JP2001235594A - 原子炉圧力容器内の化学除染方法 - Google Patents

原子炉圧力容器内の化学除染方法

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JP2001235594A
JP2001235594A JP2000047753A JP2000047753A JP2001235594A JP 2001235594 A JP2001235594 A JP 2001235594A JP 2000047753 A JP2000047753 A JP 2000047753A JP 2000047753 A JP2000047753 A JP 2000047753A JP 2001235594 A JP2001235594 A JP 2001235594A
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元浩 会沢
Ichiro Kataoka
一郎 片岡
Kazumi Anazawa
和美 穴沢
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 原子炉圧力容器内の除染液水位を調整し、除
染効果を向上させる。 【解決手段】 原子炉格納容器1内の空間に、水を内包
した袋容器18を挿入して除染液の低減を図るととも
に、袋容器18に給水ライン19と排水ライン25を設
け、袋容器18内の水の量を調整することにより除染液
の水位を調整する。除染水位を調整できるので、除染中
の冷却水が流入した場合においても、除染範囲全域に常
に除染液が接する状態を維持することが可能となる。本
発明によれば、除染期間中の水位変動の影響を受けず
に、冷却水最小限の除染薬品を用いて原子炉圧力容器全
域を除染することが可能となるとともに、化学除染液の
分解あるいは浄化を行う場合の時間短縮も同時に達成で
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原子炉圧力容器内
の表面および内包される機器類の化学除染方法に係り、
特に、除染中の水位変動をコントロールすることにより
原子炉圧力容器内の除染効果を向上させる除染方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】原子力発電プラントの原子炉圧力容器
(以下、圧力容器ともいう)に供給された冷却水は、圧
力容器内を循環し、この間、ウラン燃料の核分裂で発生
した熱を吸収して蒸気となり、その後、湿分を分離し乾
燥され、乾き蒸気となってタービンへ送られ、発電に供
せられる。
【0003】一方、原子力発電所は、技術の進歩に伴
い、開発される予防保全技術を適宜適用することによ
り、信頼性の向上をはかってきている。予防保全技術の
中で、原子炉圧力容器内の機器の健全性を確認するた
め、炉内機器の点検が定期的に行われている。
【0004】原子炉圧力容器内の機器や構造物の中で
は、上述したウラン燃料や、湿分分離器、蒸気乾燥器等
は、炉心外に取出すことが可能な部品であり、点検等を
比較的容易に行うことができる。
【0005】一方、ウラン燃料を固定する下部格子板、
上部格子板、シュラウドおよびジェットポンプ等は、圧
力容器内に固定されているため、点検あるいは取替を行
うためには、作業者が原子炉圧力容器内に直接入って作
業する必要がある。
【0006】この場合、原子炉圧力容器内は放射性物質
が付着しており、点検あるいは取替作業のためには、予
め放射性物質を除去した後に行うことが望ましい。放射
性物質の除去は、材料表面に付着している付着物を、化
学薬品により溶解する化学除染法が用いられる。
【0007】この方法は、原子炉圧力容器内から、ウラ
ン燃料、湿分分離器、蒸気乾燥器等の取出可能な機器類
を取り出した後、圧力容器内に除染液を満たし、この除
染液の温度をコントロールし、溶解した放射性物質は浄
化装置で浄化して除染液を再循環させるようになってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】原子炉圧力容器内の除
染効果を大きくするためには、除染液を攪拌することが
有効である。このため、原子炉圧力容器内の化学除染を
行う場合は、原子炉再循環ポンプを運転して除染液を攪
拌しながら行う。
【0009】この際、再循環ポンプのメカニカルシール
に供給される冷却水が、原子炉内に流入するので、原子
炉内の水位が除染の経過に伴って上昇する。このため、
これまでは、特開平11−14796号公報に示されて
いるように、予め除染対象範囲から、水位上昇分を下げ
た状態で除染を開始する方法が考案されていた。
【0010】しかし、この方法では、圧力容器上部の構
造材および機器は、除染液に接する時間が短くなるた
め、除染効果が低下する。そこで、圧力容器上部の除染
効果を確保するために、再循環させた除染液を圧力容器
上部にスプレイする方法も考案されている。
【0011】しかしながら、スプレイを用いた除染では
除染液が十分に届かない箇所が生じることがあり、ま
た、除染液が届いた場合でも、スプレイ量が少ない場合
は、除染液の温度低下、あるいは流速の低下により、十
分な除染効果を期待できないことがある。このため、十
分な除染効果を得るためには、当初より除染対象部全域
に除染液が接した状態で行うことが望ましい。
【0012】一方では、除染液を当初より満水にして行
うと、再循環ポンプ冷却水の供給分に相当する除染液を
常時排出する必要が生ずる。除染液は、高濃度の化学薬
品を含んでいるため、イオン交換樹脂等で浄化して排水
する必要がある。
【0013】さらに、除染液は放射能を含んでいるた
め、浄化に用いたイオン交換樹脂は放射性廃棄物とな
り、廃棄物の増加につながり好ましくない。また、満水
状態では除染に使用する薬品量の増加を伴い経済的でも
ない。
【0014】本発明の課題は、除染液の量を最小限にし
て、しかも、原子炉圧力容器内の全域に除染液を満た
し、かつ冷却水などの流入に伴う水位変化を調整するの
に好適な原子炉圧力容器内の除染方法を提供することで
ある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明者らは、除染液量を低減するためには、原子炉
圧力容器内の除染液を注入する空間に、介在物を挿入す
る方法が有効と考えた。除染の際に圧力容器内にできる
大きな空間は、原子燃料、湿分分離器、蒸気乾燥器など
を取り出した後の空間である。
【0016】一例として、460MWe級の原子炉のウ
ラン燃料挿入部は約70mの容積を有し、湿分分離器
および蒸気乾燥器挿入部は約100mの容積となる。
これらの機器類を取り出した後の除染範囲全域に、除染
液を満たした場合の容積は約280mであるから、圧
力容器内の機器類が占める容積は約60%に相当する。
【0017】したがって、例えば、これらの機器類に相
当する約170mの容積の挿入物を、圧力容器内に
できた空間に挿入した場合は、機器類を取り出した後の
圧力容器内の空間を満水とした場合に比較して、約40
%の液量で除染が可能となる。
【0018】さらに、挿入物は注水口および排水口を有
した袋容器とし、袋容器内の水の量を変更することによ
り、挿入物の容積を調整できるようにした。これによ
り、冷却水の流入に伴う圧力容器内の水位を調整するこ
とが可能となる。また、同様の方法で除染液の昇温に伴
う水位上昇分も調整が可能となる。
【0019】また、水を充填して袋容器が損傷したよう
な場合でも、除染液が希釈されることにはなるが除染作
業を中断する必要はない。しかも、水位調整のために袋
容器から抜き出した水は汚染されていないので、処理せ
ずに発電所の廃水処理系に直接送ることができる利点が
ある。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
面を参照して説明する。図1に、原子炉圧力容器内を化
学除染するための系統構成を示す。原子炉圧力容器1の
化学除染は、最初に圧力容器1の蓋を取り、ウラン燃
料、湿分分離器および蒸気乾燥器等の取り出し可能な機
器類を取り出す。
【0021】次に、図1に示すように、圧力容器1内か
ら前記機器類を取り出した後の空間に、水を満たした袋
容器18を設置する。袋容器18は圧力容器1内の空間
部に合わせ、耐薬品性のゴムあるいは合成樹脂等により
製作する。
【0022】袋容器18には、給水ライン19、給水ポ
ンプ20、給水ライン止め弁21および給排水ライン2
2が配設され、さらに、分岐ラインとして、排水ライン
止め弁23および排水ポンプ24を有する排水ライン2
5が配設されている。ここで、袋容器18に注入する水
は、例えば、袋容器18が化学除染中に損傷して化学除
染液と混合しても、問題とならない水質を有するものと
する。
【0023】除染初期には、給水ライン19から圧力容
器1内の空間に見合った量の水を袋容器18に注入し、
空間容積を削減する。その後、圧力容器1内に除染液を
注入し、圧力容器上部の除染液の水位を調整することに
より、圧力容器全域が除染液と接することとなる。
【0024】除染中は、再循環ポンプ3のメカニカルシ
ール部に供給される冷却水が、除染液に直接流入するた
め、時間の経過に伴って除染液水位が上昇する。水位の
上昇速度は、予め設定されるメカニカルシール供給水量
で想定できる。
【0025】したがって、メカニカルシール部供給水量
に相当する流速で、袋容器18内の水を抜き出すことに
より水位調整が可能である。袋容器18内の水は、除染
薬品を含まないため、プラント内の排水口26から直接
排出が可能となる。なお、水位の監視は、再循環配管4
等からマノメータ27を設置することで達成できる。
【0026】なお、図1に示したように、圧力容器1内
の除染液は、圧力容器底部から除染系配管13で抜き出
し、除染液循環ポンプ14、ヒータ15および浄化装置
16を介して圧力容器上部に戻す除染液循環ループを構
成して除染が行われる。除染液の温度コントロールはヒ
ータ15で行い、また、溶解した放射性物質はイオン交
換樹脂を充填した浄化装置16で行う。
【0027】また、上記実施形態では、予め水を入れた
袋容器を圧力容器内部に設置した後、袋容器内の水量を
さらに増量するようにしているが、先に空の袋容器を圧
力容器内に設置してから水を充填してもよいことはもち
ろんである。
【0028】以上のように運転を行うことにより、原子
炉圧力容器内の全域に除染液を満たした状態で除染運転
を行うことが可能となり、圧力容器内全域の除染効果を
確実に向上させることが可能となる。
【0029】次に、原子炉圧力容器の具体的な除染ステ
ップ(S)を、図2に示すフロー図を用いて説明する。
作業開始(S1)後、まず、圧力容器1の蓋を取り外し
(S2)、内部の湿分分離器、蒸気乾燥器を取り外し
(S3)、さらに、原子燃料を取り出す(S4)。
【0030】次いで、上記機器類を取り出した後の圧力
容器内の空間に袋容器を挿入し(S5)、圧力容器と袋
容器との間の空隙を削減するために袋容器に注水する
(S6)。この状態で、圧力容器内の上部まで除染液が
行きわたるように、袋容器外の除染液の水位を調整す
る。
【0031】その後、除染系配管13および除染液循環
ポンプ14を用いて除染液を循環する。この際、化学薬
品は放射性物質を溶解する効果は、除染液の温度が高い
ほど大きくなるため、ヒータ15を用いて予め昇温する
(S7)。化学除染液の温度は、除染液が沸騰せず大気
圧状態で運転が可能である上限の温度として、約90℃
に設定する。
【0032】その後、化学薬品を注入し化学除染操作を
開始する。注入する化学薬品としては、一種類の化学薬
品を用いて行う場合と、数種類の化学薬品を注入して行
う場合がある。
【0033】図2には、酸化作用を有する薬品と、還元
作用を有する薬品の二種類の薬品を用いて行う場合を例
に示す。酸化性の薬品として、本例では過マンガン酸カ
リウムを注入する(S8)。
【0034】過マンガン酸イオン(MnO4)は、下
記(1)式に示すように、クロムを含む酸化物を溶解する
作用を有するため、ステンレス鋼等のクロムを含む材料
表面に付着した放射性物質を、効果的に除去することが
可能となる。 Cr+2MnO +HO→2HCrO +2MnO……(1)
【0035】酸化剤による溶解が達成された段階で(S
9)、残留した過マンガン酸カリウムを還元剤であるシ
ュウ酸を添加して分解する。この工程が酸化剤分解工程
であり、反応式は下記(2)式で表すことができる。 2KMnO+8C→C+2CMn+10CO+8HO ……(2)
【0036】上記(2)式に示すように、過マンガン酸カ
リウムの分解に用いたシュウ酸は、分解後、二酸化炭素
と水となるため、最終的にイオン交換樹脂等で浄化する
必要性がなく、廃棄物低減に有効である。
【0037】次に、還元性の薬品としてシュウ酸を注入
する(S10)。シュウ酸は、下記(3)式に示すよう
に、鉄を取り込んだ錯イオンを形成する性質を有するた
め、鉄を多く含む付着物を除去するのに有効である。 Fe+6C→2[Fe(C)]3−+3HO+6H……(3)
【0038】なお、酸化剤および還元剤で溶解させた放
射性物質および金属イオン等の不純物は、図1の構成図
に示したように、除染系に設けた浄化装置である脱塩器
16通水させることにより浄化する。
【0039】還元剤による除染が十分に進んだ段階で、
除染液中のシュウ酸を分解する還元剤分解工程に移る
(S11)。還元剤の分解は酸化剤の分解と同様に下記
(4)式に示すように、除染に用いたシュウ酸を炭酸ガス
と水に戻し、廃棄物の低減を図る。 C+H→2CO+2HO ……(4)
【0040】シュウ酸の分解は、図1の構成図に示した
ように、分解装置28を用いることにより達成できる。
分解装置28としては、過酸化水素と触媒を用いる方
法、あるいは、過酸化水素と紫外線照射装置を用いる方
法などが適用可能である。
【0041】以上のように、化学薬品による酸化・還元
工程を経て、還元剤が分解した段階で、再度、上記脱塩
塔16を用いて、循環する除染液を、除染前の清浄な水
に浄化することにより除染が終了する(S12)。
【0042】仮に、除染効果が不足している場合には、
再びステップ8の工程に戻り、酸化剤注入、酸化剤の分
解、還元注入および還元剤分解を繰り返すことにより
(S13)、目的の除染効果を達成する。
【0043】一連の薬品による洗浄が終了した後に、図
1に示すように、袋容器18内の水を、ライン22、排
水系弁23、排水ポンプ24および排水ライン25を経
由して、発電所内の廃液処理系ドレン口26に排出する
(S14)。
【0044】袋容器内の水がなくなった段階で、袋容器
を圧力容器から撤去し(S15)、さらに、圧力容器内
に残った除染液を廃水処理して(S16)、除染作業を
終了する(S17)。
【0045】なお、取り出した袋容器の表面には放射性
物質が付着しており、そのままでは放射性廃棄物となる
が、しかし、予め可燃性の材質で製作することにより、
発電所内の焼却設備で、焼却および減容することが可能
となり、袋容器の廃棄物も低減できる。
【0046】以上説明した本発明の実施形態によれば、
除染期間中の水位変動の影響を受けずに、冷却水最小限
の除染薬品を用いて、原子炉圧力容器内部の全域を、安
全にしかも確実に除染することが可能となる。
【0047】さらに、袋容器を用いる他の効果は、還元
剤分解時間の短縮が得られる点にある。具体的な短縮効
果を下式(5)を用いて試算すると、下記のようになる。
なお、式(5)中、C。は還元剤分解初期濃度、Cは還元
剤分解終了時濃度、Vは除染液量、qは分解装置流量、
fは分解装置分解率、tは時間である。 t=−V/q/f・ln(C/C。) ……(5)
【0048】還元剤の分解に要する時間tは、還元剤の
分解装置における分解率f、および分解装置の流量qが
一定と仮定すると、除染液量Vにより変化する。本発明
では、水を満たした袋容器を圧力容器内に設置し、除染
液量を減らしている。
【0049】ここで、C/C。=100、q=50t/
h、f=80%とし、かつ、前述した460MWe級プ
ラントにおいて、袋容器を用いた場合の除染液量が、2
80mから100mに低減できる変化を(5)式に代
入すると、還元剤の分解時間は約32時間から12時間
に低減することが可能となる。
【0050】酸化剤および還元剤の除染運転を、例えば
3回繰り返す場合には、袋容器を使用することにより、
還元剤分解時間のみで約60時間(2.5日)の工程短
縮が可能となる。同様の効果は、除染終了後の残留薬品
をイオン交換樹脂を用いた脱塩装置で浄化する場合にお
いても同様の効果が期待できる。
【0051】ここで、本発明が適用される原子炉圧力容
器の構成、および、化学除染方法の参考例を、それぞれ
図3および図4を用いて説明する。なお、図1と同一の
構造部分には同一の符号を付す。
【0052】原子力発電プラントの原子炉圧力容器1
は、図3に示すように、給水系配管2より供給される冷
却水が、再循環ポンプ3および再循環配管4およびジエ
ットポンプ5により圧力容器1内を循環する。
【0053】この間、冷却水はウラン燃料6の核分裂で
発生した熱を吸収し蒸気となる。原子炉内で発生した蒸
気は、湿分分離器7および蒸気乾燥器8により乾き蒸気
となった後に、主蒸気配管9からタービンへ送られ発電
に供せられる。
【0054】ウラン燃料6、湿分分離器7および蒸気乾
燥器8等は炉心外に取出すことが可能であるが、ウラン
燃料を固定する下部格子板10、上部格子板12、シュ
ラウド11およびジェットポンプ5等は圧力容器内に固
定されており、点検・取替等の作業上、圧力容器内部の
放射性物質を除去した後に行う必要がある。
【0055】次に、図4により、本発明の参考例とし
て、前記袋容器を用いないで、原子炉圧力容器内の部材
表面に付着している付着物を、化学薬品により溶解する
化学除染法について説明する。圧力容器1内から前記取
り出し可能な機器類を取り出した後、圧力容器内に除染
液を満たす。
【0056】圧力容器1内の除染液は、圧力容器底部か
ら除染系配管13で抜き出し、除染液循環ポンプ14、
ヒータ15および浄化装置16を介して圧力容器上部に
戻して行う。除染液の温度コントロールはヒータ15で
行い、また、溶解した放射性物質はイオン交換樹脂を充
填した浄化装置16で行う。
【0057】さらに、再循環ポンプ3を運転して除染液
を攪拌し除染効果を高める。この際、再循環ポンプ3の
メカニカルシールに供給される冷却水が、常に原子炉内
に流入して除染液の水位が上昇し、圧力容器上部の構造
材および機器は除染液に接する時間が短くなるため除染
効果が低下する。
【0058】そこで、図4に示すように、圧力容器上部
の除染効果を確保するために、除染液循環ループの戻り
水をスプレイ17する方法もあるが、しかし、この方法
では、除染液が十分に届かない箇所が生じたり、スプレ
イ量が少ない場合は、除染液の温度低下や流速低下によ
り、十分な除染効果が期待できない。
【0059】また、一方では、除染液を当初より満水に
して行うと、再循環ポンプ冷却水の供給分に相当する除
染液を常に排出する必要が生ずる。除染液は高濃度の化
学薬品を含んでいるので、イオン交換樹脂等で浄化して
排水する必要があり、放射能を含む除染液の浄化に用い
たイオン交換樹脂は放射性廃棄物となる。そのため、多
量の除染液は、廃棄物の増加と薬品量の増加を伴い、好
ましくない。
【0060】本発明の実施形態によれば、前述したよう
に、袋容器によって、使用する除染液の絶対量が大幅に
減量できるので、除染に使用する薬品量も少なくて済
み、また、除染液の浄化に用いた放射性廃棄物も格段に
減少する。
【0061】
【発明の効果】本発明を採用することにより、除染期間
中の水位変動の影響を受けずに、冷却水最小限の除染薬
品を用いて、原子炉圧力容器全域を安全かつ確実に除染
することが可能となる。これにより、原子炉圧力容器内
の点検あるいは取替作業者の受ける線量当量を低減する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す構成図である。
【図2】本発明になる化学除染工程の一例を示す図であ
る。
【図3】本発明が適用される原子炉圧力容器を示す構成
図である。
【図4】本発明の一参考例を示す構成図である。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器 3 再循環ポンプ 4 再循環配管 5 ジェットポンプ 6 ウラン燃料 7 湿分分離器 8 蒸気乾燥器 11 シュラウド 14 除染液循環ポンプ 15 ヒータ 16 浄化装置 17 スプレイノズル 18 袋容器 19 給水ライン 20 給水ポンプ 22 給排水ライン 23 排水ライン止め弁 24 排水ポンプ 25 排水ライン 26 排水口 27 マノメータ 28 還元剤分解装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片岡 一郎 茨城県日立市幸町三丁目2番1号 日立エ ンジニアリング株式会社内 (72)発明者 穴沢 和美 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所原子力事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子炉圧力容器内の除染液を注入する空
    間に袋容器を設置し、前記袋容器の容積によって前記除
    染液注入空間の容積を削減し、除染液の注入量を低減可
    能にする原子炉圧力容器内の化学除染方法。
  2. 【請求項2】 原子炉圧力容器内の原子燃料および取り
    外し可能な機器を取り出し、次に、前記機器を取り出し
    た原子炉圧力容器内の空間に袋容器を設置し、次いで、
    前記袋容器内に水を注入した後、前記袋容器と前記原子
    力圧力容器との間の空隙に、放射性物質を除去する除染
    液を注入する原子炉圧力容器内の化学除染方法。
  3. 【請求項3】 前記原子力圧力容器内に注入した除染液
    の水位を、前記袋容器内の水を給水または排水して調整
    する請求項1または2に記載の化学除染方法。
  4. 【請求項4】 前記袋容器に、予め水を注入した後、前
    記空間に設置する請求項1、2または3に記載の化学除
    染方法。
  5. 【請求項5】 前記原子炉圧力容器内の除染液を取り出
    し、溶解した放射性物質を除去した後、再び前記原子炉
    圧力容器内に循環させる請求項1ないし4のうちいずれ
    かに記載の化学除染方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のうちいずれかに記載
    の化学除染方法に使用可能に製作されてなる袋容器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013148548A (ja) * 2012-01-23 2013-08-01 Hitachi-Ge Nuclear Energy Ltd 除染装置および除染方法
JP2015049164A (ja) * 2013-09-02 2015-03-16 株式会社東芝 原子炉圧力容器の除染方法及びその除染システム

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