JP2017205714A - 脱りんスラグからの有価物回収方法 - Google Patents

脱りんスラグからの有価物回収方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 脱りんスラグから再利用が困難なりんを排除して、効率良く粒鉄や酸化鉄などの有価物を回収する。
【解決手段】本発明の脱りんスラグ1からの有価物回収方法は、脱りん後にC/Sが1.5〜2.5の脱りんスラグ1を粉砕し、粉砕後に湿式で磁選することにより、脱りんスラグ1から粒鉄又は酸化鉄を含む有価物2を回収する脱りんスラグ1の有価物回収方法であって、脱りんスラグ1を、脱りんスラグ1の粒径D50が5μm〜50μmとなるように粉砕し、湿式による磁選を行うに際しては、磁場の強さを500G〜2000Gとすると共に、脱りんスラグ1の固液比を0.35以下とすることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、脱りんスラグから粒鉄や酸化鉄などの有価物を回収する有価物回収技術に関するものである。
酸素ガスまたは、スケール/鉄鉱石等の固体酸素源を使用して、酸化反応による溶銑の脱りん処理を行ったときには、副産物として、酸化物を主体とするスラグが生成される。種々のスラグの中でも、脱りん処理において発生するスラグ(所謂脱りんスラグ)には粒鉄や酸化鉄などの有価物が多く含まれているため、脱りんスラグ中から有価物を回収して再利用する技術が既に開発されている。
例えば、特許文献1には、処理後に塩基度が1.5未満、あるいは2.5を超える脱りんスラグに対し、1250〜1400℃の温度範囲内で塩基度が1.5〜2.5になるように改質処理を行い、地金処理および改質処理を行った脱りんスラグに対して、粉砕径の代表粒径が50μm以下となるように粉砕処理を行い、粉砕処理後のスラグを粗粒と微粒に分級する分級処理の際に粗粒の代表粒径と微粒の代表粒径との比が2.5倍以上となるよう処理し、分級処理後に粗粒を回収する有価物回収方法が開示されている。
また、特許文献2には、溶銑を脱燐してCaO/P2O5≦5のスラグを得る第1工程と、前記スラグが凝固を開始する温度から、前記スラグ全体が凝固するまでの範囲を、平均冷却速度が5℃/min以下で冷却して凝固させ、凝固後の前記スラグ中に3CaO・P2O5相および/または4CaO・P2O5相(CP相)を晶出させる第2工程と、前記第2工程のスラグを粉砕した後に、CP相を主成分とするスラグとFeOを主成分とするスラグを回収する第3工程とを含むスラグの製造方法が開示されている。
さらに、特許文献3には、溶融状態の脱りんスラグに空気を吹き付けて、脱りんスラグに含有される鉄分を酸化させた後、冷却し、得られた凝固状態の脱りんスラグを粉砕してスラグ塊として、スラグ塊を磁力によって磁着スラグ塊と非磁着スラグ塊とに分離して、磁着スラグ塊を回収する脱りんスラグに含まれる鉄分の回収技術が開示されている。
さらにまた、特許文献4には、酸化亜鉛が含有されたダスペレダストを水100重量部に対して1〜5重量部の割合で撹拌混合し、この水と混合されたダスペレダストを湿式磁選機に200〜600 L/hr流量で供給すると共に、湿式磁選機における磁着側に100〜8000L/hr、非磁着側に200〜1000 L/hrの割合で洗浄水を供給しつつ、1000〜5000ガウスの磁束密度をかけて湿式磁選を行い、非磁着物を脱水乾燥する湿式磁選による酸化亜鉛の精製方法が開示されている。
加えて、特許文献5には、製鋼スラグのリサイクル処理工程において、少なくともりんが含まれる結晶相を、スラグ内で成長させる結晶相成長処理工程と、前記結晶相成長処理工程にて結晶相成長処理されたスラグを、粒子状に粉砕する粉砕処理工程と、前記粉砕処理工程にて粉砕処理されたスラグを、磁力を用いて前記結晶相を主に含むスラグとその他のスラグとに分離する磁力分離処理工程と、を含む代替りん鉱物の製造方法が開示されている。この特許文献5の技術は、脱りんスラグからりんを回収することに主眼をおいており、磁選を用いて非磁着側にりんを濃縮させてりんを有価物として回収する構成となっている。つまり、特許文献5で回収の対象となる有価物はりんであり、粒鉄や酸化鉄などではない。しかし、特許文献5の技術においても、磁選側には粒鉄や酸化鉄などが移行するため、粒鉄や酸化鉄などを回収可能な技術を開示する文献として本明細書では特許文献5を挙げている。
特開2012−153550号公報 特開2009−132544号公報 特開2007−239094号公報 特開平2−83213号公報 特開2006−130482号公報
ところで、粒鉄や酸化鉄などの有価物を脱りんスラグから磁選により回収する方法としては、大きく分けて湿式磁選と乾式磁選がある。乾式磁選に比べると湿式磁選の方が静電気による粒子同士の凝集を緩和できるため、湿式磁選を採用することで磁選効率が良くなることが期待できる。この点、特許文献1の有価物回収方法は、気流分級による脱りんスラグからの鉄、マンガン回収方法となっている。そのため、特許文献1の技術を用いても本発明のように湿式磁選で効率良く有価物を回収することは期待できない。
加えて、特許文献2の実施例を見ると、特許文献2で用いられるスラグは、粉砕径≦0.2mmと非常に大きいものであり、粉砕後の粒径が小さな脱りんスラグに対応したものとはなっていない。そのため、特許文献2の方法では、脱りんスラグからの鉄回収に関して満足できる結果を得られない可能性がある。
さらに、特許文献3の回収技術には、原料に用いられるスラグ種の組成が十分に記載されていない。加えて、実施例に用いられる原料のスラグ種は脱炭スラグであり、脱りんスラグではなく、C/Sも3以上であって、特許文献3の磁選方法も乾式磁選とされている。
さらにまた、特許文献4の酸化亜鉛の精製方法は、湿式磁選に関する特許ではあるが、対象がダストであるため、脱りんスラグから鉄回収する際の指針とはなりえないものである。
加えて、特許文献5に記載の方法により脱りんスラグから鉄分を回収しようとする場合は、磁力を用いて磁選する際の脱りんスラグの粒径が大きすぎて、磁力による選別の精度が良くないものとなっている。また、その一方で、特許文献5の代替りん鉱物の製造方法は磁選の際の磁力が大きすぎるため、有価物を含む粒子が有価物を含まない粒子中に巻き込まれてしまう場合が多くなり、結果として磁選効率を高くすることができないものとなっている。つまり、特許文献5の代替りん鉱物の製造方法は磁選時の粒径や磁力の強さが適正なものとなっておらず、良好な磁選の効率を発揮し難いものとなっている。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、再利用が困難なりんを排除して、脱りんスラグから効率良く粒鉄や酸化鉄などの有価物を回収することが可能となる脱りんスラグからの有価物回収方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の脱りんスラグからの有価物回収方法は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明の脱りんスラグからの有価物回収方法は、脱りん後にC/Sが1.5〜2.5の脱りんスラグを粉砕し、粉砕後に湿式で磁選することにより、前記脱りんスラグから粒鉄又は酸化鉄を含む有価物を回収する脱りんスラグの有価物回収方法であって、前記脱りんスラグを、当該脱りんスラグの粒径D50が5μm〜50μmとなるように粉砕し、前記湿式による磁選を行うに際しては、磁場の強さを500G〜2000Gとすると共に、前記脱りんスラグの固液比を0.35以下とすることを特徴とする。
本発明の脱りんスラグからの有価物回収方法によれば、再利用が困難なりんを排除して、脱りんスラグから効率良く粒鉄や酸化鉄などの有価物を回収することが可能となる。
粉砕後の脱りんスラグが単相粒子である場合と、片刃粒子である場合とで、磁着効率が異なる理由を説明する模式図である。 脱りんスラグの粒子の凝集状態を模式的に示した図である。 粉砕後の脱りんスラグの粒径(中位径D50)と、回収された有価物に含まれる総鉄量(T.Fe)との関係を示した図である。 磁場強さと、回収された有価物に含まれる総鉄量(T.Fe)との関係を示した図である。 固液比と、回収された有価物に含まれる総鉄量(T.Fe)との関係を示した図である。
以下、本発明の脱りんスラグ1からの有価物回収方法に係る実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、本実施形態の有価物回収方法は、溶銑脱りん処理で得られる脱りんスラグ1から、この脱りんスラグ1に含まれる粒鉄や酸化鉄(後述する鉄とマンガンの複合酸化物を含む)などの有価物2を選択的に回収するものとなっている。
すなわち、高炉法による製鉄プロセスは、一般的に高炉で出銑した溶銑を転炉で酸素を吹き付けて脱炭して鋼に転換して製鋼を行うものとなっている。近年は、製造される鉄鋼のコストダウン、製品品質の厳格化を目的として、転炉での脱炭の前に溶銑脱りん処理を実施することが一般的である。この溶銑脱りん処理は、混銑車などの溶銑搬送容器、あるいは転炉容器に装入された溶銑に対して、造滓材として石灰を加えた上で気体の酸素を吹き込みスケール/鉄鉱石等の固体酸素源を投入して行われる。この溶銑脱りん処理での脱りん反応は便宜上、以下の式(1)で表されるようなものである。
[数1]
2[P] + 5(FeO) +3 (CaO) = 3CaO・P2O5 + 5Fe ・・・(1)
ここで、式中の[]、()は、それぞれ溶銑中、脱りんスラグ1中に溶けている成分を示す。
上述した脱りん反応は、溶銑に対する酸化処理であるため、脱りん反応により発生する脱りんスラグ1にはりん酸化物だけでなく、溶銑の酸化による鉄酸化物(FeO)も含まれる。また、転炉での脱炭処理とは異なり、脱りん処理では処理終了時でも溶銑中に炭素が3%〜4%含まれている。そのため、溶銑中の炭素により脱りんスラグ1中の酸化鉄(FeO)の一部が還元される場合があり、脱りんスラグ1中に微粒な金属鉄の粒子(粒鉄)も残っている。この脱りんスラグ1中に含まれる鉄酸化物(酸化鉄)や微粒な金属鉄の粒子(粒鉄)が本実施形態の回収方法で回収される有価物2となる。
有価物2は、本実施形態の回収方法の場合、脱りんスラグに含まれる粒鉄(金属鉄)および酸化鉄であり、この酸化鉄には後述する酸化鉄と酸化マンガンとの複合酸化物も含まれる。このような有価物2は、製鉄原料として再利用することが望ましいが、脱りんスラグ中には当然脱りん処理で酸化したりん酸化物も含まれる。このりん酸化物は再利用の際の障害となるため、有価物2の回収の際には再利用が困難なりんを排除して粒鉄および酸化鉄だけを選択回収する技術が必要となる。
ここで、上述した「発明が解決しようとする課題」でも記載したように、従来の有価物回収技術(例えば、特開2015−38250号公報に開示の技術)には、脱りんスラグを溶融還元処理して金属鉄として回収する方法があるが、この方法では脱りんスラグ中の鉄ばかりでなく、りんまでも還元されてしまい、りん濃度が高い鉄(低品質の鉄)が精製されてしまう可能性がある。また、回収された回収物からさらにりんを除くために再度脱りんが必要となり、プロセスが煩雑で回収コストも高額となってしまう虞がある。
また、磁選手法には大きく分けて湿式磁選と乾式磁選があるが、湿式磁選の方が静電気による粒子同士の凝集を緩和できるため、湿式磁選を採用することで磁選効率が良くなることが期待できる。つまり、本実施形態の有価物回収方法は、塩基度1.5〜2.5の脱りんスラグを粉砕後に湿式磁選することにより、粒鉄、鉄酸化物を効率的に選択回収する手法を提供するものとなっている。
具体的には、本実施形態の脱りんスラグ1からの有価物回収方法では、脱りん後にC/Sが1.5〜2.5の脱りんスラグ1を粉砕し、粉砕後に湿式で磁選することにより、脱りんスラグ1から粒鉄又は酸化鉄を含む有価物2を回収している。つまり、本実施形態の有価物回収方法は、C/S(塩基度)が1.5〜2.5となる脱りんスラグ1を粉砕する第1工程と、第1工程で粉砕された脱りんスラグ1を磁選する第2工程と、を有している。
さらに、本実施形態の有価物回収方法では、上述した第1工程で脱りんスラグ1を粉砕する際には、脱りんスラグ1の粒径D50が5μm〜50μmとなるように粉砕を行い、さらに第2工程で、磁場の強さを500G〜2000Gとすると共に脱りんスラグ1の固液比を0.35以下として湿式による磁選を行うものとなっている。
次に、本実施形態の有価物回収方法を構成する第1工程および第2工程について詳しく説明する。
上述した第1工程は、混銑車などの溶銑搬送容器または転炉型容器で溶銑脱りん処理を行った後に得られた脱りんスラグを所定の粒径に粉砕するものとなっている。このようなC/S(塩基度)が1.5〜2.5となる脱りんスラグ1としては、一例としてT.Fe(総鉄量)=15.7wt%〜21.0wt%、CaO=33.5 wt%〜37.6 wt%、SiO2=15.7 wt%〜21.4 wt%、P2O5=4.48wt%〜6.35wt%の組成を備えたものを用いることができる。つまり、本実施形態の脱りんスラグ1としては、C/S(塩基度)が1.5〜2.5となるものを用いることが必要であり、C/Sが1.5〜2.5となるのであれば、上述したもの以外の組成を有するものを用いても良い。脱りんスラグ1の組成に用いられた数値は、脱りんスラグ中の各元素濃度をICP発光分析で計測し、T.Fe以外の酸化物濃度に関しては計測値に基づいて酸化物に換算した値で示したものである。
また、第1工程で対象とする脱りんスラグ1には、例えばC/Sが1.5〜2.5であれば、その他成分は特に規定されない。このC/Sは、一般に「塩基度」と呼ばれるものであり、以下の式(2)を用いて計算される無次元数である。
[数2]
なお、上述したC/Sを算出する式(2)に用いられる「CaO」には、CaO単独で存在する遊離石灰(f-CaO)だけでなく、遊離石灰以外のCaOも含まれる。つまり、式(2)中のCaO濃度とは、遊離状態であるか非遊離状態であるかの区別なく、脱りんスラグ1に含まれる全てのCaOの濃度である。
つまり、上述した脱りんスラグ1に含まれる有価物2には、磁着が可能な微小な粒鉄だけでなく、酸化鉄も含むものとなっている。この酸化鉄は一般には磁着はされないが、結晶状態によっては磁着が可能となる。つまり、第1工程で得られる脱りんスラグ1のC/Sを1.5〜2.5とすれば、冷却時に脱りんスラグ1中でFeO-MnO相とCaO-SiO2-P2O5相3とがそれぞれ分離した状態で形成され、冷却後に粉砕を行えば強磁性体の粒鉄とFeO-MnO相のみを選択的に磁選することが可能となり、りんを排除して有価物2のみを回収することができる。このような有価物回収方法であれば、従来の回収方法(例えば、特開2015−38250号公報に開示された方法)のように、加熱/還元処理を実施する必要はなく、簡便に有価物を分離することが可能となる。
なお、この有価物2の回収は、以降に示す第2工程の磁選で行われるが、有価物2を磁選する前に脱りんスラグ1を粉砕しておく必要がある。
上述した脱りんスラグ1の粉砕は、脱りんスラグ1を2段階に分けて微細化するものである。1段目に粉砕(粗粉砕)は、脱りんスラグ1を粉砕し、吊り下げ型の磁選機などを用いて大型の地金分などを除くものである。この1段目の粉砕により、脱りんスラグ1を40mm未満(40mmアンダー)に粒度調整することができる。
2段目の粉砕(仕上粉砕)は、ボールミルやジェットミルのような粉砕機を用いて粗さ40mm未満に1段目で粉砕された脱りんスラグ1をより微細に粉砕するものであり、中位径(D50)、言い換えればメディアン径が、5μm〜50μmの脱りんスラグ1の粒子を得るものである。2段目で使用される粉砕機としては、例えば、中位径(D50)が10μmより大きな脱りんスラグ1の粒子を得たい場合にはボールミルを、また中位径(D50)が10μmを下回るような小さな脱りんスラグ1の粒子を得たい場合にはジェットミルを用いるとよい。このようにして粉砕された脱りんスラグ1については、レーザ回折式の粒度分析計などを用いて上述した中位径を求めることができる。
なお、本実施形態では粉砕機にボールミル及びジェットミルを用いる例を挙げたが、粉砕機はボールミルやジェットミルに限定されず、これら以外のものを用いることもできる。例えば、中位径(D50)が10μmより大きな脱りんスラグ1の粒子を得たい場合には、ボールミルではなく、竪型ミルのような粉砕機を用いることができる。
上述した第1工程において脱りんスラグ1を中位径(D50)が5μm〜50μmとなる粒径範囲まで粉砕するのは、次のような理由による。
すなわち、後述する第2工程で磁選の効率を高めるためには、粉砕後の脱りんスラグ1の粒子が可能な限り単相粒子で形成されている、言い換えれば単相粒子を可能な限り増やすことが必要となる。これは、粉砕後の脱りんスラグ1の粒子に上述したFeO-MnO相とCaO-SiO2-P2O5相3とが混在した片刃粒子が多く存在すると、磁選後の回収物中に有価物2でないCaO-SiO2-P2O5相3(不純物)が多くなり、有価物2の回収量が少なくなってしまう可能性があるからである。
例えば、図1の上側に示すように粉砕後の脱りんスラグ1の粒子が単相粒子のみで形成されている場合には、FeO-MnO相の単相粒子のみが磁石に磁着するため、FeO-MnO相の単相粒子とCaO-SiO2-P2O5相3の単相粒子とを確実に磁選することができる。つまり、図1の上側に示すような場合には、磁選後に、有価物2が高濃度で含まれた回収物を得ることができる。
ところが、図1の下側に示すように粉砕後の脱りんスラグ1の粒子が、FeO-MnO相とCaO-SiO2-P2O5相3とが混在した片刃粒子になると、磁選の際に磁石に磁着した粒子中に有価物2のFeO-MnO相だけでなく、不純物のCaO-SiO2-P2O5相3も含まれるようになり、脱りんスラグ1の粒子の中に、結果として磁選できない(回収できない)有価物2が多く残ることになる。
また、片刃粒子の中には、FeO-MnO相が多いものだけでなく、FeO-MnO相が少ない、言い換えれば、CaO-SiO2-P2O5相3が多い片刃粒子も存在する。このようなFeO-MnO相が少ない片刃粒子は磁着されにくく、磁選されずに非磁着側に残る場合がある。つまり、図1の下側に示すような場合には、磁選効率が低下して、有価物2の回収効率が低下してしまう可能性があり、粉砕時の脱りんスラグ1に中位径(D50)が50μmより大きなものまで含めると、粉砕後の脱りんスラグ1の粒子中に片刃粒子が増えて有価物2の回収効率が低下するのである。
なお、粉砕時の脱りんスラグ1の中位径(D50)が5μm以下となると、湿式であっても静電気の影響が顕著となり、脱りんスラグ1の粒子同士が凝集するため、かえって磁選効率が低下する。そのため、本実施形態の有価物回収方法では、脱りんスラグ1の中位径(D50)が5μm〜50μmの適正範囲となるように粉砕を行って、有価物2の回収効率を高めているのである。
また、片刃粒子の形成を防ぐためには、それぞれの脱りんスラグ1の粒子に含まれるFeO-MnO相(鉱物相)が大きいことが望ましい。つまり、FeO-MnO相(鉱物相)を脱りんスラグ1の冷却時に十分成長させることができるように、脱りんスラグ1の冷却速度を10℃/min以下とすることが望ましい。
なお、上述した中位径(D50)とは、対象となる粒子の粒度分布において、粒径が小さい方から体積積分を取り、体積積分の値が50%となる粒径のことである。この中位径は、レーザ回折式の粒度分析計を用いて容易に求めることができる。
第2工程は、第1工程で粉砕された脱りんスラグ1を湿式磁選して、脱りんスラグ1に含まれる強磁性体を選択的に回収するものである。この磁選には、例えばドラム式の湿式磁選機を用いることができる。この磁選により回収可能な、言い換えれば磁着可能な有価物2には、上述した粒鉄と、FeO-MnO相の鉄酸化物とが含まれる。
また、第2工程の磁選においては、磁選を行う際の磁場の強さと、固液比とが重要となる。
磁選を行う際の磁場の強さは、500G〜2000G、SI単位系でいえば0.05T〜0.2Tとするのが好ましい。このような磁場の強さの範囲を設定するのは、以下の理由からである。
すなわち、磁場が2000G(0.2T)よりも強すぎた場合には、図2に示すように強い磁場によって粒鉄やFeO-MnO相の粒子自身が強力に磁化して凝集し、凝集した内部に不純物粒子(例えば、CaO-SiO2-P2O5相3からなる粒子)を巻き込み易くなって、かえって磁選効率の低下を招く可能性がある。
また、磁場が500G(0.05T)よりも弱すぎると、粒鉄やFeO-MnO相の粒子が磁石に引きつけられなくなり、磁力不足から磁選効率の低下を招く。
つまり、本実施形態の有価物2の回収方法では、磁選を行う際の磁場の強さを500G〜2000G(0.05T〜0.2T)とすることで、良好な磁選効率を実現可能としているのである。
上述した第2工程の磁選を行う上では、磁選の際の脱りんスラグ1の固液比も重要となる。
つまり、本実施形態の有価物2の回収方法では、磁選時の固液比を0.35以下としている。例えば、磁選の際には、脱りんスラグ1は、水などの液体に、固体の脱りんスラグ1(粉砕後の脱りんスラグ1)を分散(懸濁)させたスラリーが用いられる。このスラリー中では、静電気などの影響で脱りんスラグ1の粒子同士が凝集することがないように、脱りんスラグ1の粒子が可能な限り均等に分散されているのが好ましい。このような均等な分散を実現させるための指標として、上述したスラリーの固液比がある。つまり、この固液比が小さい程、液相中(水などの液体中)に脱りんスラグ1の粒子を均等に分散させることができる。
なお、上述した固液比は、湿式の磁選時に磁選機(磁選機のドラム)に供給されるスラリーの固体重量比(固体である脱りんスラグ1の重量を液体である水の体積で除した重量比)として示すことができる。この固液比は、原料として投入する粉砕した固体(脱りんスラグの粒子)と液体との混合物における、固体と液体との比率であり、具体的には、以下の式(3)で定義されるものである。
[数3]
(固液比)=脱りんスラグ1の固体重量[g]/液体体積[cm3] ・・・(3)
上述した固液比が、0.35より大きくなると、スラリー中に含まれる脱りんスラグ1の粒子数が多くなりすぎることになり、粒子同士の距離が近接し合って凝集も起きやすくなって、静電気の影響で磁選効率の低下が顕著となってしまう。そこで、本実施形態の有価物2の回収方法では、固液比を0.35以下として、磁選効率を高めているのである。
なお、固液比を下げすぎると、生産性の面で不利となるので、現実的には固液比を0.01以上として有価物2の回収を行うのが良い。
次に、実施例および比較例を用いて、本実施形態にかかる有価物2の回収方法の作用効果をさらに詳しく説明する。
実施例および比較例は、転炉型の脱りん処理装置で発生した脱りんスラグ1を、2種類の粉砕機を用いて2段階で粉砕し、粒度が異なる脱りんスラグ1の粒子を得たものである。
この実施例および比較例に用いる脱りんスラグ1は、
T.Fe(総鉄量)=15.7wt%〜21.0wt%
CaO=33.5 wt%〜37.6 wt%
SiO2=15.7 wt%〜21.4 wt%
P2O5=4.48wt%〜6.35wt%
の組成を備えたものであり、そのC/S(塩基度)は、1.69〜2.39となっている。
このようにして得られた粉砕後の粒子については、ドラム式の湿式磁選機で磁選を行った。
なお、上述した2段階の粉砕のうち、1段目の粉砕(事前粉砕)は、40mm未満の粒径に粗く粉砕した後、吊り下げ型の磁選機を用いて大型の地金分を除去したものである。また、2段目の粉砕は、上述した1段目の粉砕が行われた脱りんスラグ1の粒子に対して、中位径(D50)が10μmより大きな脱りんスラグ1の粒子を得る場合にはボールミルを、また中位径(D50)が10μmを下回るような小さな脱りんスラグ1の粒子を得る場合にはジェットミルを用いてさらに粉砕を行うものである。
これらの粉砕後の粒子に対する粒度測定は、レーザ回折式の粒度分析計で実施した。
さらに、上述したドラム式の湿式磁選機は、直径12inch、幅12inchのサイズのドラムに、磁場強さを最大5000Gまで調整可能な電磁石を3極設けたものとなっている。
磁選の結果、磁着側に分離され、回収された有価物2(回収物)について、総鉄量(T.Fe)の計測を行い、総鉄量が50wt%を閾値として合否を判断した。つまり、総鉄量が50wt%以上となる場合を合格、50wt%未満となる場合を不合格とした。
実施例および比較例の結果を、表1〜表4および図3〜図5に示す。
なお、表1〜表4中の「50%体積粒径(脱りんスラグ1の中位径D50)」、「磁場強さ(磁選時の磁場強さ)」、及び「固液比(磁選対象のスラリーの固液比)」において適否を判断する際に、本発明で請求する範囲には含まれるが範囲の中でも上限値に近い場合を「H」、下限値に近い場合を「L」、本発明で請求する範囲の上限値と下限値の中間に位置する場合を「○」、請求する範囲より上限値の上側に外れている場合を「↑」、下限値の下側に外れている場合を「↓」と示している。
表1及び図3に示されるように、「50%体積粒径(D50)」が請求範囲である5〜50%の範囲内にあると(実施例の場合には)、総鉄量が50wt%以上となる。ところが、表2及び図3に示されるように、「50%体積粒径(D50)」が請求範囲である5〜50%の範囲外となると(比較例1の場合には)、総鉄量が50wt%未満となり、有価物2の回収効率が悪くなる。
また、表1及び図4に示されるように、「磁場強さ」が請求範囲である500G〜2000Gの範囲内にあると(実施例の場合には)、総鉄量が50wt%以上となる。ところが、表3及び図4に示されるように、「磁場強さ」が請求範囲である500G〜2000Gの範囲外となると(比較例2の場合には)、総鉄量が50wt%未満となり、有価物2の回収効率が悪くなる。
さらに、表1及び図5に示されるように、「固液比」が請求範囲である0.35以下であると(実施例の場合には)、総鉄量が50wt%以上となる。ところが、表4及び図5に示されるように、「固液比」が請求範囲である0.35より大きくなると(比較例3の場合には)、総鉄量が50wt%未満となり、有価物2の回収効率が悪くなる。
さらにまた、上述した表1〜表4から、本発明の請求範囲に示す条件内、言い換えれば実施例の条件で有価物2を回収すれば、りん濃度が比較例1〜3に比して低い有価物2を得ることも可能と判断される。
以上のことから、湿式磁選を用いることで脱りんスラグから再利用が困難なりんを排除して、効率良く粒鉄や酸化鉄などの有価物2を回収することが可能となることがわかる。
なお、上述した総鉄量が50wt%という閾値は、特開2011−63835号公報などにも示すように、回収物を高炉原料として使用するための条件として一般的なものである。例えば、総鉄量が50wt%以上となるように有価物を実際に回収した場合に、得られた有価物の総鉄量を求めると表5に示すように、9ポイント〜20ポイント(9ppm〜20ppm)の差で実際の回収物の総鉄量が目標量(50wt%)より多くなる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積など
は、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 脱りんスラグ
2 有価物
3 CaO-SiO2-P2O5

Claims (1)

  1. 脱りん後にC/Sが1.5〜2.5の脱りんスラグを粉砕し、粉砕後に湿式で磁選することにより、前記脱りんスラグから粒鉄又は酸化鉄を含む有価物を回収する脱りんスラグの有価物回収方法であって、
    前記脱りんスラグを、当該脱りんスラグの粒径D50が5μm〜50μmとなるように粉砕し、
    前記湿式による磁選を行うに際しては、磁場の強さを500G〜2000Gとすると共に、前記脱りんスラグの固液比を0.35以下とする
    ことを特徴とする脱りんスラグからの有価物回収方法。
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