JP2017213508A - 有機酸溶液分解装置、及び有機酸溶液分解方法 - Google Patents

有機酸溶液分解装置、及び有機酸溶液分解方法 Download PDF

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Abstract

【課題】有機酸溶液を分解する装置において、オゾン等の強酸化剤が存在する環境で使用するステンレス鋼等の耐食材料に生じる局部腐食、特に粒界腐食の進展を防止するための運転条件制御方法とそれを実現するための装置構成を提供する。【解決手段】少なくともギ酸とシュウ酸とを含む溶液を収容する第1〜第4反応槽3〜6と、前記溶液にオゾンを導入するオゾン導入手段9と、を備え、前記反応槽は3槽以上であり、前記オゾン導入手段9は、少なくとも第1反応槽1、及び、最終反応槽である第4反応槽6に備わることを特徴とする有機酸溶液分解装置。【選択図】図8

Description

本発明は、耐食性に優れた有機酸溶液分解装置に関する。
原子力発電所等の原子炉の運転に伴い発生する廃棄物や原子炉の解体に伴う廃棄物は、放射線量が基準以下に下がるまで保管が義務付けられている。放射性廃棄物をそのままの体積で保管するとなると、体積がかさばり保管場所の有効利用を図ることができない。
例えば、原子炉水浄化系や燃料プール冷却材浄化系で循環利用される水の処理に用いられた使用済み樹脂は、放射性廃棄物として減容処理が求められている。これに対して、化学除染により使用済み樹脂の放射線量率を低減してから焼却することで減容を行う技術が提案されている。
又、原子力発電所では、放射性物質が付着した使用済み機器も発生する。このような機器からの放射性物質の除去手段として、有機酸溶液を用いた化学除染が行なわれている。化学除染に使用された除染剤は、放射性物質を含むことから2次廃棄物となるため、管理費用や埋設費用を低減するために減容が求められる。
特許文献1(特開昭61‐254899号公報)において、放射性イオン交換樹脂の処理方法が開示されており、以下の特徴を有する。酸(無機酸(硫酸及び硝酸等)又は有機酸(クエン酸及びシュウ酸等))水溶液にて放射性物質を溶離した樹脂を焼却炉にて焼却する。該放射性物質を溶存する酸水溶液は拡散透析膜で処理する。該処理により分離された酸水溶液は再使用する。放射性物質含有廃液は蒸発濃縮後、固化する(特許請求の範囲)。
有機物の分解技術として、特許文献2(特開2009‐090258号公報)及び特許文献3(特開2002‐001366号公報)で開示される技術がある。
特許文献2において開示されている廃液処理装置は、オゾン反応槽と、オゾンガス供給手段と、オゾンガス溶解手段と、アルカリ供給手段とを備える。オゾン反応槽は、有機物含有廃液の処理が連続的に行われるように構成された複数の反応槽からなる多段式である。オゾンガス供給手段は、オゾンガスを発生させ、上記オゾン反応槽に上記オゾンガスを供給する。オゾンガス溶解手段は、上記オゾンガス供給手段から供給されたオゾンガスを上記有機物含有廃液に溶解させる。アルカリ供給手段は、上記オゾン反応槽中の上記有機物含有廃液にアルカリ剤を供給する(請求項1)。
特許文献2に記載の発明は、有機物含有廃液にオゾンを溶解させる手段と、オゾンと有機物とを反応させる反応槽を別に設け、初期段階の酸化分解反応(1槽目)では、オゾンガスの廃液中への溶解を効率的に行い、第二段階の酸化分解反応(2槽目)では、オゾン分子の分解反応を効率的に行う。これにより、特許文献2に記載の発明は、オゾンの吸収率と有機物の分解効率を向上させている。
特許文献3において開示されている開示されている有機物処理方法は、オゾンと過酸化水素とを併用して被処理水を処理する水中の有機物処理方法であり、以下の特徴を有する。1以上の反応槽に充填された被処理水に、導入されるオゾン含有ガスの微細気泡を発生させることで、被処理水にオゾンを溶解させ酸化処理する1以上の処理工程を備える。少なくとも1以上の上記処理工程に導入される前記オゾン含有ガスは、1回以上被処理水を通過して被処理水の液面上に排出されたオゾン含有ガスを少なくとも含む(請求項1)。
特許文献3に記載の発明は、1回以上有機物含有溶液を通過して排出されたオゾン含有ガスを処理工程に導入されるオゾン含有ガスとして利用する。これにより、特許文献3に記載の発明は、有機物の分解効率を向上し、オゾンの使用量を低減させて効率よく酸化処理することが可能であるとされている。
オゾンの酸化力を用いた分解は、以下のような多くの長所がある。有機物が分解して生成する物質が二酸化炭素のため、処理後の廃棄物が少ない。運転温度は常温付近の比較的低温のシステムであるため、安全性、信頼性が高い。オゾンの原料に空気を用いることができるので経済的である。余剰のオゾンは容易に分解除去できる。
オゾンの酸化力を用いた分解は、オゾンを用いた有機物の分解システムの他に、脱臭、漂白、殺菌、化学合成などのプロセス向けにも広範囲に開発および商品化されている。
構造材料としては、一般的にはSUS304やSUS316L鋼等のステンレス鋼が経済性と耐食性を兼ね備えた汎用材料であることから、さまざまな分野で使用されている。オゾンが共存する場合においても同様である。
しかし、被処理水に塩化物イオンが含まれていたり、温度が高かったり、あるいは、有機物の酸化過程で生成する中間物質が有機酸であったり、あるいは、オゾンが過剰に存在していると、ステンレス鋼の腐食の特徴である孔食はすきま腐食が発生することがある。場合によっては粒界腐食、さらに応力が加わると応力腐食割れに進行し、重大な機器損傷をもたらすこともある。特に、溶接部およびその熱影響部ならびにフランジやスラッジの溜まり部など、すきまが形成される部位が耐食性に劣るため、注意が必要である。
オゾンそのものが構造材の電位を上昇させ、孔食や隙間腐食を引き起こすことから、有機物を分解するために注入するオゾン量そのものを制御する方法が特許文献4で開示されている。特許文献4に記載の発明は、オゾンを使用した有機物分解装置において、センサ群の信号に基づき、演算制御部で定められた流量になるようにオゾン注入量を制御している。
具体的には、電位を測定しその値が孔食電位または再不動態化電位を超えた場合において、(1)分解槽に注入するオゾン量を調整(2)流体の流量調整(3)pH上昇(4)温度調整を行う有機物分解システムである。孔食電位または再不動態化電位は、共存する塩化物イオン濃度や温度によって異なることから、電位を測定するとともに塩化物イオン濃度および温度を測定し、あらかじめその環境下で測定した孔食電位や再不動態化電位と、現状の電位とを比較するシステムとなっている。
特開昭61-254899号公報 特開2009-090258号公報 特開2002-001366号公報 特開2013-188655号公報
オゾンを用いた有機物の分解システムは多くの長所を有しているが、運転条件が不適切だとシステムを構成する金属材料に大きな損傷を与える。放射性イオン交換樹脂の処理に使用されるシュウ酸は、金属のエッチング液として特に粒界組織を出すためのエッチングとして一般的に使用されていることから明らかな様に、粒界腐食を必然的に引き起こす。ましてオゾンが共存する場合は、構成材の電位が上昇するために粒界腐食が促進される。
粒界腐食を抑制またはその速度を低下させるためには溶液を希釈してシュウ酸の濃度を低下させるか、注入するオゾン量を低下させ溶液中の実質オゾン濃度を低下させることが必要である。しかし、この操作は、前者では処理する溶液の量が増大する、また後者では有機酸の分解速度が低下するという、有機酸の分解の高効率化と腐食抑制はトレードオフの関係にある。従来の技術では、オゾン等の強酸化剤が存在する環境においてはステンレス鋼の局部腐食の発生・進展を十分抑制することはできなかった。
本願発明は、当該事情に鑑みてなされたものであり、オゾン等の強酸化剤が存在する環境において使用するステンレス鋼等の耐食材料に生じる局部腐食、特に粒界腐食の進展を防止するための運転条件制御方法とそれを実現するための装置構成を提供することを課題とする。
本発明の課題、及び、課題を解決するための手段は、以下の発明を実施するための形態においても説明する。
本発明は、少なくともギ酸とシュウ酸とを含む溶液を収容する処理部と、前記溶液にオゾンを導入するオゾン導入手段と、を備え、前記処理部は3以上であり、前記オゾン導入手段は、少なくとも第1処理部、及び、最終処理部に備わることを特徴とする。
本発明によれば、オゾン等の強酸化剤が存在する環境において使用するステンレス鋼等の耐食材料に生じる局部腐食、特に粒界腐食の進展を防止するための運転条件制御方法とそれを実現するための装置構成を提供することができる。
シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLに流量10g/hでオゾンを注入した場合のSUS329J4Lの電位の時間変化を表すグラフである。 シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLに流量10g/hでオゾンを注入した場合のシュウ酸濃度の時間変化を表すグラフである。 シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLに流量10g/hでオゾンを注入した場合のオゾン濃度の時間変化(相対値)を表すグラフである。 シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLに流量を変えてオゾンを注入した場合のSUS329J4Lの電位とシュウ酸濃度の関係を表すグラフであり、当該条件におけるSUS329J4Lの腐食浸食速度をあわせて表す。 SUS329J4Lの腐食試験を説明する模式図である。 シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLにオゾンを流量10g/hで4時間注入し続けた後のSUS329J4L板の表面の電子顕微鏡写真である。 シュウ酸およびギ酸を含有する有機酸溶液150mLにオゾンを流量10g/hで4時間注入し続けた後のSUS329J4L板の表面粗さの測定結果のグラフである。 第1実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 第1実施形態に係るシュウ酸濃度と電位、及び、腐食浸食速度の関係を説明するグラフである。 図9の枠内の条件におけるSUS329J4L板の表面の電子顕微鏡写真である。 第1実施形態に係るSUS329J4Lの板表面の電子顕微鏡写真である。 第2実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 第2実施形態に係るシュウ酸濃度と電位、及び腐食浸食速度の関係を説明するグラフである。 第3実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 第4実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 第5実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 第6実施形態に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である。 比較例に係るシュウ酸濃度と電位、及び腐食浸食速度の関係を説明するグラフである(その1)。 比較例に係るシュウ酸濃度と電位、及び腐食浸食速度の関係を説明するグラフである(その2)。 比較例に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である(その1)。 比較例に係る有機酸溶液分解装置の構成を説明する模式図である(その2)。
本願発明者らは、課題を解決するにあたり、有機酸濃度、オゾン濃度、電位の相互の関係を調べた。
具体的には、シュウ酸6000ppm、ギ酸46000ppm、ヒドラジン10ppmを含む水溶液250mLにSUS329J4L(ステンレス合金)片を沈めた反応容器にオゾンガスを注入した際のSUS329J4Lの電位、シュウ酸濃度、オゾン濃度を測定した。いずれも反応温度60℃で測定した。
図1に示す様に、オゾンガス注入直後の電位は0.6V(Ag/AgCl・KCl飽和電極基準、以下同様)であり徐々に上昇し、7時間後から電位は更に上昇した後、15時間後ではほぼ1.2Vとなり一定値を示す。図2に示す様に、シュウ酸の濃度は、オゾンガス注入から8時間までは徐々に減少し、その後、13時間までは減少速度が速くなる。17時間までに急激に減少し、10ppmとほぼ一定値を示す。図3に示す様に、オゾン濃度は、8時間まではわずかに増加を続け、その後、12時間までは増加を続ける。15時間までは急激に増加し、その後はほとんど変化が見られない。
つまり、反応初期においては反応槽内のシュウ酸濃度が高いために、オゾンガスを注入してもそのオゾンがシュウ酸の分解に使用される。このため、反応溶液中のオゾン濃度が低くなって、電位は低い。しかし、時間の経過とともにシュウ酸がオゾンにより分解され、シュウ酸濃度が低下するにつれて、シュウ酸の分解に使用されるオゾン量が低下する。このため、反応溶液中のオゾン濃度が上昇して、SUS329J4Lの電位が上昇する。
従って、一定流量でオゾンを注入し続けると、反応溶液中のシュウ酸濃度は時間とともに低下し、それに従い鋼材(SUS329J4L)の電位は上昇する。
図4に、種々の流量でオゾンを反応槽内に注入した際のシュウ酸濃度と電位の関係を示す。図4に示す様に、シュウ酸濃度が同じでもオゾンガス注入流量が少ない場合、電位は低くなる。図4に示すオゾン注入流量は、単位時間当たりのオゾン注入量であり、オゾン濃度そのものではない。しかし、オゾン注入流量とオゾン濃度は相関関係があり、オゾン注入流量が多ければ、オゾンが有機酸の分解に使用されたとしても、オゾン濃度も高いといえる。
本願発明者らは、課題を解決するにあたり、有機酸濃度、オゾン濃度、酸化還元電位とステンレス合金の浸食との関係も調べた。
ここで、ステンレス合金であるSUS329J4Lの浸食量の測定方法について説明する。
図5に示す様に、SUS316Lの試験片101の表面にテープ102を四角環状に貼り、マスキングをする。次に、試験片101をシュウ酸3200ppm、ギ酸10ppm、ヒドラジン10ppmを含む反応溶液103に浸漬した後、反応溶液103にオゾン104を10g/h通気して、試験片101を侵食環境下に4時間暴露する。この時の酸化還元電位は1.0Vであった。
図6に示す様に、侵食環境下に一定時間暴露された試験片101は、粒界腐食が生じる。
そして、腐食した部分と、テープ102でマスキングして保護した部分との間の段差を段差計で測定する。図7に測定結果の例を示す。
図7において、Aで示すマスキングして保護した部分の全面腐食による浸食量と、Bで示すマスキングしなかった部分の粒界腐食による浸食量との合計を最大浸食量とする。このようにして、浸食量の測定を行う。
図4に戻り、測定の点のそばに記した数値は、グラフに示したシュウ酸濃度及び電位におけるSUS329J4Lの最大浸食量を浸漬時間で除した最大浸食速度である。図4の太実線で囲まれた領域は、粒界腐食が生じ、特に激しい腐食損傷を与える環境条件である。
従って、ステンレス合金の腐食を抑制するためには、太実線で囲まれた領域で、有機物分解反応を行わないことが重要である。
これら最大浸食速度は、ステンレス合金の他の鋼種、例えば、SUS316LやS32750でもほとんど同じ値を示す。鋼種が異なっても最大浸食速度がほとんど同じ理由は、オゾン、シュウ酸存在下ではいずれの鋼種でも酸化還元電位が高く、過不動態域に入るためである。
本願発明者らは、これらから得られた知見を基に本願発明を完成させた。本願発明の実施形態について、以下説明を行う。
(第1実施形態)
本実施形態の有機酸溶液分解装置の全体の概略構成を図8において模式的に示す。
図8に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応槽4槽で構成され、紙面左から順に第1〜4反応槽とする。
各反応槽の大きさに制限はないが、第1〜3反応槽の順に表面積が広いことが好ましい。これにより、第2、3反応槽での余剰オゾン10による分解反応が進みやすくなる。
又、有機酸廃液タンク2から第1反応槽3、及び、その後の各反応槽の間は、ポンプ7によって溶液が搬送される。オゾン発生装置1で生成されたオゾンは、高流量で第1反応槽3、及び、第4反応槽6に導入される。排ガス処理装置12を備えていてもよい。
各反応槽には、有機酸濃度センサ8が設けられている。有機酸濃度センサ8は、各反応槽での有機酸濃度を随時測定するセンサである。有機酸濃度センサ8に替えて、紫外線吸収スペクトル、赤外線吸収スペクトル、指示薬による呈色等を利用した分析によって有機酸濃度の測定を行っても良い。
各反応槽には、攪拌装置が備えられていてもよい。攪拌装置によって反応槽内を攪拌することで、オゾンの有機酸溶液への吸収を促進することができる。
各反応槽には、排ガス処理装置12が備えられていてもよい。排ガス処理装置12は、有機酸溶液に吸収されずに流出したオゾン及び有機酸溶液分解に伴い発生した二酸化炭素(CO)等の排ガス11を回収し、処理する。
本実施形態における有機酸溶液分解処理反応について説明する。
はじめに、分解させる有機酸溶液が有機酸廃液タンク2からポンプ7により第1反応槽3に供給される。第1反応槽3ではオゾン発生装置1で生成されたオゾンガスが高流量で導入され、ギ酸およびシュウ酸が分解される。導入されるオゾンガス流量は、0.05g/(h・G‐溶液)程度、つまり、溶液1g当たりのオゾンの導入速度が0.05g/h程度が好ましい。これは実質のオゾン注入速度(単位時間当たりのオゾン注入量)であり、一般的には、空気、窒素やアルゴンなどがキャリヤガスとして混在している。
有機酸溶液分解装置に導入される有機酸溶液中のシュウ酸濃度は20000ppm程度である。第1反応槽3ではシュウ酸濃度が3500ppm程度に低下するまでオゾンガスが高流量で導入される。シュウ酸濃度が低下するにつれて消費するオゾン量が低下するため、有機酸溶液中のオゾン濃度が上昇する。
図9は、本実施形態における有機酸溶液分解装置の反応槽中のシュウ酸濃度と酸化還元電位との関係を示したグラフである。
第1反応槽3における処理は、図9の[I]の領域での処理に相当する。第1反応槽3における処理が進むに従い、酸化還元電位は矢印で示す様に貴側に移動する。第1反応槽3では、ステンレス合金の腐食が激しくなる領域になる前、即ちシュウ酸濃度が3500ppm程度に低下するまで処理を行う。その後、有機酸溶液は、ポンプ7により第2反応槽4に搬送される。
第2反応槽4では、第1反応槽3から出る余剰オゾン10を含むガスが導入される。このガス中のオゾン濃度は、第1反応槽3に導入されたオゾンがシュウ酸の分解に使用された後であるため、少なくともシュウ酸の分解で消費した分、第1反応槽3におけるオゾン濃度よりも低い。つまり、第2反応槽4に注入される単位時間当たりのオゾン流量は第1反応槽3に注される単位時間当たりのオゾンガス流量より低下している。
従って、第2反応槽4におけるオゾンの注入速度は、第1反応槽3におけるオゾンの注入速度よりも低下しており、酸化還元電位も低下する。しかし、オゾンの注入速度が低下した状態でもシュウ酸の分解は進むため、シュウ酸の分解に使用されるオゾン量が減る。このため、時間が経過するにつれて第2反応槽4における酸化還元電位も上昇する。
第2反応槽4における処理は、図9の[II]の領域での処理に相当する。第2反応槽4における処理において、当初酸化還元電位は0.8(V)まで低下し、図9の矢印で示す様に卑側に移動する。その後、再びシュウ酸濃度の低下と共に図9の左上向き矢印で示す様に、酸化還元電位は貴側に移動する。そして、酸化還元電位は再びステンレス合金の腐食が激しくなる領域に近づく。
第2反応槽4においても、酸化還元電位がステンレス合金の腐食が激しくなる領域になる前、即ちシュウ酸濃度が2500ppm程度に減少するまで処理を行う。その後、処理溶液は、ポンプ7により第3反応槽5に搬送される。
第3反応槽5では、第2反応槽4からの出る余剰オゾン10を含むガスが導入される。このガス中のオゾン濃度は、第2反応槽4に導入されたオゾンがシュウ酸の分解に使用された後であるため、少なくともシュウ酸の分解で消費した分、第2反応槽4におけるオゾン濃度よりも低い。つまり、第3反応槽5に注入される単位時間当たりのオゾン流量は第2反応槽4に注入される単位時間当たりのオゾンガス流量より低下している。
従って、第3反応槽5におけるオゾンの注入速度は、第2反応槽4におけるオゾンの注入速度よりも低下しており、酸化還元電位も低下する。しかし、オゾンの注入速度が低下した状態でもシュウ酸の分解は進むため、シュウ酸の分解に使用されるオゾン量が減る。このため、時間が経過するにつれて酸化還元電位も上昇する。
第3反応槽5における処理は、図9の[III]の領域での処理に相当する。第3反応槽5における処理において、当初酸化還元電位は0.7(V)まで低下し、図9の矢印で示す様に卑側に移動する。その後、再びシュウ酸濃度の低下と共に図9の左上向き矢印で示す様に、酸化還元電位は貴側に移動する。そして、酸化還元電位は再びステンレス合金の腐食が激しくなる領域に近づく。
第3反応槽5においても、酸化還元電位がステンレス合金の腐食が激しくなる領域になる前、即ちシュウ酸濃度が500ppm程度に低下するまで処理を行う。
シュウ酸濃度が500ppm以下になると酸化還元電位が上昇しても激しい腐食領域には入らないために、有機酸溶液は、ポンプ7により第4反応槽6に搬送される。
第4反応槽6においては、第1反応槽3におけるオゾン濃度と同じ濃度以上のオゾンを注入する。つまり、オゾン注入速度(流量)を第2反応槽4、第3反応槽5よりも増加させる。
オゾン注入速度を増加させても酸化還元電位が上昇して激しい腐食領域に入ることがないため、反応速度を上げて効率良く有機酸を分解し、処理時間を短縮することができる。処理済みの溶液13は、第4反応槽6から排出される。
第4反応槽6における処理は、図9の[IV]の領域での処理に相当する。第4反応槽6における処理において、酸化還元電位は激しい腐食領域に入ることなく、図9の矢印で示す様に貴側に移動する。
これらの処理は、全て連続で実施するのが好ましい。すなわち、第1反応槽3の有機酸溶液を第2反応槽4に搬送した段階で、それが終了するとともに有機酸廃液タンク2から有機酸を第1反応槽3に搬送する。第2反応槽4以下の反応槽においても同様の手順とする。
なお、本実施形態において、初めにオゾン及び有機酸溶液が注入される第1反応槽3が第1処理部であり上流に位置し、有機酸溶液の分解処理が終了する第4反応槽6が最終処理部であり下流に位置する。
ここで、本実施形態における有機酸溶液分解反応についてまとめる。
図9において、太い矢印で示す様に、有機酸溶液の分解処理前のシュウ酸濃度が6000ppm以上の高濃度状態から、シュウ酸濃度が3500ppm程度まで低下するまでは単位時間当たりのオゾン注入量を多くする。シュウ酸濃度が3500ppm程度まで低下した段階で、単位時間当たりのオゾン注入量を減少させて、酸化還元電位が激しい腐食領域に入ることを防止する。
オゾン濃度が低い(オゾン注入量が少ない)状態でシュウ酸の分解を進めて、シュウ酸濃度が2500ppmまで低下した時に、更に単位時間当たりのオゾン注入量を低下させる。オゾン濃度がより低い(オゾン注入量がより少ない)状態でシュウ酸の分解を進めて、シュウ酸濃度が500ppmまで低下すると腐食が激しい領域はなくなるので、分解速度を上げるために再び単位時間当たりのオゾン注入量を増加させる。
本実施形態とは異なり、シュウ酸濃度が3500ppm程度まで低下してもオゾン注入量を減少させずにオゾンを注入し続けた場合は、図10に示す様に激しい粒界腐食を生じる。
本実施形態のようにオゾン注入量を制御した場合は、図11に示す様にステンレス合金板に粒界腐食は確認されず、良好な状態を保つことができる。
本実施形態においては、オゾン注入量を制御するプロセスを構築することにより、反応槽のステンレス合金の腐食の防止と、有機酸溶液の分解処理の高効率化を両立させている。
なお、有機酸溶液の分解反応の初めから単位時間当たりのオゾン注入量を低くした条件で分解すれば、図9に示す腐食が激しい領域を避けることは可能であるが、その場合は、有機酸溶液の分解に本実施形態よりも多くの時間を必要とするというデメリットが生じる。
本実施形態において、酸化還元電位はシュウ酸濃度と単位時間当たりのオゾン注入量で決まるため、モニターする必要はない。図9のグラフは、シュウ酸濃度と酸化還元電位、及び、単位時間当たりのオゾン注入量を示すが、反応溶液中にギ酸が入っても相関関係に変化はほとんどない。
なお、図9で示す単位時間当たりのオゾン注入量は、反応溶液を150mLとして求めた値であるため、反応槽の大きさ(処理量)に合わせて調節することが好ましい。
以下、第2〜第6実施形態について説明する。前記した第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
(第2実施形態)
第2実施形態は、反応槽を3槽備えた実施形態である。第2実施形態の有機酸溶液分解装置の全体の概略構成を図12において模式的に示す。
図12に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応槽3槽で構成され、紙面左から順に第1〜3反応槽とする。なお、本実施形態は、第1実施形態の第2反応槽4を省略した実施形態である。
各反応槽の大きさに制限はないが、第2反応槽4の表面積は第1反応槽3の表面積より広いことが好ましい。これにより、第2反応槽4での余剰オゾン10による分解反応が進みやすくなる。
オゾン発生装置1で生成されたオゾンは、高流量で第1反応槽3、及び、第3反応槽5に導入される。
本実施形態の制御について、図13に示す様に、第1反応槽3における反応条件は、第1実施形態の第1反応槽3と同じである。
第2反応槽4における反応条件は、第1実施形態の第3反応槽5と同じである。つまり、第1反応槽3においてシュウ酸の濃度が3500ppm程度に低下した有機酸溶液に、第1実施形態の第3反応槽5に導入されるオゾン濃度(オゾン流量)で第1反応槽3からの出る余剰オゾン10を含むガスが導入される。
第2反応槽4においてシュウ酸濃度が500ppm程度に減少した処理溶液は、ポンプ7により第3反応槽5に搬送される。
第3反応槽5における反応条件は、第1実施形態の第4反応槽6における反応条件と同じである。
第2実施形態によれば、反応槽の数を第1実施形態よりも少なくすることができるため、装置全体を小型化することが可能となる。
(第3実施形態)
第1実施形態において説明した有機酸溶液分解装置は、オゾン流量(オゾン濃度)制御を積極的に行う装置ではなかったが、本実施形態は、積極的に反応槽に注入する単位時間当たりのオゾン流量を制御する形態である。
本実施形態の有機酸溶液分解装置の全体の概略構成を図14において模式的に示す。
図14に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応槽4槽で構成され、紙面左から順に第1〜4反応槽とする。又、有機酸廃液タンク2から第1反応槽3、及び、その後の各反応槽の間は、ポンプ7によって有機酸溶液が搬送される。オゾン発生装置1で生成されたオゾンは、高流量で第1反応槽3、及び、第4反応槽6に導入される。排ガス処理装置12を備えていてもよい。
本実施形態では、第1実施形態で説明した構成要件以外に不活性ガス供給装置17を備える。第1反応槽3、第2反応槽4から出てくる余剰オゾン10の回収配管に、不活性ガスの配管が混合機14を介して接続されている。不活性ガスの配管の接続位置よりも下流にはオゾン濃度センサ15が備わる。
オゾン濃度センサ15で第2反応槽4、第3反応槽5に供給するオゾン濃度を計測し、所定の単位時間当たりのオゾン流量となる様に流量コントローラ16で不活性ガスの混合量が制御される。
本実施形態における各反応槽のオゾン濃度(流量)制御、及び、有機酸溶液の移送のタイミングは、第1実施形態と同様である。
つまり、反応槽の数が同じであるため、第1反応槽3における処理は、図9の[I]の領域での処理に相当する。第2反応槽4における処理は、図9の[II]の領域での処理に相当する。第3反応槽5における処理は、図9の[III]の領域での処理に相当する。第4反応槽6における処理は、図9の[IV]の領域での処理に相当する。
本実施形態においては、余剰オゾン10の濃度が高く、そのまま第2反応槽4、第3反応槽5に導入したのでは所定流量以上となる場合は、不活性ガスの導入により単位時間当たりのオゾン流量を低下させることができる。
一方、余剰オゾン10の濃度が低い場合や不活性ガスの混合が多い場合は、単位時間当たりのオゾン流量を適正な値に制御できないが、この場合は有機酸分解速度が低下するだけであり、構成材料に損傷を与えることはない。
なお、オゾン発生機からの高濃度オゾン9を導入する配管を余剰オゾン10の回収配管に接続して、オゾン流量(濃度)を積極的に制御してもよい。
(第4実施形態)
第4実施形態は、積極的に反応槽に注入する単位時間当たりのオゾン流量(オゾン濃度)を制御する実施形態である。
図15に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応槽4槽で構成され、紙面左から順に第1〜4反応槽とする。又、有機酸廃液タンク2から第1反応槽3、及び、その後の各反応槽の間は、ポンプ7によって有機酸溶液が搬送される。排ガス処理装置12を備えていてもよい。
オゾン発生装置1で生成されたオゾンは、高流量で第1反応槽3、及び、第4反応槽6に導入される。又、第2反応槽4、及び、第3反応槽5に導入されるオゾンの供給管に不活性ガスの配管が混合機14を介して接続されている。不活性ガスの配管の接続位置よりも下流にはオゾン濃度センサ15が備わる。
オゾン濃度センサ15で第2反応槽4、第3反応槽5に供給するオゾン濃度を計測し、所定の単位時間当たりのオゾン流量となる様に流量コントローラ16で不活性ガスの混合量が制御される。
なお、本実施形態では、反応槽から出てくる余剰オゾン10の回収配管は備わっていない。
本実施形態における各反応槽のオゾン濃度(流量)制御、及び、有機酸溶液の移送のタイミングは、第1実施形態と同様である。
つまり、反応槽の数が同じであるため、第1反応槽3における処理は、図9の[I]の領域での処理に相当する。第2反応槽4における処理は、図9の[II]の領域での処理に相当する。第3反応槽5における処理は、図9の[III]の領域での処理に相当する。第4反応槽6における処理は、図9の[IV]の領域での処理に相当する。
(第5実施形態)
第5実施形態は、反応槽は1つとし、反応槽(反応容器)の内部を複数に区分けして有機酸溶液の分解処理を連続的に行う実施形態である。
図16に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応区画4区画で構成され、紙面左から順に第1〜4反応区画とする。
反応槽18は、複数の下部仕切り板19(隔壁)によって、複数の反応区画に区分されている。各下部仕切り板19は、溶液の液面よりもやや下までの高さで設置されている。有機酸溶液は、下部仕切り板19をオーバーフローした分だけ、次の反応区画に搬送される。
つまり、下部仕切り板19の上端と反応槽18の側壁上端(反応槽18の内面)との間の隙間が、有機酸溶液の移送手段である。
又、反応槽18の上部であり、下部仕切り板19の上方には、上部仕切り板20(隔壁)が設置されている。上部仕切り板20は、有機酸溶液の液面に若干浸漬する高さを有する。反応槽18の上部の気体成分が拡散して混合せずに各反応区画に滞留する。
上部仕切り板20と下部仕切り板19との間の隙間(開口)が、有機酸溶液の移送手段である。
本実施形態の有機酸溶液の分解処理の原理は、第1実施形態と同様である。
まず、反応槽18の第1反応区画に有機酸溶液をポンプ7等により導入する。次に、オゾン発生装置1からオゾンを第1反応区画に導入することで、有機酸溶液を分解する。
本実施形態においては、常時ポンプ7により有機酸溶液が第1反応区画に搬送されるため、第1反応区画の有機酸溶液は、上部仕切り板20と下部仕切り板19との間の隙間(開口)を通り、第2反応区画に移動する。
第2反応区画では、未反応の余剰オゾン10が含まれる第1反応区画の上部の気体を有機酸溶液に導入する。
第2反応区画の有機酸溶液は、第1反応区画においてオゾンで処理されているため、第2反応区画の有機酸溶液中のシュウ酸は、処理開始前よりも減少している。このため、オゾン発生装置1のオゾン濃度よりもオゾン濃度が減少した未反応の余剰オゾン10を注入して、酸化還元電位の上昇を抑制する。
本実施形態によれば、反応槽18を複数の仕切り板で複数の区画に分けることで、シュウ酸の分解を連続的に行うことができる。このため、分解対象となる有機酸溶液を別の反応槽に送液する装置及び工程が不要となるので、有機酸溶液の分解処理をより効率的に行うことができる。
(第6実施形態)
第6実施形態は、反応槽は1つとし、反応槽の内部を複数に区分けして有機酸溶液の分解を連続的に行う実施形態である。
図17に示す様に、本実施形態の有機酸溶液分解装置は、シュウ酸とギ酸を含む有機酸溶液を収容する反応区画4区画で構成され、紙面左から順に第1〜4反応区画とする。
本実施形態においては、第1反応区画から第3反応区画は、第1反応区画から第3反応区画の順に、つまり、下流になるに従って、反応区画の容積が増加する様に仕切り板が設置されている。又、各反応区画に導入するオゾンは、オゾン発生機で生成したオゾンをそのまま導入している。なお、第4反応区画は、第1反応区画と同じ容積である。
第1反応区画から第3反応区画の順に各反応区画に存在する有機酸溶液の体積が増えるため、各反応区画に導入されるオゾンの導入速度が同じであっても、有機酸溶液の単位量当たりのオゾン注入速度は低下する。各反応区画に導入されるオゾン濃度が同じであっても、有機酸溶液の単位量当たりのオゾン注入量は低下する。
従って、図9に示したシュウ酸濃度と酸化還元電位の関係に基づく制御を行っている。
第4反応区画の容積は、第1反応区画以上であり、シュウ酸濃度も低下しているため、単位量当たりのオゾン流量を再び増加させることができる。
本実施形態によれば、未反応の余剰オゾン10の回収設備や有機酸溶液の移送ポンプが不要となり、より簡略化した構成で有機酸溶液の分解処理をより効率的に行うことができる。
(変形例)
第1〜6実施形態として、反応槽や反応区画が3又は4の場合を説明したが、反応槽や反応区画は5以上であってもよい。反応槽や反応区画を増やすことにより、複数の段階を経るようになるので細かい制御が可能となり、危険領域に運転条件が入るのを防止できる。
第5実施形態等の反応槽の上部仕切り板20と下部仕切り板19は、一体であり流通孔を備え、流通孔を有機酸溶液が通過する構成であってもよい。
又、反応槽と反応区画とを組み合わせた分解装置であってもよい。
(比較例)
本願発明は、反応槽や反応区画が3以上とする発明であるが、比較例として反応槽2槽で有機酸溶液を処理する場合について説明する。
反応槽を2槽で構成した場合、オゾン濃度及び酸化還元電位を制御する方法としては、図18、図19に示すパターンが考えられる。
図18は、第1反応槽3では、ステンレス合金の腐食が激しくなる領域になる前、即ちシュウ酸濃度が3500ppm程度に低下するまでオゾン量10g/h処理を行い、第2反応槽4では、オゾン量3g/h処理を行う方法である。
図18は、第1反応槽3では、シュウ酸濃度が1000ppm程度に低下するまでオゾン量3g/h処理を行い、ステンレス合金の腐食が激しくなる領域を過ぎてから第2反応槽4でオゾン量10g/hで処理を行う方法である。
図18に示すパターンで処理を行う場合の装置構成は、図20のようになる。紙面左の第1反応槽3には、紙面右の第2反応槽4から出る余剰オゾン10を含むガスが導入され、ギ酸およびシュウ酸が分解される。第2反応槽4には、オゾン発生装置1で生成されたオゾンガスが高流量で導入され、ギ酸およびシュウ酸が分解される。
図19に示すパターンで処理を行う場合の装置構成は、図21のようになる。紙面左の第1反応槽3には、オゾン発生装置1で生成されたオゾンガスが高流量で導入され、ギ酸およびシュウ酸が分解される。紙面右の第2反応槽4には、第1反応槽3から出る余剰オゾン10を含むガスが導入され、ギ酸およびシュウ酸が分解される。
同様に、比較例における有機酸溶液の分解に要する時間を測定した。
以上、本発明によれば、オゾンによってシュウ酸と含む有機酸溶液を分解する際に、前段において、オゾンの導入速度を速くしてシュウ酸の濃度がある程度の濃度に低下するまで酸化還元電位の低い状態で分解し、中段において、オゾンの導入速度を遅くして酸化還元電位の上昇を抑えて分解し、後段において、再びオゾンの導入速度を速くしてシュウ酸を効率良く分解する工程により、構成材料の腐食による損傷を限りなく低減させることが可能となる。
以上、本発明に係る有機酸溶液分解装置、及び、有機酸溶液分解方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明した。
なお、本発明の内容は、前記実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲内において適宜改変・変更等することができることはいうまでもない。
1 オゾン発生装置
2 有機酸廃液タンク
3 第1反応槽
4 第2反応槽
5 第3反応槽
6 第4反応槽
7 ポンプ
8 有機酸濃度センサ
9 高濃度オゾン
10 未反応オゾン
11 排ガス
12 排ガス処理装置
13 処理済み溶液
14 混合機
15 オゾン濃度センサ
16 流量調整コントローラ
17 不活性ガス供給装置
18 反応槽
19 下部仕切り板
20 上部仕切り板
101 試験片
102 テープ
103 溶液
104 オゾン

Claims (11)

  1. 少なくともギ酸とシュウ酸とを含む溶液を収容する処理部と、
    前記溶液にオゾンを導入するオゾン導入手段と、を備え、
    前記処理部は3以上であり、
    前記オゾン導入手段は、少なくとも第1処理部、及び、最終処理部に備わる
    ことを特徴とする有機酸溶液分解装置。
  2. 前記処理部は、反応槽である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機酸溶液分解装置。
  3. 前記処理部は、反応容器を分画した反応区画である
    ことを特徴とする請求項1に記載の有機酸溶液分解装置。
  4. 前記溶液を上流の処理部から下流の処理部に移送する
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  5. 前記最終処理部の容積は、前記第1処理部の容積以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  6. 上流の処理部の余剰オゾンを下流の処理部に移送する余剰オゾン移送手段を備える
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  7. 前記処理部に不活性ガスを供給する不活性ガス供給手段を備える
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  8. 前記処理部に攪拌手段を備える
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  9. 前記処理部のオゾン濃度、又は、前記処理部に導入するオゾン流量を調整する調整機構を備える
    ことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の有機酸溶液分解装置。
  10. 少なくともギ酸とシュウ酸とを含む有機酸溶液を分解処理する処理部を3以上と、
    前記溶液にオゾンを導入するオゾン導入手段と、
    前記溶液を上流の処理部から下流の処理部に移送する溶液移送手段と、
    を備える有機酸溶液分解装置において、
    最上流の処理部にオゾンを導入し、
    オゾン濃度、又は、オゾン導入量を上流から下流の処理部に進むに従い順次減少させ、
    最下流の処理部のオゾン濃度、又は、最下流の処理部に導入するオゾン導入量は、最上流の処理部のオゾン濃度、又は、最上流の処理部に導入するオゾン導入量以上とする
    ことを特徴とする有機酸溶液分解方法。
  11. 最上流の処理部における前記溶液1g当たりのオゾンの導入速度が10g/h以上である
    ことを特徴とする請求項10に記載の有機酸溶液分解装置。
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