〔一実施の形態〕
図1は、一実施の形態に係る給湯システムの構成例を示す図である。図1に示す構成は一例であり、本発明は斯かる構成に限定されない。
給湯システム2は、タンクユニット4と第1の熱源機6と第2の熱源機8を備え、これらの熱源機6、8によって加熱された湯をタンクユニット4に貯めて、給湯負荷側に給湯する、いわゆる、ハイブリッド給湯システムの一例である。給湯システム2には、たとえばタンクユニット4内の蓄熱状態、熱源機6、8に対する動作などを制御する制御部10を備える。
タンクユニット4は、貯湯タンク(以下、単に「タンク」と称する)12を備えており、上水Wが給水されて内部に高温の温水HWや湯水MW、低温の湯水CWで満たされる。タンクユニット4には、第1の熱源機6側に上水Wや低温の湯水CWを流し、この第1の熱源機6で発生する熱によって加熱された温水HWを貯留する。また、タンクユニット4は、貯まっている湯の量や給湯要求に応じて第2の熱源機8によって加熱された湯を取り込む。このように、タンクユニット4は、複数の熱源機6、8を併用して温水HWを貯め、給湯需要に応じて温水HWを給湯する。
このタンク12は、たとえば下層側に上水Wが給水される。そして、タンク12は、この低温の上水Wや下層側の湯水CW、中層側の湯水MWが熱源機6、8によって加熱され、高温の温水HWを上層側から取り込む。これによりタンク12内では、上層側から下層側に向けて湯水の温度が高温から低温になるように構成されている。
第1の熱源機6は、タンク12の下層側にある低温の上水Wまたは低温の湯水CWを取り込んで加熱する加熱手段の一例である。この第1の熱源機6は、タンク12内の湯の状態に応じた加熱処理、または給湯要求に対する上水Wの加熱処理に対するメインの加熱手段である。
第2の熱源機8は、給湯システム2の補助加熱手段の一例であり、タンク12の中層側の温水MWを取り込んで加熱した後、タンク12の上層側に供給する加熱手段である。第2の熱源機8は、たとえば給湯要求に応じた湯水の追加加熱や、第1の熱源機6が動作休止中の場合の湯に動作する。
給湯システム2では、たとえば第1の熱源機6が第2の熱源機8より加熱効率の高い装置を利用し、第2の熱源機8が第1の熱源機6より加熱能力の高い装置を利用している。このように第1の熱源機6と第2の熱源機8の能力を異ならせることで、たとえば加熱効率の高い第1の熱源機6によってタンク12の温水HWで蓄熱する。そして給湯需要が増大し、温水HWの上層側温度が低下した場合には、加熱能力の高い第2の熱源機8によって上層側の温水HWの温度を上昇させ、給湯需要に応じて動作させることにより、第1の熱源機6と第2の熱源機8とで加熱能力を補完すればよい。
<第2の熱源機8側の構成および機能について>
第2の熱源機8には、タンク12内の湯水を取り込み、加熱してタンク12内に戻す管路14が設置される。この管路14は、本開示の加熱管路の一例であり、タンク12の中層の高さに接続され、第2の熱源機8の入側に接続する往き管14Aと、第2の熱源機8で加熱された温水HWをタンク12の上層側に流す戻り管14Bを備えている。この管路14には、たとえば図示しないポンプなどの圧送手段を備えればよい。
管路14には、たとえば戻り管14B上であって、タンク12に近い位置に切替弁16が設置され、この切替弁16の一方に接続させたバイパス管18が設置される。切替弁16は、本開示の切替手段の一例であり、戻り管14Bの流路をタンク12側とバイパス管18側とに切替える。バイパス管18は、戻り管14Bと往き管14Aとを連通させており、戻り管14B内の温水などを、タンク12をバイパスして往き管14A側に流す。すなわち、管路14は、バイパス管18を利用することで往き管14Aや戻り管14B内の湯水をタンク12側に流さず、第2の熱源機8に対して循環させることができる。そして、第2の熱源機8は、流入する湯水の温度に応じて加熱処理を行う。
これにより、第2の熱源機8側では、タンク12側に対して温水HWの供給をしていない時に管路14内にある湯水を加熱する予備加熱を行うことができる。
管路14の戻り管14Bには、熱源機8の出側にある温水HWの温度を検出する温度センサ20を備えている。この温度センサ20は、本開示の第1の温度センサの一例であり、タンク12に対する給湯温度や予備加熱中の温水の温度を検出する。制御部10は、たとえば温度センサ20の検出温度に基づいて予備加熱処理の実行、終了を決定するとともに、切替弁16の切替制御や図示しないポンプのオン/オフを制御すればよい。
<タンク12および第1の熱源機6側の構成について>
タンク12には、たとえば中層の高さに温度センサ22を備えており、タンク12内の湯水の温度を検出している。この温度センサ22は、本開示の第2の温度センサの一例であって、この検出温度を第1の熱源機6側の予備加熱処理の開始または停止タイミングとして利用すればよい。
タンク12には、第1の熱源機6との間で湯水を流す往き管24Aと戻り管24Bを含む管路24を備えている。往き管24Aは、たとえばタンク12の底部または下層側に接続され、戻り管24Bは、タンク12の天井または上層側に接続されている。第1の熱源機6の管路24と第2の熱源機8の管路14は、内部に流れる湯水で熱伝達しないように、接触させないように配置すればよい。
<給湯制御>
図2は、給湯システムによる給湯制御の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理内容、処理手順は一例であり、本発明が斯かる内容に限定されるものではない。
この給湯制御は、本開示の給湯制御プログラムの一例であって、第2の熱源機8側の予備加熱を含む。
給湯システム2は、たとえば電源投入や設定操作、給湯要求操作などを実行することで動作を開始する(S1)。動作開始を契機に、制御部10は、切替弁16を動作させて戻り管14Bの流路をタンク12側に設定する(S2)。切替弁16をタンク12側に設定することで、直ちに補助加熱が必要な場合の給湯の応答性を向上させることができる。
制御部10は、温度センサ20の検出温度を取り込み、戻り管14B内の湯水の温度(TR)を監視する(S3)。戻り管14B内の湯水の温度(TR)が貯留温度(TH)未満か否かを判断する(S4)。この貯留温度(TH)は、たとえばタンク12の上層側の温水HWの最低温度または熱源機8に設定される給湯温度が設定される。
この貯留温度(TH)は、戻り管14Bに滞留する湯水の監視温度の一例として利用する。すなわち、戻り管14Bに滞留する湯水が補助加熱開始時にそのままタンク12の上層側に流入すれば、タンク12内に貯留している温水HWの温度に影響を与えることになる。そのため、制御部10は、戻り管14B内の湯水がタンク12内の湯水の貯留温度THよりも低いか否かを監視して、低温の湯水がタンク12内に混入するのを防止する。
戻り管14B内の湯水の温度(TR)が貯留温度(TH)未満の場合(S4のYES)、予備加熱を行うために切替弁16をバイパス管18側に切替え(S5)、ポンプを始動させる(S6)。第2の熱源機8に対して管路14はバイパス管18を通じて循環路が形成される。ポンプの始動により管路14内の湯水が第2の熱源機8に流入すると、たとえば貯留温度(TH)以上になるように熱源機8を燃焼させ(S7)、管路14内の湯水を予備加熱させる。
戻り管14B内の湯水の温度(TR)が貯留温度(TH)以上になると(S4のNO)、切替弁16をタンク12側に切替える(S8)。第2の熱源機8に対する補助加熱の指示が出ている場合にはポンプおよび熱源機8の運転を継続させ、また、補助加熱の指示が出ていない場合には、ポンプや燃焼処理を停止させればよい。
<タンク12内の温度状態と予備加熱の実施処理について>
制御部10は、たとえばタンク12内の湯水の温度状態に基づいて第2の熱源機8の予備加熱処理を行ってもよく、温度センサ22の検出温度が所定温度未満となったことを契機に切替弁16を切替えて管路14内の湯を加熱してもよい。このようにタンク12内の湯水の温度を予備加熱の契機とすることで、給湯の実行によりタンク12内に貯められた温水HWが消費されることで、蓄熱された熱量が不足する前に給湯準備をすることができる。
なお、温度センサ22は、タンク12内の設定高さの温度を検出するためのセンサを利用してもよく、または予備加熱専用のセンサであってもよい。第2の熱源機8による補助加熱を開始する前に予備加熱を行うようにするため、この温度センサ22は、補助加熱の開始基準となる図示しない温度センサよりも下層側に配置すればよい。
そのほか給湯システム2では、たとえば第1の熱源機6と第2の熱源機8に対してユーザの給湯利用の状態に応じた動作モード、または各熱源機6、8に対し、タンク12での放熱ロスの低下などを考慮した動作モードを設定し、斯かる動作モードに基づいて熱源機6、8の動作制御を実行してもよい。
<一実施の形態の効果>
斯かる構成によれば、次のような効果が得られる。
(1) 管路14内に貯まっている湯水をバイパス路18で第2の熱源機8側に循環させて加熱することで、低温の湯水がタンク12の上層側に流入せず、給湯システム2からの給湯温度の低下を防止できる。
(2) 管路14内に貯まっている湯水を所定温度以上に加熱しておくことで、補助給湯指示に対して、迅速に対応できる。
(3) タンク12の上層側に高温の湯を切らすことがなく要求温度での給湯処理が行え、給湯システム2の利便性が高められる。
(4) 第2の熱源機8に対する給湯要求時に、管路14内の湯の温度が高められているので、タンク12と第2の熱源機8とが離間した位置にあっても、タンク12に対して低温の湯水を混入させることはない。
(5) 本発明の給湯システム2では、予備加熱によって早急に補助加熱が行えるので、熱源機8とタンク12とを離間して配置でき、給湯システムの配置の自由度が高められる。
<給湯システム30>
図3は、給湯システムの実施例を示す図である。図3に示す構成は一例である。図3において、図1に示す構成と同一部分について同符号を付し、その説明を省略する。
給湯システム30は、加熱された湯を貯めるタンク12を備え、給湯負荷に湯を供給するタンクユニット4と、ヒートポンプ32、給湯機34を備えている。タンクユニット4には、第1の熱源機6の一例であるヒートポンプ32の熱を回収して蓄熱するとともに、給湯要求に対する温度に対応するための補助加熱手段として、第2の熱源機8の一例である給湯機34を利用して蓄熱する。また、この給湯システム30では、給湯機34とタンク12とを接続する管路14内にある湯水について、給湯機34による補助加熱を開始する前に予め所定温度まで加熱する予備加熱処理を行う。
<タンクユニット4の構成について>
タンクユニット4には、筐体内にタンク12が設置され、そのタンク12に対して給水管路36や出湯管路38が設置されている。給水管路36は、たとえばタンク12の底部側に接続され、水道水やその他の給水手段などから上水Wが供給される。出湯管路38は、たとえばタンク12の上部側に接続され、温水HWを給湯負荷側に向けて流す管路の一例である。また給水管路36には、タンク12よりも上流側で分岐し、出湯管路38と合流する混合管路40が接続されている。この給水管路36と混合管路40との接続部分には、上水Wの流路をタンク12側と出湯管路38との間で所定の比率に設定するミキシング弁42が設置されている。また給水管路36には、減圧弁44や逆止弁46、48や給水状態を監視する水流センサ50等が設置されてもよい。出湯管路38には、温水HWと上水Wとを混合した湯の出湯量を調整する混合水規制弁52を備える。
タンク12は、ヒートポンプ32と接続する管路24として、タンク12の下層側の湯水CWや上水Wをヒートポンプ32側に流す往き管路24Aやヒートポンプ32の熱を回収した温水HWをタンク12の上層側に流す戻り管路24Bを備える。戻り管24Bには、たとえばタンク12に近い位置で分岐されて往き管24Aと接続する分岐管54を備える。この分岐管54と戻り管24Bとの分岐部分には切替弁56が設置され、戻り管24Bを流れる湯水をタンク12側または往き管24A側に切替える。
また、往き管24Aには、管路24内に湯水を流すためのポンプ58が設置される。
タンク12には、給湯機34と接続する管路14として、既述のように、往き管14Aと戻り管14Bが接続されている。また、戻り管14Bには、切替弁16やバイパス管18を備える。往き管14Aには、湯水を管路14内に圧送するポンプ60を備えてもよい。
タンク12は、たとえば上層から下層に向けて縦方向に内部が複数の領域に区分けされ、領域毎に温度状態を監視するための温度センサ62−1、62−2、62−3、62−4を備えている。
またタンクユニット4では、筐体に温度センサ62−5が設置されており、外気温度を検出する。
出湯管路38上には、たとえばタンク12からの出湯温度を検出する温度センサ62−6や、上水Wと混合して給湯要求温度に調整した温水HWの温度を検出する温度センサ62−7が設置されている。給水管路36には、給水温度を検出する温度センサ62−8を備える。
ヒートポンプ32と接続する管路24には、往き管24A側にタンク12から取り出した温度を検出する温度センサ62−9や戻り管24B側の温度を検出する温度センサ62−10を備える。
さらに、給湯機34側とタンク12を接続する管路14には、たとえば戻り管14Bに流れるまたは滞留する湯水の温度を検出する温度センサ64を備える。この温度センサ64は、本開示の第1の温度センサの一例であり、その検出結果が、給湯機34側の湯水の予備加熱処理の開始または停止条件を基準となる。
<ヒートポンプ32について>
ヒートポンプ32は、たとえばヒートポンプ回路66や熱交換器68を備える。ヒートポンプ回路66には、たとえば図示しない発熱装置に対する冷媒としてCO2が循環している。熱交換器68では、ヒートポンプ回路66で循環する冷媒により発熱装置から回収した熱を管路24に流れる湯水と熱交換させる。そのほかヒートポンプ回路66には、図示しない膨張弁、空気熱交換機、圧縮機を備えてもよく、これらによってCO2冷媒サイクルを形成すればよい。また、戻り管24B側には、熱交換後の温水HWの温度を検出する温度センサ62−11を備える。
<給湯機34について>
給湯機34は、たとえば燃焼室内にバーナ70および熱交換器72を備えている。バーナ70は、たとえば燃料ガスを燃焼させて燃焼排気を排出する。熱交換器72は、管路14に接続されており、内部に湯水を通過させてバーナ70の燃焼排気と熱交換することで加熱する。
給湯機34には、湯水MWを取り込む往き管14A側に水流センサ74、温度センサ62−12を備えている。この給湯機34は、たとえば図示しない制御部を備えており、設定温度と水流センサ74の検出流量に応じてバーナ70の燃焼制御を行う。給湯機34には、バーナ70をバイパスして往き管路14Aと戻り管14Bとを接続するバイパス路76、このバイパス路76に対する流量の切替えや流れを分配するミキシング弁78を備える。
戻り管14Bには、熱交換器72で熱交換後の湯の温度を検出する温度センサ62−13やバイパス路76を通じて低温の湯水を混合した後の湯の温度を検出する温度センサ62−14を備える。
<タンク12の構成例について>
図4は、タンクの構成例を示している。タンク12は、たとえば高さ方向に長大な円筒状容器で構成される。このタンク12は、たとえば90〔リットル〕程度の容量で構成してもよい。
タンク12には、たとえば出湯管路38からの出湯量に応じて、下層側に接続された給水管路36から上水Wが給水される。これにより、タンク12には所定量の湯水が貯留される。
タンク12は上層側から給湯するとともに下層側から給水し、加熱後の温水HWは上層側に戻されるので、湯水の温度分布は下層側から上層側に向かって高温となる複数階層の蓄熱領域が構築される。この実施例では、たとえば領域I、II、III、・・・IXの9層の蓄熱領域を想定している。
タンク12には、たとえば上層側に邪魔板80、下層側に邪魔板82を備えている。邪魔板80、82は、それぞれタンク12の中層側に向けて凸状とした湾曲形状である。この邪魔板80、82は、タンク12の天井側、または底部側に対して湾曲の凹部が向けられることで、出湯または給水による渦の発生や急激な湯水の流れを抑制でき、タンク12内の階層蓄熱が乱れるのを防止する手段の一例である。
タンク12に設置された4つの温度センサ62−1、62−2、62−3、62−4は、それぞれ湯水の領域の温度を検出しており、領域毎の温度状態の監視に利用されるほか、給湯システム2の給湯制御、ヒートポンプ32や給湯機34に対する動作制御の契機として利用される。
温度センサ62−1は、たとえばヒートポンプ32や給湯機34から流入した温水HWの熱の影響を受けない領域として、蓄熱領域VIIIと蓄熱領域IXの境界部温度を計測している。この温度センサ62−1の検出温度は、ヒートポンプ32および給湯機34の加熱開始温度として利用される。
温度センサ62−2は、たとえば蓄熱領域VIと蓄熱領域VIIの境界部より上側温度を計測している。この実施例では、給湯機34に湯水を流す往き管14Aが蓄熱領域VIと蓄熱領域VIIの境界部に配置されている。この温度センサ62−2の検出温度は、給湯機34の予備加熱処理の開始温度として利用される。
温度センサ62−3は、たとえば蓄熱領域IVと蓄熱領域Vとの境界部温度を計測している。
また、温度センサ62−4は、たとえば蓄熱領域IIと蓄熱領域IIIとの境界部分の温度を計測しており、この検出温度がヒートポンプ32の加熱開始温度として利用される。
このタンク12では、邪魔板80を備えることで、上層部DHに対し、給湯機34からの給湯による温水の乱れを低減でき、蓄熱量が確保できる。また、邪魔板82は、下層部DLに対し、蓄熱領域I、II内で給水された低温の上水Wが蓄熱領域I、II内に混入し難くなることで、温度センサ62−4による低温の検出頻度が抑えられ、ヒートポンプ32を頻繁に動作させずに、蓄熱状態を確保することができる。
給湯システム30は、たとえばヒートポンプ32と給湯機34に対する動作制御の第1のモードとして、下層側の検出温度に基づいてヒートポンプ32を始動させるとともに、上層側の検出温度に基づいて給湯機34を始動させるようにしてもよい。また、動作制御の第2のモードとして、上層側の検出温度に基づいてヒートポンプ32および給湯機34を始動させ、上層側の蓄熱条件を満たした時に、ヒートポンプ32を停止させるようにしてもよい。
<管路14内の湯水に対する予備加熱>
給湯システム30は、たとえば給湯制御として、管路14内に滞留している湯水を給湯機34側で循環させて加熱する予備加熱処理を行う。この予備加熱処理は、給湯機34によるタンク12の補助加熱を行う前に実施する。図示しないタンク制御部は、たとえばタンク12内の温度センサ62−2の検出温度T2が所定温度未満となったことを契機として予備加熱処理の開始を判断する。
予備加熱処理では、図5に示すように、切替弁16をタンク12側からリターン側に設定することで、戻り管14Bがバイパス路18側に接続される。これにより給湯機34側には、往き管14A、戻り管14B、バイパス管18による循環路が形成される。つまり予備加熱処理は、少なくとも給湯機34から切替弁16までの戻り管14B内に滞留する湯水を加熱させる処理であり、給湯機34で加熱されていない湯水がタンク12内に流れないようにする。
給湯システム30では、たとえば予備加熱処理を実行するか否かの判断について、タンク12と給湯機34との間の管路14の長さや、管路14内に滞留する湯水の量に基づいて判断すればよい。具体的な実行判断として、たとえば給湯機34による補助加熱の開始指示からタンク12内に給湯されるまでに要する時間と、タンク12内の上層側の温水HWが消費されるまでの時間とを比較してもよい。つまり、給湯機34からの給湯に要する時間を比較することで、タンク12内の温水HWの蓄熱領域IXの容積が戻り管14Bの容積(V1+V2)よりも大きいか否かを判断することができる。
予備加熱処理を行うことで、戻り管路14Bのうち、少なくとも切替弁16までの体積V1分の容積を所定温度まで加熱することができる。これにより、給湯機34による補助加熱の開始時に、タンク12内の温水HWが消費し尽くされるのを回避できるほか、大量の未加熱の湯水がタンク12内に流入するのを防止できる。以上の点から、管路14において、切替弁16およびバイパス管18の設置位置は、タンク12に近い位置が好ましい。
なお、予備加熱処理の実行判断の条件は、温度センサ62−2の検出温度T2に限られず、たとえばタンクユニット4が給湯中か否かのほか、ヒートポンプ32による加熱処理の実施中か否かなどの条件を組み合わせて設定してもよい。
<給湯システム30の制御部の構成について>
図6は、タンク制御部の構成例を示す図である。図6に示す構成は一例である。
制御部84は、本開示の制御部の一例であり、給湯システム30の給湯制御のほか、タンクユニット4に対する制御指示、ヒートポンプ32および給湯機34に対する加熱処理を含む制御指示などを行う。
この制御部84には、たとえばタンク制御部90、ヒートポンプ制御部102、給湯機制御部112、リモコン制御部122等の機能部を備えてもよい。
タンク制御部90は、たとえばタンクユニット4に設置された各温度センサ62−1〜62−10からの検出情報に基づいてポンプ58、60などの機能部に対する制御を行う。このタンク制御部90は、たとえばマイクロコンピュータで構成されており、プロセッサ92、メモリ部94、システム通信部96、タイマー98、I/O(Input/Output)100などを備える。プロセッサ92は、メモリ部94に格納されたタンクユニット4の動作制御プログラムを演算処理し、タンク12による給湯制御や、タンク12内の温水HWの監視処理、ヒートポンプ32や給湯機34に対する加熱処理、予備加熱処理の実行処理を行う。メモリ部94は、記憶手段の一例であり、動作制御プログラムを格納するほか、タンクユニット4に設置された温度センサ62−1、62−2、・・・62−10で検出された温度情報を記憶する。メモリ部94は、たとえばROM(Read Only Memory)として、ハードディスクや半導体メモリなどの記録媒体で構成される。またメモリ部94には、プロセッサ92によるプログラムの演算処理を行うための処理領域として機能するRAM(Random Access Memory)が含まれる。
システム通信部96はプロセッサ92の制御により、ヒートポンプ制御部102や給湯機制御部112およびリモコン制御部122と通信する機能部であって、有線または無線によって制御情報を送受信する。I/O100はタンクユニット4の各機能部と接続するためのインターフェースの一例であり、タンク制御部90との間で検出情報の取り込みや制御指示の出力などを行う。
ヒートポンプ制御部102は、たとえばヒートポンプ32に設置されており、図示しない発熱手段の動作制御や熱媒の循環制御などを行う手段の一例である。ヒートポンプ制御部102は、たとえば図7に示すように、コンピュータによって構成され、プロセッサ104、メモリ部106、システム通信部108およびI/O110を備えている。プロセッサ104は、メモリ部106に格納されたプログラムを実行し、ヒートポンプ32の機能制御などの情報処理を行う。メモリ部106にはプログラムや、情報処理によって得られる制御情報が格納される。システム通信部108はプロセッサ104の制御により、タンク制御部90、給湯機制御部112およびリモコン制御部122と接続され、制御情報の送受信を行う機能部の一レである。I/O110は温度センサ62−11と接続され、温度検出情報を取り込む。
給湯機制御部112は、たとえばバーナの燃焼制御、燃料ガスの供給制御などを含む給湯機34の動作制御を行う制御部の一例である。給湯機制御部112は、コンピュータで構成され、プロセッサ114、メモリ部116、システム通信部118、I/O120を備える。斯かる構成により、給湯制御部112では、たとえばタンク制御部90からの制御指示に基づいてタンク12内の湯を加熱する補助加熱処理や、管路14内に滞留する湯水を加熱する予備加熱処理を実行する。メモリ部116には、給湯機34を動作させる動作制御プログラムが格納されるほか、I/O120を通じて取り込んだ温度センサ62−12、62−13、62−14の温度情報を格納する。
リモコン制御部122は、給湯システム30に対する設定操作が入力されるリモコン装置の制御手段の一例である。このリモコン装置は、たとえば給湯要求温度の設定やヒートポンプ32や給湯機34に対する動作モードの設定などの入力が行われるほか、給湯システム30全体の運転状態や設定温度などの状態表示機能、警報などの報知機能などを備えてもよい。
リモコン制御部122は、マイクロコンピュータで構成され、プロセッサ124、メモリ部126、システム通信部128およびI/O130を備える。リモコン制御部122は、システム通信部128を通じてタンク制御部90、ヒートポンプ制御部102、給湯機制御部112と接続し、入力情報を送信するとともに各機能部の動作状態情報を受信している。リモコン制御部122は、I/O130を通じて、リモコン装置の入力手段(SW)132、操作表示部134、LED136と接続し、入力操作の取り込みや運転状態や警報の表示指示や発光指示を行っている。
<給湯機予備加熱処理>
図8は、給湯機による予備加熱処理の一例を示すフローチャートである。図8に示す処理は一例である。
この予備加熱処理は、本開示の給湯制御プログラムの一例であり、管路14内の湯水を給湯機34に流して加熱する。
タンク制御部90は、戻り管14B内の湯水の温度を監視するため、温度センサ64の検出温度T15を取り込み、この検出温度T15が貯留温度THとして、たとえば65〔℃〕未満か否かを判断する(S11)。貯留温度THは、たとえばタンク12の上層側に貯留する温水HWの最低温度と同じ温度が設定されればよく、タンク12内の温度よりも低い温度の湯水を給湯すると、タンク12内の温度を低下させることになることから、予備加熱処理に移行すればよい。
ここで、給湯システムの温度条件の一例を示す。
(1) システム給湯設定温度(Tset):給湯システム30からの給湯温度の設定値であり、最高温度をたとえば75〔℃〕に設定される。
(2) タンク12の貯留温度:ヒートポンプ32の加熱後温度であって、(Tset + 5〔℃〕)である。この貯留温度の最低温度は、たとえば65〔℃〕である。
(3) 給湯機加熱後温度:(Tset + 10〔℃〕)であって、たとえば最低温度が70〔℃〕、最高温度が80〔℃〕に設定される。
(4) 給湯機34による補助加熱の開始基準温度:温度センサ62−1の検出温度T1=(Tset + 3〔℃〕)に設定すればよい。
(5) 補助加熱停止基準温度:温度センサ62−2の検出温度T2=(Tset + 3〔℃〕)に設定すればよい。
(6) ヒートポンプ32のオーバーヒート温度は、たとえば48〔℃〕。
(7) ヒートポンプ32による加熱開始基準として、温度センサ62−4の検出温度T4として、たとえば(48〔℃〕−3〔℃〕)=45〔℃〕に設定すればよい。
(8) ヒートポンプ32による加熱停止基準として、ヒートポンプ32に湯水を流す往き管24Aにある温度センサ62−9の検出温度T9が、たとえば(48〔℃〕−3〔℃〕)=45〔℃〕に設定すればよい。
検出温度T15が貯留温度TH未満の場合(S11のYES)、タンク12内の湯水の状態判断として、温度センサ62−2の検出温度T2が基準温度TS2として、たとえば63〔℃〕未満か否かを判断する(S12)。検出温度T15が貯留温度TH以上の場合(S11のNO)、タンク12に対して給湯するのに十分な温度となっていることから、予備加熱処理を終了すればよい。温度センサ62−2の検出温度T2が基準温度TS2未満の場合(S12のYES)には、予備加熱を開始する。また、検出温度T2が基準温度T2以上の場合(S12のNO)、予備加熱処理を終了すればよい。
予備加熱処理の開始判断では、たとえばタンク12内の湯が消費中である場合や、または加熱処理が行われずに温度が低下した場合などで、タンク12に対して給湯する補助加熱処理が実行される可能性が高いか否かを判断している。つまり、補助加熱開始の判断基準の1つである温度センサ62−1の設置位置よりも下層側の領域の温度が低下してきたことを契機に、検出温度T1が補助加熱の開始温度に達する前に予備加熱を実行する。
タンク制御部90は、切替弁16をリターン側、すなわちバイパス管18側にセットして(S13)、給湯機34側に循環路を形成する。そして給湯機配管長を測定するために、タイマー98をスタートさせる(S14)。給湯用のポンプ60を所定回転数として、たとえば給湯機34が燃焼を開始するための最小限流量である、たとえば3〔リットル/分〕となるように設定し、作動させる(S15)。ポンプ60の回転数は、管路14の長さや湯水の容量に応じて設定すればよい。
戻り管14B内の温度センサ64による検出温度T15が貯留温度TH以上になるまで温度監視を継続する(S16のYES)。
タンク制御部90では、たとえば管路14の容量とタンク上層側の容量とを対比して予備加熱処理を行うか否かを判断してもよい。
検出温度T15が貯留温度TH以上となると(S16のNO)、タイマー98の計時結果を読み出して、給湯機配管長測定のタイマー値を確定させる(S17)。
管路14内の湯水の量は、たとえば「予備加熱時の流量×配管長測定タイマー値」によって算定できる。ここで、給湯機34による補助加熱では、給湯機34側に湯水を流すポンプ60の回転数がタンク12内の湯水の消費流量と同等に設定される。従って、上層側の温水HWの消費時間と予備加熱に要する時間とを対比することで、タンク12内の湯水が消費される前に給湯機34から給湯されるか否かが把握でき、予備加熱が必要か否かの基準とすればよい。
そこで、測定したタイマー値が所定時間よりも短いか否かを判断する(S18)。タイマー値と比較する所定時間は、配管長判定タイマー値である。この配管長判定タイマー値は、(タンクの上層部体積)/(給湯機最小燃焼流量)で算出される。上層部体積が約10〔リットル〕とすると、給湯機最小燃焼流量が予備加熱時のポンプ流量と同じ値として、3〔リットル/分〕であることから、配管長判定タイマー値は約3分となる。
測定したタイマー値が所定時間よりも短い場合(S18のYES)、タンク制御部90に給湯機配管長フラグの「短」をセットする(S19)。この場合、管路14内にある湯水の容量がタンク12の上層部の容量よりも少ないと判断され、たとえば給湯システム30の給湯処理において、予備加熱を行わないように設定してもよい。
また、測定したタイマー値が所定時間よりも長い場合(S18のNO)、管路14の容積から予備加熱が必要であると判断され、予備加熱の設定が維持される。
測定タイマー値による予備加熱の要否判断を行った後は、ポンプ60を停止させ、予備加熱処理を終了する(S20)。
なお、予備加熱は、たとえば給湯システム30に対する利用者の設定に基づいて実行するか否か、およびその頻度などを決定してもよい。また、給湯システム30では、予備加熱を実行するように設定された場合、測定したタイマー値による配管長測定の処理を行わなくてもよい。
また、予備加熱実行の判断について、上層部体積はタンク12の全体容量、温度センサ62−1の設置位置などにより決まるものであるため、一律に把握できない。そこで、給湯システム30の動作開始時の準備動作として、給湯機34のみによって、温度センサ62−1の検出温度T1が所定温度になるまで加熱処理を行い、給湯機34の給湯能力を自己学習して、予備加熱が必要か否かの判断を行ってもよい。
<実施例1の効果>
(1) 給湯継続中にタンク12内の中層側の温度状態を監視し、その温度変化に基づいて、給湯機34による補助加熱が必要になるか否かを判断することで、給湯機34による加熱処理を最小限に抑えられ、省エネや効率化が図れる。
(2) 予備加熱処理において管路14の配管長の判定処理を行うことで、給湯システム30毎に予備加熱の必要性が把握できる。
(3) 配管長の判定処理を行うことで、給湯システム30の設置条件や運転条件に応じた予備加熱処理の実行設定情報が得られる。
(4) 配管長の判定処理により、予備加熱を実行するか否かを自動で設定することができ、給湯システム30の施工処理や設定処理の容易化が図れる。
(5) 管路14内に貯まっている湯水を所定温度以上に加熱しておくことで、補助給湯指示に対して、迅速に対応できる。
(6) 給湯機34からの補助加熱が開始されるまでに、給湯中のタンク12内の湯切れを回避できる。
図9は、実施例2に係る給湯機制御の一例を示すフローチャートである。図9に示す処理内容、処理手順は一例である。この給湯処理は、給湯機34を利用したタンク12の蓄熱制御を行う。
タンク制御部90は、切替弁16をリターン側にセットする(S31)とともに、予備加熱処理の設定情報である給湯機配管長フラグを”長”にセットする(S32)。
リモコン装置がON状態か否かを判断し(S33)、リモコン装置がONであれば(S33のYES)、給湯機34側で予備加熱を行うか否かの判断に移行する。給湯機配管長フラグが”長”に設定されている場合(S34のYES)、既述の給湯機配管の予備加熱処理(図8)を行う(S35)。
なお、この予備加熱処理において、配管長測定により給湯機配管長フラグが”短”と判断された場合、次回以降の給湯処理では予備加熱を行わなくてもよい。
予備加熱処理の後、タンク制御部90は、給湯システム30の蓄熱処理として設定された動作モードが”通常”か否かを判断し(S36)、”通常”である場合(S36のYES)、通常動作処理を実行する(S37)。また、動作モードが”通常”でない場合(S36のNO)、動作モードが”省エネ”か否かを判断する(S38)。”省エネ”が設定されている場合(S38のYES)、省エネ動作処理を行う(S39)。また、”省エネ”モードでない場合(S38のNO)、OFFモード動作処理を実行する(S40)。
ここで「通常」モードは、たとえばタンク12の上層部DHから下層部DLまでの全体に加熱された温水HWを貯湯して蓄熱する動作モードの一例であって、給湯消費の多い場合に実行すればよく、給湯機34よりも加熱効率の高いヒートポンプ32による加熱比率を高くする。このモードは、たとえば給湯消費の多い時間帯などに設定すればよい。
「省エネ」モードは、たとえばタンク12の上層部DHおよび中上層部DMに加熱された温水HWを貯めて蓄熱する動作モードの一例であって、急な給湯消費に対応するとともに、タンク12の下層側からの放熱ロスを抑制することができる。この動作モードは、たとえば給湯消費の発生が想定されていない時間帯に実行されればよい。
「オフ」モードは、たとえば温水HWの貯湯を行わず、タンク12からの放熱ロスを抑制する動作モードの一例であって、給湯機34を動作させることで給湯消費に対応する。この動作モードは、たとえば省エネモードと同様に給湯消費の発生が想定されていない時間帯に実行されればよい。
<通常モードについて>
図10は、通常モードでの給湯機制御の一例を示すフローチャートである。
タンク制御部90は、温度センサ62−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、63〔℃〕未満であるかを判断し(S3701)、比較温度TS1未満の場合(S3701のYES)、タンク12側に給水が発生したかを判定する(S3702)。この場合、タンク12の上層側において、温水HWの温度が設定された温度(比較温度TS1)に達しないことから、給湯機34による補助加熱を実行させる。また。検出温度T1が比較温度TS1以上の場合(S3701のYES)、ステップS33に戻って、給湯要求があるまで待機する。
タンク12に給水が発生した場合(S3702のYES)、補助加熱として、給湯用のポンプ60を設定回転数として、たとえば給湯流量に応じた流量で流せるように、ポンプ60の回転数を設定する(S3704)。タンク12に給水が発生していない場合(S3702のNO)、たとえば給湯機34を利用してタンク12内の湯を加熱するために、給湯機34の最小燃焼回転数の一例である「3リットル/分」にポンプ60の回転数を設定すればよい。
給湯機34の補助加熱を実行中は、戻り管14Bに設置された温度センサ64の検出温度T15が貯留温度THとして、たとえば65〔℃〕未満か否かを判断する(S3705)。検出温度T15が貯留温度TH未満の場合(S3705のYES)、切替弁16をリターン側にセットし(S3706)、検出温度T15が貯留温度TH以上の場合(S3705のNO)、切替弁16をタンク側にセットする(S3708)。つまり、制御部90は、戻り管14B内の湯の温度が十分である場合には、切替弁16を作動させる。
切替弁16の設定処理が完了すると、温度センサ62−2の検出温度T2が比較温度TS2以上であるかを判断する(S3707)。補助加熱処理は、この検出温度T2が比較温度TS2以上になるまで継続させる(S3707のNO)。検出温度T2が比較温度TS2以上の場合(S3707のYES)、給湯機34の補助加熱の終了準備として、ポンプ60を停止させる(S3709)とともに、切替弁16をリターン側にセット(S3710)し、S33に戻る。
<省エネモードについて>
図11は、省エネモードでの給湯機制御の一例を示すフローチャートである。
温度センサ62−1の検出温度T1が既述の比較温度TS1未満であるかを判断する(S3901)。検出温度T1が比較温度TS1未満の場合(S3901のYES)、タンク12側に給水が発生したかを判定する(S3902)。この場合、タンク12の上層側において、温水HWの温度が、設定された温度(比較温度TS1)に達しないことから、給湯機34による補助加熱を実行させる。また。検出温度T1が比較温度TS1以上の場合(S3701のYES)、ステップS33に戻って、給湯要求があるまで待機する。
タンク12に給水が発生した場合(S3902のYES)、補助加熱として、ポンプ60の設定回転数として、たとえば給湯流量に応じた流量で流せるように、ポンプ60の回転数を設定する(S3903)。給湯機34の補助加熱を実行中は、戻り管14Bに設置された温度センサ64の検出温度T15が貯留温度THとして、たとえば65〔℃〕未満か否かを判断する(S3904)。
検出温度T15が貯留温度TH未満の場合(S3904のYES)、切替弁16をリターン側にセットし(S3905)、また温度センサ64の検出温度T15が貯留温度TH以上の場合(S3904のNO)、切替弁16をタンク12側にセットする(S3906)。
切替弁16の設定処理が完了すると、温度センサ62−2の検出温度T2が比較温度TS2以上であるかを判断する(S3907)。補助加熱処理は、この検出温度T2が比較温度TS2以上になるまで継続させる(S3907のNO)。検出温度T2が比較温度TS2以上の場合(S3907のYES)、給湯機34の補助加熱の終了準備として、ポンプ60を停止させる(S3908)とともに、切替弁16をリターン側にセットし(S3909)、S33に戻る。
<オフモードについて>
図12は、オフモードでの給湯機制御の一例を示すフローチャートである。
タンク制御部90は、温度センサ62−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、63〔℃〕未満であるかを判断し(S4001)、比較温度TS1未満の場合(S4001のYES)、タンク12側に給水が発生したかを判定する(S4002)。オフモードでは、ヒートポンプ32が停止中であり、タンク12内に十分に蓄熱されていない場合あるため、給湯機34による補助加熱を行う。
そこでタンク12に給水が発生した場合(S4002のYES)、給湯用のポンプ60に対し、割増回転数を設定する(S4003)。割増回転数は、たとえば給湯流量に応じた流量に応じた回転数+Nの回転数が設定される。タンク12に給水が発生していない場合(S3702のNO)、ポンプ60を停止させる(S4008)。
給湯機34の補助加熱を実行中は、戻り管14Bに設置された温度センサ64の検出温度T15が貯留温度THとして、たとえば65〔℃〕未満か否かを判断する(S4004)。検出温度T15が貯留温度TH未満の場合(S4004のYES)、切替弁16をリターン側にセットし(S4005)、検出温度T15が貯留温度TH以上の場合(S4004のNO)、切替弁16をタンク側にセットする(S4006)。つまり、制御部90は、戻り管14B内の湯の温度が十分である場合には、切替弁16を作動させる。
切替弁16の設定処理が完了すると、温度センサ62−2の検出温度T2が比較温度TS2以上であるかを判断する(S4007)。補助加熱処理は、この検出温度T2が比較温度TS2以上になるまで継続させる(S4007のNO)。検出温度T2が比較温度TS2以上の場合(S4007のYES)、給湯機34の補助加熱の終了準備として、ポンプ60を停止させる(S4008)とともに、切替弁16をリターン側にセットし(S4009)、S33に戻る。
<給湯システム2の給湯処理>
図13は、給湯処理の一例を示すフローチャートである。
タンク制御部90は、たとえば水流センサ50の検出情報に基づいて給水の有無を判断し(S51)、給水が確認されると(S51のYES)、給湯負荷に対する給湯処理を開始する。
タンク制御部90は、FF制御による給湯処理を行う(S52)。つまり給湯処理では、温度センサ62−6、62−8の検出温度T6、T8、給湯設定温度に基づいてミキシング弁42の開度を調整して給湯を開始する。給湯処理の指示を出力すると、ミキシング弁42の動作の完了を待って(S53)、FB制御による給湯処理を行う(S54)。この給湯処理では、たとえば、出湯側の温度センサ62−7の検出温度T7と、給湯設定温度とを比較し、ミキシング弁42の開度調整を行う。給湯処理では、たとえばタンク12内の温水の温度状態、給湯までの距離、ヒートポンプ32や給湯機34の動作モードの設定によって、給湯温度が要求温度と異なる場合があるため、FB制御により要求温度に調整する。
この給湯制御は、給水、すなわち給湯要求が継続する限り行うため、水流センサ50による給水の有無を常に監視する(S55)。
<ヒートポンプ32の動作制御>
図14は、ヒートポンプの動作制御処理の一例を示すフローチャートである。
ヒートポンプ32を利用したタンク12の蓄熱制御では、ヒートポンプ32に対する駆動指示がある場合(S61のYES)、動作モードが「通常」に設定されているか否かを判断する(S62)。動作モードが”通常”であれば(S62のYES)、温度センサ62−4の検出温度T4が下限基準温度TMとして、たとえば45〔℃〕未満か否かを判断する(S63)。この下限基準温度TMはヒートポンプ32がオーバーヒートすると想定した温度に対して、−3〔℃〕程度低い温度が設定されればよい。
検出温度T4が下限基準温度TM未満の場合(S63のYES)、戻り管24Bに設置した切替弁56をリターン側として、分岐管54側に切替えるとともに、ポンプ58の回転数Nfを所定回転数としてたとえば、2000〔rpm〕に設定して、ヒートポンプ32を起動させる(S64)。
ヒートポンプ32の起動の後、温度センサ62−10の検出温度T10が一定温度TL以上であれば(S65のYES)、切替弁56をタンク12側に切替える(S66)。温度センサ62−10の検出温度T10が貯留温度TH(T10=TH)になるようにポンプ58の回転数を制御する(S67)。この場合、出湯管路38を流れる湯の温度T7がたとえば、60〔℃〕以下であれば、TH=65〔℃〕に設定し、それ以外の場合には、TH=システム給湯設定温度+5〔℃〕に設定すればよい。
温度センサ62−9の検出温度T9を取り込み、この検出温度T9が下限基準温度TM以上か否かを判断する(S68)。下限基準温度TMはたとえば、ヒートポンプ32がオーバーヒートする温度より−3〔℃〕程度低い温度として、たとえばTM=45〔℃〕が設定される。
検出温度T9が下限基準温度TM以上でなければ(S68のNO)、ヒートポンプ32の駆動指示を受信しているか判断し(S69)、駆動指示があれば(S69のYES)、S67の設定に戻る。
また、ヒートポンプ32の駆動指示がなければ(S69のNO)、切替弁56をリターン側に切り替え、ポンプ58を停止させて、ヒートポンプ32を停止させる(S70)。
(省エネモード)
ヒートポンプ32の動作モードの設定が”通常”でない場合であって(S62のNO)、”省エネ”に設定されている場合(S71のYES)、温度センサ62−1の検出温度T1が比較温度TS1としてたとえば、63〔℃〕未満かを判断する(S72)。
検出温度T1が比較温度TS1未満の場合(S72のYES)、タンク12内の温度監視や、切替弁56に対する設定処理やポンプ58の回転数制御、戻り管24B内の湯水の温度監視などを行う(S73〜S78)。係る処理は、ステップS63〜S68に示す処理と同様に行えばよい。
ヒートポンプ32側に流される湯水の検出温度T9が下限基準温度TM未満の場合(S78のNO)、温度センサ62−2の検出温度T2が比較温度TS2以上でなければ(S79のNO)、ヒートポンプ32に対する駆動指示があるか否かを判断する(S80)。
(オフモード)
動作モードが”省エネ”でなければ(S71のNO)、オフモードとなり、ヒートポンプ32を起動させない。
<実施例2の効果>
(1) 給湯システム30による給湯処理において、予め給湯機による予備加熱処理を設定しておき、給湯時間情報などを取得することで、予備加熱が必要か否かなどを判断でき、予備加熱処理の実行判断を行うことができる。
(2) 管路14内に貯まっている湯水を所定温度以上に加熱しておくことで、補助給湯指示に対して、迅速に対応できる。
(3) 給湯機34からの補助加熱が開始されるまでに、給湯中のタンク12内の湯切れを回避できる。
〔変形例〕
次に、上記実施の形態または実施例に示す構成や処理内容に対し、変形例を説明する。
(1) 上記実施例では、予備加熱処理を実行するか否かについて、給湯機34を動作させて配管長測定を行い、係る測定結果に基づいて予備加熱を行うか否かを決定する場合を示したが、これに限らない。予備加熱の実施設定は、たとえば給湯システム30の設置時に、タンクユニット4のタンク制御部90に対し、ディップスイッチなどを利用したハードウェアによる設定を行えばよい。
(2) 給湯システム2の予備加熱処理は、ヒートポンプ32による蓄熱処理や給湯機34の蓄熱処理に設定される動作モードに連動させてもよい。給湯システム30は、たとえば通常モードや省エネモードでは予備加熱処理を実行し、オフモードの場合には予備加熱を実行させないようにしてもよい。オフモードの場合には、タンク12内の湯水の温度が低温であり、給湯開始時に高温の湯が出湯されないことから、給湯中に湯の温度が低下するということが生じ難いため、給湯機34の補助加熱または給湯機34による給湯のみを行ってもよい。これにより、予備加熱処理の実行回数が制限でき、省エネ化が図れる。
(3) 上記実施の形態および実施例では、タンク12内に設置した温度センサの検出温度によって、予備加熱を開始させる場合を示したが、これに限らない。予備加熱処理は、たとえば給湯能力や給湯機34とタンク12までの距離条件を考慮して、開始タイミングを設定または調整してもよい。
(4) 予備加熱および補助加熱処理では、給湯流量と給湯機34に対して流すポンプ60の回転数を同等に設定しているが、これに限らない。ポンプ60の回転数を給湯量よりも大きくしてもよい。これにより、予備加熱処理をより迅速に完了できるとともに、補助加熱処理では、タンク12内の湯水に蓄熱させることができるので、タンク12の上層側の温水HWが消費し尽くされるのを防止できる。
(5) 予備加熱処理および補助加熱処理では、戻り管路14Bに設置した切替弁16をタンク12側またはバイパス管18側のいずれかに切替える場合のみに限らず、所定の割合でタンク12とバイパス管18の両方に湯を流してもよい。これにより、管路14内に温水を常に循環させることができる。また、予備加熱処理において、タンク12に対する未加熱の湯水の流入が減らせるとともに、予備加熱開始直後から温水をタンク12内に供給でき、補助加熱の要求に対する応答性を向上できる。
以上説明したように、給湯システムの最も好ましい実施の形態などについて説明した。本発明は、上記記載に限定されるものではない。特許請求の範囲に記載され、または発明を実施するための形態に開示された発明の要旨に基づき、当業者において様々な変形や変更が可能である。斯かる変形や変更が本発明の範囲に含まれることは言うまでもない。