JP2017213500A - 複合分離膜および複合分離膜エレメント - Google Patents

複合分離膜および複合分離膜エレメント Download PDF

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由恵 丸谷
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剛士 誉田
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Hiroho Hirozawa
洋帆 広沢
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Abstract

【課題】高い造水量および高い分離除去性能を保持する分離膜および分離膜エレメントを提供する。
【解決手段】ひだ構造を有する分離機能層を備える複合半透膜で、(a)〜(c)の要件を満たす。
(a)温度25℃、湿度50%下で48時間静置した前記複合分離膜(複合分離膜A)の前記分離機能層表面における静的接触角が30度以下である。
(b)前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転したときの透水量が0.25m/m/日以上である。
(c)前記複合分離膜Aを、温度25℃のRO水に15分間浸漬した前記複合分離膜(複合分離膜B)の前記分離機能層を原子間力顕微鏡により表面観察をしたとき、凸部を3nNの力で押し込んだ際の変形量が1.0nm以上である。
【選択図】図1

Description

本発明は、特に液体に含まれる成分を分離するために使用される複合分離膜および複合分離膜エレメントに関する。
海水およびかん水などに含まれるイオン性物質を除くための技術においては、近年、省エネルギーおよび省資源のためのプロセスとして、分離膜エレメントによる分離法の利用が拡大している。
分離膜エレメントとしては、用途や目的に合わせて、スパイラル型、中空糸型、プレート・アンド・フレーム型、回転平膜型、平膜集積型などの各種の形状が提案されている。例えば、逆浸透ろ過に用いられる流体分離膜エレメントを例にとると、その分離膜エレメント部材は、原流体を分離膜表面へ供給する供給側流路材、原流体に含まれる成分を分離する分離膜、及び分離膜を透過し供給側流体から分離された透過側流体を集水管へと導くための透過側流路材からなる部材を集水管の周りに巻き付けたスパイラル型分離膜エレメントが、原流体に圧力を付与し、透過流体を多く取り出す点で広く用いられている。
一般に、スパイラル型分離膜エレメントでは、供給側流路材として供給側流体の流路を形成させるために主に高分子製のネットが使用され、透過側流路材として膜の落ち込みを防ぎ、かつ透過側の流路を形成させる目的で、供給側流路材よりも間隔の細かいトリコットと呼ばれる織物部材が使用されている。
分離膜エレメントに使用される分離膜は、目的とする分離成分及び分離性能によって使い分けられている。分離膜は高い透水性と高い分離性能を有することが望ましい。例えば特許文献1には、透水性を高めるために、水溶性ポリビニルアルコール系重合体を不溶化し、これを芳香族ポリスルホンからなる多孔質膜に付着させることが記載されている。また、特許文献2には、乾燥した膜の透水性を高めるために、多孔性支持体上に界面重合でポリアミドのスキン層を形成することで複合膜を得た後、これを洗浄し、多孔性支持体表面に保湿剤等を含有する溶液を塗布し、ポリアミドのスキン層表面にポリビニルアルコール等の保護剤を含有する溶液を塗布した後、乾燥させることが記載されている。
特開平08−052333号公報 特開2008−93543号公報
一般に、スパイラル型分離膜エレメントを作製する際は、分離膜表面に供給側流路材を積層させた状態にて、集水管の周りに巻き付ける。しかしながら、従来の分離膜では、巻き付けの過程における供給側流路材と分離膜上との擦過傷により、分離膜エレメントとしての性能が低下することがある。
そこで、本発明は、エレメント作製における分離膜と供給側流路材の間の擦過傷を抑制し、分離膜エレメントとして高い性能を発現する技術を提供することを目的とする。
本発明者らは、課題を解決するために、分離膜のうちの分離機能層の面粗さに着目し、鋭意検討を行った。その結果、分離機能層の硬さを特定の範囲にすることで、エレメント作製時と運転時で要求される分離膜の異なる面粗さを達成できることを見出した。これにより、分離膜の巻囲時の供給側流路材との擦過傷を抑えながら、運転中の供給側流路材の飛び出しを抑制することができる。
本発明は以下のいずれかの構成を有する。
(1)基材と、前記基材の一方の面に積層される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に積層される分離機能層と、を備えた複合分離膜であって、前記分離機能層は、凸部と凹部とを備えるひだ構造を有し、かつ以下の(a)〜(c)の要件を満たす、複合分離膜。
(a)温度25℃、湿度50%下で48時間静置した前記複合分離膜(複合分離膜A)の前記分離機能層表面における静的接触角が30度以下である。
(b)前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転したときの透水量が0.25m/m/日以上である。
(c)前記複合分離膜Aを、温度25℃のRO水に15分間浸漬した前記複合分離膜(複合分離膜B)の前記分離機能層を原子間力顕微鏡により表面観察をしたとき、凸部を3nNの力で押し込んだ際の変形量が1.0nm以上である。
(2)前記複合分離膜Aの前記分離機能層の平均面粗さx1と、前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転した前記複合分離膜(複合分離膜C)の前記分離機能層の平均面粗さx2との比x2/x1が0.45以上0.90以下である、(1)に記載の複合分離膜。
(3)前記平均面粗さx2と、前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で24時間運転した前記複合分離膜(複合分離膜D)の前記分離機能層の平均面粗さx3との比x3/x2が0.95以上1以下である、(1)または(2)に記載の複合分離膜。
(4) 前記複合分離膜Aの透水量が1.7m/m/日以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の複合分離膜。
(5) (1)〜(4)のいずれかに記載の複合分離膜を備えた複合分離膜エレメント。
本発明によって、分離膜エレメントの作製効率を向上させ、高い造水量および高い除去率を保持した分離膜、および分離膜エレメントを提供することができる。
分離機能層の凸部高さの測定方法を模式的に示す図。 本発明の実施の一形態である、透過側流路材を有する複合分離膜の一例を示す断面図。 透過側流路材を有する複合分離膜の他の例を示す断面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す断面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 透過側流路材を有する複合分離膜のさらに他の例を示す平面図。 複合分離膜エレメントの一例を示す展開図。
以下、本発明の実施の一形態について、詳細に説明する。
1.複合分離膜
(1−1)概要
複合分離膜は、基材と、前記基材の一方の面に積層される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に積層される分離機能層とを備える。
本書において、「供給側の面」とは、複合分離膜の分離機能層側の面を意味する。「透過水の面」とは、その逆側の面、すなわち基材側の面を意味する。
(1−1−1)基材
基材としては、強度、凹凸形成能、流体透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。また、基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができる。特に、長繊維不織布は、優れた製膜性を有するので、高分子重合体の溶液を流延した際に、その溶液が過浸透により裏抜けすること、多孔性支持層が剥離すること、さらには基材の毛羽立ち等により膜が不均一化すること、及びピンホール等の欠点が生じたりすることを抑制できるため好ましい。また、基材が熱可塑性連続フィラメントより構成される長繊維不織布からなることにより、短繊維不織布を用いたときに起こる、毛羽立ちによって生じる高分子溶液流延時の不均一化や、膜欠点を抑制することができる。さらに、複合分離膜は、連続製膜されるときに、製膜方向に対し張力がかけられるため、寸法安定性に優れる長繊維不織布を基材として用いることが好ましい。
長繊維不織布は、成形性、強度の点で、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維が、多孔性支持層側の表層の繊維よりも縦配向であることが好ましい。そのような構造によれば、強度を保つことで膜破れ等を防ぐ高い効果が実現されるだけでなく、複合分離膜に凹凸を付与する際の、多孔性支持層と基材とを含む積層体としての成形性も向上し、複合分離膜表面の凹凸形状が安定するので好ましい。
より具体的には、長繊維不織布の、多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度は、0°以上25°以下であることが好ましく、また、多孔性支持層側表層における繊維配向度との配向度差が10°以上90°以下であることが好ましい。
複合分離膜の製造工程やエレメントの製造工程においては加熱する工程が含まれるが、加熱により多孔性支持層または分離機能層が収縮する現象が起きる。特に連続製膜において張力が付与されていない幅方向において、収縮は顕著である。収縮することにより、寸法安定性等に問題が生じるため、基材としては熱寸法変化率が小さいものが望まれる。不織布において多孔性支持層とは反対側の表層における繊維配向度と多孔性支持層側表層における繊維配向度との差が10°以上90°以下であると、熱による幅方向の変化を抑制することもでき、好ましい。
ここで、繊維配向度とは、多孔性支持層を構成する不織布基材の繊維の向きを示す指標である。具体的には、繊維配向度とは、連続製膜を行う際の製膜方向(MD)、つまり不織布基材の長手方向と、不織布基材を構成する繊維の長手方向との間の角度の平均値である。つまり、繊維の長手方向が製膜方向と平行であれば、繊維配向度は0°である。また、繊維の長手方向が製膜方向に直角であれば、すなわち不織布基材の幅方向に平行であれば、その繊維の配向度は90°である。よって、繊維配向度が0°に近いほど縦配向であり、90°に近いほど横配向であることを示す。
繊維配向度は以下のように測定される。まず、不織布からランダムに小片サンプル10個を採取する。次に、そのサンプルの表面を走査型電子顕微鏡で100〜1000倍で撮影する。撮影像の中で、各サンプルあたり10本の繊維を選び、不織布の長手方向を0°としたときの、繊維の長手方向の角度を測定する。ここで、不織布の長手方向とは、不織布製造時の“Machine direction”を指す。また、不織布の長手方向は、多孔性支持層の製膜方向に一致する。これらの方向は、図7中の長さ方向(y方向)に一致する。図7中のx方向は不織布の幅方向であり、不織布製造時の“Cross direction”に一致する。こうして、1枚の不織布あたり計100本の繊維について、角度の測定が行われる。こうして測定された100本の繊維について長手方向の角度から平均値を算出する。得られた平均値の小数点以下第一位を四捨五入して得られる値が、繊維配向度である。
基材の厚みは、30μm以上300μm以下の範囲とするのが好ましく、50μm以上250μm以下の範囲とすることがより好ましい。
(1−1−2)多孔性支持層
多孔性支持層は、分離機能層を支持する層であり、多孔性樹脂層とも言い換えられる。
多孔性支持層に使用される材料やその形状は特に限定されないが、例えば、多孔性樹脂によって基板上に形成されてもよい。多孔性支持層としては、ポリスルホン、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂あるいはそれらを混合、積層したものが使用され、化学的、機械的、熱的に安定性が高く、孔径が制御しやすいポリスルホンを使用することが好ましい。
多孔性支持層は、複合分離膜に機械的強度を与え、かつイオン等の分子サイズの小さな成分に対して複合分離膜のような分離性能を有さない。多孔性支持層の有する孔のサイズおよび孔の分布は特に限定されないが、例えば、多孔性支持層は、均一で微細な孔を有してもよいし、あるいは分離機能層が形成される側の表面からもう一方の面にかけて径が徐々に大きくなるような孔径の分布を有してもよい。また、いずれの場合でも、分離機能層が形成される側の表面で原子間力顕微鏡または電子顕微鏡などを用いて測定された細孔の投影面積円相当径は、1nm以上100nm以下であることが好ましい。特に界面重合反応性および分離機能層の保持性の点で、多孔性支持層において分離機能層が形成される側の表面における孔は、3nm以上50nm以下の投影面積円相当径を有することが好ましい。
多孔性支持層の厚みは特に限定されないが、複合分離膜に強度を与えるため等の理由から、20μm以上500μm以下の範囲にあることが好ましく、より好ましくは30μm以上300μm以下である。
多孔性支持層の形態は、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡により観察できる。例えば走査型電子顕微鏡で観察するのであれば、基材から多孔性支持層を剥がした後、これを凍結割断法で切断して断面観察のサンプルとする。このサンプルに白金または白金−パラジウムまたは四塩化ルテニウム、好ましくは四塩化ルテニウムを薄くコーティングして3kV〜6kVの加速電圧で、高分解能電界放射型走査電子顕微鏡(UHR−FE−SEM)で観察する。高分解能電界放射型走査電子顕微鏡は、株式会社日立製作所製S−900型電子顕微鏡などが使用できる。得られた電子顕微鏡写真に基づいて、多孔性支持層の膜厚、表面の投影面積円相当径を測定することができる。
多孔性支持層の厚み、孔径は、平均値であり、多孔性支持層の厚みは、断面観察で厚み方向に直交する方向に20μm間隔で測定し、20点測定の平均値である。また、孔径は、200個の孔について測定された、各投影面積円相当径の平均値である。
次に、多孔性支持層の形成方法について説明する。多孔性支持層は、例えば、上記ポリスルホンのN,N−ジメチルホルムアミド(以降、DMFと記載)溶液を、後述する基材、例えば密に織ったポリエステル布あるいは不織布の上に一定の厚さに注型し、それを水中で湿式凝固させることによって、製造することができる。
多孔性支持層は、”オフィス・オブ・セイリーン・ウォーター・リサーチ・アンド・ディベロップメント・プログレス・レポート”No.359(1968)に記載された方法に従って形成することができる。なお、所望の形態を得るために、ポリマー濃度、溶媒の温度、貧溶媒は調整可能である。
例えば、所定量のポリスルホンをDMFに溶解し、所定濃度のポリスルホン樹脂溶液を調製する。次いで、このポリスルホン樹脂溶液をポリエステル布あるいは不織布からなる基材上に略一定の厚さに塗布した後、一定時間空気中で表面の溶媒を除去した後、凝固液中でポリスルホンを凝固させることによって得ることができる。
(1−1−3)分離機能層
本発明において、分離機能層は、凹部と凸部とを有するひだ構造を形成する。より具体的には、ひだ構造においては、凹部と凸部が繰り返される。
本発明における分離機能層の凸部とは、10点平均面粗さの5分の1以上の高さの凸部のことを言う。10点平均面粗さとは、例えば、次のような算出方法で得られる値である。まず電子顕微鏡により、膜面に垂直な方向の断面を下記の倍率で観察する。得られた断面画像には、分離機能層(図1に符号“1”で示す。)の凸部と凹部が連続的に繰り返される、ひだ構造の曲線として表れる。この曲線について、ISO4287:1997に基づき定義される粗さ曲線を求める。上記粗さ曲線の平均線の方向に2.0μmの幅で断面画像を抜き取る(図1)。
なお、平均線とは、ISO4287:1997に基づき定義される直線であり、測定長さにおいて、平均線と粗さ曲線とで囲まれる領域の面積の合計が平均線の上下で等しくなるように描かれる直線である。
抜き取った幅2.0μmの画像において、上記平均線を基準線として、分離機能層における凸部の高さと、凹部の深さをそれぞれ測定する。最も高い凸部から徐々に高さが低くなって5番目の高さまでの5つの凸部の高さH1〜H5の絶対値について平均値を算出し、最も深い凹部から徐々に深さが浅くなって5番目の深さまでの5つの凹部の深さD1〜D5の絶対値について平均値を算出して、さらに、得られた2つの平均値の絶対値の和を算出する。こうして得られた和が、10点平均面粗さである。
分離機能層の10点平均面粗さ(以下、「平均面粗さ」とも呼ぶ)は、分離性能と透過性能、および複合分離膜エレメント製造時の供給側流路材との滑り性の点で、10nm以上1000nm以下であることが好ましく、特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では20nm以上500nm以下であるとさらに好ましい。
複合分離膜を液体内で使用する場合、目的の性能を確実に発現できるよう、その分離機能層は、液体内で最も安定した形状を保つと考えられる。すなわち、分離機能層は、湿潤状態にすることで最も安定した形状(硬さ、平均面粗さ)を保つ。親水性分子等を含み、乾燥処理が施された複合分離膜についても同様であり、分離機能層は液体に接触させることで安定した形状になると考えられる。
分離機能層の厚みは具体的な数値に限定されないが、分離性能と透過性能の点で5nm以上500nm以下であることが好ましい。特に逆浸透膜、正浸透膜、ナノろ過膜では5nm以上300nm以下であることが好ましい。
分離機能層の厚みは、これまでの複合分離膜の膜厚測定法に準ずることができる。例えば、複合分離膜を樹脂により包埋し、それを切断することで超薄切片を作製し、得られた切片に染色などの処理を行う。その後、透過型電子顕微鏡により観察することで、厚みの測定が可能である。
分離機能層としては、孔径制御が容易であり、かつ耐久性に優れるという点で架橋高分子が好ましく使用される。特に、原水中の成分の分離性能に優れるという点で、多官能アミンと多官能酸ハロゲン化物とを重縮合させてなるポリアミド分離機能層が好適に用いられる。ポリアミド分離機能層は、例えば、多孔性支持層に多官能アミン水溶液を塗布し、余分なアミン水溶液をエアーナイフなどで除去し、その後、多官能酸ハロゲン化物を含有する有機溶媒溶液を塗布することで得られる。
なお、本書において、「XがYを主成分として含有する」とは、XにおけるYの含有率が、50質量%以上であることを意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、更に好ましくは90質量%以上、最も好ましくは95質量%以上である。また、Yに該当する複数の成分が存在する場合は、それら複数の成分の合計量が、上述の範囲を満たせばよい。
なお、いずれの分離機能層についても、使用前に、例えばアルコール含有水溶液、アルカリ水溶液によって膜の表面を親水化させてもよい。
(1−2)静的接触角
複合分離膜においては、下記試験により測定される、分離機能層表面における静的接触角が、30度以下であることが好ましく、25度以下であることがより好ましく、20度以下でもあることがさらに好ましい。接触角が30度以下であれば、複合分離膜を用いて運転を行う際に、分離機能層が短時間で安定した形状となり、十分な透水性を有する。
(i)静置処理
静的接触角を測定する前に、複合分離膜を温度25℃、湿度50%下で48時間静置する。この処理を経た複合分離膜を、便宜上「複合分離膜A」と呼ぶ。
(ii)静的接触角の測定
分離機能層表面に逆浸透膜の透過水(RO水)を滴下し、静的接触角自動接触角計を用いて、θ/2法により、RO水の滴下5秒後における静的接触角を測定する。この操作を任意の10点について行い、その平均値を、その複合半透膜における接触角とする。
(1−3)透水量
複合半透膜は、上記静置処理後に、0.5MPa、25℃で1時間運転したときに、0.25m/m/日以上の透水量を示すことが好ましい。
さらに、この条件で測定される透水量が1.7m/m/日以上であれば、より低い圧力での運転でも、十分な透水性を得られるため、好ましい。
(1−4)ひだ変形量および平均面粗さ
複合半透膜においては、下記試験により測定されるひだの変形量が、1.0nm以上であることが好ましく、3.0nm以上であることがより好ましく、4.0nm以上であるとさらに好ましい。また、変形量は、10.0nm以下であることが好ましく、8.0nm以下であることがより好ましい。
変形量が1.0nm以上であることで、エレメント製造の際、分離機能層と供給側流路材の間の滑りを抑制することができる。これは、変形量がこの範囲にあることで、供給側流路材が分離機能層に接触する際に、両者の密着性が高まるためである。このとき、上記静置処理後の複合分離膜(複合分離膜A)の平均面粗さ(後述のx1)は20nm以上120nm以下であると、密着性が特に高まる。
また、変形量が10.0nm以下であることで、分離機能層の損傷が抑制される。
(i)浸漬処理
上記静置処理を経た複合分離膜(つまり複合分離膜A)を、温度25℃のRO水に15分間浸漬する。
この浸漬処理を経た複合分離膜を便宜上「複合分離膜B」と呼ぶ。
(ii)変形量測定
複合分離膜Bの分離機能層の表面を原子間力顕微鏡(AFM)にて観察し、2μm四方範囲の任意の3つの領域を選択する。これらの3つの領域に含まれる凸部を、それぞれの領域において10点選択する。こうして選択した凸部の頂点を中心とした直径50nmの円領域内の一点を3nNの力で押し込んだときの変形量を測定する。つまり、1枚の膜について、30個の変形量が得られる。これらの値の平均値を、その膜の変形量とする。
使用するカンチレバーの探針の形状は、円錐形またはピラミッド型である。
(1−5)1時間の運転の前後による平均面粗さの変化
上記静置処理後の複合分離膜(複合分離膜A)の平均面粗さx1と、複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転した複合分離膜(便宜上「複合分離膜C」と呼ぶ)の平均面粗さx2との比x2/x1が、0.45以上であることが好ましく、0.50以上であることがより好ましい。また、x2/x1の値は、0.90以下であることが好ましく、0.85以下であることがより好ましい。
1時間の運転により、平均面粗さがこの範囲内に収まるようにすることで、エレメントの運転前後、すなわち膜への通水前後での膜表面の摩擦係数が変化する。すなわち、通水前の乾燥状態では、複合分離膜と供給側流路材の摩擦が小さいが、通水後では複合分離膜は湿潤状態であるため、水により複合分離膜と供給側流路材が接する表面積が大きくなり、摩擦が大きくなる効果を得られる。
複合分離膜が乾燥している状態でエレメントを作製する場合では、擦過による膜傷を防止するために供給側流路材との摩擦を抑えることが必要である。一方、通水後では、複合分離膜と供給側流路材の摩擦が十分でないために、複合分離膜エレメントの運転中に生じる、供給側流路材の複合分離膜エレメント端部からの飛び出しを抑制するため、複合分離膜表面と供給側流路材の摩擦を大きくする必要がある。このような理由から、x2/x1の値は上述した範囲内に収めることが好ましい。
なお、平均面粗さx1は上述の数値であると好ましい。また、平均面粗さx2は30nm以上であると好ましく、90nm以下であると好ましい。
(1−6)1時間運転と24時間運転による平均面粗さの比
上述の平均面粗さx2と、上記静置処理後の複合分離膜(複合分離膜A)を0.5MPa、25℃で24時間運転した複合分離膜(便宜上「複合分離膜D」と呼ぶ)の平均面粗さx3との比x3/x2は、0.95以上1以下であることが好ましい。
一般に、親水性分子を含有した乾燥状態の複合分離膜は、運転により膜中の親水性分子が徐々に放出されること、および長時間の運転により徐々に圧密化することに伴い、分離機能層の平均面粗さが徐々に小さくなる。比x3/x2の値が0.95以上1以下であるということは、乾燥状態の複合分離膜が1時間という短時間の運転で十分に湿潤されていることを意味しており、その後長時間の運転においても安定した透水量を得ることができる。
(1−7)親水性分子
複合分離膜は、上述の静的接触角および透水量を実現するために、親水性分子を含有してもよい。
複合分離膜における親水性分子の含有量は、保湿性を持たせる等の理由から、0.7g/m以上2.5g/mがあることが好ましく、1.0g/m以上2.0g/m以下であるとさらに好ましい。
親水性分子は、複合分離膜の分離機能層および多孔性支持層の少なくとも一方に含まれ、かつ基材にも含まれる。中でも、分離機能層表面および表面近傍、および、基材表面および表面近傍に局在化していると、エレメント作製における分離膜と供給側流路材の間の滑りを抑制できるだけでなく、短時間の運転で親水性分子を除去でき、分離機能層の平均面粗さを短時間で変化させることができるため好ましい。
複合分離膜の単位面積当たりの親水性分子の含有量は、絶乾状態の複合分離膜で測定される値である。絶乾処理は、膜を70℃で2時間処理することである。複合分離膜中の親水性分子の単位面積当たりの重量M1(g/m)は、複合分離膜を絶乾後に測定した重量Aと、重量Aを測定した後の膜を70%エタノール水溶液で洗浄し、さらに絶乾処理した複合分離膜を測定した重量Bに基づいて、その差(A−B)を算出し、得られた値を測定に供した複合分離膜の面積で除することで求めることができる。
また、基材中の親水性分子の割合は、以下のようにして得ることができる。まず、絶乾後の複合分離膜から剥離した基材の重量aを測定する。その後、基材を70%エタノール水溶液で洗浄し、さらに絶乾処理し、その重量bを測定する。こうして得られた重量a,bに基づいて、その差(a−b)を算出し、得られた値を測定に供した分離膜の面積で除することで、単位面積当たりの基材中の親水性分子の重量M2(g/m)を求めることができる。
さらに、分離機能層および多孔性支持層中に含有される親水性分子の重量M3(g/m)を、単位面積当たりの複合分離膜全体に含有される親水性分子の重量M1と、基材中に含有される親水性分子の重量M2との差(M1−M2)として算出することができる。
あらかじめ、複合分離膜に含まれる親水性分子の種類を特定しておき、その親水性分子の水溶液の濃度と屈折率との関係について、検量線を作成しておく。
分離機能層表面および表面近傍の親水性分子の含有量m3、基材表面および表面近傍の親水性分子の含有量m2は、それぞれ以下のようにして得られる。絶乾後の複合分離膜の分離機能層側の表面のみをRO水に1時間接触させることで、分離機能層表面および表面近傍に存在する親水性分子を抽出する。
1時間接触後のRO水の屈折率を測定し、得られた値から、検量線に基づいて、RO水中の親水性分子の濃度を算出する。算出された濃度およびRO水の体積から、抽出された親水性分子の質量が得られるので、親水性分子の質量を複合分離膜のRO水への接触面積で除することで、分離機能層表面および表面近傍の親水性分子量m3(g/m)を求めることができる。同様にして、基材表面および表面近傍の親水性分子量m2(g/m)も求めることができる。
さらに、これらの値を、単位面積当たりの基材中に含有される親水性分子の重量M2および、単位面積当たりの分離機能層および多孔性支持層中に含有される親水性分子の重量M3で除することで、「基材全体での親水性分子の重量」に対する「基材表面および表面近傍の親水性分子の重量」の割合m2/M2×100(重量%)と、「分離機能層および多孔性支持層中での親水性分子の重量」に対する「分離機能層表面および表面近傍の親水性分子の重量」の割合m3/M3×100(重量%)を算出する。これらの割合がいずれも80%以上であるとき、親水性分子が分離機能層表面および表面近傍、および、基材表面および表面近傍に局在化していることを意味する。
複合分離膜における親水性分子の含有量およびその分布が上述したとおりであることで、複合分離膜が乾燥したときも、複合分離膜の透水性や溶質除去性の変動が小さくなる。さらに、親水性分子の溶出速度を高めることができるので、複合分離膜から透過水を得る前に実施する予備洗浄の時間を短縮できる。ここで、乾燥させるとは、複合分離膜の含水率を20%以下にすることを意味する。
複合分離膜の含水率は、(絶乾処理前の複合分離膜の重量−絶乾状態の複合分離膜の重量)/絶乾処理前の複合分離膜重量×100(%)で表される。また、親水性分子とは水に可溶である物質を指し、具体的には水に対して重量比100分の1以上溶解する物質のことである。
親水性高分子として、具体的な化合物は、後述の「2. 複合分離膜の製造方法」欄に挙げたとおりである。
(1−7)透過側流路材
(1−7−1)複合分離膜に突起が固着された透過側流路材
複合分離膜は、その透過側の面、すなわち基材側の面上に固着した突起を、透過側流路材として備えてもよい。このような突起は、図7に示すような、連続的な透過側流路材4に代えて設けられる。このような突起は、透過側流路を形成するように設けられていることが好ましい。「透過側流路を形成するように設けられる」とは、複合分離膜が後述の複合分離膜エレメントに組み込まれたときに、複合分離膜を透過した透過流体が集水管に到達できるように、流路材が形成されていることを意味する。
透過側流路材を設ける工程と、他の工程との実施の順序は特に限定されないが、複合分離膜を親水性分子溶液へ接触させる工程の後に本工程を行うと、複合分離膜に付着した親水性分子が保護層として機能するため、後述するホットメルトや溶融樹脂による流路材形成効率が向上すると共に、エレメント巻囲時の膜擦れによる損傷を軽減できる。そうすると、複合分離膜の脱塩率低下やエレメント回収率の低下を抑制できる。ここで、エレメント回収率とは、複合分離膜エレメントを水中でエアリークテストし、リークが発生したリーフ数をカウントして、エアリークが発生したリーフ数/評価に供したリーフ数を意味する。
透過側流路材の構成の詳細は以下の通りである。なお、透過側流路材も複合分離膜の構成要素の1つであるため、透過側流路材を除いた部分を「複合分離膜本体」と称し、複合分離膜本体と透過側流路材とを含む構成を「複合分離膜」と称することがある。
<透過側流路材の構成成分>
透過側流路材を構成する材料としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体などが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の透過側流路材を形成することができる。
透過側流路材は、複合分離膜がエレメントに組み込まれ、圧力が付与されたときでも、透過側流路を安定に形成できるだけでなく、従来のトリコットよりも流動抵抗が少なく、高効率な流路を形成することができる。
また、透過側流路材は、少なくともエレメントの幅方向に不連続であることが好ましい。長さ方向に関しては不連続でも連続でもよいが、連続の場合は加圧ろ過時の複合分離膜の膜落込みを抑制できるため好ましい。「不連続」とは、複合分離膜の面に対する投影像が不連続である形状を指す。つまり、不連続部材は、複数の部分に分かれており、つまり複数の部材の集合物であり、それぞれの部材は、互いに分離可能である。また、不連続とは、部材の間を流体が流れることができる程度に、隣り合う部材の距離が離れていることである、とも言い換えられる。
個々の透過側流路材の形状としては、例えば、半球状、錐状(円錐状、角錐状を含む)、柱状(円柱状、角柱状等を含む)、又は壁状等が挙げられる。すなわち、透過側流路材の平面形状(複合分離膜本体の面方向に平行な方向の形状)としては、具体的には、円形状(楕円および真円を含む)、線状が挙げられる。また、複合分離膜の厚み方向における透過側流路材の断面形状としては、半球状、矩形状等が挙げられる。1枚の複合分離膜上に設けられた、線状又は壁状の複数の流路材は、互いに交差しないように配置されていればよく、例えば、互いに平行に配置されてもよい。
例として、図2〜図4に示す複合分離膜11〜13はいずれも平坦な複合分離膜本体111を備えるが、透過側流路材の断面形状は異なる。すなわち、図2の透過側流路材21の断面は、上部が丸く、下部が矩形である。図3の透過側流路材22の断面は台形である。図4の透過側流路材23の断面は長方形である。
図5および図6に示す複合分離膜14および15は、透過側流路材としてそれぞれ、円形のドット状の部材24、壁状の部材25を備える。図2〜図4の断面は、図5および図6の形態のいずれに適用されてもよい。
複合分離膜の透過側の面に流路材を配置させる方法は特に限定されないが、ホットメルトによる樹脂の塗布、印刷、噴霧などの方法が好ましく用いられる。
このように、流路材を複合分離膜の透過側の面側、すなわち基材面側に配置することで、耐圧性、流動安定性に優れる膜エレメントを設計することができる。さらに、高温流体を扱う際にも、従来のトリコットなどに比べて、流路材の膜面における移動が少なく、膜の傷つきを防止でき、脱塩率が飛躍的に安定化する。
また、従来のトリコットなどに比べて流路が広く、その結果、透過側の流動抵抗が低くなりエレメントの造水量が向上し、さらには膜中の親水性分子を速やかに除くことができる。
<透過側流路材による効果>
以下の記述は、透過側流路材の形成方法および形状等に関わらず、透過側流路材を有する種々の複合分離膜に適用される。
複合分離膜の透過側の面における高低差(凸部と凹部との高さの差)は、要求される分離特性および水透過性能を満足できるように、変更可能である。高低差は、例えば、ホットメルト法で透過側流路材を配置させる場合では処理温度を変更することで、自由に調整することができる。
しかしながら、複合分離膜透過側の面の高低差が大きすぎると流動抵抗が小さくなるが、エレメント化した場合にベッセルに充填できる複合分離膜リーフ数が少なくなる。高低差が小さいと流路の流動抵抗が大きくなり、分離特性や水透過性能が低下する。そのため、エレメントの造水能力が低下し、造水量を増加させるための運転コストが高くなる。従って、上述した各性能のバランスおよび運転コストを考慮すると、複合分離膜の透過側の面における高低差は、80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。また、透過側の面における高低差は、2000μm以下であることが好ましく、1000μm以下であることがより好ましく、500μm以下であることがさらに好ましい。
複合分離膜における高低差は、市販の形状測定システムを用いて計測できる。例えば、レーザー顕微鏡によって、複合分離膜の断面を観察することで高低差を測定することもできるし、キーエンス製高精度形状測定システムKS−1100によって複合分離膜の表面を観察することで高低差を測定することもできる。測定は高低差が存在する箇所について実施すればよく、各測定箇所の高さの値を総和した値を測定箇所の総数で割ることで得られた平均値を、「高低差」とみなすことができる。高低差は、本書に挙げたいずれかの測定方法において上述の範囲を満たせばよい。具体的な測定方法については実施例で説明する。
高低差の大きさと同様の理由から、分離膜の高低差のピッチは、0.2mm以上であることが好ましく、0.5mm以上であることがより好ましい。また、ピッチは、10mm以下であることが好ましく、3mm以下であることがより好ましい。また、同様の理由によって、ピッチは溝幅の10分の1倍以上であることが好ましく、50倍以下であることが好ましい。ピッチとは、高低差が存在する複合分離膜の片面における凸部での最も高い点から、その凸部の隣に位置する他の凸部での最も高い点までの水平距離のことである。
膜表面上部および/または下部からの観察面積(2次元面積)に対する、複合分離膜の透過側の面に存在する高低差の中心線よりも表面上部および/または下部方向に高い位置を有する凸面積の比率は、要求される分離特性および水透過性能が満たされるように自由に調整できる。この比率が高すぎると流動抵抗が大きくなりすぎて、エレメント化しても造水量が小さくなってしまう。一方、比率が低すぎると流動抵抗は小さくなるが流動の均一化が困難となり、濃度分極が生じてエレメントの性能が低下してしまう。このような観点から、比率は、膜表面上部からの観察面積(2次元面積)に対して、5%以上95%以下であることが好ましく、流動抵抗と流路安定性の点で35%以上85%以下であることが特に好ましい。なお、この比率を凸面積率と定義する。
(1−7−2)突起物が固着されたシート流路材
透過側流路材として、突起物が固着されたシート(以下、「突起物固着シート」ともいう)を採用することもできる。図7に示すように、シート5上に突起物50が固着されたシート流路材9は、透過側流路材として2つの複合分離膜本体111の透過側の面、すなわち基材側の面に配置される。
突起物50をシート5に固着したシート流路材9の場合、シート上に突起物を形成させる時に位置精度不良や加工欠点により、隣り合う突起物同士が結合し、透過水流路(突起物間の溝)が閉塞するような形状になったとしても、シート内部が流路となり、透過水はシートを介して別の溝へ移動することができる。更には、シート上に突起物を固着させているので、突起物を形成させる時に複合分離膜自体の性能低下が生じない。
シートとしては、繊維状基材、多孔性フィルムなどが挙げられるが、強度および水の透過性の点で繊維状基材を用いることが好ましい。
繊維状基材としては、長繊維不織布及び短繊維不織布のいずれも好ましく用いることができ、突起物のシートへの接着性、2枚の複合分離膜本体の透過側の面の間を封止する際のシートへの接着剤の含浸性、シート搬送におけるシート破れの防止の点から、繊維状基材の厚みは20〜150μm、目付は20〜100g/mの範囲であることが好ましい。また、繊維状基材の全体に、エンボス加工などで繊維の溶着部を規則的に作成させておくと、シート全体の強度向上およびシートの剛性斑が少なくなり、搬送時のシワや破れなどを抑制できる。
突起物を構成する材料としては特に限定されないが、樹脂が好ましく用いられる。具体的には、耐薬品性の点で、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンやオレフィン共重合体などが好ましく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂などのポリマーも選択でき、これらを単独もしくは2種類以上からなる混合物として用いることができる。特に、熱可塑性樹脂は成形が容易であるため、均一な形状の突起物を形成することができる。
突起物を配置させる方法は特に限定されないが、ホットメルトによる樹脂の塗布、印刷、噴霧などの方法が好ましく用いられる。
突起物の形状は、連続形状であってもよいし、不連続形状であってもよい。「連続」な突起物とは、突起物を1枚のシートから分離したときに、複数の部分に分かれずに一体の形状を有する部材として分離される突起物である。これに対して、「不連続」とは、突起物をシートから剥離すると、突起物が複数の部分に分かれる状態である。
例えばシート上に連続形状を有する突起物を設けた流路材の場合、流路の高さは連続形状を有する突起物の厚みよりも小さくなる。これに対して、不連続形状を有する突起物を設けた流路材の厚みは全て、流路の高さとして活用されるので、不連続形状の流路材は、連続形状の流路材よりも、流動抵抗を低減することができ、その結果、造水量を増加させることができる。
図8〜図12に、不連続形状の流路材の例を示す。
図8〜図10に示すシート流路材91〜93はいずれも平坦なシート5を備えるが、突起物の断面形状は異なる。すなわち、図8の突起物51の断面は、上部が丸く、下部が矩形である。図9の突起物52の断面は台形である。図10の突起物53の断面は長方形である。
図11および図12に示すシート流路材94および95は、突起物としてそれぞれ、円形のドット状の部材54、壁状の部材55を備える。図7〜図9の断面は、図11および図12の形態のいずれに適用されてもよい。
また、複合分離膜エレメントを用いた加圧運転時における複数の突起物間の膜落ち込みを抑制する観点から、隣接する突起物の間隔は、50〜5000μmであることが好ましく、100〜2000μmであることがより好ましく、この範囲内で適宜設計するとよい。なお突起物の間隔とは、高低差が存在する突起物における高い箇所の最も高いところから近接する高い箇所の最も高い箇所までの水平距離のことである。
シートに固着された突起物の厚みは50〜500μmであることが好ましく、より好ましくは75〜450μm、さらに好ましくは100〜400μmである。突起物の厚みを500μm以下とすることで、1つのベッセルに充填できる複合分離膜数を多くすることができる。また、突起物の厚みを50μm以上とすることで、透過流体の流動抵抗を比較的小さくすることができるので、良好な分離特性および透過性能を両立することができる。
シートに固着された突起物の高低差は、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープ「VHX−1000」(商品名)などを用いて断面サンプルから計測することができる。測定は任意の高低差が存在する箇所について実施し、各厚みの値を総和した値を測定総箇所の数で割って求めることができる。
シート上に固着された突起物は、巻回方向におけるシートの内側端部から外側端部まで連続するように配置される。また、突起物は集水管の長手方向に直交していることが好ましい。
シート上に固着された突起物形態は、突起物がシートの縁まで設けられている形態であってもよいし、縁近傍において突起物が設けられていない領域がある形態であってもよい。つまり、シート上に固着された突起物が透過側の流路を形成できるように配置されていれば、シート上に突起物が設けられない部分があってもよい。縁近傍において突起物を設けられていない領域がある形態では、複合分離膜本体の透過側面を接着剤で固着させる時、接着面は突起物による凹凸がないため、複合分離膜本体同士の接着性が向上する。更には接着面に突起物を設けられていない場合、当該部分の流路材使用量を削減することができる。
また、突起物固着シートは、複合分離膜本体への接着剤塗布部分の内側、すなわち有効膜部分の全体を覆う大きさで使用することにより、突起物が壁となるため、接着剤の過度な広がりを抑制し、有効膜面積を十分に確保する役割も果たすことができる。
(1−7−3)その他の連続的な流路材
透過側流路材として、トリコット等の従来の連続的な流路材も好適である。
2.複合分離膜の製造方法
複合分離膜の製造方法は、複合分離膜に親水性分子を含有させる工程として、複合分離膜に親水性分子を接触させる工程を備えてもよい。
なお、本書では、完成した膜も、仕掛品(製造途中の膜であるが、分離機能は有してもよい。例えば、凹凸を形成させる膜において未形成である膜、および親水性分子を含有しない膜を含む。)についても、説明の便宜上「複合分離膜」と称する。
複合分離膜に親水性分子を接触させる工程は、たとえば、親水性分子を水、又は水とアルコールやケトン類との混合液に溶解し、その溶液に複合分離膜の機能層側および/または基材側に接触させることを含んでもよい。
親水性分子を接触させる工程(以下、接触処理と呼ぶ)に用いる親水性分子としては、保湿剤が特に好ましい。保湿剤とは複合分離膜からの水分蒸発を抑制することができる物質である。
接触処理に用いる親水性分子としては、本発明の効果を損なわないものであれば特に限定されないが、例えば糖鎖化合物およびアルコール類などが挙げられる。
糖鎖化合物としてはグルコース、マンニトール、ソルビトール、デキストリン、トレハロース、ガラクトース、キシリトール、乳糖、ヒアルロナン、コンドロイチン硫酸などが挙げられる。複合分離膜の乾燥による性能低下が特に小さいという点から、糖鎖化合物は、単糖類、二糖類、及び三糖類から選ばれる少なくとも1種の糖類であることが好ましく、それらの中でもグルコース、スクロース、マルトース、ラクトース、トレハロース、ラフィノースから選ばれる少なくとも1種の糖類であることがさらに好ましい。
また、アルコール類としては、メタノール;エタノール;2−プロパノールなどの単価アルコール、エチレングリコール;1,3−ブチレングリコール、ジエチレングリコール;ポリエチレングリコール;ポリプロピレングリコール;ポリブチレングリコールなどのグリコール類や、グリセリン;ポリグリセリン;ポリビニルアルコール;ジグリセリン誘導体;グリセリン脂肪酸エステル;ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられ、中でも複合分離膜の乾燥による性能低下が特に小さいという点からポリビニルアルコール、グリコール類、グリセリン、ポリグリセリンから選ばれる少なくとも1種の多価アルコールが好ましい。なお、グリセリン脂肪酸エステルやポリグリセリン脂肪酸エステルは水に可溶であれば特に限定されないが、例として、ステアリン酸、オレイン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。
親水性分子として、他にも可溶性コラーゲン、エラスチン、ケラチンなどのタンパク質加水分解物や、ポリグルタミン酸、ピロリドンカルボン酸ナトリウムなどのカルボン酸およびその塩類、アロエエキス、黒砂糖エキス、海藻エキス、酵母エキス、コメヌカエキス、ダイズエキス、エイジツエキス、クララエキス、クチナシエキス、オタネニンジンエキス、カワラヨモギエキス、ローズマリーエキス、ビフィズス菌発酵エキス、ヒトオリゴペプチド等保湿作用を有する各種動植物エキスを使用しても良い。
また、親水性分子として、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリエピアミノヒドリン、アミン変性ポリエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸アミド、セルロース誘導体などを用いることもできる。
上述した親水性分子は単独または組み合わせて使用してもよい。
接触処理において、複合分離膜を親水性分子の溶液に接触させるにあたって、接触処理時間は特に限定されないが、常温付近においては1秒以上5分以下が好ましく、10秒以上3分以下が特に好ましい。接触処理時間が短いと接触処理液の成分が膜中に到達せず、乾燥後の複合分離膜の膜性能が低下してしまうことがある。逆に、接触処理時間が長くなると処理効率が低下することがある。
また、接触処理において、複合分離膜を親水性分子の溶液に接触させる方法としては、例えば、複合分離膜の溶液への浸漬(浴比1:50〜1:1000)、複合分離膜への溶液の塗布(浴比1:1〜1:7)等が挙げられる。具体的には、塗布方法として、スピンコーター、ワイヤーバー、フローコーター、ダイコーター、ロールコーター、スプレーなどの装置を用いる方法が挙げられる。ここで、浴比とは、複合分離膜に対する親水性分子溶液の接触量を質量比で表したものである。つまり、浴比は、複合分離膜1gあたりの親水性分子溶液量(g)である。
溶液中の親水性分子の濃度は、得ようとする効果と膜と溶媒と溶質の組み合わせによって変動するが、0.1重量%〜50重量%の範囲が好ましい。より適切な濃度範囲は、事前にテストを行うことによって容易に決定できる。例えばグリセリンやポリグリセリン、トレハロースの場合であれば、溶液中の濃度は0.5重量%〜25重量%以下が好ましく、1重量%〜15重量%が特に好ましい。また、アルコール類、界面活性剤、及び酸化防止剤等を親水性分子の溶液に共存させることも可能である。この場合、目的とする性能範囲を逸脱しない範囲であれば、アルコール類や界面活性剤、酸化防止剤等は特に限定されない。
接触処理温度は膜を劣化させない範囲であれば特に限定されないが、例えば、0℃未満での処理では膜中に含まれる水分の凍結により膜が破損する恐れが高く、また、あまりに高温であると膜が劣化して複合分離膜としての機能は果たせなくなる。高温側の制限は、処理対象とされる複合分離膜素材によって異なり、複合分離膜がポリエチレンテレフタレート製基材、ポリスルホン製の多孔性支持層および架橋ポリアミドからなる分離機能層で構成される場合であれば、接触処理温度は5℃以上95℃以下が好ましく、15℃以上40℃以下がより好ましい。
接触処理に先立ち、複合分離膜を十分に洗浄することが好ましい。複合分離膜の洗浄が不十分であると、複合分離膜の形成工程における未反応物および添加剤等が親水性分子の溶液中に不純物として存在することになり、これらの不純物は浸漬処理の効率が低下する原因となる。洗浄方法は特に限定されないが、純水、酸水溶液、アルカリ水溶液、還元剤水溶液、酸化剤水溶液、アルコール水溶液等に浸漬または加圧通水することが例として挙げられる。最も好適な例は、水または炭素数1〜4のアルコールまたはその水溶液と接触させることである。洗浄温度は特に限定されないが、膜性能に悪影響を与えない範囲で高い温度としたほうが、高効率に洗浄できる。
また、複合分離膜の基材側の面に透過側流路材を付与する場合、接触処理の工程は透過側流路材を付与する工程の前に実施することが好ましい。接触処理工程後に透過側流路材を付与する工程を実施することで、保湿剤が保護層として機能するため、加工による分離膜の劣化を抑制できる。
また、接触処理後、複合分離膜を乾燥させる工程を行ってもよい。接触処理後の乾燥方法については、従来公知のあらゆる方法を使用することができる。好適な乾燥方法の例としては、常温または加熱された気体の流通下におく、乾燥された気体の流通下におく、赤外線を照射する、マイクロ波を照射する、加熱ローラーと接触させる等の方法があり、また複数の乾燥方法を同時並行的に、あるいは時系列的に併用することも可能である。また、乾燥に先だって、接触処理溶液を自然流下、遠心脱液等の方法によって概略除去することは、乾燥工程の負荷を下げるために有効な方法である。
複合分離膜を乾燥する時期および乾燥時の膜の形状は、最終的な膜分離素子の形状に近い形状、すなわち複合分離膜表面に分離機能層を形成させて十分に洗浄した後に実施できる。
乾燥を行う複合分離膜の範囲は特に限定されないが、乾燥処理によって複合膜性能の向上を狙う場合には、当然ながら膜全体を乾燥することが好ましい。
乾燥する際の温度および時間は、その膜の耐熱性を考慮して決める必要がある。例えば、分離膜がポリエチレンテレフタレート製基材、ポリスルホン製の多孔性支持層および架橋ポリアミドからなる分離機能層で構成される場合であれば、乾燥温度は20℃以上180℃以下であってもよく、乾燥温度が80℃を超えても優れた透水性と溶質除去性を示すことができる。ただし、乾燥温度が180℃を超えると、分離膜に水を保持し難くなる。なお、本発明の目的を損なわない範囲であれば乾燥時間を適宜調整できる。
本発明の複合分離膜は、乾燥による透水性能低下を抑制できる。乾燥によって透水性能が実質的に低下しているか否かについては、透水量と阻止性能を評価して判断する。すなわち、複合分離膜が乾燥することで疎水化や細孔が小さくなり透水量が低下することがないか、また、複合分離膜が乾燥することでクラックが発生して透水量は大きくなるが阻止性能が低下することがないかを評価する。
3.複合分離膜エレメント
複合分離膜エレメントは、上述した複合分離膜のいずれかを備えることができる。複合分離膜エレメントの構成の一例について、図13を参照しながら説明する。
図13に示すように、複合分離膜エレメント100は、複合分離膜2、供給側流路材3、透過側流路材4、集水管6、第1端板7および第2端板8を備える。
複合分離膜2としては、上述した複合分離膜のいずれも適用可能である。複合分離膜2は、貼り合わされることで封筒状膜20を形成している。封筒状膜20は、集水管6の周囲にスパイラル状に巻き付けられることで、巻囲体28を形成している。巻囲体28の外周には、巻囲体28の保護のため、フィルムおよびフィラメント等の他部材が巻き付けられていてもよい。
供給側流路材3は、複合分離膜2の供給側面に対向するように配置され、かつ複合分離膜2と共に集水管6の周囲に巻き付けられる。供給側流路材3としては、具体的には、ネットが好ましく用いられる。
透過側流路材4は、複合分離膜2の透過側面に対向するように配置され、かつ複合分離膜2と共に集水管6の周囲に巻き付けられる。透過側流路材4としては、具体的には、トリコット、または突起物固着シートなどを用いることができる。
なお、複合分離膜の基材側の面に突起(透過側流路材)が直接固着している場合は、透過側流路材4は、省略可能である。
集水管6は、中空の筒状部材であり、側面に複数の孔を有する。
第1端板7は、複数の供給口を備える円盤状の部材である。第1端板7は、巻囲体28の第1端に配置される。
第2端板8は、濃縮流体の排出口と透過流体の排出口とを備える。第2端板8は、巻囲体28の第2端に配置される。
複合分離膜エレメント100による流体の分離について説明する。原流体101は、第1端板7の供給口から巻囲体28に供給される。原流体101は、複合分離膜2の供給側面において、供給側流路材3で形成された供給側流路内を移動する。複合分離膜2を透過した流体(図中に透過流体102として示す)は、透過側流路材4によって形成された透過側流路内を移動する。集水管6に到達した透過流体102は、集水管6の孔を通って集水管6の内部に入る。集水管6内を流れた透過流体102は、第2端板8から外部へと排出される。一方、分離膜2を透過しなかった流体(図中に濃縮流体103として示す)は、供給側流路を移動して、第2端板8から外部へと排出される。こうして、原流体101が透過流体102と濃縮流体103とに分離される。
次に、複合分離膜エレメントの製造方法について説明する。
スパイラル型分離膜エレメントは分離膜、および、必要に応じて供給側流路材および/または透過側流路材の積層体の単数または複数が、有孔の中空状集水管の周りに巻きつけられたものである。本発明の複合分離膜エレメントの製造方法は限定されないが、ポリアミド分離機能層を多孔性支持層、基材に積層し、複合分離膜を得た後に成形、透過側流路材を配置してエレメントを製造する代表的な方法について述べる。
良溶媒に樹脂を溶解し、得られた樹脂溶液を基材にキャストして純水中に浸漬して多孔性支持層と基材を複合させる。その後、上述したように、多孔性支持層上に分離機能層を形成する。さらに、必要に応じて分離性能、透過性能を高めるべく、塩素、酸、アルカリ、亜硝酸などの化学処理を施し、さらにモノマー等を洗浄し複合分離膜の連続シートを作製する。
前述のシートを親水性分子に接触させることで、親水性分子を含有する複合分離膜が作製される。親水性分子の付与後に、流路材配置により、複合分離膜に透過側流路材が形成される。
従来のエレメント製作装置を用いて、例えば、リーフ数2枚、リーフ有効面積0.45mの2インチエレメントを作製する。エレメント作製方法としては、参考文献(特公昭44−14216、特公平4−11928、特開平11−226366)に記載される方法を用いることができる。詳細には以下の通りである。
集水管の周囲に複合分離膜を巻囲するときは、複合分離膜を、リーフの閉じられた端部、つまり封筒状膜の閉口部分が集水管を向くように配置する。このような配置で集水管の周囲に複合分離膜を巻きつけることで、複合分離膜をスパイラル状に巻囲する。
集水管にトリコットや基材のようなスペーサーを巻囲しておくと、エレメント巻囲時に集水管へ塗布した接着剤が流動し難く、リークの抑制につながり、さらには集水管周辺の流路が安定に確保される。なお、スペーサーは集水管の円周より長く巻囲しておけばよい。
複合分離膜エレメントの製造方法は、上述のように形成された複合分離膜の巻囲体の外側に、フィルムおよび/またはフィラメント等をさらに巻きつけることを含んでいてもよい。さらに、複合半透膜エレメントの製造方法は、集水管の長手方向における分離膜の端を切りそろえるエッジカット、端板の取り付け等のさらなる工程を含んでいてもよい。
複合分離膜が低含水率である場合、リーフ同士を接着させる接着剤の吸湿がほとんどなく、接着剤の吸湿による発泡を抑制できる。接着剤が発泡すると接着剤の単位体積あたりの空隙率が高くなり強度が低下する。そうすると、エレメントを加圧運転した際に発泡部からのリークが生じてしまい分離膜エレメントとしての機能を果たさなくなるので、分離膜エレメントの回収率が低下してしまう。
4.複合分離膜エレメントの利用
このように製造される複合分離膜エレメントは、さらに、直列または並列に接続して圧力容器に収納されることで、複合分離膜モジュールとして使用されてもよい。
また、上記の複合分離膜エレメント、モジュールは、それらに流体を供給するポンプ、およびその流体を前処理する装置などと組み合わせて、流体分離装置を構成することができる。この分離装置を用いることにより、例えば供給水を飲料水などの透過水と膜を透過しなかった濃縮水とに分離して、目的にあった水を得ることができる。
複合分離膜エレメントによって処理される流体は特に限定されないが、水処理に使用する場合、供給水としては、海水、かん水、廃水等の500mg/L〜100g/LのTDS(Total Dissolved Solids:総溶解固形分)を含有する液状混合物が挙げられる。一般に、TDSは総溶解固形分量を指し、「質量÷体積」あるいは「重量比」で表される。定義によれば、0.45ミクロンのフィルターで濾過した溶液を39.5〜40.5℃の温度で蒸発させ残留物の重さから算出できるが、より簡便には実用塩分(S)から換算する。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(実施例1)
(a)複合分離膜の作製
ポリエチレンテレフタレート繊維からなる不織布(繊度:1デシテックス、厚み:約90μm、通気度:1cc/cm/sec、密度0.80g/cm)上にポリスルホンの17.0質量%のDMF溶液を180μmの厚みで室温(25℃)にてキャストし、ただちに純水中に浸漬して5分間放置し、80℃の温水で1分間浸漬することによって繊維補強ポリスルホン支持膜からなる、多孔性支持層(厚さ130μm)ロールを作製した。
その後、多孔性支持膜のポリスルホンからなる層の表面をm−PDAの2.2質量%水溶液中に2分間浸漬してから、垂直方向にゆっくりと引き上げた。さらに、エアーノズルから窒素を吹き付けることで、支持膜表面から余分な水溶液を取り除いた。
その後、トリメシン酸クロリド0.08質量%を含むn−デカン溶液を、膜の表面が完全に濡れるように塗布してから、1分間静置した。その後、膜から余分な溶液をエアブローで除去し、80℃の熱水で1分間洗浄して、複合分離膜ロールを得た。
(b)親水化処理
保湿剤であるグリセリン水溶液で85%に加湿した25℃の恒温装置内にて、複合分離膜を10分間静置することにより親水化処理を行った。
(c)乾燥処理
60℃で2分間の乾燥処理を行った。
(d)エレメントの作製
このようにして得られた複合分離膜を、エレメントでの有効面積が0.45mになるように折り畳み断裁加工し、ネット(厚み:700μm、ピッチ:3mm×3mm、繊維径:0.35mm、投影面積比:0.18)を供給側流路材として挟み込み、次いで透過側流路材であるトリコット(厚み:260μm、溝幅:200μm、畦幅:300μm、溝深さ:105μm)を積層して、254mmの幅を有する2枚のリーフ状物を作製した。
こうして得られたリーフ状物を集水管にスパイラル状に巻き付け、巻囲体を得た。巻囲体の外周にフィルムを巻き付け、テープで固定した後に、エッジカットおよび端板取りつけを行うことで、2インチエレメントを作製した。
(e)複合分離膜Aの分離機能層表面の静的接触角測定
得られた複合分離膜を、温度25℃、湿度50%下で48時間静置して複合分離膜Aとした後、自動接触角計(KYOWA製DropMaster DM−500)を用いて分離機能層表面にRO水を滴下し、θ/2法により、RO水滴下5秒後における静的接触角を求めた。この操作を任意の10点について行い、その平均値を接触角の値とした。
(f)膜透過流束の測定
500mg/L食塩水を用いて、運転圧力0.5MPa、運転温度25℃、pH7、流量3.5L/分で1時間運転し、供給水(評価原水)の膜透過水量を、膜面1平方メートルあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)でもって膜透過流束(m/m/日)を表した。
(g)エレメント造水量の測定
得られた複合分離膜エレメントを圧力容器に入れて、500mg/L食塩水を用いて運転圧力0.5MPa、運転温度25℃、pH7でエレメントを一定時間運転(回収率15%)した。複合分離膜エレメントあたり、1日あたりの透水量(立方メートル)を造水量(m/日)として表した。
(h)脱塩率の測定
(f)および(g)の試験において、供給水および透過水の電気伝導度を東亜電波工業株式会社製電気伝導度計で測定し、それぞれの食塩濃度を求め、脱塩率を以下の式:
脱塩率(%)=100×(1−透過水中の食塩濃度/供給水中の食塩濃度)
に基づいて算出した。
(i)分離機能層の凸部の変形量
複合分離膜Aを温度25℃のRO水に15分間浸漬し、複合分離膜Bとした。濡れた状態の複合半透膜Bを1cm四方に切り、これをBruker AXS社製Dimension FastScanを用いて膜表面の観察を行った。得られた画像のうち凸部のフォースカーブを10点抜きだし、変形量を解析した。この操作を3視野分行い、計30点の変形量を算出し、その平均値を凸部の変形量の値とした。具体的な測定条件は以下のとおりである。
・走査モード:水中ナノメカニカルマッピング
・探針:シリコンカンチレバー(Bruker AXS社製ScanAsyst−Fluid)
・最大荷重:3nN
・走査範囲:2μm×2μm
・走査速度:0.5Hz
・ピクセル数:256×256
・測定条件:純水中
(j)分離機能層の平均面粗さ
複合分離膜A、または一定時間運転したエレメントより取り出した複合分離膜(複合分離膜CまたはD)を取り出し、前述(i)の試験条件にて膜表面を観察した。得られた画像範囲について、(1−1−3)に記載の方法にて平均面粗さを算出した。この操作を3視野分行い、その平均値を分離機能層の平均面粗さの値x1、x2およびx3とした。
(k)複合分離膜、基材、分離機能層および多孔性支持層中の親水性分子の含有量
上記親水化処理および乾燥処理の後、さらに70℃で2時間、膜を乾燥させることで、絶乾を行った。得られた複合分離膜を幅100mm×長さ200mmでカットし、その重量Aを測定した。次いで、和光純薬工業社製エタノールを純水で70%に希釈した水溶液で、カットした膜を5分間洗浄した。洗浄後の膜をさらに、上述の条件と同じ条件で絶乾処理し。得られた膜の重量Bを測定した。AからBを減じた値を膜の面積で除することで、複合分離膜中の親水性分子の重量M1(g/m)を算出した。
続いて、絶乾後の複合分離膜から剥離して得た基材の重量aを測定した。さらに重量測定後の基材を70%エタノール水溶液で洗浄し絶乾処理し、重量bを測定した。こうして得られた重量aからbを減じた値を、膜の面積で除することで、複合分離膜の単位面積当たりの基材中の親水性分子の重量M2(g/m)を求めた。
得られたM1、M2より、分離機能層および多孔性支持層中に含有される親水性分子の重量M3を、M1−M2(g/m)として求めた。
(l)分離機能層表面近傍、および基材表面近傍の親水性分子量
絶乾後の複合分離膜を、ADVANTEC社製撹拌型ウルトラホルダーのベースプレート上に分離機能層を上に向けた状態でセットした後、ホルダー内に30mLのRO水を注いで1時間静置し、分離機能層表面近傍に存在する親水性分子を抽出した。1時間接触後、サンプル水を取り出し、SHIMADZU社製示差屈折計RID−6Aを用いてサンプル中の屈折率を測定し、得られた値と検量線から親水性分子の抽出量を計算し、接触膜面積で除することで、分離機能層表面および表面近傍の親水性分子量m3(g/m)を求めた。
また、基材を上に向けた状態でセットする以外は同様の操作を行うことで、基材表面近傍の親水性分子量m2(g/m)も求めた。
さらに、これらの値を、(k)にて求めたM2およびM3で除することで、「基材全体での親水性分子の重量」に対する「基材表面近傍の親水性分子の重量」の割合m2/M2×100(重量%)と、「分離機能層および多孔性支持層中での親水性分子の重量」に対する「分離機能層表面近傍の親水性分子の重量」の割合m3/M3×100(重量%)を算出した。
(実施例2)
保湿剤としてポリグリセリン(40量体)(ダイセル化学社製、商品名:PGL X)水溶液を用いた以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜および、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例3)
保湿剤としてトレハロース水溶液を用いた以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例4)
親水化処理として、複合分離膜を25℃の7%グリセリン水溶液に30秒間浸漬させたこと以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例5)
実施例1と同じ方法で複合分離膜ロールを作製した後に、35℃、pH3の亜硝酸ナトリウム4,000ppm水溶液への浸漬処理を行ったこと以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例6)
多官能アミン水溶液としてm−PDAの1.8質量%とε−カプロラクタムの3.1重量%を含む水溶液を使用し、多官能酸ハロゲン化物溶液としてトリメシン酸クロリド0.08質量%とパルミチン酸0.13重量%を含むn−デカン溶液を使用して複合分離膜ロールを作製した以外は、全て実施例5と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例7,8)
複合分離膜の搬送速度を変化させ、親水化処理時間を変更させた以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(実施例9)
グリセリン水溶液の接触方法として、複合分離膜の分離機能層側および基材側表面にそれぞれ塗布し、30秒間静置することとした以外は、全て実施例4と同じ方法で2インチエレメントを作製し、実施例と同じ条件で運転した。
(比較例1)
親水化処理も乾燥処理も行わなかったこと以外は、全て実施例1と同様の方法により複合分離膜を作製した。得られた複合分離膜について、実施例1と同じ方法で2インチエレメントを作製し、実施例1と同じ条件で運転した。
(比較例2)
グリセリン水溶液の接触方法として、複合分離膜の基材側のみに塗布することとした以外は、全て実施例4と同じ方法で2インチエレメントを作製し、実施例と同じ条件で運転した。
(比較例3)
グリセリン水溶液の接触方法として、複合分離膜の分離機能層側のみに塗布することとした以外は、全て実施例4と同じ方法で2インチエレメントを作製し、実施例と同じ条件で運転した。
(比較例4)
乾燥処理を120℃で30分間としたこと以外は、全て実施例1と同様の方法により2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
(比較例5)
多官能アミン水溶液としてm−PDAの0.8質量%を含む水溶液を使用し、多官能酸ハロゲン化物溶液としてトリメシン酸クロリド0.06質量%を含むn−デカン溶液を使用して複合分離膜ロールを作製した以外は、全て比較例1と同様の方法により複合分離膜、2インチエレメントを作製し、同じ条件で運転した。
表1、2の結果から明らかなように、実施例1〜9の複合分離膜エレメントは、1時間の運転において高い造水量および高い除去率を有しており、エレメント製造において複合分離膜と供給側流路材の間の滑りによる傷の発生を抑制できていることがわかった。また、実施例3および6のように、複合分離膜の平均粗さx3/x2が0.95以上1以下であることで、エレメントの長時間の運転においても、高い造水量および高い除去率を維持していることがわかる。
本願発明の複合分離膜エレメントは、特に、かん水用途および浄水器用途に好適に用いることができる。
1 分離機能層
2,11〜16 複合分離膜
100 複合分離膜エレメント
101 原流体
102 透過流体
103 濃縮流体
111 複合分離膜本体
20 封筒状膜
21〜25 透過側流路材
26 巻囲体
3 供給側流路材
4 透過側流路材
5 シート
50〜55 突起
6 集水管
7 第1端板
8 第2端板
9,91〜95 突起物固着シート
H1、H2、H3、H4、H5 分離機能層のひだ構造における凸部の高さ
D1、D2、D3、D4、D5 分離機能層のひだ構造における凹部の深さ

Claims (5)

  1. 基材と、前記基材の一方の面に積層される多孔性支持層と、前記多孔性支持層上に積層される分離機能層と、を備えた複合分離膜であって、
    前記分離機能層は、凸部と凹部とを備えるひだ構造を有し、かつ以下の(a)〜(c)の要件を満たす、複合分離膜。
    (a)温度25℃、湿度50%下で48時間静置した前記複合分離膜(複合分離膜A)の前記分離機能層表面における静的接触角が30度以下である。
    (b)前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転したときの透水量が0.25m/m/日以上である。
    (c)前記複合分離膜Aを、温度25℃のRO水に15分間浸漬した前記複合分離膜(複合分離膜B)の前記分離機能層を原子間力顕微鏡により表面観察をしたとき、凸部を3nNの力で押し込んだ際の変形量が1.0nm以上である。
  2. 前記複合分離膜Aの前記分離機能層の平均面粗さx1と、前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で1時間運転した前記複合分離膜(複合分離膜C)の前記分離機能層の平均面粗さx2との比x2/x1が0.45以上0.90以下である、
    請求項1に記載の複合分離膜。
  3. 前記前記平均面粗さx2と、前記複合分離膜Aを0.5MPa、25℃で24時間運転した前記複合分離膜(複合分離膜D)の前記分離機能層の平均面粗さx3との比x3/x2が0.95以上1以下である、
    請求項1または2に記載の複合分離膜。
  4. 前記複合分離膜Aの透水量が1.7m/m/日以上である、
    請求項1〜3のいずれかに記載の複合分離膜。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の複合分離膜を備えた複合分離膜エレメント。
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