JP2017197417A - Ni−Znフェライト材料およびNi−Znフェライト製造方法 - Google Patents

Ni−Znフェライト材料およびNi−Znフェライト製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】直流重畳特性が良好であるNi−Znフェライト材料の提供。【解決手段】主成分として、45〜50mol%の酸化鉄Fe2O3と、10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、2〜5mol%の酸化銅CuOと、残部の酸化ニッケルNiOとを含有し、主成分中の酸化鉄Fe2O3の濃度と主成分中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上であり、副成分として、ケイ酸カルシウムCaSiO3と酸化アンチモンSb2O3とを含有し、ケイ酸カルシウムCaSiO3の濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0〜0.3wt%であり、酸化アンチモンSb2O3の濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0〜0.15wt%であるNi−Znフェライト材料。【選択図】なし

Description

本発明は、Ni−Znフェライト材料およびNi−Znフェライト製造方法に関する。
酸化物磁性材料としてMn系フェライトが知られている。Mn系フェライトは、Ni系フェライトに比較して、低損失であり、高い磁気特性を有している。このため、Mn系フェライトは、電源回路等に用いられるトランス、コイル等に好適である。
電子機器の小型化が進んでおり、トランスやコイル等も小型化が求められ、これに伴い、トランスやコイル等のフェライトコアも小型化が進められてきている。しかし、Mn系フェライトコアは、その電気抵抗が低いために、直接巻線することができない。このため、Mn系フェライトコアを備えるトランスやコイル等は、小型化に限界がある。
そこで、特許文献1および特許文献2に示されるように、トランスやコイル等のフェライトコアとしてNi系フェライトを用いる技術が提案されている。Ni系フェライトコアは、その抵抗が高いために、直接巻線することができ、トランスやコイル等を小型化することができる。
特開2002−289421号公報 特開2003−321272号公報
しかしながら、Ni系フェライトは、Mn系フェライトに比較して、飽和磁束密度が小さいため、直流重畳特性が劣るという問題がある。すなわち、Ni系フェライトコアは、小さいコイル電流(励磁電流)であっても磁気飽和が生じるため、直流重畳電流が低電流領域にあってもインダクタンスが大きく変動するという問題がある。
本願の開示の技術は、かかる点に鑑みてなされたものであって、その課題は、直流重畳特性が良好であるNi−Znフェライト材料およびNi−Znフェライト製造方法を提供することにある。
開示の態様では、Ni−Znフェライト材料は、主成分と副成分とを含んでいる。主成分は、45〜50mol%の酸化鉄Feと、10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、2〜5mol%の酸化銅CuOと、残部の酸化ニッケルNiOとを含有している。主成分中の酸化鉄Feの濃度と主成分中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上である。副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有している。ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.3wt%以下である。酸化アンチモンSbの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.15wt%以下である。
開示のNi−Znフェライト材料は、飽和磁束密度が大きく、このため、直流重畳特性が良好である。
図1は、実施形態におけるNi−Znフェライト製造方法を示すフローチャートである。
以下に、本願が開示する実施形態におけるNi−Znフェライト材料について、図面を参照して説明する。
[Ni−Znフェライト材料]
実施形態におけるNi−Znフェライト材料は、主成分と副成分とを含んでいる。主成分は、酸化鉄Feと酸化亜鉛ZnOと酸化マンガンMnOと酸化銅CuOと酸化ニッケルNiOとを含有している。主成分中の酸化鉄Feの濃度は、45mol%以上であり、50mol%以下である。主成分中の酸化亜鉛ZnOの濃度は、10mol%以上であり、30mol%以下である。主成分中の酸化マンガンMnOの濃度は、0mol%より大きく、5mol%以下である。主成分中の酸化銅CuOの濃度は、2mol%以上であり、5mol%以下である。主成分の残部は、酸化ニッケルNiOである。主成分中の酸化鉄Feの濃度と主成分中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上である。
副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有している。ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.3wt%以下である。酸化アンチモンSbの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.15wt%以下である。副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbと異なる他の物質を含有してもよい。その物質としては、シリカSiO、酸化ビスマスBiが例示される。
[Ni−Znフェライト製造方法]
図1は、実施形態におけるNi−Znフェライト製造方法を示すフローチャートである。まず、既述の実施形態のNi−Znフェライト材料の主成分となる複数の主成分原料が準備される。複数の主成分原料は、酸化鉄Feの粉末と酸化亜鉛ZnOの粉末と酸化マンガンMnOの粉末と酸化銅CuOの粉末と酸化ニッケルNiOの粉末とを含んでいる。複数の主成分原料は、図1に示されているように、それぞれ、実施形態のNi−Znフェライト材料の主成分の組成に基づいて換算された重量が秤量される(ステップS01)。
秤量された複数の主成分原料は、調合され、溶媒とともに湿式混合される(ステップS02)。湿式混合により得られた混合物は、乾燥される(ステップS03)。乾燥により得られた乾燥物は、仮焼成される(ステップS04)。仮焼成により得られた仮焼き粉末は、所定の径以下の粉体に粉砕される(ステップS05)。
粉砕により得られた粉体は、このように作製されることにより、組成が既述の実施形態のNi−Znフェライト材料の主成分の組成に等しい。すなわち、その粉体中の酸化鉄Feの濃度は、45mol%以上であり、50mol%以下である。その粉体中の酸化亜鉛ZnOの濃度は、10mol%以上であり、30mol%以下である。その粉体中の酸化マンガンMnOの濃度は、0mol%以上であり、5mol%以下である。その粉体中の酸化銅CuOの濃度は、2mol%以上であり、5mol%以下である。その粉体の残部は、酸化ニッケルNiOである。その粉体中の酸化鉄Feの濃度とその粉体中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上である。すなわち、ステップS01では、ステップS05の粉砕により得られる粉体の組成が実施形態のNi−Znフェライト材料の主成分の組成に等しくなるように、複数の主成分原料が秤量される。
次いで、実施形態のNi−Znフェライト材料の副成分となる複数の副成分原料が準備される。複数の副成分原料は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含んでいる。複数の副成分原料は、さらに、シリカSiOと酸化ビスマスBiとを含んでいてもよい。複数の副成分原料は、それぞれ、実施形態のNi−Znフェライト材料の副成分の組成に基づいて換算された重量が秤量される(ステップS06)。
秤量された複数の副成分原料は、ステップS05の粉砕により得られた粉体に添加され、主成分原料の粉末と混合される(ステップS07)。混合により得られた混合物は、このように作製されることにより、組成が既述の実施形態のNi−Znフェライト材料の組成に等しい。すなわち、その混合物中のケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、0wt%より大きく、0.5wt%以下である。その混合物中の酸化アンチモンSbの濃度は、0wt%より大きく、0.15wt%以下である。すなわち、ステップS06では、ステップS07の混合により得られる混合物の組成が実施形態のNi−Znフェライト材料の副成分の組成に等しくなるように、複数の副成分原料が秤量される。
混合により得られた混合物は、乾燥される(ステップS08)。乾燥により得られた乾燥物は、バインダーが混合され、所定の大きさの粒子径の粉末に造粒される(ステップS09)。バインダーとしては、ポリビニルアルコールPVAの水溶液が例示される。造粒により得られた造粒物は、所定の形状に成形される(ステップS10)。その形状としては、トロイダル形状が例示される。成形により得られた成形物は、1000℃以下の温度の大気雰囲気で焼成される(ステップS11)。成形物が焼成される雰囲気の温度の下限値は、造粒物が適切に焼結される温度であり、たとえば、850℃が例示される。焼成により得られたフェライト焼成物は、さらに、加工されることにより、フェライトコアに例示される製品に形成される。
[Ni−Znフェライト材料の特性を評価するサンプル]
Ni−Znフェライト材料の特性を評価するサンプルは、既述のNi−Znフェライト製造方法により作製されるフェライト焼成体である。このとき、ステップS01では、ステップS05の粉砕により得られる粉体の組成が所定の組成と等しくなるように、複数の主成分原料が秤量される。その粉体中の酸化鉄Feの濃度は、49.5mol%である。その粉体中の酸化亜鉛ZnOの濃度は、22mol%である。その粉体中の酸化マンガンMnOの濃度は、3mol%である。その粉体中の酸化銅CuOの濃度は、2mol%である。その粉体中の酸化ニッケルNiOの濃度は、23mol%である。
ステップS02では、ステップS01で秤量された複数の主成分原料が湿式ボールミル中に入れられ、1時間湿式混合されている。ステップS04では、ステップS03で乾燥された乾燥物が900℃の大気雰囲気で2時間仮焼成されている。ステップS05では、仮焼成により得られた仮焼き粉末が、ボールミル中に入れられ、所定の径以下の粉体に粉砕されている。
ステップS06では、ステップS07の混合により得られた混合物の副成分の組成がサンプルごとに異なるように、複数の副成分原料が秤量されている。その混合物中の酸化ビスマスBiの濃度は、2wt%である。その混合物中のケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、0〜0.5wt%である。その混合物中の酸化アンチモンSbの濃度は、0〜0.17wt%である。サンプルは、副成分として、シリカSiOを含むこともある。
ステップS10では、ステップS09の造粒により得られた造粒物がトロイダル形状に成形されている。ステップS11では、ステップS10の成形により得られた成形物が、915℃の温度の大気雰囲気で5時間焼成されている。
[Ni−Znフェライト材料の特性]
Ni−Znフェライト材料は、Ni−Znフェライト材料から作製されたサンプルの比透磁率とコアロスと飽和磁束密度とを測定することにより、直流重畳特性が評価されることができる。比透磁率は、サンプルの透磁率を真空中の透磁率で除算した商を示している。コアロスは、1MHz、30mTの交番磁界が印加されたサンプルの単位体積当たりに損失した電力を示している。飽和磁束密度は、4000Amの磁界が印加されたサンプルの磁束密度を示している。Ni−Znフェライト材料は、比透磁率が大きいほど、または、コアロスが小さいほど、または、飽和磁束密度が大きいほど、直流重畳特性が良好である。
Ni−Znフェライト材料は、さらに、密度を測定することにより、ガラス層が形成されることにより緻密化されているかどうかが評価されることができ、適切に焼成されているかどうかが評価されることができる。
表1は、サンプル1〜サンプル16のフェライト焼成体の副成分の組成と副成分の組成と比透磁率とコアロスと飽和磁束密度と密度とを示している。
Figure 2017197417
サンプル1は、副成分としてシリカSiOが添加され、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとが添加されていない。サンプル1は、比透磁率が190であり、コアロスが1600kW/mであり、飽和磁束密度が436mTであり、密度が5.19g/ccである。
サンプル2は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが添加され、酸化アンチモンSbが添加されていない。サンプル2は、比透磁率が190であり、コアロスが1400kW/mであり、飽和磁束密度が437mTであり、密度が5.21g/ccである。
サンプル3は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとが添加されている。サンプル3は、比透磁率が197であり、コアロスが1350kW/mであり、飽和磁束密度が445mTであり、密度が5.23g/ccである。
表1は、サンプル3の比透磁率が、サンプル1の比透磁率より大きく、サンプル2の比透磁率より大きいことを示している。表1は、さらに、サンプル3のコアロスが、サンプル1のコアロスより小さく、サンプル2のコアロスより小さいことを示している。表1は、サンプル3の飽和磁束密度が、サンプル1の飽和磁束密度より大きく、サンプル2の飽和磁束密度より大きいことを示している。すなわち、表1は、サンプル3の直流重畳特性が、サンプル1、2の直流重畳特性より良好であることを示している。すなわち、表1は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとの両方が添加されているNi−Znフェライト材料が、その両方が添加されていないNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。表1は、さらに、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとが添加されているNi−Znフェライト材料が、酸化アンチモンSbが添加されていないNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。
表1は、さらに、サンプル1〜サンプル3の密度が5.15g/cc以上であり、サンプル1〜サンプル3が適切に焼成されていることを示している。
サンプル4は、ケイ酸カルシウムCaSiOが添加されておらず、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル4は、比透磁率が190であり、コアロスが1400kW/mであり、飽和磁束密度が437mTであり、密度が5.21g/ccである。
サンプル5は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.01wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル5は、比透磁率が194であり、コアロスが1390kW/mであり、飽和磁束密度が437mTであり、密度が5.21g/ccである。
サンプル6は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.05wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル6は、比透磁率が232であり、コアロスが1270kW/mであり、飽和磁束密度が440mTであり、密度が5.22g/ccである。
サンプル7は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.1wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル7は、比透磁率が228であり、コアロスが1300kW/mであり、飽和磁束密度が440mTであり、密度が5.22g/ccである。
サンプル8は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.3wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル8は、比透磁率が190であり、コアロスが1590kW/mであり、飽和磁束密度が442mTであり、密度が5.18g/ccである。
サンプル9は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.5wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル9は、比透磁率が88.1であり、コアロスが2700kW/mであり、飽和磁束密度が425mTであり、密度が5.02g/ccである。
表1は、サンプル5〜8の比透磁率が、サンプル4の比透磁率以上であり、サンプル9の比透磁率より大きいことを示している。表1は、さらに、サンプル5〜7のコアロスがサンプル4のコアロスより小さいことを示し、サンプル5〜8のコアロスがサンプル9のコアロスより小さいことを示している。表1は、さらに、サンプル5〜8の飽和磁束密度が、サンプル4の飽和磁束密度以上であることを示し、サンプル5〜8の飽和磁束密度が、サンプル9の飽和磁束密度より大きいことを示している。すなわち、表1は、サンプル5〜8の直流重畳特性が、サンプル4、9の直流重畳特性より良好であることを示している。表1は、さらに、ケイ酸カルシウムCaSiOの添加量が0〜0.3wt%であるNi−Znフェライト材料が、ケイ酸カルシウムCaSiOが添加されていないNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。表1は、さらに、ケイ酸カルシウムCaSiOの添加量が0〜0.3wt%であるNi−Znフェライト材料が、ケイ酸カルシウムCaSiOの添加量が0.3wt%より大きいNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。
表1は、サンプル4〜8の密度が5.15g/cc以上であり、サンプル4〜8が915℃の雰囲気で適切に焼成されていることを示している。表1は、サンプル9の密度が5.15g/cc未満であり、サンプル9が915℃の雰囲気で適切に焼成されていないことを示している。すなわち、表1は、ケイ酸カルシウムCaSiOの添加量が0.3wt%より大きいNi−Znフェライト材料が915℃の雰囲気で適切に焼成されないことを示している。
サンプル10は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、酸化アンチモンSbが添加されていない。サンプル10は、比透磁率が190であり、コアロスが1600kW/mであり、飽和磁束密度が436mTであり、密度が5.19g/ccである。
サンプル11は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.01wt%添加されている。サンプル11は、比透磁率が193であり、コアロスが1560kW/mであり、飽和磁束密度が438mTであり、密度が5.2g/ccである。
サンプル12は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.05wt%添加されている。サンプル12は、比透磁率が197であり、コアロスが1350kW/mであり、飽和磁束密度が445mTであり、密度が5.23g/ccである。
サンプル13は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.1wt%添加されている。サンプル13は、比透磁率が207であり、コアロスが1400kW/mであり、飽和磁束密度が443mTであり、密度が5.24g/ccである。
サンプル14は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.13wt%添加されている。サンプル14は、比透磁率が208であり、コアロスが1420kW/mであり、飽和磁束密度が442mTであり、密度が5.24g/ccである。
サンプル15は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.15wt%添加されている。サンプル15は、比透磁率が210であり、コアロスが1430kW/mであり、飽和磁束密度が440mTであり、密度が5.22g/ccである。
サンプル16は、副成分としてケイ酸カルシウムCaSiOが0.15wt%添加され、副成分として酸化アンチモンSbが0.17wt%添加されている。サンプル16は、比透磁率が203であり、コアロスが1530kW/mであり、飽和磁束密度が435mTであり、密度が5.19g/ccである。
表1は、サンプル11〜15の比透磁率がサンプル10の比透磁率より大きいことを示している。表1は、サンプル11〜15のコアロスが、サンプル10のコアロスより小さいことを示している。表1は、サンプル11〜15の飽和磁束密度が、サンプル10の飽和磁束密度より大きく、サンプル16の飽和磁束密度より大きいことを示している。すなわち、表1は、サンプル11〜15の直流重畳特性が、サンプル10、16の直流重畳特性より良好であることを示している。表1は、さらに、酸化アンチモンSbの添加量が0〜0.15wt%であるNi−Znフェライト材料が、酸化アンチモンSbが添加されていないNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。表1は、さらに、酸化アンチモンSbの添加量が0〜0.15wt%であるNi−Znフェライト材料が、酸化アンチモンSbの添加量が0.15wt%より大きいNi−Znフェライト材料に比較して、直流重畳特性がより良好であることを示している。
表1は、サンプル11〜15の密度が5.15g/cc以上であり、サンプル11〜15が915℃の雰囲気で適切に焼成されていることを示している。表1は、サンプル11〜15の密度がサンプル10、16の密度より大きいことを示している。すなわち、表1は、酸化アンチモンSbの添加量が0〜0.15wt%であるNi−Znフェライト材料が915℃の雰囲気で適切に焼成されることを示している。すなわち、表1は、酸化アンチモンSbの添加量が0〜0.15wt%であるNi−Znフェライト材料が、酸化アンチモンSbの添加量が0〜0.15wt%でないNi−Znフェライト材料に比較して、より緻密に焼結されていることを示している。
[Ni−Znフェライト材料の効果]
実施形態におけるNi−Znフェライト材料は、主成分と副成分とを含んでいる。主成分は、45〜50mol%の酸化鉄Feと、10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、2〜5mol%の酸化銅CuOと、残部の酸化ニッケルNiOとを含有している。主成分中の酸化鉄Feの濃度と主成分中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上である。副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有している。ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.3wt%以下である。酸化アンチモンSbの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.15wt%以下である。
このようなNi−Znフェライト材料は、マンガンMnが添加されていることにより、飽和磁束密度が大きく、直流重畳特性が良好である。このようなNi−Znフェライト材料は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとが添加されることにより、1000℃以下の雰囲気で適切に焼成された場合でも、比透磁率が大きく、コアロスが小さくなる。このようなNi−Znフェライト材料は、1000℃以下の雰囲気で焼成されることにより、低コストで焼成されることができる。このようなNi−Znフェライト材料は、さらに、950℃以下の雰囲気で適切に焼成されることができる。このようなNi−Znフェライト材料は、950℃以下の雰囲気で焼成されることにより、銀Agとともに焼成されることができる。
このようなNi−Znフェライト材料は、大気中で焼成されることができる。大気と異なる雰囲気で焼成する設備は、大気中で焼成する設備に比較して、高価である。その雰囲気としては、窒素雰囲気、真空雰囲気が例示される。このようなNi−Znフェライト材料は、大気雰囲気で焼成されることにより、大気と異なる雰囲気で焼成されることに比較して、低コストで焼成されることができる。
ところで、実施形態におけるNi−Znフェライト材料は、1000℃以下の雰囲気で焼成されているが、1000℃以下の雰囲気で焼成された場合でも、このような組成により、比透磁率が大きく、コアロスが小さく、飽和磁束密度が大きく、このため、直流重畳特性が良好である。実施形態におけるNi−Znフェライト材料は、さらに、大気中で焼成されているが、大気と異なる他の雰囲気で焼成されてもよい。その雰囲気としては、窒素雰囲気、真空雰囲気が例示される。Ni−Znフェライト材料は、このような雰囲気で焼成された場合でも、このような組成により、比透磁率が大きく、コアロスが小さく、飽和磁束密度が大きく、このため、直流重畳特性が良好である。
実施形態におけるNi−Znフェライト材料は、インダクタに利用されることができる。そのインダクタは、Ni−Znフェライト材料からなるコアと、コアに巻線されるコイルとを備えている。このようなインダクタは、Ni−Znフェライト材料の電気抵抗が十分に小さいことにより、コアとコイルとを電気的に絶縁するセパレータを設ける必要がなく、コアにコイルを直接巻線することができる。このようなインダクタは、コアにコイルを直接巻線することにより、小型化されることができる。
そのインダクタは、いわゆる積層インダクタであり、コアは、Ni−Znフェライト材料からなる複数のフェライトシートが積層されることにより形成されている。このとき、コイルは、複数のフェライトシートにそれぞれ塗布された複数のパターンを有している。このような複数のフェライトシートは、Ni−Znフェライト材料が950℃以下の雰囲気で焼成されることにより、銀Agから形成される複数のパターンが焼成前の成形物に塗布された場合でも、銀Agが溶け落ちることなく適切に焼成されることができる。このようなインダクタは、Ni−Znフェライト材料からなる成形物に複数のパターンが塗布された後にその成形物を焼成することにより、容易に作製されることができる。
[Ni−Znフェライト製造方法の効果]
実施形態におけるNi−Znフェライト製造方法は、主成分から形成される仮焼き粉末に副成分が混合された混合物を成形することにより成形物を作製することと、成形物を1000℃以下の温度で焼成することによりフェライト焼成体を作製することとを備えている。主成分は、45〜50mol%の酸化鉄Feと、10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、2〜5mol%の酸化銅CuOと、残部の酸化ニッケルNiOとを含有している。酸化鉄Feの濃度と酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上である。副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有している。ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.3wt%以下である。酸化アンチモンSbの濃度は、主成分の質量と副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.15wt%以下である。
このようなNi−Znフェライト製造方法は、成形物が1000℃以下で焼成されることにより、成形物を高温で焼成する他のNi−Znフェライト製造方法に比較して、省エネであり、Ni−Znフェライト材料の焼成体を低コストで製造することができる。
実施形態におけるフェライト製造方法では、フェライト焼成体は、成形物が950℃以下の温度で焼成されることにより作製される。このようなNi−Znフェライト製造方法は、成形物が950℃以下で焼成されることにより、成形物に銀Agが塗布されている場合でも、銀Agが溶け落ちることなく、成形物を適切に焼成することができる。

Claims (6)

  1. 主成分と、
    副成分とを含み、
    前記主成分は、
    45〜50mol%の酸化鉄Feと、
    10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、
    0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、
    2〜5mol%の酸化銅CuOと、
    残部の酸化ニッケルNiOとを含有し、
    前記主成分中の酸化鉄Feの濃度と前記主成分中の酸化マンガンMnOの濃度との和は、50mol%以上であり、
    前記副成分は、ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有し、
    ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、前記主成分の質量と前記副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.3wt%以下であり、
    酸化アンチモンSbの濃度は、前記主成分の質量と前記副成分の質量との和に対して、0wt%より大きく、0.15wt%以下である
    Ni−Znフェライト材料。
  2. 請求項1に記載のNi−Znフェライト材料からなるコアと、
    前記コアに巻線されるコイル
    とを備えるインダクタ。
  3. 前記コアは、前記Ni−Znフェライト材料からなる複数のフェライトシートが積層されることにより形成され、
    前記コイルは、前記複数のフェライトシートにそれぞれ塗布された複数のパターンを有する
    請求項2に記載のインダクタ。
  4. 主成分から形成される仮焼き粉末に副成分が混合された混合物を成形することにより成形物を作製することと、
    前記成形物を1000℃以下の温度で焼成することによりフェライト焼成体を作製することとを備え、
    前記主成分は、
    45〜50mol%の酸化鉄Feと、
    10〜30mol%の酸化亜鉛ZnOと、
    0〜5mol%の酸化マンガンMnOと、
    2〜5mol%の酸化銅CuOと、
    残部の酸化ニッケルNiOとを含有し、
    酸化鉄Feの濃度と酸化マンガンMnOの濃度との和が50mol%以上であり、
    前記副成分は、
    ケイ酸カルシウムCaSiOと酸化アンチモンSbとを含有し、
    前記主成分の質量と前記副成分の質量との和に対して、ケイ酸カルシウムCaSiOの濃度は、0wt%より大きく、0.3wt%以下であり、酸化アンチモンSbの濃度は、0wt%より大きく、0.15wt%以下である
    Ni−Znフェライト製造方法。
  5. 前記フェライト焼成体は、前記成形物が950℃以下の温度で焼成されることにより作製される
    請求項4に記載のNi−Znフェライト製造方法。
  6. 前記フェライト焼成体は、前記成形物が大気中で焼成されることにより作製される
    請求項4または請求項5に記載のNi−Znフェライト製造方法。
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