JP2017199893A - 光吸収材料およびそれを用いた太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】太陽電池の変換効率を高めることの可能な光吸収材料を提供する。
【解決手段】
光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(N
22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率が1.8以上2.7以下である化合物を主として含む。
【選択図】なし

Description

本開示は、光吸収材料およびそれを用いた太陽電池に関する。
近年、ABX3(Aは1価のカチオン、Bは2価のカチオン、Xはハロゲンアニオン)で示されるペロブスカイト型結晶、およびその類似の構造体(以下、「ペロブスカイト型化合物」と呼ぶ)を光吸収材料として用いた、ペロブスカイト太陽電池の研究開発が進められている。
非特許文献1には、ペロブスカイト太陽電池の光吸収材料として、CH3NH3PbI3(以下、「MAPbI3」と省略することがある)で示されるペロブスカイト型化合物を用いることが開示されている。また、(NH22CHPbI3(以下、「FAPbI3」と省略することがある)で示されるペロブスカイト型化合物も開示されている。
Jeong−Hyeok Im、他4名、"Nature Nanotechnology"(米国)、2014年11月、第9巻、p.927−932
ペロブスカイト太陽電池の変換効率をさらに高めることが求められている。
本開示の、限定的ではない例示的なある実施形態は、ペロブスカイト太陽電池の変換効率を高めることの可能な光吸収材料を提供する。また、そのような光吸収材料を用いた太陽電池を提供する。
本開示の一実施形態は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が配置されており、X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率は1.8以上2.7以下である化合物を主として含む光吸収材料を含む。
本開示の一実施形態によると、ペロブスカイト太陽電池の変換効率を高めることの可能な光吸収材料が提供される。また、そのような光吸収材料を用いた太陽電池が提供される。
ペロブスカイト太陽電池における蛍光寿命と変換効率の関係を示す図である。 本開示におけるペロブスカイト型化合物の製造方法の一例を説明するための模式的な工程断面図である。 本開示におけるペロブスカイト型化合物の製造方法の一例を説明するための模式的な工程断面図である。 本開示におけるペロブスカイト型化合物の製造方法の一例を説明するための模式的な工程断面図である。 本開示におけるペロブスカイト型化合物の一例を示す拡大写真である。 本開示におけるペロブスカイト型化合物の他の例を示す拡大写真である。 実施例2および比較例2のペロブスカイト型化合物のXPSスペクトルを示す図であり、C1sに対応した結合エネルギー付近のスペクトルを示す。 実施例2および比較例2のペロブスカイト型化合物のXPSスペクトルを示す図であり、N1sに対応した結合エネルギー付近のスペクトルを示す。 実施例2および比較例2のペロブスカイト型化合物のXPSスペクトルを示す図であり、Pb4fに対応した結合エネルギー付近のスペクトルを示す。 実施例2および比較例2のペロブスカイト型化合物のXPSスペクトルを示す図であり、I3d5に対応した結合エネルギー付近のスペクトルを示す。 実施例1のペロブスカイト型化合物のX線回折パターンを示す図である。 比較例1のペロブスカイト型化合物のX線回折パターンを示す図である。 実施例1および比較例1のペロブスカイト型化合物の蛍光スペクトルを示す図である。 実施例1および比較例1のペロブスカイト型化合物の蛍光減衰曲線を示す図である。 実施例1および比較例1のペロブスカイト型化合物の吸収スペクトルを示す図である。 本開示による太陽電池の一例を示す模式的な断面図である。 本開示による太陽電池の他の例を示す模式的な断面図である。 本開示による太陽電池のさらに他の例を示す模式的な断面図である。 本開示による太陽電池のさらに他の例を示す模式的な断面図である。 実施例1および比較例1の化合物のXRDパターンを示す図である。 実施例1および比較例1の化合物のXRDパターンを示す図である。 実施例11および比較例4の太陽電池のIPCE効率測定結果を示す図である。
(実施の形態)
本発明の基礎となった知見は以下のとおりである。
太陽電池用の光吸収材料としての性能は、そのバンドギャップで決定されることが知られている。詳細は、William Shockley、他1名“Journal of Applied Physics”(米国)、1961年3月、第32巻、第3号、p.510−519の中に記載されている。この変換効率の限界はShockley−Queisserlimit限界として知られており、バンドギャップが1.4eVのときに理論効率が最大となる。バンドギャップが1.4eVよりも大きいと、高い電圧が得られる一方、光吸収の短波長化によって電流値が小さくなる。逆に1.4eVよりも小さいと、光吸収の長波長化によって電流値が増大するものの、開放電圧が小さくなる。
しかしながら、従来のペロブスカイト型化合物のバンドギャップは、理論効率が最大となる1.4eVから大きくはずれている。例えば、前述したMAPbI3ペロブスカイト型化合物のバンドギャップは1.59eV、FAPbI3ペロブスカイト型化合物のバンドギャップは1.49eVである。このため、1.4eVまたは1.4eVにより近いバンドギャップを有するペロブスカイト型化合物が求められている。このようなペロブスカイト型化合物を太陽電池用の光吸収材料として用いると、従来よりも変換効率の高い太陽電池を実現することが可能になる。
FAPbI3は一般的にtrigonal構造を有している。Giles E Eperon、他5名、“Energy & Environmental Science”(英国)、2014年、第7巻、第3号、p.982−988で報告されているように、FAPbI3のバンドギャップは例えば1.48eVである。FAPbI3では、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造において、AサイトをFA+(ホルムアミジニウムカチオン)、BサイトをPb2+、XサイトをI-が占有している。Xサイトの一部は臭素(Br-)などで置換されていることもある。
また、例えば、Shuping Pang、他9名、“Chemistry of Materials”(米国)、2014年1月、第26巻、p.1485−1491の1487頁〜1488頁には、FA+を有するFAPbI3の結晶は、cubic構造をとることができず、FA+の近接構造がひずんでいると説明されている。
さらに、Marina R. Filip、他3名、“Nature Communications”(米国)、2014年12月、第5巻、5757において、FAPbI3におけるAサイトを様々なカチオンで置換したペロブスカイト型化合物に関する体系的な計算結果が示されている。彼らは、PbI6八面体同士の角度結合角に着目し、PbI6が理想的に配置、つまり歪まずに配列するほど狭いバンドギャップが得られ、逆にPbI6八面体がジグザグに配列するほど、広いバンドギャップが得られることを報告している。また、FAPbI3はある程度ひずんだ構造であり、完全に対称な構造ではないことが示されている。
上記のMarina R. FilipらおよびShuping Pangらが報告しているように、FAPbI3は、基本的にtrigonal構造をとり、そのPbI6八面体構造はひずみを有している。PbI6八面体構造のひずみは、FAPbI3が1.49eV程度の広いバンドギャップを示す要因となっていると考えられる。
これらの考察を鑑み、本発明者は、検討を重ねた結果、PbI6八面体同士のひずみが小さく、従来よりもバンドギャップの狭い新規なFAPbI3ペロブスカイト型化合物を見出した。
本開示の一実施形態の概要は以下のとおりである。
本開示の一実施形態の光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率が1.8以上2.7以下である化合物を主として含む。
X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率は2.1以上2.7以下であってもよい。
本開示の他の実施形態の光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、Pbに対するIの元素比率が3未満である化合物を主として含み、前記化合物は、880nm以上905nm以下に蛍光スペクトルのピークを有する。
本開示のさらに他の実施形態の光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、Pbに対するIの元素比率が3未満である化合物を主として含み、前記化合物のX線回折パターンは、13.9°≦2θ≦14.1°に位置する第1ピークと、23.5°≦2θ≦24.5°に位置する第2ピークと、27°≦2θ≦29°に位置する第3ピークとを有し、前記第2ピークの強度は、前記第1ピークの強度の40%以下であり、前記第3ピークの強度は、前記第1ピークの強度よりも大きい。
ある実施形態において、前記化合物のX線回折パターンは、19.65°≦2θ≦19.71°に位置する第4ピークをさらに有してもよい。
ある実施形態において、前記化合物のX線回折パターンは、39.98°≦2θ≦40.10°に位置する第5ピークをさらに有してもよい。
本開示のさらに他の実施形態の光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、ラザフォード後方散乱分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率が2.9以下である化合物を主として含む。
本開示の一実施形態の太陽電池は、導電性を有する第1電極と、前記第1電極上に位置し、入射光を電荷に変換する光吸収層と、前記光吸収層上に位置し、導電性を有する第2電極とを備え、前記光吸収層は、上記のいずれかの光吸収材料を含む。
(ペロブスカイト型化合物の組成および結晶構造)
<組成>
本開示の一実施形態の光吸収材料は、ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が配置されたペロブスカイト型化合物を主として含む。ペロブスカイト化合物のPbに対するIの元素比率は3未満である。言い換えると、Pbの元素比率を1、Iの元素比率を3×(1−x)とすると、x>0である。本明細書では、このxの値を、Pbに対するヨウ素の欠損率(以下、「ヨウ素欠損率」と略す)と呼ぶ。
ヨウ素欠損率xは、ペロブスカイト型化合物の組成分析を行うことによって求められる。例えば、組成分析で各元素の含有比率を求め、Pbに対するIの含有比率からヨウ素欠損率xを算出してもよい。組成分析として、XPS(X線光電子分光)測定、RBS(ラザフォード後方散乱分光法)、NRA(核反応分析)などを行ってもよい。なお、組成分析法によって、分析結果(元素の比率)が異なることがある。これは、組成分析法によって、分析の試料測定面積、測定深さ、また元素の状態によって感度比率が異なることがあるからである。一例として、XPS測定による組成分析において、Pbに対するIの元素比率3×(1−x)は、例えば1.8以上2.7以下、ヨウ素欠損率xは、例えば0.1以上0.4以下である。
本実施形態の光吸収材料は、上記ペロブスカイト型化合物を主として含んでいればよく、不純物を含み得る。光吸収材料における上記ペロブスカイト型化合物の割合は、例えば90wt%以上であってもよい。本実施形態の光吸収材料は、上記ペロブスカイト型化合物とは異なる他の化合物をさらに含んでいてもよい。
次いで、本開示のペロブスカイト型化合物の解析結果の一例を説明する。
<X線回折パターン>
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物の、X線としてCuKα線を用いたX線回折(XRD)パターンは、例えば、13.9〜14.1°、19〜21°、23.5〜24.5°、27〜29°、30.5〜32.5°、33.5〜35.5°、39〜41°にピークを有する。本開示の光吸収材料が混合物でない場合には、これらのピークは単一ピークとして表れ、上記範囲内で複数のピークが存在することはない。また、混合物でない場合には、回折角40°以下において、上記以外のピークは存在しない。
本明細書では、上述したX線回折パターンピークのうち、13.9°≦2θ≦14.1°に位置するピークを「第1ピーク」、23.5°≦2θ≦24.5°に位置するピークを「第2ピーク」と、27°≦2θ≦29°に位置するピークを「第3ピーク」と呼ぶ。第1ピークは(100)面、第2ピークは(111)面、第3ピークは(200)面にそれぞれ帰属される。また、19〜21°に位置し、(110)面に帰属されるピークを「第4ピーク」、39〜41°に位置し、(220)面に帰属されるピークを「第5ピーク」と呼ぶ。第4ピークは、例えば19.65°≦2θ≦19.71°に位置し、第5ピークは、例えば39.98°≦2θ≦40.10°に位置してもよい。
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物のX線回折パターンは、以下の点で従来のFAPbI3と異なっている。第1に、第1ピークに対する第2ピークの強度比I(111)/I(100)は、例えば0%超40%以下であり、従来のFAPbI3の強度比I(111)/I(100)(例えば49%)よりも小さい。第2に、従来のFAPbI3では、第3ピークの強度は第1ピークの強度よりも小さいのに対し、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物では、第3ピークの強度は第1ピークの強度よりも大きい。
本発明者が、ヨウ素、鉛などの元素比率を変えながら、FAPbI3のX線回折パターンを理論的に計算したところ、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物に見られる上記の特徴は、ヨウ素欠損を有する場合に現れる回折ピークの特徴であることが分かった。従って、このXRD測定結果は、本実施形態のペロブスカイト型化合物が、従来のFAPBI3ペロブスカイト型化合物よりも多くのヨウ素欠損を有することを示している。
<蛍光スペクトル>
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物では、蛍光スペクトルのピークは、従来のFAPbI3よりも長波長側に位置している。従来のFAPbI3は、可視光(例えば532nm)の励起によって830nmにピークトップを有する蛍光スペクトルを示すのに対し、本実施形態のペロブスカイト型化合物は、例えば、880nm以上905nm以下にピークトップを有する蛍光スペクトルを示す。これは、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物による長波長吸収は、不純物準位によるものではなく、伝導帯と価電子帯に、いわゆる直接遷移型半導体のように、高い電子密度分布を有していることを示している。
(ペロブスカイト型化合物の物性)
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物は、太陽電池用の光吸収材料として有用な以下の物性を示し得る。
<バンドギャップ>
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物は、従来のFAPBI3(バンドギャップ1.49eV)よりも1.4eVに近いバンドギャップを有し得る。本実施形態のペロブスカイト型化合物のバンドギャップは、好ましくは1.4eV程度、例えば1.35eV以上1.45eV未満である。
ペロブスカイト型化合物のバンドギャップは、例えば、ペロブスカイト型化合物の吸光度測定によって算出される。
本実施形態におけるペロブスカイト型化合物が従来よりも狭いバンドギャップを有する理由は、次のように考えられる。
既に説明したとおり、従来のFAPbI3のペロブスカイト型結晶では、構成する各イオンの大きさの関係上、複数のPbI6八面体がジグザグに配列し、直線状に配列することは困難である。これに対し、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物では、ペロブスカイト結晶構造において、PbI6八面体を構成するヨウ素サイトの一部が欠損している。このようなヨウ素欠陥サイトは、従来のFAPbI3よりも多く存在している。ヨウ素欠損サイトにより、大きなFA+による構造のひずみが緩和されて対称性が高められ、PbI6八面体の配列が従来よりも直線状になっていると考えられる。この結果、バンドギャップが狭くなり、1.4eVという太陽電池用光吸収材料として最も良い効率を実現することが可能になったと考察される。
<蛍光寿命>
「蛍光寿命」とは、電荷分離後に、伝導帯の電子と価電子帯のホールとが再結合する際に発生する蛍光の寿命(減衰速度定数)をいう。図1は、本発明者の検討によって得られた、ペロブスカイト太陽電池におけるペロブスカイト型化合物の蛍光寿命と変換効率との関係を示す図である。図1から分かるように、太陽電池では、この蛍光寿命が長いほど、再結合する速度が小さくなる。この結果、取り出すことのできる電子とホールとが多くなるので、変換効率が高くなる。
蛍光寿命の測定は、532nmの波長で励起し、最も蛍光強度の高い波長で行う。測定温度は25℃である。ここでは、最も強度カウントの高い時間から、2次線形近似をし、寿命の長い成分の減衰速度定数を「蛍光寿命」として算出する。
FAPbI3ペロブスカイト型化合物の蛍光寿命は、従来は、例えば5ns〜10ns程度であった。これに対し、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物の蛍光寿命は、従来よりも長く、例えば10ns超、好ましくは15ns以上である。このため、太陽電池の変換効率をさらに高めることが可能である。
(光吸収材料の製造方法)
次に、図面を参照しながら、本実施形態におけるペロブスカイト型化合物の作製方法の一例を説明する。ここでは、液相での結晶成長法を例に説明するが、本実施形態の作製方法はこれに限定されない。
まず、図2Aに示すように、γ−ブチルラクトン(γ−BL)に、PbI2と、PbI2と同モル量のFAIとを添加する。次いで、例えば40℃以上80℃以下(ここでは80℃)に加熱したオイルバス41中で溶解させ、黄色の溶液(第1の溶液)51を得る。
第1の溶液51を一度室温まで冷却した後、図2Bに示すように、第1の溶液51に純水をよく攪拌しながら混合させ、第2の溶液52を得る。純水の添加量は、第1の溶液51に対する体積比率で、例えば0.1vol%以上1.0vol%以下(ここでは0.7vol%)であってもよい。続いて、得られた第2の溶液52を室温で放置(保存)する。
この後、図2Cに示すように、第2の溶液52を試験管に入れ、90℃以上130℃以下(ここでは110℃)に加熱したオイルバス41中に静置する。これにより、液体の内部に黒色の結晶54が析出する。オイルバス41中に静置させる時間(析出時間)Tdは、例えば0.5時間以上5時間以下、好ましくは1時間以上3時間以下に設定されてもよい。この後、結晶54をアセトンでよく洗浄する。このようにして、ペロブスカイト型化合物(FAPBI3結晶)を得ることができる。
得られたFAPBI3結晶は、ヨウ素欠損を有する。ヨウ素の欠損量は、プロセス条件によって調整され得る。例えば、第2の溶液52を保存する時間Tsによってヨウ素の欠損量が変わり得る。保存時間Tsが長いほど、第2の溶液52が空気(酸素)に暴露する時間が長くなるため、第2の溶液52中のヨウ素イオン(I-)が酸素と反応してヨウ素(I2)を遊離しやすくなる(下式参照)。このため、ヨウ素の欠損量を増加させることが可能である。
2I- → I2 + 2e-
2 +4e- +4H2O → 4OH-
保存時間Tsは、他のプロセス条件によっても変わるため一概にはいえないが、例えば1時間以上30日以内であってもよい。
ヨウ素の欠損量は、第1の溶液51に対する水の添加量によっても調整され得る。水の添加量が多くなると、ヨウ素の欠損量が増加する傾向がある。ただし、前述したように、第1の溶液51に対する水の添加量は、例えば0.1vol%以上1.0vol%以下の範囲内で調整される。水の添加量が多すぎると(例えば1.0wt%超)、結晶の析出が起こらない可能性がある。また、水の添加量が少なすぎると(例えば0.1vol%未満)、ヨウ素の欠損が生じない、またはヨウ素欠損量が所定量よりも少なくなる可能性がある。
図3Aは、析出時間Tdを1時間として作製されたペロブスカイト型化合物の拡大写真である。図3Bは、析出時間Tdを3時間として作製されたペロブスカイト型化合物の拡大写真である。析出時間Tdが長くなると、結晶サイズが大きくなっており、析出時間Tdによって結晶サイズを調整できることが分かる。
第1の溶液および第2の溶液に用いる溶媒における、3つのHSP(ハンセン溶解度パラメータ)のうちσh(分子間の水素結合によるエネルギー)およびσp(分子間の双極子相互作用によるエネルギー)は、以下の範囲にあってもよい。
4<σh<14 (1)
10<σp<22 (2)
あるいは、σhおよびσpは以下の範囲にあってもよい。
5<σh<8 (3)
13<σp<18 (4)
HSPが上記範囲を満たす溶媒では、ペロブスカイト型化合物の前駆体であるハロゲン化鉛またはハロゲン化アルキルアンモニウムと、溶媒分子との相互作用の強度が適切な範囲内にある。したがって、前駆体分子の溶媒への溶解と、ITC(逆温度依存性結晶化)によるペロブスカイト型化合物の析出とを両立させることができる。ITCとは、溶質の溶媒への溶解度が温度の上昇に従って減少し、結晶が析出する現象を指す。
このような溶媒の具体例として、ラクトン系溶媒が挙げられる。ラクトン系溶媒の例としては、γ―ブチルラクトン、カプロラクトン、γ―バレロラクトン、γ―ヘキサノラクトン、γ―ノナラクトンおよびそれらの誘導体が挙げられる。HSPが上記の範囲を満たすように、複数のラクトン系溶媒を混合して用いてもよい。
側鎖にアルキル基を有するラクトン系溶媒を用いてもよい。アルキル基を有するラクトン系溶媒の例としては、γ―バレロラクトン(側鎖:―CH3)、γ―ヘキサノラクトン(側鎖:―CH2CH3)、γ―ノナラクトン(側鎖:−(CH24CH3)が挙げられる。本発明者の検討により、ペロブスカイト型化合物の析出温度は、ラクトン系溶媒の側鎖のアルキル基が長くなるにつれ低下することが確認された。具体的には、側鎖を有さないγ―ブチルラクトンでは析出温度が120℃であったが、γバレロラクトンでは80℃、γ―ヘキサノラクトンでは70℃、γ―ノナラクトンでは30℃であった。結晶析出温度が低いと、製造時に消費するエネルギーを低減することができるため、工業的に有用である。
(実施例および比較例)
実施例および比較例のペロブスカイト型化合物(以下、単に「化合物」と略す)を作製し、物性を評価したので、その方法および結果を説明する。
<実施例および比較例の化合物の作製>
[実施例1〜10]
図2Aから図2Cを参照しながら前述した方法で、実施例の化合物を作製した。具体的には、γ−ブチルラクトン(γ−BL)に1mol/LのPbI2(東京化成製)と、1mol/LのFAI(東京化成製)とを添加し、80℃に加熱したオイルバス中で溶解させ、黄色の溶液(第1の溶液)を得た。次いで、第1の溶液を一度室温まで冷却したのち、体積比率で0.7vol%の純水をよく攪拌しながら混合させた。得られた液体(第2の溶液)を室温で所定の時間(保存時間Ts)保存した。
この後、第2の溶液を試験管に入れ、110℃に加熱したオイルバス中で静置させた。静置させる時間(析出時間Td)を1時間とした。これにより、液体の内部に黒色の結晶が析出した。この後、結晶をアセトンでよく洗浄することで、実施例の化合物(FAPbI3結晶)を得た。ここでは、第2の溶液の保存時間Tsを異ならせることにより、実施例1から実施例10の化合物を作製した。各実施例の保存時間Tsを表1に示す。
[比較例1〜3]
まず、PbI2を1mol/L、FAIを1mol/Lの濃度で含むDMSO(ジメチルスルホキシド)溶液を用意した。次に、この溶液を基板上にスピンコート法で塗布した。基板として、フッ素ドープSnO2層が形成された厚さ1mmの導電性ガラス基板(日本板硝子製)を用いた。この後、基板を150℃のホットプレート上で熱処理することにより、比較例1から比較例3の化合物(FAPbI3膜)を得た。
<組成分析>
各実施例および比較例の化合物の組成分析を行った。ここでは、実施例1および比較例1の化合物に、RBS、NRA測定を行い、実施例2から実施例5および比較例2の化合物に、XPS測定を行った。また、実施例6、7および比較例3の化合物に、EPMA(電子線マイクロアナライザ)測定を行った。
測定結果を表1に示す。表1には、XPS、RBS、NRA測定またはEPMA測定で得られた各材料の組成の元素比率(atomic%)、および、Pbの元素比率を1として規格化した元素比率(Pbに対する元素比率)を示す。また、Pbに対するIの元素比率を3×(1−x)として、ヨウ素欠損率xを算出したので表1に示す。
Figure 2017199893
表1に示す結果から、分析方法によって元素比率の測定結果は異なるものの、実施例の化合物が、比較例の化合物よりも高いヨウ素欠損率xを示すことが確認された。
XPS測定によると、実施例の化合物のPbに対するIの元素比率は1.8以上2.7以下(ヨウ素欠損率x:0.1以上0.4以下)、この例では2.1以上2.7以下(ヨウ素欠損率x:0.1以上0.3以下)であった。
RBS/NRA測定によると、例えば、Pbに対するIの元素比率は2.9以下(ヨウ素欠損率x:0.03以上)であった。なお、RBS測定によると、高い精度で組成比を算出できる。例えばペロブスカイト膜上に他の化合物が堆積しているような場合でも、ペロブスカイト膜の組成を高い精度で分析できる。
次いで、XPSスペクトルの測定結果を説明する。図4Aから図4Dは、実施例2および比較例2の化合物のXPSスペクトルを示す図であり、それぞれ、C1s軌道、N1s軌道、Pb4f軌道およびI3d5軌道に対応した結合エネルギー付近のスペクトルを示す。
図4Aから図4Dに示す結果から分かるように、実施例2と比較例2とでは、N1s軌道、Pb4f軌道およびI3d5軌道に対応したスペクトルは略一致している。これに対し、C1s軌道に対応するスペクトルは互いに異なっている。具体的には、実施例2では、288〜292eVに位置するC1sのピークの強度に対する、285〜288eVに位置するC1sのピークの強度の割合は30%以上であり、比較例2の上記割合よりも大きい。これは、実施例2の化合物と比較例2の化合物とでは、FA+に近接する電子状態が変化していることを表している。なお、図示していないが、他の実施例におけるXPSスペクトルも実施例1と同様の傾向を示す。
<結晶構造解析>
実施例1から実施例5および比較例1の化合物について、XRD測定を行った。
図5Aは、実施例1の材料のXRD測定結果を示す図であり、横軸が2θ、縦軸がX線回折強度を示す。図5Bは比較例1の化合物のXRDパターンを示す図である。ここでは、X線にCuKα線を用いている。なお、他の実施例のX線回折パターンも実施例1と同様の傾向を示すため図示を省略する。
図5Aおよび図5Bから分かるように、実施例および比較例の材料のX線回折パターンは、(100)面に帰属し、13.9°≦2θ≦14.1°に位置する第1ピークと、(111)面に帰属し、23.5°≦2θ≦24.5°に位置する第2ピークと、(200)面に帰属し、27°≦2θ≦29°に位置する第3ピークとを有している。
各実施例および比較例における第1ピーク、第2ピークおよび第3ピークの強度I(100)、I(111)、I(200)を表2に示す。また、第1ピークに対する第2ピークの強度比I(111)/I(100)、および、第1ピークに対する第2ピークの強度比I(200)/I(100)を算出したので、表2に示す。
Figure 2017199893
表2に示す結果から、実施例1から実施例5の化合物における第2ピークに対する第1ピークの強度比I(111)/I(100)は、比較例の強度比I(111)/I(100)(49%)よりも小さいことが分かった。実施例における強度比I(111)/I(100)は、例えば0%超40%以下であった。また、比較例1では、第3ピークの強度は第1ピークの強度よりも小さいのに対し、実施例1から実施例5では、第3ピークの強度は第1ピークの強度よりも大きい。すなわち、実施例1から実施例5における第1ピークに対する第3ピークの強度比I(200)/I(100)は100%超であった。このような強度比の特徴から、実施例1から実施例5の化合物が、比較例1の化合物よりも多くのヨウ素欠損を有することが確認された。
さらに、実施例1および比較例1の化合物について、より高精度のXRD装置を用いてXRD測定を行い、(110)面に帰属される第4ピークおよび(220)面に帰属される第5ピークの位置を詳細に調べた。
図13Aおよび図13Bは、実施例1および比較例1の化合物のXRDパターンを示す図である。実線は実施例1の化合物のXRDパターン、破線は比較例1の化合物のXRDパターンである。また、図13Aは回折角2θ:19.2°〜20.2°における回折強度、図13Bは回折角2θ:39.4°〜40.8における回折強度を示す。
図13Aおよび図13Bから分かるように、実施例1のXRDパターンは、19.65°≦2θ≦19.71°に位置する第4ピークと、39.98°≦2θ≦40.10°に位置する第5ピークとを有している。
実施例1における第4ピークは2θ=19.68°に位置し、比較例1における(110)面に帰属されるピーク(2θ=19.72°)よりも0.1°程度低角度側にシフトしている。同様に、実施例1の第5ピークは2θ=40.04°に位置し、比較例1における(220)面に帰属されるピーク(2θ=40.11°)よりも0.1°程度低角度側にシフトしている。これは、実施例1の化合物におけるFAPbI3結晶の単位格子が、比較例1の化合物よりも大きいことを示している。通常、FAPbI3結晶では、単位格子が大きいほどバンドギャップが小さいことから、実施例1の化合物が、比較例1の化合物よりも小さいバンドギャップを有することが確認される。
<蛍光測定・蛍光寿命>
実施例1から5および比較例1の化合物に対し、532nmのレーザーを光源として蛍光測定および蛍光寿命測定を行った。
図6は、実施例1および比較例1の化合物における、532nmのレーザーを光源とする蛍光測定で得られた蛍光スペクトルの測定結果を示す図である。横軸は波長、縦軸は蛍光強度である。なお、他の実施例の測定結果も実施例1と同様の傾向を示すため図示を省略する。
図6に示すように、比較例1の化合物の蛍光スペクトルは830nmにピークを有するのに対し、実施例1の化合物の蛍光スペクトルは890nmにピークを有している。すんわち、実施例1の化合物の蛍光スペクトルのピークは、比較例1よりも長波長側に位置していることが分かる。
各実施例および比較例における蛍光強度が最も高くなる波長(以下、ピーク波長)を表3に示す。表3に示す結果から、実施例1から実施例5におけるピーク波長は、880nm以上905nm以下であることが分かった。
次いで、蛍光強度が最も高くなる波長(ピーク波長)で蛍光寿命を測定した。測定温度は25℃とした。
図7は、実施例1および比較例1の化合物の蛍光減衰曲線を示す。図7の横軸は時間、縦軸はカウント数を示す。各曲線に対し、最も強度カウントの高い時間から、2次線形近似をし、寿命の長い成分の減衰速度定数を蛍光寿命として算出した。実施例2から実施例5についても同様にして蛍光寿命を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2017199893
表3に示す結果から、実施例1から実施例5の化合物が、比較例1の化合物よりも長い蛍光寿命を有することが確認された。
<吸光度測定>
実施例1から5および比較例1の化合物の吸光度測定を行い、バンドギャップおよび吸収端の波長を算出した。
図8は、実施例1および比較例1の化合物の吸収スペクトルを示す図であり、横軸は波長、縦軸は吸光度を示す。比較例1の化合物では、バンドギャップに相当する吸収端の波長は830nm付近であり、バンドギャップは1.49eVであった。これに対し、実施例1の化合物では、吸収端の波長は885nm付近であり、バンドギャップは1.4eV程度であった。同様にして、実施例2から実施例5の吸収端の波長およびバンドギャップを求めたので、結果を表4に示す。
なお、バンドギャップは次のようにして求めた。吸光度をα、バンドギャップをEgとすると、α2は(hν−Eg)と比例する。ここで、hはプランク定数、νは周波数であり、hνはおよそ1240/λである。ここで、λは吸収波長である。この関係に基づいて、縦軸(y軸)にα2、横軸(x軸)に1240/λをとり、吸収端付近で直線近似を行い、そのx軸切片をバンドギャップEgとした。
Figure 2017199893
この結果から、実施例1から実施例5の化合物における吸収端の波長は、比較例1の化合物よりも長波長側に位置することが分かった。また、実施例1から実施例5の化合物は、1.4eVまたは1.4eV近傍のバンドギャップを有しており、高い変換効率に寄与し得ることが確認された。
なお、実施例および比較例の各化合物に対して行った複数種類の分析結果は、必ずしも、その化合物の同じ位置、同じ深さを対象としたものではない。例えば、RBS測定では化合物における幅1mm、深さ1μmの領域、XPS測定では化合物における幅100μm、深さ数nmの領域の分析を行った。さらに、蛍光波長および蛍光寿命の測定は、化合物における幅100μm、深さ0.5μmの領域で行った。
(太陽電池の構造および製造方法)
以下、図面を参照しながら、本実施形態の光吸収材料を用いた太陽電池の構造および製造方法を説明する。
図9は、本実施形態の太陽電池の一例を示す模式的な断面図である。
太陽電池100では、基板1上に、第1電極22と、光吸収層5と、第2電極6とがこの順に積層されている。光吸収層5の光吸収材料は、本実施形態におけるFAPbI3型化合物を含む。なお、太陽電池100は基板1を有していなくてもよい。
次に、太陽電池100の基本的な作用効果を説明する。太陽電池100に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は、第1電極2に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、第2電極6に移動する。これにより、太陽電池100は、負極としての第1電極2と、正極としての第2電極6とから、電流を取り出すことができる。
太陽電池100は、例えば以下の方法によって作製することができる。まず、基板1の表面に第1電極2を、化学気相蒸着法、スパッタ法などにより形成する。次に、第1電極2の上に、光吸収層5を形成する。例えば、図2Aから図2Cを参照しながら前述した方法で作製されたペロブスカイト型化合物(FAPbI3結晶)を所定の厚さに切り出して光吸収層5とし、第1電極上に設置してもよい。続いて、光吸収層5の上に、第2電極6を形成することにより、太陽電池100を得ることができる。
以下、太陽電池100の各構成要素について、具体的に説明する。
<基板1>
基板1は、付随的な構成要素である。基板1は、太陽電池100の各層を保持する役割を果たす。基板1は、透明な材料から形成することができる。例えば、ガラス基板またはプラスチック基板(プラスチックフィルムを含む)を用いることができる。また、第1電極2が十分な強度を有している場合、第1電極2によって各層を保持することができるので、必ずしも基板1を設けなくてもよい。
<第1電極2>
第1電極2は、導電性を有する。また、第1電極2は、光吸収層5とオーミック接触を形成しない。さらに、第1電極2は、光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有する。光吸収層5からの正孔に対するブロック性とは、光吸収層5で発生した電子のみを通過させ、正孔を通過させない性質のことである。このような性質を有する材料とは、光吸収層5の価電子帯下端のエネルギー準位よりも、フェルミ準位が低い材料である。具体的な材料としては、アルミニウムが挙げられる。
また、第1電極2は、透光性を有する。例えば、可視領域から近赤外領域の光を透過する。第1電極2は、例えば、透明であり導電性を有する金属酸化物を用いて形成することができる。このような金属酸化物としては、例えば、インジウム−錫複合酸化物、アンチモンをドープした酸化錫、フッ素をドープした酸化錫、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムの少なくとも一種をドープした酸化亜鉛、あるいはこれらの複合物が挙げられる。
また、第1電極2は、透明でない材料を用いて、光が透過するパターンを設けて形成することができる。光が透過するパターンとしては、例えば、線状、波線状、格子状、多数の微細な貫通孔が規則的又は不規則に配列されたパンチングメタル状のパターン、または、これらとはネガ・ポジが反転したパターンが挙げられる。第1電極2がこれらのパターンを有すると、電極材料が存在しない部分を光が透過することができる。透明でない電極材料として、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。また、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
第1電極2の光の透過率は、例えば50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。透過すべき光の波長は、光吸収層5の吸収波長に依存する。第1電極2の厚さは、例えば、1nm以上1000nm以下の範囲内にある。
<光吸収層5>
光吸収層5の光吸収材料は、本実施形態のペロブスカイト型化合物を含む。光吸収層5の厚さは、その光吸収の大きさにもよるが、例えば100nm以上1000nm以下である。光吸収層5は、前述したように、FAPbI3結晶を切り出すことによって形成されてもよい。なお、光吸収層5の形成方法は、特に限定されない。例えば、ペロブスカイト型化合物を含む溶液による塗布法を用いて形成することもできる。
<第2電極6>
第2電極6は、導電性を有する。また、第2電極6は、光吸収層5とオーミック接触しない。さらに、光吸収層5からの電子に対するブロック性を有する。光吸収層5からの電子に対するブロック性とは、光吸収層5で発生した正孔のみを通過させ、電子を通過させない性質のことである。このような性質を有する材料とは、光吸収層5の伝導帯上端のエネルギー準位よりも、フェルミ準位が高い材料である。具体的な材料としては、金、グラフェンなどの炭素材料が挙げられる。
図10は、本実施形態の太陽電池の他の例を示す模式的な断面図である。太陽電池200は、電子輸送層を備える点で、図9に示す太陽電池100と異なる。太陽電池100と同一の機能および構成を有する構成要素については、太陽電池100と共通する符号を付し、説明を適宜省略する。
太陽電池200では、基板1上に、第1電極22と、電子輸送層3と、光吸収層5と、第2電極6とがこの順に積層されている。なお、太陽電池200は基板1を有していなくてもよい。
次に、太陽電池200の基本的な作用効果を説明する。太陽電池100に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は、電子輸送層3を介して第1電極22に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、第2電極6に移動する。これにより、太陽電池200は、負極としての第1電極22と、正極としての第2電極6とから、電流を取り出すことができる。
また、本実施の形態においては、電子輸送層3を設けている。そのため、第1電極22が光吸収層5からの正孔に対するブロック性を有さなくてもよい。したがって、第1電極22の材料選択の幅が広がる。
本実施形態の太陽電池200は、図9に示す太陽電池100と同様の方法によって作製することができる。電子輸送層3は、第1電極22の上にスパッタ法などによって形成する。
以下、太陽電池200の各構成要素について具体的に説明する。
<第1電極22>
第1電極22は、導電性を有する。第1電極22は、第1電極2と同様の構成とすることもできる。本実施形態では、電子輸送層3を用いるため、第1電極22は、光吸収層からの正孔に対するブロック性を有さなくてもよい。すなわち、第1電極22の材料は、光吸収層とオーミック接触する材料であってもよい。
第1電極22は、透光性を有する。例えば、可視領域から近赤外領域の光を透過する。第1電極22は、透明であり導電性を有する金属酸化物を用いて形成することができる。このような金属酸化物としては、例えば、インジウム−スズ複合酸化物、アンチモンをドープした酸化スズ、フッ素をドープした酸化スズ、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、インジウムのうち少なくとも一種をドープした酸化亜鉛、あるいはこれらの複合物が挙げられる。
また、第1電極22の材料として、透明でない材料を用いることもできる。その場合、第1電極2と同様に、第1電極22を、光が透過するパターン状に形成する。透明でない電極材料としては、例えば、白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム、チタン、鉄、ニッケル、スズ、亜鉛、またはこれらのいずれかを含む合金を挙げることができる。また、導電性を有する炭素材料を用いることもできる。
第1電極22の光の透過率は、例えば50%以上であってもよく、80%以上であってもよい。透過すべき光の波長は、光吸収層5の吸収波長に依存する。第1電極22の厚さは、例えば、1nm以上、1000nm以下である。
<電子輸送層3>
電子輸送層3は、半導体を含む。電子輸送層3は、バンドギャップが3.0eV以上の半導体であってもよい。バンドギャップが3.0eV以上の半導体で電子輸送層3を形成することにより、可視光および赤外光を光吸収層5まで透過させることができる。半導体の例としては、有機または無機のn型半導体が挙げられる。
有機のn型半導体としては、例えば、イミド化合物、キノン化合物、ならびにフラーレンおよびその誘導体が挙げられる。また無機のn型半導体としては、例えば、金属元素の酸化物、ペロブスカイト型酸化物を用いることができる。金属元素の酸化物としては、例えば、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Crの酸化物を用いることができる。より具体的な例としては、TiO2が挙げられる。ペロブスカイト型酸化物の例としては、SrTiO3、CaTiO3が挙げられる。
また、電子輸送層3は、バンドギャップが6eVよりも大きな物質によって形成されていてもよい。バンドギャップが6eVよりも大きな物質としては、フッ化リチウムまたはフッ化カルシウムなどのアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属のハロゲン化物、酸化マグネシウムなどのアルカリ金属酸化物、二酸化ケイ素などが挙げられる。この場合、電子輸送層3の電子輸送性を確保するために、電子輸送層3は、例えば10nm以下に構成される。
電子輸送層3は、互いに異なる材料からなる複数の層を含んでいてもよい。
図11は、本実施形態の太陽電池の一例を示す模式的な断面図である。太陽電池300は、多孔質層を備える点で、図10に示す太陽電池200と異なる。太陽電池200と同一の機能および構成を有する構成要素については、太陽電池200と共通する符号を付し、説明を適宜省略する。
太陽電池300では、基板1上に、第1電極22と、電子輸送層3と、多孔質層4と、光吸収層5と、第2電極6とがこの順に積層されている。多孔質層4は、多孔質体を含む。多孔質体は、空孔を含む。なお、太陽電池300は基板1を有していなくてもよい。
多孔質層4中の空孔は、光吸収層5と接する部分から、電子輸送層3と接する部分まで繋がっている。これにより、光吸収層5の材料は多孔質層4の空孔を充填し、電子輸送層3の表面まで到達することができる。したがって、光吸収層5と電子輸送層3とは接触しているため、直接電子の授受が可能である。
次に、太陽電池100の基本的な作用効果を説明する。太陽電池100に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は、電子輸送層3を介して第1電極22に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、第2電極6に移動する。これにより、太陽電池100は、負極としての第1電極22と、正極としての第2電極6とから、電流を取り出すことができる。
また、電子輸送層3の上に多孔質層4を設けたことにより、光吸収層5を容易に形成できるという効果が得られる。すなわち、多孔質層4を設けたことにより、多孔質層4の空孔に光吸収層5の材料が侵入し、多孔質層4が光吸収層5の足場となる。そのため、光吸収層5の材料が多孔質層4の表面で弾かれたり、凝集したりすることが起こりにくい。したがって、光吸収層5を均一な膜として形成することができる。
また、多孔質層4によって光散乱が起こることにより、光吸収層5を通過する光の光路長が増大する効果が期待される。光路長が増大すると、光吸収層5中で発生する電子と正孔の量が増加すると予測される。
太陽電池300は、太陽電池200と同様の方法によって作製することができる。多孔質層4は、電子輸送層3の上に、例えば塗布法によって形成する。
<多孔質層4>
多孔質層4は、光吸収層5を形成する際の土台となる。多孔質層4は、光吸収層5の光吸収や、光吸収層5から電子輸送層3への電子移動を阻害しない。
多孔質層4は、多孔質体を含む。多孔質体としては、例えば、絶縁性または半導体の粒子が連なった多孔質体が挙げられる。絶縁性の粒子としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素の粒子を用いることができる。半導体粒子としては、無機半導体粒子を用いることができる。無機半導体としては、金属元素の酸化物、金属元素のペロブスカイト酸化物、金属元素の硫化物、金属カルコゲナイドを用いることができる。金属元素の酸化物の例としては、Cd、Zn、In、Pb、Mo、W、Sb、Bi、Cu、Hg、Ti、Ag、Mn、Fe、V、Sn、Zr、Sr、Ga、Si、Crの酸化物が挙げられる。より具体的な例としては、TiO2が挙げられる。金属元素のペロブスカイト酸化物の例としては、SrTiO3、CaTiO3が挙げられる。金属元素の硫化物の例としては、CdS、ZnS、In23、PbS、Mo2S、WS2、Sb23、Bi23、ZnCdS2、Cu2Sが挙げられる。金属カルコゲナイドの例としては、CdSe、In2Se3、WSe2、HgS、PbSe、CdTeが挙げられる。
多孔質層4の層さは、0.01μm以上10μm以下が望ましく、0.1μm以上1μm以下がさらに望ましい。また、多孔質層4の表面粗さは大きい方が望ましい。具体的には、実効面積/投影面積で与えられる表面粗さ係数が10以上であることが望ましく、100以上であることがさらに望ましい。なお、投影面積とは、物体を真正面から光で照らしたときに、後ろにできる影の面積である。実効面積とは、物体の実際の表面積のことである。実効面積は、物体の投影面積および厚さから求められる体積と、物体を構成する材料の比表面積および嵩密度とから計算することができる。
図12は、本実施形態の太陽電池の他の例を示す模式的な断面図である。
太陽電池400は、正孔輸送層を備える点で、図11に示す太陽電池300と異なる。太陽電池100と同一の機能および構成を有する構成要素については、太陽電池100と共通する符号を付し、説明を適宜省略する。
太陽電池400では、基板31上に、第1電極32と、電子輸送層3と、多孔質層4と、光吸収層5と、正孔輸送層7と、第2電極36とがこの順に積層されている。太陽電池200は基板31を有していなくてもよい。
次に、本実施形態の太陽電池400の、基本的な作用効果を説明する。
太陽電池400に光が照射されると、光吸収層5が光を吸収し、励起された電子と、正孔とを発生させる。この励起された電子は電子輸送層3に移動する。一方、光吸収層5で生じた正孔は、正孔輸送層7に移動する。電子輸送層3は第1電極32に接続され、正孔輸送層7は第2電極36に接続されている。これにより、太陽電池400は、負極としての第1電極32と、正極としての第2電極36とから電流を取り出すことができる。
太陽電池400は、光吸収層5と第2電極36との間に正孔輸送層7を有している。このため、第2電極36は、光吸収層5からの電子に対するブロック性を有さなくてもよい。したがって、第2電極36の材料選択の幅が広がる。
以下、太陽電池400の各構成要素について、具体的に説明する。なお、太陽電池300と共通する要素については、説明を省略する。
<第1電極32および第2電極36>
上述したように、第2電極36は、光吸収層5からの電子に対するブロック性を有さなくてもよい。すなわち、第2電極36の材料は、光吸収層5とオーミック接触する材料であってもよい。そのため、第2電極36を、透光性を有するように形成することができる。
第1電極32および第2電極36の少なくとも一方は、透光性を有し、太陽電池100の第1電極2と同様に構成される。
第1電極32および第2電極36の一方は、透光性を有さなくともよい。すなわち、必ずしも透光性を有する材料を用いる必要はなく、また光を透過させる開口部分を含むパターンを有していなくてもよい。
<基板31>
図9に示す基板1と同様の構成とすることができる。また、第2電極36が透光性を有している場合には、基板31の材料は、透光性を有さない材料であってもよい。例えば、基板31の材料として、金属やセラミックス、透過性の小さい樹脂材料を用いることができる。
<正孔輸送層7>
正孔輸送層7は、有機物や、無機半導体などによって構成される。正孔輸送層7は、互いに異なる材料からなる複数の層を含んでいてもよい。
正孔輸送層7の厚さは、1nm以上1000nm以下であることが望ましく、10nm以上50nm以下であることがより望ましい。この範囲内であれば、十分な正孔輸送性を発現できる。また、低抵抗を維持できるので、高効率に光発電を行うことができる。
正孔輸送層7の形成方法としては、塗布法または印刷法を採用することができる。塗布法としては、例えば、ドクターブレード法、バーコート法、スプレー法、ディップコーティング法、スピンコート法が挙げられる。印刷法としては、例えば、スクリーン印刷法が挙げられる。また、必要に応じて、複数の材料を混合して正孔輸送層7を作製し、加圧、または焼成するなどしてもよい。正孔輸送層7の材料が有機の低分子体や無機半導体である場合には、真空蒸着法などによって作製することも可能である。
正孔輸送層7は、支持電解質および溶媒を含んでいてもよい。支持電解質および溶媒は、正孔輸送層7中の正孔を安定化させる効果を有する。
支持電解質としては、例えば、アンモニウム塩、アルカリ金属塩が挙げられる。アンモニウム塩としては、例えば、過塩素酸テトラブチルアンモニウム、六フッ化リン酸テトラエチルアンモニウム、イミダゾリウム塩やピリジニウム塩が挙げられる。アルカリ金属塩としては、例えば、過塩素酸リチウムや四フッ化ホウ素カリウムが挙げられる。
正孔輸送層7に含まれる溶媒は、イオン伝導性に優れるものが望ましい。水系溶媒および有機溶媒のいずれも使用できるが、溶質をより安定化するため、有機溶媒が望ましい。具体例としては、tert−ブチルピリジン、ピリジン、n−メチルピロリドンなどの複素環化合物溶媒が挙げられる。
また、溶媒としてイオン液体を、単独で、または他種の溶媒に混合して用いてもよい。イオン液体は、揮発性が低く、難燃性が高い点で望ましい。
イオン液体としては、例えば、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムテトラシアノボレートなどイミダゾリウム系、ピリジン系、脂環式アミン系、脂肪族アミン系、アゾニウムアミン系のイオン液体を挙げることができる。
(実施例および比較例)
実施例および比較例の太陽電池を作製し、素子特性を評価したので、その方法および結果を説明する。
<実施例および比較例の太陽電池の作製>
[実施例11]
実施例11として、図10に示す構成を有する太陽電池を作製した。光吸収層5として、前述の実施例1の化合物(FAPbI3結晶)を用いた。
まず、実施例1の化合物を、ダイヤモンドカッターで平板状に切り取り、紙やすりで表面を平滑化することにより、厚さ200μmの平板状(7mm×7mm)の試料を得た。
次いで、第1電極22としてITO膜を表面に有する基板1を用意し、ITO膜上に、電子輸送層3としてSnO2層をスパッタ法で形成した。続いて、SnO2層上に、光吸収層5として上記の平板状の試料を配置した。この後、試料の表面に金を蒸着することで、第2電極6を形成した。このようにして、実施例11の太陽電池を得た。太陽電池のサイズ(面積)は7mm×7mmである。各構成要素は以下の通りである。
基板1:ガラス基板 7mm×7mm、厚さ0.7mm
第1電極22:ITO (表面抵抗10Ω/□)
電子輸送層3:SnO2 厚さ20nm
光吸収層5:実施例1の化合物 厚さ200μm
第2電極6:Au 厚さ80nm
[比較例4]
電子輸送層3であるSnO2層上に、比較例1と同様の方法で、光吸収層5としてFAPbI3膜を形成した点以外は、実施例11と同様の構成を有する太陽電池を作成した。
<IPCE効率測定>
実施例11および比較例4の太陽電池の特性を評価するために、IPCE効率測定(incident photon to current conversion efficiency:波長ごとの量子効率測定)を行った。測定には、ソーラシミュレーター(分光計器社製、OTENTO−SUNV)を用いた。また、光源のエネルギーは、波長ごとに5mW/cm2とした。
測定結果を図14に示す。図14に示す結果から、ヨウ素欠損率の高い材料を光吸収層5に用いた実施例11では、比較例4と比べて、太陽電池の吸収波長域が長波長側に拡張していることが分かった。実施例11および比較例4の太陽電池において、量子効率のデータから基準太陽光(AM1.5G)での電流値を算出すると、それぞれ、30mA/cm2、24mA/cm2であった。従って、実施例11の太陽電池は、比較例4の太陽電池よりも太陽光下での電流値が大きく、高い変換効率を実現し得ることが分かった。
本開示の一実施形態にかかる光吸収材料は、太陽電池などの光吸収層の材料として好適に用いられ得る。また、本開示の一実施形態にかかる太陽電池は、光発電素子や光センサとして有用である。
1、31 基板
2、22、32 第1電極
3 電子輸送層
4 多孔質層
5 光吸収層
6、36 第2電極
7 正孔輸送層
41 オイルバス
51 第1の溶液
52 第2の溶液
54 結晶
100、200、300、400 太陽電池

Claims (8)

  1. ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、
    X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率が1.8以上2.7以下である化合物を主として含む、光吸収材料。
  2. X線光電子分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率は2.1以上2.7以下である、請求項1に記載の光吸収材料。
  3. ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、Pbに対するIの元素比率が3未満である化合物を主として含み、
    前記化合物は、880nm以上905nm以下に蛍光スペクトルのピークを有する、光吸収材料。
  4. ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、Pbに対するIの元素比率が3未満である化合物を主として含み、
    前記化合物のX線回折パターンは、13.9°≦2θ≦14.1°に位置する第1ピークと、23.5°≦2θ≦24.5°に位置する第2ピークと、27°≦2θ≦29°に位置する第3ピークとを有し、
    前記第2ピークの強度は、前記第1ピークの強度の40%以下であり、
    前記第3ピークの強度は、前記第1ピークの強度よりも大きい、光吸収材料。
  5. 前記化合物のX線回折パターンは、19.65°≦2θ≦19.71°に位置する第4ピークをさらに有する、請求項4に記載の光吸収材料。
  6. 前記化合物のX線回折パターンは、39.98°≦2θ≦40.10°に位置する第5ピークをさらに有する、請求項4または5に記載の光吸収材料。
  7. ABX3で示されるペロブスカイト型結晶構造を有し、Aサイトに(NH22CH+、BサイトにPb2+、XサイトにI-が位置し、
    ラザフォード後方散乱分光法による組成分析におけるPbに対するIの元素比率が2.9以下である化合物を主として含む、光吸収材料。
  8. 導電性を有する第1電極と、
    前記第1電極上に位置し、入射光を電荷に変換する光吸収層と、
    前記光吸収層上に位置し、導電性を有する第2電極と
    を備え、
    前記光吸収層は、請求項1から7のいずれかに記載の光吸収材料を含む、太陽電池。
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