JP2017196802A - 立体造形物の製造方法及び製造装置、並びにこれに用いる立体造形用樹脂組成物セット - Google Patents

立体造形物の製造方法及び製造装置、並びにこれに用いる立体造形用樹脂組成物セット Download PDF

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康夫 鈴木
成瀬 充
Mitsuru Naruse
充 成瀬
田元 望
Nozomi Tamoto
望 田元
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Abstract

【課題】使用前に除湿を行わなくても、高い造形安定性及び造形精度に優れた立体造形物が得られ、得られた立体造形物から支持体を、迅速に、安全かつ容易に除去することができる立体造形物の製造方法の提供。
【解決手段】立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程を含む立体造形物の製造方法であって、前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.1質量%以上0.5質量%以下である立体造形物の製造方法である。前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物の熱変形温度が、120℃を超える態様などが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形物の製造方法及び製造装置、並びにこれに用いる立体造形用樹脂組成物セットに関する。
近年、各種材料を積層させ、立体造形物を製造する立体造形技術である熱溶融積層(Fused deposition modeling)法は、装置が比較的安価であり、実際の製品と同じ素材を用いた造形が可能であるため、応用範囲が広く多く用いられている。
前記熱溶融積層法による立体造形物の製造は、立体造形物形成材料であるフィラメント形状の樹脂組成物を、加熱ヘッドまで搬送し、溶融、及び吐出して所定の形状の立体造形物形成材料層を形成させる。前記立体造形物形成材料層の形成を繰り返して積層することにより、目的とする立体造形物を得ることができる。
この場合、立体造形支持体用樹脂組成物である他のフィラメントの樹脂組成物を、立体造形物用樹脂組成物と同様の方法により、立体造形物用樹脂組成物層を支持しながら立体造形支持体用樹脂組成物層を積層することにより、例えば、積層方向に対して広がったカップのような形状や、カップの持手のようなトーラス形状の立体造形物を得ることができる。
前記立体造形支持体用樹脂組成物は、造形時に立体造形物用樹脂組成物層を支持する機能等の点から、熱溶融性、及び耐熱性を有することが要求される。また、前記立体造形支持体用樹脂組成物は、造形時の成形性の点から、立体造形物用樹脂組成物乃至造形ベッド(基体)とある程度の接着性を有すること、立体造形物の造形精度を維持する点から、造形表面がある程度滑らかであること、立体造形物用樹脂組成物と混ざり合わないことなどが要求される。さらに、前記立体造形支持体用樹脂組成物は、造形後においては立体造形物から立体造形支持体用樹脂組成物からなる支持体を除去する点から、容易に除去できることも要求される。
そこで、ABS、ポリ乳酸やポリ(2−エチル−2−オキサゾリン)等の汎用樹脂を用いた立体造形支持体用樹脂組成物としては、水溶性のポリビニルアルコールフィラメント等の水溶性樹脂フィラメントが知られている(例えば、特許文献1参照)。前記水溶性樹脂フィラメントにおける水溶解性を利用して形成された支持体は、水により溶解されて、立体造形物から除去される。
また、立体造形支持体用樹脂組成物を水ではなく、アルカリ溶液に溶解させて除去する方法として、例えば、可塑剤とカルボン酸を含むベースポリマーとを含む組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、非汎用樹脂のエンプラ系の樹脂である、120℃より高い熱変形温度を有するモデリング材料を立体造形支持体用樹脂組成物として用いる造形プロセスが提案されている(例えば、特許文献3参照)。またさらに、熱可塑性樹脂組成物にシリコーンを含有させる造形プロセスが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明は、使用前に除湿を行わなくても、高い造形安定性及び造形精度に優れた立体造形物が得られ、得られた立体造形物から支持体を、迅速に、安全かつ容易に除去することができる立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程を含む立体造形物の製造方法であって、前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.1質量%以上0.5質量%以下である。
本発明によれば、使用前に除湿を行わなくても、高い造形安定性及び造形精度に優れた立体造形物が得られ、得られた立体造形物から支持体を、迅速に、安全かつ容易に除去することができる立体造形物の製造方法を提供できる。
図1Aは、立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を用いて造形した立体造形物の一例を示す平面図である。 図1Bは、図1Aの立体造形物のA−A’線断面図である。 図1Cは、図1Bの立体造形物の支持体の除去工程の一例を示す断面概略図である。 図2は、本発明の立体造形物の製造装置の構成の一例を示す説明図である。
(立体造形物の製造方法)
本発明の立体造形物の製造方法は、立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程を含む立体造形物の製造方法であって、前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.1質量%以上0.5質量%以下(1,000ppm以上5,000ppm以下)であり、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の立体造形物の製造方法は、従来の立体造形物の製造方法では、水溶解性を利用した汎用樹脂である水溶性樹脂フィラメントを用いると、高温高湿環境下で保管された場合、他の非水溶性樹脂フィラメントに比べて吸湿しやすく、軟化して溶融ヘッドに安定して搬送できないという問題があるという知見に基づくものである。また、従来の立体造形物の製造方法では、アルカリ溶液に溶解する立体造形支持体用樹脂組成物を用いると、水溶性立体造形支持体用樹脂組成物に比べて吸湿による不具合は抑制できるが、アルカリ溶液は取扱いや廃棄が容易ではなく、安全性において問題があるという知見に基づくものである。さらに、非汎用樹脂のエンプラ系の樹脂を立体造形支持体用樹脂組成物として用いると、造形性には優れるものの、除去性が著しく悪く常温下ではまったく除去できないという問題があるという知見に基づくものである。またさらに、従来の立体造形物の製造方法では、シリコーンを含有する熱可塑性樹脂組成物を用いると、除去性は改善されるが造形時に必要な立体造形物層と支持体層との接着性が低下し、シリコーンを含有する支持体層の上に立体造形物層を造形するときに造形位置がずれ、最悪の場合は造形できない等、造形安定性が低下するという問題があるという知見に基づくものである。
立体造形支持体用樹脂組成物としては、Stratasys社製の装置名:Fortus400機に用いられる高性能熱可塑性プラスチック(例えば、ULTEMサポート材等)が上市されている。しかし、前記高性能熱可塑性プラスチックでは、支持体を除去する際に、高温水が必要であって除去性に劣り、安全性及び作業工数的にも改善が求められている。
<加熱溶融する工程>
前記加熱溶融する工程は、立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程であり、更に必要に応じてその他の処理を含む。
−樹脂組成物−
前記樹脂組成物は、立体造形物用樹脂組成物、及び立体造形支持体用樹脂組成物を用いる。
前記樹脂組成物としては、樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記樹脂組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、熱特性、強度、溶融粘度、付着性等の熱溶融積層法に必要な特性を満足していることが好ましい。
前記樹脂組成物としては、例えば、特表2005−531439号公報に記載されているメルトフロー特性、熱収縮特性、機械的強度を有していることが好ましい。また、造形の信頼性の観点から、樹脂組成物の溶融温度と熱分解温度(10質量%減量時の温度)とが、100℃以上離れていることが好ましい。
前記樹脂組成物の形状としては、例えば、フィラメント形状、タブレット形状、粉末状、顆粒状などが挙げられる。これらの中でも、熱溶融積層(Fused deposition modeling:FDM)法を用いた装置を用いた場合の汎用性、及び取り扱い容易性の点から、フィラメント形状が好ましい。
前記フィラメント形状の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mm以上5mm以下が好ましく、1.75mm以上3mm以下がより好ましい。
前記樹脂組成物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非水溶性であることが好ましい。前記非水溶性であることにより、樹脂組成物の保管時の吸湿性を抑制でき、フィラメント形状の樹脂組成物を用いて立体造形物を造形する場合に、加熱ヘッドへの搬送性を向上でき、また、造形される立体造形物の造形精度を向上できる。
前記樹脂組成物の熱変形温度としては、120℃を超えていることが好ましい。前記熱変形温度が、120℃を超えていると、詳細は不明であるが、立体造形時の加熱ヘッドの温度が低い場合に、立体造形支持体用樹脂組成物中に含有される水分が充分に発泡しないことを防止でき、求められる支持体の除去性を向上できる。
前記熱変形温度は、樹脂組成物の耐熱性を評価する試験法の1つであり、荷重たわみ温度とも呼ばれる。前記試験法としては、例えば、ASTM D648、JIS K7191−2などが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、JIS K7191−2で定められた方法にて測定された値を用いることができる。測定時の荷重としては、1.8MPaにて行うことができる。
前記熱変形温度とは、前記試験法の規格に決められた荷重を与えた状態にて、試料の温度を上げていき、たわみの大きさが一定の値になる温度を意味する。
前記立体造形物用樹脂組成物の水分量としては、特表2004−504177号公報に記載されている通り、フィラメント形状の立体造形物用樹脂組成物が乾燥チャンバーを有するカセット中に保持される等により、0.07質量%(700ppm)未満であることが好ましい。前記水分量が、0.07質量%(700ppm)未満であると、前記立体造形物用樹脂組成物が水分の影響を受けにくく、造形された立体造形物の質を向上できる。
このため、フィラメント形状の立体造形物用樹脂組成物を製造後、すぐにボビン等に巻き、乾燥剤とともに真空又は密閉包装して、輸送・保管されることが好ましい。また、使用後も密閉包装容器内に乾燥剤とともに再梱包、保管することが好ましい。
前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量としては、0.1質量%以上0.5質量%以下(1,000ppm以上5,000ppm以下)であり、0.2質量%以上0.4質量%以下(2,000ppm以上4,000ppm以下)が好ましい。前記水分量が、0.1質量%以上であると、支持体の除去性を向上でき、立体造形物の損傷を防止することができる。また、0.5質量%以下であると、立体造形支持体用樹脂組成物にて造形した支持体の精度の低下を防止でき、立体造形物の精度を向上できる。さらに、フィラメント形状の樹脂組成物である場合は、加熱ヘッドへのフィラメントの搬送性を向上できる。
また、前記水分量が、上記範囲内であると、理由は明確ではないが、含有する水分が、加熱ヘッドにて印加される熱により、好ましい発泡が生じ、立体造形物の精度に影響のない微小な粗さを好適に発現することができる。
前記水分量としては、例えば、カールフィッシャー水分計(装置名:MCU−610、京都電子工業株式会社製)を用いて、電量滴定法にて測定することができる。
前記立体造形支持体用樹脂組成物は、立体造形物用樹脂組成物との結合の強度、熱収縮特性の差異に基づいて選択することができる。
前記立体造形支持体用樹脂組成物としては、前記立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含むことが好ましい。立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含むと、立体造形物用樹脂組成物と立体造形支持体用樹脂組成物とが混合しても造形された立体造形物の質を保持することができ、熱収縮率の差異による立体造形物の変形を抑制することができる。また、立体造形物用樹脂組成物と立体造形支持体用樹脂組成物との造形条件を同一にすることができる可能性が高いことから、造形信頼性を大きく向上できる。
−−樹脂−−
前記樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリフェニレン、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリスチレン、アモルファスポリアミド、ポリエステル、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアリルエーテルケトン(PAEK)、ポリ乳酸(PLA)、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合樹脂(ABS)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、主成分がポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトンが好ましい。
前記樹脂におけるグレードは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記特性を含め、使用する製造装置から要求される種々の物理的、熱的及びレオロジー的特性に基づいて選択することが好ましい。
−−その他の成分−−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、色材、前記色材の分散剤、可塑剤、滑材、結晶核材、充填材、その他公知の添加剤などが挙げられる。
前記充填材は、無線周波数遮蔽特性、耐熱性、機械特性、又は放射線不透過特性を向上することができる。
前記充填材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸カルシウム、マイカ、タルク、シリカ、アルミナ、炭化珪素、カーボンブラックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去工程などが挙げられる。
前記除去工程としては、造形された立体造形物から、立体造形支持体用樹脂組成物からなる支持体を除去する工程である。
前記支持体を除去する方法としては、例えば、水等に浸漬して除去する;手作業にて支持体を除去するなどが挙げられる。これらの中でも、迅速に、安全かつ容易に除去できる点から、手作業にて支持体を除去することが好ましい。
(立体造形物の製造装置)
本発明の立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物と、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融吐出する加熱ヘッドと、加熱溶融吐出した樹脂組成物溶融物を堆積する基体と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の前記立体造形物の製造装置は、本発明の立体造形物の製造方法に好適に用いることができる。
前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物としては、前記立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物と同様のものを用いることができる。
<加熱ヘッド>
前記加熱ヘッドは、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融吐出する手段であり、更に必要に応じてその他の部材を有する。
前記加熱ヘッドは、前記加熱溶融する工程に好適に用いることができる。
前記加熱ヘッドにおける加熱温度としては、樹脂組成物を溶融できれば特に制限はないが、樹脂組成物の分解点以下であることが好ましく、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、120℃以上400℃以下が好ましい。
<基体>
前記基体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、チャンバー(ベッド)などが挙げられる。
<その他の手段>
その他の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、除去手段などが挙げられる。
前記除去手段としては、造形された立体造形物から、立体造形支持体用樹脂組成物からなる支持体を除去する手段である。
前記支持体を除去する手段としては、例えば、水等に浸漬して除去する;手作業にて支持体を除去するなどが挙げられる。これらの中でも、迅速に、安全かつ容易に除去できる点から、手作業にて支持体を除去することが好ましい。
[造形方法]
前記造形方法としては、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を用いて、特に制限はなく、目的に応じて適宜、公知の熱溶融積層(FDM)法の立体造形物の製造装置を選択することができる。前記造形方法としては、例えば、立体造形用プリンタにより、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を溶融して走査しながら吐出することにより所定の形状の立体造形物用樹脂組成物の層、及び立体造形支持体用樹脂組成物の層を形成し、この操作を繰り返し行うことにより、積層する方法などが挙げられる。
図1Aは、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を用いて造形した立体造形物の一例を示す平面図である。図1Bは、図1Aの立体造形物のA−A’線断面図である。図1Cは、図1Bの立体造形物の支持体の除去工程の一例を示す断面概略図である。
前記立体造形物の形成に非水溶性の樹脂を使用する場合は2個以上の加熱ヘッドを搭載した立体造形用プリンターを使用し、一方の加熱ヘッドには前記立体造形物用樹脂組成物を使用し、他方の加熱ヘッドには立体造形支持体用樹脂組成物を使用する。前記立体造形用プリンターを用いて各樹脂組成物を加熱ヘッドを用いて加熱して吐出することにより所定の形状の支持体部位の層と立体造形物部位の層を形成し、この操作を繰り返し行って積層することにより、立体造形物20を得ることができる。すなわち、前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物によって形成される立体造形物20は、立体造形支持体用樹脂組成物10の形状の少なくとも一部に対応する形状を有する(図1B参照)。
前記立体造形支持体用樹脂組成物を、立体造形物の支持用である支持体形成材料として用いることにより、アルカリ性の溶解液を用いることなく、立体造形物部位の特性を低下させることなく支持体部位を除去できる。
図2は、本発明の立体造形物の製造装置の構成の一例を示す説明図である。
立体造形物の製造装置1は、本体フレーム2の内部にチャンバー3を備えている。チャンバー3の内部は、三次元造形物を造形するための処理空間となっており、その処理空間内、すなわちチャンバー3の内部には、載置台としてのステージ(基体)4が設けられている。このステージ4上に立体造形物が造形される。
チャンバー3の内部におけるステージ4の上方には、造形手段としての造形ヘッド13が設けられている。造形ヘッド13は、その下方に立体造形物用樹脂組成物(以下、「モデル材」とも称することがある)及び立体造形支持体用樹脂組成物(以下、「サポート材」とも称することがある)であるフィラメントを射出する射出ノズル11を有する。本実施形態では、造形ヘッド13上に4つの射出ノズル11が設けられているが、射出ノズル11の数は任意である。また、造形ヘッド13には、各射出ノズル11に供給されるフィラメントを加熱する発熱手段としての造形材料加熱手段であるヘッド加熱部12が設けられている。
フィラメントは、細長いワイヤー形状であり、巻き回された状態にて立体造形物の製造装置1にセットされており、フィラメント供給部6により造形ヘッド13上の各射出ノズル11へそれぞれ供給される。なお、フィラメントは、射出ノズル11ごとに同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。本実施形態においては、フィラメント供給部6により供給されるフィラメントをヘッド加熱部12にて加熱溶融し、溶融状態のフィラメントを所定の射出ノズル11から押し出すようにして射出することにより、ステージ4上に立体造形物用樹脂組成物層を形成し、これを繰り返すことにより、立体造形物を造形する。
なお、造形ヘッド13上の射出ノズル11には立体造形物用樹脂組成物ではなく、立体造形物を構成しない立体造形支持体用樹脂組成物(サポート材)を供給する。このサポート材は、通常、造形材料のフィラメントとは異なる材料で形成され、最終的にはフィラメントで形成された三次元造形物から除去される。このサポート材も、ヘッド加熱部12で加熱溶融され、溶融状態のサポート材が所定の射出ノズル11から押し出されるように射出されて、立体造形支持体用樹脂組成物層を形成する。
造形ヘッド13は、装置左右方向に延びるX軸駆動機構21に対し、連結部材を介して、そのX軸駆動機構21の長手方向(X軸方向)に沿って移動可能に保持されている。造形ヘッド13は、X軸駆動機構21の駆動力により、装置左右方向(X軸方向)へ移動することができる。造形ヘッド13は、ヘッド加熱部12によって加熱されて高温になるため、その熱がX軸駆動機構21に伝わりにくいように、連結部材を低伝熱性のものとすることが好ましい。
X軸駆動機構21の両端は、それぞれ、装置前後方向に延びるY軸駆動機構22に対し、そのY軸駆動機構22の長手方向(Y軸方向)に沿ってスライド移動可能に保持されている。X軸駆動機構21がY軸駆動機構22の駆動力によってY軸方向に沿って移動することにより、造形ヘッド13はY軸方向に沿って移動することができる。
一方、ステージ4は、本体フレーム2に固定され、装置上下方向に延びるZ軸駆動機構23に対し、そのZ軸駆動機構23の長手方向に沿って移動可能に保持されている。ステージ4は、Z軸駆動機構23の駆動力により、装置上下方向へ移動することができる。
また、本実施形態においては、チャンバー3の内部(処理空間)に、チャンバー3内を加熱する処理空間加熱手段としてのチャンバー用ヒータ7が設けられている。本実施形態においては、熱溶融積層法(FDM)で立体造形物を造形するため、チャンバー3内の温度を目標温度に維持した状態にて、造形処理を行うことが好ましい。そのため、本実施形態では、造形処理を開始する前に、予めチャンバー3内の温度を目標温度まで昇温させる予熱処理を行う。チャンバー用ヒータ7は、この予熱処理中には、チャンバー3内を目標温度まで昇温させるためにチャンバー3内を加熱するとともに、造形処理中には、チャンバー3内の温度を目標温度に維持するためにチャンバー3内を加熱する。チャンバー用ヒータ7の動作は、制御部100によって制御される。
また、チャンバー3は、断熱材料によって構成されており、あるいは、断熱材が設けられた部材によって構成されており、チャンバー3内の熱が外部へ逃げることが抑制された構成となっている。特に、本実施形態においては、X軸駆動機構21、Y軸駆動機構22及びZ軸駆動機構23が、チャンバー3の外部に配置されている。よって、X軸駆動機構21、Y軸駆動機構22及びZ軸駆動機構23は、チャンバー3内の高温に曝されず、安定した駆動制御が実現される。
そのほか、本実施形態においては、チャンバー3の外部であって三次元造形装置1の内部の空間を冷却させるための装置内冷却装置8や、造形ヘッド13の射出ノズル11を清掃するためのノズル清掃部9などが設けられている。
立体造形物の製造方法としては、具体的には、まず、三次元CADで設計された三次元形状あるいは三次元スキャナやディジタイザ等にて取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータあるいはソリッドデータを、STLフォーマットに変換して立体造形物の製造装置に入力する。
この入力されたデータに基づいて、造形しようとする三次元形状の造形方向を決める。造形方向は特に制約ないが、通常はZ方向(高さ方向)が最も低くなる方向を選ぶ。
造形方向を確定したら、その三次元形状のX−Y面、X−Z面、Y−Z面への投影面積を求める。得られたブロック形状に補強のため、X−Y面の上面を除いて、その他の各面を適当量外側に移動させる。移動させる量については、特に制限はなく、形状や大きさや使用する樹脂組成物で異なるが、およそ1mm以上10mm以下程度である。これで造形しようとする形状を閉じ込めた(上面は開放されている)ブロック形状が特定される。
このブロック形状を一層の厚みでZ方向に輪切り(スライス)にする。前記一層の厚みは使用する材料により異なり一概には規定できないが、10μm以上50μm以下が好ましい。
造形しようとする立体造形物が1個の場合はこのブロック形状がZステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の真中に来るように配置される。また、複数個同時に造形する場合はブロック形状がZステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)やZステージへの配置は、使用する材料を指定すれば自動的に作製することも可能である。
次に、造形工程となる。輪切りデータの最外郭の輪郭線を基準に、内外判定(輪郭線上の位置に、モデル材及びサポート材のいずれかを吐出するかを判定すること)により、モデル材を吐出する位置とサポート材を吐出する位置が制御される。
(立体造形用樹脂組成物セット)
本発明の立体造形用樹脂組成物セットは、本発明の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物と、立体造形支持体用樹脂組成物と、を有し、前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の立体造形用樹脂組成物セットは、本発明の立体造形物の製造方法及び本発明の立体造形物の製造装置に好適に用いることができる。
前記立体造形支持体用樹脂組成物としては、前記立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含み、80質量%以上含むことが好ましい。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例A1)
−立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1の作製−
FDM法用ポリカーボネートフィラメント(商品名:PC−10 Model Material、Stratasys社製)を120℃、5時間乾燥し、水分量0.02質量%(200ppm)の立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1を作製した。
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)A1の作製−
前記立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1を恒温恒湿試験機(装置名:PL−3KP、エスペック株式会社製)を用いて、23℃、50%RH環境下において経時にて保管し、水分量0.1質量%(1,000ppm)の立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)A1を作製した。
−立体造形物A1の作製−
作製したフィラメントについて、立体造形物用樹脂組成物A1(モデル材、水分量0.02質量%)、立体造形支持体用樹脂組成物A1(サポート材、水分量0.1質量%)を用いて、図2に記載のFDM方式の立体造形物の製造装置にて、図1A、図1Bに記載の立体造形物A1を作製した。造形は、加熱ヘッド温度300℃、ベッド温度120℃、造形速度50mm/secで行った。
なお、前記FDM法用ポリカーボネートフィラメントを用いたJIS K7191−2(測定時の荷重:1.8MPa)に準拠した方法にて熱変形温度を測定したところ、126℃であった。
(実施例A2〜A5、比較例A1〜A3)
−立体造形支持体用樹脂組成物A2〜A8の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物A1を23℃、50%RH環境下、又は30℃、50%RH環境下において経時にて保管して、下記表1に示す水分量に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)A2〜A8を作製した。なお、水分量が0.07質量%及び0.20質量%のフィラメントは、23℃、50%RH環境下において経時にて保管し、水分量が0.30質量%、0.40質量%、0.50質量%、及び0.70質量%のフィラメントは、30℃、50%RH環境下において経時にて保管した。また、水分量が0.02質量%のフィラメントは、立体造形物用樹脂組成物A1を用いた。
−立体造形物A2〜A8を作製−
立体造形物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物A1及び立体造形支持体用樹脂組成物A1を下記表1に示す組合せに変更した以外は、立体造形物A1の作製と同様にして、立体造形物A2〜A8を作製した。
造形に使用した立体造形支持体用樹脂組成物(立体造形支持体用樹脂フィラメント)の造形時の状況について、以下のようにして、「造形安定生」を評価した。また、得られた立体造形物について、以下のようにして、「造形精度」及び支持体の「除去性」を評価した。結果を下記表1に示す。「○」以上が問題ないレベルである。
<造形安定性>
立体造形物の造形時における立体造形支持体用樹脂組成物(立体造形支持体用樹脂フィラメント)の搬送不良及び吐出不良等により、造形の停止の有無を確認し、下記評価基準に基づいて、「造形安定性」を評価した。
−評価基準−
◎:最初から最後まで一度も造形が止まることなく、立体造形物を作製できる
○:造形の停止が1回以上2回以下あるが、すぐに復活して立体造形物を作製できる
△:造形の停止が3回以上頻繁に発生し、その都度調整を行うことにより、立体造形物を作製できる
×:造形を開始して間もなく作製が停止し、立体造形物の作製ができない
<造形精度>
造形安定性において得られた立体造形物を目視にて観察し、下記評価基準に基づいて、「造形精度」を評価した。
−評価基準−
◎:立体造形物に目立つ突起とくぼみ(凹凸)は認められず、目的の立体造形物が得られる
○:小さな突起とくぼみ(凹凸)が数カ所認められるが、ノギスを用いて測定した突起とくぼみが±1mm以内である
△:目立つ突起とくぼみ(凹凸)が多数あり、明らかに精度が低いことがわかる
×:目的の形状とはかけ離れ、目的の形状が判別できない
<除去性>
立体造形支持体用樹脂組成物(立体造形支持体用フィラメント)により作製された立体造形物の支持体部分が、工具を使用することなく手作業にて剥離可能かを確認し、下記評価基準に基づいて、「除去性」を評価した。
−評価基準−
◎:手作業にて支持体部分の剥離が可能であり、立体造形物の損傷なく支持体部分が完全に除去できる
○:手作業にて支持体部分の剥離が可能であるが、立体造形物の損傷が見られる
△:手作業にて支持体部分の一部を剥離可能であるが、半分以上支持体部分が残る
×:手作業にて支持体部分が剥離できず、ほとんど元の状態で残っている
(実施例B1)
−立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)B1の作製−
立体造形物用樹脂組成物A1の作製において、FDM法用ポリカーボネートフィラメントを、FDM法用ポリフェニレンスルフォンフィラメント(商品名:PPSF Model Material、Stratasys社製)に変更し、さらに、乾燥条件を、120℃、5時間乾燥を130℃、4時間乾燥に変更した以外は、立体造形物用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)B1(水分量0.02質量%(200ppm))を作製した。
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)B1の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1を立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)B1に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)B1(水分量0.1質量%)を作製した。
−立体造形物B1の作製−
立体造形物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物A1及び立体造形支持体用樹脂組成物A1を立体造形物用樹脂組成物B1及び立体造形支持体用樹脂組成物B1に変更し、ヘッド温度300℃を320℃に、ベッド温度120℃を190℃に変更した以外は、立体造形物A1の作製と同様にして、立体造形物B1を作製した。
なお、前記FDM法用ポリフェニレンスルフォンフィラメントを用いたJIS K7191−2(測定時の荷重:1.8MPa)に準拠した方法にて熱変形温度を測定したところ、207℃であった。
(実施例B2〜B5及び比較例B1〜B3)
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)B2〜B8の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物B1の作製において、立体造形物用樹脂組成物B1を、23℃、50%RH環境下、又は30℃、50%RH環境下に経時で保管して、下記表2に示す水分量に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物B1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)B2〜B8を作製した。なお、水分量が0.07質量%及び0.20質量%のフィラメントは、23℃、50%RH環境下において経時にて保管し、水分量が0.30質量%、0.40質量%、0.50質量%、及び0.70質量%のフィラメントは、30℃、50%RH環境下において経時にて保管した。また、水分量が0.02質量%のフィラメントは、立体造形物用樹脂組成物B1を用いた。
−立体造形物B2〜B8の作製−
立体造形物B1の作製において、立体造形物用樹脂組成物B1及び立体造形支持体用樹脂組成物B1を下記表2に示す組合せに変更した以外は、立体造形物B1の作製と同様にして、立体造形物B2〜B8を作製した。
作製した立体造形物B1〜B8について、実施例A1と同様にして、「造形安定生」、「造形精度」及び支持体の「除去性」を評価した。結果を下記表2に示す。「○」以上が問題ないレベルである。
(実施例C1)
−立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)C1の作製−
立体造形物用樹脂組成物A1の作製において、FDM法用ポリカーボネートフィラメントを、FDM法用ポリエーテルイミドフィラメント(商品名:ULTEM1010 Model Material、Stratasys社製)に変更し、さらに、乾燥条件を、120℃、5時間乾燥を150℃、3時間乾燥に変更した以外は、立体造形物用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)C1(水分量0.02質量%(200ppm))を作製した。
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)C1の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1を立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)C1に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)C1(水分量0.1質量%)を作製した。
−立体造形物C1の作製−
立体造形物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物A1及び立体造形支持体用樹脂組成物A1を立体造形物用樹脂組成物C1及び立体造形支持体用樹脂組成物C1に変更し、ベッド温度120℃を200℃に変更した以外は、立体造形物A1の作製と同様にして、立体造形物C1を作製した。
なお、前記FDM法用ポリエーテルイミドフィラメントを用いたJIS K7191−2(測定時の荷重:1.8MPa)に準拠した方法にて熱変形温度を測定したところ、198℃であった。
(実施例C2〜C5及び比較例C1〜C3)
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)C2〜C8の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物C1の作製において、立体造形物用樹脂組成物C1を、23℃、50%RH環境下、又は30℃、50%RH環境下に経時で保管して、下記表3に示す水分量に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物C1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)C2〜C8を作製した。なお、水分量が0.07質量%及び0.20質量%のフィラメントは、23℃、50%RH環境下において経時にて保管し、水分量が0.30質量%、0.40質量%、0.50質量%、及び0.70質量%のフィラメントは、30℃、50%RH環境下において経時にて保管した。また、水分量が0.02質量%のフィラメントは、立体造形物用樹脂組成物C1を用いた。
−立体造形物C2〜C8の作製−
立体造形物C1の作製において、立体造形物用樹脂組成物C1及び立体造形支持体用樹脂組成物C1を下記表3に示す組合せに変更した以外は、立体造形物C1の作製と同様にして、立体造形物C2〜C8を作製した。
作製した立体造形物C1〜C8について、実施例A1と同様にして、「造形安定生」、「造形精度」及び支持体の「除去性」を評価した。結果を下記表3に示す。「○」以上が問題ないレベルである。
(実施例D1)
−立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)D1の作製−
立体造形物用樹脂組成物A1の作製において、FDM法用ポリカーボネートフィラメントを、FDM法用ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)(INDMATEC社製)に変更し、さらに、乾燥条件を、120℃、5時間乾燥を150℃、5時間乾燥に変更した以外は、立体造形物用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)D1(水分量0.02質量%(200ppm))を作製した。
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)D1の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)A1を立体造形物用樹脂組成物(フィラメント)D1に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物A1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)D1(水分量0.1質量%)を作製した。
−立体造形物D1の作製−
立体造形物A1の作製において、立体造形物用樹脂組成物A1及び立体造形支持体用樹脂組成物A1を立体造形物用樹脂組成物D1及び立体造形支持体用樹脂組成物D1に変更し、ヘッド温度300℃を380℃に、ベッド温度120℃を150℃に変更した以外は、立体造形物A1の作製と同様にして、立体造形物D1を作製した。
なお、前記FDM法用ポリエーテルエーテルケトンフィラメントを用いたJIS K7191−2(測定時の荷重:1.8MPa)に準拠した方法にて熱変形温度を測定したところ、152℃であった。
(実施例D2〜D5及び比較例D1〜D3)
−立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)D2〜D8の作製−
立体造形支持体用樹脂組成物D1の作製において、立体造形物用樹脂組成物D1を、23℃、50%RH環境下、又は30℃、50%RH環境下に経時で保管して、下記表4に示す水分量に変更した以外は、立体造形支持体用樹脂組成物D1の作製と同様にして、立体造形支持体用樹脂組成物(フィラメント)D2〜D8を作製した。なお、水分量が0.07質量%及び0.20質量%のフィラメントは、23℃、50%RH環境下において経時にて保管し、水分量が0.30質量%、0.40質量%、0.50質量%、及び0.70質量%のフィラメントは、30℃、50%RH環境下において経時にて保管した。また、水分量が0.02質量%のフィラメントは、立体造形物用樹脂組成物D1を用いた。
−立体造形物D2〜D8の作製−
立体造形物D1の作製において、立体造形物用樹脂組成物D1及び立体造形支持体用樹脂組成物D1を下記表4に示す組合せに変更した以外は、立体造形物D1の作製と同様にして、立体造形物D2〜D8を作製した。
作製した立体造形物D1〜D8について、実施例A1と同様にして、「造形安定生」、「造形精度」及び支持体の「除去性」を評価した。結果を下記表4に示す。「○」以上が問題ないレベルである。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程を含む立体造形物の製造方法であって、
前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物の熱変形温度が、120℃を超える前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<3> 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物が、非水溶性である前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物が、フィラメント形状を有する前記<1>から<3>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記フィラメント形状の直径が、1mm以上5mm以下である前記<4>に記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記フィラメント形状の直径が、1.75mm以上3mm以下である前記<4>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記立体造形物用樹脂組成物中の水分量が、0.07質量%未満である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記立体造形物用樹脂組成物が、主成分がポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記立体造形支持体用樹脂組成物が、主成分がポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも1種である前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記立体造形物用樹脂組成物の熱変形温度が、120℃を超えている前記<1>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記立体造形支持体用樹脂組成物の熱変形温度が、120℃を超えている前記<1>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.2質量%以上0.4質量%以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物と、
前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融吐出する加熱ヘッドと、
加熱溶融吐出した樹脂組成物溶融物を堆積する基体と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<14> 前記基体が、チャンバーである前記<13>に記載の立体造形物の製造装置である。
<15> 前記<1>から<12>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物と、立体造形支持体用樹脂組成物と、を有し、
前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含むことを特徴とする立体造形用樹脂組成物セットである。
<16> 前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を80質量%以上含む前記<15>に記載の立体造形用樹脂組成物セットである。
<17> 前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を85質量%以上含む前記<15>から<16>のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物セットである。
<18> 前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を90質量%以上含む前記<15>から<17>のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物セットである。
<19> 前記立体造形物用樹脂組成物が、熱溶融積層法に用いられる前記<15>から<18>のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物セットである。
<20> 前記立体造形支持体用樹脂組成物が、熱溶融積層法に用いられる前記<15>から<19>のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物セットである。
前記<1>から<12>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、前記<13>から<14>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置、及び前記<15>から<20>のいずれかに記載の立体造形用樹脂組成物セットによると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特表2002−516346号公報 特表2008−507619号公報 特表2004−532753号公報 特表2005−531439号公報

Claims (7)

  1. 立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融する工程を含む立体造形物の製造方法であって、
    前記立体造形支持体用樹脂組成物中の水分量が、0.1質量%以上0.5質量%以下であることを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物の熱変形温度が、120℃を超える請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  3. 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物が、非水溶性である請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  4. 前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物が、フィラメント形状を有する請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記立体造形物用樹脂組成物が、主成分がポリエーテルイミド、ポリフェニルスルホン、ポリカーボネート、及びポリエーテルエーテルケトンから選択される少なくとも1種である請求項1から4のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物及び立体造形支持体用樹脂組成物と、
    前記立体造形物用樹脂組成物及び前記立体造形支持体用樹脂組成物を加熱溶融吐出する加熱ヘッドと、
    加熱溶融吐出した樹脂組成物溶融物を堆積する基体と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法における立体造形物用樹脂組成物と、立体造形支持体用樹脂組成物と、を有し、
    前記立体造形支持体用樹脂組成物が、前記立体造形物用樹脂組成物を70質量%以上含むことを特徴とする立体造形用樹脂組成物セット。
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