JP2017182914A - 電池パック - Google Patents
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Abstract
Description
電池モジュールがトレイの底面に固定されない場合、車両の衝突時などにおいて、電池モジュールの慣性で電池モジュールの位置ズレが発生し、特に、電池モジュールの長手方向両端で電池モジュールがトレイ内壁などに衝突し、電池セルが損傷するおそれがある。
上記(1)の構成によれば、電池モジュールの長手方向中央域に上記固定部を備えることで、車両の衝突時などにおいて、車幅方向及び車体前後方向から加わる衝突荷重に対して、トレイの底面上での電池モジュールの位置ズレを抑制できる。これによって、電池モジュールに過大な衝撃が加わるのを抑制でき、電池セルの損傷を抑制できると共に、電池モジュールの位置ズレによる衝突で電池パックが損傷するのを抑制できる。
また、上記固定部によって電池モジュールが長手方向中央域で固定されるため、長手方向中央域を基点とした長手方向両端までの電池モジュールの製造及び組立て公差は、長手方向中央域を固定しない電池モジュールの長手方向全長に亘る製造及び組立て公差と比べて小さく設定できる。そのため、電池モジュールの長手方向両端とトレイの内壁等との隙間設定の精度を高めることができると共に、長手方向両端側の隙間を均等化でき、この隙間の存在により、車両の衝突時などにおいて、衝突方向にかかわらず電池セルに加わる衝撃を緩和できる。これによって、電池セル及び電池パックの損傷を抑制できる。
また、幾つかの実施形態では、上記固定部以外に、特許文献1に開示されたベルトのように、電池モジュールをトレイの所定位置に固定するための他の固定手段を併用することを妨げない。
上記(2)の構成によれば、電池モジュールの長手方向中央域において、電池モジュールを短手方向両側位置で固定することで、トレイ底面上で電池モジュールを回動させるように働くモーメント力に対して高い位置保持力を発揮できる。
上記(3)の構成によれば、上記固定部の構成をコンパクト化かつ低コスト化できる。上記嵌合部は例えば孔又は凹部で構成される。
上記(4)の構成によれば、上記フランジを固定点として電池モジュールを固定することで、両固定点間の間隔を広げることができる。これによって、上記モーメント力に対する電池モジュールの位置保持力を高めることができると共に、上記嵌合部を上記フランジに形成することで、上記固定部と電池モジュールを構成する電池セルとの干渉をなくすことができる。
また、ホルダにフランジを一体に設ける場合、フランジの形成が容易になり、他方、フランジをホルダと別体とすることで、ホルダへのフランジの取付け位置が電池モジュールの長手方向で調整可能になり、電池モジュールの構成に応じて固定点を最適な位置に設定できる。
上記(5)の構成によれば、一方のピンを第1の孔又は凹部に密嵌することで、格納部に対する電池モジュールの取付け強度を高めることができ、他方のピンを第2の孔又は凹部に遊嵌することで、電池モジュールの短手方向の製造及び組立て公差を許容しながら電池モジュールを格納部に固定できる。
上記第2の嵌合部は、例えば、電池モジュールの短手方向に沿って長辺を有し、上記ピンがこの長辺に沿って移動可能なように遊嵌される孔又は凹部で構成される。
上記(6)の構成によれば、隣接する2個の電池モジュールの固定部を1個のピンで兼用できるため、隣接する2個の電池モジュールに対する固定部の構成をコンパクト化かつ低コスト化できると共に、格納部間のスペースを縮小でき、電池パックをコンパクト化できる。
前記フランジの一方に形成された前記孔は前記第1の孔であり、前記フランジの他方に形成された前記孔は前記第2の孔である。
上記(7)の構成によれば、第1の嵌合部ではピンが密嵌されるため、格納部に対する電池モジュールの取付け強度を高めることができ、第2の嵌合部ではピンが遊嵌されるため、電池モジュールの短手方向の製造及び組立て公差を許容しながら電池モジュールを格納部に固定できる。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一つの構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
電池パック10は、電気自動車やハイブリッド車等の例えば車体床面の下方に固定され、トレイの内部に複数の電池モジュールが格納される格納部を有する。電池パック10は、図1及び図4に示すように、トレイ12とトレイ12の上部開口を覆う上蓋14(図4参照)とを備える。トレイ12は電池モジュール18を格納する格納部16を有する。電池モジュール18は、図2に示すように、複数の電池セル20で構成され、複数の電池セル20はホルダ22の内部に収納され配列されている。図1及び図2において、矢印Xは車体前方を示し、矢印Yは車両の車幅方向を示し、矢印Zは車体上方を示す。
また、図3及び図4に示すように、格納部16に格納された電池モジュール18の長手方向中央域で、格納部16に固定部24を備える。固定部24はホルダ22に係合し、トレイ12の底面に沿う電池モジュール18の移動を阻止する。
図3及び図4に示すように、固定部24によって電池モジュール18が長手方向中央域で固定されるため、固定部24を基点とした長手方向両端までの電池モジュール18の製造及び組立て公差bは、電池モジュール18の長手方向全長に亘る製造及び組立て公差aと比べて少なく設定できる。そのため、電池モジュール18の長手方向両端とトレイ12の内壁又は格納部16の仕切り等との隙間c1及びc2の設定の精度を高めることができると共に、隙間c1と隙間c2を均等化でき、これら隙間の存在により、車両の衝突時などにおいて、衝突方向にかかわらず電池セル20に加わる衝撃を均等に緩和できる。
図2に示すように、ホルダ22は、電池セル20の上部を覆う上部ホルダ26と、電池モジュール18の下部を覆う下部ホルダ28とで構成され、固定部24は下部ホルダ28に係合する。上部ホルダ26と下部ホルダ28とは長手方向両端で結合具(例えばボルト)30によって結合されている。
図1に示すように、複数の電池モジュール18の上部ホルダ26を上から押えるように補強板32、34及び36が配置され、これら補強板の下端は下部ホルダ28又は仕切り用フレーム21に結合されている。
固定部24は電池モジュール18の長手方向両端から等距離にある中心点Pcに位置する格納部16に設けられる。これによって、中心点Pcと電池モジュール18の長手方向両端との間の製造及び組立て公差bを実質的に同一とすることができ、隙間c1及びc2の設定が容易になる。これら隙間の存在により、車両の衝突時などにおいて、衝突方向にかかわらず電池モジュール18に加わる衝撃を均等に緩和できる。
図4中、矢印f2は、車両側面からの衝突方向を示す。車両側面からの衝突に対して、実質的に同一の隙間c1及びc2を有することで、電池モジュール18が受ける衝撃を緩和し、電池セル20及び電池パック10のトレイ内壁や格納部16の仕切り用フレーム等の損傷を抑制できる。
なお、前述のように、電池モジュール18の長手方向における固定部24の位置は、長手方向中心点Pcのみに限られず、固定部24の設置位置から電池モジュール18の長手方向両端までの製造及び組立て公差bを長手方向両側でほぼ同等にできる領域であればよい。
このように、電池モジュール18を2個の固定部24(24a、24b)で固定することで、トレイ12の底面上で電池モジュール18を長手方向中央域を中心として回動させるようにモーメント力が働くとき、このモーメント力に対して高い位置保持力を発揮できる。
図示した実施形態では、2個の固定部24(24a、24b)は、下部ホルダ28に係合する。
図示した実施形態では、嵌合部46は下部ホルダ28に形成された孔又は凹部で構成され、ピン44は例えば格納部16の底面に例えば溶接により固定される。
かかる構成によれば、2個のフランジ48を固定点として電池モジュール18を固定することで、両固定点間の間隔を広げることができる。これによって、上記モーメント力に対する電池モジュール18の位置保持力を高めることができると共に、嵌合部46をフランジ48に形成することで、固定部24と電池モジュール18を構成する電池セル20との干渉をなくすことができる。
図示した実施形態では、嵌合部46はピン44が夫々嵌合するための孔又は凹部で構成される。これによって、嵌合部46を簡素化できる。また、フランジ48は下部ホルダ28に一体に形成される。フランジ48を下部ホルダ28に一体に形成することで、フランジ48の形成が容易になる。
上記構成によれば、ピン44が第1の嵌合部46(46a)に密嵌することで、基準となる嵌合部とすることができ、格納部16に対する電池モジュール18の取付け強度を高めることができる。また、ピン44が第2の嵌合部46(46b)に遊嵌することで、電池モジュール18の短手方向の製造及び組立て公差cを許容しながら電池モジュール18を格納部16に固定できる。
図示した実施形態では、第1の嵌合部46(46a)はピン44に密嵌する孔又は凹部で構成され、第2の嵌合部46(46b)は、長辺が電池モジュール18の短手方向に沿って配置された長尺形状の孔又は凹部で構成され、ピン44は上記長辺に沿って移動可能に遊嵌する。
このように、第1の嵌合部46(46a)及び第2の嵌合部46(46b)を孔又は凹部で構成することで、簡素化できる。
図示した実施形態では、図3に示すように、第1の嵌合部46(46a)を構成する孔又は凹部及びピン44は円形を有しており、端部には嵌合し易さを考慮し傾斜を設けている。
上記構成によって、ホルダ22へのフランジ48の取付け位置が電池モジュール18の長手方向で調整可能になり、電池モジュール18の構成に応じてフランジ48を最適な位置に設けることができる。
図示した実施形態では、両端にフランジ48(48a、48b)を一体に形成したフランジ形成体50を下部ホルダ28の下面に、例えばボルトなどの結合具を用いて着脱可能に装着する。
これによって、電池モジュール18の長手方向におけるフランジ形成体50の位置を自在に変更でき、かつ下部ホルダ28に対するフランジ形成体50の着脱が容易になる。
こうして、各電池モジュール18の間に固定部24(24a、24b、24c)が設けられる。
上記構成によれば、隣接する電池モジュール18のフランジ48(48a、48b)が重ね合わされた固定部24(24c)を1個のピン44で兼用できる。これによって、隣接する2個の電池モジュール18に対する固定部24(24c)の構成をコンパクト化かつ低コスト化できると共に、格納部間のスペースを縮小でき、電池パック10をコンパクト化できる。
上記構成によれば、第1の嵌合部46(46a)ではピン44が密嵌されるため、格納部16に対する電池モジュール18の取付け強度を高めることができる。第2の嵌合部46(46b)ではピン44が遊嵌されるため、電池モジュール18の短手方向の製造及び組立て公差cを許容しながら電池モジュール18を格納部16に固定できる。
図示した実施形態では、第1の嵌合部46(46a)は、フランジ48(48a)に形成されピン44が密嵌する孔で構成され、第2の嵌合部46(46b)は、フランジ48(48b)に形成されピン44が長辺に沿って移動可能に遊嵌する孔で構成される。これによって、第1の嵌合部46(46a)及び第2の嵌合部46(46b)をコンパクト化できる。
このように、複数の格納部16の長手方向を車幅方向に沿うように配置することで、格納部16に車幅方向に沿って格納される電池モジュール18の両端でトレイ12の内壁又は格納部16の仕切り等との隙間設定精度を高めることができると共に、隙間c1と隙間c2を均等化でき、特に、矢印f2方向からの車両の側面衝突に対して電池セル20及び電池パック10の損傷を効果的に抑制できる。
このように、複数の格納部16の長手方向を車体前後方向に沿うように配置することで、格納部に車体前後方向に沿って格納される電池モジュール18の両端でトレイ12の内壁又は格納部の仕切り等との隙間設定精度を高めることができると共に、隙間c1と隙間c2を均等化でき、特に、車両の前後面衝突に対して電池セル20及び電池パック10の損傷を効果的に抑制できる。
12 トレイ
14 上蓋
16 格納部
18 電池モジュール
20 電池セル
21 仕切り用フレーム
22 ホルダ
24(24a、24b、24c) 固定部
26 上部ホルダ
28 下部ホルダ
30、42 結合具
32、34、36 補強板
38、40 仕切り壁
44 ピン
46 嵌合部
46a 第1の嵌合部
46b 第2の嵌合部
48(48a、48b) フランジ
50 フランジ形成体
52 重畳部
a、b、c 製造及び組立て公差
c1、c2 隙間
Claims (7)
- 複数の電池セルで構成されるとともに配列され、ホルダによって保持される電池モジュールと、前記電池モジュールを格納する格納部を有するトレイと、前記トレイの上部開口を覆うための上蓋と、を備え、車両に搭載される電池パックにおいて、
前記格納部の底面に設けられ、前記格納部に格納された前記電池モジュールの長手方向中央域で前記ホルダに係合し、前記格納部の底面に沿う前記電池モジュールの移動を阻止するための固定部を備えることを特徴とする電池パック。 - 前記固定部は、
前記電池モジュールの長手方向中央域で、前記電池モジュールの短手方向両側位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。 - 前記固定部は、
前記格納部の底面から上方へ突出するピンと、
前記ホルダに形成され前記ピンが嵌合するための嵌合部と、
で構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の電池パック。 - 前記固定部は、
前記ホルダに一体又は別体に設けられ、平面視で前記電池モジュールの両側面から外側へ突出する少なくとも2個のフランジを備え、
前記嵌合部は前記フランジの各々に形成されることを特徴とする請求項3に記載の電池パック。 - 前記電池モジュールの短手方向両側の一方における前記ホルダ又は前記フランジに形成される前記嵌合部は、前記ピンが密嵌する第1の嵌合部であり、他方は、前記電池モジュールの短手方向に沿って前記ピンが遊嵌する第2の嵌合部であることを特徴とする請求項3又は4に記載の電池パック。
- 前記トレイは、
前記電池モジュールの長手辺が隣接するように並列に配置された複数の前記格納部を有し、
前記格納部の各々に前記電池モジュールが格納され、
前記格納部に格納された前記電池モジュール間で、前記ホルダの各々が有する前記フランジが重ねて配置される重畳部を有し、
前記ピンが前記重畳部に嵌合するように構成されることを特徴とする請求項4又は5に記載の電池パック。 - 前記重畳部は、
前記フランジの一方には前記第1の嵌合部が形成され、
前記フランジの他方には前記第2の嵌合部が形成されることを特徴とする請求項6に記載の電池パック。
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