JP2017192894A - オイルフィルタ - Google Patents

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健太 土井田
Kenta Tsuchiida
健太 土井田
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Abstract

【課題】フィルタエレメントをケース部材に容易に組み付けることができるようにし、組付後にはフィルタエレメントをケース部材に対して安定させることができるようにする。【解決手段】フィルタエレメント(10)の枠体(12)の外面には、ケース部材(20)への挿入方向先端側へ向かって枠体(12)の断面が縮小するように傾斜する枠体外傾斜面(12b)が形成されている。ケース部材(20)の内面には、枠体外傾斜面(12b)に対応する部分にケース内傾斜面(23d)が形成されるとともに、枠体(12)に係合する係合部(20a)が形成されている。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば自動変速機等の内部を循環するオイルを濾過するためのオイルフィルタに関し、特に、濾過材をケースに収容する構造の技術分野に属する。
一般に、自動変速機等には、内部を循環するオイルを濾過するためのオイルフィルタが配設されている。この種のオイルフィルタとしては、例えば特許文献1、2に開示されているように、樹脂製の上側ケース部材及び下側ケース部材からなるケースと、ケースの内部に収容されるフィルタエレメントとを備えたものが知られている。下側ケース部材にはオイル流入孔が形成される一方、上側ケース部材にはオイル流出孔が形成されている。フィルタエレメントは、ひだ折り状の濾過材と、濾過材を囲むように設けられた樹脂製の枠体とで構成されている。フィルタエレメントの枠体の周縁部は上側ケース部材と下側ケース部材とで挟持され、枠体が上側ケース部材及び下側ケース部材に溶着されるようになっている。特許文献2では、枠体を溶着するにあたりレーザー光を用いて樹脂を部分的に溶融することが開示されている。
そして、特許文献1、2のオイルストレーナでは、下側ケース部材のオイル流入孔からケースの内部に流入したオイルがフィルタエレメントの濾過材を通過して濾過された後、上側ケース部材のオイル流出孔から流出するようになっている。
特許第4375698号公報 特許第5104807号公報
ところで、特許文献1、2のオイルフィルタを製造する際には、フィルタエレメントをケース部材に組み付けてから溶着工程を行うことになる。フィルタエレメントをケース部材に組み付ける場合、フィルタエレメントの一部をケース部材の内部に挿入するときに、枠体の周縁部がケース部材に接触して組付作業性が悪くなることが考えられる。また、特許文献1、2では枠体をケース部材に溶着しているが、枠体の外周面の一部から突出した突出部を溶着するだけなので、枠体がケース部材に対して不安定になる恐れがある。特に、オイルには脈動が生じている場合があるとともに、ケース部材が自動変速機の振動によって加振される場合もあり、このような場合には枠体が特に不安定になりやすい。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フィルタエレメントをケース部材に容易に組み付けることができるようにし、組付後にはフィルタエレメントをケース部材に対して安定させることができるようにすることにある。
上記目的を達成するために、本発明では、枠体の外面及びケース部材の内面にそれぞれ傾斜面を形成することで枠体をケース部材の内面に沿わせて組み付けることができるようにし、組付後には、ケース部材の係合部を枠体に係合させるようにした。
第1の発明は、
オイルを濾過する濾過材(11)及び該濾過材(11)の周縁部を保持する樹脂製の枠体(12)を有するフィルタエレメント(10)と、
上記フィルタエレメント(10)が収容されるオイル濾過空間(R)と、該オイル濾過空間(R)に連通するオイル流入孔(34a)及びオイル流出孔(24a)とを有する樹脂製のケース(40)とを備え、
上記ケース(40)は、上記オイル流入孔(34a)及び上記オイル流出孔(24a)の一方を有する第1ケース部材(20)と、上記オイル流出孔(34a)及び上記オイル流出孔(24a)の他方を有する第2ケース部材(30)とが組み合わされて構成され、
上記フィルタエレメント(10)の濾過材(11)が上記オイル濾過空間(R)を上記オイル流入孔(34a)側の空間(R1)と上記オイル流出孔(24a)側の空間(R2)とに区画するように該オイル濾過空間(R)に配置されたオイルフィルタ(1)において、
上記フィルタエレメント(10)の上記枠体(12)は上記第1ケース部材(20)に挿入され、該枠体(12)の外面には、該第1ケース部材(20)への挿入方向先端側へ向かって該枠体(12)の断面が縮小するように傾斜する枠体外傾斜面(12b)が形成され、
上記第1ケース部材(20)の内面には、上記枠体外傾斜面(12b)に対応する部分に該枠体外傾斜面(12b)に沿って延びるケース内傾斜面(23d)が形成されるとともに、上記枠体(12)に係合する係合部(20a)が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、フィルタエレメントの枠体を第1ケース部材に挿入する際、枠体の外面に枠体外傾斜面が形成されていて、挿入方向先端側へ向かって該枠体の断面が縮小しているので、枠体を挿入方向先端側から容易に挿入することが可能になる。また、第1ケース部材の内面における枠体外傾斜面に対応する部分が枠体外傾斜面に沿って延びるケース内傾斜面とされているので、枠体の挿入時に枠体外傾斜面がケース内傾斜面によって案内され、このことによっても枠体を容易に挿入することが可能になる。そして、フィルタエレメントを第1ケース部材に組み付けると、ケース内傾斜面が枠体外傾斜面に沿って延びているので、枠体の外面が第1ケース部材の内面によって支持され、これにより、フィルタエレメントがケースの内部で安定する。さらに、第1ケース部材の係合部が枠体に係合することによってもフィルタエレメントがケースの内部で安定する。
第2の発明は、第1の発明において、
上記枠体(12)における上記第1ケース部材(20)への挿入方向先端部には、挿入方向へ突出して該枠体(12)の周方向に延びる突条部(12d)が形成され、
上記第1ケース部材(20)の係合部は、上記突条部(12d)が挿入される凹部(20a)であることを特徴とする。
この構成によれば、フィルタエレメントの枠体を第1ケース部材に挿入した状態で、枠体の突条部が第1ケース部材の凹部に挿入された状態で係合する。これにより、枠体の挿入方向先端部と第1ケース部材の内面との間がシールされるので、オイル流入孔側の空間に存在している未濾過のオイルが、枠体と第1ケース部材との間からオイル流出孔側の空間へ漏れ出ないようにすることが可能になる。
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記枠体(12)の外面及び内面の少なくとも一方には肉ぬすみ部(12f、12g)が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、枠体が部分的に薄肉になるので、枠体の剛性を極端に落とすことなく、該枠体の成形時には冷却固化し易くなって成形サイクルが短くなる。
第4の発明は、第3の発明において、
射出成形された樹脂材によって上記第1ケース部材(20)と上記第2ケース部材(30)とが接合され、
上記枠体(12)における厚肉部(12A)が上記ケース40の内面における接合部分に対応するように配置されることを特徴とする。
この構成によれば、第1ケース部材と第2ケース部材とを接合する際に、ケースの外面に向けて溶融樹脂が射出される。このとき、枠体の厚肉部がケースの内面における接合部分に対応するように配置されているので、接合部分が枠体の厚肉部によってケースの内面側から支持される。これにより、溶融樹脂の射出圧による接合部分の変形が抑制されるので、溶融樹脂のケースの内部への漏れが抑制される。
第1の発明によれば、フィルタエレメントの枠体の外面に、第1ケース部材への挿入方向先端側へ向かって該枠体の断面が縮小するように傾斜する枠体外傾斜面を形成し、第1ケース部材の内面に、枠体外傾斜面に沿って延びるケース内傾斜面を形成するとともに枠体に係合する係合部を形成している。これにより、枠体を第1ケース部材に容易に挿入することができるとともに、フィルタエレメントをケースの内部で安定させることができる。
第2の発明によれば、枠体の挿入方向先端部に突条部を形成し、この突条部を第1ケース部材の内面に形成した凹部に挿入して係合させることができる。これにより、未濾過のオイルが、枠体と第1ケース部材との間からオイル流出孔側の空間へ漏れ出てしまうのを抑制できる。
第3の発明によれば、枠体の一部に肉ぬすみ部を形成することで、枠体を剛性構造体にすることができ、かつ、成形サイクルを短くすることができる。
第4の発明によれば、枠体の厚肉部をケースの内面における接合部分に対応するように配置することで、溶融樹脂の射出圧による接合部分の変形を抑制することができる。これにより、溶融樹脂がケースの内部へ漏れないようにすることができ、第1ケース部材と第2ケース部材とを確実に接合できる。
実施形態に係るオイルフィルタの斜視図である。 図1におけるA―A線断面図である。 フィルタエレメントの斜視図である。 フィルタエレメントを上側ケース部材に挿入する前の状態を示す図2相当図である。 フィルタエレメントを上側ケース部材に挿入した後に下側ケース部材を上側ケース部材に組み付ける前の状態を示す図2相当図である。 接合用樹脂による接合前の状態を示す図2相当図である。 実施形態の変形例1に係るフィルタエレメントの断面図である。 実施形態の変形例2に係る図2相当図である。 実施形態の変形例3に係る図2相当図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係るオイルフィルタ1の斜視図である。このオイルフィルタ1は、例えば、図示しないが自動車の自動変速機(オートマチックトランスミッション)や無段変速機(CVT)の内部に配設されるものであり、自動変速機や無段変速機の内部を循環するオイルを濾過するためのものである。自動変速機や無段変速機の内部におけるオイルフィルタ1を配設するためのスペースは狭くなっており、しかも、オイルフィルタ1の近くには他の部品も配設されている。
オイルフィルタ1は、図3に示すフィルタエレメント10と、該フィルタエレメント10を収容するケース40とを備えている。この実施形態では、図1に示すようにケース40が略直方体状である場合について説明するが、ケース40の形状は図示した形状に限られるものではなく、例えば細長い形状であってもよいし、上下方向に長い板状であってもよい。また、図示しないが、ケース40の一部に凹部や膨出部が形成されていてもよい。ケース40に凹部を形成することで、他の部品との干渉を回避することができ、また、ケース40に膨出部を形成することで、ケース40の容積を拡大することやケース40を補強することができる。また、ケース40の分割面の位置は任意に設定することができ、また、ケース40の分割方向も任意に設定することができる。
(ケースの構成)
ケース40の内部には、図2に示すように上記フィルタエレメント10が収容されるオイル濾過空間Rが形成されている。フィルタエレメント10は、オイル濾過空間Rの上下方向中間部に配置されており、このフィルタエレメント10によってオイル濾過空間Rが下側空間R1と上側空間R2とに区画される。下側空間R1は未濾過のオイルが流入する空間である。上側空間R2はフィルタエレメント10によって濾過されたオイルが流入する空間である。
ケース40は、上側ケース部材(第1ケース部材)20と、下側ケース部材(第2ケース部材)30とを組み合わせることによって構成されている。すなわち、ケース40は、その上下方向中間部において下側寄りの部分で上下に2分割されており、上側が上記上側ケース部材20で構成され、下側が上記下側ケース部材30で構成されている。上側ケース部材20及び下側ケース部材30は共に樹脂製であり、詳細は後述するが、溶着用樹脂41によって接合されている。
図2に示すように、上側ケース部材20は、上壁部21と、上壁部21の周縁部から下方へ延びる上側周壁部22と、上側周壁部22の下端部からケース40の外方へ延びる上側フランジ23とを有しており、上側ケース部材20の下端部は全体が開口している。図1に示すように、上壁部21には、オイル流出管24が上方へ突出するように設けられている。オイル流出管24の内部には、オイル濾過空間Rの上側空間R2に連通するオイル流出孔24aが形成されている。オイル流出管24の上端部には、取付板部25が径方向に延出するように形成されている。この取付板部25は、オイルフィルタ1を自動変速機本体に取り付ける際に該自動変速機本体に対して締結部材(図示せず)によって締結される部分である。取付板部25には、図示しないシール部材が挿入される溝と、締結部材が挿通する挿通孔25a、25aが形成されている。
尚、オイル流出管24を設ける部位は、上壁部21の任意の部位に設定することができ、また、オイル流出管24は略水平方向に延びていてもよい。また、オイル流出管24は、屈曲していてもよく、例えば上壁部21から上方へ延びた後、略水平方向に屈曲するように形成することができる。また、オイル流出管24は、オイル濾過空間Rの上側空間R2に連通していればよいので、例えば上側周壁部22に設けることもできる。
図2にも示すように、上側周壁部22には、ケース40の外方へ膨出する膨出部22aが形成されている。膨出部22aは、フィルタエレメント10を上側ケース部材20の内部に収容するためものであり、上側周壁部22の上部以外の部分に全周に亘って形成されている。この膨出部22aの内部にフィルタエレメント10の枠体12が挿入されるようになっている。
図4にも示すように、上側フランジ23の上面には、溝部23aが該上側フランジ23の全周に亘って延びるように形成されている。上側フランジ23の下面には、下方へ突出する突条部23bが該上側フランジ23の全周に亘って延びるように形成されている。上側フランジ23の外周面における下側には、溶着用樹脂41が流入する凹部23cが形成されている。
上側ケース部材20の膨出部22aの内面には、上側ケース内傾斜面23dが形成されている。上側ケース内傾斜面23dは、下側へ行くほど上側ケース部材20の水平方向の断面が拡大するように傾斜しており、上側周壁部22の下端部まで連続して延びている。この上側ケース内傾斜面23dの形成により、上側ケース部材20の下端部の開口面積が大きくなるので、フィルタエレメント10の枠体12を膨出部22aの内部に容易に挿入することができる。
上側ケース部材20の上側周壁部22の内面には、膨出部22aの上部近傍に上側係合凹部20aが形成されている。上側係合凹部20aは、上方へ窪むように形成されて上側周壁部22の周方向全周に亘って形成されている。
図5にも示すように、下側ケース部材30は、下壁部31と、下壁部31の周縁部から上方へ延びる下側周壁部32と、下側周壁部32の上端部からケース40の外方へ延びる下側フランジ33とを有しており、下側ケース部材30の上端部は全体が開口している。この下側ケース部材30の上端部の開口形状及び開口面積は、上側ケース部材20の下端部の開口形状及び面積と略同じである。
図1に示すように、下壁部31には、オイル流入管34が下方へ突出するように設けられている。オイル流入管34の内部には、オイル濾過空間Rの下側空間R1に連通するオイル流入孔34aが形成されている。オイル流入管34の下端部は、オイルの液面よりも下に位置している。
尚、オイル流入管34を設ける部位は、下壁部31の任意の部位に設定することができる。また、オイル流入管34は、オイル濾過空間Rの下側空間R1に連通していればよいので、例えば下側周壁部32に設けることもできる。
図2にも示すように、下側周壁部32には、ケース40の外方へ膨出する膨出部32aが形成されている。膨出部32aは、フィルタエレメント10を下側ケース部材30の内部に収容するためのものであり、下側周壁部32の下部以外の部分に全周に亘って形成されている。この膨出部32aの内部にフィルタエレメント10の枠体12が挿入されるようになっている。
ケース40の分割位置が下寄りに設定されていることから、下側周壁部32は上側周壁部22よりも高さ寸法が短くなっており、従って、下側ケース部材30の膨出部33aは上側ケース部材20の膨出部23aよりも高さ寸法が短くなっている。
図5にも示すように、下側フランジ33の下面には、溝部33aが該下側フランジ33の全周に亘って延びるように形成されている。下側フランジ33の上面には、凹条部33bが該下側フランジ33の全周に亘って延びるように形成されている。凹条部33bには、上側フランジ23に形成されている突条部23bが嵌入するようになっている。下側フランジ33の外周面における上側には、溶着用樹脂41が流入する凹部33cが形成されている。下側の凹部33cと上側の凹部23cとは、図6に示すように、溶着用樹脂41が流入する前の状態で互いに連続して1つの凹部を形成するようになっている。詳細は後述するが、凹部23c、33cに溶融状態の溶着用樹脂41を流入させて固化させることによって上側ケース部材20と下側ケース部材30とが液密にシールされた状態で接合される。
下側ケース部材30の膨出部32aの内面には、下側ケース内傾斜面33dが形成されている。下側ケース内傾斜面33dは、上側へ行くほど下側ケース部材30の水平方向の断面が拡大するように傾斜しており、下側周壁部32の上端部まで連続して延びている。この下側ケース内傾斜面33dの形成により、下側ケース部材30の上端部の開口面積が大きくなるので、フィルタエレメント10の枠体12を膨出部32aの内部に容易に挿入することができる。下側ケース内傾斜面33dは上側ケース内傾斜面23dよりも高さ寸法が短くなっている。
下側ケース部材30の下側周壁部32の内面には、膨出部32aの下部近傍に下側係合凹部30aが形成されている。下側係合凹部30aは、下方へ窪むように形成されて下側周壁部32の周方向全周に亘って形成されている。
(フィルタエレメントの構成)
図3に示すように、フィルタエレメント10は、全体として略矩形の厚肉板状をなしており、オイルを通過させることによって該オイルを濾過するための濾過材11と、該濾過材10の周縁部を保持する樹脂製の枠体12を有している。濾過材11は、例えば不織布等の布材で構成することができ、ひだ折り形状となっている。すなわち、布材を、多数の山及び谷が交互にできるように折り曲げることによってひだ折り形状の濾過材11が得られ、その濾過材11の断面は連続した波形になる。濾過材11は、山及び谷の連続する方向が略水平方向となるようにケース20の内部に配置されるが、濾過材11の姿勢はこれに限られるものではない。そして、オイルは濾過材11の下から上に通過するようになっている。
枠体12は、濾過材11の周縁部に沿って延びる略矩形状となっている。濾過材11の周縁部は、全周に亘って枠体12に埋め込まれた状態で保持されている。濾過材11の周縁部と枠体12の内面との間からオイルが漏れないようになっている。また、枠体12の内方には、濾過材11の変形を抑制するとともに、枠体12自体の変形も抑制するための補強板12aが設けられている。補強板12aは、枠体12の長手方向に延びており、両端部が枠体12の内面と一体化している。尚、補強板12aは2つ以上設けてもよい。また、補強板12aは省略してもよい。
枠体12の内面は上下方向に延びる一方、枠体12の外面には、上側枠体外傾斜面12bと下側枠体外傾斜面12cとが形成されている。上側枠体外傾斜面12bは上側ケース部材20に挿入される部分であり、また、下側枠体外傾斜面12cは下側ケース部材30に挿入される部分である。上側枠体外傾斜面12bと下側枠体外傾斜面12cとの境界部分12Aは、上記ケース40の上側ケース部材20と下側ケース部材30との分割面(上側ケース部材20と下側ケース部材30との接合部分)と一致している。従って、境界部分12Aが枠体12の外面における上下方向中央部よりも下寄りに位置することになるので、上側枠体外傾斜面12bは、下側枠体外傾斜面12cよりも高さ寸法が長くなる。
上側枠体外傾斜面12bは、上側ケース部材20への挿入方向先端側(上側)へ向かって枠体12の断面が縮小するように傾斜している。つまり、上側ケース部材20の上側ケース内傾斜面23dは、枠体12の上側枠体外傾斜面12bに沿って延びるように傾斜角度が設定されている。また、上側ケース内傾斜面23dと上側枠体外傾斜面12bとは高さ寸法が略同じに設定されており、フィルタエレメント10が上側ケース部材20に挿入された状態で、上側枠体外傾斜面12bの下端部と、上側ケース内傾斜面23dの下端部とが一致するようになっている。
下側枠体外傾斜面12cは、下側ケース部材30への挿入方向先端側(下側)へ向かって枠体12の断面が縮小するように傾斜している。つまり、下側ケース部材30の下側ケース内傾斜面33dは、枠体12の下側枠体外傾斜面12cに沿って延びるように傾斜角度が設定されている。従って、枠体12における上側枠体外傾斜面12bと下側枠体外傾斜面12cとの境界部分12Aの肉厚が最も厚くなり、この境界部分12Aが厚肉部である。
また、下側ケース内傾斜面33dと下側枠体外傾斜面12cとは高さ寸法が略同じに設定されており、フィルタエレメント10が下側ケース部材30に挿入された状態で、下側枠体外傾斜面12cの上端部と、下側ケース内傾斜面33dの上端部とが一致するようになっている。従って、枠体12における最も肉厚の厚い部分が、上側ケース部材20と下側ケース部材30との分割面に位置することになる。
また、枠体12の上端部には、上側係合凹部20aに対して下方から嵌入した状態で係合する上側係合凸部12dが形成されている。上側係合凸部12dは枠体12の全周に亘って延びる突条部で構成されており、この上側係合凸部12dが上側係合凹部20aに係合することで、枠体12と上側ケース部材20とが一体化する。さらに、枠体12の下端部には、下側係合凹部30aに対して上方から嵌入した状態で係合する下側係合凸部12eが形成されている。下側係合凸部12eが下側係合凹部30aに係合することで、枠体12と下側ケース部材30とが一体化する。下側係合凸部12eも枠体12の全周に亘って延びる突条部で構成されている。
(オイルフィルタの製造方法)
次に、上記のように構成されたオイルフィルタ1の製造方法について説明する。フィルタエレメント10は、図示しないが周知の射出成形機を使用して成形することができる。すなわち、まず、射出成形機の金型の内部に濾過材11を配置して型閉じし、濾過材11を金型内で保持する。その後、金型のキャビティに溶融状態の樹脂を射出して濾過材11の周縁部が埋め込まれた状態で枠体12を成形する。これを脱型することでフィルタエレメント10が得られる。尚、フィルタエレメント10の成形方法はこれに限られるものではなく、各種の方法によってフィルタエレメント10を得ることができる。
また、ケース40は、例えばダイスライドインジェクション(DSI)やDRIを使用して得ることができる。ダイスライドインジェクションの詳細については、例えば、特許第3027150号公報や特開2002−113785号公報に記載されており、これら公報に記載されている装置及び方法を利用してケース40を得ることができる。
すなわち、図示しないが、固定型と、固定型に接離する方向に駆動されるとともに、その接離する方向と直交する方向にも駆動される可動型とを用意する。固定型には、上側ケース部材20の外面側を成形する上側ケース外側成形面と、下側ケース部材30の内面側を成形する下側ケース内側成形面とが上下方向に並ぶように形成されている。一方、可動型には、上側ケース部材20の内面側を成形する上側ケース内側成形面と、下側ケース部材30の外面側を成形する下側ケース外側成形面とが上下方向に並ぶように形成されている。
さらに、固定型及び可動型には、上側ケース部材20及び下側ケース部材30を合わせた時にこれらを収容する収容凹部が形成されている。固定型の収容凹部と、可動型の収容凹部とを一致させることにより、上側ケース部材20及び下側ケース部材30を収容可能な収容空間が形成される。収容空間にある上側ケース部材20及び下側ケース部材30の凹部23cと凹部33cには溶融状態の樹脂が射出されるようになっている。
固定型の上側ケース外側成形面と、可動型の上側ケース内側成形面とが一致し、かつ、固定型の下側ケース内側成形面と、可動型の下側ケース外側成形面とが一致するように、可動型を配置した後、固定型と該可動型とを型閉じする。その後、上側ケース外側成形面と上側ケース内側成形面との間、及び下側ケース内側成形面と下側ケース外側成形面との間に溶融状態の樹脂を射出すると、上側ケース部材20及び下側ケース部材30がそれぞれ成形される。
次いで固定型と可動型とを型開きする。この状態で、固定型には上側ケース部材20の外面側を成形する上側ケース外側成形面に上側ケース部材20が配置されていて、可動型には下側ケース部材30の外面側を成形する下側ケース外側成形面に下側ケース部材30が配置されている。次に、例えばロボットや自動搬送装置等を使用してフィルタエレメント10を上側ケース部材20に挿入する。このとき、フィルタエレメント10の枠体12を上側ケース部材20に挿入することになるが、枠体12の外面に上側枠体外傾斜面12bが形成されていて、挿入方向先端側へ向かって該枠体12の断面が縮小しているので、枠体12を挿入方向先端側から容易に挿入することが可能になる。また、上側ケース部材20の内面における上側枠体外傾斜面12bに対応する部分が上側枠体外傾斜面12bに沿って延びる上側ケース内傾斜面23dとされているので、枠体12の挿入時に上側枠体外傾斜面12bが上側ケース内傾斜面23dによって案内され、このことによっても枠体12を上側ケース部材20に容易に挿入することが可能になる。
そして、フィルタエレメント10を上側ケース部材20に挿入して組み付けると、上側ケース内傾斜面23dが上側枠体外傾斜面12bに沿って延びているので、枠体12の外面が上側ケース部材20の内面によって支持される。これにより、フィルタエレメント10が上側ケース部材20の内部で安定する。さらに、上側ケース部材20の上側係合凹部20aが枠体12の上側係合凸部12dに係合することによってもフィルタエレメント10が上側ケース部材20の内部で安定する。
その後、可動型を上側に移動させて、固定型の上側ケース部材20の外面側を成形する上側ケース外側成形面と、可動型の下側ケース部材30の外面側を成形する下側ケース外側成形面とを合わせて、型閉めをする。このとき、フィルタエレメント10がすでに上側ケース部材20に組み付けられているので、枠体12を下側ケース部材30に挿入することになる。枠体12の外面に下側枠体外傾斜面12cが形成されていて、下側ケース部材30の挿入方向に向かって該枠体12の先端断面が縮小しているので、下側ケース30に枠体12を容易に挿入することが可能になる。また、下側ケース部材30の内面における下側枠体外傾斜面12cに対応する部分が下側枠体外傾斜面12cに沿って延びる下側ケース内傾斜面33dとされているので、挿入時に下側ケース内傾斜面33dが下側枠体外傾斜面12cによって案内され、このことによっても挿入が容易に行える。
そして、フィルタエレメント10が下側ケース部材20に挿入された状態では、下側ケース内傾斜面33dが下側枠体外傾斜面12cに沿って延びているので、枠体12の外面が下側ケース部材30の内面によって支持される。これにより、フィルタエレメント10がケース40の内部で安定する。さらに、下側ケース部材30の下側係合凹部30aが枠体12の下側係合凸部12eに係合することによってもフィルタエレメント10がケース40の内部で安定する。
固定型と可動型とを合わせて型閉めをすることによって固定型の収容凹部と可動型の収容凹部とを一致させて上記収容空間を形成する。この収容空間には、上側ケース部材20及び下側ケース部材30を収容しておく。そして、凹部23cと凹部33cに溶融状態の樹脂を射出する。凹部23c及び凹部33cに射出された溶融状態の樹脂は、凹部23c及び凹部33cに充填される。このときの射出圧は、上側周壁部22及び下側周壁部32に対してケース40内へ向けて作用する。この実施形態では、上側周壁部22及び下側周壁部32の接合部分に対してフィルタエレメント10の枠体12がケース40の内方から当接していると共に、上側係合凸部12d及び下側係合凸部12eが上側係合凹部20a及び下側係合凹部30aに係合しているので、枠体12によって上側周壁部22及び下側周壁部32を支持することができる。特に、枠体12の最も肉厚が厚い境界部分12Aが上側周壁部22及び下側周壁部32の接合部分に位置しているので、上側周壁部22及び下側周壁部32のケース40内へ向けての変形を抑制できる。これにより、接合部分からケース40内へ向けて溶融樹脂が漏れることはない。
凹部23c及び凹部33cに射出された樹脂は溶着用樹脂41である。固化した溶着用樹脂41は凹部23c及び凹部33cの内面に溶着した状態になり、これにより、上側ケース部材20及び下側ケース部材30は全周に亘ってシールされて一体化する。
(実施形態の作用効果)
上記のように構成されたオイルフィルタ1を使用する場合には、濾過前のオイルがオイル流入孔34aからケース40の下側空間R1に流入した後、上方へ流れてフィルタエレメント10の濾過材11を通過して濾過された後、上側空間R2に流入する。このとき、枠体12の上側枠体外傾斜面12bが上側ケース部材20の上側ケース内傾斜面23dに接触し、また、枠体12の下側枠体外傾斜面12cが下側ケース部材30の下側ケース内傾斜面33dに接触しているので、枠体12とケース40の内面との間から濾過前のオイルが上側空間R2に流入するのが抑制される。また、枠体12の上側係合凸部12dが上側ケース部材20の上側係合凹部20aに係合し、また、枠体12の下側係合凸部12eが下側ケース部材30の下側係合凹部30aに係合していることによっても、枠体12とケース40の内面との間から濾過前のオイルが上側空間R2に流入するのが抑制される。
また、この実施形態に係るオイルフィルタ1によれば、フィルタエレメント10の枠体12の外面に上側枠体外傾斜面12bを形成し、上側ケース部材20の内面に、上側枠体外傾斜面12bに沿って延びる上側ケース内傾斜面23dを形成するとともに枠体12に係合する上側係合凹部20aを形成している。これにより、枠体12を上側ケース部材20に容易に挿入することができるとともに、挿入後のフィルタエレメント10をケース40の内部で安定させることができる。
また、枠体12の挿入方向先端部に突条部からなる上側係合凸部12dを形成し、この上側係合凸部12dを上側ケース部材20の内面に形成した上側係合凹部20aに挿入して係合させることにより、下側空間R1に流入した未濾過のオイルが、枠体12と上側ケース部材20との間から上側空間R2へ漏れ出てしまうのを抑制できる。
(その他の実施形態)
また、図7に示す実施形態の変形例1のように、フィルタエレメント10の枠体12の上側枠体外傾斜面12bに上側肉ぬすみ部12fを形成し、下側枠体外傾斜面12cに下側肉ぬすみ部12gを形成してもよい。上側肉ぬすみ部12f及び下側肉ぬすみ部12gは凹部や窪み部等で構成することができる。上側肉ぬすみ部12f及び下側肉ぬすみ部12gは、上側枠体外傾斜面12bと下側枠体外傾斜面12cとの境界部分12Aには形成しないようにするのが好ましい。これにより、枠体12の厚肉部分の強度低下を抑制できるので、凹部23cと凹部33cに溶融状態の樹脂を射出するときに、上側周壁部22及び下側周壁部32のケース40内へ向けての変形を抑制できる。上側肉ぬすみ部12f及び下側肉ぬすみ部12gの両方を形成せずに、どちらか一方のみを形成してもよい。上側肉ぬすみ部12f及び下側肉ぬすみ部12gは、それぞれ、複数形成してもよい。また、図示しないが、枠体12の内面に肉ぬすみ部を形成してもよい。さらに、枠体12の外面と内面の両方に肉ぬすみ部を形成してもよい。
枠体12に肉ぬすみ部12f、12gを形成することで、枠体12の剛性を極端に落とすことなく、成形サイクルを短くすることができる。
また、図8に示す実施形態の変形例2のように、フィルタエレメント10の枠体12の上端部を上側係合凸部12dとし、下端部を下側係合凸部12eとしてもよい。この変形例2の場合も、枠体12をケース40の内部で安定させることができる。
さらに、図9に示す実施形態の変形例3のように、ケース40の分割位置を該ケース40の上下方向中央部にしてもよい。また、図示しないが、ケース40の分割位置を該ケース40の上下方向中央部よりも上寄りにしてもよい。
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明に係るオイルフィルタは、例えば自動車の自動変速機のオイルを濾過する場合に使用することができる。
1 オイルフィルタ
10 フィルタエレメント
11 濾過材
12 枠体
12A 境界部分(厚肉部)
12b 上側枠体外傾斜面
12d 上側係合凸部(突条部)
20 上側ケース部材(第1ケース部材)
20a 上側係合凹部(係合部)
23d 上側ケース内傾斜面
24a オイル流出孔
30 下側ケース部材(第2ケース部材)
34a オイル流入孔
40 ケース
R オイル濾過空間

Claims (4)

  1. オイルを濾過する濾過材(11)及び該濾過材(11)の周縁部を保持する樹脂製の枠体(12)を有するフィルタエレメント(10)と、
    上記フィルタエレメント(10)が収容されるオイル濾過空間(R)と、該オイル濾過空間(R)に連通するオイル流入孔(34a)及びオイル流出孔(24a)とを有する樹脂製のケース(40)とを備え、
    上記ケース(40)は、上記オイル流入孔(34a)及び上記オイル流出孔(24a)の一方を有する第1ケース部材(20)と、上記オイル流出孔(34a)及び上記オイル流出孔(24a)の他方を有する第2ケース部材(30)とが組み合わされて構成され、
    上記フィルタエレメント(10)の濾過材(11)が上記オイル濾過空間(R)を上記オイル流入孔(34a)側の空間(R1)と上記オイル流出孔(24a)側の空間(R2)とに区画するように該オイル濾過空間(R)に配置されたオイルフィルタ(1)において、
    上記フィルタエレメント(10)の上記枠体(12)は上記第1ケース部材(20)に挿入され、該枠体(12)の外面には、該第1ケース部材(20)への挿入方向先端側へ向かって該枠体(12)の断面が縮小するように傾斜する枠体外傾斜面(12b)が形成され、
    上記第1ケース部材(20)の内面には、上記枠体外傾斜面(12b)に対応する部分に該枠体外傾斜面(12b)に沿って延びるケース内傾斜面(23d)が形成されるとともに、上記枠体(12)に係合する係合部(20a)が形成されていることを特徴とするオイルフィルタ(1)。
  2. 請求項1に記載のオイルフィルタ(1)において、
    上記枠体(12)における上記第1ケース部材(20)への挿入方向先端部には、挿入方向へ突出して該枠体(12)の周方向に延びる突条部(12d)が形成され、
    上記第1ケース部材(20)の係合部は、上記突条部(12d)が挿入される凹部(20a)であることを特徴とするオイルフィルタ(1)。
  3. 請求項1または2に記載のオイルフィルタ(1)において、
    上記枠体(12)の外面及び内面の少なくとも一方には肉ぬすみ部(12f、12g)が形成されていることを特徴とするオイルフィルタ(1)。
  4. 請求項3に記載のオイルフィルタ(1)において、
    射出成形された樹脂材によって上記第1ケース部材(20)と上記第2ケース部材(30)とが接合され、
    上記枠体(12)における厚肉部(12A)が上記ケース40の内面における接合部分に対応するように配置されることを特徴とするオイルフィルタ(1)。
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