JP2017184448A - 電動機制御装置および電動機制御方法 - Google Patents

電動機制御装置および電動機制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】3相短絡処理が実行された場合の相電流の上昇を抑制するとともに、インバータ回路が直流電源から切り離された場合であっても、コンデンサ端子間電圧の上昇および電動機の各相に流れる相電流の上昇を抑制し、インバータ回路や電動機の破壊を防止することができる小型の電動機制御装置を低コストで得る。
【解決手段】電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部は、上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡処理後の交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで3相短絡処理を開始する3相短絡処理指令生成部を有している。
【選択図】図2

Description

この発明は、交流電動機を駆動制御する電動機制御装置および電動機制御方法に関するものである。
従来から、交流電動機を駆動力源とする電気自動車が知られており、この電気自動車では、走行時に交流電動機を力行運転して走行駆動トルクを発生させ、制動時に交流電動機を回生運転して回生制動トルクを発生させている。
ここで、電気自動車の駆動システムは、リチウムイオンバッテリ等の二次電池からなる直流電源と、コンデンサと複数の半導体スイッチとからなり、直流電源に接続されるインバータ回路と、インバータ回路に負荷として接続された交流電動機とから構成される。
インバータ回路は、複数の半導体スイッチを所定のスイッチング周波数でオンオフすることにより、直流電源の直流電力を所定の交流電力に変換して、負荷である交流電動機のトルクや回転数を調節する。また、交流電動機は、動作状況によっては発電機として動作し、発電によって生じる回生電力を直流電源に充電する。なお、電気自動車に適用される交流電動機として、効率が良い永久磁石3相同期電動機がよく用いられる。
3相同期電動機を用いた駆動システムにおいて、インバータ回路は、上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子とが直列に接続された3組の直列回路が、それぞれ直流電源と並列に接続されて構成され、3組の直列回路のそれぞれの中点と3相同期電動機のU相、V相、W相のそれぞれの入力とが接続される。
また、インバータ回路の各相に設けられるスイッチング素子を順次オンおよびオフさせることにより、3相同期電動機の各相に互いに位相が120度ずつ異なる交流電力を供給して3相同期電動機を駆動させる。以下、特に断らない限り、電動機は3相同期電動機を指すものとする。なお、インバータ回路の動作原理については、広く一般的であるので、ここでは説明を省略する。
ここで、電気自動車の駆動システムには、直流電源であるバッテリを過電圧や過電流から保護するために、必要に応じてバッテリとインバータ回路とを切り離す開閉手段が設けられる。この開閉手段の開放条件としては、電動機の回生運転時にバッテリの電圧が所定値以上になった場合や、バッテリの消耗によりバッテリ電圧が所定値以下になった場合、バッテリに流れる電流が所定値以上になった場合等がある。また、車両の故障や衝突等によって、開閉手段が開放されることもある。
このような駆動システムでは、電動機の回生運転中に開閉手段が開放され、インバータ回路がバッテリから切り離されることがある。また、開閉手段を有しない駆動システムであっても、バッテリとインバータ回路との間の電力線が断線することにより、インバータ回路がバッテリから切り離されることがある。
このような場合、電動機からインバータ回路に流入する回生電力をバッテリに充電することができず、インバータ回路のコンデンサに充電することとなり、コンデンサに過電圧がかかってコンデンサが破損する恐れがある。
そのため、インバータ回路がバッテリから切り離された場合には、インバータ回路のすべての半導体スイッチをオフしてインバータ動作を停止させる6スイッチ開放処理が実行されることがある。ところが、この6スイッチ開放処理が実行された場合には、電動機のステータコイルに蓄積された電力が、スイッチング素子に逆並列接続されたフリーホイールダイオード(FWD:Free Wheeling Diode)を介してコンデンサを充電することになり、コンデンサの端子間電圧が急峻に上昇することがある。
このとき、コンデンサ端子間電圧の上昇に備えてコンデンサを大容量化、高耐圧化すると、コンデンサ体格の増大につながる。また、コンデンサの高耐圧化に伴って、インバータ回路の各構成部品の高耐圧化も必要となり、インバータ回路の小型化、低コスト化の障害となる。特に、限られた車両スペースに配置する必要がある電気自動車用のインバータ回路にとって、小型化への障害は大きな課題である。
そこで、上述した課題を解決するために、電動機からインバータ回路に流入する回生電力を発熱させて消費する放電回路を付設し、コンデンサに過大に流入する回生電力を放電回路で消費する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、インバータ回路が直流電源から切り離された場合に6スイッチ開放処理を実行せず、インバータ回路の上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンし、電動機の各相を互いに短絡させる3相短絡処理を実行することで、コンデンサに電力を回生させない方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2010−110099号公報 特開平9−47055号公報
上述したように、インバータ回路が直流電源から切り離された場合に、インバータ回路のすべての半導体スイッチをオフしてインバータ動作を停止させると、コンデンサの端子間電圧が急峻に上昇することがあり、これに備えてコンデンサを大容量化、高耐圧化する必要があった。その結果、コンデンサ体格の増大につながり、インバータ回路の小型化・低コスト化の障害となっていた。
この課題に対して、特許文献1に開示された方法によれば、コンデンサ端子間電圧の上昇は抑制できるものの、放電回路を付設する分、インバータ回路のサイズが大きくなる。特に、放電回路で消費すべき回生電力が大きいと、耐電力の大きい素子を使用して放電回路を構成する必要があり、インバータ回路の回路規模の大型化や、価格の上昇につながるという問題がある。
また、特許文献2に開示された方法によれば、コンデンサ端子間電圧の上昇は抑制できるものの、それまで電動機を駆動させるために各相に流れていた電流が瞬間的に大きくなり、スイッチング素子や電動機の耐電流量を超え、スイッチング素子や電動機が破壊される恐れがあるという問題もある。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、3相短絡処理が実行された場合の相電流の上昇を抑制するとともに、インバータ回路が直流電源から切り離された場合であっても、コンデンサ端子間電圧の上昇および電動機の各相に流れる相電流の上昇を抑制し、インバータ回路や電動機の破壊を防止することができる小型の電動機制御装置を低コストで得ることを目的とする。
この発明に係る電動機制御装置は、直流電源と交流電動機との間に接続され、直流電源の直流電力を交流電力に変換して交流電動機を駆動制御する電動機制御装置であって、交流1相分のアームが上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により構成された電力変換回路と、電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、を備え、スイッチング制御部は、上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡処理後の交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで3相短絡処理を開始する3相短絡処理指令生成部を有するものである。
この発明に係る電動機制御装置によれば、電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部は、上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡処理後の交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで3相短絡処理を開始する3相短絡処理指令生成部を有している。
そのため、3相短絡処理が実行された場合の相電流の上昇を抑制するとともに、インバータ回路が直流電源から切り離された場合であっても、コンデンサ端子間電圧の上昇および電動機の各相に流れる相電流の上昇を抑制し、インバータ回路や電動機の破壊を防止することができる小型の電動機制御装置を低コストで得ることができる。
この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置が搭載された駆動システムを示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示すブロック構成図である。 この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置に関して、120°ずつ位相がずれた3つのsin関数の絶対値の最大値が最小となる関係を示す説明図である。 (a)〜(c)は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置に関して、3相短絡処理前後の電流振幅および位相差を示す回転座標系dq座標での電流ベクトル図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置における電気角と誘起電圧電流の位相との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置の3相短絡処理指令生成部の処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示す別のブロック構成図である。 この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示すブロック構成図である。 (a)、(b)は、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置における電気角と誘起電圧電流の位相との関係を示す説明図である。 この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の3相短絡処理指令生成部の処理を示すフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示す別のブロック構成図である。
以下、この発明に係る電動機制御装置および電動機制御方法の好適な実施の形態につき図面を用いて説明するが、各図において同一、または相当する部分については、同一符号を付して説明する。
一般に、モータとも称される電動機は、電力を駆動力に変換して力行運転するものであるが、そのままの構造で駆動力を電力に逆変換して回生運転することが可能である。また、ジェネレータとも称される発電機は、駆動力を電力に変換して回生運転するものであるが、そのままの構造で電力を駆動力に逆変換して力行運転することが可能である。
すなわち、電動機と発電機とは、基本的に同一構造であり、どちらも力行運転および回生運転が可能である。そこで、この明細書では、電動機および発電機の双方の機能を持つ回転電機を単に電動機と称する。
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置を図1から図7に基づいて詳細に説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置が搭載された駆動システムを示すブロック構成図である。図1では、インバータ回路に直流電力を供給するとともに回生電力で充電されるバッテリ等の直流電源、および制御対象の3相同期電動機を含んで図示している。
図1において、電動機制御装置80は、電力開閉器70を介して直流母線1a、1bにより直流電源90と接続され、駆動電力や回生電力を直流電源90と授受する。また、電動機制御装置80は、交流母線2aにより電動機10と接続され、駆動電力や回生電力を電動機10と授受する。
また、電動機10には、電動機の回転角を検出する回転角センサ30が設けられている。なお、電動機10は、負荷を回転駆動するとともに、負荷の回転エネルギーを電気エネルギーとして回生可能な電動機であり、例えば永久磁石3相交流同期モータや3相ブラシレスモータが使用される。
また、電動機制御装置80は、インバータ回路20とスイッチング制御部60とで構成されている。インバータ回路20は、電源入力側の直流母線1a、1b間に接続されたコンデンサ21と、インバータ回路20の直流母線電圧を検出する電圧検出部24と、複数のスイッチング素子で構成され、直流/交流の電力変換をする電力変換回路25と、交流母線2aに流れる電動機10の電流を検出する電動機電流検出部26とを備えている。
コンデンサ21は、直流母線電圧のリップルを抑制する機能や、インバータ回路20の電源インピーダンスを低下させてインバータ回路20の交流電流駆動能力を向上させる機能、サージ電圧を吸収する機能等を有している。また、電圧検出部24は、直流母線電圧を分圧抵抗等によりスイッチング制御部60で読み込める電圧に分圧し、スイッチング制御部60に直流母線電圧情報を出力する。
電力変換回路25は、一般的によく知られている6つのスイッチング素子をフルブリッジ接続したインバータである。すなわち、図1に示されるように、スイッチング素子31、32、スイッチング素子33、34、スイッチング素子35、36は、それぞれ互いに直列に接続され、直流電源90に並列に接続されている。
また、スイッチング素子31、32の中点は電動機10のU相の入力と接続され、スイッチング素子33、34の中点は電動機10のV相の入力と接続され、スイッチング素子35、36の中点は電動機10のW相の入力と接続されている。
ここで、直流電源90の正極側、すなわち直流母線1aに接続されるスイッチング素子31、33、35を上段側スイッチング素子と称し、直流電源の負極側、すなわち直流母線1bに接続されるスイッチング素子32、34、36を下段側スイッチング素子と称する。
スイッチング素子は、例えば図1に示すようなMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)や、MOSFET以外にもIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等が用いられる。
なお、スイッチング素子の各MOSFETには、直流電源90の負極側から正極側へ向かう方向、すなわち下段側から上段側へ向かう方向を順方向として、並列にフリーホイールダイオード(FWD)が設けられている。
電動機電流検出部26は、交流母線2aを流れる電動機電流を検出するものであり、電流を電圧に変換して電動機電流情報をスイッチング制御部60に出力する。図1では、シャント抵抗により電流を検出する構成を示している。なお、電動機電流検出部26は、ホール素子等を用いた電流センサとしてもよい。
電力開閉器70は、直流電源90と電動機制御装置80との電力授受を制御するものである。具体的には、電力開閉器70は、電動機10の回生運転時に直流電源90の電圧が設定値以上になった場合や、直流電源90の消耗等により直流電源90の電圧が設定値以下になった場合、直流電源90に流れる電流が設定値以上になった場合、車両の故障や衝突が検出された場合等に、図示しない上位のシステムにより開放状態に制御される。なお、電力開閉器70は、スイッチング制御部60により制御される構成としてもよい。
また、回転角センサ30は、レゾルバやエンコーダ等により電動機10のロータ回転角を検出するものである。回転角センサ30で検出されたロータ回転角は、スイッチング制御部60に出力される。なお、ロータ回転角θmは、電動機10の永久磁石の極対数を基に電気角θeに換算される。
スイッチング制御部60は、電動機制御装置全体の制御を司るもので、マイクロコントローラや駆動回路等から構成される。図2は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示すブロック構成図である。
図2において、スイッチング制御部60は、電流指令生成部61、3相2相変換部62、電流制御部63、2相3相変換部64、デューティ変換部65、PWM信号生成部66、3相短絡処理指令生成部67および電源側異常判定部68を有している。
電流指令生成部61には、電動機10が発生すべきトルク指令値Trq*が図示しないスイッチング制御部60の上位の制御装置または制御プログラムから入力される。電流指令生成部61は、このトルク指令値Trq*に基づいて、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を生成する。
ここで、d軸は電動機10の磁極位置、すなわち磁束の方向を示し、q軸は電気的にd軸と直交する方向を示しており、d−q軸座標系を構成する。磁石を有する電動機10のロータが回転すると、d−q軸座標系も回転するものである。
3相2相変換部62は、電動機電流検出部26からU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iw、回転角センサ30から電気角θeが入力され、座標変換によりU相電流Iu、V相電流IvおよびW相電流Iwを、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqに変換する。
なお、この発明の実施の形態1では、電動機電流検出部26で検出される電流は、3つの相電流Iu、Iv、Iwであるが、2つの相電流が分かれば残りの相電流は求めることができるので、相電流Iu、Iv、Iwのうち2つの相電流を検出する構成としてもよい。
電流制御部63には、電流指令生成部61からd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*、3相2相変換部62からd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqが入力される。電流制御部63は、d軸電流指令値Id*とd軸電流検出値Idとのd軸電流偏差、およびq軸電流指令値Iq*とq軸電流検出値Iqとのq軸電流偏差を演算し、それぞれの電流偏差に対して比例・積分制御演算によって、d軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*を演算する。
2相3相変換部64は、電流制御部63からd軸電圧指令値Vd*およびq軸電圧指令値Vq*、回転角センサ30から電気角θeが入力され、これらに基づいて静止座標系の3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*を演算する。
デューティ変換部65は、2相3相変換部64から3相電圧指令値Vu*、Vv*、Vw*、電圧検出部24から直流母線電圧Vpnが入力され、これらに基づいてデューティ指令値Du、Dv、Dwを演算する。
電源側異常判定部68は、電圧検出部24から直流母線電圧Vpnが入力され、直流母線電圧Vpnに基づいて、電源側異常状態であるか否かを判定し、判定結果Errを生成する。
3相短絡処理指令生成部67は、3相2相変換部62からd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iq、回転角センサ30から電気角θe、電源側異常判定部68から電源側異常判定結果Errが入力され、これらに基づいて3相短絡処理指令S3PSを生成する。
具体的には、3相短絡処理指令生成部67は、電源側異常判定結果Errが電源側正常状態であると判定された場合には、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成し、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合には、d軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iqおよび電気角θeに基づいて、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成する。
PWM信号生成部66は、デューティ変換部65から各相のデューティ指令値Du、Dv、Dw、3相短絡処理指令生成部67から3相短絡処理指令S3PSが入力され、これらに基づいて電力変換回路25の各スイッチング素子へのオンオフ制御信号を演算し、電力変換回路25へオンオフ制御信号UH、UL、VH、VL、WH、WLを出力する。
具体的には、PWM信号生成部66は、3相短絡処理指令S3PSが3相短絡不実行指令である場合には、各相のデューティ指令値Du、Dv、Dwに応じた各スイッチング素子へのオンオフ制御信号を出力し、3相短絡処理指令S3PSが3相短絡実行指令である場合には、電力変換回路25の上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡状態となるよう、各スイッチング素子へのオンオフ制御信号を出力する。
電力変換回路25のスイッチング素子31〜36は、それぞれスイッチング制御部60からのオンオフ制御信号UH、UL、VH、VL、WH、WLによりオンオフ動作し、直流電力を交流電力に変換し電動機10に供給するとともに、電動機10が回生状態において発生する回生電力を直流電源90に充電する。
ここで、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置の特徴とする点は、スイッチング制御部60に3相短絡処理指令生成部67を設け、電源側異常状態であると判定された場合に、d軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iqおよび電気角θeに基づいて3相短絡実行指令を生成し、3相短絡処理を実行する点である。
この構成により、後述するように、インバータ回路20が直流電源90から切り離された場合のコンデンサ端子間電圧の上昇を抑制するために、3相短絡処理を実行する際に、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングで3相短絡処理を開始することができる。以下に、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置の特徴である3相短絡処理指令生成部67の動作について、詳細に説明する。
まず、電源側異常判定部68は、電圧検出部24から入力された直流母線電圧Vpnに基づいて、回生電力を直流電源90に回生させることが不可である電源側異常状態であるか否かを判定し、この判定結果を電源側異常判定結果Errとして3相短絡処理指令生成部67に出力する。
具体的には、電源側異常判定部68は、直流母線電圧Vpnがあらかじめ定められた設定値以上である場合に、回生電力を直流電源90に回生不可である電源側異常状態であると判定し、それ以外の場合は電源側正常状態であると判定する。
これにより、電力開閉器70の開放状態において電動機10が回生動作することで回生電力がコンデンサ21に蓄電され、コンデンサ21の両端電圧すなわち直流母線電圧が通常動作では生じえない高電圧状態になっている場合や、電力開閉器70が導通状態であっても直流電源90が通常動作では生じえない高電圧状態になっている場合等、回生電力を直流電源90に回生できないときに電源側異常状態であると判定することができる。
電源側異常判定部68により電源側異常判定結果Errが電源側正常状態であると判定された場合には、何ら問題なく電動機10を力行運転および回生運転できる状態であり、3相短絡処理指令生成部67は、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成し、PWM信号生成部66に対して出力する。
PWM信号生成部66は、3相短絡処理指令S3PSが3相短絡不実行指令である場合には、インバータ駆動で広く一般的に実行される三角波比較方式等により、各相のデューティ指令値Du、Dv、Dwに応じた各スイッチング素子へのオンオフ制御信号を出力する。なお、三角波比較方式は、公知であるので詳細な説明は省略する。
電源側異常判定部68により電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合には、直流電源90に回生電力を回生できない状態であるため、3相短絡処理指令生成部67は、後述する方法で3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成し、PWM信号生成部66に対して出力する。
PWM信号生成部66は、3相短絡処理指令S3PSが3相短絡実行指令である場合には、上段側スイッチング素子31、33、35をオンし、下段側スイッチング素子32、34、36をオフするよう電力変換回路25へオンオフ制御信号を出力する。
なお、PWM信号生成部66は、3相短絡するスイッチング素子を下段側スイッチング素子としてもよく、上段側スイッチング素子31、33、35をオフし、下段側スイッチング素子32、34、36をオンするよう電力変換回路25へオンオフ制御信号を出力するようにしてもよい。
上述した動作により、電動機10の回生運転中にインバータ回路20が直流電源90から切り離された場合等、回生電力を直流電源90に回生できないときに、インバータ回路20の上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンし、電動機10の各相を互いに短絡させる3相短絡処理を実行することとなり、コンデンサ21に電力が過大に回生されてコンデンサ端子間電圧が過大に上昇することを防止することができる。
ここで、3相短絡処理指令生成部67は、3相短絡実行指令を生成する場合に、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングで3相短絡実行指令を生成する。以下に、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合の3相短絡処理指令S3PSの生成方法について詳述する。
まず、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングについて説明する。3相短絡処理実行後の相電流は、3相短絡前に流れていた電流と3相短絡後に電動機10の誘起電圧によって流れる短絡電流との和となる。以下、3相短絡前に流れていた電流を短絡前電流と称し、3相短絡後に電動機10の誘起電圧によって流れる短絡電流を誘起電圧電流と称する。
電動機10の電気角速度をω、短絡前電流の振幅をA、誘起電圧電流の振幅をB、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差をε、短絡前電流の減衰時定数をτとし、時刻T0で3相短絡処理を開始したとすると、3相短絡後の時刻tでの各相の相電流は、次式(1)となる。
Figure 2017184448
なお、ここでは、数式を簡素化するため、U相の誘起電圧電流の位相オフセットを0とした場合について示している。
このとき、相電流絶対値が最も大きくなるのは、短絡前電流が減衰していない3相短絡実行直後付近となる。したがって、上記式(1)での短絡前電流の減衰を無視して近似した次式(2)により、相電流絶対値の最大値を見積もることが可能である。
Figure 2017184448
上記式(2)から、各相の相電流の最大値および最小値は、次式(3)のようになる。
Figure 2017184448
また、上記式(3)から、各相の相電流絶対値の最大値は、次式(4)のようになる。
Figure 2017184448
上記式(4)において、UVW全相での相電流絶対値の最大値が最小となるようなT0が、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングとなる。ここで、U相を例にとると、
Figure 2017184448
は、次式(5)のように変換することができる。なお、数式簡素化のため、式(5)では、ωT0をαとおきかえている。
Figure 2017184448
また、V相の
Figure 2017184448
およびW相の
Figure 2017184448
も、それぞれ同様に次式(6)、(7)のように変換することができる。
Figure 2017184448
Figure 2017184448
ここで、X、Yは、α(=ωT0)とは無関係であるため、
Figure 2017184448
もαとは無関係であり、3相短絡処理開始タイミングによって変化しないものである。
したがって、上記式(4)〜(7)により、UVW全相での相電流絶対値の最大値が最小となるのは、
Figure 2017184448
の3つの絶対値の最大値が最小となる場合である。これは、図3から明らかなように、次式(8)を満たす場合である。図3は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置に関して、120°ずつ位相がずれた3つのsin関数の絶対値の最大値が最小となる関係を示す説明図である。
Figure 2017184448
すなわち、3相短絡処理は、次式(9)を満たすタイミングで開始されると、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値を極力小さくすることができる。
Figure 2017184448
ここで、上記式(9)におけるA、B、εを説明するために、3相短絡処理前後の電流に関して、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示した図4を用いて説明する。図4(a)〜(c)は、この発明の実施の形態1に係る電動機制御装置に関して、3相短絡処理前後の電流振幅および位相差を示す回転座標系dq座標での電流ベクトル図である。
図4(a)は、3相短絡処理前に流れる回生制御中の電流を、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示したものである。図4(a)において、3相短絡処理前は、電動機10が発生すべきトルク指令値Trq*に対して生成されるd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*に基づき電流制御しており、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*と等しい電流が流れている。
なお、回生動作の場合には、負のq軸電流が流れている。また、電動機10の回転速度が高い動作領域では、永久磁石の磁束を等価的に減じる弱め界磁制御が実行されることが一般的で、負のd軸電流が流れている。
図4(b)は、3相短絡処理後に電動機10の誘起電圧により流れる短絡電流を、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示したものである。図4(b)において、3相短絡処理後は、電動機10の誘起電圧Emを打ち消すように短絡電流Isが流れる。
詳細には、短絡電流Isのd軸成分をIsd、q軸成分をIsq、d軸上で作用するd軸リアクタンスをLd、q軸上で作用するq軸リアクタンスをLq、電機子巻線抵抗をR、d−q軸座標系でd軸成分として現れる電機子鎖交磁束数をφとすると、図4(b)に示されるように、電動機10の誘起電圧ベクトルEm=ωφ、q軸電流によって生成される磁束による電圧ベクトルωLq・Isq、d軸電流によって生成される磁束による電圧ベクトルωLd・Isd、電機子巻線抵抗で発生する電圧ベクトルR・Isの合成電圧ベクトルが0ベクトルとなるような短絡電流Isが流れる。また、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差εは、電流ベクトルIとIsとの角度となる。
ここで、この発明の実施の形態1に係る発明では、数式を簡単化するために、リアクタンス成分ωLd、ωLqに比べ小さい電機子巻線抵抗Rを無視して近似する。このとき、3相短絡処理後に電動機10の誘起電圧により流れる短絡電流の電流ベクトル図は、図4(c)のようになる。図4(c)において、電動機10の誘起電圧ベクトルEm=ωφを打ち消すようにd軸負方向に次式(10)に示す短絡電流Isが流れる。
Figure 2017184448
以上のことから、上記式(9)におけるA、B、εは、次式(11)のように求めることができる。
Figure 2017184448
また、上記式(11)から、上記式(9)は、次式(12)のように展開される。
Figure 2017184448
ここで、回転角センサ30で検出された電動機10のロータ回転角から換算される電気角θeは、図5(a)に示されるように、静止座標系UVW座標でのU相軸と回転座標系dq座標でのd軸との角度とするのが一般的である。また、図5(b)は、この発明の実施の形態1における誘起電圧電流Isの電流ベクトルを合わせて図示したものである。
この発明の実施の形態1では、U相の誘起電圧電流をBsin(ωt)としており、位相ωtは、図5(b)に示す角度となる。また、図5(b)から分かるように、電気角θeとU相の誘起電圧電流の位相ωtとの関係は、次式(13)のようになる。
Figure 2017184448
したがって、上記式(12)のωT0に対応する電気角をθe0とすると、次式(14)のようになる。
Figure 2017184448
以上の説明により、電気角θeが上記式(14)に示されるθe0となるタイミングで3相短絡処理が開始されることで、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなることを示した。なお、上記式(14)におけるd軸リアクタンスLd、電機子鎖交磁束数φは、電動機10によって決まる既知の値であり、3相短絡開始タイミングの電気角θe0は、d軸電流Idおよびq軸電流Iqが分かれば求めることができる。
したがって、3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqと、回転角センサ30から入力された電気角θeとに基づいて3相短絡実行指令を生成することで、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値を極力小さくすることができる。
以下、図6のフローチャートを参照しながら、3相短絡処理指令生成部67の詳細な処理について説明する。
まず、最初のステップS101では、3相短絡実行中であるか否かを判定する。なお、これ以降、「ステップ」を省略して、単に記号「S」で示す。
3相短絡実行中であると判定された場合、すなわち、S101でYESと判定された場合、3相短絡状態を継続するように、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成するS105へ移行する。
一方、3相短絡実行中でないと判定された場合、すなわち、S101でNOと判定された場合、S102へ移行する。
3相短絡実行中でないと判定された場合に移行するS102では、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であるか否かを判定する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち、S102でYESと判定された場合、S103へ移行する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態でないと判定された場合、すなわち、S102でNOと判定された場合、3相短絡処理を実行する必要がない状態であり、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成するS106へ移行する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合に移行するS103では、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqから、上記式(14)により3相短絡開始する電気角θe0を演算し、S104へ移行する。
ここで、電気角θe0は、整数nに応じて複数演算できるが、0から2πの範囲の電気角をθe0として演算する。すなわち、電気角θe0として6個の電気角が演算される。
S104では、回転角センサ30から入力された電気角θeが、S103で演算された電気角θe0の近傍であるか否かを判定する。
電気角θeが電気角θe0の近傍であると判定された場合、すなわち、S104でYESと判定された場合、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングであるので、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成するS105へ移行する。
一方、電気角θeが電気角θe0の近傍でないと判定された場合、すなわち、S104でNOと判定された場合、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングでないので、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成するS106へ移行する。
以上のフローチャートに示す処理により、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合に、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングで3相短絡実行指令を生成することができる。すなわち、3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるタイミングで3相短絡処理を開始することができる。
以上のように、実施の形態1によれば、3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングを、d軸電流、q軸電流、電動機の回転角に基づいて判断して3相短絡処理を開始できるので、3相短絡処理を実行した場合の相電流の上昇を極力抑制することができる。
また、電源側異常状態であると判定されたときに3相短絡処理を実行する構成としたので、インバータ回路が直流電源から切り離された場合のコンデンサ端子間電圧の上昇を抑制するために3相短絡処理を実行する際にも、電動機の相電流の上昇を極力抑制することができる。
すなわち、以上の実施の形態1によれば、インバータ回路が直流電源から切り離された場合であっても、コンデンサ端子間電圧の上昇および電動機の各相に流れる相電流の上昇を抑制し、インバータ回路や電動機の破壊を防止することができる電動機制御装置を小型、低コストで実現することができる。
なお、上記実施の形態1では、3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合に、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iqと、回転角センサ30から入力された電気角θeとに基づいて3相短絡実行指令を生成する構成とした。
しかしながら、これに限定されず、図7に示されるように、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqの代わりに、電流指令生成部61からd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を入力する構成としてもよい。この構成とすれば、電動機電流検出部26により検出される相電流Iu、Iv、Iwにノイズが重畳する場合であっても、ノイズの影響を受けずに3相短絡実行指令を生成することができる。
また、上記実施の形態1では、3相短絡処理指令生成部67で電気角θe0を演算する処理として、上記式(14)での整数nに応じて、0から2πの範囲で6個の電気角を演算する処理としたが、これに限定されるものではなく、例えば、0から2πの範囲で該当する1個の電気角のみ演算する処理としてもよい。この処理とすれば、比較的簡単な処理で3相短絡処理を開始するタイミングを判断することができる。
また、上記実施の形態1では、3相短絡処理指令生成部67で電気角θe0を演算する処理として、上記式(14)により演算する処理としたが、本質的に同等の演算方法であれば、特にこの数式に限定されるものではない。
例えば、短絡前電流の振幅A、誘起電圧電流の振幅B、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差εを上記式(11)で演算した後、これらに基づいて上記式(9)により3相短絡処理を開始するタイミングの電気角θe0(=ωT0−π)を演算する処理としてもよい。言い換えると、d軸電流およびq軸電流から演算した3相短絡処理前後の相電流の位相差と3相短絡処理前後の相電流の振幅とに基づいて、電気角θe0を演算する処理としてもよい。
また、上記実施の形態1では、スイッチング制御部60の電源側異常判定部68は、電圧検出部24から入力された直流母線電圧情報をもとに、電源側異常状態であるか否かを判定する構成としたが、その他の構成として、例えば図示しない車両ECU等外部の制御装置から電力開閉器70の開放状態が通信され、電力開閉器70が開放状態である場合に電源側異常状態であると判定してもよい。
なお、電力変換回路25のスイッチング素子は、どのような素子を用いてもよいが、例えばワイドバンドギャップ半導体を用いることができる。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンド等により形成されたものがある。
このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子で構成されたインバータ回路は、従来のシリコンSiによって形成されたスイッチング素子で構成されたインバータ回路と比較して、高耐電圧、低損失であり、高周波駆動が可能である特徴がある。以下、ワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子で構成されたインバータ回路をワイドバンドギャップインバータ回路と称し、シリコンSiによって形成されたスイッチング素子で構成されたインバータ回路をSiインバータ回路と称する。
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置を図8から図11に基づいて詳細に説明する。この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置は、上記実施の形態1の図1に示したシステム構成と同様に、インバータ回路20とスイッチング制御部60とで構成されているが、図8に示されるように、スイッチング制御部60の機能ブロックにおいて、角速度演算部69が付加されている。
また、3相短絡処理指令生成部67での3相短絡処理指令生成方法が、上記実施の形態1と異なる。その他の構成や動作は、上記実施の形態1と同じであるので、上記実施の形態1と同一または相当する部分については説明を省略し、上記実施の形態1と異なるスイッチング制御部60について説明する。
図8は、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置のスイッチング制御部を示すブロック構成図である。図8において、スイッチング制御部60は、電流指令生成部61、3相2相変換部62、電流制御部63、2相3相変換部64、デューティ変換部65、PWM信号生成部66、3相短絡処理指令生成部67、電源側異常判定部68および角速度演算部69を有している。
ここで、電流指令生成部61、3相2相変換部62、電流制御部63、2相3相変換部64、デューティ変換部65、PWM信号生成部66および電源側異常判定部68は、上記実施の形態1と同一であるので、説明を省略する。
角速度演算部69は、回転角センサ30から電気角θeが入力され、時間微分することにより電気角速度ωを演算する。
3相短絡処理指令生成部67は、3相2相変換部62からd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iq、回転角センサ30から電気角θe、電源側異常判定部68から電源側異常判定結果Err、角速度演算部69から電気角速度ωが入力され、これらに基づいて3相短絡処理指令S3PSを生成する。
具体的には、3相短絡処理指令生成部67は、電源側異常判定結果Errが電源側正常状態であると判定された場合には、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成し、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合には、d軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iq、電気角θeおよび電気角速度ωに基づいて、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成する。
ここで、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の特徴とする点は、スイッチング制御部60に3相短絡処理指令生成部67を設け、電源側異常状態であると判定された場合に、d軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iq、電気角θeおよび電気角速度ωに基づいて3相短絡実行指令を生成し、3相短絡処理を実行する点である。
この構成により、後述するように、インバータ回路20が直流電源90から切り離された場合のコンデンサ端子間電圧の上昇を抑制するために、3相短絡処理を実行する際に、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングで3相短絡処理を開始することができる。以下に、この発明の実施の形態2に係る電動機制御装置の特徴である3相短絡処理指令生成部67の動作について、詳細に説明する。
なお、3相短絡処理指令生成部67の動作において、上記実施の形態1と異なるのは、3相短絡実行指令を生成する場合に演算される、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングの演算方法である。
したがって、以下では、上記実施の形態1と重複する説明は省略し、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合の3相短絡処理指令S3PSの生成方法について詳述する。
まず、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングについて説明する。上記実施の形態1で説明したように、電動機10の電気角速度をω、短絡前電流の振幅をA、誘起電圧電流の振幅をB、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差をε、3相短絡処理を開始する時刻をT0とおくと、上記式(9)を満たすタイミングT0で3相短絡処理が開始されると、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値を極力小さくすることができる。
ここで、上記式(9)におけるA、B、εを説明するために、3相短絡処理前後の電流に関して、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示した図4を用いて再度説明する。
図4(a)は、3相短絡処理前に流れる回生制御中の電流を、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示したものである。図4(a)において、3相短絡処理前は、電動機10が発生すべきトルク指令値Trq*に対して生成されるd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*に基づき電流制御しており、d軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*と等しい電流が流れている。
なお、回生動作の場合には、負のq軸電流が流れている。また、電動機10の回転速度が高い動作領域では、永久磁石の磁束を等価的に減じる弱め界磁制御が実行されることが一般的で、負のd軸電流が流れている。
図4(b)は、3相短絡処理後に電動機10の誘起電圧により流れる短絡電流を、d−q軸座標系での電流ベクトル図で示したものである。図4(b)において、3相短絡処理後は、電動機10の誘起電圧Emを打ち消すように短絡電流Isが流れる。
詳細には、短絡電流Isのd軸成分をIsd、q軸成分をIsq、d軸上で作用するd軸リアクタンスをLd、q軸上で作用するq軸リアクタンスをLq、電機子巻線抵抗をR、d−q軸座標系でd軸成分として現れる電機子鎖交磁束数をφとすると、図4(b)に示されるように、電動機10の誘起電圧ベクトルEm=ωφ、q軸電流によって生成される磁束による電圧ベクトルωLq・Isq、d軸電流によって生成される磁束による電圧ベクトルωLd・Isd、電機子巻線抵抗で発生する電圧ベクトルR・Isの合成電圧ベクトルが0ベクトルとなるような短絡電流Isが流れる。また、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差εは、電流ベクトルIとIsとの角度となる。
ここで、図4(b)を参照すると、Isd、Isqには、式(15)の関係が成り立つ。
Figure 2017184448
上記式(15)および図4(b)から、上記式(9)におけるA、B、εは、次式(16)のように求めることができる。
Figure 2017184448
ここで、回転角センサ30で検出された電動機10のロータ回転角から換算される電気角θeは、図9(a)に示されるように、静止座標系UVW座標でのU相軸と回転座標系dq座標でのd軸との角度とするのが一般的である。また、図9(b)は、この発明の実施の形態2における誘起電圧電流Isの電流ベクトルを合わせて図示したものである。
この発明の実施の形態2では、U相の誘起電圧電流をBsin(ωt)としており、位相ωtは、図9(b)に示す角度となる。また、図9(b)から分かるように、電気角θeとU相の誘起電圧電流の位相ωtとの関係は、次式(17)のようになる。
Figure 2017184448
したがって、上記式(9)のωT0に対応する電気角をθe0とすると、次式(18)のようになる。
Figure 2017184448
以上の説明により、電気角θeが上記式(18)に示されるθe0となるタイミングで3相短絡処理が開始されることで、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなることを示した。
なお、上記式(18)におけるA、B、εは、上記式(16)から演算でき、また、上記式(16)および上記式(18)におけるd軸リアクタンスLd、q軸リアクタンスLq、電機子鎖交磁束数φ、電機子巻線抵抗Rは、電動機10によって決まる既知の値である。すなわち、上記式(16)および上記式(18)により、3相短絡開始タイミングの電気角θe0は、d軸電流Id、q軸電流Iqおよび電気角速度ωが分かれば求めることができる。
したがって、3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqと、回転角センサ30から入力された電気角θeと、角速度演算部69から入力された電気角速度ωに基づいて3相短絡実行指令を生成することで、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値を極力小さくすることができる。
以下、図10のフローチャートを参照しながら、3相短絡処理指令生成部67の詳細な処理について説明する。
まず、最初のステップS201では、3相短絡実行中であるか否かを判定する。なお、これ以降、「ステップ」を省略して、単に記号「S」で示す。
3相短絡実行中であると判定された場合、すなわち、S201でYESと判定された場合、3相短絡状態を継続するように、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成するS206へ移行する。
一方、3相短絡実行中でないと判定された場合、すなわち、S201でNOと判定された場合、S202へ移行する。
3相短絡実行中でないと判定された場合に移行するS202では、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であるか否かを判定する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち、S202でYESと判定された場合、S203へ移行する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態でないと判定された場合、すなわち、S202でNOと判定された場合、3相短絡処理を実行する必要がない状態であり、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成するS207へ移行する。
電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合に移行するS203では、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iq、角速度演算部69から入力された電気角速度ωから、上記式(16)により短絡前電流の振幅A、誘起電圧電流の振幅B、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差εを演算し、S204へ移行する。
続いて、S204では、S203で演算された短絡前電流の振幅A、誘起電圧電流の振幅B、短絡前電流と誘起電圧電流との位相差εから、上記式(18)により3相短絡開始する電気角θe0を演算し、S205へ移行する。
ここで、電気角θe0は、整数nに応じて複数演算できるが、0から2πの範囲の電気角をθe0として演算する。すなわち、電気角θe0として6個の電気角が演算される。
S205では、回転角センサ30から入力された電気角θeが、S204で演算された電気角θe0の近傍であるか否かを判定する。
電気角θeが電気角θe0の近傍であると判定された場合、すなわち、S205でYESと判定された場合、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングであるので、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡実行指令を生成するS206へ移行する。
一方、電気角θeが電気角θe0の近傍でないと判定された場合、すなわち、S205でNOと判定された場合、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングでないので、3相短絡処理指令S3PSとして3相短絡不実行指令を生成するS207へ移行する。
以上のフローチャートに示す処理により、電源側異常判定結果Errが電源側異常状態であると判定された場合、すなわち3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合に、3相短絡処理実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるようなタイミングで3相短絡実行指令を生成することができる。すなわち、3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなるタイミングで3相短絡処理を開始することができる。
以上のように、実施の形態2によれば、3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡実行後の相電流絶対値の最大値が極力小さくなる3相短絡開始タイミングを、d軸電流、q軸電流、電動機の回転角、回転角速度に基づいて判断して3相短絡処理を開始できるので、3相短絡処理を実行した場合の相電流の上昇を極力抑制することができる。
また、電源側異常状態であると判定されたときに3相短絡処理を実行する構成としたので、インバータ回路が直流電源から切り離された場合のコンデンサ端子間電圧の上昇を抑制するために3相短絡処理を実行する際にも、電動機の相電流の上昇を極力抑制することができる。
すなわち、以上の実施の形態2によれば、インバータ回路が直流電源から切り離された場合であっても、コンデンサ端子間電圧の上昇および電動機の各相に流れる相電流の上昇を抑制し、インバータ回路や電動機の破壊を防止することができる電動機制御装置を小型、低コストで実現することができる。
特に、実施の形態2によれば、数式を簡素化するために電機子巻線抵抗Rを無視する近似により短絡電流Isを求めた実施の形態1と比較して、電機子巻線抵抗Rを無視せずに短絡電流Isを求めているので、より正確に3相短絡開始タイミングを演算でき、3相短絡処理を実行した場合の相電流の上昇をより抑制することができる。
なお、上記実施の形態2では、3相短絡処理指令生成部67で3相短絡実行指令を生成する場合に、3相2相変換部62から入力されたd軸電流検出値Id、q軸電流検出値Iqと、回転角センサ30から入力された電気角θeと、角速度演算部69から入力された電気角速度ωとに基づいて3相短絡実行指令を生成する構成とした。
しかしながら、これに限定されず、図11に示されるように、d軸電流検出値Idおよびq軸電流検出値Iqの代わりに、電流指令生成部61からd軸電流指令値Id*およびq軸電流指令値Iq*を入力する構成としてもよい。この構成とすれば、電動機電流検出部26により検出される相電流Iu、Iv、Iwにノイズが重畳する場合であっても、ノイズの影響を受けずに3相短絡実行指令を生成することができる。
また、上記実施の形態2では、3相短絡処理指令生成部67で電気角θe0を演算する処理として、上記式(18)での整数nに応じて、0から2πの範囲で6個の電気角を演算する処理としたが、これに限定されるものではなく、例えば、0から2πの範囲で該当する1個の電気角のみ演算する処理としてもよい。この処理とすれば、比較的簡単な処理で3相短絡処理を開始するタイミングを判断することができる。
なお、上記実施の形態1、2はあくまで一例であり、本発明が適用できるものであれば上述した実施の形態に何ら限定されない。例えば、上記実施の形態1、2では、直流電源90と電動機制御装置80とを直接接続していたが、直流電源90と電動機制御装置80との間に昇圧や降圧を行うDC/DCコンバータを配置する構成としてもよいし、交流電源の交流電力を直流電力に変換する整流器やAC/DCコンバータを介して交流電源と接続される構成としてもよい。
また、上記実施の形態1、2では、電気自動車を例に挙げて説明したが、エンジンと電動機とを併用するハイブリット車両に適用してもよいし、さらには車両に限定されるものではない。
以上、この発明の実施の形態を記述したが、この発明は実施の形態に限定されるものではなく、種々の設計変更を行うことが可能であり、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
1a、1b 直流母線、2a 交流母線、10 電動機、20 インバータ回路、21 コンデンサ、24 電圧検出部、25 電力変換回路、26 電動機電流検出部、30 回転角センサ(回転速度検出部)、31〜36 スイッチング素子、60 スイッチング制御部、61 電流指令生成部、62 3相2相変換部、63 電流制御部、64 2相3相変換部、65 ディーティ変換部、66 PWM信号生成部、67 3相短絡処理指令生成部、68 電源側異常判定部、69 角速度演算部、70 電力開閉器、80 電動機制御装置、90 直流電源。
この発明に係る電動機制御装置は、直流電源と交流電動機との間に接続され、直流電源の直流電力を交流電力に変換して交流電動機を駆動制御する電動機制御装置であって、交流1相分のアームが上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により構成された電力変換回路と、電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、を備え、スイッチング制御部は、上段側スイッチング素子のすべてまたは下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を実行する場合に、3相短絡処理後の交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで3相短絡処理を開始する3相短絡処理指令生成部を有し、3相短絡処理指令生成部は、少なくとも交流電動機の回転角度情報に基づいて3相短絡処理の開始タイミングを判定し、3相短絡処理指令生成部は、3相短絡処理の開始タイミングを、交流電動機の回転角度があらかじめ設定された回転角度となったタイミングに設定し、あらかじめ設定された回転角度は、交流電動機の永久磁石の磁束方向をd軸、d軸と電気的に直交する方向をq軸としたd−q軸座標系上でのd軸電流およびq軸電流に基づいて演算されるものである。

Claims (12)

  1. 直流電源と交流電動機との間に接続され、前記直流電源の直流電力を交流電力に変換して前記交流電動機を駆動制御する電動機制御装置であって、
    交流1相分のアームが上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により構成された電力変換回路と、
    前記電力変換回路のスイッチング素子をオンオフ制御するスイッチング制御部と、を備え、
    前記スイッチング制御部は、
    前記上段側スイッチング素子のすべてまたは前記下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を実行する場合に、前記3相短絡処理後の前記交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで前記3相短絡処理を開始する3相短絡処理指令生成部を有する
    電動機制御装置。
  2. 前記3相短絡処理指令生成部は、少なくとも前記交流電動機の回転角度情報に基づいて前記3相短絡処理の開始タイミングを判定する
    請求項1に記載の電動機制御装置。
  3. 前記3相短絡処理指令生成部は、前記3相短絡処理の開始タイミングを、前記交流電動機の回転角度があらかじめ設定された回転角度となったタイミングに設定する
    請求項2に記載の電動機制御装置。
  4. 前記あらかじめ設定された回転角度は、前記交流電動機の永久磁石の磁束方向をd軸、前記d軸と電気的に直交する方向をq軸としたd−q軸座標系上でのd軸電流およびq軸電流に基づいて演算される
    請求項3に記載の電動機制御装置。
  5. 前記あらかじめ設定された回転角度は、前記交流電動機の永久磁石の磁束方向をd軸、前記d軸と電気的に直交する方向をq軸としたd−q軸座標系上でのd軸電流およびq軸電流と、前記交流電動機の回転速度とに基づいて演算される
    請求項3に記載の電動機制御装置。
  6. 前記あらかじめ設定された回転角度は、前記3相短絡処理前後の相電流の位相差および振幅に基づいて演算される
    請求項3に記載の電動機制御装置。
  7. 前記3相短絡処理前後の相電流の位相差は、前記交流電動機の永久磁石の磁束方向をd軸、前記d軸と電気的に直交する方向をq軸としたd−q軸座標系上でのd軸電流およびq軸電流に基づいて演算される
    請求項6に記載の電動機制御装置。
  8. 前記3相短絡処理前後の相電流の位相差は、前記交流電動機の永久磁石の磁束方向をd軸、前記d軸と電気的に直交する方向をq軸としたd−q軸座標系上でのd軸電流およびq軸電流と、前記交流電動機の回転速度とに基づいて演算される
    請求項6に記載の電動機制御装置。
  9. 前記スイッチング制御部は、
    前記交流電動機からの回生電力を前記直流電源に回生させることが不可である電源側異常状態であるか否かを判定する電源側異常判定部をさらに備え、
    前記電源側異常判定部により電源側異常状態であると判定された場合に、前記3相短絡処理を実行する
    請求項1から請求項8までの何れか1項に記載の電動機制御装置。
  10. 前記電源側異常判定部は、前記電力変換回路の直流母線電圧があらかじめ定められた設定値以上となった場合に、電源側異常状態であると判定する
    請求項9に記載の電動機制御装置。
  11. 前記電力変換回路のスイッチング素子は、ワイドバンドギャップ半導体により形成されている
    請求項1から請求項10までの何れか1項に記載の電動機制御装置。
  12. 直流電源と交流電動機との間に接続され、前記直流電源の直流電力を交流電力に変換して前記交流電動機を駆動制御する電動機制御装置であって、交流1相分のアームが上段側スイッチング素子と下段側スイッチング素子との直列回路により構成された電力変換回路を備えたものにおいて実行される電動機制御方法であって、
    前記交流電動機からの回生電力を前記直流電源に回生させることが不可である電源側異常状態であるか否かを判定する電源側異常判定ステップと、
    前記電源側異常判定ステップにより電源側異常状態であると判定された場合に、前記上段側スイッチング素子のすべてまたは前記下段側スイッチング素子のすべてをオンする3相短絡処理を、前記3相短絡処理後の前記交流電動機の相電流絶対値の最大値が最小となるタイミングで開始する3相短絡処理ステップと、を有する
    電動機制御方法。
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