JP2017179080A - 脂肪族ポリエステル樹脂組成物及び該組成物からなるドレーン材 - Google Patents
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そのため、近年はドレーン材の原料を従来の塩化ビニルやポリオレフィン系樹脂から、生分解性樹脂に置き換える各種検討が行われている。
特許文献2には、ポリブチレンサクシネートとポリ乳酸からなるドレーン材が開示されている。
した表面から急速に分解するため、圧密強化前に塗布しておくことが出来ないといった問題や、土壌の圧密強化後に分解促進剤を投入しようとしても、圧密強化後のドレーン材は土圧によって湾曲や、破断が生じている場合が多く、分解促進剤を均一に散布することが困難であることが判明した。
[1] 脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(A)、オキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(B)、及び酸化カルシウムを含有する樹脂組成物。
[2] 脂肪族ポリエステル(A)及び脂肪族ポリエステル(B)の合計量100質量部に対し、酸化カルシウムが0.01〜10質量部含まれる[1]に記載の樹脂組成物。
[3] 脂肪族ポリエステル(A)及び脂肪族ポリエステル(B)の合計に対し、脂肪族ポリエステル(A)が10〜80質量%含まれる[1]又は[2]に記載の樹脂組成物。[4] 脂肪族ポリエステル(A)が、ポリブチレンサクシネート及び/又はポリブチレンサクシネートアジペートである[1]〜[3]の何れか1項に記載の樹脂組成物。
[5] 脂肪族ポリエステル(B)がポリ乳酸である[1]〜[4]の何れか1項に記載の樹脂組成物。
[6] 少なくとも片面に長手方向の全長に延びる溝条が形成されたプレート状芯材、および該芯材の少なくとも溝条が形成された面を覆うシート状透水材からなるドレーン材であって、プレート状芯材が、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(A)、オキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(B)、及び酸化カルシウムを含有する樹脂組成物からなるドレーン材。
[7] シート状透水材が脂肪族ポリエステル(A)又は脂肪族ポリエステル(B)を含む不織布である[6]に記載のドレーン材。
本発明の樹脂組成物中の酸化カルシウムの含有量を調整することによって、土壌温度や作業期間に合わせて、分解速度を調整したドレーン材を得ることが出来る。
旨を超えない限り、以下の態様に限定されるものではない。
脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(A)(以下、脂肪族ポリエステル(A)と称することがある)は、下記式(1)で表される脂肪族ジオール単位および下記式(2)で表される脂肪族ジカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステル樹脂である。
[式(1)中、R11は、鎖中に酸素原子を有していてもよい2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
[式(2)中、R21は、直接結合を示すか、2価の鎖状脂肪族炭化水素基を示し、共重合されている場合には1種に限定されない。]
カルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
全脂肪族ジカルボン酸単位中のコハク酸由来の構造単位の割合は、通常50〜100モル%、好ましくは80〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%である。
製造することができる。
例えば、上記の脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法や、有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法によっても製造することができる。経済性や製造工程の簡略性の観点から、無溶媒下で行う溶融重合で製造する方法が好ましい。
質量平均分子量は、下限が好ましくは10,000以上、より好ましくは20,000以上、さらに好ましくは50,000以上であり、上限が好ましくは1,000,000以下、より好ましくは500,000以下、さらに好ましくは400,000以下である。質量平均分子量を上記範囲とすることにより、成形性と機械強度の点において有利である。なお、本明細書において、質量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として測定した値である。
オキシカルボン酸を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(B)(以下、脂肪族ポリエステル(B)と称することがある)は、脂肪族オキシカルボン酸単位を含んでなる脂肪族ポリエステルである。
,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸、リンゴ酸、クエン酸等、またはこれらの低級アルキルエステル若しくは分子内エステルが挙げられる。また、ε−カプロラクトン等のラクトン化合物も本発明において脂肪族オキシカルボン酸に包含される。これらに光学異性体が存在する場合には、D体、L体またはラセミ体の何れでもよく、形態としては固体、液体または水溶液であってもよい。これらの中で、乳酸、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、6−ヒドロキシカプロン酸、3−ヒドロキシ吉草酸が好ましい。これら脂肪族オキシカルボン酸は、1種を単独で用いても、2種以上を任意の比率および組合せで用いてもよい。
いと溶融粘度が高すぎて成形加工性に劣る傾向がある。
本発明で用いる酸化カルシウムは公知の形態であれば特に限定されない。例えば酸化カルシウムを主成分とする工業用生石灰(JIS R9001)の粉末を用いてもよい。
本発明のポリエステル樹脂組成物中には、脂肪族ポリエステル(A)、脂肪族ポリエステル(B)及び酸化カルシウムが含まれている必要がある。
樹脂組成物中の酸化カルシウムの含有量が少なすぎると、分解速度が十分に得られない場合があり、樹脂組成物中の酸化カルシウムの含有量が多すぎると加熱時にMFRが低下し、成形性が不十分となる場合がある。
分解促進剤として、アルカリ化合物や各種微生物が知られているが、微生物は溶融混練時の熱により死滅し、水酸化カルシウムのようなアルカリ化合物は溶融混練時に脂肪族ポリエステル樹脂を分解してしまうため、樹脂組成物中に添加することが困難であった。
本発明で規定する酸化カルシウムは多数の分解促進剤の中でも熱安定性が高いことから、溶融混練時の脂肪族ポリエステル樹脂の分解作用が少なく、粘度を保持したまま樹脂組成物を製造することが出来ると考えられる。
また、ドレーン材として使用する際は、樹脂組成物中の酸化カルシウムと水分が接触することで、水酸化カルシウムがドレーン材内部で生成され、優れた分解速度を有したと考えられる。
樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル(A)の含有量が上記範囲であると、得られる樹脂組成物の機械物性が、ドレーン材原料に適した範囲となる傾向にある。
樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル(B)の含有量が上記範囲であると、得られる樹脂組成物の機械物性が、ドレーン材原料に適した範囲となる傾向にある。
本発明のポリエステル樹脂組成物には、スリップ剤、フィラー(充填剤)、可塑剤、帯電防止剤、澱粉、耐光安定剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、末端封止剤等の添加剤及びその他の配合成分を含有させることができる。これら添加剤及びその他の配合成分は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。樹脂組成物の性質を損なわずにこれら添加剤の性能を発揮させるためには、本発明のポリエステル樹脂組成物に対し、これら添加剤及びその他の配合成分の合計量は通常0.01質量%以上100質量%以下であり、好ましくは0.05〜40質量%、0.1〜20質量%含有するように配合することがより好ましい。これら添加剤及びその他の配合成分の添加方法は、公知の方法であれば特に限定されない。
本発明に係る樹脂組成物の製造方法としては、公知の手法を適用することができる。例えば、脂肪族ポリエステル(A)のペレットと、脂肪族ポリエステル(B)のペレット及び酸化カルシウムをドライブレンドし、原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法、各々別々の押出機で溶融させた後に混合する方法等が挙げられる。押出機としては、単軸又は2軸押出機が利用できる。又、脂肪族ポリエステル(A)と脂肪族ポリエステル(B)とを混合して加熱溶融させたところに、酸化カルシウムを添加して配合することもできる。この際、酸化カルシウムを均一に分散させる目的で、ブレンド用オイル等を使用することもできる。一方、脂肪族ポリエステル(A)と脂肪族ポリエステル(B)と、酸化カルシウムを直接成形機に供給して、樹脂組成物を調製すると同時に、そのままフィルム等の成形体を得ることも可能である。
本発明においては、樹脂組成物中に均一に酸化カルシウムが分散していることが好ましく、脂肪族ポリエステル(A)のペレットと、脂肪族ポリエステル(B)のペレット及び酸化カルシウムをドライブレンドし、原料チップを同一の押出機で溶融混合する方法が好ましい。
<ドレーン材>
本発明のドレーン材の形態は特に制限されず、図1に示す様に上方に開口する溝(芯体)および下方に開口する溝(芯体)が上下一対となって2つの溝を構成し、そのような一対の溝がドレーン材の幅方向に連続して形成された形態であってもよいし、上方に開口する溝と下方に開口する溝とが交互にドレーン材の幅方向に形成された形態であってもよく、図2に示すような凹凸構造を交互に有しており、溝が斜めに接続されている形態であってもよい。
限されないが、通常、溝の幅は2cm〜0.3cm、溝(水通路)の断面積は5〜50mm2であり、各溝の境界壁の厚みは0.5mm〜2mmである。
生分解性樹脂としては、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート等のジオール単位とジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル樹脂;ポリ乳酸、ポリカプロラクタム等のオキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル樹脂;ポリブチレンサクシネートテレフタレート、ポリブチレンアジペートテレフタレート等の脂肪族・芳香族ポリエステルが挙げられ、分解速度と機械物性の観点からジオール単位とジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル樹脂又はオキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル樹脂が好ましく、機械物性の観点からオキシカルボン酸単位からなる脂肪族ポリエステル樹脂がより好ましく、ポリ乳酸が特に好ましい。また、生分解性樹脂は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を任意の組み合わせ、および比率で併用してもよい。
<樹脂シートの引張弾性率試験>
樹脂組成物をTダイ(1.0mmt 200mm幅 コートハンガー)を付属したサーモプラスティックス工業株式会社製押出機(TPM−20S,L/D=28)によって厚さ350μm又は360μmのシートに成形し、得られたシートから60×45mmのシー
トを打ち抜き、試験片とした。
上記試験片をJIS K7127に沿って引張弾性率の測定を行った。
樹脂組成物の溶融時の流動性(メルトフローレート、MFR)をJIS K7210に準拠して190℃、2.16kg荷重の条件で測定した。
上記流動性評価結果から、MFRが10g/10minを超える樹脂組成物を×、MFRが10g/10min以下の樹脂組成物を○とした。一般にMFRが10g/10minを超える樹脂組成物は押出成形によって、肉厚の成形体を製造することは困難となる。
上記試験片を脱イオン水50.0gが入ったガラス瓶に入れ、フタをした後、23℃の恒温室に静置した。その後、一週間おきに試験片をガラス瓶から取り出し、23℃ 50%RHの恒温室にて一晩乾燥させた後に、試験片を中心に直径35mmの円形の穴の開いた治具にて固定し、開いた円の中心を先端が直径10mmの半球状になった棒にて突き刺し、試験片が破れ、穴があくまでの突き刺し強度(MPa)の測定を行った。
上記水中分解性評価結果から、3週間後の強度保持率が80%未満の材料を○、3週間後の強度保持率が80%以上の材料を×とした。
<樹脂>
PBS:三菱化学社製 ポリブチレンサクシネート GSPla FZ91PN、MFR:5g/10分、(2.16kgf、190℃)
PLA:NatureWorks社製 ポリ乳酸 Ingeo4060D、MFR:6g/10分(2.16kgf、190℃)
酸化カルシウム:近藤石灰社製 粉末生石灰
水酸化カルシウム:近藤石灰社製 超特号消石灰
[製造例1〜3]
樹脂および添加剤を表1に示す割合で池貝社製2軸押出機(PCM30,L/D=30)にて溶融混練し、該2軸押出機の出口からストランド状に押し出し、水で冷却固化させた後、回転式カッターでペレット化した。得られたペレットは、窒素流通下70℃にて6時間乾燥を行い、樹脂組成物を得た。なお、混練時の設定温度は190℃、スクリュー回転数は300rpmとした。
得られた樹脂組成物のMFRを測定し表2に示す。
表2に示す樹脂を成形し、厚さ360μmのシートを成形した。その後、引張弾性率評価及び加水分解試験を行った。その結果を表2に示す。
製造例2で得られた樹脂2を実施例1と同様の方法で厚さ350μmのシートを成形した。その後、引張弾性率評価及び加水分解試験を行った。その結果を表2に示す。
また、比較例1の結果から、水酸化カルシウムを含む樹脂組成物は分解性は優れるものの、MFRが高く、ドレーン材の原料として適していないことが明らかになった。
2 芯材
3 溝(水通路)
4 ドレーン材
5 盛土(荷重)
6 水平ドレーン材(排水路)
7 垂直ドレーン材
8 改良土壌
Claims (7)
- 脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(A)、オキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(B)、及び酸化カルシウムを含有する樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル(A)及び脂肪族ポリエステル(B)の合計量100質量部に対し、酸化カルシウムが0.01〜10質量部含まれる請求項1に記載の樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル(A)及び脂肪族ポリエステル(B)の合計に対し、脂肪族ポリエステル(A)が10〜80質量%含まれる請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル(A)が、ポリブチレンサクシネート及び/又はポリブチレンサクシネートアジペートである請求項1〜3の何れか1項に記載の樹脂組成物。
- 脂肪族ポリエステル(B)がポリ乳酸である請求項1〜4の何れか1項に記載の樹脂組成物。
- 少なくとも片面に長手方向の全長に延びる溝条が形成されたプレート状芯材、および該芯材の少なくとも溝条が形成された面を覆うシート状透水材からなるドレーン材であって、プレート状芯材が、脂肪族ジオール単位と脂肪族ジカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(A)、オキシカルボン酸単位を主たる繰り返し単位とする脂肪族ポリエステル(B)、及び酸化カルシウムを含有する樹脂組成物からなるドレーン材。
- シート状透水材が脂肪族ポリエステル(A)又は脂肪族ポリエステル(B)を含む不織布である請求項6に記載のドレーン材。
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