以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.運動解析システム
1−1.運動解析システムの構成
以下、運動解析の一例として、ゴルフスイングの解析を例に挙げて説明する。図1は、本実施形態の運動解析システムの構成例を示す図である。図1に示すように、本実施形態の運動解析システム(スイング解析システム)1は、センサーユニット(慣性センサーの一例)10およびスイング解析装置(運動解析装置の一例)20を含む。センサーユニット10とスイング解析装置20との間の通信は、無線通信でもよいし、有線通信でもよい。図2に示すように、スイング解析装置20は、パーソナルコンピューター20aの他、スマートフォンやタブレット等の携帯機器20b、あるいはヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)やリスト機器等のウェアラブル端末等の各種情報端末(クライアント端末)で実現される。
運動解析システム(スイング解析システム)1は、スイング解析装置20とは別にスイング診断装置30を含んで構成されても良い。ただし、スイング診断装置30はスイング解析装置20に含まれても良い。スイング診断装置30は、スイング解析装置20からの要求を処理するサーバーで実現されてもよい。スイング解析装置20とスイング診断装置30とは、ネットワーク40を介して接続されても良い。ネットワーク40は、インターネット等のワイドエリアネットワーク(WAN:Wide Area Network)でもよいし、ローカルエリアネットワーク(LAN:Local Area Network)でもよい。あるいは、スイング解析装置20とスイング診断装置30とは、例えば、近距離無線通信や有線通信により、ネットワーク40を介さずに通信してもよい。
センサーユニット10は、図2に示すように、例えば互いに直交関係にある3軸の各軸方向の加速度と、例えば互いに直交関係にある3軸の各軸回りの角速度とを計測可能であり、運動器具としての、例えばゴルフクラブ3に装着される。
センサーユニット10は、例えば図3に示すように、互いに交差する(理想的には直交する)3つの検出軸(x軸、y軸、z軸)の向きが合わせられてゴルフクラブ(運動器具の一例)3に装着される。図3では、例えばy軸をゴルフクラブ3のシャフトの長手方向(ゴルフクラブ3の長手方向)に、例えばx軸を打球のターゲット方向(打撃目標方向)に合わせるようにして、シャフトの一部に取り付けられる。好ましくは、センサーユニット10は、打球時の衝撃が伝わりにくく、スイング時に遠心力がかかりにくいグリップに近い位置に取り付けられる。シャフトは、ゴルフクラブ3のヘッド(打撃部)3aを除いた柄の部分であり、グリップも含まれる。ただし、センサーユニット10は、ユーザー2の所定の部位(例えば、手やグローブなど)に取り付けられてもよいし、腕時計などのアクセサリーに取り付けられてもよい。
ユーザー2は、あらかじめ決められた手順に従って、ボールの一例であるゴルフボール4を打球するスイング動作または素振りによるスイング動作を行う。図4は、本実施形態においてユーザー2が打球するまでに行う動作の手順を示す図である。図4に示すように、ユーザー2は、まず、スイング解析装置20を介してユーザー2の身体情報とユーザー2が使用するゴルフクラブ3に関する情報(ゴルフクラブ情報)などの入力操作を行う(S1)。
図5は、スイング解析装置20の表示部25(図10参照)に表示される身体情報およびゴルフクラブ情報の入力画面の一例を示す図である。ユーザー2は、図4のステップS1において、図5に示す入力画面上で身長、性別、年齢、国などの身体情報を入力し、クラブ長(シャフトの長さ)、番手などのゴルフクラブ情報を入力する。なお、身体情報に含まれる情報は、これに限られず、例えば、身体情報は、身長に代えてまたは身長とともに腕の長さおよび脚の長さの少なくとも一方の情報を含んでもよい。同様に、ゴルフクラブ情報に含まれる情報は、これに限られず、例えば、ゴルフクラブ情報は、クラブ長と番手のいずれか一方の情報を含まなくてもよいし、他の情報を含んでもよい。
次に、ユーザー2は、スイング解析装置20を介して計測開始操作(センサーユニット10に計測を開始させるための操作)を行う(S2)。ユーザー2は、スイング解析装置20からアドレス姿勢(スイング開始前の基本姿勢)をとるように指示する通知(例えば音声による通知)を受けた後(S3がY)、ゴルフクラブ3のシャフトの長手方向がターゲットライン(打球の目標方向)に対して垂直となるようにアドレスの姿勢をとり、所定時間以上静止する(S4)。次に、ユーザー2は、スイング解析装置20からスイングを許可する通知(例えば音声による通知)を受けた後(S5がY)、スイング動作を行い、ゴルフボール4を打球する(S6)。なお、本実施形態は必ずしも打球するものに限らず、素振りにも適用でき、打球に相当するタイミングを検出する機能を有していてもよい。
ユーザー2が図4のステップS2の計測開始操作を行うと、スイング解析装置20はセンサーユニット10に計測開始コマンドを送信し、センサーユニット10は計測開始コマンドを受信して3軸加速度と3軸方向の角速度の計測を開始する。センサーユニット10は、所定周期(例えば1ms)で3軸方向の加速度と3軸角速度を計測し、計測したデータを順次、スイング解析装置20に送信する。
スイング解析装置20は、図4のステップS5に示したスイング開始の許可をユーザー2に通知し、その後、センサーユニット10の計測データに基づいて、ユーザー2がゴルフクラブ3を用いて打球したスイング動作(図4のステップS6)を解析する。
図6に示すように、ユーザー2が図4のステップS6で行うスイング動作は、アドレスの姿勢(静止状態)からスイング(バックスイング)を開始した後、バックスイング中にゴルフクラブ3のシャフトが水平になるハーフウェイバック、バックスイングからダウンスイングに切り替わるトップ、ダウンスイング中にゴルフクラブ3のシャフトが水平になるハーフウェイダウンの各状態を経て、ゴルフボール4を打球するインパクト(打球)に至る動作を含んでいる。そして、スイング解析装置20は、スイングが行われた時刻(日時)、ユーザー2の識別情報や性別、ゴルフクラブ3の種類、スイング動作の解析結果の情報を含むスイング解析データを生成し、ネットワーク40(図1参照)を介して、スイング診断装置30に送信する。
スイング診断装置30は、スイング解析装置20が送信したスイング解析データを、ネットワーク40を介して受信して保存する。従って、ユーザー2が図4の手順に従ってスイング動作を行う度に、スイング解析装置20により生成されたスイング解析データがスイング診断装置30に保存され、スイング解析データリストが構築される。
本実施形態では、ユーザー2は、スイング解析装置20の操作部23(図10参照)を介してスイング診断アプリケーションを起動させると、スイング解析装置20はスイング診断装置30と通信し、スイング解析装置20の表示部25に、例えば、図7に示すようなスイング解析データの選択画面が表示される。この選択画面には、スイング診断装置30に保存されているスイング解析データリストに含まれるユーザー2の各スイング解析データについて、時刻(日時)、使用されたゴルフクラブの種類およびスイングの解析結果としての一部の指標の値が含まれている。
図7に示す選択画面の左端には、各スイング解析データに対応づけられたチェックボックスがあり、ユーザー2は、スイング解析装置20の操作を介して、いずれか一つのチェックボックスをチェックした後、この選択画面の下部にあるOKボタンを押下する。これにより、スイング解析装置20はスイング診断装置30と通信し、スイング解析装置20の表示部25に、図7の選択画面でチェックされたチェックボックスに対応づけられたスイング解析データについて、例えば、図8に示すような、スイング診断の対象となる入力データの編集画面が表示される。
図8に示す入力データ編集画面には、性別、ゴルフクラブの種類(ドライバーとアイアンのいずれであるか)およびスイングの各指標に関して、選択されたスイング解析データに基づいて得られる値が初期値として含まれている。図7に示す選択画面に含まれている各指標(ハーフウェイバック時のヘッド3a位置の属する領域、ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の属する領域、フェース角、クラブパス(入射角)、トップ時のシャフト軸回転角、ヘッドスピード、グリップ減速率およびグリップ減速時間率)の意味や算出方法については後述する。
図8に示す入力データ編集画面における、性別、ゴルフクラブの種類および各指標値からなる入力データは、編集可能になっている。ユーザー2は、スイング解析装置20の操作部23(図10参照)を介して、入力データを編集せずに、あるいは編集した後、この入力データ編集画面の下部にある診断開始ボタンを押下する。これにより、スイング解析装置20は、診断開始ボタンが押下されたときの入力データをスイング診断装置30に送信する。
スイング診断装置30は、この入力データを受信し、当該入力データを用いて、複数の項目のレベルを算出する。例えば、スイング診断装置30は、例えば、図9のレーダーチャートに示す「Vゾーン」、「回転」、「インパクト」、「ダウンブロー」または「アッパーブロー」、および「スイング効率」の5つの項目について、例えば5点満点でそれぞれレベルを算出してもよい。この5つの項目の意味や算出方法については後述する。また、スイング診断装置30は、この5つの項目の各レベルからスイングの総合点も算出してもよい。そして、スイング診断装置30は、算出した複数の項目のレベルおよび総合点の情報をスイング解析装置20に送信する。なお、「レベル」は、例えば、「1,2,3,・・・」、「A,B,C,・・・」、「○,△,×,・・・」などで表現されてもよいし、点数で表現されてもよい。また、スイング診断装置30によるレベル(第1の解析情報)は、「Vゾーン」、「回転」、「インパクト」、「ダウンブロー」または「アッパーブロー」、および「スイング効率(効率)」の5つの項目に、「ヘッドスピード」、および「ハンドアップ」を加えた7つの項目のうち、少なくとも一つに係る情報が含まれていればよい。
スイング解析装置20は、複数の項目のレベルおよび総合点の情報を受信し、表示部25に、例えば、図9に示すようなスイング診断画面を表示させる。図9に示すスイング診断画面は、左側に入力データの情報を含んでいる。この入力データの情報は、図8に示す入力データ編集画面において診断開始ボタンが押下されたときの入力データ、すなわち、スイング診断装置30がスイングの診断(5つの項目のレベルおよび総合点の算出)に用いたデータの情報である。また、図9に示すスイング診断画面は、中央付近に5つの項目のレベルとしての点数を示すレーダーチャートを含み、右側に総合点の情報を含んでいる。
ユーザー2は、図9に示すスイング診断画面により、左側の入力データに対する診断結果として、複数の項目のレベルと総合点を把握することができる。特に、ユーザー2は、図8に示す入力データ編集画面において、入力データを編集せずに診断開始ボタンを押下すれば、図9に示すスイング診断画面より、自分のスイングについて長所や弱点を把握することができる。一方、ユーザー2は、図8に示す入力データ編集画面において、入力データを編集して診断開始ボタンを押下することで、例えば、弱点を克服するためにはどの指標をどの程度改善すれば良いかを把握することができる。以下では、複数の項目の「レベル」を「点数」で表現する例を挙げて説明するが、「1,2,3,・・・」、「A,B,C,・・・」、「○,△,×,・・・」などで表現する例に容易に置き換え可能であることはいうまでもない。
また、スイング解析装置20は、複数のスイングに係る複数の項目のレベルおよび総合点の情報を受信し、これらの複数の情報(データ)に基づいて、各々のボールの第1の解析情報を生成し、該第1の解析情報に基づいて、複数のスイングに対応する各々のボールの到達位置を推定する。そして推定された各々のボールの到達位置に基づいて、図36に示して後述する少なくとも二つの指標を軸とする座標系に、複数の時系列画像A1,A2,A3を含む第1の領域画像AAを生成する。そして、スイング解析装置20は、複数の時系列画像A1,A2,A3を、少なくとも二つの指標を軸とする座標系に一緒に表示させる。ここで、時系列画像A1,A2,A3は、複数のスイングに対応する各々のボールの到達位置の集合であり、それぞれの時系列画像A1,A2,A3毎における各々のボールの到達位置のばらつきを示している。なお、図35に示すように、少なくとも二つの指標を軸とする座標系に、複数のスイングに対応する各々のボールの到達位置のばらつきとして、一つの時系列画像A1を表示することとしてもよい。
このような時系列画像A1,A2,A3の表示により、ユーザー2は、複数のスイングに対応する複数のボールの到達位置(推定位置)のばらつき、換言すれば、複数のスイングによる複数のボールの到達位置(推定位置)に係るユーザーの現在の実力(レベル)がどの程度であるのかを、ばらつきも含めて具体的に且つ客観的に認識することができる。
1−2.センサーユニットおよびスイング解析装置の構成
図10は、センサーユニット10およびスイング解析装置20の構成例を示す図である。図10に示すように、本実施形態では、センサーユニット10は、加速度センサー12、角速度センサー14、信号処理部16および通信部18を含んで構成されている。ただし、センサーユニット10は、適宜、これらの構成要素の一部が削除または変更され、あるいは、他の構成要素が付加された構成であってもよい。
加速度センサー12は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々に生じる加速度を計測し、計測した3軸加速度の大きさおよび向きに応じたデジタル信号(加速度データ)を出力する。
角速度センサー14は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸の各々の軸回りに生じる角速度を計測し、計測した3軸角速度の大きさおよび向きに応じたデジタル信号(角速度データ)を出力する。
信号処理部16は、加速度センサー12と角速度センサー14から、それぞれ加速度データと角速度データを受け取って時刻情報を付して不図示の記憶部に記憶し、記憶した計測データ(加速度データと角速度データ)に時刻情報を付して通信用のフォーマットに合わせたパケットデータを生成し、通信部18に出力する。
加速度センサー12および角速度センサー14は、それぞれ3軸が、センサーユニット10に対して定義される直交座標系(センサー座標系)の3軸(x軸、y軸、z軸)と一致するようにセンサーユニット10に取り付けられるのが理想的だが、実際には取り付け角の誤差が生じる。そこで、信号処理部16は、取り付け角誤差に応じてあらかじめ算出された補正パラメーターを用いて、加速度データおよび角速度データをxyz座標系のデータに変換する処理を行う。
さらに、信号処理部16は、加速度センサー12および角速度センサー14の温度補正処理を行ってもよい。あるいは、加速度センサー12および角速度センサー14に温度補正の機能が組み込まれていてもよい。
なお、加速度センサー12と角速度センサー14は、アナログ信号を出力するものであってもよく、この場合は、信号処理部16が、加速度センサー12の出力信号と角速度センサー14の出力信号をそれぞれA/D変換して計測データ(加速度データと角速度データ)を生成し、これらを用いて通信用のパケットデータを生成すればよい。
通信部18は、信号処理部16から受け取ったパケットデータをスイング解析装置20に送信する処理や、スイング解析装置20から計測開始コマンド等の各種の制御コマンドを受信して信号処理部16に送る処理等を行う。信号処理部16は、制御コマンドに応じた各種処理を行う。
図10に示すように、本実施形態では、スイング解析装置20は、処理部21、通信部22、操作部23、記憶部24、表示部25、音出力部26および通信部27を含んで構成されている。ただし、スイング解析装置20は、適宜、これらの構成要素の一部が削除または変更され、あるいは、他の構成要素が付加された構成であってもよい。
通信部22は、センサーユニット10から送信されたパケットデータを受信し、処理部21に送る処理や、処理部21からの制御コマンドをセンサーユニット10に送信する処理等を行う。
操作部23は、ユーザー2の操作に応じたデータを取得し、処理部21に送る処理を行う。操作部23は、例えば、タッチパネル型ディスプレイ、ボタン、キー、マイクなどであってもよい。
記憶部24は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の各種ICメモリーやハードディスクやメモリーカードなどの記録媒体等により構成される。記憶部24は、処理部21が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、アプリケーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
本実施形態では、記憶部24には、処理部21によって読み出され、スイング解析処理を実行するためのスイング解析プログラム240が記憶されている。スイング解析プログラム240は、あらかじめ不揮発性の記録媒体(コンピューターに読み取り可能な記録媒体)に記憶されていてもよいし、処理部21がネットワーク40を介して不図示のサーバーあるいはスイング診断装置30からスイング解析プログラム240を受信して記憶部24に記憶させてもよい。
また、本実施形態では、記憶部24には、ゴルフクラブ情報242、身体情報244、センサー装着位置情報246、およびスイング解析データ248が記憶される。例えば、ユーザー2が、操作部23を操作して、図5の入力画面から、使用するゴルフクラブ3の仕様情報(例えば、シャフトの長さ、重心の位置、ライ角、フェース角、ロフト角等の情報などの少なくとも一部の情報)を入力し、入力された仕様情報をゴルフクラブ情報242としてもよい。あるいは、ユーザー2が、図4のステップS1において、ゴルフクラブ3の型番を入力(あるいは、型番リストから選択)し、記憶部24にあらかじめ記憶されている型番毎の仕様情報のうち、入力された型番の仕様情報をゴルフクラブ情報242としてもよい。
また、例えば、ユーザー2が、操作部23を操作して、図5の入力画面から、身体情報を入力し、入力された身体情報を身体情報244としてもよい。また、例えば、図4のステップS1において、ユーザー2が操作部23を操作してセンサーユニット10の装着位置とゴルフクラブ3のグリップエンドとの間の距離を入力し、入力された距離の情報をセンサー装着位置情報246としてもよい。あるいは、センサーユニット10を決められた所定位置(例えば、グリップエンドから20cmの距離など)に装着するものとして、当該所定位置の情報がセンサー装着位置情報246としてあらかじめ記憶されていてもよい。
スイング解析データ248は、スイングが行われた時刻(日時)、ユーザー2の識別情報や性別、ゴルフクラブ3の種類とともに、処理部21(スイング解析部211)によるスイング動作の解析結果の情報を含むデータである。
また、記憶部24は、処理部21の作業領域として用いられ、操作部23が取得したデータ、処理部21が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。さらに、記憶部24は、処理部21の処理により生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記憶してもよい。
表示部25は、処理部21の処理結果を文字、グラフ、表、アニメーション、その他の画像として表示するものである。表示部25は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイ(HMD:Head Mounted Display)などで
あってもよい。なお、一つのタッチパネル型ディスプレイで操作部23と表示部25の機能を実現するようにしてもよい。
表示部25は、例えば、後述する図35および図36に示されているように、第1の領域画像AAに含まれる複数の時系列画像A1,A2,A3を、少なくとも二つの指標を軸とする座標系に一緒に表示する。また、表示部25は、図41に示されているように、ユーザー2とは別の他のユーザーによる複数のスイングの、第1の領域画像AAに対応する第2の領域画像BBを一緒に表示してもよい。なお、これら表示例の詳細な説明については後述するため、ここでの説明を省略する。
なお、表示部25における操作部23の機能としては、表示部25に触れる(画面タッチ)などによって表示内容を切り替えたり、拡大縮小したりすることができる。このように、表示内容の指定を、表示部25の有する操作部23に対して行うことにより、指示を直接的に行うことができ、確実に、且つ容易に指示することができる。
音出力部26は、処理部21の処理結果(解析情報)を音声やブザー音等の音情報として提示するために出力するものである。音出力部26は、例えば、スピーカーやブザーなどであってもよい。
通信部27は、ネットワーク40を介してスイング診断装置30の通信部32(図23参照)との間でデータ通信を行うものである。例えば、通信部27は、スイング解析処理の終了後、処理部21からスイング解析データ248を受け取って、スイング診断装置30の通信部32に送信する処理を行う。また、例えば、通信部27は、図7の選択画面の表示に必要な情報をスイング診断装置30の通信部32から受信して処理部21に送る処理や、図7の選択画面における選択情報を処理部21から受け取ってスイング診断装置30の通信部32に送信する処理を行う。また、例えば、通信部27は、図8の入力データ編集画面の表示に必要な情報をスイング診断装置30の通信部32から受信して処理部21に送る処理を行う。また、例えば、通信部27は、処理部21から、図8の入力データ編集画面における診断開始ボタンが押下されたときの入力データを受け取ってスイング診断装置30の通信部32に送信する処理を行う。また、例えば、通信部27は、図9のスイング診断画面の表示に必要な情報(入力データに基づく診断結果の情報(複数の項目の点数や総合点))をスイング診断装置30の通信部32から受信して処理部21に送る処理を行う。
処理部21は、各種プログラムに従い、通信部22を介してセンサーユニット10に制御コマンドを送信する処理や、通信部22を介してセンサーユニット10から受信したデータに対する各種の計算処理を行う。また、処理部21は、各種プログラムに従い、記憶部24からスイング解析データ248を読み出して、通信部27を介してスイング診断装置30に送信する処理を行う。また、処理部21は、各種プログラムに従い、通信部27を介して、スイング診断装置30に各種の情報を送信し、スイング診断装置30から受信した情報に基づいて、第1の解析情報の表示データとしての第1の領域画像AA(例えば、図36参照)に対応する第1の領域画像データを形成し、出力することができる。また、処理部21は、その他の各種の制御処理を行う。
処理部21は、スイング解析プログラム240を実行することにより、データ取得部210、解析部としてのスイング解析部211、画像データ生成部212、記憶処理部213、表示処理部214および音出力処理部215として機能する。なお、処理部21は、コンピューターとしての機能を有している。
特に、本実施形態では、処理部21は、スイング解析プログラム240を実行することにより、データ取得部210、解析部としてのスイング解析部211、画像データ生成部212、記憶処理部213、表示処理部214および音出力処理部215として機能し、ユーザー2のスイング動作を解析する処理(スイング解析処理)を行う。
データ取得部210は、通信部22がセンサーユニット10から受信したパケットデータを受け取り、受け取ったパケットデータから時刻情報および計測データを取得し、記憶処理部213に送る処理を行う。また、データ取得部210は、通信部27がスイング診断装置30から受信した各種の画面(図7、図8、図9の各画面等)の表示に必要な情報を受け取って、画像データ生成部212に送る処理を行う。
記憶処理部213は、記憶部24に対する各種プログラムや各種データのリード/ライト処理を行う。例えば、記憶処理部213は、データ取得部210から受け取った時刻情報と計測データを対応づけて記憶部24に記憶させる処理や、スイング解析部211が算出した各種の情報やスイング解析データ248等を記憶部24に記憶させる処理を行う。
解析部としてのスイング解析部211は、センサーユニット10が出力する計測データ(記憶部24に記憶されている計測データ)や操作部23からのデータなどを用いて、ユーザー2のスイング動作(複数のスイング)を解析し、スイングが行われた時刻(日時)、ユーザー2の識別情報や性別、ゴルフクラブ3の種類、スイング動作の解析結果の情報を含む第1の解析情報としてスイング解析データ248を生成する処理を行う。特に、本実施形態では、スイング解析部211は、スイング動作の解析結果の情報の少なくとも一部として、スイングの各指標の値を算出する。なお、第1の解析情報としてのスイング解析データ248には、インパクト、Vゾーン、効率(スイング効率)、回転、ヘッドスピード、ハンドアップ、およびダウンブローの少なくとも一つに係る情報が含まれている。このような情報を得ることにより、ユーザー2は、より効率的なスイングの実力把握を行うことができる。
スイング解析部211は、スイングの指標として、少なくとも1つの仮想面を算出してもよい。例えば、少なくとも一つの仮想面は、後述する、シャフトプレーンSP(第1仮想面)と、シャフトプレーンSPと所定の角度をなすホーガンプレーンHP(第2仮想面)とを含み、スイング解析部211は、この指標として、「シャフトプレーンSP」と「ホーガンプレーンHP」とを算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、バックスイング中の第1のタイミングでのゴルフクラブ3のヘッド3aの位置を算出してもよい。例えば、第1のタイミングは、バックスイング中にゴルフクラブ3の長手方向が水平方向に沿う方向となるハーフウェイバックのときであり、スイング解析部211は、この指標として、後述する「ハーフウェイバック時のヘッド3aの位置」を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、ダウンスイング中の第2のタイミングでのゴルフクラブ3のヘッド3aの位置を算出してもよい。例えば、第2のタイミングは、ダウンスイング中にゴルフクラブ3の長手方向が水平方向に沿う方向となるハーフウェイダウンのときであり、スイング解析部211は、この指標として、後述する「ハーフウェイダウン時のヘッド3aの位置」を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、インパクト(打球時)におけるゴルフクラブ3のヘッド3aの入射角に基づく指標を算出してもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、後述する「クラブパス(入射角)ψ」を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、インパクト(打球時)におけるゴルフクラブ3のヘッド3aの傾きに基づく指標を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、インパクト(打球時)におけるゴルフクラブ3(ヘッド3a)の速度に基づく指標を算出してもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、後述する「ヘッドスピード」を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、シャフトの長手方向を回転軸として、バックスイングの開始時からインパクト(打球時)までの間の所定のタイミングにおけるゴルフクラブ3のシャフトの回転軸回り(以下、長軸回りと称す)の回転角に基づく指標を算出してもよい。ゴルフクラブ3の長軸回りの回転角は、基準となるタイミングから当該所定のタイミングまでにゴルフクラブ3が長軸回りに回転した角度であってもよい。基準となるタイミングは、バックスイングの開始時であってもよいし、アドレス時であってもよい。また、所定のタイミングは、バックスイングからダウンスイングに移行するとき(トップのとき)であってもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、後述する「トップ時のシャフト軸回転角θtop」を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、ダウンスイングにおけるゴルフクラブ3のグリップの減速量に基づく指標を算出してもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、後述する「グリップ減速率RV」を算出してもよい。なお、「グリップ減速率RV」は、「ナチュラルアンコック」もしくは「ナチュラルアンコック率」とも言われる。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、ダウンスイングにおけるゴルフクラブ3のグリップの減速期間に基づく指標を算出してもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、後述する「グリップ減速時間率RT」を算出してもよい。
スイング解析部211は、スイングの指標として、ダウンスイングにおけるゴルフクラブ3のグリップの減速タイミングに基づく指標を算出してもよい。例えば、スイング解析部211は、この指標として、ゴルフクラブ3のグリップ側を減速させ、ゴルフクラブ3のヘッド3aが加速される動きのタイミングであるナチュラルアンコックのタイミング(「ナチュラルリリースタイミング」)を算出してもよい。なお、ナチュラルアンコックのタイミングとは、トップスイングで蓄積したエネルギーが解放へと切り替わり、ゴルフクラブ3へ伝わっていく状態における切り替わりのタイミングを示す指標である。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、「Vゾーン」と呼ばれるシャフトプレーンSP(第1仮想面)とホーガンプレーンHP(第2仮想面)とにより挟まれる領域(図15および図17参照)において、ハーフウェイバック(HWB)時のヘッド3aの位置に係る指標およびハーフウェイダウン(HWD)時のヘッド3aの位置に係る指標を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、ゴルフクラブ3のヘッド3aにおける打球時のライ角およびアドレス時のライ角に基づく指標を算出してもよい。
また、スイング解析部211は、スイングの指標として、ゴルフクラブ3のヘッド3aにおける「フェース角」および「アタック角」に基づく指標を算出してもよい。
ただし、スイング解析部211は、適宜、これらの指標の一部の値を算出しなくてもよいし、その他の指標の値を算出してもよい。
画像データ生成部212は、表示部25に表示される画像に対応する画像データを生成する処理を行う。例えば、画像データ生成部212は、データ取得部210が受け取った各種の情報に基づき、図7に示した選択画面、図8に示した入力データ編集画面、図9に示したスイング診断画面に対応する画像データを生成する。
また、画像データ生成部212は、例えば図41に示されているボールの到達位置の推定結果に係る相関図の画像データを生成する処理、および表示部25に表示される第1の領域画像AA(例えば、ボールの到達位置)に対応する他のユーザーの画像データを生成する処理を行う。例えば、画像データ生成部212は、記憶部24に記憶されている他のユーザーによる複数のスイングの解析データに基づき、例えば図41に示されている第2の領域画像BBに対応する画像データ(第2の領域画像データ)を生成する。
表示処理部214は、表示部25に対して各種の画像(画像データ生成部212が生成した画像データに対応する画像の他、文字や記号等も含む)を表示させる処理を行う。例えば、表示処理部214は、画像データ生成部212が生成した画像データに基づき、表示部25に、図7に示した選択画面、図8に示した入力データ編集画面、図9に示したスイング診断画面等を表示させる。また、例えば、画像データ生成部212は、図4のステップS5において、ユーザー2にスイングの開始の許可を通知するための画像や文字等を表示部25に表示させてもよい。また、例えば、表示処理部214は、ユーザー2のスイング動作が終了した後、自動的に、あるいは、ユーザー2の入力操作に応じて、スイング解析部211による解析結果を示す文字や記号等のテキスト情報を表示部25に表示させてもよい。あるいは、センサーユニット10に表示部を設けておいて、表示処理部214は、通信部22を介してセンサーユニット10に画像データを送信し、センサーユニット10の表示部に各種の画像や文字等を表示させてもよい。
また、表示処理部214は、ユーザー2の指示により、表示部25に対して画像として表示されたユーザー2の第1の領域画像AAと一緒に、他のユーザーの第2の領域画像BBを表示させることとしてもよい。
また、表示処理部214は、表示部25に対して画像として表示された、第1の領域画像AAや第2の領域画像BBと共に、例えばボールの到達位置、もしくは打ち出し方向やボールの曲がりなどに関してのコメントを表示することができる。なお、コメントとしては、第1の領域画像AAに基づいた診断情報であったり、当該診断情報に基づいた練習方法を示すコメント情報であったりする。このように、コメントは、解析結果に対するアドバイス情報であることが好ましい。
このように、コメントとして、診断情報や診断情報に基づいた練習方法が表示されることにより、ユーザー2は、スイングの状態の理解がし易くなり、スイングの改善に対しての好適な対応を行うことができたり、効率的な練習を行うことができたりする。
音出力処理部215は、音出力部26に対して各種の音(音声やブザー音等も含む)を出力させる処理を行う。例えば、音出力処理部215は、図4のステップS5において、ユーザー2にスイングの開始の許可を通知するための音を音出力部26から出力させてもよい。また、例えば、音出力処理部215は、ユーザー2のスイング動作が終了した後、自動的に、あるいは、ユーザー2の入力操作に応じて、スイング解析部211による解析結果を示す音や音声を音出力部26から出力させてもよい。あるいは、センサーユニット10に音出力部を設けておいて、音出力処理部215は、通信部22を介してセンサーユニット10に各種の音データや音声データを送信し、センサーユニット10の音出力部に各種の音や音声を出力させてもよい。
なお、スイング解析装置20あるいはセンサーユニット10に振動機構を設けておいて、当該振動機構により各種の情報を振動情報に変換してユーザー2に通知してもよい。
1−3.スイング解析処理
本実施形態では、アドレス時(静止時)のゴルフクラブ3のヘッド3aの位置を原点とし、打球の目標方向を示すターゲットラインをX軸、X軸に垂直な水平面上の軸をY軸、鉛直上方向(重力加速度の方向と逆方向)をZ軸とするXYZ座標系(グローバル座標系)を定義する。そして、スイング解析部211は、各指標値を算出するために、センサーユニット10の計測データ(加速度データおよび角速度データ)を用いて、XYZ座標系(グローバル座標系)における、アドレス時からのセンサーユニット10の位置および姿勢を時系列に算出する。また、スイング解析部211は、センサーユニット10の計測データ(加速度データまたは角速度データ)を用いて、図6に示した、スイング開始、トップおよびインパクトの各タイミングを検出する。そして、スイング解析部211は、センサーユニット10の位置および姿勢の時系列データと、スイング開始、トップおよびインパクトの各タイミングとを用いて、スイングの各指標(例えば、図9のレーダーチャートに示すVゾーン、効率(スイング効率)、回転、インパクトおよびダウンブロー(またはアッパーブロー)等)の値を算出し、スイング解析データ248を生成する。
1−3−1.センサーユニット10の位置および姿勢の算出
ユーザー2が図4のステップS4の動作を行うと、まず、スイング解析部211は、加速度センサー12が計測した加速度データの変化量が所定時間継続して閾値を超えない場合に、ユーザー2がアドレス姿勢で静止していると判定する。次に、スイング解析部211は、当該所定時間内の計測データ(加速度データおよび角速度データ)を用いて、計測データに含まれるオフセット量を計算する。次に、スイング解析部211は、計測データからオフセット量を減算してバイアス補正し、バイアス補正された計測データを用いて、ユーザー2のスイング動作中(図4のステップS6の動作中)のセンサーユニット10の位置および姿勢を計算する。
具体的には、まず、スイング解析部211は、加速度センサー12が計測した加速度データ、ゴルフクラブ情報242およびセンサー装着位置情報246を用いて、XYZ座標系(グローバル座標系)におけるユーザー2の静止時(アドレス時)のセンサーユニット10の位置(初期位置)を計算する。
図11は、ユーザー2の静止時(アドレス時)におけるゴルフクラブ3とセンサーユニット10をX軸の負側から視た平面図である。ゴルフクラブ3のヘッド3aの位置61が原点O(0,0,0)であり、グリップエンドの位置62の座標は(0,GY,GZ)である。ユーザー2は図4のステップS4の動作を行うので、グリップエンドの位置62やセンサーユニット10の初期位置は、そのX座標が0であり、YZ平面上に存在する。図11に示すように、ユーザー2の静止時にセンサーユニット10には重力加速度1Gがかかるので、センサーユニット10が計測するy軸加速度y(0)とゴルフクラブ3のシャフトの傾斜角(シャフトの長手方向と水平面(XY平面)とのなす角)αとの関係は式(1)で表される。
従って、スイング解析部211は、アドレス時(静止時)の任意の時刻間内の任意の加速度データを用いて、式(1)より、傾斜角αを算出することができる。
次に、スイング解析部211は、ゴルフクラブ情報242に含まれるシャフトの長さL1からセンサー装着位置情報246に含まれるセンサーユニット10とグリップエンドとの距離LSGを減算して、センサーユニット10とヘッド3aとの距離LSHを求める。さらに、スイング解析部211は、シャフトの傾斜角αにより特定される方向(センサーユニット10のy軸の負の方向)にヘッド3aの位置61(原点O)から距離LSHの位置をセンサーユニット10の初期位置とする。
そして、スイング解析部211は、その後の加速度データを積分してセンサーユニット10の初期位置から移動した位置の座標を時系列に計算する。
また、スイング解析部211は、加速度センサー12が計測した加速度データを用いて、XYZ座標系(グローバル座標系)におけるユーザー2の静止時(アドレス時)のセンサーユニット10の姿勢(初期姿勢)を計算する。ユーザー2は図4のステップS4の動作を行うので、ユーザー2のアドレス時(静止時)には、センサーユニット10のx軸はXYZ座標系のX軸と方向が一致し、かつ、センサーユニット10のy軸はYZ平面上にあるため、スイング解析部211は、ゴルフクラブ3のシャフトの傾斜角αより、センサーユニット10の初期姿勢を特定することができる。
そして、スイング解析部211は、その後の角速度センサー14が計測した角速度データを用いた回転演算を行ってセンサーユニット10の初期姿勢からの姿勢の変化を時系列に計算する。センサーユニット10の姿勢は、例えば、X軸、Y軸、Z軸回りの回転角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)、クオータニオン(四元数)などで表現することができる。
なお、センサーユニット10の信号処理部16が、計測データのオフセット量を計算し、計測データのバイアス補正を行うようにしてもよいし、加速度センサー12および角速度センサー14にバイアス補正の機能が組み込まれていてもよい。これらの場合は、スイング解析部211による計測データのバイアス補正が不要となる。
1−3−2.スイング開始、トップおよびインパクトのタイミングの検出
スイング解析部211は、まず、計測データを用いて、ユーザー2が打球したタイミング(インパクトのタイミング)を検出する。例えば、スイング解析部211は、計測データ(加速度データまたは角速度データ)の合成値を計算し、当該合成値に基づいてインパクトのタイミング(時刻)を検出してもよい。
具体的には、まず、スイング解析部211は、角速度データ(時刻t毎のバイアス補正された角速度データ)を用いて、各時刻tでの角速度の合成値n0(t)の値を計算する。例えば、時刻tでの角速度データをx(t)、y(t)、z(t)とすると、スイング解析部211は、次の式(2)により、角速度の合成値n0(t)を計算する。
次に、スイング解析部211は、各時刻tでの角速度の合成値n0(t)を所定範囲に正規化(スケール変換)した合成値n(t)に変換する。例えば、計測データの取得期間における角速度の合成値の最大値をmax(n0)とすると、スイング解析部211は、次の式(3)により、角速度の合成値n0(t)を0〜100の範囲に正規化した合成値n(t)に変換する。
次に、スイング解析部211は、各時刻tでの正規化後の合成値n(t)の微分dn(t)を計算する。例えば、3軸角速度データの計測周期をΔtとすると、スイング解析部211は、次の式(4)により、時刻tでの角速度の合成値の微分(差分)dn(t)を計算する。
図12は、ユーザー2がスイングを行ってゴルフボール4を打ったときの3軸角速度データx(t)、y(t)、z(t)の一例を示す。図12において、横軸は時間(msec)、縦軸は角速度(dps)である。
図13は、図12の3軸角速度データx(t)、y(t)、z(t)から3軸角速度の合成値n0(t)を式(2)に従って計算した後に式(3)に従って0〜100に正規化した合成値n(t)をグラフ表示した図である。図13において、横軸は時間(msec)、縦軸は角速度の合成値である。
図14は、図13の3軸角速度の合成値n(t)からその微分dn(t)を式(4)に従って計算し、グラフ表示した図である。図14において、横軸は時間(msec)、縦軸は3軸角速度の合成値の微分値である。なお、図12および図13では横軸を0〜5秒で表示しているが、図14では、インパクトの前後の微分値の変化がわかるように、横軸を2秒〜2.8秒で表示している。
次に、スイング解析部211は、合成値の微分dn(t)の値が最大となる時刻と最小となる時刻のうち、先の時刻をインパクトの時刻timpact(インパクトのタイミング)として検出する(図14参照)。通常のゴルフスイングでは、インパクトの瞬間にスイング速度が最大になると考えられる。そして、スイング速度に応じて角速度の合成値の値も変化すると考えられるので、スイング解析部211は、一連のスイング動作の中で角速度の合成値の微分値が最大または最小となるタイミング(すなわち、角速度の合成値の微分値が正の最大値または負の最小値になるタイミング)をインパクトのタイミングとして捉えることができる。なお、インパクトによりゴルフクラブ3が振動するため、角速度の合成値の微分値が最大となるタイミングと最小となるタイミングとが対になって生じると考えられるが、そのうちの先のタイミングがインパクトの瞬間と考えられる。
次に、スイング解析部211は、インパクトの時刻timpactよりも前で合成値n(t)が0に近づく極小点の時刻をトップの時刻ttop(トップのタイミング)として検出する(図13参照)。通常のゴルフスイングでは、スイング開始後、トップで一旦動作が止まり、その後、徐々にスイング速度が大きくなってインパクトに至ると考えられる。従って、スイング解析部211は、インパクトのタイミングより前で角速度の合成値が0に近づき極小となるタイミングをトップのタイミングとして捉えることができる。
次に、スイング解析部211は、トップの時刻ttopの前後で合成値n(t)が所定の閾値以下の区間をトップ区間とし、トップ区間の開始時刻より前で合成値n(t)が所定の閾値以下となる最後の時刻をスイング開始(バックスイング開始)の時刻tstartとして検出する(図13参照)。通常のゴルフスイングでは、静止した状態からスイング動作を開始し、トップまでにスイング動作が止まることは考え難い。従って、スイング解析部211は、トップ区間より前で角速度の合成値が所定の閾値以下となる最後のタイミングをスイング動作の開始のタイミングとして捉えることができる。なお、スイング解析部211は、トップの時刻ttopよりも前で、合成値n(t)が0(零)に近づく極小点の時刻をスイング開始の時刻tstartとして検出してもよい。
なお、スイング解析部211は、3軸加速度データを用いても、同様に、スイング開始、トップ、インパクトの各タイミングを検出することができる。
1−3−3.シャフトプレーンおよびホーガンプレーンの算出
シャフトプレーンは、ユーザー2のスイング開始前のアドレス時(静止状態)において、ターゲットライン(打球の目標方向)とゴルフクラブ3のシャフトの長手方向とで特定される第1仮想面である。また、ホーガンプレーンは、ユーザー2のアドレス時において、ユーザー2の肩付近(肩や首の付け根など)とゴルフクラブのヘッド3a(あるいは、ゴルフボール4)とを結ぶ仮想線とターゲットライン(打球の目標方向)とで特定される第2仮想面である。
図15は、シャフトプレーンおよびホーガンプレーンを示す図である。図15には、XYZ座標系(グローバル座標系)のX軸、Y軸、Z軸も表記されている。
図15に示すように、本実施形態では、打球の目標方向に沿った第1軸としての第1線分51と、ゴルフクラブ3のシャフトの長手方向に沿った第2軸としての第2線分52と、を含み、U1,U2,S1,S2を4つの頂点とする仮想平面をシャフトプレーンSP(第1仮想面)とする。本実施形態では、アドレス時のゴルフクラブ3のヘッド3aの位置61をXYZ座標系の原点O(0,0,0)とし、第2線分52は、ゴルフクラブ3のヘッド3aの位置61(原点O)とグリップエンドの位置62とを結ぶ線分である。また、第1線分51は、X軸上のU1,U2を両端として原点Oを中点とする線分である。ユーザー2がアドレス時に図4のステップS4の動作を行うことでゴルフクラブ3のシャフトがターゲットライン(X軸)に対して垂直となるので、第1線分51は、ゴルフクラブ3のシャフトの長手方向と直交する線分、すなわち第2線分52と直交する線分である。スイング解析部211は、シャフトプレーンSPとして、XYZ座標系における4つの頂点U1,U2,S1,S2の各座標を算出する。
具体的には、まず、スイング解析部211は、傾斜角αとゴルフクラブ情報242に含まれるシャフトの長さL1とを用いて、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標(0,GY,GZ)を計算する。図11に示すように、スイング解析部211は、シャフトの長さL1と傾斜角αを用いて、式(5)および式(6)により、GY,GZをそれぞれ計算することができる。
次に、スイング解析部211は、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標(0,GY,GZ)にスケールファクターSを乗算し、シャフトプレーンSPの頂点S1と頂点S2との中点S3の座標(0,SY,SZ)を計算する。すなわち、スイング解析部211は、式(7)および式(8)により、SYおよびSZをそれぞれ計算する。
図16は、図15のシャフトプレーンSPをYZ平面で切った断面図をX軸の負側から視た図である。図16に示すように、頂点S1と頂点S2との中点S3と原点Oとを結ぶ線分の長さ(シャフトプレーンSPのX軸と直交する方向の幅)は、第2線分52の長さL1のS倍となる。このスケールファクターSは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーンSPに収まるような値に設定される。例えば、ユーザー2の腕の長さをL2とすると、シャフトプレーンSPのX軸と直交する方向の幅S×L1が、シャフトの長さL1と腕の長さL2の和の2倍となるように、スケールファクターSを式(9)のように設定してもよい。
また、ユーザー2の腕の長さL2は、ユーザー2の身長L0と相関があり、統計情報に基づき、例えば、ユーザー2が男性の場合は式(10)のような相関式で表され、ユーザー2が女性の場合は式(11)のような相関式で表される。
従って、スイング解析部211は、身体情報244に含まれるユーザー2の身長L0と性別とを用いて、式(10)または式(11)により、ユーザーの腕の長さL2を算出することができる。
次に、スイング解析部211は、中点S3の座標(0,SY,SZ)およびシャフトプレーンSPのX軸方向の幅(第1線分51の長さ)ULを用いて、シャフトプレーンSPの頂点U1の座標(−UL/2,0,0)、頂点U2の座標(UL/2,0,0)、頂点S1の座標(−UL/2,SY,SZ)、S2の座標(UL/2,SY,SZ)を計算する。X軸方向の幅ULは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーンSPに収まるような値に設定される。例えば、X軸方向の幅ULを、X軸と直交する方向の幅S×L1と同じ、すなわち、シャフトの長さL1と腕の長さL2の和の2倍に設定してもよい。
このようにして、スイング解析部211は、シャフトプレーンSPの4つの頂点U1,U2,S1,S2の座標を算出することができる。
また、図15に示すように、本実施形態では、第1軸としての第1線分51と、第3軸としての第3線分53と、を含み、U1,U2,H1,H2を4つの頂点とする仮想平面をホーガンプレーンHP(第2仮想面)とする。第3線分53は、ユーザー2の両肩を結ぶ線分付近にある所定位置63とゴルフクラブ3のヘッド3aの位置61とを結ぶ線分である。ただし、第3線分53は、所定位置63とゴルフボール4の位置とを結ぶ線分であってもよい。スイング解析部211は、ホーガンプレーンHPとして、XYZ座標系における4つの頂点U1,U2,H1,H2の各座標を算出する。
具体的には、まず、スイング解析部211は、アドレス時(静止時)におけるゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標(0,GY,GZ)と、身体情報244に基づくユーザー2の腕の長さL2とを用いて、所定位置63を推定し、その座標(AX,AY,AZ)を計算する。
図17は、図15のホーガンプレーンHPをYZ平面で切った断面図をX軸の負側から視た図である。図17では、ユーザー2の両肩を結ぶ線分の中点を所定位置63としており、所定位置63はYZ平面上に存在する。従って、所定位置63のX座標AXは0である。そして、図17に示すように、スイング解析部211は、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62をZ軸の正方向にユーザー2の腕の長さL2だけ移動させた位置が所定位置63であると推定する。従って、スイング解析部211は、所定位置63のY座標AYをグリップエンドの位置62のY座標GYと同じ値とする。また、スイング解析部211は、所定位置63のZ座標AZを、式(12)のように、グリップエンドの位置62のZ座標GZとユーザー2の腕の長さL2との和として計算する。
次に、スイング解析部211は、所定位置63のY座標AYおよびZ座標AZにそれぞれスケールファクターHを乗算し、ホーガンプレーンHPの頂点H1と頂点H2との中点H3の座標(0,HY,HZ)を計算する。すなわち、スイング解析部211は、式(13)および式(14)により、HYおよびHZをそれぞれ計算する。
図17に示すように、頂点H1と頂点H2との中点H3と原点Oとを結ぶ線分の長さ(ホーガンプレーンHPのX軸と直交する方向の幅)は、第3線分53の長さL3のH倍となる。このスケールファクターHは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がホーガンプレーンHPに収まるような値に設定される。例えば、ホーガンプレーンHPは、シャフトプレーンSPと同じ形および大きさとしてもよい。この場合、ホーガンプレーンHPのX軸と直交する方向の幅H×L3が、シャフトプレーンSPのX軸と直交する方向の幅S×L1と一致し、ゴルフクラブ3のシャフトの長さL1とユーザー2の腕の長さL2との和の2倍となる。従って、スイング解析部211は、スケールファクターHを式(15)により、計算することができる。
また、スイング解析部211は、所定位置63のY座標AYおよびZ座標AZを用いて、式(13)により、第3線分53の長さL3を計算することができる。
次に、処理部21は、中点H3の座標(0,HY,HZ)およびホーガンプレーンHPのX軸方向の幅(第1線分51の長さ)ULを用いて、ホーガンプレーンHPの頂点H1の座標(−UL/2,HY,HZ)、H2の座標(UL/2,HY,HZ)を計算する。なお、ホーガンプレーンHPの2つの頂点U1,U2はシャフトプレーンSPと共通するため、スイング解析部211は、ホーガンプレーンHPの頂点U1,U2の座標をあらためて計算する必要はない。
このようにして、スイング解析部211は、ホーガンプレーンHPの4つの頂点U1,U2,H1,H2の座標を算出することができる。
シャフトプレーンSP(第1仮想面)とホーガンプレーンHP(第2仮想面)とにより挟まれる領域は「Vゾーン」と呼ばれ、バックスイング中やダウンスイング中のゴルフクラブ3のヘッド3aの位置とVゾーンとの関係により、打球の軌道(球筋)をある程度推測することができる。例えば、バックスイングあるいはダウンスイング中の所定のタイミングでゴルフクラブ3のヘッド3aがVゾーンよりも低い空間に存在する場合はフック系の打球となりやすい。また、バックスイングあるいはダウンスイング中の所定のタイミングでゴルフクラブ3のヘッド3aがVゾーンよりも高い空間に存在する場合はスライス系の打球となりやすい。本実施形態では、図17から明らかなように、シャフトプレーンSPとホーガンプレーンHPとのなす角度βは、ゴルフクラブ3のシャフトの長さL1とユーザー2の腕の長さL2に応じて決定される。すなわち、角度βは、固定値ではなく、ゴルフクラブ3の種類やユーザー2の身体に応じて決まるので、ユーザー2のスイングを診断する指標としてより適切なシャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHP(Vゾーン)が算出される。
1−3−4.ハーフウェイバック時およびハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の算出
ハーフウェイバック時のヘッド3a位置は、ハーフウェイバックの瞬間、ハーフウェイバックの直前またはハーフウェイバックの直後のヘッド3aの位置であり、ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置は、ハーフウェイダウンの瞬間、ハーフウェイダウンの直前またはハーフウェイダウンの直後のヘッド3aの位置である。
まず、スイング解析部211は、スイング開始の時刻tstartからインパクトの時刻timpactまでの各時刻tにおけるセンサーユニット10の位置および姿勢を用いて、各時刻tにおけるヘッド3aの位置およびグリップエンドの位置を計算する。
具体的には、スイング解析部211は、各時刻tにおいて、センサーユニット10の位置から、センサーユニット10の姿勢により特定されるy軸の正の方向に距離LSHだけ離れた位置をヘッド3aの位置とし、ヘッド3aの位置の座標を計算する。前述の通り、距離LSHは、センサーユニット10とヘッド3aとの距離である。また、スイング解析部211は、各時刻tにおいて、センサーユニット10の位置から、センサーユニット10の姿勢により特定されるy軸の負の方向に距離LSGだけ離れた位置をグリップエンドの位置とし、グリップエンドの位置の座標を計算する。前述の通り、距離LSGは、センサーユニット10とグリップエンドとの距離である。
次に、スイング解析部211は、ヘッド3aの位置の座標とグリップエンドの位置の座標とを用いて、ハーフウェイバックのタイミングとハーフウェイダウンのタイミングを検出する。
具体的には、スイング解析部211は、スイング開始の時刻tstartからインパクトの時刻timpactまでの各時刻tにおけるヘッド3aの位置のZ座標とグリップエンドの位置のZ座標との差分ΔZを計算する。そして、スイング解析部211は、スイング開始の時刻tstartからトップの時刻ttopまでの間でΔZの符号が反転する時刻tHWBをハーフウェイバックのタイミングとして検出する。また、スイング解析部211は、トップの時刻ttopからインパクトの時刻timpactまでの間でΔZの符号が反転する時刻tHWDをハーフウェイダウンのタイミングとして検出する。
そして、スイング解析部211は、時刻tHWBにおけるヘッド3aの位置をハーフウェイバック時のヘッド3aの位置とし、時刻tHWDにおけるヘッド3aの位置をハーフウェイダウン時のヘッド3aの位置とする。
1−3−5.ヘッドスピードの算出
ヘッドスピードは、インパクトのとき(インパクトの瞬間、インパクトの直前またはインパクトの直後)のヘッド3aの速度の大きさである。例えば、スイング解析部211は、インパクトの時刻timpactにおけるヘッド3aの位置の座標とその一つ前の時刻におけるヘッド3aの位置の座標との差分により、インパクトの時刻timpactにおけるヘッド3aの速度を計算する。そして、スイング解析部211は、ヘッドスピードとして当該ヘッド3aの速度の大きさを計算する。
1−3−6.フェース角およびクラブパス(入射角)の算出
フェース角は、インパクトにおけるゴルフクラブ3のヘッド3aの傾きに基づく指標であり、クラブパス(入射角)は、インパクトにおけるゴルフクラブ3のヘッド3aの軌道に基づく指標である。
図18は、フェース角とクラブパス(入射角)を説明するための図である。図18には、XYZ座標系でZ軸の正側から視たXY平面上でのゴルフクラブ3(ヘッド3aのみ図示)が示されている。図18において、74はゴルフクラブ3のフェース面(打撃面)であり、75は打球点である。70は打球の目標方向を示すターゲットラインであり、71はターゲットライン70に直交する平面である。また、76はゴルフクラブ3のヘッド3aの軌跡を表す曲線であり、72は曲線76に対する打球点75での接線である。ここで、フェース角φは平面71とフェース面74とのなす角であり、換言すれば、フェース面74と直交する直線73とターゲットライン70とのなす角である。また、クラブパス(入射角)ψは接線72(XY平面におけるヘッド3aが打球点75を通過する方向)とターゲットライン70とのなす角である。
例えば、スイング解析部211は、ヘッド3aのフェース面74とx軸方向とのなす角度が常に一定である(例えば、直交する)ものとして、インパクトの時刻timpactにおけるセンサーユニット10の姿勢から、フェース面74に直交する直線の向きを計算する。そして、スイング解析部211は、当該直線の向きのZ軸成分を0としたものを直線73の向きとし、直線73とターゲットライン70とのなす角(フェース角)φを計算する。
また、例えば、スイング解析部211は、インパクトの時刻timpactにおけるヘッド3aの速度のZ軸成分を0(零)とした速度(すなわち、XY平面におけるヘッド3aの速度)の向きを接線72の向きとし、接線72とターゲットライン70とのなす角(クラブパス(入射角))ψを計算する。
なお、フェース角φは、ヘッド3aの打球点75への入射方向と関係なく向きが固定されているターゲットライン70を基準とするフェース面74の傾きを表すため、絶対フェース角とも呼ばれる。これに対して、直線73と接線72とのなす角ηは、ヘッド3aの打球点75への入射方向を基準とするフェース面74の傾きを表すため、相対フェース角と呼ばれる。相対フェース角ηは、(絶対)フェース角φからクラブパス(入射角)ψを減算した角度である。
1−3−7.トップ時のシャフト軸回転角の算出
トップ時のシャフト軸回転角θtopは、基準となるタイミングからトップのタイミングまでにゴルフクラブ3がシャフト軸回りに回転した角度(相対回転角)である。基準となるタイミングは、例えば、バックスイング開始時またはアドレス時である。本実施形態では、ユーザー2が右打ちの場合は、ゴルフクラブ3のヘッド3a側に先端を向けた右ねじの締め方向(グリップエンド側からヘッド3a側を視たときに時計回りの方向)をシャフト軸回転角θtopの正方向とする。逆に、ユーザー2が左打ちの場合は、ゴルフクラブ3のヘッド3a側に先端を向けた左ねじの締め方向(グリップエンド側からヘッド3a側を視たときに反時計回りの方向)をシャフト軸回転角θtopの正方向とする。
図19は、スイング開始(バックスイング開始)からインパクトまでのシャフト軸回転角の時間変化の一例を示す図である。図19において、横軸は時間(s)、縦軸はシャフト軸回転角(deg)である。図19には、スイング開始時(バックスイング開始時)を基準のタイミング(シャフト軸回転角が0°)としたトップ時のシャフト軸回転角θtopが示されている。
本実施形態では、図3に示したように、センサーユニット10のy軸がゴルフクラブ3のシャフトの長手方向(ゴルフクラブ3の長手方向)にほぼ一致している。従って、例えば、スイング解析部211は、スイング開始の時刻tstart(バックスイング開始時)またはアドレス時からトップの時刻ttop(トップ時)まで、角速度データに含まれるy軸角速度を時間積分することで、シャフト軸回転角θtopを計算する。
1−3−8.グリップ減速率およびグリップ減速時間率の算出
グリップ減速率は、グリップの減速量に基づく指標であり、ダウンスイング中にグリップが減速し始めるときのグリップの速度と、インパクトのときのグリップの速度との比である。また、グリップ減速時間率は、グリップの減速期間に基づく指標であり、ダウンスイング中にグリップが減速し始めてからインパクトまでの時間と、ダウンスイングの時間との比である。グリップの速度は、ユーザー2が把持している部分の速度であることが望ましいが、グリップの任意の部分(例えば、グリップエンド)の速度であってもよいし、グリップ付近の部分の速度であってもよい。
図20は、ダウンスイングにおけるグリップの速度の時間変化の一例を示す図である。図20において、横軸は時間(s)、縦軸はグリップの速度(m/s)である。図20において、グリップが減速を開始するときのグリップの速度(グリップの最大速度)をV1、インパクトのときのグリップの速度をV2とすると、グリップ減速率RV(単位:%)は、次の式(16)で表される。
また、図20において、トップからグリップが減速を開始するまでの時間をT1、グリップが減速を開始してからインパクトまでの時間をT2とすると、グリップ減速時間率RT(単位:%)は、次の式(17)で表される。
例えば、ユーザー2がゴルフクラブ3を把持する部分の近くにセンサーユニット10が取り付けられるものとして、センサーユニット10の速度をグリップの速度とみなしてもよい。従って、まず、スイング解析部211は、トップの時刻ttopからインパクトの時刻timpactまで(ダウンスイング中)の各時刻tにおけるセンサーユニット10の位置の座標とその一つ前の時刻におけるセンサーユニット10の位置の座標との差分により、各時刻tにおけるセンサーユニット10の速度を計算する。
次に、スイング解析部211は、各時刻tにおけるセンサーユニット10の速度の大きさを計算し、その最大値をV1、インパクトの時刻timpactにおける速度の大きさをV2とする。また、スイング解析部211は、センサーユニット10の速度の大きさが最大値V1となる時刻tvmaxを特定する。さらに、スイング解析部211は、T1=tvmax−ttop、T2=timpact−tvmaxを計算する。そして、スイング解析部211は、式(16)、式(17)により、それぞれグリップ減速率RV、グリップ減速時間率RTを計算する。
なお、スイング解析部211は、グリップエンドの速度をグリップの速度とみなし、ダウンスイング中)の各時刻tにおけるグリップエンドの位置の座標に基づき、グリップエンドの速度を計算し、上記と同様の計算により、グリップ減速率RVおよびグリップ減速時間率RTを求めてもよい。
1−3−9.アタック角の算出と、アタック角およびフェース角の符号の定義
図21は、アタック角δの定義について説明するための図である。本実施形態では、打撃目標方向を示すターゲットラインをX軸、X軸に垂直な水平面上の軸をY軸、鉛直上方向(重力加速度の方向と逆方向)をZ軸とするXYZ座標系を定義し、図21にはX軸、Y軸、Z軸が表記されている。ターゲットラインとは、例えば、ボールをまっすぐ飛ばす目標方向を指す。図21において、点Rはゴルフクラブ3のヘッド3aがゴルフボール4に当たった打球点であり、曲線L1はXZ平面におけるゴルフクラブ3のヘッド3aのスイング時の軌道の一部であり、直線L2はXZ平面における打球点Rでの曲線L1の接線である。図21に示すように、アタック角は、XY平面(水平面)Sxyに対する直線L2の角度δとして定義される。また、図21において、XY平面(水平面)Sxyに平行なX軸に沿った紙面に向って右向き方向は、打撃目標方向である。よって、アタック角δは、ゴルフクラブ(運動器具)3のヘッド(打撃部)3aのスイングの軌跡(曲線L1)に接する接線(直線L2)の方向と、X軸に沿った打撃目標方向と、のなす角度ということができる。
なお、打撃目標方向には、ゴルフクラブ3のヘッド3aのフェース面に直交する方向、ユーザーがあらかじめ設定した打撃方向、カップまでの直線距離を結んだ方向、等も含まれる。
本実施形態では、アタック角δの符号を、Y軸を回転軸として、Z軸の+Z(鉛直上向き)がX軸の+X方向(紙面に向って右方向)へ回転する方向(図15にて時計回りの方向)を第1符号、当該第1符号とは反対の符号を第2符号とする。図21のように、第1符号を例えば負(−)とし、第2符号を正(+)とする。図21に示すアタック角δの符号は第1符号(負)となる。つまり、ヘッド3aが打球点Rに対して紙面に向って斜め右下方向に入射するダウンブローの時はアタック角δ<0°である。ヘッド3aが打球点Rに対してX軸に沿って水平に入射するレベルブローの時はアタック角δ=0°である。ヘッド3aが打球点Rに対して紙面に向って斜め右上方向に入射するアッパーブローの時はアタック角δ>0°である。
一方、図18に示したフェース角(第2角度)φの符号を、Z軸を回転軸として、Y軸の+YがX軸の+X方向へ回転する方向(図18にて紙面に向って時計回りの方向)を第3符号、当該第3符号とは反対の符号を第4符号とする。図18では、第3符号を例えば負(−)とし、第4符号を正(+)とする。図18に示すフェース角(第2角度)φの符号は第3符号(負)となる。つまり、インサイドアウトでヘッド3aがクローズの状態でインパクトに至る時はフェース角φ<0°である。ヘッド3bのフェース面74がターゲットラインに対して垂直に入射するスクウェアな時はフェース角φ=0°である。アウトサイドインでヘッド3aがオープンの状態でインパクトに至る時はフェース角φ>0°である。
図10に示すスイング解析部211は、アタック角δを算出する第1角度算出部と、フェース角φを算出する第2角度算出部と、を含むことができる。これら第1,第2角度算出部は、図10に示すデータ取得部210からの出力、つまりセンサーユニット10の出力を用いて、図21および図18に示す関係から第1,第2角度δ,φを算出する。
1−3−10.スイング解析処理(スイング解析方法)の手順
図22は、処理部21によるスイング解析処理(スイング解析方法)の手順の一例を示すフローチャート図である。処理部21は、記憶部24に記憶されているスイング解析プログラム240を実行することにより、例えば、図22のフローチャートの手順でスイング解析処理を実行する。以下、図22のフローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、ユーザー2による計測開始操作(図4のステップS2の操作)が行われるまで待機し(S10のN)、計測開始操作が行われると(S10のY)、センサーユニット10に計測開始コマンドを送信し、センサーユニット10から計測データの取得を開始する(S12)。
次に、処理部21は、ユーザー2にアドレス姿勢をとるように指示する(S14)。ユーザー2は、この指示に従い、アドレス姿勢をとって所定時間以上静止する(図4のステップS4)。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データを用いてユーザー2の静止状態を検出すると(S16のY)、ユーザー2にスイング開始の許可を通知する(S18)。処理部21は、例えば、所定の音を出力し、あるいは、センサーユニット10にLEDを設けておいて当該LEDを点灯させる等して、ユーザー2にスイング開始の許可を通知し、ユーザー2は、この通知を確認した後にスイング動作(図4のステップS6の動作)を開始する。
次に、処理部21は、ユーザー2のスイング動作の終了後に、あるいは、スイング動作の終了前から、工程S20以降の処理を行う。
まず、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データ(ユーザー2の静止時(アドレス時)における計測データ)を用いて、センサーユニット10の初期位置と初期姿勢を計算する(S20)。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データを用いて、スイング開始、トップおよびインパクトのタイミングを検出する(S22)。
また、処理部21は、工程S22の処理と並行して、あるいは前後して、ユーザー2のスイング動作中のセンサーユニット10の位置と姿勢を計算する(S24)。
次に、処理部21は、工程S26〜S34において、センサーユニット10から取得した計測データ、工程S22で検出したスイング開始、トップ、インパクトの各タイミングおよび工程S24で計算したセンサーユニット10の位置、姿勢の少なくとも一部を用いて、上述したスイングに関する各種の指標の値を計算する。
処理部21は、工程S26では、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHPを計算する。
また、処理部21は、工程S28では、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置およびハーフウェイダウン時のヘッド3a位置を計算する。
また、処理部21は、工程S30では、ヘッドスピード、フェース角φ、アタック角δおよびクラブパス(入射角)ψを計算する。
また、処理部21は、工程S32では、トップ時のシャフト軸回転角θtopを計算する。
また、処理部21は、工程S34では、グリップ減速率RVおよびグリップ減速時間率RTを計算する。
そして、処理部21は、工程S26〜S34において算出した各種の指標を用いて、スイング解析データ248を生成してスイング診断装置30に送信し(S36)、スイング解析処理を終了する。
なお、図22のフローチャートにおいて、可能な範囲で各工程の順番を適宜変えてもよいし、一部の工程を削除あるいは変更してもよいし、他の工程を追加してもよい。
1−4.スイング診断装置の構成
図23は、スイング診断装置30の構成例を示す図である。図23に示すように、本実施形態では、スイング診断装置30は、処理部31、通信部32および記憶部34を含んで構成されている。ただし、スイング診断装置30は、適宜、これらの構成要素の一部が削除または変更され、あるいは、他の構成要素が付加された構成であってもよい。
記憶部34は、例えば、ROMやフラッシュROM、RAM等の各種ICメモリーやハードディスクやメモリーカードなどの記録媒体等により構成される。記憶部34は、処理部31が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、アプリケーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。
本実施形態では、記憶部34には、処理部31によって読み出され、スイング診断処理を実行するためのスイング診断プログラム340が記憶されている。スイング診断プログラム340は、あらかじめ不揮発性の記録媒体(コンピューターに読み取り可能な記録媒体)に記憶されていてもよいし、処理部31がネットワーク40を介して不図示のサーバーからスイング診断プログラム340を受信して記憶部34に記憶させてもよい。
また、本実施形態では、記憶部34には、スイング解析装置20が生成した複数のスイング解析データ248を含むスイング解析データリスト341が記憶(保存)されている。すなわち、スイング解析装置20の処理部21がユーザー2のスイング動作を解析する毎に生成したスイング解析データ248は、順次、スイング解析データリスト341に追加される。
さらに、本実施形態では、記憶部34には、Vゾーン点数表342、回転点数表343、インパクト点数表344、ダウンブロー点数表345、アッパーブロー点数表346およびスイング効率点数表347が記憶されている。これらの点数表の詳細については後述する。
また、記憶部34は、処理部31の作業領域として用いられ、処理部31が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。さらに、記憶部34は、処理部31の処理により生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記憶してもよい。
通信部32は、ネットワーク40を介してスイング解析装置20の通信部27(図10参照)との間でデータ通信を行うものである。例えば、通信部32は、スイング解析装置20の通信部27からスイング解析データ248を受け取って、処理部31に送る処理を行う。また、例えば、通信部32は、図7の選択画面の表示に必要な情報をスイング解析装置20の通信部27に送信する処理や、図7の選択画面における選択情報をスイング解析装置20の通信部27から受信して処理部31に送る処理を行う。また、例えば、通信部32は、図8の入力データ編集画面の表示に必要な情報を処理部31から受け取ってスイング解析装置20の通信部27に送信する処理を行う。また、例えば、通信部32は、スイング解析装置20の通信部27から、図8の入力データ編集画面における診断開始ボタンが押下されたときの入力データを受け取って処理部31に送り、処理部31から、当該入力データに基づく診断結果の情報(ユーザー2のスイングの特徴を示す複数の項目の点数や総合点)を受け取り、スイング解析装置20の通信部27に送信する処理を行う。また、例えば、通信部32は、図9のスイング診断画面の表示に必要な情報を処理部31から受け取って、スイング解析装置20の通信部27に送信する処理を行う。
処理部31は、各種プログラムに従い、通信部32を介してスイング解析装置20からスイング解析データ248を受信して、記憶部34に記憶させる(スイング解析データリスト341に追加する)処理を行う。また、処理部31は、各種プログラムに従い、通信部32を介して、スイング解析装置20から各種の情報を受信し、各種の画面(図7、図8、図9の各画面等)の表示に必要な情報をスイング解析装置20に送信する処理等を行う。また、処理部31は、その他の各種の制御処理を行う。
特に、本実施形態では、処理部31は、スイング診断プログラム340を実行することにより、データ取得部310、点数算出部311および記憶処理部312として機能し、スイング解析データリスト341から選択されたスイング解析データ248に対する診断処理(スイング診断処理)を行う。
データ取得部310は、通信部32がスイング解析装置20から受信したスイング解析データ248を受け取って記憶処理部312に送る処理を行う。また、データ取得部310は、通信部32がスイング解析装置20から受信した各種の情報を受け取って点数算出部311に送る処理を行う。
記憶処理部312は、記憶部34に対する各種プログラムや各種データのリード/ライト処理を行う。例えば、記憶処理部312は、データ取得部310からスイング解析データ248を受け取り、記憶部34に記憶させる(スイング解析データリスト341に追加する)処理や、記憶部34に記憶されているスイング解析データリスト341からスイング解析データ248を読み出す処理等を行う。また、例えば、記憶処理部312は、記憶部34に記憶されているVゾーン点数表342、回転点数表343、インパクト点数表344、ダウンブロー点数表345、アッパーブロー点数表346およびスイング効率点数表347を読み出す処理を行う。
点数算出部311(レベル算出部)は、スイングに関するデータに基づいて、複数の項目の点数(レベル)を算出する処理を行う。本実施形態では、スイングに関するデータは、図8の入力データ編集画面で診断開始ボタンが押下された時の入力データであってもよいし、図7の選択画面で選択されたスイング解析データ248であってもよいし、両者を含んでいてもよい。
例えば、図8の入力データ編集画面において、性別、ゴルフクラブの種類およびスイングの各指標が初期値のまま編集されずに診断開始ボタンが押下された場合、点数算出部311は、スイング解析データリスト341から選択されたスイング解析データ248に基づいて、点数を算出する処理を行う。一方、図8の入力データ編集画面において、性別、ゴルフクラブの種類およびスイングの各指標の少なくとも一つが編集されてから診断開始ボタンが押下された場合、点数算出部311は、選択されたスイング解析データ248の少なくとも一部が編集されたデータ(擬似データ)に基づいて、点数を算出する処理を行う。
点数の算出対象である複数の項目は、バックスイングおよびダウンスイングの少なくとも一方に関する第1項目を含む。第1項目は、少なくとも一つの仮想面と、バックスイング中の第1のタイミングでのゴルフクラブ3(運動器具の一例)のヘッド3a(打撃部の一例)の位置と、ダウンスイング中の第2のタイミングでのヘッド3aの位置との関係を示す項目を含んでもよい。例えば、第1のタイミングは、バックスイング中にゴルフクラブ3の長手方向が水平方向に沿う方向となるときであってもよい。また、例えば、第2のタイミングは、ダウンスイング中にゴルフクラブ3の長手方向が水平方向に沿う方向となるときであってもよい。
少なくとも一つの仮想面は、基準面としてのXY平面における打球の目標方向(ターゲットライン)に沿った第1軸である第1線分51、およびバックスイングの開始前におけるゴルフクラブ3の長手方向に沿った第2軸である第2線分52に基づいて特定される第1仮想面であるシャフトプレーンSPを含んでもよい。バックスイングの開始前とは、アドレス時(ユーザー2がアドレス姿勢をとって静止しているとき)であってもよい。
また、少なくとも一つの仮想面は、基準面としてのXY平面における打球の目標方向(ターゲットライン)に沿った第1軸である第1線分51と、バックスイングの開始前におけるゴルフクラブ3の長手方向と角度βをなす第3軸である第3線分53とに基づいて特定される第2仮想面(すなわち、第1仮想面と角度βをなす第2仮想面)であるホーガンプレーンHPを含んでもよい。
なお、少なくとも一つの仮想面は、シャフトプレーンSPとホーガンプレーンHPのいずれか一方のみを含んでもよい。また、少なくとも一つの仮想面は、シャフトプレーンSPやホーガンプレーンHPに代えて、他の仮想面(例えば、シャフトプレーンSPとホーガンプレーンHPとの間にある平面、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHPの外側にある平面、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHPの少なくとも一方と交差する平面など)を含んでもよい。
以降では、第1項目は、スイングの4つの指標である、「シャフトプレーンSP」と、「ホーガンプレーンHP」と、「ハーフウェイバック時のヘッド3aの位置」と、「ハーフウェイダウン時のヘッド3aの位置」との関係を示す項目(以下では、この項目名を「Vゾーン」とする)を含むものとする。
また、第1項目は、スイングの効率に関する項目を含んでもよい。スイングの効率に関する項目は、ダウンスイングにおけるゴルフクラブ3のグリップの減速量と減速期間との関係を示す項目であってもよい。以降では、第1項目は、スイングの効率に関する項目として、グリップの減速量に基づく指標である「グリップ減速率」とグリップの減速期間に基づく指標である「グリップ減速時間率」との関係を示す項目(以下では、この項目名を「スイング効率」とする)を含むものとする。
点数の算出対象である複数の項目は、さらに、インパクト(打球時)に関する第2項目を含む。第2項目は、インパクト(打球時)におけるゴルフクラブ3のヘッド3aの入射角とヘッド3aの傾きとの関係を示す項目を含んでもよい。以降では、第2項目は、インパクトにおけるゴルフクラブ3のヘッド3aの入射角に基づく指標である「クラブパス(入射角)ψ」とインパクトにおけるヘッド3aの傾きに基づく指標である「相対フェース角η」との関係を示す項目(以下では、この項目名を「インパクト」とする)を含むものとする。
また、第2項目は、インパクト(打球時)におけるゴルフクラブ3のヘッド3aのアタック角と絶対フェース角との関係を示す項目を含んでもよい。以降では、第2項目は、インパクトにおけるゴルフクラブ3のヘッド3aの位置とその最下点とに依存する「アタック角δ」とインパクトにおけるヘッド3aの傾きに基づく指標である「絶対フェース角φ」との関係を示す項目(以下では、この項目名を「ダウンブロー」または「アッパーブロー」とする)を含むものとする。
点数の算出対象である複数の項目は、さらに、バックスイングからダウンスイングに移行するときとインパクト(打球時)とに関する第3項目を含んでもよい。第3項目は、バックスイングからダウンスイングに移行するとき(トップのとき)のゴルフクラブ3の長軸回りの回転角とインパクトのとき(打球時)のゴルフクラブ3のヘッド3aの傾きとの関係を示す項目を含んでもよい。以降では、第3項目は、トップのタイミングにおけるゴルフクラブ3の長軸回りの回転角に基づく指標である「トップ時のシャフト軸回転角θtop」とインパクトにおけるヘッド3aの傾きに基づく指標である「(絶対)フェース角φ」との関係を示す項目(以下では、この項目名を「回転」とする)を含むものとする。
また、点数算出部311は、複数の項目の点数に基づき、総合点を算出する処理を行う。そして、処理部31は、点数算出部311によって算出された複数の項目の点数や総合点の情報を、通信部32を介してスイング解析装置20に送信する。すなわち、処理部31は、複数の項目の点数(レベル)や総合点の情報を出力する出力部としても機能する。
1−5.スイング診断処理
本実施形態では、スイング診断装置30の処理部31は、スイング診断処理として、スイングの特徴を示す複数の項目の点数および総合点を算出する処理を行う。
処理部31の点数算出部311による各項目の点数の算出方法および総合点の算出方法について詳細に説明する。
1−5−1.「Vゾーン」項目の点数の算出
点数算出部311は、ハーフウェイバック時とハーフウェイダウン時のヘッド3a位置が、それぞれ、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHP(Vゾーン)に基づいて決定される複数の領域のうちのどの領域に属するかによって、「Vゾーン」項目の点数を算出する。
図24Aおよび図24Bは、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHP(Vゾーン)と複数の領域との関係の一例を示す図である。図24Aは、X軸の負側から視た(YZ平面に投影した)場合の、シャフトプレーンSP、ホーガンプレーンHPおよび5つの領域A〜Eの関係を示している。図24Bは、シャフトプレーンSPおよびホーガンプレーンHPとユーザー2の姿勢との概略の一例を示す図である。領域Bは、ホーガンプレーンHPを含む所定の空間であり、領域Dは、シャフトプレーンSPを含む所定の空間である。領域Cは、領域Bと領域Dとに挟まれている空間(領域Bとの境界面SBCと領域Dとの境界面SCDとの間の空間)である。領域Aは、領域Cと反対側の境界面SABで領域Bと接する空間である。領域Eは、領域Cと反対側の境界面SDEで領域Dと接する空間である。
境界面SAB、境界面SBC、境界面SCDおよび境界面SDEの設定方法は、種々考えられる。一例を挙げると、YZ平面上において、ホーガンプレーンHPが境界面SABと境界面SBCのちょうど真ん中になり、かつ、シャフトプレーンSPが境界面SCDと境界面SDEのちょうど真ん中になり、かつ、領域B、領域C、領域Dの原点O(X軸)周りの角度が等しくなるように設定することができる。すなわち、シャフトプレーンSPとホーガンプレーンHPとのなす角度βに対して、ホーガンプレーンHPと境界面SABおよび境界面SBCとのなす角をそれぞれβ/4に設定し、シャフトプレーンSPと境界面SCDおよび境界面SDEとのなす角をそれぞれβ/4に設定すれば、領域B、領域C、 領域Dの角度がともにβ/2に設定される。
なお、ハーフウェイバック時やハーフウェイダウン時のヘッド3a位置のY座標が負となるようなスイングは想定できないので、図24Aでは、領域Aの境界面SABと反対側の境界面はXZ平面に設定されている。同様に、ハーフウェイバック時やハーフウェイダウン時のヘッド3a位置のZ座標が負となるようなスイングは想定できないので、領域Eの境界面SDEと反対側の境界面はXY平面に設定されている。もちろん、領域Aや領域Eの原点O(X軸)周りの角度も領域B、領域C、領域Dと等しくなるように、領域Aや領域Eの境界面を設定してもよい。
具体的には、まず、点数算出部311は、スイングに関するデータ(選択されたスイング解析データ248)に含まれるシャフトプレーンSPの4つの頂点U1,U2,S1,S2の各座標およびホーガンプレーンHPの4つの頂点U1,U2,H1,H2の各座標に基づき、領域A〜Eの各境界面SAB、境界面SBC、境界面SCDおよび境界面SDEを設定する。次に、点数算出部311は、スイングに関するデータ(選択されたスイング解析データ248)に含まれるハーフウェイバック時のヘッド3a位置の座標およびハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の座標がそれぞれ領域A〜Eのいずれに属するかを判定する。
この判定結果の情報は、スイング解析装置20に送信され、図8の入力データ編集画面における「性別」および「ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の属する領域」の情報として使用される。その後、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれる「ハーフウェイバック時のヘッド3a位置の属する領域」および「ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の属する領域」の情報を用いて、Vゾーン点数表342を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、図25に示すように、Vゾーン点数表342は、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置が属する領域とハーフウェイダウン時のヘッド3a位置が属する領域との組み合わせ毎の点数を規定する。例えば、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置が領域Aに属し、かつ、ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置が領域Aに属する場合の点数はpv1である。図25に示されている点数pv1〜pv25は、それぞれ、例えば1〜5点のいずれかである。
点数算出部311は、シャフトプレーンSPと、ホーガンプレーンHPと、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置と、ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置との関係に基づいて予測される打球が曲がりやすいほど低い点数を算出してもよい。「曲がりやすい」とは、打球後の軌道が曲がりやすい(スライスやフックとなりやすい)ことでもよいし、打球の方向が目標方向(ターゲットライン)から逸れやすいことでもよい。あるいは、点数算出部311は、打球がまっすぐ飛びやすいほど高い点数を算出してもよい。「まっすぐ飛びやすい」とは、打球後の軌道が曲がりにくい(ストレートとなりやすい)ことでもよいし、打球の方向が目標方向(ターゲットライン)から逸れにくいことでもよい。
例えば、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置が領域Eに属し、かつ、ハーフウェイダウン時のヘッド3a位置が領域Aに属する場合は、打球が曲がりやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に低い点数を算出する。従って、図25の例では、pv21は、例えば、1〜5点中の最低点である1点であってもよい。
また、例えば、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置とハーフウェイダウン時のヘッド3a位置がともに領域Cに属する場合は、打球がまっすぐ飛びやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に高い点数(例えば、5点満点)を算出する。従って、図25の例では、pv13は、例えば、1〜5点中の最高点である5点であってもよい。
1−5−2.「回転」項目の点数の算出
点数算出部311は、トップ時のシャフト軸回転角θtopとフェース角φがそれぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「回転」項目の点数を算出する。具体的には、まず、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれるトップ時のシャフト軸回転角θtopとフェース角φがそれぞれどの範囲に属するかを判定する。次に、点数算出部311は、回転点数表343を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、図26に示すように、回転点数表343は、トップ時のシャフト軸回転角θtopが属する範囲とフェース角φが属する範囲との組み合わせ毎の点数を規定する。図26の例では、トップ時のシャフト軸回転角θtopが属する範囲は、「θ1未満」、「θ1以上θ2未満」、「θ2以上θ3未満」、「θ3以上θ4未満」、「θ4以上」の5つの範囲に分類されている。また、フェース角φが属する範囲は、「φ1未満」、「φ1以上φ2未満」、「φ2以上φ3未満」、「φ3以上φ4未満」、「φ4以上φ5未満」、「φ5以上φ6未満」、「φ6以上」の7つの範囲に分類されている。そして、例えば、トップ時のシャフト軸回転角θtopが「θ1未満」に属し、かつ、フェース角φが「φ1未満」に属する場合の点数はpr1である。図26に示されている点数pr1〜pr35は、それぞれ、例えば1〜5点のいずれかである。
点数算出部311は、トップ時のシャフト軸回転角θtopとフェース角φとの関係に基づいて予測される打球が曲がりやすいほど低い点数を算出してもよい。
例えば、トップ時のシャフト軸回転角θtopが極端に大きい状態は、ゴルフクラブ3のフェース面が極度に開いた状態であるため、インパクトのときにフェース面がスクウェアまで戻りきらずに打球が曲がりやすいと予想される。また、フェース角φが極端に大きい状態はインパクトのときのフェース面が極度に開いた状態(オープン)であり、フェース角φが極端に小さい状態(絶対値が大きい負の状態)はインパクトのときのフェース面が極度に閉じた状態(クローズ)であり、いずれの状態でも打球が曲がりやすいと予想される。すなわち、例えば、シャフト軸回転角θtopが「θ4以上」に属し、かつ、フェース角φが「φ1未満」あるいは「φ6以上」に属する場合は、打球が曲がりやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に低い点数を算出する。従って、図26の例では、pr29やpr35は、例えば、1〜5点中の最低点である1点であってもよい。
また、例えば、トップ時のシャフト軸回転角θtopが小さければ、インパクトのときにフェース面がスクウェアまで戻りきり、打球がまっすぐ飛びやすいと予想される。また、フェース角φが0°に近い状態はインパクトのときのフェース面がスクウェアに近いため、打球がまっすぐ飛びやすいと予想される。すなわち、例えば、シャフト軸回転角θtopが「θ1未満」に属し、かつ、フェース角φが「φ3以上φ4未満」に属する場合は、まっすぐ飛びやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に高い点数(例えば、5点満点)を算出する。従って、図26の例では、pr4は、例えば、1〜5点中の最高点である5点であってもよい。
1−5−3.「インパクト」項目の点数の算出
点数算出部311は、クラブパス(入射角)ψと相対フェース角ηがそれぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「インパクト」項目の点数を算出する。具体的には、まず、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれるクラブパス(入射角)ψがどの範囲に属するかを判定する。また、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれるフェース角φからクラブパス(入射角)ψを減算して相対フェース角ηを算出し(図18参照)、相対フェース角ηがどの範囲に属するかを判定する。次に、点数算出部311は、インパクト点数表344を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、図27に示すように、インパクト点数表344は、相対フェース角ηが属する範囲とクラブパス(入射角)ψが属する範囲との組み合わせ毎の点数を規定する。図27の例では、相対フェース角ηが属する範囲は、「η1以上」、「η1未満η2以上」、「η2未満η3以上」、「η3未満η4以上」、「η4未満」の5つの範囲に分類されている。また、クラブパス(入射角)ψが属する範囲は、「ψ1未満」、「ψ1以上ψ2未満」、「ψ2以上ψ3未満」、「ψ3以上ψ4未満」、「ψ4以上」の5つの範囲に分類されている。そして、例えば、相対フェース角ηが「η1以上」に属し、かつ、クラブパス(入射角)ψが「ψ1未満」に属する場合の点数はpi1である。図27に示されている点数pi1〜pi25は、それぞれ、例えば1〜5点のいずれかである。
点数算出部311は、クラブパス(入射角)ψと相対フェース角ηとの関係に基づいて予測される打球が曲がりやすいほど低い点数を算出してもよい。
例えば、相対フェース角ηが極端に大きい状態はインパクトのときのフェース面が開いた状態(オープン)であり、フェース角φが極端に小さい状態(絶対値が大きい負の状態)はインパクトのときのフェース面が極度に閉じた状態(クローズ)であり、いずれの状態でも打球が曲がりやすいと予想される。また、例えば、クラブパス(入射角)ψが極端に大きい状態は、インパクトのときのヘッド3aの軌道が極度にインサイドアウトであるため、打球が曲がりやすいと予想される。クラブパス(入射角)ψが極端に小さい状態(絶対値が大きい負の状態)は、インパクトのときのヘッド3aの軌道が極度にアウトサイドインであるため、打球が曲がりやすいと予想される。すなわち、例えば、相対フェース角ηが「η1以上」あるいは「η4未満」に属し、かつ、クラブパス(入射角)ψが「ψ1未満」あるいは「ψ4以上」に属する場合は、打球が曲がりやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に低い点数を算出する。従って、図27の例では、pi1,pi5,pi21,pi25は、例えば、1〜5点中の最低点である1点であってもよい。
また、例えば、相対フェース角ηが0°に近く、かつ、クラブパス(入射角)ψが0°に近い場合は、インパクトのときのフェース面がスクウェアに近く、かつ、インパクトのときのヘッド3aの軌道がストレートに近いため、打球がまっすぐ飛びやすいと予想される。すなわち、例えば、相対フェース角ηが「η2未満η3以上」に属し、かつ、クラブパス(入射角)ψが「ψ2以上ψ3未満」に属する場合は、まっすぐ飛びやすいと予想されるため、点数算出部311は、相対的に高い点数(例えば、5点満点)を算出する。従って、図27の例では、pi13は、例えば、1〜5点中の最高点である5点であってもよい。
1−5−4.「ダウンブロー」項目の点数の算出
点数算出部311は、ゴルフクラブ3としてアイアンが選択されているとき、アタック角δと絶対フェース角φがそれぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「ダウンブロー」項目の点数を算出する。具体的には、まず、点数算出部311は、図21に示すアタック角δがどの範囲に属するかを判定する。また、点数算出部311は、図18に示すフェース角φがどの範囲に属するかを判定する。次に、点数算出部311は、図28に示すように、ダウンブロー点数表345を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、図28に示すように、ダウンブロー点数表345は、アタック角δが属する範囲と絶対フェース角φが属する範囲との組み合わせ毎の点数を規定する。図28の例では、アタック角δが属する範囲は、「−δ1未満」、「−δ1以上−δ2未満」、「−δ2以上−δ3未満」、「−δ3以上0以下」、「+δ4以上」の例えば5つの範囲に分類されている(δ1>δ2>δ3、δ4≒0)。また、絶対フェース角φが属する範囲は、「−φ1未満」、「−φ1以上0以下」、「0超え+φ1未満」、「+φ1以上+φ2未満」、「+φ2以上」の例えば5つの範囲に分類されている(φ1<φ2)。そして、例えば、アタック角δが「−δ1未満」に属し、かつ、絶対フェース角φが「−φ1未満」に属する場合の点数はpd1である。
ここで、アタック角(第1角度)δの符号が第2符号(正)のとき、Pd5,Pd10,Pd15,Pd20,Pd25のスコアを最小スコアとすることができる。この際、閾値δ4の絶対値は限りなく小さくしてよい(δ4≒0)。このようにインパクトにおけるアタック角(第1角度)δの第2符号(正)は、ダウンスイング中のクラブヘッド3aの最下点がインパクトの後となるアッパーブローを示す。ダウンブローが求められるアイアンクラブにおいてアタック角(第1角度)δの第2符号(正)であると判定されたときは、最小スコアとしてスイングを最小評価することができる。
次に、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)である場合、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第1閾値φ2以上のとき、この条件を満たす図28のPd21〜Pd24のスコアを低く設定することができる。このようにインパクトにおけるアタック角(第1角度)δの第1符号(負)は、ダウンスイング中のクラブヘッド3aの最下点がインパクトの前となるダウンブローを示す。また、アタック角(第1角度)δが0(零)であるとき真正なレベルブローとなるが、第1符号(負)であるアタック角の絶対値が小さいものもレベルブローとみなすことができる。この場合であっても、絶対フェース角(第2角度)φが、過度なオープン状態である第1閾値φ2以上と判定されたときは、アタック角(第1角度)δがダウンブローを示していてもスコアを低くしてスイングの評価を低くすることができる。
次に、例えば、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合に、アタック角(第1角度)δの絶対値が第2閾値δ2よりも小さく、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1よりも小さいとき、この条件を満たすPd8,Pd9,Pd13,Pd14のスコアを最大スコアとすることができる。アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合とは、アイアンクラブを用いたスイングが、適正なダウンブローであるとき、あるいはレベルブローである場合をいう。また、例えば、アタック角(第1角度)δの絶対値が第2閾値δ2より小さいとき、アタック角(第1角度)δは適正範囲にあると判定する。加えて、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1よりも小さいときも、絶対フェース角(第2角度)φも適正範囲にあると判定する。このような場合に、最大スコアとしてスイングを最大評価することができる。
次に、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)である場合に、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1以上第1閾値φ2未満であるときに、この条件を満たすPd16〜Pd19のスコアを低位のスコアとすることができる。アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合とは、アイアンクラブを用いたスイングが、適正なダウンブローであるとき、あるいはレベルブローである場合をいう。絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)である場合とは、フェース角がオープンのときである。その場合に、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1以上第1閾値φ2未満であれば、低位のスコアとする。なお、図28のPd21〜Pd24のスコアと図28のPd16〜Pd19のスコアと同一スコアとしても良い。
次に、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第3符号(負)である場合、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1以上であるとき、この条件を満たす図28のPd1,Pd2,Pd3,Pd4のスコアは、低位のスコアよりも高い中位のスコアとする(=中位のスコア)。アタック角に相当する第1角度の符号が第1符号(負)である場合とは、アイアンクラブを用いたスイングが、適正なダウンブローであるとき、あるいはレベルブローである場合をいう。絶対フェース角(第2角度)φの符号が第3符号(負)である場合とは、インパクトにおける打撃目標方向に対するヘッド(打撃部)3aのフェース角がクローズのときである。その場合に、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1以上であっても、低位のスコアよりも高い中位のスコアとする。
次に、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合、アタック角(第1角度)δの絶対値が第4閾値δ1以上、第2閾値δ2未満であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第3符号(負)である場合、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1未満のとき、この条件を満たす図28のスコア(Pd7)は、最大スコアよりも低く、中位のスコアよりも高いスコアとする。アタック角に相当する第1角度の符号が第1符号(負)である場合とは、アイアンクラブを用いたスイングが、適正なダウンブローのときである。その場合に、アタック角(第1角度)δの絶対値が第4閾値δ1以上第2閾値δ2未満であれば、アタック角(第1角度)δは適正範囲に準ずる範囲にあるといえる。一方、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第3符号(負)である場合とは、インパクトにおける打撃目標方向に対するヘッド(打撃部)3aのフェース角がクローズのときである。以上の場合に、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1未満であれば、最大スコアよりも低く、中位のスコアよりも高いスコアとする。
次に、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合、アタック角(第1角度)δの絶対値が第4閾値δ1以上、第2閾値δ2未満であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)である場合、絶対フェース角(第2角度)φの絶対値が第3閾値φ1未満のとき、この条件を満たす図28のスコア(Pd12)は、最大スコアよりも低く、中位のスコアよりも高いスコアとする。アタック角に相当する第1角度の符号が第1符号(負)である場合とは、アイアンクラブを用いたスイングが、適正なダウンブローのときである。その場合に、アタック角(第1角度)δの絶対値が第4閾値δ1以上第2閾値δ2未満であれば、アタック角(第1角度)δは適正範囲に準ずる範囲にあるといえる。一方、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)である場合とは、インパクトにおける打撃目標方向に対するヘッド(打撃部)3aのフェース角がオープンのときである。以上の場合に、アタック角(第1角度)δの絶対値が第3閾値φ1未満であれば、最大スコアよりも低く、中位のスコアよりも高いスコアとする。
本実施形態では、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第4符号(正)の場合に、第2角度の絶対値が大きいほど、低いスコアを算出することができる(例えば、Pd6<Pd7<Pd8,Pd9、Pd11<Pd12<Pd13)。
また、本実施形態では、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)である場合、第1角度の絶対値が小さいほど、かつ、第2角度の絶対値が小さいほど、高いスコアを算出することができる(例えば、Pd2<Pd7=Pd12<Pd8=Pd13、かつ、Pd7=Pd12>Pd17)。
さらに、本実施形態では、アタック角(第1角度)δの符号が第1符号(負)であり、かつ、絶対フェース角(第2角度)φの符号が第3符号(負)である場合、第2角度の絶対値が大きいほど、低いスコアを算出する(例えば、Pd1<Pd6、Pd2<Pd7、Pd3<Pd8、Pd4<Pd9)。
1−5−5.「アッパーブロー」項目の点数の算出
点数算出部311は、ゴルフクラブ3としてドライバー(ウッド)が選択されているとき、アタック角δと絶対フェース角φがそれぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「アッパーブロー」項目の点数を算出する。具体的には、点数算出部311は、アッパーブロー点数表346を参照し、例えば図29に示すようにして判定結果に対応する点数を算出する。
ここで図29は、例えば図28に示すアタック角(第1角度)δの符号を変更して作成することができる。つまり、ドライバー(ウッド)はアップブローが求められるので、アタック角(第1角度)δの符号がダウンブローを示す第1符号(負)であるとき、この条件を満たすPu5,Pu10,Pu15,Pu20,Pu25のスコアは、最小スコアとなる。また、アタック角(第1角度)δの符号がアッパーブローを示す第2符号(正)であっても、絶対フェース角(第2角度)φが過度のオープン状態を示すとき(φ≧+φ2)、この条件を満たすPu21〜Pu24のスコアは、最小スコアとなる。図29に示すスコアPu1〜Pu25は、図28に示すスコアPd1〜Pd25の対応する番号同士で同スコアとすることができる。例えば、図29では0≦δ<δ2、および−φ1<φ<+φ1の範囲で最大スコアとすることができる(Pu8=Pu9=Pu13=Pu14=最大スコア)。なお、図28と図29とで、δ1〜δ4の値またはφ1、φ2の値を共用しても良いし、異ならせても良い。さらに、図28と図29とで、Pd1〜Pd25の値とPu1〜Pu25の値を共用しても良いし、異ならせても良い。
1−5−6.「スイング効率」項目の点数の算出
点数算出部311は、グリップ減速率RVとグリップ減速時間率RTがそれぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「スイング効率」項目の点数を算出する。具体的には、まず、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれるグリップ減速率RVおよびグリップ減速時間率RTがそれぞれどの範囲に属するかを判定する。次に、点数算出部311は、スイング効率点数表347を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、図30に示すように、スイング効率点数表347は、グリップ減速率RVが属する範囲とグリップ減速時間率RTが属する範囲との組み合わせ毎の点数を規定する。図30の例では、グリップ減速率RVが属する範囲は、「nu1以上」、「nu1未満nu2以上」、「nu2未満nu3以上」、「nu3未満nu4以上」、「nu4未満nu5以上」、「nu5未満」の6つの範囲に分類されている。また、グリップ減速時間率RTが属する範囲は、「nup1以上」、「nup1未満nup2以上」、「nup2未満nup3以上」、「nup3未満nup4以上」、「nup4未満nup5以上」、「nup5未満」の6つの範囲に分類されている。そして、例えば、グリップ減速率RVが「nu1以上」に属し、かつ、グリップ減速時間率RTが「nup1以上」に属する場合の点数はps1である。図30に示されている点数ps1〜ps36は、それぞれ、例えば1〜5点のいずれかである。
点数算出部311は、グリップ減速率RVとグリップ減速時間率RTとの関係に基づいて予測されるスイングの効率が高いほど高い点数を算出してもよい。
ゴルフスイングにおいてヘッド3aを加速させるに当たり、ダウンスイングでは腕の力を抜いて腕を減速することでゴルフクラブの自然な回転が起こり、シャフトが加速すると考えられる。そして、ゴルフクラブの自然な回転は、ダウンスイング中にグリップの速度がどの程度減少しているかによって、その傾向を捉えることができる。従って、グリップ減速率RVが高いほどゴルフクラブの自然な回転を利用した効率の良いスイングを実現することができたと予想される。ただし、ゴルフクラブの自然な回転が起こるタイミングがインパクトのタイミングに近い、すなわち、グリップ減速時間率RTが低いと、ゴルフクラブの自然な回転を十分に利用しきれないままインパクトに至ることになり、必ずしも効率の良いスイングとは言えない。すなわち、例えば、グリップ減速率RVが「nu1以上」に属し、かつ、グリップ減速時間率RTが「nup1以上」に属する場合は、スイング効率が高いと予想されるため、点数算出部311は、相対的に高い点数を算出する。また、例えば、グリップ減速率RVが「nu5未満」に属し、かつ、グリップ減速時間率RTが「nup5未満」に属する場合は、スイング効率が低いと予想されるため、点数算出部311は、相対的に低い点数を算出する。従って、図30の例では、ps1は、例えば、1〜5点中の最高点である5点であり、ps36は、例えば、1〜5点中の最低点である1点であってもよい。
1−5−7.「飛距離」項目の点数の算出
点数算出部311は、相対フェース角ηとヘッドスピードνなどから推定されるボールの到達地点(飛距離)κとが、それぞれ複数の範囲のうちのどの範囲に属するかによって、「飛距離」項目の点数を算出する。具体的には、まず、点数算出部311は、スイングに関するデータ(診断対象の入力データ)に含まれる相対フェース角ηとボールの到達地点(飛距離)κとがそれぞれどの範囲に属するかを判定する。次に、点数算出部311は、図31に示すボールの飛距離点数表350を参照し、判定結果に対応する点数を算出する。
本実施形態では、ボールの飛距離点数表350は、図31に示すように、ボールの到達地点(飛距離)κと相対フェース角ηが属する範囲との組み合わせ毎の点数を規定する。図31の例では、ボールの到達地点(飛距離)κが属する範囲は、「κ1未満」、「κ1以上κ2未満」、「κ2以上κ3未満」、「κ3以上κ4未満」、「κ4以上」の5つの範囲に分類されている。また、相対フェース角ηが属する範囲は、「η1未満」、「η1以上φ2未満」、「η2以上η3未満」、「η3以上η4未満」、「η4以上η5未満」、「η5以上η6未満」、「η6以上」の7つの範囲に分類されている。そして、例えば、ボールの到達地点(飛距離)κが「κ1未満」に属し、かつ、相対フェース角ηが「η1未満」に属する場合の点数はpk1である。図31に示されている点数pk1〜pk35は、それぞれ、例えば1〜5点のいずれかである。
点数算出部311は、ボールの到達地点(飛距離)κと相対フェース角ηとの関係に基づいて予測されるボールの飛距離が短いほど低い点数を算出してもよい。例えば、到達地点(飛距離)κが「κ1未満」に属し、かつ相対フェース角ηが「η1未満」に属する場合は、打球がフック様に曲がりやすく飛距離が出ない(飛距離が短い)と予想され、あるいは相対フェース角ηが「η6以上」に属する場合は、打球がスライス様に曲がりやすく飛距離が出ない(飛距離が短い)と予想されるため、点数算出部311は、相対的に低い点数を算出する。従って、図31の例では、pk1やpk6は、例えば、1〜5点中の最低点である1点であってもよい。
また、例えば、相対フェース角ηが0°に近い状態は打球がまっすぐ飛びやすく、飛距離も伸びる(飛距離が長い)と予想される。すなわち、例えば、相対フェース角ηが「η3〜η4」に属し、到達地点(飛距離)κが「κ4以上」に属している場合は、まっすぐに飛びやすく、かつ飛距離も長くなると予想されるため、点数算出部311は、相対的に高い点数(例えば、5点満点)を算出する。従って、図31の例では、pk32は、例えば、1〜5点中の最高点である5点であってもよい。
ここで、図25〜図31に示す点数表は、いずれも第1指標と第2指標とに基づいて、レベルを算出している。このように、第1指標と第2指標との二軸座標におけるスイングのポジショニングによりレベルを算出して、インパクトにおけるゴルフクラブ(運道器具)のスイングを客観的に判定することができる。
また、第1指標と第2指標との関係により予めエリア毎にスコアが付されるために、ルックアップテーブルを用いることができる。ルックアップテーブルは、第1指標と第2指標とに基づいて、スコアを特定し、当該スコアをレベルとして算出することができる。このように、ルックアップテーブルにより第1指標と第2指標との関係に応じてスイングがスコア化されることで、インパクトにおけるゴルフクラブ(運道器具)のスイングの客観的な判定を容易かつ適切に実行することができる。
1−5−8.総合点の算出
点数算出部311は、「Vゾーン」項目の点数、「回転」項目の点数、「インパクト」項目の点数、「ダウンブロー」または「アッパーブロー」項目の点数、「スイング効率」項目の点数、および「飛距離」項目の点数に基づいて、総合点を算出する。
例えば、各項目の点数が5点満点である場合、総合点の満点を100点とするならば、点数算出部311は、各項目の点数をそれぞれ4倍して20点満点とした上ですべて加算して総合点を算出してもよい。図9に示したスイング診断画面では、各項目の5点満点の点数がレーダーチャートで表示されており、各項目の点数を4倍して加算した64点が総合点になっている。
また、例えば、点数算出部311は、スイングの診断(評価)に特に重要な項目の重みづけを大きくして各項目の点数を加算して総合点を算出してもよい。
1−5−9.スイング診断処理(スイング診断方法)の手順
図32は、スイング診断処理と関連するスイング解析装置20の処理部21による処理の手順の一例を示すフローチャート図である。また、図33は、スイング診断装置30の処理部31によるスイング診断処理(スイング診断方法)の手順の一例を示すフローチャート図である。スイング診断装置30の処理部31(コンピューターの一例)は、記憶部34に記憶されているスイング診断プログラム340を実行することにより、例えば、図33のフローチャートの手順でスイング診断処理を実行する。以下、図32および図33のフローチャートについて説明する。
まず、スイング解析装置20の処理部21は、スイング診断装置30に、ユーザー2に割り当てられたユーザー識別情報を送信する(図32のS100)。
次に、スイング診断装置30の処理部31は、ユーザー識別情報を受信し、ユーザー識別情報に対応するスイング解析データ248の一覧情報を送信する(図33のS200)。
次に、スイング解析装置20の処理部21は、スイング解析データ248の一覧情報を受信し、表示部25にスイング解析データの選択画面(図7)を表示させる(図32のS110)。
そして、スイング解析装置20の処理部21は、スイング解析データの選択画面においてスイング解析データ248が選択されるまで待機し(図32のS120のN)、選択されると(図32のS120のY)、スイング診断装置30にスイング解析データの選択情報を送信する(図32のS130)。
次に、スイング診断装置30の処理部31は、スイング解析データの選択情報を受信し(図33のS210)、選択情報に基づき選択されたスイング解析データ248に基づいて、性別(男性か女性か)およびゴルフクラブの種類(ドライバーかアイアンか)を判定する(図33のS220)。
また、スイング診断装置30の処理部31は、選択されたスイング解析データ248に基づいて、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置が属する領域およびハーフウェイダウン時のヘッド3a位置が属する領域を判定する(図33のS230)。
次に、スイング診断装置30の処理部31は、選択されたスイング解析データに基づく各種の情報を送信する(図33のS240)。選択されたスイング解析データに基づく各種の情報には、工程S220の判定結果、工程S230の判定結果および選択されたスイング解析データ248に含まれている一部の指標値(フェース角φ、アタック角δ、クラブパス(入射角)ψ、トップ時のシャフト軸回転角θtop、ヘッドスピード、グリップ減速率RV、グリップ減速時間率RT)の情報が含まれている。
次に、スイング解析装置20の処理部21は、選択されたスイング解析データ248に基づく各種の情報を受信し、表示部25に入力データの編集画面(図8)を表示させる(図32のS140)。
そして、スイング解析装置20の処理部21は、入力データの編集画面において診断開始の操作が行われるまで待機し(図32のS150のN)、診断開始の操作が行われると(図32のS150のY)、スイング診断装置30に診断対象の入力データを送信する(図32のS160)。
次に、スイング診断装置30の処理部31は、診断対象の入力データを受信し(図33のS250)、診断対象の入力データに基づいて、複数の項目の点数および総合点を算出する(図33のS260)。
次に、スイング診断装置30の処理部31は、スイング解析装置20に複数の項目の点数および総合点の情報を送信(出力)し(図33のS270)、スイング診断処理を終了する。
そして、スイング解析装置20の処理部21は、複数の項目の点数および総合点の情報を受信し、表示部25にスイング診断画面(図9)を表示させ(図32のS170)、処理を終了する。
なお、図32のフローチャートにおいて、可能な範囲で各工程の順番を適宜変えてもよいし、一部の工程を削除あるいは変更してもよいし、他の工程(例えば、「飛距離」項目の点数の算出)を追加してもよい。同様に、図33のフローチャートにおいて、可能な範囲で各工程の順番を適宜変えてもよいし、一部の工程を削除あるいは変更してもよいし、他の工程を追加してもよい。
図34は、スイング診断装置30の処理部31(点数算出部311)による、複数の項目の点数および総合点を算出する処理(図33の工程S260)の手順の一例を示すフローチャート図である。以下、図34のフローチャートについて説明する。
まず、処理部31は、記憶部34に記憶されているVゾーン点数表342を参照し、ハーフウェイバック時のヘッド3a位置の属する領域およびハーフウェイダウン時のヘッド3a位置の属する領域に対応する点数(「Vゾーン」項目の点数)を算出する(S261)。
次に、処理部31は、記憶部34に記憶されている回転点数表343を参照し、トップ時のシャフト軸回転角θtopおよびフェース角φに対応する点数(「回転」項目の点数)を算出する(S262)。
次に、処理部31は、フェース角φおよびクラブパス(入射角)ψから相対フェース角ηを算出する(S263)。
次に、処理部31は、記憶部34に記憶されているインパクト点数表344を参照し、相対フェース角ηおよびクラブパス(入射角)ψに対応する点数(「インパクト」項目の点数)を算出する(S264)。
次に、処理部31は、ゴルフクラブ3としてアイアンが選択されているとき、記憶部34に記憶されているダウンブロー点数表345を参照し、アタック角δおよび絶対フェース角φに対応する点数(「ダウンブロー」項目の点数)を算出する(S265)。あるいは、処理部31は、ゴルフクラブ3としてドライバー(ウッド)が選択されているとき、記憶部34に記憶されているアッパーブロー点数表346を参照し、アタック角δおよび絶対フェース角φに対応する点数(「アッパーブロー」項目の点数)を算出する(S265)。
次に、処理部31は、記憶部34に記憶されているスイング効率点数表347を参照し、グリップ減速率RVおよびグリップ減速時間率RTに対応する点数(「スイング効率」項目の点数)を算出する(S266)。
最後に、処理部31は、工程S261で算出した「Vゾーン」項目の点数、工程S262で算出した「回転」項目の点数、工程S264で算出した「インパクト」項目の点数、工程S265で算出した「ダウンブロー」または「アッパーブロー」項目の点数および工程S266で算出した「スイング効率」項目の点数に基づき、総合点を算出する(S267)。
上述したように算出されたそれぞれの点数(評価結果)に基づいて画像データ生成部212は、各々の指標に係る第1の解析情報としてのスイング解析データ248(相関データ)の画像データを生成する処理、および表示部25に表示される画像(例えば「ボールの到達位置」)に対応する他のユーザーの第2の解析情報としてのスイング解析データに係る画像データを生成する。そして、表示処理部214は、表示部25に対して各種の画像(画像データ生成部212が生成した画像データに対応する画像の他、文字や記号等も含む)を表示させる。
表示部25における具体的な表示方法としては、一方の軸である縦軸に飛距離(Y:ヤード)、および他方の軸である横軸にフェアウェイFWの幅方向位置の相関による2軸の座標系に、複数のボールの到達位置をプロットした、例えば図35を示すことができる。
1−5−10.スイング診断画面およびレッスン画面の表示例
以下、表示部25に表示される表示方法の具体的な表示例について、図35ないし図41を参照して説明する。図35は、表示例1として、ボールの到達位置の表示例を示す図である。図36は、表示例2として、ボールの到達位置および目標エリアの表示例を示す図である。図37は、到達位置の推定のための解析情報の一例としての「打ち出し方向」に係るヒストグラムである。図38は、到達位置の推定のための解析情報の一例としての「曲がり」に係るヒストグラム。図39は、右利きの被験者のクラブヘッドのスイング軌跡RSと、左利きの被験者のクラブヘッドのスイング軌跡LSとを示す表示例を説明する図である。図40は、被験者の利き手の相違により鏡像形となるスイング軌跡の一方を反転させ、他方を非反転として重ねた表示例を示す図である。図41は、表示例3として、ボールの到達位置とボールの飛球線(飛球軌跡)とを示す図である。
(表示例1)
先ず、図35を参照して、表示部25に表示される表示方法として、第1の領域画像AA(時系列画像A1)を含む表示方法について説明する。
図35に示すように、表示部25には、一方の軸(縦軸)を、ボールの飛距離(Y:ヤード)とし、他方の軸(横軸)を、例えばフェアウェイFWにおけるボールの幅方向位置(到達位置)とした2軸の座標系に、複数のスイングに係るボールの到達位置(図31参照)が各々プロットされて形成された集合を示す領域画像である時系列画像A1が示されている。
この座標系には、複数のスイングから得られた複数のデータに基づいて推定されたボールの到達位置が、一つの領域画像である時系列画像A1として表示されている。時系列画像A1は、各々のボールの打ち出し方向、ボールの曲がり、およびヘッドスピードの少なくとも一つに係る情報を含む第1の解析情報に基づいて生成される。各々のボールの打ち出し方向は、例えば「クラブパス(入射角)」などに係り、図37に示す時系列画像としての度数分布領域84A,85A,86Aのような情報として生成される。また、各々のボールの曲がりは、例えば「相対フェース角」などに係り、図38に示す時系列画像としての度数分布領域84B,85B,86Bのような情報として生成される。なお、図37、図38に示す表示例には、例えば図31に示されていた「飛距離」項目の点数表による点数評価に基づく評価結果がプロットされている。
時系列画像A1は、複数のスイングに係るボールの到達位置が各々プロットされて形成された集合、即ち到達位置のばらつき範囲を示しており、その中心となる位置情報として中心エリアP1が示されている。なお、時系列画像A1には、従前に行われたスイングを解析したスイングの解析データのばらつき範囲を示す外周線で囲まれた領域が示されている。換言すれば、時系列画像A1のばらつき範囲を示す外周線で囲まれた領域の面積の大小は、複数のスイングに係る複数のデータのばらつきの大小に対応しており、領域の面積が大きい程ばらつきが大きいと言える。
また、座標系の欄外には、例えば「現在のあなた」と題した、メッセージエリアが設けられ、ユーザー2のボールの到達位置に係る具体的な指標値やアドバイス情報などが掲示されていてもよい。
ところで、技量の高いゴルファー(ユーザー2)はスイングの再現性が高く、複数スイングを解析したときの各指標のバラつきも小さい、一方で、技量の低いゴルファー(ユーザー2)はスイングの再現性が低く、複数のスイングを解析したときの各指標のバラつきも大きくなる傾向にある。
そこで、このような表示例1に示す表示方法を用いれば、ユーザー2は、自身による複数のスイングによるボールの到達位置の現状を、ばらつきも含めて具体的に且つ客観的に視認可能な視覚情報として得ることができる。これにより、ユーザー2は、複数のスイングに対応する各々のボールの到達位置の現在の実力(レベル)を、容易に自覚・認識することができる。
(表示例2)
次に、図36を参照して、表示部25に表示される表示方法として、第1の領域画像AA(時系列の領域画像A1,A2,A3)および目標エリアTA1,TA2を含む表示方法について説明する。
図36に示すように、表示部25には、前述の表示例1と同様に、一方の軸(縦軸)を、ボールの飛距離(Y:ヤード)とし、他方の軸(横軸)を、例えばフェアウェイFWにおけるボールの幅方向位置(到達位置)とした2軸の座標系に、複数のスイングに係るボールの到達位置(図31参照)が各々プロットされて形成された集合を示す三つの領域画像として、時系列画像A1,A2,A3が示されている。なお、それぞれの時系列画像A1,A2,A3には、それぞれの中心エリアP1,P2,P3が併せて示されている。また、表示部25には、ユーザー2が目標とする二つの目標エリアTA1,TA2と、それぞれの中心エリアTP1,TP2が示されている。
この座標系には、複数のスイングから得られた複数のデータに基づいて推定されたボールの到達位置が、三つの時系列の領域画像である時系列画像A1,A2,A3として表示されている。時系列画像A1,A2,A3は、前述の表示例1と同様に、各々のボールの打ち出し方向、ボールの曲がり、およびヘッドスピードの少なくとも一つに係る第1の解析情報に基づいて生成される。各々のボールの打ち出し方向は、例えば、「クラブパス(入射角)」などに係り、図37に示す時系列画像としての度数分布領域84A,85A,86Aのような情報として生成される。また、各々のボールの曲がりは、例えば、「相対フェース角」などに係り、図38に示す時系列画像としての度数分布領域84B,85B,86Bのような情報として生成される。
時系列画像A1,A2,A3は、複数のスイングに係るボールの到達位置(推定値)が、定められた期間によって区分され、各々プロットされて形成された集合、即ち到達位置のばらつき範囲を示しており、その中心的な位置情報としてエリアP1,P2,P3が示されている。具体的に、時系列画像A1は、例えば15日から21日前までの期間のスイングに係るデータの集合であり、時系列画像A2は、例えば8日から14日前までの期間のスイングに係るデータの集合であり、時系列画像A3は、例えば現在から7日前までの期間のスイングに係るデータの集合である。
なお、時系列画像A1,A2,A3には、従前に行われたスイングを解析したスイングの解析データのばらつき範囲を示す外周線で囲まれた領域が示されている。換言すれば、時系列画像A1,A2,A3のばらつき範囲を示す外周線で囲まれた領域の面積の大小は、複数のスイングに係る複数のデータのばらつきの大小に対応しており、領域の面積が大きい程ばらつきが大きくなる。本表示例2では、時系列画像A1,A2,A3の内で、時系列画像A3のばらつきが最も小さいと言える。
また、ユーザー2の目標とするボールの到達位置が目標エリアTA1である場合、ユーザー2の所定の期間において、目標に近づいているか否かを、目標エリアTA1に対して、時系列画像A1,A2,A3が近づいているかを確認することにより判別することができる。例えば、表示例2では、15日から21日前までの期間である時系列画像A1、8日から14日前までの期間である時系列画像A2、現在から7日前までの期間である時系列画像A3の順に、目標エリアTA1に近づいている。換言すれば、ユーザー2の中心エリアP1と目標エリアTA1の中心エリアTP1を結ぶ目標線TLに略沿って、時系列画像A1の中心エリアP1から、時系列画像A2の中心エリアP2、時系列画像A3の中心エリアP3の順に、目標エリアTA1の中心エリアTP1に近づいていることが分かる。このように、ユーザー2は、この3週間で目標に対して順調に近づいている、即ち技量が向上していることが分かる。なお、時系列画像A1,A2,A3を表示せず、中心エリアP1,P2,P3のみ表示する表示形態であっても、同様な効果を奏することができる。
また、複数の時系列画像A1,A2,A3は、それぞれ表示形態が異なることが好ましい。具体的には、複数の時系列の表示形態として、時系列画像A1は実線、時系列画像A2は点線(破線)、時系列画像A3は一点鎖線の、異なる表示形態として表示されている。このように、第1の領域画像AAにおいて、時系列画像A1,A2,A3毎に表示形態(例えば、線の種類、色など)を異ならせて表示するため、ユーザー2は、複数のスイングにおけるボールの打ち出し方向に係る実力(レベル)に関して、過去から現在までどのように遷移してきたかの識別を一目で容易に行うことができる。
また、座標系の欄外には、例えば、「目標設定」や「あなたとのギャップ」と題した、メッセージエリアが設けられ、ユーザー2の目標値、およびユーザー2のボールの到達位置に係る具体的な実績値や目標値とのギャップなどが掲示されていてもよい。また、図示しないが、凡例エリア(チェックボックス)を設け、時系列画像A1,A2,A3の表示の一例として、「現在から7日前までの間の解析データの集合」、「8日前から14日前までの間の解析データの集合」など表示形態ごとの表示内容を記載する表示を行うことができる。
このような表示例2に示す表示方法を用いることにより、ユーザー2は、自身による複数のスイングによるボールの到達位置の現状を、ばらつきおよび自身の技量の向上具合も含めて具体的に且つ客観的に視認可能な視覚情報として得ることができる。これにより、ユーザー2は、複数のスイングに対応する各々のボールの到達位置の現在の実力(レベル)を、容易に自覚・認識することができる。
(ユーザーの利き手)
なお、ユーザー2には利き手があり、利き手の相違により、例えばゴルフスイングにおいては、スイング動作の回転方向が逆となる。このため、利き手が異なる被験者同士の運動解析データを比較する場合において、スイング軌跡の回転方向が逆に表示されるので重ね合わせて比較することができない。しかしながら、利き手が異なる被験者同士の運動解析データを相互利用する場合には、下記のように、予め利き手情報を付与して、画像を反転させる等の処理を行なうことで対応することができる。
図39は、右利きの被験者のゴルフクラブ3のクラブヘッド3aのスイング軌跡RSと、左利きの被験者のゴルフクラブ3のクラブヘッド3aのスイング軌跡LSとを、絶対座標系ΣXYZのX−Z平面に投影または三次元表示して真横から見たときの表示例を示している。図39において、X軸とY軸との交点Oは、X軸の原点にあり、クラブヘッド3aのアドレス位置(インパクト位置)である。スイング軌跡RSおよびスイング軌跡LSは、原点Oを通るZ軸を含む基準面に対し鏡面反転の関係にあるとも言える。
スイング軌跡RSとスイング軌跡LSとは、被験者の利き手の相違により、基準面に対してほぼ鏡像の関係にあり、センサーユニット10の出力から右利きまたは左利きかを自動的に判定することができる。
図39に示す被験者の利き手の相違により鏡像形となる一対の関係にある運動(RS,LS)の一方(例えばLS)と対応する運動解析情報は、センサーユニット10の出力に基づいてスイング解析部211(図10参照)にて算出されて、画像データ生成部212(図10参照)に入力される。画像データ生成部212は、一方の運動解析情報の値の符号(+,−)を反転して、一対の関係にある運動(RS,LS)の一方(例えばLS)を、図40に示すように反転画像(/LS)として表示することができる。
これにより、図40に示すように、一対の関係にある運動(RS,LS)の一方(例えばLS)は、一対の関係にある運動(RS,LS)の他方(RS)が表示される側に反転されて表示される。つまり、例えば利き手が左手である運動は、利き手が右手である運動の画像と同じ向きで表示される。これにより、利き手が左手である運動と、利き手が右手である運動とを対比し易くなり、運動解析が容易となる。
一対の関係にある運動(RS,LS)の双方が入力された場合には、センサーユニット10の出力を用いて、スイング解析部211にて運動解析情報が算出される。画像データ生成部212は運動解析情報の内の一方(例えばLS)を反転し、他方(RS)を非反転として、一対の関係にある運動(RS,LS)の一方の反転画像(例えば/LS)と他方(例えばRS)の非反転画像(RS)とを、図40に示すように画面上で重ねて表示することができる。
こうすると、利き手が左手である運動を、利き手が右手である運動と同じ向きにて重ねて表示することができ、それにより両画像間の異同を明確に把握することができ、スイング解析がさらに容易となる。
(表示例3)
次に、図41を参照して、表示部25に表示される表示方法として、時系列の領域画像A1,A2,A3、目標エリアTA1、ボールの飛球線(飛球軌跡)、および他のユーザーによる第2の領域画像(到達位置に係る画像)BBを含む表示方法について説明する。なお、表示例3に係る表示は、相対フェース角ηとヘッドスピードνなどから推定されるボールの到達地点(飛距離)κなどに係り、図31に示されていた「飛距離」項目の点数表などに基づいて形成されることができる。
図41に示すように、表示部25には、前述の表示例1と同様に、一方の軸(縦軸)を、ボールの飛距離(Y:ヤード)とし、他方の軸(横軸)を、例えばフェアウェイFWにおけるボールの幅方向位置(Y:ヤード)とした2軸の座標系が設けられている。そして、この座標系に、打球点Q1と、ボールの飛球線(飛球軌跡)FC1,FC2と、複数のスイングに係るボールの到達位置の分布(ばらつき)を示す領域を示す三つの領域画像として、時系列画像A1,A2,A3が示されている。また、表示部25には、ユーザー2が目標とする到達位置エリアを示す目標エリアTA1が示されている。
ボールの飛球線(飛球軌跡)FC1,FC2は、ユーザー2のスイングの計測データに基づく解析結果に基づいて推定された、打球点Q1から到達位置までのボールの移動軌跡を示している。例えば、飛球線(飛球軌跡)FC1では、スライス気味にボールが飛び、到達位置まで達したこと、飛球線(飛球軌跡)FC2では、略直線(まっすぐに)ボールが飛び、到達位置まで達したことを示している。また、時系列画像A1,A2,A3は、推定されたボールの到達位置の分布(ばらつき)を示し、時系列毎に区分された集合が外周線で囲まれた領域として示されている。
複数の時系列画像A1,A2,A3は、それぞれの外周線で囲まれた領域の面積の大小によって、複数のスイングに係るデータのばらつきに対応している。本例では、領域の面積が大きい方がばらつきの大きいことを示している。そして、この例示内容は、凡例エリア(チェックボックス)96d2に示されている。また、複数の時系列画像A1,A2,A3のばらつき度合を表示することができる。同図では、表示例3の変形例の表示方法では、凡例エリア(チェックボックス)96d2内に記載されているように、凡例が、例えば、「88.2」などのように記載され、時系列画像A1,A2,A3のそれぞれのばらつき度合を示している。このばらつき度合は、この値が大きい程(100に近い程)ばらつきが小さい、即ち外周線で囲まれている領域の面積が小さいことを示している。なお、他の凡例エリア(チェックボックス)96d1には、時系列画像A1,A2,A3のそれぞれの時系列の条件、例えば実線で示す時系列画像A1は、現在から7日前までのデータを示すことなどを例示することができる。
また、表示部25には、比較対象として、ユーザー2とは別の、他のユーザーによる複数のスイングの、時系列画像A1,A2,A3に対応する第2の領域画像(到達位置に係る画像)BBを一緒に表示することができる。図41では、時系列画像A1,A2,A3の背景にプロットの濃淡によって、例えば色の濃い部分(本図では濃黒色部分)がデータの集中している部分である第2の領域画像BBが表示されている。
このような表示方法の表示例3によれば、ユーザー2は、自身の打ったボールの移動軌跡を画像表示で確認することができ、理解し易い。また、座標系に目標とする到達位置エリアを示す目標エリアTA1が示されていることにより、ユーザー2は、ボールの到達位置に関して、自身の実力(レベル)と目標とのギャップはどのくらいか、もしくは目標に対して現在の実力(レベル)がどの程度かなどを、ばらつきも含めて具体的に且つ客観的に視認し、確認することができる。
また、表示例3によれば、ユーザー2の第1の領域画像AAと、ユーザー2とは別の他のユーザーの複数のスイングの、第1の領域画像AAに対応する第2の領域画像BBとが、表示部25の二つの指標を軸とする座標系に一緒に表示される。これにより、ユーザー2は、ユーザー2の第1の領域画像AAと他者のスイングに係る第2の領域画像BBとを容易に比較することができ、客観的な評価を行うことができる。例えば、ユーザー2とは別のユーザーを、模範とすべき他者として、例えば指導者としたりプロゴルファーとしたりすれば、ユーザー2の実力が指導者やプロゴルファーの実力とどの程度離れているかを客観的な評価することができる。
なお、飛球線(飛球軌跡)FC1,FC2においても、時系列毎の領域を示す画像としたり、ばらつき度合を表示するエリア表示とすることができる。ここでのエリア表示とは、複数のスイングに係る複数の飛球軌跡を示す線分(図41に示す飛球線(飛球軌跡)FC1,FC2に相当する)を重ねて表示し、飛球軌跡を示す線分の集合として表示されるものである。このような表示とすれば、飛球線(飛球軌跡)FC1,FC2に関し、さらにばらつきを含めた確認を行うことができる。
(表示方法の変形例1)
次に、図42を参照して、解析結果の他の表示に係る変形例1について説明する。図42は、解析結果の他の表示に係る変形例1を示す図である。
解析結果の他の表示に係る変形例1は、図42に示されているように、目標とする、例えばプロゴルファーA,B,Cなどの実績データがエリア表示されている。そして、ユーザー2の従前の実績値Pから時系列の実績をプロットすることにより、例えば線分L10もしくは線分L20を描くことができる。例えば、ユーザー2が、プロゴルファーCを目指している場合、線分L10に沿うように時系列のプロットが並べば、目標とする姿に近づいていることが分かる。一方、線分L20に沿うように時系列のプロットが並べば、目標とする姿が遠ざかっている、換言すれば、目標とする姿に向かっていないことが分かる。
このように、ユーザーの実力(レベル)である実績値Pと、目標エリア(プロゴルファーA,B,Cなどの実績データ)のエリア表示と、実績値Pから時系列にプロットされる実績値と、が表示されるため、ユーザー2は、スイングに係る目標に向かっているのかを、一目で視覚的に理解することができる。
なお、目標エリア(プロゴルファーA,B,Cなどの実績データ)のエリア表示は、目標とする目標エリアのポジションを、例えば画面をタップすることにより、変更することも可能である。
(表示方法の変形例2)
次に、図43を参照して、前述の表示例3で説明した表示方法の変形例について説明する。図43は、解析結果の他の表示方法に係る変形例2を示す図である変形例2の表示方法では、座標系が基準線DL1,DL2によって複数の領域に分割されている。なお、変形例2の表示方法は、基準線DL1,DL2を除き前述の表示例3と同様であるため、その説明を省略する。
変形例2の表示方法では、縦軸および横軸に沿って設けられた基準線DL1,DL2によって座標系が複数の領域に分割されている。本変形例2では、座標系が、基準線DL1,DL2によって、第1象限Z1、第2象限Z2、第3象限Z3、および第4象限Z4の四つの領域に分割されている。そして、分割された四つの領域(第1象限Z1、第2象限Z2、第3象限Z3、および第4象限Z4)毎に、第2の領域画像BBのプロット点の占める割合が、凡例エリア(チェックボックス)96d3に百分率(%)で表示されている。
このような表示によれば、座標系が分割されたそれぞれの領域(第1象限Z1、第2象限Z2、第3象限Z3、および第4象限Z4)に含まれる、別のユーザーの複数のスイングに対応するそれぞれのボールの到達位置を推定した第2の領域画像BBの占有率、即ちそれぞれのスイングに対するボールの到達位置の推定情報に係る占有率が表示される。これにより、ユーザー2は、他者のスイングの状態を知ることができる。また、ユーザー2は、自身の複数のスイングにおけるボールの到達位置に関する偏りなどを、他者のスイングと比較しながら、客観的に確認することができる。
なお、座標系が、基準線DL1,DL2によって、第1象限Z1、第2象限Z2、第3象限Z3、および第4象限Z4の四つの領域に分割されたそれぞれの領域(第1象限Z1、第2象限Z2、第3象限Z3、および第4象限Z4)毎に、ユーザー2の解析データである時系列画像A1,A2,A3(第1の解析情報)のそれぞれのプロット点の占める割合が、凡例エリア(チェックボックス)96d3に、百分率(%)で表示されていてもよい。
なお、上記の実施形態では、スイング解析部211は、センサーユニットが計測した3軸角速度の合成値として式(2)に示すような二乗和の平方根を用いてインパクトを検出しているが、3軸角速度の合成値として、これ以外にも、例えば、3軸角速度の二乗和、3軸角速度の和あるいはその平均値、3軸角速度の積等を用いてもよい。また、3軸角速度の合成値に代えて、3軸加速度の二乗和あるいはその平方根、3軸加速度の和あるいはその平均値、3軸加速度の積等の3軸加速度の合成値を用いてもよい。
上記の実施形態において、図8のような入力データ編集画面を表示させずに、点数算出部311は、選択されたスイング解析データ248に基づいて、複数の項目の点数および総合点を算出してもよい。また、点数算出部311は、スイングの特徴を示す指標の値の全部を疑似的な値とする入力データ(例えば、すべての指標が手入力されたデータ)に基づいて、複数の項目の点数および総合点を算出してもよい。
また、上記の実施形態では、点数算出部311は、「Vゾーン」、「回転」、「インパクト」、「ダウンブロー」または「アッパーブロー」、「効率(スイング効率)」、「ヘッドスピード」、「ハンドアップ」の七つの項目の点数を算出しているが、これらの項目の一部の点数を算出しなくてもよいし、これ以外の項目の点数を算出してもよい。また、上記の実施形態では、点数算出部311は、総合点を算出しているが、総合点を算出しなくてもよい。また、「Vゾーン」、「回転」、「インパクト」、「ダウンブロー」または「アッパーブロー」、および「スイング効率(効率)」の5つの項目に、「ヘッドスピード」、および「ハンドアップ」など他の項目を加えてもよく、それらの項目のうち少なくとも一つに係る情報が含まれていればよい。
また、上記の実施形態では、点数算出部311は、各種の点数表を用いて複数の項目の点数を算出しているが、点数表に代えて数式を用いてもよい。
また、上記の実施形態において、点数算出部311がスイング解析部211としても機能し、スイングに関するデータであるセンサーユニット10の計測データ(慣性センサーの出力信号)に基づいて、スイング解析処理も含めたスイング診断処理(スイング解析処理および点数算出処理)を行ってもよい。
また、上記の実施形態では、ヘッド3aの属する領域A,B,C,D,Eを定義するために、Vゾーン(シャフトプレーンとホーガンプレーンとで挟まれた領域)という概念を導入した。このVゾーンは、ゴルフクラブ3の長手方向に沿った第1仮想面とユーザー2の肩付近を通る第2仮想面とで挟まれた領域である(図44Aを参照)。第1仮想面は、例えば、打球の目標方向に沿った第1軸およびスイングの開始前におけるゴルフクラブ3の長手方向に沿った第2軸で特定される、いわゆるシャフトプレーンである。第2平面は、例えば、第1軸を含み第1仮想面に対して所定の角度を成す、いわゆるホーガンプレーンである。但し、第2仮想面は、第1仮想面に対して並行な仮想面(第1仮想面に平行な仮想面、第1仮想面に沿った仮想面の双方を含む)であってもよい。因みに、平行な仮想面は「ショルダープレーン」と呼ばれることもある(図44Bを参照)。なお、上記の実施形態では、第1仮想面とユーザー2の身体情報244との双方に基づき第2仮想面を算出してもよいし、第1仮想面と所定の関係を有する面を第2仮想面としてもよい。
また、第1仮想面と第2仮想面の定義の仕方は、これらに限定されることはなく、例えば図44Cに示すような仮想面を用いてもよい。図44Cに示す二つの仮想面は、スイング開始前におけるシャフトの姿勢に基づき設定された仮想面であって、第1仮想面は、ユーザー2の肘付近を通る仮想面であり、第2仮想面は、ユーザーの膝付近を通る仮想面である。また、第1仮想面と第2仮想面とは、非並行であり、例えば、ゴルフクラブ3のグリップエンド方向への延長直線上において互いに交差する。
また、上述のように表示部25に対して画像として表示された、第1の領域画像AAや第2の領域画像BBと共に、第1の領域画像AAに基づいた診断情報、もしくは当該診断情報に基づいた練習方法を示すコメントとを表示することができる。このように、コメントとして、診断情報や診断情報に基づいた練習方法が表示されることにより、ユーザー2は、スイングの状態の理解がし易くなり、スイングの改善に対しての好適な対応を行うことができたり、効率的な練習を行うことができたりする。
1−6.運動解析システムの変形例
次に、図45および図46を参照して、運動解析システムの変形例を説明する。図45は、変形例に係る運動解析システムの構成例を示す図であり、図46は、変形例に係るセンサーユニットおよびスイング解析装置の配置例を示す図である。
変形例に係る運動解析システムとしてのスイング診断システム1000は、図45および図46に示すように、センサーユニット(慣性センサーの一例)10、ユーザー端末320、顧客端末350、およびサーバー300を含んで構成されている。このうち、ユーザー端末320、顧客端末350、およびサーバー300は、インターネットなどのネットワーク40に接続され、互いに情報を送受信することが可能である。センサーユニット10の使用例は、前述の実施形態と同様であり、センサーユニット10、ユーザー端末320、サーバー300、顧客端末350の間で送受信される情報の流れは、図45に示すとおりである。
センサーユニット10のユーザーは、例えば、センサーユニット10の購入者である。センサーユニット10は、例えばユーザーの所有するゴルフクラブ3に装着され、ユーザーによるゴルフスイングの練習に用いられる。また、ユーザー端末320の操作者は、ユーザーと同一である。ユーザー端末320は、ユーザーがセンサーユニット10を操作したり、ユーザーがサーバー300へアクセスしたりする際に用いられる。
顧客端末350の管理者は、様々なタイプのゴルフクラブ(運動器具の一例)を扱うゴルフ用品メーカーまたはゴルフ用品ショップである。当該メーカーまたはショップは、サーバー300の管理者にとっての顧客である(以下、適宜「顧客」と称す)。当該メーカーまたはショップには、ゴルフクラブを購入する目的でユーザーが訪れる。
顧客端末350の操作者は、顧客(メーカーまたはショップ)の従業員である。本変形例では、従業員は、メーカーまたはショップを訪れたユーザーに試し打ちをさせることでユーザーにフィットしたゴルフクラブを見出し、ゴルフクラブの購入をユーザーへ促す者(以下、単に「フィッター」と称す。)であると仮定する。
サーバー300の管理者は、例えば、センサーユニット10を制御するためのプログラムや各種の情報をユーザー端末320へ提供する旨を予め約束した者である。また、サーバー300の管理者は、本変形例の顧客(つまりメーカーまたはショップ)を含む複数の顧客に対して個別に情報を提供する旨を予め約束した者でもある。
ユーザー(不図示)は、自分の所有するゴルフクラブ3にセンサーユニット10を装着し、自分の身体情報、ゴルフクラブに関する情報(ゴルフクラブ情報)、センサー装着位置情報などを、ユーザー端末320へ入力する。身体情報には、例えば、ユーザーの身長、腕の長さ、脚の長さ、性別、その他の情報が含まれる。また、ゴルフクラブ情報には、例えば、ゴルフクラブ3のメーカー名、品番、番手、クラブタイプ(ヘッドタイプおよびシャフトタイプ)、仕様(長さ、重心の位置、ライ角、フェース角、ロフト角など)の情報が含まれる。
次に、ユーザーは、ユーザー端末320を介して計測開始操作(センサーユニット10に計測を開始させるための操作)を行う。次に、ユーザーは、ユーザー端末320からアドレス姿勢(スイング開始前の基本姿勢)をとるように指示する通知(例えば音声による通知)を受けた後、ゴルフクラブ3のシャフトの長手方向の軸がターゲットライン(打球の目標方向)に対して垂直となるようにアドレスの姿勢をとり、静止する。なお、図2に示したユーザーの姿勢がアドレス姿勢である。
次に、ユーザーは、ユーザー端末320からスイングを許可する通知(例えば音声による通知)を受けた後、スイング動作を行い、ゴルフボール4を打球する。
ユーザーが計測開始操作を行うと、ユーザー端末320からセンサーユニット10に計測開始コマンドが送信され、センサーユニット10は3軸加速度および3軸角速度の計測を開始し、計測したデータ(計測データ)は、逐次にユーザー端末320へ送信される。その後、ユーザー端末320は、受信した計測データに基づきスイング動作を解析し、スイング解析データを生成すると、サーバー300へ送信する。
なお、ユーザーによるスイング動作は、スイング(バックスイング)を開始した後、バックスイング中にゴルフクラブ3のシャフトが水平になるハーフウェイバック、バックスイングからダウンスイングに切り替わるトップ、ダウンスイング中にゴルフクラブ3のシャフトが水平になるハーフウェイダウンなどの各状態を経て、ゴルフボール4を打球するインパクト(打球)に至る動作を含んでいる。また、ユーザー端末320からサーバー300へ送信されるスイング解析データには、例えば、スイングの時刻(日時)、ユーザー識別情報(ユーザーID)、ユーザーの性別、ゴルフクラブ情報、ユーザーの身体情報、センサー装着位置情報などが付与される。
ここで、本変形例のユーザーは、例えば、ゴルフクラブを使用し続けても飛距離が伸びない場合などに、新しいゴルフクラブの購入を検討するべく、顧客端末350の所有者であるショップまたはメーカーを訪れる。
フィッターは、顧客端末350を操作してサーバー300にアクセスし、ホーム画面(ユーザーIDの入力画面)を呼び出して顧客端末350へ表示させる。
次に、フィッターは、ショップまたはメーカーを訪れたユーザーのユーザーIDを顧客端末350へ入力するよう当該ユーザーに促す。
顧客端末350へユーザーIDが入力されると、顧客端末350からサーバー300へ向けてユーザーIDおよび顧客IDが送信される。なお、ここでは、顧客端末350が顧客IDを予め記憶している場合を想定した。記憶していない場合は、フィッターが顧客IDを顧客端末350へ入力すればよい。また、顧客端末350に対するユーザーIDの入力は、ユーザーの代わりにフィッターが行ってもよい。
その後、サーバー300から顧客端末350へ診断結果が送信され、顧客端末350に表示される。本変形例における診断結果には、ショップまたはメーカーがユーザーへ推奨する推奨ゴルフクラブタイプ(推奨クラブタイプ)が含まれる。推奨クラブタイプは、例えば、推奨シャフトタイプと推奨ヘッドタイプとの組み合わせによって表される。
次に、フィッターは、顧客端末350に表示された推奨クラブタイプを確認し、自分の所属するショップまたはメーカーに保管された複数のゴルフクラブの中から、推奨クラブタイプに属する1または複数のゴルフクラブをピックアップする。
次に、フィッターは、ピックアップした1または複数のゴルフクラブでユーザーに実際に試し打ち(スイング)をしてもらい、ピックアップしたゴルフクラブがユーザーにフィットしているか否かを判定する。
仮に、ピックアップしたゴルフクラブがユーザーにフィットしていないとフィッターが判定した場合には、フィッターは、ショップまたはメーカーの保管する他のタイプのゴルフクラブをピックアップしてユーザーに試し打ちをしてもらう。フィッターは、これを繰り返すことで、ユーザーにフィットしたクラブタイプを探索する。
そして、ユーザーにフィットしたクラブタイプが見出されると、ユーザーは、フィットしたタイプのゴルフクラブを購入する。
ユーザーがゴルフクラブを購入すると、フィッターは、ユーザーが購入したゴルフクラブのクラブタイプ(購入クラブタイプ)を顧客端末350へ入力する。フィッターによるフィッティングデータの入力は、例えば、購入クラブタイプの属する領域を選択(タッチ、クリック)することによって行われる。
その結果、推奨クラブタイプおよび購入クラブタイプの組み合わせを示すフィッティグデータが顧客端末350からサーバー300へ送信される。
仮に、推奨クラブタイプと購入クラブタイプとの差が小さかった場合は、サーバー300によるスイング診断の精度は高かった(推奨クラブタイプがユーザーにフィットした)とみなすことができ、推奨クラブタイプと購入クラブタイプとの差が大きかった場合は、サーバー300によるスイング診断の精度は低かった(推奨クラブタイプがユーザーにフィットしなかった)とみなすことができる。
そこで、本変形例では、サーバー300へ送信されたフィッティングデータは、サーバー300における診断テーブル(診断基準の一例)の修正(フィードバック修正)に用いられる。フィードバック修正の対象となる診断テーブルは、本変形例の顧客(ショップまたはメーカー)専用の診断テーブルである。
従って、本変形例では、フィッターがスイング診断システム1000を利用する回数が増えれば増えるほど、顧客(ショップまたはメーカー)専用の診断テーブル(顧客の診断基準の一例)が最適化(カスタマイズ)され、スイング診断の精度が向上する。つまり、推奨クラブタイプがユーザーにフィットする可能性が向上する。
そして、スイング診断の精度が向上すれば、当該ショップまたはメーカーに所属するフィッターは、たとえ初心者であったとしても、ユーザーにフィットしたゴルフクラブを見出すまでの時間(フィッティングに要する時間)を短縮することができる。この場合、ユーザーがゴルフクラブの購入に要する時間も短縮される。
また、スイング診断システム1000によって裏付けられた推奨クラブタイプに基づけば、フィッターは、たとえ経験が浅かったとしても、自信をもってフィッティングを行うことができるので、ユーザーに安心感を与えることができる。
なお、ここでは、フィッティングデータとして「推奨クラブタイプおよび購入クラブタイプの組み合わせ」を用いたが、「購入クラブタイプ」の代わりに、または「購入クラブタイプ」と共に、「フィッターの感想」、「フィッターによる指摘」、「フィッターによる改善点」など、の少なくとも一つを用いることもできる。
サーバー300は、顧客端末350からユーザーIDおよび顧客IDを受信すると、サーバー300に予め保管されたユーザーのスイング解析データと顧客の診断テーブルとに基づき、ユーザー向け、かつ、顧客向けの診断結果(推奨クラブタイプ)を取得し、顧客端末350へ送信する。
また、サーバー300は、顧客端末350からフィッティングデータ(推奨クラブタイプ及び購入クラブタイプの組み合わせ)を受信すると、推奨クラブタイプと購入クラブタイプとの差が圧縮される方向に、顧客の診断テーブルをフィードバック修正する。
また、サーバー300は、受信したフィッティングデータの信頼性に応じて、フィードバック修正の強度(フィードバック修正するか否か、境界位置のシフト量、フィードバック修正のタイミングなど)を調整する。
また、サーバー300は、顧客のフィッティングデータやユーザーのスイング解析データなどに基づき、受信したフィッティングデータの信頼性を見積もる。
このように、スイング診断システム1000は、サーバーの管理者と、顧客であるゴルフメーカーまたはゴルフ用品ショップと、ゴルフクラブを購入する目的でゴルフ用品ショップを訪れるユーザーとによって構成することができる。
1−7.運動解析装置の応用例
次に、図47を参照して、スイング解析装置20として、頭部装着型のヘッドマウントディスプレイ(HMD)を用いた例を説明する。図47は、運動解析装置としての、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)の一例を示す斜視図である。
1−7−1.応用例1
図47に示すように、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)500は、ユーザー2の頭部に装着される眼鏡本体501を有する。眼鏡本体501には、表示部502が設けられている。表示部502は、画像表示部503から射出した光束を、外界からユーザー2の眼に向かう光束に統合することで、ユーザー2から見た外界の実像に画像表示部503の虚像を重畳させる。
表示部502には、例えば、LCD(液晶ディスプレー)等の画像表示部503と、第1ビームスプリッター504と、第2ビームスプリッター505と、第1凹状反射ミラー506と、第2凹状反射ミラー507と、シャッター508と、凸状レンズ509とが備えられる。
第1ビームスプリッター504は、ユーザー2の左眼の正面に配置され、画像表示部503から射出した光を、部分透過および部分反射させる。また、第2ビームスプリッター505は、ユーザー2の右眼の正面に配置され、第1ビームスプリッター504からの部分透過光を、部分透過および部分反射させる。
第1凹状反射ミラー506は、第1ビームスプリッター504の正面に配置され、第1ビームスプリッター504の部分反射光を部分反射させて、第1ビームスプリッター504を透過させてユーザー2の左眼に導く。また、第2凹状反射ミラー507は、第2ビームスプリッター505の正面に配置され、第2ビームスプリッター505の部分反射光を部分反射させて、第2ビームスプリッター505を透過させてユーザー2の右眼に導く。
凸状レンズ509は、シャッター508が開放された時に第2ビームスプリッター505の部分透過光を、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)500の外部に導く。
このようなヘッドマウントディスプレイ(HMD)500には、前述の表示例に示されているような、ユーザー2の一連のスイング動作における解析情報(図35〜図43参照)、スイング動作を近似するスイング軌跡(不図示)などのスイング情報などが表示される。なお、表示内容については、前述の表示例および変形例と同様であるので詳細な説明は省略する。
以上のヘッドマウントディスプレイ(HMD)500によれば、頭部に装着されて表示が行われるため、ユーザー2は、自分のスイングの解析情報や手元2aの姿勢(位置)情報などを、情報の表示される表示部25を備えたスイング解析装置(運動解析装置)20などを手で持つことなく確認することができる。
なお、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)500は、スイング解析装置20の機能を備え、センサーユニット10の計測データに基づいたスイング解析やスイング情報の表示を行ってもよいし、別体のスイング解析装置20から送信された画像データを表示する表示部として用いてもよい。なお、スイング解析装置(運動解析装置)20の機能とは、前述したような、処理部21(処理部の一例)、通信部22、操作部23、記憶部24、表示部25、および音出力部26を含む。
1−7−2.応用例2
次に、図48を参照して、運動解析装置として、ウェアラブル型(身体装着型)の一例として腕装着型の解析表示装置を用いた例を説明する。図48は、ウェアラブル型の一例としての腕装着型の運動解析表示装置を示す斜視図である。
図48に示すように、ウェアラブル型(腕装着型)の解析表示装置600は、ユーザー(被験者)2(図2参照)の所与の部位(本例では、手首)に装着され、センサーユニット10(図2参照)の計測データに基づいたスイング解析やスイング情報の表示を行う。解析表示装置600は、ユーザー2に装着されてスイング解析やユーザー2の手元2a(図2参照)の姿勢情報などのスイング解析情報を表示する機器本体610と、機器本体610に取り付けられ機器本体610をユーザー2に装着するためのバンド部615と、を有する。
解析表示装置600の機器本体610は、ユーザー2への装着側にボトムケース613が配置され、ユーザー2への装着側と反対側には、トップケース611が配置されている。機器本体610のトップ側(トップケース611)には、ベゼル618が設けられるとともに、このベゼル618の内側に配置されて内部構造を保護する天板部分(外壁)としてのガラス板619が設けられている。また、ボトムケース613の両側には、バンド部615との接続部である一対のバンド装着部617が設けられている。
機器本体610は、ガラス板619の直下に、液晶ディスプレイ(LCD634)などの表示部を備えている。ユーザー2は、ガラス板619を介して、液晶ディスプレイ(LCD634)などに表示されたスイング解析情報やユーザー2の手元2aの姿勢情報などを閲覧することができる。また、機器本体610は、図10を参照して前述した実施形態のスイング解析装置20と同様に、処理部21、通信部22、操作部23、記憶部24、表示部25、および音出力部26を含むことができる。なお、表示部25が、本例の液晶ディスプレイ(LCD634)などの表示部に相当する。
液晶ディスプレイ(LCD634)の表示部には、前述の表示例に示されているような、ユーザー2の一連のスイング動作における解析情報(図35〜図43参照)、スイング動作を近似するスイング軌跡(不図示)などのスイング情報などが表示される。なお、表示(提示)内容については、前述の表示例と同様であるので詳細な説明は省略する。
また、液晶ディスプレイ(LCD634)の表示部には、スイング解析結果に基づく他のアドバイス情報、例えば、ユーザー2のスイングタイプを表すテキストイメージやユーザー2のスイングタイプに適したアドバイス(練習方法など)を表すテキストイメージなどを表示してもよい。また、液晶ディスプレイ(LCD634)の表示部には、ビデオ映像として動画を表示することとしてもよい。
なお、上述では、機器本体610の天板部分をガラス板619により実現する例を示したが、LCD634を閲覧可能な透明部材であり、LCD634などのトップケース611とボトムケース613の内部に含まれる構成を保護可能な程度の強度を有する部材であれば、透明のプラスチック等、ガラス以外の材料により天板部分を構成することが可能である。また、ベゼル618が設けられた構成例を示したが、ベゼル618の設けられていない構成であってもよい。
以上のウェアラブル型(腕装着型)の解析表示装置600によれば、腕部に装着されて表示が行われるため、ユーザー2は、自分のスイング情報や手元2aの姿勢(位置)情報などの必要な情報を、情報の表示される表示部(液晶ディスプレイ(LCD634))を、手で持つことなく確認することができる。
なお、ウェアラブル型(腕装着型)の解析表示装置600は、前述のスイング解析装置20の機能を備え、センサーユニット10の計測データに基づいたスイング解析やスイング情報の表示を行ってもよいし、別体のスイング解析装置20から送信された画像データを表示する表示部として用いてもよい。なお、スイング解析装置(運動解析装置)20の機能とは、前述の実施形態のスイング解析装置20で説明したような、処理部21(処理部の一例)、通信部22、操作部23、記憶部24、表示部25、および音出力部26を含む。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成、または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。