、側引戸6Lが開放位置P2で停止していると、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとが離間している。この状態では、図14及び図17(A)に示すように、切替部21の付勢部21cの付勢力が戸側接点部15Aに作用するとともに、付勢部21hの付勢力が戸側接点部15Bに作用しているため、スイッチ部21a及び突出量規制部21gが短絡接点部21bと接触している。このため、図14及び図17(A)に示すように、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替えている。このため、側引戸6Lが所定区間L1の外にあるときに戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
図17(A)に示す開放位置P2から図17(D)に示す閉鎖位置P1に向かって側引戸6Lが閉じると、図17(A)に示すように側引戸6Lと一体となって戸側接点部15A,15Bが固定体側接点部17A,17Bに向かって接近する。その結果、図17(C)に示す所定位置P3に戸先ゴム7Lが到達する前に、図17(B)に示すように戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触する。このため、固定体側接点部17Aの押圧力が戸側接点部15Aに作用し、切替部21の付勢部21cの付勢力に抗して、付勢部21cを圧縮させながら固定体側接点部17Aが戸側接点部15Aを押し込む。その結果、図15及び図17(B)に示すように、スイッチ部21aが短絡接点部21bと離間するため、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が絶縁状態に切り替える。
図17(C)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達する手前の所定位置P3に到達すると、戸側接点部15Aの接触部15aが固定体側接点部17Aの接触部17aと接触した状態で、戸側接点部15Bの接触部15bが固定体側接点部17Bの接触部17bと接触する。その結果、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸側接点部15A,15Bから固定体側接点部17A,17Bを通じて戸挟み判定装置10に伝送可能になる。
図17(C)に示す所定位置P3から閉鎖位置P1に向かって、側引戸6Lがさらに閉じると戸先ゴム7R,7Lがさらに接近し、図16に示すように付勢部21c,21hの付勢力に抗して戸側接点部15A,15Bを固定体側接点部17A,17Bがさらに押し込む。図17(D)に示すように、戸先ゴム7R,7Lが閉鎖位置P1に到達すると側引戸6Lが停止して、戸先ゴム7R,7Lが密着した状態になる。このとき、付勢部21c,21hの付勢力によって戸側接点部15A,15Bの接触部15a,15bと固定体側接点部17A,17Bの接触部17a,17bとが密着した状態を維持する。このため、戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号が戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10に、戸側接点部15A,15B及び固定体側接点部17A,17Bを通じて継続して伝送可能になる。
図17(D)に示す閉鎖位置P1から図17(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lが開くと、戸先ゴム7R,7Lが互いに離間する。このとき、図16に示すように、付勢部21c,21hの付勢力によって戸側接点部15A,15Bの接触部15a,15bと固定体側接点部17A,17Bの接触部17a,17bとが密着した状態を維持しつつ、戸側接点部15A,15Bが移動する。図17(C)に示すように、戸先ゴム7Lが所定位置P3に到達すると、図15に示すように戸側接点部15Bの突出量規制部21gが短絡接点部21bと接触し戸側接点部15Bが停止する。
図17(C)に示す所定位置P3から図17(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lがさらに開くと、図17(B)に示すように、側引戸6Lと一体となって戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bから離間し、戸側接点部15Bの接触部15bと固定体側接点部17Bの接触部17bとが非接触状態に切り替わる。その結果、戸挟み検知装置8Lから戸挟み判定装置10への戸挟み検知装置8Lが出力する戸挟み検知信号の伝送が不可能になる。
このとき、図15に示すように、切替部21の付勢部21cの付勢力が戸側接点部15Aに作用しているため、戸側接点部15Bが固定体側接点部17Bから離間しても、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとが接触状態を維持している。図17(A)に示す開放位置P2に向かって側引戸6Lがさらに開くと、スイッチ部21aが短絡接点部21bと接触する。このため、戸挟み検知装置8Lの端子8e〜8d間を切替部21が短絡状態に切り替えて、側引戸6Lが所定区間L1の外にあるときに戸挟み検知装置8Lに蓄積された電荷が放電される。
この発明の第3実施形態に係る検知装置の短絡構造は、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、戸側接点部15Aに付勢力を付勢部21cが作用させることによって、側引戸6Lが所定区間L4内に位置している間は、この戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとを接触状態に維持する。その結果、図4〜図6に示すスイッチ部21aを切り替えるための付勢部21cと、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとを接触状態に維持するための付勢部19aとを一体化させることができる。このため、スイッチ部21aを切り替えるための付勢力と、戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとを接触状態に維持するための付勢力とを一つの付勢部21cから作用させることができる。その結果、第1実施形態に比べて構造が簡単になってメンテナンスの手間を削減することができるとともに、短絡構造20をより一層安価に製造することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、車両2を例に挙げて説明したが、自動車、航空機又は船舶などの他の交通輸送機関や、ホームドア装置、エレベータ又は自動ドアなどの開閉装置についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、可動体が側引戸6R,6Lであり、固定体が車体3及びかもい5aである場合を例に挙げて説明したが、可動体及び固定体をこれらの部材に限定するものではない。例えば、固定体に対して可動体が相対移動する場合に可動体側から固定体側に信号を伝送する場合についても、この発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、側引戸6R,6Lのような両引戸を例に挙げて説明したが、一方向に開閉する1枚または複数枚の引戸、回転により開閉可能な開戸、複数に折り畳み可能な折戸、車体の出入口に嵌り込むプラグドア、又は室内外の圧力差を保持可能な気密仕切戸などについてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、圧電型圧力センサを備える検知装置を例に挙げて説明したが、このような圧電型圧力センサ以外の検知装置についてもこの発明を適用することができる。例えば、圧電型振動センサ、圧電型加速度センサ、静電容量型加速度センサ、静電容量型変位センサ又は静電容量型近接センサなどの他の検知装置についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、戸挟みの有無を圧電ゴム部8aによって検知する場合を挙げて説明したが、圧電ゴム部8a以外の圧電材によって戸挟みの有無を検知する場合についてもこの発明を適用することができる。
(3) この実施形態では、戸先ゴム7R,7Lに戸挟み検知装置8R,8Lをそれぞれ配置する場合を例に挙げて説明したが、戸先ゴム7R,7Lのいずれか一方に戸挟み検知装置8R,8Lを1つ配置し、信号伝送装置14R,14Lのいずれか一方を省略することもできる。また、この実施形態では、戸側接点部15A,15Bと固定体側接点部17A,17Bとを接触させるときに、グランド側の戸側接点部15Aを先に接触させて、非グランド側の戸側接点部15Bを後に接触させる場合を例に挙げて説明したが、非グランド側の戸側接点部15Bを先に接触させて、グランド側の戸側接点部15Aを後に接触させることもできる。
(4) この実施形態では、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていないと戸挟み判定装置10が判定しているが、この判定結果を戸挟み判定装置10が制御装置12に出力することもできる。また、この実施形態では、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれていると戸挟み判定装置10が判定しているが、この判定結果に基づいて制御装置12に種々の動作を指令させることもできる。例えば、戸挟み判定装置10の判定結果を表示装置13が画面上に表示するように制御装置12が表示装置13に指令し、戸先ゴム7R,7L間に介在物O2が挟み込まれている側引戸6Lをモニタ画面上に表示装置13が表示(例えば、赤色のように表示)したり、戸先ゴム7R,7L間から介在物O2を引き抜けるように側引戸6R,6Lを再度開くように制御装置12が戸閉め機械に指令し、側引戸6R,6Lが開き戸先ゴム7R,7L間に隙間を形成させたりすることもできる。
(5) この第1実施形態では、短絡接点部21bを戸側支持部16の側面に接着剤又はねじなどによって固定する場合を例に挙げて説明したが、固定部15dと戸側支持部16との間に短絡接点部21bを挟み込み固定することもできる。また、この第3実施形態では、戸側接点部15Aに付勢部21cから付勢力を作用させて戸側接点部15Aと固定体側接点部17Aとの接触状態を維持する場合を例に挙げて説明したが、このような構造に限定するものではない。例えば、固定体側接点部17Aに付勢部21cを配置し、固定体側接点部17Aに付勢部21cから付勢力を作用させることもできる。