JP2017192325A - 有機酸の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】糖類含有非可食原料に含まれる種々の発酵阻害物質の存在下でも、効率的に有機酸を生産することができる有機酸の製造方法を提供する。【解決手段】有機酸生産能を有する微生物を、水性媒体中で、糖類含有非可食原料 に作用させることにより有機酸を生産させる工程を有する、有機酸の製造方法であって、該有機酸生産能を有する微生物として、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、およびフマレートヒドラターゼのそれぞれをコードする遺伝子、ホスホトランスフェラーゼシステムを構成するタンパク質をコードする遺伝子、ならびに酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が非改変株と比較して増強された微生物を用いることを特徴とする、有機酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の遺伝子の発現を増強された、有機酸生産能を有する微生物を用いた有機酸の製造方法に関する。
糖類を原料とした有機酸の発酵生産プロセスおよび化学変換プロセスは、広く利用されており、また前記各プロセスを経て得られた生産物は、種々の工業原料として利用されている。
これら発酵生産プロセスおよび化学変換プロセスの原料として使用される糖類として、現在はサトウキビ、デンプン、テンサイ、とうもろこし、いも、キャッサバ、サトウカエデなどの可食資源に由来するものが挙げられる。
しかしこれらの可食資源由来の糖類は、今後の世界人口増加による可食資源価格の高騰、および天候不順や気候変動による可食資源の供給不足といった懸念がある。また食料不足の際に、可食資源を食用用途と競合して工業原料に利用することに対する懸念もある。そこで、非可食資源や不純物を含有するより低純度の糖類などから、効率的に糖液を製造するプロセス、あるいは得られた糖液を発酵生産原料や化学変換原料として、効率的に工業原料に変換するプロセスの構築が今後の課題となっている。
非可食資源から糖液を得る方法としては、非可食資源中のセルロースやヘミセルロースを、濃硫酸を用いてグルコースに代表されるヘキソースや、キシロースに代表されるペントースといった単糖まで加水分解する方法(特許文献1)や、非可食資源の反応性を向上させる前処理を施した後に、酵素反応により加水分解する方法(特許文献2)、または亜臨界や超臨界水による加水分解方法等が一般的に知られている。
しかし、これらの手法を用いた場合、非可食資源中のセルロース、ヘミセルロースが加水分解され、グルコースやキシロースといった糖が得られると共に、これらの糖の過分解反応なども進行するため、各種副生物も生成する。具体的には例えば、フルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、シリンガアルデヒド等のアルデヒド化合物や、蟻酸、レブリン酸、バニリン酸、フェルラ酸、酢酸等のカルボン酸誘導体や、ベンゾキノン等の共役カルボニル化合物や、バニリン、グアヤコール等のフェノール性化合物等が生成する。
これらの副生物は、微生物を利用した発酵生産プロセスで反応を阻害する性質を有し、発酵生産性を低下させるものがあることが知られている(非特許文献1)。なお、前記のような作用を及ぼす物質を総称し、以下「発酵阻害物質」という。そのため、これらの発酵阻害物質の存在は、非可食資源由来の糖液を発酵原料として利用する際の大きな課題であった。
一方で、有機酸の生産性を向上させる微生物の改変はよく検討されている。例えば、非特許文献2では、微生物を利用した乳酸の発酵生産において、グルコースから乳酸への合成経路上の解糖系酵素であるGLKやPFK、GAPDHを増強した微生物を用いることで、乳酸の生産性を向上させている。
また、特許文献3では、酵母を用いたエタノール発酵生産において、発酵阻害物質の一つである酢酸に対し、酢酸応答転写因子の遺伝子Haa1を増強することで酵母に対し発酵阻害耐性を付与した改変が開示されている。
特表平11−506934号公報 特開2001−95594号公報 WO2014/030745A1
Biotechnology for Biofuels 2(1),2009,P26 Applied Microbiology and Biotechnology 97,2013,P6693−P6703
しかし、非可食資源から得られた糖液を原料とした際の、発酵阻害物質の影響を低減させるような微生物の改変はあまり知られていない。特許文献3では、発酵によって製造される発酵生産物はエタノールのみにとどまっており、有機酸生産に関する検討は一切なされていない。また、増強している遺伝子も酢酸応答遺伝子Haa1のみであり、アルデヒド化合物、酢酸以外のカルボン酸誘導体、共役カルボニル化合物やフェノール性化合物等といった発酵阻害物質に対して影響を及ぼし得る遺伝子に関する検討はされていない。
本発明の課題は、糖類含有非可食原料に含まれる種々の発酵阻害物質の存在下でも、効率的に有機酸を生産することができる有機酸の製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、微生物を用いた有機酸の発酵生産において、後述の特定の遺伝子を増強した微生物が、発酵阻害物質を含む糖類含有非可食原料を利用した発酵生産において、発酵阻害耐性を有することを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 有機酸生産能を有する微生物を、水性媒体中で、糖類含有非可食原料に作用させることにより有機酸を生産させる工程(以下、「発酵工程」という)を有する、有機酸の製造方法であって、該有機酸生産能を有する微生物として、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、およびフマレートヒドラターゼをコードする遺伝子、ホスホトランスフェラーゼシステムを構成するタンパク質をコードする遺伝子、ならびに酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が非改変株と比較して増強された微生物を用いることを特徴とする、有機酸の製造方法。
[2] 前記ホスホトランスフェラーゼシステムを構成するタンパク質をコードする遺伝子が、ptsI,ptsH、および ptsGからなる群より選択される少なくとも一つである、[1]に記載の有機酸の製造方法。
[3] 前記酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子が、トランスクリプショナルレギュレーターのwhcE、チオレドキシンレダクターゼのtrxB、およびシグマ因子のsigHからなる群より選択される少なくとも一つである、[1]に記載の有機酸の製造方法。
[4] 前記糖類含有非可食原料が、リグノセルロース系バイオマスを糖化して得られる糖化物および/または廃糖蜜を含む、[1]〜[3]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[5] 前記糖類含有非可食原料が発酵阻害物質を含有する、[1]〜[4]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[6] 前記糖化物が、発酵阻害物質を副生する糖化工程を経て生産される、[4]に記
載の有機酸の製造方法。
[7] 前記糖化工程が、酸分解法、水熱分解法、亜臨界・超臨界水中分解法、および酵素法のいずれかを含む、[6]に記載の有機酸の製造方法。
[8] 前記有機酸が、乳酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、および酢酸のいずれかである、[1]〜[7]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[9] 前記水性媒体が、炭酸イオン、重炭酸イオンおよび二酸化炭素ガスからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、[1]〜[9]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
[10] 前記発酵工程を、嫌気的雰囲気下で行う、[1]〜[10]のいずれかに記載の有機酸の製造方法。
本発明の有機酸の製造方法によれば、非可食資源由来の発酵阻害物質を含む糖類含有非可食原料を用いた有機酸の発酵生産であっても、有機酸の生産速度を向上させることができる。
大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにptsIを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにfumCを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにpgkを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにwhcEを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにtrxBを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにgapAを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにptsHを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにptsGを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにsigHを挿入したプラスミドの構造を示す図。 大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCHにpfkを挿入したプラスミドの構造を示す図。
以下、本発明について具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内であれば種々変更して実施することができる。
本発明は、有機酸生産能を有する微生物を、水性媒体中で、糖類含有非可食原料に作用させることにより有機酸を生産させる工程(以下、「発酵工程」という)を有する、有機酸の製造方法であって、有機酸生産能を有する微生物として、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、およびフマレートヒドラターゼのそれぞれをコードする遺伝子、ホスホトランスフェラーゼシステム(以下、PTSともいう)を構成するタンパク質をコードする遺伝子、ならびに酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が非改変型と比較して増強された微生物を用いることを特徴とする有機
酸の製造方法である(以下、「本発明の製造方法」ともいう)。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
<糖類含有非可食原料>
本発明の製造方法で用いる糖類含有非可食原料は、後述する糖類を含んでいる非可食原料であれば特に制限はないが、必要に応じて水等を含んでいてもよく、好ましくは水を含んでいてもよい。
本明細書において非可食原料とは、食用用途として用いられる可食原料以外であれば特に限定されず、通常であれば廃棄、焼却処理をされるものをいう。これらは食用用途と競合しないので、安定的な供給、資源の有効利用を図ることができる。非可食原料としては、具体的には、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー、稲わら、麦わら、米ぬか、植物油カス、ササ、タケ、パルプ類、古紙、食品廃棄物、水産物残渣、家畜廃棄物等や、それらの処理物が挙げられる。また、砂糖の製造工程で発生する糖蜜から砂糖を回収した後に残る廃糖蜜も非可食原料として使用可能である。
糖類含有非可食原料としては、これらの非可食原料を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
糖類含有非可食原料としては、特に限定はされないが、例えば、1種類以上の糖類を構成成分として含む植物体またはその一部を糖類まで分解したもの、1種類以上の前記糖類を構成成分として含む植物体またはその一部から糖類を抽出したもの等を用いることができる。具体的には、後述するようなリグノセルロース系バイオマス分解原料、廃糖蜜等が好ましく用いられる。特に好ましくは、糖類含有非可食原料が、後述するリグノセルロース系バイオマスを糖化して得られる糖化物および/または廃糖蜜を含むことである。
本発明の効果を顕著に奏することから、糖類含有非可食原料としては後に詳述する発酵阻害物質を含有することが好ましい。
(糖類)
糖類含有非可食原料に含まれる糖類は、特に限定されず、いわゆる一般的な糖を用いることができるが、微生物が炭素源としても活用することができる糖が好ましい。
具体的には、グリセルアルデヒド等の炭素数3の単糖(トリオース);エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖(テトロース);リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖(ペントース);アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フコース、フクロース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖(ヘキソース);セドヘプツロース等の炭素数7の単糖(ヘプトース);スクロース、ラクトース、マルトース、トレハノース、ツラノース、セロビオース等の二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナオリゴ糖などのオリゴ糖類;デンプン、デキストリン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、ペントサン等の多糖類等が挙げられる。
上述した糖類の中でも、炭素数3以上7以下の単糖を構成成分として含む糖類が好ましい。これらの中でも、ヘキソース、ペントース、およびこれらを構成成分とする二糖類からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましい。これらは自然界、植物の構成成分となっていることから豊富に存在し、原料の入手が容易なためである。
ヘキソースとしては、グルコース、フルクトース、マンノース、ガラクトースが好ましく、グルコースがより好ましい。ペントースとしてはキシロース、アラビノースが好ましく、キシロースがより好ましい。ヘキソース、およびペントースを構成成分とする二糖類としては、スクロースが好ましい。グルコース、キシロース、スクロースは、自然界、植物の主な構成成分となっているため、原料の入手が容易なためである。
なお、本発明で用いる糖類含有非可食原料には、1種類の糖が単独で含有されていてもよいし、2種類以上の糖が含有されていてもよい。
本発明で用いる糖類含有非可食原料は、必要に応じて水等で希釈して糖の濃度を下げて用いてもよいし、濃縮して糖の濃度を高めて用いてもよく、反応開始後に、糖類含有非可食原料を追加することもできる。
本発明における糖類含有非可食原料中に含まれる糖類の濃度としては、糖類含有非可食原料の由来や、含有する糖の種類等によって大きく変動するため、特に限定されないが、発酵生産プロセスおよび化学変換プロセスの生産性を考慮して、通常0.1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、また、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下である。但し、糖類を2種類以上含む場合は、その合計の濃度を示す。
(リグノセルロース系バイオマス分解原料)
本発明の効果を顕著に奏することから、特に好ましい糖類含有非可食原料としてリグノセルロース系バイオマス分解原料を用いることができ、例えば、リグノセルロース系バイオマスの糖化物が挙げられる。即ち、糖類含有非可食原料としては、リグノセルロース系バイオマスを糖化したものが好ましい。
リグノセルロース系バイオマスとしては、バガス、コーンストーバー、麦わら、稲わら、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、ササ、ススキ等の草木系バイオマスや、廃木材、オガ粉、樹皮、古紙等の木質系バイオマスなどを好適に用いることができる。中でも、大量に入手可能という点においてバガス、コーンストーバー、麦わらが好ましい。
(糖化工程)
本明細書において、リグノセルロース系バイオマスを糖化して糖化物を得る工程を糖化工程と称する。リグノセルロース系バイオマスの糖化とは、リグノセルロース系バイオマス中の多糖類をオリゴ糖、または単糖に分解することをいい、単糖がさらに過分解することを含む。糖化工程では、上記の糖化を促進するために、加水分解処理によってリグニンを除去または軟化させ、セルロースやヘミセルロースを取り出しやすくする前処理を行ってもよい。
本発明で用いる糖化方法としては、特に限定されず、例えば、酸分解法や水熱分解法、亜臨界・超臨界水中分解法、酵素法などが挙げられる。
酸分解法としてはさらに、濃硫酸や濃塩酸などの濃酸を使う濃酸法と希硫酸や希塩酸などを使う希酸法がある。
濃酸法とは、濃硫酸や濃硝酸を用いてリグノセルロース系バイオマスの主要成分であるセルロースやヘミセルロースを同時に糖化する方法で、例えば、「工業化学雑誌 60.5(1957):550−554」に記載の方法がある。
希酸法とは、リグノセルロース系バイオマスを、希硫酸を用いて150〜180℃×加水分解処理することで、ヘミセルロースが加水分解される第一糖化工程と第一糖化工程後に固形分として得られるリグニンとセルロースからなる残渣を、希硫酸を用いて230℃〜250℃×1〜3分間加水分解する第二糖化工程からなる方法であり、例えば、WO2013/187385や「木質系バイオエタノールのための環境低負荷型生産技術の開発(K22043)平成22年度循環型社会形成促進科学研究費補助金:K2024 K2146 K22043:総合研究報告書(2011)」に記載の方法がある。
水熱分解法とは、圧力をかけ加熱した水でバイオマスを処理する方法で、200℃程度でヘミセルロースが選択的に加水分解され、260℃以上にすると残ったセルロースが加
水分解される。例えば、「日本エネルギー学会誌 77.3(1998):241−247」に記載の方法がある。
亜臨界・超臨界水中分解法とは、亜臨界水、もしくは超臨界水中でセルロースを加水分解する方法で、例えば「Ind,Eng.Chem.Res.,39,2883−2990(2000)」に記載の方法がある。
酵素法とは、セルラーゼやヘミセルラーゼを用いてセルロースやヘミセルロースを分解する方法で、例えば、WO 2013/111762A1に記載の方法がある。
上記糖化方法は、単独で実施しても良いし、2つ以上を組み合わせて実施しても良い。
糖化工程においては、必要に応じて糖化の前に前処理を実施することが好ましい。前処理方法としては、具体的には、蒸煮法、アルカリ分解法、水蒸気爆砕法、希硫酸前処理法などが挙げられる。
蒸煮法とは、バイオマスに高温スチームを当て、高温高圧化にて蒸す方法である。蒸煮処理の処理温度としては、140〜220℃とすることが好ましい。蒸煮処理の処理時間としては、3〜20分とすることが好ましい。
アルカリ分解法とは、アンモニアやライムなどのアルカリによる加水分解を利用した方法で、「Bioresource technology 96.18(2005):2007−2013」や「Biotechnology progress 23.4(2007):846−850」や「Bioresource technology 96.18(2005):1994−2006」に記載の方法である。
水蒸気爆砕法とは、リグノセルロース系バイオマスを高温高圧下で、水蒸気で蒸煮した後、瞬間的に大気圧に開放し資料を破砕する方法で、特開2006−239729に記載されている方法である。
希硫酸前処理法とは、植物バイオマスを希硫酸中に浸漬する方法である。希硫酸の濃度は、例えば0.2〜2%とすることができる。また、希硫酸処理においては、希硫酸に植物バイオマスを浸漬した状態で、例えば140〜220℃とすることが好ましい。また、希硫酸処理は、上記温度とした状態で3〜20分間行うことが好ましい。
上記前処理方法は、単独で実施しても良いし、2つ以上を組み合わせて実施しても良い。また上記前処理工程と上記糖化工程は、それぞれ独立に実施してもよく、同時に実施してもよい。
(糖化物)
上記糖化工程を経て得られる糖化物は、糖化において多糖類が分解して生成した単糖を主成分とし、他に、分解されずに残ったオリゴ糖や多糖、および過分解して生成した副生物を含有する。
過分解して生成した副生物としては、特に限定されないが、例えばフルフラール、ヒドロキシメチルフルフラール、シリンガアルデヒド等のアルデヒド化合物や、蟻酸、レブリン酸、酢酸等のカルボン酸誘導体が挙げられる。
また、上記糖化物は糖類が過分解されて生成する副生物以外に、リグノセルロースに含まれるリグニン等が分解して生成する副生物を含有し、特に限定されないが、例えばバニリン、グアヤコール等のフェノール性化合物やバニリン酸、フェルラ酸等のカルボンサン誘導体や、ベンゾキノン等の共役カルボニル化合物が挙げられる。
上記副生物は、微生物の発酵生産を阻害することが知られており、発酵阻害物質と言われている。本発明に製造方法においては、本発明の効果が顕著に表れる点で、糖化物が発酵阻害物質を副生する糖化工程を経て生産されることが好ましい。
(廃糖蜜)
また、本発明の効果が高いことから好ましい糖類含有非可食原料として、廃糖蜜が挙げられる。廃糖蜜とは、砂糖の製造工程で発生する糖蜜からの砂糖を回収する過程で生成する副産物であって、製糖過程における糖結晶化工程後に残った糖成分を含む溶液のことを指す。一般的に、糖結晶化工程は、複数回行うことが通常であり、結晶化の回数が多くなるに伴い、糖成分以外の製糖作物に由来する成分が廃糖蜜中に濃縮されるという特徴も有しており、その結果として、発酵阻害物質も多く含まれることが知られている。廃糖蜜に含まれる発酵阻害物質としては、上記発酵阻害物質と同様である。
(その他)
本発明で用いる糖類含有非可食原料は、本発明の効果が得られる範囲内で、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、特に限定されないが、例えば、非可食有原料から糖類を得た際に生じる、糖類以外の副生成物や不純物等が挙げられる。具体的には、糖類以外のカルボニル化合物、脂肪族共役アルコール等のアルコール化合物、キシリトール、リビトール、ソルビトール、イノシトール、グリセロール等の糖アルコール、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、窒素化合物、硫黄化合物、ハロゲン化合物、硫酸イオン等の無機化合物等が挙げられる。
<有機酸生産能を有する微生物>
本発明で用いる有機酸生産能を有する微生物(以下、「本発明の微生物」と称することがある。)は、目的とする有機酸を生産する能力を有する微生物であれば、特に限定はされない。本発明における「有機酸生産能を有する微生物」とは、該微生物を培地中で培養したときに、該培地中に有機酸を生成蓄積することができる微生物をいう。
本発明の微生物は、以下1)〜6)の特定の遺伝子群より選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が増強するように改変されていることを特徴とする。
1)ホスホグリセレートキナーゼ(以下、PGKとも呼ぶ)をコードする遺伝子(以下、pgkとも呼ぶ)
2)ホスホフルクトキナーゼ(以下、PFKとも呼ぶ)をコードする遺伝子(以下、pfkとも呼ぶ)
3)グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ(以下、GAPDHとも呼ぶ) をコードする遺伝子(以下、gapAとも呼ぶ)
4)フマレートヒドラターゼ(以下、FHとも呼ぶ)をコードする遺伝子(以下、fumCとも呼ぶ)
5)ホスホトランスフェラーゼシステム(以下、PTSとも呼ぶ)を構成するタンパク質をコードする遺伝子
6)酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子
本発明者らの検討によれば、微生物による有機酸生産では、非可食原料由来の発酵阻害物質により上記遺伝子が転写阻害を受ける、あるいは、上記遺伝子から発現したタンパク質の働きが阻害を受けるため、有機酸を生産する代謝経路が阻害されて有機酸生産性が低下すると推測された。そこで、本発明の微生物では、発酵阻害物質の作用により遺伝子転写やタンパク質の働きが低減してしまうタンパク質をコードする遺伝子の発現を強制的に増強することにより、該微生物を用いて有機酸を製造する本発明の製造方法においては、非可食資源由来の発酵阻害物質の影響を低減して有機酸生産効率を高めることができる。
以下、本発明の微生物で改変される遺伝子について、詳細に説明する。
1)ホスホグリセレートキナーゼをコードする遺伝子(pgk)
「pgk」とは、1,3−ビスホスホグリセリン酸へリン酸を転移させ、3−ホスホグリセリン酸を生成する反応を可逆的に触媒する活性(EC:2.7.2.3:以下、PGK活性という)を有する解糖系の酵素であるタンパク質をコードする遺伝子を意味する。
PGK活性は、例えば、Fifisらの方法(Biochem.J.175,P311,1978)によって測定することができる。
2)ホスホフルクトキナーゼをコードする遺伝子(pfk)
「pfk」とは、Dーフルクトースー6−リン酸へリン酸を転移させ、D−フルクトース−1,6−ビスリン酸を生成する反応を触媒する活性(EC:2.7.1.11:以下、PFK活性という)を有する解糖系の酵素であるタンパク質をコードする遺伝子を意味する。PFK活性は、例えば、Hofmannらの方法(Methods Enzymol.90,P49,1982)によって測定することができる。
3)グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼをコードする遺伝子(gapA)
「gapA」とは、D−グリセルアルデヒド−3−リン酸へリン酸を転移させ、1,3−ビスホスホグリセリン酸を生成する反応を可逆的に触媒する活性(EC:1.2.1.12:以下、GAPDH活性という)を有する解糖系の酵素であるタンパク質をコードする遺伝子を意味する。GAPDH活性は、例えば、Byersらの方法(Methods
Enzymol.89,P326,1982)によって測定することができる。
4)フマレートヒドラターゼをコードする遺伝子(fumC)
「fumC」とは、フマル酸からリンゴ酸への水添反応を可逆的に触媒する活性(EC:4.2.1.2:以下、FH活性という)を有するTCA回路の酵素であるタンパク質をコードする遺伝子を意味する。FH活性は、例えば、Gendaらの方法(Biosci.Biotechnol.Biochem.70,P1102,2006)によって測定することができる。
5)ホスホトランスフェラーゼシステム(PTS)を構成するタンパク質をコードする遺伝子
本発明におけるPTSを構成するタンパク質をコードする遺伝子は、特に限定されないが、具体的にはptsI,ptsH,ptsG,ptsS,ptsFなどが挙げられ、好ましくは、ptsI,ptsH,ptsG、より好ましくはptsIが挙げられる。
「ptsI」とは、ホスホエノールピルビン酸のリン酸基をリン酸輸送タンパク質であるHPrへ転移させる活性(EC:2.7.3.9:以下、PtsI活性という)を有するPTSを構成するタンパク質(PTSIともいう)をコードする遺伝子を意味する。PTSI活性は、例えば、Jafforらの方法(J.Bacteriol.131,P988,1977)によって測定することができる。
「ptsH」とは、HPrのリン酸基をヘキソーストランスポーターやスクローストランスポーターへ転移させる活性を有するPTSを構成するタンパク質(PTSHともいう)をコードする遺伝子を意味する。PTSH活性は、公知の一般的な方法により測定することができる。
「ptsG」とは、PTSを介してグルコースを細胞質内へ輸送する活性(EC:2.7.1.69:以下、PTSG活性という)を有するPTSを構成するタンパク質(PTSGともいう)をコードする遺伝子を意味する。PTSG活性は、J.Bacteriol.1989 Jan;171(1):263−71に記載の方法により測定することができる。
「ptsS」とは、PTSを介してスクロースを細胞質内へ輸送する活性(EC:2.7.1.69:以下、PTSS活性という)を有するPTSを構成するタンパク質(PTSSともいう)をコードする遺伝子を意味する。PTSS活性は、J.Bacteriol.1989 Jan;171(1):263−71に記載の方法により測定することが
できる。
「ptsF」とは、PTSを介してフルクトースを細胞質内へ輸送する活性(EC:2.7.1.69:以下、PTSF活性という)を有するPTSを構成するタンパク質(PTSFともいう)をコードする遺伝子を意味する。PTSF活性は、J.Bacteriol.1989 Jan;171(1):263−71に記載の方法により測定することができる。
6)酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子
本発明における酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子は、特に限定されないが、具体的には、sigH,sigM,whcE,trxA,trxBなどが挙げられ、より好ましくは、whcE,trxBが挙げられる。
「sigH」とは、「Journal of biotechnology 154.
2(2011):101−113」に記載されている通り、微生物における転写を制御するシグマ因子であり、GeneBankのアクセッション番号NC_003450.3の配列中にNcgl0733の番号で登録されている遺伝子またはホモログ遺伝子である。
「sigM」とは、「Journal of biotechnology 154.
2(2011):101−113」に記載されている通り、微生物における転写を制御するシグマ因子であり、GeneBankのアクセッション番号NC_003450.3の配列中にNcgl2983の番号で登録されている遺伝子またはホモログ遺伝子である。
「whcE」とは、「Biochemical and biophysical research communications 337.3(2005):757−7
64」に記載されている通り、微生物の熱ストレスや酸化ストレス条件下での生存に関係するタンパク質をコードする遺伝子であり、GeneBankのアクセッション番号NC_003450.3の配列中にNcgl0734の番号で登録されている遺伝子またはホモログ遺伝子である。
「trxA」とは、チオール基を介した生体内における主要な抗酸化活性を有するタンパク質であるチオレドキシン(TRXAともいう)をコードする遺伝子を意味する。TRXA活性は、公知の一般的な方法により測定することができる。
「trxB」とは、チオレドキシンを還元する活性(EC:1.8.1.9:以下、TRXB活性という)を有するタンパク質であるチオレドキシンレダクターゼ(TRXB)をコードする遺伝子を意味する。TRXB活性は、Pigietらの方法(J.Biol.Chem.252,P6367,1977)によって測定することができる。
「前記遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの発現が増強するように改変する」とは、野生株などの非改変株と比較して、前記遺伝子の発現量が増加したことを意味する。前記遺伝子の発現量は、非改変株と比較して、単位菌体重量当たり1.5倍以上増強されていることが好ましく、2倍以上増強されていることがより好ましい。
また、野生株などの非改変株と比較して、前記遺伝子から発現される酵素の活性が増強した場合や通常の培養条件、例えば、糖類を主たる炭素源とする培養条件で培養した時と比較してこれらの酵素の活性が増強した場合も含む。前記タンパク質の活性は、非改変株または通常の培養条件と比較して、単位菌体重量当たり、1.5倍以上増強されていることが好ましく、2倍以上増強されていることがより好ましい。
前記遺伝子の発現が増強されたことは、ノーザンハイブリダイゼーションやRT−PCRなどによってmRNAの量を測定することなどによって確認することができる。
(本発明の微生物の作製方法)
前記遺伝子の発現を増強した株は、親株をN−メチル−N‘−ニトローN−ニトロソグアニジン(NTG)や亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤による処理やUV
照射等によって、前記遺伝子の発現が増強した株を選択することによって得ることができる。
また、前記遺伝子を用いて改変しても良い。具体的には、染色体上の前記遺伝子を増幅したり、前記遺伝子におけるプロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。
前記遺伝子を用いて、それぞれの発現もしくは活性が増強するように改変する場合、用いることのできる遺伝子は特に限定されないが、例えば、
pgk遺伝子は配列番号1の塩基番号1〜1218の塩基配列、
pfk遺伝子は配列番号2の塩基番号1〜1041の塩基配列、
gapA遺伝子は配列番号3の塩基番号1〜1005の塩基配列、
fumC遺伝子は配列番号4の塩基番号1〜1410の塩基配列、
ptsI遺伝子は配列番号5の塩基番号1〜1707の塩基配列、
ptsH遺伝子は配列番号6の塩基番号1〜270の塩基配列、
ptsG遺伝子は配列番号7の塩基番号1〜2052の塩基配列、
ptsS遺伝子は配列番号8の塩基番号1〜1986の塩基配列、
ptsF遺伝子は配列番号9の塩基番号1〜2067の塩基配列、
sigH遺伝子は配列番号10の塩基番号1〜621の塩基配列、
sigM遺伝子は配列番号11の塩基番号1〜606の塩基配列、
whcE遺伝子は配列番号12の塩基番号1〜270の塩基配列、
trxA遺伝子は配列番号13の塩基番号1〜324の塩基配列、
trxB遺伝子は配列番号14の塩基番号1〜954の塩基配列、
に示す塩基配列を有するコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株由来の遺伝子を挙げることができる。
また、これらの遺伝子は、上記塩基配列を有するDNAとストリンジェントな条件でハイブリダイズするDNA、または上記塩基は入れると90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有するDNAのようなホモログであっても良い。ここで、ストリンジェントな条件としては、通常のサザンハイブリダイゼーションの洗いの条件である60℃、1×SSC、0.1%SDS、好ましくは、0.1×SSC、0.1%SDSに相当する塩濃度でハイブリダイズする条件が挙げられる。
また、
pgk遺伝子は配列番号1のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PGK活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
pfk遺伝子は配列番号2のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PFK活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
gapA遺伝子は配列番号3のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、GAPDH活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
fumC遺伝子は配列番号4のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、FH活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
ptsI遺伝子は配列番号5のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PTSI活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
ptsH遺伝子は配列番号6のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、
ptsG遺伝子は配列番号7のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PTSG活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
ptsS遺伝子は配列番号8のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PTSS活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
ptsF遺伝子は配列番号9のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、PTSF活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良く、
sigH遺伝子は配列番号10のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、
sigM 遺伝子は配列番号11のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、
whcE遺伝子は配列番号12のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、
trxA遺伝子は配列番号13のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、
trxB遺伝子は配列番号14のアミノ酸配列と90%以上、好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上の相同性を有し、TRXB活性を有するタンパク質をコードするDNAであっても良い。
また、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032以外の細菌、または、他の微生物または動植物由来の前記遺伝子を使用することもできる。微生物または動植物由来の前記遺伝子は、既にその塩基配列が決定されている遺伝子、ホモロジーなどに基づいて、それぞれの活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を微生物、動植物等の染色体より単離し、塩基配列を決定したもの等を使用することができる。また、塩基配列が決定された後には、その配列に従って合成した遺伝子を使用することもできる。これらはハイブリダイゼーション法やPCR法によりそのプロモーターおよびORF部分を含む領域を増幅することによって、取得することができる。
前記1〜6)の遺伝子の発現を高めるためには、例えば、上記のようなDNAを宿主微生物で機能しうるプラスミドに発現可能に組み込み、宿主微生物に導入すればよい。なお、前記のそれぞれの遺伝子は、別々のプラスミドを用いて導入しても良いし、同一プラスミドに両遺伝子を搭載して導入しても良い。
前記1〜6)の遺伝子をプラスミドに組み込む遺伝子発現カセットは、例えば以下の方法で構築しえる。遺伝子発現カセットは、その遺伝子の発現を調節するオペレーター、プロモーター、ターミネーター、エンハンサーなどのいわゆる調節因子を含み得る。プロモーターまたはターミネーターは、発現させる遺伝子自身のものであっても、他の遺伝子由来のものであっても良い。プロモーターおよびターミネーターの選択は、当業者によって適宜選択され得る。例えば、プロモーターとしてはHCE(high−level constitutive expression)プロモーター、cspBプロモーター、tacプロモーター、lacプロモーターなど、ターミネーターとしては、rrnBT1T2ターミネーター、lacターミネーターが挙げられる。
発現カセットは、必要に応じて、更なる調節因子(例えばオペレーターおよびエンハンサー)などをさらに含み得る。オペレーター、エンハンサーなどの発現調節因子についても当業者によって適宜選択されえる。発現カセットは、必要に応じてリンカーも含み得る。
各種塩基配列を含むDNAの合成および連結は、当業者が通常用い得る技術で行われ得る。
前記1〜6)の遺伝子、または該遺伝子を含む発現カセットは、プラスミドの形態のベクターに挿入され得る。DNAの取得が簡易化の点から、コリネ型細菌と大腸菌とのシャトルベクターであることが好ましい。必要に応じて、ベクターは、上述したような調節配列を含み得る。ベクターは例えば、コリネ型細菌および大腸菌の複製開始点および選択マーカーなどを有しえる。プラスミドベクターの例としては、Applied Microbiology and Biotechnology 77,2007,P533−541に記載のpCHなどが挙げられる。pCHは、コリネバクテリウムと大腸菌のシャトルベクターであり、その模式図を図1に示す。
図1の記号は以下のとおりである。「HCE promoter」HCEプロモーター;「rrnBT1T2 terminator」rrnBT1T2ターミネーター;「Km」カナマイシン耐性マーカー;「Corynebacterium repA」コリネバクテリウム複製起点;「E.coli ori」大腸菌複製起点;「ORF4」および「ORF5」は共に、pCHの出発プラスミドであるコリネバクテリウムプラスミドpBL1の複製起点repAの近傍に位置する機能未知ポリペプチドをコードするオープンリディングフレームである。pCHでは、HCEプロモーターとrrnBT1T2ターミネーターとの間に前記1〜6)の遺伝子が挿入され得る。
本発明における、遺伝子の「導入」とは、細胞の中に遺伝子またはDNAを導入するだけでなく、発現させることも意味する。「形質転換」は、細胞の中に遺伝子またはDNAを導入して発現させることにより宿主の遺伝的形質を変えること、またはその操作をいう。遺伝子または、DNAの導入、または形質転換のために、当業者が通常用いる手法が用いられ得、コリネバクテリウムに関しては、例えば、エレクトロポレーション法(電気穿孔法)が用いられ得る。導入されるDNAは、プラスミドの形態で存在しても良く、あるいは宿主の遺伝子に挿入して、または宿主の遺伝子と相同組換えを起こして染色体に取り込まれても良い。
また、前記1〜6)の遺伝子の増強は、公知の相同組換え法によって染色体上で前記遺伝子を多コピー化させることによって行うこともできる。
以上、コリネ型細菌を用いる例を述べたが、他の細菌を用いる場合も同様の方法によって、前記1〜6)の遺伝子の発現増強を達成することができる。
(有機酸)
本発明の微生物が生産する有機酸としては、微生物が培地中に生成蓄積することができる有機酸であれば特に限定されないが、具体的には、酢酸、酪酸、グリコール酸、乳酸、3−ヒドロキシプロピオン酸、ピルビン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、シス−アコニット酸、クエン酸、イソクエン酸、2−オキソグルタル酸、2−オキソイソ吉草酸、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、レブリン酸、キナ酸、シキミ酸、アクリル酸、メタクリル等のカルボン酸類;アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、アルギニン、メチオニン、ヒスチジン、システイン、セリン、トレオニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、グルタミン、アスパラギン、フェニルアラニン、チロシン、プロリン、トリプトファン等のアミノ酸類;安息香酸、4−ヒドロキシ安息香酸、プロトカテク酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族カルボン酸類;イノシン酸、グアニル酸等のヌクレオチド等が挙げられる。
これらの中でも、カルボン酸およびアミノ酸が好ましく、カルボン酸がより好ましい。カルボン酸の中でも本発明の効果が顕著に見られることから、乳酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、および酢酸のいずれかであることが特に好ましい。
(微生物)
本発明で用いる微生物は、目的とする有機酸を生産する能力を有する微生物であれば特に限定されないが、コリネ型細菌、大腸菌、アナエロビオスピリラム(Anaerobi
ospirillum)属細菌、アクチノバチルス(Actinobacillus)属細菌、マンヘミア(Mannheimia)属細菌、バスフィア(Basfia)属細菌、ザイモモナス(Zymomonas)属細菌、ザイモバクター(Zymobacter)属細菌、糸状菌、および酵母菌からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、より好ましくはコリネ型細菌、大腸菌、酵母菌であり、特に好ましくはコリネ型細菌である。
上記コリネ型細菌は、これに分類されるものであれば特に制限されないが、コリネバクテリウム属に属する細菌、ブレビバクテリウム属に属する細菌、アースロバクター属に属する細菌などが挙げられ、このうち好ましくは、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属に属するものが挙げられ、このうち好ましくは、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム属に属するものが挙げられ、更に好ましくは、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)、ブレビバクテリウム・フラバム(Brevibacterium flavum)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネス(Brevibacterium ammoniagenes)またはブレビバクテリウム・ラクトファーメンタム(Brevibacterium lactofermentum)に分類される細菌である。
本発明で使用可能なコリネ型細菌の特に好ましい具体例としては、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233(FERM BP−1497)、同MJ−233 AB−41(FERM BP−1498)、ブレビバクテリウム・アンモニアゲネスATCC6872、およびブレビバクテリウム・ラクトファーメンタムATCC13869等が挙げられる。なお、ブレビバクテリウム・フラバムは、現在、コリネバクテリウム・グルタミカムに分類される場合もあることから(Lielbl W,Ehrmann M,Ludwig W,Schleifer KH,Int J Syst Bacteriol.,1991,Vol.41,p255−260)、本発明においては、ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233株は、コリネバクテリウム・グルタミカムMJ−233株と同一の株とする。
上記ブレビバクテリウム・フラバムMJ−233は、1975年4月28日に通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所(現独立行政法人 産業技術総合研究所 特許生物寄託センター)(〒305−8566 日本国茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)に受託番号FERM P−3068として寄託され、1981年5月1日にブダペスト条約に基づく国際寄託に移管され、FERM BP−1497の受託番号で寄託されている。
本発明で使用可能な大腸菌としては、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)等が挙げられる。また、本発明で使用可能なアナエロビオスピリラム(Anaerobiospirillum)属細菌としては、アナエロビオスピリラム・サクシニシプロデュセン(Anaerobiospirillumsucciniciproducens)等が挙げられる
また、本発明に使用可能なアクチノバチルス(Actinobacillus)属細菌としては、アクチノバチルス・サクシノジェネス(Actinobacillus succinogenes)等が挙げられる。また本発明に使用可能なマンヘミア(Mannheimia)属細菌としては、バスフィア・サクシニシプロデュセン(Mannheimia succiniciproducens)等が挙げられる。
また本発明で使用可能なバスフィア(Basfia)属細菌としては、バスフィア・サクシニシプロデュセン(Basfia succiniciproducens)等が挙
げられる。また、本発明で使用可能なザイモモナス(Zymomonas)属細菌としては、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)等が挙げられる。また、本発明で使用可能なザイモバクター(Zymobacter)属細菌としては、ザイモバクター・パルメ(Zymobacter palmae)等が挙げられる。
また本発明で使用可能な糸状菌としては、Aspergillus属、Penicillium属、Rhizopus属等が挙げられる。このうち、Aspergillus属では、アスペルギルス・ニガー(Aspergillusniger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)等が挙げられ、Penicillium属では、ペニシリウム・クリソゲナム(Penicillium chrysogenum)、ペニシリウム・シンプリシシマム(Penicillium simplicissimum)等が挙げられる。また、Rhizopus属では、リゾパス・オリゼー(Rhizopus oryzae)等が挙げられる。
また、本発明で使用可能な酵母菌としては、サッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)、カンジダ属(Candida)、ピキア属(Pichia)、クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、チゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)が挙げられる。
上記サッカロミセス属(Saccharomyces)としては、サッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミセス・ウバラム(Saccharomyces uvarum)、サッカロミセス・バイアヌス(Saccharomyces bayanus)等が挙げられる。また、上記シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)としては、シゾサッカロミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)等が挙げられる。また、上記カンジダ属(Candida)としては、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・ソノレンシス(Candida sonorensis)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)等が挙げられる。また、上記ピキア属(Pichia)としては、ピキア・パストリス(Pichia pastoris)、ピキア・スティピティス(Pichia stipitis)等が挙げられる。
また上記クルイウェロマイセス属(Kluyveromyces)としては、クルイウェロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)、クルイウェロマイセス・マルキシアヌス(Kluyveromyces marxianus)、クルイウェロマイセス・サーモトレランス(Kluyveromyces thermotolerans)等が挙げられる。また上記ヤロウィア属(Yarrowia)としては、ヤロウィア・リポリティカ(Yarrowia lipolytica)等が挙げられる。また上記チゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)としては、チゴサッカロミセス・バイリイ(Zygosaccharomyces bailii)、チゴサッカロミセス・ロウキシ(Zygosaccharomyces rouxii)等が挙げられる。
本発明で用いる微生物は、本来的に有機酸生産能を有する微生物であっても、育種により有機酸生産能を付与したものであってもよい。
例えば、上述した微生物にコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等のカルボン酸生産能を付与したい場合は、後述するようなラクテートデヒドロゲナーゼ活性を低減する改変、ピルビン酸カルボキシラーゼ活性を増強する改変などを必要に応じて行なう。
以下、製造の目的とする有機酸がカルボン酸である場合の本発明で用いる微生物につい
て具体的に説明する。
目的とする有機酸がカルボン酸である場合は、ラクテートデヒドロゲナーゼ(以下、LDHとも呼ぶ)活性が低減するように改変された微生物を用いることが好ましい。ここで、「LDH活性」とは、ピルビン酸を還元して乳酸を生成する反応を触媒する活性(EC:1.1.1.27)をいう。「LDH活性が低減された」とは、非改変株と比較してLDH活性が低下していることをいう。LDH活性は非改変株と比較して、単位菌体重量当たり30%以下に低下していることが好ましく、10%以下に低下していることがより好ましい。また、LDH活性は完全に消失していてもよい。LDH活性が低下したことは、公知の方法、例えばKanarekらの方法(Kanarek L,Hill RL,J
Biol Chem.,1964,Vol.239,p4202−4206)によりLDH活性を測定することによって確認することができる。
LDH活性が低減した株は、上述した微生物を親株として用い、N−メチル−N’−ニトローN−ニトロソグアニジン(NTG)や亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、LDH活性が低減した株を選択することによってそれぞれ得ることができる。 また、LDHをコードする遺伝子を用いて改変してもよい。具体的には、染色体上のldh遺伝子を破壊したり、プロモーターやシャインダルガルノ(SD)配列等の発現調節配列を改変したりすることなどによって達成される。
LDH活性が低減した株の具体的な作製方法としては、染色体への相同組換えによる方法(特開平11−206385号公報等参照)や、sacB遺伝子を用いる方法(Schafer A,Tauch A,Jager W,Kalinowski J,Thierbach G,Puhler A,Gene 1994 Vol.145(1)
,p69−73)等が挙げられる。
また、目的とする有機酸がカルボン酸である場合は、ピルビン酸カルボキシラーゼ(以下、PCとも呼ぶ)活性が増強するように改変された微生物であってもよい。ここで、「PC活性」とは、ピルビン酸をカルボキシル化してオキサロ酢酸を生成する反応を触媒する活性(EC:6.4.1.1)をいう。「PC活性が増強された」とは、非改変株と比較してPC活性が上昇していることをいう。PC活性は非改変株と比較して、単位菌体重量当たり1.5倍以上に増加していることが好ましく、3倍以上に増加していることがより好ましい。PC活性が増強されたことは、公知の方法、例えばFisherらの方法(Fisher SH,Magasanik B,J Bacteriol.,1984,Vol.158(1),p55−62)により、PC活性を測定することによって確認することができる。
PC活性が増強した株は、上述した微生物を親株として用い、N−メチル−N’−ニトローN−ニトロソグアニジン(NTG)や亜硝酸等の通常変異処理に用いられている変異剤によって処理し、PC活性が増強した株を選択することによってそれぞれ得ることができる。また、PCをコードする遺伝子を用いて改変してもよい。具体的には、pc遺伝子のコピー数を高めることによって達成でき、コピー数を高めることは、プラスミドを用いたり、公知の相同組換え法によって染色体上で多コピー化させたりすることなどによって達成できる。なお、PC活性の増強は、染色体上またはプラスミド上でpc遺伝子のプロモーターへの変異導入、より強力なプロモーターへの置換などによって高発現化させることによっても達成できる。
PC活性の増強に用いるpc遺伝子としては、PC活性を有するタンパク質をコードする限り特に限定されないが、例えば、コリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)由来の遺伝子を挙げることができる。
さらに、コリネ型細菌以外の細菌、または他の微生物、動植物由来のpc遺伝子を使用
することもできる。微生物または動植物由来のpc遺伝子は、既にその塩基配列が決定されている遺伝子、ホモロジー等に基づいてPC活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を微生物、動植物等の染色体より単離し、塩基配列を決定したものなどを使用することができる。また、塩基配列が決定された後には、その配列に従って合成した遺伝子を使用することもできる。これらはハイブリダイゼーション法やPCR法により、そのプロモーターおよびORF部分を含む領域を増幅することによって取得することができる。
上記のようにして単離されたPCをコードする遺伝子を公知の発現ベクターに発現可能に挿入することにより、PC発現ベクターが提供される。この発現ベクターで形質転換することにより、PC活性増強株を得ることができる。あるいは、相同組換えなどによって、宿主微生物の染色体DNAにPCをコードするDNAを発現可能に組み込むことによってもPC活性増強株を得ることができる。なお、形質転換、相同組換えは当業者に知られた通常の方法に従って行うことができる。
染色体上またはプラスミド上にPC遺伝子を導入する場合には、適当なプロモーターを該遺伝子の5’−側上流に、より好ましくはターミネーターを3’−側下流にそれぞれ組み込む。このプロモーターおよびターミネーターとしては、宿主として利用する微生物中において機能することが知られているプロモーターおよびターミネーターであれば特に限定されず、pc遺伝子自身のプロモーターおよびターミネーターであってもよいし、他のプロモーターおよびターミネーターに置換してもよい。これら各種微生物において利用可能なベクター、プロモーターおよびターミネーターなどに関しては、例えば「微生物学基礎講座8遺伝子工学・共立出版」などに詳細に記述されている。
なお、本発明に用いる微生物は、有機酸生産能を付与するための改変のうちの2種類以上の改変を組み合わせて得られる微生物であってもよい。複数の改変を行う場合、その順番は問わない。
<有機酸の製造方法>
本発明の製造方法は、本発明の微生物またはその処理物を水性媒体中で、糖類含有非可食原料に作用させることにより、有機酸を生産させる工程(以下、「発酵工程」という。)を含むが、前記発酵工程の後に、生産された有機酸を回収する工程(以下、「回収工程」という。)を有することが好ましい。
本発明の製造方法に本発明の微生物を用いるに当たっては、寒天培地等の固体培地で斜面培養したものを直接用いてもよいが、発酵工程に先立ち、必要に応じて上記微生物を予め液体培地で培養したものを用いてもよい。即ち、後述する種培養や本培養を行なうことで、本発明の微生物を予め増殖させた後に、発酵工程を行なうことができる。
なお、後述する種培養や本培養と、後述する発酵工程は、区別することなく、同時に行なうこともできる。また、種培養または本培養した微生物を反応液中で増殖させながら、糖類含有非可食原料と反応させることによって有機酸を生産させることもできる。
(種培養)
種培養は、本培養に供する前記微生物の菌体を調製するために行なうものである。種培養に用いる培地は、微生物の培養に用いられる通常の培地を用いることができるが、窒素源や無機塩などを含む培地であることが好ましい。ここで、窒素源としては、本微生物が資化して増殖できる窒素源であれば特に限定されないが、具体的には、アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、大豆加水分解物、カゼイン分解物、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの各種の有機、無機の窒素化合物等が挙げられる。無機塩としては各種リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の金属塩が用いられる。また、ビオチン、チアミン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加する。
種培養においては、必要に応じて、前記培地に炭素源を添加してもよい。種培養に用いる炭素源としては、前記微生物が資化して増殖し得るものであれば特に限定されないが、通常、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、スクロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられ、このうちグルコース、スクロース、またはフルクトースが好ましく、特にグルコースまたはスクロースが好ましい。これらの炭素源は、単独で添加してもよいし、組み合わせて添加してもよい。
種培養は、一般的な生育至適温度で行なうことが好ましい。一般的な生育至適温度とは、有機化合物の生産に用いられる条件において最も生育速度が速い温度のことを言う。具体的な培養温度としては、通常25℃〜40℃であり、30℃〜37℃が好ましい。コリネ型細菌の場合は、通常25℃〜35℃であり、28℃〜33℃がより好ましく、約30℃が特に好ましい。
種培養は、一般的な生育至適pHで行なうことが好ましい。一般的な生育至適pHとは、有機化合物の生産に用いられる条件において最も生育速度が速いpHのことを言う。具体的な培養pHとしては、通常pH4〜10であり、pH6〜8が好ましい。コリネ型細菌の場合は、通常pH6〜9であり、pH6.5〜8.5が好ましい。
また、種培養の培養時間は、一定量の菌体が得られる時間であれば特段の制限はないが、通常6時間以上96時間以下である。また、種培養においては、通気したり攪拌したりして、酸素を供給することが好ましい。
種培養後の菌体は、後述する本培養に用いることができるが、種培養については省略してもよく、寒天培地等の固体培地で斜面培養したものを直接本培養に用いてもよい。また、必要に応じて、種培養を何度か繰り返し行ってもよい。
(本培養)
本培養は、後述する有機酸生産反応に供する前記微生物菌体を調製するために行なうものであり、主として菌体量を増やすことを目的とする。上述の種培養を行う場合は、種培養により得られた菌体を用いて本培養を行う。
本培養に用いる培地は、微生物の培養に用いられる通常の培地を用いることができるが、窒素源や無機塩などを含む培地であることが好ましい。ここで、窒素源としては、本微生物が資化して増殖できる窒素源であれば特に限定されないが、具体的には、アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、大豆加水分解物、カゼイン分解物、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの各種の有機、無機の窒素化合物が挙げられる。無機塩としては各種リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の金属塩が用いられる。また、ビオチン、チアミン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加する。また、培養時の発泡を抑えるために、培地には市販の消泡剤を適量添加しておくことが好ましい。
また、本培養においては、前記培地に炭素源を添加することが好ましい。本培養に用いる炭素源としては、前記微生物が資化して増殖し得るものであれば特に限定されないが、通常、ガラクトース、ラクトース、グルコース、フルクトース、キシロース、アラビノース、スクロース、デンプン、セルロース等の炭水化物;グリセロール、マンニトール、キシリトール、リビトール等のポリアルコール類等の発酵性糖質が用いられ、このうちグルコース、スクロース、またはフルクトースが好ましく、特にグルコースまたはスクロース
が好ましい。
また、前記発酵性糖質を含有する澱粉糖化液、糖蜜なども使用され、前記発酵性糖質がサトウキビ、甜菜、サトウカエデ等の植物から搾取した糖液であるものが好ましい。
これらの炭素源は、単独で添加してもよいし、組み合わせて添加してもよい。
前記炭素源の使用濃度は特に限定されないが、増殖を阻害しない範囲で添加するのが有利であり、培養液に対して、通常0.1〜10%(W/V)、好ましくは0.5〜5%(W/V)の範囲内で用いることができる。また、増殖に伴う前記炭素源の減少にあわせ、炭素源を追加で添加してもよい。
また、本培養は、一般的な生育至適温度で行なうことが好ましい。具体的な培養温度としては、通常25℃〜40℃であり、30℃〜37℃が好ましい。コリネ型細菌の場合は、通常25℃〜35℃であり、28℃〜33℃がより好ましく、約30℃が特に好ましい。
また、本培養は、一般的な生育至適pHで行なうことが好ましい。具体的な培養pHとしては、通常pH4〜10であり、pH6〜8が好ましい。コリネ型細菌の場合は、通常pH6〜9であり、pH6.5〜8.5が好ましい。
また、本培養の培養時間は、一定量の菌体が得られる時間であれば特段の制限はないが、通常6時間以上96時間以下である。また、本培養においては、通気したり攪拌したりして、酸素を供給することが好ましい。
また、本培養においては、より有機酸の製造に適した菌体の調製方法として、特開2008−259451号公報に記載の炭素源の枯渇と充足を短時間で交互に繰り返すように培養を行う方法も用いることができる。
本培養後の菌体は、後述する有機酸生産反応に用いることができるが、培養液を直接用いてもよいし、遠心分離、膜分離等によって菌体を回収した後に用いてもよい。
<発酵工程>
発酵工程では、上述の有機酸生産能を有する微生物を水性媒体中、糖類含有非可食原料に作用させることにより、有機酸を生産させる。この発酵工程で起こる反応を、以下、「有機酸生産反応」という。
(水性媒体)
水性媒体とは、発酵工程における有機酸生産反応を行う水溶液のことであり、後述するように窒素源、無機塩などを含む水溶液であることが好ましい。当該水性媒体中で、前記微生物またはその処理物と糖類含有非可食原料とを反応させることにより有機酸生産反応を行うことができる。本明細書において、水性媒体とは、反応容器に含まれる液体全てを意味する。
水性媒体としては、例えば、微生物を培養するための培地であってもよいし、リン酸緩衝液等の緩衝液であってもよいが、反応液は窒素源や無機塩などを含む水溶液であることが好ましい。ここで、窒素源としては、本微生物が資化して有機酸を生成させうる窒素源であれば特に限定されないが、具体的には、アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、大豆加水分解物、カゼイン分解物、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの各種の有機、無機の窒素化合物が挙げられる。無機塩としては各種リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の金属塩が用いられる。また、ビオチン、チアミン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加する。また、反応時の発泡を抑えるために、反応液には市販の消泡剤を適量添加しておくことが好ましい。
また、水性媒体には、例えば上述した糖類含有非可食原料、窒素源、無機塩などのほかに、炭酸イオン、重炭酸イオンまたは二酸化炭素ガス(炭酸ガス)を含有させることが好ましい。炭酸イオンまたは重炭酸イオンは、中和剤としても用いることのできる炭酸マグネシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムなどから供給されるが、必要に応じて、炭酸若しくは重炭酸またはこれらの塩或いは二酸化炭素ガスから供給することもできる。炭酸または重炭酸の塩の具体例としては、例えば炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸アンモニウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム等が挙げられる。
水性媒体中における炭酸イオンまたは重炭酸イオンの濃度は、通常1mM以上、好ましくは2mM以上、さらに好ましくは3mM以上であり、また、通常500mM以下、好ましくは300mM以下、さらに好ましくは200mM以下である。二酸化炭素ガスを含有させる場合は、水性媒体1L当たり通常50mg以上、好ましくは100mg以上、さらに好ましくは150mg以上の二酸化炭素ガスを含有させることが好ましく、一方、水性媒体1L当たり通常25g以下、好ましくは15g以下、さらに好ましくは10g以下の二酸化炭素ガスを含有させることが好ましい。
有機酸生産反応中の水性媒体のpHは、用いる上記微生物の種類に応じて、その活性が最も有効に発揮される範囲に調整されることが好ましい。具体的には、コリネ型細菌を用いる場合には、反応液のpHを、通常5.5以上、好ましくは6以上、より好ましくは6.6以上、さらに好ましくは7.1以上であり、一方、通常10以下、好ましくは9.5以下、より好ましくは9.0以下とすることが好ましい。
水性媒体のpHは、生産される有機酸が酸性物質である場合には、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸マグネシウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、アンモニア(水酸化アンモニウム)、またはそれらの混合物等を添加することによって調整することができる。生産される有機酸が塩基性物質である場合には、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、それらの混合物等を添加すること、または二酸化炭素ガスを供給することによって調整することができる。
(糖類含有非可食原料)
本発明で用いる糖類含有非可食原料の種類および好ましい糖類含有非可食原料の例は上述した通りである。
前記糖類含有非可食原料の使用濃度は特に限定されないが、有機酸の生成を阻害しない範囲で可能な限り高くすると生産性の点で有利であり、好ましい。水性媒体中に含まれる糖類含有非可食原料の濃度は、そこに含まれる糖類の濃度で、水性媒体に対して、通常5%(W/V)以上、好ましくは10%(W/V)以上であり、一方、通常30%(W/V)以下、好ましくは20%(W/V)以下である。また、有機酸の生産反応の進行に伴う前記糖類含有非可食原料の減少にあわせて、糖類含有非可食原料の追加で添加してもよい。
(その他の条件)
有機酸生産反応に用いる微生物の菌体量は、特に限定されないが、湿菌体重量として、通常1g/L以上、好ましくは10g/L以上、より好ましくは20g/L以上であり、一方、通常700g/L以下、好ましくは500g/L以下、さらに好ましくは400g/L以下である。
有機酸生産反応の時間は、特に限定はないが、通常1時間以上、好ましくは3時間以上であり、一方、通常168時間以下、好ましくは72時間以下である。
有機酸生産反応の温度は、用いる前記微生物の生育至適温度と同じ温度で行ってもよいが、生育至適温度より高い温度で行うことが有利であり、通常2℃〜20℃、好ましくは7℃〜15℃高い温度で行う。具体的には、コリネ型細菌の場合には、通常35℃以上、好ましくは37℃以上、さらに好ましくは39℃以上であり、一方、通常45℃以下、好ましくは43℃以下、さらに好ましくは41℃以下である。有機酸生産反応の間、常に35℃〜45℃の範囲とする必要はないが、全反応時間の50%以上、好ましくは80%以上の時間において、上記温度範囲にすることが望ましい。
有機酸生成反応は、通気、攪拌して行ってもよいが、通気せず、酸素を供給しない嫌気的雰囲気下で行なうことが好ましい。ここでいう嫌気的雰囲気下は、例えば容器を密閉して無通気で反応させる、窒素ガス等の不活性ガスを供給して反応させる、二酸化炭素ガス含有の不活性ガスを通気する等の方法によって得ることができる。
本発明の有機酸の製造方法は、特段の制限はないが、回分反応、半回分反応もしくは連続反応のいずれにも適用することができる。
<回収工程>
本発明は、上記の有機酸生成反応により有機酸が生成し、反応液中に蓄積させることができる。蓄積させた有機化合物は、常法に従って、水性媒体より回収する工程をさらに含んでいてもよい。具体的には、例えば、蓄積させた有機酸がコハク酸、フマル酸、リンゴ酸等のカルボン酸である場合には、遠心分離、ろ過等により菌体等の固形物を除去した後、イオン交換樹脂等で脱塩し、その溶液から結晶化(晶析)あるいはカラムクロマトグラフィーにより精製するなどして、カルボン酸を回収することができる。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により制限されるものではない。
LCの分析方法を以下に示す。
(液相クロマトグラフ(LC)分析1)
オートサンプラー:島津製作所 SIL−20AC HT
ポンプ:島津製作所製 LC−20AB
カラムオーブン:島津製作所製 CTO−20AC
PDA検出器:島津製作所製 SPD−M20A(UV210nm)
RI検出器:島津製作所製 RID−10A
カラム:信和化工社製 ULTRON PS−80H 8.0ID×300mm
温度:60℃
移動相:0.18質量%過塩素酸溶液 1.0mL/分
検出方法:UV(210nm),RI
注入量:10μL
本実施例における、乳酸、コハク酸は前記LC分析1により定量した。
(液相クロマトグラフ(LC)分析2)
オートサンプラー:島津製作所 SIL−20AC HT
ポンプ:島津製作所製 LC−20AB
カラムオーブン:島津製作所製 CTO−20AC
RI検出器:島津製作所製 RID−10A
カラム:島津製作所製 Shim−Pack SPR−Pb 7.8ID×250mm
温度:80℃
移動相:超純水 0.6mL/分
検出方法:RI
注入量:10μL
本実施例における、グルコース、キシロースは、前記LC分析2により定量した。
コリネバクテリウム・グルタミカムを用いた全ての形質転換は、エレクトロポレーション法(Res.Microbiol.Vol.144,p181−185,1993)によって行った。
[製造例1]
<遺伝子増強プラスミドの構築>
(A)コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株ゲノムDNAの抽出
A培地[尿素2g、(NH4)2SO4 7g、KH2PO4 0.5g、KH2PO4 0.5g、MgSO4・7H2O 0.5g、FeSO4・7H2O 6mg、MnSO4・4−5H2O 6mg、ビオチン 200μg、チアミン 100μg、イーストエキストラクト 1g、カザミノ酸 1g、グルコース 20g、蒸留水1Lに溶解]10mLに、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株を対数増殖期まで培養し、遠心分離(10000g、5分)により菌体を集めた。得られた菌体を10mg/mlの濃度にリゾチームを含む10mM NaCl/20mMトリス緩衝液(pH8.0)/1mM EDTA・2Na溶液0.15mLに懸濁した。次に、上記懸濁液にプロテナーゼKを、最終濃度が100μg/mLになるように添加し、37℃で1時間保温した。さらにドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度が0.5%になるように添加し、50℃で6時間保温して溶菌した。この溶菌液に、等量のフェノール/クロロフォルム溶液を添加し、室温で10分間ゆるやかに振盪した後、全量を遠心分離(5,000×g、2分)により回収した沈殿物を70%エタノールで洗浄した後、風乾した。得られたDNAに10mMトリス緩衝液(pH7.5)−1mM EDTA・2Na溶液5mLを加え、4℃で一晩静置し、以後のPCRの鋳型DNAに使用した。
(B)遺伝子(pgk,pfk,gapA,fumC,ptsI,ptsH,ptsG,sigH,whcE,trxB)断片の調整
pgk,pfk,gapA,fumC,ptsI,ptsH,ptsG,sigH,whcE,およびtrxBの各遺伝子断片の取得は、製造例1(A)の方法で抽出したDNAを鋳型とし、全ゲノム配列が報告されているコリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株の該遺伝子の配列(GenBank Database Accession No.BA000036)を基に設計した合成DNA(配列番号15から配列番号34)を用いたPCRによって行った。
反応液組成:鋳型DNA1ul、PrimeSTAR(R) HS DNA Polymerase(タカラバイオ株式会社製)0.5ul、5×PrimeSTAR Buffer10ul、2.5mMdNTP Mixture4μl、2μM 各々プライマー
5μl、滅菌水24μl(これらを混合して50μlとした。)、反応温度条件:TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice Touch(型式TP350)を用い、98℃で10秒、55℃で5秒、72℃で1分/1kbからなるサイクルを30回繰り返した。ただし、1サイクル目の98℃での保温は3分とした。なお、配列番号15〜34のプライマーを表1で示す組合せで、各遺伝子のクローニングに使用した。
PCRの増幅産物の確認は、1%アガロース(アガロース−RE:ナカライテスク株式会社)ゲル電気泳動により分離後、臭化エチジウム染色により可視化することにより行い、表1の目的の塩基長の断片を検出した。ゲルからの目的断片の回収はWizard(R) SV Gel and PCR Clean−UP System(Promega製)を用いて行った。
プライマー対は、フォワード(Fw)プライマーについて、付加配列−制限酵素部位−開始コドン―各遺伝子の5’末端配列、そしてリバース(Rv)プライマーについて、付加配列−制限酵素部位−終止コドン−各遺伝子の3’末端配列とした。
(C)コリネ型細菌発現プラスミドの構築
製造例1(B)で調整したそれぞれの遺伝子断片を、大腸菌−コリネバクテリウムシャトルプラスミドpCH(その構成は図1に示す通りである)のHCEプロモーターの下流にある制限酵素部位を用いて、HCEプロモーター下に組み込んだ。
ptsI断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/ptsI、
fumC断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/fumC、
pgk断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/pgk、
whcE断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/whcE、
trxB断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/trxB、
gapA断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/gapA、
ptsH断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/ptsH、
ptsG断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/ptsG、
sigH断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/sigH、
pfk断片をpCHへ組み込んだプラスミドをpCH/pfk
と命名した。これらのプラスミドの模式図を図2〜11に示す。
[製造例2]
<形質転換コリネバクテリウム株の作製>
製造例1(C)で作製したプラスミドを用いて、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032株の形質転換を行った。コントロールとして、プラスミドpCHを用いた。得られた形質転換体を25μg/mlカナマイシンを含むLBG寒天培地〔トリプトン 10g、イーストエキストラクト 5g、NaCl 5g、グルコース 20g、及び寒天 15gを蒸留水1Lに溶解〕に塗抹した。この培地上に生育した株をそれぞれ、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH(コントロール)、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/ptsI、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/fumC、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/pgk、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/whcE、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/trxB、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/gapA、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/ptsH、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/ptsG、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/sigH、
コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCH/pfk、
と命名した。
[製造例3]
<バガス糖化物の調整>
実施例および比較例で用いる糖類含有非可食原料として、バガス糖化物を以下の方法で調整した。
まずバガスに硫酸及び水を加えて混合し、バガス混合物を得た。硫酸の添加量は、バガスの乾燥質量に対し2質量%であり、水の添加量は、前記バガス混合物の合計質量に対する含水率が60質量%となるように調整した。次にドラムミキサー(杉山重工株式会社製)にて前記バガス混合物を20分間混合、撹拌の後に取り出し、希硫酸処理混合物を得た。前記希硫酸処理混合物を加水分解装置(株式会社ヤスジマ製)にて、上記を投入し、180℃で15分間煮沸処理した。得られた蒸煮処理物の含水率は64.6質量%であった。前記蒸煮処理物を乾燥質量200g/Lとなるように糖化装置に仕込み、10N−NaOH水溶液を添加し、pHを6.0に調整した。そこに糖化酵素として15FPU分のCTec2(novozyme社製)を添加し、温度50℃、撹拌速度200rpmにて72時間撹拌しながら、加水分解を行った。その後、遠心分離(10000g、10分間)を行い、未分解セルロース及びリグニンを分解除去し、バガス糖化物を作製した。得られたバガス糖化物の組成を表2に示した。
[比較例1]
<形質転換コリネバクテリウム株による乳酸生産試験>
(A)種培養
A培地1,000mLを、121℃、20分間で加熱滅菌し、室温まで冷やした後、試験管に10mL入れ、あらかじめ滅菌した50重量%グルコース水溶液を800μl添加した。有機酸生産能を有する微生物として、製造例2で作製した株である、コリネバクテリウム・グルタミカムATCC13032/pCHを接種して、30℃、180rpmで24時間培養した。
(B)本培養
2Lの三角フラスコに500mLのA培地を入れ、あらかじめ滅菌した50%グルコース水溶液を40mL添加した後、上記(A)の種培養で得られた培養液を、O.D.(660nm)が0.02となるように接種し、30℃、180rpmで、16時間培養した。
(C)発酵工程(乳酸生産反応)
上記(B)の本培養で得られた培養液を9260×g、7分間の遠心分離により集菌した。集菌した菌体は、菌体懸濁培地[硫酸マグネシウム・7水和物:400mg、硫酸第一鉄・7水和物:16mg、硫酸マンガン・5水和物:16mg、リン酸二水素アンモニウム168.8mg、リン酸水素二アンモニウム151.6mg、塩化カリウム298.2mg、D−ビオチン160μg、塩酸チアミン160μgを蒸留水1Lに溶解]でO.D.(600nm)が20になるように懸濁して菌体溶液を調製した。前記懸濁液を100mlに分注し、遠心分離(4℃、9260×g、10min)により集菌した。得られた菌体を少量のA培地で懸濁後、150mL反応器に反応炭素源として基質溶液B(前記菌体懸濁培地と同じ濃度になるように各成分をバガス糖化物原液100mlに溶解)、または基質溶液M(前記菌体懸濁培地と同じ濃度になるように各成分を溶解し、かつ、前記バガス糖化物原液と同じ濃度になるようにGlucoseとXyloseを溶解)と混合し、嫌気的雰囲気下において、35℃、撹拌条件200rpmで24時間反応させた。なお、中和剤[アンモニア水(28%):97g、炭酸水素アンモニウム:32g、蒸留水250mLに溶解]を加えることでpHは7.6に維持した。
その結果、24時間後の乳酸蓄積量を表3に示した。
[実施例1〜9]
表3に示す通り、有機酸生産能を有する微生物を製造例2で作製したそれぞれの菌株とし、(C)発酵工程における反応炭素源を選択した以外は、比較例1と同様にして乳酸生産を行った。
結果として、24時間後の乳酸蓄積量を表3に示した。
[比較例2、実施例10]
有機酸生産能を有する微生物を、表4に示す通り、製造例2で作製したそれぞれの菌株とし、(C)発酵工程における反応炭素源を選択し、かつ乳酸生産反応の時間を10時間とした以外は比較例1と同様にして乳酸生産を行った。
結果として、10時間後の乳酸蓄積量を表4に示した。
以上の通り、比較例1では糖類含有非可食原料である基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度が38.9g/Lになったのに対し、試薬糖原料である基質溶液Mを用いた時の乳酸の蓄積濃度は25.8g/Lと顕著に低下した。これは、糖類含有非可食原料として用いたバガス糖化物に含まれる発酵阻害物に起因する。一方で、実施例1〜9のptsI、
fumC、pgk、whcE、trxB、gapA、ptsH、ptsG、sigHの増強株において基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度は、比較例1の基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度に比べて、それぞれ、21.3%、16.7%、25.6%、16.3%、17.8%、8.5%、10.1%、9.3%、7.8%向上した。これは、上記の各遺伝子が増強されたことで、発酵阻害効果が低減されたからと考えられる。
また、比較例2では糖類含有非可食原料である基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度が24.2g/Lになったのに対し、試薬糖原料である基質溶液Mを用いた時の乳酸の蓄積濃度は18.7g/Lと顕著に低下した。これは、糖類含有非可食原料として用いたバガス糖化物に含まれる発酵阻害物に起因する。一方で、実施例10のpfkの増強株において基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度は、比較例2の基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度に比べて、9.1%向上した。これは、pfk遺伝子が増強されたことで、発酵阻害効果が低減されたからと考えられる。
<形質転換コリネバクテリウム株における各遺伝子発現の確認>
実施例1〜6の有機酸生産試験開始後6hの反応液を1mL採取し、遠心分離(4℃、10,000rpm、5min)により菌体を回収した。回収した菌体は、公知のRNA抽出法によりRNAを抽出し、cDNA化を行い、リアルタイム定量PCR法によって遺伝子発現量を確認した。結果は表5に示した。
実施例1〜6で用いた微生物における各遺伝子発現量は、非増強のBlankと比較して、それぞれ、92倍、29倍、34倍、4.2倍、3.4倍、44倍と有意に増強されていた。
[実施例11〜13、比較例3]
<形質転換コリネバクテリウム株によるコハク酸生産>
表6に示す通り、有機酸生産能を有する微生物を製造例2で作製したそれぞれの菌株とし、(C)発酵工程における反応炭素源を選択した、かつコハク酸生産反応の時間を6時間とした以外は、比較例1と同様にして乳酸生産を行った。
結果として、6時間後のコハク酸蓄積量を表6に示した。
以上の通り、比較例3では糖類含有非可食原料である基質溶液Bを用いた時のコハクの蓄積濃度が1.85g/Lになったのに対し、試薬糖原料である基質溶液Mを用いた時の乳酸の蓄積濃度は1.07g/Lと顕著に低下した。これは、糖類含有非可食原料として用いたバガス糖化物に含まれる発酵阻害物に起因する。一方で、実施例11〜13のfumC,pgk,whcEの増強株において基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度は、比較例2の基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度に比べて、それぞれ、37.4%、48.6%、29.0%向上した。これは、上記の各遺伝子が増強されたことで、発酵阻害効果が低減されたからと考えられる。
[実施例14、比較例4]
表7に示す通り、有機酸生産能を有する微生物を製造例2で作製したそれぞれの菌株とし、(C)発酵工程における反応炭素源を選択した、かつコハク酸生産反応の時間を10時間とした以外は、比較例1と同様にして乳酸生産を行った。
結果として、10間後のコハク酸蓄積量を表6に示した。
比較例4では糖類含有非可食原料である基質溶液Bを用いた時のコハクの蓄積濃度が3.28g/Lになったのに対し、試薬糖原料である基質溶液Mを用いた時の乳酸の蓄積濃度は2.31g/Lと顕著に低下した。これは、糖類含有非可食原料として用いたバガス糖化物に含まれる発酵阻害物に起因する。一方で、実施例14のpfkの増強株において基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度は、比較例4の基質溶液Bを用いた時の乳酸の蓄積濃度に比べて、20.8%向上した。これは、pfk遺伝子が増強されたことで、発酵阻害効果が低減されたからと考えられる。

Claims (11)

  1. 有機酸生産能を有する微生物を、水性媒体中で、糖類含有非可食原料 に作用させることにより有機酸を生産させる工程(以下、「発酵工程」という)を有する、有機酸の製造方法であって、
    該有機酸生産能を有する微生物として、ホスホグリセレートキナーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グリセルアルデヒド−3−フォスフェートデヒドロゲナーゼ、およびフマレートヒドラターゼをコードする遺伝子、ホスホトランスフェラーゼシステムを構成するタンパク質をコードする遺伝子、ならびに酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子からなる群より選択される少なくとも一つの遺伝子の発現が非改変株と比較して増強された微生物を用いることを特徴とする、有機酸の製造方法。
  2. 前記ホスホトランスフェラーゼシステムを構成するタンパク質をコードする遺伝子が、ptsI, ptsH、およびptsGからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の有機酸の製造方法。
  3. 前記酸化ストレス応答因子をコードする遺伝子が、トランスクリプショナルレギュレーターのwhcE、チオレドキシンレダクターゼのtrxB、およびシグマ因子のsigHからなる群より選択される少なくとも一つである、請求項1に記載の有機酸の製造方法。
  4. 前記糖類含有非可食原料が、リグノセルロース系バイオマスを糖化して得られる糖化物および/または廃糖蜜を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
  5. 前記糖類含有非可食原料が発酵阻害物質を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
  6. 前記糖化物が、発酵阻害物質を副生する糖化工程を経て生産される、請求項4に記載の有機酸の製造方法。
  7. 前記糖化工程が、酸分解法、水熱分解法、亜臨界・超臨界水中分解法、および酵素法のいずれかを含む、請求項6に記載の有機酸の製造方法。
  8. 前記有機酸が、乳酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、および酢酸のいずれかである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
  9. 前記水性媒体が、炭酸イオン、重炭酸イオンおよび二酸化炭素ガスからなる群から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
  10. 前記発酵工程を、嫌気的雰囲気下で行う、請求項1〜10のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
  11. 前記微生物が、コリネ型細菌、大腸菌、アナエロビオスピリラム(Anaerobiospirillum)属細菌、アクチノバチルス(Actinobacillus)属細菌、マンヘミア(Mannheimia)属細菌、バスフィア(Basfia)属細菌、ザイモモナス(Zymomonas)属細菌、ザイモバクター(Zymobacter)属細菌、糸状菌、および酵母菌からなる群より選ばれる少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の有機酸の製造方法。
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