JP2017215158A - 異常判別装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラス端子又はマイナス端子の何れの端子が天絡又は地絡したかを判別できるようにした異常判別装置を提供する。【解決手段】噴射指令部13は、プラス端子S+へのバイアス印加を停止すると共にインジェクタ2から噴射させる燃料噴射量を調整することで排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように指令し、異常判別部12は、噴射指令部13により排気ガス中の空燃比がリッチ状態とされているときに空燃比センサ4に生じる起電力を検出し、起電力の値に応じてプラス端子S+及びマイナス端子S−の何れが天絡又は地絡の異常をしているか判別する。【選択図】図1

Description

本発明は、空燃比センサに係る異常を判別するための異常判別装置に関する。
従来、空燃比センサは内燃機関の排気ガス中の空気過剰率を検出するために設けられており、この空燃比センサに係る異常を検出するための各種技術が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1記載の技術によれば、CPUはA/F検出電圧やセンサの端子電圧に基づいて、センサ素子に関する異常を検出するように構成されている。
特開2010−256233号公報
例えば、特許文献1記載の技術を採用すると、センサ制御に係る異常形態を特定可能になる。しかし、この特許文献1記載の技術を採用した場合、センサ端子間のショートであるか、センサ端子がVBショートしたかを判別できるものの、上流側又は下流側の何れの端子が電源短絡したかグランド短絡したか特定することはできない。より具体的に詳述するならば、特許文献1記載の技術を適用したときには、電源短絡時においてもグランド短絡時においても、プラス端子及びマイナス端子は、電源又はグランドの電圧に固定されてしまい、何れの端子が天絡又は地絡しているか判別することが困難である。
本発明の目的は、プラス端子又はマイナス端子の何れの端子が天絡又は地絡したかを判別できるようにした異常判別装置を提供することにある。
請求項1記載の発明は、内燃機関の排気ガス中の空燃比を検出するために設けられ、プラス端子とマイナス端子との間に接続される空燃比センサについてプラス端子及びマイナス端子にバイアスを与えることで空燃比センサを機能させるものにおいて、異常を生じた場合に空燃比センサに関する異常を判別する異常判別装置を対象としている。噴射指令部は、プラス端子へのバイアス印加を停止すると共にインジェクタから噴射させる燃料噴射量を調整することで排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように指令し、異常判別部は、噴射指令部により排気ガス中の空燃比がリッチ状態とされているときに空燃比センサに生じる起電力を検出し、起電力の値に応じてプラス端子及びマイナス端子の何れが天絡又は地絡の異常をしているか判別する。このため、プラス端子又はマイナス端子の何れの端子が天絡又は地絡したかを判別できる。
第1実施形態のシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図 マイコン及び空燃比制御IC内の電気的構成を概略的に示すブロック図 1セルタイプの空燃比センサの要部の断面構造と通電原理を模式的に示す縦断側面図 限界電流域の説明図 異常判別処理の流れを概略的に示すフローチャート(その1) 異常判別処理の流れを概略的に示すフローチャート(その2) 要部の電圧、噴射量、A/F値等の時間的変化を示すタイミングチャート プラス端子、マイナス端子の異常時における標準電圧を示す対応図 プラス端子が天絡したときの等価回路及び原理説明図 マイナス端子が天絡したときの等価回路及び原理説明図 第2実施形態のシステムの電気的構成を概略的に示すブロック図 2セルタイプの空燃比センサの要部の断面構造を模式的に示す縦断側面図 他の実施形態について異常判別処理の流れを概略的に示すフローチャート(その1) 異常判別処理の流れを概略的に示すフローチャート(その2)
以下、空燃比センサに関する異常判別装置の幾つかの実施形態を説明する。以下の実施形態中では、各実施形態間で同一機能または類似機能を備えた部分に同一符号を付して説明を行い、同一又は類似機能を備えた構成及びその作用、連携動作説明等を必要に応じて省略する。
(第1実施形態)
図1〜図10は第1実施形態の説明図を示す。図1には、エンジンECUとなる制御装置100の電気的構成を概略的なブロック図により示している。図1に示す制御装置100は、車両用エンジンのインジェクタ2に燃料噴射制御する噴射制御IC3と、車両用エンジンが排出する排気燃焼ガスを検出ガスとし排気中の酸素濃度を検出する空燃比を特定するための空燃比センサ4の各種制御処理を主に行う空燃比制御IC5と、これらの噴射制御IC3及び空燃比制御IC5に接続されるマイコン6と、を主として備え、この制御装置100は異常判別装置として構成される。制御装置100内には、空燃比制御IC5と空燃比センサ4との間に空燃比センサ4に生じる起電力を検出するための抵抗7を備える。
図2に示すように、制御装置100のマイコン6は、図示しないがCPU、ROM、RAM等により構成され、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行する。このプログラムが実行されることで、プログラムに対応する方法が実行される。また、このマイコン6は、A/D値取得部11、異常判別部12、噴射指令部13、スイッチ制御部14、センサインピーダンス演算部15、ヒータ制御部16、としての機能を備える。
また、制御装置100の空燃比制御IC5は、A/D変換部21、22、電圧検出部23、端子電圧検出部24、センサ電流検出部25、印加電圧制御部26、バッファアンプ27、28、通電制限抵抗29、電流検出抵抗30、スイッチ31a、31b、差動増幅回路32、を備え、マイコン6と共にフィードバック制御ループを構成し、空燃比センサ4の制御処理及びその保護処理を行う。空燃比センサ4のプラス端子S+は、制御装置100のプラス端子33aに接続されており、空燃比センサ4のマイナス端子S−は制御装置100のマイナス端子33bに接続されている。
図3に示すように、空燃比センサ4は、内燃機関の排気ガスに含まれる気体の状態を実体的に検出するセンサセル34により構成される。空燃比センサ4は、固体電解質層35、拡散抵抗層36、遮蔽層37、及び絶縁層38を有し、これらが図の上下に積層されることで構成される1セルタイプのものである。固体電解質層35は、例えば長方形板状のシートにより構成されている。空燃比センサ4のセンサセル34は、電極39、40が固体電解質層35を挟んで対向配置されることで構成される。拡散抵抗層36は電極39へ排気を導入するための多孔質シートにより構成され、遮蔽層37は排気の透過を抑制するための緻密層により構成される。絶縁層38は高熱伝導性セラミックスにより構成され、電極40に対面する部位には大気ダクト41が構成されている。また絶縁層38にはヒータ42が埋設されている。空燃比センサ4のセンサセル34の素子電流の増減は空燃比の増減(リーン/リッチ)に対応し、空燃比がリーンになれば素子電流は増大し、空燃比がリッチになれば素子電流が減少する。
参照図面を図2に戻し、制御装置100の空燃比制御IC5の内部の構成を説明する。空燃比制御IC5の印加電圧制御部26は、マイコン6からの指令信号を受けて、バッファアンプ27にバイアス電圧を出力し、バッファアンプ27、通電制限抵抗29、スイッチ31a、及び、端子33aを通じてプラス端子S+にバイアスを出力する。同様に、印加電圧制御部26は、マイコン6からの指令信号を受けて、バッファアンプ28にバイアス電圧を出力し、バッファアンプ28、電流検出抵抗30、及び、端子33bを通じてマイナス端子S−にバイアスを出力する。マイコン6が、動作指令を行い、空燃比制御IC5により空燃比センサ4のセンサ信号を検出するときには、印加電圧制御部26は例えばプラス端子S+に第1所定電圧(例えば2.6V)を印加し、例えばマイナス端子S−に第2所定電圧(例えば2.2V)を印加する。
制御装置100の内部には空燃比センサ4と並列に抵抗7が接続されている。この抵抗7は例えば1.5〜2MΩ程度の抵抗値のものを用いて構成されており、後述するが、スイッチ31aを開放したときに、当該空燃比センサ4の端子S+、S−間に発生する起電力に応じた電流を通電するために設けられている。
差動増幅回路32は、当該抵抗7の両端子間電圧を両差動入力端子に入力してこれらの差電圧を増幅し、スイッチ31bの一方の固定端子a1に出力する。スイッチ31bは、例えば一方及び他方の固定端子a1、a2並びに可動端子a3を備えた選択入力型のスイッチであり、マイコン6のスイッチ制御部14により切替制御可能になっている。スイッチ31bの他方の固定端子a2には制御装置100のプラス端子33aが電気的に接続されている。このため、マイコン6のスイッチ制御部14がスイッチ31bを切替制御することで、差動増幅回路32の出力電圧とプラス端子33aの電圧とが電圧検出部23に切替出力される。電圧検出部23は、この入力電圧を波形成形してA/D変換部21に出力し、A/D変換部21はアナログデジタル変換してデジタル値をマイコン6に出力する。
また、センサ電流検出部25は、電流検出抵抗30の両端子間電圧を入力し、この電圧を増幅しA/D変換部22に出力する。A/D変換部22は、この電圧をアナログデジタル変換しデジタル値をマイコン6に出力する。また、端子電圧検出部24は、マイナス端子S−の電圧を検出して検出電圧をA/D変換部22に出力し、A/D変換部22はアナログデジタル変換し、デジタル値をマイコン6に出力する。マイコン6は、これらのA/D変換部21、22から取得したデジタル値を入力する。
図3(b)に示すように、空燃比センサ4のセンサセル34にはバイアスが印加されることにより端子S+、S−間に電流I0が流されることになるが、その電流I0の通電方向と逆方向に酸素イオン(O2−)が移動する。図3(b)には酸素イオン(O2−)の移動方向をM1で示している。
このとき、拡散抵抗層36は、酸素イオン(O2−)の移動を妨げるように作用する。このため図4に示すように、空燃比の違いに応じて互いに異なる限界電流域Ivを生じる。マイコン6は、この限界電流域Ivを検出することで現在の空燃比(A/F値)を判定し、この空燃比(A/F値)が常時ストイキ(例えば14.5)となるように制御する。マイコン6は、空燃比制御IC5の印加電圧制御部26に指令信号を出力し、印加電圧制御部26がプラス端子S+及びマイナス端子S−に印加するバイアスを調整する。これによりフィードバック制御できる。
また制御装置100のマイコン6には、センサインピーダンス演算部15やヒータ制御部16などの各種機能が設けられており、ある所定期間において、テスト用に変化させた掃引電圧を空燃比センサ4に印加し、この掃引電圧に応じた電流変化ΔI及び電圧変化ΔVを検出し、この検出結果を除算してセンサインピーダンスRi(=ΔV/ΔI)を検出する。マイコン6は、このセンサインピーダンスZの演算結果に基づいてセンサインピーダンスZが所定のインピーダンスとなるように空燃比センサ4のヒータ42に対する通電をフィードバック制御する。これにより空燃比センサ4の温度Tを調整できる。これにより、制御装置100は、空燃比センサ4のセンサ電圧、センサ電流、インピーダンスZを検出可能に構成されている。
以下、図5、図6及び図7を参照しながら異常の判別処理を説明する。制御装置100は、異常を判定するときに図5、図6に示す処理を行う。なお、図5は天絡検出処理、図6は地絡検出処理の内容を示すが、概ね同様の流れであるため、同時に説明可能な部分は同時に説明を行う。また図7は動作の流れをタイミングチャートにより示している。
マイコン6は、スイッチ制御部14によりセンサ開放用スイッチ31aをオン切替えし、空燃比制御IC5に指令信号を出力する。すると空燃比制御IC5は、空燃比センサ4のプラス端子S+及びマイナス端子S−にそれぞれバイアス(例えばプラス端子2.6V、マイナス端子2.2V)を印加し、図7のタイミングt0〜t1に示すように制御を行う。このとき、マイコン6は燃料噴射量を制御するように指令し、プラス端子S+及びマイナス端子S−の電圧のデジタル値を取得し、フィードバック制御することでA/F値をストイキ(例えば14.5)となるように調整する。
このような制御中又は制御停止中において、図5の天絡検出処理、図6の地絡検出処理を行う。マイコン6は、図5のステップS1、図6のステップT1において、前記のように取得したプラス端子S+、マイナス端子S−の電圧のデジタル値に応じて短絡検出しているか否かを判定する。このときマイコン6は、図5のステップS1において天絡検出範囲(例えば+B=バッテリ電圧±所定範囲)であるか否かを判定し、マイコン6は図6のステップT1において地絡検出範囲(例えば0V=グランド電圧±所定範囲)であるか否かを判定する。このステップS1、T1においてマイコン6は判定部として機能する。マイコン6は、これらのステップS1、T1の条件の何れかを満たした場合に短絡異常を生じていると判定し、天絡検出した場合には図5のステップS2以降、地絡検出した場合には図6のステップT2以降の処理を行う。
例えば図7のタイミングt1において天絡異常を検出すると、マイコン6は、図5のステップS2において天絡と判別する。マイコン6は、図5のステップS3においてスイッチ制御部14によりスイッチ31aを開放することで空燃比センサ4のプラス端子S+を開放する。空燃比センサ4のプラス端子S+を開放すると、この空燃比センサ4は所謂酸素センサと同一の動作を行うことになる。そしてマイコン6は、ステップS4において噴射指令部13により燃料噴射量の変更指令を噴射制御IC3へ行う。このタイミングは図7のタイミングt2に示している。
そのとき、噴射制御IC3は、図7のタイミングt2〜t3において排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように燃料噴射量を増加させる。すると、空燃比センサ4は酸素センサと同一の作用を行う。酸素イオン(O2−)が一酸化炭素(CO)に白金(Pt)を触媒とした反応を行うことで酸素イオン(O2−)を消費する。酸素イオン(O2−)が消費されることで酸素分圧が低くなるため、排気側の電力分圧が低下し、これにより起電力を発生する。
このとき、0.9V程度の起電力を生じることが確認されており、バッテリ電圧+B(=14V程度)に比較して無視できない程度に生じることが確認されている。このとき生じる起電力は抵抗7を通じて検出できる。このときの起電力の検出状態が、プラス端子S+、マイナス端子S−の短絡状態(すなわち天絡/地絡)に応じて異なるため、本実施形態ではこの差異を利用して異常箇所を判別する。なお図7のタイミングt4以降には、マイナス端子S−が天絡したときの各ノードの電圧値を示している。
異常を判別するときには、マイコン6は、差動増幅回路32の出力を検出するようにスイッチ31bを切り替える。このときマイコン6は、スイッチ31bの端子a1を端子a3に接続するように切替える。そして、空燃比制御IC5の電圧検出部23は、ステップS5において空燃比センサ4の端子間電圧を検出する。
そして、A/D変換部21、22がデジタル値に変換し、マイコン6はステップS6においてA/D変換値を取得する。マイコン6は、ステップS7において空燃比センサ4の端子間電圧が所定値(例えばバッテリ電圧+B+0.5V)以上であるか否かを判定し、端子間電圧が所定値以上であれば、ステップS8において異常箇所をマイナス端子S−と判別し、ステップS9において待避モードに移行、指示し、フェールセーフ処理する。このときマイコン6は、待避モードにおいて空燃比制御を無効、中止するように空燃比制御IC5や噴射制御IC3に指令し、これにより制御装置100は空燃比制御処理なしで燃料噴射制御処理を継続する。
またマイコン6は、ステップS7において空燃比センサ4の端子間電圧が所定値未満でありステップS7においてNOと判定すると、ステップS10において異常箇所をプラス端子S+と判別し、ステップS11において待機モードに移行、指示し、フェールセーフ処理する。このときもマイコン6は、待避モードにおいて空燃比制御を無効、中止するように空燃比制御IC5や噴射制御IC3に指令し、これにより、制御装置100は空燃比制御処理なしで燃料噴射制御処理を継続する。
他方、マイコン6は、地絡検出した場合に図6のステップT2において地絡と判別すると、ステップT3においてスイッチ制御部14によりスイッチ31aを開放することにより空燃比センサ4のプラス端子S+を開放する。そしてマイコン6は、ステップT4において噴射指令部13により燃料噴射量の変更指令を行う。マイコン6はストイキに調整している場合には、排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように燃料噴射量を増加させる。すると、空燃比センサ4には起電力を生じるが、この起電力は抵抗7を通じて電圧として検出できる。
マイコン6は、差動増幅回路32の出力を検出するようにスイッチ31bを切替える。そして、空燃比制御IC5の電圧検出部23は、ステップT5において空燃比センサ4の端子間電圧を検出する。そして、A/D変換部21が検出された空燃比センサ4の端子間電圧をデジタル値に変換して出力し、マイコン6はステップT6においてA/D変換値を取得する。マイコン6は、ステップT7において空燃比センサ4の端子間電圧が所定値以上であるか否かを判定し、端子間電圧が所定値以上であれば、ステップT8において異常箇所をマイナス端子S−と判別し、ステップT9において待避モードに移行、指示し、フェールセーフ処理する。このときマイコン6は、待避モードにおいて空燃比制御を無効、中止するように空燃比制御IC5や噴射制御IC3に指令し、これにより制御装置100は、空燃比制御処理なしで制御処理を継続する。
またマイコン6はステップT7において端子間電圧が所定値未満であると判定すると、ステップT10において異常箇所をプラス端子S+と判別し、ステップT11において待機モードに移行、指示し、フェールセーフ処理する。このときもマイコン6は、待避モードにおいて空燃比制御を無効、中止するように空燃比制御IC5や噴射制御IC3に指令し、これにより制御装置100は空燃比制御処理なしで燃料噴射制御処理を継続する。
<天絡時、地絡時におけるプラス端子、マイナス端子に生じる電圧の原理説明>
以下、前述した流れに沿って処理したときに、異常を判別できる理由について説明する。プラス端子S+が天絡した場合、又は、マイナス端子S−が天絡した場合には、プラス端子S+とマイナス端子S−にはそれぞれ図8に示す標準的な電圧を生じる。
空燃比センサ4のプラス端子S+が天絡すると、プラス端子S+にはバッテリ電圧+Bが印加される。図9にプラス端子S+が天絡したときの等価回路を示すように、空燃比センサ4の起電力とバッテリ電圧+Bとが並列接続されるものとして等価的に記述できる。
すなわち、たとえ空燃比センサ4に0.9V程度の起電力を生じたとしても、プラス端子S+には14V程度のバッテリ電圧+Bが大きく生じることになり、起電力が無視可能な程度にしか生じない。このため、バッテリ電圧+Bと同等の電圧がプラス端子S+に生じる。また、マイナス端子S−にはバッテリ電圧+Bから空燃比センサ4の内部抵抗の電圧降下分だけ電圧低下した電位を生じる。このため、バッテリ電圧+Bから微小電圧だけ低下することになるが、概ねバッテリ電圧+Bと同等の電圧が発生する。
また、空燃比センサ4のマイナス端子S−が天絡すると、マイナス端子S−には基準となるグランドレベルに対してバッテリ電圧+Bが印加されることになる。図10にマイナス端子S−が天絡したときの等価回路を示すように、空燃比センサ4の起電力とバッテリ電圧+Bとが直列接続されるものとして等価的に記述できる。
すなわち、空燃比センサ4が0.9V程度の起電力を生じたときには、プラス端子S+にバッテリ電圧+B+0.9V=14.9Vの電圧が生じることになり、マイナス端子S−にバッテリ電圧+Bの電圧が生じることになる。
このため、マイコン6が図5のステップS7において空燃比センサ4の端子間電圧を所定値(例えばバッテリ電圧+B+0.5V)と比較することに応じて異常箇所を判別すれば、異常箇所がマイナス端子S−に生じているか、プラス端子S+に生じているか、を正確に判別できる。
また、プラス端子S+が地絡した場合、又は、マイナス端子S−が地絡した場合には、プラス端子S+とマイナス端子S−にはそれぞれ図8に示すように電圧を生じる。空燃比センサ4のプラス端子S+が地絡すると、プラス端子S+にはグランド電位が印加される。マイナス端子S−はこのプラス端子S+の電圧の影響を受けて概ねグランド電位となる。また、空燃比センサ4のマイナス端子S−が地絡すると、マイナス端子S−はグランド電位となるが、プラス端子S+には空燃比センサ4により0.9V程度の起電力を生じることになる。
このため、マイコン6が図6のステップT7において空燃比センサ4の端子間電圧を所定値(例えば0.5V)と比較することに応じて異常箇所を判別すれば、異常箇所がマイナス端子S−に生じているか、プラス端子S+に生じているか、を正確に判別できるようになる。
以上、説明したように本実施形態によれば、噴射指令部13は、プラス端子S+へのバイアス印加を停止すると共にインジェクタ2から噴射させる燃料噴射量を調整することで排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように指令し、異常判別部12は、噴射指令部13により排気ガス中の空燃比がリッチ状態とされているときに空燃比センサ4に生じる起電力を検出し、起電力の値に応じてプラス端子S+及びマイナス端子S−の何れが天絡又は地絡の異常をしているか判別するようにした。これにより、プラス端子S+又はマイナス端子S−の何れの端子が短絡したかを判別できるようになる。また、トラブルシューティング時に、異常箇所の特定作業時間を短縮でき、例えば修理時間、費用を削減することが可能となる。
また、抵抗7が空燃比センサ4と並列に起電力を取得するために接続されている。これにより極力小規模な回路で構成することができる。
また、マイコン6はプラス端子S+側の電圧とマイナス端子S−側の電圧との差を端子間電圧として検出することで起電力を取得し当該起電力に応じて異常を判別している。このため、プラス端子S+、マイナス端子S−の浮きや各種素子値のバラつきの影響を受けることなく起電力を検出でき、起電力の検出精度を向上できる。
(第2実施形態)
図11及び図12は、第2実施形態の追加説明図を示している。第2実施形態では、2セルタイプの空燃比センサ2を制御するための制御装置200に適用した例を示す。図11には制御装置200の電気的構成例を示し、図12には2セルタイプの空燃比センサ204の構成例を示す。
図12に示すように、空燃比センサ204は、3つの固体電解質層43、44、45を備えており、固体電解質層43には一対の電極46、47が対向配置され、固体電解質層44には一対の電極48、49が対向配置されている。このような空燃比センサ204の素子構造では、固体電解質層43及び電極46、47によりポンプセル50が構成されており、固体電解質層44及び電極48、49により起電力セル51が構成される。起電力セル51は、所謂酸素検知セル、酸素濃度検出セルとも称される。ポンプセル50及び起電力セル51が空燃比センサ204を構成する。
固体電解質層43と44の間には多孔質拡散層52が配設されており、多孔質拡散層52により囲われる領域において固体電解質層43と44との間にスペースを設けており、このスペースがガス検出室52aとして確保されている。このガス検出室52aは排気ガスの導入孔として構成される。また、これらのポンプセル50及び起電力セル51に近接してヒータ42が構成されている。
電極46はプラス端子としての端子IPに接続されており、電極49はマイナス端子としての端子UNに接続されている。また、電極47及び48は端子VMに共通接続されており、これらの空燃比センサ204の端子IP、VM、UNはそれぞれ制御装置200の端子233a、53、233bに接続されている。これらのポンプセル50及び起電力セル51を電気的に表すと、図11に示すように表すことができる。
図11に示すように、制御装置200の空燃比制御IC205は、A/D変換部21、電圧検出部23、端子電圧検出部24、センサ電流検出部25、印加電圧制御部26、バッファアンプ27、28、通電制限抵抗29、電流検出抵抗30、スイッチ31a、31b、差動増幅回路32、と共に、起電力検出部54、を備え、マイコン6と共にフィードバック制御ループを構成し、空燃比センサ204の制御処理及びその保護処理を行う。基本的な構成は第1実施形態と同様である。起電力検出用の抵抗207は、端子IPと端子UNとの間に接続されている。
起電力検出部54は、空燃比の変化に基づいて変化する起電力セル51の起電力を端子UNから端子233bを通じて検出するように接続されている。また、スイッチ31aは、ポンプセル50の端子IPとバッファアンプ27との間に介在して構成されており、マイコン6のスイッチ制御部14による制御に基づいて、バッファアンプ27と端子IPとの間を接続すると共に、異常判別処理を行うときにはバッファアンプ27の出力を端子IPから開放するように接続されている。
またマイコン6は、センサ電流検出部25の検出値、端子電圧検出部24の検出値、起電力セル51の端子UNの検出値をA/D変換部22を通じて入力し、この入力値に応じて、図4に示す限界電流域Ivを検出し現在の空燃比(A/F値)を判定し、指令信号を空燃比制御IC205に出力する。空燃比制御IC205の印加電圧制御部26は、この指令信号に応じてポンプセル50に正又は負方向の電圧を印加することでポンプセル50に電流を通電させる。
このとき、空燃比(A/F値)がリーン状態であるときには、酸素イオン(O2−)が電極46から電極47に向けて移動することで、電流が電極47から電極46に向けて流れる。このとき、マイコン6は、印加電圧制御部26に指令信号を出力することで、端子IPに高電位を印加すると共に端子VMに低電位を印加し端子IP−VM間に正電圧を印加する。これにより、制御装置200は起電力セル51の電極48及び49間に生じる起電力が常時ストイキ(例えば0.45V)となるように調整制御する。
空燃比(A/F値)がリッチ状態であるときには、酸素イオン(O2−)が電極47から電極46に向けて移動することで、電流が電極46から電極47に向けて流れる。このとき、マイコン6は、印加電圧制御部26に指令信号を出力することで、端子IPに低電位を印加すると共に端子VMに高電位を印加して端子IP−VM間に負電圧を印加する。これにより、前述同様に起電力セル51の電極48及び49間に生じる起電力が常時ストイキ(例えば0.45V)となるように調整制御する。このとき移動する酸素イオン量を調整することで、起電力セル51に生じる起電力が常時ストイキレベル(例えば0.45V)となるように制御する。異常判別処理においては、第1実施形態において図5〜図7を参照して説明した方法と同様であり、プラス端子として端子IPの電圧の変化を検出することで判別できる。このため、その詳細説明を省略する。このように、本実施形態の2セルタイプの空燃比センサ204を用いた場合においても、異常判別処理を行うことができる。
(他の実施形態)
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができ、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。例えば以下に示す変形又は拡張が可能である。
例えば第1実施形態においては、端子S+、S−間の端子間電圧を差動増幅回路32によって検出し異常を判別する形態を示したが、これに限定されるものではない。例えば、図5の一部に代わる図13、図6の一部に代わる図14に示すように、マイコン6は、ステップS5a、T5aにおいて空燃比センサ204のプラス端子S+側の端子電圧、又は、マイナス端子S−側の端子電圧を検出し、ステップS7a、T7aにおいて所定電圧(例えばバッテリ電圧+B+0.5V、0.5V)とを比較することで、プラス端子S+及びマイナス端子S−の何れの端子が天絡又は地絡しているかの異常を判別するようにしても良い。
マイコン6を構成する機能の一部又は全部を、一つあるいは複数のIC等により構成しても良いし、ASIC等により構成しても良い。
前述した複数の実施形態を組み合わせて構成しても良い。なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、本発明の一つの態様として前述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
図面中、100、200は制御装置(異常判別装置)、2はインジェクタ、4、204は空燃比センサ、6はマイコン(判定部、異常判別部、噴射指令部)、7、207は抵抗、12は異常判別部、13は噴射指令部、S+、IPは端子(プラス端子)、S−、UNは端子(マイナス端子)、50はポンプセル、51は起電力セル、を示す。

Claims (7)

  1. 内燃機関の排気ガス中の空燃比を検出するために設けられ、プラス端子(S+、IP)とマイナス端子(S−、UN)との間に接続される空燃比センサ(4、204)について前記プラス端子及び前記マイナス端子にバイアスを与えることで前記空燃比センサを機能させるものにおいて、異常を生じた場合に前記空燃比センサに関する異常を判別する異常判別装置であって、
    前記プラス端子に対するバイアス印加を停止すると共にインジェクタ(2)から噴射する燃料噴射量を調整することで排気ガス中の空燃比をリッチ状態とするように指令する噴射指令部(6、13)と、
    前記噴射指令部により排気ガス中の空燃比がリッチ状態とされているときに前記空燃比センサに生じる起電力を検出し、起電力の値に応じて前記プラス端子及びマイナス端子の何れが天絡又は地絡の異常をしているか判別する異常判別部(6、12)と、
    を備える空燃比センサの異常判別装置。
  2. 請求項1記載の異常判別装置において、
    前記プラス端子と前記マイナス端子との間には前記空燃比センサと並列に前記起電力を取得するための抵抗(7、207)を接続して構成され、
    前記異常判別部は、前記抵抗に生じる起電力に応じて異常を判別する空燃比センサの異常判別装置。
  3. 請求項1または2記載の異常判別装置において、
    前記異常判別部は、前記空燃比センサのプラス端子の電圧と前記マイナス端子の電圧との端子間電圧を検出する(S5)ことで前記起電力を取得し当該起電力に応じて異常を判別する空燃比センサの異常判別装置。
  4. 請求項1または2記載の異常判別装置において、
    前記異常判別部は、前記空燃比センサのプラス端子の電圧、又は/及び、前記マイナス端子の電圧とを検出し(S5a、T5a)、この端子電圧と所定値とを比較する(S7a、T7a)ことで異常を判別する空燃比センサの異常判別装置。
  5. 請求項1から4の何れか一項に記載の異常判別装置において、
    前記空燃比センサ(4)は、センサ電圧、センサ電流、インピーダンスを検出可能に構成された1セルタイプである空燃比センサの異常判別装置。
  6. 請求項1から4の何れか一項に記載の異常判別装置において、
    前記空燃比センサ(204)は、ポンプセル(50)と起電力セル(51)とを前記プラス端子(IP)と前記マイナス端子(UN)との間に直列接続して構成され、センサ電圧、センサ電流、インピーダンスを検出可能に構成された2セルタイプである空燃比センサの異常判別装置。
  7. 請求項1から6の何れか一項に記載の異常判別装置において、
    前記空燃比センサに関する異常を判別する前に、前記プラス端子及びマイナス端子は天絡検出範囲であるか否か、及び、地絡検出範囲であるか否かを判定する判定部(6、S1、T1)を備え、
    前記異常判別部は、前記判定部により天絡検出範囲又は地絡検出範囲であると判定されたことを条件として異常の判別処理を行う異常判別装置。
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