JP2017190165A - 有機材料の貯蔵又は運搬のための容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】 液晶材料のような液状の有機材料の品質を十分に維持し、貯蔵あるいは運搬する容器を繰り返し使用する際に、容器を効率的かつ確実に洗浄することができ、破損等の問題が無く液晶材料をガス等の圧力により直接製造装置に移し替える作業にも耐えうる容器を提供することである。また、これを用いた貯蔵又は輸送の方法を提供することである。
【解決手段】 内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成された容器。
【選択図】 なし
【解決手段】 内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成された容器。
【選択図】 なし
Description
本発明は、安定した品質維持が求められる液状の有機材料、特に液晶材料に使用する容器及びその容器を使った貯蔵又は輸送の方法に関する。
液晶表示素子は、時計、電卓をはじめとして、各種測定機器、自動車用パネル、ワードプロセッサー、電子手帳、プリンター、コンピューター、テレビ、時計、広告表示板等に用いられるようになっている。液晶表示方式としては、その代表的なものにTN(ツイステッド・ネマチック)型、STN(スーパー・ツイステッド・ネマチック)型、TFT(薄膜トランジスタ)を用いた垂直配向型やIPS(イン・プレーン・スイッチング)型、FFS(フリンジ・フィールド・スイッチング)型等がある。これらの液晶表示素子に用いられる液晶材料は、一般的には数種類から数十種類の化合物から構成される液状の組成物であって、それぞれの使用される用途や表示方式によって、最適な物性値や性能を求められる。更に、液晶表示素子の信頼性や寿命等の観点から水分、空気、熱、光などの外的要因に対して安定であることも求められる。また、液晶材料は、イオン性不純物等が混入すると液晶表示素子の電気的性能が悪化するため、その保管においても十分な管理が求められる。
液晶材料の保管には、100mLから1L程度のガラス瓶が使用されることが一般的であるが、液晶表示素子の大型化が進み、使用される液晶材料が増えることに伴って、液晶材料を保管する容器も大容量であることが必要となってきている。
しかし、大容量のガラス瓶はコストがかかり、また、運搬時にガラス瓶を破損してしまう危険性もある。また、液晶表示素子を製造するために液晶材料を液晶パネルに封入する方法として、液晶材料の保管容器に液晶材料を注入する装置へ導入する管を直接繋ぎ、ポンプ等で送り込む方式が提案されている。しかしながら、液晶表示素子の大型化に伴い、液晶材料を送り込むための圧力が大きくなり、そのために液晶材料の保管容器の耐圧も十分に強いものが求められるようになっている。
このような中、ステンレス製の液晶材料の貯蔵容器と液晶材料を注入するユニットが一体化した液晶表示素子の製造装置が提案されている(特許文献1参照)。更に類似の技術として、耐腐食性鋼鉄製の容器を用い、破損防止、液晶材料の汚染防止およびリユースによる環境的調和の改善を目的とした輸送および貯蔵の方法が提案されている(特許文献2参照)。また、より高い品質維持を目的としてチタン製の容器を用いた液状の有機材料の保存技術も提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、これまで以上に高い品位を求められる電子機器などに用いる液状の有機材料においては、長期間で品質を維持する等において、今なお十分な特性を満たしているとは言えない状態であった。
液状の有機材料の保存技術として、金属材料の改良では無く化学的に安定なフッ素樹脂を用いた容器による検討もなされている(特許文献4参照)。フッ素樹脂を用いた容器は液状の有機材料の品質維持の点では有利な技術であるが、全体がフッ素樹脂製容器の場合においては、フッ素樹脂の強度に起因する運搬時の破損や寿命の点で問題があった。この点を改良するために、金属製の容器等の表面にフッ素樹脂をコーティングしたものについても、高コストになる上に、表面が柔らかいため洗浄等により傷が着き易く寿命の点でも不十分なものであった。
一方、金属の表面を処理する技術としては、ガラス状の皮膜を設けて表面の改質を行う技術(特許文献5及び6参照)、表面にダイヤモンド様カーボンの薄膜を付与する技術(特許文献7参照)などが開示されている。しかしながら、これらの技術は表面の平滑性を改善することや、酸、アルカリ等の腐食性の高い薬剤への耐性を高めることを目的としたものであり、比較的安定性の高い液状の有機材料を高品位に貯蔵することを目的として検討されたものでは無かった。従って、これらの開示からでは液晶材料などの液状の有機材料を高い品位を有した状態で保存するための技術に転用することは容易なことでは無かった。
以上より、貯蔵や輸送の際にこれまで以上に高いレベルでの液晶材料等の液状の有機材料の長期的な品質維持し、更に丈夫で耐久性がある容器が求められていた。
本発明が解決しようする課題は、液晶材料のような液状の有機材料の品質を十分に維持し、貯蔵あるいは運搬する容器を繰り返し使用する際に、容器を効率的かつ確実に洗浄することができ、破損等の問題が無く液晶材料をガス等の圧力により直接製造装置に移し替える作業にも耐えうる容器を提供することである。また、これを用いた貯蔵又は輸送の方法を提供することである。
本願発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成された容器の有用性を見出し本願発明の完成に至った。
本発明は、ステンレス等の金属容器の使用において、長期保管後の液状の有機材料の比抵抗等の品位が低下する問題を解決することが始まりとなったものである。ステンレス鋼、チタン等の金属は、表面にこれらの金属が酸化したことで形成される強固な皮膜を形成しており、金属の表面が直接むき出しになっているものでは無いことはよく知られている。例えば、ステンレス鋼の表面に形成される皮膜は3nm程度で、ステンレス鋼の構成元素であるクロムの水和オキシ酸化物(CrOx(OH)2-x・nH2O)が主体となっていると考えられている。よって、これらの材料の表面の改質は、表面に形成された被膜(不動態)が破壊されるような環境に対して行われてきた。前述のガラス被膜等もこの目的であり、耐酸性、耐アルカリ性等を高める機能を有するものであった。つまり、容器自体の耐久性や安定性を向上させることを目的としたものであった。
本発明においては、貯蔵や運搬のために容器に入れた液状の有機材料を長期間にわたり高い品位を維持することを目的とするものである。そもそも酸化皮膜が形成されている素材の表面に、さらに酸化物などの被膜を形成することは、一般的にはそれほどの効果は期待されないものである。本発明の研究者らは、この技術常識に逆らい表面の被膜の膜厚、材質等の改良を行った結果本発明の完成に至ったものである。
すなわち、表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成された容器を提供する。
本発明の容器は、剛直性と気密性を持たせることで耐衝撃性や耐圧性を有し、液晶材料の比抵抗値や電圧保持率を高い値の状態で貯蔵および輸送することができることに加え、更に一度使用した後に再使用するための洗浄が容易に行うことができ、繰り返しの洗浄における耐久性や耐摩耗性に優れ、その上、その後の使用においても高い品質状態を維持することができることから、実用的であり、高い品質安定性を与える。本発明の容器は、TN表示モード、IPS表示モード(FFSを含む)、VA表示モード、PSVA表示モード等のTFT駆動液晶表示素子を作製するために用いられる液晶材料の貯蔵および輸送に有用である。
本発明の容器は、融点が−70℃から30℃である、室温で液状を呈する品質の安定性を求められる液状の有機材料、特に液晶材料の貯蔵や輸送に用いられるが、融点が−60℃から20℃の有機材料に用いられることが好ましく、融点が−50℃から10℃の有機材料に用いられることがより好ましく、融点が−50℃から0℃の有機材料に用いられることが更に好ましく、融点が−50℃から−10℃の有機材料に用いられることが更に好ましい。
本発明の容器は、正圧や負圧に対する気密性を持たせ、衝撃に耐えうる剛直性を持たせることができ、圧力容器としての機能を有することが好ましい。正圧にする場合、容器内に圧縮空気や窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスを封入するための分配器や圧力計を取り付けられるようになっていることが好ましく、負圧にする場合、真空ポンプによる減圧化を行うため配管を取り付けられるようになっていることが好ましい。このように、気密性をもたせることで、真空状態下、減圧状態下、又は不活性ガス雰囲気下で貯蔵および輸送することができる。
また、本発明の容器は、内容物の品質の安定性の観点から水や空気に対する気密性を有することが好ましい。
本発明の容器は、金属素材を主成分とする素材より成る。金属素材として、鉄、銅、耐腐食性鋼鉄、アルミニウム又はチタンが挙げられ、耐腐食性鋼鉄、アルミニウム又はチタンが好ましい。
本発明の容器は、素材の内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成している。無機皮膜の主成分として、石英、シリカ、ダイヤモンド、ダイヤモンド様カーボン又はアルミナであることが好ましい。
無機皮膜の膜厚は、10nm〜1000μmであるが、下限値として、10nmであることが好ましく、15nmであることが好ましく、20nmであることが好ましく、30nmであることが好ましく、50nmであることが好ましく、100nmであることが好ましく、1μmであることが好ましい。上限値として、800μmであることが好ましく、500μmであることが好ましく、300μmであることが好ましく、200μmであることが好ましく、150μmであることが好ましく、100μmであることが好ましく、80μmであることが好ましく、50μmであることが好ましく、30μmであることが好ましく、20μmであることが好ましく、10μmであることが好ましく、1μmであることが好ましい。
素材の内表面に無機皮膜を形成する方法として、高温により焼成による方法、真空蒸着、電子ビーム蒸着、スパッタリング等の物理蒸着による方法や化学的気相成長法(CVD)等の化学蒸着による方法が挙げられる。
本発明の容器の容量は、1L以上であることが好ましく、5L以上であることが更に好ましい。軽量性を有し、耐圧性、衝撃性に耐えうるので、100L以上であることもできる。
本発明の容器は、比抵抗等の電気的性能の長期的安定性が求められる電子デバイス製造用液状の有機材料に使用されることが好ましく、表示素子用の液状の有機材料に使用されることが更に好ましく、表示素子用の液晶材料、有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)材料、配向膜、またはフォトレジスト材料に使用されることが更に好ましく、液晶表示素子用の液晶材料に使用されることが更に好ましく、TFT駆動液晶表示素子用の液晶材料に使用されることが特に好ましい。
本発明の容器に使用される液晶材料として、例えば、フッ素基が導入された液晶化合物を含有する液晶組成物が挙げられ、誘電率異方性が正の液晶組成物および負の液晶組成物が挙げられる。
本発明の容器に使用される液晶材料を構成するフッ素基が導入された液晶化合物として、具体的には以下のようなものが挙げられる。
(式中、R11は炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていてもよく、A11、A12はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
(該構造中シクロヘキサン環の1つ又は2つ以上の−CH2−は酸素原子が直接隣接しないように、−O−で置換されていてもよく、X61及びX62はそれぞれ独立して−H、−Cl、−F、−CF3又は−OCF3を表す。)を表し、Xは−H、−Cl又は−Fを表し、Yは−F、−OCHF2、−CF3又は−OCF3を表し、Z11及びZ12はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCF2−又は−CF2O−を表し、m1は0〜4を表し、A12及び/又はZ12が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)
また、その他のフッ素基が導入された液晶化合物として、具体的には以下のようなものが挙げられる。
また、その他のフッ素基が導入された液晶化合物として、具体的には以下のようなものが挙げられる。
(式中、R21及びR22はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていてもよく、A21、A22はそれぞれ独立して下記の何れかの構造
を表し、Z21及びZ22はそれぞれ独立して単結合、−CH=CH−、−CH2O−、−OCH2−、−CH2CH2−、−(CH2)4−、−OCF2−又は−CF2O−を表し、m2及びm3は0〜3を表すが、m2+m3は1〜3を表し、A21、A22、Z21及び/又はZ22が複数存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよい。)
本発明の容器に使用される液晶材料には、フッ素基が導入された液晶化合物以外の液晶化合物も含有することができる。具体的には以下のような一般式(III−A)〜一般式(III−J)で表される化合物が挙げられる。
本発明の容器に使用される液晶材料には、フッ素基が導入された液晶化合物以外の液晶化合物も含有することができる。具体的には以下のような一般式(III−A)〜一般式(III−J)で表される化合物が挙げられる。
(式中、R5及びR6はそれぞれ独立して炭素数1〜15のアルキル基を表し、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の−CH2−は、酸素原子が直接隣接しないように、−O−、−CH=CH−、−CO−、−OCO−、−COO−、−CF2O−又は−OCF2−で置換されてよく、該アルキル基中の1つ又は2つ以上の水素原子は任意にハロゲンで置換されていてもよい。)
これらの液晶化合物は単独で用いても、複数を混合して用いても良い。
これらの液晶化合物は単独で用いても、複数を混合して用いても良い。
本発明の容器に使用される液晶材料として、前記液晶化合物の式中のR11、R21、R22、R5及びR6がアルケニル基である液晶化合物を含有するものは好ましい。
本発明の容器に使用される液晶材料として、重合性化合物を含有するものは好ましい。
本発明の容器に使用される液晶材料は、重合性化合物以外に添加剤を含有するものも挙げられる。添加剤として、例えば、光学活性化合物、重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、界面活性剤、表面改質剤等が挙げられる。
TFT駆動用液晶表示素子に用いられる液晶材料は、高比抵抗値あるいは高電圧保持率を有し、更にその経時安定性を強く求められることから、本発明の容器は好適である。比抵抗値1.0×1010Ω・cmから1×1016Ω・cmの液晶材料等の有機材料に適用するが、比抵抗値1.0×1012Ω・cm以上の液晶材料に適用することが好ましく、1.0×1013Ω・cm以上の液晶材料に適用することがより好ましく、5.0×1013Ω・cm以上の液晶材料に適用することがより好ましく、7.0×1013Ω・cm以上の液晶材料に適用することがより好ましく、1.0×1014Ω・cm以上の液晶材料に適用することが更に好ましい。
本発明の容器は、内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成させることで液晶材料の比抵抗や電圧保持率等の電気的性能を劣化させることなく、長期間に渡って、変化が極めて小さく、特性の維持をすることができると同時に、一度使用した後に再使用するための洗浄を繰り返し行なっても洗浄における耐久性や耐摩耗性に優れ、その後の使用において高い品質状態を維持することができるため、高品質を維持することが求められる液晶材料に貯蔵および輸送に使用することが好ましい。また、液晶材料を貯蔵あるいは輸送に使用している本発明の容器を配管等で、そのまま液晶表示素子の製造装置に連結することもできる。
本発明の容器は、輸送の際の移動を容易するために容器の底に底車等を取り付けることもできる。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下の実施例及び比較例の組成物における「%」は『質量%』を意味する。
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。なお、nは自然数を表す。
(側鎖)
-n -CnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n- CnH2n+1- 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
-On -OCnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- CnH2n+1O- 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
-V -CH=CH2
V- CH2=CH-
-V1 -CH=CH-CH3
1V- CH3-CH=CH-
-2V -CH2-CH2-CH=CH3
V2- CH3=CH-CH2-CH2-
-2V1 -CH2-CH2-CH=CH-CH3
1V2- CH3-CH=CH-CH2-CH2-
(連結基)
-n- -CnH2n-
-nO- -CnH2n-O-
-On- -O-CnH2n-
-COO- -C(=O)-O-
-OCO- -O-C(=O)-
-CF2O- -CF2-O-
-OCF2- -O-CF2-
(環構造)
実施例において化合物の記載について以下の略号を用いる。なお、nは自然数を表す。
(側鎖)
-n -CnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
n- CnH2n+1- 炭素原子数nの直鎖状のアルキル基
-On -OCnH2n+1 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
nO- CnH2n+1O- 炭素原子数nの直鎖状のアルコキシル基
-V -CH=CH2
V- CH2=CH-
-V1 -CH=CH-CH3
1V- CH3-CH=CH-
-2V -CH2-CH2-CH=CH3
V2- CH3=CH-CH2-CH2-
-2V1 -CH2-CH2-CH=CH-CH3
1V2- CH3-CH=CH-CH2-CH2-
(連結基)
-n- -CnH2n-
-nO- -CnH2n-O-
-On- -O-CnH2n-
-COO- -C(=O)-O-
-OCO- -O-C(=O)-
-CF2O- -CF2-O-
-OCF2- -O-CF2-
(環構造)
実施例中、測定した特性は以下の通りである。
Tni :ネマチック相−等方性液体相転移温度(℃)
Tcn :固体相−ネマチック相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ1 :20℃における回転粘度(mPa・s)
K33 :20℃における弾性定数K33(pN)
比抵抗値 :25℃における比抵抗値(Ω・cm)
電圧保持率:60Hz、1V印加条件での60℃における電圧保持率(%)
イオン密度:0.05Hz、20V印加条件での60℃におけるイオン密度(pC/cm−3)
また、重合性化合物含有液晶組成物に使用した重合性化合物の代表例として式(RM−A)および式(RM−B)の化合物を用いたが、本発明は該重合性化合物に限定されるものではない。
Tcn :固体相−ネマチック相転移温度(℃)
Δn :20℃における屈折率異方性
Δε :20℃における誘電率異方性
η :20℃における粘度(mPa・s)
γ1 :20℃における回転粘度(mPa・s)
K33 :20℃における弾性定数K33(pN)
比抵抗値 :25℃における比抵抗値(Ω・cm)
電圧保持率:60Hz、1V印加条件での60℃における電圧保持率(%)
イオン密度:0.05Hz、20V印加条件での60℃におけるイオン密度(pC/cm−3)
また、重合性化合物含有液晶組成物に使用した重合性化合物の代表例として式(RM−A)および式(RM−B)の化合物を用いたが、本発明は該重合性化合物に限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1、2および比較例1、2)
代表的な液晶組成物としてLC−Aを調製した。液晶組成物の構成とその物性値は表1のとおりであった。
(実施例1、2および比較例1、2)
代表的な液晶組成物としてLC−Aを調製した。液晶組成物の構成とその物性値は表1のとおりであった。
LC−A 99.6%に式(RM−A)の重合性化合物0.4%添加した重合性化合物含有液晶組成物MLC−Aを調製した。
また、鋼鉄製およびチタン製の容量10Lの耐圧構造を有する容器をそれぞれ製造した。次に、製造した容器のうち、鋼鉄製およびチタン製の容器を無作為に各1基ずつ取り出しそれぞれシリカまたはダイヤモンド様カーボン(DLC)を内表面に皮膜コートした。鋼鉄製容器に対するシリカコートの膜厚は20nmであった。チタン製容器に対するDLCコートの膜厚は400nmであった。準備した鋼鉄製またはチタン製容器(比較例1、比較例2)およびこれらの容器にシリカまたはダイヤモンド様カーボン(DLC)を内表面に皮膜コートした容器(実施例1、実施例2)に室温でMLC−Aを充填・密閉した各容器を保管し、1ヶ月後および3ヵ月後に開封し品質評価を行った。評価結果を表2に示す。
比較例1である鋼鉄製容器に充填したMLC−Aは1ヵ月後および3ヵ月後に比抵抗値の低下が見られた。また、比較例2であるチタン製容器に充填したMLC−Aは1ヵ月後には明確な比抵抗値の低下は見られなかったが、3ヵ月後には比抵抗値の低下が見られた。一方、実施例1である鋼鉄製容器内表面にシリカコートを施した容器および実施例2であるチタン製容器内表面にDLCコートを施した容器に充填したLC−Aは比抵抗値に低下は見られなかった。
次に、3ヶ月経過後のMLC−Aについて、ガスクロマトグラフ、高速流体クロマトグラフ分析を実施したが、初期状態の結果と違いはなく、内容物の経時的変化は認められなかった。
したがって、本発明の容器は液晶材料の品質を経時的に変化させない優れた容器である。
(実施例3、4および比較例3、4)
代表的な液晶組成物としてLC−Bを調製した。液晶組成物の構成とその物性値は表3のとおりであった。
次に、3ヶ月経過後のMLC−Aについて、ガスクロマトグラフ、高速流体クロマトグラフ分析を実施したが、初期状態の結果と違いはなく、内容物の経時的変化は認められなかった。
したがって、本発明の容器は液晶材料の品質を経時的に変化させない優れた容器である。
(実施例3、4および比較例3、4)
代表的な液晶組成物としてLC−Bを調製した。液晶組成物の構成とその物性値は表3のとおりであった。
LC−B 99.7%に式(RM−B)の重合性化合物0.3%添加した重合性化合物含有液晶組成物MLC−Bを調製した。
実施例1、2及び比較例1、2にて使用した鋼鉄製およびチタン製の容器を有機溶剤(ヘキサン、アセトン)で洗浄し、純水でリンスした後クリーンオーブンで乾燥させることで洗浄した。
洗浄を完了した鋼鉄製またはチタン製容器(比較例3、比較例4)およびシリカまたはダイヤモンド様カーボン(DLC)を内表面に皮膜コートした容器(実施例3、実施例4)に室温でMLC−Bを充填・密閉した各容器を保管し、1ヶ月後および3ヵ月後に開封し品質評価を行った。評価結果を表4に示す。
洗浄を完了した鋼鉄製またはチタン製容器(比較例3、比較例4)およびシリカまたはダイヤモンド様カーボン(DLC)を内表面に皮膜コートした容器(実施例3、実施例4)に室温でMLC−Bを充填・密閉した各容器を保管し、1ヶ月後および3ヵ月後に開封し品質評価を行った。評価結果を表4に示す。
比較例3である鋼鉄製容器および比較例4チタン製容器に充填したMLC−Bは1ヵ月後および3ヵ月後に比抵抗値の低下が見られた。一方、実施例1である鋼鉄製容器内表面にシリカコートを施した容器および実施例2であるチタン製容器内表面にDLCコートを施した容器に充填したLC−Bは比抵抗値に低下は見られなかった。
次に、3ヶ月経過後のMLC−Bについて、ガスクロマトグラフ、高速流体クロマトグラフ分析を実施したが、初期状態の結果と違いはなく、内容物の経時的変化は認められなかった。
したがって、本発明の容器は液晶材料の品質を経時的に変化させない優れた容器であり、洗浄後の使用においても高い品質状態を維持し、繰り返し使用に適した容器である。
次に、3ヶ月経過後のMLC−Bについて、ガスクロマトグラフ、高速流体クロマトグラフ分析を実施したが、初期状態の結果と違いはなく、内容物の経時的変化は認められなかった。
したがって、本発明の容器は液晶材料の品質を経時的に変化させない優れた容器であり、洗浄後の使用においても高い品質状態を維持し、繰り返し使用に適した容器である。
Claims (8)
- 内表面に10nm〜1000μmの膜厚を有する無機皮膜を形成した金属素材で構成された容器。
- 前記皮膜の主成分が、石英、シリカ、ダイヤモンド、ダイヤモンド様カーボン又はアルミナである請求項1記載の容器。
- 前記金属素材が、鉄、銅、耐腐食性鋼鉄、アルミニウム又はチタンである請求項1記載の容器。
- 融点が−70℃から30℃であり、比抵抗が1×1010Ω・cmから1×1016Ω・cmである液状の有機材料のために使用する請求項1に記載の容器。
- 水及び酸素に対する気密性を有する請求項1記載の容器。
- 前記の液状の有機材料が液晶材料である請求項1記載の容器。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の容器を用いた貯蔵又は運搬の方法。
- 不活性ガス雰囲気下で行う請求項7記載の貯蔵又は運搬の方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2020241128A1 (ja) | 2019-05-28 | 2020-12-03 | セントラル硝子株式会社 | β-ジケトン保存容器及び充填方法 |
-
2016
- 2016-04-14 JP JP2016081162A patent/JP2017190165A/ja active Pending
Cited By (6)
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