JP2017211829A - パラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラム - Google Patents

パラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】モータ及び負荷を有する機械系を精度よく模したモデルを得ることができるパラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】パラメータ同定装置12は、モータに対するトルクτと、モータの角度θ及び角速度ωの実測データと、負荷の角度θ及び角速度ωの実測データと、を取得するデータ取得部120と、取得された各種実測データに基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部121と、生成された複数の位相面図に基づいて、モータの摩擦、負荷の摩擦、連結部材の剛性、及び、連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータ(τfM0、τfL0、BL、KR0)を同定するパラメータ同定部と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、パラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラムに関する。
負荷を駆動させるモータの制御系(モータ制御システム)の設計において制御性能を向上させるためにはフィードバック制御では限界があり、指令信号に対する応答特性が高いフィードフォワード制御を行う必要がある。また、フィードフォワード制御を実現するためには、制御システム側が、制御対象(即ち、モータ及び負荷を有する機械系)を模したモデルの逆モデルを持つ必要があるが、このフィードフォワード制御用のモデルと実際の制御対象の特性との間に誤差があると、制御性能の向上は図れない。
したがって、制御性能の高いフィードフォワード制御を実現するためには、制御対象を正確に模したモデルを得る必要がある。ここで、当該モデルをなすモデルパラメータである制御対象全体の慣性モーメントJ、粘性係数D及びクーロン摩擦係数τは、制御対象全体を一慣性系モデルとして模した場合に、所定のエラーシステムによって算出される誤差信号とその内部信号とに基づいて同定することが可能である。
また、特許文献1では、モデルパラメータの推定手段として、変位−変形量の位相面図(ロストモーション補正モデル)から、剛性と飽和時の摩擦の大きさを推定し、ロストモーション補正量を算出する方法が開示されている。
また、特許文献2では、取り付け時の測定、力測定器測定による力と変位の関係の測定結果から、各モデルパラメータを求め、ロストモーション補正のタイミングに使用する方法が開示されている。
特開平8−152910号公報 特開2002−023852号公報
実際の制御対象(モータ及び負荷を有する機械系)は、モータから負荷への動力の伝達系に、剛性が弱くガタ(不感帯)がある部分(連結部材)を有している場合がある。このような制御対象は、上記剛性が弱くガタを有している部分を境界として、モータ側と負荷側とに分けてなる2慣性系モデルを採用することでより正確なモデルを構築することができる。
ここで、正確な2慣性系モデルを構築するためには、モータ側と負荷側とに別個独立して存在する摩擦、及び、上記境界における剛性及びガタを精度良く同定する必要がある。
しかしながら、上述した例では、モータ側の摩擦、負荷側の摩擦の各々を独立して同定することはできず、また、伝達系における剛性、ガタの特性も考慮されていない。したがって、制御対象を正確に模したモデルを得ることができず、そのため、制御性能の高い制御システムを実現することができなかった。
本発明の目的は、上記課題に鑑みてなされたものであって、モータ及び負荷を有する機械系を精度よく模したモデルを得ることができるパラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラムを提供することにある。
本発明の一態様によれば、パラメータ同定装置は、モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部と、取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部と、生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、を備える。
また、本発明の一態様によれば、前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すトルク−ねじれ速度位相面図を生成し、前記パラメータ同定部は、前記トルク−ねじれ位相面図における折れ点の位置に基づいて前記モータの摩擦を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図を生成し、前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−ねじれ速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と、前記モータの角速度及び前記負荷の角速度のうちの少なくとも何れか一つとの関係を示すトルク−機械角速度位相面図を生成し、前記パラメータ同定部は、前記トルク−機械角速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記負荷の角度と前記トルク指令値との関係を示す負荷角度−トルク位相面図を生成し、前記パラメータ同定部は、前記負荷角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成し、前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅のうちの少なくとも何れか一つを示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記トルク指令値、前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうちモータ側のモデルの、前記モータに対する誤差の度合いを示すモータ側誤差信号を出力するモータ側エラーシステムと、前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうち負荷側のモデルの、前記負荷に対する誤差の度合いを示す負荷側誤差信号を出力する負荷側エラーシステムと、を更に備え、前記パラメータ同定部は、前記モータ側誤差信号を入力して、少なくとも前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定し、かつ、前記負荷側誤差信号を入力して、少なくとも前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、前記パラメータ同定部は、前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に小振幅かつ低周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定し、前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に大振幅かつ高周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ、及び、前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する。
また、本発明の一態様によれば、パラメータ同定装置は、モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、を取得するデータ取得部と、取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成する位相面図生成部と、生成された前記ねじれ角度−トルク位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、を備える。
また、本発明の一態様によれば、モータ制御システムは、上述に記載のパラメータ同定装置と、前記負荷の目標とする角度に対する現在の角度の偏差に基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードバック制御部と、前記パラメータ同定装置によって同定された前記モデルパラメータに基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードフォワード制御部と、を備える。
また、本発明の一態様によれば、パラメータ同定方法は、モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定方法であって、前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するステップと、取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成するステップと、生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するステップと、を有する。
また、本発明の一態様によれば、プログラムは、モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置のコンピュータを、前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部、取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部、生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部、として機能させる。
上述のパラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラムによれば、モータ及び負荷を有する機械系を精度よく模したモデルを得ることができる。
第1の実施形態に係るモータ制御システムが制御対象とする機械系の概要を示す図である。 第1の実施形態に係る機械系のブロック線図を示す図である。 第1の実施形態に係る機械系のモータ側及び負荷側の摩擦特性を説明する図である。 第1の実施形態に係る機械系の連結部材における不感帯の特性を説明する図である。 第1の実施形態に係るモータ制御システムの機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。 第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理を説明する図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第1の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第2の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第3の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第4の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第5の図である。 第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第6の図である。 第2の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。 第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第1の図である。 第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第2の図である。 第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第3の図である。 第2の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態に係るモータ制御システムについて、図1〜図14を参照しながら詳細に説明する。
図1は、第1の実施形態に係るモータ制御システムが制御対象とする機械系の概要を示す図である。
図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、モータ20と、負荷21と、モータ20及び負荷21を機械的に連結する軸22(連結部材)と、を有してなる機械系2の動作を制御するシステムである。ここで、本実施形態において、モータ20は、内部に回転角度、回転速度を検出可能な回転検出器(エンコーダ)を有し、精密な位置決めを実現可能なサーボモータである。また、本実施形態において、軸22は、例えば、ボールねじ、ギア等の剛性要素、ガタ要素を有する部材である。
図1に示すように、モータ制御システム1は、図示しない上位機器(ホストコントローラ)から負荷21の目標回転角度(以下、「目標角度θ」と記載。)を示す角度指令値を受け付ける。そして、モータ制御システム1は、受け付けた目標角度θに応じてモータ20に発生すべきトルクτを算出し、当該トルクτを示すトルク指令値を出力する。モータ20は、受け付けたトルク指令値に基づいてトルクτで回転駆動し、そのトルクτがモータ20側から負荷21側へと軸22を通じて伝達する。その結果、伝達されたトルクτ’に応じて負荷21が回転駆動する。このようにして、モータ制御システム1により、負荷21の回転角度θが所望の目標角度θに一致するような制御が実現される。
本実施形態に係るモータ制御システム1は、いわゆるクローズドシステムであって、モータ20の回転速度(角速度)と、負荷21の回転角度と、を示す実測データを入力し、これらの実測データに基づいてフィードバック制御を行う。
なお、以下の説明において、モータ20の回転速度(角速度)を「モータ角速度ω」とも記載し、モータ20の回転角度を「モータ角度θ」とも記載する。また、負荷21の回転速度(角速度)を「負荷角速度ω」とも記載し、負荷21の回転角度を「負荷角度θ」とも記載する。
また、モータ制御システム1は、更に、機械系2を2慣性系と見なして模した2慣性系モデル(後述)を予め有しており、当該2慣性系モデルに基づくフィードフォワード制御を行う。
なお、機械系2における負荷21が、回転系ではなく直動系の負荷(テーブル負荷等)の場合、負荷21に対する制御対象パラメータは、厳密には“角度”、“角速度”ではなく、“位置”、“速度”となる。しかし、この場合、モータ制御システム1は、2慣性系として、モータ20の“角度”、“角速度”と同じ次元で取り扱うために、負荷の“位置”、“速度”を、モータ軸換算値としての“角度”、“角速度”に逐次変換して各種制御を行う。
機械系2を2慣性系と見なした場合において、機械系2固有の特性を表すパラメータ群は、モータ20側の特性を示すパラメータ、負荷21側の特性を示すパラメータ、及び、モータ20と負荷21とを機械的に連結して動力を伝達する軸22(連結部材)の特性を示すパラメータに大別される。具体的には、モータ20側の特性を示すパラメータとして、モータ側慣性モーメントJ、モータ側粘性係数D、モータ側摩擦係数τfMがある。また、負荷21側の特性を示すパラメータとして、負荷側慣性モーメントJ、負荷側粘性係数D、負荷側摩擦係数τfLがある。更に、軸22の特性を示すパラメータとして、ねじれ剛性係数KR、ねじれ粘性係数D、不感帯幅BLがある。
(2慣性系モデルの概要)
図2は、第1の実施形態に係る機械系のブロック線図を示す図である。
本実施形態に係る機械系2(図1参照)をモータ20、負荷21及び軸22からなる2慣性系と見なすことで、当該機械系2における入力と出力の関係を、図2に示すような伝達関数を用いたブロック線図で表すことができる。
図2に示すように、モータ20は、モータ制御システム1(図1)から受け付けたトルク指令値に基づいて発生させたトルクτを入力とし、モータ角速度ω及びモータ角度θを出力とする。モータ20に入力されたトルクτは、モータ20に生じる摩擦であるモータ側摩擦係数τfM、及び、軸22を通じて負荷21に伝達するトルクτ’が差し引かれた後、伝達要素1/(Js+D)を通じてモータ角速度ωに変換され、更に伝達要素1/sを通じてモータ角度θに変換される。
ここで、モータ側摩擦係数τfMは、モータ20の速度反転時(モータ角速度ωの符号反転時)に符号のみが反転するクーロン摩擦成分だけでなく、モータ20の速度反転後の変位(モータ角速度ωのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。モータ側摩擦係数τfMは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、モータ角速度ωを入力変数とするモータ側摩擦関数Gを通じて得られる。モータ側摩擦関数Gの詳細については後述する。
同様に、負荷21は、モータ20から軸22を通じて伝達されたトルクτ’(=(K+Ds)(θ−θ−BKLS))を入力とし、負荷角速度ω及び負荷角度θを出力とする。負荷21に入力されたトルクτ’は、負荷21に生じる摩擦である負荷側摩擦係数τfLが差し引かれた後、伝達要素1/(Js+D)を通じて負荷角速度ωに変換され、更に伝達要素1/sを通じて負荷角度θに変換される。
ここで、負荷側摩擦係数τfLも同様に、負荷21の速度反転後の変位(負荷角速度ωのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。負荷側摩擦係数τfLは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、負荷角速度ωを入力変数とする負荷側摩擦関数Gを通じて得られる。負荷側摩擦関数Gの詳細については後述する。
なお、機械系2をなすモータ20及び負荷21には、それぞれ、図示しない回転検出器(エンコーダ)が設置されている。モータ制御システム1は、当該回転検出器を通じて、モータ角度θ、負荷角度θの経時的変化を示す実測データ、及び、これらの時間微分より導出可能なモータ角速度ω、負荷角速度ωの経時的変化を示す実測データを取得する。
また、図2に示すように、軸22は、モータ角度θと負荷角度θとの偏差(以下、「ねじれ角度(θ−θ)」とも記載する。)を入力とし、ねじれ角度(θ−θ)に応じたトルクτ’を出力とする伝達系である。入力されたねじれ角度(θ−θ)は、不感帯(ガタ)における非線形性を表す不感帯特性関数F1と、伝達要素K及び伝達要素Dsと、を通じて、モータ20及び負荷21に印加されるトルクτ’に変換される。
ここで、不感帯特性関数F1とは、軸22のねじれ角度(θ−θ)を入力変数とし、当該ねじれ角度(θ−θ)からガタ変位BKLSを差し引いたものを出力する非線形関数である。不感帯特性関数F1の詳細については後述する。
また、ねじれ剛性係数Kとは、軸22のねじれ方向についての剛性の度合いを示すパラメータであって、軸22のばね定数に相当する。即ち、ねじれ剛性係数K負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22のねじれ角度(θ−θ)に比例する成分を与える。
また、ねじれ粘性係数Dとは、軸22のねばりの度合いを示すパラメータであって、負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22におけるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの偏差(以下、「ねじれ速度(ω−ω)」とも記載する。)に比例する成分を与える。
図2に示す機械系2において、モータ側慣性モーメントJ、モータ側粘性係数D、モータ側摩擦係数τfM、負荷側慣性モーメントJ、負荷側粘性係数D、負荷側摩擦係数τfL、ねじれ剛性係数K、ねじれ粘性係数D及び不感帯幅BLは、機械系2の現実の特性を表すパラメータ群であり、いずれも個別には観測が困難な未知のパラメータである。
一方、機械系2についての入力であるトルクτ、及び、出力であるモータ角速度ω、モータ角度θ、負荷角速度ω及び負荷角度θは、上述の回転検出器を通じて観測可能なパラメータである。
図3は、第1の実施形態に係る機械系のモータ側及び負荷側の摩擦特性を説明する図である。
図3(a)は、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの各々に生じる非線形摩擦特性を示すグラフである。
良く知られているクーロン摩擦は、物体の速度(モータ角速度ω、負荷角速度ω)の方向(正、負の符号)に依存してその方向(正、負の符号)のみが変化し、その量は、速度(ω)、変位(θ)に対しては変動しないものとして知られている。しかしながら、軸22において、例えば、ボールねじ、ボールベアリング等の転がり要素が含まれる場合には、通常のクーロン摩擦とは特性が異なる“転がり摩擦”を考慮する必要がある。
ここで、転がり摩擦は、速度反転直後の転がり要素が転動しない“微動領域”においては、速度反転後の変位(モータ角速度ω、負荷角速度ωのゼロからの積分値)によって見かけのばね定数が動的に変化する非線形ばね特性を有しており、図3(a)に示すようなヒステリシスカーブを描く。これは、転がり要素と軌道面の接触部における弾性変形やすべりによるものと考えられている。
また、転がり要素が有効に転動する“粗動領域”においては、クーロン摩擦により摩擦の速度に対する静的特性を示す。即ち、図3(a)に示すように、モータ20の摩擦(モータ側摩擦係数τfM)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、モータ側クーロン摩擦係数τfMcで飽和する。また、負荷21の摩擦(負荷側摩擦係数τfL)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、負荷側クーロン摩擦係数τfLcで飽和する。
本実施形態においては、モータ側摩擦特性関数G及び負荷側摩擦特性関数Gは、図3(a)に示す非線形摩擦特性を折れ線近似してなるGMSモデルに基づいて規定される。ここで、GMSモデルとは、N個の特性の異なるブロック(転がり要素)とばねとが並列に接続されている状態を模したものである。図3(b)に示すグラフ(折れ線)を構成する複数の直線の各々が、N個のブロックのうちのいくつまでが転がりきっている(有効に転動している)状態か、を表現している。
図3(b)に示すように、モータ側摩擦特性関数Gは、変位0〜θ、θ〜θ、θ〜θ、θ〜θの各々において採用すべき折れ線を規定する傾きK、K、K、K、及び、オフセット(変位0における切片)τfM1(=−τfMc)、τfM2、τfM3、τfM4、τfM5(=τfMc)によって規定される。
なお、図示を省略するが、負荷側摩擦特性関数Gも、図3(b)に示すモータ側摩擦特性関数Gと同様に規定される。
図4は、第1の実施形態に係る機械系の連結部材における不感帯の特性を説明する図である。
図4(a)に示す不感帯特性関数F1は、モータ20と負荷21との間に設けられた軸22の“遊び”(不感帯)の幅を示す不感帯幅BLに基づく伝達特性を表している。
不感帯特性関数F1は、不感帯幅BLに依存する非線形特性であって、軸22のねじれ角度(θ−θ)を入力変数とする。図4(a)に示すように、軸22のねじれ角度(θ−θ)の絶対値が不感帯幅BL以下の場合(−BL≦θ−θ≦+BL)、ガタ出力はゼロとなる。即ち、この場合、モータ20から負荷21へトルクが伝達されない。他方、軸22のねじれ角度(θ−θ)の絶対値が不感帯幅BLよりも大きい場合(θ−θ<−BL,θ−θ>+BL)、ガタ出力は、ねじれ角度(θ−θ)から不感帯幅BLだけ小さい値(θ−θ+BL(θ−θ<−BL)、又は、θ−θ−BL(θ−θ>+BL))となる。
また、図4(b)に示すガタ変位関数F1’は、ガタ変位BKLSとねじれ角度(θ−θ)との関係をしている。
ガタ変位BKLSは、不感帯幅BL(−BL〜+BL)の幅を有する不感帯における変位量を示すパラメータであって、ねじれ角度(θ−θ)に対し、図4(b)に示すような特性を有している。即ち、図4(a)に示すガタ出力は、ガタ変位BKLSを用いて“θ−θ―BKLS”と表すことができる。
図4(b)に示すように、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)よりも小さい範囲では、ガタ変位BKLSは最小値(−BL)をとり、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最大値(+BL)よりも大きい範囲では、ガタ変位BKLSは最大値(+BL)をとる。また、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)以上かつ最大値(+BL)以下の範囲においては、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θ−θ)と同一の値を有する特性となる。
(機能構成)
図5は、第1の実施形態に係るモータ制御システムの機能構成を示す図である。
図5に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、フィードバック制御部10と、フィードフォワード制御部11と、パラメータ同定装置12と、を備えている。
フィードバック制御部10は、回転検出器を通じて観測されるモータ角速度ωと、角度指令値により指定される負荷21の目標角度θ及び観測される現在の負荷角度θの偏差(θ−θ)と、に基づいて、モータ20の制御を行う。
具体的には、フィードバック制御部10は、目標角度θと負荷角度θとの偏差(θ−θ)をゼロとするためのトルクを算出し、その算出結果を示すトルク指令値を出力する。その際、フィードバック制御部10は、回転検出器を通じて観測されたモータ角速度ωを参照して、適切かつ迅速なフィードバック制御がなされるようなトルクを算出する。
フィードフォワード制御部11は、機械系2を模した2慣性系モデルMODを内部に有している。この2慣性系モデルMODは、複数のモデルパラメータ群からなり、図2に示す機械系2の逆モデルとなるように構成されている。
具体的には、複数のモデルパラメータ群とは、モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側慣性モーメントJL0、モデル負荷側粘性係数DL0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL、及び、モデルねじれ剛性係数KR0である。
2慣性系モデルMODは、機械系2を模して構築された逆モデルであり、当該2慣性系モデルMODをなす上記モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)は、機械系2の実際の特性を表す未知のパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)の各々に対応している。
ここで、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)と、機械系2の実際の特性を示すパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)との間に誤差が全くないと仮定すると、2慣性系モデルMODは、現実の機械系2の逆モデルに完全に一致するものとなる。そうすると、フィードフォワード制御部11が目標角度θ及び2慣性系モデルMODに基づいて算出したトルクを機械系2に出力して駆動した結果、機械系2を通じて実際に得られる負荷角度θは、完全に目標角度θに一致するはずである(θ=θ)。このように、フィードフォワード制御部11は、予め機械系2を模して規定された2慣性系モデルMODに基づいて、機械系2固有の特性を織り込みながらトルクを算出することで、フィードバック制御よりも応答性が高いフィードフォワード制御において、より高精度な制御を実現することができる。
なお、図5に示すように、モータ制御システム1は、フィードバック制御部10により算出されたトルクと、フィードフォワード制御部11により算出されたトルクと、を加算して得られるトルクτ(トルク指令値)を機械系2(モータ20(図1、図2))に向けて出力する。
以上のように、本実施形態に係るモータ制御システム1は、モータ20、負荷21及び軸22を具備する機械系2を模した2慣性系モデルMODをなす複数のモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)に基づいて、モータ20に発生させるべきトルクτを算出する。
フィードフォワード制御部11において、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)は、予め、機械系2の特性を表すパラメータとして想定される値で規定されている。しかしながら、実際には、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL、KR0)と、機械系2固有のパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL、K)との間には、それぞれ誤差が存在している。このような誤差があると、精度の高いフィードフォワード制御を実現することができない。
そこで、本実施形態に係るモータ制御システム1は、上述の複数のモデルパラメータ群のうち、特に、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を別個独立に、精度良く同定可能なパラメータ同定装置12を備えている。
図5に示すように、パラメータ同定装置12は、機械系2におけるモータ角度θ、モータ角速度ω、負荷角度θ及び負荷角速度ωの経時的変化を示す実測データを取得する。パラメータ同定装置12は、上記4個の実測データに基づいて、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
以下、パラメータ同定装置12の機能について詳細に説明する。
図6は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。
図6に示すように、パラメータ同定装置12は、データ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備えている。
データ取得部120は、モータ20に対するトルク指令値(トルクτ)と、モータ20の角度(モータ角度θ)及び角速度(モータ角速度ω)の経時的変化を示す実測データと、負荷21の角度(負荷角度θ)及び角速度(負荷角速度ω)の経時的変化を示す実測データと、を取得する。
位相面図生成部121は、データ取得部120によって取得されたトルク指令値(トルクτ)と、モータ20の角度及び角速度の実測データと、負荷21の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する。
ここで、図6に示すように、位相面図生成部121は、連結部材(軸22)のねじれ角度(θ−θ)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「ねじれ角度−トルク位相面図P1」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)とモータ20の角速度(モータ角速度ω)及び負荷21の角速度(負荷角速度ω)との関係を示す「トルク−機械角速度位相面図P2」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θ−θ)とモータ20の角速度(モータ角速度ω)及び負荷21の角速度(負荷角速度ω)との関係を示す「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)と軸22のねじれ速度(モータ角速度ωと負荷角速度ωとの差。以下、“ω−ω”と記載する。)との関係を示す「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θ−θ)と軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示す「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
また、位相面図生成部121は、負荷21の角度(負荷角度θ)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
パラメータ同定部122は、位相面図生成部121によって生成された複数の位相面図に基づいて、モータ20の摩擦(モータ側摩擦係数τfM)、負荷21の摩擦(負荷側摩擦係数τfL)、軸22の剛性(ねじれ剛性係数K)、及び、軸22の不感帯幅BLを示すモデルパラメータ(τfM0、τfL0、KR0、BL0)を同定する。
(パラメータ同定装置の処理フロー)
図7は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。
また、図8は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理を説明する図である。
また、図9〜図14は、第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第1から第6の図である。
図7に示す処理フローは、例えば、機械系2の実運転の開始前等において、パラメータ同定装置12(図6)が機械系2についてのパラメータ同定を行う際に実行される。
まず、モータ制御システム1のオペレータは、上位機器を操作して所定の角度指令値を出力させることで、負荷21の角度(負荷角度θ)を小振幅かつ低周波数で反復動作させる(ステップS01)。
次に、パラメータ同定装置12のデータ取得部120は、小振幅かつ低周波数で反復動作中の機械系2から、モータ角速度ω、モータ角度θ、負荷角速度ω及び負荷角度θの経時的変化を示す実測データを取得する(ステップS02)。
次に、パラメータ同定装置12の位相面図生成部121は、ステップS02で取得された実測データから複数の位相面図を生成する(ステップS03)。
ここで、位相面図生成部121は、図8に示すように、負荷角度θの方向反転前後に取得されたねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、トルクτの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。ここで、「ねじれ角度(θ−θ)の実測データ」は、モータ角度θの実測データから負荷角度θの実測データを差し引くことで得られる。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図9に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、トルクτを縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−トルク位相面図P1」を生成する。
なお、位相面図生成部121は、負荷角度θの正方向から負方向への反転前後に取得される実測データと、負方向から正方向への反転前後に取得される実測データと、の各々について上記実測値の紐付けを行う。このようにして生成されたねじれ角度−トルク位相面図P1には、主に、機械系2の非線形摩擦特性(図3(a)参照)と不感帯特性関数F1に起因するヒステリシス曲線が表れる。
同様に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるトルクτの実測データ、及び、モータ角速度ω、負荷角速度ωの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図10に示すような、トルクτを横軸にとり、モータ角速度ω及び負荷角速度ωを縦軸にとる位相面図である「トルク−機械角速度位相面図P2」を生成する。
同様に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、モータ角速度ω、負荷角速度ωの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図11に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、モータ角速度ω及び負荷角速度ωを縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるトルクτの実測データ、及び、ねじれ速度(ω−ω)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。ここで、「ねじれ速度(ω−ω)の実測データ」は、モータ角速度ωの実測データから負荷角速度ωの実測データを差し引いて得られる。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図12に示すような、トルクτを横軸にとり、ねじれ速度(ω−ω)を縦軸にとる位相面図である「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後におけるねじれ角度(θ−θ)の実測データ、及び、ねじれ速度(ω−ω)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図13に示すような、ねじれ角度(θ−θ)を横軸にとり、ねじれ速度(ω−ω)を縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θの方向反転前後における負荷角度θの実測データ、及び、トルクτの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図14に示すような、負荷角度θを横軸にとり、トルクτを縦軸にとる位相面図である「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
次に、パラメータ同定部122は、ステップS03で生成された各種位相面図に基づいて、2慣性系モデルMODをなす各種モデルパラメータのうち、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定する(ステップS04)。具体的には、パラメータ同定部122は、各種位相面図における折れ点の位置等に基づいて上記モデルパラメータを同定する。
ここで、図2に示すブロック線図に基づいて、モータ20についての運動方程式である式(1)、及び、負荷21についての運動方程式である式(2)を得ることができる。
Figure 2017211829
Figure 2017211829
式(1)、(2)において、“τfM[ωM]”は、モータ側摩擦特性関数G(図3(b))に基づいてモータ角速度ωの変数として規定されるモータ側摩擦係数τfMを示している。また、“τfL[ωL]”は、負荷側摩擦特性関数Gに基づいて負荷角速度ωの変数として規定される負荷側摩擦係数τfLを示している。
また、“BKLS[θM−θL]”は、ガタ変位関数F1’(図4(b))に基づいてねじれ角度(θ−θ)の変数として規定されるガタ変位BKLSを示している。
なお、現実の機械系2において、軸22のねじれ粘性係数Dの影響は小さいため、式(1)、式(2)においては、ねじれ粘性係数Dを無視している。
また、上記運動方程式(式(1)、式(2))において、機械系2の反復動作を小振幅かつ低周波数にすると、モータ20の慣性トルクJθ、負荷21の慣性トルクJθ、モータ20の粘性トルクDsθ、及び、負荷21の粘性トルクDsθの影響も小さくなる。そこで、上記運動方程式におけるこれらの項を削除することで、以下に示す式(3)、式(4)が導出される。
Figure 2017211829
Figure 2017211829
式(3)より、機械系2の反復動作が小振幅かつ低周波数の条件下において、トルク指令値に従ってモータ20が出力するトルクτは、モータ側摩擦係数τfMと負荷側摩擦係数τfLとの合計値となることが示される。
また、式(4)より、機械系2の反復動作が小振幅かつ低周波数の条件下において、負荷側摩擦係数τfLをねじれ剛性係数Kで除した値とガタ変位BKLSとの和がねじれ角度(θ−θ)となることが示される。即ち、軸22におけるねじれ角度(θ−θ)からガタ変位BKLSを差し引いた角度(変位)に、軸22のばね定数(ねじれ剛性係数K)を乗じた値が、負荷側摩擦係数τfLに一致する。
以下、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図9に示すねじれ角度−トルク位相面図P1における各折れ点T11〜T14について説明する。
ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T11〜折れ点T12は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じてモータ20が正方向への回転駆動を開始するまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T11において最小値(負方向に飽和状態)となっていたトルクτが正方向に向けて徐々に増加していく過程において、当該トルクτがモータ20に生じる摩擦の飽和値(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)を上回った時点でモータ20が正方向に回転駆動し始める。他方、折れ点T12の時点では、不感帯(−BL〜+BL)の存在により負荷21の摩擦の影響は生じない。したがって、折れ点T12に至った時点におけるトルクτは、式(3)より、モータ20に生じる摩擦の飽和値(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)に一致する。
また、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T12〜折れ点T13は、軸22のねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最小値(−BL)から最大値(+BL)に至るまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T12から折れ点T13にかけては、ガタ変位BKLSのみが変化し、負荷21には動力が伝達されない。したがって、モータ20のみが駆動するため、トルクτがモータ側クーロン摩擦係数τfMc一定を維持しながら、ねじれ角度(θ−θ)が変化する。したがって、折れ点T13に至った時点におけるねじれ角度(θ−θ)は、式(4)より、不感帯の最大値(+BL)に一致する。
また、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T13〜折れ点T14は、ガタ変位BKLSが正方向に飽和して、不感帯幅BLを上回るねじれ角度(θ−θ)を通じて、負荷21に印加されるトルクτ’が徐々に増加し、これに応じて負荷21が正方向への回転駆動を開始するまでの軌跡を示している。即ち、折れ点T13においてモータ20のみを回転駆動させていたトルクτが正方向に向けて更に増加していく過程において、当該トルクτが、モータ20に生じる摩擦の飽和値と負荷21に生じる摩擦の飽和値(負荷側クーロン摩擦係数τfLc)との合計値と釣り合った時点で負荷21が正方向に回転駆動し始める。したがって、折れ点T14に至った時点におけるトルクτは、式(3)より、モータ側クーロン摩擦係数τfMcと負荷側クーロン摩擦係数τfLcとの合計値に一致する。
また、折れ点T14に至った時点におけるねじれ角度(θ−θ)は、式(4)より、“τfLc/K+BL”に一致する。
以上の特性に基づき、パラメータ同定部122は、各折れ点T11〜T14の位置に基づいて各種モデルパラメータを同定する。
具体的には、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T12(又は折れ点T13)の縦軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。また、パラメータ同定部122は、折れ点T14における縦軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T13(又は折れ点T12)の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BLを同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T14における横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
次に、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図10に示すトルク−機械角速度位相面図P2における各折れ点T21〜T24について説明する。
トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21〜折れ点T22は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、トルクτが最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T22〜折れ点T23は、モータ20及び負荷21の角速度がゼロの状態から徐々に正方向にトルクτが上昇して行く中で、不感帯(−BL〜+BL)の存在により、モータ角速度ωのみが上昇する軌跡を示している。
また、折れ点T23〜折れ点T24は、トルクτが、モータ20のみの駆動に要するトルク(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωと負荷角速度ωとが等しく上昇する軌跡を示している。
ここで、折れ点T22の横軸の値は、モータ角速度ω、負荷角速度ωがゼロであることに基づき、式(3)より“−τfMc−τfLc”と求めることができる。
また、折れ点T23の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(モータ20のみが回転駆動している時点)におけるトルクである。したがって、式(3)より、折れ点T23の横軸の値は、モータ側クーロン摩擦係数τfMcに一致する。
パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T22の横軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。
ここで、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14では、トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)が完全には飽和せず、モータ側粘性係数D及び負荷側粘性係数Dに基づく誤差成分が生じることが分かっている。そうすると、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14の位置に基づいてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定しようとすると、当該誤差成分に起因して精度が低下することが考えられる。
他方、トルク−機械角速度位相面図P2の折れ点T22では、モータ角速度ω、負荷角速度ωがゼロとなっている。したがって、折れ点T22では、モータ角速度ω、負荷角速度ωに比例する成分を与えるモータ側粘性係数D及び負荷側粘性係数Dの影響を受けていない。そのため、折れ点T22の横軸の値から、より精度の高いモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
また、パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T23の横軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。
次に、式(3)、(4)の関係を考慮しながら、図11に示すねじれ角度−機械角速度位相面図P3における各折れ点T31〜T34について説明する。
ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31〜折れ点T32は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、ねじれ角度(θ−θ)が最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T32〜折れ点T33は、不感帯(−BL〜+BL)の存在により負荷角速度ωがゼロのままモータ角速度ωのみが上昇することで、ねじれ角度(θ−θ)が徐々に増大していく軌跡を示している。
また、折れ点T33〜折れ点T34は、ねじれ角度(θ−θ)が不感帯の最大値(+BL)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωと負荷角速度ωとが等しく上昇する軌跡を示している。
ここで、折れ点T32の横軸の値は、負荷角速度ωがゼロであること、及び、ガタ変位BKLSが“−BL”(θ−θ<−BL)であることに基づき、式(4)より“−τfLc/K−BL”と求めることができる。
また、折れ点T33の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(負荷角速度ωがゼロの時点)におけるねじれ角度(θ−θ)である。したがって、折れ点T33の横軸の値は、式(4)より、不感帯の最大値(+BL)に一致する。
パラメータ同定部122は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T32の横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BLを同定する。
次に、図12に示すトルク−ねじれ速度位相面図P4から導出される各折れ点T41〜T43について説明する。
図12に示すトルク−ねじれ速度位相面図P4は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)に示されるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの差を示す位相面図である。したがって、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T41の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21の位置に対応する。また、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T23の位置に対応する。更に、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T43の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T24の位置に対応する。
パラメータ同定部122は、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42の横軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。
ここで、図12に示す通り、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)における折れ点T23よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定することができる。
次に、図13に示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5から導出される各折れ点T51〜T53について説明する。
図13に示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)に示されるモータ角速度ωと負荷角速度ωとの差を示す位相面図である。したがって、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T51の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T32の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T53の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の位置に対応する。更に、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T54の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T34の位置に対応する。
パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T53の横軸の値を参照して、モデル不感帯幅BLを同定する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
ここで、図13に示す通り、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52及び折れ点T53は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)における折れ点T32、T33よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定することができる。
次に、図14に示す負荷角度−トルク位相面図P6から導出される折れ点T61及び折れ点T63について説明する。
折れ点T61及び折れ点T63の時点においては、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの両方が飽和状態である。したがって、式(3)より、折れ点T61の縦軸の値は、“−τfMc−τfLc”、折れ点T63の縦軸の値は、“τfMc+τfLc”と求めることができる。
パラメータ同定部122は、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点T63の縦軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。
ここで、図14に示す通り、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点T63は、ねじれ角度−トルク位相面図P1(図9)における折れ点T14よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
本実施形態に係るパラメータ同定部122は、例えば、トルク−ねじれ速度位相面図P4の折れ点T42から同定されたモデルモータ側摩擦係数τfM0、トルク−機械角速度位相面図P2の折れ点T22から同定されたモデル負荷側摩擦係数τfL0を採用する。また、パラメータ同定部122は、例えば、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5の折れ点T52及び折れ点T53の各々から同定されたモデル不感帯幅BL及びモデルねじれ剛性係数KR0を採用する。
これにより、いずれのモデルパラメータについても高い精度で同定することができる。
なお、パラメータ同定部122は、同定されたモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0をモータ側摩擦特性関数Gに代入する(図3(b)参照)。そして、パラメータ同定部122は、モデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0に対し予め定められた係数を乗じることで、モータ側摩擦特性関数Gを構成する各種定数(傾きK、K、K、K、オフセットτfM1、τfM2、τfM3、τfM4、τfM5)を同定する。これにより、パラメータ同定部122は、モデルモータ側摩擦係数τfM0を同定する。
同様に、パラメータ同定部122は、同定されたモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を付加側摩擦特性関数Gに代入する。そして、パラメータ同定部122は、モデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0に対し予め定められた係数を乗じることで、負荷側摩擦特性関数Gを構成する各種定数(傾き、オフセット)を同定する。これにより、パラメータ同定部122は、モデル負荷側摩擦係数τfL0を同定する。
なお、本実施形態に係るパラメータ同定部122は、生成された各種位相面図に対し、PSO(Particle Swarm Optimization)等を施し、各位正面図に示されたヒステリシス曲線との誤差面積が最小となるような折れ線近似演算を行うことで、各折れ点を検出する。
(作用、効果)
以上、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、上述のデータ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備える態様とする。
このようにすることで、複数の位相面図に表された複数の折れ点等から、機械系2のモータ側摩擦係数τfM、負荷側摩擦係数τfL、不感帯幅BL及びねじれ剛性係数Kを別個独立に評価して、上記各種パラメータに対応するモデルパラメータを精度良く同定することができる。
したがって、モータ20及び負荷21を有する機械系2を精度よく模した2慣性系モデルMODを得ることができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、トルクτと軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示すトルク−ねじれ速度位相面図P4を生成する。そして、パラメータ同定部122は、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点の位置に基づいてモータ20の摩擦を示すモデルパラメータ(モデルモータ側摩擦係数τfM0)を同定する。
このようにすることで、モデルモータ側摩擦係数τfM0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、軸22のねじれ角度(θ−θ)と軸22のねじれ速度(ω−ω)との関係を示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5を生成する。そして、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点の位置に基づいて軸22の剛性、及び、不感帯幅を示すモデルパラメータ(モデルねじれ剛性係数KR0、モデル不感帯幅BL)を同定する。
このようにすることで、モデルねじれ剛性係数KR0、モデル不感帯幅BLを一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、トルクτとモータ20の角速度又は負荷21の角速度との関係を示すトルク−機械角速度位相面図P2を生成する。そして、パラメータ同定部122は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点の位置に基づいて負荷21の摩擦を示すモデルパラメータ(モデル負荷側摩擦係数τfL0)を同定する。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、負荷21の角度(負荷角度θ)とトルクτとの関係を示す負荷角度−トルク位相面図P6を生成する。そして、パラメータ同定部122は、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点の位置に基づいて負荷21の摩擦を示すモデルパラメータ(モデル負荷側摩擦係数τfL0)を同定する。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
また、第1の実施形態に係る位相面図生成部121は、位相面図として、軸22のねじれ角度(θ−θ)とトルクτとの関係を示すねじれ角度−トルク位相面図P1を生成する。そして、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点の位置に基づいて、モータ20の摩擦、負荷21の摩擦、軸22の剛性、及び、軸22の不感帯幅のうちの少なくとも何れか一つを示すモデルパラメータを同定する。
このようにすることで、一つの位相面図から、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデルねじれ剛性係数KR0及びモデル不感帯幅BLを同定することができる。
以上、第1の実施形態に係るモータ制御システム1及びパラメータ同定装置12について詳細に説明したが、モータ制御システム1、パラメータ同定装置12の具体的な態様は、上述のものに限定されることはなく、要旨を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を加えることは可能である。
例えば、他の実施形態に係るパラメータ同定部122は、複数の位相面図(P1〜P6)から同定可能なモデルパラメータのうち、同種のものについて複数の値が同定された場合、その平均値をモデルパラメータとしてもよい。例えば、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1から同定されたモデル不感帯幅BLと、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5から同定されたモデル不感帯幅BLと、の平均値を2慣性系モデルMODに採用するモデル不感帯幅BLとしてもよい。
また、他の実施形態に係る位相面図生成部121は、一つの位相面図(ねじれ角度−トルク位相面図P1)のみを生成する態様であってもよい。この場合、パラメータ同定部122は、生成されたねじれ角度−トルク位相面図P1からモデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデルねじれ剛性係数KR0及びモデル不感帯幅BLの全てを同定する。
このようにすることで、各モデルパラメータの同定処理を簡素化することができる。
また、他の実施形態に係る位相面図生成部121は、機械系2の反復動作ごとに実測データの取得を複数回繰り返し、これを平均化したものに基づいて各位相面図を生成してもよい。
このようにすることで、実測データのばらつき誤差が低減されるため、モデルパラメータの同定精度を更に高めることができる。
また、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、モータ制御システム1におけるフィードフォワード機能に対してだけではなく、モータ制御システム1の異常診断や機械調整にも利用することができる。
また、第1の実施形態において、パラメータ同定装置12は、上位機器から入力されるトルク指令値を「トルクτ」として、上述の各種処理を行うものとして説明したが、他の実施形態においてはこの態様に限定されない。
例えば、他の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、“トルク指令値”ではなく、モータ20に流れる検出電流値から求まる“実測トルク”を「トルクτ」として用いて、上述の各種処理を行う態様であってもよい。
また、重力等の定常外乱がある場合には、トルクτやねじれ角度(θ−θ)に一定のオフセットがかかる。そこで、他の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、更に、トルクτ、ねじれ角度(θ−θ)の平均を求めてオフセット分を除去する機能、折れ点を正負で平均をとる機能を有していてもよい。
<第2の実施形態>
次に、第2の実施形態に係るモータ制御システムについて、図15〜図19を参照しながら詳細に説明する。
(機能構成)
図15は、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。
図15に示すように、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、更に、モータ側エラーシステム123及び負荷側エラーシステム124を備えている。
モータ側エラーシステム123は、フィードバック制御部10及びフィードフォワード制御部11により算出されたトルクτ、モータ角度θ、及び、負荷角度θに基づいて、2慣性系モデルMODのうちモータ側のモデルの、モータ20に対する誤差の度合いを示すモータ側誤差信号eを出力する。
また、負荷側エラーシステム124は、モータ角度θ及び負荷角度θに基づいて、2慣性系モデルMODのうち負荷側のモデルの、負荷21に対する誤差の度合いを示す負荷側誤差信号eを出力する。
また、本実施形態に係るパラメータ同定部122は、モータ側誤差信号eを入力して、2慣性系モデルMODのうちモータ側のモデルをなすモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL)を同定する。更に、パラメータ同定部122は、負荷側誤差信号eを入力して、2慣性系モデルMODのうち負荷側のモデルをなすモデルパラメータ(JL0、DL0、τfL0、BL)を同定する。
図16は、第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第1の図である。
モータ側エラーシステム123は、トルクτ、モータ角度θ及び負荷角度θを入力し、図16に示すブロック線図に従って、モータ側誤差信号eを算出する。
ここで、モータ側のモデルをなすモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL)の各々が、モータ20の実際の特性を示す未知のパラメータ群(J、D、τfM、BL)の各々に対して誤差があった場合、当該モデルパラメータ群に基づいて算出されたトルクτで回転移動したモータ20の位置(モータ角度θ)は、想定されていたモータ20の位置(目標モータ角度)からずれているはずである。そこで、想定していた目標モータ角度に到達するためにモータ20に本来印加すべきであったトルクと、モータ20に実際に印加されたトルクτと、の誤差の度合いをモータ側誤差信号eで表すと、図2に示すブロック線図のうちモータ20に係る部分の入出力の関係から、式(5)に示す等式が成立する。
Figure 2017211829
本実施形態に係るモータ側エラーシステム123は、式(5)に基づいてモータ側誤差信号eを算出する。ここで、図16に示すブロック線図のうち、モータ側エラーシステム123に該当する部分は、式(5)の変形式に相当するブロック線図である。モータ側エラーシステム123は、図16に示すブロック線図、及び、予め与えられているモデルパラメータ(JM0、DM0、τfM0、BL)にしたがって、入力されたトルクτ、モータ角度θ及び負荷角度θに基づいてモータ側誤差信号eを算出する。
ここで、sign(sθ)(図16に示す符号関数S1)は、sθが正(sθ>0)のときに“+1”の値を取り、sθが負(sθ<0)のときに“−1”の値を取る非線形関数である。
また、BKLS(θ−θ)(図16に示す不感帯特性関数F1)は、2慣性系モデルMODのうちモータ側から負荷側へと動力が伝達する系(軸22を模したモデル)の特性をモデル不感帯幅BLで表した非線形関数である。具体的には、モータ20と負荷21との間に設けられた軸22に“遊び”が存在する場合、モータ角度θと負荷角度θとの偏差が当該“遊び”の範囲内にある限り、モータ20から発生したトルクは、負荷21には伝達しない。モデル不感帯幅BLは、この“遊び”の幅(不感帯幅BL)をモデルとして規定した値であり、不感帯特性関数F1は、偏差(θ−θ)の絶対値がモデル不感帯幅BL以下の場合にゼロを取り、偏差(θ−θ)の絶対値がモデル不感帯幅BLを上回った場合に“θ−θ−BL”(θ−θ>0)又は“θ−θ+BL”(θ−θ<0)の値を取る非線形関数である。
負荷側エラーシステム124は、モータ角度θ及び負荷角度θを入力し、図16に示すブロック線図に従って、負荷側誤差信号eを算出する。
ここで、負荷側のモデルをなすモデルパラメータ群(JL0、DL0、τfL0、BL)の各々が、負荷21の実際の特性を示すパラメータ群(J、D、τfL、BL)の各々に対して誤差があった場合、当該モデルパラメータ群に基づいて算出されたトルクτで回転移動した負荷角度(負荷角度θ)は、想定されていた負荷角度(目標角度θ)からずれる。そこで、想定していた負荷角度θに到達するために、(軸22を通じて)本来負荷21に印加されるべきであったトルクと、負荷21に実際に印加されたトルクτ’と、の誤差を負荷側誤差信号eで表すと、図2に示すブロック線図のうち負荷21に係る部分の入出力の関係から、式(6)に示す等式が成立する。
Figure 2017211829
本実施形態に係る負荷側エラーシステム124は、式(6)に基づいてモータ側誤差信号eを算出する。ここで、図16に示すブロック線図のうち、負荷側エラーシステム124に該当する部分は、式(6)の変形式に相当するブロック線図である。負荷側エラーシステム124は、図16に示すブロック線図、及び、予め与えられているモデルパラメータ(JL0、DL0、τfL0、BL)にしたがって、入力されたモータ角度θ及び負荷角度θに基づいて負荷側誤差信号eを算出する。
ここで、sign(sθ)(図16に示す符号関数S2)は、sθが正(sθ>0)のときに“+1”の値を取り、sθが負(sθ<0)のときに“−1”の値を取る非線形関数である。
図17は、第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第2の図である。
ここで、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL)の各々と、機械系2の実際の特性を示すパラメータ群(J、D、τfM、J、D、τfL、BL)の各々との間の誤差の度合いを、それぞれ、モータ側慣性モーメント誤差成分δJ、モータ側粘性係数誤差成分δD、モータ側摩擦係数誤差成分δτfM、負荷側慣性モーメント誤差成分δJ、負荷側粘性係数誤差成分δD、負荷側摩擦係数誤差成分δτfL及び不感帯幅誤差成分δBLで表し、式(7)のように規定する。
Figure 2017211829
そうすると、図16に示すブロック線図に基づいて算出されたモータ側誤差信号e及び負荷側誤差信号eは、図17に示すブロック線図に基づいて、上記誤差成分パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δJ、δD、δτfL、δBL)で表すことができる。
具体的には、モータ側誤差信号eは、2慣性系モデルMODのうちモータ側のモデルをなす複数のモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL)の各々に対応する誤差成分であるモータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)に基づいて、式(8)のように表すことができる。
Figure 2017211829
同様に、負荷側誤差信号eは、2慣性系モデルMODのうち負荷側のモデルをなす複数のモデルパラメータ群(JL0、DL0、τfL0、BL)の各々に対応する誤差成分である負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)に基づいて、式(9)のように表すことができる。
Figure 2017211829
ここで、不感帯幅誤差成分δBLは、不感帯幅BLを示すモデルパラメータ(モデル不感帯幅BL)に対応する誤差成分、即ち、2慣性系モデルMODとして規定されたモデル不感帯幅BLと機械系2における実際の不感帯幅BLとの誤差である。
また、∂BKLS(θ−θ)/∂BL(図17に示す不感帯特性変化関数F2)は、不感帯幅誤差成分δBLが、上述した不感帯特性関数F1の特性に与える変化の度合いを表す非線形関数である。不感帯特性変化関数F2の詳細については後述する。
図17に示すブロック線図において、入力であるモータ角度θ、負荷角度θと、出力であるモータ側誤差信号e、負荷側誤差信号eとは、図16を用いて説明した処理により、いずれも既知となっている。
本実施形態に係るモータ側エラーシステム123は、モータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)の各々と、モータ側誤差信号eと、を線形に関連付けるモータ側内部信号q0M、q1M、q2M及び不感帯用内部信号qを出力する。
同様に、本実施形態に係る負荷側エラーシステム124は、負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)の各々と、負荷側誤差信号eと、を線形に関連付ける負荷側内部信号q0L、q1L、q2L及び不感帯用内部信号qを出力する。
なお、モータ側エラーシステム123が出力する不感帯用内部信号q及び負荷側エラーシステム124が出力する不感帯用内部信号qは同一であるが、説明の便宜上、モータ側エラーシステム123が出力する不感帯用内部信号qをモータ側内部信号qとも記載し、負荷側エラーシステム124が出力する不感帯用内部信号qを負荷側内部信号qとも記載する。
ここで、モータ側内部信号q0M、q1M、q2M、qは、入力であるモータ角度θ、負荷角度θ、及び、図17に示すブロック線図に基づいて、それぞれ、式(10)のように表される。
Figure 2017211829
このようにして算出されたモータ側内部信号q0M、q1M、q2M、qの各々は、モータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)の各々と、モータ側誤差信号eと、を線形に関連付けるパラメータとなる。
また、負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、qは、入力であるモータ角度θ、負荷角度θ、及び、図17に示すブロック線図に基づいて、それぞれ、式(11)のように表される。
Figure 2017211829
このようにして算出された負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、qの各々は、負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)の各々と、負荷側誤差信号eと、を線形に関連付けるパラメータとなる。
図18は、第2の実施形態に係るモータ側エラーシステム及び負荷側エラーシステムの処理を説明する第3の図である。
本実施形態に係るモータ側エラーシステム123、負荷側エラーシステム124は、上述したように、不感帯用内部信号qを出力するにあたり、図18(b)に示すような、予め用意された不感帯特性変化関数F2を用いる。上述したように、不感帯特性変化関数F2は、不感帯幅誤差成分δBLが、モータ20側から負荷21側へと動力が伝達する系の伝達特性(不感帯特性関数F1の特性)に与える変化の度合いを規定する非線形関数である。
ここで、モータ20と負荷21との間に設けられた軸22の“遊び”の幅(不感帯幅BL)が、モデル不感帯幅BLから所定の不感帯幅誤差成分δBL(δBL>0)だけ変化した場合を考える。この場合、不感帯特性関数F1は、図18(a)に示すように、入力(θ−θ)に対し出力がゼロとなる領域が、正負方向に+δBL、−δBLだけ広がる。その結果、入力(θ−θ)が+BLより大きい領域(θ−θ>BL)においては、出力(縦軸)が−δBLだけ変化する。また、入力(θ−θ)が−BLより小さい領域(θ−θ<−BL)においては、出力(縦軸)が+δBLだけ変化する。
また、不感帯特性関数F1において、不感帯幅BLがBLであった場合には、入力(θ−θ)がBLを上回った時点で出力が上昇するのに対し、不感帯幅BLが(BL+δBL)に変化すると、入力(θ−θ)が(BL+δBL)を上回るまでは、出力は“ゼロ”のままである。したがって、入力(θ−θ)がBLから(BL+δBL)までの範囲においては、入力(θ−θ)と、出力のマイナス方向への変化の度合いと、が比例関係にある。同様に、入力(θ−θ)が−BLから(−BL−δBL)までの範囲においては、入力(θ−θ)と、出力のプラス方向への変化の度合いと、が比例関係にある。
また、入力(θ−θ)がBLから−BLまでの領域は、不感帯幅BLにおけるBLから(BL+δBL)への変化に関わらず、出力は“ゼロ”のままである。つまり、不感帯幅BLがBLから(BL+δBL)へ変化しても、出力は変化しない。
以上より、不感帯幅誤差成分δBLが、不感帯特性関数F1の特性に与える変化の度合いを表す不感帯特性変化関数F2は、図18(b)に示すような非線形特性によって表すことができる。
即ち、入力(θ−θ)がBL+δBL’を上回る領域においては、不感帯特性関数F1による出力がマイナス方向に変化するので、不感帯特性変化関数F2は、“−1”を出力する。同様に、入力(θ−θ)が−BL−δBL’を下回る領域においては、不感帯特性関数F1による出力がプラス方向に変化するので、不感帯特性変化関数F2は、“+1”を出力する。
また、入力(θ−θ)がBLから(BL+δBL’)までの領域においては、入力(θ−θ)の増加に応じて、出力が“ゼロ”から“−1”まで徐々に減少するように変化する。同様に、入力(θ−θ)が−BLから(−BL−δBL’)までの領域においては、入力(θ−θ)の減少に応じて、出力が“ゼロ”から“+1”まで徐々に増加するように変化する。
そして、入力(θ−θ)がBLから−BLまでの領域においては、不感帯特性関数F1の出力は変化しないので、不感帯特性変化関数F2は、“ゼロ”を出力する。
なお、定数δBL’は、想定される不感帯幅誤差成分δBLを予め予測して定めた定数であり、例えば、モデル不感帯幅BLの20%程度(δBL’=0.2×BL)とされる。
次に、本実施形態に係るパラメータ同定部122(図15参照)の機能について説明する。
パラメータ同定部122は、モータ側エラーシステム123によって算出されたモータ側誤差信号e(図16参照)と、同じくモータ側エラーシステム123によって算出されたモータ側内部信号q0M、q1M、q2M、q(図17参照)と、を入力する。
パラメータ同定部122は、モータ側内部信号q0M、q1M、q2M、qの各々が、未知のモータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)の各々と、モータ側誤差信号eとを、式(12)のように、線形に関連付けていることを利用して、上記未知のモータ側誤差パラメータ群の各々を算出する。
Figure 2017211829
ここで、パラメータ同定部122は、機械系2における周期的動作のうちの一周期Tに当たるモータ側誤差信号eとモータ側内部信号q0M、q1M、q2M、qとを取得する。そして、式(12)の両辺にモータ側内部信号q0M、q1M、q2M、qを乗じ、更に、両辺を一周期T分だけ時間積分すると、式(13)のように変形される。
Figure 2017211829
更に、式(13)は、式(14)に変形される。
Figure 2017211829
これにより、パラメータ同定部122は、式(15)に従って、未知のモータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)を算出することができる。
Figure 2017211829
パラメータ同定部122は、算出されたモータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)の各々を、モータ側のモデルをなすモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL)の各々から減算することで、新たなモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL)を同定する。
更に、パラメータ同定部122は、負荷側エラーシステム124によって算出されたモータ側誤差信号e(図16参照)と、同じく負荷側エラーシステム124によって算出された負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、q(図17参照)と、を入力する。
パラメータ同定部122は、負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、qの各々が、未知の負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)の各々と、負荷側誤差信号eとを、式(16)のように、線形に関連付けていることを利用して、上記未知の負荷側誤差パラメータ群の各々を算出する。
Figure 2017211829
ここで、パラメータ同定部122は、機械系2における周期的動作のうちの一周期Tに当たる負荷側誤差信号eと負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、qとを取得する。そして、式(16)の両辺に負荷側内部信号q0L、q1L、q2L、qを乗じ、更に、両辺を一周期T分だけ時間積分すると、式(17)のように変形される。
Figure 2017211829
更に、式(17)は、式(18)に変形される。
Figure 2017211829
これにより、パラメータ同定部122は、式(19)に従って、未知の負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)を算出することができる。
Figure 2017211829
パラメータ同定部122は、算出された負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)の各々を、予め規定されていた負荷側のモデルをなすモデルパラメータ群(JL0、DL0、τfL0、BL)の各々から減算することで、新たなモデルパラメータ群(JL0、DL0、τfL0、BL)を同定する。
なお、本実施形態に係るパラメータ同定部122は、機械系2における周期的動作のうちの一周期T分のモータ側誤差信号e、負荷側誤差信号eと、同じ一周期T分の各種内部信号q0M、q1M、q2M、q0L、q1L、q2L、qとを取得して、誤差信号と誤差パラメータ群との関係式(式(12)、式(16))を一周期Tで時間積分している。
このようにすることで、一周期Tの時間積分により未知の外乱がキャンセルされ得るため、誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δJ、δD、δτfL、δBL)を精度良く算出することができる。
図19は、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。
図19に示す処理フローは、例えば、第1の実施形態(図7)と同様に、機械系2の実運転の開始前等において、パラメータ同定装置12(図15)が機械系2についてのパラメータ同定を行う際に実行される。
パラメータ同定装置12は、ステップS01〜ステップS04を経て、小振幅、低周波数の反復動作中に取得された各種実測データ(ω、θ、ω、θ、τ)に基づき、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。図19に示すステップS01〜ステップS04の各処理は、第1の実施形態(図7)と同様であるため説明を省略する。
次に、モータ制御システム1のオペレータは、上位機器を操作して所定の角度指令値を出力させることで、負荷21の角度(負荷角度θ)を大振幅かつ高周波数で反復動作させる(ステップS11)。
次に、パラメータ同定装置12のデータ取得部120は、大振幅かつ高周波数で反復動作中の機械系2から、モータ角速度ω、モータ角度θ、負荷角速度ω及び負荷角度θの経時的変化を示す実測データを取得する(ステップS12)。
次に、パラメータ同定装置12のモータ側エラーシステム123は、図16〜図18で説明した処理を経てモータ側誤差信号e、及び、モータ側内部信号q0M、q1M、q2M及び不感帯用内部信号qを出力する。また、パラメータ同定装置12の負荷側エラーシステム124は、図16〜図18で説明した処理を経て負荷側誤差信号e、及び、負荷側内部信号q0L、q1L、q2L及び不感帯用内部信号qを出力する(ステップS13)。
次に、パラメータ同定部122は、モータ側エラーシステム123及び負荷側エラーシステム124から入力した各種誤差信号、内部信号に基づいて、モータ側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfM、δBL)、及び、負荷側誤差パラメータ群(δJ、δD、δτfL、δBL)を算出する。そして、パラメータ同定部122は、これらの誤差パラメータ群に基づいて、ステップS04で同定されていなかった残りのモデルパラメータを同定する(ステップS14)。
具体的には、パラメータ同定部122は、ステップS14において、モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0、モデル負荷側慣性モーメントJL0、及び、モデル負荷側粘性係数DL0を同定する。
(作用、効果)
以上のように、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、機械系2が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に小振幅かつ低周波数の場合に同定を行う第1ステップと、機械系2が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に大振幅かつ高周波数の場合に同定を行う第2ステップと、に分けてモデルパラメータの同定を行う。
より詳細には、パラメータ同定部122は、第1ステップにおいて取得されたトルクτと、モータ20の角度及び角速度の実測データと、負荷21の角度及び角速度の実測データと、に基づいて、モータの摩擦、負荷の摩擦、軸22の剛性、及び、軸22の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定する。
そして、パラメータ同定部122は、第2ステップにおいて取得されたトルクτと、モータ20の角度の実測データと、負荷21の角度の実測データと、に基づいて、モータ20の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ(モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0)、及び、負荷21の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ(モデル負荷側慣性モーメントJL0、及び、モデル負荷側粘性係数DL0)を同定する。
ここで、小振幅、低周波数の状態であれば、慣性モーメント及び粘性係数の影響が小さく、モータ20、負荷21の摩擦、軸22の剛性及び不感帯幅の特性を捉えやすい。他方、大振幅、高周波数の状態であれば、モータ20、負荷21の摩擦、軸22の剛性及び不感帯幅の影響が小さくなり、慣性モーメント及び粘性係数の特性を捉えやすくなる。
そこで、上述のような2段階のステップを実施する態様とすることで、2慣性系モデルMODを構成する全てのパラメータを高精度に同定することができる。
また、上述の各実施形態においては、モータ制御システム1におけるパラメータ同定装置12の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより各手順を行うものとしている。ここで、上述したパラメータ同定装置12の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって上記各種処理が行われる。ここで、コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
また、パラメータ同定装置12の機能が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものとする。
1 モータ制御システム
10 フィードバック制御部
11 フィードフォワード制御部
12 パラメータ同定装置
120 データ取得部
121 位相面図生成部
122 パラメータ同定部
123 モータ側エラーシステム
124 負荷側エラーシステム
2 機械系
20 モータ
21 負荷
22 軸
θ 目標角度(目標回転角度)
τ、τ’ トルク
θ モータ角度(モータの角度)
ω モータ角速度(モータの角速度)
モータ側慣性モーメント
モータ側粘性係数
τfM モータ側摩擦係数
τfMc モータ側クーロン摩擦係数
θ 負荷角度(負荷の角度)
ω 負荷角速度(負荷の角速度)
負荷側慣性モーメント
負荷側粘性係数
τfL 負荷側摩擦係数
τfLc 負荷側クーロン摩擦係数
ねじれ剛性係数
ねじれ粘性係数
BL 不感帯幅
MOD 2慣性系モデル
M0 モデルモータ側慣性モーメント
M0 モデルモータ側粘性係数
τfM0 モデルモータ側摩擦係数
τfMc0 モデルモータ側クーロン摩擦係数
L0 モデル負荷側慣性モーメント
L0 モデル負荷側粘性係数
τfL0 モデル負荷側摩擦係数
τfLc0 モデル負荷側クーロン摩擦係数
BL モデル不感帯幅
R0 モデルねじれ剛性係数
モータ側誤差信号
負荷側誤差信号
δJ モータ側慣性モーメント誤差成分
δD モータ側粘性係数誤差成分
δτfM モータ側摩擦係数誤差成分
δJ 負荷側慣性モーメント誤差成分
δD 負荷側粘性係数誤差成分
δτfL 負荷側摩擦係数誤差成分
δBL 不感帯幅誤差成分
0M、q1M、q2M モータ側内部信号
0L、q1L、q2L 負荷側内部信号
不感帯用内部信号(モータ側内部信号、負荷側内部信号)
S1、S2 符号関数
F1 不感帯特性関数
F1’ ガタ変位関数
F2 不感帯特性変化関数
モータ側摩擦特性関数
負荷側摩擦特性関数
P1 ねじれ角度−トルク位相面図
P2 トルク−機械角速度位相面図
P3 ねじれ角度−機械角速度位相面図
P4 トルク−ねじれ速度位相面図
P5 ねじれ角度−ねじれ速度位相面図
P6 負荷角度−トルク位相面図

Claims (12)

  1. モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、
    前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部と、
    取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部と、
    生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、
    を備えるパラメータ同定装置。
  2. 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すトルク−ねじれ速度位相面図を生成し、
    前記パラメータ同定部は、前記トルク−ねじれ位相面図における折れ点の位置に基づいて前記モータの摩擦を示すモデルパラメータを同定する
    請求項1に記載のパラメータ同定装置。
  3. 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図を生成し、
    前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−ねじれ速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定する
    請求項1又は請求項2に記載のパラメータ同定装置。
  4. 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と、前記モータの角速度及び前記負荷の角速度のうちの少なくとも何れか一つとの関係を示すトルク−機械角速度位相面図を生成し、
    前記パラメータ同定部は、前記トルク−機械角速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する
    請求項1から請求項3の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。
  5. 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記負荷の角度と前記トルク指令値との関係を示す負荷角度−トルク位相面図を生成し、
    前記パラメータ同定部は、前記負荷角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。
  6. 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成し、
    前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅のうちの少なくとも何れか一つを示すモデルパラメータを同定する
    請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。
  7. 前記トルク指令値、前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうちモータ側のモデルの、前記モータに対する誤差の度合いを示すモータ側誤差信号を出力するモータ側エラーシステムと、
    前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうち負荷側のモデルの、前記負荷に対する誤差の度合いを示す負荷側誤差信号を出力する負荷側エラーシステムと、
    を更に備え、
    前記パラメータ同定部は、
    前記モータ側誤差信号を入力して、少なくとも前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定し、かつ、前記負荷側誤差信号を入力して、少なくとも前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する
    請求項1から請求項6の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。
  8. 前記パラメータ同定部は、
    前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に小振幅かつ低周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定し、
    前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に大振幅かつ高周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ、及び、前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する
    請求項7に記載のパラメータ同定装置。
  9. モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、
    前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、を取得するデータ取得部と、
    取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成する位相面図生成部と、
    生成された前記ねじれ角度−トルク位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、
    を備えるパラメータ同定装置。
  10. 請求項1から請求項9の何れか一項に記載のパラメータ同定装置と、
    前記負荷の目標とする角度に対する現在の角度の偏差に基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードバック制御部と、
    前記パラメータ同定装置によって同定された前記モデルパラメータに基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードフォワード制御部と、
    を備えるモータ制御システム。
  11. モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定方法であって、
    前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するステップと、
    取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成するステップと、
    生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するステップと、
    を有するパラメータ同定方法。
  12. モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置のコンピュータを、
    前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部、
    取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部、
    生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部、
    として機能させるプログラム。
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