JP2017211829A - パラメータ同定装置、モータ制御システム、パラメータ同定方法及びプログラム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パラメータ同定装置12は、モータに対するトルクτと、モータの角度θM及び角速度ωMの実測データと、負荷の角度θL及び角速度ωLの実測データと、を取得するデータ取得部120と、取得された各種実測データに基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部121と、生成された複数の位相面図に基づいて、モータの摩擦、負荷の摩擦、連結部材の剛性、及び、連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータ(τfM0、τfL0、BL0、KR0)を同定するパラメータ同定部と、を備える。
【選択図】図6
Description
また、特許文献2では、取り付け時の測定、力測定器測定による力と変位の関係の測定結果から、各モデルパラメータを求め、ロストモーション補正のタイミングに使用する方法が開示されている。
しかしながら、上述した例では、モータ側の摩擦、負荷側の摩擦の各々を独立して同定することはできず、また、伝達系における剛性、ガタの特性も考慮されていない。したがって、制御対象を正確に模したモデルを得ることができず、そのため、制御性能の高い制御システムを実現することができなかった。
以下、第1の実施形態に係るモータ制御システムについて、図1〜図14を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、モータ20と、負荷21と、モータ20及び負荷21を機械的に連結する軸22(連結部材)と、を有してなる機械系2の動作を制御するシステムである。ここで、本実施形態において、モータ20は、内部に回転角度、回転速度を検出可能な回転検出器(エンコーダ)を有し、精密な位置決めを実現可能なサーボモータである。また、本実施形態において、軸22は、例えば、ボールねじ、ギア等の剛性要素、ガタ要素を有する部材である。
なお、以下の説明において、モータ20の回転速度(角速度)を「モータ角速度ωM」とも記載し、モータ20の回転角度を「モータ角度θM」とも記載する。また、負荷21の回転速度(角速度)を「負荷角速度ωL」とも記載し、負荷21の回転角度を「負荷角度θL」とも記載する。
また、モータ制御システム1は、更に、機械系2を2慣性系と見なして模した2慣性系モデル(後述)を予め有しており、当該2慣性系モデルに基づくフィードフォワード制御を行う。
なお、機械系2における負荷21が、回転系ではなく直動系の負荷(テーブル負荷等)の場合、負荷21に対する制御対象パラメータは、厳密には“角度”、“角速度”ではなく、“位置”、“速度”となる。しかし、この場合、モータ制御システム1は、2慣性系として、モータ20の“角度”、“角速度”と同じ次元で取り扱うために、負荷の“位置”、“速度”を、モータ軸換算値としての“角度”、“角速度”に逐次変換して各種制御を行う。
図2は、第1の実施形態に係る機械系のブロック線図を示す図である。
本実施形態に係る機械系2(図1参照)をモータ20、負荷21及び軸22からなる2慣性系と見なすことで、当該機械系2における入力と出力の関係を、図2に示すような伝達関数を用いたブロック線図で表すことができる。
ここで、モータ側摩擦係数τfMは、モータ20の速度反転時(モータ角速度ωMの符号反転時)に符号のみが反転するクーロン摩擦成分だけでなく、モータ20の速度反転後の変位(モータ角速度ωMのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。モータ側摩擦係数τfMは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、モータ角速度ωMを入力変数とするモータ側摩擦関数GMを通じて得られる。モータ側摩擦関数GMの詳細については後述する。
ここで、負荷側摩擦係数τfLも同様に、負荷21の速度反転後の変位(負荷角速度ωLのゼロからの積分値)に依存して非線形に変化する非線形摩擦成分を含んでいる。負荷側摩擦係数τfLは、この非線形摩擦成分をモデル化して規定し、負荷角速度ωLを入力変数とする負荷側摩擦関数GLを通じて得られる。負荷側摩擦関数GLの詳細については後述する。
ここで、不感帯特性関数F1とは、軸22のねじれ角度(θM−θL)を入力変数とし、当該ねじれ角度(θM−θL)からガタ変位BKLSを差し引いたものを出力する非線形関数である。不感帯特性関数F1の詳細については後述する。
また、ねじれ剛性係数KRとは、軸22のねじれ方向についての剛性の度合いを示すパラメータであって、軸22のばね定数に相当する。即ち、ねじれ剛性係数KRは、負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22のねじれ角度(θM−θL)に比例する成分を与える。
また、ねじれ粘性係数DRとは、軸22のねばりの度合いを示すパラメータであって、負荷21に印加されるトルクτ’のうち、軸22におけるモータ角速度ωMと負荷角速度ωLとの偏差(以下、「ねじれ速度(ωM−ωL)」とも記載する。)に比例する成分を与える。
一方、機械系2についての入力であるトルクτ、及び、出力であるモータ角速度ωM、モータ角度θM、負荷角速度ωL及び負荷角度θLは、上述の回転検出器を通じて観測可能なパラメータである。
図3(a)は、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの各々に生じる非線形摩擦特性を示すグラフである。
良く知られているクーロン摩擦は、物体の速度(モータ角速度ωM、負荷角速度ωL)の方向(正、負の符号)に依存してその方向(正、負の符号)のみが変化し、その量は、速度(ω)、変位(θ)に対しては変動しないものとして知られている。しかしながら、軸22において、例えば、ボールねじ、ボールベアリング等の転がり要素が含まれる場合には、通常のクーロン摩擦とは特性が異なる“転がり摩擦”を考慮する必要がある。
ここで、転がり摩擦は、速度反転直後の転がり要素が転動しない“微動領域”においては、速度反転後の変位(モータ角速度ωM、負荷角速度ωLのゼロからの積分値)によって見かけのばね定数が動的に変化する非線形ばね特性を有しており、図3(a)に示すようなヒステリシスカーブを描く。これは、転がり要素と軌道面の接触部における弾性変形やすべりによるものと考えられている。
また、転がり要素が有効に転動する“粗動領域”においては、クーロン摩擦により摩擦の速度に対する静的特性を示す。即ち、図3(a)に示すように、モータ20の摩擦(モータ側摩擦係数τfM)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、モータ側クーロン摩擦係数τfMcで飽和する。また、負荷21の摩擦(負荷側摩擦係数τfL)は、速度反転後の変位が所定以上となった時点で、負荷側クーロン摩擦係数τfLcで飽和する。
図3(b)に示すように、モータ側摩擦特性関数GMは、変位0〜θ1、θ1〜θ2、θ2〜θ3、θ3〜θ4の各々において採用すべき折れ線を規定する傾きK1、K2、K3、K4、及び、オフセット(変位0における切片)τfM1(=−τfMc)、τfM2、τfM3、τfM4、τfM5(=τfMc)によって規定される。
なお、図示を省略するが、負荷側摩擦特性関数GLも、図3(b)に示すモータ側摩擦特性関数GMと同様に規定される。
不感帯特性関数F1は、不感帯幅BLに依存する非線形特性であって、軸22のねじれ角度(θM−θL)を入力変数とする。図4(a)に示すように、軸22のねじれ角度(θM−θL)の絶対値が不感帯幅BL以下の場合(−BL≦θM−θL≦+BL)、ガタ出力はゼロとなる。即ち、この場合、モータ20から負荷21へトルクが伝達されない。他方、軸22のねじれ角度(θM−θL)の絶対値が不感帯幅BLよりも大きい場合(θM−θL<−BL,θM−θL>+BL)、ガタ出力は、ねじれ角度(θM−θL)から不感帯幅BLだけ小さい値(θM−θL+BL(θM−θL<−BL)、又は、θM−θL−BL(θM−θL>+BL))となる。
ガタ変位BKLSは、不感帯幅BL(−BL〜+BL)の幅を有する不感帯における変位量を示すパラメータであって、ねじれ角度(θM−θL)に対し、図4(b)に示すような特性を有している。即ち、図4(a)に示すガタ出力は、ガタ変位BKLSを用いて“θM−θL―BKLS”と表すことができる。
図4(b)に示すように、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θM−θL)が不感帯の最小値(−BL)よりも小さい範囲では、ガタ変位BKLSは最小値(−BL)をとり、ねじれ角度(θM−θL)が不感帯の最大値(+BL)よりも大きい範囲では、ガタ変位BKLSは最大値(+BL)をとる。また、ねじれ角度(θM−θL)が不感帯の最小値(−BL)以上かつ最大値(+BL)以下の範囲においては、ガタ変位BKLSは、ねじれ角度(θM−θL)と同一の値を有する特性となる。
図5は、第1の実施形態に係るモータ制御システムの機能構成を示す図である。
図5に示すように、第1の実施形態に係るモータ制御システム1は、フィードバック制御部10と、フィードフォワード制御部11と、パラメータ同定装置12と、を備えている。
具体的には、フィードバック制御部10は、目標角度θtと負荷角度θLとの偏差(θt−θL)をゼロとするためのトルクを算出し、その算出結果を示すトルク指令値を出力する。その際、フィードバック制御部10は、回転検出器を通じて観測されたモータ角速度ωMを参照して、適切かつ迅速なフィードバック制御がなされるようなトルクを算出する。
具体的には、複数のモデルパラメータ群とは、モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側慣性モーメントJL0、モデル負荷側粘性係数DL0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL0、及び、モデルねじれ剛性係数KR0である。
そこで、本実施形態に係るモータ制御システム1は、上述の複数のモデルパラメータ群のうち、特に、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデル不感帯幅BL0及びモデルねじれ剛性係数KR0を別個独立に、精度良く同定可能なパラメータ同定装置12を備えている。
以下、パラメータ同定装置12の機能について詳細に説明する。
図6に示すように、パラメータ同定装置12は、データ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備えている。
ここで、図6に示すように、位相面図生成部121は、連結部材(軸22)のねじれ角度(θM−θL)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「ねじれ角度−トルク位相面図P1」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)とモータ20の角速度(モータ角速度ωM)及び負荷21の角速度(負荷角速度ωL)との関係を示す「トルク−機械角速度位相面図P2」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θM−θL)とモータ20の角速度(モータ角速度ωM)及び負荷21の角速度(負荷角速度ωL)との関係を示す「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
また、位相面図生成部121は、トルク指令値(トルクτ)と軸22のねじれ速度(モータ角速度ωMと負荷角速度ωLとの差。以下、“ωM−ωL”と記載する。)との関係を示す「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
また、位相面図生成部121は、軸22のねじれ角度(θM−θL)と軸22のねじれ速度(ωM−ωL)との関係を示す「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
また、位相面図生成部121は、負荷21の角度(負荷角度θL)とトルク指令値(トルクτ)との関係を示す「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
図7は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理フローを示す図である。
また、図8は、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置の処理を説明する図である。
また、図9〜図14は、第1の実施形態に係る複数の位相面図を説明する第1から第6の図である。
図7に示す処理フローは、例えば、機械系2の実運転の開始前等において、パラメータ同定装置12(図6)が機械系2についてのパラメータ同定を行う際に実行される。
なお、位相面図生成部121は、負荷角度θLの正方向から負方向への反転前後に取得される実測データと、負方向から正方向への反転前後に取得される実測データと、の各々について上記実測値の紐付けを行う。このようにして生成されたねじれ角度−トルク位相面図P1には、主に、機械系2の非線形摩擦特性(図3(a)参照)と不感帯特性関数F1に起因するヒステリシス曲線が表れる。
同様に、位相面図生成部121は、負荷角度θLの方向反転前後におけるねじれ角度(θM−θL)の実測データ、及び、モータ角速度ωM、負荷角速度ωLの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図11に示すような、ねじれ角度(θM−θL)を横軸にとり、モータ角速度ωM及び負荷角速度ωLを縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−機械角速度位相面図P3」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θLの方向反転前後におけるトルクτの実測データ、及び、ねじれ速度(ωM−ωL)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。ここで、「ねじれ速度(ωM−ωL)の実測データ」は、モータ角速度ωMの実測データから負荷角速度ωLの実測データを差し引いて得られる。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図12に示すような、トルクτを横軸にとり、ねじれ速度(ωM−ωL)を縦軸にとる位相面図である「トルク−ねじれ速度位相面図P4」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θLの方向反転前後におけるねじれ角度(θM−θL)の実測データ、及び、ねじれ速度(ωM−ωL)の実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図13に示すような、ねじれ角度(θM−θL)を横軸にとり、ねじれ速度(ωM−ωL)を縦軸にとる位相面図である「ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5」を生成する。
更に、位相面図生成部121は、負荷角度θLの方向反転前後における負荷角度θLの実測データ、及び、トルクτの実測データから同一時刻にサンプリングされた実測値どうしを紐付けて抽出する。そして、位相面図生成部121は、抽出した実測値に基づいて、図14に示すような、負荷角度θLを横軸にとり、トルクτを縦軸にとる位相面図である「負荷角度−トルク位相面図P6」を生成する。
また、“BKLS[θM−θL]”は、ガタ変位関数F1’(図4(b))に基づいてねじれ角度(θM−θL)の変数として規定されるガタ変位BKLSを示している。
また、上記運動方程式(式(1)、式(2))において、機械系2の反復動作を小振幅かつ低周波数にすると、モータ20の慣性トルクJMs2θM、負荷21の慣性トルクJLs2θL、モータ20の粘性トルクDMsθM、及び、負荷21の粘性トルクDLsθLの影響も小さくなる。そこで、上記運動方程式におけるこれらの項を削除することで、以下に示す式(3)、式(4)が導出される。
また、式(4)より、機械系2の反復動作が小振幅かつ低周波数の条件下において、負荷側摩擦係数τfLをねじれ剛性係数KRで除した値とガタ変位BKLSとの和がねじれ角度(θM−θL)となることが示される。即ち、軸22におけるねじれ角度(θM−θL)からガタ変位BKLSを差し引いた角度(変位)に、軸22のばね定数(ねじれ剛性係数KR)を乗じた値が、負荷側摩擦係数τfLに一致する。
また、折れ点T14に至った時点におけるねじれ角度(θM−θL)は、式(4)より、“τfLc/KR+BL”に一致する。
具体的には、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−トルク位相面図P1における折れ点T12(又は折れ点T13)の縦軸の値を参照してモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定する。また、パラメータ同定部122は、折れ点T14における縦軸の値から、先に同定したモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0の値を差し引いてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T13(又は折れ点T12)の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BL0を同定する。更に、パラメータ同定部122は、折れ点T14における横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL0及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21〜折れ点T22は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、トルクτが最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T22〜折れ点T23は、モータ20及び負荷21の角速度がゼロの状態から徐々に正方向にトルクτが上昇して行く中で、不感帯(−BL〜+BL)の存在により、モータ角速度ωMのみが上昇する軌跡を示している。
また、折れ点T23〜折れ点T24は、トルクτが、モータ20のみの駆動に要するトルク(モータ側クーロン摩擦係数τfMc)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωMと負荷角速度ωLとが等しく上昇する軌跡を示している。
また、折れ点T23の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(モータ20のみが回転駆動している時点)におけるトルクである。したがって、式(3)より、折れ点T23の横軸の値は、モータ側クーロン摩擦係数τfMcに一致する。
ここで、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14では、トルクτ、ねじれ角度(θM−θL)が完全には飽和せず、モータ側粘性係数DM及び負荷側粘性係数DLに基づく誤差成分が生じることが分かっている。そうすると、ねじれ角度−トルク位相面図P1の折れ点T14の位置に基づいてモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定しようとすると、当該誤差成分に起因して精度が低下することが考えられる。
他方、トルク−機械角速度位相面図P2の折れ点T22では、モータ角速度ωM、負荷角速度ωLがゼロとなっている。したがって、折れ点T22では、モータ角速度ωM、負荷角速度ωLに比例する成分を与えるモータ側粘性係数DM及び負荷側粘性係数DLの影響を受けていない。そのため、折れ点T22の横軸の値から、より精度の高いモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31〜折れ点T32は、負方向に飽和していたトルクτが正方向に向けて反転し、これに応じて、ねじれ角度(θM−θL)が最小値(負の飽和状態)からほとんど変化しないまま、モータ20及び負荷21の角速度がゼロとなるまでの軌跡を示している。
また、折れ点T32〜折れ点T33は、不感帯(−BL〜+BL)の存在により負荷角速度ωLがゼロのままモータ角速度ωMのみが上昇することで、ねじれ角度(θM−θL)が徐々に増大していく軌跡を示している。
また、折れ点T33〜折れ点T34は、ねじれ角度(θM−θL)が不感帯の最大値(+BL)を上回ることで負荷21にトルクτ’が印加され、モータ角速度ωMと負荷角速度ωLとが等しく上昇する軌跡を示している。
また、折れ点T33の横軸の値は、負荷21の角速度が上昇を開始する時点(負荷角速度ωLがゼロの時点)におけるねじれ角度(θM−θL)である。したがって、折れ点T33の横軸の値は、式(4)より、不感帯の最大値(+BL)に一致する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の横軸の値を参照してモデル不感帯幅BL0を同定する。
図12に示すトルク−ねじれ速度位相面図P4は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)に示されるモータ角速度ωMと負荷角速度ωLとの差を示す位相面図である。したがって、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T41の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T21の位置に対応する。また、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T23の位置に対応する。更に、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T43の位置は、トルク−機械角速度位相面図P2における折れ点T24の位置に対応する。
ここで、図12に示す通り、トルク−ねじれ速度位相面図P4における折れ点T42は、トルク−機械角速度位相面図P2(図10)における折れ点T23よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデルモータ側クーロン摩擦係数τfMc0を同定することができる。
図13に示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)に示されるモータ角速度ωMと負荷角速度ωLとの差を示す位相面図である。したがって、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T51の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T31の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T32の位置に対応する。また、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T53の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T33の位置に対応する。更に、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T54の位置は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3における折れ点T34の位置に対応する。
また、パラメータ同定部122は、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52の横軸の値と、先に同定したモデル不感帯幅BL0及びモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0とに基づいて式(4)を解くことで、モデルねじれ剛性係数KR0を同定する。
ここで、図13に示す通り、ねじれ角度−ねじれ速度位相面図P5における折れ点T52及び折れ点T53は、ねじれ角度−機械角速度位相面図P3(図11)における折れ点T32、T33よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル不感帯幅BL0及びモデルねじれ剛性係数KR0を同定することができる。
折れ点T61及び折れ点T63の時点においては、モータ側摩擦係数τfM及び負荷側摩擦係数τfLの両方が飽和状態である。したがって、式(3)より、折れ点T61の縦軸の値は、“−τfMc−τfLc”、折れ点T63の縦軸の値は、“τfMc+τfLc”と求めることができる。
ここで、図14に示す通り、負荷角度−トルク位相面図P6における折れ点T63は、ねじれ角度−トルク位相面図P1(図9)における折れ点T14よりも明確に示されている。したがって、より精度よくモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を同定することができる。
これにより、いずれのモデルパラメータについても高い精度で同定することができる。
同様に、パラメータ同定部122は、同定されたモデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0を付加側摩擦特性関数GLに代入する。そして、パラメータ同定部122は、モデル負荷側クーロン摩擦係数τfLc0に対し予め定められた係数を乗じることで、負荷側摩擦特性関数GLを構成する各種定数(傾き、オフセット)を同定する。これにより、パラメータ同定部122は、モデル負荷側摩擦係数τfL0を同定する。
以上、第1の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、上述のデータ取得部120と、位相面図生成部121と、パラメータ同定部122と、を備える態様とする。
このようにすることで、複数の位相面図に表された複数の折れ点等から、機械系2のモータ側摩擦係数τfM、負荷側摩擦係数τfL、不感帯幅BL及びねじれ剛性係数KRを別個独立に評価して、上記各種パラメータに対応するモデルパラメータを精度良く同定することができる。
したがって、モータ20及び負荷21を有する機械系2を精度よく模した2慣性系モデルMODを得ることができる。
このようにすることで、モデルモータ側摩擦係数τfM0を一層精度よく同定することができる。
このようにすることで、モデルねじれ剛性係数KR0、モデル不感帯幅BL0を一層精度よく同定することができる。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
このようにすることで、モデル負荷側摩擦係数τfL0を一層精度よく同定することができる。
このようにすることで、一つの位相面図から、モデルモータ側摩擦係数τfM0、モデル負荷側摩擦係数τfL0、モデルねじれ剛性係数KR0及びモデル不感帯幅BL0を同定することができる。
このようにすることで、各モデルパラメータの同定処理を簡素化することができる。
このようにすることで、実測データのばらつき誤差が低減されるため、モデルパラメータの同定精度を更に高めることができる。
例えば、他の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、“トルク指令値”ではなく、モータ20に流れる検出電流値から求まる“実測トルク”を「トルクτ」として用いて、上述の各種処理を行う態様であってもよい。
次に、第2の実施形態に係るモータ制御システムについて、図15〜図19を参照しながら詳細に説明する。
図15は、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置の機能構成を示す図である。
図15に示すように、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、更に、モータ側エラーシステム123及び負荷側エラーシステム124を備えている。
モータ側エラーシステム123は、フィードバック制御部10及びフィードフォワード制御部11により算出されたトルクτ、モータ角度θM、及び、負荷角度θLに基づいて、2慣性系モデルMODのうちモータ側のモデルの、モータ20に対する誤差の度合いを示すモータ側誤差信号eMを出力する。
また、負荷側エラーシステム124は、モータ角度θM及び負荷角度θLに基づいて、2慣性系モデルMODのうち負荷側のモデルの、負荷21に対する誤差の度合いを示す負荷側誤差信号eLを出力する。
また、本実施形態に係るパラメータ同定部122は、モータ側誤差信号eMを入力して、2慣性系モデルMODのうちモータ側のモデルをなすモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL0)を同定する。更に、パラメータ同定部122は、負荷側誤差信号eLを入力して、2慣性系モデルMODのうち負荷側のモデルをなすモデルパラメータ(JL0、DL0、τfL0、BL0)を同定する。
モータ側エラーシステム123は、トルクτ、モータ角度θM及び負荷角度θLを入力し、図16に示すブロック線図に従って、モータ側誤差信号eMを算出する。
ここで、モータ側のモデルをなすモデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、BL0)の各々が、モータ20の実際の特性を示す未知のパラメータ群(JM、DM、τfM、BL)の各々に対して誤差があった場合、当該モデルパラメータ群に基づいて算出されたトルクτで回転移動したモータ20の位置(モータ角度θM)は、想定されていたモータ20の位置(目標モータ角度)からずれているはずである。そこで、想定していた目標モータ角度に到達するためにモータ20に本来印加すべきであったトルクと、モータ20に実際に印加されたトルクτと、の誤差の度合いをモータ側誤差信号eMで表すと、図2に示すブロック線図のうちモータ20に係る部分の入出力の関係から、式(5)に示す等式が成立する。
また、BKLS(θM−θL)(図16に示す不感帯特性関数F1)は、2慣性系モデルMODのうちモータ側から負荷側へと動力が伝達する系(軸22を模したモデル)の特性をモデル不感帯幅BL0で表した非線形関数である。具体的には、モータ20と負荷21との間に設けられた軸22に“遊び”が存在する場合、モータ角度θMと負荷角度θLとの偏差が当該“遊び”の範囲内にある限り、モータ20から発生したトルクは、負荷21には伝達しない。モデル不感帯幅BL0は、この“遊び”の幅(不感帯幅BL)をモデルとして規定した値であり、不感帯特性関数F1は、偏差(θM−θL)の絶対値がモデル不感帯幅BL0以下の場合にゼロを取り、偏差(θM−θL)の絶対値がモデル不感帯幅BL0を上回った場合に“θM−θL−BL0”(θM−θL>0)又は“θM−θL+BL0”(θM−θL<0)の値を取る非線形関数である。
ここで、負荷側のモデルをなすモデルパラメータ群(JL0、DL0、τfL0、BL0)の各々が、負荷21の実際の特性を示すパラメータ群(JL、DL、τfL、BL)の各々に対して誤差があった場合、当該モデルパラメータ群に基づいて算出されたトルクτで回転移動した負荷角度(負荷角度θL)は、想定されていた負荷角度(目標角度θt)からずれる。そこで、想定していた負荷角度θtに到達するために、(軸22を通じて)本来負荷21に印加されるべきであったトルクと、負荷21に実際に印加されたトルクτ’と、の誤差を負荷側誤差信号eLで表すと、図2に示すブロック線図のうち負荷21に係る部分の入出力の関係から、式(6)に示す等式が成立する。
ここで、モデルパラメータ群(JM0、DM0、τfM0、JL0、DL0、τfL0、BL0)の各々と、機械系2の実際の特性を示すパラメータ群(JM、DM、τfM、JL、DL、τfL、BL)の各々との間の誤差の度合いを、それぞれ、モータ側慣性モーメント誤差成分δJM、モータ側粘性係数誤差成分δDM、モータ側摩擦係数誤差成分δτfM、負荷側慣性モーメント誤差成分δJL、負荷側粘性係数誤差成分δDL、負荷側摩擦係数誤差成分δτfL及び不感帯幅誤差成分δBLで表し、式(7)のように規定する。
また、∂BKLS(θM−θL)/∂BL(図17に示す不感帯特性変化関数F2)は、不感帯幅誤差成分δBLが、上述した不感帯特性関数F1の特性に与える変化の度合いを表す非線形関数である。不感帯特性変化関数F2の詳細については後述する。
本実施形態に係るモータ側エラーシステム123は、モータ側誤差パラメータ群(δJM、δDM、δτfM、δBL)の各々と、モータ側誤差信号eMと、を線形に関連付けるモータ側内部信号q0M、q1M、q2M及び不感帯用内部信号q3を出力する。
同様に、本実施形態に係る負荷側エラーシステム124は、負荷側誤差パラメータ群(δJL、δDL、δτfL、δBL)の各々と、負荷側誤差信号eLと、を線形に関連付ける負荷側内部信号q0L、q1L、q2L及び不感帯用内部信号q3を出力する。
なお、モータ側エラーシステム123が出力する不感帯用内部信号q3及び負荷側エラーシステム124が出力する不感帯用内部信号q3は同一であるが、説明の便宜上、モータ側エラーシステム123が出力する不感帯用内部信号q3をモータ側内部信号q3とも記載し、負荷側エラーシステム124が出力する不感帯用内部信号q3を負荷側内部信号q3とも記載する。
本実施形態に係るモータ側エラーシステム123、負荷側エラーシステム124は、上述したように、不感帯用内部信号q3を出力するにあたり、図18(b)に示すような、予め用意された不感帯特性変化関数F2を用いる。上述したように、不感帯特性変化関数F2は、不感帯幅誤差成分δBLが、モータ20側から負荷21側へと動力が伝達する系の伝達特性(不感帯特性関数F1の特性)に与える変化の度合いを規定する非線形関数である。
また、入力(θM−θL)がBL0から−BL0までの領域は、不感帯幅BLにおけるBL0から(BL0+δBL)への変化に関わらず、出力は“ゼロ”のままである。つまり、不感帯幅BLがBL0から(BL0+δBL)へ変化しても、出力は変化しない。
即ち、入力(θM−θL)がBL0+δBL’を上回る領域においては、不感帯特性関数F1による出力がマイナス方向に変化するので、不感帯特性変化関数F2は、“−1”を出力する。同様に、入力(θM−θL)が−BL0−δBL’を下回る領域においては、不感帯特性関数F1による出力がプラス方向に変化するので、不感帯特性変化関数F2は、“+1”を出力する。
また、入力(θM−θL)がBL0から(BL0+δBL’)までの領域においては、入力(θM−θL)の増加に応じて、出力が“ゼロ”から“−1”まで徐々に減少するように変化する。同様に、入力(θM−θL)が−BL0から(−BL0−δBL’)までの領域においては、入力(θM−θL)の減少に応じて、出力が“ゼロ”から“+1”まで徐々に増加するように変化する。
そして、入力(θM−θL)がBL0から−BL0までの領域においては、不感帯特性関数F1の出力は変化しないので、不感帯特性変化関数F2は、“ゼロ”を出力する。
なお、定数δBL’は、想定される不感帯幅誤差成分δBLを予め予測して定めた定数であり、例えば、モデル不感帯幅BL0の20%程度(δBL’=0.2×BL0)とされる。
パラメータ同定部122は、モータ側エラーシステム123によって算出されたモータ側誤差信号eM(図16参照)と、同じくモータ側エラーシステム123によって算出されたモータ側内部信号q0M、q1M、q2M、q3(図17参照)と、を入力する。
このようにすることで、一周期Tの時間積分により未知の外乱がキャンセルされ得るため、誤差パラメータ群(δJM、δDM、δτfM、δJL、δDL、δτfL、δBL)を精度良く算出することができる。
図19に示す処理フローは、例えば、第1の実施形態(図7)と同様に、機械系2の実運転の開始前等において、パラメータ同定装置12(図15)が機械系2についてのパラメータ同定を行う際に実行される。
具体的には、パラメータ同定部122は、ステップS14において、モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0、モデル負荷側慣性モーメントJL0、及び、モデル負荷側粘性係数DL0を同定する。
以上のように、第2の実施形態に係るパラメータ同定装置12は、機械系2が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に小振幅かつ低周波数の場合に同定を行う第1ステップと、機械系2が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に大振幅かつ高周波数の場合に同定を行う第2ステップと、に分けてモデルパラメータの同定を行う。
より詳細には、パラメータ同定部122は、第1ステップにおいて取得されたトルクτと、モータ20の角度及び角速度の実測データと、負荷21の角度及び角速度の実測データと、に基づいて、モータの摩擦、負荷の摩擦、軸22の剛性、及び、軸22の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定する。
そして、パラメータ同定部122は、第2ステップにおいて取得されたトルクτと、モータ20の角度の実測データと、負荷21の角度の実測データと、に基づいて、モータ20の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ(モデルモータ側慣性モーメントJM0、モデルモータ側粘性係数DM0)、及び、負荷21の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ(モデル負荷側慣性モーメントJL0、及び、モデル負荷側粘性係数DL0)を同定する。
そこで、上述のような2段階のステップを実施する態様とすることで、2慣性系モデルMODを構成する全てのパラメータを高精度に同定することができる。
また、パラメータ同定装置12の機能が、ネットワークで接続される複数の装置に渡って具備される態様であってもよい。
10 フィードバック制御部
11 フィードフォワード制御部
12 パラメータ同定装置
120 データ取得部
121 位相面図生成部
122 パラメータ同定部
123 モータ側エラーシステム
124 負荷側エラーシステム
2 機械系
20 モータ
21 負荷
22 軸
θt 目標角度(目標回転角度)
τ、τ’ トルク
θM モータ角度(モータの角度)
ωM モータ角速度(モータの角速度)
JM モータ側慣性モーメント
DM モータ側粘性係数
τfM モータ側摩擦係数
τfMc モータ側クーロン摩擦係数
θL 負荷角度(負荷の角度)
ωL 負荷角速度(負荷の角速度)
JL 負荷側慣性モーメント
DL 負荷側粘性係数
τfL 負荷側摩擦係数
τfLc 負荷側クーロン摩擦係数
KR ねじれ剛性係数
DR ねじれ粘性係数
BL 不感帯幅
MOD 2慣性系モデル
JM0 モデルモータ側慣性モーメント
DM0 モデルモータ側粘性係数
τfM0 モデルモータ側摩擦係数
τfMc0 モデルモータ側クーロン摩擦係数
JL0 モデル負荷側慣性モーメント
DL0 モデル負荷側粘性係数
τfL0 モデル負荷側摩擦係数
τfLc0 モデル負荷側クーロン摩擦係数
BL0 モデル不感帯幅
KR0 モデルねじれ剛性係数
eM モータ側誤差信号
eL 負荷側誤差信号
δJM モータ側慣性モーメント誤差成分
δDM モータ側粘性係数誤差成分
δτfM モータ側摩擦係数誤差成分
δJL 負荷側慣性モーメント誤差成分
δDL 負荷側粘性係数誤差成分
δτfL 負荷側摩擦係数誤差成分
δBL 不感帯幅誤差成分
q0M、q1M、q2M モータ側内部信号
q0L、q1L、q2L 負荷側内部信号
q3 不感帯用内部信号(モータ側内部信号、負荷側内部信号)
S1、S2 符号関数
F1 不感帯特性関数
F1’ ガタ変位関数
F2 不感帯特性変化関数
GM モータ側摩擦特性関数
GL 負荷側摩擦特性関数
P1 ねじれ角度−トルク位相面図
P2 トルク−機械角速度位相面図
P3 ねじれ角度−機械角速度位相面図
P4 トルク−ねじれ速度位相面図
P5 ねじれ角度−ねじれ速度位相面図
P6 負荷角度−トルク位相面図
Claims (12)
- モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、
前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部と、
取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部と、
生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、
を備えるパラメータ同定装置。 - 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すトルク−ねじれ速度位相面図を生成し、
前記パラメータ同定部は、前記トルク−ねじれ位相面図における折れ点の位置に基づいて前記モータの摩擦を示すモデルパラメータを同定する
請求項1に記載のパラメータ同定装置。 - 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記連結部材のねじれ速度との関係を示すねじれ角度−ねじれ速度位相面図を生成し、
前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−ねじれ速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定する
請求項1又は請求項2に記載のパラメータ同定装置。 - 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記トルク指令値と、前記モータの角速度及び前記負荷の角速度のうちの少なくとも何れか一つとの関係を示すトルク−機械角速度位相面図を生成し、
前記パラメータ同定部は、前記トルク−機械角速度位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。 - 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記負荷の角度と前記トルク指令値との関係を示す負荷角度−トルク位相面図を生成し、
前記パラメータ同定部は、前記負荷角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて前記負荷の摩擦を示すモデルパラメータを同定する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。 - 前記位相面図生成部は、前記位相面図として、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成し、
前記パラメータ同定部は、前記ねじれ角度−トルク位相面図における折れ点の位置に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅のうちの少なくとも何れか一つを示すモデルパラメータを同定する
請求項1から請求項4の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。 - 前記トルク指令値、前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうちモータ側のモデルの、前記モータに対する誤差の度合いを示すモータ側誤差信号を出力するモータ側エラーシステムと、
前記モータの角度、及び、前記負荷の角度の実測データに基づいて、前記2慣性系モデルのうち負荷側のモデルの、前記負荷に対する誤差の度合いを示す負荷側誤差信号を出力する負荷側エラーシステムと、
を更に備え、
前記パラメータ同定部は、
前記モータ側誤差信号を入力して、少なくとも前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定し、かつ、前記負荷側誤差信号を入力して、少なくとも前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する
請求項1から請求項6の何れか一項に記載のパラメータ同定装置。 - 前記パラメータ同定部は、
前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に小振幅かつ低周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定し、
前記機械系が行う反復動作の振幅及び周波数が相対的に大振幅かつ高周波数の場合に取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記モータの慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータ、及び、前記負荷の慣性モーメント及び粘性係数を示すモデルパラメータを同定する
請求項7に記載のパラメータ同定装置。 - モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置であって、
前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、を取得するデータ取得部と、
取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度の実測データと、前記負荷の角度の実測データと、に基づいて、前記連結部材のねじれ角度と前記トルク指令値との関係を示すねじれ角度−トルク位相面図を生成する位相面図生成部と、
生成された前記ねじれ角度−トルク位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部と、
を備えるパラメータ同定装置。 - 請求項1から請求項9の何れか一項に記載のパラメータ同定装置と、
前記負荷の目標とする角度に対する現在の角度の偏差に基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードバック制御部と、
前記パラメータ同定装置によって同定された前記モデルパラメータに基づいて、前記トルク指令値を算出するフィードフォワード制御部と、
を備えるモータ制御システム。 - モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定方法であって、
前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するステップと、
取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成するステップと、
生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するステップと、
を有するパラメータ同定方法。 - モータと負荷とが連結部材にて連結されてなる機械系を模した2慣性系モデルのモデルパラメータを同定するパラメータ同定装置のコンピュータを、
前記モータに対するトルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、を取得するデータ取得部、
取得された前記トルク指令値と、前記モータの角度及び角速度の実測データと、前記負荷の角度及び角速度の実測データと、に基づいて複数の位相面図を生成する位相面図生成部、
生成された複数の前記位相面図に基づいて、前記モータの摩擦、前記負荷の摩擦、前記連結部材の剛性、及び、前記連結部材の不感帯幅を示すモデルパラメータを同定するパラメータ同定部、
として機能させるプログラム。
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