JP2020000213A - ミオ−イノシトールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献2には、ハロゲン化ピルビン酸に耐性を有するキャンディダ・ボイディニィ変異株を用いてイノシトールを発酵生産したことが記載されている。
特許文献3には、サッカロマイセス・セレビシエ由来INO1遺伝子を導入し、INM2活性を有する大腸菌由来suhB遺伝子の発現を増強した大腸菌を用いてイノシトールを発酵生産したことが記載されている。
特許文献4には、内在性のINO1遺伝子を過剰発現させ、サッカロマイセス・セレビシエ由来のINM2遺伝子を導入したメタノール資化性酵母ピキア・パストリスを用いて、メタノールを原料としてミオ−イノシトールを発酵生産したことが記載されている。
なお、従来、酸性条件下でミオ−イノシトール発酵生産を行うことが好ましいことに言
及した例はない。
[1]ミオ−イノシトール生産能を有する耐酸性微生物を、有機原料を含有するpH4.9以下の水性媒体中で培養する工程、及び生成したミオ−イノシトールを回収する工程を含む、ミオ−イノシトールの製造方法。
[2]前記水性媒体がpH4.2以下である、[1]に記載の製造方法。
[3]前記水性媒体がpH3.5以下である、[1]に記載の製造方法。
[4]前記培養工程における前記水性媒体の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の50%以上である、[1]〜[3]に記載の製造方法。
[5]前記培養工程を行う培養容器内の圧力が0.02〜0.2MPaである、[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]前記回収工程において、前記水性媒体中を冷却することによりミオ−イノシトールを結晶化させ、該結晶を回収する、[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]前記回収工程において、エタノール存在下で冷却する、[6]に記載の製造方法。[8]前記回収工程において、水性媒体の冷却の前に、60〜80℃で1時間以上の加熱処理を行う工程、及び膜分離又は遠心分離により前記水性媒体から前記耐酸性微生物を分離する工程を含む、[6]又は[7]に記載の製造方法。
[9]前記有機原料が、グルコース、キシロース、スクロース、デンプン、廃糖蜜、グリセロール、リビトール、及びエリスリトールからなる群より選択される一種以上を含有する、[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]前記培養工程において水性媒体中の前記有機原料の濃度が10g/L以下に維持される、[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]前記耐酸性微生物が、ミオ−イノシトール−1−リン酸シンターゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変されたものである、[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]前記耐酸性微生物が、ミオ−イノシトール−リン酸ホスファターゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変されたものである、[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
[13]前記耐酸性微生物がサッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)、キャンディダ(Candida)属、ピキア属(Pichia)、クルイヴェロマイセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、及びチゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)からなる群より選択される一種である[1]〜[12]のいずれかに記載の製造方法。
[14]前記水性媒体を中和する工程を含まない、[1]〜[13]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の製造方法には、ミオ−イノシトール生産能を有する耐酸性微生物を用いる。
本発明では耐酸性微生物を用いることにより、低pH条件下でのミオ−イノシトール発酵が可能となり、その結果、副生物を抑制しながら、高収率かつ低コストでミオ−イノシトールを製造することができる。
ミオ−イノシトール生産能を有する微生物は、通常、ミオ−イノシトールの生合成に関与する酵素を、内在しているか組み換え等により付与されたものである。本発明に用いるミオ−イノシトール生産能を有する耐酸性微生物は、前述の耐酸性微生物を宿主として遺伝子工学的手法により作成することができる。
反応は、グルコースを出発原料として開始してもよいし、他の出発原料から適当な反応
で生成されたグルコースから開始してもよい。微生物が普遍的に有する代謝経路によりグルコースから変換されたグルコース−6−リン酸は、ミオ−イノシトール−1−リン酸シンターゼ(INO1)活性によりミオ−イノシトール−1−リン酸に変換される。次いで、ミオ−イノシトール−1−リン酸を基質として、ミオ−イノシトール−リン酸ホスファターゼ(INM)活性により、ミオ−イノシトールが生成する。
宿主微生物がこれらの酵素活性を有するタンパク質を内在していない場合は、これらのタンパク質を発現するように外来遺伝子を導入すればよい。なお、ここで、「内在していない」とは、前記酵素活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を有しない場合、該遺伝子にコードされるタンパク質を実質的に発現しない場合等をいう。また、宿主微生物に前記タンパク質が内在している場合であっても、非改変株と比較して増強するように、外来遺伝子導入や組み換え等により改変を行ってもよい。
なお、酵母には通常、INM活性を有するタンパク質、及びINO1活性を有するタンパク質は内在する。
INM活性を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、特に限定されないが、多くの公知の生物由来の当該遺伝子を用いることができる。例えば、GenBank Accession Nos.ZP_04619988、YP_001451848等が挙げられる。
配列番号2のアミノ酸配列を有するタンパク質は、INM2−2遺伝子がコードするタンパク質である。INM活性を担う遺伝子としてはINM1及びINM2が知られているが、本発明者らはキャンディダ・ボイディニィには2種類のINM2遺伝子(INM2−1及びINM2−2)が存することを見出し、さらに耐酸性微生物においてINM2−2遺伝子がコードするタンパク質の活性を増強すると、ミオ−イノシトール生産性が向上することを見出した。本発明の製造方法において、ミオ−イノシトール生産性向上のために、該タンパク質の活性を増強することが特に好ましい。
使用することもできる。これらはハイブリダイゼーション法やPCR法により、プロモーターおよびORF部分を含む領域を増幅することによって取得することができる。なお、INM活性の増強にあたっては、異なる微生物や動植物由来の複数種類の遺伝子を用いてもよい。
INO1活性を有するタンパク質をコードする遺伝子としては、特に限定されないが、例えば、公知のGenBank Accession Nos.AB032073、AF056325、AF071103、AF078915、AF120146、AF207640、AF284065、BC111160、L23520、U32511等が挙げられる。特に、配列番号5で示されるキャンディダ・ボイディニィ由来のコード化領域ヌクレオチド配列を有するミオ−イノシトール−1−リン酸シンターゼ遺伝子を好適に用いることができる。
また、他の微生物や動植物由来の遺伝子を使用することもできる。配列番号5に示されるDNA配列とのホモロジー等に基づいてINO1活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を、微生物や動植物等の染色体より単離し、塩基配列を決定したものなどを使用することができる。また、塩基配列が決定された後には、その配列に従って合成した遺伝子を使用することもできる。これらはハイブリダイゼーション法やPCR法により、プロモーターおよびORF部分を含む領域を増幅することによって取得することができる。なお、INO1活性の増強にあたっては、異なる微生物や動植物由来の複数種類の遺伝子を用いてもよい。
rpへの置換、及び、ValからMet、Ile又はLeuへの置換が挙げられる。また、上記のようなアミノ酸の置換、欠失、挿入、付加、または逆位等には宿主微生物の個体差、種の違いに基づく場合などの天然に生じる変異(mutant又はvariant)によって生じるものも含まれる。
また、目的の酵素活性が増強された株は、該活性を有するタンパク質をコードする遺伝子を用いて改変することによっても得ることができる。具体的には、前記遺伝子のコピー数を高めることによって達成でき、コピー数を高めることは、前記遺伝子を含むベクターで形質転換すること、または相同組換え法等の手法によって染色体上に該遺伝子を導入し、染色体上で多コピー化させることなどによって達成できる。
また、前記遺伝子の発現が増強された株は、染色体上またはプラスミドベクター上で前記遺伝子のプロモーターへ変異を導入すること、より強力なプロモーターへ置換することなどで前記遺伝子を高発現化させることによっても達成できる。
転換することにより、目的の酵素活性が増強するように改変された株を得ることができる。あるいは、相同組換えなどによって、宿主微生物の染色体DNAに前記タンパク質をコードするDNAを発現可能なように組み込むことによっても目的の酵素活性が増強するように改変された株を得ることができる。なお、形質転換、相同組換えは当業者に知られた通常の方法に従って行うことができる。
本発明において、「ピルビン酸デカルボキシラーゼ(PDC)活性」とは、ピルビン酸から二酸化炭素を除きアセトアルデヒドに変換する反応を触媒する活性をいう。
なお、酵母には通常、PDC活性を有するタンパク質は内在する。
キャンディダ・ボイディニィを宿主耐酸性微生物として用いる場合は、これに内在する、配列番号7で示されるコード化領域ヌクレオチド配列を有するPDC遺伝子でコードされるタンパク質の活性を減弱化することが好ましい。
具体的には、非改変株と比較して、同酵素の細胞当たりの分子数が低下していること、及び/又は、同タンパク質の分子当たりの機能が低下していることをいう。すなわち、「酵素活性が減弱する」という場合の「活性」とは、酵素の触媒活性に限られず、酵素タンパク質をコードする遺伝子の転写量(mRNA量)又は翻訳量(タンパク質の量)を意味してもよい。なお、「タンパク質の細胞当たりの分子数が低下している」ことには、同酵素が全く存在していない場合が含まれる。また、「酵素の分子当たりの機能が低下している」ことには、同酵素の分子当たりの機能が完全に消失している場合が含まれる。酵素活性の減弱の程度は、酵素活性が非改変株と比較して減弱していれば特に制限されない。酵素活性は、例えば、非改変株と比較して、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に減弱してよい。
いれば特に制限されない。遺伝子の発現は、例えば、非改変株と比較して、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に低下してよい。
の形質にしたがって、マーカー遺伝子を含ませておくと操作がしやすい。欠失型遺伝子によってコードされるタンパク質は、生成したとしても、野生型タンパク質とは異なる立体構造を有し、機能が低下又は消失する。このような相同組換えを利用した遺伝子置換による遺伝子破壊は既に確立しており、「Redドリブンインテグレーション(Red-driven integration)」と呼ばれる方法(Datsenko, K. A, and Wanner, B. L. Proc. Natl. Acad. Sci. U S A. 97:6640-6645 (2000))、Redドリブンインテグレーション法とλファージ由来の切り出しシステム(Cho, E. H., Gumport, R. I., Gardner, J. F. J. Bacteriol. 184: 5200-5203 (2002))とを組み合わせた方法(WO2005/010175号参照)等の直鎖状DNAを用いる方法や、温度感受性複製起点を含むプラスミドを用いる方法、接合伝達可能なプラスミドを用いる方法、宿主内で機能する複製起点を持たないスイサイドベクターを用いる方法などがある(米国特許第6303383号、特開平05-007491号)。
酵素活性が低下したことは、同酵素タンパク質をコードする遺伝子の発現が低下したことを確認することによっても、確認できる。遺伝子の発現が低下したことは、同遺伝子の転写量が低下したことを確認することや、同遺伝子から発現するタンパク質の量が低下したことを確認することにより確認できる。
spring Harbor (USA), 2001))。タンパク質の量は、非改変株と比較して、例えば、50%以下、20%以下、10%以下、5%以下、または0%に低下してよい。
本発明のミオ−イノシトールの製造方法は、本発明の耐酸性微生物を、有機原料を含有する水性媒体中で培養する工程(以下、「発酵工程」という)、及び生成したミオ−イノシトールを回収する工程(以下、「回収工程」という)を含む。
一般に、微生物を用いたミオ−イノシトール発酵生産においては、種々の有機酸やグリセロール等の副生成物の生成が顕著であり、目的のミオ−イノシトールの収量が低下したり、精製負荷が大きかったりする。それに対して、前述のとおり本発明では耐酸性に優れる微生物を用いるため、酸性水性媒体においても微生物の生育や発酵生産能が低下することがない一方、酸性条件下では副生成物の生成は抑制されるため、効率的にミオ−イノシトールを製造することができる。また、一般的な発酵法では微生物の生育が良好な中性領域に近づけるため発酵中に水性媒体に中和剤を添加する等してpH低下を抑制するところ、本発明の製造方法ではpH低下を抑制する必要がない。そして、発酵後は水性媒体から
ミオ−イノシトールを晶析により簡便に回収することができるため回収・精製負荷が小さい。そのため、製造工程全体の負荷を小さくすることができ、かつコスト削減にも寄与することができる。
なお、後述する種培養や本培養と、後述する発酵工程は、区別することなく、同時に行うこともできる。また、種培養または本培養した微生物を反応液中で増殖させながら、有機原料と反応させることによってミオ−イノシトールを生産させることもできる。
種培養は、本培養に供する耐酸性微生物を調製するために行うものである。種培養に用いる培地は、微生物の培養に用いられる通常の培地を用いることができるが、窒素源や無機塩などを含む培地であることが好ましい。ここで、窒素源としては、耐酸性微生物が資化して増殖できる窒素源であれば特に限定されないが、具体的には、アンモニウム塩、硝酸塩、尿素、大豆加水分解物、カゼイン分解物、ペプトン、酵母エキス、肉エキス、コーンスティープリカーなどの各種の有機、無機の窒素化合物等が挙げられる。無機塩としては各種リン酸塩、硫酸塩、マグネシウム、カリウム、マンガン、鉄、亜鉛等の金属塩が用いられる。また、ビオチン、チアミン、パントテン酸、イノシトール、ニコチン酸等のビタミン類、ヌクレオチド、アミノ酸などの生育を促進する因子を必要に応じて添加する。
本培養は、後述するミオ−イノシトール生産反応に供する耐酸性微生物を調製するために行うものであり、主として微生物量を増やすことを目的とする。上述の種培養を行う場合は、種培養により得られた微生物を用いて本培養を行う。
これらの炭素源は、単独で添加してもよいし、組み合わせて添加してもよい。
ただし、本培養を発酵工程と同時に行う場合は、pH4.9以下で行い、pH4.2以下で行うことが好ましく、pH3.5以下で行うことがより好ましい。また、pH1以上で行うことが好ましく、pH2以上で行うことがより好ましく、pH2.5以上で行うことがさらに好ましい。
発酵工程では、上述のミオ−イノシトール生産能を有する微生物を酸性水性媒体中で、有機原料に作用させることにより、ミオ−イノシトールを生産させる。この発酵工程で起こる反応を、以下、「ミオ−イノシトール生産反応」という。
具体的には、グリセルアルデヒド等の炭素数3の単糖(トリオース);エリトロース、トレオース、エリトルロース等の炭素数4の単糖(テトロース);リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、デオキシリボース、キシルロース、リブロース等の炭素数5の単糖(ペントース);アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フコース、フクロース、ラムノース、プシコース、フルクトース、ソルボース、タガトース等の炭素数6の単糖(ヘキソース);セドヘプツロース等の炭素数7の単糖(ヘプトース);スクロース、ラクトース、マルトース、トレハノース、ツラノース、セロビオース等の二糖類;ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類;フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、マンナオリゴ糖などのオリゴ糖類;デンプン、デキストリン、セルロース、ヘミセルロース、グルカン、ペントサン等の多糖類;グリセロール、マンニトール、リビトール等のポリアルコール類等が挙げられる。
なお、本発明のミオ−イノシトールの製造方法で用いる有機原料には、1種類の糖が単独で含有されていてもよいし、2種類以上の糖が含有されていてもよい。
特に制限されないが、例えば、1種類以上の前記糖質を水に溶解して水溶液としたもの、1種類以上の前記糖質を構成成分として含む植物体またはその一部を糖質まで分解したもの、1種類以上の前記糖質を構成成分として含む植物体またはその一部から糖質を抽出したもの等を用いることができる。具体的には、後述するようなリグノセルロース分解原料、スクロース含有原料、デンプン分解原料等が挙げられる。
本発明のミオ−イノシトールの製造方法における有機原料中に含まれる糖質の濃度としては、有機原料の由来や、含有する糖質の種類等によって大きく変動するため、特に限定されないが、発酵生産プロセスおよび化学変換プロセスの生産性を考慮して、通常0.1質量%以上、好ましくは2質量%以上であり、また、通常80質量%以下、好ましくは70質量%以下である。ただし、糖質を2種類以上含む場合は、その合計の濃度を示す。
リグノセルロースとは、構造性多糖のセルロース、ヘミセルロース、及び芳香族化合物の重合体のリグニンから構成される有機物である。リグノセルロースは、通常、食用にはできず、通常であれば廃棄、焼却処理をされるものが多いため、安定して供給でき、資源を有効利用できる点で好ましい。
リグノセルロース分解原料としては、バガス、コーンストーバー、麦わら、稲わら、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、ササ、ススキ等の草本系バイオマスや、廃木材、オガ粉、樹皮、古紙等の木質系バイオマス等を好適に用いることができる。中でも、バガス、コーンストーバー、麦わらが好ましい。
また、スクロースは、細胞中にスクロースを蓄積できる植物に含まれ、以下、このような植物のことを「スクロースを含む植物」という。スクロースを含む植物としては、サトウキビ、テンサイ、サトウカエデ、オウギヤシ、ソルガム等の砂糖の原料として使用されるもの等が挙げられ、中でも、サトウキビ、テンサイが好ましい。
また、デンプンは、細胞中にデンプンを蓄積できる植物に含まれ、以下、このような植物のことを「デンプンを含む植物」という。デンプンを含む植物としては、キャッサバ、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦、甘藷、サゴヤシ、米、クズ、カタクリ、緑豆、ワラビ、オオウバユリ等が挙げられ、中でも、キャッサバ、トウモロコシ、馬鈴薯、小麦が好ましい。
ミオ−イノシトール生産反応の間、常に上記濃度範囲とする必要はないが、全反応時間の50%以上、好ましくは80%以上の時間において、上記濃度範囲にすることが望ましい。
なお、ミオ−イノシトール生産反応の間、常にpH4.9以下に維持することが好ましい。通常は、ミオ−イノシトール発酵の進行に伴ってpHが上昇することは起こりにくく、水性媒体の酸性度がpH4.9を上回ることはない。
水性媒体のpHは、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、酢酸等の有機酸、それらの混合物等を添加すること、または二酸化炭素ガスを供給すること、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリによって調整することができる。
ミオ−イノシトール生産反応の間、常に上記の温度範囲とする必要はないが、全反応時間の50%以上、好ましくは80%以上の時間において、上記温度範囲にすることが望ましい。
具体的には、酸素移動速度として、通常は0mmol/L/h以上、好ましくは10mmol/L/h以上、より好ましくは20mmol/L/h以上であり、一方、通常200mmol/L/h以下、好ましくは150mmol/L/h以下、さらに好ましくは100mmol/L/h以下である。
また、溶存酸素濃度(DO)が、飽和溶存酸素濃度の、通常は50%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは70%以上である。
ミオ−イノシトール生産反応の間、常に上記の好気的条件の範囲とする必要はないが、全反応時間の50%以上、好ましくは80%以上の時間において、上記条件を満たすこと
が望ましい。
本発明のミオ−イノシトールの製造方法は、上記のミオ−イノシトール生産反応によりミオ−イノシトールが生成し、通常は微生物がこれを分泌し、水性媒体中に蓄積させることができる。蓄積したミオ−イノシトールは、常法に従って、水性媒体から回収する。回収工程は、具体的には、例えば、発酵後の水性媒体を60〜80℃で1時間以上の加熱処理を行う。これによりまず晶析液中のタンパク質濃度が下がり高純度の結晶を得られやすくなる。その後、膜分離、遠心分離、ろ過等により微生物を分離・除去する。その後、水性媒体を冷却して冷却晶析する。これにより高純度のミオ−イノシトールを回収することができる。ここで冷却晶析はエタノール存在下で行うと、高収率にミオ−イノシトールが得られるので析出効率の観点から好ましい。再結晶の際のエタノール濃度は、水性媒体全体に対して通常は20〜80v/v%、好ましくは30〜70v/v%、より好ましくは40〜60v/v%である。また、冷却晶析の際の冷却は、通常0〜20℃、好ましくは2〜15℃、より好ましくは4〜10℃にまで下げることにより行われる。
本発明においては水性媒体が酸性であるため、回収工程におけるタンパク質除去のための加水分解が容易となる点においても優れる。
例えば、ミオ−イノシトールを原料としてポリカーボネート等の樹脂を製造する方法は、国際公開16/098898号、特開2016−117899号公報、特開2017−206508号公報等の記載に従って行うことができる。
以下の手順にて、表1に記載の各酵母株の耐酸性能を評価した。
各酵母株のフリーズストックから一白金耳分をYPD寒天培地に植菌し、3日間、30℃にて静地培養することで生育してきた菌体を、試験管に調製した3mLのYPD培地に植菌し、30℃、180rpm、24時間旋回振とう培養した。得られた培養液を200mLの三角フラスコに調製したpH3(HCl添加によりpH調製)のYPD培地20mLにOD660=1.0となるように植菌し、30℃、180rpm、72時間、グルコース枯渇が起きないよう適宜添加しながら旋回振とう培養した。
菌体増殖の経時変化を図2に示す。評価した酵母株はいずれもpH=3という酸性条件において増殖能を有することが確認されたが、中でも特にCandida属酵母の増殖能が高いことが確認され、極めて高い耐酸性能を有することが示された。またSaccharomyces cerevisiae S288C及びPichia pastrisがCandida属酵母の次に高い耐酸性能を示し、Kluyverom
yces属酵母、Saccharomyces cerevisiae KA311Aの順に増殖能が低下した。
まず自然界から単離されたCandida boidinii MCB1を初発菌としたランダム変異スクリーニングによりイノシトール分泌生産株MCB2を取得した。ランダム変異導入は、EMS(エチルメタンスルホン酸)による突然変異処理により実施した。スクリーニングは、ランダム変異導入した菌株をYPD寒天培地に塗布して出現したコロニーを別途調製したイノシトーリ要求性酵母Saccharomyces cerevisiae ATCC34893をあらかじめ塗布した表2に示した寒天培地上にレプリカすることで、レプリカしたコロニー周りのSaccharomyces cerevisiae ATCC34893の生育が確認されたコロニーを単離することで実施した。
なお、MCB1は、2018年4月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号:292-0818、住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、国内寄託がなされ、受託番号NITE P−02682が付与されている。
なお、MCB38は、2018年4月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号:292-0818、住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、国内寄託がなされ、受託番号NITE P−02683が付与されている。
ino1遺伝子発現増強株の作製は、MCB38を基株として実施した。まず遺伝子導入した際の選択マーカーを開発した。選択マーカーとして、その変異がウラシル要求性として形質に現れるura3遺伝子を利用した。MCB38を常法に従い5-FOA(5-フルオロオロチン酸)含有YPD寒天培地に塗布し、30℃で3日間培養し、生育してきたコロニーを選抜することでura3遺伝子に変異が導入されたウラシル要求性変異株MCB50を取得した。
Candida boidinii内在性ino1遺伝子(配列番号5)は、独自に解析したCandida boidinii MCB1のゲノム配列情報からSaccharomyces cerevisiaeのino1遺伝子とのホモロジー解析により同定した。ino1遺伝子の遺伝子発現増強用コンストラクトは、クローニングベクターpBluescript II SK(+)のマルチクローニングサイト中のSacI/XhoI制限酵素サイトに比較的強い恒常発現プロモーターとして知られているACT1遺伝子プロモーター配列(配列番号9)、その下流にino1遺伝子配列を配置、さらにその下流にアルコールオキシダーゼAOD1 遺伝子terminator(配列番号10)を配置したino1遺伝子発現カセットと、その3’側隣接部位にura3遺伝子除去によるマーカーリサイクルのための相同配列としてSP配列(配列番号11)を両末端に付加したura3遺伝子発現カセット(配列番号12)を配置し、
さらにこれら両末端にleu2遺伝子座位へ導入するための相同領域としてleu2遺伝子の上流1500bp(配列番号13)、下流1500bp(配列番号14)を付与することで作製した。具体的には、pBluescript II SK(+)のNotI/SpeI制限酵素サイト内に遺伝子合成(Genscript社)した上記ino1遺伝子発現カセットを挿入したpACT1pro-ino1を作製した。別途5’末端側にSacIサイト、3’末端側にNotIサイトを付与した形で遺伝子合成したleu2遺伝子上流1500bp配列をSacI/NotI制限酵素にて処理し、同様に制限酵素処理したpACT1pro-ino1と連結させることでpΔleu2up-ACT1proino1を作製した。一方で、pBluescript II SK(+)のSpeI/EcoRI制限酵素サイト内に遺伝子合成(Genscript社)した上記SP配列を両末端に付与したura3遺伝子発現カセットを挿入したpURA3を作製した。別途5’末端側にEcoRIサイト、3’末端側にXhoIサイトを付与した形で遺伝子合成したleu2遺伝子下流1500bp配列をEcoRI/XhoI制限酵素にて処理し、同様に制限酵素処理したpURA3途連結させることでpURA3-Δleu2downを作製した。さらに、作成したpURA3-Δleu2downをSpeI/XhoIにて制限酵素処理し、同様に処理したpΔleu2up-ACT1proino1と連結することでino1遺伝子発現増強用コンストラクトpΔleu2::ACT1proino1-URA3を作製した(図3)。
Supplements without uracil(SIGMA-ALDRICH社)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗布し、本寒天プレート上にてコロニーを形成したクローンをMCB59と名付けた。なお、MCB59はロイシン要求性を示した。
Candida boidinii MCB1のゲノム配列解析によりS. cerevisiaeのinm2と相同性を有する2種の遺伝子inm2-1(配列番号3)、inm2-2(配列番号1)の内、inm2-2遺伝子のみ発現増強した株を作製した。Inm2-2遺伝子発現増強用コンストラクトは、クローニングベクターpBluescript II SK(+)のマルチクローニングサイト中のNotI/XhoI制限酵素サイトに比較的強い恒常発現プロモーターとして知られているグリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼTDH3遺伝子プロモーター配列(配列番号15)、その下流にinm2-2遺伝子配列を配置、さらにその下流にアルコールオキシダーゼAOD1 遺伝子terminator(配列番号10)を配置したinm2-2遺伝子発現カセットと、その3’側隣接部位にleu2遺伝子発現カセット(配列番号16)を配置し、さらにこれら両末端にピルビン酸デカルボキシラーゼ(pdc1)遺伝子座位へ導入するための相同領域としてpdc1遺伝子の上流1500bp(配列番号17)、下流1500bp(配列番号18)を付与することで作製した。具体的には、pBluescript II SK(+)のNotI/EcoRV制限酵素サイト内に遺伝子合成(Genscript社)した上記pdc1上流1500bpと3’末端側で連結したinm2-2遺伝子発現カセットを挿入したpΔpdc1up-TDH3proinm2-2を作製した。そこに別途5’末端側にEcoRVサイト、3’末端側にSalIサイトを付加した形で遺伝子合成したleu2遺伝子プロモーターを含むleu2遺伝子上流1500bpからleu2遺伝子までをEcoRV/SalIにて制限酵素処理し、同様に制限酵素処理したpΔpdc1up-TDH3proinm2-2と連結させることでpΔpdc1up-TDH3proinm2-2-Leu2(up1500)を作製した。さらに、別途5’末端側にSalIサイト、3’末端側にXhoIサイトを付与する形で遺伝子合成したleu2遺伝子ターミネーターを含むleu2遺伝子下流1500bpに連結されたpdc1遺伝子下流1500bpをSalI/XhoIにて制限酵素処理し、同様に制限酵素処理したpΔpdc1up-TDH3proinm2-2-Leu2(up1500)と連結させることでinm2-2遺伝子発現増強用コンストラクトpΔpdc1:: TDH3proinm2-2-Leu2を作製した(図4)。
々NotI/XhoIにて制限酵素処理することで直鎖上にし、得られた断片を用いて上述のロイシン要求性ino1遺伝子発現増強株MCB64を形質転換した。得られた形質転換株をYeast Synthetic Drop-out Medium Supplements without leucine(SIGMA-ALDRICH社)を含有するSD寒天培地(0.67% Yeast Nitrogen Base w/o Amino Acids(Difco社)、2% グルコース、2% 寒天)に塗布し、本寒天プレート上にてコロニーを形成したクローンをMCB79と名付けた。
なお、MCB79は、2018年4月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号:292-0818、住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、国内寄託がなされ、受託番号NITE P−02684が付与されている。
上記にて取得されたイノシトール生合成強化株MCB79を基株として化学的変異原を用いた突然変異処理法により、イノシトール高分泌生産性変異株を育種した。MCB79をN-メチル-N’-ニトロ-N-ニトロソグアニジン(NTG)処理することによりMCB208を取得した。MCB208のNTG処理によりMCB216を取得した後、さらに2度のNTG処理を加えることでMCB225を取得した。上記高生産株のスクリーニングは、変異処理した菌体を適当に希釈してYPD寒天培地に塗布し、出現したコロニーを単離し、YPD培地3mLにて30℃、24時間前培養した後、表3に示した組成のMIS2培地30mLを含む200mL三角フラスコに0.75mL植菌し、30℃、160rpmの条件下で136時間培養し、蓄積したイノシトール量を定量することで選抜した。
なお、MCB225は、2018年4月13日に、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センター(郵便番号:292-0818、住所:千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 122号室)に、国内寄託がなされ、受託番号NITE P−02687が付与されている。
MCB225の凍結菌から一白金耳分をYPD寒天培地に植菌し、3日間、30℃にて静地培養することで生育してきた菌体を、試験管に調製した3mLのYPD培地に植菌し、30℃、300rpmの条件下で、6時間培養した。得られた培養液を三角フラスコに調製した100mLのYPD培地にOD660=0.1となるように植菌し、30℃、160rpmの条件下で、24時間培養した。得られた培養液を5L発酵槽に調製した2Lの表4に示した組成のYPI培地にOD660=0.5となるように植菌し、培養温度30℃、撹拌回転数500rpm、通気量2 L/min、pH3.0、背圧0.05MPaに制御して培養を24時間継続した。なお、培養4時間後以降に60%グルコースを6.25g/hrの流加速度にて定速フィードした。
といった有機酸やアラビトール等の副産物の蓄積が顕著であり、イノシトール蓄積濃度56.3g/L、対糖収率25.3%とイノシトール生産性の低下が確認された。以上より、低pH下でのイノシトール発酵生産の有効性が確認された。
MCB225の凍結菌から一白金耳分をYPD寒天培地に植菌し、3日間、30℃にて静地培養することで生育してきた菌体を、試験管に調製した3mLのYPD培地に植菌し、30℃、300rpmの条件下で、6時間培養した。得られた培養液を三角フラスコに調製した100mLのYPD培地にOD660=0.1となるように植菌し、30℃、160rpm、24時間培養した。得られた培養液を、5L発酵槽に調製した表4に示した組成のYPI培地2LにOD660=0.5となるように植菌し、培養温度30℃、撹拌回転数500rpm、通気量2 L/min、pH3.0、背圧0.05MPaに制御して培養を24時間継続した。なお、培養4時間後以降に60%グルコースを6.25g/hrの流加速度にて定速フィードした。
上述の培養にて得られた培養液を、5L発酵槽に調製した表5に示したMIS3培地2LにOD660=20となるように植菌し、培養を開始した。培養条件は、培養温度30℃、背圧0.05MPa、制御pH3.0、通気撹拌条件は、(i) 0.2vvm、400rpm、(ii) 0.25vvm、400rpm、又は(iii) 2vvm、800rpmに設定し207時間培養を継続した。なお、初期仕込みグルコースが消費され、発酵液中のグルコース濃度が10 g/Lを下回った時点で、その直前の糖消費速度と同速度の糖が流加されるように60%グルコース溶液をフィードすることでグルコース濃度が10g/L以下になるようにフィード速度を調整した。
前記DOの割合は、(i) 0.2vvm、400rpm設定時は20%弱を推移し、(ii) 0.25vvm、400rpm設定時は、50%弱を推移し、(iii) 2vvm、800rpm設定時は約90%付近を推移した。培養終点におけるイノシトール蓄積濃度、及び対糖収率は、(i) 0.2vvm、400rpmでは、57.5 g/L、25.4%であったのに対し、(ii) 0.25vvm、400rpmでは、64.0 g/L、26.3%、(iii) 2vvm、800rpmでは、82.4 g/L、32.2%であり、高通気撹拌条件下にて溶存酸素濃度を高めることでイノシトール発酵生産効率が向上することが確認された。
イノシトール含有発酵液からのイノシトール結晶回収は以下のように実施した。まず、発酵液を一度遠心分離(8000rpm、5min、4℃)にて予め大体の菌体を除去した後、0.22μmのフィルター(Corning Filter System)にて濾過した。その後、得られた発酵液上清をエバポレーター(40℃、30hPa)にて200g/Lのイノシトール濃度になるまで濃縮した。この200g/Lイノシトール含有濃縮発酵液上清100mLを4℃にて48時間保冷することで粗結晶を生成させ、さらに50mLの99.5%エタノールにて3回結晶を洗浄後、60℃にて乾燥させることで回収率76%にて15.2gのイノシトール白色結晶を得た。本結晶の純度は、99.3%であった。
上記調製した200g/Lイノシトール含有濃縮発酵液上清10mLに等量(10mL)の99.5%エタノールを添加し、4℃で24時間撹拌させ、粗結晶を生成させ、さらに5mLの99.5%エタノールにて3回結晶を洗浄後、60℃にて乾燥させることで回収率95%にて1.9gのイノシトール白色結晶を得た。
上記イノシトール結晶中に含有される発酵液由来タンパク質の除去のため、酸性条件下にて発酵液を熱処理することでタンパク質加水分解を実施した。上記濃縮発酵液を1N HCl
条件下60℃および80℃にて5時間処理した条件におけるイノシトール結晶中に含有されるタンパク質の重量を図10に示した。熱処理をしなかった条件においては、1kgのイノシトール結晶当たり1639mgのタンパク質が含有されていたのに対し、1N HCl条件下60℃で処理した条件においては778mgまでタンパク質が低減化し、80℃で処理した条件においては676mgと約6割のタンパク質が除去可能であることが確認された。以上より培養液を酸性条件下にて熱処理することで効果的にイノシトール結晶中の不純物であるタンパク質を除去可能であることが示された。
Claims (14)
- ミオ−イノシトール生産能を有する耐酸性微生物を、有機原料を含有するpH4.9以下の水性媒体中で培養する工程、及び生成したミオ−イノシトールを回収する工程を含む、ミオ−イノシトールの製造方法。
- 前記水性媒体がpH4.2以下である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記水性媒体がpH3.5以下である、請求項1に記載の製造方法。
- 前記培養工程における前記水性媒体の溶存酸素濃度が飽和溶存酸素濃度の50%以上である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記培養工程を行う培養容器内の圧力が0.02〜0.2MPaである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記回収工程において、前記水性媒体中を冷却することによりミオ−イノシトールを結晶化させ、該結晶を回収する、請求項1〜5の何れか一項に記載の製造方法。
- 前記回収工程において、エタノール存在下で冷却する、請求項6に記載の製造方法。
- 前記回収工程において、水性媒体の冷却の前に、60〜80℃で1時間以上の加熱処理を行う工程、及び膜分離又は遠心分離により前記水性媒体から前記耐酸性微生物を分離する工程を含む、請求項6又は7に記載の製造方法。
- 前記有機原料が、グルコース、キシロース、スクロース、デンプン、廃糖蜜、グリセロール、リビトール、及びエリスリトールからなる群より選択される一種以上を含有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記培養工程において水性媒体中の前記有機原料の濃度が10g/L以下に維持される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記耐酸性微生物が、ミオ−イノシトール−1−リン酸シンターゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変されたものである、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記耐酸性微生物が、ミオ−イノシトール−リン酸ホスファターゼ活性が非改変株と比較して増強するように改変されたものである、請求項1〜11のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記耐酸性微生物がサッカロミセス属(Saccharomyces)、シゾサッカロミセス属(Shizosaccharomyces)、キャンディダ(Candida)属、ピキア属(Pichia)、クルイヴェロマイセス属(Kluyveromyces)、ヤロウィア属(Yarrowia)、及びチゴサッカロミセス属(Zygosaccharomyces)からなる群より選択される一種である請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
- 前記水性媒体を中和する工程を含まない、請求項1〜13のいずれか一項に記載の製造方法。
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