JP2017200776A - 車両の振動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアリング機構の構成部品の共振のリスクを低減する制御技術を提供することを目的とする。【解決手段】本出願は、ステアリング機構と、操舵動作を補助するアシストトルクをステアリング機構に与えるモータと、モータの回転角を表す角度信号を生成する角度信号生成部と、角度信号に応じて、モータを制御するコントローラと、を備える振動制御装置を開示する。ステアリング機構の構成要素の中で最大及び最小の固有振動数の間の振動数範囲は、2hz未満である。コントローラは、操舵トルクから第1トルクを決定する第1トルク決定部と、補正値を決定する補正部と、第1トルクを補正し、アシストトルクを決定する第2トルク決定部と、を含む。角度信号は、振動数範囲内の振動数で振動する複数の信号成分を含む。補正部は、複数の信号成分に特異的に高いゲインを掛け、角度信号を処理する。【選択図】図1
Description
本発明は、車両の振動を制御する振動制御装置に関する。
電動パワーステアリングを制御するための様々な制御技術が開発されてきている(特許文献1及び2を参照)。特許文献1は、運転者の操舵を補助するアシストトルクを演算するときの演算負荷を低減する技術を開示する。特許文献2は、適切なアシストトルクを出力するだけでなく、ハンドルへ伝達される振動を低減する機能を発揮する制御技術を開示する。
特許文献2の制御技術は、振動の低減に取り組んでいるけれども、ステアリングホイールから車輪までの操舵力の伝達経路を形成するステアリング機構の構成部品の固有振動数を考慮していない。モータの角変化の周波数が、ステアリング機構を構成する複数の部品の固有振動数に一致する又は近づくと、これらの部品は、モータの角運動に対して共振することとなる。したがって、車両の設計者は、これまで、ステアリング機構を構成する複数の部品の固有振動数を互いに相違させ、複数の部品の同時共振を回避してきた。
上述の従来技術の下で、ステアリング機構の構成部品の固有振動数を考慮した制御システムが構築されるならば、非常に複雑な演算処理が要求される。あるいは、1つの部品の共振の回避の結果、他の部品の共振が引き起こされることもある。
本発明は、ステアリング機構の構成部品の共振のリスクを低減する制御技術を提供することを目的とする。
本発明の一局面に係る車両の振動制御装置は、一対の車輪の向きを変える操舵動作を行うステアリング機構と、前記操舵動作を補助するアシストトルクを前記ステアリング機構に与えるモータと、前記モータの回転角を表す角度信号を生成する角度信号生成部と、前記角度信号に応じて、前記モータを制御するコントローラと、を備える。前記ステアリング機構は、ステアリングホイールから延設されたコラムシャフトと、前記一対の車輪間で延びるラックと前記ラックに噛み合うピニオンとを有するピニオンラック機構と、前記コラムシャフトと前記ピニオンとを連結する中間シャフトと、を含む。前記コラムシャフト、前記ピニオンラック機構及び前記中間シャフトの中で最も大きな固有振動数と最も小さな固有振動数との間の振動数範囲は、2hz未満である。前記コントローラは、前記ステアリングホイールの回転下で前記ステアリング機構に生じた操舵トルクから第1トルクを決定する第1トルク決定部と、前記第1トルクに対する補正値を決定する補正部と、前記補正値を用いて、前記第1トルクを補正し、前記アシストトルクを決定する第2トルク決定部と、を含む。前記角度信号は、前記振動数範囲内の振動数で振動する複数の信号成分を含む。前記補正部は、前記複数の信号成分に特異的に高いゲインを掛け、前記角度信号を処理し、前記補正値を決定する。
上記構成によれば、コラムシャフト、ピニオンラック機構及び中間シャフトの中で最も大きな固有振動数と最も小さな固有振動数との間の振動数範囲は、2hz未満であるので、コラムシャフト、ピニオンラック機構及び中間シャフトの共振が一括して回避されるように、コントローラは、モータを制御することができる。補正部は、振動数範囲内の振動数で振動する複数の信号成分に高いゲインを掛け、角度信号を処理し、補正値を決定するので、補正値を用いて、第1トルクを補正する第2トルク決定部は、コラムシャフト、ピニオンラック機構及び中間シャフトの共振が一括して回避されるように、アシストトルクを決定することができる。
上記構成に関して、前記補正部は、前記複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように前記角度信号を処理し、前記補正値を決定してもよい。
上記構成によれば、補正部は、複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように角度信号を処理し、補正値を決定するので、コントローラは、振動数範囲内の周波数で振動する振動成分に特異的に大きな粘性減衰を生じさせることができる。
上記構成に関して、前記補正部は、前記複数の信号成分に前記ゲインを掛け、且つ、前記複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように、前記角度信号を処理し、補正された角度信号を生成するハイパスフィルタと、前記補正された角度信号から前記第1トルクに対する補正量を、前記補正値として算出する補正値算出部と、を含んでもよい。前記第2トルク決定部は、前記補正値算出部が算出した前記補正量を前記第1トルクに加算し、前記アシストトルクを決定する加算器を含んでもよい。
上記構成によれば、振動数範囲内の振動数で振動する複数の信号成分に高いゲインを掛け、且つ、複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように、角度信号を処理し、補正された角度信号を生成するので、コントローラは、振動数範囲内の周波数で振動する振動成分に特異的に大きな粘性減衰を生じさせることができる。補正値算出部は、補正された角度信号から第1トルクに対する補正量を、補正値として算出するので、補正値算出部は、コラムシャフト、ピニオンラック機構及び中間シャフトの共振が一括して抑制されるように、補正量を決定することができる。加算器は、補正値算出部が算出した補正量を第1トルクに加算し、アシストトルクを決定するので、モータは、コラムシャフト、ピニオンラック機構及び中間シャフトの共振が一括して回避されるように、アシストトルクをステアリング機構に出力することができる。
上記構成に関して、前記ハイパスフィルタの伝達関数の固有角周波数は、前記振動数範囲に設定されてもよい。
上記構成によれば、ハイパスフィルタの伝達関数の固有角周波数は、振動数範囲に設定されるので、ハイパスフィルタは、振動数範囲内の複数の信号成分に特異的に高いゲインを掛けることができる。
上記構成に関して、前記伝達関数の減衰定数は、前記振動数範囲においてピークが現れるように設定されてもよい。
上記構成によれば、伝達関数の減衰定数は、振動数範囲においてピークが現れるように設定されるので、ハイパスフィルタは、振動数範囲内の複数の信号成分に特異的に高いゲインを掛けることができる。
上記構成に関して、車両の振動制御装置は、フレーム部材と、前記ラックと前記一対の車輪とをそれぞれ連結する一対のタイロッドと、前記フレーム部材から前記一対のタイロッドを懸架する一対の懸架装置と、を更に備えてもよい。前記フレーム部材、前記一対のタイロッド及び前記一対の懸架装置それぞれは、前記振動数範囲内の固有振動数を有してもよい。
上記構成によれば、フレーム部材、一対のタイロッド及び一対の懸架装置それぞれは、振動数範囲内の固有振動数を有するので、振動制御装置は、ステアリング機構に連なるフレーム部材、一対のタイロッド及び一対の懸架装置の共振のリスクをも低減することができる。
上記構成に関して、前記振動数範囲は、1hz以下であってもよい。
上記構成によれば、振動数範囲は、1hz以下であるので、振動制御装置は、共振のリスクを効果的に低減することができる。
上述の振動制御装置は、ステアリング機構の構成部品の共振のリスクを低減することができる。
<第1実施形態>
ステアリングホイールから車輪へ操舵力を伝達するステアリング機構は、一般的に、コラムシャフトと、中間シャフトと、ピニオンラック機構と、を備える。従来、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構の固有振動数が、2hz以上互いに相違するように、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構は設計されている。この結果、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち2つ又は全部の同時共振は回避されてきた。その一方で、従来の制御技術は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構それぞれの共振を抑制しなければならなかった。この結果、従来の制御技術は、非常に複雑な演算を必要とする。あるいは、従来の制御技術は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち1つの共振を抑制する一方で、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち他のもう1つの共振を引き起こすこともあった。本発明者等は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構の固有振動数を狭い範囲に設定し、これらの共振を一括して抑制する制御技術を開発した。第1実施形態において、例示的な制御技術が説明される。
ステアリングホイールから車輪へ操舵力を伝達するステアリング機構は、一般的に、コラムシャフトと、中間シャフトと、ピニオンラック機構と、を備える。従来、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構の固有振動数が、2hz以上互いに相違するように、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構は設計されている。この結果、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち2つ又は全部の同時共振は回避されてきた。その一方で、従来の制御技術は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構それぞれの共振を抑制しなければならなかった。この結果、従来の制御技術は、非常に複雑な演算を必要とする。あるいは、従来の制御技術は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち1つの共振を抑制する一方で、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構のうち他のもう1つの共振を引き起こすこともあった。本発明者等は、コラムシャフト、中間シャフト及びピニオンラック機構の固有振動数を狭い範囲に設定し、これらの共振を一括して抑制する制御技術を開発した。第1実施形態において、例示的な制御技術が説明される。
図1は、第1実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100の概念的なブロック図である。図1を参照して、制御装置100が説明される。
制御装置100は、ステアリング機構200と、モータ300と、角度検出部400と、コントローラ500と、を備える。ステアリング機構200は、ステアリングホイールSTWに加えられた操舵力を一対の車輪WHLへ伝達する。この結果、ステアリング機構200は、一対の車輪WHLの向きを変えることができる(すなわち、操舵動作)。モータ300は、コントローラ500の制御下で、アシストトルクをステアリング機構200に与える。この結果、運転者は、ステアリングホイールSTWを小さな力で回転させることができる。
角度検出部400は、モータ300の回転角(すなわち、モータ300の出力シャフト(図示せず)の回転角)を検出する。角度検出部400は、検出された回転角を表す角度信号を生成する。角度信号は、角度検出部400からコントローラ500へ伝達される。角度検出部400は、エンコーダであってもよいし、モータ300の回転角を検出する他の検出素子であってもよい。本実施形態の原理は、角度検出部400として用いられる特定の装置に限定されない。本実施形態において、角度信号生成部は、角度検出部400によって例示される。
運転者が、ステアリングホイールSTWを回転すると、操舵トルクが、ステアリング機構200に生ずる。操舵トルクは、一般的なトルクセンサ(図示せず)や他の適切な検出素子(図示せず:たとえば、歪みゲージ)によって検出されてもよい。コントローラ500は、角度信号に加えて、検出された操舵トルクを表すトルク信号を受け取る。コントローラ500は、角度信号とトルク信号とに応じて、モータ300を制御する。
ステアリング機構200は、コラムシャフト210と、中間シャフト220と、ピニオンラック機構230と、を含む。モータ300は、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230のうち1つに連結される。
ピニオンラック機構230は、ラック231と、ピニオン232と、を含む。コラムシャフト210は、ステアリングホイールSTWから延設される。ラック231は、一対の車輪WHL間で延びる。ピニオン232は、ラック231に噛み合う。中間シャフト220は、ピニオン232とステアリングホイールSTWから延設されたコラムシャフト210とに連結される。
運転者がステアリングホイールSTWに加えた回転力(すなわち、操舵力)及び/又はモータ300から伝達されたアシストトルクは、コラムシャフト210及び中間シャフト220を通じて、ピニオン232へ伝達される。この結果、ピニオン232は、回転する。ラック231は、ピニオン232の回転に応じて、一対の車輪WHL間で直線的に移動する。一対の車輪WHLは、ラック231の直線的な移動に応じて向きを変える。
図1は、コラムシャフト210の固有振動数を、記号「Fcls」で表す。図1は、中間シャフト220の固有振動数を、記号「Fims」で表す。図1は、ピニオンラック機構230の固有振動数を、記号「Fprm」で表す。以下の不等式は、これらの固有振動数の間の関係を表す。
コントローラ500は、第1トルク決定部510と、第2トルク決定部520と、補正部530と、を含む。第1トルク決定部510は、上述のトルク信号を受け取る。第1トルク決定部510は、トルク信号が表す操舵トルクに対応する第1トルクを決定する。第1トルクに関する情報は、第1トルク決定部510から第2トルク決定部520へ出力される。第1トルクは、アシストマップといった既知の様々な演算技術に基づいて決定されてもよい。本実施形態の原理は、第1トルクを決定するための特定の演算技術に限定されない。
第1トルク決定部510は、操舵トルクと第1トルクとの関係を表すデータ(たとえば、ルックアップテーブル)を格納するメモリと、メモリからデータを読み出すように設計されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)と、を含んでもよい。CPUは、読み出されたデータから信号を生成するように設計されたプログラムを更に実行してもよい。
補正部530は、上述の角度信号を受け取る。補正部530は、角度信号を周波数解析する。周波数解析は、高速フーリエ変換(FFT)であってもよい。代替的に、他の演算技術(たとえば、FRA:Frequency Response Analyzer)が周波数解析に利用されてもよい。本実施形態の原理は、補正部530が行う特定の周波数解析技術に限定されない。
補正部530は、周波数解析の結果、角度信号から、振動数において異なる複数の信号成分を得ることができる。補正部530は、周波数解析から得られた複数の信号成分から、上述の不等式の範囲内にある周波数を有する複数の信号成分を見出すことができる。補正部530は、見出された複数の信号成分に対して、特異的に高いゲインを掛け、角度信号を処理する。すなわち、補正部530は、上述の不等式の範囲外の周波数を有する複数の信号成分よりも高いゲインを、上述の不等式の範囲内にある周波数を有する複数の信号成分に掛ける。補正部530は、処理された角度信号を用いて、補正値を決定する。補正値に関する情報は、補正部530から第2トルク決定部520へ伝達される。
補正部530は、周波数解析器を含んでもよいし、周波数解析用に設計されたプログラムを実行するCPUであってもよい。CPUは、周波数解析から得られた特定の信号成分に特異的に高いゲインを掛け、角度信号を補正するように設計されたプログラムを更に実行してもよい。
第2トルク決定部520は、補正値を用いて、第1トルクを補正し、アシストトルクを決定する。モータ300は、コントローラ500の制御下で、決定されたアシストトルクをステアリング機構200へ出力する。第2トルク決定部520は、補正値を第1トルクに加算する加算器であってもよいし、補正値を第1トルクに加算する加算処理用に設計されたプログラムを実行するCPUであってもよい。
角度信号は、一般的に、多様な周波数レンジの信号を含む。補正部530は、上述の不等式の範囲内にある周波数を有する複数の信号成分に対して特異的に高い補正値を与える。この結果、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230の共振のリスクが一括して低減されるように、第2トルク決定部520は、アシストトルクを決定することができる。
<第2実施形態>
第1実施形態に関連して説明された補正処理は、2次のハイパスフィルタを用いて実行可能である。第2実施形態において、ハイパスフィルタを用いて補正処理を行う例示的な振動制御装置が説明される。
第1実施形態に関連して説明された補正処理は、2次のハイパスフィルタを用いて実行可能である。第2実施形態において、ハイパスフィルタを用いて補正処理を行う例示的な振動制御装置が説明される。
図2は、第2実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100Aの概念的なブロック図である。第1実施形態の説明は、第1実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。図1及び図2を参照して、制御装置100Aが説明される。
第1実施形態と同様に、制御装置100Aは、ステアリング機構200と、モータ300と、角度検出部400と、を備える。第1実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御装置100Aは、コントローラ500Aを更に備える。第1実施形態と同様に、コントローラ500Aは、第1トルク決定部510を含む。第1実施形態の説明は、第1トルク決定部510に援用される。
コントローラ500Aは、補正部530Aと加算器520Aを更に含む。補正部530Aは、ハイパスフィルタ531と、補正値算出部532と、を含む。角度信号は、角度検出部400からハイパスフィルタ531へ出力される。ハイパスフィルタ531は、角度信号を補正する。ハイパスフィルタ531によって補正された角度信号は、補正値算出部532へ出力される。
補正値算出部532は、補正された角度信号を、トルクを表す補正信号に変換する。補正値算出部532の伝達関数は、モータ300の入出力特性に依存する。既知の様々な演算技術が、補正された角度信号からトルクを表す補正信号への変換処理に適用可能である。したがって、本実施形態の原理は、補正値算出部532の特定の演算処理に限定されない。
加算器520Aは、図1を参照して説明された第2トルク決定部520に対応する。したがって、第2トルク決定部520に関する説明は、加算器520Aに援用されてもよい。
加算器520Aは、補正信号を補正値算出部532から受け取る。第1トルクを表す情報は、第1トルク決定部510から加算器520Aへ出力される。加算器520Aが補正値算出部532から受け取った補正信号は、第1トルクに対する補正量を表す。加算器520Aは、補正信号が表す補正量を、第1トルクに加算し、アシストトルクを決定する。モータ300は、加算器520Aによって決定されたアシストトルクをステアリング機構200へ出力する。
図3は、ハイパスフィルタ531の例示的な周波数特性を表すボード線図である。図2及び図3を参照して、ハイパスフィルタ531の周波数特性が説明される。
以下の数式は、ハイパスフィルタ531の伝達関数G(s)を表す。
図3に示される如く、ゲイン線図に、所定の固有角振動数(たとえば、10hz)において、ピークが現れるように、制御装置100Aを設計する設計者は、ハイパスフィルタ531の減衰定数を定める。本実施形態において、固有角振動数は、「10hz」に設定されている。ハイパスフィルタ531は、角度信号中の「10hz」の信号成分に対して、「10」の値のゲインを出力する。
設計者は、固有角振動数を中心として、「±1hz」の範囲をコラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230の固有振動数が分散する範囲として設定してもよい。設計者は、設定された範囲に固有振動数が入るように、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230を設計してもよい。
代替的に、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230の固有振動数の最大値と最小値との間の差が、「2hz」未満となるように、設計者は、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230それぞれを設計してもよい。設計者は、その後、中間シャフト220及びピニオンラック機構230の固有振動数の最大値と最小値の間に、ハイパスフィルタ531の伝達関数の固有角振動数が入るように、設計者は、ハイパスフィルタ531を設計してもよい。
ハイパスフィルタ531は、角度信号に対して、高速フーリエ変換を施与し、周波数において異なる複数の信号成分を得る。図3に示される如く、「9hz」から「11hz」までの周波数帯に対して割り当てられたゲインは、他の周波数帯(すなわち、「1hz」以上「9hz」未満の周波数帯及び「11hz」を超える周波数帯)に割り当てられたゲインよりも大きい。ハイパスフィルタ531は、高速フーリエ変換によって得られた複数の信号成分から「9hz」から「11hz」までの周波数帯に分布する複数の信号成分を見出す。ハイパスフィルタ531は、見出された複数の信号成分のパワースペクトルに特異的に高いゲインを掛ける。ハイパスフィルタ531は、他の信号成分(すなわち、「9hz」から「11hz」までの周波数帯に属さない信号成分)のパワースペクトルに相対的に低いゲインを掛ける。この結果、コラムシャフト210、中間シャフト220及びピニオンラック機構230の固有振動数が分布する周波数帯に属する信号成分が強調されるように、角度信号は補正される。
図3に示される如く、ハイパスフィルタ531は、「10hz」の周波数を有する信号成分の位相を90°進める。ハイパスフィルタ531は、「9hz」から「11hz」までの周波数帯に分布する他の信号成分(すなわち、「9hz」以上「10hz」未満の信号成分及び「10hz」よりも大きく「11hz」以下の信号成分)の位相を約90°進める。この結果、ハイパスフィルタ531は、「9hz」から「11hz」までの周波数帯に分布する振動成分に対して、粘性減衰を効果的に生じさせることができる。
<第3実施形態>
設計者は、上述の実施形態に関連して説明された設計原理に基づいて、様々な振動制御装置を設計することができる。第3実施形態において、例示的な振動制御装置が説明される。
設計者は、上述の実施形態に関連して説明された設計原理に基づいて、様々な振動制御装置を設計することができる。第3実施形態において、例示的な振動制御装置が説明される。
図4は、第3実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100Bの概念図である。第2実施形態の説明は、第2実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。図2及び図4を参照して、制御装置100Bが説明される。
第2実施形態と同様に、制御装置100Bは、コントローラ500Aを備える。第2実施形態の説明は、コントローラ500Aに援用される。
制御装置100Bは、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、モータ300Bと、エンコーダ400Bと、トルクセンサ600と、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を更に備える。
コラムシャフト210Bは、ステアリングホイールSTWから下方に延びる棒状部材である。第1実施形態と同様に、コラムシャフト210Bは、固有振動数Fclsを有する。コラムシャフト210Bが、固有振動数Fclsに一致する周波数で、コラムシャフト210Bの長手方向軸周りの回転振動を受けると、共振が、コラムシャフト210Bに生ずる。
トルクセンサ600は、コラムシャフト210Bに取り付けられる。運転者が、ステアリングホイールSTWを回転すると、運転者がステアリングホイールSTWに加えた操舵力に応じたトルクが、コラムシャフト210Bに生ずる。トルクセンサ600は、コラムシャフト210Bに生じたトルクを検出する。トルクセンサ600は、その後、検出されたトルクを表すトルク信号を生成する。トルク信号は、トルクセンサ600からコントローラ500Aの第1トルク決定部510(図2を参照)へ出力される。
中間シャフト220Bは、鉛直ロッド221と、2つのユニバーサルジョイント222,223と、を含む。鉛直ロッド221は、略鉛直に立設される。ユニバーサルジョイント222は、鉛直ロッド221の上端に取り付けられる。ユニバーサルジョイント222は、鉛直ロッド221の上端をコラムシャフト210Bの下端に連結する。ユニバーサルジョイント223は、鉛直ロッド221の下端に取り付けられる。ユニバーサルジョイント223は、鉛直ロッド221の下端をピニオンロッド232Bに連結する。
第1実施形態と同様に、中間シャフト220Bは、固有振動数Fimsを有する。中間シャフト220Bが、固有振動数Fimsに一致する周波数で、中間シャフト220Bの長手方向軸周りの回転振動を受けると、共振が、中間シャフト220Bに生ずる。
ピニオンロッド232Bは、図2を参照して説明されたピニオン232に対応する。ピニオン232に関する説明は、ピニオンロッド232Bに援用されてもよい。ピニオンロッド232Bは、ピニオン233と連結ロッド234とを含む。ピニオン233は、ラック231Bに噛み合う。連結ロッド234は、ピニオン233の略中心から上方に延び、ユニバーサルジョイント223に連結される。
ラック231Bは、一対の車輪WHL間で延びる。ラック231B及びピニオンロッド232Bによって形成される噛合機構は、図2を参照して説明されたピニオンラック機構230に対応する。モータ300Bは、ラック231Bに連結され、コントローラ500Aの制御下で、アシストトルクをラック231Bに加える。
第1実施形態と同様に、ラック231B及びピニオンロッド232Bによって形成される噛合機構は、固有振動数Fprmを有する。モータ300Bが、固有振動数Fprmに一致する周波数で変動する力をラック231Bに加えると、ラック231B及びピニオンロッド232Bによって形成される噛合機構は、共振する。
エンコーダ400Bは、モータ300Bと一体的に形成される。エンコーダ400Bは、モータ300Bの回転角を表す角度信号を生成する。角度信号は、エンコーダ400Bからコントローラ500Aのハイパスフィルタ531(図2を参照)へ出力される。エンコーダ400Bは、図2を参照して説明された角度検出部400に対応する。角度検出部400に関する説明は、エンコーダ400Bに援用されてもよい。
2つのタイロッド730は、ラック231Bの両端からそれぞれ延びる。2つのタイロッド730は、2つの車輪WHLにそれぞれ連結される。加えて、2つのタイロッド730は、2つの懸架装置720にもそれぞれ連結される。ラック231Bの直線運動は、2つのタイロッド730を通じて、2つの車輪WHLに伝達される。この結果、2つの車輪WHLの向きが変えられる。
2つのタイロッド730それぞれは、固有振動数Ftrdを有する。モータ300Bが、固有振動数Ftrdに一致する周波数で変動する力をラック231Bに加えると、タイロッド730は、共振する。
2つの懸架装置720それぞれは、固有振動数Fhngを有する。モータ300Bが、固有振動数Fhngに一致する周波数で変動する力をラック231Bに加えると、懸架装置720は、共振する。
フロントサブフレーム710は、車両の前部の最下部の骨組である。エンジン(図示せず)は、フロントサブフレーム710にマウントされる。2つの懸架装置720それぞれは、フロントサブフレーム710に連結される。本実施形態において、フレーム部材は、フロントサブフレーム710によって例示される。
フロントサブフレーム710は、固有振動数Ffsfを有する。固有振動数Ffsfに一致する周波数で変動する力が、2つの懸架装置720に加わると、フロントサブフレーム710は、共振する。
固有振動数Fcls,Fims,Fprm,Ftrd,Fhng,Ffsfが、「2hz」の周波数範囲内に収まるように、設計者は、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を設計してもよい。代替的に、固有振動数Fcls,Fims,Fprm,Ftrd,Fhng,Ffsfが、「1hz」の周波数範囲内に収まるように、設計者は、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を設計してもよい。
<第4実施形態>
第3実施形態に関連して説明されたモータは、ラックに連結される。代替的に、モータは、減速機を介して、コラムシャフトに連結されてもよい。第4実施形態において、コラムシャフトに連結されるモータを有する例示的な振動制御装置が説明される。
第3実施形態に関連して説明されたモータは、ラックに連結される。代替的に、モータは、減速機を介して、コラムシャフトに連結されてもよい。第4実施形態において、コラムシャフトに連結されるモータを有する例示的な振動制御装置が説明される。
図5は、第4実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100Cの概念図である。第3実施形態の説明は、第3実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。図5を参照して、制御装置100Cが説明される。
第3実施形態と同様に、制御装置100Cは、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、エンコーダ400Bと、コントローラ500Aと、トルクセンサ600と、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を備える。第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御装置100Cは、モータ300Cと、減速機310と、を更に備える。減速機310は、コラムシャフト210Bに取り付けられる。モータ300Cは、減速機310に連結される。減速機310は、モータ300Cから入力されたアシストトルクを所定の減速比で増幅する。増幅されたアシストトルクは、減速機310からコラムシャフト210Bへ伝達される。コラムシャフト210Bは、増幅されたアシストトルクによって回転される。
減速機310は、固有振動数Fsrdを有する。モータ300Cが、固有振動数Fsrdに一致する周波数で変動する力を減速機310に加えると、減速機310は、共振する。
固有振動数Fcls,Fims,Fprm,Ftrd,Fhng,Ffsf,Fsrdが、「2hz」の周波数範囲内に収まるように、設計者は、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、減速機310と、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を設計してもよい。代替的に、固有振動数Fcls,Fims,Fprm,Ftrd,Fhng,Ffsf,Fsrdが、「1hz」の周波数範囲内に収まるように、設計者は、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、減速機310と、フロントサブフレーム710と、一対の懸架装置720と、一対のタイロッド730と、を設計してもよい。
<第5実施形態>
コントローラは、振動制御装置が搭載された車両の速度に適したアシストトルクをモータに指示してもよい。第5実施形態において、車速に適したアシストトルクをモータに指示する例示的な振動制御装置が説明される。
コントローラは、振動制御装置が搭載された車両の速度に適したアシストトルクをモータに指示してもよい。第5実施形態において、車速に適したアシストトルクをモータに指示する例示的な振動制御装置が説明される。
図6は、第5実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100Dの概念的なブロック図である。上述の実施形態の説明は、上述の実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。図6を参照して、制御装置100Dが説明される。
第3実施形態と同様に、制御装置100Dは、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、モータ300Bと、エンコーダ400Bと、トルクセンサ600と、を備える。第3実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御装置100Dは、コントローラ500Dと、車速センサ610と、を更に備える。第2実施形態と同様に、コントローラ500Dは、補正部530Aと、加算器520Aと、を含む。第2実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
コントローラ500Dは、第1トルク決定部510Dを更に含む。第1トルク決定部510Dは、読取部511と、記憶部512と、ローパスフィルタ513と、を含む。車速センサ610は、車速パルスから車両の速度を判別する。車速センサ610は、判別された車両の速度を表す車速信号を生成する。車速信号は、車速センサ610から読取部511へ出力される。
トルクセンサ600は、運転者がステアリングホイールSTWを操作したときにコラムシャフト210Bに生じた操舵トルクを検出する。代替的に、トルクセンサ600は、中間シャフト220Bに生じた操舵トルクを検出してもよい。
トルクセンサ600は、検出された操舵トルクを表すトルク信号を生成する。トルク信号は、トルクセンサ600からローパスフィルタ513へ出力される。ローパスフィルタ513は、高い周波数の信号成分(たとえば、7hzを超える周波数の信号成分)をトルク信号から除去する。この結果、運転者の操舵動作を表さないノイズが除去される。ノイズ除去後のトルク信号は、ローパスフィルタ513から読取部511へ出力される。
記憶部512は、車速及び操舵トルクに対応する第1トルクに関する情報を格納する。読取部511は、車速信号から車速を読み取る。読取部511は、トルク信号から操舵トルクを読み取る。読取部511は、読み取られた車速及び操舵トルクに対応する第1トルクを記憶部512から読み出す。読取部511は、読み出された第1トルクを表すトルク情報を生成する。トルク情報は、読取部511から加算器520Aへ出力される。記憶部512は、一般的なメモリ素子であってもよい。読取部511は、メモリ素子からのデータの読出処理並びに読み出されたデータから信号を生成する信号生成処理用に設計されたプログラムを実行するCPUや他の演算素子であってもよい。
図7は、記憶部512に格納される例示的なデータを概念的に表すグラフである。図6及び図7を参照して、記憶部512に格納されるデータが説明される。
図7のグラフの横軸は、トルクセンサ600から出力されたトルク信号によって指示される操舵トルクを表す。図7のグラフの縦軸は、第1トルクを表す。図7のグラフは、「10km/h」、「30km/h」、「80km/h」及び「150km/h」の車速に対応する4つの曲線を示す。4つの曲線それぞれは、操舵トルクと第1トルクとの間の関係を表す。
車速が、「80km/h」であるとき、車速センサ610は、「80km/h」の車速を表す車速信号を生成する。車速信号は、ローパスフィルタ513を通じて、車速センサ610から読取部511へ出力される。
上述の如く、トルクセンサ600は、コラムシャフト210Bに生じた操舵トルクを検出する。操舵トルクが、「8Nm」であるならば、トルクセンサ600は、「8Nm」の操舵トルクを表すトルク信号を生成する。トルク信号は、トルクセンサ600から読取部511へ出力される。
読取部511は、「80km/h」の車速及び「8Nm」の操舵トルクに対応する第1トルクを記憶部512から読み出す。図7に関して、「80km/h」の車速及び「8Nm」の操舵トルクに対応する第1トルクは、「40Nm」である。読取部511は、「40Nm」の第1トルクを表すトルク情報を生成する。トルク情報は、加算器520Aへ出力される。
第2実施形態に関連して説明された如く、加算器520Aは、補正信号を補正値算出部532から受け取る。加算器520Aは、補正信号を用いて、トルク情報を補正し、アシストトルクを決定する。モータ300Bは、コントローラ500Dの制御下で、決定されたアシストトルクをラック231Bへ出力する。
<第6実施形態>
上述の実施形態に関連して説明された補正技術は、ステアリングホイールに対する運転者の操作へのステアリング機構の追従性能を悪化させることもある。したがって、ステアリング機構の共振のリスクが十分に低い周波数の信号に関しては、補正処理が無効化されてもよい。第6実施形態において、所定の周波数帯における補正処理を無効化する技術が説明される。
上述の実施形態に関連して説明された補正技術は、ステアリングホイールに対する運転者の操作へのステアリング機構の追従性能を悪化させることもある。したがって、ステアリング機構の共振のリスクが十分に低い周波数の信号に関しては、補正処理が無効化されてもよい。第6実施形態において、所定の周波数帯における補正処理を無効化する技術が説明される。
図8は、第6実施形態の振動制御装置として例示される制御装置100Eの概念的なブロック図である。第5実施形態の説明は、第5実施形態と同一の符号が付された要素に援用される。図3及び図8を参照して、制御装置100Eが説明される。
第5実施形態と同様に、制御装置100Eは、コラムシャフト210Bと、中間シャフト220Bと、ラック231Bと、ピニオンロッド232Bと、モータ300Bと、エンコーダ400Bと、トルクセンサ600と、車速センサ610と、を備える。第5実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
制御装置100Eは、コントローラ500Eを更に備える。第5実施形態と同様に、コントローラ500Eは、第1トルク決定部510Dと、加算器520Aと、を含む。第5実施形態の説明は、これらの要素に援用される。
コントローラ500Eは、補正部530Eと、電流供給部540と、を更に含む。第5実施形態と同様に、補正部530Eは、補正値算出部532を含む。第5実施形態の説明は、補正値算出部532に援用される。
補正部530Eは、ハイパスフィルタ531Eと、調整部533と、を含む。ハイパスフィルタ531Eは、図3を参照して説明されたボード線図に表される周波数特性を有する。ハイパスフィルタ531Eは、第2実施形態に関連して説明された演算を実行する。演算結果は、ハイパスフィルタ531Eから調整部533へ出力される。
図9は、調整部533に格納されるゲインデータを概念的に表すグラフである。図3、図8及び図9を参照して、制御装置100Eが更に説明される。
制御装置100Eを設計する設計者は、「0hz」から「Xhz(<9hz)」の周波数帯の信号成分に関して、調整部533が格納するゲインデータに「0」の値を設定する。調整部533は、「0hz」から「Xhz(<9hz)」の周波数帯の信号成分に「0」の値のゲインを乗算するので、「0hz」から「Xhz(<9hz)」の周波数帯の信号成分に対する補正は無効化される。
設計者は、コラムシャフト210B、中間シャフト220B、ピニオンロッド232B及びラック231Bの共振のリスクが充分に低い周波数の値を、「X」の値として定めることができる。第2実施形態に関連して説明された如く、コラムシャフト210B、中間シャフト220B、ピニオンロッド232B及びラック231Bの固有振動数は、「9hz」から「11hz」の周波数帯に分布している(図3を参照)。調整部533は、「9hz」以上の周波数帯に対して、「1」の値のゲインを保持している。調整部533は、「9hz」以上の周波数帯の信号成分に対して、「1」の値のゲインを乗算するので、「9hz」以上の周波数帯の信号成分に関して、ハイパスフィルタ531Eの演算結果は、補正値算出部532へそのまま出力される。
「Xhz」から「9hz」の周波数帯に関し、調整部533が保持するゲインは、単調増加する。設計者は、「Xhz」以下の周波数帯と「9hz」以上の周波数帯との間でのコントローラ500Eの制御特性の急激な変化が生じないように、「X」の値を決定してもよい。
調整部533は、図9に示されるゲインを、ハイパスフィルタ531Eからの演算結果に乗算し、角度信号を補正する。第2実施形態と同様に、補正値算出部532は、補正された角度信号を、トルクを表す補正信号に変換する。補正信号は、補正値算出部532から加算器520Aへ出力される。加算器520Aは、補正信号を用いて、読取部511から出力されたトルク情報を補正し、アシストトルクを決定する。
決定されたアシストトルクを表す情報は、加算器520Aから電流供給部540へ出力される。電流供給部540は、アシストトルクを表す情報に基づいて、モータ300Bへ供給される電流の大きさを決定する。アシストトルクから電流値への変換処理は、モータ300Bの入出力特性に依存する。したがって、本実施形態の原理は、アシストトルクから電流値を算出するための特定の演算処理に限定されない。
電流供給部540は、決定された値の電流を、モータ300Bへ供給する。モータ300Bは、供給された電流に応じたアシストトルクを出力する。アシストトルクは、ラック231Bへ出力される。電流供給部540は、電流を生成するように設計された電流生成回路であってもよい。電流生成回路は、アシストトルクから電流値への変換処理用に設計されたプログラムを実行するCPUや電力を出力する電源を含んでもよい。
上述の様々な実施形態の原理は、車両に対する要求に適合するように、組み合わされてもよいし、変更されてもよい。上述の様々な実施形態のうち1つに関連して説明された様々な特徴のうち一部が、他のもう1つの実施形態に関連して説明された振動制御装置に適用されてもよい。
上述の実施形態の原理は、様々な車両の設計に好適に利用される。
100,100A〜100E・・・・・・・・・・制御装置
200・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリング機構
210,210B・・・・・・・・・・・・・・・コラムシャフト
220,220B・・・・・・・・・・・・・・・中間シャフト
230・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオンラック機構
231,231B・・・・・・・・・・・・・・・ラック
232・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオン
232B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオンロッド
300,300B,300C・・・・・・・・・・モータ
400・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・角度検出部
400B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンコーダ
500,500A,500D,500E・・・・・コントローラ
510,510D・・・・・・・・・・・・・・・第1トルク決定部
520・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2トルク決定部
520A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加算器
530,530A,530E・・・・・・・・・・補正部
531,531E・・・・・・・・・・・・・・・ハイパスフィルタ
532・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・補正値算出部
710・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フロントサブフレーム
720・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・懸架装置
730・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・タイロッド
STW・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリングホイール
WHL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪
200・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリング機構
210,210B・・・・・・・・・・・・・・・コラムシャフト
220,220B・・・・・・・・・・・・・・・中間シャフト
230・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオンラック機構
231,231B・・・・・・・・・・・・・・・ラック
232・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオン
232B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ピニオンロッド
300,300B,300C・・・・・・・・・・モータ
400・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・角度検出部
400B・・・・・・・・・・・・・・・・・・・エンコーダ
500,500A,500D,500E・・・・・コントローラ
510,510D・・・・・・・・・・・・・・・第1トルク決定部
520・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・第2トルク決定部
520A・・・・・・・・・・・・・・・・・・・加算器
530,530A,530E・・・・・・・・・・補正部
531,531E・・・・・・・・・・・・・・・ハイパスフィルタ
532・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・補正値算出部
710・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フロントサブフレーム
720・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・懸架装置
730・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・タイロッド
STW・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ステアリングホイール
WHL・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・車輪
Claims (7)
- 一対の車輪の向きを変える操舵動作を行うステアリング機構と、
前記操舵動作を補助するアシストトルクを前記ステアリング機構に与えるモータと、
前記モータの回転角を表す角度信号を生成する角度信号生成部と、
前記角度信号に応じて、前記モータを制御するコントローラと、を備え、
前記ステアリング機構は、ステアリングホイールから延設されたコラムシャフトと、前記一対の車輪間で延びるラックと前記ラックに噛み合うピニオンとを有するピニオンラック機構と、前記コラムシャフトと前記ピニオンとを連結する中間シャフトと、を含み、
前記コラムシャフト、前記ピニオンラック機構及び前記中間シャフトの中で最も大きな固有振動数と最も小さな固有振動数との間の振動数範囲は、2hz未満であり、
前記コントローラは、前記ステアリングホイールの回転下で前記ステアリング機構に生じた操舵トルクから第1トルクを決定する第1トルク決定部と、前記第1トルクに対する補正値を決定する補正部と、前記補正値を用いて、前記第1トルクを補正し、前記アシストトルクを決定する第2トルク決定部と、を含み、
前記角度信号は、前記振動数範囲内の振動数で振動する複数の信号成分を含み、
前記補正部は、前記複数の信号成分に特異的に高いゲインを掛け、前記角度信号を処理し、前記補正値を決定する
車両の振動制御装置。 - 前記補正部は、前記複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように前記角度信号を処理し、前記補正値を決定する
請求項1に記載の振動制御装置。 - 前記補正部は、前記複数の信号成分に前記ゲインを掛け、且つ、前記複数の信号成分のうち1つの位相が、90°進むように、前記角度信号を処理し、補正された角度信号を生成するハイパスフィルタと、前記補正された角度信号から前記第1トルクに対する補正量を、前記補正値として算出する補正値算出部と、を含み、
前記第2トルク決定部は、前記補正値算出部が算出した前記補正量を前記第1トルクに加算し、前記アシストトルクを決定する加算器を含む
請求項1に記載の振動制御装置。 - 前記ハイパスフィルタの伝達関数の固有角周波数は、前記振動数範囲に設定される
請求項3に記載の振動制御装置。 - 前記伝達関数の減衰定数は、前記振動数範囲においてピークが現れるように設定される
請求項4に記載の振動制御装置。 - フレーム部材と、
前記ラックと前記一対の車輪とをそれぞれ連結する一対のタイロッドと、
前記フレーム部材から前記一対のタイロッドを懸架する一対の懸架装置と、を更に備え、
前記フレーム部材、前記一対のタイロッド及び前記一対の懸架装置それぞれは、前記振動数範囲内の固有振動数を有する
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の振動制御装置。 - 前記振動数範囲は、1hz以下である
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の振動制御装置。
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