JP2017182070A - 投射装置および投射型表示装置 - Google Patents

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【課題】空間光変調器に関する制約を解消することができる投射装置を提供する。【解決手段】投射装置20は、第1領域Z1および第2領域Z2を含み各領域に入射した光を拡散させる光学素子50と、光学素子の第1及び第2領域に時分割で光を照射する照射装置60と、光学素子が配置されている面Aに対する共役面B上に配置された偏光制御手段70と、光学素子から偏光制御手段までの光路中に配置され、第1領域で拡散された光及び第2領域で拡散された光によって照明される空間光変調器30と、を含む。偏光制御手段は、第1領域で拡散された光が第1偏光成分の光となり且つ第2領域で拡散された光が第1偏光成とは異なる第2偏光成分の光となるように光の偏光状態を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、光を投射する投射装置および投射装置を含む投射型表示装置に係り、とりわけ、異なる偏光成分の光によって形成された複数の画像光を投射することができる投射装置およびこの投射装置を含む投射型表示装置に関する。
例えば特許文献1に開示されているように、異なる偏光成分の光によって形成された複数の画像光を投射する投射型表示装置に関する研究開発がなされている。この投射型表示装置は、「passive polarization 方式」や「偏光めがね方式」と呼ばれる方式にて、専用の眼鏡との組み合わせにおいて立体的に観察される画像を表示する装置として、使用され得る。ただし、異なる偏光成分の画像光を投射するためには、画像光の数と同一数の投射装置を用意する、或いは、画像を形成する空間光変調器および空間光変調器を照明する照明装置を、一台の投射装置(プロジェクタ)内に、画像光の数と同一数だけ組み込む必要があった。もしくは、投射装置から画像光が出射した後に、液晶素子を搭載した機器を配置し時間分割で偏光成分を切り替える方式も行われている。したがって、従来の投射装置および投射型表示装置は、装置の大型化および複雑化といった問題を含んでいた。
一方、特許文献1に開示された投射装置および投射型表示装置では、空間光変調器が、異なる偏光成分の光で時分割的に照明され、且つ、各偏光成分の光に対応した変調画像を時分割的に形成する。このような投射装置および投射型表示装置によれば、装置の大幅な小型化を図りながら3D表示を行うことができる。
なお、レーザ光などのコヒーレント光源を用いた投射装置では、スペックルの発生という問題が生じる。スペックル(speckle)は、レーザ光などのコヒーレント光を散乱面に照射したときに現れる斑点状の模様であり、スクリーン上に発生すると斑点状の輝度ムラ(明るさのムラ)として観察され、観察者に対して生理的な悪影響を及ぼす要因になる。
特許文献1に開示された投射装置および投射型表示装置では、コヒーレント光が光学素子上を走査するようにして当該光学素子へコヒーレント光を照射することにより、光学素子からの照明光によって照明される領域上でのスペックルの発生を効果的に抑制することができ、この点においても非常に好ましい。
WO2012/033178A1
ただし、特許文献1に開示された投射装置では、空間光変調器を照明する照明光の偏光状態が時分割的に変化する。したがって、照明光の偏光状態に依存することなく変調画像を形成することが可能な空間光変調器、例えばデジタルマイクロディスプレイデバイス(DMD)等の空間光変調器を使用する必要があり、照明光の偏光状態に依存して変調画像を形成する空間光変調器、例えば、特定の偏光成分の照明光により変調画像を形成する液晶型のマイクロディスプレイを用いることができない。本発明は、このような特許文献1に開示された装置の空間光変調器に関する制約を解消することを目的としている。
本発明による投射装置は、
第1領域および第2領域を含み各領域に入射した光を拡散させる光学素子と、
前記光学素子の前記第1領域および前記第2領域に時分割で光を照射する照射装置と、 前記光学素子が配置されている面に対する共役面上に配置された偏光制御手段と、
前記光学素子から前記偏光制御手段までの光路中に配置され、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光によって照明され且つ前記光学素子の前記第2領域で拡散された光によって照明される空間光変調器と、を備え、
前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散されてその後に前記空間光変調器から進み出た光が第1偏光成分の光となり且つ前記光学素子の前記第2領域で拡散されてその後に前記空間光変調器から進み出た光が前記第1偏光成とは異なる第2偏光成分の光となるように光の偏光状態を制御する。
本発明による投射装置において、前記照射装置は、照射した光が前記光拡散素子上を走査するように、光を照射し、前記光学素子の前記第1領域内の各位置に入射して拡散された光が、それぞれ、前記空間光変調器を照明するとともに、前記光学素子の前記第2領域内の各位置に入射して拡散された光が、それぞれ、前記空間光変調器を照明するようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記照射装置は、交互に光を射出する第1光源および第2光源を有し、前記第1光源が、前記光学素子の前記第1領域に光を照射し、前記第2光源が、前記光学素子の前記第2領域に光を照射するようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記光学素子は、ホログラム記録媒体を含むようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記光学素子は、レンズアレイを含むようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記照射装置は、振動方向が一定となっている直線偏光の光を射出し、前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられた1/2波長板を有するようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上と、前記光学素子の前記第2領域で拡散された光の光路上と、に設けられた1/4波長板を、さらに有するようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記照射装置は、旋回方向が一定となっている円偏光または楕円偏光の光を射出し、前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられた1/2波長板を有するようにしてもよい。
本発明による投射装置において、前記照射装置は、無偏光の光を射出し、前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられ前記第1の偏光成分を選択的に透過させる第1偏光板と、前記光学素子の前記第2領域で拡散された光の光路上に設けられ前記第2の偏光成分を選択的に透過させる第2偏光板と、を有するようにしてもよい。
本発明による投射型表示装置は、
上述した本発明による投射装置のいずれかと、
前記空間光変調器上に得られる変調画像を投射されるスクリーンと、を備える。
本発明による投射装置および投射型表示装置によれば、偏光依存性の有無を問わず種々の空間光変調器を用いて、異なる偏光成分の光によって形成された複数の画像光を投射することができる。
図1は、本発明による一実施の形態を説明するための図であって、投射装置および投射型表示装置の概略構成を示す図である。 図2は、図1の投射装置に含まれた光学素子の一例を示す側面図である。 図3は、図2に対応する図であって、光学素子の他の例を示す側面図である。 図4は、図1の投射装置に含まれた偏光制御手段の一例を示す側面図である。 図5は、図4に対応する図であって、偏光制御手段の他の例を示す側面図である。 図6は、図1に対応する図であって、光学素子の一変形例を説明するための図である。 図7は、図6の投射装置の光学素子をなすホログラム記録媒体を作製するための露光方法を説明するための図である。 図8は、図7の露光方法を経て作製されたホログラム記録媒体の作用を説明するための図である。 図9は、図1に対応する図であって、照射装置の一変形例を説明するための図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1に示す投射型表示装置10は、スクリーン15と、画像光を投射する投射装置20と、を有している。投射装置20は、第1領域Z1及び第2領域Z2を含み各領域Z1,Z2に入射した光を拡散させる光学素子50と、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2に時分割で光を照射する照射装置60と、光学素子50からの光の偏光状態を制御する偏光制御手段70と、光学素子50から偏光制御手段70までの光の光路中に配置された空間光変調器30と、を有している。また、投射装置20は、光学素子50から偏光制御手段70までの光の光路中に配置されたリレー光学系35と、偏光制御手段70からスクリーン15までの光路中に配置された投射光学系25と、をさらに有している。照射装置60及び照明装置40は、仮想面上に位置する被照明領域LZを照明する照明装置40を形成し、空間光変調器30は、被照明領域LZに重ねて配置されて照明装置40によって照明されるようになる。
ここで説明する投射装置20は、第1偏光成分の光からなる第1変調画像と第2偏光成分の光からなる第2変調画像とを時分割的に、スクリーン15に投射するようになっている。ただし、スクリーン15に投射される光の制御は、空間光変調器30の下流側に配置された偏光制御手段70によって、変調画像を形成している画像光に対して実施される。
したがって、空間光変調器30を照明する照明装置40からの照明光の偏光状態は、特に制限されることはない。また、以下に説明する一実施の形態において、照明装置40は、コヒーレント光によって被照明領域LZを照明し、且つ、照明装置40には、スペックルを目立たなくさせる工夫がなされている。以下、各構成要素について説明していく。
まず、図1及び図2を参照して、照明装置40をなす光学素子50及び照射装置60について説明する。図1に示されているように、照明装置40は、光の進行方向を被照明領域LZへ向ける光学素子50と、光学素子50へ光、とりわけ本例ではコヒーレント光を照射する照射装置60と、を有している。とりわけここで説明する投射装置20では、光学素子50が、第1領域Z1及び第2領域Z2を含み、各領域Z1,Z2に入射した光を拡散させる。一方、照射装置60は、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2に時分割で光を照射するようになっている。
なお、図1に示すように、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2は、光学素子50の面方向に沿って並べられている。とりわけ図示された例では、光学素子50の平面を上下に二分割して、図面における上方に第1領域Z1が配置され、図面における下方に第2領域Z2が配置されている。
図1に示された例において、照射装置60は、光学素子50のコヒーレント光が、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2を跨いで延びる経路上を走査するようにして、光学素子50へコヒーレント光を照射する。したがって、ある瞬間に、照射装置60によってコヒーレント光を照射されている光学素子50上の領域は、光学素子50の表面の一部分であって、とりわけ図示する例では、点と呼ばれるべき微小領域となっている。このような構成により、照射装置60は、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2に時分割でコヒーレント光を照射する。
照射装置60は、特定波長域のコヒーレント光を射出する光源61、例えばレーザ光源と、光源61からの光の進行方向を光学素子50に向ける偏向デバイス64を有している。光源61は、後述する偏光制御手段70との関係で、特定の偏光成分の光、例えば振動方向が一定である直線偏光の光、又は、旋回方向が一定である円偏光又は楕円偏光の光を射出する。偏向デバイス64は、発散光束をなす光線の光路をたどるようにして光源61で生成されたコヒーレント光を光学素子50へ入射させる。
図示された具体例として、偏向デバイス64は、光源61からのコヒーレント光の光路を経時的に変化させる走査デバイス65として構成されている。走査デバイス65は、光源61からの光を反射させるミラーデバイス66を有しており、ミラーデバイス66の反射面66aの向きが経時的に変化するようになっている。図示された例では、ミラーデバイス66が、軸線RAを中心として回動するようになっている。この結果、照射装置60から照射される光は、軸線RAを中心とした発散光束をなす光線の光路をたどるようにして光学素子50へ向かう。
次に、光学素子50について説明する。光学素子50は、光拡散素子乃至光拡散要素として機能する。光学素子50は、照射装置60からの光の入射方向に対応して形成されたレンズアレイ51を含んで構成され得る。ここで「レンズアレイ」とは、単位レンズとも呼ばれる小さなレンズの集合体であり、屈折または反射によって光の進行方向を偏向させる素子として機能する。
図示された例において、光学素子50は、第1領域Z1の各位置に入射する光を、言い換えると、その各点とも呼ばれるべき各微小領域に照射装置60から入射する光を、それぞれ、少なくとも被照明領域LZに拡散させ、且つ、第2領域Z2の各位置に入射する光を、言い換えると、その各点とも呼ばれるべき各微小領域に照射装置60から入射する光を、それぞれ、少なくとも被照明領域LZに拡散させる。とりわけ、図示された例では、光学素子50は、第1領域Z1内の各位置および第2領域Z2内の各位置に照射装置60から入射する光を、すなわち、軸線RAを中心とした発散光束をなす光線の光路をたどるようにして第1領域Z1内の各位置および第2領域Z2内の各位置に入射する光を、それぞれ、被照明領域LZに拡散させる。言い換えると、光学素子50は、第1領域Z1内の各位置および第2領域Z2内の各位置に照射装置60から入射する光を拡散させることによって、同一の被照明領域LZを照明する。
図2に示された一具体例において、光学素子50は、凸レンズからなる単位レンズ51aを敷き詰めてなるフライアイレンズとして構成されたレンズアレイ51と、レンズアレイ51に対向して配置されたフィールドレンズ52と、を有している。図2の光学素子50において、レンズアレイ51が、光学素子50の最入光側に配置されており、照射装置60からの光を受ける。レンズアレイ51をなす各単位レンズ51aは、軸線RAを中心とした発散光束をなす光線の光路をたどるようにして入射する光を、一点に収束させる。
そして、フィールドレンズ52は、各単位レンズ51aによる収束点によって画成される面上に配置され、各凸レンズからの光を、被照明領域LZに重畳させる。なお、照射装置60から照射される発散光の発散角度を制御するため、レンズアレイ51の入射前となる光路上にコリメータレンズ等の調整手段を設けるようにしてもよい。
また、図3に示された他の具体例では、光学素子50は、図2に示されたレンズアレイ51及びフィールドレンズ52に加えて、これらの間に配置された第2レンズアレイ53をさらに有している。図3に示された例において、第2レンズアレイ53も、レンズアレイ51と同様に、凸レンズからなる単位レンズ53aを敷き詰めるようにして形成されたフライアイレンズとして構成されている。第2レンズアレイ53は、レンズアレイ51の各単位レンズ51aによる収束点上に各単位レンズ53aが位置するよう、配置されている。図3の光学素子50において、第2レンズアレイ53の各単位レンズ53aは、レンズアレイ51からの光を発散させる。そして、第2レンズアレイ53の各単位レンズ53aからの発散光は、フィールドレンズ52によって、被照明領域LZに重畳される。
次に、空間光変調器30について説明する。空間光変調器30は、被照明領域LZに配置される。そして、空間光変調器30は、照射装置60によって照明され、変調画像を形成する。上述したように、照明装置40からの光は、被照明領域LZの全域のみを照明する。したがって、空間光変調器30の入射面は、照明装置40によって光を照射される被照明領域LZと同一の形状および大きさであることが好ましい。この場合、照明装置40からの光を、変調画像の形成に高い利用効率で利用することができるからである。
空間光変調器30は、特に制限されることなく、種々の公知の空間光変調器を利用することができる。詳しくは後述するように、光路に沿って空間光変調器30よりも下流側に、偏光状態を制御する偏光制御手段70が設けられている。その一方で、空間光変調器30に入射する照明装置40からの光は、偏光制御手段70による偏光状態の制御方法にもよるが、原則として偏光状態が揃っていればよい。このため、偏光を利用することなく変調画像を形成する空間光変調器、例えばデジタルミラーデバイス(DMD)だけでなく、偏光を利用して変調画像を形成する透過型の液晶マイクロディスプレイや反射型のLCoS(Liquid Crystal On Silicon(登録商標))を、空間光変調器30として用いることも可能となる。
図1に示された例のように、空間光変調器30が、透過型の液晶マイクロディスプレイである場合、照明装置40によって面状に照明される空間光変調器30が、画素毎にコヒーレント光を選択して透過させることにより、空間光変調器30をなすディスプレイの画面上に変調画像が形成されるようになる。こうして得られた変調画像は、最終的には、投射光学系25によって、等倍で或いは変倍されてスクリーン15へ投射される。これにより、変調画像がスクリーン15上に等倍で或いは変倍され、通常拡大されて表示され、観察者は当該画像を観察することができる。スクリーン15は、透過型スクリーンとして構成されていてもよいし、反射型スクリーンとして構成されていてもよい。
ところで、スクリーン15に投射されたコヒーレント光は、拡散され、観察者に画像として認識されるようになる。この際、スクリーン上に投射されたコヒーレント光は拡散によって干渉し、スペックルを生じさせることになる。ただし、ここで説明する投射型表示装置10では、照明装置40が、時間的に角度変化するコヒーレント光で、空間光変調器30が重ねられている被照明領域LZを照明するようになっている。より具体的には、照明装置40は、コヒーレント光からなる拡散光で被照明領域LZを照明するが、この拡散光の入射角度が経時的に変化していく。この結果、スクリーン15上でも光線の入射角度が経時的に変化し、スクリーン15で発生するコヒーレント光の拡散パターンも時間的に変化するようになり、コヒーレント光の拡散で生じるスペックルが時間的に平均化されて目立たなくなる。
次に、リレー光学系35及び偏光制御手段70について順に説明する。リレー光学系35は、光学素子50についての結像光学系を構成し、図示された例では、一枚のフィールドレンズとしても作用している。一方、偏光制御手段70は、光学素子50の第1領域Z1で拡散されてその後に空間光変調器30から進み出た光が第1偏光成分の光となり且つ光学素子50の第2領域Z2で拡散されてその後に空間光変調器30から進み出た光が第1偏光成とは異なる第2偏光成分の光となるように光の偏光状態を制御する。すなわち、空間光変調器30から進み出る光は既に変調画像を形成する画像光をなしているが、偏光制御手段70は、この画像光が、光学素子50の第1領域Z1を経由してきた光か、光学素子50の第2領域Z2を経由してきた光に依存して、当該画像光の偏光状態を制御するようになっている。
結像素子として機能するリレー光学系35は、光学素子50の面A上の各位置から発散する光を面Aの共役面B上の一点に収束させる。すなわち、共役面Bは、面Aの像面となっている。そして、図1に示すように、面A上に光学素子50が配置され、共役面B上に次に説明する偏光制御手段70が配置されている。すなわち、光学素子50は面Aと少なくとも部分的に重なるように配置され、偏光制御手段70は共役面Bと少なくとも部分的に重なるように配置されている。図2及び図3に示された例では、光学素子50は、複数のレンズ素子を含んでおり、最も入光側に位置するレンズ素子が、面A上に配置されている。また、図1に示された例では、リレー光学系35が、一枚のフィールドレンズによって構成されているため、図面において上方に位置する光学素子50の第1領域Z1内の各位置で拡散された光は、図面において下方に位置する偏光制御手段70の第1制御領域CZ1内の対応する各位置で収束する。その一方で、図面において下方に位置する光学素子50の第2領域Z2内の各位置で拡散された光は、図面において上方に位置する偏光制御手段70の第2制御領域CZ2内の対応する各位置で収束する。
偏光制御手段70は、偏光状態を制御することができる種々の素子を用いて構成される。より具体的には、光学素子50の第1領域Z1を経由してきた光が入射する第2共役面B上における第1制御領域CZ1と、光学素子50の第2領域Z1を経由してきた光が入射する第2共役面B上における第2制御領域CZ2と、に配置された異なる素子によって、偏光制御手段70が形成され得る。図4に示された例において、偏光制御手段70は、第1制御領域CZ1上に配置された第1偏光制御素子71と、第1制御領域CZ1及び第2制御領域CZ2に跨って配置された第2偏光制御素子72と、を有している。第1偏光制御素子71は、1/2波長板71aであり、第2偏光制御素子72は、1/4波長板72aである。
照射装置60の光源61が、上述したように、振動方向が一定の直線偏光を、言い換えると、所定の偏光軸を有した直線偏光を投射する場合、図4に示すように、光学素子50の第1領域Z1を経由して共役面Bまで到達した光L41は、偏光制御手段70の第1偏光制御素子71及び第2偏光制御素子72に入射する。当該直線偏光の光L41は、1/2波長板71aとしての第1偏光制御素子71によって、偏光軸とも呼ばれるその振動方向を90°ずらすことになる。この光L41は、その後、1/4波長板72aとしての第2偏光制御素子72に入射し、直線偏光から円偏光へと変換される。これに対して、光学素子50の第2領域Z2を経由して第2共役面Bまで到達した光L42は、偏光制御手段70の第1偏光制御素子71に入射することなく第2偏光制御素子72のみに入射する。
この光L42は、第2偏光制御素子72によって、直線偏光から円偏光へと変換される。
ただし、光学素子50の第1領域Z1を経由して偏光制御手段70の第1制御領域CZ1に進んだ光L41と、第2領域Z2を経由して第2制御領域CZ2に進んだ光L42とは、第1偏光制御素子71による偏光制御作用の有無に依存して、円偏光の旋回方向が逆向きとなる。一例として、図4に示された例では、光学素子50の第1領域Z1に入射して偏光制御手段70の第1制御領域CZ1に進んだ光L41が、第1の偏光成分としての左円偏光(旋回方向が左回りである円偏光)となり、光学素子50の第2領域Z2に入射して偏光制御手段70の第2制御領域CZ2に進んだ光L42が、第1の偏光成分とは異なる第2の偏光成分としての右円偏光(旋回方向が右回りである円偏光)となっている。
なお、照射装置60の光源61から、旋回方向が一定となっている円偏光の光が射出されている場合、図4の偏光制御手段70では、第1偏光制御素子71において、光学素子50の第1領域Z1を経由して第1制御領域CZ1に進んだ光の旋回方向が、逆向きに変換される。次に、光学素子50の第1領域Z1を経由して第1制御領域CZ1に進んだ光及び光学素子50の第2領域Z2を経由して第2制御領域CZ2に進んだ光は、円偏光から直線偏光へと変換される。結果として、光学素子50の第1領域Z1に入射して偏光制御手段70の第1制御領域CZ1に進んだ光は、第1の偏光成分としての一方向に振動する直線偏光となり、光学素子50の第2領域Z2に入射して偏光制御手段70の第2制御領域CZ2に進んだ光は、第1の偏光成分の振動方向となる一方向に対して90°ずれた他方向に振動する直線偏光となる。
図5には、偏光制御手段70の別の具体例が示されている。図5に示された偏光制御手段70は、第1制御領域CZ1に配置された1/2波長板71aとしての第1偏光制御素子71のみを有しており、第2偏光制御素子72を有していない。図5の偏光制御手段70によれば、照射装置60の光源61が一定方向に振動する直線偏光を投射する場合、光学素子50の第1領域Z1に入射して偏光制御手段70の第1制御領域CZ1に進んだ光L51は、一方向に振動する直線偏光となり、光学素子50の第2領域Z2に入射して偏光制御手段70の第2制御領域CZ2に進んだ光L52は、当該一方向に対して90°ずれた他方向に振動する直線偏光となる。また、照射装置60の光源61が一定方向に旋回する円偏光又は楕円偏光を投射する場合、光学素子50の第1領域Z1に入射して偏光制御手段70の第1制御領域CZ1に進んだ光は、一方向に旋回する円偏光又は楕円偏光となり、光学素子50の第2領域Z2に入射して偏光制御手段70の第2制御領域CZ2に進んだ光は、当該一方向とは逆向きに旋回する円偏光又は楕円偏光となる。
さらに他の例として、照射装置60の光源61が無偏光の光を射出し、偏光制御手段70が、第1制御領域CZ1上に設けられた第1の偏光成分を選択的に透過させる第1偏光板と、第2制御領域CZ2上に設けられた第2の偏光成分を選択的に透過させる第2偏光板と、を有するようにしてもよい。この例において、第1偏光板及び第2偏光板として、吸収軸が直交するようにして配置された偏光子を用いることができる。
次に、以上の構成からなる投射装置20および投射型表示装置10の作用について説明する。
まず、照射装置60は、コヒーレント光が光学素子50上を走査するようにして、光学素子50にコヒーレント光を照射する。具体的には、光源61で一定方向に沿って進むコヒーレント光が生成され、このコヒーレント光が走査デバイス65で進行方向を変えられる。走査デバイス65は、周期的な回動動作を行っており、この結果、照射装置60から射出される光は、発散光束をなす光線の光路をたどるようにして、光学素子50上に入射する。ここで光学素子50上でのコヒーレント光の走査経路は、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2を跨いで延びている。この結果、照射装置60は、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2を交互に、言い換えると、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2を時分割的に照射するようになる。光学素子50の第1領域Z1内の各位置に入射した光は、それぞれ、被照明領域LZを照明し、且つ、光学素子50の第2領域Z2内の各位置に入射した光は、それぞれ、被照明領域LZを照明する。このようにして、照明装置40は、被照明領域LZをコヒーレント光で照明することができる。
図1に示すように、投射装置20においては、照明装置40の被照明領域LZと重なる位置に空間光変調器30が配置されている。このため、空間光変調器30は、照明装置40によって面状に照明され、画素毎にコヒーレント光を選択して透過させることにより、画像を形成するようになる。この際、空間光変調器30は、光学素子50の第1領域Z1を経由して空間光変調器30に入射するコヒーレント光に対応した第1変調画像と第2領域Z2を経由して空間光変調器30に入射するコヒーレント光に対応した第2変調画像との二つの変調画像を時分割で、すなわち、二つの変調画像を細かい時間単位で順繰りに、形成する。
第1変調画像及び第2変調画像をなす光は、光学素子50が配置された第1共役面Aに対して共役となる第2共役面B上に設けられた偏光制御手段70に入射する。光学素子50の第1領域Z1を経由した第1変調画像をなす光は、第2共役面B上における偏光制御手段70の第1制御領域CZ1を入射し、一方、光学素子50の第2領域Z2を経由した第2変調画像をなす光は、第2共役面B上における偏光制御手段70の第2制御領域CZ2を入射する。そして、偏光制御手段70によって、第1変調画像をなす光及び第2変調画像をなす光は、互いに異なる偏光成分の光をなすようになる。
このようにして偏光状態を制御された第1変調画像をなす光及び第2変調画像をなす光は、その後、投射光学系25によってスクリーン15に投射される。すなわち、第1偏光成分の光からなる第1変調画光と、第1偏光成分とは異なる第2偏光成分の光からなる第2変調画光とが、時分割的に、スクリーンに投射される。
このため、観察者による一方の目(例えば、右目)での第1偏光成分の光からなる画像の観察および当該観察者による他方の目(例えば、左目)での第2偏光成分の光からなる画像の観察を可能とする「偏光めがね方式」用の専用めがねを用いることにより、観察者が、一方の目で第1変調画像としてスクリーン15上に映し出される第1の画像を観察し、他方の目で第2変調画像としてスクリーン15上に映し出される第2の画像を観察することができる。なお、第1変調画像および第2変調画像は、交互に、スクリーン15上に表示されるが、照射装置60による走査動作に対応した空間光変調器30の時分割動作が人間の目で検出不可能な程度に高速であれば、一方の目用の第1の画像が連続的に表示され続け且つ他方の目用の第2の画像も連続的に表示され続けているかのように、観察者によって観察される。この結果、一方の目を介した第1の画像の観察および他方の目を介した第2の画像の観察が同時に行われ、結果として、観察者は画像を立体的に観察することができる。
また、観察者による右目での画像の観察および当該観察者による左目での画像の観察を交互に時分割で可能とする「液晶シャッター方式」用の専用めがねを用いることによっても、観察者が、一方の目(例えば、右目)で第1変調画像としてスクリーン15上に映し出される第1の画像を観察し、他方の目(例えば、左目)で第2変調画像としてスクリーン15上に映し出される第2の画像を観察することができる。すなわち、ここで説明する投射装置20によれば、「偏光めがね方式」用の専用めがねを用いた場合だけでなく、「液晶シャッター方式」用の専用めがねを用いた場合においても、画像を立体的に観察することが可能となる。
ところで、照射装置60の光源61から投射される光がコヒーレント光である場合には、スクリーン15上に投射された変調画像をなす光が拡散によって干渉し、スペックルを生じさせ得る。しかしながら、本実施の形態による照明装置40によれば、次に説明するように、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
スペックルを目立たなくさせるには、偏光・位相・角度・時間といったパラメータを多重化し、モードを増やすことが有効であるとされている。ここでいうモードとは、互いに無相関なスペックルパターンのことである。例えば、複数のレーザ光源から同一のスクリーンに異なる方向からコヒーレント光を投射した場合、レーザ光源の数だけ、モードが存在することになる。また、同一のレーザ光源からのコヒーレント光を、時間を区切って異なる方向から、スクリーンに投射した場合、人間の目で分解不可能な時間の間にコヒーレント光の入射方向が変化した回数だけ、モードが存在することになる。そして、このモードが多数存在する場合には、光の干渉パターンが無相関に重ねられ平均化され、結果として、観察者の目によって観察されるスペックルが目立たなくなるものと考えられている。
上述した照明装置40では、コヒーレント光が、光学素子50上を走査するようにして、光学素子50に照射される。また、照射装置60から光学素子50の各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、同一の被照明領域LZの全域をコヒーレント光で照明するが、当該被照明領域LZを照明するコヒーレント光の照明方向は互いに異なる。そして、コヒーレント光が入射する光学素子50上の位置が経時的に変化するため、被照明領域LZへのコヒーレント光の入射方向も経時的に変化する。
被照明領域LZを基準にして考えると、被照明領域LZ内の各位置には絶えずコヒーレント光が入射してくるが、その入射方向は、図1に矢印A1で示すように、常に変化し続けることになる。結果として、空間光変調器30から進み出た光によって形成された画像の各画素をなす光が、図1に矢印A2で示すように経時的に光路を変化させながら、スクリーン15の特定の位置に投射されるようになる。
以上のことから、上述してきた照明装置40を用いることによれば、画像を表示しているスクリーン15上の各位置において時間的にコヒーレント光の入射方向が変化していき、且つ、この変化は、人間の目で分解不可能な速さであり、結果として、人間の目には、相関の無いコヒーレント光の散乱パターンが多重化されて観察されることになる。したがって、各散乱パターンに対応して生成されたスペックルが重ねられ平均化されて、観察者に観察されることになる。これにより、スクリーン15に表示されている画像を観察する観察者に対して、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
なお、人間によって観察される従来のスペックルには、スクリーン15上でのコヒーレント光の散乱を原因とするスクリーン側でのスペックルだけでなく、スクリーンに投射される前におけるコヒーレント光の散乱を原因とする投射装置側でのスペックルも発生し得る。この投射装置側で発生したスペックルパターンは、空間光変調器30を介してスクリーン15上に投射されることによって、観察者に認識され得るようにもなる。しかしながら、本実施の形態によれば、コヒーレント光が光学素子50上を連続的に走査し、そして光学素子50の各位置に入射したコヒーレント光が、それぞれ、空間光変調器30が重ねられた被照明領域LZの全域を照明するようになる。すなわち、光学素子50が、スペックルパターンを形成していたそれまでの波面とは別途の新たな波面を形成し、複雑且つ均一に、被照明領域LZ、さらには、空間光変調器30を介してスクリーン15を照明するようになる。このような光学素子50での新たな波面の形成により、投射装置側で発生するスペックルパターンは不可視化されることになる。
以上のような本実施の形態によれば、偏光制御手段70が配置されている面Bが、リレー光学系35によって、光学素子50が配置されている面Aと共役な関係となっている。
そして、照射装置60が、光学素子50の第1領域Z1及び第2領域Z2に交互に光を照射し、偏光制御手段70は、光学素子50の第1領域Z1で拡散されてその後に空間光変調器30から進み出た光が第1偏光成分の光となり且つ光学素子50の第2領域Z2で拡散されてその後に空間光変調器30から進み出た光が第1偏光成とは異なる第2偏光成分の光となるように光の偏光状態を制御する。したがって、投射装置20は、第1偏光成分の光からなる第1画像光と第2偏光成分の光からなる第2画像光とを交互に、スクリーン15に投射するようになっている。ただし、スクリーン15に投射される光の制御は、空間光変調器30の下流側に配置された偏光制御手段70によって、変調画像を形成している画像光に対して実施される。したがって、空間光変調器30を照明する照明装置40からの照明光の偏光状態は、特に制限されることはない。このため、偏光を利用することなく変調画像を形成する空間光変調器だけでなく、偏光を利用して変調画像を形成する透過型の液晶マイクロディスプレイや反射型のLCOSを、空間光変調器30として用いることも可能となり、投射装置20の設計の自由度が格段に増す。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、光学素子50が、レンズアレイ51を含んで構成される例を示したが、これに限られない。光学素子50が、ホログラム記録媒体57を含むようにしてもよい。図6に示された例において、照射装置60から照射されてホログラム記録媒体57上を走査するコヒーレント光は、ホログラム記録媒体57上の各位置(各点または各領域(以下、同じ))に、当該ホログラム記録媒体57の回折条件を満たすような入射角度で、入射するようになっている。照射装置60からホログラム記録媒体57の各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、ホログラム記録媒体57で回折されて少なくとも一部分において互いに重なり合う領域を照明する。図6に示された例では、照射装置60からホログラム記録媒体57の各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、ホログラム記録媒体57で回折されて同一の被照明領域LZを照明するようになっている。より詳細には、図6に示すように、照射装置60からホログラム記録媒体57の各位置に入射したコヒーレント光が、それぞれ、被照明領域LZに重ねて散乱板6の像5を再生するようになっている。すなわち、照射装置60からホログラム記録媒体57の各位置に入射したコヒーレント光は、それぞれ、光学素子50で拡散されて(拡げられて)、被照明領域LZに入射するようになる。
このようなコヒーレント光の回折作用を可能にするホログラム記録媒体57として、図6に示された例では、フォトポリマーを用いた反射型の体積型ホログラムが用いられている。このホログラム記録媒体57は、図7に示すように、実物の散乱板6からの散乱光を物体光Loとして用いて作製されている。図7には、ホログラム記録媒体57をなすようになる感光性を有したホログラム感光材料58に、互いに干渉性を有したコヒーレント光からなる参照光Lrと物体光Loとが露光されている状態(以下、露光工程という。)が、示されている。
参照光Lrは、例えば、特定波長域のレーザ光を発振するレーザ光源からのレーザ光が用いられており、レンズからなる集光素子7を透過してホログラム感光材料58に入射する。図7に示す例では、参照光Lrをなすようになるレーザ光が、集光素子7の光軸と平行な平行光束として、集光素子7へ入射する。参照光Lrは、集光素子7を透過することによって、それまでの平行光束から収束光束に整形(変換)され、ホログラム感光材料58へ入射する。この際、収束光束Lrの焦点位置FPは、ホログラム感光材料58を越えた位置にある。すなわち、ホログラム感光材料58は、集光素子7と、集光素子7によって集光された収束光束Lrの焦点位置FPと、の間に配置されている。
次に、物体光Loは、たとえばオパールガラスからなる散乱板6からの散乱光として、ホログラム感光材料58に入射する。図示された例では、ホログラム記録媒体57が反射型なので、物体光Loは、参照光Lrとは反対側の面からホログラム感光材料58へ入射する。物体光Loは、参照光Lrと干渉性を有している必要がある。したがって、例えば、同一のレーザ光源から発振されたレーザ光を分割して、分割された一方を上述の参照光Lrとして利用し、他方を物体光Loとして使用することができる。
図7に示す例では、散乱板6の板面への法線方向と平行な平行光束が、散乱板6へ入射して散乱され、そして、散乱板6を透過した散乱光が物体光Loとしてホログラム感光材料58へ入射している。この方法によれば、通常安価に入手可能な等方散乱板を散乱板6として用いた場合に、散乱板6からの物体光Loが、ホログラム感光材料58に概ね均一な光量分布で入射することが可能となる。またこの方法によれば、散乱板6による散乱の度合いにも依存するが、ホログラム感光材料58の各位置に、散乱板6の出射面6aの全域から概ね均一な光量で参照光Lrが入射しやすくなる。このような場合には、得られたホログラム記録媒体57の各位置に入射した光が、それぞれ、散乱板6の像5を同様の明るさで再生すること、および、再生された散乱板6の像5が概ね均一な明るさで観察されることが実現され得る。
以上のようにして、参照光Lrおよび物体光Loがホログラム記録材料58に露光されると、参照光Lrおよび物体光Loが干渉してなる干渉縞が生成され、この光の干渉縞が、何らかのパターン(体積型ホログラムでは、一例として、屈折率変調パターン)として、ホログラム記録材料58に記録される。その後、ホログラム記録材料58の種類に対応した適切な後処理が施され、ホログラム記録材料55が得られる。
図8には、図7の露光工程を経て得られたホログラム記録媒体57の回折作用(再生作用)が示されている。図8に示すように、図7のホログラム感光材料58から形成されたホログラム記録媒体57は、露光工程で用いられたレーザ光と同一波長の光であって、露光工程における参照光Lrの光路を逆向きに進む光によって、そのブラッグ条件が満たされるようになる。すなわち、図8に示すように、露光工程時におけるホログラム感光材料58に対する焦点FPの相対位置(図7参照)と同一の位置関係をなすようにしてホログラム記録媒体57に対して位置する基準点SPから発散し、露光工程時における参照光Lrと同一の波長を有する発散光束は、再生照明光Laとして、ホログラム記録媒体57に回折され、露光工程時におけるホログラム感光材料58に対する散乱板6の相対位置(図3参照)と同一の位置関係をなすようになるホログラム記録媒体50に対する特定の位置に、散乱板6の再生像5を生成する。
この際、散乱板6の再生像5を生成する再生光(再生照明光Laをホログラム記録媒体57で回折してなる光)Lbは、露光工程時に散乱板6からホログラム感光材料58へ向かって進んでいた物体光Loの光路を逆向きに進む光として散乱板6の像5の各点を再生する。そして、上述したように、また図7に示すように、露光工程時に散乱板6の出射面6aの各位置から出射する散乱光Loが、それぞれ、ホログラム感光材料58の概ね全領域に入射するように広がっている。すなわち、ホログラム感光材料58上の各位置には、散乱板6の出射面6aの全領域からの物体光Loが入射し、結果として、出射面6a全体の情報がホログラム記録媒体57の各位置にそれぞれ記録されている。このため、図8に示された、再生照明光Laとして機能する基準点SPからの発散光束をなす各光は、それぞれ単独で、ホログラム記録媒体57の各位置に入射して互いに同一の輪郭を有した散乱板6の像5を、互いに同一の位置(被照明領域LZ)に再生することができる。
このようなホログラム記録媒体57を用いた光学素子50によって、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。また、図6〜図8に示された例において、光学素子50をなすホログラム記録媒体57が、反射型の体積型ホログラムとして形成されている例を示したが、これに限られず、透過型の体積型ホログラムを用いることができ、また、レリーフホログラムを用いることもできる。
また、図6に示すように、光学素子50が、第1領域Z1および第2領域Z2に隣接して当該第1領域Z1および第2領域Z2の間に位置する中間領域Z3を、さらに含むようにしてもよい。この例において、共役面B上に配置された偏光制御手段70は、第1制御領域CZ1および第2制御領域CZ2に隣接して当該第1制御領域CZ1および第2制御領域CZ2の間に位置する中間領域CZ3を、さらに含むようになる。そして、図6に示すように、中間領域Z3へ向けて進む光の光路上または中間領域Z3への入射後に被照明領域LZ(空間光変調器30)へ進む光の光路上に、当該光を吸収する光吸収体79が設けられているようにしてもよい。光吸収体79の一例として、黒色顔料を含んで成る樹脂硬化物や黒色の金属酸化物を例示することができる。このような例によれば、第1変調画像をなす光がより確実に第1の偏光成分からなり、且つ、第2変調画像をなす光がより確実に第2の偏光成分からなるようにすることができる。結果として、表示される画像が、より安定して、立体的に観察され得るようにすることができる。
さらに、光吸収体79を設けることに変えて或いは光吸収体79を設けることに加えて、光が第1領域Z1および第2領域Z2へ入射し且つ中間領域Z3へ入射しないよう、照射装置60が間欠的に光を照射するようにしてもよい。すなわち、仮に照射装置60から光が照射されたとするならば、走査デバイス65によって当該光が中間領域Z3に入射するようになるタイミングでは、照射装置60から光が照射されないようにしてもよい。このような例によっても、第1変調画像をなす光がより確実に第1の偏光成分からなり、且つ、第2変調画像をなす光がより確実に第2の偏光成分からなるようにすることができる。
さらに、図1に示した例では、光学素子50が、上下に二等分されて、第1領域Z1および第2領域Z2に区分けされていたが、これに限られない。例えば、コヒーレント光が円周状の走査経路に沿って光学素子50上を走査する場合には、当該円周状の走査経路に沿って、光学素子50が四等分され、第1領域Z1および第2領域Z2が二つずつ設けられていてもよい。また、第1領域Z1および第2領域2が、ストライプ状や格子状に、交互に並べられていてもよい。
他の変形例として、上述した実施の形態において、光学素子50が配置された共役面Aは、偏光制御手段70が配置された共役面Bと平行となっている例を示したが、これに限られず、図6に示すように、光学素子50が配置された共役面Aは、偏光制御手段70が配置された共役面Bと非平行となっていてもよい。上述したように、図6に示された例によっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
また他の変形例として、上述した実施の形態では、照射装置60が、発散光束に含まれる光路をたどるようにして光を光学素子50に照射する例を示したが、これに限られず、平行光束に含まれる光路をたどるようにして光を光学素子50に照射するようにしてもよい。
また、上述した実施の形態において、照射装置60がコヒーレント光を照射するようにした例を示したが、これに限られず、非コヒーレント光を照射するようにしてもよい。
また、照射装置60が、光学素子50上を走査するように光を射出する例を示したが、これに限られない。図9に示すように、照射装置60が、光学素子50の第1領域Z1の全域を照明する第1光源60aと、光学素子50の第2領域Z2の全域を照明する第2光源60bと、を有し、第1光源60a及び第2光源60bが交互に発光するようにしてもよい。このような例によっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
さらに他の変形例として、図4に示された例において、第1偏光制御素子71としての1/2波長板71aが、第2偏光制御素子72としての1/4波長板72aよりも入光側に配置されていたが、これに限られず、第2偏光制御素子72としての1/4波長板72aが第1偏光制御素子71としての1/2波長板71aよりも入光側に位置していてもよい。また、図5に示された例において、偏光制御手段70が、第1制御領域CZ1に重ねて配置された1/2波長板71aからなる第1偏光制御素子71のみによって形成されているが、第1制御領域CZ1に重ねて配置された第1偏光制御素子71だけでなく、第2制御領域CZ2に重ねて配置された透明層73をさらに有するようにしてもよい。透明層73としては、当該透明層73を透過する光の偏光を積極的に乱すことの無い低リタデーションの層、例えば、ガラスやトリアセチルセルロース(TAC)からなる層が好適に用いられる。
さらに他の変形例として、投射装置20が、カラーの画像光を投射するようにしてもよい。例えば、照射装置60が、複数波長域の合成光としての白色光を射出し、且つ、空間光変調器30がカラーフィルタを有している場合、投射型表示装置によってフルカラーの画像を表示することが可能となる。
なお、以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、当然に、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
5 像
6 散乱板
10 投射型表示装置
15 スクリーン
20 投射装置
25 投射光学系
30 空間光変調器
35 リレー光学系
40 照明装置
50 光学素子
51 レンズアレイ
52 フィールドレンズ、コンデンサレンズ
53 第2レンズアレイ
57 ホログラム記録媒体
58 ホログラム感光材料
60 照射装置
61 光源
64 偏向デバイス
65 走査デバイス
66 ミラーデバイス
66a ミラー
70 偏光制御手段
71 第1偏光制御素子
71a 1/2波長板
72 第1偏光制御素子
72a 1/4波長板
73 透明層

Claims (10)

  1. 第1領域および第2領域を含み各領域に入射した光を拡散させる光学素子と、
    前記光学素子の前記第1領域および前記第2領域に時分割で光を照射する照射装置と、 前記光学素子が配置されている面に対する共役面上に配置された偏光制御手段と、
    前記光学素子から前記偏光制御手段までの光路中に配置され、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光によって照明され且つ前記光学素子の前記第2領域で拡散された光によって照明される空間光変調器と、を備え、
    前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散されてその後に前記空間光変調器から進み出た光が第1偏光成分の光となり且つ前記光学素子の前記第2領域で拡散されてその後に前記空間光変調器から進み出た光が前記第1偏光成分とは異なる第2偏光成分の光となるように光の偏光状態を制御する、投射装置。
  2. 前記照射装置は、照射した光が前記光学素子上を走査するように、光を照射し、
    前記光学素子の前記第1領域内の各位置に入射して拡散された光が、それぞれ、前記空間光変調器を照明するとともに、前記光学素子の前記第2領域内の各位置に入射して拡散された光が、それぞれ、前記空間光変調器を照明する、請求項1に記載の投射装置。
  3. 前記照射装置は、交互に光を射出する第1光源および第2光源を有し、
    前記第1光源が、前記光学素子の前記第1領域に光を照射し、前記第2光源が、前記光学素子の前記第2領域に光を照射する、請求項1に記載の投射装置。
  4. 前記光学素子は、ホログラム記録媒体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の投射装置。
  5. 前記光学素子は、レンズアレイを含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の投射装置。
  6. 前記照射装置は、振動方向が一定となっている直線偏光の光を射出し、
    前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられた1/2波長板を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投射装置。
  7. 前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上と、前記光学素子の前記第2領域で拡散された光の光路上と、に設けられた1/4波長板を、さらに有する、請求項6に記載の投射装置。
  8. 前記照射装置は、旋回方向が一定となっている円偏光または楕円偏光の光を射出し、
    前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられた1/2波長板を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投射装置。
  9. 前記照射装置は、無偏光の光を射出し、
    前記偏光制御手段は、前記光学素子の前記第1領域で拡散された光の光路上に設けられ前記第1の偏光成分を選択的に透過させる第1偏光板と、前記光学素子の前記第2領域で拡散された光の光路上に設けられ前記第2の偏光成分を選択的に透過させる第2偏光板と、を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の投射装置。
  10. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の投射装置と、
    前記空間光変調器上に得られる変調画像を投射されるスクリーンと、を備える、投射型表示装置。
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