JP2007112189A - 電動パワーステアリング制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】運転者による操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段1と、少なくとも上記操舵トルクに応じた補助トルクを発生するモータ8と、上記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段9と、上記操舵トルク検出手段の出力及び上記モータ電流検出手段の出力から上記モータのモータ角速度振動成分を推定するモータ振動推定手段10と、上記モータの角度を検出するモータ角度検出手段5と、上記モータ角度検出手段の出力を微分し、上記モータのモータ角速度振動を演算するモータ振動演算手段14と、上記モータ振動推定手段の出力及び上記モータ振動演算手段の出力から、ステアリング系の振動を抑制する制御量を演算する振動抑制制御手段4、17を備えている。
【選択図】図1
Description
この特許文献1に示される従来装置は、図5に示すように、トルクセンサ1で検出されたトルクセンサ出力をトルクセンサHPF11に通して操舵周波数成分を除去したトルクHPF出力と、電流検出器9で検出された駆動電流検出値を駆動電流HPF15に通して操舵周波数成分を除去した駆動電流HPF出力とに基づいて、モータ回転速度を推定する回転速度オブザーバ10を設けるとともに、オブザーバダンピング制御器4において、上記回転速度オブザーバ出力に基づいてダンピング電流を演算するようにして、運転者に不快なハンドル振動を抑制するように構成されている。
以下、この発明の実施の形態1について添付図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態1の電動パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。
尚、この発明はマイコンのソフトウェアのみで従来技術の上記問題点を解決可能であり、ハードウェアについては従来公知の電動式パワーステアリング装置を用いることができるので、その説明は省略する。
10はモータ回転速度を推定する回転速度オブザーバであって、トルクセンサ1の出力をトルクハイパスフィルタ(以下、トルクHPFという。)11に通して操舵周波数成分を除去したトルクHPF出力と、電流制御器9で検出された駆動電流検出値を駆動電流ハイパスフィルタ(以下、駆動電流HPFという)15に通して操舵周波数を除去した駆動電流HPF出力とに基づいて、モータの慣性モーメントを慣性項、トルクセンサの剛性をバネ項とする振動方程式に対して構成されている。
4は、回転速度オブザーバ10の出力からオブザーバダンピング電流を演算するオブザーバダンピング制御器である。
また、7は電流制御器であり、アシストトルクを発生すべく、電流検出器9で検出したモータ8に通電される駆動電流検出値が上記目標電流に一致するように、モータ8の端子に印加する駆動電圧指令値を設定して、例えばPWM信号として出力する。
一般に運転者が操舵可能な周波数は5Hz程度以下である。また、例えばレーンチェンジ時の操舵周波数は0.2Hz付近であり、通常はこのような低周波の操舵を行うケースが多い。これに対し、サスペンションの共振などで起こるシミー振動の周波数帯域は10〜20Hz、ステアリング発振を生じやすい周波数帯域は30Hz以上であり、回転速度オブザーバ10の入力及び、レゾルバダンピング制御器17の入力はハイパスフィルタを通すことにより、低周波成分である操舵による成分を除去できる。
オブザーバダンピング制御器4の入力である回転速度オブザーバ10は、発振周波数以上では、ハンドル角の振動や、路面反力変動が無視できるため、モータをばね特性を有するトルクセンサに支えられた振動系とみなしてオブザーバを構築したものである。
このため、発振周波数以上の高周波振動では、精度よくモータ角速度を推定することができるが、発振周波数以下の低周波振動に関しては、ハンドル角の振動や、路面反力変動が無視できなくなるため、回転速度オブザーバの推定精度は低下する。
また、レゾルバダンピング制御器17の入力である角度検出器5の出力を微分して演算される微分器12の出力は、微分による高周波ノイズが乗りやすいため、移動平均器14を通して用いなければならず、発振周波数以下の低周波では位相ズレが小さいが、発振周波数以上の高周波では位相ズレが大きくなるという特性がある。
従って、これら2つのダンピング制御器を組み合わせることによって、広い周波数帯域で振動を抑制することができる。
この粘性補償は操舵周波数帯域で用いられるため、回転速度LPF18によって、操舵周波数帯域に限定して補償を行っている。しかし、操舵周波数帯域での補償器であり、操舵フィーリングに影響がないように粘性補償を設定しなければならず、高周波のダンピング制御の制御量とは異なる大きさであるため、ダンピング制御と粘性補償は別系統で設計しなければならない。
尚、この実施の形態1が従来の技術と異なる点は、オブザーバダンピング制御器4とレゾルバダンピング制御器17を組み合わせて振動抑制するアルゴリズムであり、モータ8に通電する駆動電流の制御に関しては、PID式の電流フィードバック制御、あるいは、目標電流とモータ回転信号とに基づくオープンループ制御等の一般的に行われる制御を、デジタル制御あるいはアナログ制御のいずれかの方式に実施してもよい。したがって、以下では目標電流演算手段13におけるモータ8の目標電流を演算するまでのアルゴリズムに限定して説明を行う。
次に、ステップS103で位相補償器2により、メモリに記憶されたトルクセンサ出力を読み込み位相補償演算を行い、位相補償器出力としてメモリに記憶する。
ステップS104では、トルク制御器3により、メモリに記憶された位相補償器出力を読み込み、補助トルク電流をマップ演算し、メモリに記憶する。
ステップS105では、トルクHPF11により、メモリに記憶されたトルクセンサ出力を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、トルクHPF出力としてメモリに記憶する。
ステップS106では、駆動電流HPF15により、メモリに記憶された駆動電流検出値を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、駆動電流HPF出力としてメモリに記憶する。
次に、ステップS108では、オブザーバダンピング制御器4により、回転速度オブザーバ出力を読み込み、オブザーバダンピング制御器4で設定したゲインを乗じてオブザーバダンピング電流値として、メモリに記憶する。
ステップS110では、微分器12にてモータ角度検出値を読み込み、モータ角速度前回値との差分によって微分演算し、モータ角度微分値として、メモリに記憶し、モータ角度検出値をモータ角度前回値としてメモリに記憶する。
ステップS111では、モータ角度微分値を移動平均器14によって移動平均し、移動平均出力としてメモリに記憶する。
ステップS112では、回転速度HPF16により、移動平均出力を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、移動平均HPF出力としてメモリに記憶する。
ステップS113では、レゾルバダンピング制御器17により、移動平均HPF出力を読み込み、レゾルバダンピング制御器17で設定したゲインを乗じてレゾルバダンピング電流値としてメモリに記憶する。
ステップS115では、粘性補償器19により、移動平均LPF出力を読み込み、粘性補償器19で設定したゲインを乗じて粘性補償電流値としてメモリに記憶する。
上記ステップS101からS116までの動作を制御サンプリング毎に繰り返し、モータ8の目標電流を演算する。
また、上記実施の形態1では位相補償器2をデジタルで構成したが、アナログで構成してもよい。あるいは、位相補償器2をデジタルとアナログとを両方組み合わせた複数段の位相補償器としてもよい。この場合、S101はトルクセンサ1の出力ではなく、トルクセンサ1の出力を位相補償したアナログの位相補償器の出力を読み込んでメモリに記憶する動作を行うことになる。
位相補償器をアナログのみで構成する場合はS103の演算が不要になる。
また、位相補償器2をなくして、トルクセンサ出力から補助トルク電流を求めてもよい。この場合、S103のステップはなくなり、S104のステップはトルクセンサ出力から補助トルク電流を求めるようになる。
移動平均器14は、微分器出力の前回値と、今回値から平均値を演算してもよく、微分器出力の二〜数十回前から今回値までの平均値で演算してもよく、また、加重平均で演算してもよい。また、移動平均器14の代わりに、高周波帯域を遮断するローパスフィルタで構成してもよい。また、移動平均器14は、移動平均とローパスフィルタを組み合わせて構成してもよい。
また、操舵周波数除去手段であるトルクHPF11、駆動電流HPF15、回転速度HPF18は、操舵周波数の上限値であるたとえば5Hz等の操舵周波数以下を除去するように設定してもよい。
図3は、この発明の実施の形態2に係る電動パワーステアリング制御装置の構成を示すブロック図である。なお、図中、図1との同一符号は、同一あるいは相当部分を示すものとする。
実施の形態1では、回転速度オブザーバ10の入力は、トルクHPF11の出力と駆動電流HPF15の出力で構成されていたが、この実施の形態2は、図3に示すように、回転速度オブザーバ10の入力を角度ハイパスフィルタ(以下、角度HPFという。)20の出力と、駆動電流HPF15の出力から構成するようにしたものである。
また、実施の形態1では、レゾルバダンピング制御器17の入力は回転速度HPF16の出力であったが、この実施の形態2においては、回転速度HPF16の出力をレゾルバローパスフィルタ(以下、レゾルバLPFという。)21に入力し、レゾルバHPF21の出力をレゾルバダンピング制御器17に入力するようにしたものである。
実施の形態1でも述べたように、角度検出器5の出力を微分して演算される微分器12の出力は、微分による高周波ノイズが乗りやすく、移動平均器14を通して用いなければならないため、発振周波数以下では位相ズレが小さいが、発振周波数以上の高周波帯域では位相ズレが大きくなるという特性がある。
そこで、発振周波数以上での高周波帯域での影響を小さくするため、レゾルバLPF21で高周波帯域を除去することにより、レゾルバダンピング制御器17での周波数帯域を限定させ、オブザーバダンピング制御器4との干渉を避けようとするものである。
なお、この実施の形態2においても上記実施の形態1と同様に、目標電流演算手段13により目標電流を演算するまでのアルゴリズムに限定して説明を行う。
次に、ステップS203で電流検出器9からのモータ電流検出値を読み込み、メモリに記憶する。
S204では、位相補償器2により、メモリに記憶されたトルクセンサ出力を読み込み位相補償演算を行い、位相補償器出力としてメモリに記憶する。
ステップS205では、トルク制御器3により、メモリに記憶された位相補償器出力を読み込み、補助トルク電流をマップ演算し、メモリに記憶する。
ステップS206では、駆動電流HPF15により、メモリに記憶された駆動電流出力を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、駆動電流HPF出力としてメモリに記憶する。
ステップS207では、角度HPF20により、メモリに記憶されたモータ角度検出値を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、モータ角度HPF出力としてメモリに記憶する。
次に、ステップS209では、オブザーバダンピング制御器4により、回転速度オブザーバ出力を読み込み、オブザーバダンピング制御器4で設定したゲインを乗じてオブザーバダンピング電流値として、メモリに記憶する。
ステップS211では、モータ角度微分値を移動平均器14によって移動平均し、移動平均出力としてメモリに記憶する。
ステップS212では、回転速度HPF16により、移動平均出力を読み込み、ハイパスフィルタに通し、操舵周波数成分を除去した後、移動平均HPF出力としてメモリに記憶する。
ステップS213では、レゾルバLPF21により、移動平均HPF出力を読み込み、ローパスフィルタに通し、高周波成分を除去した後、レゾルバLPF出力としてメモリに記憶する。
ステップS214では、レゾルバダンピング制御器17により、レゾルバLPF出力を読み込み、レゾルバダンピング制御器17で設定したゲインを乗じてレゾルバダンピング電流値としてメモリに記憶する。
ステップS216では、粘性補償器19により、移動平均LPF出力を読み込み、粘性補償器19で設定したゲインを乗じて粘性補償電流値としてメモリに記憶する。
ステップS217では、加算器6により、上記メモリに記憶された補助トルク電流とオブザーバダンピング電流と、レゾルバダンピング電流と、粘性補償電流とを加算し、目標電流としてメモリに記憶する。
上記ステップS201からS217までの動作を制御サンプリング毎に繰り返し、モータ8の目標電流を演算する。
この場合、ステップS212とステップS213は、まとまって移動平均出力を回転速度バンドパスフィルタに通し、回転速度バンドパスフィルタ出力として、メモリに記憶することとなる。そして、ステップS214は、回転速度バンドパスフィルタ出力からレゾルバダンピング電流を求めることとなる。
回転速度オブザーバの入力信号を角度検出器と駆動電流検出器とから構成することによって、振動抑制制御を電流検出器と角度検出器の2つのセンサ信号のみで行うことができる。
4:オブザーバダンピング制御器、 5:角度検出器、 6:加算器、
7:電流制御器、 8:モータ、 9:電流検出器、 10:回転速度オブザーバ、
11:トルクHPF、 12:微分 器、 13:目標電流演算手段、
14:移動平均器、 15:駆動電流HPF、 16:回転速度HPF、
17:レゾルバダンピング制御器、 18:回転速度LPF 19:粘性補償器、
20:角度HPF、 21:レゾルバLPF。
Claims (7)
- 運転者による操舵トルクを検出する操舵トルク検出手段と、少なくとも上記操舵トルクに応じた補助トルクを発生するモータと、上記モータに流れる電流を検出するモータ電流検出手段と、上記操舵トルク検出手段の出力及び上記モータ電流検出手段の出力から上記モータのモータ角速度振動成分を推定するモータ振動推定手段と、上記モータの角度を検出するモータ角度検出手段と、上記モータ角度検出手段の出力を微分し、上記モータのモータ角速度振動を演算するモータ振動演算手段と、上記モータ振動推定手段の出力及び上記モータ振動演算手段の出力から、ステアリング系の振動を抑制する制御量を演算する振動抑制制御手段とを備えたことを特徴とする電動パワーステアリング制御装置。
- 上記モータ振動推定手段は、上記モータ電流検出手段の出力と、上記操舵トルク検出手段に代わる上記モータ角度検出手段の出力とからモータ角速度振動成分を推定するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 上記モータ振動推定手段で推定する周波数帯域をある周波数以上に制限する低周波制限手段と、上記モータ振動演算手段で演算する周波数帯域をある周波数以下に制限する高周波制限手段とを備え、上記振動抑制制御手段は、上記周波数帯域を制限されたモータ振動推定手段出力及びモータ振動演算手段出力から、ステアリング系の振動を抑制する制御量を演算するようにしたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 上記モータ振動推定手段の周波数帯域を制限する周波数が、上記モータ振動演算手段の周波数帯域を制限する周波数以下になるように設定することを特徴とする請求項3に記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 上記振動抑制制御手段の入力または出力から、ドライバが操舵可能な上限周波数及び車両固有振動周波数のいずれか高いほうの周波数以下の周波数帯域を除去する操舵成分除去手段を有することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電動パワーステアリング制御装置。
- 上記操舵成分除去手段で除去する周波数の上限を5Hz以上とすることを特徴とする請求項5に記載の電動パワーステアリング制御装置.
- 上記振動抑制制御手段は、上記モータ振動推定手段の出力からオブザーバダンピング電流を演算するオブザーバダンピング制御器と、上記モータ振動演算手段の出力からレゾルバダンピング電流を演算するレゾルバダンピング制御器を備えたことを特徴とずる請求項
1〜請求項6のいずれかに記載の電動パワーステアリング制御装置。
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