JP2017205829A - 切削方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】切削加工において、切削装置のスピンドルに対し加工負荷が加わり続けることで電流値が上昇し続けることを防止し、かつ、切削加工に要する時間を短縮する。【解決手段】被加工物Wをチャックテーブル30で保持するステップと、保持された被加工物Wに対して切削ブレード63を回転させつつ所定切り込み高さに位置付け、被加工物Wを所定速度で切削送りさせて所定深さの加工溝Mを形成する第1の切削ステップと、第1の切削ステップで形成された加工溝Mの底部を被加工物Wの裏面Wbに至らない深さまで切削する第2の切削ステップと、第2の切削ステップで切削した加工溝Mの底部をさらに切削し被加工物Wを切断する第3の切削ステップと、を含み、第2の切削ステップにおける切削送り速度は、第1の切削ステップにおける切削送り速度及び第3の切削ステップにおける切削送り速度よりも速くする被加工物の切削方法である。【選択図】図7

Description

本発明は、半導体ウエーハ等の被加工物を切削ブレードを備えた切削装置により切削する切削方法に関する。
例えば、IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハ等の被加工物は、回転可能な切削ブレードを備えた切削装置(例えば、特許文献1参照)によって切削され個々のデバイスに分割され、各種電子機器等に利用されている。
特開2015−90895号公報
従来の切削方法においては、例えば、被加工物を完全切断できる高さ位置に切削ブレードを位置付けて回転させ、チャックテーブルに保持された被加工物を切削ブレードに対して切削送りし、切削送りされる被加工物の分割予定ラインに沿って切削ブレードを切込ませて、被加工物の分割予定ラインの中の1本を切削し切断する。その後、切削ブレードを被加工物から一度離間させ、被加工物を送り込んだ方向の逆方向に一度送り返す。そして、次に切削する分割予定ラインの上に切削ブレードを割り出し送りして位置付け、再び被加工物の切削送りを行い、次の分割予定ラインを同様に切削し切断するという一連の動作を繰り返していき、被加工物の全ての分割予定ラインSを縦横に全て切断する。
1本の分割予定ラインを上記のような1回の切削送り動作で切削する場合、分割し作製されたデバイスのエッジに生じ得るチッピングやデバイス割れ等を避けるために、被加工物の切削送り速度を遅くして切削するため、切削時間が長くなるという問題がある。加えて、切削送り速度を遅くし時間をかけて切削を行うと、切削ブレードの砥粒が摩滅しても脱落しないことにより切削ブレードの切り刃が適切に自生発刃できず、切り刃に目つぶれが起こり、被加工物から切削ブレードに対して加わる負荷が大きくなるため、切削ブレードが装着されたスピンドルの負荷電流値が上昇し続け、切削加工が不安定になる場合があった。切削加工が不安定になる場合とは、例えば、切削ブレードが破損する場合や、切削ブレードと被加工物との間に生じた火花による被加工物の損傷等が起きる場合である。そこで、切削ブレードの切り刃の目つぶれ防止のために、例えば、スピンドルの電流値の推移を目安にして、切削ブレードをドレッシングボードなどで頻繁にドレッシングし、摩滅した砥粒をブレードから脱落させて新たな砥粒を露出させる必要があるが、ドレッシングに時間を多くとられることでデバイスの生産性が低下するという問題があった。
また、上記の問題を鑑み、1本の分割予定ラインに対して切削ブレードを切込ませ続け1回の切削送り動作で分割予定ラインを切断するのではなく、1つの分割予定ラインを複数回のステップに分けて切削加工し切断する方法がある。しかし、1本の分割予定ラインに対して、被加工物の切削送り速度を一定にし、かつ、切削ブレードを同じ切り込み深さで複数回切込ませて切削を行うと、2回目以降の切削においては、既に形成された切削溝の側面に切削ブレードが当たり、スピンドルの負荷電流値が上昇して切削加工が不安定になるという問題があった。
したがって、切削ブレードを備えた切削装置により被加工物を切削する場合においては、スピンドルに対し加工負荷が加わり負荷電流値が上昇し続けることを防止して切削加工を安定させることで加工品質を良好に保ちつつ、切削加工に要する時間を短縮するという課題がある。
上記課題を解決するための本発明は、回転可能に支持されたスピンドルと、該スピンドルを回転駆動するモータと、該スピンドルの先端部に装着された切削ブレードとを有する切削手段を用いて、被加工物を切削する被加工物の切削方法であって、被加工物をチャックテーブルで保持する保持ステップと、該チャックテーブルに保持された被加工物に対して該切削ブレードを回転させつつ所定切り込み高さに位置付け、該チャックテーブルと該切削ブレードとを相対的に所定速度で切削送りさせて所定深さの加工溝を形成する第1の切削ステップと、該第1の切削ステップで形成された該加工溝の底部を被加工物の裏面に至らない深さまで切削する第2の切削ステップと、該第2の切削ステップで切削した該加工溝の底部をさらに切削し被加工物を切断する第3の切削ステップと、を含み、該第2の切削ステップにおける切削送り速度は、該第1の切削ステップにおける切削送り速度及び該第3の切削ステップにおける切削送り速度よりも速くする被加工物の切削方法である。
本発明に係る切削方法においては、切削ステップの回数が増えるごとに、被加工物への切り込み深さを浅くすると好ましい。
前記第2の切削ステップは複数回の切削ステップを含むと好ましい。
本発明に係る切削方法は、被加工物をチャックテーブルで保持する保持ステップと、チャックテーブルに保持された被加工物に対して切削ブレードを回転させつつ所定切り込み高さに位置付け、チャックテーブルと切削ブレードとを相対的に所定速度で切削送りさせて所定深さの加工溝を形成する第1の切削ステップと、第1の切削ステップで形成された加工溝の底部を被加工物の裏面に至らない深さまで切削する第2の切削ステップと、第2の切削ステップで切削した加工溝の底部をさらに切削し被加工物を切断する第3の切削ステップと、を含み、第2の切削ステップにおける切削送り速度は、第1の切削ステップにおける切削送り速度及び第3の切削ステップにおける切削送り速度よりも速くする。すなわち、1本の分割予定ラインを複数回のステップに分けて切削して分割し、被加工物にチッピングが発生しやすい第1の切削ステップと第3の切削ステップとにおいては、切削送り速度を低速から中速にして切削を行い、切削送り速度を高速にしても被加工物にチッピングが発生する可能性の低い第2の切削ステップにおいては、切削ブレードの切削送り速度を上げて切削することができる。従来のように、1本の分割予定ラインに対して切削ブレードを切込ませ続け、かつ、切削送り速度を遅くし時間をかけて一度に切削加工を行う場合、または、1本の分割予定ラインに対して、被加工物の切削送り速度を一定にし、かつ、切削ブレードを同じ切り込み深さで複数回切込ませて切削加工を行う場合には切削手段に備えるスピンドルの電流値が上昇し続け、スピンドルに対する加工負荷が増大し続けるが、本発明に係る切削方法では、スピンドルの負荷電流値を安定化させることができるため、スピンドルの負荷電流値が上昇し続け、スピンドルに対する加工負荷が増加し続けるという事態が生じることを防止することができる。また、チッピングを発生させることなく、1本の分割予定ラインを完全切断する場合に要する加工時間を減らすことができる。
従来のように、1本の分割予定ラインに対して切削ブレードを同じ切り込み深さで複数回切込ませて切削する場合には、既に形成された加工溝の側壁に切削ブレードが当たり加工負荷が増大することで、切削手段に備えるスピンドルの電流値が上昇し続け、スピンドルに対する加工負荷が増大し続ける。しかし、本発明に係る切削方法では、切削ステップの回数が増えるごとに、被加工物への切り込み深さを浅くすることで、従来のように、1本の分割予定ラインに対して切削ブレードを同じ切り込み深さで複数回切込ませて切削する場合に比べて、切削ブレードの自生発刃を効率よく促し、かつ、加工負荷を減らすことができる。そのため、既に形成された加工溝の側壁に切削ブレードが当たり加工負荷が増大しても、スピンドルの負荷電流値を安定化させることができるため、スピンドルの負荷電流値が上昇し続け、スピンドルに対する加工負荷が増大し続けるという事態が生じることを防止することができる。
本切削方法において使用する切削装置の一例を示す斜視図である。 切削手段、チャックテーブル、及び被加工物の一例を示す斜視図である。 実施例1における第1の切削ステップにおいて被加工物に切削ブレードを切り込ませている状態を示す側面図である。 実施例1における第2−1の切削ステップにおいて被加工物に切削ブレードを切り込ませている状態を示す側面図である。 実施例1における第2−2の切削ステップにおいて被加工物に切削ブレードを切り込ませている状態を示す側面図である。 実施例1における第3の切削ステップにおいて被加工物に切削ブレードを切り込ませている状態を示す側面図である。 実施例1における各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表ある。 実施例1において計測したスピンドルの負荷電流値の変化を示すグラフである。 実施例1において計測したスピンドルの負荷電流値の変化を示すグラフである。 比較例1において被加工物に切削ブレードを切り込ませている状態を示す側面図である。 比較例1において計測したスピンドルの負荷電流値の変化を示すグラフである。 実施例2における各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表ある。 実施例2において計測したスピンドルの負荷電流値の変化を示すグラフである。 比較例2における各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表ある。 比較例2において計測したスピンドルの電流値の変化を示すグラフである。 比較例2において被加工物を切削する切削ブレードに偏磨耗が生じていく過程を示す説明図である。 比較例2において切削ブレードが適切に自生発刃して被加工物を切削していく過程を示す説明図である。
本発明に係る切削方法に使用する図1に示す切削装置1は、チャックテーブル30の保持面300aに保持された被加工物Wに対して、切削手段6が備える切削ブレード63を回転させ切り込ませて、切削加工を施す装置である。
切削装置1の基台10上には、切削送り方向(X軸方向)にチャックテーブル30を往復移動させる切削送り手段11が配設されている。切削送り手段11は、X軸方向の軸心を有するボールネジ110と、ボールネジ110と平行に配設された一対のガイドレール111と、ボールネジ110を回動させるモータ112と、内部のナットがボールネジ110に螺合し底部がガイドレール111に摺接する可動板113とから構成される。そして、モータ112がボールネジ110を回動させると、これに伴い可動板113がガイドレール111にガイドされてX軸方向に移動し、可動板113上に配設されたチャックテーブル30が可動板113の移動に伴いX軸方向に移動することで、チャックテーブル30で保持された被加工物Wが切削送りされる。モータ112は制御手段70に接続されており、制御手段70がモータ112の回転速度を制御することにより、チャックテーブル30の切削送り速度を調整することができる。
可動板113上に配設されたチャックテーブル30は、例えば、その外形が円形状であり、被加工物Wを吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。吸着部300は図示しない吸引源に連通し、吸着部300の露出面である保持面300a上で被加工物Wを吸引保持する。チャックテーブル30は、チャックテーブル30の底面側に配設された回転手段302により駆動されて回転可能となっている。また、チャックテーブル30の周囲には、固定クランプ304が図示の例では4つ配設されている。
基台10上の中央から後方側(+Y方向側)にかけては、Y軸方向に切削手段6を往復移動させる割り出し送り手段12が配設されている。割り出し送り手段12は、Y軸方向の軸心を有するボールネジ120と、ボールネジ120と平行に配設された一対のガイドレール121と、ボールネジ120を回動させるモータ122と、内部のナットがボールネジ120に螺合し底部がガイドレール121に摺接する可動部123とから構成される。そして、モータ122がボールネジ120を回動させると、これに伴い可動部123がガイドレール121にガイドされてY軸方向に移動し、可動部123の移動に伴い切削手段6がY軸方向に移動することで、チャックテーブル30に対する切削手段6の割り出し送りがなされる。モータ122は制御手段70に接続されており、制御手段70がモータ122の回転量を制御することにより、切削手段6のY軸方向の位置を調整することができる。
可動部123上にはコラム124が一体的に立設されており、コラム124の−X方向側の側面には、Z軸方向に切削手段6を切り込み送りさせる切り込み送り手段16が配設されている。切り込み送り手段16は、Z軸方向の軸心を有するボールネジ160と、ボールネジ160と平行に配設された一対のガイドレール161と、ボールネジ160を回動させるモータ162と、内部のナットがボールネジ160に螺合し側部がガイドレール161に摺接する支持部材163とから構成される。そして、モータ162がボールネジ160を回動させると、これに伴い支持部材163がガイドレール161にガイドされてZ軸方向に移動し、支持部材163が支持する切削手段6が支持部材163の移動に伴いZ軸方向に切り込み送りされる。モータ162は制御手段70に接続されており、制御手段70がモータ162の回転量を制御することにより、切削手段6のZ軸方向の位置を調整することができる。
切削手段6は、軸方向がチャックテーブル30の移動方向(X軸方向)に対し水平方向に直交する方向(Y軸方向)であるスピンドル60と、スピンドル60を回転可能に支持するハウジング61と、ハウジング61内部に収容されスピンドル60を回転駆動するモータ62と、スピンドル60の−Y方向側の先端部に装着された切削ブレード63とを備えており、モータ62がスピンドル60を回転駆動することに伴って、切削ブレード63も高速回転する。モータ62は制御手段70に接続されており、制御手段70がモータ62の回転速度を制御することにより、切削ブレード63の回転速度を制御することができる。
ハウジング61の側面には、被加工物Wの切削すべき位置を撮像して検出するためのアライメント手段64が配設されている。アライメント手段64は、被加工物Wの被切削面を撮像するアライメント用カメラ640を備えており、アライメント用カメラ640により取得した画像に基づき、パターンマッチング等の画像処理によって被加工物Wの切削すべき位置を検出することができる。
切削手段6は、例えば、切削ブレード63をカバーするブレードカバー65を備えている。ブレードカバー65は、その略中央部に切削ブレード63を取り付けるための開口部を備えており、スピンドルハウジング61に装着されることで、開口部に切削ブレード63を位置付け、切削ブレード63を上方から覆うことができる。ブレードカバー65には、切削ブレード63に対して切削水を供給するパイプノズル650が取り付けられている。
(実施例1)
以下に、図1〜9を用いて、切削装置1を用いて本発明に係る切削方法を実施して被加工物Wを切削した場合の、切削方法の各工程及び切削装置1の動作について説明する。なお、図2〜6においては、切削装置1の各構成の一部を簡略化して示している。
本実施例1において、図2に示す切削加工を施す被加工物Wは、例えば、テンパックスガラスからなる円板形状のウエーハであり、その表面Wa上には、分割予定ラインSによって区画された格子状の領域に多数のデバイスDが形成されている。被加工物Wの厚みは、例えば、5mmである。そして、被加工物Wの裏面Wbには、ガラスから構成され被加工物Wと略同等の直径を備えるサブストレートGが貼り付けられている。サブストレートGの厚みは、例えば、0.5mmである。そして、被加工物Wは、例えば、サブストレートGの裏面Gbに貼着されたダイシングテープTを介して環状フレームFによって支持された状態になっている。
本実施例1において、図2に示す切削手段6に備える切削ブレード63は、アルミ合金鋳物等で作られた台金630と切り刃631とを一体成形したハブタイプの切削ブレードである。そして、切り刃631は、例えば、レジンボンド、ダイヤモンド砥粒及びBC砥粒(ボロンカーバイド砥粒)で構成されるブレードである。切削ブレード63は、刃厚が0.5mmで刃先長0.5〜2mm程度の切り刃631が、台金630から径方向外側に突出した形状を備えている。切り刃631は、フェノール樹脂、エポキシ樹脂及びポリイミド樹脂等を主成分とするレジンボンドに、平均粒径45μmのダイヤモンド砥粒と平均粒径15μmのBCとがそれぞれ体積比で10〜20%混在したものである。ボロンの固体潤滑性により切削ブレード63はブレードの切り刃631の磨耗速度が遅いブレードであるため、従来よりもブレードをより高速で回転させながら切削加工を行うことを可能にする。
(1)保持ステップ
本発明に係る切削方法においては、まず、被加工物Wをチャックテーブル30で保持する保持ステップを実施した。図2に示すように、ダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された被加工物Wを、被加工物Wの中心がチャックテーブル30の回転軸上に位置するよう位置付けた後、被加工物Wの表面Waが上側になるようにチャックテーブル30上に載置した。そして、固定クランプ304により環状フレームFを固定し、保持面300aに連通する図示しない吸引源を作動させ、チャックテーブル30の保持面300a上に被加工物Wを吸引保持した。
(2)第1の切削ステップ
図3に示すように、切削ブレード63の切り刃631の最下端が被加工物Wの表面Waから被加工物Wに2mm切込む高さZ1まで、切り込み送り手段16が切削ブレード63を−Z方向に下降させて位置付けた。チャックテーブル30の保持面300aを0基準とした場合における切削ブレード63の切り刃631の最下端のZ軸方向における高さZ1は、5.7mmである。また、モータ62がスピンドル60を+Y方向側から見て反時計回り方向に高速回転させることで、スピンドル60に固定されたブレード63を+Y方向側から見て反時計回り方向に10000回転/分で高速回転させた。なお、図3から図6においては、環状フレームFは省略して示している。
チャックテーブル30に保持された被加工物Wが−X方向に送られるとともに、図2に示すアライメント手段64により、切削ブレード63を切り込ませる分割予定ラインSの位置を検出した。分割予定ラインSが検出されるのに伴って、切削手段6がY軸方向に移動し、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード63とのY軸方向における位置合わせがなされた。
被加工物Wを保持するチャックテーブル30がさらに−X方向に切削送り速度5mm/秒で送り出されるとともに、回転する切削ブレード63が被加工物Wに切り込み、分割予定ラインSを切削していった。切削送り速度を5mm/秒と中速にした理由は、切削送り速度を高速にすると、切削ブレード63が被加工物Wの表面Waに切り込む際に、被加工物Wと切削ブレード63との衝突力が大きくなりチッピングが発生してしまうことから、これを防止するためである。
切削ブレード63が分割予定ラインSを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りを一度停止し、切削ブレード63を被加工物Wから+Z方向に離間させ、次いで、被加工物Wを+X方向に移動させて元の位置に戻した。本ステップにおける切削によって、図3に示すように、被加工物Wに分割予定ラインSに沿って深さが2mmである加工溝Mが形成された。
そして、隣り合う分割予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード63をY軸方向(図示の例においては、−Y方向)に割り出し送りしながら順次同様の切削を行った。本実施例1における第1の切削ステップでは、合計24本の分割予定ラインSを切削して加工溝Mを形成した。第1の切削ステップにおいては、1本の分割予定ラインSを切削し1本の加工溝Mを形成し終えるのに、平均的に約20秒掛かったが、チッピングが発生することを防止できた。
(3)第2の切削ステップ
第1の切削ステップを実施した後、第1の切削ステップで形成された加工溝Mの底部を被加工物Wの裏面Wbに至らない深さまで切削する第2の切削ステップを実施した。本実施例1においては、例えば、第2の切削ステップを後述する第2−1の切削ステップ及び第2−2の切削ステップからなるものとした。
(3−1)第2−1の切削ステップ
図4に示すように、切削ブレード63の切り刃631の最下端が加工溝Mの底部から1.5mm切込む高さZ2まで、切り込み送り手段16が切削ブレード63を−Z方向に下降させて位置付けた。チャックテーブル30の保持面300aを0基準とした場合における切削ブレード63の切り刃631の最下端のZ軸方向における高さZ2は、4.2mmである。第2−1の切削ステップにおいては、切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さを、第1の切削ステップにおける切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さ(2mm)よりも0.5mmだけ浅くした。
チャックテーブル30に保持された被加工物Wが−X方向に送られるとともに、図2に示すアライメント手段64により切削ブレード63を切り込ませる加工溝Mの位置が検出されるのに伴って、切削手段6がY軸方向に移動し、切削すべき加工溝Mと切削ブレード63とのY軸方向における位置合わせがなされた。
被加工物Wを保持するチャックテーブル30がさらに−X方向に切削送り速度15mm/秒で送り出されるとともに、反時計回り方向に10000回転/分で高速回転する切削ブレード63が被加工物Wの加工溝Mの底部に切り込み、加工溝Mの底部を切削していった。切削送り速度を15mm/秒と高速にした理由は、切削ブレード63が被加工物Wの表面Wa及び裏面Wbに切り込むことがないためチッピングが発生する可能性が低いためである。
切削ブレード63が加工溝Mを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りを一度停止し、切削ブレード63を被加工物Wから+Z方向に離間させ、次いで、被加工物Wを+X方向に移動させて元の位置に戻した。図4に示すように、本ステップにおける切削により、被加工物Wの加工溝Mの底部が被加工物Wの裏面Wbに至らない深さ(加工溝Mの深さは3.5mmとなった)まで切削された。
そして、隣り合う加工溝Mの間隔ずつ切削ブレード63をY軸方向(図示の例においては、−Y方向)に割り出し送りしながら順次同様の切削を行った。本実施例1においては、合計24本の加工溝Mの切削を行った。第2−1の切削ステップにおいては、1本の加工溝Mを切削し終えるのに、平均的に約10秒掛かった。
(3−2)第2−2の切削ステップ
図5に示すように、切削ブレード63の切り刃631の最下端が加工溝Mの底部から1mm切込む高さZ3まで、切り込み送り手段16が切削ブレード63を−Z方向に下降させて位置付けた。チャックテーブル30の保持面300aを0基準とした場合における切削ブレード63の切り刃631の最下端のZ軸方向における高さZ3は、3.2mmである。第2−2の切削ステップにおいては、切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さを、第2−1の切削ステップにおける切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さ(1.5mm)よりも0.5mmだけ浅くした。
チャックテーブル30に保持された被加工物Wが−X方向に送られるとともに、図2に示すアライメント手段64により、切削ブレード63を切り込ませる加工溝Mの位置が検出されるのに伴って、切削手段6がY軸方向に移動し、切削すべき加工溝Mと切削ブレード63とのY軸方向における位置合わせがなされた。
被加工物Wを保持するチャックテーブル30がさらに−X方向に切削送り速度20mm/秒で送り出されるとともに、反時計回り方向に10000回転/分で高速回転する切削ブレード63が被加工物Wの加工溝Mの底部に切り込み、加工溝Mの底部を切削していった。切削送り速度を20mm/秒と高速にした理由は、切削ブレード63が被加工物Wの表面Wa及び裏面Wbに切り込むことがないためチッピングが発生する可能性が低いためである。
切削ブレード63が加工溝Mを切削し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りを一度停止し、切削ブレード63を被加工物Wから+Z方向に離間させ、次いで、被加工物Wを+X方向に移動させて元の位置に戻した。図5に示すように、被加工物Wの加工溝Mの底部が被加工物Wの裏面Wbに至らない深さ(加工溝Mの深さは4.5mmとなった)まで切削された。
そして、隣り合う加工溝Mの間隔ずつ切削ブレード63をY軸方向(図示の例においては、−Y方向)に割り出し送りしながら順次同様の切削を行った。本実施例1においては、合計24本の加工溝Mの切削を行った。第2−2の切削ステップにおいては、1本の加工溝Mを切削し終えるのに、平均的に約5秒掛かった。
(4)第3の切削ステップ
第2−2の切削ステップを実施した後、第2−2の切削ステップで切削した加工溝Mの底部をさらに切削し被加工物Wを切断する第3の切削ステップを実施した。
切削ブレード63の切り刃631の最下端が加工溝Mの底部から下方に0.8mm切込む高さZ4まで、切り込み送り手段16が切削ブレード63を−Z方向に下降させて位置付けた。チャックテーブル30の保持面300aを0基準とした場合における切削ブレード63の切り刃631の最下端のZ軸方向における高さZ4は、2.4mmであり、切削ブレード63が被加工物Wを完全切断してサブストレートGに0.3mm切込む高さである。第3の切削ステップにおいては、切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さを、第2−2の切削ステップにおける切削ブレード63の被加工物Wへの切り込み深さ(1mm)よりも0.2mmだけ浅くした。
チャックテーブル30に保持された被加工物Wが−X方向に送られるとともに、図2に示すアライメント手段64により、切削ブレード63を切り込ませる加工溝Mの位置が検出された。加工溝Mが検出されるのに伴って、切削手段6がY軸方向に移動し、切削すべき加工溝Mと切削ブレード63とのY軸方向における位置合わせがなされた。
被加工物Wを保持するチャックテーブル30がさらに−X方向に切削送り速度5mm/秒で送り出されるとともに、反時計回り方向に10000回転/分で高速回転する切削ブレード63が被加工物Wの加工溝Mの底部に切り込み、加工溝Mの底部を切削し被加工物Wを切断していった。切削送り速度を5mm/秒と中速にした理由は、切削送り速度を高速にすると、切削ブレード63が被加工物Wの裏面Wbに切り込む際に、被加工物Wと切削ブレード63との衝突力が大きくなりチッピングが発生してしまうことから、これを防止するためである。
切削ブレード63が加工溝Mを切削し被加工物Wを切断し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りを一度停止し、切削ブレード63を被加工物Wから+Z方向に離間させ、次いで、被加工物Wを+X方向に移動させて元の位置に戻した。図6に示すように、切削ブレード63が被加工物Wを完全切断してサブストレートGにも0.3mm切込んだ状態になった。
そして、隣り合う加工溝Mの間隔ずつ切削ブレード63をY軸方向(図示の例においては、−Y方向)に割り出し送りしながら順次同様の切削を行った。本実施例1においては、合計24本の加工溝Mを切削し被加工物Wを切断した。第3の切削ステップにおいては、1本の加工溝Mを切削し被加工物Wを切断し終えるのに、平均的に約20秒掛かった。
図7に示す表M1は、本実施例1における各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表である。また、図8に示すグラフQ1は、本実施例1において計測したスピンドル60の負荷電流値の変化を示すグラフである。グラフQ1において、縦軸はスピンドル60の電流値を示し、横軸の小さな方の目盛りは切削ステップの回数を示し、横軸の大きな方の目盛りは切削加工し切断した分割予定ラインの本数を示している。図7の表M1に示すように、第1の切削ステップから第3の切削ステップまでを実施して、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要した時間は、20秒+10秒+5秒+20秒=計55秒となった。また、図8のグラフQ1に示すように、スピンドル60の電流値は、所定の範囲内、すなわち電流値最大値(約1800mAから約2200mAまでの間で変動)から電流値最小値(約1300mAから約1700mAまでの間で変動)までの間で上昇及び下降する定形的なグラフを描いており、切削ブレード63により切削し切断した分割予定ラインSの本数が増加しても、スピンドル60の負荷電流値が際限なく上昇せずに安定することが示された。
一方向の分割予定ラインSを全て切削し被加工物Wを切断した後、被加工物Wを90度回転させてから、第1の切削ステップから第3の切削ステップまでの同様の切削を行うことで、被加工物Wの全ての分割予定ラインSに沿って切削し、被加工物Wを図2に示すデバイスDに分割できた。そして、被加工物Wを計5枚同様に切削してデバイスDに分割した。図9に示すグラフQ2は、本実施例1において計測したスピンドル60の負荷電流値の変化を示すグラフである。グラフQ2において、縦軸はスピンドル60の電流値を示し、横軸は切削加工し切断した被加工物Wの枚数を示している。横軸におけるch1は、図2におけるX軸方向に延びる分割予定ラインSを切削している段階を示し、横軸におけるch2は、図2におけるY軸方向に延びる分割予定ラインSを切削している段階を示している。グラフQ2に示すように、スピンドル60の電流値は、所定の範囲内で上昇及び下降する定形的なグラフを描いており、切削ブレード63により切削し切断した被加工物Wの枚数が増加しても、スピンドル60の電流値が安定することが示された。
(比較例1)
実施例1と対比するために実施した本比較例1では、従来の切削方法のように、被加工物Wの1本の分割予定ラインSに対して切削ブレード63を切込ませ続け、1本の分割予定ラインSを1回の切削送りのみで切削し切断した。なお、被加工物Wを保持するチャックテーブル30の切削送り速度も一定速度とした。比較例1で使用した図2に示す切削手段6に備える切削ブレード63は、実施例1で用いた切削ブレードと同一のものである。また、切削加工を施した被加工物Wも実施例1で用いた被加工物と同一のものであり、被加工物Wの裏面WbにサブストレートGが貼り付けられたものである。
本比較例1における加工条件を以下に示す。
スピンドル回転数(回転/分) :10000(回転/分)
切削ステップの回数 :1回
切削ブレードの被加工物に対する切り込み量(mm) :5.3mm
チャックテーブルの保持面を0基準とした場合における切削ブレードの切り刃の最下端のZ軸方向における高さ(mm) :2.4mm
チャックテーブルの切削送り速度(mm/秒) :0.5(mm/秒)
比較例1では、まず、ダイシングテープTを介して環状フレームFに支持された被加工物Wを、被加工物Wの表面Waが上側となるようにチャックテーブル30上に載置した。そして、チャックテーブル30の保持面300a上で被加工物Wを吸引保持した。
チャックテーブル30に保持された被加工物Wが−X方向に送られるとともに、図2に示すアライメント手段64により、切削ブレード63を切り込ませる分割予定ラインSの位置が検出された。分割予定ラインSが検出されたのに伴って、切削手段6がY軸方向に移動し、切削すべき分割予定ラインSと切削ブレード63とのY軸方向における位置合わせがなされた。
図10に示すように、切削ブレード63の切り刃631の最下端が被加工物W(厚み5mm)を完全切断してサブストレートGに0.3mm切込む高さZ4まで、切り込み送り手段16が切削ブレード63を−Z方向に下降させて位置付けた。すなわち、チャックテーブル30の保持面300aを0基準とした場合における切削ブレード63の切り刃631の最下端のZ軸方向における高さZ4は2.4mmであり、切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み量は5.3mmとした。また、モータ62がスピンドル60を+Y方向側から見て反時計回り方向に高速回転させることで、スピンドル60に固定されたブレード63を+Y方向側から見て反時計回り方向に10000回転/分で高速回転させた。
被加工物Wを保持するチャックテーブル30がさらに−X方向に切削送り速度0.5mm/秒で送り出されるとともに、回転する切削ブレード63が被加工物Wに切り込み、分割予定ラインSを切削していった。本比較例1において、切削送り速度を0.5mm/秒として、実施例1におけるチャックテーブル30の切削送り速度と比較して低速にした理由は、切削送り速度を高速にすると、切削ブレード63が被加工物Wの表面Waに切り込む際及び切削ブレード63が被加工物Wの裏面Wbに切り込む際に、被加工物Wと切削ブレード63との衝突力が大きくなりチッピングが発生してしまうことから、これを防止するためである。
切削ブレード63が分割予定ラインSを切削し被加工物Wを切断し終えるX軸方向の所定の位置まで被加工物Wが送られると、被加工物Wの切削送りを一度停止し、切削ブレード63を被加工物Wから+Z方向に離間させ、次いで、被加工物Wを+X方向に移動させて元の位置に戻した。そして、隣り合う分割予定ラインSの間隔ずつ切削ブレード63をY軸方向(図示の例においては、−Y方向)に割り出し送りしながら順次同様の切削を行った。本比較例1においては、合計24本の分割予定ラインSを切削し被加工物Wの切断を行った。
本比較例1においては、1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに、平均的に約200秒掛かった。図11に示すグラフQ3は、本比較例1において計測したスピンドル60の負荷電流値の変化を示すグラフである。グラフQ3において、縦軸はスピンドル60の電流値を示し、横軸は切削加工し切断した分割予定ラインSの本数を示している。グラフQ3に示すように、切削ブレード63により切削し切断した分割予定ラインSの本数が増加するほど、スピンドル60の電流値が上昇し続け、24本目の分割予定ラインSを切削し切断した時点においては、スピンドル60の電流値は約6500mAまで到達した。すなわち、スピンドル60の負荷も上昇し続けることが確認できた。
実施例1と比較例1とを比較すると、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要した時間は、実施例1では計55秒であり、比較例1では計200秒であることから、実施例1においては、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要する時間を大幅に短縮できた。すなわち、実施例1の切削方法では、図8のグラフQ2に示すように、スピンドル60の電流値を所定の範囲内で上昇及び下降させ安定化させることができるため、比較例1の切削方法のようにスピンドル60の電流値が上昇し続け(図11のグラフQ3を参照)、スピンドル60に対する加工負荷が増大し続けるという事態が生じることを防止することができた。これは、例えば、各切削ステップごとに、切削ブレード63を切込んでいた被加工物Wから+Z方向に離間させ、再度切削ブレード63を切削送り方向に移動させて切削を再開する際に、切削ブレード63と被加工物Wとが接触する際に衝突することで、磨耗した砥粒を脱落させることができることが要因の1つであると考えられた。また、比較例1のように1本の分割予定ラインSに対して切削ブレード63を切込ませ続け、かつ、切削送り速度を遅くし時間をかけて切削加工を行う場合に比べて、チッピングを発生させることなく、1本の分割予定ラインSを完全切断する場合に要する加工時間を大幅に減らすことができた。
(実施例2)
以下に、図1〜2、及び図12〜13を用いて、切削装置1を用いて本発明に係る切削方法を実施して被加工物Wを切削する場合の、切削方法の各工程及び切削装置1の動作について説明する。
本実施例2において、図1に示す切削加工を施した被加工物Wは、例えば、主にアルミナからなる円板形状のウエーハであり、その表面Wa上には、分割予定ラインSによって区画された格子状の領域に多数のデバイスDが形成されている。被加工物Wの厚みは、3.55mmである。そして、被加工物Wの裏面Wbには被加工物Wと略同等の直径を備えガラスから構成されるサブストレートGが貼り付けられている。サブストレートGの厚みは、2.73mmである。そして、被加工物Wは、図2に示すように、例えば、サブストレートGの裏面Gbに貼着されたダイシングテープTを介して環状フレームFによって支持された状態になっている。
本実施例2において、図2に示す切削手段6に備える切削ブレード63は、実施例1で用いた切削ブレード63と切り刃631の刃厚のみが0.7mmと異なり(実施例1で用いた切削ブレード63の刃厚は0.5mmである)、その他の構成は同一の切削ブレードである。
実施例2においても、実施例1と同様に(1)保持ステップ、(2)第1の切削ステップ、(3−1)第2−1の切削ステップ、(3−2)第2−2の切削ステップ、及び(4)第3の切削ステップをそれぞれ実施した。図12に示す表M2は、本実施例2の各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表である。また、図13に示すグラフQ4は、本実施例2において計測したスピンドル60の負荷電流値の変化を示すグラフである。グラフQ4において、縦軸はスピンドル60の電流値を示し、横軸の小さな方の目盛りは切削ステップの回数を示し、横軸の大きな方の目盛りは切削加工し切断した分割予定ラインの本数を示している。図12の表M2に示すように、第1の切削ステップから第3の切削ステップまでを実施して、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要した時間は、20秒+5秒+5.5秒+20秒=計50.5秒となった。また、図13のグラフQ4に示すように、スピンドル60の電流値は、所定の範囲内、すなわち電流値最大値(約4000mAから約2700mAまでの間で変動)から電流値最小値(約1500mAから約2600mAまでの間で変動)までの間で上昇及び下降する定形的なグラフを描いており、切削ブレード63により切削し切断した分割予定ラインSの本数が増加しても、スピンドル60の電流値が安定することが示された。
(比較例2)
実施例2と対比するために実施した本比較例2では、被加工物Wの1本の分割予定ラインSに切削ブレード63を複数回(4回)のステップで切込ませ、1本の分割予定ラインSを切断した。切削加工を施した被加工物Wは実施例2の被加工物と同一のものであり、使用した切削ブレード63も実施例2ので使用したものと同一のものである。比較例2においても、実施例1と同様に(1)保持ステップ、(2)第1の切削ステップ、(3−1)第2−1の切削ステップ、(3−2)第2−2の切削ステップ、及び(4)第3の切削ステップをそれぞれ実施した。ただし、本比較例2においては、1本の分割予定ラインSを切削する際に、従来の切削方法のように、各切削ステップにおける被加工物Wを保持するチャックテーブル30の切削送り速度及び各切削ステップにおける切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み量を、第3のステップを除きそれぞれ一定にした。図14に示す表M3は、本比較例2の各切削ステップにおける加工条件及び加工結果をまとめた表である。また、図15に示すグラフQ5は、本比較例2において計測したスピンドル60の電流値の変化を示すグラフである。
本比較例2においては、1本の分割予定ラインS(加工溝M)を切削し終えるのに、図14の表M3に示すように、平均的に約60秒掛かった。また、図15のグラフQ5に示すように、切削ブレード63により切削し切断した分割予定ラインSの本数が増加するほど、スピンドル60の電流値が上昇し続け、10本目の分割予定ラインSを切削し切断した時点においては、スピンドル60の電流値は約7500mAまで到達した。すなわち、スピンドル60の負荷も上昇し続けることが確認できた。
実施例2と比較例2とを比較すると、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要した時間は、実施例2では計50.5秒であり、比較例2では60秒×4=計240秒であることから、実施例2においては、被加工物Wの1本の分割予定ラインSを切削し切断し終えるのに要する時間を大幅に短縮できた。
比較例2の従来の切削方法のように、被加工物Wの1本の分割予定ラインSに切削ブレード63を複数回(4回)のステップで切込ませ1本の分割予定ラインSを切断する際に、各切削ステップにおける切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み量をそれぞれ一定にすると、切削ステップの回数が増えるごとに、Z軸方向から受ける加工負荷に加えて、先に形成された加工溝Mの側面に切削ブレード63の側面が接触することで生じるY軸方向から受ける加工負荷も増大していく。したがって、図15のグラフQ5に示すように、スピンドル60の電流値が上昇し続ける。これに対して、実施例2においては、切削ステップの回数が増えるごとに、被加工物Wへの切り込み深さを浅くする、すなわち、切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み量(Z軸方向における加工負荷)を減らすことで、切削ステップの回数が増えることによりY軸方向から受ける加工負荷が増大しても、スピンドル60に対する加工負荷が増大し続けるという事態が生じることを防止することができた。
比較例2の従来の切削方法のように、被加工物Wの1本の分割予定ラインSに切削ブレード63を複数回(4回)のステップで切込ませ1本の分割予定ラインSを切断するにあたって、図14の表M3に示すように各切削ステップにおける被加工物Wの切削送り速度を、チッピング防止のためにそれぞれ一定の低速(1mm/秒)に設定すると、切削ブレード63の消耗速度も遅くなるため、ブレードの自生発刃が促されない。そのため、磨耗した砥粒が脱落せずブレードの切削力が低下し、図15のグラフQ5に示すように、スピンドル60の電流値が上昇し続けた。また、切削ブレード63の自生発刃が促されないことから、切削ブレード63の切り刃631が曲がったり、切削ブレード63の切り刃631が厚さ方向に不均一に磨耗する偏磨耗(先細り)が生じたりした。図16は、被加工物Wを切削する切削ブレード63に偏磨耗が生じていく過程を示す説明図である。図16に示すように、切削ブレード63の切り刃631の偏磨耗(先細り)が生じることで、切削ステップの回数が増えるごとに被加工物Wに形成された加工溝Mの断面形状が略V字形状になっていった。そのため、第2の切削ステップ以降の切削加工においては、切り刃631の偏磨耗により先の切削ステップにおいて切削することができなかった加工溝Mの側面が傾斜し、切削ブレード63の先細りになった切り刃631の側面により多く接触することがわかった。例えば第3の切削ステップでは、切り刃631が接触部分Wmに接触している。切削ステップにおいて切削することができなかった加工溝Mの側面が傾斜し、先細りになった切削ブレード63の切り刃631の側面により多く接触し、かつ、加工溝Mの側面より加わるZ軸方向における加工負荷も増大することで、比較例2においてはスピンドル60の電流値が上昇し続けた。さらに、分割により作製されたデバイスDの側面が台形になってしまう等の問題も生じた。
これに対して、実施例2においては、図12の表M2に示すように、切削ブレード63が被加工物Wの表面Waに切り込む(2)第1の切削ステップ、及び切削ブレード63が被加工物Wの裏面Wbに切り込む(4)第3の切削ステップにおいては、チッピングの発生を防止するために切削送り速度を5mm/秒と中速にし、第2の切削ステップである(3−1)第2−1の切削ステップでは切削送り速度を20mm/秒と高速にし、(3−2)第2−2の切削ステップでは切削送り速度を18mm/秒と高速にすることで、切削ブレード63の自生発刃を促した。図17は、切削ブレード63が適切に自生発刃して被加工物Wを切削していく過程を示す説明図である。切削ブレード63が適切に自生発刃を繰り返すことができたため、図17に示すように、切削ブレード63の切り刃631の偏磨耗を発生させずに、被加工物Wの切削を進行させることができた。すなわち、加工溝Mの側面より加わるZ軸方向における加工負荷をあまり増大させず、スピンドル60に対する加工負荷が増大し続けるという事態が生じることを防止することができた。
なお、本発明に係る被加工物の切削方法は、上記実施例1及び実施例2に限定されるものではない。すなわち、実施例1及び実施例2におけるチャックテーブル30の切削送り速度及び切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み深さ、切削ブレード63の切り刃631を構成するボンドの種類並びに砥粒の種類、粒径及び体積比、また、添付図面に図示されている切削装置1の各構成の大きさや形状等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
被加工物Wの形状は特に限定されるものではなく、被加工物Wの材質もテンパックスガラスやアルミナに限定されるものではない。また、本実施例1における被加工物Wは厚いウエーハであり、本発明に係る切削方法も厚いウエーハ等に特に有効であるが、被加工物Wは薄いウエーハ等であってもよい。
また、切削ブレード63の切り刃631に含ませるホウ素化合物としてBCではなくcBNを用いてもよく、ホウ素化合物の平均粒径は、ダイヤモンド砥粒の平均粒径の1/5より大きく1/2以下となる範囲で適宜変更可能であり、1/5より大きく1/3以下であると好ましい。ダイヤモンド砥粒とホウ素化合物との体積比は、例えば、2:1から1:8の範囲内で適宜変更可能である。さらに、ダイヤモンド砥粒はニッケル等の金属によってコーティングされたものを用いてもよい。そして、カーボンを導通材として、切り刃中に数%添加してもよい。また、レジンボンドの代わりに、ビトリファイドボンドを用いてもよい。実施例1、2において用いた切削ブレード63は、良好な潤滑性を有しており、チャックテーブル30の切削送り速度を上げて切削加工を行っても、被加工物Wに発生し得るチッピングを抑制できる。なお、切削ブレード63の切れ刃631にBCやcBNが含まれていなくてもよく、ボンドがレジン・ビトリファイドボンドであれば、本発明に使用することができる。
さらに、切削ブレード63は、ハブブレードに限定されるものではなく、ハブレスタイプ、すなわち、台金630を有しないワッシャー型の環状ブレードであってもよい。この場合においては、環状ブレード全体を構成する材質が、切り刃631を構成する材質と同一の材質となる。
第2の切削ステップは、実施例1、2におけるように2回の切削ステップからなるものに限定されるものではなく、例えば、3回から7回の切削ステップからなるものであってもよい。
実施例1,2のいずれにおいても、切削の回数を重ねるごとに、切削ブレード63の被加工物Wに対する切り込み深さを浅くしていったが、少なくとも第1の切削ステップ及び第2の切削ステップにおいて切り込み深さを徐々に浅くしていけばよく、第3の切削ステップでは、第2の切削ステップの最後のステップよりも切り込み深さを深くしてもよい。
1:切削装置 10:基台
11:切削送り手段 110:ボールネジ 111:一対のガイドレール
112:モータ 113:可動板
12:割り出し送り手段 120:ボールネジ 121:一対のガイドレール
122:モータ 123:可動部 124:コラム
16:切り込み送り手段 161:一対のガイドレール 162:モータ
163:支持部材
30:チャックテーブル 300:吸着部 300a:保持面 301:枠体
302:回転手段 304:固定クランプ
6:切削手段 60:スピンドル 61:ハウジング 62:モータ
63:切削ブレード
64:アライメント手段 640:アライメント用カメラ
65:ブレードカバー 650:パイプノズル
70:制御手段
W:被加工物 Wa:被加工物の表面 Wb:被加工物の裏面 S:分割予定ライン
D:デバイス
G:サブストレート

Claims (3)

  1. 回転可能に支持されたスピンドルと、該スピンドルを回転駆動するモータと、該スピンドルの先端部に装着された切削ブレードとを有する切削手段を用いて、被加工物を切削する被加工物の切削方法であって、
    被加工物をチャックテーブルで保持する保持ステップと、
    該チャックテーブルに保持された被加工物に対して該切削ブレードを回転させつつ所定切り込み高さに位置付け、該チャックテーブルと該切削ブレードとを相対的に所定速度で切削送りさせて所定深さの加工溝を形成する第1の切削ステップと、
    該第1の切削ステップで形成された該加工溝の底部を被加工物の裏面に至らない深さまで切削する第2の切削ステップと、
    該第2の切削ステップで切削した該加工溝の底部をさらに切削し被加工物を切断する第3の切削ステップと、を含み、
    該第2の切削ステップにおける切削送り速度は、該第1の切削ステップにおける切削送り速度及び該第3の切削ステップにおける切削送り速度よりも速くする被加工物の切削方法。
  2. 切削ステップの回数が増えるごとに、被加工物への切り込み深さを浅くする請求項1に記載の被加工物の切削方法。
  3. 前記第2の切削ステップは複数回の切削ステップを含む請求項1または2に記載の被加工物の切削方法。
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