JP2017187061A - ワイヤレスセンサ付き軸受 - Google Patents
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Abstract
Description
つまり、特許文献1に記載された発明は、既存の転がり軸受のシールをセンサユニット付きのシールに交換するだけで、発電機能を有するワイヤレスセンサ付き軸受を得ることを目指したものと言える。
また、ワイヤレスセンサ付き軸受の発電機構については、例えば、特許文献2に、内輪よび外輪の一方に、周方向に沿ってN極とS極が交互に配置された環状の磁石を固定し、この磁石と軸方向で対向する環状の導体を他方に固定し、磁石と導体との相対回転により起電力を生じさせる技術も開示されている。これらの環状の磁石および導体は、既存の転がり軸受の構成部品に追加で必要となるものである。
(1) 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、前記内輪軌道面と対向配置される外輪軌道面を内周面に有する外輪と、前記内輪軌道面と前記外輪軌道面とで形成される軌道に配置された転動体と、を有する。
(2) 環状体からなる保持器であって、前記転動体を回転自在に保持するポケットを有し、前記ポケットは前記環状体の周面を貫通し、前記ポケットは前記環状体の周方向に複数個形成された保持器を有する。
(3) 複数の磁石であって、前記保持器の前記ポケット同士の間に一つずつ、前記環状体の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定された磁石を有する。
(4) 前記内輪と前記外輪との間を軸方向一端部で密封する第一シールであって、前記保持器に対して相対回転する第一シールと、前記第一シールの前記磁石との対向面に固定されたコイルと、前記内輪と前記外輪との間を軸方向他端部で密封する第二シールと、を有する。
(5) 前記内輪、前記外輪、および前記第一シールのいずれかに設置されたセンサを有する。
(6) 前記第一シールに形成された回路部であって、前記磁石と前記コイルとの相対回転による電磁誘導で前記コイルに生じた電流を電源供給部へ供給する電源回路と、前記センサで検出された検出情報から検出値を演算する演算回路と、演算結果を示す無線信号を作成する無線回路と、を備えた回路部を有する。
(7) 前記無線信号を送信するアンテナであって、前記第一シールに固定されたアンテナを有する。
図1に示すように、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、内輪1、 外輪2、ボール(転動体)3と、保持器4と、八個(複数個、偶数個)の磁石5と、ヨーク6と、第一シール7と、第二シール7Aを有する。
内輪1の外周面には、軸方向中央部に内輪軌道面11が形成され、軸方向両端部にシール配置用の周溝12が形成されている。外輪2の内周面には、軸方向中央部に外輪軌道面21が形成され、軸方向両端部にシール取付溝22が形成されている。内輪軌道面11と外輪軌道面21が対向配置され、内輪軌道面11と外輪軌道面21とで形成される軌道に、ボール3が配置されている。
貫通穴43の内面は、保持器4の外周側の大径面43aと、内周側の小径面43bと、保持器4の径方向に沿う一対の対向面43c,43dとからなる。貫通穴43は全ての柱部42に一つずつ形成されている。保持器4の軸方向他端面に、軸方向に凹む円環状の凹部44が形成されている。
図2に示すように、ヨーク6は円環状の金属板であって、保持器4の凹部44に嵌合する寸法を有する。図1に示すように、ヨーク6は凹部44に嵌合されて、貫通穴43に配置された磁石5の軸方向他端面56に接触している。ヨーク6は電磁鋼等の比透磁率の高い材料で形成されている。
第一シール7は、図1に示すように、芯金71とゴム製のシール部72とからなる。図1および図3(b)に示すように、第一シール7の芯金71の内側面(磁石5との対向面)71aに、複数個のコイル8と一つの回路基板9が固定されている。芯金71は電磁鋼等の比透磁率の高い材料で形成されている。芯金71の内側面71aに絶縁膜が形成されている。
第一シール7は、図1に示すように、シール部72の内周部を内輪1の周溝12に配置し、シール部72の外周部を外輪2のシール取付溝22に弾性変形状態で嵌め入れることで、内輪1と外輪2との間に設置されている。つまり、第一シール7は外輪2に固定されている。
回路基板(回路部)9は、図3(b)および図4に示すように、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94を有する。制御回路92上に、加速度センサ、温度センサ、回転センサ、および荷重センサの少なくともいずれかのセンサ92aが設けてある。電源回路91は、電磁誘導でコイル8に生じた電流を、整流、平滑化して、電源供給部(センサ92a、制御回路92、無線回路93)へ供給するとともに、蓄電する。そのために、電源回路91は、整流回路、平滑回路、蓄電回路、蓄電用二次電池、および定電圧出力回路を備えている。
上述のように、第一シール7の芯金71の内側面71aに、複数個のコイル8と一つの回路基板9が固定されているが、さらにその上を保護カバーで覆うことが好ましい。これにより、コイル8、回路基板9、およびアンテナ94が、軸受内部に充填されたグリースや使用時に生じる摩耗粉で汚染されることが防止できる。
これに伴い、コイル8と磁石5との相対回転による磁束密度変化で電磁誘導が生じ、この電磁誘導でコイル8に生じた電流が、電源回路91で整流、平滑化されて、電源供給部(センサ92a、制御回路92、無線回路93)へ供給されるとともに、二次電池に蓄電される。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、コイル8と磁石5と間の電磁誘導で発電を行うため、熱発電素子であるゼーベック素子や振動発電素子であるエレクトレット素子を用いた発電を行うワイヤレスセンサ付き軸受では発電が困難であった、振動の少ない使用初期や、低速回転時であっても、必要な電力が得られてセンサ機能が発揮できる。
また、磁石5の大部分が保持器4に埋め込まれた構造となっているため、コイル8に対して垂直磁場変化の強い磁石を使用することが可能となる。その結果、磁石の埋め込み量が少ない構造のものと比較して発電効率が高くなる。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10は、回路基板9が、演算結果を示す信号をアンテナ94が所定周期で、外部に設けた受信端末に無線送信するように構成されている。これにより、演算時および無線送信時以外には無線回路93およびアンテナ94が作動しないため、常時作動するように構成されているものと比較して、消費電力が低減できる。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10では、一つの回路基板9に、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94が形成され、その回路基板9が芯金71に固定されているが、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94が別々の基板に形成されていてもよい。さらに、電源回路91と制御回路92と無線回路93とアンテナ94は、芯金71の内側面71aに形成された絶縁膜上に直接形成されていてもよい。
しかし、第一シール7が固定されている外輪2の軸方向端面、外周面、および内周面の少なくともいずれかの面に、センサを固定していもよい。第一シール7が内輪に固定されている場合は、内輪の軸方向端面、外周面、および内周面の少なくともいずれかの面にセンサを固定していもよい。また、上記いずれかの面に、センサを固定するための凹部を設けてもよい。
また、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10では、磁石5が保持器4の軸方向一端面40から突出しているが、磁石5の軸方向一端面55が保持器4の軸方向一端面40と同じかこれより内側になっていてもよい。さらに、磁石5の軸方向一端面55を保持器4の軸方向一端面40より内側とし、保持器4を合成樹脂の射出成形で作製する際に、軸方向一端面55が合成樹脂で薄く覆われるように磁石5を一体成形してもよい。
つまり、複数個の磁石5は、環状体である保持器4の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定され、コイル8と磁石5と間で電磁誘導が生じる状態となっていればよい。なお、合成樹脂で磁石5の軸方向一端面55が覆われている場合は、磁石5は合成樹脂製被覆部を介してコイル8と対向する。
図5に示すように、第二実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10Aは、内輪1、 外輪2、ボール(転動体)3と、保持器4Aと、磁石5Aと、ヨーク6と、第一シール7と、第二シール7Aを有する。このワイヤレスセンサ付き軸受10Aは、保持器4Aおよび磁石5Aの形状を除いて、第一実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10と同じである。
保持器4Aの隣り合うポケット間の部分(柱部)42に、軸方向一端面40から軸方向に凹む凹部45が形成されている。凹部45は、全ての柱部42に一つずつ形成されている。つまり、保持器4Aは、第一実施形態の保持器4の貫通穴43の代わりに凹部45を有する。これ以外の点において、保持器4Aは第一実施形態の保持器4と同じである。
基部57の形状は保持器4Aの凹部45の内面に対応する形状である。つまり、基部57は、凹部45の大径面45aに対応する外面、凹部45の小径面45bに対応する内面等を有する。突出部58は、保持器4の軸方向一端面40側の軸方向一端面55を有する。基部57は、軸方向一端面55の反対側の面である軸方向他端面56を有する。
磁石5Aの基部57を保持器4Aの凹部45に入れ、凹部44にヨーク6を嵌めることで、凹部45の底板46を介して基部57とヨーク6が引き合う。そのため、この実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10Aでは、接着剤を用いずに、磁石5Aおよびヨーク6を保持器4Aに固定することができる。
図6に示すように、第三実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10Bは、内輪1、 外輪2、ボール(転動体)3と、保持器4Bと、磁石5Bと、ヨーク6と、第一シール7と、第二シール7Aを有する。このワイヤレスセンサ付き軸受10Bは、保持器4Bおよび磁石5Bの形状と、ヨーク6の固定位置を除いて、第一実施形態のワイヤレスセンサ付き軸受10と同じである。
磁石5Bは、保持器4Bの軸方向で厚さの異なる基部591と突出部592からなる。磁石5Bの基部591は突出部592より厚く、両部分の境界に段部を有する。
磁石5Bの突出部592は、段部側の部分を除いて、保持器4Bの軸方向一端面40から突出している。磁石5Bの基部591は全て保持器4B内に配置されている。磁石5Bの軸方向他端面56にヨーク6が接触している。ヨーク6の外側に保持器4Bの底部47が存在する。
11 内輪軌道面
12 シール配置用の周溝
2 外輪
21 外輪軌道面
22 シール取付溝
3 ボール(転動体)
4 保持器
4A 保持器
4B 保持器
41 ポケット
40 保持器の軸方向一端面
42 柱部(ポケット間の部分)
43 貫通穴
44 保持器の凹部
5 磁石
5A 磁石
5B 磁石
6 ヨーク
7 第一シール
71 第一シールの芯金
71a 第一シールの芯金の内側面(磁石との対向面)
72 シール部
7A 第二シール
71A 第二シールの芯金
8 コイル
9 回路基板(回路部)
91 電源回路
92 制御回路(演算回路、電源供給部)
93 無線回路(電源供給部)
94 アンテナ
92a センサ(電源供給部)
10 ワイヤレスセンサ付き軸受
Claims (2)
- 外周面に内輪軌道面を有する内輪と、
前記内輪軌道面と対向配置される外輪軌道面を内周面に有する外輪と、
前記内輪軌道面と前記外輪軌道面とで形成される軌道に配置された転動体と、
環状体からなる保持器であって、前記転動体を回転自在に保持するポケットを有し、前記ポケットは前記環状体の周面を貫通し、前記ポケットは前記環状体の周方向に複数個形成された保持器と、
複数の磁石であって、前記保持器の前記ポケット同士の間に一つずつ、前記環状体の周方向で各磁石のN極とS極が隣り合うように固定された磁石と、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向一端部で密封する第一シールであって、前記保持器に対して相対回転する第一シールと、
前記第一シールの前記磁石との対向面に固定されたコイルと、
前記内輪と前記外輪との間を軸方向他端部で密封する第二シールと、
前記内輪、前記外輪、および前記第一シールのいずれかに設置されたセンサと、
前記第一シールに形成された回路部であって、前記磁石と前記コイルとの相対回転による電磁誘導で前記コイルに生じた電流を電源供給部へ供給する電源回路と、前記センサで検出された検出情報から検出値を演算する演算回路と、演算結果を示す無線信号を作成する無線回路と、を有する回路部と、
前記無線信号を送信するアンテナであって、前記第一シールに固定されたアンテナと、を有するワイヤレスセンサ付き軸受。 - 前記保持器は、前記ポケットの前記環状体の軸方向一端面が開放されている冠型保持器である請求項1記載のワイヤレスセンサ付き軸受。
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