JP2017185463A - 撹拌容器及びそれを用いた撹拌装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 容器に収容された原料のダマの発生を防止し、均質な粒径の原料を効率よく得られる撹拌容器及び撹拌容器を用いた撹拌装置を提供する。【解決手段】 原料Mを収容して撹拌する容器本体7と、前記容器本体7の開口部を密閉する蓋体9を備え、自転軸を中心に自転することにより、収容された前記原料Mを撹拌する撹拌容器201であって、前記撹拌容器201内を仕切る仕切板8を備え、前記仕切板8は撹拌用の貫通孔10を備える構成である。【選択図】 図3

Description

本発明は、液体原料や粉末状固体原料などの原料の混合に用いる撹拌容器及びそれを用いた撹拌装置に関する。
歯科材料、医薬品材料、化粧品基材、インク、塗料、顔料などの色材、シリコーン、エポキシ、ウレタンなどの合成樹脂、接着剤、その他の化学材料であって、液状、ゲル状、ペースト状の原料や複数の原料の混合物からなる化学材料は、その使用に際しては、均質化を図るために、撹拌と同時に脱泡することが求められている。このため、撹拌と脱泡を同時処理することが可能な撹拌装置の需要が高まっている。
各産業分野における製品の製造工程では、原料同士の混合や固体原料と液体原料の混合などの様々な混合工程において、原料の均一分散が求められる場合が少なくない。このような原料の均一混合に用いられる撹拌装置として、混合すべき全ての原材料を含む被混合物を容器に収容し、この容器を傾斜させた状態で自転させながら公転させることによって、容器内の被混合物を撹拌する装置がある。
容器に自転駆動力と公転駆動力とを作用させる撹拌装置は、例えば、回転体上に容器ホルダを所定の傾斜状態でそのホルダ中心軸周りに回転自在に取り付け、該容器ホルダに容器を固定して、モータなどの駆動源由来の回転力で容器ホルダを自転させると共に、回転体を回転させることで、容器ホルダと容器を公転させる構成を有するものが一般的である。
このような自転・公転による撹拌装置においては、撹拌効率を向上させるために、容器内に挿入される略コの字状あるいは螺旋状の撹拌棒を設けたものがある(例えば、特許文献1参照)。
又、原料が滞留することによる撹拌ムラや原料の沈降の発生を防止することを目的として、容器の底部中央に凸部を設けたものがある(例えば、特許文献2参照)。
なお、本願出願人は、流体を制御する流体制御装置と制御棒とが配管接続された環境制御装置を備え、前記制御棒が所定の傾斜角度で前記容器に挿入され、前記制御棒と前記容器との相対位置を維持した状態で前記容器を公転させながら自転させて、前記容器内の環境を制御することを特徴とする撹拌脱泡装置を既に提供している(特許文献3参照)。
特許第3860770号公報 特許第5506039号公報 特開2016−16390号公報
ところで、例えば液体の原料に粉末状固体の原料を混ぜた状態で撹拌すると、凝集塊(ダマ)を生じさせたり、それが内壁に付着したり、それが偏った位置に滞留したりするが、このダマを生じさせないようにするには、撹拌棒で撹拌するか、容器本体の回転数を上げたり、回転方向を制御したりすることで対応することが多い。
しかしながら、従来の撹拌ムラや原料の沈降などの発生を防止する方法は、各種検討が実施されていたが、容器内部の構造だけでは限界があった。又、撹拌棒を配置し、自転の回転方向に押し出す形の場合、原料を押し出すことによって、撹拌することはできるものの、自転の回転方向と容器内の原料の移動が同じ方向となるため、撹拌効率を最大限発揮することはできなかった。
そこで本発明の目的は、上記問題点に鑑み、ダマの発生やそれが内壁に付着したり、偏った位置に滞留したりすることを防止し、均一な粒径の原料を効率よく撹拌する撹拌容器及びそれを用いた撹拌装置を提供することにある。
本発明に係る撹拌容器は、原料を収容して撹拌する容器本体を備え、自転軸を中心に自転することにより、収容された前記原料を撹拌する撹拌容器であって、前記撹拌容器内を仕切る仕切板を備え、前記仕切板は撹拌用の貫通孔を備えることを特徴とする。
本発明によれば、撹拌容器が回転すると、容器本体内の原料は、仕切板の貫通孔を通過するときにその通過が規制されて(貫通孔を通過し得る大きさに破壊されて)、ダマの発生やそれが内壁に付着したり、偏った位置に滞留したりすることを防止する。そして、この撹拌容器を自転と共に、公転する撹拌装置で撹拌すると、前記仕切板の貫通孔を通過した所定の大きさの原料が仕切板を通過する状態を効率よく繰り返して、その粒子形状を小さくする。
本発明に係る撹拌容器は、原料を収容して撹拌する容器本体を備え、自転軸を中心に自転すると共に、公転軸を中心に公転することにより、収容された前記原料を撹拌する撹拌容器であって、前記撹拌容器内を仕切る仕切板を備え、前記仕切板は、撹拌用の貫通孔を備え、前記仕切板は、前記貫通孔を介して前記原料が反復して通過するか、又は前記仕切板に前記原料が衝突する配置とすることを特徴とする。
本発明によれば、撹拌容器が自転しながら公転すると、容器本体内の原料は、仕切板や仕切板に形成された貫通孔に衝突したり、貫通孔を通過して仕切板によって隔てられた容器内部の空間を交互に往復したりする。原料が仕切板と貫通孔によって作用を受けることにより、効果的な撹拌作用が生じる。
本発明に係る撹拌容器は、前記仕切板は、複数の貫通孔を備え、前記複数の貫通孔は、円形、三角形、四角形、楕円形、菱形、若しくは十字形の中から1つ以上選択して組み合わせた形状であることを特徴とする。
本発明によれば、複数の原料を混合して撹拌処理する際、原料の材質、形態、粘性が異なるものを混合する場合があるが、異なる形状や大きさを組み合わせた貫通孔が形成された仕切板を用い、各々の原料の材質、形態、粘性に適した貫通孔で撹拌することによって撹拌効果を向上させることができ、効率的に均一な粒子形状とすることができる。
本発明に係る撹拌容器は、前記公転軸と前記自転軸とが交差する撹拌容器であって、前記公転軸によって生じる前記原料の遠心方向と、前記自転軸によって生じる前記原料の遠心方向と、前記貫通孔の貫通方向が異なる方向となるよう配置された前記仕切板を備えることを特徴とする請求項1記載の撹拌容器。
本発明によれば、原料にかかる遠心作用が自転軸と公転軸とで異なり、かつ貫通孔の貫通方向がそれらと異なることで、撹拌中に原料が多様な動きを取ることによって、より複雑な撹拌効果を得ることができる。
本発明に係る撹拌容器は、前記仕切板の中心軸は、前記撹拌容器の前記自転軸と同軸上に配置されると共に、前記仕切板は、前記撹拌容器内をその周方向に等間隔で仕切る配置であることを特徴とする。
本発明によれば、撹拌容器が回転すると、その回転中心に対応して原料が貫通孔を通過してダマの発生やそれが内壁に付着したり、偏った位置に滞留したりすることを防止する。すなわち、原料のダマが偏った位置に生じ難くなり、内壁などにも付着し難くなる。
本発明に係る撹拌容器は、前記仕切板は、前記容器本体内に取り付けられる取付手段を介して着脱自在に取り付けられることを特徴とする。取付手段には、仕切板を嵌合させる溝を形成するなどして、吸盤などを介して容器本体内、又は、蓋体に取り付けられる。
本発明によれば、撹拌容器が回転しても、仕切板の移動が防止でき、又、洗浄などの際においても着脱自在である。
本発明に係る撹拌用装置は、前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の撹拌容器と、前記撹拌容器をその回転する中心軸上に保持する容器ホルダと、前記容器ホルダをその中心軸周りに自転させると共に、自転状態の前記容器ホルダを前記回転する中心軸と交叉する鉛直中心軸周りに公転させる回転駆動機構とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、撹拌容器が自転すると共に、公転するが、前記仕切板の貫通孔を通過した所定の大きさの原料が仕切板を通過する状態を効率よく繰り返して、その粒子形状を効率的に均一な粒子形状にする。
本発明によれば、容器本体内に仕切板を配置し、該仕切板の表面に貫通孔を形成したことによって、ダマの発生を防止し、均質な粒径の原料を効率よく得ることができる。
本発明を適用した実施形態の撹拌装置を示す斜視図である。 本実施形態の撹拌装置を側面側から見た要部透視図である。 本実施形態の撹拌装置の内部構造を側面側から見た内部構造図である。 本発明を適用した実施形態の撹拌容器を示す断面図である。 本発明を適用した実施形態の仕切板を示す斜視図である。 本実施形態の貫通孔のバリエーションを示す側面図である。 本実施形態の撹拌容器の上面図である。 本実施形態の撹拌装置の内部構造図であり、図3のA―A線方向から見たA―A線断面図である。 本実施形態の撹拌装置を側面から見た概略図である。
本発明を適用した具体的な実施の形態について、図面を参照しながら、詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、本発明を適用した実施形態の撹拌装置1を示す斜視図である。本実施形態の撹拌装置1は、略立方体形状の筐体101の上部に蓋102が備わっており、上面手前側にコントロールパネル103と、緊急停止ボタン104が配置され、筐体101の正面側のカバー105は、着脱可能となっている。
図2は、本実施形態の撹拌装置1を側面側から見た要部透視図である。本実施形態の撹拌装置1は、2つの撹拌容器201が回転対称に配されており、ベース202の上方が、撹拌容器201を収納する撹拌室203となっている。そして筐体101の手前側には、制御手段204が内蔵されている。
本実施形態の撹拌装置1の処理対象となる原料Mは、撹拌を目的としたものであればよく、材質、形態、粘性などは限定されない。例えば、歯科材料、医薬品材料、化粧品基材、インク、塗料、顔料など色材、シリコーン、エポキシ、ウレタンといった化学材料や合成樹脂、接着剤、シーラント剤などが挙げられる。原料Mの形態として、液体、固体などを想定した場合、液体同士、固体同士で撹拌することができる。さらに、単一の原料Mの処理に用いることができるだけでなく、複数の原料Mを混ぜ合わせて処理することもでき、例えば、液体の原料Mに粉末状固体の原料Mを混ぜた状態で、処理を行なうこともできる。原料Mの粘性として、粘性の低いもの、粘性の高いものを想定した場合、原料Mの形態と同様、粘性の低いもの同士、粘性の高いもの同士だけでなく、複数の粘性が異なる材料も撹拌することができる。
図3は、本実施形態の撹拌装置1の内部構造を側面側から見た内部構造図である。本実施形態の撹拌装置1は、撹拌容器201を保持するための容器ホルダ2と、容器ホルダ2と連結されている自転駆動軸3と、自転駆動軸3の外周側に配され、自転駆動軸3と連結されていると共に、容器ホルダ2と連結されている公転駆動軸4と、公転駆動軸4の外周側に配され、公転駆動軸4と連結されているベース202と、撹拌容器201を自転させるための従動モータ5と、撹拌容器201を公転させるための主動モータ6と、これらのモータを制御する制御手段204を備え、従動モータ5と主動モータ6とは、いずれもベース202に固定されており、且つ、それぞれ独立駆動可能な構成となっている。このように、本実施例よる撹拌装置1は、装置内に固定された水平基板の下方側に互いに別体の主動モータ6と従動モータ5が配置され、水平基板から上方に回転駆動機構の各伝達系と被回転体が配置されている。なお、従動モータ5と主動モータ6を、回転駆動機構と定義する。
容器ホルダ2は、1個以上の容器本体7を予め定めた傾斜角度で同軸上に保持し、従動モータ5によって、容器ホルダ2をその中心軸B(自転軸)周りに自転させると共に、自転状態の容器ホルダ2を、容器ホルダ2の傾斜中心軸Bと交叉する鉛直中心軸C(公転軸)周りに公転させることができる(図3)。容器ホルダ2は、その中心軸B(自転軸)が所定の角度となる傾斜状態で公転テーブルの一端側に、該容器ホルダ2の底部裏面側に同軸上に連結された自転駆動軸3を介して回転自在に取り付けられている。この容器ホルダ2に原料Mを内部に収容する撹拌容器201が保持されることによって、撹拌容器201も傾斜状態で自転可能に公転テーブルに装着される(図3)。
公転テーブルの他端側には、水平基板の中心から鉛直上に配置されて公転駆動軸4が連結されており、この公転駆動軸4と主動モータ6の回転軸(第2の駆動軸16)の間に介在する第2の伝動ベルト18によって、主動モータ6の回転力が公転駆動軸4に伝達され、公転テーブルを回転させ、撹拌容器201と共に、容器ホルダ2をその傾斜中心軸B(自転軸)と交叉する公転テーブルの中心軸C(公転軸)回りに公転させる。公転テーブルの中心軸Cは、水平基板に対して垂直であり、実質的に水平面に対して垂直な重力方向としての鉛直方向に沿った中心軸となる(図3)。
一方、従動モータ5の回転軸(第1の駆動軸12)と自転駆動軸3の間には、原動プーリ13(第1補助回転軸)と従動プーリ14(第2補助回転軸)が配置されており、第1の伝動ベルト15によって、従動モータ5の回転力は原動プーリ13へ伝達され、さらに原動プーリ13から公転テーブルに回転自在に取り付けられた従動プーリ14へ、原動プーリ13の上端に固定された第1ギアと第1ギアに歯合すると共に、従動プーリ14の下端に固定された第2ギアを介して伝達される。そして、従動プーリ14に伝達された回転力は、自転駆動軸3に伝達され、容器ホルダ2をその中心軸B周りに自転させる。従って、この容器ホルダ2に同軸上に保持された撹拌容器201は、容器ホルダ2と共に、容器ホルダ2の傾斜中心軸B周りに自転され、且つ、該傾斜中心軸Bと交叉する鉛直中心軸C周りに公転される(図3)。
本実施例においては、互いに別体の主動モータ6と従動モータ5を、インバータやサーボアンプなどのコントローラなどの制御部からの指令によって、それぞれ任意の回転方向及び任意の回転速度で互いに連動可能に駆動制御できるものとした。これによって、撹拌容器201の自転と公転を、互いの回転方向を任意の組み合わせとなるように切り換え、又、各回転速度を任意に設定、変更することを可能とした。
主動モータ6及び従動モータ5は、一般的な汎用モータを採用できる。又、サーボモータなど、より高精度な回転数制御が可能なものが望ましい。例えば、主動モータ6は、回転速度が160〜1600rpmの範囲で設定可能なものとし、従動モータ5は、公転速度の20〜80%で調整できるものとする。
図8は、本実施形態の撹拌装置1の内部構造図を、図3のA−A線方向から見たA−A線断面図である。従動モータ5は、サーボモータであり、第1の駆動軸12に取り付けられた原動プーリ13と、自転駆動軸3に取り付けられた従動プーリ14とに掛け渡された第1の伝動ベルト15によって、ベルト伝動構造となっている(図3、図8)。図8に示す例では、原動プーリ13の直径と、従動プーリ14の直径は等しく設定されている。そして、主動モータ6は、サーボモータであり、第2の駆動軸16に取り付けられた原動プーリ17と、公転駆動軸4に取りつけられた従動プーリ19とに掛け渡された第2の伝動ベルト18によって、ベルト伝動構造となっている(図3、図8)。図8に示す例では、原動プーリ17の直径は、従動プーリ19の直径よりも小さく設定されている。これは、自転に比べて公転の方が回転させるのに必要なパワーが大きいことによる。第1の伝動ベルト15と第2の伝動ベルト18は、既知のタイミングベルト(歯付ベルト)が適用される。
本実施形態では、従動モータ5と主動モータ6は、それぞれ独立駆動可能な構成である。本実施形態によれば、従動モータ5と主動モータ6で、それぞれ個別に回転数を設定し、処理方法を制御することができる。又、従動モータ5と主動モータ6の回転数の同期制御を行なうことができる。従来技術では、従動モータは主動モータの影響を受けることも多かったため、各モータを独立して制御できることによって得られる効果は大きい。
制御手段204は、従動モータ5と主動モータ6と電気的に接続されており、コントロールパネル103で設定する各種条件に応じ、中央演算装置CPU(図示せず)などの演算処理を得て、信号を送受信する。例えば、従動モータ5及び/又は主動モータ6の電流値に基づいてモータの負荷変動を検知し、回転数を制御する。従動モータ5及び主動モータ6の電流値を相互に俯瞰し、演算処理することによって、従動モータ5及び主動モータ6によって得られる自転及び公転のバランスを調整することもできる。なお、負荷トルク変動の検知方法としては、電流値の変化、エンコーダによる位相の変化など、各種周知技術を組込むことができる。さらに、制御手段204には、回生抵抗部や電源回生コンバータが備わっており、これらの機能を用いることによって、回生エネルギーを効果的に吸収し、装置に対する負荷を制御することができる。つまり、自転の回転が公転の回転に振り回されることなく、回生エネルギーを制御することができる。
本実施形態によれば、制御手段204に、予め簡易な手順を決めて設定することや、コントロールパネル103の設定入力などによって、簡易に制御を行なうことができる。なお、コントロールパネル103は、設置型の表示パネルだけでなく、外部から遠隔操作できる形態のものでもよい。
図4は、本発明を適用した実施形態の撹拌容器201を示す断面図である。図5(a)は、本発明を適用した実施形態の仕切板8を示す斜視図である。撹拌容器201は、原料Mを収容する容器本体7内に配置した仕切板8と、容器本体7を密封する蓋体9を備え、仕切板8によって、容器本体7の内部領域が2以上に分割され、仕切板8の表面には貫通孔10が形成される(図4、図5)。なお、仕切板8によって、容器本体7内の内部領域が2以上、好ましくは、4つ以上に分割されることが望ましく、周方向に等間隔で仕切板8が分割配置されていると、原料が通過する貫通孔の数が多くすることができる。容器本体7、仕切板8、蓋体9の材質としては、自転運動と公転運動を円滑に行なうことができるよう、適宜軽量化された素材、例えば、樹脂、ステンレス、アルミニウムなどで構成されることが好ましい。さらに、形態としても撹拌容器201の肉厚を薄くすることで後述する冷却部材による冷却効果を促進してもよいし、逆に肉厚を厚くすることで温度変化に影響されないようにしてもよい。
貫通孔10は、原料Mを貫通させるための孔であるが、仕切板8は、少なからず厚みWがあるため(図5)、縁に角度をつけた状態として形成することもできる。例えば、公転及び自転を利用した撹拌装置1においては、公転及び自転の回転を利用して、撹拌するわけであるが、撹拌容器201の中心軸B(撹拌容器201の自転軸)の向きは、公転テーブルの中心軸C(撹拌容器201の公転軸)に対して傾斜している(図3)。そのため、公転軸の外周に発生する遠心力の方向と、中心軸の向きも傾斜している。貫通孔10に角度を付け、貫通孔10の縁にどの程度衝突させるのか、を事前に貫通孔10の角度を変えておくことによって、撹拌効果を調整することができる。
図6は、本実施形態の貫通孔10のバリエーションを示す側面図である。貫通孔10は、円形、三角形、四角形、楕円形、菱形、若しくは十字形の中から1つ以上選択して組み合わせた形状を選択することができる(図6)。例えば、仕切板8の表面に円形の貫通孔10を複数形成した場合、撹拌容器201の回転によって発生する遠心力の作用で、原料Mが原料M自身や仕切板8の表面に衝突することに加え、円形の貫通孔10を通過する際にダマになっている原料Mが貫通孔10の縁などに衝突しながら、貫通孔10を通過しようとするため、ダマの発生を防止し、均質な分散及び撹拌状態の原料Mを効率よく得ることができる。
又、貫通孔10は異なる大きさの孔を組み合わせることができる(図6)。複数の原料Mを混合して撹拌処理する際、原料Mの材質、形態、粘性が異なるものを混合する場合がある。仕切板8表面に異なる形状や大きさを組み合わせた貫通孔10が形成させていることによって、各々の材質、形態、粘性に適した孔が存在することとなり、撹拌効果を向上させることができる。
図7は、本実施形態の撹拌容器201の上面図である。仕切板8は、容器本体7内に配置されるが、撹拌装置1において、撹拌容器201の中心軸B(自転軸)が傾斜していることに加え、遠心力を利用することになるため、単に仕切板8を配置しただけでは、処理中に仕切板8がずれる可能性がある。そこで、容器本体7内の下部に、仕切板8を固定するための取付手段11を設けることができる。取付手段11は、容器本体7内の下部において着脱自在に配置されるものであるが、蓋体9に取付手段11を取り付けて、仕切板8を吊り下げるように配置させることもできる。又、取付手段11は、仕切板8を挟み込む溝11aを有して、容器本体7内において、吸盤で着脱させるものでも良い(図4(b))。
なお、容器本体7の上部に、蓋体9で密閉する開口部を備え、仕切板8の上部に天板8aを備え、容器本体7の開口部への原料Mの移動を制限することもできる(図5(b))。
図9は、本実施形態の撹拌装置1を側面から見た概略図であり、撹拌中における仕切板8と貫通孔10の作用を示す。撹拌容器201内の原料Mは、中心軸B(自転軸)を中心にして自転しながら、中心軸C(公転軸)を中心にして公転するため、原料Mは、自転による遠心作用と公転による遠心作用を受けながら、仕切板8や貫通孔10による撹拌作用を受ける(図9(a))。撹拌容器201の中心軸B(自転軸)を中心にした自転による遠心作用Z2と、公転テーブルの中心軸C(撹拌容器201の公転軸)を中心にした公転による遠心作用Z1は、中心軸Bの傾斜角度を変えることにより、異なる方向とすることも(図9(a))、同一方向とすることもできる(図9(b))。
さらに、撹拌容器201内で仕切板8を配置する角度を調節することにより、公転による遠心方向Z1と、自転による遠心方向Z2と、貫通孔10の貫通方向Z3を異なる方向とも同一方向とすることもできる(図9(c))。又、撹拌容器201内で仕切板8の配置角度を変えずとも、仕切板8に対する貫通孔10の貫通方向を変えることにより、貫通孔10の貫通方向Z3を異なる方向とも同一方向とすることもできる(図9(d))。
このように撹拌容器201内に仕切板8や貫通孔10が存在することで、自転による遠心作用と公転による遠心作用に加えて、より複雑な撹拌作用を生じさせることができる。
(処理手順)
本実施形態の撹拌装置1を用いた作業手順について、以下に説明する。まず、取付手段11に仕切板8を装着した撹拌容器201に原料Mを投入した後、撹拌容器201の開口部を蓋体9で密閉し、その状態で容器ホルダ2に設置する(ステップ1)。単一の原料Mであれば、どのタイミングで投入したとしても処理に影響は及ばない可能性が高いが、複数の原料Mを投入する場合には、複数の原料Mを事前に予備混合することも想定できる。又、予備混合することなく、撹拌容器201に順番に複数の原料Mを投入することもできる。
次に、撹拌装置1を起動する(ステップ2)。具体的には、装置外面に配置するコントロールパネル103の起動スイッチを押すことによって、従動モータ5及び主動モータ6の始動準備が開始される。コントロールパネル103の各種条件設定によって、従動モータ5及び主動モータ6の回転数及び回転速度などを調整することができる。原料Mによって従動モータ5及び主動モータ6の回転数及び回転速度などの値が決定したら、処理を開始する。
そして、処理を開始し、所定の設定時間の処理を行なった段階で、回転を止める(ステップ5)。その後、容器ホルダ2から撹拌容器201を取り外すと共に、撹拌容器201を密閉していた蓋体9を取り外し、原料Mの処理時間を確認する。処理結果が良好であれば、処理を終了し、処理が不足であれば、再度所定時間の処理を行なうことで、より精度を高めるようにしてもよい。
又、上記処理手順に沿って仕切板8を利用した場合と、利用しなかった場合の処理結果を比較した。条件としては、主動モータ6の公転数を1000rpm(正転)、従動モータ5の自転数を800rpm(逆転)で、原料M(水98g、キサンタンガム2g)を運転時間10min処理した。
結果としては、仕切板8を利用した場合は、溶解状態(溶融状態)が得られたものの、仕切板8を利用しなかった場合は、キサンタンガムが塊状になり、撹拌容器201の内表面に付着し、完全に溶解(溶融)しなかった。
なお、本発明は、上述の実施形態や実施例に限定されず、各種バリエーションに応じて仕様を変更することができる。例えば、加熱手段を備えた撹拌装置にも適用可能である。又、撹拌脱泡装置の撹拌容器として適用可能であり、撹拌作用及び脱泡作用の向上が図られる。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能であることは言うまでもない。
1 撹拌装置、
2 容器ホルダ、
3 自転駆動軸、
4 公転駆動軸、
5 従動モータ(回転駆動機構)、
6 主動モータ(回転駆動機構)、
7 容器本体、
8 仕切板、
9 蓋体、
10 貫通孔、
11 取付手段、
12 第1の駆動軸、
13 原動プーリ(第1補助回転軸)、
14 従動プーリ(第2補助回転軸)、
15 第1の伝動ベルト、
16 第2の駆動軸、
17 原動プーリ(第1補助回転軸)、
18 第2の伝動ベルト、
19 従動プーリ(第2補助回転軸)、
101 筐体、
102 蓋、
103 コントロールパネル、
104 緊急停止ボタン
105 カバー
201 撹拌容器
202 ベース、
203 撹拌室、
204 制御手段、
M 原料

Claims (7)

  1. 原料を収容して撹拌する容器本体を備え、自転軸を中心に自転することにより、収容された前記原料を撹拌する撹拌容器であって、
    前記撹拌容器内を仕切る仕切板を備え、前記仕切板は、撹拌用の貫通孔を備えることを特徴とする撹拌容器。
  2. 原料を収容して撹拌する容器本体を備え、自転軸を中心に自転すると共に、公転軸を中心に公転することにより、収容された前記原料を撹拌する撹拌容器であって、
    前記撹拌容器内を仕切る仕切板を備え、前記仕切板は、撹拌用の貫通孔を備え、前記仕切板は、前記貫通孔を介して前記原料が反復して通過するか、又は前記仕切板に前記原料が衝突する配置とすることを特徴とする撹拌容器。
  3. 前記仕切板は、複数の貫通孔を備え、前記複数の貫通孔は、円形、三角形、四角形、楕円形、菱形、若しくは十字形の中から1つ以上選択して組み合わせた形状であることを特徴とする請求項1又は2記載の撹拌容器。
  4. 前記公転軸と前記自転軸とが交差する撹拌容器であって、前記公転軸によって生じる前記原料の遠心方向と、前記自転軸によって生じる前記原料の遠心方向と、前記貫通孔の貫通方向が異なる方向となるよう配置された前記仕切板を備えることを特徴とする請求項2記載の撹拌容器。
  5. 前記仕切板の中心軸は、前記撹拌容器の前記自転軸と同軸上に配置されると共に、前記仕切板は、前記撹拌容器内をその周方向に等間隔で仕切る配置であることを特徴とする請求項1又は2記載の撹拌容器。
  6. 前記仕切板は、前記撹拌容器内に取り付けられる取付手段を介して着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1又は2記載の撹拌容器。
  7. 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の撹拌容器と、前記撹拌容器をその回転する中心軸上に保持する容器ホルダと、前記容器ホルダをその中心軸周りに自転させると共に、自転状態の前記容器ホルダを前記回転する中心軸と交叉する鉛直中心軸周りに公転させる回転駆動機構とを備えたことを特徴とする撹拌装置。
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