JP2017217881A - 立体造形用材料、立体造形物の製造方法、及び立体造形物製造装置 - Google Patents

立体造形用材料、立体造形物の製造方法、及び立体造形物製造装置 Download PDF

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成瀬 充
Mitsuru Naruse
充 成瀬
鈴木 康夫
Yasuo Suzuki
康夫 鈴木
田元 望
Nozomi Tamoto
望 田元
樋口 信三
Shinzo Higuchi
信三 樋口
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Abstract

【課題】立体造形物の製造方法で使用した結晶性樹脂の特性を損なうことなく、反り量が少ない立体造形物が得られる立体造形用材料の提供。【解決手段】結晶性樹脂を含む立体造形用材料であって、前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下である立体造形用材料である。[数式1]融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100【選択図】なし

Description

本発明は、立体造形用材料、立体造形物の製造方法、及び立体造形物製造装置に関する。
近年、立体造形技術としては、様々な方式が開発されている。これらの中でも、熱溶融積層法(Fused deposition modeling;FDM)は、装置が比較的安価で、実際の製品と同じ素材を用いた造形が可能であるため、応用範囲が広いという利点がある。
前記FDMの原理は、熱可塑性樹脂からなる立体造形用材料(フィラメント)を熱で溶融させ半液状化させた後、三次元(3D)データに基づいて造形ヘッドから、造形ステージの所定の位置に吐出し、それを繰り返して積層させて立体造形を行う方法であり、他の方式に比べて簡便であるという特徴を有する。
前記FDMに用いられる立体造形用材料には、実際に立体造形物に使用する樹脂からなるモデル材と、造形中モデル材を支持する目的で使用され、造形後に除去されるサポート材とに分類される。
前記モデル材に使用される樹脂は、結晶性樹脂と非晶性樹脂とに大別される。特に前記結晶性樹脂は、前記非晶性樹脂に比べて、引張強度が強く、溶剤に対する耐性が強い点から、主に工業用途に使用されている。
前記結晶性樹脂を用いて、前記FDM方式の立体造形物製造装置で立体造形物を造形する場合、得られる立体造形物に反りや歪みが生じたり、造形中に造形ステージから立体造形物が剥離して造形できないという問題がある。これは、溶融された樹脂が再び固化する際の樹脂収縮率が前記非晶性樹脂に比べて前記結晶性樹脂が大きいことが原因である。
このため、前記FDM方式の立体造形物の製造方法の場合、造形ヘッドのノズルより吐出された溶融樹脂の冷却温度を造形ステージ上で均一にすることが難しく、造形過程において樹脂収縮率の差が生じ、得られる立体造形物に反りや歪みが発生しやすいという問題がある。
このような現象は前記結晶性樹脂において生じ易く、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等のスーパーエンジニアリングプラスティック(スーパーエンプラ)のような溶融温度が高い樹脂は、前記溶融温度と造形環境温度との差が大きいため、特に顕著である。例えば、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ポリ(メタ)アクリレート、ポリフェニレンスルホン(PPSU)、HDPE、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリ乳酸(PLA)、又はこれらのポリマーの少なくとも2つからなる混合物を用いる熱溶融積層方式による3D印刷装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、基本ポリマーとしてポリエーテルサルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド等のスーパーエンプラに対して、耐衝撃性ポリスチレン等の汎用樹脂を含有する三次元モデリングのための材料が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、立体造形物の製造方法で使用した結晶性樹脂の特性を損なうことなく、反り量が少ない立体造形物が得られる立体造形用材料を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形用材料は、結晶性樹脂を含む立体造形用材料であって、
前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下である。
[数式1]
融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
本発明によると、立体造形物の製造方法で使用した結晶性樹脂の特性を損なうことなく、反り量が少ない立体造形物が得られる立体造形用材料を提供することができる。
図1は、本発明の立体造形用材料の製造方法における押出成形工程、及び前記押出成形工程に用いる押出成形装置の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の立体造形物製造装置の構成を示す説明図である。 図3Aは、本発明の立体造形用材料を用いて造形した立体造形物の一例を示す平面図である。 図3Bは、図3Aの立体造形物のA−A線断面図である。 図3Cは、図3Bの立体造形物の支持体の除去工程の一例を示す断面概略図である。 図4は、実施例における反り量の測定方法を示す概略図である。
(立体造形用材料)
本発明の立体造形用材料は、結晶性樹脂を含む立体造形用材料であって、
前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下であり、非晶性樹脂を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有する。
[数式1]
融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
前記立体造形用材料は、前記熱溶融積層法(FDM)によって立体造形物を製造する場合に用いられる材料であり、「立体造形用フィラメント」、「立体造形用ストランド」と称することもある。
前記「フィラメント」又は「ストランド」とは、例えば、結晶性樹脂及び非晶性樹脂を含む樹脂組成物を紐状あるいは糸状に押し出し成形した材料を意味する。
本発明の立体造形用材料は、従来の樹脂の混合では、基本ポリマーの耐熱性等の特性を損ねる場合が多く、結晶性樹脂の耐熱性等の特性を維持したまま、反りや歪みの少ない立体造形物を造形することは困難であるという知見に基づくものである。
本発明においては、前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下であり、±6%以下が好ましい。
前記融解熱の変化率が、±10%以下であると、立体造形物の反り量が小さくなり、良好である。
[数式1]
融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
ここで、前記融解熱の変化率の測定方法としては、以下に示すとおりである。
測定試料に対し、1回目の昇温(1st)(固体→溶融)を行った後、降温(溶融→固体)し、更に2回目の昇温(2nd)(固体→溶融)を行い。1回目の昇温時の融解熱と2回目の昇温時の融解熱を示差走査熱量分析(DSC)法によるDSC曲線から求め、前記数式1から、融解熱の変化率を求めることができる。
[測定機]
TA社製Q200 温度変調DSC
[DSCの測定条件]
・測定試料量:5.0mg〜10.0mg
・・1回目の昇温(1st)
昇温範囲:−60℃〜X℃
昇温速度:10℃/分間
維持時間:X℃で10分間
・・降温(冷却)
降温範囲:X℃〜−60℃
降温速度:10℃/分間
維持時間:−60℃で3分間
・・2回目の昇温(2nd)
昇温範囲:−60℃〜X℃
昇温速度:10℃/分間
維持時間:X℃で10分間
前記X℃は、主樹脂である結晶性樹脂の分解温度−20℃で設定する(分解温度まで昇温すると、主樹脂である結晶性樹脂の変性が発生するため)。
ここで、前記1回目の昇温(1st)時の融解熱は立体造形用材料自体の融解熱を意味しており、前記2回目の昇温(2nd)時の融解熱は一度溶融し、結晶性を解いた後、再結晶した状態の融解熱を意味する。
前記融解熱は、結晶化度の指標として用いることができる。前記結晶化度が高いと溶解する(結晶性を解く)のに熱量が多く必要となるためである。前記1回目の昇温(1st)時の融解熱に対する前記2回目の昇温(2nd)時の融解熱の変化率が低いことは加熱及び冷却による結晶化度への影響が少ないことを意味する。即ち、立体造形時に吐出され溶融樹脂が冷却固化する際に造形時の環境温度の影響を受けにくく、立体造形物の反り量(歪み)を少なくすることが可能となる。
本発明においては、前記融解熱の変化率が±10%の立体造形用材料を使用することで結晶性樹脂の特性を損なうことなく、立体造形物の反り量(歪み)を低減することができる。
前記融解熱の変化率が、±10%を超えると、立体造形物の反り量(歪み)が大きくなる。
前記融解熱の変化率を±10%以下にするためには、結晶性樹脂に対し相溶性のよい非晶性樹脂を添加して量を調整することで達成可能である。
<結晶性樹脂>
前記結晶性樹脂は、分子鎖が規則正しく並んだ結晶が存在し、明確な融点を有するもので機械強度が高く、薬品に対する耐性は良好であるが、樹脂の収縮率が高いという特性を有する。
前記結晶性樹脂は、立体造形物の主な構成材料となるもので、立体造形物に必要な特性を鑑みて、結晶性樹脂を選択することが好ましい。
前記結晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スーパーエンプラ、汎用エンプラ、汎用樹脂などが挙げられる。
前記スーパーエンプラとしては、例えば、結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、結晶性液晶ポリマー(LCP)、結晶性ポリフェニレンサルファイド(PPS)、結晶性ポリアミド(PA9T、PA6T、PA46)などが挙げられる。
前記汎用エンプラとしては、例えば、結晶性ポリアミド(PA66、PA6)、結晶性ポリブチレンテレフタレート(PBT)、結晶性ポリアセタール(POM)などが挙げられる。
前記汎用樹脂としては、例えば、結晶性ポリプロピレン(PP)、結晶性ポリエチレン(PE)、結晶性ポリ酢酸ビニル(EVOH)、結晶性ポリ乳酸(PLA)など挙げられる。
これらの中でも、効果が高い点から、結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、結晶性ポリフェニレンサルファイド(PPS)、結晶性ポリブチレンテレフタレート(PBT)が好ましい。
前記結晶性樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
<非晶性樹脂>
前記非晶性樹脂とは、分子鎖がランダムに並んだ状態であり、明確な融点を有しないもので、透明性が高い、耐衝撃性に優れる、成形収縮率が小さく良好であるが、耐薬品性、及び耐疲労性に劣る特徴を有する。
前記非晶性樹脂としては、特に制限はなく、公知のものの中から目的に応じて適宜選択することができる。
前記非晶性樹脂は、前記融解熱の変化率を制御する構成材料であり、主材料である結晶性樹脂に合わせて、その種類と含有量を選択することが好ましい。この場合、主材料である結晶性樹脂にできる限りSP値が近く相溶性のよいものを選択し、混合した樹脂の前記融解熱の変化率が±10%以下になるように樹脂種及び含有量を選択することが好ましい。
前記非晶性樹脂の含有量としては、前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の合計含有量に対して、10質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上10質量%以下が更に好ましく、1質量%以上5質量%以下が特に好ましい。
前記非晶性樹脂の含有量が、前記好ましい数値範囲であると、結晶性樹脂の特性を損なうことなく、反り量が少ない立体造形物が得られる。
前記非晶性樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スーパーエンプラ、汎用エンプラ、汎用樹脂などが挙げられる。
前記スーパーエンプラとしては、例えば、非晶性熱可塑性ポリイミド(TPI)、非晶性ポリアミドイミド(PAI)、非晶性ポリエーテルサルホン(PES)、非晶性ポリエーテルイミド(PEI)、非晶性ポリアリレート(PAR)、非晶性ポリスルホン(PSU)などが挙げられる。
前記汎用エンプラとしては、例えば、非晶性ポリカーボネート(PC)、非晶性変性ポリフェニレンエーテル(PPE)などが挙げられる。
前記汎用樹脂としては、例えば、非晶性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、非晶性ポリスチレン(PS)、非晶性ポリ塩化ビニル(PVC)、非晶性アクリル(PMMA)非晶性シリコーン樹脂などが挙げられる。
これらの中でも、効果が高い点から、非晶性ポリエーテルサルホン(PES)、非晶性ポリエーテルイミド(PEI)、非晶性変性ポリフェニレンエーテル(PPE)、非晶性アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)が好ましい。
前記非晶性樹脂としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
前記結晶性樹脂と前記非晶性樹脂の組み合わせとしては、例えば、結晶性樹脂PEEKと非晶性樹脂PESの組み合わせ、結晶性樹脂PEEKと非晶性樹脂PEIの組み合わせ、結晶性樹脂PPSと非晶性樹脂PPEの組み合わせ、結晶性樹脂PPSと非晶性樹脂PPEの組み合わせ、結晶性樹脂PBTと非晶性樹脂ABSの組み合わせが好ましく、結晶性樹脂PEEKと非晶性樹脂PEIの組み合わせが特に好ましい。
前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の重量平均分子量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50,000以上、1,000,000以下が好ましく、75,000以上、500,000以下がより好ましく、100,000以上、400,000以下が更に好ましい。
前記重量平均分子量が上記数値範囲内であると、ノズルからの吐出安定性が高まることや得られた立体造形物の品質や精度が高まる傾向が見られる。
ここで、前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
<その他の成分>
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、可塑剤、充填剤、補強剤、安定剤、分散剤、酸化防止剤、難燃剤、発泡剤、帯電防止剤、滑剤、着色剤(顔料、染料)、各種高分子改質剤などが挙げられる。
前記その他の成分を添加することにより、流動性改善によるフィラメント成形安定性の向上、立体造形用材料の寸法精度の向上、立体造形用材料の機械的特性の改善、立体造形用材料の劣化防止、更には三次元(3D)プリンターによる造形安定性や得られる立体造形物の品質や精度の向上等の効果が得られることから、非常に有効である。
<立体造形用材料の製造方法>
本発明の立体造形用材料は、特に制限はなく、従来公知の押出成形の方法を用いて製造することができる。
前記押出成形とは、前記結晶性樹脂、好ましくは前記非晶性樹脂、更に必要に応じて前記その他の成分を含有する樹脂組成物を溶融混練しながら押出し、所定の断面形状を持つプラスチック長尺物を連続成形する方法である。
前記結晶性樹脂、好ましくは前記非晶性樹脂、及び更に必要に応じて前記その他の成分を溶融混合した後、溶融しながら単軸押出機を用いて、フィラメント形状に押し出し、冷却しながら巻き取り機でボビン等に巻き取ることにより製造することができる。
前記フィラメントの直径としては、単軸押出機の押し出し穴、温度条件、巻き取り時の張力条件等により制御することができる。また、冷却後、更に加熱しながら、巻き取り時の張力条件を調整してフィラメントの延伸加工をすることも可能である。
前記溶融混合する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜公知の方法を選択することができ、各成分を二軸押出機、単軸押出機、溶融成形機等により連続的に溶融混合する方法、あるいは、ニーダー、ミキサー等により、バッチ毎に溶融混合する方法などが挙げられる。添加剤を含有しない場合は、溶融混合工程を省略することができる。
ここで、図1に押出成形の一般的な工程の模式図を示す。
前記樹脂組成物をホッパー203より入れ、押出機201のシリンダー(バレルとも称する)内でスクリュー204により溶融混練しながら押出し、所定のフィラメント直径になるように選択した金型202を通すことにより、フィラメントが成形される。その後、冷却機210により冷却することにより固化させ、引取機220にて引取り、巻取機230にて巻き取りを行い、切断機により切断することによって、本発明の立体造形用材料を製造することができる。なお、巻取機と切断機とは一体に構成しても構わない。
前記押出機201は、一般にスクリュー式が用いられる。前記スクリュー式には、単軸押出機の他に、二軸以上の多軸押出機、又は特殊押出機がある。
前記単軸押出機は、シリンダーに1本のスクリューを装着した押出機であり、例えば、ホッパー、モーターなどの駆動装置、減速機、スクリュー、シリンダー、ヒーター、ブロワー、温度制御装置などから構成されている。シリンダーの先端には金型を取り付けて成形を行う。
前記二軸(多軸)押出機は、シリンダー内に2本あるいはそれ以上のスクリューを装着した押出機である。一般的に2本スクリューのものが主に用いられ、2本の軸が平行なものや軸を斜交させたもの、更にスクリューフライトのかみ合い型と非かみ合い型、スクリュー回転方向が同方向のものと異方向のものなどがある。
前記特殊押出機は、2種類の押出機を2段に組み合せたもの、スクリュー及びバレルが特殊な形状のもの、非スクリュー型の3つに分類される。
前記樹脂組成物を溶融混練する方法としては、上記の押出機を用いる以外に、ニーダーやミキサー等を用いて、バッチ毎に溶融混練する方法も挙げられる。
冷却機210は、押し出されたフィラメントを冷却固化させる装置であるが、フィラメントの寸法や品質を決定する上で重要な工程である。一般に水冷及び空冷に大分され、水槽、水シャワー、冷却ロール、冷却盤などの手段が用いられる。
引取機220は、フィラメントの引き取りを行う装置であるが、高い寸法精度や品質を維持するためには、適切な引張力と均一でかつ脈動のない引張速度が必要になる。
巻取機及び切断機230は、フィラメントをボビンなどに巻取り、切断するための装置である。
上記の工程以外に、冷却した後、再度加熱して延伸加工することも可能であり、強度を高める上で有効な場合がある。
前記立体造形用材料の形状としては、例えば、フィラメント形状、タブレット形状、粉末状、顆粒状などが挙げられる。
前記フィラメント形状の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、1mm以上5mm以下が好ましく、1.50mm以上3mm以下がより好ましい。
(立体造形物の製造方法、及び立体造形物製造装置)
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の前記立体造形用材料を用いて、立体造形物を製造する。
本発明の立体造形物製造装置は、本発明の前記立体造形用材料と、前記立体造形用材料を溶融吐出する造形ヘッドと、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記立体造形用材料は、立体造形物形成材料(モデル材)でもよいし、支持体形成材料(サポート材)でもよいし、その両方であってもよい。
前記立体造形物製造装置は、例えば、入力された三次元形状のデータに基づいて、前記結晶性樹脂を含む本発明の立体造形用材料を加熱溶融し、それを任意の位置に吐出する手段(ノズルヘッド)と、吐出された本発明の立体造形用材料を堆積させる手段(造形ステージ)とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。具体的には、公知の熱溶融積層法(FDM)方式の立体造形物製造装置(三次元(3D)プリンター)が好適に用いられる。
前記立体造形物製造装置は、本発明の立体造形用材料を立体造形用材料供給部から所定の速度で造形ヘッドに向けて搬送し、前記造形ヘッドでは前記立体造形用材料は加熱溶融されるとともに、任意の位置に吐出される。吐出された前記立体造形用材料は造形ステージ上に堆積される。これら一連の操作が終わると、造形ステージが下降し、同様の操作を繰り返すことにより、造形ヘッドより吐出された前記立体造形用材料が積層され、立体造形物を製造することが可能になる。
前記造形ヘッドの加熱温度としては、前記立体造形用材料を溶融できれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが可能であるが、立体造形用材料に含有される主材である前記結晶性樹脂の分解温度を超えないことが好ましい。前記結晶性樹脂の分解温度を超えると、分解物によってノズル詰まりを起こし、造形安定性を低下させることに繋がる。
前記造形ヘッドは、前記立体造形用材料が造形中に剥がれないよう、加熱手段を設けることが可能であり、有効である。加熱温度は前記立体造形用材料が造形中、造形ステージから剥がれたり、あるいは造形ステージ上で立体造形物が溶融変形したりしなければ特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することが可能であるが、立体造形用材料に含有される主材である前記結晶性樹脂のガラス転移温度以上であることが好ましい。また、造形ステージ上にフィラメント材料との密着性を高めるためのシートやステッカー等を貼る方法も有効である。但し、密着性が強すぎると、造形が終わった後、立体造形物を取り出しにくくなることがあるため、造形中剥がれない程度に留めることが肝要である。
前記立体造形用材料は、直接立体造形物を作製するものであるため、一般に非水溶性の前記結晶性樹脂を含むモデル材が用いられるが、水溶性の前記結晶性樹脂を含むサポート材を用いて造形することも可能である。
一方、前記サポート材は本来、前記モデル材による造形を支持するために用いられる。そのため、立体造形物を作製する際は、通常モデル材用及びサポート材用の少なくとも二つのノズルヘッドを有する立体造形物製造装置が用いられる。このようにしてモデル材とサポート材からなる立体造形物を作製した後、サポート材のみを除去することによって、モデル材からなる立体造形物を得ることができる。
図2は、本発明の立体造形物製造装置の構成を示す説明図である。
立体造形物製造装置1は、本体フレーム2の内部にチャンバー3を備えている。チャンバー3の内部は、三次元造形物を造形するための処理空間となっており、その処理空間内、即ちチャンバー3の内部には、載置台としてのステージ(基体)4が設けられている。このステージ4上に立体造形物が造形される。
チャンバー3の内部におけるステージ4の上方には、造形手段としての造形ヘッド13が設けられている。造形ヘッド13は、その下方に立体造形物形成材料(以下、「モデル材」とも称することがある)及び支持体形成材料(以下、「サポート材」とも称することがある)であるフィラメントを射出する射出ノズル11を有する。本実施形態では、造形ヘッド13上に4つの射出ノズル11が設けられているが、射出ノズル11の数は任意である。また、造形ヘッド13には、各射出ノズル11に供給されるフィラメントを加熱する発熱手段としての造形材料加熱手段であるヘッド加熱部12が設けられている。
フィラメントは、細長いワイヤー形状であり、巻き回された状態にて立体造形物製造装置1にセットされており、フィラメント供給部6により造形ヘッド13上の各射出ノズル11へそれぞれ供給される。なお、フィラメントは、射出ノズル11ごとに同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。本実施形態においては、フィラメント供給部6により供給されるフィラメントをヘッド加熱部12にて加熱溶融し、溶融状態のフィラメントを所定の射出ノズル11から押し出すようにして射出することにより、ステージ4上に立体造形物形成材料層を形成し、これを繰り返すことにより、立体造形物を造形する。
なお、造形ヘッド13上の射出ノズル11には立体造形物形成材料ではなく、立体造形物を構成しない支持体形成材料(サポート材)を供給する。このサポート材は、通常、造形材料のフィラメントとは異なる材料で形成され、最終的にはフィラメントで形成された三次元造形物から除去される。このサポート材も、ヘッド加熱部12で加熱溶融され、溶融状態のサポート材が所定の射出ノズル11から押し出されるように射出されて、立体造形物形成材料層を形成する。
造形ヘッド13は、装置左右方向に延びるX軸駆動機構21に対し、連結部材を介して、そのX軸駆動機構21の長手方向(X軸方向)に沿って移動可能に保持されている。造形ヘッド13は、X軸駆動機構21の駆動力により、装置左右方向(X軸方向)へ移動することができる。造形ヘッド13は、ヘッド加熱部12によって加熱されて高温になるため、その熱がX軸駆動機構21に伝わりにくいように、連結部材を低伝熱性のものとするのが好ましい。
X軸駆動機構21の両端は、それぞれ、装置前後方向に延びるY軸駆動機構22に対し、そのY軸駆動機構22の長手方向(Y軸方向)に沿ってスライド移動可能に保持されている。X軸駆動機構21がY軸駆動機構22の駆動力によってY軸方向に沿って移動することにより、造形ヘッド13はY軸方向に沿って移動することができる。
一方、ステージ4は、本体フレーム2に固定され、装置上下方向に延びるZ軸駆動機構23に対し、そのZ軸駆動機構23の長手方向に沿って移動可能に保持されている。ステージ4は、Z軸駆動機構23の駆動力により、装置上下方向へ移動することができる。
また、チャンバー3の内部(処理空間)には、チャンバー3内を加熱する処理空間加熱手段としてのチャンバー用ヒータ7が設けられている。熱溶融積層法(FDM)で立体造形物を造形するため、チャンバー3内の温度を目標温度に維持した状態にて、造形処理を行うことが好ましい。そのため、造形処理を開始する前に、予めチャンバー3内の温度を目標温度まで昇温させる予熱処理を行う。チャンバー用ヒータ7は、この予熱処理中には、チャンバー3内を目標温度まで昇温させるためにチャンバー3内を加熱するとともに、造形処理中には、チャンバー3内の温度を目標温度に維持するためにチャンバー3内を加熱する。チャンバー用ヒータ7の動作は、制御部100によって制御される。
また、チャンバー3は、断熱材料によって構成されており、あるいは、断熱材が設けられた部材によって構成されており、チャンバー3内の熱が外部へ逃げることが抑制された構成となっている。特に、X軸駆動機構21、Y軸駆動機構22及びZ軸駆動機構23が、チャンバー3の外部に配置されている。よって、X軸駆動機構21、Y軸駆動機構22及びZ軸駆動機構23は、チャンバー3内の高温に曝されず、安定した駆動制御が実現される。
なお、チャンバー3の外部であって三次元造形装置1の内部の空間を冷却させるための装置内冷却装置8や、造形ヘッド13の射出ノズル11を清掃するためのノズル清掃部9などが設けられている。
立体造形物の製造方法としては、具体的には、まず、三次元CADで設計された三次元形状あるいは三次元スキャナやディジタイザ等にて取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータあるいはソリッドデータを、STLフォーマットに変換して立体造形物製造装置に入力する。
この入力されたデータに基づいて、造形しようとする三次元形状の造形方向を決める。造形方向は特に制約ないが、通常はZ方向(高さ方向)が最も低くなる方向を選ぶ。
造形方向を確定したら、その三次元形状のX−Y面、X−Z面、Y−Z面への投影面積を求める。得られたブロック形状に補強のため、X−Y面の上面を除いて、その他の各面を適当量外側に移動させる。移動させる量については、特に制限はなく、形状や大きさや使用する立体造形用材料で異なるが、およそ1mm以上10mm以下程度である。これで造形しようとする形状を閉じ込めた(上面は開放されている)ブロック形状が特定される。
このブロック形状を一層の厚みでZ方向に輪切り(スライス)にする。前記一層の厚みは使用する立体造形用材料により異なり一概には規定できないが、10μm以上50μm以下が好ましい。
造形しようとする立体造形物が1個の場合はこのブロック形状がZステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の真中に来るように配置される。また、複数個同時に造形する場合はブロック形状がZステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)やZステージへの配置は、使用する材料を指定すれば自動的に作製することも可能である。
次に、造形工程となる。輪切りデータの最外郭の輪郭線を基準に、内外判定(輪郭線上の位置に、モデル材及びサポート材のいずれかを吐出するかを判定すること)により、モデル材を吐出する位置とサポート材を吐出する位置が制御される。
ここで、図3Aから図3Cは、本発明の立体造形用材料を用いて立体造形物を製造する方法の一例を示す概略図を示す。図3Aは、モデル材20及びサポート材10を用いて造形した立体造形物の一例を示す平面図である。図3Bは、図3Aの立体造形物のA−A線断面図である。
図3Aから図3C中の持ち手の部分は、下から積層して造形する方法ではきれいに造形ができないため、持ち手の部分を支持するためにサポート材10を積層する。
図3Cは、図3Bの立体造形物からサポート材10を除去する工程の一例を示す断面概略図である。サポート材10は水溶性を有する支持体形成材料で作製されているため、図3Bで得られた立体造形物を、冷水あるいは温水で満たした容器内に浸漬させると、サポート材10のみが溶解し、除去され、モデル材20で造形した立体造形物を容易に得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)95.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルサルホン(住友化学株式会社製、スミカエクセル PES 4100G)5.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例2)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)99.9質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)0.1質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例3)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)99.5質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)0.5質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例4)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)99.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)1.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例5)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)95.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)5.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例6)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)90.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)10.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例7)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリフェニレンサルファイド(DIC株式会社製、FZ2100)95.0質量部、及び非晶性樹脂としての変性ポリフェニレンエーテル(三菱ガス化学株式会社製、ユピエースAH60)5.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(実施例8)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスティック株式会社製、5015R5)95.0質量部、及び非晶性樹脂としてのアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(デンカ株式会社製、GR3000)5.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例1)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)100.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例2)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)90.0質量部、及び非晶性樹脂としてのシリコーン樹脂(MB25−504、ダウコーニング社製)10.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例3)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)90.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスティック株式会社製、ノバレックス7020R)10.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例4)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリフェニレンサルファイド(DIC株式会社製、FZ2100)100.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例5)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリフェニレンサルファイド(DIC株式会社製、FZ2100)90.0質量部、及び非晶性樹脂としてのポリスチレン(DIC株式会社製、CR−2600)10.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
(比較例6)
−立体造形用材料の作製−
結晶性樹脂としてのポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスティック株式会社製、5015R5)100.0質量部を、図1に示すような押出成形機を用いて溶融混練、及びフィラメント成形を行い、直径1.75mmのフィラメント状の立体造形用材料を作製した。
<立体造形物の造形>
実施例及び比較例で作製した各立体造形用材料を用い、図2に示すような立体造形物製造装置(三次元プリンタ)を用いて、165mm(X軸方向)×13mm(Y軸方向)×3mm(Z軸方向)の立体造形物を造形した。
ノズル温度は、主樹脂(結晶性樹脂)がポリエーテルエーテルケトン(PEEK)の場合には360℃、主樹脂(結晶性樹脂)がポリフェニレンサルファイド(PPS)の場合には330℃、主樹脂(結晶性樹脂)がポリブチレンテレフタレート(PBT)の場合には270℃に設定した。また、造形速度は、60mm/secとした。
得られた各立体造形物について、以下のようにして、諸特性を評価した。結果を表2に示した。
<融解熱の変化率>
測定試料に対し、1回目の昇温(1st)(固体→溶融)を行った後、降温(溶融→固体)し、更に2回目の昇温(2nd)(固体→溶融)を行い。1回目の昇温時の融解熱と2回目の昇温時の融解熱をDSC曲線から求め、下記数式1から、融解熱の変化率を求めた。
[数式1]
融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
[測定機]
TA社製Q200 温度変調DSC
[DSCの測定条件]
・測定試料量:5.0mg〜10.0mg
・・1回目の昇温(1st)
昇温範囲:−60℃〜X℃
昇温速度:10℃/分間
維持時間:X℃で10分間
・・降温(冷却)
降温範囲:X℃〜−60℃
降温速度:10℃/分間
維持時間:−60℃で3分間
・・2回目の昇温(2nd)
昇温範囲:−60℃〜X℃
昇温速度:10℃/分間
維持時間:X℃で10分間
前記X℃は、主樹脂である結晶性樹脂の分解温度−20℃に設定した(分解温度まで昇温すると、主樹脂である結晶性樹脂の変性が発生するため)。
ここで、1回目の昇温(1st)時の融解熱は立体造形用材料自体の融解熱を意味しており、2回目の昇温(2nd)時の融解熱は一度溶融し、結晶性を解いた後、再結晶した状態の融解熱を意味する。
<吐出安定性>
各立体造形物の造形時における立体造形物製造装置(三次元プリンタ)の造形ヘッドからの吐出状態を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、「吐出安定性」を評価した。
[評価基準]
◎:吐出不良が見られず、安定に吐出された
○:途中で吐出量が変動するが、造形可能であった
△:吐出不良が多発し、造形不良であった
×:吐出できなかった
<反り量>
図4に示すように、作製した試験片110を水平面に静置し、水平面からZ軸方向の最大距離(反り量)をスケールで測定し、評価基準で評価した。
[評価基準]
◎:立体造形物の反り量が0.5mm未満
○:立体造形物の反り量が0.5mm以上1.0mm未満
△:立体造形物の反り量が1.0mm以上であるが、立体造形ができた
×:反りが激しく、立体造形ができなかった
<荷重撓み温度>
JIS K7191試験法に従い、HDT試験機 3M−2 東洋精機株式会社製を用いて、荷重撓み温度を測定した。
表1中の略号の詳細は、以下のとおりである。
−結晶性樹脂−
・PEEK:ポリエーテルエーテルケトン(ビクトレック社製、381G)
・PPS:ポリフェニレンサルファイド(DIC株式会社製、FZ2100)
・PBT:ポリブチレンテレフタレート(三菱エンジニアリングプラスティック株式会社製、5015R5)
−非晶性樹脂−
・PES:ポリエーテルサルホン(住友化学株式会社製、スミカエクセル PES 4100G)
・PEI:ポリエーテルイミド(サビック社製、ULTEM RESIN 1000)
・PPE:変性ポリフェニレンエーテル(三菱ガス化学株式会社製、ユピエースAH60)
・ABS:アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(デンカ株式会社製、GR3000)
・シリコーン樹脂:MB25−504、ダウコーニング社製
・PC:ポリカーボネート(三菱エンジニアリングプラスティック株式会社製、ノバレックス7020R)
・PS:ポリスチレン(DIC株式会社製、CR−2600)
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 結晶性樹脂を含む立体造形用材料であって、
前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下であることを特徴とする立体造形用材料である。
[数式1]
融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
<2> 前記融解熱の変化率が、±6%以下である前記<1>に記載の立体造形用材料である。
<3> 更に非晶性樹脂を含む前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形用材料である。
<4> 前記非晶性樹脂の含有量が、前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の合計含有量に対して、10質量%以下である前記<3>に記載の立体造形用材料である。
<5> 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエーテルイミド(PEI)及び非晶性ポリエーテルサルホン(PES)の少なくともいずれかである前記<3>から<4>のいずれかに記載の立体造形用材料である。
<6> 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、
前記非晶性樹脂が非晶性ポリエーテルイミド(PEI)である前記<3>から<5>のいずれかに記載の立体造形用材料である。
<7> フィラメント形状であり、直径が1mm以上5mm以下である前記<1>から<6>のいずれかに記載の立体造形用材料である。
<8> 立体造形物形成材料及び支持体形成材料の少なくともいずれかである前記<1>から<7>のいずれかに記載の立体造形用材料である。
<9> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形用材料を用いて、立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<10> 前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形用材料と、
前記立体造形用材料を溶融吐出する造形ヘッドと、を有することを特徴とする立体造形物製造装置である。
前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形用材料、前記<9>に記載の立体造形物の製造方法、及び前記<10>に記載の立体造形物製造装置によると、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特表2016−501136号公報 特表2005−531439号公報
1 立体造形物製造装置
13 造形ヘッド

Claims (7)

  1. 結晶性樹脂を含む立体造形用材料であって、
    前記立体造形用材料における示差走査熱量分析(DSC)法により求めた、下記数式1で表される融解熱の変化率が、±10%以下であることを特徴とする立体造形用材料。
    [数式1]
    融解熱の変化率(%)=[{2回目の昇温時の融解熱(J/g)−1回目の昇温時の融解熱(J/g)}/1回目の昇温時の融解熱(J/g)]×100
  2. 前記融解熱の変化率が、±6%以下である請求項1に記載の立体造形用材料。
  3. 更に非晶性樹脂を含む請求項1から2のいずれかに記載の立体造形用材料。
  4. 前記非晶性樹脂の含有量が、前記結晶性樹脂及び前記非晶性樹脂の合計含有量に対して、10質量%以下である請求項3に記載の立体造形用材料。
  5. 前記結晶性樹脂が結晶性ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)であり、
    前記非晶性樹脂が非晶性ポリエーテルイミド(PEI)及び非晶性ポリエーテルサルホン(PES)の少なくともいずれかである請求項3から4のいずれかに記載の立体造形用材料。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用材料を用いて、立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の立体造形用材料と、
    前記立体造形用材料を溶融吐出する造形ヘッドと、を有することを特徴とする立体造形物製造装置。
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