JP2017190707A - エジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】適用された冷凍サイクル装置の負荷変動によらず、内部に形成された冷媒通路の通路断面積を適切に変更可能に構成されたエジェクタを提供する。
【解決手段】高圧冷媒を流入させる流入空間30aが形成されたボデー30の内部に、円錐状に形成された通路形成部材35を配置して、ノズルとして機能する断面円環状のノズル通路13aおよび昇圧部として機能する断面円環状のディフューザ通路13cを形成する。さらに、通路形成部材35に、流入空間30a側へ延びてボデーに摺動可能に支持されるシャフト38を連結する。そして、通路形成部材35が流入空間30a内の冷媒圧力によって受ける荷重を第1荷重Pw1としたときに、シャフト38に第1荷重Pw1を相殺する方向の第2荷重Pw2を受ける受圧部38aを設ける。これにより、第1荷重Pw1の変動が通路形成部材35の変位に影響を及ぼしてしまうことを抑制する。
【選択図】図2

Description

本発明は、流体を減圧するとともに、高速度で噴射される噴射流体の吸引作用によって流体を吸引するエジェクタに関する。
従来、特許文献1に、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置に適用されるエジェクタが開示されている。この特許文献1のエジェクタでは、高圧冷媒を減圧させるノズル通路から噴射される噴射冷媒の吸引作用によって、ボデーに形成された冷媒吸引口から蒸発器から流出した冷媒を吸引する。そして、ディフューザ通路にて、噴射冷媒と吸引冷媒(すなわち、蒸発器出口側冷媒)との混合冷媒を昇圧させて、圧縮機の吸入側へ流出させる。
より詳細には、特許文献1のエジェクタでは、ボデーの内部に略円錐形状の弁体部である通路形成部材を配置し、ボデーの内壁面と通路形成部材の円錐状側面との間に断面円環状の冷媒通路を形成している。そして、この冷媒通路のうち、冷媒流れ最上流側の部位をノズル通路として利用し、ノズル通路の冷媒流れ下流側の部位をディフューザ通路として利用している。
さらに、特許文献1のエジェクタは、通路形成部材を変位させてノズル通路およびディフューザ通路といった冷媒通路の通路断面積を変化させる駆動機構を備えている。これにより、特許文献1のエジェクタでは、適用された冷凍サイクル装置の負荷変動に応じて冷媒通路の通路断面積を変化させ、サイクルを循環する循環冷媒流量に応じてエジェクタを適切に作動させようとしている。
特開2013−177879号公報
ところで、特許文献1のように駆動機構を備えるエジェクタでは、エジェクタ全体としての大型化を抑制するために、小型な駆動機構を採用することが望ましい。
ところが、小型な駆動機構を採用すると、通路形成部材の変位量が小さくなってしまいやすい。このため、小型な駆動機構を採用するエジェクタでは、冷凍サイクル装置の熱負荷が増加した際であっても、冷媒通路の通路断面積を充分に確保することができるように、ボデーの冷媒通路を形成する部位の開口径(すなわち、中心軸方向から見たときの冷媒通路の外径)を、予め充分に大きな値に設定しておくことが望ましい。
しかしながら、冷媒通路を形成する部位の開口径を大きな値に設定してしまうと、通路形成部材の頂部のうち、高圧冷媒の圧力を受圧する部位の面積が大きくなってしまう。従って、高圧冷媒の圧力変動が通路形成部材の変位に影響を与えやすく、例えば、高圧冷媒に圧力変動が生じると、冷媒通路の通路断面積を適切に調整することができなくなってしまう。
本発明は、上記点に鑑み、適用された冷凍サイクル装置の負荷変動に応じて、内部に形成された冷媒通路の通路断面積を適切に変更可能に構成されたエジェクタを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
高圧冷媒を流入させる流入空間(30a)、流入空間から流出した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、減圧用空間の冷媒流れ下流側に連通して冷媒吸引口(31b)から吸引した冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、および減圧用空間から噴射された噴射冷媒と吸引用通路を介して吸引された吸引冷媒とを流入させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、少なくとも一部が減圧用空間の内部、および昇圧用空間の内部に配置されるとともに、減圧用空間から離れるに伴って外径が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、通路形成部材を変位させる駆動機構(37)と、通路形成部材に連結されているとともに、流入空間側へ延びてボデーに摺動可能に支持された棒状部材(38)と、を備え、
ボデーのうち減圧用空間を形成する部位の内周面と通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、ボデーのうち昇圧用空間を形成する部位の内周面と通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、噴射冷媒および吸引冷媒を混合させて昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
通路形成部材が流入空間内の冷媒から受ける荷重を第1荷重(Pw1)としたときに、棒状部材には、流入空間内の冷媒から第1荷重(Pw1)を相殺する方向の第2荷重(Pw2)を受ける受圧部(38a)が形成されている。
これによれば、棒状部材(38)に受圧部(38a)が形成されているので、冷凍サイクル装置(10)の負荷変動によって、第1荷重(Pw1)が変動したとしても、受圧部(38a)が受ける第2荷重(Pw2)によって、この変動を打ち消すことができる。つまり、第1荷重(Pw1)の変動が通路形成部材(35)の変位に及ぼす影響を小さくすることができる。
従って、適用された冷凍サイクル装置(10)の負荷変動に応じて、内部に形成された冷媒通路の通路断面積を適切に変更可能に構成されたエジェクタを提供することができる。
さらに、受圧部(38a)の受圧面積を、第1荷重(Pw1)と前記第2荷重(Pw2)が同等となるように設定しておくことで、流入空間(30a)内の高圧冷媒に圧力変動が生じたとしても、この変動が通路形成部材(35)の変位に影響を及ぼしてしまうことを効果的に抑制することができる。
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルの全体構成図である。 第1実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 図2のIII−III断面図である。 図2のIV部の模式的な拡大断面図である。 第1実施形態のエジェクタ式冷凍サイクルにおける冷媒の状態の変化を示すモリエル線図である。 第2実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 図6のVII部の模式的な拡大断面図である。 第3実施形態のエジェクタの軸方向断面図である。 図8のIX部の模式的な拡大断面図である。 第4実施形態のエジェクタの模式的な拡大断面図である。 第5実施形態のエジェクタの模式的な拡大断面図である。
(第1実施形態)
図1〜図5を用いて、本発明の第1実施形態を説明する。本実施形態のエジェクタ13は、図1に示すように、冷媒減圧装置としてエジェクタを備える蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置、すなわち、エジェクタ式冷凍サイクル10に適用されている。さらに、このエジェクタ式冷凍サイクル10は、車両用空調装置に適用されており、空調対象空間である車室内へ送風される送風空気を冷却する機能を果たす。従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10の冷却対象流体は、送風空気である。
また、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用しており、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。この冷媒には、圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されており、冷凍機油の一部は冷媒とともにサイクルを循環している。
エジェクタ式冷凍サイクル10の構成機器のうち、圧縮機11は、冷媒を吸入して高圧冷媒となるまで昇圧して吐出するものである。圧縮機11は、車両走行用の駆動力を出力するエンジン(内燃機関)とともにエンジンルーム内に配置されている。さらに、圧縮機11は、プーリ、ベルト等を介してエンジンから出力される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機である。
より具体的には、本実施形態では、圧縮機11として、吐出容量を変化させることによって冷媒吐出能力を調整可能に構成された斜板式の可変容量型圧縮機を採用している。この圧縮機11では、吐出容量を変化させるための図示しない吐出容量制御弁を有している。吐出容量制御弁は、後述する制御装置から出力される制御電流によって、その作動が制御される。
圧縮機11の吐出口には、放熱器12の凝縮部12aの冷媒入口側が接続されている。放熱器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と冷却ファン12dによって送風される車室外空気(外気)を熱交換させることによって、高圧冷媒を放熱させて冷却する放熱用熱交換器である。放熱器12は、エンジンルーム内の車両前方側に配置されている。
より具体的には、放熱器12は、凝縮部12a、レシーバ部12b、および過冷却部12cを有する、いわゆるサブクール型の凝縮器として構成されている。
凝縮部12aは、圧縮機11から吐出された高圧気相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、高圧気相冷媒を放熱させて凝縮させる凝縮用の熱交換部である。レシーバ部12bは、凝縮部12aから流出した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える冷媒容器である。過冷却部12cは、レシーバ部12bから流出した液相冷媒と冷却ファン12dから送風された外気とを熱交換させ、液相冷媒を過冷却する過冷却用の熱交換部である。
冷却ファン12dは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、送風空気量)が制御される電動式送風機である。放熱器12の過冷却部12cの冷媒出口側には、エジェクタ13の冷媒流入口31aが接続されている。
エジェクタ13は、放熱器12から流出した過冷却状態の高圧液相冷媒を減圧させて下流側へ流出させる冷媒減圧装置としての機能を果たす。さらに、エジェクタ13は、高速度で噴射される噴射冷媒の吸引作用によって後述する蒸発器14から流出した冷媒(すなわち、蒸発器14出口側冷媒)を吸引して輸送する冷媒輸送装置としての機能を果たす。
これに加えて、本実施形態のエジェクタ13は、減圧させた冷媒の気液を分離する気液分離器の機能も兼ね備えている。換言すると、本実施形態のエジェクタ13は、エジェクタと気液分離器とを一体化(すなわち、モジュール化)させた、気液分離機能付きエジェクタとして構成されている。エジェクタ13は、圧縮機11および放熱器12とともに、エンジンルーム内に配置されている。
エジェクタ13の具体的構成については、図2〜図4を用いて説明する。図2、図3は、エジェクタ13の軸方向断面図であり、図2は、図3のII−II断面図であり、図3は、図2のIII−III断面図である。また、図3における上下の各矢印は、エジェクタ式冷凍サイクル10を車両用空調装置に搭載した状態における上下の各方向を示している。
本実施形態のエジェクタ13は、図2、図3に示すように、複数の構成部材を組み合わせることによって形成されたボデー30を備えている。
より具体的には、ボデー30は、アッパーボデー311、ロワーボデー312、気液分離ボデー313等を有している。これらのアッパーボデー311、ロワーボデー312、気液分離ボデー313は、エジェクタ13の外殻を形成するとともに、内部に他の構成部材を収容するハウジングとしての機能を果たす。
アッパーボデー311、ロワーボデー312、気液分離ボデー313は、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金製)の中空部材で形成されている。アッパーボデー311、ロワーボデー312、気液分離ボデー313は、樹脂にて形成されていてもよい。
アッパーボデー311とロワーボデー312とを組み合わせることによって形成される内部空間には、後述するノズルボデー32、ディフューザボデー33等のボデー30の構成部材が固定されている。
アッパーボデー311には、冷媒流入口31a、冷媒吸引口31bといった複数の冷媒流入口が形成されている。冷媒流入口31aは、放熱器12から流出した高圧冷媒を流入させる冷媒流入口である。冷媒吸引口31bは、蒸発器14から流出した低圧冷媒を吸引する冷媒流入口である。
気液分離ボデー313には、液相冷媒流出口31c、気相冷媒流出口31dといった複数の冷媒流出口が形成されている。液相冷媒流出口31cは、気液分離ボデー313内に形成された気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を蒸発器14の冷媒入口側へ流出させる冷媒流出口である。気相冷媒流出口31dは、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を圧縮機11の吸入口側へ流出させる冷媒流出口である。
ノズルボデー32は、金属製(本実施形態では、ステンレス製)の円筒状部材で形成されている。ノズルボデー32は、図2、図3に示すように、アッパーボデー311のうちロワーボデー312側の底面に配置されている。ノズルボデー32は、アッパーボデー311に形成された穴部に圧入によって固定されており、アッパーボデー311とノズルボデー32との隙間から冷媒が漏れることはない。
ノズルボデー32の内部には、冷媒流入口31aから流入した冷媒を流入させる流入空間30aが形成されている。流入空間30aは、略円柱状の回転体形状に形成されている。流入空間30aの中心軸は、後述する通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。さらに、図2、図3から明らかなように、本実施形態の中心軸CLは略水平方向に延びている。なお、回転体形状とは、平面図形を同一平面上の1つの直線(中心軸)周りに回転させた際に形成される立体形状である。
また、アッパーボデー311には、冷媒流入口31aから流入した高圧冷媒を流入空間30a内へ導く冷媒流入通路31eが形成されている。冷媒流入通路31eは、流入空間30aの中心軸方向から見たときに、径方向に延びる形状に形成され、流入空間30aへ流入する冷媒を、流入空間30aの中心軸に向かって流入させるように形成されている。
ノズルボデー32の内部であって、流入空間30aの冷媒流れ下流側には、流入空間30aに連続するように形成されて、流入空間30aから流出した冷媒を減圧させて下流側へ流出させる減圧用空間30bが形成されている。
減圧用空間30bは、2つの円錐台形状の空間の頂部側同士を結合させた回転体形状に形成されている。この減圧用空間30bの中心軸も、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。減圧用空間30bの内部には、減圧用空間30b(具体的には、後述するノズル通路13a)の通路断面積を最も縮小させる最小通路面積部30mが形成されている。
減圧用空間30bの内部には、円錐状に形成された通路形成部材35の頂部側が配置されている。通路形成部材35は、中心軸CL方向に変位することによって、エジェクタ13の内部に形成される冷媒通路の通路断面積を変化させる弁体部である。
通路形成部材35は、減圧用空間30bから離れるに伴って(すなわち、冷媒流れ下流側へ向かって)、外径が拡大する円錐形状に形成されている。このため、ノズルボデー32の減圧用空間30bを形成する部位の内周面と通路形成部材35の頂部側の部位の外周面との間には、軸方向垂直断面の形状が円環状となる冷媒通路が形成される。なお、通路形成部材35の詳細構成については後述する。
この冷媒通路は、冷媒を等エントロピ的に減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路13aである。ノズル通路13aでは、流入空間30a側から最小通路面積部30mへ向かって通路断面積が減少して、最小通路面積部30mから冷媒流れ下流側に向かって通路断面積が再び拡大する。つまり、ノズル通路13aでは、いわゆるラバールノズルと同様に通路断面積が変化する。
これにより、本実施形態のノズル通路13aでは、冷媒を減圧させるとともに、冷媒の流速を超音速となるように増速させて噴射することができる。
ディフューザボデー33は、アッパーボデー311の内部であって、ノズルボデー32よりも冷媒流れ下流側に配置されている。ディフューザボデー33は、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金性)の円筒状部材で形成されている。
ディフューザボデー33は、その外周側がアッパーボデー311の内周側面に圧入されることによって、アッパーボデー311に固定されている。ディフューザボデー33の外周面とアッパーボデー311の内周面との間には、図示しないO−リングが配置されており、これらの部材の隙間から冷媒が漏れることはない。
ディフューザボデー33の中心部には、軸方向に貫通する貫通穴33aが形成されている。貫通穴33aの中心軸は、通路形成部材35の中心軸と同軸上に配置されている。貫通穴33aは、冷媒流れ下流側に向かって断面積が拡大する略円錐台形状に形成されている。さらに、本実施形態では、ノズルボデー32の冷媒噴射口側の先端部が、ディフューザボデー33の貫通穴33aの内部まで延びている。
そして、ディフューザボデー33の貫通穴33aの内周面とノズルボデー32の筒状の先端部の外周面との間には、冷媒吸引口31bから吸引された冷媒を減圧用空間30b(すなわち、ノズル通路13a)の冷媒流れ下流側へ導く吸引用通路13bが形成されている。このため、中心軸CL方向から見たときに、吸引用通路13bの最下流部となる吸引冷媒出口は、冷媒噴射口の外周側に円環状に開口している。
ディフューザボデー33の貫通穴33aのうち、吸引用通路13bの冷媒流れ下流側には、冷媒流れ方向に向かって徐々に広がる略円錐台形状に形成された昇圧用空間30eが形成されている。昇圧用空間30eは、上述したノズル通路13aから噴射された噴射冷媒と吸引用通路13bから吸引された吸引冷媒とを流入させる空間である。
昇圧用空間30eの内部には、通路形成部材35の頂部よりも冷媒流れ下流側が配置されている。ディフューザボデー33の昇圧用空間30eを形成する部位の内周面と通路形成部材35の冷媒流れ下流側の外周面との間には、軸方向垂直断面の形状が円環状となる冷媒通路が形成される。
この冷媒通路は、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させて昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路13cである。ディフューザ通路13cでは、冷媒流れ下流側に向かって通路断面積を徐々に拡大させる。これにより、ディフューザ通路13cでは、噴射冷媒と吸引冷媒との混合冷媒の速度エネルギを圧力エネルギに変換することができる。
次に、通路形成部材35の詳細構成について説明する。通路形成部材35は、冷媒に対して耐性を有する樹脂製(本実施形態では、ナイロン6またはナイロン66製)の円錐状部材で形成されている。通路形成部材35の内部には、その底面側から略円錐台状の空間が形成されている。つまり、通路形成部材35は、杯状(すなわち、カップ状)に形成されている。
通路形成部材35には、シャフト38が連結されている。シャフト38は、円柱状の金属(本実施形態では、ステンレス)で形成された棒状部材である。シャフト38の中心軸は、通路形成部材35の中心軸CLと同軸上に配置されている。シャフト38は、通路形成部材35にインサート成形されている。これにより、通路形成部材35とシャフト38は一体化されている。
シャフト38の一端側(流入空間30a側)は、通路形成部材35の頂部から突出して流入空間30a側へ延びて、アッパーボデー311に摺動可能に支持されている。シャフト38の他端側は、通路形成部材35の底面側へ向かって延びて、ロワーボデー312に固定された支持部材36の軸受穴に摺動可能に支持されている。従って、シャフト38は、中心軸方向の両端側でボデー30に摺動可能に支持されている。
支持部材36は、図2、図3に示すように、金属製(本実施形態では、アルミニウム合金)の円筒状部材で形成され、図示しない固定部材を介してロワーボデー312に固定されている。
さらに、支持部材36の内部には、シャフト38に対して流入空間30a側(ノズル通路13aの通路断面積を縮小する側)へ付勢する荷重をかけるコイルバネ36aが収容されている。コイルバネ36aの荷重は、支持部材36に設けられた調整ネジ36bによって調整することができる。
また、シャフト38の一端側には、流入空間30a内の冷媒の圧力を受ける受圧部38aが形成されている。受圧部38aは、シャフト38において他の部位よりも外径を拡大させることによって、円柱状に形成された部位である。アッパーボデー311には、受圧部38aが嵌め込まれる円柱状の空間が形成されている。
ここで、前述の如く、通路形成部材35の頂部側は、ノズルボデー32内の流入空間30aに連続するように形成された減圧用空間30b内に配置されている。このため、通路形成部材35の頂部側は、図2、図3の太実線矢印に示すように、流入空間30a内の高圧冷媒の圧力によって生じる第1荷重Pw1を受ける。第1荷重Pw1は、通路形成部材35に対して最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる側に付勢する荷重である。
これに対して、受圧部38aは、図2、図3の太実線矢印に示すように、流入空間30a内の高圧冷媒の圧力によって生じる第2荷重Pw2を受ける。第2荷重Pw2は、通路形成部材35に連結された受圧部38aに対して最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる側に付勢する荷重である。つまり、第2荷重Pw2は、第1荷重Pw1を相殺する方向の荷重である。
そこで、本実施形態の受圧部38aの受圧面積は、第1荷重Pw1と第2荷重Pw2が同等となるように設定されている。より具体的には、中心軸CL方向からみたときに、通路形成部材35の頂部側であって流入空間30a内の高圧冷媒の圧力を受ける部位の受圧面積と、受圧部38aにおいて高圧冷媒の圧力を受ける円環状の部位の受圧面積が同等となるように設定されている。
なお、第1荷重Pw1と第2荷重Pw2が同等とは、第1荷重Pw1と第2荷重Pw2が完全に一致していることのみを意味するものではない。第1荷重Pw1と第2荷重Pw2との荷重差Pw1−Pw2が、後述する駆動機構37が通路形成部材35を変位させる際に影響を及ぼさない程度に小さくなっている範囲を含む意味である。
また、図4に示すように、受圧部38aの一端側(流入空間30aの反対側、すなわち、駆動機構37側)の端面には、平板シール部材381が配置されている。平板シール部材381は、流入空間30a内の高圧冷媒が、アッパーボデー311とシャフト38(具体的には、受圧部38a)との隙間を介して流入空間30aから流出してしまうことを抑制するシール部材である。
平板シール部材381は、合成ゴム(本実施形態では、EPDM:エチレンプロピレンジエン共重合ゴム)製の円環状の板状部材で形成されている。平板シール部材381の内周側はシャフト38に固定されており、平板シール部材381の外周側はアッパーボデー311に固定されている。
より具体的には、平板シール部材381の内周側は、受圧部38aの一端側の面とシャフト側押え部材381aとの間に固定されている。シャフト側押え部材381aは、受圧部38aと同等の外径を有する金属製の円筒状部材である。シャフト側押え部材381aは、シャフト38の一端側から圧入されて、受圧部38aの一端側の面との間に平板シール部材381の内周側を挟持した状態で、シャフト38に固定されている。
平板シール部材381の外周側は、アッパーボデー311に形成された段差部311aとボデー側押え部材381bとの間に固定されている。ボデー側押え部材381bは、平板シール部材381と同等の外径を有する金属製の円筒状部材である。段差部311aは、ボデー側押え部材381bの他端側の端部が当接するように円環状に形成されている。
ボデー側押え部材381bは、シャフト38の一端側から圧入されて、段差部311aとの間に平板シール部材381の外周側を挟持した状態で、アッパーボデー311に固定されている。
受圧部38aの外周面とアッパーボデー311の円柱状空間の内周面との間には、図4に示すように隙間が形成されている。従って、平板シール部材381を撓ませることで(変形させることで)、シャフト38を軸方向に変位させることができる。本実施形態では、通路形成部材35のリフト量(軸方向の変位量)が、冷媒通路の通路断面積を適切に変更するために必要なリフト量を確保できるように隙間寸法δを設定している。
また、図2、図3に示すように、シャフト38の一端側の先端部は、受圧部38aよりも細い外径に形成されている。シャフト38の一端側の先端部は、駆動機構37に連結されている。
駆動機構37は、シャフト38および通路形成部材35を軸方向に変位させるための駆動力を出力するものである。換言すると、駆動機構37は、通路形成部材35を変位させることによって、ノズル通路13aの最小通路面積部30m等の冷媒通路断面積を変化させるものである。
より具体的には、駆動機構37は、図2、図3に示すように、アッパーボデー311の外側であって、シャフト38の中心軸方向の延長線上に配置されている。駆動機構37は、ダイヤフラム371、アッパーカバー372、ロワーカバー373等を有している。
アッパーカバー372は、ダイヤフラム371とともに、封入空間37aの一部を形成する封入空間形成部材である。アッパーカバー372は、金属(本実施形態では、ステンレス)で形成されたカップ状部材である。
封入空間37aは、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入された空間である。より詳細には、封入空間37aは、エジェクタ式冷凍サイクル10を循環する冷媒と同等の組成の感温媒体が予め定めた封入密度となるように封入された空間である。
従って、本実施形態の感温媒体としては、R1234yfを主成分とする媒体(例えば、R1234yfとヘリウムとの混合媒体)を採用することができる。さらに、感温媒体の封入密度は、後述するようにサイクルの通常作動時に通路形成部材35を適切に変位させることができるように設定されている。
ロワーカバー373は、ダイヤフラム371とともに、導入空間37bを形成する導入空間形成部材である。ロワーカバー373は、アッパーカバー372と同様の金属部材で形成されている。導入空間37bは、連通路311bを介して、冷媒吸引口31bから吸引された吸引冷媒を導入させる空間である。
アッパーカバー372およびロワーカバー373は、かしめ等により外周縁部同士が固定されている。さらに、ダイヤフラム371の外周側部は、アッパーカバー372とロワーカバー373との間に挟持される。これにより、ダイヤフラム371が、アッパーカバー372とロワーカバー373との間に形成される空間を封入空間37aと導入空間37bとに仕切っている。
ダイヤフラム371は、封入空間37aの内圧と吸引用通路13bを流通する吸引冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材である。従って、ダイヤフラム371は弾性に富み、かつ耐圧性および気密性に優れる材質で形成されていることが望ましい。このようなダイヤフラム371としては、ステンレス(SUS304)製の金属薄板や基布入りEPDM製の薄板状部材等を採用することができる。
ダイヤフラム371の導入空間37b側には、金属(本実施形態では、アルミニウム合金)で形成された円板状のプレート部材374が接触するように配置されている。さらに、プレート部材374には、シャフト38の先端部が連結されている。従って、本実施形態のシャフト38および通路形成部材35は、駆動機構37(具体的には、ダイヤフラム371)から受ける荷重とコイルバネ36aから受ける荷重との合計荷重が釣り合うように変位する。
より具体的には、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が上昇すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が上昇し、封入空間37a内の内圧から導入空間37b内の内圧を差し引いた圧力差が大きくなる。これにより、ダイヤフラム371が導入空間37b側へ変位して、シャフト38が駆動機構37から受ける荷重が増加する。
従って、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が上昇すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を拡大させる方向に変位する。
一方、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が低下すると、封入空間37aに封入された感温媒体の飽和圧力が低下し、封入空間37a内の内圧から導入空間37b内の内圧を差し引いた圧力差が小さくなる。これにより、ダイヤフラム371が封入空間37a側へ変位して、シャフト38が駆動機構37から受ける荷重が減少する。
従って、蒸発器14出口側冷媒の温度(過熱度SH)が低下すると、通路形成部材35は、最小通路面積部30mにおける通路断面積を縮小させる方向に変位する。
つまり、本実施形態の駆動機構37は、機械的機構で構成されており、蒸発器14出口側冷媒の過熱度SHに応じて、ダイヤフラム371が通路形成部材35を変位させるそして、蒸発器14出口側冷媒の過熱度SHが予め定めた基準過熱度KSHに近づくように、最小通路面積部30mにおける通路断面積を調整している。
この基準過熱度KSHは、調整ネジ36bによってコイルバネ36aの荷重を調整することによって、変更することができる。
さらに、本実施形態では、駆動機構37の外周側に、駆動機構37を覆うカバー部材375を配置している。これにより封入空間37a内の感温媒体がエンジンルーム内の外気温の影響を受けてしまうことを抑制している。
次に、図2、図3に示すように、ロワーボデー312の冷媒流れ下流側には、混合冷媒流出口31gが形成されている。混合冷媒流出口31gは、ディフューザ通路13cから流出した気液混合状態の冷媒を気液分離ボデー313内に形成された気液分離空間31f側へ流出させる冷媒流出口である。混合冷媒流出口31gの通路断面積は、ディフューザ通路13cの最下流部の通路断面積よりも小さく形成されている。
気液分離ボデー313は、円筒状に形成されている。気液分離ボデー313の内部には、気液分離空間30fが形成されている。気液分離空間30fは、略円筒状の回転体形状の空間として形成されている。気液分離ボデー313および気液分離空間30fの中心軸は上下方向に延びている。このため、気液分離ボデー313と気液分離空間30fと中心軸は、通路形成部材35の中心軸CLに直交している。
さらに、気液分離ボデー313は、ロワーボデー312の混合冷媒流出口31gから気液分離空間30f内へ流入した冷媒が、気液分離空間30fの外周側の壁面に沿って流入するように配置されている。これにより、気液分離空間30fでは、冷媒が中心軸周りに旋回することで生じる遠心力の作用によって、冷媒の気液を分離している。
気液分離ボデー313の軸中心部には、気液分離空間30fに対して同軸上に配置されて、上下方向へ延びる円筒状のパイプ313aが設けられている。そして、気液分離ボデー313の底面側の筒状側面には、気液分離空間30fにて分離された液相冷媒を気液分離空間30fの外周側壁面に沿って流出させる液相冷媒流出口31cが形成されている。さらに、パイプ313aの下方側端部には、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒を流出させる気相冷媒流出口31dが形成されている。
また、気液分離空間30f内のパイプ313aの根元部(すなわち、気液分離空間30f内の最下方側の部位)には、気液分離空間30fとパイプ313a内に形成された気相冷媒通路とを連通させるオイル戻し穴313bが形成されている。オイル戻し穴313bは、液相冷媒に溶け込んだ冷凍機油を、液相冷媒とともに気相冷媒通路を介して圧縮機11内へ戻すための連通路である。
エジェクタ13の液相冷媒流出口31cには、図1に示すように、蒸発器14の冷媒入口側が接続されている。蒸発器14は、エジェクタ13にて減圧された低圧冷媒と送風ファン14aから車室内へ送風される送風空気とを熱交換させることによって、低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させる吸熱用熱交換器である。
送風ファン14aは、制御装置から出力される制御電圧によって回転数(送風空気量)が制御される電動式送風機である。蒸発器14の出口側には、エジェクタ13の冷媒吸引口31bが接続されている。さらに、エジェクタ13の気相冷媒流出口31dには圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、図示しない制御装置は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成される。この制御装置は、そのROM内に記憶された制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行う。そして、上述の各種電気式のアクチュエータ11、12d、14a等の作動を制御する。
また、制御装置には、内気温センサ、外気温センサ、日射センサ、蒸発器温度センサ、吐出圧力センサ等の複数の空調制御用のセンサ群が接続され、これらのセンサ群の検出値が入力される。
より具体的には、内気温センサは、車室内温度を検出する内気温検出部である。外気温センサは、外気温を検出する外気温検出部である。日射センサは、車室内の日射量を検出する日射量検出部である。蒸発器温度センサは、蒸発器14の吹出空気温度(蒸発器温度)を検出する蒸発器温度検出部である。吐出圧力センサは、放熱器12出口側冷媒の圧力を検出する出口側圧力検出部である。
さらに、制御装置の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された図示しない操作パネルが接続され、この操作パネルに設けられた各種操作スイッチからの操作信号が制御装置へ入力される。操作パネルに設けられた各種操作スイッチとしては、車室内空調を行うことを要求する空調作動スイッチ、車室内温度を設定する車室内温度設定スイッチ等が設けられている。
なお、本実施形態の制御装置は、その出力側に接続された各種の制御対象機器の作動を制御する制御部が一体に構成されたものであるが、制御装置のうち、各制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が各制御対象機器の専用の制御部を構成している。
例えば、本実施形態では、圧縮機11の吐出容量制御弁の作動を制御することによって、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する構成が吐出能力制御部を構成している。もちろん、吐出能力制御部を、制御装置に対して別体の制御装置で構成してもよい。
次に、上記構成における本実施形態の作動を図5のモリエル線図を用いて説明する。まず、操作パネルの作動スイッチが投入(ON)されると、制御装置が圧縮機11の吐出容量制御弁、冷却ファン12d、送風ファン14a等を作動させる。これにより、圧縮機11が冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。この際、制御装置は、エジェクタ式冷凍サイクル10の熱負荷の増加に伴って、圧縮機11の冷媒吐出能力を増加させる。
圧縮機11から吐出された高温高圧冷媒(図5のa点)は、放熱器12の凝縮部12aへ流入し、冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、放熱して凝縮する。凝縮部12aにて凝縮した冷媒は、レシーバ部12bにて気液分離される。レシーバ部12bにて気液分離された液相冷媒は、過冷却部12cにて冷却ファン12dから送風された外気と熱交換し、さらに放熱して過冷却液相冷媒となる(図5のa点→b点)。
放熱器12の過冷却部12cから流出した過冷却液相冷媒は、エジェクタ13の減圧用空間30bの内周面と通路形成部材35の外周面との間に形成されるノズル通路13aにて等エントロピ的に減圧されて噴射される(図5のb点→c点)。この際、減圧用空間30bの最小通路面積部30mにおける通路断面積は、蒸発器14出口側冷媒(図5のh点)の過熱度が基準過熱度KSHに近づくように調整される。
さらに、ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒の吸引作用によって、蒸発器14から流出した冷媒(図5のh点)が、冷媒吸引口31bおよび吸引用通路13bを介して吸引される。ノズル通路13aから噴射された噴射冷媒および吸引用通路13bを介して吸引された吸引冷媒は、ディフューザ通路13cへ流入して合流する(図5のc点→d点、h1点→d点)。
ここで、本実施形態の吸引用通路13bの最下流部は、冷媒流れ方向に向かって通路断面積が徐々に縮小する形状に形成されている。このため、吸引用通路13bを通過する吸引冷媒は、その圧力を低下させながら(図5のh点→h1点)、流速を増加させる。これにより、吸引冷媒と噴射冷媒との速度差を縮小し、ディフューザ通路13cにて吸引冷媒と噴射冷媒が混合する際のエネルギ損失(混合損失)を減少させている。
ディフューザ通路13cでは通路断面積の拡大により、冷媒の運動エネルギが圧力エネルギに変換される。これにより、噴射冷媒と吸引冷媒が混合されながら混合冷媒の圧力が上昇する(図5のd点→e点)。ディフューザ通路13cから流出した冷媒は気液分離空間30fにて気液分離される(図5のe点→f点、e点→g点)。
気液分離空間30fにて分離された液相冷媒は、エジェクタ13から蒸発器14へ至る冷媒流路を流通する際に圧力損失を伴って蒸発器14へ流入する(図5のg点→g1点)。蒸発器14へ流入した冷媒は、送風ファン14aによって送風された送風空気から吸熱して蒸発する(図5のg1点→h点)。これにより、送風空気が冷却される。
一方、気液分離空間30fにて分離された気相冷媒は気相冷媒流出口31dから流出して、圧縮機11へ吸入され再び圧縮される(図5のf点→a点)。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10は、以上の如く作動して、車室内へ送風される送風空気を冷却することができる。
本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10では、ディフューザ通路13cにて昇圧された冷媒を圧縮機11へ吸入させている。従って、エジェクタ式冷凍サイクル10によれば、蒸発器における冷媒蒸発圧力と圧縮機吸入冷媒の圧力が略同等となる通常の冷凍サイクル装置よりも、圧縮機11の消費動力を低減させて、サイクルの成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、駆動機構37を備えているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて通路形成部材35を変位させて、ノズル通路13aの通路断面積(最小通路面積部30mにおける通路断面積)、およびディフューザ通路13cの通路断面積を調整することができる。
これにより、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、内部に形成された冷媒通路(具体的には、ノズル通路13a、およびディフューザ通路13c)の通路断面積を変化させて、エジェクタ式冷凍サイクル10を循環する循環冷媒流量に応じてエジェクタ13を適切に作動させることができる。
この際、本実施形態のエジェクタ13では、通路形成部材35とシャフト38が一体化されており、シャフト38が中心軸CLの両端側で支持されている。
従って、駆動機構37が通路形成部材35を変位させても、通路形成部材35の中心軸CLが、減圧用空間30b、昇圧用空間30e等の中心軸に対して傾いてしまうことを抑制することができる。その結果、通路形成部材35の中心軸CLが傾いて、エジェクタ効率が不安定となってしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13のシャフト38には、受圧部38aが形成されているので、エジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動によって、流入空間30a内へ流入した高圧冷媒の圧力変動が生じ、第1荷重Pw1が変動したとしても、受圧部38aが受ける第2荷重Pw2によって、この変動を打ち消すことができる。つまり、第1荷重Pw1の変動が通路形成部材35の変位に及ぼす影響を小さくすることができる。
これに加えて、本実施形態では、第1荷重Pw1と第2荷重Pw2が同等となるように、受圧部38aの受圧面積が設定されている。これにより、流入空間30a内へ流入した高圧冷媒に圧力変動が生じても、この変動が通路形成部材35の変位に悪影響を及ぼしてしまうことを効果的に抑制することができる。
従って、本実施形態のエジェクタ13によれば、適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を適切に変更することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、平板シール部材381を備えているので、流入空間30a内の高圧冷媒が、アッパーボデー311とシャフト38との隙間を介して流出してしまうことを抑制することができる。
さらに、平板シール部材381が、円環状の板状部材で形成されており、内周側がシャフト38に固定されているとともに、外周側がアッパーボデー311に固定されている。これによれば、受圧部38aの外周面とアッパーボデー311の内周面との間に隙間を形成することができる。
従って、シャフト38とアッパーボデー311との摺動抵抗を増加させることなく、シャフト38に連結された通路形成部材35を変位させることができる。その結果、通路形成部材35を変位させる際に、応答性の悪化やヒステリシスの増加を招いてしまうことを抑制することができる。
さらに、受圧部38aの外周面とアッパーボデー311の内周面との隙間寸法δを適切に設定することで、冷媒通路の通路断面積を適切に変更するために必要な通路形成部材35のリフト量を確実に確保することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、流入空間30aの中心軸方向から見たときに、冷媒流入通路31eが、流入空間30aへ流入する冷媒を流入空間30aの中心軸に向かって流入させるように形成されている。
さらに、流入空間30a、減圧用空間30b、昇圧用空間30eの中心部に、シャフト38、通路形成部材35といった剛体が配置されている。従って、流入空間30a、減圧用空間30b、昇圧用空間30eによって形成される全ての冷媒通路の軸方向垂直断面形状が円環状となる。これによれば、流入空間30a内の冷媒に中心軸周りの旋回流れが発生してしまうことを抑制することができる。
従って、噴射冷媒と吸引冷媒とを混合させる際の混合損失の増加を抑制することができ、エジェクタ効率を向上させることができる。このことは、本実施形態のエジェクタ13のように、吸引用通路13bの吸引冷媒出口13fがノズル通路13aの冷媒噴射口13eの外周側に環状に開口しているエジェクタ13において特に有効である。
また、本実施形態のエジェクタ13では、混合冷媒流出口31gの通路断面積がディフューザ通路13cの最下流部の通路断面積よりも小さく形成されており、さらに、ディフューザ通路13cから流出した気液混合状態の冷媒を気液分離空間30fの外周側の壁面に沿って流入させている。これによれば、気液分離空間30fにて生じる冷媒の圧力損失を低減させることができる。
このことをより詳細に説明すると、混合冷媒流出口31gでは、通路断面積の縮小によって冷媒の静圧低下が生じるものの、混合冷媒流出口31gから気液分離空間30f内へ流入する冷媒は、気液分離ボデー313の内周壁面(すなわち、気液分離空間30fの外周側の壁面)に沿って流入する。
このため、混合冷媒流出口31gから気液分離空間30f内へ流入する気相冷媒は、気液分離空間30f内へ流入した際の体積の急拡大が抑制されるので、体積拡大によるエネルギ損失を抑制できる。一方、混合冷媒流出口31gから気液分離空間30f内へ流入する液相冷媒については、比較的影響の少ない壁面摩擦分しかエネルギ損失が生じない。
従って、混合冷媒流出口31gから比較的体積の大きい気液分離空間30f内へ流入した冷媒の運動エネルギが、大きく損失してしまうことなく圧力エネルギに変換されて、冷媒の静圧が回復する。これにより、気液分離空間30fにて生じる冷媒の圧力損失を低減させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図6に示すように、第1実施形態に対して、シール部材を変更した例を説明する。
より具体的には、本実施形態では、シール部材として、図7の断面図に示すように、受圧部38aの外周に形成された筒状溝に配置された円環状のOリング382a、およびOリング382aの外周側に配置された樹脂材382bを採用している。このため、本実施形態では、第1実施形態で説明した、平板シール部材381、シャフト側押え部材381a、ボデー側押え部材381b等は廃止されている。
Oリング382aはゴムにて形成されたゴム部材であり、受圧部38aの外周側に配置されている。樹脂材382bは、Oリング382aよりもアッパーボデー311との摺動抵抗が小さい樹脂で形成された筒状の樹脂材である。なお、図7は、シャフト38がアッパーボデー311に取り付けられていない状態における受圧部38a等の模式的な拡大断面図である。
さらに、本実施形態では、平板シール部材381が廃止されているので、第1実施形態よりも隙間寸法δが小さく形成されており、受圧部38aがアッパーボデー311に摺動可能に支持されている。このため受圧部38aの外径とアッパーボデー311の受圧部38aを支持する部位の内径は、隙間バメの寸法関係になっている。
また、本実施形態のアッパーボデー311には、受圧部38aとアッパーボデー311との隙間とカバー部材375の内部空間とを接続する第1通路311c、およびカバー部材375の内部空間と吸引用通路13bの冷媒吸引口31b側とを接続する第2通路311dが形成されている。
この第1通路311cおよび第2通路311dは、流入空間30aからアッパーボデー311と受圧部38aとの隙間を介して流出した冷媒を、導入空間37bへ流入する前の吸引用通路13bを流通する吸引冷媒に合流させる第1合流用通路である。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、第1実施形態と同様に、サイクルのCOPを向上させることができる。さらに、本実施形態のエジェクタ13によれば、第1実施形態と同様に、適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を適切に変更することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、シール部材を、Oリング382aおよび樹脂材382bで形成している。これによれば、シール部材を容易に配置することができる。
さらに、樹脂材382bを配置しているので、シャフト38の他の部位よりも外径の大きい受圧部38aにOリング382aを配置しても、シャフト38が変位する際の摺動抵抗を大幅に増加させてしまうことがない。従って、通路形成部材35を変位させる際に、応答性が大きく悪化してしまうことや、ヒステリシスが大きく増加してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、第1合流用通路としての第1通路311cおよび第2通路311dが形成されている。これにより、流入空間30a内の高圧冷媒が受圧部38aとアッパーボデー311との隙間を介して減圧されながら流出してしまっても、この冷媒を導入空間37bへ流入する前の吸引冷媒に合流させることができる。
従って、受圧部38aとアッパーボデー311との隙間を通過した冷媒が、受圧部38aの一端側(流入空間30aの反対側)に溜まって、受圧部38aの一端側の圧力を上昇させてしまうことがない。その結果、受圧部38aが第2荷重Pw2を確実に受けることができ、第1荷重Pw1の変動を確実に打ち消すことができる。
さらに、受圧部38aとアッパーボデー311との隙間を通過して減圧された冷媒が、直接導入空間37b内へ流入して、導入空間37b内の冷媒温度を低下させてしまう、いわゆる「冷やし込み」の問題の発生を抑制することができる。従って、駆動機構37が受圧部38aとアッパーボデー311との隙間を通過して減圧された冷媒の温度を検知して、不必要な駆動力を発生してしまうことを抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図8に示すように、第1実施形態に対して、シール部材を変更した例を説明する。
より具体的には、本実施形態では、シール部材として、図9の断面図に示すように、受圧部38aの軸方向一端側(流入空間30aの反対側)の端面とアッパーボデー311との間に配置された環状シール部材383を採用している。このため、本実施形態では、第2実施形態と同様に、平板シール部材381、シャフト側押え部材381a、ボデー側押え部材381b等は廃止されている。
環状シール部材383は、弾性部材であるゴムにて略円筒状に形成されている。環状シール部材383は、通路形成部材35およびシャフト38の変位に伴って、受圧部38aとアッパーボデー311との間に挟み込まれて変形する。
従って、環状シール部材383には、その軸方向の変形量が、通路形成部材35が通路断面積を適切に変更するために必要なリフト量(軸方向の変位量)よりも大きいものが採用されている。なお、図9は、シャフト38がアッパーボデー311に取り付けられていない状態における受圧部38aの模式的な拡大断面図である。
さらに、本実施形態のアッパーボデー311には、第2実施形態と同様の第1合流用通路としての第1通路311c、および第2通路311dが形成されている。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は第2実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、第1実施形態と同様に、サイクルのCOPを向上させることができる。さらに、本実施形態のエジェクタ13によれば、第1実施形態と同様に、適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を適切に変更することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、環状シール部材383を、受圧部38aの軸方向一端側の端面とアッパーボデー311との間に配置している。これによれば、極めて容易にシール部材を配置することができる。
さらに、環状シール部材383が、シャフト38が変位する際の摺動抵抗を大幅に増加させてしまうことがない。従って、通路形成部材35を変位させる際に、応答性が悪化してしまうことや、ヒステリシスが増加してしまうことを抑制することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、第1合流用通路としての第1通路311cおよび第2通路311dが形成されている。従って、第2実施形態と同様に、第1荷重Pw1の変動を確実に打ち消すことができるとともに、駆動機構37が不必要な駆動力を発生してしまうことを抑制することができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、図10に示すように、第2実施形態に対して、シール部材であるOリング382aを廃止している。このため、受圧部38aの外周に形成されてOリング382aが嵌め込まれる筒状溝も廃止されている。さらに、本実施形態では、シャフト38の一端側の先端部の外周とアッパーボデー311との隙間にOリング384を配置している。Oリング384は、アッパーボデー311に形成された筒状溝に配置されている。
このOリング384は、流入空間30a内の冷媒が、アッパーボデー311と受圧部38aとの隙間を介して流出することを抑制するためのものでなく、アッパーボデー311とシャフト38の先端部との隙間を介して流出した冷媒が、直接導入空間37b内へ流入してしまうことを抑制する導入空間用シール部材である。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、第1実施形態と同様に、サイクルのCOPを向上させることができる。さらに、本実施形態のエジェクタ13によれば、第1実施形態と同様に、適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を適切に変更することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、第1合流用通路としての第1通路311cおよび第2通路311dが形成されている。従って、第2実施形態と同様に、第1荷重Pw1の変動を確実に打ち消すことができる。さらに、導入空間用シール部材としてのOリング384を備えているので、駆動機構37が不必要な駆動力を発生してしまうことを抑制することができる。
また、導入空間用シール部材としてのOリング384は、第2実施形態で説明したシール部材としてのOリング382aよりも径が小さいので、シャフト38が変位する際の摺動抵抗を大幅に増加させてしまうことがない。従って、通路形成部材35を変位させる際に、応答性が大きく悪化してしまうことや、ヒステリシスが大きく増加してしまうことを抑制することができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、図11に示すように、第4実施形態に対して、第2合流用通路38bを設けるとともに、第1合流用通路(第1通路311cおよび第2通路311d)を廃止した例を説明する。なお、図11では、図面の明確化のため、第1荷重Pw1および第2荷重Pw2の図示を省略している。
第2合流用通路38bは、シャフト38の内部に形成されている。第2合流用通路38bは、流入空間30aからアッパーボデー311と受圧部38aとの隙間を介して減圧されながら流出した冷媒を、ディフューザ通路13cの下流側へ導く通路である。その他のエジェクタ13およびエジェクタ式冷凍サイクル10の構成および作動は第1実施形態と同様である。
従って、本実施形態のエジェクタ式冷凍サイクル10によれば、第1実施形態と同様に、サイクルのCOPを向上させることができる。さらに、本実施形態のエジェクタ13によれば、第1実施形態と同様に、適用されたエジェクタ式冷凍サイクル10の負荷変動に応じて、ノズル通路13aおよびディフューザ通路13cの通路断面積を適切に変更することができる。
また、本実施形態のエジェクタ13では、第2合流用通路38bが形成されている。これにより、流入空間30a内の高圧冷媒が受圧部38aとアッパーボデー311との隙間を介して減圧されながら流出してしまっても、これをディフューザ通路の下流側へ導くことができる。従って、第2実施形態と同様に、第1荷重Pw1の変動を確実に打ち消すことができる。
さらに、Oリング384を備えているので、第4実施形態と同様に、駆動機構37が不必要な駆動力を発生してしまうことを抑制することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の各実施形態では、受圧部38aをシャフト38に一体的に形成した例を説明したが、受圧部38aは、これに限定されない。例えば、円筒状の受圧部38aをシャフト38に対して別部材で形成し、これをシャフト38に圧入等で固定してもよい。さらに、受圧部38aは、第2荷重Pw2を受けるための受圧面積が確保されていれば、円筒状に形成されている必要はない。例えば、流入空間30a側に向かって先細る円錐台状等に形成されていてもよい。
(2)上述の第1実施形態では、合成ゴム製の平板シール部材381を採用した例を説明したが、平板シール部材はこれに限定されない。例えば、基布入りEPDMや、樹脂材(例えば、EVOH:エチレンビニルアルコール共重合体)で形成された平面シール部材を採用してもよい。
ここで、平板シール部材は、撓むことによって通路形成部材35およびシャフト38を軸方向へ変位させるので、平板シール部材には、繰り返し応力に対して高い耐久性が要求される。従って、合成ゴムよりも耐久性が高い、樹脂材等を採用することが望ましい。ところが、樹脂製の平板シール部材は合成ゴムに対して一般的に弾性が小さい
このため、樹脂製の平板シール部材を採用すると、受圧部38aの一端側の面とシャフト側押え部材381aとの隙間、あるいは、段差部311aとボデー側押え部材381bとの隙間から高圧冷媒が漏れてしまうおそれがある。
このような漏れが生じる場合は、受圧部38aの一端側の面とシャフト側押え部材381aとの隙間、あるいは、段差部311aとボデー側押え部材381bとの隙間に、平面溝に配置される平面シール型のOリング等を配置すればよい。
(3)上述の各実施形態では、エジェクタ13の通路形成部材35の中心軸CLを水平方向に配置した例を説明したが、エジェクタ13の配置はこれに限定されない。例えば、図8の全体構成図に示すように、通路形成部材35の中心軸を鉛直方向に配置してもよい。この場合は、液相冷媒流出口31cが気液分離ボデーの最下方側に配置されていることが望ましい。
(4)上述の第2実施形態では、第1合流用通路(第1通路311cおよび第2通路311d)を形成した例を説明したが、シール部材(円環状のOリング382aおよび樹脂材382b)によって、受圧部38aとアッパーボデー311との隙間からの高圧冷媒の漏れを防止することができれば、第1合流用通路(第1通路311cおよび第2通路311d)は必須の構成ではない。
上述の第3実施形態では、第1合流用通路(第1通路311cおよび第2通路311d)を形成した例を説明したが、環状シール部材383によって、受圧部38aとアッパーボデー311との隙間からの高圧冷媒の漏れを防止することができれば、第1合流用通路(第1通路311cおよび第2通路311d)は必須の構成ではない。
上述の第4、第5実施形態では、導入空間用シール部材としてのOリング384を設けた例を説明したが、アッパーボデー311とシャフト38の先端部との隙間を介して流出した冷媒が、直接導入空間37b内へ流入したとしても、「冷やし込み」の問題が生じない場合には、Oリング384は必須の構成ではない。
(5)上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。例えば、第5実施形態で説明した第2合流用通路38bを、第2、第3実施形態で説明したエジェクタ13に適用してもよい。もちろん、第2合流用通路38bを採用する場合は、第1合流用通路を廃止すればよい。
(6)エジェクタ式冷凍サイクル10を構成する各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、エンジン駆動式の可変容量型圧縮機を採用した例を説明したが、圧縮機11として、電磁クラッチの断続により圧縮機の稼働率を変化させて冷媒吐出能力を調整する固定容量型圧縮機を採用してもよい。さらに、固定容量型圧縮機構と電動モータとを備え、電力を供給されることによって作動する電動圧縮機を採用してもよい。電動圧縮機では、電動モータの回転数を調整することによって、冷媒吐出能力を制御することができる。
また、上述の実施形態では、放熱器12として、サブクール型の熱交換器を採用した例を説明したが、凝縮部12aのみからなる通常の放熱器を採用してもよい。さらに、通常の放熱器とともに、この放熱器にて放熱した冷媒の気液を分離して余剰液相冷媒を蓄える受液器(レシーバ)を一体化させたレシーバ一体型の凝縮器を採用してもよい。
また、駆動機構37は上述の実施形態で説明したものに限定されない。例えば、感温媒体として温度によって体積変化するサーモワックスを採用してもよい。さらに、駆動手段として、形状記憶合金性の弾性部材を有して構成されたものを採用してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用することができる。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。さらに、冷媒として二酸化炭素を採用して、高圧側冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界冷凍サイクルを構成してもよい。
(7)上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ式冷凍サイクル10を、車両用空調装置に適用した例を説明したが、エジェクタ式冷凍サイクル10の適用はこれに限定されない。例えば、据置型空調装置、冷温保存庫、自動販売機用冷却加熱装置等に適用してもよい。
また、上述の実施形態では、本発明に係るエジェクタ13を備えるエジェクタ式冷凍サイクル10の放熱器12を冷媒と外気とを熱交換させる室外側熱交換器とし、蒸発器14を送風空気を冷却する利用側熱交換器としている。これに対して、蒸発器14を外気等の熱源から吸熱する室外側熱交換器として用い、放熱器12を空気あるいは水等の被加熱流体を加熱する利用側熱交換器として用いてもよい。
10 エジェクタ式冷凍サイクル(冷凍サイクル装置)
13 エジェクタ
13a ノズル通路
13b 吸引用通路
13c ディフューザ通路
30 ボデー
30a 流入空間
35 通路形成部材
37 駆動機構
38 棒状部材
38a 受圧部

Claims (10)

  1. 蒸気圧縮式の冷凍サイクル装置(10)に適用されるエジェクタであって、
    高圧冷媒を流入させる流入空間(30a)、前記流入空間から流出した冷媒を減圧させる減圧用空間(30b)、前記減圧用空間の冷媒流れ下流側に連通して冷媒吸引口(31b)から吸引した冷媒を流通させる吸引用通路(13b)、および前記減圧用空間から噴射された噴射冷媒と前記吸引用通路を介して吸引された吸引冷媒とを流入させる昇圧用空間(30e)が形成されたボデー(30)と、
    少なくとも一部が前記減圧用空間の内部、および前記昇圧用空間の内部に配置されるとともに、前記減圧用空間から離れるに伴って外径が拡大する円錐状に形成された通路形成部材(35)と、
    前記通路形成部材を変位させる駆動機構(37)と、
    前記通路形成部材に連結されているとともに、前記流入空間側へ延びて前記ボデーに摺動可能に支持された棒状部材(38)と、を備え、
    前記ボデーのうち前記減圧用空間を形成する部位の内周面と前記通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、冷媒を減圧させて噴射するノズルとして機能するノズル通路(13a)であり、
    前記ボデーのうち前記昇圧用空間を形成する部位の内周面と前記通路形成部材の外周面との間に形成される冷媒通路は、前記噴射冷媒および前記吸引冷媒を混合させて昇圧させる昇圧部として機能するディフューザ通路(13c)であり、
    前記通路形成部材が前記流入空間内の冷媒圧力によって受ける荷重を第1荷重(Pw1)としたときに、
    前記棒状部材には、前記流入空間内の冷媒圧力によって前記第1荷重(Pw1)を相殺する方向の第2荷重(Pw2)を受ける受圧部(38a)が形成されているエジェクタ。
  2. 前記受圧部(38a)の受圧面積は、前記第1荷重(Pw1)と前記第2荷重(Pw2)が同等となるように設定されている請求項1に記載のエジェクタ。
  3. 前記流入空間内の冷媒が、前記ボデーと前記棒状部材との隙間を介して流出することを抑制するシール部材(381、382a、382b、383)を備える請求項1または2に記載のエジェクタ。
  4. 前記シール部材(382a、382b)は、前記受圧部の外周側に配置されている請求項3に記載のエジェクタ。
  5. 前記シール部材は、前記棒状部材の外周側に配置されたゴム部材(382a)、および前記ゴム部材の外周側に配置されて前記ゴム部材よりも前記ボデーとの摺動抵抗の小さい樹脂材(382b)を有している請求項4に記載のエジェクタ。
  6. 前記受圧部は、円柱状に形成されており、
    前記シール部材(383)は、前記受圧部の一端側の端面と前記ボデーとの間に配置されている請求項3に記載のエジェクタ。
  7. 前記シール部材(381)は、円環状の板状部材で形成されており、内周側が前記棒状部材に固定されているとともに、外周側が前記ボデーに固定されている請求項3に記載のエジェクタ。
  8. 前記ボデーには、前記流入空間から前記ボデーと前記棒状部材との隙間を介して流出した冷媒を前記吸引冷媒に合流させる第1合流用通路(311c、311d)が形成されている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ。
  9. 前記駆動機構は、温度変化に伴って圧力変化する感温媒体が封入された封入空間(37a)を形成する封入空間形成部材(372)、前記吸引冷媒を流入させる導入空間(37b)を形成する導入空間形成部材(373)、および前記感温媒体の圧力と前記吸引冷媒の圧力との圧力差に応じて変位する圧力応動部材(371)を有し、
    前記棒状部材は、前記圧力応動部材に連結されており、
    前記第1合流用通路は、前記流入空間から前記ボデーと前記棒状部材との隙間を介して流出した冷媒を、前記導入空間へ流入する前の前記吸引冷媒に合流させる通路である請求項8に記載のエジェクタ。
  10. 前記棒状部材には、前記流入空間から前記ボデーと前記棒状部材との隙間を介してへ流出した冷媒を前記ディフューザ通路の下流側へ導く第2合流用通路(38b)が形成されている請求項1ないし6のいずれか1つに記載のエジェクタ。
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