JP2017214877A - 可変容量圧縮機 - Google Patents

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Yukihiko Taguchi
幸彦 田口
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Abstract

【課題】放圧通路に設けられた第2制御弁の閉状態から開状態への速やかな移行が可能な可変容量圧縮機を提供する。【解決手段】可変容量圧縮機において、放圧通路に設けられた第2制御弁350Aは、圧力供給通路における第1制御弁と逆止弁との間の領域に連通する背圧室354、前記放圧通路の一部を構成する弁孔150bを有する弁室353及び弁体352を含む。第2制御弁350Aは、前記第1制御弁の開弁時に弁体352の弁部352aが弁孔150bを閉塞して前記放圧通路の開度を最小とすると共に内部通路352d及び弁孔150bを介して背圧室354とクランク室を連通させ、前記第1制御弁の閉弁時に弁体352の弁部352aが弁孔150bを開放して前記放圧通路の開度を最大とする。また、背圧室354を経由せずに、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の領域と吸入室とを連通する絞り通路104dが設けられている。【選択図】図5

Description

本発明は、可変容量圧縮機に関し、特に、クランク室の調圧によって吐出容量が制御される可変容量圧縮機に関する。
この種の可変容量圧縮機が特許文献1に記載されている。特許文献1に記載の可変容量圧縮機は、吐出圧領域から制御圧室(クランク室)へ冷媒を供給する供給通路の通路断面積を調整する第1制御弁33と、前記クランク室から吸入圧領域への冷媒を排出するための排出通路の通路断面積を調整する第2制御弁34と、前記供給通路における前記第1制御弁と前記クランク室との間に配置された逆止弁35と、を備えている。前記第2制御弁34は、前記第1制御弁33が開状態から閉状態に移行すると、閉状態から開状態へ移行するように構成されている。
特開2011−185138号公報
特許文献1に記載の可変容量圧縮機においては、第2制御弁34が弁閉状態のときに排出室59と背圧室60とを連通する絞り通路(第1切り欠き溝542)が第2弁部57の端面573と弁座形成リング54との間に残される。そのため、第1制御弁33が開状態から閉状態に移行すると、前記供給通路における第1制御弁33の弁孔38よりも下流側かつ逆止弁35よりも上流側の領域にある冷媒、具体的には通路49、52内の冷媒が、背圧室60及び前記絞り通路を介して排出室59側へ放出される。このとき、前記冷媒の流れによる動圧が弁体55に作用する。
弁体55に作用する前記動圧は、第2制御弁34の弁体55が閉位置から開位置に移動することを妨げる要因になると共に冷媒密度が大きくなると大きくなる。このため、特許文献1に記載の可変容量圧縮機においては、特に液冷媒が貯留されている状態で起動された場合に、第2制御弁34が速やかに開弁しないおそれがあった。
そこで、本発明は、放圧通路に設けられた第2制御弁の閉状態から開状態への速やかな移行が可能な可変容量圧縮機を提供することを目的とする。
本発明の一側面によると、クランク室内の調圧によって吐出容量が制御される可変容量圧縮機は、吐出室とクランク室とを連通する圧力供給通路と、前記圧力供給通路に設けられた第1制御弁と、前記圧力供給通路における前記第1制御弁よりも下流側に配置され、前記第1制御弁の開弁時に前記吐出室から前記クランク室に向かう冷媒の流れを許容し、前記第1制御弁の閉弁時に前記クランク室から前記第1制御弁に向かう冷媒の流れを阻止するように構成された逆止弁と、前記クランク室と吸入室とを連通する放圧通路と、前記放圧通路に設けられた第2制御弁と、前記吸入室と、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の領域とを連通する絞り通路と、を含む。前記第2制御弁は、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域に連通する背圧室と、前記放圧通路の一部を構成する弁孔を有する弁室と、前記弁室に収容された弁部、前記背圧室に収容された受圧部及び内部通路を有し、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域の圧力と前記クランク室の圧力との圧力差に応じて移動して前記弁孔を開閉するように構成された弁体と、を含み、前記第1制御弁の開弁時に前記弁部が前記弁孔を閉塞して前記放圧通路の開度を最小とすると共に前記内部通路及び前記弁孔を介して前記背圧室と前記クランク室とを連通させる一方、前記第1制御弁の閉弁時に前記弁部が前記弁孔を開放して前記放圧通路の開度を最大とするように構成されている。また、前記絞り通路は、前記背圧室を経由せずに、前記吸入室と、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域とを連通するように形成されている。
前記可変容量圧縮機において、前記絞り通路は、前記背圧室を経由せずに、前記吸入室と前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域とを連通するように形成されている。このため、前記第1制御弁の閉弁時に、前記絞り通路を経由して前記吸入室に流出する冷媒流が前記弁体の移動を妨げることがなく、前記第2制御弁の閉状態から開状態への速やかな移行が可能となる。
また、前記第1制御弁の開弁時、前記第2制御弁においては前記内部通路によって前記背圧室から前記弁孔に向かう冷媒の流れが発生する。このため、異物等が前記背圧室に停留せず、前記弁体の移動が異物によって阻害されてしまうことが防止される。
さらに、前記圧力供給通路に加えて、前記第2制御弁を経由する圧力供給通路が形成されることになるため、例えば前記クランク室内の潤滑領域の拡大等も図れる。
本発明の実施形態に係る可変容量圧縮機の断面図である。 前記可変容量圧縮機の第1制御弁の構成を示す断面図である。 前記第1制御弁におけるコイル通電量と設定圧力との関係を示す図である。 前記可変容量圧縮機の逆止弁の構成を示す断面図であり、(a)は前記第1制御弁が圧力供給通路を開いたときの状態を示す図、(b)は前記第1制御弁が前記圧力供給通路を閉じたときの状態を示す図である。 前記可変容量圧縮機の第2制御弁の構成を示す断面図であり、(a)は前記第1制御弁が前記圧力供給通路を開いたときの状態を示す図、(b)は前記第1制御弁が前記圧力供給通路を閉じたときの状態を示す図である。 前記第2制御弁の他の実施形態を示す図である。 前記第2制御弁のさらに他の実施形態を示す図である。
以下、添付図面を参照しつつ本発明の実施形態に係る可変容量圧縮機を説明する。実施形態に係る可変容量圧縮機は、主に車両用エアコンシステムに適用されるクラッチレス圧縮機として構成されている。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の実施形態に係る可変容量圧縮機100の断面図である。可変容量圧縮機100は、複数のシリンダボア101aが形成されたシリンダブロック101と、シリンダブロック101の一端に設けられたフロントハウジング102と、シリンダブロック101の他端にバルブプレート103を介して設けられたシリンダヘッド104と、を含む。シリンダブロック101とフロントハウジング102とによってクランク室140が形成されており、駆動軸110がクランク室140内を横断して設けられている。
駆動軸110の軸方向の中間部の周囲には、斜板111が配置されている。斜板111は、駆動軸110に固定されたロータ112にリンク機構120を介して連結され、斜板111の駆動軸110の軸線に対する角度(斜板111の傾角)は変更可能に構成されている。
リンク機構120は、ロータ112から突設された第1アーム112aと、斜板111から突設された第2アーム111aと、一端側が第1連結ピン122を介して第1アーム112aに対して回動自在に連結され、他端側が第2連結ピン123を介して第2アーム111aに対して回動自在に連結されたリンクアーム121と、を含む。
駆動軸110が挿通される斜板111の貫通孔111bは、斜板111が最大傾角と最小傾角の範囲で傾動可能な形状に形成されている。貫通孔111bには駆動軸110と当接する最小傾角規制部が形成されている。斜板111が駆動軸110に直交するときの斜板111の傾角を0°とした場合、貫通孔111bの前記最小傾角規制部は、斜板111の傾角がほぼ0°となると駆動軸110に当接し、斜板111のそれ以上の傾動を規制するように形成されている。斜板111は、その傾角が最大傾角となるとロータ112に当接してそれ以上の傾動が規制される。
駆動軸110には、斜板111の傾角を減少させる方向に斜板111を付勢する傾角減少バネ114と、斜板111の傾角を増大させる方向に斜板111を付勢する傾角増大バネ115とが装着されている。傾角減少バネ114は、斜板111とロータ112との間に配置され、傾角増大バネ115は、斜板111と駆動軸110に固定されたバネ支持部材116との間に装着されている。
ここで、斜板111の傾角が最小傾角であるとき、傾角増大バネ115の付勢力の方が傾角減少バネ114の付勢力よりも大きくなるように設定されており、駆動軸110が回転していないとき、斜板111は、傾角減少バネ114の付勢力と傾角増大バネ115の付勢力とがバランスする傾角に位置決めされる。
駆動軸110の一端(図1における左端)は、ハウジング102の外側に突出するボス部102a内を貫通してハウジング102の外側まで延在している。そして、駆動軸110の前記一端には、図示省略の動力伝達装置が連結されている。駆動軸110とボス部102aとの間には軸封装置130が設けられており、クランク室140内は外部空間から遮断されている。
駆動軸110と駆動軸110に固定されたロータ112とからなる連結体は、ラジアル方向においては軸受131、132で支持され、スラスト方向においては軸受133、スラストプレート134で支持されている。そして、駆動軸110は、外部駆動源からの動力が前記動力伝達装置に伝達されることにより、前記動力伝達装置の回転と同期して回転するように構成されている。なお、駆動軸110の他端、すなわち、スラストプレート134側の端部と、スラストプレート134との隙間は、調整ネジ135によって所定の隙間に調整されている。
各シリンダボア101a内には、ピストン136が配置されている。ピストン136のクランク室140内に突出する突出部に形成された内側空間には、斜板111の外周部及びその近傍が収容されており、斜板111は、一対のシュー137を介してピストン136と連動するように構成されている。そして、駆動軸110の回転に伴う斜板111の回転によってピストン136がシリンダボア101a内を往復動する。
シリンダヘッド104には、中央部に配置された吸入室141と、吸入室141を環状に取り囲む吐出室142とが区画形成されている。吸入室141とシリンダボア101aとは、バルブプレート103に設けられた連通孔103a及び吸入弁形成板150に形成された吸入弁(図示省略)を介して連通している。吐出室142とシリンダボア101aとは、吐出弁形成板151に形成された吐出弁(図示省略)及びバルブプレート103に設けられた連通孔103bを介して連通している。
ハウジング102、センターガスケット(図示省略)、シリンダブロック101、シリンダガスケット152(図4参照)、吸入弁形成板150、バルブプレート103、吐出弁形成板151、ヘッドガスケット153(図4参照)、シリンダヘッド104が順次接続され、複数の通しボルト105によって締結されて圧縮機の本体が形成される。
シリンダブロック101の上部にはマフラが設けられている。マフラは、吐出ポート106aが形成された蓋部材106と、シリンダブロック101の上部に形成されたマフラ形成壁101bとが図示省略のシール部材を介してボルトにより締結されることによって形成されている。
蓋部材106とマフラ形成壁101bで囲まれたマフラ空間143は、連通路144を介して吐出室142に連通しており、マフラ空間143内には、吐出逆止弁200が配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144とマフラ空間143との接続部に配置されている。吐出逆止弁200は、連通路144(上流側)とマフラ空間143(下流側)との圧力差に応答して動作し、前記圧力差が所定値より小さい場合は連通路144を閉塞し、前記圧力差が所定値より大きい場合は連通路144を開放する。
連通路144、吐出逆止弁200、マフラ空間143及び吐出ポート106aは、可変容量圧縮機100の吐出通路を構成し、吐出室142は、前記吐出通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の高圧側)に接続されている。
シリンダヘッド104には、吸入ポート(図示省略)及び連通路104aで構成される吸入通路が形成されている。前記吸入通路は、シリンダヘッド104の径方向外側から吐出室142の一部を横切るように直線状に延びている。吸入室141は、前記吸入通路を介して前記エアコンシステムの冷媒回路(の低圧側)に接続されている。
シリンダブロック101及びシリンダヘッド104には、吐出室142とクランク室140とを連通する圧力供給通路145(後述する)が形成され、圧力供給通路145には第1制御弁300が設けられている。本実施形態において、第1制御弁300は、圧力供給通路145の一部を構成する第1収容孔104bに収容されており、圧力供給通路145の開度(通路断面積)を調整する。第1収容孔104bは、シリンダヘッド104の径方向に延びるようにシリンダヘッド104に形成されている。第1制御弁300は、連通路104cを介して導入される吸入室141の圧力と、外部信号に基づきソレノイドに流れる電流によって発生する電磁力とに応じて圧力供給通路145の開度(通路断面積)を調整し、これによって、吐出室142内の冷媒ガス(圧縮吐出ガス)のクランク室140への導入量(圧力供給量)を制御する。なお、圧力供給通路145及び第1制御弁300については、後で詳細に説明する。
圧力供給通路145における第1制御弁300よりも下流側には逆止弁250が配設されている。逆止弁250は、第1制御弁300の開閉に連動して圧力供給通路145を開閉するように構成されている。具体的には、本実施形態において、逆止弁250は、第1制御弁300が開弁して圧力供給通路145を開放したときに開弁して圧力供給通路145を開放し、第1制御弁300が閉弁して圧力供給通路145を閉塞したときに閉弁して圧力供給通路145を閉塞するように構成されている。圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域は、絞り部104d1を有する絞り通路104dを介して吸入室141に連通している。なお、逆止弁250及び絞り通路104dについては後で詳細に説明する。
また、クランク室140と吸入室141とを連通し、クランク室140内の冷媒を吸入室141に流出させる(排出する)ための放圧通路が設けられている。前記放圧通路の開度(通路断面積)は、第2制御弁350Aによって調整される。本実施形態において、前記放圧通路は、連通路101c、空間101d及び第2制御弁350Aを経由する第1放圧通路146と、連通路101c、空間101d、バルブプレート103に形成された固定絞り103cを経由する第2放圧通路147とを含む。第1放圧通路146は、第2制御弁350Aによって開閉される。第2放圧通路147は、第2制御弁350Aをバイパスしてクランク室140と吸入室141とを常時連通している。第2制御弁350A内の通路断面積、換言すれば、第2制御弁350Aの開弁時の第1放圧通路146の通路断面積は、第2放圧通路147の固定絞り103cの通路断面積より大きく設定されている。なお、本実施形態において、第1放圧通路146及び第2制御弁350Aは、駆動軸110の軸線よりも重力方向下側に配置され、固定絞り103cは、駆動軸110の軸線よりも重力方向上側に配置されている。なお、第2制御弁350Aについては後で詳細に説明する。
第1制御弁300及び逆止弁250が閉じているときは、第2制御弁350Aが開弁して第1放圧通路146を開放し、前記放圧通路は、第1放圧通路146と第2放圧通路147との両方で構成される。このため、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に流出してクランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となる。この場合、斜板111の傾角が最大となり、ピストン136のストローク(吐出容量)が最大となる。
一方、第1制御弁300及び逆止弁250が開いているときは、第2制御弁350Aが第1放圧通路146を閉塞し、前記放圧通路は、固定絞り103cを含む第2放圧通路147で構成される。このため、クランク室140内の冷媒が吸入室141に流出することが制限されて、クランク室140の圧力が上昇し易くなる。したがって、第1制御弁300による圧力供給通路145の開度に応じてクランク室140の圧力が上昇して斜板111の傾角が最大から減少し、これによって、ピストン136のストローク(吐出容量)が可変制御される。
このように、可変容量圧縮機100は、圧力供給通路145を介して吐出室142内(吐出圧力領域)の冷媒をクランク室140に供給し、前記放圧通路(第1放圧通路146、第2放圧通路147)を介してクランク室140内の冷媒を吸入室141(吸入圧力領域)に流出させることによってクランク室140内の調圧を行い、このクランク室140内の調圧によって吐出容量が制御されるように構成されている。なお、可変容量圧縮機100の内部には、潤滑用のオイルが封入されており、駆動軸110の回転に伴うオイルの撹拌や冷媒ガスの移動に伴うオイルの移動によって、可変容量圧縮機100内部が潤滑される。
「圧力供給通路145」
圧力供給通路145は、第1制御弁300が収容される第1収容孔104bと、シリンダヘッド104に形成された連通路104eと、シリンダブロック101及びシリンダヘッド104に形成された連通路145aとを含む。連通路104eは、吐出室142と第1収容孔104bとを連通している。連通路145aは、シリンダブロック101に形成されたシリンダブロック側通路101eと、シリンダブロック101に形成されて逆止弁250を構成する第2収容孔101f(後述する)と、シリンダヘッド104に形成されたシリンダヘッド側通路104fとで構成され、第1収容孔104bとクランク室140とを連通している。本実施形態において、連通路145aは、駆動軸110よりも重力方向下側に配置されている。
「第1制御弁300」
図2は、第1制御弁300の構成を示す断面図であり、図3は、コイル通電量(電流I)と設定圧力との関係を示す図である。図2に示されるように、本実施形態において、第1制御弁300は、弁ユニットと、弁ユニットを開閉作動させる駆動ユニット(ソレノイド)とを含む。
第1制御弁300の弁ユニットは、円筒状の弁ハウジング301を有している。弁ハウジング301の内部には、その一端(下端)側から第1感圧室302、弁室303及び第2感圧室307が軸方向に順番に並んで形成されている。
第1感圧室302は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301a、第1収容孔104b及び連通路145aを介してクランク室140に連通している。第2感圧室307は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301e、第1収容孔104b及び連通路104cを介して吸入室141に連通している。弁室303は、弁ハウジング301の外周面に形成された連通孔301b、第1収容孔104b及び連通路104eを介して吐出室142に連通している。第1感圧室302と弁室303とは、弁孔301cを介して連通可能に構成されている。弁室303と第2感圧室307との間には、支持孔301dが形成されている。
第1感圧室302内には、ベローズ305が配設されている。ベローズ305は、内部が真空にされると共にバネを内蔵している。ベローズ305は、弁ハウジング301の軸方向に変位可能に配置され、第1感圧室302内の圧力、すなわち、クランク室140内の圧力を受ける感圧手段としての機能を有する。
弁室303内には、円柱状の弁体304が収容されている。弁体304は、その外周面が支持孔301dの内周面に密接すると共に支持孔301d内を摺動可能に構成され、弁ハウジング301の軸線方向に移動可能である。弁体304の一端(下端)は、弁孔301cを開閉可能であり、弁体304の他端(上端)は、第2感圧室307内に突出している。
弁体304の前記一端には、棒状の連結部306が突出形成されている。連結部306の端部(先端)はベローズ305に当接可能に配置されており、ベローズ305の変位を弁体304に伝達する機能を有する。
駆動ユニットは、円筒状のソレノイドハウジング312を有する。ソレノイドハウジング312は、弁ハウジング301の他端(上端)に同軸に連結されている。ソレノイドハウジング312内には、電磁コイルを樹脂で覆ったモールドコイル314が収容されている。また、ソレノイドハウジング312内には、モールドコイル314の内側に、モールドコイル314と同心の円筒状の固定コア310が収容されている。固定コア310は、弁ハウジング301からモールドコイル314の中央付近まで延びている。弁ハウジング301とは反対側のソレノイドハウジング312の端部は、固定コア310を囲むように設けられた有底筒状のスリーブ313によって閉塞されている。
固定コア310は、中央に挿通孔310aを有し、挿通孔310aの一端(下端)は、第2感圧室307に開口している。また、固定コア310とスリーブ313の閉塞端(底部)との間には、円筒状の可動コア308が収容されている。
挿通孔310aには、ソレノイドロッド309が挿通されている。ソレノイドロッド309の一端(下端)は、弁体304の前記他端に固定され、ソレノイドロッド309の他端(上端)は、可動コア308に形成された貫通孔に嵌合(圧入)されている。つまり、弁体304、可動コア308及びソレノイドロッド309は一体化されている。また、固定コア310と可動コア308との間には、可動コア308を固定コア310から離れる方向(開弁方向)に付勢する強制解放バネ311が設けられている。
可動コア308、固定コア310及びソレノイドハウジング312は、磁性材料で形成されて磁気回路を構成する。一方、スリーブ313は非磁性材料のステンレス系材料で形成されている。
モールドコイル314は、信号線等を介して、可変容量圧縮機100の外部に設けられた制御装置(図示せず)に接続されている。モールドコイル314は、前記制御装置から制御電流Iが供給されると、電磁力F(I)を発生する。モールドコイル314が電磁力F(I)を発生すると、可動コア308が固定コア310に向かって吸引されて、弁体304が閉弁方向に移動する。
第1制御弁300の弁体304には、モールドコイル314による電磁力F(I)の他に、強制解放バネ311による付勢力f、弁室303の圧力(吐出圧力Pd)による力、第1感圧室302の圧力(クランク室圧力Pc)による力、第2感圧室307の圧力(吸入圧力Ps)による力及びベローズ305に内蔵するバネによる付勢力Fが作用する。ここで、ベローズ305の有効受圧面積Sb、弁体304により遮蔽する弁孔301cの面積であるシール面積Sv、弁体304の円筒外周面の断面積Srを、Sb=Sv=Srとしてあるので、弁体304に作用する力のつりあいは、下式(1)で示され、下式(1)を変形すると下式(2)となる。なお、式(1)、(2)において、「+」は弁体304の閉弁方向を示し、「−」は弁体304の開弁方向を示す。
F(I)−f+Ps・Sb−F=0・・・(1)
Ps=(F+f−F(I))/Sb・・・(2)
ベローズ305、連結部306及び弁体304の連結体は、吸入室141の圧力が制御電流Iにより設定された設定圧力より高くなると、吐出容量を増大させるために圧力供給通路145の開度(通路断面積)を小さくしてクランク室140の圧力を低下させ、吸入室141の圧力が前記設定圧力を下回ると、吐出容量を減少するために圧力供給通路145の開度(通路断面積)を大きくしてクランク室140の圧力を上昇させる。つまり、第1制御弁300は、吸入室141の圧力が設定圧力に近づくように圧力供給通路145の開度(通路断面積)を自律制御する。
弁体304には、ソレノイドロッド309を介してモールドコイル314の電磁力が閉弁方向に作用するので、モールドコイル314への通電量が増加すると圧力供給通路145の開度を小さくする方向の力が増大し、図3に示されるように設定圧力が低下する方向に変化する。前記制御装置は、例えば400Hz〜500Hzの範囲の所定の周波数でパルス幅変調(PWM制御)によりモールドコイル314への通電を制御し、モールドコイル314を流れる電流値が所望の値となるようにパルス幅(デューティ比)を変更する。
前記エアコンシステムの作動時、つまり可変容量圧縮機100の作動状態では、前記制御装置は、前記エアコンシステムにおける空調設定(設定温度等)や外部環境に基づいてモールドコイル314への通電量を調整する。これにより、吸入室141の圧力が前記通電量に対応する設定圧力になるように吐出容量が制御される。一方、前記エアコンシステムの非作動時、つまり可変容量圧縮機100の非作動状態では、前記制御装置は、モールドコイル314への通電をOFFする。これにより、圧力供給通路145が強制解放バネ311によって開放され、可変容量圧縮機100の吐出容量は最小の状態に制御される。
「逆止弁250」
図4は、逆止弁250の構成を示す断面図である。図4(a)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたときの状態を示し、図4(b)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときの状態を示している。
逆止弁250は、圧力供給通路145における第1制御弁300よりも下流側の部位、具体的には、第1収容孔104bとクランク室140とを連通する連通路145aにおけるシリンダブロック101側の部位に配置されている。
本実施形態において、逆止弁250は、第2収容孔101fと、弁座形成部材としての吸入弁形成板150と、第2収容孔101fに収容された弁体251と、を含む。
第2収容孔101fは、駆動軸110の軸線に平行に延びると共に、シリンダブロック101のシリンダヘッド104との合わせ面101gに開口する有底の段付き円孔状に形成され、前記開口側に配置された大径孔部101f1と、底壁101f2側に配置されて大径孔部101f1よりも小径の小径孔部101f3とを有する。
吸入弁形成板150は、第2収容孔101f(の大径孔部101f1)の前記開口を閉塞する(覆う)と共に、弁体251が離接する弁座部150aと、弁体251の離接によって開閉される弁孔150bとを有する。
弁体251は、小径部251a1と小径部251a1よりも外径の大きい大径部251a2とで構成された段付き円筒状の側壁251aと、側壁251aの小径部251a1側の開口端を閉塞する端壁251bとを有する。換言すれば、弁体251は、有底の段付き円筒状に形成されている。また、弁体251は、側壁251aの内部空間251c1と、側壁251aの小径部251a1に形成された貫通孔251c2とで構成される内部通路251cを有している。弁体251は、樹脂材料で形成されるのが好ましいが、金属材料等の他の材料で形成されてもよい。
弁体251は、大径部251a2が第2収容孔110fの小径孔部101f3に摺動自在に支持されている。また、弁体の小径部251a1と第2収容孔110fの大径孔部101f1との間の空間は、弁体251の内部通路251cに連通する環状の通路を形成している。
第2収容孔101f内において、弁体251は駆動軸110の軸線と平行な方向に移動可能である。弁体251の端壁251bが吸入弁形成板150の弁座部150aに当接することによって弁体251の一方の移動が規制され、弁体251の側壁251aの開口端(端壁251bとは反対側の端部)が第2収容孔101fの底壁101f2に当接することによって弁体251の他方の移動が規制される。そして、弁体251の端壁251bが弁座部150aに当接すると弁孔150bが閉塞され、弁体251の端壁251bが弁座部150aから離間すると弁孔150bが開放される。
第2収容孔101fの大径孔部101f1内の空間は、弁孔150b及びシリンダヘッド側通路104fを介して第1収容孔104bの第1制御弁300の弁孔301cよりも下流の領域に連通している。また、第2収容孔101fの底壁101f2には、シリンダブロック側通路101eの一端が開口しており、シリンダブロック側通路101eの他端は、クランク室140内に開口している。すなわち、第2収容孔101fの小径孔部101f3内の空間は、シリンダブロック側通路101eを介してクランク室140に連通している。
弁体251には、逆止弁250よりも上流側の圧力供給通路145の圧力Pc′及び逆止弁250よりも下流側のクランク室140の圧力Pcが作用する。したがって、弁体251は弁体251の上流側圧力と下流側圧力との差(Pc′−Pc)に応答して駆動軸110の軸線方向に移動する。
また、上述のように、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域は、絞り部104d1を有する絞り通路104dを介して吸入室141と連通している。
第1制御弁300の弁体304が弁孔301cを開放している状態、すなわち、第1制御弁300が開弁して圧力供給通路145を開いた状態では、吐出室142の冷媒ガスが第1制御弁300の弁孔301cより下流の圧力供給通路145を経由して逆止弁250の弁孔150bに至る。このため、弁体251の上流側の圧力Pc′が上昇して(Pc′−Pc)>0となり、図4(a)に示されるように、弁体251の端壁251bが弁座部150aから離間し、弁体251の側壁251aの前記開口端が第2収容孔101fの底壁101f2に当接した状態となる。したがって、吐出室142内の冷媒ガスは、図中矢印で示されるように、弁孔150bから第2収容孔101fの大径孔部101f1、内部通路251c及びシリンダブロック側通路101eを経由してクランク室140に供給される。
第1制御弁300の弁体304が弁孔301cを開放している状態から弁孔301cを閉塞したとき、すなわち、第1制御弁300が閉弁して圧力供給通路145を閉じると、吐出室142の冷媒ガスは、圧力供給通路145における第1制御弁300の弁孔301cよりも下流側には供給されず、また、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の冷媒ガスは、絞り通路104dを経由して吸入室141に流出する。このため、(Pc′−Pc)<0となり、さらに内部通路251cを逆流する冷媒流による動圧によって、図4(b)に示されるように、弁体251の側壁251aの前記開口端が第2収容孔101fの底壁101f2から離間し、弁体251の端壁251bが弁座部150aに当接して弁孔150bを閉塞する。これにより、クランク室140から第1制御弁300に向かう冷媒の流れが阻止される。
このように、逆止弁250は、第1制御弁300が開弁して圧力供給通路145を開いたときには吐出室142からクランク室140への冷媒の流れを許容し、第1制御弁300が閉弁して圧力供給通路145を閉じたときにはクランク室140から第1制御弁300に向かう冷媒の流れを阻止するように構成されている。なお、逆止弁250は、弁体251を弁座部150aに向けて付勢する付勢手段(圧縮コイルバネ等)を有してもよい。また、ここでは吸入弁形成板150が弁座部150a及び弁孔150bを有しているが、これに限られるものではなく、例えばバルブプレート103が弁座部150a及び弁孔150bを有してもよい。
「絞り通路104d」
絞り通路104dの一端は、第1収容孔104b内の第1制御弁300の弁孔301cよりも下流側の領域に開口し、絞り通路104dの他端は、吸入室141の底壁近傍に開口している。
上述のように、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じると、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域には冷媒ガスが供給されない。また、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域にある冷媒ガスは、絞り通路104dを経由して吸入室141に流出する(排出される)。このため、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の圧力は、吸入室141の圧力に近づいていく。一方、第1制御弁300が圧力供給通路145を開くと、逆止弁250が開弁して吐出室142内の冷媒ガスがクランク室140に供給される。このとき、冷媒ガスの一部が絞り通路104dを経由して吸入室141に漏れることになる。
したがって、絞り通路104dの絞り部104d1の通路断面積は、できるだけ小さく設定されることが望ましい。また、絞り通路104dの絞り部104d1の通路断面積の設定には、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときの、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の冷媒の流出性(排出性)と、第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたときの、絞り通路104dを介した冷媒の吸入室141への漏れ量とが考慮される。
「第2制御弁350A」
図5は、第2制御弁350Aの構成を示す断面図である。図5(a)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたときの状態を示し、図5(b)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときの状態を示している。
第2制御弁350Aは、シリンダヘッド104における駆動軸110の軸線よりも重力方向下側の領域に配置されている。第2制御弁350Aは、シリンダヘッド104のシリンダブロック101との合わせ面104h側に形成された第3収容孔104kと、第3収容孔104kに装着される弁ハウジング351と、弁座形成部材としての吐出弁形成板151と、第3収容孔104kに収容されて第3収容孔104k内を移動可能な弁体352と、を含む。弁体352は、弁部352a、受圧部352b及びこれらを連結する軸部352cを有する。
第3収容孔104kは、駆動軸110の軸線に平行に延びると共に、吸入室141内に開口する有底の段付き円孔状に形成されており、前記開口側の大径孔部104k1と、底壁104k2側の、大径孔部141k1よりも小径の小径孔部104k3とを有する。第3収容孔104kの底壁104k2には、連通路104mの一端が開口しており、連通路104mの他端は、第1収容孔104bにおける第1制御弁300の弁孔301cよりも下流側の領域に開口している。換言すれば、連通路104mは、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域から分岐した分岐通路を構成する。
弁ハウジング351は、有底円筒状に形成されており、側壁351aと、端壁351bとを有する。弁ハウジング351は、側壁351aの開口端面351a1が吐出弁形成板151に当接した状態で側壁351aが第3収容孔104kの大径孔部104k1に圧入嵌合されることによって、第3収容孔104kに装着される。そして、吐出弁形成板151によって閉塞された側壁351aの内部空間が、弁体352の弁部352aを収容する弁室353を構成し、第3収容孔104k内における弁ハウジング351(の端壁351b)よりも底壁104k2側の空間(主に小径孔部104k3)が、弁体352の受圧部352bを収容する背圧室354を構成している。また、弁ハウジング351の端壁351bの中央部には、弁体352の軸部352cが挿通される挿通孔351b1が形成されている
弁室353は、弁ハウジング351の側壁351aに形成された連通孔351a2を介して吸入室141に連通している。背圧室354は、連通路(分岐通路)104mを介して圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域に連通している。
本実施形態において、弁室353と背圧室354とは弁ハウジング351の端壁351bによって区画されており、弁ハウジング351の端壁351bが本発明の「区画壁」に相当する。
吐出弁形成板151(の前記閉塞部)には、弁体352の弁部352aが離接する弁座部151aと、空間101dと弁室353とを連通すると共に弁座部151aに対する弁体352の弁部352aの離接によって開閉される弁孔151bと、が形成されている。
なお、弁孔151b、弁室353及び連通孔351a2は、連通路101c及び空間101dと共に第1放圧通路146を構成している。
上述のように、弁体352は、弁室353に収容された弁部352aと、背圧室354に収容された受圧部352bと、弁部352aと受圧部352bとを連結すると共に弁ハウジング351の端壁351bに形成された挿通孔351b1に挿通された軸部352cと、を有する。
弁部352aは、その一端面352a1が弁座部151aに離接することで弁孔151bを開閉する。
受圧部352bは、第3収容孔104kの底壁104k2側に配置されて背圧室354の内周面に支持される大径部352b1と、弁ハウジング351の端壁351b側に配置された、大径部352b1よりも小径の小径部352b2とを有する。そして、受圧部352bの大径部352b1側の端面は、第3収容孔104kの底壁104k2に離接し、受圧部352bの小径部352b2側の端面は、弁ハウジング351の端壁351bに離接するように構成されている。ここで、受圧部352bの大径部352b1の外周面と、背圧室354(第3収容孔104kの小径孔部104k3)の内周面との隙間は、可変容量圧縮機100内の異物が通過できる程度の大きさを有している。本実施形態において、受圧部352bの大径部352b1の外周面が本発明の「被支持部」に相当する。
軸部352cは、弁部352a及び受圧部352b(の小径部352b2)よりも小径にされており、挿通孔351b1に挿通されている。
弁体352は、弁室353と背圧室354とを連通させるための内部通路352dをさらに有している。内部通路352dは、一端が弁部352aの一端面352a1に開口すると共に他端が閉塞された軸方向に延びるメイン通路352d1と、メイン通路352d1と背圧室354とを(常時)連通する絞り通路352d2とを有する。絞り通路352d2の一端はメイン通路352d1に開口し、絞り通路352d2の他端は受圧部352bの小径部352b2の外周面に開口している。
本実施形態において、受圧部352bと軸部352cとは一体に形成され、弁部352aは軸部352cに装着されている。具体的には、弁部352aには軸部352cに対応する貫通孔が形成されており、弁ハウジング351の端壁351bに形成された挿通孔351b1に軸部352cを挿通させた状態で弁部352aの前記貫通孔を軸部352cに位置合わせし、軸部352cを弁部352aの前記貫通孔に圧入嵌合することによって、弁体352が形成される。したがって、弁ハウジング351と弁体352とは、一つの組立体を構成している。
圧入作業は、弁ハウジング351の側壁351aの開口端面351a1と弁部352aの一端面352a1とを同一平面上に置いて行い、受圧部352bの小径部352b2側の端面が弁ハウジング351の端壁351bに当接するまで、軸部352cが弁部352aの前記貫通孔に圧入される。この結果、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aに当接したとき、挿通孔351b1を介した弁室353と背圧室354との連通が遮断されるようになっている。また、受圧部352bの大径部352b1側の端面が第3収容孔104kの底壁104k2に当接したとき、連通路(分岐通路)104mの開口が閉塞され、連通路(分岐通路)104mを介した背圧室354と圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域との連通が遮断される。
なお、ここでは、吐出弁形成板151が弁座形成部材として弁座部151a及び弁孔151bを有しているが、これに限られるものではない。シリンダブロック101とシリンダヘッド104との間に配置される他の圧縮機構成部材(バルブプレート103等)が弁座部151a及び弁孔151bを有してもよいし、専用の弁座形成部材が弁ハウジング351に付加されてもよい。吐出弁形成板151やバルブプレート103を弁座形成部材として用いれば、専用の弁座形成部材を付加する必要がなく、また、吐出弁形成板151及びバルブプレート103は、平面度や面粗度の精度もよいので、弁座形成部材として好適である。
ここで、第2制御弁350Aの動作について説明する。まず、第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたとき、第2制御弁350Aは、受圧部352bの大径部352b1側の端面に作用する圧力、すなわち、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の圧力Pc′(以下、「背圧Pc′」という)の上昇を利用して弁体352を移動させ、弁体352の弁部352aの一端面352a1を弁座部151aに当接させて第1放圧通路146を閉じる。これにより、前記放圧通路は、第2放圧通路147のみで構成され、前記放圧通路の開度(通路断面積)は最小となる。
また、このとき弁体352の内部通路352dが弁孔151bと背圧室354とを連通する。これにより、背圧室354は、内部通路352d及び弁孔151bを介してクランク室140に連通する。さらに言えば、連通路(分岐通路)104m、背圧室354、内部通路352d、弁孔151b、空間101d及び連通路101cを介して、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と、クランク室140とが連通する。このため、逆止弁250を経由する上述の圧力供給通路145に加えて、さらに第2制御弁350を経由する第2圧力供給通路145bが形成される。但し、内部通路352dを構成する絞り通路352d2の通路断面積は、逆止弁250を経由する圧力供給通路145の最小通路断面積よりも小さく設定されているため、吐出室142からの冷媒の主流は圧力供給通路145を通過する。
連通路(分岐通路)104mを介して背圧室354に流入した冷媒は、受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間を通過し、絞り通路352d2(内部通路352d)に流入する。すなわち、背圧室354に冷媒が流入している間、受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間には常時冷媒の流れが生じる。このため、冷媒流に混入した異物が受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間に停留することがなく、前記異物は、内部通路352d及び弁孔151bを通過してクランク室140へと流出(排出)される。したがって、弁体352の移動が前記異物によって阻害されることはない。
次に、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたとき、第2制御弁350Aは、受圧部352bの大径部352b1側の端面に作用する背圧Pc′の低下を利用して弁体352を移動させ、受圧部352bの大径部352b1側の端面を第3収容孔104kの底壁104k2に当接させると共に弁部352aの一端面352a1を弁座部151aから離間させて、第1放圧通路146を開放する。これにより、前記放圧通路は、第1放圧通路146と第2放圧通路147との両方で構成され、前記放圧通路の開度(通路断面積)は最大となる。また、受圧部352bの大径部352b1側の端面によって連通路(分岐通路)104mの開口が閉塞されるので、第2圧力供給通路145bは閉じられる。
第2制御弁350Aの動作についてさらに詳しく説明する。受圧部352bの大径部352b1側の端面は背圧Pc′を受け、弁部352aの一端面352a1はクランク室140の圧力Pcを受ける。また、弁室353の圧力は吸入室141の圧力と等しいので、弁体352には吸入室141の圧力Psが作用している。
ここで、受圧部352bの大径部352b1側の端面が第3収容孔104kの底壁104k2に当接したときの背圧Pc′の受圧面積をS1、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aに当接したときの圧力Pcを受ける受圧面積をS2、受圧部352bの小径部352b2側の端面が弁ハウジング351の端壁351bに当接したときの当接部の径で規定される面積をS3とする。受圧部352bの大径部352b1側の端面が第3収容孔104kの底壁104k2に当接した状態では、前記放圧通路が最大に開放されている(前記放圧通路の通路断面積が最大である)ので、クランク室140の圧力は吸入室141の圧力と等しくなる。このため、受圧部352bの大径部352b1側の端面が第3収容孔104kの底壁104k2から離間するための条件は、下式(3)となる。
Pc′・S1>Ps・S1+f+F1・・・(3)
ここで、fは摩擦力であり、F1は第1放圧通路146を流れる(弁孔151bからの)冷媒流が衝突することによって弁部352aの一端面352a1に作用する動圧による力である。
したがって、第1制御弁300を開弁して(すなわち、圧力供給通路145を開いて)背圧Pc′を上昇させることにより、受圧部352bの大径部352b1側の端面を第3収容孔104kの底壁104k2から離間させ、弁部352aの一端面352a1を弁座部151aに当接させる(弁孔151bを閉塞する)ことができる。
また、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aから離間するための条件は、下式(4)となる。
Pc′・S3+f<Ps・(S3−S2)+Pc・S2・・・(4)
但し、S3=S2としてあるので、(Pc′―Pc)・S2+f<0・・・(4′)
第1制御弁300が閉弁される(すなわち、圧力供給通路145が閉じられる)と、吐出室142の冷媒ガスが圧力供給通路145における第1制御弁300よりも下流に供給されない。また、上述のように、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域の冷媒ガスは、絞り通路104dを経由して吸入室141に流出し、Pc′<Pcとなって逆止弁250が圧力供給通路145を閉じる。これによって、確実にPc′=Psとなり、静圧差(Pc′―Pc)による力が摩擦力fより大きくなって、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aから離間する。
ここで、弁体352には内部通路352dが形成されているため、Pc′<Pcとなったときに、弁孔151b側からの冷媒が内部通路352dを逆流し、この冷媒の逆流による動圧が弁部352aの一端面352a1に作用する。つまり、弁体352が内部通路352dを有することにより、弁体352には、静圧差(Pc′―Pc)による力に加え、前記動圧による力が開弁方向に作用する。このため、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときに、第2制御弁350Aの開弁が速やかに行われ得る。
また、絞り通路104dは、背圧室354を経由せずに、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と吸入室141とを連通するように形成されている。このため、吸入室141に流出する(排出される)冷媒流が受圧部352bの大径部352b1側の端面に衝突することはなく、弁体352には、受圧部352bの大径部352b1側の端面を押圧する方向の動圧が作用しない。つまり、吸入室141に流出する(排出される)冷媒流は、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aから離間することを妨げる力を発生させることがないので、弁部352aの一端面352aが弁座部151aからスムースに離間し得る。なお、受圧面積S1〜S3は、弁体352が円滑に動作し得るよう、適宜調整される。
「可変容量圧縮機100の動作」
まず、車両のエンジンが停止している場合など、可変容量圧縮機100が停止している状態では、第1制御弁300のモールドコイル314への通電はOFFになっており、第1制御弁300は圧力供給通路145を最大に開放する(通路断面積を最大とする)。また、逆止弁250は、弁体251の端壁251bが弁座部150aから離間すると共に、弁体251の側壁251aの前記開口端が第2収容孔101fの底壁101f2に当接して、圧力供給通路145(連通路145a)を開放した状態になっている。また、第2制御弁350は、弁部352aの一端面352a1が弁座部151aに当接して第1放圧通路146を閉じており、前記放圧通路は、第2放圧通路147のみで構成されて、その通路断面積は最小となっている。このとき、第2圧力供給通路145bは開放された状態となっている。
上記の状態で車両のエンジンが始動し、可変容量圧縮機100の駆動軸110が回転すると、吐出逆止弁200が吐出通路を閉塞しているので、圧縮吐出された冷媒(吐出室142内の冷媒ガス)は圧力供給通路145及び第2圧力供給通路145bを経由してクランク室140に供給される。すると、クランク室140の圧力が上昇して斜板111の傾角は最小となり、ピストン136のストローク(吐出容量)が最小となる。このとき、可変容量圧縮機100は非作動状態で運転されている状態となっている。なお、前記圧縮吐出された冷媒は、吐出室142、圧力供給通路145、第2圧力供給通路145b、クランク室140、第2放圧通路147、吸入室141及びシリンダボア101aで構成される内部循環路を循環する。
次いで、前記エアコンシステムが作動すると、第1制御弁300のモールドコイル314に電流が流れて、弁体304が弁孔301cを閉じる。すなわち、第1制御弁300が閉弁して圧力供給通路145を閉じる。この場合、前記圧縮吐出された冷媒は圧力供給通路145における第1制御弁300よりも下流に供給されず、また、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域にある冷媒は、絞り通路104dを経由して吸入室141に流れてPc′<Pcとなる。したがって、逆止弁250は、圧力供給通路145(連通路145a)を閉じる。また、第2制御弁350Aは、第2圧力供給通路145bを閉じると共に第1放圧通路146を開放し、前記放圧通路は、第1放圧通路146と第2放圧通路147の2経路で構成され、その通路断面積が最大となる。
このため、クランク室140内の冷媒が速やかに吸入室141に流出し、クランク室140の圧力が吸入室141の圧力と同等となる。この結果、斜板111の傾角が最大となりってピストン136のストローク(すなわち、可変容量圧縮機100の吐出容量)が最大となる。そして、吐出逆止弁200が開弁して前記エアコンシステムを冷媒が循環し、前記エアコンシステムが作動状態となる。
ここで、第2制御弁350Aは、駆動軸110の軸線よりも重力方向下側に設けられている。このため、クランク室140に液冷媒が貯留されている場合には、貯留された液冷媒が第1放圧通路146を経由して直接吸入室141に排出される。また、絞り通路104dは、背圧室354を経由せずに、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と吸入室141とを連通するように形成されている。このため、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域が液冷媒で満たされている場合であっても、絞り通路104dを経由して吸入室141に排出される冷媒流が第2制御弁350Aの開弁を妨げる力を発生することがなく、第2制御弁350Aが速やかに開弁することを可能とする。
そして、吸入室141の圧力がモールドコイル314に流れる電流によって設定された設定圧力まで低下すると、第1制御弁300の弁体304が弁孔301c開き、これにより、前記圧縮吐出された冷媒は圧力供給通路145における第1制御弁300よりも下流に供給される。すると、Pc′>Pcとなって、逆止弁250が圧力供給通路145(連通路145a)を開放し、前記圧縮吐出された冷媒がクランク室140に供給される。また、第2制御弁350Aが第2圧力供給通路145bを開放すると共に第1放圧通路146を閉じ、前記放圧通路は、第2放圧通路147のみで構成され、その通路断面積が最小となる。これにより、クランク室140内の圧力が上昇して斜板111の傾角が減少してピストン136のストローク(吐出容量)が減少し、吐出容量制御状態となる。
前記吐出容量制御状態では、前記圧縮吐出された冷媒が圧力供給通路145及び第2圧力供給通路145bを介してクランク室140に供給される。つまり、前記圧縮吐出された冷媒をクランク室140に供給するための圧力供給通路が二つの経路で構成される。このため、クランク室140内の潤滑領域が拡大され得る。また、第2放圧通路147を構成する固定絞り103cは、駆動軸110の軸線よりも重力方向上側に設けられているので、前記吐出容量制御状態におけるクランク室140から吸入室141へのオイルの流出が抑制される。
〔第2実施形態〕
図6は、第2実施形態に係る第2制御弁350Bの構成を示す断面図である。第2実施形態に係る第2制御弁350Bは、上述の内部通路352dに代えて内部通路352d′を有する。それ以外の構成については前記第1実施形態に係る第2制御弁350Aと同じであるので説明を省略する。
第2制御弁350Bにおいて、内部通路352d′は、受圧部352bの大径部352b1側の端面に開口すると共に軸方向に延びて弁室353と背圧室354とを連通しており、その途中に絞り部352d′1を有している。絞り部352d′1は、受圧部352bの大径部352b1の端面に開口する開口端から離れた位置に形成されればよく、図6に示された位置に制限されない。このような内部通路352d′によると、連通路104m(分岐通路)からの冷媒流に混入した異物が内部通路352d′に直接的に導かれるので、弁体352′の移動が前記異物によって阻害されることがより確実に防止される。
〔第3実施形態〕
図7は、第3実施形態に係る第2制御弁350Cの構成を示す断面図である。図7(a)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたときの状態を示し、図7(b)は、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときの状態を示している。
第3実施形態に係る第2制御弁350Cは、シリンダブロック101における駆動軸110の軸線よりも重力方向下側の領域に配置されている。第2制御弁350Cは、シリンダブロック101のシリンダヘッド104との合わせ面101gに形成された第4収容孔101hと、第4収容孔101hに装着されたリング状部材355と、第4収容孔101hに収容されて第4収容孔101h内を軸方向に移動可能な弁体352と、を含む。弁体352は、前記第1実施形態と同様に、弁部352a、受圧部352b、弁部352aと受圧部352bとを連結する軸部352c及び内部通路352d(352d1、352d2)と、を有する。
第4収容孔101hは、駆動軸110の軸線に平行に延びる有底の段付き円孔状に形成されている。第4収容孔101hの開口端は、吸入弁形成板150によって閉塞されている。第4収容孔101hは、前記開口端側の大径孔部101h1と、底壁101h2側の、大径孔部101h1よりも小径の小径孔部101h3と、を有する。
リング状部材355は、第4収容孔101hにおける大径孔部101h1に装着されている。リング状部材355は、前記第1実施形態における弁ハウジング351の端壁351bに相当するものであり、第4収容孔101h内を小径孔部101h3で構成される弁室353と大径孔部101h1で構成される背圧室354とに区画している。そして、弁体352の弁部352aは弁室353に収容され、弁体352の受圧部352bは背圧室354に収容され、弁体352の軸部352cがリング状部材355の孔部(貫通孔)355aに挿通されている。すなわち、本実施形態においては、リング状部材355が本発明の「区画壁」に相当し、リング状部材355の孔部355aが本発明の「挿通孔」に相当する。
第4収容孔101hの底壁101h2には、連通路101iの一端が開口しており、連通路101iの他端は、クランク室140に開口している。また、第4収容孔101hの小径孔部101h3には、連通路101jの一端が開口しており、連通路101jの他端は、吸入室141に開口している。すなわち、本実施形態において、弁室353は、連通路101jを介して吸入室141に連通している。また、本実施形態においては、連通路101i、第4収容孔101h(弁室353)及び連通路101jによって第1放圧通路146が構成されている。底壁101h2に開口する連通路101iの前記一端は、弁体352の弁部352aが底壁101h2に離接することによって開閉される。したがって、第4収容孔101hの底壁101h2は弁座部を構成し、連通路101iの前記一端は弁孔を構成している。
吸入弁形成板150は、第4収容孔101hの前記開口端を閉塞する閉塞部に、弁体352の受圧部352bの大径部352b1側の端面が離接する被離接部150cと、弁体352の受圧部352bの大径部352b1側の端面の被離接部150cに対する離接によって開閉される貫通孔150dとを有する。貫通孔150dは、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域から分岐して延びる分岐通路104nに連通している。すなわち、本実施形態において、背圧室354は、貫通孔150d及び分岐通路101nを介して、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域に連通している。なお、弁体352の受圧部352bの大径部352b1側の端面が離接する被離接部及び分岐通路104nに連通する貫通孔が、バルブプレート103やシリンダガスケット152に設けられてもよい。
上述の第2制御弁350A、350Bと同様、受圧部352bと軸部352cとは一体に形成されており、弁部352aは軸部352cに装着されている。具体的には、弁部352aには軸部352cに対応する貫通孔が形成されており、リング状部材355の孔部355aに軸部352cを挿通させた状態で、軸部352cを弁部352aの前記貫通孔に圧入嵌合することによって、弁体352が形成される。したがって、弁体352とリング状部材355とは、一つの組立体(弁組立体)を構成している。
前記弁組立体の組立作業は、次のようにして行われる。まず、リング状部材355の孔部355aに軸部352cを挿通させた状態で軸部352cを弁部352aの前記貫通孔に仮圧入して弁体352とリング状部材355とを一体化する。前記仮圧入は、前記弁組立体を第4収容孔101hに収容した状態を想定して、リング状部材355が第4収容孔101hの大径孔部101h1と小径孔部101h3との接続部(段差面)に当接し、かつ、弁部352aの一端面352aが第4収容孔101hの底壁101h2に当接した状態で、受圧部352bの小径部352b2側の端面とリング状部材355の一端面355bとの間に所定の隙間が形成されるように、その圧入量を調整して行われる。
次いで、仮圧入状態の弁組立体を第4収容孔101hに収容し、弁部352aの一端面352a1が第4収容孔101hの底壁101h2に当接し、かつ、リング状部材355の他端面355cが第4収容孔101hの大径孔部101h1と小径孔部101h3との接続部(段差面)に当接した状態で、受圧部352bの小径部352b2側の端面がリング状部材355の一端面355bに当接するように、弁部352aの前記貫通孔に対する軸部352cの圧入位置を最終調整する。
これにより、弁部352aの一端面352a1が第4収容孔101hの底壁101h2に当接したとき、受圧部352bの小径部352b2側の端面がリング状部材355の一端面355bに当接してリング状部材355の孔部355aを介した弁室353と背圧室354との連通が遮断される。
第1制御弁300が圧力供給通路145を開いたとき、第2制御弁350Cは、受圧部の大径部352b1側に端面に作用する背圧Pc′の上昇を利用して弁体352を移動させ、弁部352の弁部352aの一端面352a1を第4収容孔101hの底壁101h2に当接させて、第1放圧通路146を閉じる。これにより、前記放圧通路は、第2放圧通路147のみで構成される。このとき、弁体352の内部通路352dが底壁101h2に開口する連通路101iの前記一端(弁孔)と背圧室354とを連通するため、逆止弁250を経由する圧力供給通路145に加えて、分岐通路104n、第2制御弁350C及び連通路101iを経由する第2圧力供給通路145cが形成される。このため、クランク室140内の潤滑領域が拡大され得る。但し、但し、内部通路352dを構成する絞り通路352d2の通路断面積は、逆止弁250を経由する圧力供給通路145の最小通路断面積よりも小さく設定されているため、吐出室142からの冷媒の主流は圧力供給通路145を通過する。
分岐通路104nを介して背圧室354に流入した冷媒は、受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間を通過し、絞り通路352d2(内部通路352d)に流入する。すなわち、背圧室354に冷媒が流入している間、受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間には常時冷媒の流れが生じる。このため、冷媒流に混入した異物が受圧部352bの大径部352b1外周面と背圧室354の内周面との隙間に留まることがなく、前記異物は、内部通路352d及び弁孔151bを通過してクランク室140に流出(排出)される。したがって、弁体352の移動が前記異物によって阻害されることはない。
第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたとき、第2制御弁350Cは、受圧部352bの大径部352b1側の端面に作用する背圧Pc′の低下を利用して弁体352を移動させ、受圧部352bの大径部352b1側の端面を吸入弁形成板150の被離接部150cに当接させると共に、弁部352aの一端面352a1を第4収容孔101hの底壁101h2から離間させて第1放圧通路146を開放する。これによって、前記放圧通路は、第1放圧通路146と第2放圧通路147との両方で構成され、前記放圧通路の通路断面積が最大となる。また、受圧部352bの大径部352b1側の端面によって分岐通路104nに連通する貫通孔150dが閉塞されるので、第2圧力供給通路145cが閉じられる。
なお、第2制御弁350Cにおける弁体352の開弁、閉弁の条件式は、上述の第2制御弁350Aの場合と同様である。
また、本実施形態においても、絞り通路104dは、背圧室354を経由せずに、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と吸入室141とを連通するように形成されている。このため、第1制御弁300が圧力供給通路145を閉じたときに、吸入室141に流出する(排出される)冷媒流が受圧部352bの大径部352b1側の端面に衝突することはなく、弁体352には、受圧部352bの大径部352b1側の端面を押圧する方向の動圧が作用しない。つまり、吸入室141に流出する(排出される)冷媒流は、弁部352aの一端面352a1が第4収容孔101hの底壁101h2(弁座部)から離間することを妨げる力を発生させることがないので、弁部352aの一端面352aが第4収容孔101hの底壁101h2(弁座部)からスムースに離間し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形や変更が可能である。そのうちのいくつかを以下に記載する。
絞り通路104dは、背圧室354を経由せずに、圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と吸入室141とを連通するように形成すればよく、上述の構成に限られない。例えば、絞り通路104dは、第1制御弁300の内部を経由して圧力供給通路145における第1制御弁300と逆止弁250との間の領域と吸入室141とを連通するように形成されてもよい。
第2制御弁350A〜Cにおいて、弁部352aの一端面352a1に、溝又は絞り通路など形成し、弁部352aの一端面352a1が弁座部151a又は第4収容孔101hの底壁101h2)に当接したときに、第1放圧通路146を完全に遮断しない構成としてもよい。また、受圧部352bの小径部352b2側の端面が区画壁(弁ハウジング351の端壁351b又はリング状部材355)に当接したときに、冷媒の背圧室354から弁室353への僅かな漏れを許容する構成としてもよい。さらに、受圧部352bの大径部352b1側の端面が第3収容孔104kの底壁104k2又は吸入弁形成板150の被離接部150cに当接したときに、背圧室354と連通路(分岐通路)104m又は分岐通路104nとの連通が完全に遮断されない構成としてもよい。
弁ハウジング353が弁体352を収容するように形成されてもよいし、弁体352の弁部352aが離接する弁座部が弁ハウジング353に形成されてもよい。
逆止弁250は、シリンダヘッド104に配置されてもよく、第2制御弁350A〜Cは、駆動軸110の軸線よりも重力方向上側に配置されてもよい。また、弁ハウジング353と第3収容孔104kとの間にシール部材を介在させてもよく、第2制御弁350A、Bがシリンダブロック101に配置され、第2制御弁350Bがシリンダヘッド104に配置されてもよい。
第1制御弁300は、ソレノイドの無い機械式制御弁であってもよいし、ベローズ等の感圧部材を有さない電磁弁であってもよい。
可変容量圧縮機は、斜板式のクラッチレス圧縮機に限られず、電磁クラッチを装着した可変容量圧縮機やモータで駆動される可変容量圧縮機としてもよい。
100…可変容量圧縮機、104d…絞り通路、110…駆動軸、140…クランク室、141…吸入室、142…吐出室、145…圧力供給通路、146…第1放圧通路、147…第2放圧通路、150…吸入弁形成板、150b…弁孔、151…吐出弁形成板、250…逆止弁、300…第1制御弁、350A〜C…第2制御弁、351…弁ハウジング、351b…弁ハウジングの端壁、351b1…挿通孔、352…弁体、352a…弁部、352b…受圧部、352b1…受圧部の大径部、352b2…受圧部の小径部、352c…軸部、352d…内部通路、352d2…絞り部、352d′…内部通路、352d′1…絞り部、353…弁室、354…背圧室

Claims (6)

  1. クランク室内の調圧によって吐出容量が制御される可変容量圧縮機であって、
    吐出室とクランク室とを連通する圧力供給通路と、
    前記圧力供給通路に設けられた第1制御弁と、
    前記圧力供給通路における前記第1制御弁よりも下流側に配置され、前記第1制御弁の開弁時に前記吐出室から前記クランク室に向かう冷媒の流れを許容し、前記第1制御弁の閉弁時に前記クランク室から前記第1制御弁に向かう冷媒の流れを阻止するように構成された逆止弁と、
    前記クランク室と吸入室とを連通する放圧通路と、
    前記放圧通路に設けられた第2制御弁と、
    前記吸入室と、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の領域とを連通する絞り通路と、
    を含み、
    前記第2制御弁は、
    前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域に連通する背圧室と、
    前記放圧通路の一部を構成する弁孔を有する弁室と、
    前記弁室に収容された弁部、前記背圧室に収容された受圧部及び内部通路を有し、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域の圧力と前記クランク室の圧力との圧力差に応じて移動して前記弁孔を開閉するように構成された弁体と、
    を含み、
    前記第1制御弁の開弁時に前記弁部が前記弁孔を閉塞して前記放圧通路の開度を最小とすると共に前記内部通路及び前記弁孔を介して前記背圧室と前記クランク室とを連通させる一方、前記第1制御弁の閉弁時に前記弁部が前記弁孔を開放して前記放圧通路の開度を最大とするように構成され、
    前記絞り通路は、前記背圧室を経由せずに、前記吸入室と、前記圧力供給通路における前記第1制御弁と前記逆止弁との間の前記領域とを連通するように形成されている、
    可変容量圧縮機。
  2. 前記背圧室と前記弁室とは区画壁によって区画され、
    前記弁体は、前記弁部と前記受圧部とを連結すると共に前記区画壁に形成された挿通孔に挿通される軸部を有し、
    前記弁部が前記弁孔を閉塞したときに、前記受圧部が前記区画壁に当接して前記背圧室と前記弁室との前記挿通孔を介した連通を遮断するように構成されている、
    請求項1に記載の可変容量圧縮機。
  3. 前記放圧通路は、前記第2制御弁を経由する第1放圧通路と、絞り部を有すると共に前記第2制御弁をバイパスして前記クランク室と前記吸入室とを常時連通する第2放圧通路と、を含む、請求項1又は2に記載の可変容量圧縮機。
  4. 前記第1放圧通路及び前記第2制御弁は、前記可変容量圧縮機の駆動軸の軸線よりも重力方向下側に配置されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
  5. 前記内部通路は、絞り部を有している、請求項1〜4のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
  6. 前記受圧部の外周面は、前記背圧室の内周面との間に所定の隙間を有して支持される被支持部を有し、
    前記内部通路の一端は前記弁部に開口し、前記内部通路の他端は前記受圧部の前記外周面における前記被支持部よりも前記区画壁側の部位に開口している、
    請求項1〜5のいずれか一つに記載の可変容量圧縮機。
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